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JP2006512308A - 糖尿病関連及び/又は動脈低治癒性創傷の治療及び/又は予防のための、α−1−アンチキモトリプシン(antichymotrypsin)ポリペプチドまたはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(antitrypsin)ポリペプチドまたはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用 - Google Patents

糖尿病関連及び/又は動脈低治癒性創傷の治療及び/又は予防のための、α−1−アンチキモトリプシン(antichymotrypsin)ポリペプチドまたはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(antitrypsin)ポリペプチドまたはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用 Download PDF

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JP2006512308A
JP2006512308A JP2004547564A JP2004547564A JP2006512308A JP 2006512308 A JP2006512308 A JP 2006512308A JP 2004547564 A JP2004547564 A JP 2004547564A JP 2004547564 A JP2004547564 A JP 2004547564A JP 2006512308 A JP2006512308 A JP 2006512308A
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polypeptide
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aat
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JP2004547564A
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ジューン−ペーター ハレ、
アンドレアス ゴッペルト、
Original Assignee
スイッチ バイオテック アーゲー
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Abstract

本発明は、α−1−アンチキモトリプシン(ACT)ポリペプチド、その機能的変異体及び/又はそれをコードしている核酸の、またはACTポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(AAT)ポリペプチド、その機能的変異体またはそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用に関する。

Description

本発明は、α−1−アンチキモトリプシン(ACT)ポリペプチド、その機能的変異体及び/又はそれをコードしている核酸の、またはACTポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(AAT)ポリペプチド、その機能的変異体またはそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用に関する。
健康患者における皮膚創傷は、通常、合併症無しに治癒する。しかしながら、組織の完全な治癒を達成するためには、皮膚の細胞組成における多くの時間的かつ空間的変化が必要である。このプロセスは2年まで続くことがあり非胎児組織中では常に瘢痕形成を伴う。これは、皮膚における創傷治癒プロセスのかなりの複雑性を意味する。創傷治癒プロセス中、異なる時間的かつ空間的重複相:すなわち、凝固、炎症、増殖及び再構築(remodel)を識別することができる(The Physiology of Wound Healing、1998,Oxford Institute for Continuing Education)。凝固中、血小板は凝集し、成長及び凝固因子を放出する。線維素マトリクスが形成され、すなわち、細胞が創傷部中に遊走可能になる。創傷の約5〜7日後、種々の細胞型、特に炎症反応の媒介物質を放出する好中性顆粒球及び単球が創傷部中に遊走することにより炎症反応が引き起こされる。増殖相中、血管が修復され、創傷組織が再生され、再生組織が再構築される。増殖相中のプロセスは、特に、血管新生、線維芽細胞増殖及び、ケラチノサイトの増殖及び分化による再上皮形成を含む。線維芽細胞は、PDGFやTGF−βのような幾つかの成長因子を放出し、それにより、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン及びコラーゲンのような細胞外マトリクス(ECM)成分の合成及び析出が制御される。
組織の再編成中、ECM成分、特に、コラーゲンが再配列される。コラーゲンが連続的に分解され新しく合成される結果、再上皮形成された創傷部が成熟し、扁平瘢痕が2年以内に形成される。この場合もやはり、組織を調和的に再構成するのに、多数の成長因子及び化学的誘引物質が必要である。すなわち、インターロイキン1、TNF−β及びインターフェロンγが、ECM成分の分泌に影響を与える。TGF−β、PDGF及びFGFも、再構築に必須である。
しかしながら、破壊された構造の再構成に貢献するプロセスに加えて、蛋白分解プロセスも創傷治癒に重要である。蛋白分解プロセスは、細胞破片の除去及び線維素マトリクスのような中間構造体の分解に関与する。すなわち、創傷部の端部において多くのプロテアーゼが活性である(Martin et al.,1997,Science,276:75−81)。例えば、プラスミノーゲンがプラスミノーゲン活性化剤により活性化され、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化剤がケラチノサイトの遊走において上方制御され、その前方に配された線維素マトリクスを分解できるようになる。このことは、プラスミノーゲンノックアウトマウスが実質的に再上皮形成を示さないという観察に一致する。メタロプロテイナーゼ(MMP)も重要な役割を果たす。MMP9(ゼラチナーゼB)、MMP1(間質性コラゲナーゼ)及びMMP10(ストロメリシン−2)が、種々の時点において活性化され、異なる基質特異性により特徴付けられる。好中性顆粒球及び単球(マクロファージ)もプロテイナーゼを分泌する(Dorne et al.,1999,Wound Rep.Reg.7:433−441;Shapiro et al.,J.Rheumatol.Suppl.,1991,27:95−98)。単球は、細胞内セリンプロテアーゼであるエラスターゼ及びカテプシンGを含み、少量のメタロプロテイナーゼを分泌する。すなわち、単核食細胞の分化において、カテプシンGの発現が抑制され、コラゲナーゼの発現が遅延する。成熟マクロファージにおいて、刺激に続いてメタロプロテイナーゼの発現が強力に誘発されることが観察された(Shapiro et al.,J.Rheumatol.Suppl.,1991,27:95−98)。
慢性創傷に関しては、マトリクスメタロプロテイナーゼに特に関心の的が注がれた。すなわち、慢性創傷の浸出液において見られるコラーゲン分解活性の量は、手術創傷部または切開皮膚創傷部の浸出液において見られるものと比べて著しく増加する(Yager et al.,1996,J.Invest.Dermatol.107:743−748)。例えば、種々の検討により、MMP−1の量が慢性創傷部において著しく増加すること、MMP−1が慢性創傷部の浸出液において優勢なコラゲナーゼであることの証拠が得られた(Vaalamo et al.,1997,J.Invest.Dermatol,109:96−101;Nwomeh et al.,1999,J.Surg.Res.,81:189−195)。慢性創傷部においてMMP8もより強力に発現される(Yager et al.,1996,J.Invest.Dermatol.107:743−748;Nwomeh et al.,1999,J.Surg.Res.,81:189−195)。間質性コラゲナーゼクラスに属するMMPに加えて、他のMMP、すなわち、ゼラチナーゼMMP2及びMMP9及びストロメライシンMMP3、MMP10及びMMP11が、慢性創傷部中に増加量で存在することが示された(Nagase及びWoessner,1999,J.Biol.Chem,274;21491−21494)。セリンプロテアーゼ活性、すなわち、エラスターゼ活性が慢性創傷部中に存在し、この活性が線維素及びフィブロネクチンを分解すると仮定された(Palolahti et al.,1993,Exp.Dermatol.,2:29−37;Rao et al.,1995,J.Invest.Dermatol.105:572−578;Grinnell及びZhu,1996,J.Invest.Dermatol.106:335−341;Herrick et al.,1997,Lab.Invest.77:281−288)。
もう一つのセリンプロテアーゼであるカテプシンGが、慢性床ずれにおける肉芽組織において検出された(Rogers et al.,1995;Wound Rep.Reg,3:273−283)。これに対して、静脈の足壊疽において増加量のカテプシンGを観察することはできなかった(Weckroth et al.,1996,J.Invest.Dermatol.,106:1119−1124)。これらの明らかに矛盾する結果は、「慢性皮膚創傷」という用語が、異なる病因背景を有する異なる疾病を完全に網羅していることを示す。通常、糖尿病性潰瘍、静脈潰瘍、動脈潰瘍及び床ずれは識別される。床ずれは、非常に深い創傷であり、組織の壊死、感染及び浸軟を伴う。これらは、所定の皮膚領域への長期の加圧により形成される。これに対して、静脈潰瘍は、むしろ表面的であり、静脈鬱血により引き起こされ、一方、動脈潰瘍は、動脈閉塞疾患により頻繁に引き起こされる。一方、糖尿病性潰瘍は、糖尿病患者においてしばしば生じる潰瘍である。多数の糖尿病関連合併症のうち、糖尿病の晩期合併症は、頻繁な感染、栄養障害及びリポイド類壊死のような皮膚における特徴的変化も含む。これらの変化が発達して、多くの場合微小血管障害の結果として、低治癒性潰瘍になる。これらの疾患の疫学的重要性が、以下の調査発見事項を考慮すると、明らかである:II型糖尿病を被っている患者の25%が、しばしば、慢性潰瘍(「糖尿病脚」)を発現し、その約半分が、入念な入院による治療を必要とする。それにも拘わらず、これらの潰瘍は、結局治癒性が低い。糖尿病脚は、糖尿病に拘わるいずれの合併症よりも入院率が高い。I型及びII型糖尿病に拘わるこれらの症例の数は増加しており、全ての入院患者の約2.5%を占める。
