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JP2006249293A - 油性ボールペン用油性インキ組成物 - Google Patents

油性ボールペン用油性インキ組成物 Download PDF

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JP2006249293A
JP2006249293A JP2005068829A JP2005068829A JP2006249293A JP 2006249293 A JP2006249293 A JP 2006249293A JP 2005068829 A JP2005068829 A JP 2005068829A JP 2005068829 A JP2005068829 A JP 2005068829A JP 2006249293 A JP2006249293 A JP 2006249293A
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JP
Japan
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ink composition
oil
solvent
based ink
ink
Prior art date
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Application number
JP2005068829A
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Hidetoshi Ichikawa
秀寿 市川
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、従来とは異なる方法で、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたことを可能にしたボールペン用インキ組成物及びそれを用いた油性ボールペンを提供する。
【解決手段】 少なくとも色材、樹脂、および溶剤を含んでなるボールペン用油性インキ組成物であって、
下記化学種群から少なくとも1種選ばれる脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドを、前記インキ組成物の全量基準で0.005〜10質量%含むことを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
化学種群:(a)C1735−COO−Cn2n+1
(ここで、nは1〜4である)
(b)Cn-12(n-1)+1−COO−Cn2n+1
(ここで、nは14または18である)
(c)エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボールペン用油性インキとして好適に用いられ、書き出し時の筆記カスレを抑制し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたボールペン用油性インキ組成物に関するものである。
従来、油性ボールペンは、ボールチップ先端部のインキの溶剤が蒸発してインキが増粘した場合、書き出し時にインキが吐出し難くなって筆跡がカスレたりボールが十分回転する様になるまで十分濃い筆跡が得られないといった欠点が発生しやすかった。また、このカスレ現象は、環境条件による依存性も強く、低温下及び高温下でたびたび発生し、不快なものとなっていた。更に、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上である様な揮発性の高い溶剤を使用するとこの様な問題は顕著になり、さらに大きな問題となる。
これらの欠点を解決するために従来より種々の工夫が検討されてきた。例えば、特公昭61−52872号公報に記載されている発明では、筆記不良を防止するため、特定の非イオン系界面活性剤を添加してインキの流動性を保持している。特公昭57−38629号公報には高沸点芳香族炭化水素を溶剤としインキが乾燥したり、吸湿して変質するのを低減する発明が記載されている。特開平3−28279号公報に記載の発明では、良好な潤滑効果を得るために、ポリグリセリンの脂肪酸エステルを添加してインキの流動性を保持している。
特開平6−247093号公報に記載の発明では、不揮発性の溶剤を使用しインキが完全に乾ききるのを防止している。特開平11−158421号公報に記載の発明では、塩基性染料とリン酸エステルとの塩を配合したことによりペン先での染料の結晶化を抑制し、ペン先端部で乾燥固化し難くグリス状からペースト状を得ることなどでインキの流動性を保持するなどを施して滑らかに書き出し、それぞれ問題となるカスレ現象を改善しようとしている。
また、特開平11−21495号公報に記載の発明も、酸性ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを所定のアルキルアルカノールアミン又はモルホリンで中和することによって同様な効果を生み出している。しかし、ここで使用されているアミン物質は臭気が強く、反応性が高いことから溶剤、染料等の選択の自由度が狭くなる傾向にあった。また、安定な中和物というものを決める手だてがなかった。
しかし、従来の油性ボールペンに使用されている様な蒸気圧が0.001mmHgより低い溶剤では問題になり難いが、蒸気圧が高い溶剤を用いた場合はボール周囲にインキ凝着物が固化してしまうと、ボールを動かす書き出しに対して非常に強い筆記荷重が必要となる。
また、従来の油性ボールペンに使用されている2−フェノキシエタノールやベンジルアルコールの混合溶剤では潤滑性に関してもあまり問題なく、インキに潤滑性を持たせるために、特にオレイン酸を代表とする脂肪酸系のものを入れるという発明はあるが、表面張力が30dyn/cmと低い溶剤ではあまり効果が発揮できない。さらに、顔料を使用してしまうと潤滑性は著しく悪くなる。
特公昭61−52872号公報(請求項1、第2頁) 特公昭57−38629号公報(請求項1、第2〜3頁) 特開平3−28279号公報(請求項1) 特開平6−247093号公報(請求項1) 特開平11−158421号公報(請求項1) 特開平11−21495号公報(請求項1)
本発明は、従来とは異なる方法で、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたことを可能にしたボールペン用インキ組成物及びそれを用いた油性ボールペンを提供することを目的とする。
