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JP2007035152A - 光ディスク装置および球面収差の補正方法 - Google Patents

光ディスク装置および球面収差の補正方法 Download PDF

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JP2007035152A JP2005216482A JP2005216482A JP2007035152A JP 2007035152 A JP2007035152 A JP 2007035152A JP 2005216482 A JP2005216482 A JP 2005216482A JP 2005216482 A JP2005216482 A JP 2005216482A JP 2007035152 A JP2007035152 A JP 2007035152A
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Masaaki Hanano
雅昭 花野
Tsuneo Fujiwara
恒夫 藤原
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Abstract

【課題】多層光ディスクでの層間ジャンプ時に、ジャンプ動作を一定時間で完了することができ、さらに、多層光ディスクが有する記録層に集光される微小スポットにおいて発生する球面収差の補正を動的かつ適正に行うことができる光ディスク装置を得る。
【解決手段】光ビームを多層光ディスク1上の微小スポットに収束させる第一レンズ8および第二レンズ9と、これらを駆動する第一レンズ駆動素子10およびフォーカス駆動素子11と、微小スポットの焦点位置を制御するサーボ誤差駆動制御部14と、球面収差検出信号を出力する球面収差検出部15と、球面収差検出信号に基づき球面収差を補正する球面収差駆動制御部16と、これらを制御するコントローラ部17とを備え、焦点制御が正常になる迄は、既定の標準補正量に基づき静的に球面収差を補正し、焦点制御が正常動作後は球面収差検出信号に基づき動的に補正するよう補正方法を切り替える。
【選択図】図1

Description

本発明は複数の記録層を有する多層光ディスクに情報の記録、再生を行う光ディスク装置の焦点位置制御方法に関する。
近年、デジタル機器で取り扱うデータ量が膨大となり、その膨大なデータ量に対応するために光ディスクの高密度記録への要求が高まっている。
記録密度を高めるためには、レーザ光源を短波長化し、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)をより高めることにより、光ディスク上に照射され、焦点を結ぶ光ビームのスポット径を小さくする必要がある。
ところで、一般的に光ディスクでは埃や傷から情報記録層を保護するために、情報記録層がカバー層で覆われている。つまり、対物レンズから出射された光ビームはカバー層を通過して、その下にある情報記録層上で集光されて焦点を結ぶように焦点制御が行われるが、光ビームがカバー層を通過する際に、球面収差(SA:Spherical Aberration)が発生する。
この球面収差は、カバー層の厚さおよび開口数の4乗に比例する。通常、対物レンズはこの球面収差を相殺するように設計されており、対物レンズとカバー層を通過した光ビームの球面収差は十分に小さくなっている。しかし、カバー層の厚さが予め定められた値からずれた場合には、情報記録層に集光された光ビームに球面収差が発生し、ビーム径が大きくなり情報を正しく読み書きすることができなくなる問題が生じる。
さらに、近年、複数の情報記録層を積層化して形成された多層光ディスクが提案されている。このような多層光ディスクを記録再生する光ピックアップ装置は、光ディスクの情報記録層ごとに光ビームを十分小さく集光させることが必要である。
しかしながら、光ディスクの表面から各情報記録層までの厚みがそれぞれ異なるため、光ビームがカバー層を通過する際に発生する球面収差が情報記録層ごとに異なる。従って、多層光ディスクを記録再生する場合は、情報記録層ごとに球面収差を補正する必要がある。
また、球面収差を補正した状態で、対物レンズがトラッキング動作でコリメートレンズの中心軸から偏心した場合、対物レンズの移動した方向にコマ収差が生じる。基板厚さ誤差程度の球面収差を補正する場合にはこの偏心によるコマ収差の量も小さいが、2層ディスクの記録再生にあたって層間隔分の球面収差を補正する時のように補正量が比較的大きい場合、この偏心によるコマ収差の影響が大きくなり、トラッキング動作によりスポットが劣化し、信号の記録再生に悪影響を及ぼす。
対物レンズの偏心によるコマ収差の影響を少なくするためには、光ヘッド自体が光ディスクの回転に合わせてトラッキング動作をするダブルサーボ方式を採用する必要がある。しかし、ダブルサーボ方式は光ヘッド自体を動かすため、機構系、制御系が複雑となり、コストが増大する。また可動部が大きいため高速化には不向きである。
そこで、光ヘッドに、基板厚誤差や、複数層の記録層に対して記録再生を行う際に生じる球面収差を検出、補正する機構、さらにトラッキング動作による対物レンズの偏心により生じるコマ収差も同時に検出、補正する機構を設けることにより、球面収差補正を行った際、対物レンズの偏心により生じるコマ収差が低減し、ダブルサーボが不要となり、より安価な高速化に適した高密度光ヘッドを実現する技術が、特許文献1に開示されている。
球面収差の検出と、半径方向のコマ収差の検出を同時に行い、対物レンズの偏心に伴って発生するコマ収差をリアルタイムに補正し、対物レンズの許容偏心量を拡大する。球面収差とコマ収差を同時に検出するために、反射光束の内側領域と外側領域の焦点ずれ、トラッキングずれ信号をそれぞれ検出し、その差動信号を球面収差、コマ収差信号とする。
すなわち、特許文献1では、このカバー層厚さの誤差に起因する球面収差を電気信号として検出する方法が開示されている。本方法では、光ディスクからの反射光束の中心部分と外周部分の焦点位置ずれ信号をそれぞれ個別に検出し、その作動信号を球面収差信号として検出する。
多層光ディスクに記録再生を行う光ディスク装置に関する技術としては、例えば、特許文献2に開示されている。
図8において、特許文献2に開示されている光ディスク装置での、第一の記録層から第二の記録層への焦点の移動(以下、層間ジャンプという)時のジャンプ動作における各種信号の変化の一例を示したタイミングチャートを示す。横軸は時間、縦軸は電圧をそれぞれ示す。
第一の記録層に対して焦点制御を行っているときに、層間ジャンプ命令が発せられると、これに対応した信号をトリガーとして、層間ジャンプ信号と球面収差補正信号とが変化する。層間ジャンプ信号は、それまで記録又は再生していた第一の記録層に対する焦点制御ループを脱して、焦点位置を第二の記録層へ移動させるために対物レンズの移動を開始するためのキックパルスKPと、第二の記録層に対する焦点制御ループに移行するために対物レンズの上記移動を終了させるためのブレーキパルスBPとからなる。図8に示した球面収差補正信号は、球面収差補正レンズ群を構成する負及び正のレンズ群をねじ送りなどの駆動方法で移動させる場合の信号波形である。層間ジャンプ命令に対応した信号をトリガーとして、球面収差の補正量が第一の記録層に適した補正量Aから所定の補正量Bになるまで、負レンズ群と正レンズ群の間隔を変化させるための電圧が駆動手段に印可される。
図8に示すタイミングチャートによると、上記光ディスク装置では時刻T1において制御手段から層間ジャンプの命令が出力されると、球面収差補正手段は球面収差の補正を開始する。また、ほぼ同時もしくは、球面収差の補正が完了した後、焦点位置を第一の記録層から第二の記録層に移動させるためのキックパルスKPが出力される。球面収差の補正は時刻T2で完了する。そして、焦点位置を第二の記録層に停止させるためのブレーキパルスBPが時刻T3に出力され、層間のジャンプおよび球面収差の補正動作が完了するというものである。
球面収差の補正量の変更を開始するのとほぼ同時に焦点位置の第一の記録層から第二の記録層への移動を開始することにより、層間ジャンプを短時間に行うことができるという効果を得ている。
さらに、焦点位置の第二の記録層への移動が完了する前に、球面収差の補正量の変更を終了させておくことにより、より安定に焦点制御を行うことができるという効果を得ている。
ただし、球面収差の補正量の変更に時間がかかる場合には、球面収差の補正量の変更が完了するより前に、焦点位置の第二の記録層への移動を完了させても良く、これによって、層間ジャンプにかかる時間をより短縮できるという効果を得ることができている。
特開2002−358677(2002年12月13日公開) 特開2002−157750(2002年5月31日公開)
しかしながら、上記従来の光ディスク装置では以下のような問題がある。
特許文献1に記載されている球面収差検出方法は、焦点制御が行われ記録層に光ビームの焦点が合っていることが前提であり、層間ジャンプ時など、目的とする記録層に光ビームの焦点まだ合っていない状態では、この方法を用いることはできない。ところで、記録層が複数ある多層光ディスクを記録再生する光ディスク装置では、通常、層間ジャンプ時には焦点制御を行わず、層間ジャンプ後に再び焦点制御を行うが、特許文献1に記載の球面収差の検出方法では層間ジャンプに関する手順については言及されていない。
