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JP2006230717A - 創傷被覆材 - Google Patents

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JP2006230717A
JP2006230717A JP2005049944A JP2005049944A JP2006230717A JP 2006230717 A JP2006230717 A JP 2006230717A JP 2005049944 A JP2005049944 A JP 2005049944A JP 2005049944 A JP2005049944 A JP 2005049944A JP 2006230717 A JP2006230717 A JP 2006230717A
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Ayako Isoai
綾子 磯合
Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
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Abstract

【課題】 外部からの雑菌等の侵入を防ぐ支持体層と吸水性と強度と有するハイドロゲル層とで構成されるハイドロゲル創傷被覆材を提供し、さらに詳しくは、寸法安定性に優れた創傷被覆材を提供する。
【解決手段】 側鎖に一級水酸基を有するポリエチレンオキサイド共重合体を架橋して作製したハイドロゲル層と、該ハイドロゲルより水蒸気透過性の低い支持体、例えばシートやフィルムなど、とを組み合わせた創傷被覆材であり、さらには、支持体がハイドロゲル層の過度な乾燥を抑制する結果、寸法安定性に優れた創傷被覆材の提供が可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、火傷や切創、手術創、褥瘡等の皮膚創傷を被覆し、創傷面からの浸出液を吸収し、細菌等の感染を防止する創傷被覆材に関する。さらに詳しくは、支持体層とハイドロゲル層とにより構成されているハイドロゲル創傷被覆材に関する。
これまで、皮膚創傷の被覆材にはガーゼが長年にわたって使用されてきた。しかしながら、ガーゼによる創傷被覆材は創傷部位を乾燥から防ぐことができず、結果として乾燥壊死した組織(かさぶた)が形成されたり、外部から侵入する細菌やカビなどに創傷部位が感染したり、被覆材が創傷部位に固着して剥離するのが難しくなったり、さらには新しくできた組織までも剥離して創傷の治癒を遅延させたり、患者に苦痛や不快感を与えるものであった。
そこで近年、ガーゼ被覆材に代わり、種々の創傷被覆材、例えば、親水性コロイド膜やアルギン酸不織布、キチン・キトサン膜、ポリウレタン多孔体、シリコーン膜、そしてハイドロゲル等が開発されてきた。特にハイドロゲル創傷被覆材は、ゲルに含まれる水分が創傷面に適度な湿潤環境を与え、さらに創傷面から出る水分や浸出液を吸収することができ、乾燥による皮膚組織の壊死が少ない上、過度の細胞増殖を抑えて傷あとを残しにくいことから有利であることが知られている。また、ハイドロゲルは可撓性と弾性があるのでどのような形状の創傷範囲にも順応して被覆することができる。
このようなハイドロゲルは、親水性高分子の分子間を架橋することにより作製され、高い吸水性を示すことが知られている。親水性高分子としては、コストや生産性、生体適合性の面から合成高分子が選択されており、特にポリエチレングリコールやポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。そして、これらの高分子を架橋したハイドロゲル創傷被覆材が多く提案されてきた。
しかしながら、このようなハイドロゲル創傷被覆材にはいくつかの欠点が指摘されている。一つには、ハイドロゲル層の強度である。例えば、特許文献1にはポリビニルピロリドン水溶液を電子射照射により架橋した創傷被覆材及びその製造方法が開示されている。しかし、電子線照射により架橋したハイドロゲル層は一般的に強度が弱く、創傷部位からの浸出液を吸収して軟化し、使用中に崩壊し、剥離後に基材が傷口に残留することが懸念され好ましくない。一般的に、電子線架橋やガンマ線架橋では架橋と同時に主鎖が分解するため、強度を得ることは困難である。
もう一つの欠点として、ハイドロゲルが外部から侵入した雑菌を増殖させる足場となり、創感染を引き起こすことである。例えば、特許文献2にはポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールを含む水溶液をガンマ線照射により架橋した、医療材料用ゲルシートが開示されている。該特許文献では、実際にラットの創傷治癒に関して実施例を用いて言及しているが、創感染に関する記載は何らなされていない。しかし、実施例の開示のように該ゲルシートを数日間にわたって創傷部位に使用すると、外部から雑菌が侵入し、感染を引き起こすことが懸念され、好ましくない。
従って、吸水性と強度を兼ね備え、さらに外部からの雑菌のバリア機能を有するハイドロゲル創傷被覆材を作製することは困難であった。
特開平08−030012号公報 特開2000−210375号公報
