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JP2006350125A - 光学デバイス - Google Patents

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JP2006350125A
JP2006350125A JP2005178315A JP2005178315A JP2006350125A JP 2006350125 A JP2006350125 A JP 2006350125A JP 2005178315 A JP2005178315 A JP 2005178315A JP 2005178315 A JP2005178315 A JP 2005178315A JP 2006350125 A JP2006350125 A JP 2006350125A
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light
substrate
pair
films
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JP2005178315A
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Akihiro Murata
昭浩 村田
Ryosuke Nakamura
亮介 中村
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】様々な波長を有する光に対して波長分離を確実に行うことができる光学デバイスを提供すること。
【解決手段】図1に示す光学デバイス1は、入射した光L1のうち、特定波長域の光を透過させる光学デバイスであって、一対の反射膜312a、312bと、前記反射膜同士を互いに接近・離間させる第1の変位手段とを有し、前記反射膜同士の間隔h1に応じた波長域の光L2を透過し得るよう構成されている第1の構造体U1と、一対の反射膜312c、312dと、前記反射膜同士を互いに接近・離間させる第2の変位手段とを有し、前記反射膜同士の間隔h2に応じた波長域の光L3を外部に透過し得るよう構成されている第2の構造体U2とを有し、第1の構造体U1と第2の構造体U2とを、入射した光L1の光軸に沿って配置してなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学デバイスに関する。
様々な波長を有する光に対して特定波長の光を分離(抽出)する、すなわち、波長分離するには、一般的に、波長可変フィルタ(Optical Tunable Filter)が用いられる。この波長可変フィルタとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1の波長可変フィルタは、板状の可動部と、可動部の一方の面に形成された第1の反射膜と、静電力により可動部をその厚さ方向に変位させる駆動部と、可動部に対して固定的に設けられた基板と、基板の可動部側の面に形成された第2の反射膜とを有している。このような構成の波長可変フィルタでは、波長分離は、第1の反射膜と、第2の反射膜との間(間隙)で反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記間隙に応じた光を外部に出射することにより行われる。
さて、この波長可変フィルタでは、駆動部の作動、すなわち、可動部の変位により、第1の反射膜と第2の反射膜とが接近するに従い、第1の反射膜と第2の反射膜との静電力(吸引力)の大きさが増加し、遂には、駆動部が制御する静電力を越えることとなる。このため、第1の反射膜と第2の反射膜とが密着する、すなわち、第1の反射膜と第2の反射膜との間に間隙が形成されず、波長分離が行うことが不可能となるという問題があった。
特公平4−46369号公報
本発明の目的は、様々な波長を有する光に対して波長分離を確実に行うことができる光学デバイスを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光学デバイスは、入射した光のうち、特定波長域の光を透過させる光学デバイスであって、
一対の第1の反射膜と、前記第1の反射膜同士を互いに接近・離間させる第1の変位手段とを有し、前記第1の変位手段により前記第1の反射膜同士の間隔を設定し、その状態で、前記光を入射して、前記一対の第1の反射膜の間で反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記第1の反射膜同士の間隔に応じた波長域の光を透過し得るよう構成されている第1の構造体と、
一対の第2の反射膜と、前記第2の反射膜同士を互いに接近・離間させる第2の変位手段とを有し、前記第2の変位手段により前記第2の反射膜同士の間隔を設定し、その状態で、前記第1の構造体を透過した光を入射して、前記一対の第2の反射膜の間で反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記第2の反射膜同士の間隔に応じた波長域の光を外部に透過し得るよう構成されている第2の構造体とを有し、
前記第1の構造体と前記第2の構造体とを、前記入射した光の光軸に沿って配置してなることを特徴とする。
これにより、様々な波長を有する光に対して波長分離を確実に行うことができる光学デバイスが得られる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の反射膜同士の間隔と前記第2の反射膜同士の間隔とが異なるように設定することにより、前記第1の構造体を透過する光の波長域と前記第2の構造体を透過する光の波長域とを異ならせることが好ましい。
これにより、光学デバイスの光の透過条件を第1の構造体の光の透過条件と、第2の構造体の光の透過条件とを合成したものとすることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の構造体と前記第2の構造体とで除去する光の波長域を分担することが好ましい。
これにより、第1の構造体と第2の構造体とにおいて、波長分離を2段階で行うことができ、より自由度の高い波長分離が可能となる。
本発明の光学デバイスでは、前記一対の第1の反射膜および前記一対の第2の反射膜の少なくとも一方を、それらの間隔を設定する際に、非平行状態とすることにより、前記光の透過を阻止するよう構成されていることが好ましい。
これにより、光学デバイスがスイッチとして機能する。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の変位手段および前記第2の変位手段の少なくとも一方は、クーロン力の作用により作動するものであることが好ましい。
これにより、基板をその厚さ方向に変位させることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の変位手段は、前記一対の第1の反射膜をそれぞれ支持し、光透過性を有する一対の第1の基板と、前記各第1の基板と対向配置された一対の第1の電極部とを有することが好ましい。
これにより、電極部に通電することにより、第1の構造体中の各基板および各反射膜を上下方向、すなわち、厚さ方向に安定的に駆動(変位)させることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第2の変位手段は、前記一対の第2の反射膜をそれぞれ支持し、光透過性を有する一対の第2の基板と、前記各第2の基板と対向配置された一対の第2の電極部とを有することが好ましい。
これにより、電極部に通電することにより、第2の構造対中の各基板および各反射膜を上下方向、すなわち、厚さ方向に安定的に駆動(変位)させることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の構造体は、前記第1の反射膜および前記第1の変位手段を収納可能な一対の凹部を有する一対のハウジングと、
前記ハウジング同士を、互いに前記凹部同士が対向するように接合するスペーサとを有することが好ましい。
これにより、第1の構造体のハウジング本体の外側から基板に不本意に接触するのを防止することができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第2の構造体は、前記第2の反射膜および前記第2の変位手段を収納可能な一対の凹部を有する一対のハウジングと、
前記ハウジング同士を、互いに前記凹部同士が対向するように接合するスペーサとを有することが好ましい。
これにより、第2の構造体のハウジング本体の外側から基板に不本意に接触するのを防止することができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の構造体および前記第2の構造体は、中間層を介して接合されていることが好ましい。
これにより、第1の構造体と第2の構造体とを、光学的に接合したり、両者の接合強度を向上させたりすることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記中間層の屈折率は、前記第1の構造体の前記光が透過する部分の屈折率および前記第2の構造体の前記光が透過する部分の屈折率とほぼ等しいことが好ましい。
これにより、中間層を光が透過する際に、光の不本意な反射を抑制することができる。
