[go: up one dir, main page]

JP2006192745A - 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006192745A
JP2006192745A JP2005007262A JP2005007262A JP2006192745A JP 2006192745 A JP2006192745 A JP 2006192745A JP 2005007262 A JP2005007262 A JP 2005007262A JP 2005007262 A JP2005007262 A JP 2005007262A JP 2006192745 A JP2006192745 A JP 2006192745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing fiber
resin
preform
impregnation
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005007262A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Kihara
弘樹 木原
Eisuke Wadahara
英輔 和田原
Ikuo Horibe
郁夫 堀部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2005007262A priority Critical patent/JP2006192745A/ja
Publication of JP2006192745A publication Critical patent/JP2006192745A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】
強化繊維基材、および、かかる強化繊維基材より構成されるプリフォームが、マトリックス樹脂の含浸に優れ、かつ、FRPを成形した際に高い力学特性を発現させることを目的とする。
【解決手段】
本発明の強化繊維基材は、強化繊維糸条を少なくとも一方向に引き揃えて構成した強化繊維基材であって、少なくともその片表面に、ガラス転移点が20〜150℃である樹脂材料が5〜20重量%の範囲で接着しており、複数枚の強化繊維基材同士を接着させた状態において、0°方向の含浸距離Lと、90°方向における含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維強化樹脂成形体(以下、FRPと記す。)を製造する際に使用する含浸性に優れた強化繊維基材、前記強化繊維基材を使用したプリフォームおよびそれらを使用して成形したFRPならびにその製造方法に関する。
より詳しくは、繊維強化材を成形型内に配置し、液状マトリックス樹脂を注入し含浸させた後、硬化させるFRPの製造方法において、含浸性に優れ、かつ、高い力学特性(特に耐衝撃性)をも発現する強化繊維基材、前記強化繊維基材を使用したプリフォームおよびそれらを使用して成形したFRPならびにFRPの製造方法に関する。
従来より、例えば航空機構造部材などの高品質なFRPが要求されるFRP製造方法として、強化繊維基材に予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを用い、このプリプレグを積層毎に強化繊維の配列方向がずれるように積層(例えば疑似等方積層)し、マトリックス樹脂を硬化させるオートクレーブ成形法が多用されている。
しかし近年、FRPの成形コストを低減させるためにドライ状態の強化繊維基材の積層体に減圧下でマトリックス樹脂を注入し、硬化させる真空注入成形法が注目されている。この真空注入成形法は、例えば、ドライ状態の強化繊維基材を積層し、この積層体を成形型をバッグ材で密閉してキャビティを形成し、かかるキャビティを減圧した後、注入口から大気圧を利用してマトリックス樹脂を注入、硬化させるものである。かかる真空注入成形法においては、強化繊維基材にマトリックス樹脂が含浸できる能力により、成形できる部材形状、大きさ等が制限される。すなわち、含浸性に劣る強化繊維基材は、真空注入成形において幅広い用途に展開できない問題がある。
かかる問題に対して、特許文献1には、成形用繊維プリフォームの厚み方向(シートの面外方向)に対するそれと直行する層方向(シートの面内方向)の含浸速度比を2以下と規定した強化繊維シートの積層体からなるプリフォームが記載されている。かかる提案によると、平面方向に対して板厚が大きいプリフォームにおいて、特定位置にマトリックス樹脂注入口を配置した場合においては効果がみられるが、板厚に対して平面方向に大きなもの(板厚の薄いもの)に対しては、その効果がほとんど見られない。
また、強化繊維からなるシート、織物、編物などのドライな基材を用いた真空注入成形法によるFRPは、プリプレグを用いたオートクレーブ成形法によるFRPに比べ、力学特性に劣るといった問題があった。これは、基材がドライであることも一因であるが、用いるマトリックス樹脂がその樹脂粘度に大きな制約を受け、樹脂自体の力学特性に劣るものしか使用できないことが主因である。すなわち、力学特性を向上させるためには、樹脂自体の力学特性に劣るマトリックス樹脂を補う工夫を、基材に盛り込む必要がある。