阻害された過度に強力な蛋白分解活性が、慢性創傷における低治癒の原因であると仮定された(Yager et al.,1999,Wound Rep.Reg.,7:433−441)。正常治癒性創傷においては、広範囲のプロテアーゼ阻害剤により蛋白分解活性と抗蛋白分解活性との間の平衡が提供される。この理論は、メタロプロテイナーゼ阻害剤TIMP−1、非特異的プロテアーゼ阻害剤α2−マクログロブリン及びエラスターゼ阻害剤α1−プロテアーゼ阻害剤のような慢性創傷部中のプロテアーゼ阻害剤の量の低下の観察により支持される(Yager et al.,1997,Wound Rep.Reg,5:23−32;Grinnell et al.,J.Invest.Dermatol.,110;771−776;Bullen et al.,J.Invest.Dermatol.,104;236−240;Rao et al.,1995;J.Invest.Dermatol.,105:572−578;Grinnell及びZhu,1996,J.Invest.Dermatol.106:335−341)。この欠乏により、これらのプロテアーゼ阻害剤に関して不完全な「抗プロテアーゼ遮蔽」が起こり得ると考えられる。その結果、コラーゲンの代謝がその合成より速い。これらの結果は、他の研究により確認される(Nwomeh et al.,1999,J.Invest.Dermatol.,81:189−195;Vaalamo et al.,1996,Br.J.Dermatol,135;52−59;Witte et al.,1998,Surgery 124:464−470)。すなわち、外因性プロテアーゼ阻害剤を投与することにより、それぞれ低下または欠如するプロテアーゼ阻害剤の発現を、高めるまたは誘発することにより抗プロテアーゼ遮蔽を増加させる指摘がなされた。この仮定に基づいて多数のメタロプロテイナーゼの阻害剤が開発された(WO200073295;US6166084;WO200105397;WO200063165;WO200046189;WO200044723;DE19851184;US6071903;EP−1004578;EP−949246;WO9858925;EP−878467)が、そのいずれも、慢性皮膚創傷の治療を意図しプロテアーゼ−抗プロテアーゼ平衡に介在する薬剤として認可されていない。さらに、現在までの研究は、「慢性潰瘍」という用語下に分類されている種々の疾患の間を識別していなかった。この理由のため、研究の結果を創傷治癒プロセス中に他の障害へと容易に転換することができない。すなわち、今まで、慢性創傷治癒障害のための効果的治療はなかった。達成された治療形式は、創傷治癒の物理的支持(例えば、ドレッシング、圧迫ガーゼ及びゲル)に限定され、壊死組織の擦過除去に限定され、皮膚組織、培養皮膚組織及び/又はマトリクス蛋白の移植に限定される。近年、成長因子なしで創傷治癒を向上させる一方で、決定的なやり方で従来の治療を向上できる可能性に関して、成長因子を検証してきた。
II型糖尿病患者の数が世界的に著しく増加していること、及び動脈潰瘍を被っている患者の数が多いことを考慮すると、低治癒性糖尿病関連創傷及び低治癒性動脈創傷の治療を著しく向上させる新規活性化合物の需要が大きい。従って、本発明の目的は、低治癒性糖尿病関連創傷及び低治癒性動脈創傷の治療を著しく向上させる新規活性及び安定治療組成物を発見することであった。
ACTポリペプチドの活性は、静脈潰瘍のみならず正常治癒性創傷におけるACTの活性の観察された増加と比較して、低治癒性糖尿病創傷において選択的に減少することが発見された。また、ACTは、非糖尿病生物と比べて糖尿病生物を治療するのに特に適していると分かった。しかしながら、創傷の環境はポリペプチドに対して極めて侵襲的である。すなわち、創傷中に多量に存在するエラスターゼによりACTが特に不活化され得る(実施例2を参照)。エラスターゼによる蛋白分解不活性化及び/又は劣化に対してACTを保護するために、ACTポリペプチド及び/又はそれをコードしている核酸、またはACTポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸を、AATポリペプチド及び/又はそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸と組み合わせて用いて、哺乳動物における糖尿病関連創傷及び/又は動脈低治癒性創傷を治療及び/又は防止することができる。一つの好ましい実施形態において、この組み合わせは、単一のACT/AATハイブリッドポリペプチドにより達成され、このポリペプチドはエラスターゼとキモトリプシンの両方の阻害機能を有し、配列番号9(SEQ ID No.9)によるLex032ポリペプチドが特に好ましい。そのようなハイブリッドポリペプチドは、例えば、WO95/27055で知られており、成熟蛋白の位置358におけるアミノ酸がメチオニン、イソロイシン、バリン、アラニン、アスパラギン酸、スレオニン及びグルタミン酸に突然変異されているACTポリペプチドを含む。成熟ヒトACTのアミノ酸356−361がIle−Pro−XXX−Ser−Ile−Pro(ここで、XXXは、メチオニン、トリプトファン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン及びバリンからなる群より選択される)で置換されているようなポリペプチドも開示されている。特に、成熟ヒトACTのアミノ酸356−361がIle−Pro−Met−Ser−Ile−Proで置換されているポリペプチドLex032が、エラスターゼ及びキモトリプシンの両方の阻害において効果的であると分かった。
本発明の脈絡の中で実施された実施例1は、健康動物の治療と比較して、糖尿病哺乳動物の低治癒性創傷及び低治癒性動脈創傷の治療へのACTの特異的効果を示している。実施例2は、ACTポリペプチドが糖尿病患者の慢性創傷液において豊富であるが、急性創傷または慢性静脈創傷からの創傷液と比べて、活性ACTの割合が極めて低いことを示している。これらの発見は、驚くべきことに、AATと組み合わされたACTが、糖尿病関連創傷及び/又は動脈低治癒性創傷の治療及び予防に特に適しているという概念を支持している。好ましい実施形態において、糖尿病関連創傷は慢性糖尿病創傷である。特に好ましい実施形態において、糖尿病関連創傷は糖尿病潰瘍である。特に好ましい実施形態において、創傷は糖尿病潰瘍または動脈潰瘍であり、最も好ましくは糖尿病潰瘍である。
ACTは、カテプシンGの主な既知の内因性プロテアーゼ阻害剤である。ヒトにおいては、多形性が特にシグナルペプチド配列に記載されている一つのACT遺伝子が、知られている(Rubin,1989,データベース登録)。シグナルペプチドを有するヒトACTポリペプチド配列の配列が配列番号6(SEQ ID No.6)に示されている。シグナルペプチドを有しない成熟ヒトACTポリペプチド配列の配列が配列番号7(SEQ ID No.7)に示されている(Lindmark et al.,Biochim.Biophys.Acta 997:90−95(1989)。もう一つの生体内で優勢な成熟ACTポリペプチドの配列が配列番号10に示されている。両方の成熟ACTポリペプチドが、シグナルペプチドの開裂により得られる。配列番号7及び10によるACTポリペプチドと比べてACT活性を示すACTポリペプチドは、例えば酵母中での組換え発現により得ることができると共に配列番号7及び配列番号10(SEQ ID No.10)による成熟ACTポリペプチドの配列が続くN−末端メチオニンにより特徴付けられる配列番号11(SEQ ID No.11)および配列番号12(SEQ ID No.12)によるポリペプチドである。そのようなN−末端延長、例えば、発現及び/又は精製を容易にするために導入することができるメチオニン延長は、ACT活性に影響を与えない。配列番号6をコードしている、ヒトACT核酸コード配列の配列が、配列番号8(SEQ ID No.8)に示されている。げっ歯類の場合、ACTに相同の多数の遺伝子の証拠があり、マウスセリンプロテアーゼ阻害剤2−2(spi2−2)(配列番号1(SEQ ID No.1))は、反応中心、組織分布及び炎症に続く誘発性について一致が著しいので、ヒトACT遺伝子への機能的相同体である(Inglis et al.,1991,Gene 106:213−220)。spi2−2のコード配列が配列番号2(SEQ ID No.2)に示されている。げっ歯類セリンプロテアーゼ阻害剤2−2ファミリーの他のメンバーは、ラットのspi2−2及びspi3及びヨーロッパモリネズミ(Adodemus sylvaticus)(Inglis et al.,前述参照)からのspi2−2相同体である。
α−1−アンチトリプシン(AAT)は、好中球エラスターゼの主要な天然阻害剤であり、それにより、エラスターゼによる蛋白分解劣化及び不活性化からACTを保護する。AATの種々の対立遺伝子が存在し、最も頻繁に発生する対立遺伝子を配列番号3(SEQ ID No.3)に示す。シグナルペプチドの一部を欠く成熟ポリペプチドの配列を配列番号4(SEQ ID No.4)に示す。成熟AATポリペプチドの配列を配列番号14(SEQ ID No.14)に示す。配列番号4及び14によるAATポリペプチドに匹敵するAAT活性を示すACTポリペプチドは、例えば酵母中での組換え発現により得ることができると共に配列番号4及び配列番号14による成熟AATポリペプチドの配列が続くN−末端メチオニンにより特徴付けられる配列番号13(SEQ ID No.13)および配列番号15(SEQ ID No.15)によるポリペプチドである。そのようなN−末端延長、例えば、発現及び/又は精製を容易にするために導入することができるメチオニン延長は、AAT活性に影響を与えない。配列番号3によるAATポリペプチドのためのコード配列が、配列番号5(SEQ ID No.5)に示されている。AATの主要な生理学的機能は、ヒト白血球エラスターゼによる破壊に対する下部呼吸器管の保護である。AATの遺伝的欠損は、慢性閉塞性疾患を進行させる20〜30倍増加した危険性に関与する。皮膚創傷において、ヒト好中球エラスターゼの阻害剤としてのその機能が顕著である。創傷治癒におけるAATの役割が、文献に記載されている(例えば、Rao et al.,1995,J.Invest.Dermatol.105:572−578);しかしながら、糖尿病関連創傷及び/又は動脈創傷の治療のためにAATと組み合わせたACTの特異的適合性は未だ指摘されていない。
ACTは肥満細胞中のチマーゼを阻害することも示され、その理由で、ACTが、アレルギー反応について記載されている(Lindmark and Wallengren,Allergy,1992,47:456−458)。さらに、乾癬病変におけるチマーゼ及びその阻害剤ACTの役割が検討された。しかしながら、結果は、チマーゼが、乾癬の病理機構において劣った役割しか果たさないこと(Harvima et al.,1999,Acta Derm.Veneorol,79:98−104)、及び乾癬患者の非創傷皮膚におけるキモトリプシン阻害活性の水準が変化しないこと(Glinski et al.,1991,Arch.Dermatol.Res.,283:224−229)を示している。EP0432117によれば、ACTを、「皮膚炎症」、「熱傷」及び「皮膚症状(dermatological condition)」の治療に用いることができる。しかしながら、EP0432117は、「皮膚症状」の意味を説明していない。「皮膚炎症」は、機械的に損なわれた皮膚、すなわち、創傷と異なる、または創傷治癒中に失われる組織を回復するプロセスにおける劣化と異なる、乾癬または皮膚炎のような皮膚の炎症性疾患を意味する。従って、EP0432117に用いられる「皮膚炎症」は、本発明による低治癒性動脈創傷または低治癒性糖尿病関連創傷を含まない皮膚の病理症状を示す。同じ特徴により、EP0432117に用いられる「皮膚症状」は、本発明による創傷を含まず:「皮膚症状」という用語は、本質的内部プロセスから生じる皮膚の疾患の徴候を表す水疱、嚢胞、班のような疾患皮膚の症状を意味する。創傷は、一方、体外から加わる機械的力により引き起こされる。
Lex032(配列番号9)は、単一ポリペプチド鎖におけるACTとAATとの組み合わせとして、カテプシンG及びエラスターゼの両方に作用し、膵炎の処理において用いられる(von Dobschuetz et al.,1999,J.Pharmacol.Exp.Ther,290:782−8)。Lex032は、前述の他のニ作用性変異体保有のエラスターゼ阻害及びカテプシンG阻害特性と同様に、炎症性疾患、例えば、慢性創傷及び乾癬の処理のために開示されている(WO95/27055)。しかしながら、糖尿病関連創傷の治療及び/又は予防のための特異的適合性は、現在までの従来技術に記載または予想されていなかった。