以下、本発明の光学デバイスを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の光学デバイスの第1実施形態を示す断面図(側面図)、図2は、図1に示す光学デバイスのA−A線断面図(平面図)、図4〜図7は、それぞれ、図1に示す光学デバイスの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。なお、以下の説明では、図1および図4〜図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す光学デバイス1は、例えば、光学デバイス1内に入射した光L1のうち、特定波長域の光(干渉光)L3を透過させる装置、すなわち、波長可変フィルタとして機能する装置である。この光学デバイス1は、第1の構造体および第2の構造体とを有している。また、第1の構造体は、互いに対向して配置された一対の構造体(構造体10A、10B)を備え、第2の構造体は、互いに対向して配置された一対の構造体(構造体10C、10D)を備えている。すなわち、本実施形態では、光学デバイス1は、互いに対向して配置された一対の構造体(第1の構造体と第2の構造体)を構成単位とし、この構成単位を入射した光L1の光軸に沿って配置するとともに、積層(接合)してなるものである。なお、図示の構成では、構造体10Dが最も下側に位置し、構造体10C、10B、10Aの順に上方に向かって積層されている。以下、各部の構成について説明する。
第1の構造体U1中の構造体10Aは、図1に示すように、ハウジング2aと、ハウジング2aに収納され得る基板3aと、基板3aの下面(一方の面)に設けられた反射膜312aと、基板3aを変位させる電極部23aとを備えている。
図2に示すように、基板3aは、平面視で、形状がほぼ円形をなすものである。これにより、基板3aが安定し、かつ、効率よく変位することができる。
なお、基板3aは、光透過性を有する材料で構成され、この材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)を用いるのが好ましい。シリコンを用いた場合には、円盤状の基板3aを容易に製造(形成)することができる。
また、基板3aの厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
反射膜312aは、後述する反射膜312bと一対をなすものである。
この反射膜312aは、平面視で円形をなし、基板3aに同心的に設けられている(支持されている)。これにより、光学デバイス1に入射した光L1を効率的に反射させることができる。
また、この反射膜312aは、多層膜で形成(構成)されている。
多層膜の構成材料としては、例えばSiO(シリコン酸化膜)、Ta、SiN(シリコン窒化膜)等が好ましい。これらを適宜用いることにより、非常に高い反射率を有する反射膜312aが得られる。これらを交互に積層することにより、所定の厚さの多層膜(反射膜312a)を設けることができる。
多層膜の各層の厚さ、層数、材質を設定(調整)することによって、所定の波長の光反射させることができる多層膜を形成することができる(特性を変化させることができる)。例えば、各層の厚さを設定することにより反射率を調整することができ、各層の層数を設定することにより、反射する光の波長を調整することができる。これにより、所望の特性を有する反射膜312aを容易に形成することができる。
ハウジング2aは、後述するハウジング2bと一対をなすものである。このハウジング2aは、ブロック状のハウジング本体20aと、ハウジング本体20aの下面に設けられたシリコン層(シリコン膜)33と、基板3aを変位(移動)可能に支持する支持部32とを有している。
ハウジング本体20aには、凹部21aが設けられている。凹部21aは、後述するハウジング本体20bに設けられた凹部21bと一対をなし、また、その形状はほぼ円柱状をなしている。この凹部21aに、基板3aが同心的に収納(設置)されている。このような凹部21aが設けられていることにより、ハウジング本体20aの外側から基板3aに不本意に接触するのを防止することができる。
なお、凹部21aは、後述するように、ハウジング本体20aの表面(下面)からエッチング処理を施すことにより形成するのが好ましい。また、凹部21aの深さは、光学デバイス1の用途などにより適宜選択され、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましい。
また、ハウジング本体20aは、光透過性を有する材料で構成されている。この材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、シリコン等が挙げられるが、電圧の印加により移動することができる可動イオンを含有するガラスであるのが好ましい。これにより、ハウジング本体20aに対して陽極接合により接合対象物を接合することが可能となる。
この可動イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンのようなアルカリ金属イオンの他、アルミニウムイオン等が挙げられるが、特にアルカリ金属イオンが好ましい。これにより、陽極接合をより強固に行うことができる。
このような観点からは、ソーダガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用いるのが好ましい。
また、ハウジング本体20aの厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
シリコン層33は、ハウジング本体20aの下面の全体に設けられている。
シリコン層33の内周部331には、短冊状をなし、弾性(可撓性)を有する4つの支持部32が突出して形成されている(図2参照)。これらの支持部32は、シリコン層33の内周部の周方向に沿って等間隔に設けられている。
なお、各支持部32の構成材料は、基板3aやシリコン層33と同様に、シリコンで構成されているのが好ましい。これにより、後述するように、各支持部32と、基板3aと、シリコン層33とを一体的に形成することができる。すなわち、各支持部32と、基板3aと、シリコン層33とを個別に形成するのを省略することができる。このため、光学デバイス1を構成する部品点数を削減することができ、また、光学デバイス1を製造するための工数を削減することができる。
また、シリコン層33の下面(後述するスペーサ11と接触する面)は、その平滑度が高い(表面粗さが小さい)ことが好ましい。
具体的には、接合面の表面粗さRaが50nm以下であるのが好ましく、20nm以下であるのが好ましい。これにより、比較的低温下でもスペーサ11と接合することが可能となる。また、接合界面において、接合強度のバラツキ、ボイド等が生じるのをより確実に防止することができる。
なお、支持部32の形成数は、4つに限定されず、例えば、2つ、3つまたは5つ以上でもよい。また、支持部32の形状は、図示の形状に限定されない。
図1に示すように、凹部21aの底部(上部)211には、電極部23aが設けられている。これにより、ハウジング本体20a(ハウジング2a)の外側から電極部23aに不本意に接触するのを防止することができる。
また、電極部23aに通電することにより、当該電極部23aと基板3aとに電位差が生じて、クーロン力(静電力)が発生する。これにより、基板3aをその厚さ方向に変位させることができる。その結果、基板3aと後述する基板3bとが互いに接近・離間するよう変位させることができ、それにより反射膜312aと後述する反射膜312bとが互いに接近・離間するよう変位させることができる。
この電極部23aは、形状が円環状(リング状)をなす電極板233で構成されている(図2参照)。
また、電極部23a(電極板233)は、基板3aの縁部31に対向している。図2に示すように、基板3aの縁部31は、平面視で、電極板233の中に包含されている。
このような電極部23aを設けたことより、当該電極部23aに通電したとき、上下方向、すなわち、基板3aの厚さ方向に、基板3aを安定的に駆動(変位)させることができる。
電極部23aは、導電性を有する材料で構成されている。この材料としては、特に限定されないが、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
なお、電極部23aの厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.01〜20μm程度であるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましい。
また、図1に示すように、凹部21a内には、反射防止膜311aおよび210aが形成されているのが好ましい。
反射防止膜311aは、反射膜312aとほぼ同等の形状をなしている。また、反射防止膜311aは、基板3a(反射膜312a)と同心的に、基板3aの反射膜312aが形成されている下面と反対の面、すなわち、上面に設けられている。
反射防止膜210aは、反射防止膜311aとほぼ同等の形状をなしている。また、反射防止膜210aは、反射防止膜311aと対向して、すなわち、平面視で反射防止膜311aと重なるように、凹部21aの底部211に設けられている。
このような反射防止膜311aおよび210aが形成されていることにより、光学デバイス1に入射する光L1と、反射膜312aと反射膜312bとの間で干渉した干渉光の反射を抑制し、光を効率的に透過させることができる。
また、反射防止膜311aおよび210aは、それぞれ、多層膜で構成されている。