一方、特許文献2に記載されている光ディスク装置では、層間ジャンプ時に、既定値による球面収差の補正後、焦点制御を行う。つまり、球面収差を動的に検出する機構を持たない。このため、特許文献2に記載の光ディスク装置の構成では、特許文献1に記載されているように球面収差を検出しつつその球面収差の検出量に応じた補正を行うことはできない。特許文献2では予め設定した補正量で球面収差を補正する構成としており、その補正量は一定のものである。
しかしながら、球面収差は光ディスクのカバー層の厚み誤差や、第一の記録層と第二の記録層との厚みの違い、つまり中間層の厚みの違いに起因して発生するものであるため、光ディスク全域で均一ではなく、ある程度のばらつきは許容されている。このため、特許文献2記載の光ディスク装置のように光ディスク全域で一定の補正量とするとカバー層厚みや中間層厚みの製造ばらつきに対して最適な補正が行えない。このため、ビーム径が充分絞れず、最適な記録再生が行えないことがあるという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の記録層からなる多層光ディスクにおいて、層間ジャンプ時において、ジャンプ動作をほぼ一定時間で完了することができ、さらに、光ディスクの面内で発生する球面収差の補正を動的かつ適正に行うことができる光ディスク装置を得ることである。
(1)少なくとも第一の記録層と第二の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置において、光ビームを前記多層光ディスク上の微小スポットに収束させる集光光学系と、前記微小スポットの焦点位置を制御する焦点位置制御手段と、前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差を検出し球面収差検出信号を出力する球面収差検出手段と、前記球面収差検出信号に基づいて前記球面収差を補正する球面収差補正手段と、前記微小スポットの焦点位置の移動または前記球面収差の補正の為に前記集光光学系を駆動する集光光学系駆動手段と、前記集光光学系駆動手段と前記球面収差補正手段を制御する制御手段とを備え、前記微小スポットの焦点位置を前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、前記球面収差の補正方法を、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記焦点位置制御手段による焦点制御が正常に行われていることが確認されるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法とし、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認後は、前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法とするように、前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正方法を切り替えることを特徴とする。
当該構成において、前記制御手段が層間ジャンプを行う指令を前記焦点位置制御手段と前記球面収差補正手段に発する。この指令に応じて、前記焦点位置制御手段は、前記微小スポットの焦点位置を前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動する為に、前記集光光学系駆動手段に前記集光光学系の駆動を命じ、前記集光光学系駆動手段が前記集光光学系の移動を開始する。前記球面収差補正手段は、前記第二の記録層に対応した予め設定した標準的な補正量(標準球面収差補正量)に基づく静的な補正方法により、前記集光光学系の球面収差の補正を行う為に、前記集光光学系駆動手段に前記集光光学系の駆動を命じ、前記集光光学系駆動手段が前記集光光学系の移動を開始する。前記球面収差補正手段は、前記微小スポットの焦点位置が前記第二の記録層に移動後、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認した後、前記球面収差の補正方法を前記静的な方法から、前記球面収差検出手段が前記球面収差を検出した前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法へ切り替え、前記集光光学系の球面収差の補正を行う。
上記の構成によれば、層間ジャンプ時に、前記焦点制御手段による正常な焦点制御が行われる以前、前記球面収差検出手段がまだ正しい前記球面収差検出信号を出力できていない場合であっても、前記球面収差補正手段は、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を開始する。従って、前記球面収差補正手段は、焦点制御の正常動作を待たずに、前記集光光学系の球面収差の補正を開始できる。
従って、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認してから前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正を開始する場合に比べ、焦点位置の移動と球面収差の補正を並行して行う分だけ、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間を短縮できる。
そして、焦点位置の移動に失敗し、焦点位置の移動をやり直す場合であっても、前記球面収差補正手段は、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を並行して行えるので、焦点位置の移動をやり直す時間が、そのまま球面収差の補正完了時間の遅れをもたらすということがない。
さらに、前記焦点位置制御手段による正常な焦点制御が開始されてからは、前記球面収差検出手段が、前記多層光ディスクにおいて実際に検出した前記球面収差に基づく正しい前記球面収差検出信号を出力することができる。すなわち、前記球面収差補正手段は、個々の前記多層光ディスクの状況に応じた前記球面収差検出信号に基づいて前記集光光学系の前記球面収差を動的に補正できる。また、球面収差の動的補正を開始するまでに、静的補正によってある程度球面収差を補正しているので、動的補正を微修正で済ませることができる。
このように、本発明によれば、焦点位置の移動と、集光光学系の球面収差の補正とに要する時間を全く無駄にせず、従来より時間短縮を図ることができる。
(2)本発明に係る光ディスク装置は、上記の課題を解決するために、前記焦点位置制御手段が前記微小スポットの焦点位置の移動を開始した後、前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正を開始することを特徴とする。
上記の構成によれば、球面収差の補正開始より先に前記焦点位置制御手段による前記微小スポットの焦点位置の移動が行われる。一般に、前記焦点位置制御手段による正常な焦点制御が行われている場合に限り、前記球面収差検出手段は正しい前記球面収差検出信号を出力することができる。焦点位置の移動が球面収差の補正よりも先に開始されれば、焦点位置の移動と球面収差の補正を同時に開始する場合よりも早いタイミングで前記焦点位置制御手段による正常な焦点制御が行われる。従って、前記球面収差補正手段は、焦点位置の移動と球面収差の補正を同時に開始する場合よりも早いタイミングで前記球面収差の動的な補正を行うことができる。この結果、カバー層厚みや中間層厚みの製造ばらつきに対して最適な補正が行うことができる。従って、ビーム径が充分絞ることができ、最適な記録再生が行える。
(3)本発明に係る光ディスク装置は、上記の課題を解決するために、前記焦点位置制御手段による焦点位置の移動が失敗した場合、前記球面収差補正手段による前記球面収差の補正は継続したまま、前記焦点位置制御手段が焦点位置の移動のやり直しを行うこと特徴とする。
上記の構成によれば、焦点位置の移動に失敗しても、球面収差の補正に要する時間は、通常、焦点位置の移動に要する時間に比べ長いので、前記焦点位置制御手段による焦点位置の移動のやり直しは、球面収差の補正を行っている間に完了する。従って、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間は、焦点位置の移動が失敗した場合でも、常に、球面収差の補正に必要なほぼ一定時間に保つことができる。
(4)本発明に係る光ディスク装置は、上記の課題を解決するために、層間ジャンプによる焦点位置の移動のために駆動している前記集光光学系の駆動を停止させる為に前記集光光学系駆動手段に対して前記焦点位置制御手段が駆動停止命令を発してから前記焦点位置制御手段による焦点位置の制御の正常動作が確認されるまでの期間において、前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正を開始することを特徴とする。
当該構成において、層間ジャンプによる焦点位置の移動のために駆動している前記集光光学系の駆動を停止させる為に、前記集光光学系駆動手段に対して前記焦点位置制御手段が駆動停止命令を発してから前記焦点位置制御手段による焦点位置の制御の正常動作が確認されるまでの期間において、前記球面収差補正手段が前記球面収差の静的な補正方法を開始する。