本発明は、吸水性と強度を有するハイドロゲル層と、外部からの雑菌等の侵入を防ぐ支持体層からなるハイドロゲル創傷被覆材に関する。さらに詳しくは、ハイドロゲル層の寸法安定性に優れた創傷被覆材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、側鎖に一級水酸基を有するポリエチレンオキサイド共重合体を架橋することより、十分な吸水性と強度を兼ね備えたハイドロゲルを製造できることを見出した。さらに、該ハイドロゲルより水蒸気透過性の低い支持体を組み合わせることにより、外部からの雑菌などの侵入を抑制することができる創傷被覆材を提供できることを見出した。さらに、支持体がハイドロゲル層の過度の乾燥を抑制することにより、寸法安定性に優れた創傷被覆材の提供が可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.側鎖に一級水酸基を有するポリエチレンオキサイド共重合体が架橋されてなるハイドロゲル層と、支持体層とにより構成されていることを特徴とする創傷被覆材。
2.ポリエチレンオキサイド共重合体が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる共重合体であることを特徴とする上記1.に記載の創傷被覆材。
(CH2CH2O) l 、(CH2CH(CH2OH)O) m 、(CH2CHRO) n (1)
(式中、l、m、nは各々の繰り返し単位の数を表し、l、mはそれぞれ1以上の整数、nは0以上の整数を示し、m/(l+m+n)=0.001〜1の範囲である。Rは炭素数1〜30の化合物に由来する官能基またはハロゲン基である。)
3.上記一般式(1)で表される共重合体が、式中のn=0であることを特徴とする上記1.または2.に記載の創傷被覆材。
4.ハイドロゲル層が架橋剤により架橋されていることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載の創傷被覆材。
5.ハイドロゲル層の飽和吸水量が0.1〜100ml/gの範囲にあることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載の創傷被覆材。
6.ハイドロゲル層の吸水量が、飽和吸水量に対して1〜95重量%であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載の創傷被覆材。
7.支持体層の水蒸気透過量が、ハイドロゲル層の水蒸気透過量より低いことを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載の創傷被覆材。
8.支持体層の水蒸気透過量が10〜10,000g/m2 /24hrの範囲にあることを特徴とする上記1.〜7.のいずれかに記載の創傷被覆材。
本発明により、外部からの雑菌等の侵入を阻止し、創傷被覆材として有用な吸水性と強度を有し、さらに寸法安定性に優れたハイドロゲル創傷被覆材を提供することができ、非常に有用である。
以下、本発明を詳細に記載する。
本発明に用いられるポリエチレンオキサイド共重合体は、側鎖に一級水酸基を有することを特徴とする。該共重合体とエポキシ化合物とを反応させる際、末端及び側鎖の一級水酸基を利用して容易に架橋することができる。その結果、該製造方法により容易に硬化体を作製することができる。具体的な構造としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる構造を有するポリエチレンオキサイド共重合体である。
(CH2CH2O) l 、(CH2CH(CH2OH)O) m 、(CH2CHRO) n (1)
式中、l、m、nはそれぞれ繰り返し単位の数を表し、l、mはそれぞれ1以上の整数、nは0以上の整数を示し、m/(l+m+n)=0.001〜1の範囲である。Rは炭素数1〜30の化合物に由来する官能基またはハロゲン基である。
本発明で使用するポリエチレンオキサイド共重合体は、m/(l+m+n)=0.001〜1の範囲である。該範囲が0.001未満では、共重合体に含まれるヒドロキシル基の割合が不十分のため、得られる架橋構造体の強度も不十分となる。硬化体の生産性と得られる架橋構造体の強度を向上させるには、0.01〜0.5の範囲であることが好ましい。
本発明に用いる共重合体の構成成分である−(CH2CH(CH2OH)O) −からなる繰り返し単位は、該繰り返し単位中に含まれるヒドロキシル基を保護した化合物である保護グリシジルエーテルなどのような単量体を用いて形成され、共重合体を製造した後に、該保護基を脱保護することにより目的とする共重合体が得られる。このような単量体としては、t−ブチルグリシジルエーテル、グリシジルテトラヒドロピラニルエーテル、(1−エトキシ)エチルグリシジルエーテル、グリシジルトリメチルシリルエーテル、グリシジルトリメトキシメチルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、アセチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。入手の容易さ、取り扱いの良さなどから、t−ブチルグリシジルエーテル、アセチルグリシジルエーテルが好ましい。