この多層膜の構成材料としては、例えばSiO(シリコン酸化膜)、Ta、SiN(シリコン窒化膜)等が好ましい。これらを適宜用いることにより、非常に低い反射率(非常に高い透過率)を有する反射防止膜311aおよび210aが得られる。これらを交互に積層することにより、所定の厚さの多層膜を設けることができる。
多層膜の各層の厚さ、層数、材質を設定(調整)することによって、所定の波長の光を透過または反射させることができる多層膜を形成することができる(特性を変化させることができる)。また、各層の厚さを設定することにより反射防止率(透過率)を調整することができ、各層の層数を設定することにより、透過する光の波長を調整することができる。
なお、反射防止膜311aおよび210aは、少なくとも一方が絶縁性を有しているのが好ましい。これにより、電極部23aと、基板3aとのショート(短絡)を防止することができる。
図1に示すように、ハウジング本体20aの上面には、反射防止膜100aが設けられているのが好ましい。これにより、光学デバイス1に入射する光L1の反射を抑制し、光L1を効率的に透過させることができる。
なお、反射防止膜100aは、反射防止膜311aおよび210aと同様に、多層膜で構成されているのが好ましい。
第1の構造体U1中の構造体10Bは、図1に示すように、ハウジング2bと、ハウジング2bに収納され得る基板3bと、基板3bの上面(基板3a側の面)に設けられた反射膜312bと、基板3bを変位させる電極部23bとを備えている。
基板3bは、基板3aと同様に、平面視で、形状がほぼ円形をなすものである。これにより、基板3bが安定し、かつ、効率よく変位することができる。
この基板3bは、ギャップ25を介して基板3aに対向して、すなわち、平面視で基板3aとほぼ重なるように配置されている。
なお、基板3bは、光透過性を有する材料で構成され、この材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)を用いるのが好ましい。シリコンを用いた場合には、円盤状の基板3bを容易に製造(形成)することができる。
また、基板3bの厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
反射膜312bは、前述の反射膜312aと一対をなすものである。
この反射膜312bは、平面視で円形をなし、基板3bに同心的に設けられている(支持されている)。これにより、光学デバイス1に入射した光L1を効率的に反射させることができる。
また、この反射膜312bは、多層膜で形成(構成)されている。この多層膜の構成材料としては、例えば、反射膜312aの説明で挙げたような材料を用いることができる。
ハウジング2bは、前述のハウジング2aと一対をなすものである。このハウジング2bは、ブロック状のハウジング本体20bと、ハウジング本体20bの上面に設けられたシリコン層33と、基板3bを変位(移動)可能に支持する支持部32とを有している。
なお、各支持部32の構成材料は、基板3bやシリコン層33と同様に、シリコンで構成されているのが好ましい。これにより、後述するように、各支持部32と、基板3bと、シリコン層33とを一体的に形成することができる。その結果、前述したような、部品点数や製造時の工数の削減等の効果を得ることができる。なお、シリコン層33および支持部32についての説明は、前述しているため、ここでは、これらについての説明を省略する。
ハウジング本体20bには、凹部21aに対向する凹部21bが設けられている。凹部21bは、前述のハウジング本体20aに設けられた凹部21aと一対をなし、また、その形状はほぼ円柱状をなしている。この凹部21bに、基板3bが同心的に収納(設置)されている。このような凹部21bが設けられていることにより、ハウジング本体20b(光学デバイス1)の外側から基板3bに不本意に接触するのを防止することができる。
なお、凹部21bは、ハウジング本体20bの表面(上面)からエッチング処理を施すことにより形成するのが好ましい。また、凹部21bの深さは、光学デバイス1の用途などにより適宜選択され、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましい。
また、ハウジング本体20bは、光透過性を有する材料で構成されている。この材料としては、例えば、ハウジング本体20aの説明で挙げたような材料を用いることができる。
また、ハウジング本体20bの厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
図1に示すように、凹部21bの底部(下部)211には、電極部23bが設けられている。これにより、ハウジング本体20b(ハウジング2b)の外側から電極部23bに不本意に接触するのを防止することができる。
また、電極部23bに通電することにより、当該電極部23bと基板3bとに電位差が生じて、クーロン力が発生する。これにより、基板3bをその厚さ方向に変位させることができる。その結果、前述した基板3aと基板3bとが互いに接近・離間するよう変位させることができ、それにより前述した反射膜312aと反射膜312bとが互いに接近・離間するよう変位させることができる。
すなわち、基板3aと基板3b(一対の第1の基板)と、電極部23aと電極部23b(一対の第1の電極部)とで、反射膜312aおよび反射膜312bとを変位させる第1の変位手段を構成している。
換言すると、凹部21aに収納された反射膜312a、基板3aおよび電極部23aと、凹部21bに収納された反射膜312b、基板3bおよび電極部23bとにより第1の変位手段が構成されている。
なお、本実施形態では、この第1の変位手段は、前述のようにクーロン力の作用により反射膜312aおよび反射膜312bを変位させるが、本発明の光学デバイスではこれに限定されない。すなわち、第1の変位手段としては、クーロン力以外の力、例えば逆圧電効果等の作用により変位させるものであってもよい。
この電極部23bは、電極部23aと同様に、形状が円環状(リング状)をなす電極板233で構成されている。
また、電極部23b(電極板233)は、基板3bの縁部31に対向している(図1参照)。また、図示は省略するが、基板3bの縁部31は、平面視で、電極板233の中に包含されている。
このような電極部23bを設けたことより、当該電極部23bに通電したとき、上下方向、すなわち、基板3bの厚さ方向に、基板3bを安定的に駆動(変位)させることができる。
電極部23bは、導電性を有する材料で構成されている。この材料としては、特に限定されないが、例えば、電極部23aの説明で挙げたような材料を用いることができる。
なお、電極部23bの厚さ(平均)は、それぞれ、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.01〜20μm程度であるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましい。
また、図1に示すように、凹部21b内には、反射防止膜311bおよび210bが形成されているのが好ましい。
反射防止膜311bは、反射膜312bとほぼ同等の形状をなしている。また、反射防止膜311bは、基板3b(反射膜312b)と同心的に、基板3bの反射膜312bが形成されている上面と反対の面、すなわち、下面に設けられている。
反射防止膜210bは、反射防止膜311bとほぼ同等の形状をなしている。また、反射防止膜210bは、反射防止膜311bと対向して、すなわち、平面視で反射防止膜311bと重なるように、凹部21bの底部211に設けられている。
このような反射防止膜311bおよび210bが形成されていることにより、光学デバイス1に入射する外光と、反射膜312bと反射膜312bとの間で干渉した干渉光の反射を抑制し、光を効率的に透過させることができる。
また、反射防止膜311bおよび210bは、それぞれ、多層膜で構成されている。この多層膜の構成材料としては、例えば、反射防止膜311aおよび210aの説明で挙げたような材料を用いることができる。
なお、反射防止膜311bおよび210bは、少なくとも一方が絶縁性を有しているのが好ましい。これにより、電極部23bと、基板3bとのショート(短絡)を防止することができる。
このような構成の構造体10A(ハウジング2a)と構造体10B(ハウジング2b)とは、スペーサ11を介して接合されている。
このスペーサ11は、前述のハウジング本体20a(20b)の構成材料と同様の材料、または、シリコンで構成されているのが好ましい。さらに、このスペーサ11は、ハウジング2bのシリコン層33と、ハウジング2bのシリコン層33との間に介挿されており、両シリコン層33に直接接触して接合されるのが好ましい。このようなスペーサ11が上記のような材料で構成されている場合、スペーサ11と構造体10A、10Bとを直接接触させつつ各種の処理を施すことにより、これらを強固に直接接合することができる。
このようなスペーサ11としては、その接合に寄与する面の平滑度が高い(表面粗さが小さい)ものが好ましい。
具体的には、接合面の表面粗さRaが50nm以下であるのが好ましく、20nm以下であるのが好ましい。これにより、シリコン層33の平滑度にもよるが、比較的低温下でも接合することが可能となる。また、接合界面において、接合強度のバラツキ、ボイド等が生じるのをより確実に防止することができる。