これにより、前記球面収差補正手段が前記球面収差の静的な補正方法を開始するタイミングとして、前記焦点位置制御手段が駆動停止命令を発してから、前記焦点制御手段による焦点制御が正常になると予想されるタイミングに、上記期間内で予め設定することが可能になる。このタイミングは、焦点位置の移動が正常に行われる場合に、その焦点位置の移動にどれだけの時間を要するかを予め計測することで求められる。前記タイミングは、球面収差検出信号を用いた球面収差の動的な補正をより早く開始することができ、かつ、焦点位置の移動に失敗したためにリトライ動作が行われても、層間ジャンプの一連の処理時間が変わらない点で、球面収差の静的な補正を開始する好ましいタイミングであると考えられる。
前記タイミングに、仮に前記焦点位置制御手段による焦点位置の移動が失敗し焦点制御が正常に行われていない場合でも、前記球面収差補正手段は、前記標準球面収差補正量を用いて前記球面収差の静的な補正を開始する。
これに対し、焦点位置の移動が完了し焦点制御の正常動作が確認された後、球面収差の静的な補正を行うやり方では、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動に失敗した場合には、焦点位置の移動をやり直す時間分だけ、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間が延びてしまう。しかし、上記の構成によれば、焦点位置の移動のやり直しは、前記球面収差の補正中に完了するため、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間を、球面収差の補正に必要なほぼ一定時間に保つことができる。
(5)本発明に係る球面収差の補正方法は、少なくとも第一の記録層と第二の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置が実行する球面収差の補正方法において、集光光学系を介して前記多層光ディスク上に光ビームを収束させて形成した微小スポットの焦点位置を、前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差の補正方法について、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行し、前記焦点位置の制御が正常に行われた後は、前記球面収差の検出信号に基づく動的な補正方法を実行することを特徴とする。
当該方法において、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行し、前記焦点位置の制御が正常に行われた後は、前記球面収差の検出信号に基づく動的な補正方法を実行する。
すなわち、層間ジャンプを行う指令に応じて、前記微小スポットの焦点位置を前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動する為に、まず前記集光光学系が駆動される。次に前記第二の記録層に対応した予め設定した標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法により、前記集光光学系の球面収差の補正を行う為に、前記集光光学系が駆動される。前記微小スポットの焦点位置が前記第二の記録層に移動し、焦点制御の正常動作を確認した後、前記球面収差の補正方法を前記静的な方法から、検出された前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法へ切り替え、前記集光光学系の球面収差の補正を行う。
当該方法によれば、層間ジャンプ時に、正常な焦点制御が行われる以前、まだ正しい前記球面収差が検出できていない場合であっても、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を開始する。従って、焦点制御の正常動作を待たずに、前記集光光学系の球面収差の補正を開始できる。
従って、焦点制御の正常動作を確認してから前記球面収差の補正を開始する場合に比べ、焦点位置の移動と球面収差の補正を並行して行う分だけ、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間を短縮できる。
そして、焦点位置の移動に失敗し、焦点位置の移動をやり直す場合であっても、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を並行して行えるので、焦点位置の移動をやり直す時間が、そのまま球面収差の補正完了時間の遅れをもたらすということがない。
さらに、正常な焦点制御が開始されてからは、前記多層光ディスクにおいて実際に検出した前記球面収差に基づく動的な球面収差の補正が行われる。すなわち、当該方法により、個々の前記多層光ディスクの状況に応じた前記球面収差検出信号に基づいて前記集光光学系の前記球面収差を動的に補正できる。また、球面収差の動的補正を開始するまでに、静的補正によってある程度球面収差を補正しているので、動的補正を微修正で済ませることができる。
このように、本発明によれば、焦点位置の移動と、集光光学系の球面収差の補正とに要する時間を全く無駄にせず、従来より時間短縮を図ることができる。
なお、本発明に係る球面収差の補正方法を、以下のように特定してもよい。
すなわち、少なくとも第一の記録層と第二の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置が実行する球面収差の補正方法において、
(1)集光光学系を介して前記多層光ディスク上に光ビームを収束させて形成した微小スポットの焦点位置を、前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを実行するステップと、
(2)前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われたかどうかを判定するステップと、
(3)前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われたと判定されるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行するステップと、
(4)前記焦点位置の制御が正常に行われたと判定された後は、前記球面収差の検出信号に基づく動的な補正方法を実行するステップと、
を備えていることを特徴とする球面収差の補正方法。
本発明に係る光ディスク装置は、光ビームを前記多層光ディスク上の微小スポットに収束させる集光光学系と、前記微小スポットの焦点位置を制御する焦点位置制御手段と、前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差を検出し球面収差検出信号を出力する球面収差検出手段と、前記球面収差検出信号に基づいて前記球面収差を補正する球面収差補正手段と、前記微小スポットの焦点位置の移動または前記球面収差の補正の為に前記集光光学系を駆動する集光光学系駆動手段と、前記集光光学系駆動手段と前記球面収差補正手段を制御する制御手段とを備え、前記微小スポットの焦点位置を前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、前記球面収差の補正方法を、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記焦点位置制御手段による焦点制御が正常に行われていることが確認されるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法とし、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認後は、前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法とするように、前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正方法を切り替えることを特徴とする。
上記の構成によれば、層間ジャンプ時に、前記焦点制御手段による正常な焦点制御が行われる以前、前記球面収差検出手段がまだ正しい前記球面収差検出信号を出力できていない場合であっても、前記球面収差補正手段は、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を開始する。従って、前記球面収差補正手段は、焦点制御の正常動作を待たずに、前記集光光学系の球面収差の補正を開始できる。
従って、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認してから前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正を開始する場合に比べ、焦点位置の移動と球面収差の補正を並行して行う分だけ、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間を短縮できる。
そして、焦点位置の移動に失敗し、焦点位置の移動をやり直す場合であっても、前記球面収差補正手段は、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を行える。