これらを合わせると、酵素ACT及びAATは以前から生物学的技術において知られており医療的観点から入念に検討されてきたが、糖尿病関連創傷及び動脈創傷を治療及び/又は予防するためのAATと組み合わせたACTの特異的適合性は未だ記載されていなかった。また、糖尿病関連創傷及び動脈創傷を治療及び/又は予防するための、エラスターゼ及びキモトリプシンの両方の阻害機能を有する単一ポリペプチド(例えば、Lex032)を用いるACTとAATとの組み合わせは、未だ記載されていなかった。本発明は、初めて、多数の異なる可能な創傷のうち、二つの低治癒性創傷、すなわち、糖尿病関連潰瘍及び動脈潰瘍が、予想外に、当業者により考えられなかったAATと組み合わせたACTによる有効な治療のための最高のチャンスを有することを示す。
本発明の目的は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷の治療及び/又は予防のための、α−1−アンチキモトリプシン(ACT)ポリペプチド、その機能的変異体及び/又はそれをコードしている核酸の、またはACTポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(AAT)ポリペプチド、その機能的変異体またはそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用により解決される。
特に、本発明は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷から選択される疾患を処理及び/又は防止するための、配列番号1、配列番号6、配列番号7、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択される配列を有するACTポリペプチド、またはその機能的変異体またはそれをコードしている核酸の、配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を有するAATポリペプチド、またはその機能的変異体またはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用に関する。
好ましい実施形態において、本発明は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷から選択される疾患を処理及び/又は防止するための、配列番号7、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択される配列を有するACTポリペプチドの、配列番号4、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を有するAATポリペプチドと組み合わせた使用に関する。
もう一つの好ましい実施形態において、本発明は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷から選択される疾患を処理及び/又は防止するための、最初の二つのアミノ酸(His−Pro)の一または二が欠損している及び/又はN−末端延長、好ましくは、N−末端メチオニン延長を有する、配列番号9によるポリペプチドまたはその機能的変異体の使用に関する。
「機能的変異体」という用語は、本発明により用いることができるそれぞれACTポリペプチドまたはAATポリペプチドの変異体であって、それぞれ野生型ACTポリペプチド及びAATポリペプチドに類似のカテプシンGまたは好中球エラスターゼに関するプロテアーゼ阻害特異性を有する変異体を意味すると解される。「機能的変異体」は、単一ポリペプチド鎖上において、天然ACTポリペプチド及びAATポリペプチドの両方に類似のエラスターゼ及びカテプシンGの両方の阻害作用を有するACTまたはAAT変異体も含み、そのような機能的変異体及びこれらをコードする核酸は、本発明によるACT及びAATの組み合わせである。例えば、ACTまたはAATポリペプチドの機能的変異体は、配列番号1,配列番号3,配列番号4,配列番号6,配列番号7,配列番号9,配列番号10,配列番号11,配列番号12,配列番号13,配列番号14及び配列番号15の一つと少なくとも約70%、特に少なくとも約80%、特に少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有し、前述のプロテアーゼ阻害活性を有する。このポリペプチドの機能的変異体は、本発明により用いられるポリペプチドの一部でもあり得、天然ACTまたはAATポリペプチドと比べて、それぞれ類似のプロテアーゼ阻害活性を示す。例えば、最初のアミノ酸、すなわちメチオニンが、ポリペプチド中で欠損することがあり得、ポリペプチドの機能は著しく変化しない。また、前述のように、N−末端メチオニンを、ACTまたはAATポリペプチドまたはその機能的変異体に付加することができ、例えば、ポリペプチドの機能が著しく変化することなくメチオニンを成熟ACTまたはAATポリペプチドのN−末端に付加することができる。プロテアーゼ阻害特異性が、それぞれの野生型ポリペプチドのそれと比べて本質的に変化しないで維持されるなら、約1〜60、好ましくは約1〜30、特に約1〜15、特に約1〜5の範囲のアミノ酸からなるポリペプチドのN−及び/又はC−末端及び/又は内部欠損も含まれる。ACTまたはAATポリペプチドのN末端においてシグナルペプチドまたはその一部に影響を与える欠損が特に好ましく、例えば、配列番号10の成熟ACTポリペプチドの配列が続くシグナルペプチドの最後の4つのアミノ酸を有するACTポリペプチドが、全ACT活性を維持することが示された(US5,367,064)。配列番号6のACTポリペプチドのシグナルペプチドの全てまたは一部が欠損していることを特徴とするACTポリペプチド、特に、配列番号7及び配列番号10のACTポリペプチドが特に好ましい。さらなるN−末端メチオニンを有するACTポリペプチド、特に配列番号11及び配列番号12のACTポリペプチドも、本発明による好ましいACTポリペプチドである。配列番号3のAATポリペプチドのシグナルペプチドの全てまたは一部が欠損していることを特徴とするAATポリペプチド、特に、配列番号4及び配列番号14のAATポリペプチドが特に好ましい。さらなる付加されたN−末端メチオニンを有するAATポリペプチド、特に配列番号13及び配列番号15のAATポリペプチドも、本発明による好ましいAATポリペプチドである。
野生型ポリペプチドと比べてそのプロテアーゼ阻害特異性が大きく変化しないそのような変異体の他の例として、本発明により用いられるポリペプチドと相同性であると共に、特に、ヒトまたはマウス以外の生物から、好ましくは、サル、ブタ及びラットのような非ヒト哺乳動物から誘導されるポリペプチドがある。ポリペプチドの他の例は、異なる個体または異なる器官における異なる対立遺伝子によりコードされると共に、野生型ポリペプチドと比較したときに、生物中の野生型ポリペプチドと比べて著しく変化するプロテアーゼ阻害特異性を示さない。例えば、幾つかのAAT対立遺伝子が存在することが知られている。さらに、天然状態で存在するポリペプチド鎖の翻訳後修飾または共翻訳修飾を欠損または改変することができる。特に、共有結合糖残基を欠損または改変することができ、活性も同様である。例えば、ヒトACTを大腸菌内で非糖付加状態で生成することができ、特異的酵素的活性がなお維持される(例えば、US5,079,336)。同様に、ACT及びAAT及びそれらの機能的変異体を細菌または酵母菌株内で生成して非糖付加機能的変異体を得ることができる。この場合、本発明で用いることができるポリペプチドの組換え生成を、成熟型のためのコード化配列及び発現開始のためのN−末端メチオニンを発現することにより行うことができる。N−末端メチオニンを有するそのようなポリペプチドが、本発明による好ましいACT及びAATポリペプチドである。
好ましい機能的変異体は、シグナルペプチドまたはその一部が欠失しているACT及びAATポリペプチドであり、例えば、配列番号4または配列番号14のポリペプチドと配列番号7または配列番号10との組み合わせが、本発明の使用に特に好ましい。さらに、好ましい機能的変異体は、N−末端延長、好ましくはメチオニン延長を有するACT及びAATポリペプチドであり、より好ましくは、シグナルペプチドまたはその一部が欠失しているACTまたはAATポリペプチドへのN−末端延長を有する。ACT及びAATポリペプチドのそのような機能的変異体を組み合わせることができ、例えば、全てのシグナルペプチドが欠失しているACTポリペプチド、例えば、配列番号10のACTポリペプチドを、全てのシグナルペプチドが欠失され次にN−末端メチオニンが付加されたAATポリペプチド、例えば、配列番号15のAATポリペプチドと組み合わせることができる。配列番号4、配列番号13、配列番号14及び配列番号15のポリペプチドを含む群より選択されるポリペプチドと、配列番号7、配列番号10、配列番号11及び配列番号12のポリペプチドを含む群より選択されるポリペプチドとの組み合わせが、本発明による使用に特に好ましい。
同様に、本発明による好ましいポリペプチドは、配列番号9の最初の二つのアミノ酸(すなわち、His−Pro)が欠損している、及び/又は、N−末端メチオニンがそこに付加されている、配列番号9のポリペプチドLex032の機能的変異体である。そのようなポリペプチドは、本発明により使用することができる好ましいポリペプチドである。
さらに、本発明により用いることができるACT及びAATは、糖付加、部分的糖付加または非糖付加とし得る。好ましい実施形態において、ACT及びAATポリペプチドは糖付加されていない。そのようなACT及びAATポリペプチドは、例えば、細菌または酵母菌株中での組換え発現により得ることができる。もう一つの好ましい実施形態において、ACT及びAATポリペプチドは糖付加されている。そのようなACT及びAATポリペプチドは、哺乳動物組織からの単離により、または哺乳動物細胞中での組換え発現により得ることができる。
本発明による「シグナルペプチド」は、ACTまたはAATポリペプチドのN−末端部分と解すべきであり、発現中における哺乳動物細胞からの輸出に必要であり、哺乳動物細胞からの輸出中に結果的に除去され、それにより、蛋白の成熟型が放出される。ACTの場合、配列番号6のACTポリペプチドのアミノ酸1〜23及び1〜25を含む二つの異なるシグナルペプチドが存在し、対応する成熟ACTポリペプチドは、配列番号7及び配列番号10のポリペプチドである。AATの場合、配列番号3のAATポリペプチドのアミノ酸1〜24を含む一つのシグナルペプチドが確認され、対応する成熟AATポリペプチドは配列番号14のポリペプチドである。
「コード化核酸」または「・・をコードする核酸」(ACTまたはAATポリペプチド)という用語は、RNAまたはDNA配列を示し、これは本発明により用いることができるACTまたはAATポリペプチド、またはその機能的変異体もしくはその前駆体段階、例えば、プロポリペプチドまたはプレプロポリペプチドをコードする。ポリペプチドは、ポリペプチドが機能的変異体である限り、コード化配列の全長配列または任意の部分によりコードすることができる。
「変異体」という用語は、本発明により用いられるポリペプチド、特に、配列番号1,配列番号3,配列番号4,配列番号6,配列番号7,配列番号9,配列番号10,配列番号11,配列番号12,配列番号13,配列番号14または配列番号15のポリペプチドまたはそれらの機能的変異体をコードすると共に、参照配列と少なくとも約70%、特に少なくとも約80%、特に少なくとも約90%の配列同一性を示す、DNA配列(参照配列)に相補的な全てのDNA配列を意味する。「変異体」という用語は、さらに、参照配列に相補的であると共に、緊縮条件下に参照配列にハイブリッド形成し、参照配列によりコードされるポリペプチドと同じ活性を本質的に示す全てのDNA配列、及びそれらの分解型も意味する。本発明により用いることができる核酸の配列中に、例えば機能的変異体の特性が失われることなく、小さな変化が存在することができ、これらの変化が、遺伝子コードの変化によりまたは、核酸の5’末端及び/又は3’末端に付加された非翻訳配列により引き起こされ得ることが知られている。従って、本発明は、先に記載した核酸の所謂「変異体」も含む。