また、例えば、スペーサ11と構造体10A、10Bとを接着剤を用いて接合(接着)した場合、温度変化に伴う前記接着剤の体積変化に起因して、反射膜312a(基板3a)と反射膜312b(基板3b)との間隔h1が変化する。このため、波長分離に影響を与えるおそれがある。さらに、接着剤が均一に供給されない場合、硬化後の接着剤の厚さが不均一となり、反射膜312aと反射膜312bとの平行度が低下するおそれもある。
かかる観点から、本発明の光学デバイス1では、前述のようにスペーサ11と構造体10A、10Bとを直接、すなわち、接着剤を用いることなく接合するのが好ましい。これにより、間隔h1を一定に維持することができ、反射膜312aと反射膜312bとの平行度の低下を防止することができる。その結果、波長分離を確実に行うことができる。
また、スペーサ11は、枠状をなしており、その厚さを変えることにより、構造体10A、10Bおよびスペーサ11で画成された空間の高さを調整し、基板3aおよび基板3bがそれぞれ構造体10Aおよび構造体10Bに接触することなく変位し得る範囲(変位幅)を、容易に調整することができる。
なお、スペーサ11の厚さは、当該スペーサ11の構成材料、光学デバイス1の用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜100μm程度であるのが好ましい。
一方、第2の構造体U2中の構造体10Cは、ハウジング2cと、ハウジング2cに収納され得る基板3cと、基板3cの下面(一方の面)に設けられた反射膜312cと、基板3cを変位させる電極部23cとを備えている。
また、第2の構造体U2中の構造体10Dは、図1に示すように、ハウジング2dと、ハウジング2dに収納され得る基板3dと、基板3dの上面(基板3c側の面)に設けられた反射膜312dと、基板3dを変位させる電極部23dとを備えている。
すなわち、基板3cと基板3d(一対の第2の基板)と、電極部23cと電極部23d(一対の第2の電極部)とで、反射膜312cおよび反射膜312dとを変位させる第2の変位手段を構成している。
換言すると、凹部21cに収納された反射膜312c、基板3cおよび電極部23cと、凹部21dに収納された反射膜312d、基板3dおよび電極部23dとにより第2の変位手段が構成されている。
また、図1に示すように、ハウジング本体20dの下面には、反射防止膜100dが設けられているのが好ましい。これにより、光学デバイス1に入射する外光の反射を抑制することができる。
なお、反射防止膜100dは、反射防止膜311bおよび210bと同様に、多層膜で構成されているのが好ましい。
また、本実施形態では、この第2の変位手段は、前述のようにクーロン力の作用により反射膜312cおよび反射膜312dを変位させるが、本発明の光学デバイスではこれに限定されない。すなわち、第2の変位手段としては、クーロン力以外の力、例えば逆圧電効果等の作用により変位させるものであってもよい。
なお、構造体10Cおよび構造体10Dは、それぞれ、前述の構造体10Aおよび構造体10Bと同様の構成であることから、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の光学デバイス1は、このような構造体10A、10Bとスペーサ11とを有する第1の構造体U1と、構造体10C、10Dとスペーサ11とを有する第2の構造体U2とを中間層4を介して接合してなるものである。
この中間層4は、第1の構造体U1と第2の構造体U2との間に介在し、両者を光学的に接合したり、両者の接合強度を向上させたりする機能を有するものである。
このような中間層4としては、例えば、各種接着剤で構成されているのが好ましい。これにより、第1の構造体U1と第2の構造体U2をより強固に接着することができる。
この接着剤としては、ホットメルト型、熱硬化型、光硬化型等の硬化性を有する各種接着剤を用いることができる。
また、中間層4としては、前述の反射防止膜の他、この中間層4の屈折率が、第1の構造体U1の光が透過する部分の屈折率および第2の構造体U2の光が透過する部分の屈折率とほぼ等しいことが好ましい。これにより、第1の構造体U1と中間層4との界面および中間層4と第2の構造体U2との界面を光が透過する際に、光の不本意な反射を抑制することができる。その結果、第1の構造体U1と第2の構造体U2とを光学的に接合し、光学デバイス1の光の損失を低減することができる。
このように各構造体U1、U2とほぼ等しい屈折率を有する中間層4としては、例えば、各種のインデックスマッチング材等が好適に用いられる。
また、中間層4の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜300μm程度であるのが好ましく、1〜200μm程度であるのがより好ましい。
このような構成の光学デバイス1では、第1の構造体U1中の反射膜312aと反射膜312bとの間隔h1および第2の構造体U2中の反射膜312aと反射膜312bとの間隔h2の双方を適宜変更することができる。この変更された間隔h1、h2を維持した状態で、入射した光L1が第1の構造体U1の反射膜312aと反射膜312bとの間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて、間隔h1に応じた波長の光L2を隣接する第2の構造体U2に向けて出射する。第2の構造体U2に入射した光L2は、第2の構造体U2の反射膜312aと反射膜312bとの間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて、間隔h2に応じた波長の光L3を外部に出射することができる。このとき、間隔h1、h2を変更するには、各第1の構造体U1、U2において、それぞれ、以下に示す3つの場合(パターン)がある。なお、第1の構造体U1および第2の構造体U2では、その構成が同様であることから、以下では第1の構造体U1を代表に説明し、第2の構造体U2についてはその説明を省略する。
(1)基板3bを原則変位させず、基板3aを優先的に変位させる場合。
(2)基板3aを原則変位させず、基板3bを優先的に変位させる場合。すなわち、パターン(1)とは、逆のパターン。
(3)基板3aおよび基板3bの双方を変位させる場合。すなわち、基板3aと基板3bとを互いに鏡像的に変位させる場合。例えば、基板3aを基板3b側に1だけ変位させたとき、基板3bも同様に、基板3a側に1だけ変位させる。
例えば、駆動部(電極部)の作動により可動(変位)する可動反射膜と、固定的に設置された固定反射膜とを有する従来の光学デバイス(波長可変フィルタ)では、可動反射膜と固定反射膜との間隔が小さくなるに従い、可動反射膜と固定反射膜との間のクーロン力(吸引力)の大きさが増加し、遂には、駆動部が制御するクーロン力を超えることとなる。これにより、可動反射膜と固定反射膜とが密着する、すなわち、可動反射膜と固定反射膜との間に間隙が形成されず、波長分離が行うことが不可能となる。
しかしながら、本発明の光学デバイス1では、間隔h1を小さく設定した場合であっても、例えばパターン(3)(パターン(1)および(2)も同様)のとき、反射膜312aと反射膜312bとの間のクーロン力が、電極部23aおよび電極部23bが制御するクーロン力を超えるまでには至らず、よって、反射膜312aと反射膜312bとが密着するのが確実に防止される。これにより、間隔h1が大きく設定されているときはもちろんのこと、間隔h1が小さく設定されているときであっても、波長分離を確実に行うことができる。
また、従来の光学デバイスにおいて、例えば可動反射膜を10μmだけ可動させるような場合、本発明の光学デバイス1では、パターン(3)のとき反射膜312aおよび反射膜312bをそれぞれ5μmずつ可動させればよい。
このように本発明の光学デバイス1では、基板3aの可動範囲(移動距離)が小さくなるため、電極部23aと基板3aとの間のクーロン力を確実に維持することができる。なお、基板3bについても同様である。
また、光学デバイス1では、基板3aの可動範囲が小さくなるため、電極部23aに印加する電圧の大きさを、従来の光学デバイスの電極部に印加する電圧の大きさよりも、小さく設定することができる。よって、省エネルギに寄与する。なお、電極部23bについても同様である。
また、光学デバイス1では、基板3aの可動範囲が小さくなるため、間隔h1を変更する応答性を向上させることができる、すなわち、間隔h1を変更するための時間(応答時間)を短縮することができる。前記例では、光学デバイス1での応答時間は、従来の光学デバイスの応答時間の半分となる。
また、パターン(1)および(2)に示すように、光学デバイス1では、電極部23aおよび電極部23bの通電パターンにより、基板3aと基板3bとを互いに独立して変位させることができる。これにより、基板3aおよび基板3bの可動範囲を大きく設定することができ、よって、様々な波長を有する光に対して波長分離をより確実に行うことができる。
次に、光学デバイス1が波長分離を行うときの動作について説明する。
図1に示すように、光源400から出射された光L1は、光学デバイス1の第1の構造体U1に入射する。すなわち、光L1は、反射防止膜100a、ハウジング本体20a、反射防止膜210a、反射防止膜311a、基板3aおよび反射膜312aを順次透過し、ギャップ25に入射する。
ギャップ25に入射した光L1は、間隔h1が所定の大きさに設定された反射膜312aと反射膜312bとの間において、反射を繰り返し、干渉を生じる。この際、反射膜312aおよび反射膜312bにより、光L1の損失を抑えることができる。
前記光L1の干渉の結果、間隔h1に対応した波長の光(干渉光)L2は、基板3b、反射防止膜311b、反射防止膜210bおよびハウジング本体20bを順次透過し、第1の構造体U1から出射して中間層4に向けて出射される。
