以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明の一実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機Xの外観斜視図である。このドラム式乾燥洗濯機Xは、外箱1にて外周を覆われるとともに、その前面に後述する外箱開口部111(図2参照)を備え、この外箱開口部1aを開閉するためのドア103がヒンジ機構にて回動可能に取り付けられている。なお、図1における11は操作パネルである。
図1におけるF2−F2線から見た概略断面図を図2に示す。
前記外箱1の前面には外箱開口部111が形成されている。前記外箱開口部111は、前記のように外箱1に対して回動可能なドア103によって開閉される。また、前記外箱1の前面上部には、操作キーや表示部を有する前記操作パネル11が設けられている。この操作パネル11の裏側(水槽4側)には、前記ドラム式乾燥洗濯機Xの動作を制御する制御部202が設けられており、操作パネル11への入力により洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程が連続してまたは各工程単独で行われる。前記外箱1は、弾性支持手段の一例としてのサスペンション8によって後述する水槽4を弾性支持する。
外箱内には、前記外箱開口部111に対向して開口する水槽開口部118を備えた有底筒形状の水槽4が配されている。水槽4は、その筒軸に垂直な各断面における重心を通る中心軸L1の後方側が下がるように傾斜して配されている。
水槽4内には、前記水槽開口部118に対向して開口するドラム開口部126を備えた有底円筒形状の回転ドラム5が配されている。回転ドラム5は、その背面側のモータ9と連結されており、水槽4内を回転可能に支持されている。この回転ドラム5は、その中心軸(回転軸)L2の後方側が下がるように傾斜して配されている。回転ドラム5の周壁全域には複数の小孔5aが形成されている。この小孔5aは、水槽4と回転ドラム5との間の空間と、回転ドラム5内の空間との間で洗濯水や空気を流通させる。また、水槽4の中心軸L1に対して回転ドラム5の中心軸L2が上方となるように配されている。
水槽4内の空間下部に回転ドラム5内に供給すべき温風が流れる送風ダクト39が配置されている。この送風ダクト39の前側の端部は、水槽開口部118の下縁と回転ドラム5の開口部126の下縁との間に位置する送風口40と連通している。従って、送風ダクト39を矢印D1方向に流れる空気は、前記送風口40を経て回転ドラム5内に吹き出される。また、送風ダクト39の後側の端部は、後述するファンケース134の吐出口158に接続されている。
送風ダクト39の内部には、加熱部132が配されている、前記加熱部132は、ヒータケース37と、ヒータケース37に大部分が収容されたシーズヒータ138とで構成されている。前記ヒータケース37は、金属製の本体と、その本体を固定する耐熱樹脂製のフレームとで構成され、前側の端部が送風ダクト39に連結されている。前記シーズヒータ138は、水槽4内の空気を加熱することが出来ると共に、水槽4内の洗濯水に浸かる領域に配置されているため、水槽4内の洗濯水をも加熱することが出来る。
前記水槽4の前面部には、外箱開口部111に対向する前記水槽開口部118が設けられている。この水槽開口部118には、ゴムや軟質樹脂などの弾性体からなるパッキン119が固着されている。これによりドア103を閉じると、ドア103がパッキン119に密着するため、水槽4内の液体が水槽4外へ漏れ出ることが防げる。また、前記水槽4の上部には、水槽4内に洗濯水を給水するための給水ダクト120の下端部が接続されている。一方、前記給水ダクト120の上端部は洗剤ケース14の下部に接続されている。また、前記洗剤ケース14には水道水用給水路241及び風呂水用給水路42が接続されている。この水道水用給水路241の途中には、給水弁43を設けられる一方、風呂水用給水路42の途中には風呂水ポンプ44が設けられている。
前記水槽4の下部には、前記送風ダクト39と連通し水槽4内の洗濯水を排水するための排水口110が設けられている。この排水口110は送風機131の下流側に位置している。また前記排水口110には排水ダクト21の上端部が接続されている。一方、前記排水ダクト21の下端部は、フィルタ装置22を介して排水ホース23に接続されている。前記排水ダクト21を流れる液体は前記フィルタ装置22を通ってから前記排水ホース23または循環ホース46に流入できるようになっている。このフィルタ装置22が排水ダクト21内を流れてきた洗濯水中の糸くずなどの異物を除去するので、異物の排水ホース23または循環ホース46への進入を防ぐことが出来る。ここで、前記排水口110は循環入口の一例である。
前記排水ホース23には、排水モータ124によって開閉される排水弁25が設けられている。この排水弁25は、排水ダクト21の洗濯水を排水ホース23へ流すときには開放し、かつ、排水ダクト21の洗濯水を循環ホース46へ流すときには閉鎖するように制御される。前記循環ホース46の上方端部は、水槽4の前面下部に設けられ、回転ドラム5内に指向して設けられた循環ノズル47に接続されている。一方、前記循環ホース46の下方の端部は、フィルタ装置22の後方に配置された循環ポンプ45に接続されている。前記循環ポンプ45は、排水ダクト21内の洗濯水をフィルタ装置22を介して吸引するとともに、この吸引した洗濯水を循環ホース46へ吐出する。このような循環ポンプ45を作動させることによって、排水口110から水槽4外に出た洗濯水をフィルタ装置22を通過させた後、再び回転ドラム5内へ戻すことが出来る。洗い工程またはすすぎ工程においては、このような洗濯水の循環を行いながら、異物を除去して、洗濯水を清浄に保つ。