本発明に用いる共重合体の構成成分である−(CH2CHRO) −からなる繰り返し単位は、は炭素数1〜30の化合物に由来する官能基またはハロゲン基であれば、特に限定されない。このような置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロオクチル基、ベンジル基、アリル基などの炭化水素基や、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基などのアルコキシメチル基、塩素、臭素などのハロゲン等が挙げられる。Rの炭素数が30を超えると、基材の疎水性が強くなり、水を吸収しにくくなるため好ましくない。
また、−(CH2CHRO) −からなる繰り返し単位の量としてはn=0以上の整数である。n=0の時は本発明の共重合体中に該繰り返し単位は含まれない、即ちエチレンオキサイドと−(CH2CH(CH2OH)O) −からなる繰り返し単位の二元系共重合となり、共重合体の反応制御や生産性の面から好ましい。
本発明に用いる共重合体の重量平均分子量は500〜1,000,000の範囲である。重量平均分子量が500未満では得られる架橋構造体の強度が不十分であり、1,000,000を超えると本発明の共重合体とエポキシ化合物の混合時の粘度が高く均一に混合できないため、いずれも好ましくない。更に、得られるハイドロゲルの強度と生産性を鑑みた場合、重量平均分子量は5,000〜100,000の範囲であることが望ましい。
本発明の共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良い。反応制御の観点から、ランダム共重合体が好ましい。
以下に本発明に用いる共重合体の製造方法を説明する。
本発明に用いる共重合体の製造方法には、エチレンオキサイドとその他繰り返し単位を構成し得る単量体との開環重合が好適である。本発明に使用される開環重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の形態で適宜実施することが可能であるが、反応熱の制御と重合触媒除去の観点から、溶液重合が好ましい。そこで、以下に溶液重合による開環重合によって共重合体を得る方法を例にあげて本発明に用いることができる共重合体の製造条件について説明する。
本発明において使用される重合溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2〜6のエーテル化合物、アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2〜6のケトン化合物、ノーマルペンタン、シクロペンタン、ノーマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5〜10の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6〜10の芳香族炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3〜6のエステル化合物、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2〜10の含窒素化合物、ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。また、無溶媒中でも実施される。これらは、工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては炭素数2〜6のエーテル化合物および炭素数5〜10の飽和炭化水素化合物が挙げられる。
本発明における重合触媒は特に制限されないが、トリアルキルアルミニウム、水酸化物、アルカリ金属アルコキシドなどの公知の化合物から適宜選択できる。具体的なこれらの化合物には、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムや三フッ化ホウ素エーテル錯体、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどの水酸化物、あるいはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-2−メチル−2−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。この中でも特に、入手の容易さや反応の制御の観点からカリウム-tert-ブトキシド、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムが好ましい。
本発明における重合温度は15〜120℃の範囲で実施することが好ましい。15℃未満では重合反応が進行せず、また120℃を超えると重合触媒が失活するため、いずれも好ましくない。好ましい温度範囲は20〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃である。
重合反応に要する時間は、目的あるいは重合条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には0.5〜30時間の範囲で実施される。
重合終了後における本発明の共重合体の回収は、重合溶液中の固体を減圧濾過することに行うことができる。
以上、本発明に用いる共重合体を溶液重合方法による開環重合で得る方法を例として述べた。
続いて、上記重合方法により得られるヒドロキシル基を保護した共重合体から、保護基を脱保護する方法について説明する。
