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JP2006225935A - 複合基材およびこれを用いた床材 - Google Patents

複合基材およびこれを用いた床材 Download PDF

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JP2006225935A
JP2006225935A JP2005039759A JP2005039759A JP2006225935A JP 2006225935 A JP2006225935 A JP 2006225935A JP 2005039759 A JP2005039759 A JP 2005039759A JP 2005039759 A JP2005039759 A JP 2005039759A JP 2006225935 A JP2006225935 A JP 2006225935A
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JP2005039759A
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Isao Yoshimura
功 吉村
Yoshiaki Aota
良明 青田
Yasuhiro Matsukawa
康宏 松川
Hitoshi Nakagawa
均 中川
Hiroshi Matsubara
弘 松原
Masabumi Shimizu
正文 清水
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】 合板からの「ヤニ」の染み出しを防止することができる複合基材および床材を提供すると共に、表面平滑性や耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性、あるいは、耐キャスター性や耐落下衝撃性に優れる床材を提供することである。
【解決手段】 合板42の一方の面に下地層41を設け、該下地層41面に第1樹脂含浸紙硬化層40を設けた複合基材4において、前記第1樹脂含浸紙硬化層40がジアリルフタレート樹脂を含浸した樹脂含浸紙を前記合板42に設けた下地層41面に積層して熱圧成形により一体化させた層であることを特徴とする複合基材4。
【選択図】 図2

Description

本発明は、表面硬度を向上させると共に木質系基材の特に「節」からの「ヤニ」の染み出しを防止することができる複合基材と、この複合基材に装飾層を設けた床材に関し、さらに詳しくは、表面平滑性や耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性、あるいは、耐キャスター性や耐落下衝撃性に優れることは元より、特に「ヤニ」の染み出しに起因する接着不良を防止することができる複合基材およびこれを用いた床材に関するものである。
従来から、木質系基材に化粧シートを貼着した床材が知られている。床材に用いられる前記化粧シートとしては、床材として求められる表面物性、すなわち、耐擦傷性や耐汚染性を確保する意味から、通常は表面に硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられている。また、床材に用いられる前記木質系基材としては、通常はラワン材を用いた合板が用いられているが、このような合板からなる床材はキャスター付き家具のキャスター部、あるいは、椅子や机等の脚部先端部に荷重が掛かった場合に、その表面に傷が付いたり、あるいは、凹んだりし易いという問題や合板表面の凹凸がそのまま化粧シート表面に現出して意匠性を損ない易いという問題があった(たとえば、特許文献1参照)。
上記問題を解決するものとして、化粧シートを貼着する側の前記合板の面に中密度繊維板、いわゆるMDFを積層した複合材を用いた床材が採用されるようになり、木質系基材として合板のみを用いた床材の問題を解決することができたが、中密度繊維板(MDF)は水を吸収して膨らみ、床面に波打ちが生じ易く、水が床に飛散し易い台所等の床には使い辛いという問題があった。
そこで、本出願人は、先に、上記した諸問題を解決するために、合板上にジアリルフタレート樹脂を紙基材に含浸させた樹脂含浸紙を載置し、これを熱圧成形して合板の一方の面に樹脂含浸紙硬化層を設けた複合材と、該複合材の前記樹脂含浸紙硬化層上に接着剤層を介して表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を有する化粧シートを積層した床材を提案した。この床材は、表面硬度があり、水の影響を受け難く、表面平滑性や耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性、あるいは、耐キャスター性や耐落下衝撃性に優れるものとすることができたが、珠に発生する合板と樹脂含浸紙硬化層との間が部分的に接着しない(外観上は膨れた状態を呈する)という問題は未解決のまま残された。この原因としては、熱圧成形時に合板から「ヤニ」が染み出すものがあり、この「ヤニ」が樹脂含浸紙の硬化を阻害し、結果として合板と樹脂含浸紙硬化層とが「ヤニ」の染み出した部分において接着しないためであるが、「ヤニ」が染み出すか否かは熱圧成形して始めて分かることであり、可及的速やかに解決する必要があった。
特開2001−193267号公報