「緊縮ハイブリッド条件」という用語は、特に、例えば2.5×SSC緩衝液中で60℃でハイブリッド形成が起こり、続いて、より低い緩衝液濃度において37℃で複数の洗浄工程が行われる条件を意味すると解すべきである。
配列同一性は、二つの配列の同一性の度合い(同一性%)と解され、ポリペプチドの場合、例えば、BlastP2.0.1により決めることができ、核酸の場合、例えば、フィルターが取り除かれBLOSUMが62であるBLASTN2.014により決めることができる(Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)。「配列相同性」は、例えば、フィルターが取り除かれBLOSUMが62であるBlastP2.0.1により決められる、二つのポリペプチド配列の類似性(陽性%)と解される(Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)。
本発明の意味において、低治癒性の糖尿病関連創傷は、糖尿病を被っている哺乳動物及びヒトの皮膚病変であると解すべきである。そのような皮膚病変の例は、特に、糖尿病により引き起こされる潰瘍、すなわち、糖尿病性潰瘍、例えば、糖尿病患者における下腿動脈潰瘍、リポイド類壊死及び動脈潰瘍、及び糖尿病患者における血管の動脈硬化的破壊により引き起こされる創傷治癒の遅延であると解すべきである。
本発明の意味において、低治癒性の動脈創傷は、例えば、動脈潰瘍、すなわち、血管の動脈硬化的破壊により引き起こされる動脈潰瘍及び創傷治癒遅延であると解すべきである。
本発明の意味において、ACTの機能は、ACTがプロテアーゼカテプシンGに発揮する活性であると解すべきである。ACTのこの機能は、ACTとカテプシンGの複合体、すなわち、受容体に結合するカテプシンG:ACT複合体、例えば、セルピン−酵素複合受容体(SECR)としてのACTの活性も含む(Chen et al.,1993,Neurology 43:1223−7;Perlmutter et al.,1990 PNAS:87:3753−7)。
本発明の意味において、ACTの機能は、好ましくは、カテプシンGプロテアーゼの結合及び阻害を含む。ACTの活性を決めるための適当なアッセイは、例えば、実施例2またはHeidtmann et al.,1990,Clin Chem 36:2077−2081のようなプロテアーゼ阻害アッセイである。
本発明の意味において、AATの機能は、プロテアーゼ好中球エラスターゼの結合及び阻害であると解すべきである。適当なアッセイが、Rubin et al.,1994,Biochemistry,33:7627−7633に記載されている。
本発明の意味における「類似のプロテアーゼ阻害活性」は、天然の酵素の活性の好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、さらにより好ましくは50%以上、最も好ましくは90%以上である、ACTまたはAAT機能的変異体のプロテアーゼ阻害活性である。
本発明で用いることができる核酸であり、また本発明で用いることができるACTまたはAATポリペプチドをコードする核酸、またはそれらの機能的変異体は、好ましくはDNAまたはRNA、好ましくはDNA,特に、二本鎖DNAである。さらに、一つの実施形態において、核酸の配列を、少なくとも一つのイントロン及び/又はポリA配列を有することにより特徴付けることができる。
通常、本発明により用いることができるポリペプチドの調製及び、遺伝子治療に適用可能であると共に本発明により用いることができるベクターとの組合わせ両方について、関連遺伝子を発現するために二本鎖DNAが好ましく、特に好ましいのは、ポリペプチドをコードするDNA領域である。真核生物において、この領域は、Kozak配列(Kozak,1987,Nucleic Acids Res.15:8125−48)中に配されると共に、ATGと同じ読み枠中に配される次の停止コドン(TAG,TGAまたはTAA)まで延長する第一の開始コドン(ATG)で始まる。原核生物の場合、この領域は、Shine−Dalgarno配列の後の第一のAUG(またはGUG)で始まり、ATGと同じ読み枠中に配される次の停止コドン(TAG,TGAまたはTAA)で停止する。
さらに、本発明を実行するために合成的に調製された核酸を用いることができる。例えば、本発明に従って使用される核酸は、例えばホスホエステル法により化学的に合成可能であり、この核酸は配列リストに記載されたDNA配列を利用し/または遺伝子コードを表した表に記載されたような蛋白配列を利用する(例えば、Uhlmann,E.&Peyman,A.(1990)Chemical Reviews,90,543−584,No.4参照)。
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明により用いることができる少なくとも一つの核酸が、ベクター、好ましくは遺伝子治療で適用可能なベクターの発現カセット中に含まれる。本発明は、本発明により使用できる融合蛋白を発現しているベクターの使用も含む。遺伝子治療において適用可能なベクターは、好ましくは、組織特異的、創傷特異的または皮膚特異的、細胞サイクル特異的、細胞型特異的、代謝特異的または構成的に活性な、先に記載の核酸に機能的に結合している調節配列を含む。
真核生物中で構成的発現させる適当な調節要素の例は、RNAポリメラーゼIIIにより確認されるプロモーター、または、ウイルス性プロモーター、CMVエンハンサー、CMVプロモーター(実施例3も参照)、SV40プロモーターまたはLTRプロモーター、例えば、MMTV(マウス乳房腫瘍ウイルス;Lee et al.,(1981)Nature 214、228−232)から誘導されるもの、及び、例えばHBV、HCV、HSV、HPV、EBV、HTLVまたはHIVから誘導される他のウイルス性プロモーター及びアクチベーター配列である。
真核生物中で発現を誘発し得る調節要素の例は、適当なリプレッサーと組み合わされたテトラサイクリンオペレーターである(Gossen M et al.,(1994)Curr.Opin.Biotechnol.5,516−20)。
本発明により用いることができる核酸の発現は、好ましくは、組織特異的プロモーターの制御下に行われ、皮膚特異的プロモーター、例えば、ヒトK10プロモーター(Bailleul et al.,1990.Cell 62:697−708)、ヒトK14プロモーター(Vassar et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1563−67)または特に好ましくはウシサイトケラチンIVプロモーター(Fuchs et al.,1988;The Biology of Wool and Hair(G.E.Rogers et al),pp. 287−309.Chapman and Hall、ロンドン/ニューヨーク在)が特に好ましい。
真核生物中で組織特異的に発現させる調節要素の他の例は、プロモーターまたは、プロモーターからのアクチベーター配列または、特別の細胞型中でのみ発現される蛋白をコードするこれら遺伝子のエンハンサーである。
真核生物中で細胞サイクル特異的発現を可能とする調節要素の例は、以下の遺伝子:cdc25A、サイクリンA、サイクリンE、cdc2、E2F、B−myb及びDHFR(Zwicker J. and Muller R.(1997)Trends Genet.13,3−6)のプロモーターである。
真核生物中で代謝特異的発現させる調節要素の例は、低酸素症、グルコース欠乏、リン酸塩濃度またはヒートショックにより調節されるプロモーターである。
皮膚中でケラチノサイト特異的発現させる調節要素の例は、FiRE要素である(Jaakkola et al.,2000,Gen.Ther,7:1640−1647)。FiRE要素は、シンデカン(syndecan)−1遺伝子のAP−1−誘導、FGF−誘発性反応要素である(Jaakkola et al.,1998,FASEB J.,12:959−9)。
本発明により用いることができる核酸を、形質移入、形質転換または感染により真核または原核細胞に導入できるようにし、それによりポリペプチドを発現可能にするために、核酸が、プラスミドとして、またはウイルスまたは非ウイルスベクターの一部として存在することができる。この点において特に適当なウイルスベクターは:バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及びヘルペスウイルスである。この点において特に適当な非ウイルスベクターは:リポソーム、人口ウイルス粒子、カチオン性脂質及びポリリジン接合DNAである。
遺伝子治療において適用可能なベクターの例は、例えば、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターである(Lindemann et al.,1997,Mol.Med.3:466−76;Springer et al.,1998,Mol.Cell.2:549−58)。局所的に投与すると裸のDNAが皮膚細胞に貫入することができるので、真核生物の発現ベクターは単離状態で存在する場合、遺伝子治療に用いるのに適している(Hengge et al.,1996,J.Clin.Invest.97:2911−6;Yu et al.,1999,J.Invest.Dermatol.112:370−5)。
本発明により用いることができる核酸をリポソームと複合することにより、遺伝子治療で適用可能なベクターを得ることもできる。これにより、特に皮膚細胞の形質移入の非常に高い効率を達成することが可能になるからである(Alexander and Akhurst,1995,Hum.Mol.Gen et.4:2279−85)。リポフェクション法においては、リポソーム懸濁液を超音波処理に付することによりカチオン性脂質からなる小さな単層状小嚢(small unilamellar vesicle)が調製される。特に正味陽電荷が維持されプラスミドDNAの100%がリポソームにより複合化されるような関係で、DNAがリポソームの表面にイオン結合する。Felgnerら(1987,前記参照)により用いられるDOTMA(臭化1,2−ジオレオイルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウム(1,2−dioleoyloxypropyl−3−trimethylammonium bromide))とDPOE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)との脂質混合物に加えて、今まで、多数の新しい脂質組成物が合成され、種々の細胞系の形質移入におけるそれらの効率について試験された(Behr,J.P.et al.(1989),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6982−6986;Felgner J.H.et al.(1994),J.Biol.Chem.269,2550−2561;Gao,X.and Huang L.(1991),Biochim.Biophys.Acta 1189,195−203)。新しい脂質組成物の例には、DOTAP(硫酸N−[1−(2,3−ジオレオイロキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチル)またはDOGS(TRANSFECTAM;ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)がある。シトフェクチン(Cytofectin) GS2888カチオン性脂質も、試験管内及び生体内でケラチノサイトを形質移入するのに非常に良好に適していると分かった(US5,777,153;Lewis et al.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3176−3181)。細胞内への核酸の移動を増加させる補助物質は、例えば、DNAまたは合成ペプチドDNA分子に結合される蛋白またはペプチドであり得、これにより、核酸を細胞の核内に輸送することが可能になる(Schwartz et al.(1999),Gene Therapy 6,282;Branden et al.(1999),Nature Biotech.17,784)。補助物質は、核酸を、細胞の細胞質内に放出可能にする分子も含む(Planck et al.(1994),J.Biol.Chem.269,12918;Kichler et al.(1997),Bioconj.Chem.8,213)。リポソームは、本発明の意味において、製薬的に許容できる担体である。リポソームは、多層小嚢(MLV)、小さな単層小嚢(SUV)及び大きな単層小嚢(LUV)を含む。