さらに、前記焦点位置制御手段による正常な焦点制御が開始されてからは、前記球面収差検出手段が、前記多層光ディスクにおいて実際に検出した前記球面収差に基づく正しい前記球面収差検出信号を出力する。従って、前記球面収差補正手段は、個々の前記多層光ディスクの状況に応じた前記球面収差検出信号に基づいて前記集光光学系の前記球面収差を動的に補正できる。
本発明に係る球面収差の補正方法は、集光光学系を介して前記多層光ディスク上に光ビームを収束させて形成した微小スポットの焦点位置を、前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差の補正方法について、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行し、前記焦点位置の制御が正常に行われた後は、前記球面収差の検出信号に基づく動的な補正方法を実行することを特徴とする。
当該方法によれば、層間ジャンプ時に、正常な焦点制御が行われる以前、まだ正しい前記球面収差が検出できていない場合であっても、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を開始する。従って、焦点制御の正常動作を待たずに、前記集光光学系の球面収差の補正を開始できる。
従って、焦点制御の正常動作を確認してから前記球面収差の補正を開始する場合に比べ、焦点位置の移動と球面収差の補正を並行して行う分だけ、層間ジャンプに伴う一連の動作に要する時間を短縮できる。
そして、焦点位置の移動に失敗し、焦点位置の移動をやり直す場合であっても、前記標準球面収差補正量に基づく静的な補正方法を用いて球面収差の補正を並行して行えるので、焦点位置の移動をやり直す時間が、そのまま球面収差の補正完了時間の遅れをもたらすということがない。
さらに、正常な焦点制御が開始されてからは、前記多層光ディスクにおいて実際に検出した前記球面収差に基づく動的な球面収差の補正が行われる。すなわち、当該方法により、個々の前記多層光ディスクの状況に応じた前記球面収差検出信号に基づいて前記集光光学系の前記球面収差を動的に補正できる。また、球面収差の動的補正を開始するまでに、静的補正によってある程度球面収差を補正しているので、動的補正を微修正で済ませることができる。
このように、本発明によれば、焦点位置の移動と、集光光学系の球面収差の補正とに要する時間を全く無駄にせず、従来より時間短縮を図ることができる。
本発明の特徴は、焦点制御が適正に行われている場合にのみ球面収差を正確に検出できる球面収差検出手段を用いて層間ジャンプを行う際に、焦点制御が正常に行われるタイミングまで球面収差の補正開始を待つのではなく、制御手段に予め設定された所定の時間が経過すると、焦点位置の移動が完了するであろうタイミングに達したと制御手段が判断し、球面収差の補正を開始する点にある。以下で詳細を説明する。
[第一の実施形態]
<第一の実施形態の概要>
本実施形態の光ディスク装置は、多層光ディスクに光ビームを微小スポットとして集光し、多層光ディスクに対する情報の記録または再生を行うときに、光ビームを集光する集光光学系の構成要素であるレンズが、球面収差補正の為の移動を完了するであろう時刻までに、微小スポットの焦点位置の移動が完了し、焦点制御が正常に動作していれば、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動や球面収差の補正動作に対して何ら不都合を及ぼさない点から考案されたものである。つまり、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動を行った後、焦点制御の正常動作を確認する前、焦点位置の移動が完了するであろうタイミングで、球面収差の補正を始めるものである。
本発明の一実施形態について図1から図4に基づいて説明すると、以下の通りである。
<第一の実施形態のブロック図について>
図1において、本実施形態の光ディスク装置の構成例を示す。多層光ディスク1は、複数の記録層から構成される光ディスクであり、スピンドルモータ2に装填されて回転する。
光ピックアップ3は、多層光ディスク1にレーザービーム光(以下、単にレーザ光と呼ぶ)を照射して情報の記録または再生を行う。上記光ピックアップ3は、光源である半導体レーザ素子4、ホログラム素子5、コリメータレンズ6、立ち上げミラー7、第一レンズ8、第二レンズ9、第一レンズ駆動素子10(集光光学系駆動手段)、フォーカス駆動素子11(集光光学系駆動手段)、図示しないトラッキング駆動素子、受光素子12等から構成される。
次に、光ピックアップ3の制御系として、本発明に関係するフォーカス制御系および球面収差制御系の構成を説明する。フォーカス制御系は、後述するサーボ誤差検出部13(焦点位置制御手段)およびフォーカス駆動制御部14(焦点位置制御手段)を備えている。また、球面収差制御系は、後述する球面収差検出部15(球面収差検出手段)および球面収差駆動制御部16(球面収差検出手段)を備えている。なお、フォーカス駆動制御部14および球面収差駆動制御部16には、コントローラ部17(制御手段)からの指令が入力される。
この光ピックアップ3の動作は以下の通りである。まず半導体レーザ素子4から出射されたレーザ光は、ホログラム素子5を通過後、コリメータレンズ6にて平行光となる。平行光となったレーザ光の光路は、立ち上げミラー7にて多層光ディスク1の方向に変更される。そして、第一レンズ8および第二レンズ9の二枚のレンズで構成される対物レンズによって、レーザ光は集光され、多層光ディスク1上に焦点を結び、微小スポットが形成される。なお、この第一レンズ8と第二レンズ9の間隔を変更することで、球面収差が補正できる。第一レンズ駆動素子10は、この球面収差補正のために設けられたものであり、DCモータやステッピングモータとギヤなどとから構成される。第一レンズ駆動素子10は、球面収差駆動制御部16からの信号に基づき第一レンズ8を駆動して、第一レンズ8と第二レンズ9との間隔を変更する。また、フォーカス駆動素子11は、フォーカス駆動制御部14からの信号に基づき第二レンズ9を駆動することにより、第二レンズ9と多層光ディスク1との距離を変更し、上記微小スポットの焦点位置を多層光ディスク1上の所望の記録層に一致させる。
このようにして、多層光ディスク1の所望の記録層に集光されたレーザ光は、記録層にて反射する。この反射光は、上記の光路を逆方向に進行し、ホログラム素子5に入射する。このホログラム素子5には、例えば前述した特許文献1に記載されているようなパターンが形成されている。反射光は、このホログラム素子5にて回折され、受光素子12にて受光される。受光素子12は、受光した反射光を光電変換し、多層光ディスク1の記録層の情報を再生信号として出力する。受光素子12は、検出した再生信号を、サーボ誤差検出部13および球面収差検出部15に出力する。
サーボ誤差検出部13は、受光素子12からの入力に対し演算を行い、例えばナイフエッジ法または非点収差法等により、フォーカス誤差信号を検出する一方、例えばプッシュプル法または位相差法等により、トラッキング誤差信号を検出する。サーボ誤差検出部13で検出したフォーカス誤差信号はフォーカス駆動制御部14に出力され、フォーカス駆動制御部14にて位相補償が施される。フォーカス駆動制御部14は、位相補償されたフォーカス誤差信号により、フォーカス駆動素子11を駆動することで、微小スポットの焦点位置を所望の記録層に一致するように焦点制御を行う。同様に、サーボ誤差検出部13で検出されたトラッキング誤差信号は、図示しないトラッキング駆動制御部に出力される。図示しないトラッキング駆動制御部は、位相補償を施した後、多層光ディスク1上で所望の記録層の、所望のトラックにレーザ光の焦点が位置するようにトラッキング制御を行う。
球面収差検出部15は、受光素子12から出力された再生信号を受け付ける。球面収差検出部15は、特許文献1記載の球面収差検出信号の検出方法と同様の演算を行い、球面収差検出信号を検出し、球面収差駆動制御部16に出力する。球面収差駆動制御部16は、球面収差検出信号を受け付け、第一レンズ駆動素子10を駆動することで球面収差を補正する。
コントローラ部17は、複数の記録層間で(第一・第二の記録層の登場の仕方がいきなりですね)微小スポットの焦点位置を移動させる層間ジャンプ(請求項で用いた用語の定義付けを忘れないこと)の際に、フォーカス駆動制御部14に層間ジャンプ指令を、また、球面収差駆動制御部16に層間ジャンプに応じた球面収差補正指令を出力する。また、サーボ誤差検出部13は、層間ジャンプの成否を検出し、その成否情報をコントローラ部17に出力する。コントローラ部17は、その成否情報に基づき、層間ジャンプが失敗したと判断したとき(方法クレームの別表現を意識して記載)には、サーボ引き込み直し指令をフォーカス駆動制御部14に出力する。層間ジャンプ指令またはサーボ引き込み直し指令を受けたフォーカス駆動制御部14は、焦点制御が正常に行われているかどうかを示す焦点制御OK信号を球面収差駆動制御部16に対し出力する。また、球面収差補正指令を受けた球面収差駆動制御部16は、層間ジャンプの際に球面収差の補正を行うにあたり、フォーカス駆動制御部14から受け付けた焦点制御OK信号に基づき、既定値による静的補正と球面収差検出部15から受け付けた球面収差検出信号による動的補正とを切り替える。この静的補正および動的補正の切り替えについては、後で詳述する。
なお、球面収差検出部15が球面収差検出信号を検出する為に用いる演算方法は、特許文献1に記載の演算方法に限定されない。