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、合板からの「ヤニ」の染み出しを防止することができる複合基材および床材を提供すると共に、表面平滑性や耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性、あるいは、耐キャスター性や耐落下衝撃性に優れる床材を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、合板の一方の面に下地層を設け、該下地層面に第1樹脂含浸紙硬化層を設けた複合基材において、前記第1樹脂含浸紙硬化層がジアリルフタレート樹脂を含浸した樹脂含浸紙を前記合板に設けた下地層面に積層して熱圧成形により一体化させた層であることを特徴とするものである。このように構成することにより、合板に比べて表面硬度があると共に水の影響を受け難く、合板からの「ヤニ」の染み出しを防止することができる複合基材とすることができる。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の複合基材において、前記合板の他方の面に第2樹脂含浸紙硬化層を設けると共に、該第2樹脂含浸紙硬化層がジアリルフタレート樹脂を含浸した樹脂含浸紙を前記合板の他方の面に積層して熱圧成形により一体化させた層であることを特徴とするものである。このように構成することにより、加工時や時間経過に伴う複合基材しいては床材の反りや捩れを防止することができる。
また、請求項3記載の本発明の床材は、請求項1、2のいずれかに記載の複合基材において、前記第1樹脂含浸紙硬化層面に接着剤層と装飾層が順に積層されると共に前記装飾層の表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられたことを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明は、請求項3記載の床材において、前記装飾層が合成樹脂製シート基材からなる化粧シートであることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の本発明は、請求項4記載の床材において、前記合成樹脂製シート基材がオレフィン系熱可塑性樹脂からなることを特徴とするものである。
また、請求項6記載の本発明は、請求項4、5のいずれかに記載の床材において、前記表面保護層が前記合成樹脂製シート基材にアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体とイソシアネートとから形成されたプライマー層を介して形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項7記載の本発明は、請求項4記載の床材において、前記装飾層が前記合成樹脂製シート基材からなる化粧シートの前記接着剤層側の面にバッカー材を積層したものであることを特徴とするものである。
また、請求項8記載の本発明は、請求項3記載の床材において、前記装飾層が紙系シート基材からなる化粧シートであることを特徴とするものである。
また、請求項9記載の本発明は、請求項3〜8のいずれかに記載の床材において、前記表面保護層が微粒子を含有した層であることを特徴とするものである。
また、請求項10記載の本発明は、請求項3記載の床材において、前記装飾層が突板であることを特徴とするものである。
本発明の複合基材は、表面硬度があり、水の影響を受け難く、かつ、合板からの「ヤニ」の染み出しを防止することができて部分的に接着不良を起こすことがないという優れた効果を奏し、また、本発明の複合基材を用いた床材は、表面平滑性や耐擦傷性、耐汚染性等の表面物性、あるいは、耐キャスター性や耐落下衝撃性に優れるという効果を奏するものである。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明にかかる複合基材の層構成を図解的に示す図、図2は本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図、図3は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第1実施形態を図解的に示す層構成図、図4は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第2実施形態を図解的に示す層構成図、図5は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第3実施形態を図解的に示す層構成図、図6は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第4実施形態を図解的に示す層構成図であり、図中の1は床材、2,2’は装飾層、3,3’,3”は接着剤層、4は複合材、5,5’,5”はプライマー層、6は凹凸模様、7はワイピングインキ、8は絵柄印刷層、8’はベタ柄印刷層、9はバッカー材、21は表面保護層、22は合成樹脂製透明シート、22’は合成樹脂製シート、23は紙系シート、40は第1樹脂含浸紙硬化層、41は下地層、42は合板、αは微粒子をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかる複合基材の層構成を図解的に示す図であって、複合基材4は合板42の一方の面に下地層41を介して第1樹脂含浸紙硬化層40が積層されたものである。前記合板42としては、たとえば、ラワン材や松材からなる合板を挙げることができ、繊維方向が異なる単板を一層毎に複数層、たとえば、3層、5層、7層を配置したものであって、表層の繊維方向が合板の長手方向と平行に構成されたもの、あるいは、表層の繊維方向が合板の長手方向と直交する方向に構成されたものの、いずれであってもよいものである。また、図示はしないが、前記合板42の側端部には雌実、雄実からなる実部が設けられ、後述する床材1とした際に前記雌実、雄実を嵌合させて床下地上に敷設される。