リポソーム−核酸複合体を調製する方法は当業者に知られている(例えば、Straubinger et al.,1983,Methods of Immunology,101:512−527;Szoka et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:4194−4198)。「リポソーム」という用語は、例えば、US5,422,120、WO95/13796、WO94/23697、WO91/14445及びEP524,968 B1に開示のリポソーム組成物を含む。リポソームを、本発明により用いることができる核酸のために、並びに、本発明により用いることができるポリペプチドのために、または両者のために薬剤担体として用いることができ、好ましくは、それらが、本発明による核酸用の薬剤担体として用いられる。治療活性物質をリポソームに接合させることができる、またはヒドロゲルポリマーに接合させることができ、ヒドロゲルポリマー(または、ヒドロゲルポリマーの成分)はリポソームに接合されるかまたは、リポソームにより封入され得る。もう一つの特に適した型の遺伝子治療ベクターは、本発明により用いることができる核酸を金粒子に適用することにより得ることができ、所謂「遺伝子ガン」を利用して皮膚または細胞内に注入することにより局所的に適用される(実施例1;Wang et al.,1999,J.Invest.Dermatol,112:775−81,Tuting et al.,1998,J.Invest.Dermatol,111:183−8)。AAT及びACTポリペプチドをコードしている核酸を、次に、同時に一緒に適用する、または互いに時間的に離れて適用することができる。
「リポソーム」という用語は、例えば、US5,422,120、WO95/13796、WO94/23697、WO91/14445及びEP524,968 B1に開示のリポソーム組成物を含む。リポソームは、本発明により用いることができる核酸及び本発明により用いることができるポリペプチド用の薬剤担体として用いることができ;好ましくは、本発明により用いることができる核酸用の薬剤担体として用いることができる。治療活性物質はリポソームに接合することができる、または、ヒドロゲルポリマーに接合することができ、ヒドロゲルポリマー(または、ヒドロゲルポリマーの成分)がリポソームに接合することができるかまたは、リポソームにより封入することができる。もう一つの特に好ましい型の遺伝子治療用ベクターは、本発明により用いられる核酸を金粒子に適用し、遺伝子ガンを用いて負荷粒子を皮膚または細胞内に注入して局所的に投与することにより得ることができる(実施例1、Wang et al.,1999,J.Invest.Dermatol,112:775−81、Tuting et al.,1998,J.Invest.Dermatol,111:183−8)。圧力を用いて皮内注入するための装置が、例えば、US5630796に開示されている。
遺伝子治療で適用することができるもう一つの型のベクターは、「裸」発現ベクターを生物適合性マトリクス、例えば、コラーゲンマトリクスに導入することにより調製することができる。このマトリクスは、例えば、糖尿病関連創傷及び/又は動脈創傷に導入して、移入してくる細胞にその発現ベクターを形質移入すると共に、本発明により用いられるポリペプチドをその細胞内で発現させることができる(Goldstein及びBanadio,US5,962,427)。
前述した核酸を遺伝子治療で用いるために、ポリペプチドをコードする核酸の一部が、好ましくはポリペプチド(実施例1参照)及び/又はpolyA配列、特に、天然に生じるpolyA配列またはSV40ウイルスpolyA配列のためのプロモーターと開始コドンの間に、特に、遺伝子の3’末端において、イントロン配列を含む一または二以上の非コード化配列を含むことも有利である。これによりmRNAを安定化させ得るからである(Jackson,R.J.(1993)Cell 74,9−14及びPalmiter,R.D.et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,478−482)。
ポリペプチドの生成のために、細胞は原核細胞でも真核細胞でも良い。原核細胞の例には大腸菌があり、真核細胞の例にはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または昆虫細胞がある。すなわち、大腸菌が、例えば、ヒトACTを発現するための適当な細胞であると分かった(Rubin et al.,1990,J.Biol.chem,265:1199−1207)。本発明により用いることができるACT及びAATポリペプチドを調製するための大腸菌の使用は、好ましい実施形態を構成する。さらに好ましい実施形態において、ACT及びAATポリペプチドが酵母菌株内で生成される。本発明により用いることができるポリペプチドは、当業者に良く知られている方法を用いて、例えば、前述の核酸を既述のような適当な発現系において発現させることにより調製される。適当な細胞の例には大腸菌菌株DHS、HB101またはBL21、酵母菌株サッカロマイセス・セレビシエ、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)からの昆虫細胞系鱗翅目(Lepidopteran)、または動物細胞COS、Vero、293、HaCaT及びHeLaがあり、それらは全て一般的に入手されるものである。
本発明の他の好ましい実施形態は、低治癒性の糖尿病関連創傷および/または動脈創傷の予防および/または治療のために、本発明により用いることができるAATポリペプチドまたはその機能的変異体を組合わせた、融合蛋白の形でなる、ACTポリペプチドまたはその機能的変異体の使用であり、前記融合蛋白は、本発明により用いることができる前述の核酸を用いて調製される。
これは、本発明により用いることができる前述のポリペプチドまたはその機能的変異体を含む融合蛋白であって、それ自体が、既に、前述のACTまたはAATポリペプチドの一つの機能的変異体を構成する、または除去後に単なる機能的変異体である融合蛋白を調製することを含む。これらの融合蛋白は、特に、約1〜300、好ましくは約1〜200、特に好ましくは約1〜150、特に約1〜100、特に約1〜50の異種アミノ酸を含む融合蛋白である。そのようなペプチド配列の例には、例えば大腸菌ガラクロシダーゼから誘導することができる原核生物ペプチド配列がある。
融合蛋白用のペプチド配列の他の好ましい例には、融合蛋白の検出を容易にするペプチドがあり、これらは、例えば、グリーン蛍光蛋白またはその変異体を含む。
本発明により用いることができるポリペプチドは、合成的に調製することもできる。すなわち、ポリペプチド全体またはその一部を、例えば、古典的合成(Merrifield技術)により合成することができる。前述した核酸の一つを用いて組換え調製したポリペプチドを用いることが特に好ましい。さらに、ACT及びAATポリペプチドを、生物または組織もしくは細胞から単離し、次に、本発明により用いることができる。すなわち、例えば、本発明により用いることができるポリペプチドを、例えばヒト血清から精製することができる(例えば、Abdullah et al.,1983,Arch.Biochem,Biophys.,225:306−312)。さらに、ACT発現細胞から細胞系を調製することができ、この細胞系を、次に、ACTの単離に用いることができる。すなわち、活性ACTを、例えば、大腸菌内での組換え発現により調製することができる(Rubin et al.,1990,J.Biol.Chem,265:1199−1207)。
前述の蛋白を精製する目的で、少なくとも一つの「ポリペプチドタグ」を加えることができる。例えば、適当な蛋白タグが、精製すべき蛋白を、高い親和性でマトリクスに吸収できるようにする。この次に、例えば、以下の工程を行う:複合体を著しい程度に溶離することなく適当な緩衝液で過酷に洗浄し、続いて、吸収された複合体を特異的に溶離する。当業者に知られている蛋白タグの例には、(His)タグ、Mycタグ、FLAGタグ、ヘマグルチニンタグ、グルタチオン転移酵素(GST)タグ、親和キチン結合性領域が隣接するインテインからなるタグ、及びマルトース結合性蛋白(MBP)タグがある。これらの蛋白タグを、N−末端に、C−末端に及び/又は内部に配することができる。
もう一つの実施形態において、抗体または抗体フラグメントを本発明により用いることができ、ここで、一つの抗体は、ACTポリペプチドの活性を増加させる触媒抗体であり、第二の抗体は、AATポリペプチドの活性を増加させる触媒抗体である。触媒抗体の例が、例えば、Tramontano et al.,1986,Science 234:1566−70に見られる。
本発明は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷の治療及び/又は予防のための薬剤を製造するために、α−1−アンチキモトリプシン(ACT)ポリペプチド、その機能的変異体及び/又はそれをコードしている核酸を、またはACTポリペプチドを発現している細胞、またはそれをコードしている核酸を、α−1−アンチトリプシン(AAT)ポリペプチド、その機能的変異体またはそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞、またはそれをコードしている核酸と組み合わせて用いることにも関する。
本発明は、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷から選択される疾患の処理及び/又は予防のための薬剤組成物を製造する方法であって、ACTポリペプチド、またはACTポリペプチドをコードしている核酸、またはACTポリペプチドを発現している細胞、またはACTポリペプチドをコードしている核酸を、AATポリペプチド、またはAATポリペプチドをコードしている核酸、またはAATポリペプチドを発現している細胞、またはAATポリペプチドをコードしている核酸と組み合わせる方法にも関する。
好ましくは、配列番号1,配列番号6,配列番号7,配列番号10,配列番号11及び配列番号12からなる群より選択される配列を有するACTポリペプチド、またはその機能的変異体、またはそれをコードしている核酸を、配列番号3,配列番号4,配列番号13,配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を有するAATポリペプチド、またはその機能的変異体、またはそれをコードしている核酸と組み合わされる。
好ましい実施形態において、配列番号7,配列番号10,配列番号11及び配列番号12による配列を有するポリペプチドの群より選択されるACTポリペプチドを、配列番号4,配列番号13,配列番号14及び配列番号15により配列を有するポリペプチドの群より選択されるAATポリペプチドが組み合わされる。
一つの実施形態において、付加N−末端メチオニンを欠損及び/又は有する二つのN−末端アミノ酸(His及びPro)の一つを有する配列番号9による配列を有するポリペプチドまたはその機能的変異体、好ましくは、配列番号9による配列を有するポリペプチドが用いられる。