前記送風ダクト39と連通し水槽4内の洗濯水を排水するための前記排水口110の入り口には、乾燥システム106が設けられている。前記乾燥システム106は、従来の送風機35に相当する送風機131、従来のヒータ36に相当する加熱部132、送風ダクト39および後述する除湿用熱交換器133(図3、図4参照)を有している。また、前記除湿用熱交換器133と送風機131との間の除湿用経路164には金属糸を編んで網状としたフィルタ160が設けられている。この送風機131、加熱部132、除湿用熱交換器133、フィルタ160および送風ダクト39は、夫々、水槽4の中心線L1を含み、かつ、この中心線L1と直行する水平軸を含む面よりも下側に設けられている。これにより、乾燥システム106の各部やフィルタ160といった部材は洗濯時またはすすぎ工程時において、洗濯水に浸かることにより洗浄される。なお、加熱部132は加熱部、除湿用熱交換器133は除湿部、送風機131は送風部、フィルタ160はフィルタ手段の一例である。
図3に図1のF3−F3線から見た概略断面図を示す。
前記除湿用熱交換器133は、水槽4の後面下部に取り付けられた送風機131の上流側に接続されている。より詳しくは、前記除湿用熱交換器133は、水槽4の内周面と回転ドラム5外周面との間の、洗い工程またはすすぎ工程時に洗濯水に浸かる領域に配設されている。前記除湿用熱交換器133は、前方側が高くなるように傾斜させて配置された金属プレート49と、この金属プレート49の端部に取り付けられたステンレス製の固定部材50(図4、5参照)とを有している。金属プレート49の前方の端部の上方には、冷却ノズル51が配されている。乾燥工程時には、この冷却ノズル51から供給された冷却水が金属プレート49上面を流れて金属プレート49を冷却する。これにより前記冷却水および金属プレート49で空気を冷却して、そこを流れる空気が含む水分を効果的に凝縮させる。
水槽4の後面下部には、前記送風機131が取り付けられている。送風機131は、水槽4と吸入口162を介して連通しており、送風ファン135の回転に伴って、水槽4内の空気を吸い込む。なお、吸入口162は、吸込口側の経路の一例である。
図4に図3のF4−F4線から見た概略断面図を示す。
水槽4は下方に凸形状を有しており、前記凸形状と重なるように送風機131が配されている。送風機131は、その外周をファンケース134にて構成されるとともに、その内部に送風ファン135が内包されている。前記ファンケース134は、水槽4下方の前記凸形状の左右方向に伸長しており、前記凸形状内に配される前記加熱部132および除湿用熱交換器133とそれぞれ吸入口162および吐出口158を介して連通している。
前記水槽開口部118の中心C1は、ドラム開口部126の中心C2よりも外箱1の天面側にある。つまり、水槽開口部118は、ドラム開口部126に対して外箱1の天面側に偏心している。
図5に正面から見た水槽底部の概略図を示す。
水槽4の下方の凸形状の内部には、右側に加熱部132が、左側に除湿用熱交換器133が配されている。加熱部132と除湿用熱交換器133とは水槽4の中心軸L1に対して平行となるように配されており、後述するように送風機131を挟んで除湿用熱交換器133が循環空気の上流側、加熱部132が下流側となるように設けられている。
図2から図4に示すように、乾燥工程時には、前記送風機131で送られた空気は矢印D5(図2参照)に示すように、前記加熱部132を通って加熱された後、水槽開口部118から矢印D1(図2参照)に示すように回転ドラム5内に吹き出される。ここで回転ドラム5内の湿った洗濯物から水分を蒸発させて高湿となった空気は、回転ドラム5周面の小孔5aを通って水槽4内面と回転ドラム5外面との間の空間へと流れ出て、矢印D2(図3参照)に示すように除湿用熱交換器133に沿って流れる。前記高湿となった空気は、除湿用熱交換器133および冷却水によって冷却され、除湿される。前記除湿された空気は、矢印D3(図3参照)に示すように吸入口162を介して送風機131へと入り、矢印D4(図4参照)に示すように、吐出口158から加熱部132へ送り込まれ前記除湿された空気は、矢印D3(図3参照)に示すように吸入口162を介して送風機131へと入り、矢印D4(図4参照)に示すように、吐出口158から加熱部132へ送り込まれ、そこで加熱されるという循環を繰り返して、洗濯物の乾燥が進行する。なお、図8に、前記した乾燥工程時の空気の流れを模式的に示している。
このように乾燥工程時に前記水槽4内の空気を除湿用熱交換器133、送風機131および加熱部132を順次通過させて、循環させることにより、洗濯物が乾燥する。このとき、前記洗濯物の綿くずなどの微細なゴミがファンケース134内に入ってファンケース134内側や、シャフト152の一方の端部あるいは送風ファン135に付着するが、次の洗い工程時またはすすぎ工程時に、ファンケース134の内側や、シャフト152の一方の端部あるいは送風ファン135がファンケース134内に流入する洗濯水に浸かるので、前記綿くずなどのゴミは洗濯水で流されて除去される。その結果、前記ファンケース134内の空気の経路が狭まらず、また、前記送風ファン135の回転への抵抗が増えず、洗濯物を乾燥させるための空気を絶えず効率よく循環させることが出来る。