また、前記下地層41は、主に熱圧成形時に発生する前記合板42からの「ヤニ」の染み出しを防止するために設ける層であり、ヤニ染み出し防止下地層ということもできるし、さらに別の機能としては、前記合板42の表面凹凸を均すと共に表面硬度を向上させるために設ける層であり、表面平滑付与層兼硬度向上層ということもできる層であり、上記目的を達成することができる樹脂であれば特に限定することなく用いることができ、たとえば、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、カゼイン、アクリル、ポリエステル、スチレン、ブタジエン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン−ブタジエン共重合体等の熱可塑性樹脂やメラミン、尿素(ユリア)、フェノール(レゾール型)、ウレタン、メラミン−ホルムアルデヒド重縮合物、メラミン−ユリア−ホルムアルデヒド重縮合物等の熱硬化性樹脂を挙げることができ、これらの樹脂は加工適性、生産性、あるいは、合板への浸透性や層の硬度等を考慮して熱可塑性樹脂の1種ないしそれ以上および/ないし熱硬化性樹脂の1種ないしそれ以上を混合して用いてもよいものである。前記下地層41の形成方法としては、上記した樹脂を溶液化したものをロールコート法等の周知の塗布方法で塗布し、乾燥あるいは硬化させることにより形成することができるが、塗膜の平滑性、生産性、安全性(消防法や作業環境面)等の理由から水系あるいは水分散系樹脂が好ましく、塗布量としてはウエット状態で65〜160g/m2が適当である。また、前記合板42の表面硬度を向上させる意味から、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性バリウム、タルク等の体質顔料や小麦粉、木粉等の表面硬度増強剤を添加した溶液を用いるのが好ましく、添加量としては樹脂分100重量部に対して20〜70重量部が適当である。
前記第1樹脂含浸紙硬化層41としては、ジアリルフタレート樹脂(以下、DAP樹脂と呼称する)を含浸させた樹脂含浸紙を前記合板42の一方の面に設けた前記下地層41上に載置して熱圧成形することにより前記合板42と一体化した複合基材4として得ることができる。この熱圧成形条件としては、たとえば、温度130〜160℃、圧力7〜13kg/cm2、加圧時間20〜120秒程度である。前記樹脂含浸紙に用いる含浸基材としては、たとえば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等の紙基材や綿布、あるいは、各種素材からなる織布や不織布等の布基材を挙げることができ、その坪量としては概ね30〜120g/m2が適当である。前記含浸基材に含浸させるDAP樹脂としては、ジアリルテレフタレートモノマー、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルテレフタレートプレポリマー、ジアリルオルソフタレートプレポリマー等のジアリルフタレートモノマーあるいはプレポリマーの1種ないし2種以上、または前記ジアリルフタレートモノマーあるいはプレポリマーの1種ないし2種以上と不飽和ポリエステルとの混合物、さらにはアクリレートを添加した混合物を挙げることができる。
そして、前記DAP樹脂には、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド等の周知の過酸化物系硬化剤、あるいは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチルニトロニトリル、2,2’−アゾビス−2−2,4−ジメチルバレロニトリル等の周知のアゾ系硬化剤が添加される。また、必要に応じて硬化促進剤、硬化抑制剤、内部離型剤、光開始剤、充填剤等を添加してもよいものである。
前記含浸基材に前記DAP樹脂を含浸させる方法としては、溶液化した前記DAP樹脂を浸漬法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の両面ないし片面塗布により含浸させると共に乾燥させればよいものである。前記DAP樹脂の乾燥後の塗布量としては、概ね50〜300g/m2、好ましくは70〜250g/m2である。
なお、図示はしないが、DAP樹脂を含浸させた前記樹脂含浸紙を前記合板42の他方の面にも配置して上記と同様に熱圧成形することにより、前記合板42の他方の面にも第2樹脂含浸紙硬化層を設けた複合基材としてもよく、このように構成することにより、前記複合基材4と比べて加工時の反りや捩れ、あるいは、時間経過に伴う複合基材しいては後述する床材1とした際の反りや捩れを防止することができる。なお、前記合板42の一方の面と他方の面に設ける第1樹脂含浸紙硬化層と第2樹脂含浸紙硬化層とは同時に設けてもよいし、別々に設けてもよいものである。
図2は本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図であって、床材1は図1に示した複合基材4の前記第1樹脂含浸紙硬化層40上に接着剤層3を介して電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を有する装飾層2を設けたものである。
前記接着剤層3としては、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて周知のドライラミネーション法で形成すればよい。前記ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等を挙げることができ、イソシアネート成分としては、TDI、MDI、HDI、PIDI、XDI等のジイソシアネートおよびこれらを出発原料とする変性体を挙げることができるが、塗布量や作業性および作業環境を考慮すると、湿気硬化型ホットメルト接着剤が好ましい。