かかる問題に対し、特許文献2には、プリフォームの層間に熱可塑性樹脂を存在させて、FRPの強度および層間剥離特性を発現させ、かつ、かかる熱可塑性樹脂は、液状樹脂の移動を妨げない程度に間隙を有し、樹脂含浸を妨げないものであるという旨の技術の提案がある。しかしながら、かかる提案における熱可塑性樹脂が基材の層間に存在する場合は、基本的にマトリックス樹脂の含浸を妨げるものであり、間隙を有するという要件は、樹脂の含浸の障害を最小限に止めるに過ぎない。換言すれば、FRPの力学特性を向上させる熱可塑性樹脂を基材に付与することにより低下してしまう樹脂の含浸性について、低下を妨げるのではなく抜本的に向上させる(底上げする)技術要件に関する記載は一切ない。
つまり、特許文献1、2をはじめとした従来の技術では、高い力学特性を発現し、かつ含浸性にも優れる強化繊維基材は得られておらず、かかる技術が渇望されている。
特開2002−37904号公報 国際公開第WO00/61363号パンフレット
本発明は、上記に挙げた問題点を解決する事を課題とする。すなわち、本発明は、強化繊維基材、かかる強化繊維基材より構成されるマトリックス樹脂の含浸に優れたプリフォーム、および高い力学特性(特に耐衝撃性)を発現させるFRPおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の強化繊維基材は、強化繊維糸条を少なくとも一方向に引き揃えて構成した強化繊維基材であって、少なくともその片表面に、ガラス転移点(Tg)が20〜150℃である樹脂材料が5〜20重量%の範囲で接着しており、複数枚の強化繊維織物同士を接着させた状態において、0°方向の含浸距離Lと、90°方向における含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲であることを特徴とするものである(含浸距離L、Tの測定方法は後述)。
また、本発明のプリフォームは、前記強化繊維基材の2枚以上が、樹脂材料により少なくとも部分的に接着して一体化している強化繊維基材の積層体であることを特徴とするものである。
更に、本発明の繊維強化樹脂成形体は、前記強化繊維基材または前記プリフォームに、マトリックス樹脂が含浸して固化しており、強化繊維含有率が50〜65体積%であることを特徴とするものである。
本発明の強化繊維基材は、後述する接着・測定条件における含浸距離Lと含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲であるため、効率的な樹脂含浸を実現できる。更に、かかる強化繊維基材を用いたFRPは、樹脂材料が接着されているため高い力学特性を発現することができる。かかる強化繊維基材およびそれを用いたプリフォームは、真空注入成形法に好適に用いられる。
本発明の強化繊維基材は、強化繊維糸条を少なくとも一方向に引き揃えて構成した強化繊維基材であって、少なくともその片表面に、ガラス転移点(以下、Tgと記す。)が20〜150℃である樹脂材料が5〜20重量%の範囲で接着しており、かつ、次の接着条件で複数枚の強化繊維基材同士を接着させた状態において、次の測定方法における0°方向の含浸距離Lと、90°方向における含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲であることを特徴とするものである。
接着条件:(樹脂材料のTg+20)℃の温度において、0.10MPaの圧力にて加圧する。但し、加圧時間は2時間である(Tgの測定方法は後述する。)。
測定方法:300mm長、100mm幅に裁断した強化繊維基材を所定の方向(0°または90°)に3枚積層して上記接着条件にて接着した積層体を、ガラス板上に配置してバッグフィルムとシーラントとで密封してキャビティを形成し、キャビティ内を真空(5kPa以下)になるように減圧した後、積層体の長手方向における一方の端部からもう一方の端部に向けて、室温(23℃)にて液状樹脂を注入して、一定時間経過した後に含浸した含浸距離を測定する。但し、液状樹脂の粘度は、室温において300mPa・sの範囲のものを使用する。
本発明の強化繊維基材は、構成要素として、少なくとも一方向に、かつ、お互いが並行に配列された強化繊維糸条と、その少なくとも片表面に5〜20重量%の範囲で接着している樹脂材料とから構成される。
かかる樹脂材料は、かかる強化繊維基材を積層してプリフォームを作製する際に強化繊維基材同士を接着・形態固定し、FRPを成形する場合の取扱性を向上させる(製造コストを低く抑える)第一の機能を果たすものである。
その他にも、FRPにした場合の耐衝撃性を高める第二の機能を果たす。具体的には、例えば航空機1次構造材などでは、製造中における工具の落下による損傷を受けた場合に備え、高い衝撃付与後の残存圧縮強度(Compression After Impact、以下CAIと記す)が要求される。この場合、FRPの強化繊維基材層の間(層間)に高靭性材料を配置して、エネルギー吸収やクラックのストッパーとすることが有効であり、基材の少なくとも片表面に樹脂材料が接着していると第二の機能を発現し耐衝撃性をも向上させることができるのである。