その後、中間層4を透過した光L2は、隣接する第2の構造体U2に入射する。すなわち、光L2は、ハウジング本体20c、反射防止膜210c、反射防止膜311c、基板3cおよび反射膜312cを順次透過し、ギャップ25に入射する。
ギャップ25に入射した光L2は、間隔h2が所定の大きさに設定された反射膜312cと反射膜312dとの間において、反射を繰り返し、干渉を生じる。この際、反射膜312cおよび反射膜312dにより、光L2の損失を抑えることができる。
前記光L2の干渉の結果、間隔h2に対応した波長の光(干渉光)L3は、基板3d、反射防止膜311d、反射防止膜210d、ハウジング本体20dおよび反射防止膜100dを順次透過し、第2の構造体U2(光学デバイス1)から外部に出射する。
以上説明したように、この光学デバイス1によれば、間隔h1および間隔h2の双方を所望の大きさに適宜変更することができ、これにより、様々な波長を有する光に対して波長分離を確実に行うことができる。
ここで、前記波長分離をより具体的に説明する。
図3は、各光L1、L2、L3のそれぞれの波長分布を示す図である。なお、図3(a)〜(c)の横軸は波長、縦軸は透過率を示す。
まず、光L1は、図3(a)のようなほぼフラットな波長分布を示す光であるとする。
ここで、第1の構造体U1に入射した光を、透過率のピーク間隔FSR1の特定の波長域に分離するように、第1の構造体U1中の前記間隔h1を設定する。
次に、第2の構造体U2に入射した光を、透過率のピーク間隔FSR2の特定の波長域に分離するように、第2の構造体U2中の前記間隔h2を設定する。なお、このときFSR2がFSR1より小さくなるように、例えば、間隔h2を間隔h1より大きくすることで設定を行う。
そして、光L1が第1の構造体U1に入射すると、光L1を間隔h1に応じて波長分離し、図3(b)の実線で示すピーク間隔FSR1の波長分布の光L2を得ることができる。このとき、光L2以外の光は、その波長が、第1の構造体U1の間隔h1で決められる透過条件と一致しないため、第1の構造体U1中で減衰する。
次いで、光L2が第2の構造体U2に入射すると、光L2を間隔h2に応じて波長分離し、図3(c)の実線で示すピーク間隔FSR2の波長分布の光L3を得ることができる。このとき、例えば、第1の構造体U1が透過し得る光のピーク波長と第2の構造体U2が透過し得る光のピーク波長とが波長λで一致しているとすると、波長λのピーク以外の光は、その波長が第2の構造体U2の間隔h2で決められる透過条件と一致しないため、第2の構造体U2中で減衰・除去される。
すなわち、光学デバイス1では、間隔h1と間隔h2とが異なるように設定することにより、第1の構造体U1が透過させる光の波長域と、第2の構造体U2が透過させる光の波長域とを異ならせることができる。これにより、光学デバイス1の光の透過条件を、第1の構造体U1の光の透過条件と、第2の構造体U2の光の透過条件とを合成したものとすることができる。
さらに換言すれば、第1の構造体U1および第2の構造体U2が、前記入射した光L1のうち、間隔h1および間隔h2の双方で設定される特定波長域の光のみを透過させることができる。また、このとき、第1の構造体U1と第2の構造体U2とで、減衰・除去された光の波長域をそれぞれ分担して減衰させることができる。
これにより、第1の構造体U1と第2の構造体U2とにおいて、波長分離を2段階で行うことができ、より自由度の高い波長分離が可能となる。
次に、光学デバイス1の製造方法について、図4〜図7を参照しつつ説明する。なお、以下では、ハウジング本体20a、20b、20c、20d、基板3a、3b、3c、3d、スペーサ11等の構成部材は、それぞれ、それらが水平方向に複数個連結した状態のものが形成されている集合体を用いて説明している。ここで、集合体とは、例えば、ガラスウエハー、シリコンウエハー等に前記構成部材が複数個形成されてなるものを指す。ただし、図4〜図7は、光学デバイス1個のみを示している。
[1] まず、光学デバイス1の製造に先立って、透明基板(光透過性を有する基板)5を用意する。透明基板5には、厚さが均一でたわみや傷のないガラスウエハー等が好適に用いられる。透明基板5の材料としては、ハウジング本体の説明で述べたとおりである。特に、接合時に透明基板5を加熱する場合があるため、熱応力によって透明基板5に歪みが生じるのを防止する観点から、後述する上部Si層73と熱膨張係数がほぼ等しいものが好適に選択される。
[2] 次に、図4(a)に示すように、透明基板5の上面にマスク層6を形成(マスキング)する。
マスク層6を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層6にシリコンを用いると、マスク層6と透明基板5との密着性が向上する。マスク層6に金属を用いると、形成されるマスク層6の視認性が向上する。
マスク層6の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1μm程度とすることが好ましく、0.09〜0.11μm程度とすることがより好ましい。マスク層6が薄すぎると、透明基板5を十分に保護できない場合があり、マスク層6が厚すぎると、マスク層6の内部応力によりマスク層6が剥がれ易くなる場合がある。
マスク層6は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
[3] 次に、図4(b)に示すように、マスク層6に、開口61を形成する。
開口61は、例えば、凹部21bを形成する位置に設ける。また、開口61の形状(平面形状)は、形成する凹部21bの形状(平面形状)に対応させる。
開口61は、例えばフォトリソグラフィー法により形成することができる。具体的には、まず、マスク層6上に、開口61に対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、かかるレジスト層をマスクとして、マスク層6の一部を除去する。次に、前記レジスト層を除去する。これにより、開口61が形成される。なお、マスク層6の一部除去は、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等の剥離液への浸漬(ウェットエッチング)などにより行うことができる。
[4] 次に、図4(c)に示すように、透明基板5に凹部21dを形成する。
凹部21dの形成方法としては、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等のエッチング法などが挙げられる。例えばエッチングを行うことにより、透明基板5は、開口61より等方的に食刻され、円柱状をなす凹部21dが形成される。
特に、ウェットエッチング法によると、より理想的な円柱状に近い凹部21dを形成することができる。なお、ウェットエッチングを行う際のエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。このとき、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、凹部21dの表面が極めて滑らかなものとなる。
[5] 次に、マスク層6を除去する。
これは、例えば、アルカリ水溶液(例えばテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)、塩酸+硝酸水溶液、フッ酸+硝酸水溶液等の剥離液(除去液)への浸漬(ウェットエッチング)、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチングなどにより行うことができる。
特に、透明基板5を除去液に浸漬することによりマスク層6を除去すると、簡易な操作で、効率よく、マスク層6を除去できる。
以上により、図4(d)に示すように、透明基板5に凹部21dが所定の位置に形成される。
[6] 次に、図5(e)に示すように、凹部21dの底部211に電極部23dを形成する。
電極部23dを構成する材料としては、例えばCr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料等が挙げられる。
この電極部23dの厚さは、例えば、0.1〜0.2μmが好ましい。
電極部23dは、蒸着法、スパッタ法またはイオンプレーティング法等により成膜された透明導電材料層で形成することができる。また、かかる方法にフォトリソグラフィー法を組み合わせることにより、不要部分を除去するようにしてもよい。具体的には、まず、電極部23dに対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。このレジスト層を構成する材料としては、例えば、Cr/Au/Cr等が挙げられる。
次に、かかるレジスト層をマスクとして、透明導電材料層の一部を除去する。これにより、電極部23dが形成される。
[7] 次に、図5(f)に示すように、凹部21dの底部211に反射防止膜210dを設け、透明基板5の下面に反射防止膜100dを設ける。
本製造工程では、反射防止膜210dおよび100dを多層膜で形成する。
多層膜を構成する材料としては、例えばSiO、Ta、SiN等が挙げられる。
これらを交互に積層することにより、所定の厚さの多層膜を設けることができる。
また、反射防止膜210dおよび100dのそれぞれの厚さは、例えば、0.1〜12μmが好ましい。