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両末端にイソシアネート基をそれぞれ1個以上有するポリイソシアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こし、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じ、この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反応し、ビューレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等である。これらの1種ないし2種以上の骨格構造を適宜採用することにより、接着剤物性を調整することができる。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じ、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
ポリイソシアネートプレポリマーの具体例としては、たとえば、ポリオールに過剰のイソシアネートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、かつ、分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−14287号公報に開示されているような、ポリイソシアネートにポリエステルポリオールとポリブタジエン骨格を有するポリオールとを任意の順序で加えて付加反応させて得られたポリエステル骨格とポリブタジエン骨格とがウレタン結合により結合された構造を有し、かつ、分子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレポリマー、あるいは、特開平2−305882号公報に開示されているような、ポリカーボネート系ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリカーボネート系ウレタンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレポリマー等が挙げられる。
また、湿気硬化型ホットメルト接着剤としては、上記した各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、各種物性を調節するために、上記した必須反応成分に、必要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填剤等の各種副材料を添加することもできる。これらの副材料としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エチルアクリレート(EAA)、エチレン−メタクリレート(EMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等の熱可塑性樹脂、テルペン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤等である。
上記した湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗布量は、固形分として概ね10〜50g/m2、好ましくは25〜40g/m2である。接着剤の塗布面は、前記装飾層2の前記表面保護層21の反対面であってもよいし、前記第1樹脂含浸紙硬化層40面であってもよいものである。
次に、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を有する装飾層2について説明する。図3は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第1実施形態を図解的に示す層構成図であって、装飾層2は合成樹脂製シート基材としての合成樹脂製透明シート22の一方の面にエンボス加工を施して凹凸模様6を設け、その上からワイピング処理を施して前記凹凸模様6の凹部内にワイピングインキ7を充填した後に、表出面全面にプライマー層5を設けると共に前記合成樹脂製透明シート22の他方の面にプライマー層5’を介して絵柄印刷層8、ベタ柄印刷層8’を順に印刷形成した合成樹脂製シート基材からなる化粧シートであって、該化粧シートの前記プライマー層5上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を形成したものである。この装飾層2は該装飾層2の前記ベタ柄印刷層82と前記複合基材4の前記第1樹脂含浸紙硬化層40とが前記接着剤層3を介して貼合される。
図4は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第2実施形態を図解的に示す層構成図であって、装飾層2は合成樹脂製シート基材としての合成樹脂製シート22’の少なくとも一方の面にプライマー層5”を設け、該プライマー層5”上にベタ柄印刷層8’、絵柄印刷層8を順に印刷形成し、さらに前記絵柄印刷層8側の面全面に前記接着剤層3で説明した、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤で形成した接着剤層3’を介して合成樹脂製透明シート22が周知のドライラミネーション法で貼合され、該合成樹脂製透明シート22の表面にエンボス加工を施して凹凸模様6を設け、その後、図3に示したと同様に、凹凸模様6の上からワイピング処理を施して前記凹凸模様6の凹部内にワイピングインキ7を充填し、さらに表面にプライマー層5を設けた合成樹脂製シート基材からなる化粧シートであって、該化粧シートの前記プライマー層5上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を形成したものである。この装飾層2は該装飾層2の前記合成樹脂製シート22’と前記複合基材4の前記第1樹脂含浸紙硬化層40とが前記接着剤層3を介して貼合される。前記合成樹脂製シート22’は、一般的には着色シートが用いられるが、無着色シートであってもよい。なお、図3、4に示した装飾層2は、エンボス加工とワイピング処理した実施態様を示したが、本発明に供する装飾層2はこれに限るものではなく、表面平滑性に優れた鏡面仕上げの装飾層であってもよいものである。