一つの実施形態において、創傷は糖尿病潰瘍または動脈潰瘍であり、好ましくは、創傷は糖尿病潰瘍である。
一つの実施形態において、ポリペプチドは糖付加されていない。
一つの実施形態において、ポリペプチドは、組織から、好ましくは血清から単離される。
好ましくは、ACT及びAATポリペプチドは別々に投与される。
一つの実施形態において、核酸は、発現ベクターとして用いられる。
好ましくは、発現ベクターは、遺伝子治療において適用可能なベクターである。
好ましい実施形態において、細胞は自己由来または同種異系の細胞であり、好ましくは、細胞は、ケラチノサイト、線維芽細胞または内皮細胞のような皮膚細胞である。
低治癒性の糖尿病関連創傷及び/又は動脈創傷の治療は、従来法により、例えば、本発明により用いることができる薬剤を含むドレッシング、軟膏剤、圧迫ガーゼまたはゲルを用いて行うことができる。すなわち、薬剤を局所的に投与して、創傷治癒に直接的効果を奏することができる。治療組成物の局所投与は、例えば、溶液、エマルジョン、クリーム、軟膏、泡、エアロゾルスプレー、ゲルマトリクス、スポンジ、ドロップまたは洗浄剤として行うことができる。適当な添加剤または補助物質は等張溶液、例えば、生理学的食塩水またはアルギン酸ナトリウム、脱塩水、安定化剤、ZydermIIのような物質を含むコラーゲン、またはポビドンのようなマトリクス形成物質である。ゲルベースを生成するために、組成物、例えば、水酸化アルミニウム、ポリアクリル酸誘導体、例えば、Carbopol(登録商標)、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースが好適である。これらのゲルは、水ベース上のヒドロゲルとして、または低及び高分子量パラフィンまたはワセリン及び/又は黄色もしくは白色ワックスを用いるオレオゲル(oleogel)として調製することができる。乳化剤として、アルカリ石鹸、金属石鹸、アミン石鹸または、ソルビタンの部分的脂肪酸エステルを用いることができ、脂質を、ワセリン、天然及び合成ワックス、脂肪酸、モノ、ジ−、トリグリセリド、パラフィン、天然油類、例えば、ヤシ油、合成脂肪、例えば、Miglyol(登録商標)として添加することができる。これらの投与型は、本発明により用いることができる少なくとも一つのACTポリペプチドを用いるのに好ましい。本発明の薬剤は、適切な場合、創傷の領域において、リポソーム複合体または金粒子複合体として、局所的に投与することができる。この投与型は、遺伝子治療において適用可能であると共に本発明により用いることができる核酸を含むベクターに好ましい。ACT及び/又はAATポリペプチドの局所組成物は、従来技術において、例えば、US6,294,181、US6,096,327、US5,008,242、EP0512090、EP0432117及びUS5,190,917において良く知られている。
さらに、経皮治療系(TTS)を用いて治療を行うことができ、これにより、本発明による薬剤を時間的に制御した方法で放出可能にする。投与した薬剤の膜の透過を向上させるために、エタノール、尿素またはプロピレングリコールのような添加剤を、Eudragit(登録商標)のようなポリマー助剤に加えて、添加することができる。TTSは、例えば、EP0944398A1、EP0916336A1、EP0889723A1またはEP0852493A1に開示されている。
もう一つの実施形態において、本発明の薬剤は、創傷部位に分泌される本発明のポリペプチドの組み合わせを発現する細胞として投与することもできる。好ましい細胞は、自己由来または同種異系細胞であり、特に好ましいのは、ケラチノサイト、線維芽細胞または内皮細胞のような皮膚細胞である。これらの修飾細胞を投与するために適した担体は、例えば、デキストランマトリクスのような生物適合性材料からなるミクロキャリアである(US5,980,888)。
しかしながら、本発明による薬剤での処理は、注射または輸液のような非経口手段または経口手段を用いて全身的に行うこともできる。注射液は、皮下、皮内、上皮内、筋紡錘内、筋肉内、静脈内、皮内、腹膜内または鞘内に適用することができ、溶液、懸濁液、濃厚液または、等張液中に希釈し得る凍結乾燥粉末として調製することができる。輸液は、等張液または脂肪エマルジョンとして、リポソーム、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ミクロ粒子、マイクロカプセルのような「ハイテク」組成物として適用することもできる。
非経口適用薬剤の蛋白またはポリマーへの吸着を向上させる、及び/又は、薬剤とガラスまたはプラスチック表面との結合を低下させるために、アルブミン、有機溶媒、血漿増量剤、または界面活性物質のような物質を用いることができる。非経口適用薬剤の生成のための適当な助剤は等張物質、例えば、塩化ナトリウム、等水素イオン濃度物質、例えば、ナトリウム水素炭酸または界面活性剤すなわち界面活性物質及び、乳化剤、例えば、Tween(登録商標)、Cremophor(登録商標)または、尿素及びクエン酸塩のような複合誘発物質である。別の非経口投与は、鼻腔、口腔または直腸投与である。鼻腔及び口腔適用のために、例えば、吸入することができるスプレー、軟膏、エアロゾルまたはドロップのような投与手段を用いることができる。適当な推進剤は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofluran)またはヘプタフルオロプロパン(heptafluorpropan)であるが、手動加圧システムも適している。これらの推進剤は、イソプロピルミリステートのような界面活性物質を含むことができる。直腸投与のために、錠剤、カプセルまたは座剤のような浣腸製剤が用いられる。補助物質として、Witepsol(登録商標)、Massa Estarium(登録商標)またはNovata(登録商標)を用いることができる。非経口放出の修飾型は、好ましくは生物学的分解性ポリマーに基づいてなる、皮膚の下に入れられるデポー剤の利用である。
さらなる全身的に適用される型は、錠剤、発泡性錠剤、カプセル、ペレット、糖衣錠、粉末、顆粒、香剤、チューインガム、ドロップまたは懸濁液のような経口投与である。適当な助剤は、例えば、澱粉、ラクトース、タルク、ステアリン酸、セルロース、PVPまたはAerosil(登録商標)である。適当な添加剤は、例えば、風味料、着色剤、酸化防止剤、ビタミン、甘味料、例えば、グルコースまたはアスパルテームである。これらの経口投与系は、例えば、Eudragit(登録商標)を用いることにより遅延系として、または、胃腸治療系もしくは経口浸透系として調製することもできる。胃または腸内での薬剤の空間的遊離は、異なる溶解性を有する異なる被覆を用いた被覆錠剤の使用により変化させることができる。
ACT及びAATポリペプチドまたはその機能的変異体、特に好ましくは、AATポリペプチドまたはその機能的変異体の量及び/又は機能、特に活性を増加させる薬剤が好ましい。ポリペプチドは合成または組換えにより調製することができる、または、組織または細胞から単離することができ、前述の発現系、特に大腸菌または酵母細胞を用いて調製し、組織、特に血清から精製することが特に好ましい。このように調製された組換え蛋白は、融合蛋白として存在し、例えば、精製または検出を容易にすることができる。
本発明の薬剤のもう一つの好ましい実施形態は、本発明に従って、ACTポリペプチドの活性を増加させる活性化抗体またはそのフラグメントを、AATポリペプチドの活性を増加させる活性化抗体またはそのフラグメントと組み合わせて投与することである。そのような触媒抗体の適用は、前述のように実施することができる。
治療活性化合物ACT及びAATの投与は、一緒にまたは、空間的及び/又は時間的に別々に行うことができる。例えば、ACTまたはその機能的変異体を含む組成物を、AATまたはその機能的変異体を含む組成物とは別に適用することができる。好ましくは、ACT及びAATポリペプチドは一緒に調製される。治療効果を発揮するのに必要な濃度は同じ、類似または異なり得る。
もう一つの好ましい実施形態において、低治癒性の糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性の動脈創傷から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を製造するために、ACTポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸またはその機能的変異体またはこれらをコードしている核酸を、AATポリペプチドをコードしている少なくとも一つの核酸またはその機能的変異体またはこれらをコードする核酸と組み合わせて含む細胞が用いられる。
本発明により用いることができると共に前述の発現ベクターまたは遺伝子治療で適用可能なベクターとしての核酸を含む細胞が特に好ましい。もう一つの好ましい実施形態において、本発明により用いることができる融合蛋白を発現している細胞、抗体、または本発明により用いることができるそれらのフラグメントが用いられる。この細胞は、次に、創傷に直接導入することができる、または適当な場合には、適当な担体系及び/又は添加剤及び/又は補助物質と組み合わせてから、創傷に導入することができる。適当な担体系が、例えば、US5,980,888、WO92/06179、EP0242270またはWO90/02796に開示されている。好ましい細胞は、自己由来または同種異系細胞、特に好ましくは皮膚細胞であり、特に、ケラチノサイト、内皮細胞及び線維芽細胞である。好ましい実施形態において、ACT及びAATポリペプチドの両方を発現している細胞を、本発明により用いることができる。もう一つの好ましい実施形態において、ACTポリペプチドまたはその機能的変異体を発現している細胞が、AATポリペプチドまたはその機能的変異体を発現している細胞と組み合わされる。
本発明により用いることができると共に前述のようにベクターまたは細胞内に含まれる核酸を含む、または本発明により用いることができるポリペプチドを含む、遺伝子治療用の薬剤が特に好ましい。
糖尿病潰瘍及び/又は動脈潰瘍の、または糖尿病患者における低治癒性創傷または血管の動脈硬化的破壊を被っている患者における低治癒性創傷の、治療及び予防が好ましい。慢性糖尿病創傷または動脈創傷が特に好ましい。さらにより好ましい実施形態において、創傷は、糖尿病潰瘍または動脈潰瘍である。最も好ましい実施形態において、創傷は糖尿病潰瘍である。
本発明が、以下の表及び実施例を利用してさらに明らかとなるが、それらに限定はされない。
(表及び配列)
表1:対照ベクターで治療された創傷の引っ張り強度と比較した、遺伝子治療によりmACT(spi2−2)で治療された正常及び糖尿病ラットにおける創傷の引っ張り強度の変化についての平均値。E/C値は、ACT(E)で処理したラットにおいて測定された絶対引っ張り強度と、対照ベクター(C)で処理したラットにおいて測定された絶対引っ張り強度との商である。
表2:正常治癒性創傷と、異なる低治癒性創傷における、ヒト創傷浸出液中の活性ACT蛋白の相対的量の比較であり、示すように、糖尿病関連低治癒性創傷において選択的に生じる活性が減少した例である。
配列番号1,配列番号3,配列番号4,配列番号6,配列番号7,配列番号9,配列番号10,配列番号11,配列番号12,配列番号13,配列番号14及び配列番号15は、本発明により用いることができるポリペプチドの配列を示す。
配列番号2,配列番号5及び配列番号8は、本発明により用いることができる核酸の配列を示す。
特に、配列番号1は、マウスセリンプロテアーゼ阻害剤2−2(spi2−2)のアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、spi2−2のコード化配列を示し;
配列番号3は、シグナルペプチド配列を有するAATの最も頻繁に発生するヒト対立遺伝子のアミノ酸配列を示し;
配列番号4は、シグナルペプチドの成熟AAT−ポリペプチド欠損部分の配列を示し;