また本発明は、揮発性の高い溶剤からなるインキ組成物を用いた油性ボールペンの書き出し時の筆記カスレを抑制することを目的とする。
さらに本発明は、色材として、顔料を含んでなるインキ組成物を用いた油性ボールペンの書き出し時の筆記カスレを抑制することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成するために、ボールペン用油性インキ組成物が、以下に示す特徴を有することによりこれらの課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
(1) 少なくとも色材、樹脂、および溶剤を含んでなるボールペン用油性インキ組成物であって、
下記化学種群から少なくとも1種選ばれる脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドを、前記インキ組成物の全量基準で0.005〜10質量%含むことを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
化学種群:(a)C1735−COO−Cn2n+1
(ここで、nは1〜4である)
(b)Cn-12(n-1)+1−COO−Cn2n+1
(ここで、nは14又は18である)
(c)エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド。
(2) 全溶剤の50質量%以上を占める主溶剤が、分子構造内に芳香環を持たない、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる(1)記載のボールペン用油性インキ組成物。
(3) 主溶剤であるグリコールエーテルが下記化学構造式1:
Figure 2006249293
で表される(2)記載のボールペン用油性インキ組成物。
(4) 前記主溶剤の蒸気圧が、25℃で0.001mmHg以上である(1)〜(3=のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
(5) 前記色材が、顔料、染料、又は顔料と染料との併用から選ばれる(1)〜(4)のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
(6) 前記インキ組成物の粘度が、25±0.5℃において、38.30(1/S)の剪断速度で100〜3000mPa・sである(1)〜(5)のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の油性インキ組成物を用いる油性ボールペン。
本発明の油性インキ組成物は、その成分として脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドを含有することを特徴とする。使用される脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミドは以下に示す化学種群から選ばれるものである。この化学種群に含まれる化合物のなかから、1種又は2種以上の併用で使用することができる。
化学種群:(a)C1735−COO−Cn2n+1
(ここで、nは1〜4である)
(b)Cn-12(n-1)+1−COO−Cn2n+1
(ここで、nは14又は18である)
(c)エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド。
上記化学種群に含まれる具体的な化合物としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド等があげられる。
これらの脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミド化合物は、ペン先のチップ先端に付着したインキが揮発してできた、強固な凝着物をその可塑化作用で脆くすることができると考えられる。したがって、ペン先にインキが付着したまま乾燥したとしても、その凝着物は脆くなり、チップのボールの回転を妨げることなく、書き出しをスムーズにし、書き出し時のカスレを抑制し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感を提供する。
これらの脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミド化合物の配合量としては、インキ組成物の全量基準で0.005〜10質量%がよく、より好ましくは0.005〜7質量%である。更に好ましくは0.005〜5質量%である。これらの化合物の配合量が0.005質量%未満であると、書き出し時の筆記カスレを抑制することができず、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることができない。また、配合量が10質量%を超えるとペン先端で脆くなったインキ凝着物の残留物が蓄積したり、ボテの誘発、ペン先のチップ内摩耗の誘発、インキの経時的な不安定性筆記性等や書き味に悪影響を及ぼすことになる。特に低温では、不安定性が増す傾向にあり、連続的なラセン筆記をした時、描線の部分的なインキ未転写部(線割れ)が生じる。
本発明のインキ組成物に用いられる主溶剤(全溶剤の50質量%以上)としては、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤を用いる。25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上である高揮発性の溶剤を用いる場合に、上述の脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミド化合物を一緒に用いることが特に好ましい。本発明はこの様に蒸気圧の高い特定の溶剤を使用した場合に生じる、ペン先のチップ先端に付着したインキが揮発してできた、強固な凝着の問題を解決することができる。
主溶剤として用いられる溶剤は、分子構造内に芳香環を持たない、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルが好ましい。
具体的なアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘブタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエ−テル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