図5は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第3実施形態を図解的に示す層構成図であって、装飾層2は紙系シート基材としての紙系シート23の一方の面にベタ柄印刷層8’、絵柄印刷層8を順に印刷形成した化粧シートであって、前記絵柄印刷層8側の面全面に微粒子αを含有した電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を形成したものである。この装飾層2は該装飾層2の前記紙系シート23と前記複合基材4の前記第1樹脂含浸紙硬化層40とが前記接着剤層3を介して貼合される。
次に、前記装飾層2を構成する諸材料について説明する。まず、前記合成樹脂製透明シート22および前記合成樹脂製シート22’としては、加工適性に優れ、燃焼時に有害なガスを発生しないことなどから、飽和ポリエステル樹脂や低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレンαオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂を挙げることができるが、比較的安価であることを考慮すると前記オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。前記合成樹脂製透明シート22および前記合成樹脂製シート22’は未延伸の状態、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した状態のいずれの状態であってもよいものであって、厚さとしては概ね60〜300μm程度である。また、これらのシートは必要に応じて必要な面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の周知の易接着処理を施してもよいものである。
また、前記紙系シート23としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等を挙げることができるし、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維、ポリエステル、ビニロン等の有機樹脂等を用いた織布ないし不織布等を挙げることができる。
また、前記絵柄印刷層8および前記ベタ柄印刷層8’としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷法でインキを用いて形成することができる。前記絵柄印刷層8としては、たとえば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄であり、前記ベタ柄印刷層8’としては隠蔽性を有する着色インキでベタ印刷したものである。図3〜5においては、前記絵柄印刷層8と前記ベタ柄印刷層8’の両印刷層を設けた構成を示したが、いずれか一方の構成であってもよいものである。
また、前記絵柄印刷層8および前記ベタ柄印刷層8’を形成するインキとしては、ビヒクルとして塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等を1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができ、環境問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクルが適当であり、より好ましくはポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものである。また、前記ワイピングインキ7についても、上記したインキを用いればよいものである。
次に、前記表面保護層21を形成する電離放射線硬化型樹脂について説明する。電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、またはエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマーまたはポリマーからなる。これら単量体、プレポリマーまたはポリマーは、単体で用いるか、あるいは、複数種混合して用いる。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレートないしメタアクリレートの意味で用いる。また、電離放射線とは、電磁波ないし荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常は紫外線ないし電子線である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートとは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速いため、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