以上により、透明基板5に、凹部21dと、電極部23dと、反射防止膜210dおよび100dとが所定の位置に形成された光学デバイス1用のハウジング2d’が得られる。このハウジング2d’は、前述のハウジング2bからシリコン層33および支持部22を省略したような構成となっている。
以下、ウエハーを用いて、基板3d、支持部32およびシリコン層33を製造する方法と、製造された基板3d(支持部32およびシリコン層33を含む)および光学デバイス1用のハウジング2dを用いて、光学デバイス1を製造する方法とについて説明する。
基板3dを製造する際には、シリコンウエハー(以下、単に「ウエハー」と言う)7をまず用意する。かかるウエハー7は、例えば、以下のようにして、製造、準備することができる。
このウエハー7は、前述した表面粗さの観点から、表面が鏡面にできる特性を有することが好ましい。
このようなことから、ウエハー7としては、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板、SOS(Silicon on Sapphire)基板、シリコン基板等を用いることができる。
本製造工程においては、ウエハー7として、SOI基板を使用する。
ウエハー7は、Siベース層71、SiO層72、上部Si層(活性層)73の3層の積層体で構成されている。
このウエハー7の厚さは、特に限定されないが、特に上部Si層73は、10〜100μm程度が好ましい。
[8] まず、図5(g)に示すように、上部Si層73の下面に、後述する接合の工程後において、凹部21dと対向するように、反射防止膜311dを設ける。
[9] 次に、図5(h)に示すように、ウエハー7の上部Si層73と、ハウジング2d’の凹部21dが形成された面とが対向し、直接接触するようにウエハー7をハウジング2d’上に配置する。そして、接触部を接合する。
この接合は、例えば、陽極接合、融接のような接合法により行うことができるが、陽極接合により行われるのが好ましい。陽極接合は、接合対象物を溶融する必要がないため、比較的低温下で接合することができる。これにより、熱による部材の劣化や変形を防止することができる。
このような陽極接合は、例えば、次のようにして行う。
[9−1] まず、ハウジング2d’に図示しない直流電源のマイナス端子、上部Si層73に図示しない直流電源のプラス端子をそれぞれ接続する。
[9−2] 次に、ハウジング2d’を加熱しながら電圧を印加する。この加熱により、ハウジング2d’中のNa(ナトリウムイオン)等の可動イオンが移動し易くなる。このNaの移動により、ハウジング2d’の接合面はマイナスに帯電し、ウエハー7の接合面はプラスに帯電する。この結果、ハウジング2d’とウエハー7とは強固に接合される。
このとき、印加電圧は、200〜2000V程度であるのが好ましく、500〜1000V程度であるのがより好ましい。電圧が前記範囲であれば、ハウジング2d’とウエハー7との陽極接合がより確実にそしてより強固になされる。
また、加熱温度としては、ハウジング2d’とウエハー7との陽極接合がなされれば、特に限定されないが、200〜500℃程度であるのが好ましく、300〜400℃程度であるのがより好ましい。これにより、ハウジング2d’とウエハー7との陽極接合がより確実にそしてより強固になされる。また、このような比較的低い温度でも、ハウジング2d’およびウエハー7の熱による劣化または変形を防止しつつ、前記接合を行うことができる。
[10] 次に、図6(i)に示すように、エッチングや研磨を行ってSiベース層71を除去する。
エッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングが用いられるが、ドライエッチングを用いるのが好ましい。いずれの場合も、Siベース層71の除去のとき、SiO層72がストッパーとなるが、ドライエッチングは、エッチング液を用いないので、電極部23bに対向している上部Si層73の損傷を好適に防ぐことができる。これにより、高い歩留まりで光学デバイス1を製造することができる。
[11] 次に、図6(j)に示すように、エッチングを行ってSiO層72を除去する。エッチングを行う場合には、フッ酸を含むエッチング液を用いるのが好ましい。これにより、SiO層72を好適に除去することができ、上部Si層73を好適に形成することができる。
なお、ウエハー7をSi単体で形成し、以降の工程を行うのに最適な厚さの場合には、工程[10]、[11]は行わなくてもよい。これにより、光学デバイス1を製造する際の工程を簡略化することができる。
[12] 次に、図6(k)に示すように、上部Si層73の上面の反射防止膜311dに対応する箇所に反射膜312dを設ける。
[13] 次に、基板3dおよび支持部32の形状(平面形状)に対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、図6(L)に示すように、ドライエッチング法、特にICPエッチングにて、上部Si層73をエッチングし、貫通孔8を形成する。これにより、基板3dと、支持部32と、シリコン層33とが一体的に形成される。
本工程では、ICPエッチングを行う。すなわち、エッチング用ガスによるエッチングと、デポジッション用ガスによる保護膜の形成とを、交互に繰り返し行って、基板3dを形成する。
前記エッチング用ガスとしては、例えば、SF等が挙げられ、また、前記デポジッション用ガスとしては、例えば、C等が挙げられる。
これにより、上部Si層73のみがエッチングされ、また、ドライエッチングなので、他の部位に影響を与えることなく、基板3dと、支持部32と、シリコン層33とを精度良く、確実に形成することができる。
このように、基板3dと、支持部32と、シリコン層33との形成においては、ドライエッチング法、特にICPエッチングを用いるので、特に基板3dを、容易、確実かつ精度良く形成することができる。
なお、本発明では、本工程において、前記と異なるドライエッチング法を用いて基板3dと、支持部32と、シリコン層33とを形成してもよく、また、ドライエッチング法以外の方法を用いて基板3dと、支持部32と、シリコン層33とを形成してもよい。
以上により、光学デバイス1用の構造体10Dが得られる。
また、前記工程[1]〜[13]とほぼ同様の工程を経ることにより、光学デバイス1用の構造体10C、10Bおよび10Aを製造することができる。
なお、構造体10C、10Bにおいて、構造体10Dの反射防止膜100dと同様の反射防止膜は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
[14] 次に、図6(m)に示すように、構造体10D上のシリコン層33に、枠状のスペーサ11を接合する。この接合は、例えば、陽極接合または直接接合により行うことができる。
このうち、陽極接合は、スペーサ11の構成材料が、アルカリ金属のような可動イオンを含有するガラスである場合に好適に用いられる。
一方、直接接合は、スペーサ11の構成材料が、シリコンである場合に好適に用いられる。
以下、陽極接合、直接接合について順次説明する。
<<陽極接合>>
[14−1A] まず、シリコン層33上にスペーサ11が直接接触するように、構造体10Dとスペーサ11とを配置する。
[14−2A] 次に、スペーサ11の上部に図示しない直流電源のマイナス端子、シリコン層33の下部に図示しない直流電源のプラス端子にそれぞれ接続する。そして、スペーサ11を加熱しながら電圧を印加する。これにより、スペーサ11中のNaのような可動イオンが電界に応じて移動し易くなる。このNaの移動により、スペーサ11の上面および下面はマイナスに帯電する。一方、シリコン層33の接合面はプラスに帯電する。この結果、スペーサ11とシリコン層33との間に強い静電引力が発生して吸着するとともに、共有結合等の化学結合に起因した強固な結合がなされる。
このとき、印加する電圧、加熱温度としては、前記工程[9−2]と同様である。
また、前述したように、陽極接合を用いることにより、比較的低温下でもスペーサ11とシリコン層33とを強固に結合することができる。これにより、スペーサ11およびシリコン層33等の熱による劣化または変形を防止することができる。
さらに、陽極接合によると、スペーサ11とシリコン層33とを気密接合することができる。これにより、本実施形態の光学デバイス1は気密封止され、光学デバイス1内部の反射膜や反射防止膜といった光学部品の外部環境による劣化または汚染等を防止(耐候性を向上)することができる。
また、従来では、このような光学デバイスを外部環境から保護するため、光学デバイス全体を気密パッケージ内に封入することが行われていた。しかしながら、本発明の光学デバイス1では、前述のように、光学デバイス1自体が外部環境に対する耐性を有しているため、気密パッケージを省略することができる。これにより、光学デバイス1の製造コストの削減、製造工程の簡略化等が図られる。
<<直接接合>>
[14−1B] まず、スペーサ11の接合面およびシリコン層33の接合面のうちの少なくとも一方に対して、表面酸化処理を行う。これにより、シリコン製のスペーサ11の接合面およびシリコン層33の接合面が酸化され、各接合面に酸化シリコン(SiO)が生成する。その結果、各接合面には多数の水酸基が生じ、接合面間には水素結合による結合が生じる。
表面酸化処理としては、酸素プラズマ処理、紫外線照射処理、イオン照射処理のようなドライプロセス処理、酸処理のようなウェットプロセス処理等が挙げられる。
これらの中でも、酸素プラズマ処理および酸処理のうちの少なくとも一方であるのが好ましい。これにより、前記接合面のシリコンをより効率よく酸化することができる。