脱保護方法としては、導入した保護基によって、公知の方法を適宜選択可能である。例えば、t−ブチル基やエトキシエチル基などが保護基の場合は酸処理、アセチル基などが保護基の場合は塩基処理、ベンジル基などが保護基の場合には水素添加処理などが挙げられる。
そこで、以下に保護基としてt−ブチル基を用いた場合の共重合体を得る方法を例に挙げて、本発明に用いることができる共重合体の製造方法について説明する。
本発明において使用される脱保護溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2〜6のエーテル化合物、アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2〜6のケトン化合物、ノーマルペンタン、シクロペンタン、ノーマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5〜10の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6〜10の芳香族炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3〜6のエステル化合物、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2〜10の含窒素化合物、ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物および水が挙げられる。また、無溶媒中でも実施される。これらは、工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては水、炭素数2〜6のエーテル化合物および炭素数3〜6のエステル化合物が挙げられる。
本発明の脱保護に用いる酸は特に制限されないが、無機酸、有機酸、ルイス酸およびイオン交換樹脂などの公知の化合物から適宜選択できる。具体的なこれらの化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸などの有機酸、三臭化ホウ素などのルイス酸などが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。この中でも特に、入手の容易さや反応の制御の観点から塩酸、硫酸、硝酸、イオン交換樹脂が好ましく、塩酸、イオン交換樹脂が特に好ましい。
本発明における脱保護反応温度は15〜120℃の範囲で実施することが好ましい。15℃未満であれば反応が進行せず、また120℃を超えると副反応等が生じるため、いずれも好ましくない。好ましい温度範囲は20〜100℃、さらに好ましくは20〜95℃である。
脱保護反応に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には0.5〜30時間の範囲で実施される。
脱保護反応終了後における本発明に用いる共重合体の回収は、反応溶液中の固体を減圧濾過することに行うことができる。
本発明の共重合体の精製方法としては、共重合体を溶解させた後に、蒸留水を外液とする透析により行うことができる。得られた透析液を0.22μmのフィルターを用いて濾過することにより、更に精製することができる。これらの精製方法を繰り返すことにより、残留金属原子を必要十分な濃度に達するまで除去することができる。更に特別に高純度な共重合体が必要な場合は二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。重合体中の残量金属原子濃度は、上記の精製法を用いて1500wtppm以下にすることができる。1500wtppmを超えると、得られる架橋構造体の着色が懸念され好ましくない。好ましくは300wtppm以下、更に好ましくは10wtppm以下である。
以上、本発明に用いるポリエチレンオキサイド共重合体の製造方法について説明した。
本発明のハイドロゲル層とは、上記共重合体を従来公知の技術で架橋して架橋体を作製し、該架橋体が水を含んでなるハイドロゲルにより構成される。本発明の共重合体の具体的な架橋方法としては、例えば、該共重合体の水酸基に反応し得る官能基を2個以上有する架橋剤による架橋や、金属化合物による架橋、放射線による架橋等を利用して架橋する事により架橋体を作製することができる。その中でも、得られるハイドロゲルの強度が高いこと、架橋部の安定性や生産性に優れることなどの点から、架橋剤による架橋が好ましい。
本発明でいう架橋剤による架橋とは、水酸基と反応しうる官能基を分子内に2個以上有する化合物を利用して、本発明の共重合体を架橋することである。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基やイソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物、アルデヒド基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基、カーボネート基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、ビニルチオエーテル基、アセタール基、ケタール基、クロロスルホン基、カーバメート基、シクロウレア基、アジリジン基、活性エステル基、活性メチレン基、不飽和二重結合基等が挙げられる。本発明では、これらの官能基を1種以上、必要に応じて2種以上有する架橋剤を使用することができる。