図6に図2におけるフィルタ160周辺部の詳細図を示す。
水槽4の後面下部には、送風機131が取り付けられている。前記送風機131は、その送風の出口である吐出口158にて水槽4に接続するとともに、前記吐出口158は、前記送風ダクト39に接続している。
図7に図3におけるフィルタ160周辺部の詳細図を示す。
前記送風機131は、ファンケース134と、このファンケース134内に回転可能に配置された送風ファン135と、この送風ファン135を回転駆動するファンモータ136と、一方の端部が送風ファン135に連結されていると共に、他方の端部がファンモータ136に連結されたシャフト152と、このシャフト152を径方向において取り囲むように設けられたシール受け部53とを有している。前記シャフト152は、ファンモータ136の回転駆動力を受けて、送風ファン135と共に回転する。また前記のようにシャフト152の一方の端部は、洗い工程時またはすすぎ工程時に、ファンケース134内に流入する洗濯水に浸かるように配置されている。また、前記送風ファン135は、乾燥工程時に、洗濯物の送風を行うものであるが、洗い工程時またはすすぎ工程時にも回転するように制御して水流を発生させることができる。
前記送風機131は、その送風の入口である吸入口162にて水槽4に接続している。前記吸入口162と、金属プレート49との間の空間には金属糸を編んで網目状としたフィルタ160が設けられており、水槽4内の空気がフィルタ160を介することなく前記吸入口162を通過することが無いようにフィルタ160が吸入口162を覆うように取り付けられている。
前記フィルタ160は、水槽底面内側に図5に示すように、水槽4底面に配されており、水槽4内側から見ると平面視で前記ドラム式乾燥洗濯機Xの中心線L3を中心とする左右対称の略弧形状をなし、図5の左側において水槽からの吸入口162(図3参照)に対向している。図4に示すように、この吸入口162には、これに対向するように前記送風ファン135が設けられている。図5には、前記吸入口162までの経路上に設けられた除湿用熱交換器133が示されている。
従って、前記吸入口162までの除湿用経路164(図3参照)を通って図5の紙面に直交する方向に流れてきた空気(洗濯水)は、前記フィルタ160を通過して送風機131内に流入する。洗い工程またはすすぎ工程においては、水槽4および送風機131内には洗濯水が流れており、フィルタ160を通過することにより洗濯水中に含まれる糸くずなどの異物は捕集されて、送風機131内への異物の侵入が防がれる。このフィルタ160によって捕集された異物は回転ドラム5の回転により発生する水流によってフィルタ160表面より除去されるので、フィルタ160の目詰まりは解消される。また、水槽の内周面はなだらかな弧形状あり、且つ回転ドラムの回転方向に沿うため、回転ドラムの回転による水流によって水槽底に沈んだ糸くずなどの異物はその回転方向へと揺動するが、フィルタ160は水槽4底面に配されているため、フィルタ160への異物の再付着が発生しにくい。また、乾燥工程においては、水槽4および送風機131内には空気が流れており、フィルタ160を通過することにより空気中に含まれる異物は捕集されて、送風機131内への異物の侵入が防がれる。
前記のように送風機131によって運ばれる洗濯水あるいは空気中の糸くずなどの異物を捕集するためであれば、前記フィルタ160は、前記送風ファン135による吸込み力が及ぶ範囲、即ち図5の水槽4の下方左側に示す吸入口162に対向する部分だけを覆えば足りる。しかしながら、実際の洗い工程、すすぎ工程あるいは乾燥工程において、洗濯水や空気で運ばれてきた糸くずは、長時間のうちに前記フィルタ160上に堆積するから、いずれはフィルタ160上の吸入口162に対向する領域には、多くの糸くずが堆積し、吸引効率が低下する原因となる。
そのためこの実施形態では、フィルタ160を送風ファン135による吸込み力が直接作用する図5における水槽4の下方左側に示す吸入口162に対向する部分だけでなく、送風機131とは対向しない右側部まで拡大して配している。即ち、前記フィルタ160は、水槽4の中心軸L1方向より見て、前記吸入口162の開口面積より大きな面積にわたって配されている。このような構成では、初期的には糸くずは前記送風機131の吸入口162に対向する領域にのみ付着するが、運転時間が長期化することに伴って糸くずが付着した部分の吸込み力が低下する。そのため、糸くずは吸引力のなくなった部分にはそれ以上付着せず、吸引力の保たれているいまだ糸くずが付着していない周囲の部分に移っていくので、糸くずの付着範囲は徐々に広がり、やがて図5における左側部に集中して糸くずが付着することになる。
しかし、この実施形態では前記のようにフィルタ160が、図5における右側部にまで拡大して配しているので、たとえ長時間の運転によって図5の左側部の吸引力が低下したとしても、糸くずが付着していない右側部をフィルタとして使うことができるので、極めて長期間にわたってフィルタ効果を維持することができる。
また、この実施形態にかかるドラム式乾燥洗濯機に用いられるフィルタ160は、単純な平板状のものではなく図6及び図7に明示のように、水槽4の方向、即ち除湿用熱交換器133を構成する金属プレート49の方向へ膨らむ膨出部160aを備えている。このようにフィルタ160を水槽4方向へ若干膨らませることで、水槽4底面とフィルタ160との間に送風経路を形成してフィルタ160の長時間使用性を確保している。