上記した電離放射線硬化型樹脂を、紫外線を照射することにより硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独ないし混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独ないし混合物として用いることができる。なお、これら光重合開始剤の添加量は、一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。前記表面保護層21の形成方法としては、前記した電離放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法やロールコート法等の周知の塗布方法で前記合成樹脂製透明シート22あるいは前記紙系基材23の所定の面に塗布することにより形成することができる。塗布量としては、固形分として概ね5〜200g/m2が適当であり、好ましくは15〜30g/m2である。
次に、電離放射線硬化型樹脂からなる前記表面保護層21に、一層の耐擦傷性や耐摩耗性を付与する場合には、酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、黒鉛等の無機粒子、あるいは、架橋アクリル等の合成樹脂からなるビーズなどの有機粒子等の微粒子α(図5参照)を加えることにより達成することができる。前記微粒子α(図5参照)は微粒子表面に突起や角のあるものでもよいが、突起や角のない真球状、楕円上、あるいは、これらに近い形状が加工適性の点から、また、靴底等を摩耗させない点等から好ましい。前記微粒子αの平均粒子径としては、前記表面保護層21の塗膜厚さにより選択して用いる必要があるが、基本的には前記微粒子αが前記表面保護層21から一部表出するように選択すべきであり、通常、平均粒径としては5〜100μm程度のものである。また、前記微粒子αの電離放射線硬化型樹脂100重量部に対する割合は1〜50重量部、好ましくは5〜20重量部である。なお、実施例においては、前記微粒子αを図5に示した第3実施形態の装飾層2の表面保護層21にのみ含有させたものを示したが、図3、4の第1実施形態、第2実施形態の装飾層2の前記表面保護層21に含有させてもよいものである。
次に、前記プライマー層5、5’、5”について説明する。前記プライマー層5は前記合成樹脂製透明シート22と前記表面保護層21との接着強度を向上させる目的で設けるものであり、前記プライマー層5’は前記合成樹脂製透明シート22と前記絵柄印刷層8ならびに前記ベタ柄印刷層8’との接着強度を向上させる目的で設けるものであり、前記プライマー層5”は前記合成樹脂製シート22’と前記ベタ柄印刷層8’との接着強度を向上させる目的で設けるものである。以下、前記プライマー層5、5’、5”を総称してプライマー層と呼称する。このプライマー層としては、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、(ii)イソシアネートとからなる樹脂で形成されたものである。すなわち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させたものが前記プライマー層である。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよいものである。共役二重結合が残っているアクリル重合体を混合することにより、前記プライマー層と接する層、たとえば、前記表面保護層21の電離放射線硬化型樹脂とアクリル重合体の共役二重結合が反応するために電離放射線硬化型樹脂との間の接着性を向上させることができる。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成するものである。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族ないしスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物ないしその誘導体、またはエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、および、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、前記合成樹脂製透明シート22あるいは前記合成樹脂製シート22’との接着性に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族ないし脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、たとえば、テトラ目チレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基および水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、たとえば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成することができる。プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/m2であり、好ましくは1〜5g/m2である。また、このプライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、または、これらの2量体、3量体などの多量体、あるいは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。なお、図3、図4の装飾層2においては、プライマー層(図3、4上、符号5、5’、5”で示した層)を設けた構成のものを示したが、これは、床材としての高レベルの要求に応える仕様であり、床材としての要求レベルが低い場合にはこれらプライマー層(図3、4上、符号5、5’、5”で示した層)は必ず設けなければならないものでもないし、また、図5において、前記紙系シート23と前記ベタ柄印刷層8’との間、あるいは、前記ベタ柄印刷層8’および前記絵柄印刷層8と前記表面保護層21との間に上記したプライマー層を設けて接着強度を向上させるなり、あるいは、前記ベタ柄印刷層8’および前記絵柄印刷層8の表面保護をするなりして高レベルの要求に応える仕様としてもよいものである。