エポキシ基を有する架橋剤としては、例えば、グリシジル基や脂環式エポキシ基等をエーテル結合やエステル結合を介して有する脂肪族や芳香族の化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などである。
イソシアネート基を有する架橋剤としては、例えば、イソシアネート樹を有する芳香族や脂肪族などの化合物や、環化三量化したイソシアヌレート化合物等が挙げられる。具体的な化合物としては、デュラネート(商標)、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等である。
カルボキシル基を有する架橋剤としては、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、リンゴ酸等、酸無水物架橋剤としては無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等、アルデヒド基を有する架橋剤としては、グルタルアルデヒドやパラホルムアルデヒド、テレフタルアルデヒド等、アミノ基を有する架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン等、シラノール基を有する架橋剤としては、ジメチルシラン等、アルコキシシラン基を有する架橋剤としては、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明でいう金属化合物による架橋とは、金属架橋物中の金属イオンが、本発明の共重合体中の水酸基に配位して架橋することである。ここでいう金属イオンとしては、例えば、亜鉛やアルミニウム、チタンなど遷移元素のイオンである。これらの金属イオンのアルコキシドやキレート化合物を用いることにより、配位結合による架橋を形成することができる。具体的な化合物としては、硫酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、ジルコニウムプロピレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルアセトナート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラステアロイルチタネート等のアルコキシドや、テトラオクチレングリコールチタン、チタンアセチルアセトナート、アルミニウムトリス(エチルアセテート)等のキレート化合物が挙げられる。
以上のような架橋剤や金属化合物の配合量は、使用する架橋剤や金属化合物の種類等に応じて適宜選択できるが、通常、本発明で使用する共重合体中に存在する水酸基に対して0.01〜5当量の範囲、特に0.1〜2当量の範囲が好ましい。0.01等量未満の場合は架橋が不十分となり十分な強度を持つ架橋構造体が得られず、5当量を超えると架橋時に副反応が生じるため、いずれも好ましくない。
本発明でいう放射線による架橋とは、本発明の共重合体に放射線を照射することで発生したラジカルを利用して架橋することである。放射線としては、例えば、電子線やガンマ線が挙げられる。
次に、本発明のハイドロゲル層を形成する架橋体の製造方法を具体的に説明する。
本発明の架橋体の製造方法は、本発明の共重合体を水や有機溶剤に溶解及び/又は分散させた後に、上記に記載した架橋方法により架橋することで製造する。また、無溶剤中でも実施することができる。
本発明に用いる有機溶剤は、分子内に酸素原子や窒素原子に結合した水素原子を持たない非プロトン性有機溶媒と分子内に酸素原子や窒素原子に結合した水素原子を持つプロトン性有機溶剤に大別することができる。非プロトン性有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノールなどのエーテル系溶剤類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、プロピレンカーボネート、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等などの極性溶剤類、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素系溶剤類が挙げられる。プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、ナフトール等のフェノール類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種類で使用しても、複数の種類を混合して使用しても構わない。これらのなかでも、反応系内から溶媒を蒸留除去・回収することや、回収する際の架橋体組成物の着色、使用する有機溶剤の分解物の残存による悪臭発生防止を考えると、本発明で用いる有機溶剤としては常圧における沸点が150℃以下であることが望ましい。
上記に示した水、あるいは有機溶剤の種類や添加量は、架橋方法の種類や架橋剤の種類等に応じて適宜選択でき、用いる水や有機溶剤の量はポリエチレンオキサイドとエポキシ化合物の合計重量100重量部に対し0〜1000重量部の範囲で選択することができる。ここで、0重量部とは本発明でいう無溶剤下で実施することである。添加する水や有機溶剤の範囲は、好ましくは0〜200重量部である。1000重量部を超えると、強度のあるハイドロゲルが得られないため好ましくない。