前記フィルタ160は、金属糸を編んで網状としたものではなく、プラスチック成形品あるいは金属板から小孔を打ち抜いたものでも良いが、実際には、成形品や打ち抜き品では、フィルタの孔の周囲にバリ、返りが発生し、糸くずや綿埃が引っ掛かって小孔をふさぐ原因となる場合がある。そのため前記フィルタ160は、線材を網目状に編んだ網構造により構成することが望ましい。このような網目構造の場合、前記のようなバリや返りの心配がないばかりか、板面の面積に占める小孔の面積の比(即ち開口率)を高くすることができ、優れた異物捕集手段としての能力を発揮させることができる。
前記フィルタ160を構成する線材としては、金属線の他に樹脂線などが考えられるが、金属線であればその表面は滑らかであるため、糸くずや綿埃が引っ掛かりにくいため好ましい。また、金属線を編んで網目状としたものを樹脂コーティングするなど、その線材の網目の交差部を固定するようにすると、交差した線材の間への異物の挟み込みや交差部の移動による目の粗さの変動などの不具合の発生を防止できる。
また、この場合、前記フィルタ160の網目の粗さは、1mm〜3mmとしてもよい。このようにすると、送風ファンとファンモータをつなぐシャフトへ絡まりやすく送風部の送風能力の低下に大きく影響を与える洗濯水中の糸くずなどの比較的大きな異物を捕集するから、綿埃などの比較的小さい異物によるフィルタ160の早期目詰まりを防止できる。
このようにフィルタ160を設けることで、送風ファン135あるいはそのシャフト152に糸くずや綿埃などの異物が絡まりつくといった不都合は回避される。また、前記のようにフィルタ160を設ける領域を送風ファン135により直接的に吸引力が及ぶ吸入口162との対向部のみでなく、送風ファン135から離れた部分まで及ぼしたので、長期にわたって送風ファン135の吸込み力を強く維持することができる。
この実施形態においては、フィルタ160は洗い工程またはすすぎ工程における回転ドラム5の回転により発生する水流によって自動的に目詰まりの解消がなされるが、より確実にフィルタ160の目詰まりを除去するために、回転ドラム5の背面の水槽4に面する側には、回転ドラム5の回転に伴うフィルタ160の表面を洗浄する水流をより発生しやすくするブレード170を設けている。ここで、ブレード170はクリーニング手段の一例である。
図9に回転ドラム5の背面の水槽4に面する側の概略図、図10(a)に図9の矢印Aから見たブレードの概略図、図10(b)に図9の矢印Bより見たブレードの概略図を示す。
前記回転ドラム5の背面の水槽4に面する側には、180度回転対称の位置にブレード170が取り付けられている。ブレード170は、図9に示すように、回転ドラム5の底面に、回転ドラム5の直径方向に対して45度傾斜させた状態で、リベット172(図10(b)参照)によって固定されている。さらにこのブレード170は、図10(a)に示すように、回転ドラム5の回転軸線に対し、矢印D6で示される脱水工程における回転方向とは逆方向に30度傾斜させている。脱水工程における回転ドラム5の矢印D6方向への1000rpmもの高速回転によりブレード170が風切り音を発生しないようにするために前記45度の傾斜角および前記30度の傾斜角を設けている。なお、本実施形態において、ブレード170は、回転ドラム5の直径方向に対して傾斜させるとともに、回転ドラム5の回転軸線に対しても傾斜させて取り付けているが、回転ドラム5の直径方向または回転ドラム5の回転軸線方向のいずれか一方の傾斜角を調整することにより、脱水工程時の風切り音を低減できる。
前記ブレード170は、洗い工程またはすすぎ工程時に回転ドラム5の回転によって回転ドラム5の回転軸を中心として回転して洗濯水に水流を発生させるが、この回転によって通過する軌跡は、図5の矢印D8に示されるように、フィルタ160の投影面を通過する。ブレード170の回転による洗濯水の水流はフィルタ160表面に付着した異物に作用して、前記異物をフィルタ160より引き離す。この引き離す作用は、特に、ブレード170の通過する軌跡に近いほうが大きいため、この実施形態におけるフィルタ160は、図5に示すように、回転ドラム5の中心側に近い領域Eについては凹形状としてもよい。なお、ブレード170が回転ドラム5の回転軸からの距離が複数存在するように構成することも可能であるので、フィルタ160をより広いものとすることも可能であり、また、このようなへこみ領域Eについても洗浄効果を付与することも可能である。
なお、前記ブレード170は、前記回転ドラム5の底面に固定された複数の金属片により構成されているが、回転ドラム5の回転バランスを崩さないように回転対称の位置に設けるのが好ましい。若しくは、回転ドラム5の周壁のカシメに基づくアンバランス是正のために最低1箇所に設けることも可能である。またブレード170は、必ずしも金属製でなくてもよく、例えば樹脂性などでも良い。
図11に前記ドラム式乾燥洗濯機Xの主要部のブロック図を示す。