また、前記凹凸模様6は加熱プレスやヘアライン加工などにより形成することができ、その模様としては、たとえば、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝、鏡面等である。
また、図6は本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第4実施形態を図解的に示す層構成図であって、装飾層2’は図4に示した第2実施形態の装飾層2の前記合成樹脂製シート22’の面に、先に説明した前記接着剤層3と同じ樹脂からなる接着剤層3”を介してバッカー材9を積層したものであって、これ以外は図4に示した第2実施形態と同じである。この場合は、図示はしないが、図2に示した前記装飾層2に代えて前記装飾層2’を用いて、前記装飾層2’の前記バッカー材9と前記複合基材4の前記第1樹脂含浸紙硬化層40とが前記接着剤層3を介して積層されて床材1となる。前記バッカー材9としては、昨今の環境問題を考慮してハロゲン元素を分子構造中に含まない樹脂が適当であり、たとえば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等の樹脂からなるシート、あるいは、結晶性ポリエチレンテレフタレートシート(いわゆるC−PET)や非晶性ポリエチレンテレフタレートシート(いわゆるA−PET)、あるいは、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレートシート〔いわゆる、イーストマンケミカルカンパニー製PET−G(商品名)〕などを例示することができ、厚さとしては概ね200〜500μmが適当である。これらのシートは単層であってもよいし、複層であってもよいし、また、用いる樹脂は単独であってもよいし、混合物であってもよい。また、前記バッカー材9は必要な面に、必要に応じてコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施すことができる。なお、図示はしないが、前記バッカー材9を図3に示した第1実施形態の装飾層2の裏面(表面保護層21の反対面)に適用してもよいものである。
なお、今までは、表層に表面保護層21を設けた装飾層2、2’ということで説明してきたが、本発明の床材はこれに限ることはなく、たとえば、図3、4、6における前記プライマー層5および/ないし前記表面保護層21を形成する前の装飾層2、2’を前記複合基材4に積層した後に前記プライマー層5および/ないし前記表面保護層21を設けるように構成してもよいし、また、図5における前記表面保護層21を形成する前の装飾層2を前記複合基材4に積層した後に前記表面保護層21を設けるように構成してもよいものである。また、図示はしないが、図3〜6に示した装飾層2、2’に代えて、厚さが0.15〜0.7mm、好ましくは0.15〜0.3mmのカシ、ナラ、セン、ブナ、ケヤキ、カシ等の突板を用いてもよいものである。この場合は、当然のことながら、表面保護層21は複合材4に突板を積層した後に設けるものである。また、図示はしないが、図3〜6に示した装飾層2、2’に代えて、ポリプロピレンフィルムの一方の面に上記した突板を貼合して後に前記ポリプロピレンフィルム側からエンボス加工を施し、その後に前記ポリプロピレンフィルム面に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を設けた積層材を用いてもよいものである。なお、突板を用いる仕様にあっては、突板の裏面(合板側となる面)に干割れ防止や加工性を考慮して紙や不織布を貼合してもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、熱圧成形時の「ヤニ」による接着不良(外観上は膨れた状態を呈する)を防止するという本発明の効果を確認するために、合板として「ヤニ」が略100%染み出す「節」が存在する針葉樹材製合板を用いて複合基材を作製した。
[複合基材の作製]
12mm厚さの北海道産とど松単板からなる針葉樹材製合板(5ply)の一方の面に、表1に示す配合からなる水溶性樹脂組成物(100重量部)とアクリル酸エステル−スチレン−ブタジエン共重合体(275重量部)とを混合した下地層形成樹脂溶液をロールコート法にてウエット状態で90g/m2塗布し、未乾燥状態にある該塗布面に60g/m2のクラフトノーサイズ紙にDAP樹脂(120g/m2)を含浸させた樹脂含浸紙を載置すると共に両面にジュラルミン製鏡面板を配置して温度130℃、圧力7kg/cm2、加圧時間100秒の加工条件で熱圧成形して合板の一方の面に樹脂含浸紙硬化層を形成した複合基材を作製した。
Figure 2006225935
前記複合基材は、針葉樹材製合板の「節」の存在する箇所においても、膨れることなく、良好な接着状態を示した。このように、本発明は「ヤニ」が染み出しやすい「節」のある針葉樹からなる合板において熱圧成形時に「ヤニ」の染み出しに起因する合板と樹脂含浸紙硬化層との接着不良を防止することができるという優れた効果を奏するものである。
[第1実施形態の表面保護層を備えた装飾層(第1実施形態の化粧シート)の作製]