本発明の架橋体を作製する場合、非プロトン性有機溶剤が好ましく、さらに非プロトン性有機溶剤中の水分含有量が1,000ppm以下であることが好ましい。これは、本発明の共重合体中にある水酸基のプロトンと、水やプロトン性有機溶媒のプロトンとが架橋剤の反応において競合する結果、得られる樹脂の収率やハイドロゲルの強度が低下するためである。また、有機溶剤の存在下で実施した場合、本発明の共重合体と架橋剤を効率よく混練することができ、さらに架橋体を容易に成形することが可能である。無溶剤下で実施した場合、簡便な洗浄等の精製により溶出物の低減された架橋体を得ることができ、さらに連続生産技術の適用も可能である。
また、架橋体の製造において、必要に応じてその他成分を添加することもできる。その他成分としては、例えば、硬化促進剤等の触媒や反応希釈剤、改質剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の架橋体は、製造時に任意の形状に成形することができる。ここでいう任意の形状とは、例えば、フィルム状(シート状、リボン状などを含む)、繊維状、注型物、塗膜状、含浸物などである。本発明の架橋体の厚さは特に制限されないが、被覆材としての柔軟性や皮膚への追随性、吸水量、強度を考えると、0.1〜100mm程度、さらには0.5〜50mm程度が望ましい。
本発明で作製した架橋体は、製造後、必要に応じてろ過や洗浄などの精製法により不純物を取り除くことが可能である。
このように作製した架橋体に水分を含ませることにより、本発明に用いるハイドロゲルを得ることができる。
以上、本発明のハイドロゲル層を形成する架橋体の製造方法について説明した。
本発明でいう飽和吸水量とは、本発明のハイドロゲル層が吸収できる水分量の最大値であり、具体的には、本発明の架橋体(即ち乾燥させたハイドロゲル)0.1gを100mlの精製水中に室温で24時間浸漬させた時の吸水量であり、以下の式から重量により算出することができる。ここで、W1は吸水前の硬化体重量(g)、W2は24時間水に浸漬後の硬化体重量(g)である。
飽和吸水量(ml/g)=(W2−W1)/W1
本発明のハイドロゲル層の飽和吸水量は、0.1〜100ml/gの範囲である。好ましくは1〜50ml/gの範囲である。飽和吸水量が0.1ml/g未満の場合、創傷面の浸出液を十分吸収することができず、液漏れなどにより周辺の正常皮膚を浸軟させてしまうため好ましくなく、100ml/gを超えると吸水後のゲルが脆弱となり、使用中にゲルが崩壊し、崩れたゲルが皮膚へ残存することが懸念され好ましくない。
本発明でいうハイドロゲル層の吸水量が飽和吸水量に対し1〜95重量%であるということは、ハイドロゲル層がすでに飽和吸水量の5〜99重量%の水分を含有している状態であり、その結果、該ハイドロゲル層がさらに飽和吸水量の1〜95重量%の精製水を吸収できることである。ハイドロゲル層の吸水量が1重量%未満では、創傷面からの浸出駅を吸収できず、貯留した浸出液は創傷面の治癒を遅延させるため好ましくない。ハイドロゲル層の吸水量が95重量%を超えると、即ちハイドロゲル層に既に含まれている水分が5重量%未満となるため、創傷面に十分な湿潤環境を提供できず好ましくない。本発明のハイドロゲル層の吸水量は、飽和吸水量に対し1〜95重量%の範囲であり、好ましくは5〜90重量%の範囲である。
本発明のハイドロゲル層は、必要に応じて、無機塩類や有機塩類、界面活性剤やpH調整剤、無機粉体、防腐剤、顔料、香料、油分、保湿剤、抗炎症剤や殺菌消毒剤、抗菌剤などの薬理活性物質を含有させることができる。本発明のハイドロゲル層は、中間層に各種不織布やフィルムなどを用いることができる。また、ハイドロゲル層の皮膚接触面に粘着層を付与することも可能であり、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤が皮膚への影響が少なく、適度な粘着性と容易な剥離性を有する点から望ましい。
以上、本発明のハイドロゲル層について説明した。
本発明でいう支持体層には、任意の材質の不織布やフィルム、シートを用いることができ、該支持体層の水蒸気透過量はハイドロゲル層の水蒸気透過量よりも低いことを特徴とする。ここでいう水蒸気透過量とは、温度37℃の条件下で被覆材から蒸発する水分量である。本発明の支持体は、水蒸気透過量が1〜10,000g/m2 /24hrの範囲にある材料の中から任意に選択することが可能である。水蒸気透過量が1g/m2 /24hr未満の場合、皮膚からの水蒸気蒸散を妨げる結果、周辺皮膚にあせもやかぶれなどを引き起こすことにより、患者に苦痛や不快感を与えることが懸念され好ましくない。10,000g/m2 /24hrを超えると、皮膚やハイドロゲル層からの過度の蒸散あるいは蒸発により皮膚組織が乾燥壊死したり、ハイドロゲル層の収縮により創傷被覆材が変形したりするため好ましくない。ハイドロゲル層より低い水蒸気透過量である支持体を用いることにより、外部から雑菌等の侵入を阻止し、ハイドロゲル層が吸収した水分の過度な乾燥を防ぎ、創傷面の適度な湿潤性を維持し、さらにはハイドロゲル層の乾燥による収縮などの変形を抑制することができる。外部からのバリア性や水分の保持性を考えると、具体的には、例えば、ポリエチレンフィルムやポリエチレンシート、ポリウレタンフィルムやポリウレタンシート、ポリウレタンフォームなどがより望ましい。