特に好ましい主溶剤は次の化学式1に示されるような溶剤が挙げられる。
Figure 2006249293
化学式1を有する溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。
本発明は、上述した溶剤の中で特に炭素数2〜7のグリコールエーテルを用いた場合に高い効果を発揮する。また、安全性および経口毒性等の観点からエチレングリコール誘導体等以外の有機溶剤を使用するのが好ましい。
また、本発明のインキ組成物では、芳香環を持たないアルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる主溶剤のほかに補助溶剤として、分子構造内に芳香環を有する、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルを、インキ組成物の全量基準で0.1〜15質量%の量で用いることができる。
これらの補助溶剤の例として、アルコール類としては、ベンジルアルコール及びそのエチレンオキサイド誘導体又はプロピレンオキサイド誘導体、並びにそれらEO(エチレンオキサイド)、PO(プロピレンオキサイド)の混合物の誘導体等が挙げられる。
グリコールエーテル類の例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル及びそのエチレンオキサイド誘導体又はプロピレンオキサイド誘導体、並びにそれらEO、POの混合物の誘導体等が挙げられる。また、プロピレングリコールモノフェニルエーテル及びそのエチレンオキサイド誘導体又はプロピレンオキサイド誘導体並びにそれらEO、POの混合物の誘導体等が挙げられる。また、ブチレングリコールモノフェニルエーテルや及びそのエチレンオキサイド誘導体又はプロピレンオキサイド誘導体、並びにそれらEO、POの混合物の誘導体等が挙げられる。
これらの溶剤は、補助溶剤として、リン酸エステル中和混合物と共に使用することで、金属ボール表面からインキを剥離あるいははじく効果を増大させる。その添加量は0.1〜15質量%としているが、0.1%より少ないとその効果が薄れ、15%より多いと速い捨て書きを行うと描線が割れる現象が生じてしまう。
また、以上に挙げた溶剤の他に原材料の溶解性や発揮性能を妨げない範囲で以下に挙げる溶剤を添加することも可能である。
それらの例として、多価アルコール類誘導体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も挙げられる。
エステル類の溶剤としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ブロピオン酸イソブチル、ブロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート等様々なエステルが挙げられる。
また、分子内に水酸基を持たない溶剤ジエーテルやジエステルは具体的には、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、インキの粘度調整および耐擦過性の向上のために樹脂を用いる。本発明のボールペン用油性インキ組成物に使用される樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレンーアクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。
これらの樹脂のインキ組成物への配合量は、1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。その配合量が1質量%未満であると粘度調整やペン先での摩耗防止が困難となり、30質量%を超えると樹脂以外の原材料が配合できなくなるか、書き味に悪影響を及ぼすことになる。
本発明のインキ組成物の粘度範囲は、25±0.5℃において、38.30(1/S)の剪断速度で100〜3000mPa・sである。
本発明のインキ組成物の色材に顔料を使用する場合、用いる分散剤としては上記に挙げるような樹脂の中から顔料を分散できるものを選択して使用することができる。また、活性剤やオリゴマー等、本発明の目的に合えばどの様なものでも用いることができる。具体的な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等が挙げることができる。
本発明のボールペン用油性インキに用いる色材としては,染料のほか、顔料又は顔料と染料との併用の形で使用することができる。顔料としてはカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、ジケトピロロピロール、インダスレン、ジオキサジン等の有機顔料を使用することができる。
また、顔料としては、用いる有機溶剤に溶解し難く分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25質量%、好ましくは0.5〜20%までの範囲で必要に応じて配合することができる。
顔料を用いる場合、顔料は、単独で又は2種以上の混合で使用することができる。また必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、又は、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
顔料を用いる場合は、顔料分散インキ組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、ディソルバー等の撹拌機により混合撹拌することによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過により顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除いて、容易に得ることができる。
これらの顔料と一緒に併用する染料としては分散系を破壊しないものであれば特に制限なく使用することができる。それらの染料としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等、並びに通常の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50質量%の範囲で選ばれる。