<第一の実施形態におけるフローチャートについて>
続いて、コンローラ部17が層間ジャンプ指令を出力した場合の層間ジャンプおよび層間ジャンプに伴う球面収差の補正に関し、本実施形態における光ディスク装置の動作を、図2に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、多層光ディスク1が有する複数の記録層の内、層間ジャンプの対象となる2つの記録層に着目し、それぞれを第一の記録層および第二の記録層と呼ぶことにする。
まず、コントローラ部17が、第一の記録層から第二の記録層へ上記焦点位置を移動させる為に、層間ジャンプ指令をフォーカス駆動制御部14および球面収差駆動制御部16に出力する(ステップ1、以下S1と略す)。
次に、フォーカス駆動制御部14は、層間ジャンプ指令を受けると、層間ジャンプの準備作業として、焦点制御を停止する(S2)。
次に、フォーカス駆動制御部14は、フォーカス駆動素子11に対して、焦点位置の移動を開始させるための加速パルス(キックパルス)KPを出力する(S3)。
次に、フォーカス駆動制御部14は、焦点位置が第二の記録層付近に移動した時点で、フォーカス駆動素子11に対して減速パルス(ブレーキパルス)BPを出力し、第二レンズ9の移動を適切な位置で停止させる(S4)。
なお、S4の後、焦点制御の再開(下記S5)と層間ジャンプに伴う球面収差の補正動作(下記S8)とを同時に開始するが、以下ではまず焦点制御の処理の流れを説明した後、層間ジャンプに伴う球面収差の補正動作に関する処理の流れを説明する。
次に、減速パルスBPの出力完了後、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を再開する(S5)。
次に、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を再開後、焦点制御が正常に行えているかどうかを判断する(S6)。層間ジャンプ先の記録面からの反射光量が所定レベルを超えている場合、焦点制御が正常に行えていると判断し、焦点制御OK信号を球面収差駆動制御部16に出力する。
次に、焦点制御再開後、上記反射光量が所定のレベルに達していないなどの理由により焦点制御が異常であるとフォーカス駆動制御部14が判断した場合、コントローラ部17は、例えば、再び焦点位置を第一の記録層に戻し層間ジャンプをやり直す、もしくは、層間ジャンプ先の第二の記録層に焦点位置が合うように焦点制御(サーボ)を引き込み直す等のリトライ動作を繰り返す(S7)。
次に、上記S4での減速パルスBPの出力完了後、球面収差駆動制御部16は、予め設定された標準球面収差補正量に基づいて、第一レンズ駆動素子10を駆動し、球面収差の静的な補正動作を開始する(S8)。
なお、上記S5の焦点制御の開始時点では、まだ正常な焦点制御が行われている状態ではないので、球面収差を正確に反映する球面収差検出信号は検出できていない。しかしながら、コントローラ部17は、層間ジャンプ先の記録面に焦点位置を概ね合わせる為の移動方向と移動量とを予め把握しているので、第一レンズ8をどちらの方向にどれだけ移動させるかを、第一レンズ駆動素子10に対し指示できる。このため、正常な焦点制御が行われていない上記S5の焦点制御の開始時点であっても、第一レンズ駆動素子10の駆動を開始することができる。
次に、層間ジャンプに伴う球面収差の補正動作に関する処理の流れを説明する。
S4の後、球面収差駆動制御部16は、フォーカス駆動制御部14からの焦点制御OK信号を待つ。この焦点制御OK信号を受け取った時点で、球面収差駆動制御部16は、球面収差の補正方法を、予め定められた所定値(標準球面収差補正量)による静的補正から球面収差検出信号に応じて第一レンズ8を駆動する動的補正に切り替える(S9)。
このように、球面収差の補正方法を静的な補正方法から動的な補正方法に切り替えるのは、焦点制御が正常である場合、球面収差検出部15から出力される球面収差検出信号は実際の球面収差を反映した信号となっているため、この球面収差検出信号に基づいて球面収差の適切な動的補正が行えるからである。
最後に、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出部15から出力される球面収差検出信号が所定のレベルに収まっているか判定を行う。上記信号が所定のレベルに収まっている場合、層間ジャンプに伴う球面収差の補正が完了する。従って層間ジャンプに伴う一連の動作が完了する(S10)。
なお、説明の便宜上、S10では、球面収差検出信号に対して所定のレベルを設定し、検出される球面収差がこの所定のレベルに収まっている場合、層間ジャンプに伴う球面収差の補正が完了すると記述している。しかし、所定のレベルに収まっているとして、球面収差の補正動作を終了させるのではなく、常に球面収差の補正を行い続けるような構成としても構わないことは言うまでもない。あるいは、層間ジャンプに伴う球面収差の補正動作の完了後でも、球面収差検出信号が所定レベルを超えた場合は、再び球面収差の動的補正を行うような構成としてもよい。これらの構成とすることで、多層光ディスク1の面内各所のカバー層厚みや記録層間の厚みの違いで生じる球面収差に対して、常に正確な補正を行うことが可能となる。
また、球面収差駆動制御部16が、第一レンズ駆動素子10の駆動による球面収差の補正動作を開始(上記S8の開始)するタイミングは、コントローラ部17が層間ジャンプ指令を球面収差駆動制御部16に出力(上記S1)した直後でも良いが、フォーカス駆動制御部14が減速パルスBPを出力し、第二レンズ9の移動を適切な位置で停止(S4)させた後である方が、より好ましい。なぜなら、第一に、このタイミングは、微小スポットの焦点位置が第一の記録層から第二の記録層に移動し終わるときに近いため、球面収差の補正動作を行っても無駄にならないタイミングだからである。第二に、このタイミングは、球面収差検出信号を用いて球面収差の動的な補正を行うことができ、かつ、その動的な補正の間に焦点制御が失敗したためにリトライ動作が行われても、トータルの処理時間が変わらない最良のポイントと考えられるからである。
<層間ジャンプに伴う焦点位置移動および球面収差補正のタイミングについて>
上記S1からS6までの処理、すなわち、焦点位置を移動させ、焦点制御が正常に行えているか判断するまでに要する時間は、通常、数ミリ秒から十数ミリ秒程度である。
一方、球面収差を補正するために行う、第一レンズ8と第二レンズ9との間隔の調整は微細に行う必要があり、DCモータやステッピングモータを動力源として,第一レンズ駆動素子10を小刻みに駆動する必要がある。さらに、第一レンズ8の方が第二レンズ9よりも重量があるため、第二レンズ9の移動よりも時間がかかる。通常、第一レンズ8を所望の記録層に応じた位置に移動させるには、数十ミリ秒から数百ミリ秒程度かかる。
このように、球面収差の補正を行う為の第一レンズ8の移動に要する時間に比較して、焦点位置の移動を行う為の第二レンズ9の移動に要する時間は非常に短い。そのため、たとえ焦点位置の移動(層間ジャンプ)に失敗しても、その後、第一レンズ8の移動に要する時間内で複数回、焦点位置の移動のリトライを行う時間的余裕がある。
しかしながら、従来、層間ジャンプを行った後、焦点制御が正常であると確認できてから、球面収差の補正を行うことが通常であった。つまり、層間ジャンプに失敗すれば焦点位置の移動のリトライ動作を行う必要があるが、そのリトライ動作が終了し、焦点制御が正常であると確認されるまで球面収差の補正は開始されない。
このため、層間ジャンプの一連の動作が完了するまでの所要時間は一定ではなく、上記のリトライ動作が発生した場合は、その分だけ層間ジャンプに要する一連の動作の所要時間が長くなっていた。
しかし、第一レンズ8が球面収差補正の為の移動を完了するであろう時刻までに、焦点位置の移動が完了し、焦点制御が正常に動作していれば、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動や球面収差の補正動作に対して何ら不都合を及ぼさない。
そこで、本実施形態の光ディスク装置は、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動を行った後、焦点制御の正常動作を確認する前に、層間ジャンプに伴う球面収差の補正を始める。
このため層間ジャンプに伴う焦点位置の移動および球面収差の補正を行う一連の動作に要する時間は、焦点位置の移動の失敗によるリトライ動作時間を考慮する必要はなく、単に焦点位置移動のための加速パルスKPおよび減速パルスBPを出力する時間と、第一レンズ8の移動に要する時間との合計とすることができる。通常、第一レンズ8の移動に要する時間は、数回のリトライ動作に要する時間よりも長いので、変動せず一定である。
<層間ジャンプのタイミングチャートについて>
コントローラ部17により層間ジャンプ指令が出力されてから、所望の記録層に焦点位置が制御され、さらに層間ジャンプに伴う球面収差の補正が完了するまでの一連の動作について、図3に示すタイミングチャートを用いて詳細に説明を行う。
図3のタイミングチャートでは、時刻T1の時点でコントローラ部17が、層間ジャンプ指令の出力を完了したことを表している。コントローラ部17から層間ジャンプ指令を受けたフォーカス駆動制御部14は、焦点位置を第一の記録層から第二の記録層に移動させるため、時刻T1において、まず焦点制御を停止する。そして、同時に加速パルスKPを出力し、フォーカス駆動素子11により第二レンズ9の移動を開始する。