本発明のハイドロゲル層は、通常500〜40,000g/m2 /24hrの範囲で得られるが、支持体層に、例えば、厚さ10μmのポリエチレンフィルムを使用した場合、本発明の創傷被覆材の水蒸気透過量は1〜20g/m2 /24hr程度となり、厚さ10μmのポリウレタンシートを使用した場合は100〜250g/m2 /24hr程度となる。すなわち、支持体層の選択により本発明の創傷被覆材の水蒸気透過量を任意に調整することが可能である。
本発明の支持体の厚さは、上記水蒸気透過量を妨げない限り特に制限されないが、1〜2,000μm程度、さらには5〜1,000μm程度が望ましい。1μm未満では支持体が破れやすくなり、2,000μmを超えると、ハイドロゲル層の皮膚への追随性や柔軟性が損なわれるため、いずれも好ましくない。
本発明のハイドロゲル層及び支持体層は半透明ないし不透明、必要に応じて着色することも可能であるが、本発明の創傷被覆材の外側から創傷部位の治癒具合を観察できる程度に透明性を高くすることが望ましい。
本発明のハイドロゲル層と支持体層は、塗布や貼付など任意の方法によって組み合わせられる。ハイドロゲル層の水分維持やバリア性の点から、支持体層の大きさはハイドロゲル層と同じあるいはそれ以上であることが好ましい。ハイドロゲル層と支持体層を一体化した後は、打ち抜きなどにより所望の形状に成形することも可能である。
このようにハイドロゲル層と支持体層が組み合わせられることにより、ハイドロゲル層の過度の乾燥を抑制し、寸法安定性に優れた創傷被覆材となる。ここでいう寸法安定性とは、37℃、相対湿度50%雰囲気下で、支持体層を外側に向けて貼り付けた時の面積減少率が30%以下であることをいう。面積減少率が30%を超えると、ハイドロゲル層の収縮に伴って創傷被覆材が変形し、歪みにより創傷部位を被覆できなくなるため好ましくない。
本発明の創傷被覆材は製造後、必要に応じて滅菌することも可能である。この場合の滅菌方法は特に制限されないが、例えば、オートクレーブ滅菌やガンマ線滅菌を行うことができる。
以下に実施例などにより本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
共重合体の製造
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器にt−ブチルグリシジルエーテル15mlとエチレンオキサイド91mlおよびカリウムt−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液0.6mlおよび溶媒としてエチレングリコールジメチルエーテル200mlを加え、80℃で19時間反応を行った。反応終了後、溶媒を除去することで目的とする化合物(I)80gを白色固体として得た。得られた化合物(I)のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は54,000であった。 1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化ジメチルスルホキシド溶媒中での測定により、δ1.11にt−ブチル基に由来する単線ピークが観測され、さらにδ3.40〜3.82に主にポリエチレングリコールに由来するピークが見られた。更に、 1H−NMR分析によるt−ブチル基の導入率はモル比で5.57%であった(t−ブチル基はグリシドールの水酸基の保護基である)。
氷冷下、上記化合物(I)20.35gに、国産化学(株)製4N−塩化水素の1,4−ジオキサン溶液200mlを加えて室温下で30時間反応させた。反応終了後、反応溶媒を減圧下留去し、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000〜14,000)を用い精製水を外液とした2日間の透析を行い、次いでミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE、0.22μm)を用いてろ過し、次いで凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的生成物化合物(II)17.79gを得た。 1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化DMSO溶媒中での測定により、δ1.11に存在したt−ブチル基に由来する単線ピークが消失し、t−ブチル基が除去されたことが確認されたことにより、側鎖に一級水酸基を有するポリアルキレンオキサイドを得た。ここで、化合物(II)の側鎖一級水酸基の導入率はt−ブチル基の導入率と等しく、モル比で5.57%(一般式(1)におけるm/(l+m+n)=0.0557)となる。得られた化合物(II)のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は58,000であり、Mw/Mn=1.54であった。GPCの結果を図1に示す。また、化合物(II)の融点は44.9℃であった。DSCの結果を図2に示す。
〔実施例1〕
化合物(II)10g、8N水酸化ナトリウム水溶液0.47mlを120℃で10分間撹拌・混合した後、60℃まで降温した。次いでEGDGE1.4g(化合物(II)の水酸基に対して1当量)を添加し、60℃で10分間撹拌・混合した組成物を厚さ1mmのシリコンスペーサーを挟んだ2枚のガラス板(100×100mm)に入れ、100℃で1hr加熱保持することにより、厚さ約1mmの架橋体を得た。この架橋体の飽和願水量は4.6ml/g、水蒸気透過量は29,400g/m2 /24hrであった。この架橋体に10gの蒸留水を吸水させ、含水率50%のハイドロゲルを作製した。このハイドロゲルの片面にアクリル系接着剤が塗布されたポリエチレンフィルム(厚さ100μm)を貼り付け、5cm角に打ち抜くことにより、吸水量が3.6ml、水蒸気透過量が456g/m2 /24hrの創傷被覆材を作製した。