更に、本発明では必要に応じて、インキに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防徽剤、界面活性剤、潤滑剤および湿潤剤等を配合することがでる。特に脂肪酸等は、潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として、製品特性に悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も配合することができる。
本発明のボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先、インキ収容管、チップと該収容管をつなぐ継ぎ手、ペン軸等から構成され、前記インキ収容管に本発明のボールペン用インキ組成物を充填したものである。
本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合には、インキ追従体をボールペン後端部に付与することが好ましい。使用する溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インキ漏れ防止としてインキ追従体を添加するものである。
インキ追従体としては、インキに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性が必要であり、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン等、本発明で用いる溶剤と基本的に相溶性を有さない非シリコン系の油脂類を使用することができる。これらの物質の粘度が低い場合、増結剤やゲル化剤を用いるとよい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタン、シリカまたはアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。
本発明のインキ組成物が、書き出し時の筆記カスレを抑制し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感に優れたインキを提供する理由としては、揮発性の脂肪族系有機溶剤系のインキに少量の脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミドを使用することでペン先のチップ先端に付着したインキが揮発により強固に凝着したものを可塑化作用で脆くすることができるためと推測される。そのため、ペン先にインキが付着したまま乾燥したとしても脆くなった凝着物はチップのボールを回転させ、書き出しをスムーズにして、書き出し時のカスレを防止し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたボールペン用油性インキ組成物を提供する。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって限定されるものではない。インキの調製として使用する脂肪酸エステルあるいは脂肪酸アミドの各50%溶液は予め調製し、ガラス瓶に密栓し、50℃に加温しておく。
実施例1〜16及び比較例1〜52は、以下に示す添加剤溶液と評価用インキ組成物を組み合わせたものである。また、下記例では脂肪酸エステル又は脂肪酸アミド溶液と評価用インキ組成物とを各々所定量添加し、40℃以上の恒温槽にて混合し最終インキ組成物とした。
<添加剤溶液−1>
ステアリン酸ブチル 50.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 50.0%
<添加剤溶液−2>
ステアリン酸メチル 50.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール 50.0%
<添加剤溶液−3>
ミリスチン酸ミリスチル 50.0%
3−メトキシ、1−ブタノール 50.0%
<添加剤溶液−4>
ステアリン酸アミド 50.0%
3−メトキシ、1−ブタノール 50.0%
<添加剤溶液−5(ブランク)>
3−メトキシ、1−ブタノール 100.0%
<評価用インキ組成物−1>
スピロンバイオレットC−RH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH(色材)[保土ケ俗化学工業製] 5.0%
Printex#35[デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1(樹脂)[積水化学製] 4.0%
ハイラック110H(樹脂)[日立化成製] 5.0%
GWIS−125[日本エマルジョン製] 5.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール(溶剤) 62.0%
<評価用インキ組成物−2>
スピロンブルーC−RH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 8.0%
スピロンバイオレットC−RH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 4.0%
クロモフタルブルーA−3R[チバガイギー社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1(樹脂)[積水化学製] 4.0%
ハイラック110H(樹脂)[日立化成製] 8.0%
オレイン酸 0.5%
エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤) 5.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール(溶剤) 59.5%
<評価用インキ組成物−3>
スピロンバイオレットC−RH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 10.0%
クロモフタルバイオレット B(色材)[チバガイギー社製] 5.0%
ポリビニルブチラール BL−S(樹脂)[積水化学製] 3.0%
ハイラック110H(樹脂)[日立化成製] 8.0%
エチレングリコールモノフェニルエーテル(溶剤) 5.0%
3−メトキシブタノール(溶剤) 13.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール(溶剤) 53.0%
<評価用インキ組成物−4>
スピロンバイオレットC−RH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 8.0%
スピロンイエローC−GNH(色材)[保土ケ谷化学工業製] 5.0%