焦点位置が第二の記録層付近に移動した時点で、フォーカス駆動制御部14は、減速パルスBPを出力する。時刻T2の時点で、フォーカス駆動制御部14は、減速パルスBPの出力を完了し、焦点制御を再開する。つまり、フォーカス駆動制御部14は、サーボ誤差検出部13からの入力信号であるフォーカス誤差信号に応じてフォーカス駆動素子11を駆動制御することで、焦点位置制御を行う。また、時刻T2において、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ駆動素子10を駆動して層間ジャンプに伴う球面収差の補正を開始する。
なお、この時刻T2の時点では、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を正常に行えていない状態である。従って、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ駆動素子10を駆動するにあたり、球面収差検出部15により検出された球面収差検出信号に応じて行うのではなく、予め設定してある第二の記録層における標準的な球面収差の補正量(標準球面収差補正量)を目標値として、第一レンズ8の駆動を開始する。
この標準球面収差補正量は、標準的な光ディスク規格に基づき球面収差駆動制御部16に予め設定しておくか、あるいは多層光ディスク1が本光ディスク装置に装填された時点で、コントローラ部17が各記録層への層間ジャンプを行い、球面収差駆動制御部16に各記録層に固有の球面収差補正量を予め学習させておくとよい。
時刻T3において、フォーカス駆動制御部14は、多層光ディスク1からの反射光量が所定のレベルに達している場合、焦点制御が正常に行えていると判断する。この判断は、時刻T2で焦点制御を開始した時点で行ってもよいが、焦点制御を開始してから所定の時間が経過し焦点制御が落ち着いた後で行う方がより正確な判定が行える為、好ましい。時刻T3において、焦点制御が正常に行えていると判断された場合、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出部15から出力される球面収差検出信号も正しい球面収差量を反映していると判断できる。従って、球面収差駆動制御部16は、この時刻T3において、第一レンズ駆動素子10を駆動する制御を、上記標準球面収差補正量による静的な補正動作から、球面収差検出部15から出力される実際の球面収差検出信号に基づく動的な補正動作へ切り替える。
時刻T4において、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出信号が所定の範囲内に収まることで、層間ジャンプに伴う球面収差の補正は完了したと判断し、第一レンズ8の駆動を停止する。これにより、層間ジャンプに伴う一連の動作である、焦点位置の移動および球面収差の補正が完了する。ここで、上記の方法による層間ジャンプでは、層間ジャンプ指令が出力されてから一連の動作が完了するまでに要する時間はT4−T1であり、T1を原点とすると、要する時間はT4である。
<層間ジャンプ失敗時のタイミングチャートについて>
続いて、層間ジャンプに失敗した場合の動作について、図4に示すタイミングチャートを用いて詳細に説明を行う。
図4に示すタイミングチャートでは、図3に示す層間ジャンプ成功時のタイミングチャートと同様に、時刻T1において、コントローラ部17が、層間ジャンプ指令の出力を完了する。同時に、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を停止し、加速パルスKPを出力する。
時刻T2において、フォーカス駆動制御部14は、減速パルスBPの出力を完了し、焦点制御を再開する。同時に、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ駆動素子10を駆動して層間ジャンプに伴う球面収差の補正を開始する。
しかし、時刻T3において、フォーカス駆動制御部14は、多層光ディスク1からの反射光量が所定のレベルに達していないので、焦点制御が正常に行えていないと判断する。
そして、時刻T3’において、コントローラ部17は、再び層間ジャンプ指令(ジャンプリトライ指令)をフォーカス駆動制御部14に出力する。時刻T3’においては、球面収差駆動制御部16は、既に球面収差の補正動作を開始しているため、この層間ジャンプ指令(ジャンプリトライ指令)を無視して、標準球面収差補正量を目標値とした第一レンズ8の駆動を継続する。一方、フォーカス駆動制御部14は、一度、焦点位置を第一の記録層に戻した後、再び加速パルスKP、減速パルスBPを出力することにより、層間ジャンプ先の所望の記録層に焦点位置があうように制御を行う。なお、一度焦点位置を第一の記録層に戻すにあたり、コントローラ部17が層間ジャンプ指令を発し、フォーカス駆動制御部14が、加速パルスKPと減速パルスBPを出力するが、この処理に関する指令や信号は本タイミングチャート上には図示していない。
そして、フォーカス駆動制御部14は、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動のリトライ動作を行った後、時刻T3”において、再び、多層光ディスク1からの反射光量が所定のレベルに到達しているか判断する。図4に示すタイミングチャートでは、時刻T3”において、焦点制御が正常に動作していると判断された場合を示している。この時刻T3”以降は、焦点制御が正常に行われているため、球面収差検出部15は正しく球面収差を検出し、適切な球面収差検出信号を出力している。そこで、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ8の駆動をこの球面収差検出信号に応じて行うように、球面収差の補正制御方法を静的制御から動的制御へ切り替える。
これら動作の後、時刻T4にて、球面収差の補正が完了し、層間ジャンプに伴う焦点移動と球面収差補正の一連の動作を完了する。
ここで、通常、球面収差を補正するために第一レンズ8を駆動するのに要する時間に比較して、焦点位置を移動するために第二レンズ9を駆動するのに要する時間は、非常に短時間である。そのため、球面収差駆動制御部16が第一レンズ8を駆動中に、フォーカス駆動制御部14は焦点位置制御のリトライ動作を完了できる。従って、焦点位置の移動に失敗し、そのリトライ動作を行った場合でも、層間ジャンプの動作に要する合計時間は、図3に示す層間ジャンプ成功時のタイミングチャートの場合と同じである。すなわち、一連の動作が完了するまでに要する時間は(T4−T1)であり、T1を原点とすると、要する時間はT4である。
<第一の実施例における効果>
以上、本実施形態における光ディスク装置においては、層間ジャンプに失敗しても、層間ジャンプに伴う一連の動作にかかる時間は増加せず一定であるという効果がある。
さらに、焦点制御が正常に行えていることが確認できてからは、多層光ディスク1からの反射光を受光して得られる球面収差検出信号に基づいて、球面収差の補正を行うことができるため、常に多層光ディスク1に最適な球面収差の補正を行うことができるという効果がある。
<補足事項>
なお、本実施形態においては、球面収差の補正方法として、第一レンズ8と第二レンズ9との間隔を調整することで補正している。しかし、対物レンズを1枚にし、また、光路中に球面収差を補正できるような素子、例えば液晶素子のような光学部品を挿入することで球面収差を補正してもよい。この場合、第一レンズ8を駆動するのではなく、液晶素子等の光学素子に印加する電圧等を制御して球面収差を補正するが、この印加電圧を変更するタイミングを先の第一レンズ8の駆動を開始するタイミングとすることで、同様の効果を得ることができる。
[第二の実施形態]
<第二の実施形態の概要>
球面収差の補正は、可能な限り検出した球面収差検出信号に基づいて行うのが望ましい。そこで、本実施例では、予め設定した標準球面収差補正量を用いて静的な球面収差の補正動作を行うのではなく、最初から球面収差検出信号を用いて動的な球面収差の補正動作を行う。その為には、焦点制御が正常になるまで所定時間待つ必要があるので、その待機時間を設けている。但し、その待機時間を利用した焦点位置の移動に失敗した場合は、そのリトライ動作の完了を待てないので、標準球面収差補正量を用いて球面収差の静的な補正動作を開始する。すなわち、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、焦点制御が成功したかどうかの成否確認を開始した後、焦点制御の正常動作が確認されるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行し、焦点制御の正常動作を確認後は、前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法を実行する。
本発明の第二の実施形態について、図5から図7を用いて以下に説明する。
なお、本実施形態における光ディスク装置の構成は第一の実施形態と同一であるため、構成に関する説明は省略する。
<第二の実施形態におけるフローチャートについて>
以下、図5に示すフローチャートを用いて、本実施形態における光ディスク装置の層間ジャンプの一連の動作を、詳細に説明する。