配列番号5は、配列番号3の成熟AAT−ポリペプチドについてのコード化配列を示し;
配列番号6は、シグナルペプチド配列を有するヒトACT−ポリペプチドのアミノ酸配列を示し;
配列番号7は、シグナルペプチドを有しない成熟ヒトACT−ポリペプチドを示し;
配列番号8は、配列番号6をコードしている、ヒトACTについての核酸コード化配列を示し;
配列番号9は、Lex032ポリペプチドのアミノ酸配列を示し;
配列番号10は、生体内で優勢な成熟ACT−ポリペプチドのアミノ酸配列を示し;
配列番号11は、配列番号7のアミノ酸配列とさらなるN−末端メチオニンを示し;
配列番号12は、配列番号10のアミノ酸配列とさらなるN−末端メチオニンを示し;
配列番号13は、配列番号4のAATのアミノ酸配列とさらなるN−末端メチオニンを示し;
配列番号14は、成熟AAT−ポリペプチドのアミノ酸配列を示し;そして
配列番号15は、配列番号14のAATアミノ酸配列とさらなるN−末端メチオニンを示す。
ここで図を参照する:
特に、創傷前の図1において、マウスに、遺伝子ガン(400psi、金粒子1.0μmφ、0.5μgDNA/発射、2発射/創傷)を用いて、対照または、ヒトACT遺伝子を含む実験用発現プラスミドを形質移入した。生体内形質移入に続いて直ちに、一つの全厚10mm切り傷を、脊椎に垂直な標的組織部位の中心に設けた。創傷を施した5日後に、糖尿病マウスにおいて、切り傷の引っ張り強度をBTC−2000システムにより測定した。創傷の破壊を誘発するのに必要な陰圧(mmHg)の最大値として、及び、平均陰圧(±SD)として、データを表す。Wilcoxon符号付き順位和検定(Wilcoxon Signed Rank Test)により統計的分析を行った。中空円:対照創傷。灰色円:ACT試験創傷。黒色円:データの平均値。
図2において、水性緩衝液中のヒトACT蛋白の1投与量(0.4mg/ml)を、糖尿病マウスの切り傷の正常に機能しない治癒において試験した。単一の創傷を、蛋白溶液75μlで処理し、30μlを、二つの創傷境界の各々に平行に皮下注射し(創傷境界当たり1つの注射部位)、15μlを、創傷に局所的に適用した。対照動物は、蛋白無しに緩衝液のみを適用した。蛋白または緩衝液を創傷を設けた1日及び2日後に、2回適用した。創傷を施した5日後に、創傷の引っ張り強度を、BTC−2000システムにより測定した。創傷の破壊を誘発するのに必要な陰圧(mmHg)の最大値として、及び、平均陰圧(±SD)として、データを表す。スチューデントt検定により統計的分析を行った。中空円:対照創傷。灰色円:ヒトACT蛋白で処理した創傷。黒色円:データの平均値。
生体内でのネズミACT相同体の投与による糖尿病ラットにおける創傷治癒の向上
配列番号2のネズミACT遺伝子を糖尿病オスSprague Dawleyラットに投与した後に、創傷治癒を調べた。創傷治癒を定量するために、創傷の引っ張り強度を調べた。より高い引っ張り強度は、創傷治癒の向上を反映している。
糖尿病ラット動物モデルは、低治癒性の糖尿病関連創傷を調べるために達成されたモデル系である(Davidson,Arch.Dermatol.Res.290:S1−S11)。糖尿病には微小血管障害が伴うので、この動物モデルはまた、動脈で認められる創傷治癒の妨害を調べるのに適している。
最初に、CMVプロモーターと多重クローニング部位との間のHindIII開裂部位にラットインシュリン遺伝子のイントロンIIを挿入することにより、ベクターpMH(S.Hoffman−La Roche)に基づいて調製された適当な発現ベクターpMHintを組み立てた。次に、mACT cDNAを、多重クローニング部位を用いてpMHint中にクローニングした。このために、mACT cDNAのコード化領域を、PCR(mACTプライマー1:5’GAGGTACCATGGCTTTCATTGCAG3’及びmACTプライマー2:5’GAATCACGTGACCACCTCCTTTGGGGTTGG CTATC3’)により増幅し、次に、KpnI及びPmlIで切断し、KpnI及びPmlIで切断しておいた発現ベクターpMHintにライゲートし、これにより、発現プラスミドpMHintACTを完成させた。ルシフェラーゼ遺伝子(pMHintLuc)を含むpMHintを対照ベクターとして用いた。
糖尿病を誘発するために、体重250〜300gの4匹のラットに、ストレプトゾトシン(Sigma製)の新しく調製された水溶液を腹腔内注射した(50mg/体重kg)。注入の7〜9日後に、動物の血糖を調べ、200mg/dLを超える血糖値で糖尿病状態と確認した。
続いて、4匹の糖尿病ラットと4匹の非糖尿病対照動物を、2%O(2L/分)と1.25%イソフルランからなる混合物で麻酔した。その後の創傷のために、背部を除毛し、各動物の背部の上に4つの部位をマークした。各々の場合、金粒子上に固定されたプラスミドDNA(BioRad製)0.5μgを、Helios遺伝子ガン(BioRad製)を用いて500psiで各部位に注入し、各々の場合、2つの部位にACT発現ベクターpMHintACTをうちこみ、2つの部位に対照ベクターpMHincLucをうちこみ、また、各々の場合、pMHintACTの1回のうちこみを腹側に行い、1回のうちこみを背側に行った。次に、うちこみ部位を通して長さ1cmの切り傷を設け、創傷部を傷クリップで閉じた。10日後に創傷部生検を行い、Instron張力計を用いて製造者の指示に従って創傷部の引っ張り強度を決め、創傷部の断面積に標準化した。続いて、pMHintACTをうちこんだ創傷部の引っ張り強度の絶対値及び、対照ベクターpMHintLucをうちこんだ同じ動物の創傷部の引っ張り強度の絶対値から商(E/C値)を計算した。E/C値の平均を決め、それにより、mACTに依存する引っ張り強度の変化を確認した。平均を表1に示す。
pMHintACTを用いて治療した創傷部の引っ張り強度が、糖尿病動物において唯一明らかに増加し、このプラスミドの投与が、対照動物において著しい効果を奏さないことが分かった。このことは、低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は動脈低治癒性創傷におけるACTの発現の緩和が、ACTの投与により特に補うことができ、創傷治癒の顕著な向上につながることを強調している。一方、この治療は、対照動物における創傷治癒の向上に適しておらず、mACTの投与により創傷治癒の著しい向上を達成することができなかった。
正常治癒性創傷、低治癒性静脈潰瘍及び糖尿病患者創傷のヒト傷浸出液におけるACT活性の決定
異なる低治癒性創傷を有する患者からの傷浸出液においてACTポリペプチドの活性を測定し、手術後の急性正常治癒性創傷からの傷浸出液において見られる活性と比較した。
Heidtmann et al.,1990,Clinical Chemistry 36:2077−2081による活性アッセイにより、ACTポリペプチドの活性の測定を行った。このアッセイの原理は、96ウエル微量滴定プレートに、カテプシンGを被覆することを含む。カテプシンGは、傷浸出液からの活性ACT分子を結合することができる。活性ACTポリペプチドをカテプシンGと複合した後、ACTポリペプチドを、ACTポリペプチドに対する一次ウサギ抗−ヒト抗体により検出し、続いて、アルカリホスファターゼに結合した二次ヤギ抗−ウサギ抗体により検出する。次に、結合した活性ACTポリペプチドの量を、Versamaxプレートリーダー(Moleuclar Devices製)において490nmでの吸収の増加をモニターすることによりアルカリホスファターゼ用の色素基質の適用により検出する。
この実験を開始するために、低治癒性創傷の例として、静脈潰瘍を患っている1人の患者からの傷浸出液及び2人の糖尿病患者からの創傷からの傷浸出液を、それぞれ24時間及び48時間集めた。対照として、1人の急性正常治癒性患者からの傷浸出液も、それぞれ24時間及び48時間集めた。これらの創傷は、典型的には、乳房縮小を企図した手術中に生じる。低治癒性創傷からの傷浸出液を、真空療法により集め、傷に圧力を均一にかけるスポンジと共に対応する創傷に真空抽出器を適用した。吸引流体を瓶に集めた。これに対して、急性手術対照創傷後の創傷から誘導される傷浸出液を、創傷の皮下組織中に入れると共に感染防止のために手術後創傷に通常適用される排液システムにより集めた(Redon’s吸引排液)。続いて、集めた創傷浸出液を、Heraeus Multifuge 3 S−Rにおいて10ml Falcon管内で1500rpm及び4℃で10分間遠心分離して、汚染細胞を除去した。上澄みを用いて遠心分離を10000rpm及び4℃で15分間一度繰り返して、精製を完了させた。異なる患者からの精製創傷浸出液をPBS−Tween中に1:5000、1:10000及び1:20000で希釈して、活性アッセイを行った。すなわち、96ウエルマイクロタイタープレートを、まず、ウシ血清アルブミン溶液(NaHCO 50mM中10g/l BSA、pH9.6)200μlで被覆し、プレートシーラー(Qiagen製)で覆い、37℃で30分間インキュベートした。その後、BSA溶液を吸引し、マイクロタイタープレートを、PBS250μlで2分間、4回洗った。次に、洗浄溶液を、貯蔵溶液(50mM酢酸ナトリウム中3.3g/lカテプシンG(Galbiochem製)、pH5.5、及び0.5M NaCl)の1000倍希釈により調製されたカップリング溶液100μlで置き換えた。再び、37℃で30分間のインキュベーションとし、ウエルを、PBS−Tween250μlで2分間、4回洗った。カテプシンGのカップリングを制御するために、通常、カテプシンG基質溶液(0.1M 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホネート緩衝液中200μg/lスクシニル−アラニル−アラニル−プロピル−バリル−p−ニトロアニリド、pH7.5、1M NaCl、12%DMSO)100μlを、マイクロタイタープレートに添加した。37℃で100分間のインキュベーション後、Versamexプレートリーダーにおいて414nmでの吸光度の増加を測定した。30分間のインキュベーション期間後にマイクロタイタープレートに結合されたカテプシンGの定量的量を制御するために、カップリング溶液中のカテプシンGの活性を、マイクロタイタープレート中でのインキュベーションを行った場合と行わなかった場合で比較した。すなわち、基質溶液(DMSO中5g/lスクシニル−アラニル−アラニル−プロプリル−バリル−p−ニトロアニリド)100μlを、マイクロタイタープレートに接触する前及び後に、カップリング溶液900μlに添加した。両方の溶液について414nmで吸光度の増加を25℃にて1分間測定した。結果は、アッセイの線形性内であった。
カテプシンG予備結合マイクロタイタープレートを、100μlの急性正常治癒性創傷部からの希釈傷浸出液、静脈潰瘍からの傷浸出液及び2人の糖尿病患者の創傷からの傷浸出液、及び、傷浸出液の加えない対照を用いて、インキュベートした。全ての患者からの全ての濃度のサンプルを、マイクロタイタープレートに2連で適用した。インキュベーション期間としては、封止したマイクロタイタープレートを用いで37℃で30分間であり、続いて、PBS−Tweenで繰り返し洗浄した。インキュベーション期間後、マイクロタイタープレートを、ウサギ抗−ヒトACT抗体(Dako製、PBS−Tween中で1:1000、2.5%ドライミルク)100μlを用いて37℃で30分間インキュベートし、PBS−Tweenで4回洗った。一次抗体のインキュベーション後に、アルカリホスファターゼに結合された二次ヤギ抗−ウサギ抗体(Promega製、PBS−Tween中1:5000、2.5%ドライミルク)100μlを用いて37℃で30分間インキュベートし、続いて、前述のような洗浄手順を行った。抗体の陰対照として、傷浸出液のみ、一次抗体のみ、二次抗体のみ、傷浸出液と一次抗体のみ、傷浸出液と二次抗体のみ、またはPBS−Tweenのみをそれぞれ含むウエルをマイクロタイタープレート上に調製した。OPD(Dako製;420μl/l 30%Hを含む6.6mg/l)の100μl/ウエルを用いて室温でインキュベーションすることによりアルカリホスファターゼを検出した。反応を、ウエル当たり100μlの0.5M HSOを添加することにより停止し、吸光度を、前述のELSIAリーダーを用いて490nmで測定した。平行して、市販のACT(Calbiochem製;20mM Tris中1mg/ml、pH7.4及び150mM NaCl)を段階的に希釈することにより、検定した。490nmで測定された吸光度に対して希釈列(1:5000、1:8000、1:10000、1:12000、1:20000;1:30000、1:40000、1:50000、1:80000、1:100000及び1:120000)をプロットすることにより標準曲線を決めた。続いて、異なる傷浸出液中の活性ACTポリペプチドの量を、標準曲線により決めた。次に、急性正常治癒性創傷から24時間集めた傷浸出液中で測定された活性ACTポリペプチドの量の平均値を1に設定することにより、数値を標準化した。異なる収集期間後の異なる患者からの傷浸出液において測定された活性ACTポリペプチドの平均値の相対的変化を表2に示す。