〔比較例1〕
ポリエチレンフィルムを貼り付けない実施例1のハイドロゲルを5cm角に打ち抜き、比較例1とした。
〔実施例2〕
実施例1のポリエチレンフィルム面を外側にしてガラス板(10×10cm)貼り付け、37℃,相対湿度50%の恒温恒湿機中に24hr静置した。24hr静置後のハイドロゲル層の面積収縮率は、約3%であった。
〔比較例2〕
比較例1を使用し、実施例2と同様の操作により24hr静置後のハイドロゲル層の面積収縮率を測定したところ、約45%であった。
〔比較例3〕
市販のPVA製ハイドロゲル創傷被覆材(大鵬薬品株式会社製、商標『ビューゲル』、飽和吸水量6.1ml、含水率80%)を、比較例3とした。比較例3は、吸水量2.1ml、水蒸気透過量283g/m2 /24hrの創傷被覆材であった。
〔実施例3〕
実施例1のハイドロゲル層を上向きにして試料台にのせ、クリープメータ((株)山電製:RHEONER33005)により直径3mmのプランジャー(ポリアセタール架橋体製)にて速度0.5mm/秒で圧縮した時の歪率20%の破断応力を測定した。その結果、実施例1の破断応力は117,000N/m2 で、指で押しつぶそうとしてもつぶれない、十分な強度を有していた。
〔比較例4〕
実施例3と同様に比較例3の強度を測定した結果、破断応力は34,223N/m2 で、指で押しつぶせる程度の強度であった。
〔比較例5〕
比較例5として、市販のポリウレタン製フィルム(スミスアンドネフュー株式会社製、商標『オプサイト』)を使用した。
〔実施例4〕
雌性ラット(日本チャールズリバー株式会社より購入)を、ペントバルビタールナトリウム麻酔後、背部を剃毛・消毒後、皮膚表面をフリーハンドデルマトームにより背部に深さ約0.7mm、直径15mmの皮膚欠損創を3ヶ所作製した。実施例1の創傷被覆材を直径20mmに打ち抜き、各創傷面を被覆し、粘着テープで固定した。その上に滅菌ガーゼ及び滅菌脱脂綿をのせ、弾性包帯にて圧迫固定した。処置7日後の創傷状態を肉眼的に観察したところ、浸出液の貯留は認められず、また真皮の乾燥壊死も認められなかった。また、創傷の縁からの新生表皮が進展した距離は、平均3.2mmであった。
〔比較例6〕
実施例1の創傷被覆材を用いる代わりに、比較例5のポリウレタン製フィルムを用いる以外は実施例4と同様に創傷面を被覆し、処置7日後の創傷状態を観察したところ、浸出液の貯留が認められ、創傷の縁からの新生表皮の進展距離は、平均約0.7mmであった。
十分な吸水性と強度を兼ね備えたハイドロゲルを製造し、該ハイドロゲルと、該ハイドロゲルより水蒸気透過性の低い支持体とを組み合わせることにより、外部からの雑菌などの侵入を抑制することができる創傷被覆材であって、さらに、支持体がハイドロゲル層の過度の乾燥を抑制し、寸法安定性に優れた創傷被覆材を得た。
本発明の製造例1における化合物(II)のGPCの結果である。 本発明の製造例1における化合物(II)のDSCの結果である。

Claims (8)

  1. 側鎖に一級水酸基を有するポリエチレンオキサイド共重合体が架橋されてなるハイドロゲル層と、支持体層とにより構成されていることを特徴とする創傷被覆材。
  2. ポリエチレンオキサイド共重合体が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。
    (CH2CH2O) l 、(CH2CH(CH2OH)O) m 、(CH2CHRO) n (1)
    (式中、l、m、nは各々の繰り返し単位の数を表し、l、mはそれぞれ1以上の整数、nは0以上の整数を示し、m/(l+m+n)=0.001〜1の範囲である。Rは炭素数1〜30の化合物に由来する官能基またはハロゲン基である。)
  3. 上記一般式(1)で表される共重合体が、式中のn=0であることを特徴とする請求項1または2に記載の創傷被覆材。
  4. ハイドロゲル層が架橋剤により架橋されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の創傷被覆材。
  5. ハイドロゲル層の飽和吸水量が0.1〜100ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の創傷被覆材。
  6. ハイドロゲル層の吸水量が、飽和吸水量に対して1〜95重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の創傷被覆材。
  7. 支持体層の水蒸気透過量が、ハイドロゲル層の水蒸気透過量より低いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の創傷被覆材。
  8. 支持体層の水蒸気透過量が10〜10,000g/m2 /24hrの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の創傷被覆材。
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