まず、コントローラ部17が、第一の記録層から第二の記録層へと焦点位置を移動させるように層間ジャンプ指令をフォーカス駆動制御部14および球面収差駆動制御部16に出力する(S101)。
フォーカス駆動制御部14は、層間ジャンプ指令を受けると、第一の記録層から第二の記録層へ焦点位置を移動させるため、焦点制御を停止する(S102)。
続いて,フォーカス駆動制御部14は、フォーカス駆動素子11に対して焦点位置を移動させるための加速パルスKPを出力する(S103)。
そして、フォーカス駆動制御部14は、焦点位置が第二の記録層付近に移動した時点で減速パルスBPを出力して第二レンズ9を停止させる(ステップS104)。
フォーカス駆動制御部14は、減速パルスBPの出力完了後、焦点制御を再開する(S105)。
そして、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を開始して正常に動作するのに必要である時間待機する(ステップS106)。この所定時間は、数ミリ秒程度あれば良い。
この所定時間待機後、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御が正常に行えているか判別する(S107)。
ここで焦点制御が正常に行えていない場合、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出部15からの球面収差検出信号に基づいて球面収差の補正動作を行えないため、標準球面収差補正量に基づいて第一レンズ駆動素子の駆動を開始する(S108)。
また、フォーカス駆動制御部14は、焦点位置移動のリトライ動作を行う(S109)。
リトライ動作後、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御が正常に行えているか、再度判別を行う(S110)。焦点制御が正常に行えている場合は、次のS111に進み、焦点制御が正常に行えていない場合は、前のS109に戻りリトライ動作を繰り返す。
S107またはS110において焦点制御が正常に動作していると判断された場合、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出部15からの球面収差検出信号に基づいて球面収差の補正動作を行える。そこで、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ8の駆動をこの球面収差検出信号に応じて行うように、球面収差の補正制御方法を静的制御から動的制御へ切り替える(S111)。
球面収差駆動制御部16は、球面収差検出部15からの球面収差検出信号が所定のレベルに収まっているか判断する。所定のレベルに収まっていない場合、球面収差駆動制御部16は、前のS111に戻り球面収差検出信号に基づいて球面収差の補正動作を繰り返す。所定のレベルに収まっている場合、球面収差駆動制御部16は、層間ジャンプに伴う球面収差の補正動作を終了する(S112)。
ここで、球面収差駆動制御部16は、S108において、第一の実施形態の場合と異なり、減速パルスBP出力完了後、すぐに標準球面収差補正量を目標とした球面収差の補正動作を開始するのではなく、所定時間経過した後に開始する。このため、所定時間経過後、焦点制御が正常に行えていると判定できた場合には、標準球面収差補正量を用いず、最初から球面収差検出部15からの球面収差検出信号に応じて動的な球面収差の補正を行うことができるという効果がある。
一方、所定時間経過後に、まだ焦点制御が正常に行われていない場合は、第一の実施形態の場合と同様に、予め設定している標準球面収差補正量を基に、球面収差の静的補正を開始する。
<層間ジャンプのタイミングチャートについて>
図6および図7において、本実施形態における、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動および球面収差の補正の一連の動作を説明したタイミングチャートを示す。
図6に示すタイミングチャートでは、時刻T1において、コントローラ部17が、第一の記録層から第二の記録層への層間ジャンプ指令の出力を完了したことを表している。コントローラ部17からの層間ジャンプ指令を受けたフォーカス駆動制御部14は焦点位置を第一の記録層から第二の記録層に移動させるため、まず焦点制御を停止し、フォーカス駆動素子11に加速パルスKPを出力し第二レンズ9の移動を開始する。
そして、フォーカス駆動制御部14は、焦点位置が第二の記録層付近に移動した時点で減速パルスBPを出力する。
減速パルスBPの出力が完了した時点である時刻T2において、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御を再開する。つまり、サーボ誤差検出部13からの入力であるフォーカス誤差信号に応じてフォーカス駆動素子11を駆動制御することで、焦点位置制御を行う。
時刻T2から所定時間(ΔTとする)経過後の時刻T3において、フォーカス駆動制御部14は、焦点制御が正常であるかを判定する。同時に、時刻T3において、球面収差駆動制御部16は、球面収差の補正を開始する。この時点で、焦点制御が正常であるので、球面収差駆動制御部16は、最初から球面収差検出信号に応じて動的な球面収差の補正を行う。
そして、時刻T4’において、球面収差駆動制御部16は、球面収差が所定レベルに収まったとして、一連の動作を終了する。
ここで、上記の方法によると層間ジャンプ指令が出力されてから一連の動作が完了するまでに要する時間は、T1を原点とすると、第一の実施形態よりもΔTだけ長いT4’となる。
このΔTは、球面収差の補正に要する時間(数十ミリ秒から数百ミリ秒程度)に比較して非常に短い時間(数ミリ秒程度)であるので、全体からするとわずかな時間である。層間ジャンプに要する時間がわずかな時間だけ増加する一方、球面収差の補正動作に関しては、最初から球面収差検出信号を元に動的な球面収差の補正を行うことができるという効果がある。
<層間ジャンプ失敗時のタイミングチャートについて>
図7において、層間ジャンプに失敗した場合の動作のタイミングチャートを示す。
図7のタイミングチャートでは、図6のタイミングチャートの場合と同様に、時刻T1において、コントローラ部17が、層間ジャンプ指令の出力を完了する。
そして、時刻T2において、フォーカス駆動制御部14からの減速パルスの出力が完了した時点で、球面収差補正のために球面収差駆動制御部16が、第一レンズ8の駆動を開始する。
そして、所定時間であるΔT経過後の時刻T3において、球面収差駆動制御部16は、球面収差の補正を開始する。しかし今回は、焦点制御が正常に行えていないため、動的な球面収差の補正はまだ行えない。従って、第二の記録層に対して標準球面収差補正量を目標値として、第一レンズ8の駆動を開始する。
時刻T3において、多層光ディスク1からの反射光量が所定レベルに達していないので、焦点制御は正常に動作していないと判断されたため、コントローラ部17は、時刻T3’に再び層間ジャンプ指令(ジャンプリトライ指令)を出力する。
そして、フォーカス駆動制御部14は、再び加速パルスKP、減速パルスBPを出力し、所望の記録層に焦点位置があうように制御を行う。そして、リトライ動作を行った後、時刻T3”において、多層光ディスク1からの反射光量が所定のレベルに到達しているか、再び判断を行う。
図7のタイミングチャートでは、時刻T3”において、リトライ後焦点制御が正常に動作していると判断された場合を示している。この時刻時刻T3”以降は、焦点制御が正常であり、球面収差検出部15は正常に球面収差を検出し球面収差検出信号を出力している。従って、球面収差駆動制御部16は、第一レンズ8の駆動を、標準球面収差補正量を用いた静的な補正からこの球面収差検出信号に基づいて行う動的な補正へ切り替える。
この後、時刻T4’において、球面収差駆動制御部16は、球面収差検出信号が所定のレベルに収まったと判断し、層間ジャンプに伴う球面収差の補正を完了させる。これで層間ジャンプに伴う一連の動作が完了する。
このように、フォーカス駆動制御部14による焦点位置移動のリトライ動作は、球面収差駆動制御部16が層間ジャンプに伴う球面収差の補正を行っている間に行われる。通常、このリトライ動作に要する時間は非常に短時間(数ミリ秒から数十ミリ秒)であるため、球面収差の補正動作中に完了することができる。そのため、焦点位置の移動に失敗し、リトライ動作を行った場合でも、実際に層間ジャンプの一連の動作に要する時間は、図6に示すタイミングチャートの場合と同様に、T1を原点とすると、T4’となる。
<第二の実施例における効果>
以上のように、本実施形態における光ディスク装置では、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動に失敗しても、層間ジャンプの一連の動作にかかる合計時間は増加することがなく一定であるという効果がある。
さらに、焦点制御が正常に行えていることが確認できてからは、多層光ディスク1からの反射光を受光して得られる球面収差検出信号に基づいて球面収差の補正を行うことができるため、常に多層光ディスク1に最適な球面収差の補正を行うことができるという効果がある。
<補足説明>