図11に示す制御部202は、CPU等の演算部及びROM、RAM等の記憶部を備え、前記ドラム式乾燥洗濯機Xの統括的な制御を行うものである。また、図11に示す操作入力部201は、ドラム式乾燥洗濯機Xの操作パネル11に設けられる操作入力用のインターフェースである。前記操作入力部201からの操作入力情報は制御部202に入力される。前記操作入力部201への操作入力を介して、「標準」や「つけおき」、「大物」、「Agリンス」、「わが家流」、「ドライ」などの各洗濯コースや、水槽4や回転ドラム5を洗浄する「槽洗浄」、フィルタ160の異物除去の専用コースである「フィルタ洗浄」などのメンテナンスコースの運転コースをユーザが選択し、選択されたコースに基づいて、前記制御部202は、前記モータ9、前記循環ポンプ45、前記ファンモータ136などの、前記ドラム式乾燥洗濯機Xの各部の制御を行う。ここで、前記操作入力部201は入力手段、前記制御部202は回転ドラム回転制御手段、前記「標準」コースは第1の制御状態、「フィルタ洗浄」コースは第2の制御状態の一例である。
図12に前記操作入力部201の詳細図を示す。
前記操作入力部201は、運転コースを選択するコースキーk1、前記コースキーによりどのコースが選択されているかを表示するコース表示部203、現在運転中のコース終了までの残り時間や予約運転開始までの時間を表示するタイマ表示部204、乾燥工程まで自動で行うか否かを選択する洗乾キーk2、洗濯運転をスタートまたは一時停止させるスタートキーk4などを備えている。
前記操作入力部201を操作して各運転コースを選択するにあたり、前記制御部202は前記コースキーk1が押圧された回数をカウントし、それに応じて前記コース表示部203における前述の運転コース各々に対応する表示を点灯させる(つまり、前記コースキーk1の押圧に伴って、前記コース表示部203における点灯が移り変わる)。また、それらの運転コース各々に対応する表示が点灯している状態で、ユーザが所定の確定操作(例えば、洗乾キーk2若しくはスタートキーk4の押圧操作など)を行うと、前記制御部202は、前記コースキーk1が押圧された回数に対応する運転コースの実行要求がなされたものと判別する。尚、電源投入時における前記コースキーk1の無操作時には、上述の各コースのうちの「標準」の表示203aが点灯されており、即ち前記「標準」コースが選択されている状態にある。従って、電源投入直後に前記コースキーk1を一度も押圧していない状態で前記洗乾キーk2若しくはスタートキーk4の押圧を行うと(つまり、選択の確定を行うと)、前記制御部202は後述のような前記「標準」コースに対応する各部の制御を開始する。なお、「槽洗浄」コースを行う場合は、同様に、前記コースキーk1を繰り返し押圧して、前記表示部203における前記「槽洗浄」の表示203bを点灯させた状態で、ユーザが所定の確定操作(例えば、洗乾キーk2若しくはスタートキーk4の押圧操作など)を行えば、前記制御部202は、後述のような「槽洗浄」コースに対応する各部の制御を開始する。
図13に前記制御部202による処理手順を表すフローチャートを示す。また、図14(a)に前記「標準」コースにおける洗い工程、図14(b)に前記「フィルタ洗浄」コースにおけるフィルタ洗浄工程、図14(c)に前記「槽洗浄」コースにおける槽洗浄工程の回転ドラム5の回転方向及び回転数を表すタイムチャートをそれぞれ示す。
以下、図12〜図14を参照しつつ、ドラム式乾燥洗濯機Xの有する前記制御部202による処理制御内容について説明する。尚、図13に示されるフローの各工程は、前記制御部202が前記モータ9、前記循環ポンプ45、前記ファンモータ136などを含む当該ドラム式乾燥洗濯機Xの各部を制御することにより実行される。また、図13におけるS1、S2…は処理の番号を表すものであり、当該ドラム式乾燥洗濯機Xの電源投入時、つまり図12に示される電源投入キーk3のユーザによる押圧操作時においてS1の処理から開始される。
ステップS1では、前記制御部202により、前記操作入力部201を介してコースキーk1の押圧が行われたか否かが判別される。上述の如く、電源投入時には前記「標準」の表示203aが点灯されており、即ち前記「標準」コースが選択されている状態にある。従って、ステップS1は、ユーザが前記「標準」コースの開始を要求しているか否かの判別に相当する。前記コースキーk1が少なくとも一度押圧された後に所定の確定操作がなされた場合(例えば、洗乾キーk2若しくはスタートキーk4の押圧操作など)は(ステップS1のYES)、ステップS2に進む。尚、コースキーk1は押圧される毎に「標準」→「つけおき」→「大物」→「Agリンス」→「わが家流」→「ドライ」→「槽洗浄」→「フィルタ洗浄」と選択するコースが変更され、「フィルタ洗浄」が選択された状態で、再度、コースキーk1が押圧されると、「標準」コースの選択状態へと戻る。すなわちステップS1の状態へと戻る。ここで、前記操作入力部201は制御状態切り替え手段の一例である。
ステップS2では、前記制御部202はステップS1において選択されたコースに応じて各部の制御を行う。尚、「つけおき」「大物」「Agリンス」「わが家流」「ドライ」の各洗濯コースは、前記モータ9による前記回転ドラム5の回転速度や、前記回転ドラム5を回転させない休止時間などが前記「標準」コースと異なる、または、本発明の特徴部分とは何ら関係のない機能が付与されたコースであり、本発明の特徴部分である前記フィルタ160からの異物(糸くずなど)除去、前記送風ファン135及び前記乾燥経路からの異物(綿埃など)の除去は、前記「標準」コースと同様に行われる。そこで、以降は「標準」コースを例に挙げて本発明の特徴的な制御について説明する。