酸素プラズマ処理は、接合面をプラズマによる活性酸素と接触させることにより、接合面に水酸基を生じさせる処理である。
酸素プラズマ処理の条件の一例としては、プラズマの出力が50〜1000W程度、酸素ガス流量が50〜100mL/min程度、処理温度が30〜90℃程度である。
一方、酸処理は、接合面に酸を含む薬液を接触させることにより、接合面を酸化する処理である。
この酸としては、例えば、硫酸(HSO)、塩酸(HCl)等が挙げられる。
また、薬液としては、前記酸の他に、例えば、過酸化水素(H)、蒸留水、純水、超純水、イオン交換水、RO水のような各種水等を含んでいてもよい。
さらに、接合面に薬液を接触させる際には、薬液が沸騰する程度に加熱したり、薬液に超音波を照射しつつ行うようにしてもよい。これにより、より効率よく表面酸化処理を行うことができる。
[14−2B] 次に、シリコン層33上の表面酸化処理を施した接合面にスペーサ11の表面酸化処理を施した接合面が直接接触するように、構造体10Dとスペーサ11とを配置する。
[14−3B] 次に、配置した構造体10Dとスペーサ11とを加熱する。これにより、前記水素結合による結合は、Si−O−Si結合に変化し、シリコン層33とスペーサ11との直接接合(シリコンフュージョンボンディング)がなされる。その結果、シリコン層とスペーサ11とが強固に接合される。
このとき、加熱温度としては、30〜500℃程度であるのが好ましく、300〜400℃程度であるのがより好ましい。これにより、接合対象物への熱の影響を最小限にしつつ、より強固に接合することができる。
また、加熱の際に、スペーサ11とシリコン層33とを近付ける方向に圧縮力を与えてもよい。これにより、より強固にかつムラなく接合することができる。
また、直接接合によると、前記陽極接合と同様、スペーサ11とシリコン層33とを気密接合することができるため、光学デバイス1の耐候性を向上させることができるとともに、製造コストの削減、製造工程の簡略化等を図ることができる。
さらに、直接接合を用いる場合、スペーサ11はシリコンで構成されている。このため、スペーサ11とシリコン層33の間の熱膨張率差がほぼなくなり、スペーサ11およびシリコン層33の熱膨張差に伴う熱応力の発生を防止することができる。その結果、熱応力による接合部の損傷、光学デバイス1の変形、それらによるデバイス特性の低下等を確実に防止し、高品質な光学デバイス1を得ることができる。
また、光学デバイス1が小型化され、変形の許容範囲を縮小せざるを得ない場合にも、直接接合を用いることにより光学デバイス1の変形が防止されるため、光学デバイス1の特性の低下を防止しつつ小型化を図ることができる。
[15] 次に、図7(n)に示すように、構造体10Dのシリコン層33上に、基板3cと基板3dとが対向するように、枠状のスペーサ11を接合する。この接合は、例えば、前記工程[14]と同様の方法により行うことができる。
また、この接合は減圧雰囲気下で行われるのが好ましい。これにより、構造体10C、10Dおよびスペーサ11で画成された空間が減圧された状態の光学デバイス1を得ることができる。その結果、光学デバイス1内に配置された基板3cおよび基板3dが変位する際の空気抵抗を低減するとともに、反射膜や反射防止膜等の光学部品の経時劣化を抑制することができる。すなわち、信頼性の高い光学デバイス1を得ることができる。
なお、本実施形態では、前記工程[14]と前記工程[15]とを個別に行う場合について説明したが、これらは同時に行うこともできる。すなわち、構造体10Dのシリコン層33上に、スペーサ11が直接接触するように配置し、さらに、構造体10Cのシリコン層33がスペーサ11に直接接触するように配置する。そして、これらを陽極接合または直接接合により一括して接合する。このような方法によれば、製造工程の簡略化を図ることができる。
以上により、光学デバイス1用の第2の構造体U2が得られる。
また、前記工程[14]〜[15]とほぼ同様の工程を経ることにより、光学デバイス1用の第1の構造体U1を製造することができる。
[16] 次に、図7(o)に示すように、第2の構造体U2上に、第1の構造体U1を積層(接合)する。このとき、第1の構造体U1と第2の構造体U2とは、入射する光の光軸に沿って、中間層4を介して積層される。以下、シート状の中間層を介して第1の構造体U1と第2の構造体U2を積層する方法を代表に説明する。
[16−1] まず、第2の構造体U2のハウジング2c上に、シート状の中間層を重ねる。
[16−2] 次に、第1の構造体U1のハウジング2bの下面が中間層に接触するように、第1の構造体U1と第2の構造体U2とを配置する。これにより、ハウジング2cの上面とハウジング2bの下面との間隙を中間層で充填することができる。
以上のような工程を経ることにより、光学デバイス1の集合体が得られる。
[17] 次に、光学デバイス1の集合体を分割することにより、複数個の光学デバイス1を取り出す。これにより、光学デバイス1の製造に要する時間の増大を防止しつつ、歩留まりの向上を図ることができる。その結果、光学デバイス1の製造コストの低減を図ることができる。
また、複数個を一括して製造するため、光学デバイス1間の特性のバラツキを抑制することもできる。
光学デバイス1の集合体を分割する方法としては、特に限定されないが、例えば、ダイシングソー、ワイヤソーのような機械加工、レーザ加工、ウォータージェット加工、衝撃による割断、エッチング等の各種方法が挙げられる。
また、本実施形態のように、光学デバイス1の構造体10A、10Bおよびスペーサ11で画成された空間や、構造体10C、10Dおよびスペーサ11で画成された空間が封止されている場合には、前述の分割加工の際に、水や切り屑等の不要物が前記空間に侵入することにより、光学デバイス1の特性を低下させるのを防止することができる。
以上のような工程を追加することにより、1個の光学デバイス1が得られる。
なお、本実施形態では、複数個の光学デバイス1を一括して製造する場合について説明したが、本発明の光学デバイスの製造方法はこのような場合に限定されない。すなわち、1個の光学デバイス1を製造する場合に、本発明の光学デバイスの製造方法が適用可能なことは言うまでもない。
<第2実施形態>
図8は、本発明の光学デバイスの第2実施形態を示す断面図(側面図)、図9は、図8に示す光学デバイスのB−B線断面図(平面図)である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、これらの図を参照して本発明の光学デバイスの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の光学デバイス1は、電極部23e、23f、23g、23hの構成がそれぞれ異なること以外は前記第1実施形態の光学デバイス1と同様である。
図8および図9に示すように、光学デバイス1Aの電極部23eは、2つの(一対の)電極板231、232で構成されている。各電極板231、232には、独立して通電することができる。
また、各電極板231、232は、基板3aの縁部31に対向して設けられている。
このような各電極板231、232は、第1実施形態の製造工程[6]において、凹部21dの底部211に第2の電極部23dを形成する際に、マスクとなるレジスト層の形状を変更することにより形成することができる。
また、上記方法と同様にして、2つの電極板231、232で構成された電極部23f、23g、23hを形成することもできる。
このように2つの電極板231、232で構成された電極部23eでは、電極板231に通電をすることにより、基板3aが電極板231側に傾斜することとなる(図8参照)。一方、電極板232に通電をすることにより、基板3aが電極板232側に傾斜することとなる。
なお、電極部23eの電極板231および232の双方に通電を行うことにより、前記第1実施形態と同様に、基板3aを上下方向に変位させることができる。
このように、電極部23eの通電パターンを変更することにより、基板3aの姿勢を容易かつ確実に変更することができる。
図8に示すように、光学デバイス1Aの電極部23fは、電極部23eとほぼ同様に、2つの電極板231、232で構成されている。各電極板231、232に、独立して通電することができる。また、各電極板231、232は、基板3bの縁部31に対向して設けられている。
このような構成の電極部23fは、電極板231に通電をすることにより、基板3bが電極板231側に傾斜することとなる。一方、電極板232に通電をすることにより、基板3bが電極板232側に傾斜することとなる。
なお、電極部23fの電極板231および232の双方に通電を行うことにより、前記第1実施形態と同様に、基板3bを上下方向に変位させることができる。
このように、電極部23fの通電パターンを変更することにより、基板3bの姿勢を容易かつ確実に変更することができる。
また、図8に示す電極部23gは電極部23eと、電極部23hは電極部23fと、それぞれ同様の作用・効果が得られる。
このような構成の光学デバイス1Aでは、電極部23eと電極部23fとの通電パターンを変更(選択)することにより、基板3aと基板3bとがほぼ平行となる平行状態と、基板3aと基板3bとが非平行となる非平行状態とを取り得る。
同様に、電極部23gと電極部23hとの通電パターンを変更(選択)することにより、基板3cと基板3dとがほぼ平行となる平行状態と、基板3cと基板3dとが非平行となる非平行状態とを取り得る。