両面にコロナ放電処理を施した120μm厚さのポリプロピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製:150AG3(商品名)〕の一方の面(裏面)にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア印刷法で固形分が2g/m2となるように塗布して印刷用プライマー層を形成し、該印刷用プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法で木目模様の絵柄印刷層とベタ柄印刷層を形成した。その後、前記ポリプロピレンフィルムの他方の面(表面)に前記木目模様の絵柄印刷層の導管部に対応するようにエンボス版で凹部を設け、該凹部内にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなるセピア色のワイピングインキを充填して乾燥させると共に、その上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア印刷法で固形分が2g/m2となるように塗布して表面保護層用プライマー層を形成し、その後に、該表面保護層用プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂〔大日精化工業(株)製:EBF−04(商品名)〕をロールコート法で塗布・乾燥して後に電子線(175KeV、5Mrad)を照射して固形分が20g/m2の表面保護層を形成した第1実施形態の表面保護層を備えた装飾層(第1実施形態の化粧シート)を作製した。
上記で作製した複合基材の樹脂含浸紙硬化層面に湿気硬化型ホットメルト接着剤〔日本エヌエスシー(株)製:MRシリーズ(商品名)〕をロールコート法で40g/m2塗布すると共に上記で作製した第1実施形態の化粧シートを接着剤面にベタ柄印刷層が位置するように貼合して本発明の床材を得た。
上記で作製した実施例1の床材について、耐落下衝撃性を下記する評価方法で評価し、その結果を表2に示した。なお、耐落下衝撃性の評価方法としては、化粧シート側からデュポン式衝撃試験(重り:500g、落下高さ:300mm、打ち径R:6.3mm)を行い、その時の床材の凹み深さ(単位:μm)を測定した。凹み深さが小さい程、耐落下衝撃性に優れる。参考としてその際に用いた12mm厚さの北海道産とど松単板からなる針葉樹材製合板(5ply)についても耐落下衝撃性を評価した。
Figure 2006225935
表2からも明らかなように、実施例1の床材は、良好な耐落下衝撃性を有するものとすることができた。
本発明にかかる複合基材の層構成を図解的に示す図である。 本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図である。 本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第1実施形態を図解的に示す層構成図である。 本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第2実施形態を図解的に示す層構成図である。 本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第3実施形態を図解的に示す層構成図である。 本発明の床材を構成する表層に表面保護層を備えた装飾層の第4実施形態を図解的に示す層構成図である。
符号の説明
1 床材
2,2’ 装飾層
3,3’,3” 接着剤層
4 複合基材
5,5’,5” プライマー層
6 凹凸模様
7 ワイピングインキ
8 絵柄印刷層
8’ ベタ柄印刷層
9 ポリエステル系樹脂シート
21 表面保護層
22 合成樹脂製透明シート
22’ 合成樹脂製シート
23 紙系シート
40 第1樹脂含浸紙硬化層
41 下地層
42 合板
α 微粒子

Claims (10)

  1. 合板の一方の面に下地層を設け、該下地層面に第1樹脂含浸紙硬化層を設けた複合基材において、前記第1樹脂含浸紙硬化層がジアリルフタレート樹脂を含浸した樹脂含浸紙を前記合板に設けた下地層面に積層して熱圧成形により一体化させた層であることを特徴とする複合基材。
  2. 前記合板の他方の面に第2樹脂含浸紙硬化層を設けると共に、該第2樹脂含浸紙硬化層がジアリルフタレート樹脂を含浸した樹脂含浸紙を前記合板の他方の面に積層して熱圧成形により一体化させた層であることを特徴とする請求項1記載の複合基材。
  3. 請求項1、2のいずれかに記載の複合基材において、前記第1樹脂含浸紙硬化層面に接着剤層と装飾層が順に積層されると共に前記装飾層の表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられたことを特徴とする床材。
  4. 前記装飾層が合成樹脂製シート基材からなる化粧シートであることを特徴とする請求項3記載の床材。
  5. 前記合成樹脂製シート基材がオレフィン系熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項4記載の床材。
  6. 前記表面保護層が前記合成樹脂製シート基材にアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体とイソシアネートとから形成されたプライマー層を介して形成されていることを特徴とする請求項4、5のいずれかに記載の床材。
  7. 前記装飾層が前記合成樹脂製シート基材からなる化粧シートの前記接着剤層側の面にバッカー材を積層したものであることを特徴とする請求項4記載の床材。
  8. 前記装飾層が紙系シート基材からなる化粧シートであることを特徴とする請求項3記載の床材。
  9. 前記表面保護層が微粒子を含有した層であることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の床材。
  10. 前記装飾層が突板であることを特徴とする請求項3記載の床材。

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