一方、前記制御部202が、前記コースキーk1が一度も押圧されていない状態やなどの「標準」コースが選択されている状態で前記洗乾キーk2が押圧されたと判別した場合(ステップS3のYES)、ステップS7に進む。一方、「標準」コースが選択されている状態(ステップS1のNO)で、且つ前記スタートキーk4が押圧されたと判別した場合(ステップS3のNO)、前記制御部202が前記「標準」コースにおける各処理を実行するステップS4に進む。尚、前記「標準」コース(「つけおき」「大物」「Agリンス」「わが家流」「ドライ」の洗濯コースも同様)が選択されている状態での前記洗乾キーk2の押圧(確定操作)は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程の各工程に加えて、前述した乾燥工程の実行要求入力という意味を持つ。
ステップS4では、前記制御部202は、洗濯物を洗い、すすぎ、脱水するとともに、簡易的に前記フィルタ160、前記送風ファン135及び前記乾燥経路に付着した異物を除去する前記「標準」コースの洗い工程およびすすぎ工程における各部の制御を行う。以下、本発明の実施形態に係るドラム式乾燥洗濯機Xによる、前記フィルタ160に付着した糸くずなどの異物を除去するための前記「標準」コースにおける制御について説明する。
前記「標準」コースでは、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程の3つの工程が実行される。前記洗い工程では、図14(a)のタームチャートに示される如く、前記制御部202は前記モータ9を制御して、前記回転ドラム5を第1の回転速度である50rpmで時計周り方向および反時計周り方向に交互に回転させる。回転方向の切り替え時には、前記モータ9を駆動させない停止インターバル(第1のインターバル、2〜4秒程度)が挿入される。このような回転駆動は、回転ドラム5に内包された洗濯物量またはユーザの設定に基づいて通常15分から40分継続される。尚、図14(a)に示される「50rpm」は時計回り方向に前記回転ドラム5が回転している状態を示し、「−50rpm」は反時計回り方向に回転している状態を示す。以下、時計回り方向と反時計回り方向とを併せて正逆方向という。
ところで、前記フィルタ160によって捕集し切れない細かい綿埃などの異物は前記フィルタ160を通過して前記送風ファン135に付着するか、または、その他の乾燥システム106の乾燥経路(図8の矢印D1〜D5に沿う経路)の各部に付着する。そこで、洗濯水が前記水槽4内にあり前記乾燥経路が前記洗濯水に浸されている状態にある洗い工程において、前記制御部202は前記ファンモータ136を駆動制御し、前記洗濯水に浸されている前記送風ファン135を回転させる。この送風ファン135による水流により、前記送風ファン135および前記乾燥経路中に付着している綿埃などの異物が洗い流される。
更に、予め定められた時間である前記送風ファン135の回転開始後数十秒間は、前記排水ダクト21から前記循環ホース46に亘る経路中を前記洗濯水に循環させるべく、前記制御部202は前記送風ファン135に連動するように前記循環ポンプ45を運転制御する。尚、前記送風ファン135のみが回転する状態では、図8に示される吐出口158から加熱部132の方向へと直線的に前記洗濯水が流れるので、前記加熱部132及びその周辺の綿埃が除去される。また、前記送風ファン135と前記循環ポンプ45とが同時に運転される状態では、図2に示される排水口110からの前記洗濯水に対する吸い込みが生じるので、前記吐出口158周辺での前記洗濯水の水流が湾曲的になり、吐出口158の周辺の綿埃が除去される。つまり、前記循環ポンプ45の運転により、綿埃を除去する領域を切り替えることが可能である。
また、前記洗い工程の終了間際には、前記制御部202は、前記モータ9を制御することにより、前記回転ドラム5を前記第1の回転速度より速い回転速度の第2の回転速度である65rpmで正逆方向に交互に20〜30秒前後回転駆動する。なお、前記制御部202は動作速度制御手段の一例である。
ところで、上述の如く、前記回転ドラム5やその底部に設けた前記ブレード170の回転により発生する水流によって、前記フィルタ160表面に付着している異物が除去される。このフィルタ160表面の異物を除去する水流の強さは回転ドラム5の回転速度に影響を受ける。そこで、前記制御部202は前記モータ9の駆動制御を行うことにより前記回転ドラム5の回転速度を制御して、フィルタ160の異物を除去する前記回転ドラム5やその底部に設けた前記ブレード170による水流の強さを調整することが可能となる。つまり、回転ドラム5の回転速度を50rpmから65rpmに上昇させることによりフィルタ160からの異物除去能力を向上させることができる。
つまり、洗い工程の終了間際に回転ドラム5を65rpmにて回転させることにより、回転ドラム5およびブレード170により前記フィルタ160付近に強い水流を発生させて、前記フィルタ160に除去されずに残っている異物を除去する。この第2の回転速度での回転駆動を所定時間(本実施の形態では20〜30秒)行ったのち、前記制御部202は、排水モータ124(図2参照)を制御して排水弁25を開き、前記排水ダクト21を介して前記洗濯水を前記水槽4内より排出する。ここで、前記排水モータ124、前記排水弁25、前記排水ダクト21は排水手段の一例である。このとき、前記フィルタ160からの異物(糸くずなど)の除去を行うべく、前記制御部202は、前記排水作業と同時に前記回転ドラム5を正逆方向に交互に65rpmの高速で回転させても良い。