平行状態では、前記第1実施形態で述べたように、入射した光L1が反射膜312aと反射膜312bとの間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記間隔h1に応じた波長の光L2を隣接する第2の構造体U2に向けて出射する。第2の構造体U2に入射した光L2は、第2の構造体U2の反射膜312cと反射膜312dとの間において反射を繰り返し、干渉を生じさせて、間隔h2に応じた波長の光L3を外部に出射(透過)することができる。すなわち、波長分離が行われる。
非平行状態では、以下に示す3つのパターン(状態)がある。
なお、第1の構造体U1および第2の構造体U2では、その構成が同様であることから、以下では、第1の構造体U1を代表に説明し、第2の構造体U2については、その説明を省略する。
(1)水平な基板3bに対して基板3aが傾斜する状態。
(2)水平な基板3aに対して基板3bが傾斜する状態。すなわち、パターン(1)とは、逆のパターン。
(3)基板3aおよび基板3bがそれぞれ、図中上下方向(鉛直方向)に対して傾斜する状態。
このような非平行状態では、前記光L1の反射の繰り返しが阻止され、光L3の出射(透過)が阻止される。従って、光学デバイス1Aは、スイッチとしての機能を有している。
また、非平行状態では、基板3aと基板3bとの平行度を制御することにより、反射膜312aと反射膜312bとの間における光L1の減衰の程度を制御することができる。また、基板3cと基板3dとの平行度を制御することにより、反射膜312cと反射膜312dとの間における光L2の減衰の程度を制御することができる。そして、最終的に透過する光L3の減衰の程度を、厳密に制御することができる。従って、光学デバイス1Aは、アッテネータとしての機能を有している。
以上のような構成の光学デバイス1Aでは、平行状態と非平行状態とを取ることができる。これにより、平行状態では、様々な波長を有する光に対して波長分離が行われる状態となり、非平行状態では、波長分離が停止または抑制される状態となる。従って、各状態に容易かつ確実に切り替えることができる。
以上、本発明の光学デバイスを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学デバイスを構成する各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の光学デバイスは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、各基板3a、3b、3c、3dは、それぞれ、平面視での形状が円形をなすのに限定されず、一方が、平面視での形状が円形をなしていてもよい。
また、各基板の平面視での形状は、ぞれぞれ、ほぼ円形に限定されず、例えば、正方形、長方形、菱形、楕円形等であってもよい。
また、基板3a、3cの各上面および凹部21a、21cの各底部にそれぞれ反射防止膜が形成されているのに限定されず、例えば、基板3aの上面および凹部21aの底部のいずれか一方、または、基板3cの上面および凹部21cの底部のいずれか一方に設けられていてもよい。
同様に、基板3b、3dの各下面および凹部21b、21dの各底部にそれぞれ反射防止膜が形成されているのに限定されず、例えば、基板3bの下面および凹部21bの底部のいずれか一方、または、基板3dの下面および凹部21dの底部のいずれか一方に設けられていてもよい。
また、各反射膜および各反射防止膜は、それぞれ、多層膜で構成されているのが好ましいが、これに限定されず、単層膜で構成されていてもよい。
また、各反射防止膜は、それ自体が絶縁性を有するのが好ましいが、これに限定されず、例えば、絶縁膜を別途設けてもよい。その場合、熱酸化によるSiO層を設けてもよいし、TEOS−CVDにて形成したSiO層を設けてもよい。
本発明の光学デバイスの第1実施形態を示す断面図(側面図)である。 図1に示す光学デバイスのA−A線断面図(平面図)である。 各光L1、L2、L3のそれぞれの波長分布を示す図である。 図1に示す光学デバイスの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。 図1に示す光学デバイスの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。 図1に示す光学デバイスの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。 図1に示す光学デバイスの製造方法を説明する図(製造工程を模式的に示す図)である。 本発明の光学デバイスの第2実施形態を示す断面図(側面図)である。 図8に示す光学デバイスのB−B線断面図(平面図)である。
符号の説明
1、1A……光学デバイス 2a、2b、2c、2d、2d’……ハウジング 20a、20b、20c、20d……ハウジング本体 21a、21b、21c、21d……凹部 211……底部 23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g、23h……電極部 231、232、233……電極板 25……ギャップ 3a、3b、3c、3d……基板 31……縁部 312a、312b、312c、312d……反射膜 32……支持部 33……シリコン層(シリコン膜) 331……内周部 4……中間層 5……透明基板 6……マスク層 61……開口 7……ウエハー 71……Siベース層 72……SiO層 73……上部Si層 8……貫通孔 10A、10B、10C、10D……構造体 11……スペーサ 100a、100d、210a、210b、210c、210d、311a、311b、311c、311d……反射防止膜 400……光源 L1、L2、L3……光 h1、h2……間隔、U1……第1の構造体、U2……第2の構造体、FSR1、FSR2……ピーク間隔

Claims (11)

  1. 入射した光のうち、特定波長域の光を透過させる光学デバイスであって、
    一対の第1の反射膜と、前記第1の反射膜同士を互いに接近・離間させる第1の変位手段とを有し、前記第1の変位手段により前記第1の反射膜同士の間隔を設定し、その状態で、前記光を入射して、前記一対の第1の反射膜の間で反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記第1の反射膜同士の間隔に応じた波長域の光を透過し得るよう構成されている第1の構造体と、
    一対の第2の反射膜と、前記第2の反射膜同士を互いに接近・離間させる第2の変位手段とを有し、前記第2の変位手段により前記第2の反射膜同士の間隔を設定し、その状態で、前記第1の構造体を透過した光を入射して、前記一対の第2の反射膜の間で反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記第2の反射膜同士の間隔に応じた波長域の光を外部に透過し得るよう構成されている第2の構造体とを有し、
    前記第1の構造体と前記第2の構造体とを、前記入射した光の光軸に沿って配置してなることを特徴とする光学デバイス。
  2. 前記第1の反射膜同士の間隔と前記第2の反射膜同士の間隔とが異なるように設定することにより、前記第1の構造体を透過する光の波長域と前記第2の構造体を透過する光の波長域とを異ならせる請求項1に記載の光学デバイス。
  3. 前記第1の構造体と前記第2の構造体とで除去する光の波長域を分担する請求項2に記載の光学デバイス。
  4. 前記一対の第1の反射膜および前記一対の第2の反射膜の少なくとも一方を、それらの間隔を設定する際に、非平行状態とすることにより、前記光の透過を阻止するよう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の光学デバイス。
  5. 前記第1の変位手段および前記第2の変位手段の少なくとも一方は、クーロン力の作用により作動するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の光学デバイス。
  6. 前記第1の変位手段は、前記一対の第1の反射膜をそれぞれ支持し、光透過性を有する一対の第1の基板と、前記各第1の基板と対向配置された一対の第1の電極部とを有する請求項5に記載の光学デバイス。
  7. 前記第2の変位手段は、前記一対の第2の反射膜をそれぞれ支持し、光透過性を有する一対の第2の基板と、前記各第2の基板と対向配置された一対の第2の電極部とを有する請求項5または6に記載の光学デバイス。
  8. 前記第1の構造体は、前記第1の反射膜および前記第1の変位手段を収納可能な一対の凹部を有する一対のハウジングと、
    前記ハウジング同士を、互いに前記凹部同士が対向するように接合するスペーサとを有する請求項1ないし7のいずれかに記載の光学デバイス。
  9. 前記第2の構造体は、前記第2の反射膜および前記第2の変位手段を収納可能な一対の凹部を有する一対のハウジングと、
    前記ハウジング同士を、互いに前記凹部同士が対向するように接合するスペーサとを有する請求項1ないし8のいずれかに記載の光学デバイス。
  10. 前記第1の構造体および前記第2の構造体は、中間層を介して接合されている請求項1ないし9のいずれかに記載の光学デバイス。
  11. 前記中間層の屈折率は、前記第1の構造体の前記光が透過する部分の屈折率および前記第2の構造体の前記光が透過する部分の屈折率とほぼ等しい請求項10に記載の光学デバイス。
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