Printex#35[デグッサ社製] 8.0%
ポリビニルブチラール BL−1(樹脂)[積水化学製] 4.0%
ハイラック110H(樹脂)[目立化成製] 5.0%
3−メトキシブタノール(溶剤) 10.0%
3−メトキシ、3−メチル、1−ブタノール(溶剤) 57.0%
尚、最終インキ組成物にするための上記添加剤溶液および上記評価用インキ組成物の量は、以下の通りである。
*1.添加剤溶液:3質量%。評価用インキ組成物:97質量%
*2.添加剤溶液(下記注):3質量%。評価用インキ組成物:97質量%
注.上記添加剤の50%溶液を同溶剤で1000倍希釈して使用する。これは、インキ組成物全量に対する添加剤の量が、0.005質量%未満となる例である。
*3.添加剤:13質量%。評価用インキ組成物:97質量%
注.添加量が多いため溶剤を用いず添加剤をそのまま添加し、全体を110とした。これは、インキ組成物全量に対する添加剤の量が、10質量%を超える例である。
上記添加剤溶液(又は添加剤)と評価用インキ組成物との各組合せ例は評価結果を表した各表を参照されたい。
以上の様に実施例および比較例で得られたインキを充填し、下記評価テストを行った。試験に用いたボールペンは、内径1.60mmのポリプロピレンチューブ、ステンレスチップ(ボールは超硬合金で、直径1.0mmである)を有するものである。また、充填した後、温度25℃、湿度65%条件下にて30分放置した後に下記評価を行う。
評価1)書出時カスレ評価(官能評価):
「三菱」という文字を書き、文字のカスレ度合いで判定する。
◎:ほとんどカスレないもの(「三」の1あるいは2番目の線以降書ける)。
○:僅かにカスレるもの(「三」の2番目の線が多少かすれるが、それ以降かすれない)。
△:カスレが少し多いもの(「菱」以降かすれない)。
×:カスレが非常に多いもの(「菱」が最後まで書けない)。
評価2)書出時カスレ評価(機械評価):
温度25℃、湿度65%条件下において、ペンを60度にセツトし、200gの荷重をかけ、接触している紙を2m/分の速度で動かし、その筆記描線を観察する。その時、始点から書出始めた描線までの距離を測定する。ペンは5本用意し、その平均値を測定値とした。尚、この試験では、長期的なカスレ性を観察するために、温度25℃、湿度65%条件下での放置期間は1日間とした。
◎:測定値≦10mm
○:10mm<測定値≦50mm
△:50mm<測定値≦100mm
×:100mm<測定値
評価3)筆記性評価/線割れ性(官能評価):
室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線の線割れ(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、判定する。
◎:ほとんど線割れしないもの。
○:僅かに線割れするもの。
△:少し線割れが多いもの。
×:非常に線割れが多いもの。
評価4)低温安定性・筆記性評価/線割れ性(官能評価):
0℃に3日間放置し、取り出し1時間後、室温下でPPC用紙を用い、連続的にラセン状に筆記した時の描線の線割れ(筆記時にインキが転写しない部分)度合いを観察し、判定する。
◎:ほとんど線割れしないもの。
○:僅かに線割れするもの。
△:少し線割れが多いもの。
×:非常に線割れが多いもの。
上記評価結果を次の表に示す。
Figure 2006249293
Figure 2006249293
Figure 2006249293
表の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜16のインキ組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜60のインキ組成物に比べて書出時のかすれ評価において非常に優れており、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れていることが判明した。
本発明によれば、従来の方法とは異なる方法で、書き出し時の筆記カスレを抑制し、筆跡の柔らかく滑らかな筆感にすることに優れたボールペン用インキ組成物が提供される。

Claims (7)

  1. 少なくとも色材、樹脂、および溶剤を含んでなるボールペン用油性インキ組成物であって、
    下記化学種群から少なくとも1種選ばれる脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミドを、前記インキ組成物の全量基準で0.005〜10質量%含むことを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
    化学種群:(a)C1735−COO−Cn2n+1
    (ここで、nは1〜4である)
    (b)Cn-12(n-1)+1−COO−Cn2n+1
    (ここで、nは14または18である)
    (c)エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド。
  2. 全溶剤の50質量%以上を占める主溶剤が、分子構造内に芳香環を持たない、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 主溶剤であるグリコールエーテルが下記化学構造式1:
    Figure 2006249293
    で表される請求項2記載のボールペン用油性インキ組成物。
  4. 前記主溶剤の蒸気圧が、25℃で0.001mmHg以上である請求項1〜3のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  5. 前記色材が、顔料、染料、または顔料と染料との併用から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  6. 前記インキ組成物の粘度が、25±0.5℃において、38.30(1/S)の剪断速度で100〜3000mPa・sである請求項1〜5のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の油性インキ組成物を用いる油性ボールペン。
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JP2019044167A (ja) * 2017-08-31 2019-03-22 株式会社パイロットコーポレーション 油性ボールペン

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