この排水作業と同時に行われる回転ドラム5の回転方向の切り替え時には、前記回転ドラム5が回転しない停止インターバルが挿入される。この排水作業時の前記回転ドラム5の停止インターバル(第2の停止インターバル、1秒程度)は、50rpmで前記回転ドラム5が回転するときの停止インターバル(第1の停止インターバル、2〜4秒程度)よりも短く定められる。即ち、回転方向の切り替え時の停止インターバル中においては、前記水槽4内の前記洗濯水の水位は低下し続けるので、前記停止インターバルを短く設定することにより、前記フィルタ160の前面に水流を間断小さく極力均等に作用させることができる。尚、前記停止インターバル中には前記排水弁25を閉じる制御を行い、前記停止インターバル中の水位の低下を防止するようにしてもよい。この排水ダクト21を介しての水槽4内の洗濯水の排出が完了すると洗い工程は終了となる。
洗い工程が終了すると、次にすすぎ工程が実行される。すすぎ工程においては、洗い工程と同様に水槽4内に洗濯水の給水がなされた状態で、前記制御部202は前記モータ9を制御して、前記回転ドラム5を第1の回転速度である50rpmで、正逆方向に交互に回転させる。回転方向の切り替え時には、前記モータ9を駆動させない停止インターバル(第1のインターバル、2〜4秒程度)が挿入される。このような回転駆動は、回転ドラム5に内包された洗濯物量またはユーザの設定に基づいて通常5分から15分継続される。ここで、洗い工程と同様にファンモータ136を駆動制御して、前記送風ファン135やシャフト152、前記乾燥経路などに付着している綿埃などの異物を洗い流しても良い。また、前記ファンモータ136の駆動制御と連動して、循環ポンプ45を作動させても良い。
さらに、前記すすぎ工程の終了間際には、前記制御部202は、前記モータ9を制御することにより、前記回転ドラム5を前記第1の回転速度より速い回転速度の第2の回転速度である65rpmで正逆方向に交互に20〜30秒前後回転駆動する。
この第2の回転速度での回転駆動を所定時間(本実施の形態では20〜30秒)行ったのち、前記制御部202は、排水弁25を開いて洗濯水を前記水槽4より排出する。このとき、洗い工程と同様に、回転ドラム5を回転させつつ排水作業を行っても良い。この水槽への給水から回転ドラムの回転制御を経て水槽からの排水までのすすぎ作業を1回または複数回繰り返して行ってすすぎ工程は終了となる。尚、このような65rpmによる前記回転ドラム5の回転駆動は、前記洗い工程またはすすぎ工程の終了間際のいずれかに行っても良く。また、本実施の形態のようにそれぞれの工程の終了間際毎に行われるものであっても良い。
すすぎ工程が終了すると、次に脱水工程が実行される。脱水工程においては、前記制御部202は、前記モータ9を制御して、回転ドラム5内の洗濯物を最高回転数1000rpmにて遠心脱水する。所定時間の脱水が行われた後、脱水工程は終了となる。以上のような洗い工程、すすぎ工程、脱水工程が終了すると、前記制御部202は「標準」コースを終了して(ステップS5)当該ドラム式乾燥洗濯機Xの電源を自動で切断する(ステップS6)。
以下、ステップS3からステップS7に進んだ場合の、前記制御部202による各部の制御について説明する。
ステップS7以降では、ステップS4のような「標準」コース(ステップS7)の各工程(洗い、すすぎ、脱水工程)に加えて乾燥工程(ステップS9)における処理が前記制御部202により実行される。ステップS7、ステップS8は上述のステップS4、ステップS5各々の同様である。ステップS8に続くステップS9(乾燥工程)では、洗濯された状態の洗濯物を乾燥するための処理が前記制御部202により実行される。この乾燥工程については、乾燥システム106(図2参照)の説明部分で既に詳述したとおりの内容である。前記乾燥工程の終了間際に、前記制御部202は、前記フィルタ160の目詰まりが発生しているか否かを検知(ステップS10)する。このような目詰まりは、前記乾燥経路における各箇所での乾燥空気の温度などに基づいて検知可能である。
目詰まりが検知されなかった場合(ステップ10のNO)ステップS11に進み、前記制御部202は前記乾燥工程に係る制御を終了する。ステップS11が終了するとステップS12に進む。一方、ステップS10において目詰まりが検知された場合(ステップ10のYES)、S14に進む。
ステップS12では、前記制御部202により乾燥積算時間(これまでに乾燥工程が実行された累積の時間)と予め定められた基準時間とが比較される。このような基準時間は、前記制御部202の有する前記記憶部に記憶されている。前記乾燥積算時間が前記基準時間を下回ると判別された場合(S12のYES)、ステップS13に進んで前記制御部202は電源を遮断し、制御を終了する。一方、前記制御部202により前記乾燥積算時間が前記基準時間以上であると判別された場合(S12のNO)、ステップS14に進む。
ステップS10で前記フィルタ160の目詰まりが検知された場合若しくは前記乾燥積算時間が前記基準時間を上回った場合には、送風機131による送風量が低下している可能性が高く、前記フィルタ160の目詰まりが解消されるように制御がなされるべきである。そこで、ステップS14以降では、前記制御部202は、前記フィルタ160の目詰まりの解消が行われるように、ユーザに前記「フィルタ洗浄」コースの実行を促す。即ち、ステップS14において、前記制御部202は前記操作入力部201に設けられた「槽洗浄」の表示203bを点滅させる。それと同時に、前記タイマ表示部204の表示を「0:20」にする。なお、本実施の形態において、「槽洗浄」の表示203bの点灯時は、運転コースとして「槽洗浄」コースが選択されていることを示す。本実施の形態においては、「フィルタ洗浄」コースが選択されていることを示す専用の表示部を設けていないが、適宜設けても良い。