結果は、急性正常治癒性創傷と比べて、糖尿病患者の低治癒性創傷中の活性ACTポリペプチドの量の3.3〜2.3倍の減少を明らかに示している。さらに、結果は、低治癒性静脈潰瘍の傷浸出液中の活性ACTの量が、急性正常治癒性創傷の増加範囲内であるので、活性ACTの減少が、低治癒性糖尿病関連創傷に本質的に選択的であることを示している。低治癒性糖尿病関連創傷のこの減少は、これらの創傷中における多量のエラスターゼの存在に起因する。
合わせると、実験1及び2は、ACTが、糖尿病関連創傷及び動脈低治癒創傷の治療に効果的であるが、不活性化し易く、従って、AATと組み合わされたACTが、驚くべきことに、糖尿病関連創傷及び動脈低治癒性創傷の治療及び/又は予防用の効果的かつ安定な治療を提供することを示している。
予防及び/又は治療のために、ACT及びAATの、特にACTの量及び/又は活性を創傷の領域において増加させなくてはならない。好ましく処理される徴候は、糖尿病潰瘍及び動脈潰瘍、特に糖尿病潰瘍である。AATと組み合わせてACTを含む薬剤の投与は、好ましくは局所的に行われ、好ましくは、遺伝子治療により行われる。投与は、さらに好ましくは、本発明によりAATポリペプチドと組み合わせてACTポリペプチドを局所的に適用することにより行われる。ACT及びAATポリペプチドの作用部位が細胞外であり、その結果、蛋白が細胞内に貫入する必要がないからである。好ましくは、ポリペプチドは組織から、特に血清から単離される。例えば、US4,697,003、US4,439,358、US4,379,087、WO02/48176A1、WO01/38354A1及びUS4,656,254が、AATを血清から単離する方法を記載している。さらに好ましい実施形態において、ポリペプチドは組換え的に、好ましくは細菌、酵母または哺乳動物細胞中で生成される。ACT及びAATポリペプチドは、糖付加しても良く糖付加しなくても良い。
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ヒトACT遺伝子の投与による糖尿病マウスの創傷治癒の向上
配列番号8のヒトα−1−アンチキモトリプシン(ACT)遺伝子を、実施例1に記載のものと同じ発現ベクターpMHint中にクローニングした。創傷治癒へのヒトACT遺伝子の効果を、BTC−2000(登録商標)システムにより引っ張り強度を測定することにより測定した。
10週齢メス糖尿病(C57BL/KsOlaHsd−Lepr db/db)マウスに麻酔をかけ、背部の微細毛を市販の脱毛クリーム(Pilca製)で除去した。皮膚を70%イソプロピルアルコールで清浄化した後、創傷を施した部位(背面の頭側(dorsocranial)領域でマウス当たり一箇所)に遺伝子ガン(400psi、金粒子1.0μmφ、0.5μgDNA/発射、2発射/創傷領域)を用いて対照(pMHint)またはヒトACT遺伝子を含む実験用発現プラスミドpMHintを形質移入した。生体内形質移入に続いて直ちに、一つの全厚10mm切り傷を、脊椎に垂直な標的組織部位の中心に設けた。傷プラスター(ハンブルク、バイエルスドルフ在Fixomull stretch製)の2つの小さなストリップを用いて創傷部を閉じた。創傷を施した5日後に、マウスをナルコレン(Narcorene)0.1mlで安楽死させた。相対的破壊強度を測定するために、生体内張力測定装置(BTC−2000(商標)システム、テネシー州ナッシュビル在Surgical Research Laboratory,Inc.製)により切り口を分析した。
適切に処理されなかった創傷は、引っ張り強度の計算から排除した。結果を図1に要約する。5日後に創傷の破壊を誘発するのに必要な陰圧(mmHg)の最大値として、及び、全ての群についての平均陰圧(±SD標準偏差)として、データを表す。Wilcoxon符号付き順位和検定により統計的分析を行った。0.05を下回るP値は、統計的有意を示すと考えた。統計的分析のために、25の対照創傷及び、ヒトACT遺伝子で処理した22の創傷を含んだ。創傷を設けた5日後に、糖尿病動物におけるベクター対照創傷と比べた、ヒトACT遺伝子で処理した創傷における引っ張り強度の有意の増加(陰圧mmHg平均±SD:186.68±57.69対153.96±39.11;P=0.013、Wilcoxon符号付き順位和検定、図1参照)が観察され、糖尿病関連創傷の治癒へのヒトACTの有益な効果が示された。
ヒトACT蛋白の投与による糖尿病マウスの創傷治癒の向上
1投与量の成熟ヒトACT蛋白(0.4mg/ml、Calbiochem製α−1−アンチキモトリプシン、番号178196、配列番号10に相当)を、水性緩衝液中で、糖尿病マウスにおける切り傷の低治癒について試験した。ヒトACT遺伝子の創傷治癒への効果をBTC−2000(商標)システムにより引っ張り強度を測定することにより測定した。
10週齢メス糖尿病(C57BL/KsOlaHsd−Lepr db/db)マウスに麻酔をかけ、背部の微細毛を市販の脱毛クリーム(Pilca製)で除去した。皮膚を70%イソプロピルアルコールで清浄化した後、一つの全厚10mm切り傷を、脊椎に垂直な背面の頭側領域に設けた。傷プラスター(ハンブルク、バイエルスドルフ在Fixomull stretch製)の2つの小片を用いて創傷部を閉じた。創傷を施した5日後に、マウスをナルコレン0.1mlで安楽死させた。相対的破壊強度を測定するために、生体内張力測定装置(BTC−2000(商標)システム、テネシー州ナッシュビル在Surgical Research Laboratory、Inc.製)により切り口を分析した。
凍結乾燥ACT蛋白を、水性緩衝液(0.4mg/ml、濾過しオートクレーブにかけた緩衝液の組成物:50mM燐酸カリウム、pH7.2、KClでイオン強度を154mMに調節)中で再構築した。単一の創傷を、蛋白溶液75μlで処理し、30μlを、二つの創傷境界の各々に平行に皮下注射し(創傷境界当たり1つの注射部位)、15μlを、創傷に局所的に適用した。対照動物は、蛋白無しに緩衝液のみを適用した。蛋白または緩衝液を、創傷を施した1日及び2日後の、2回適用した。創傷の5日後に、糖尿病マウスにおいて、創傷の引っ張り強度をBTC−2000システムにより測定した。適切に処理されなかった創傷は、計算から排除した。結果を図2に要約する。5日後に創傷の破壊を誘発するのに必要な陰圧(mmHg)の最大値として、及び、全ての群についての平均陰圧(±SD標準偏差)として、データを表す。スチューデントt検定により統計的分析を行った。0.05を下回るP値は、統計的有意を示すと考えた。統計的分析のために、30の対照創傷及び、ヒトACT遺伝子で処理した26の創傷を含んだ。創傷を施した5日後に、糖尿病動物における対照創傷と比べた、ヒトACT遺伝子で処理した創傷において引っ張り強度の有意の増加(陰圧mmHg平均±SD:263.00±55.67対216.53±57.11;P=0.003、スチューデントt検定、図2参照)が観察され、糖尿病関連創傷の治癒へのヒトACTの有益な効果が示された。
本発明の組成物及び方法に種々の修飾を設け得ることが当業者には明らかである。すなわち、添付の請求の範囲及び等価物の範囲に含まれるならば、そのような修飾及び変化は本発明に含まれるものとする。
図1は、実施例3に記載のような糖尿病マウスモデルにおけるヒトACT遺伝子の検証を示す。 図2は、実施例4に記載のような糖尿病マウスモデルにおけるヒトACT蛋白の検証を示す。
【配列表】
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Claims (14)

  1. 低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷の治療及び/又は予防のための、α−1−アンチキモトリプシン(ACT)ポリペプチド、その機能的変異体及び/又はそれをコードしている核酸の、またはACTポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸の、α−1−アンチトリプシン(AAT)ポリペプチド、その機能的変異体またはそれをコードしている核酸と、またはAATポリペプチドを発現している細胞またはそれをコードしている核酸と組み合わせた使用。
  2. 配列番号1、配列番号6、配列番号7、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択される配列を有するACTポリペプチド、またはその機能的変異体またはそれをコードしている核酸を、配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を有するAATポリペプチド、またはその機能的変異体またはそれをコードしている核酸と組み合わせる請求項1に記載の使用。
  3. 配列番号7、配列番号10、配列番号11及び配列番号12からなる群より選択される配列を有するACTポリペプチドを、配列番号4、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を有するAATポリペプチドと組み合わせる請求項1または2に記載の使用。
  4. 配列番号9による配列を有するポリペプチドを用いる請求項1に記載の使用。
  5. 創傷が糖尿病潰瘍または動脈潰瘍である請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
  6. 創傷が糖尿病潰瘍である請求項5に記載の使用。
  7. ポリペプチドが糖付加されていない請求項1〜4に記載の少なくとも1つの使用。
  8. ポリペプチドが組織から単離される請求項1〜4に記載の少なくとも1つの使用。
  9. ACT及びAATポリペプチドが別々に投与される請求項1〜3に記載の少なくとも1つの使用。
  10. 核酸が発現ベクターとして用いられる請求項1に記載の使用。
  11. 発現ベクターが遺伝子治療において適用可能なベクターである請求項10に記載の使用。
  12. 細胞が自己由来または同種異系細胞である請求項1に記載の使用。
  13. 細胞がケラチノサイト、線維芽細胞または内皮細胞のような皮膚細胞である請求項12に記載の使用。
  14. 低治癒性糖尿病関連創傷及び/又は低治癒性動脈創傷から選択される疾患の治療及び/又は予防のための薬剤組成物を製造する方法であって、ACTポリペプチドまたはこのACTポリペプチドをコードしている核酸、またはこのACTポリペプチドを発現している細胞またはこのACTポリペプチドをコードしている核酸を、AATポリペプチドまたはこのAATポリペプチドをコードしている核酸、またはこのAATポリペプチドを発現している細胞またはこのAATポリペプチドをコードしている核酸と組み合わせる方法。
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