なお、本実施形態においては、第一の実施形態の場合と同様、球面収差を第一レンズ8と第二レンズ9の間隔を調整することで補正しているが、対物レンズを1枚に減らして、光路中に球面収差を補正できるような素子、例えば液晶素子のような光学部品を挿入することで球面収差を補正してもよい。この場合、第一レンズ8を駆動するのではなく、液晶素子等の光学素子に印加する電圧等を制御して球面収差を補正するが、この印加電圧を変更するタイミングを、上記の第一レンズ8の駆動を開始するタイミングとすることで同様の効果を得ることができることは、第一の実施形態の場合と同様である。
<実施例における効果>
本実施形態の光ディスク装置は、層間ジャンプに伴う焦点位置の移動を行った後、焦点制御の正常動作を確認する前に、層間ジャンプに伴う球面収差の補正を始める。
このため層間ジャンプに伴う焦点位置の移動および球面収差の補正を行う一連の動作に要する時間は、焦点位置の移動の失敗によるリトライ動作時間を考慮する必要はなく、単に焦点位置移動のための加速パルスKPおよび減速パルスBPを出力する時間と、第一レンズ8の移動に要する時間との合計とすることができる。通常、この時間は変動せず一定である。
そのため、本実施形態の光ディスク装置を備えた機器を開発する場合など、開発者は、層間ジャンプに要する時間として、一定の時間を見積もればよく、層間ジャンプに要する時間が変動するという前提でシステムを調整する手間が省けるという効果がある。
また、焦点位置の移動完了後球面収差の補正を開始する場合に比べ、層間ジャンプに要する時間が短縮できるという効果がある。
さらに、球面収差の補正を多層光ディスク1からの反射光から検出した実際の球面収差検出信号に応じて動的に行えるため、常に正確な球面収差の補正ができるという効果がある。
<実施例に関する補足事項>
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の光ディスク装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射される光ビームを受け光ディスク上へ微小スポットに収束させる対物レンズを含む集光光学系と、前記光ディスクで反射した光ビームを受け光量に応じて電気信号を出力する光検出器と、前記集光光学系の球面収差を検出する球面収差検出手段と、前記検出信号に応じて球面収差検出信号を補正する光学系とを有する光ピックアップと、前記光ディスクを回転するモータと、前記光ピックアップから得られる信号を受けるとともに、前記レーザ光源と前記対物レンズと前記収差補正光学系と前記モータとを制御及び駆動する制御回路とを具備し、少なくとも第1の記録層と第2の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生もしくは再生のみを行う光ディスク装置であって、前記微小スポットの焦点位置の前記第1の記録層から前記第2の記録層への移動を開始させた後、前記球面収差の補正量の変更を開始することを特徴とする構成とすることもできる。
本発明の光ディスク装置は、前記球面収差の補正量の変更を開始するタイミングは、前記微小スポットの焦点位置が第1の記録層から第2の記録層へ移動したことを確認する前であることを特徴とする構成とすることもできる。
本発明の光ディスク装置は、前記微小スポットの焦点位置が第1の記録層から第2の記録層へ移動が失敗した場合、前記球面収差の補正量の変更は継続したまま、微小スポットの焦点位置の制御をやり直すことを特徴とする構成とすることもできる。
本発明の光ディスク装置は、前記球面収差検出信号は前記微小スポットの焦点位置が記録層に制御されている場合に適正な検出信号を出力することを特徴とする構成とすることもできる。
本発明の光ディスク装置は、前記球面収差の補正量は前記微小スポットの焦点位置が第1の記録層から第2の記録層に移動したことを確認するまでは予め設定しておく標準的な第2の記録層の補正量を目標値とし、微小スポットの焦点位置が第2の記録層に移動したことを確認してからは球面収差検出信号を補正量の目標値とすることを特徴とする構成とすることもできる。
本発明に係る光ディスク装置は、複数の記録層を有する光ディスクにおいて層間ジャンプを行う際に正確な球面収差の補正を行う方法を実現したものである。従って、複数の記録層を有する光ディスクの記録または再生を行う装置、特にDVD−ROM、DVD±R、DVD±RW、次世代DVD等の光ディスク記録/再生装置に適用できる。
本発明における光ディスク装置の主要部を示した構成図である。 第一の実施形態における層間ジャンプの一連の動作を説明するフローチャートである。 第一の実施形態における層間ジャンプの一連の動作を説明するタイミングチャートである。 第一の実施形態における層間ジャンプの一連の動作において、焦点位置の移動に失敗した際のリトライ動作を説明するタイミングチャートである。 第二の実施形態における層間ジャンプの一連の動作を説明するフローチャートである。 第二の実施形態における層間ジャンプの一連の動作を説明するタイミングチャートである。 第二の実施形態における層間ジャンプの一連の動作において、焦点位置の移動に失敗した際のリトライ動作を説明するタイミングチャートである。 従来例における光ディスク装置の層間ジャンプの一連の動作を説明するタイミングチャートである。
符号の説明
1 多層光ディスク
2 スピンドルモータ
3 光ピックアップ
4 半導体レーザ素子
5 ホログラム素子
6 コリメータレンズ
7 立ち上げミラー
8 第一レンズ(集光光学系)
9 第二レンズ(集光光学系)
10 第一レンズ駆動素子(集光光学系駆動手段)
11 フォーカス駆動素子(集光光学系駆動手段)
12 受光素子
13 サーボ誤差検出部(焦点位置制御手段)
14 サーボ誤差駆動制御部(焦点位置制御手段)
15 球面収差検出部(球面収差検出手段)
16 球面収差駆動制御部(球面収差補正手段)
17 コントローラ部(制御手段)

Claims (5)

  1. 少なくとも第一の記録層と第二の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置において、
    光ビームを前記多層光ディスク上の微小スポットに収束させる集光光学系と、
    前記微小スポットの焦点位置を制御する焦点位置制御手段と、
    前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差を検出し球面収差検出信号を出力する球面収差検出手段と、
    前記球面収差検出信号に基づいて前記球面収差を補正する球面収差補正手段と、
    前記微小スポットの焦点位置の移動または前記球面収差の補正の為に前記集光光学系を駆動する集光光学系駆動手段と、
    前記集光光学系駆動手段と前記球面収差補正手段を制御する制御手段と
    を備え、
    前記微小スポットの焦点位置を前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、
    前記球面収差の補正方法を、前記微小スポットの焦点位置が前記第一の記録層から前記第二の記録層に移動後、前記焦点位置制御手段による焦点制御が正常に行われていることが確認されるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法とし、前記焦点位置制御手段による焦点制御の正常動作を確認後は、前記球面収差検出信号に基づく動的な補正方法とするように、
    前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正方法を切り替えることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記焦点位置制御手段が前記微小スポットの焦点位置の移動を開始した後、前記球面収差補正手段が前記球面収差の補正を開始することを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記焦点位置制御手段による焦点位置の移動が失敗した場合、前記球面収差補正手段による前記球面収差の補正は継続したまま、前記焦点位置制御手段が焦点位置の移動のやり直しを行うこと特徴とする、請求項2に記載の光ディスク装置。
  4. 層間ジャンプによる焦点位置の移動のために駆動している前記集光光学系の駆動を停止させる為に前記集光光学系駆動手段に対して前記焦点位置制御手段が駆動停止命令を発してから前記焦点位置制御手段による焦点位置の制御の正常動作が確認されるまでの期間において、前記球面収差補正手段が前記球面収差の静的な補正方法を開始することを特徴とする、請求項2に記載の光ディスク装置。
  5. 少なくとも第一の記録層と第二の記録層とを備えた多層光ディスクに対して情報の記録又は再生を行う光ディスク装置が実行する球面収差の補正方法において、
    集光光学系を介して前記多層光ディスク上に光ビームを収束させて形成した微小スポットの焦点位置を、前記第一の記録層から前記第二の記録層に変更する層間ジャンプを行う際に、
    前記集光光学系または前記多層光ディスクの少なくとも一方に起因した球面収差の補正方法について、層間ジャンプ後、前記微小スポットの焦点位置の制御が正常に行われるまでは、第二の記録層に対応して予め設定した標準的な補正量に基づく静的な補正方法を実行し、前記焦点位置の制御が正常に行われた後は、前記球面収差の検出信号に基づく動的な補正方法を実行することを特徴とする球面収差の補正方法。
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