また、ステップS14に続くステップS15では、前記制御部202は、前記ユーザによる前記操作入力部201を介した前記「フィルタ洗浄」コース確定操作(前記スタートキーk4の押圧操作など)があるまで待機を行う。また、その確定操作入力が行われた場合、前記制御部202は前記「フィルタ洗浄」コースにおける各処理を実行する。
以下、図14を用いて本発明の一実施形態に係るドラム式乾燥洗濯機Xの、前記「槽洗浄」コース及び前記「フィルタ洗浄」コースにおける動作について説明する。
前記「槽洗浄」コースは、前記水槽4の内部を洗浄するためのコースであり、図14(c)に示されるように、所定の槽クリーナ液が前記水槽4内にある状態で前記回転ドラム5を50rpm正逆方向交互に回転駆動させるコースである。前記制御部202は、この「槽洗浄」コースにおいても前記洗い工程と同様に、前記ファンモータ136の駆動制御により前記送風ファン135を回転させて、前記送風ファン135やシャフト152、前記乾燥経路などの洗浄を行う。また、前記制御部202は、前記ファンモータ136の回転駆動が行われている際に、前記循環ポンプ45も動作させる。
前記「フィルタ洗浄」コースは、前記フィルタ160に付着した異物を除去するためのコースである。即ち、前記水槽4に洗濯水(若しくは所定の槽クリーナー液など)が満たされた状態で、前記制御部202は前記モータ9を制御して、図14(b)に示されるように、前記回転ドラム5を、前記50rpmの第1の回転速度若しくは「槽洗浄」コースの回転速度または65rpmの前記第2の回転速度よりも高速である例えば100rpmの第3の回転速度にて正逆方向に交互に回転駆動を20分程度(前記タイマ表示部204による表示と同様の時間)行わせる。即ち、前記「標準」コースにおいて前記制御部202(動作速度制御手段)によって、前記回転ドラム5が第1の回転速度(本実施の形態においては50rpm)や第2の回転速度(本実施の形態においては65rpm)で回転されている時よりも、前記回転ドラム5の底部に設けられた前記ブレード170は高速で回転駆動され、前記フィルタ160に対する異物の除去性能が極めて高い状態にされる。ここで、前記制御部202は高速動作制御手段の一例である。
また、このような第3の回転速度での高速回転中には、前記制御部202は、前記「標準」コースの洗い工程やすすぎ工程と同様に、定期的に前記送風ファン135を回転駆動させ、また、同様に前記循環ポンプ45を駆動させる。このように、前記回転ドラム5が15〜20分程度回転された後、前記排水弁25が開かれ、前記洗濯水が前記水槽4より排水されて、前記「フィルタ洗浄」コースは終了となる。ここで、前記制御部202は送風ファン制御手段および循環ポンプ制御手段の一例である。
以上、本実施の形態に係るドラム式乾燥洗濯機Xによれば、前記「標準」コース他、各種洗濯コースにおいて、前記送風機131への糸くずの侵入を防止する前記フィルタ160に付着する異物の洗浄効果を高めることができる。
また、操作入力部201(入力手段、制御状態切り替え手段の一例)からの操作入力により、前記「標準」コース(動作速度制御手段により制御される第1の制御状態)、前記「槽洗浄」コース、前記「フィルタ洗浄」コース(高速動作制御手段により制御される第2の制御状態)などの選択切り替えが可能であり、前記フィルタ160に目詰まりが生じた場合などに前記フィルタ160を洗浄する「フィルタ洗浄」コースを任意に実施することができる。
また、前記水槽4内に洗濯水が満たされた状態で前記送風ファン135及び前記循環ポンプ45が運転されることにより、送風ファン135やシャフト152、その他前記乾燥経路に付着した綿埃などを除去できる。
前記洗濯機は、洗濯から乾燥までの工程を自動で行うものを例に挙げているが、工程の一部を手動で行ういわゆる半自動の洗濯機であっても、本発明は当然適用可能であることは、言うまでもない。
また、前記実施形態では、フィルタ160が洗濯機の左右方向の中心を中心として左右均等の振り分けで弧形状に形成されたものが採用されているが、これは、前記したように片側に設けた送風ファン135に対向するフィルタ160上に異物が集中してたまること基づいて、フィルタ160の面積を大きくしてフィルタ160の掃除の周期を長く保とうとするためのものである。従って、本来的にフィルタ160の目詰まりがそれほど多発しないのであれば、必ずしも前記のような広いフィルタ面積を確保する必要はなく、この場合には、例えば、図5におけるフィルタ160の右半分などをフィルタでない壁面とすることも可能である。
上述の実施形態では、操作入力部201(入力手段の一例)からの操作入力により、「標準」コース(動作速度制御手段により制御される第1の制御状態)と「フィルタ洗浄」コース(高速動作制御手段により制御される第1の制御状態)との選択切り替えが可能である例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。即ち、前記フィルタ160の目詰まりなどの検知結果に基づいて、制御部202が自動的に「標準」コースから前記「フィルタ洗浄」コースに移行させる場合も考えられる。