更には、FRPに成形した時の残留応力の緩和等の第三の機能も果たすものである。
かかる樹脂材料による上記機能は、樹脂材料が基材の少なくとも片表面に接着し、基材の表面に偏在していることにより、高いレベルで発揮される。より低コストに強化繊維基材を製造することが要求される場合は、片面接着が好ましい。強化繊維基材の表裏の使い分けをしたくない場合は、両面接着が好ましい。
かかる樹脂材料は、絶乾状態にてDSC(示差走査熱量計、本発明の実施例ではPerkin Elmer社製Pyris 1 DSC)を用いて40℃/minの昇温速度にて計測されたガラス転移点Tgが20〜150℃である(その他の測定方法はASTM D3418に従った)。より好ましくは30〜140℃、更に好ましくは40〜130℃である。前記Tgが20℃未満であると、室温で巻き取った形態から基材を解舒する場合に、樹脂材料が基材同士を接着させて強化繊維基材の配向を乱す場合がある。また、室温で樹脂材料の形態が変形しやすく、品質一貫性に劣る。一方、前記Tgが150℃を超えると、樹脂材料を強化繊維基材に接着する場合に高い温度(熱量)が必要となり、製造コストが高くなるだけでなく、例えば、強化繊維糸条に付与されているサイジング剤を劣化させる場合がある。
また、樹脂材料は強化繊維基材の5〜20重量%の範囲で接着している。より好ましくは7〜17重量%、更に好ましくは9〜14重量%である。樹脂材料が5重量%未満であると、樹脂材料の第一の機能である基材同士の接着を確実に行うことが困難な場合がある。また、第二の機能である耐衝撃性なども十分に向上することができない。一方、樹脂材料が20重量%を超えると、成形時にマトリックス樹脂を注入する際、その含浸を阻害し含浸性を低下させる場合がある。
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様を示す強化繊維基材の斜視図である。
図1において、強化繊維基材1では、長手方向に強化繊維糸条2が並行に配列し、少なくとも片面に樹脂材料3が点状に接着している。かかる樹脂材料3は、5〜20重量%の範囲で接着している。
本発明の強化繊維基材は、上記接着条件で複数枚の強化繊維織物同士を接着させた状態において、上記測定方法における0°方向の含浸距離Lと、90°方向における含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲のものである。より好ましくは1.7〜8、更に好ましくは2〜6の範囲である。なお、本発明における0°方向とは、強化繊維糸条が配列されている方向を指す。
次に、図面を参照して上記接着条件および測定方法を具体的に説明する。
図2は、含浸距離を測定するための装置の概略斜視図である。
図3は、含浸距離を測定するための装置の概略断面図である。
本発明の接着方法および測定方法は、先ず、強化繊維基材を300mm長、100mm幅の長方形に裁断し、所定の方向(0°または90°)に3枚同方向に積層する。図2では、強化繊維糸条が配向している0°方向を長手方向として裁断しており、含浸距離Lを測定するための装置構成である(90°方向を長手方向として裁断している場合は、含浸距離Tを測定するための装置構成となる)。かかる強化繊維基材の積層体を、成形型として用意したガラス板4の上に配置する。次に、積層体の長手方向における一方の端部に、脱気チャンネル8(アルミ合金製C型チャンネル)を配置し、その脱気チャンネル8と接して吸引口10(ナイロン製チューブ)を設置し、その一端を真空ポンプに接続する。この時に、ブリーザー6(ポリエステル製不織布、1mm厚)を、裁断した基材の長手方向に2cm重なるように積層し、かつ、脱気チャンネル8の空間部とも重なるように配置する。もう一方の端部には、液状樹脂注入チャンネル9(アルミ合金製C型チャンネル)、液状樹脂注入口11(ナイロン製チューブ)を設置し、その一端11を液状樹脂の供給元に接続する。この時に、液状樹脂拡散媒体7(ポリプロピレン製メッシュ、東京ポリマー(株)製ネトロンTSX−400P)を裁断した基材の長手方向に2cm重なるように積層し、かつ、液状樹脂注入チャンネル9の空間部とも重なるように配置する。これらをバッグ材12(ナイロン製フィルム)で覆い、成形型4とバッグ材12との間をシール材5で密閉する。樹脂注入口9に設けたバルブを閉め、吸引口8に接続した真空ポンプにてバッグ内の圧力を真空(5kPa以下)に減圧した後、1.5℃/minの速度で(樹脂材料のTg+20)℃の温度まで昇温し、その温度下で2時間、積層体における強化繊維基材同士の接着を行い、2.5℃/minの速度で減圧状態を維持したまま室温(23℃)まで一旦冷却する。冷却後、室温にて、樹脂注入口のバルブを解放して液状樹脂を注入し、成形型4の裏面から積層体下面の強化繊維基材の樹脂含浸の状態を観察する。一定時間経過した後に注入を中止して、直ちに含浸距離Lを測定する(一定時間の説明については後述する)。また、含浸距離を測定する位置は、プリフォーム幅方向において、その一端から25mm、50mm、75mm、における3点の測定値の平均を用いる。ここで用いる液状樹脂の粘度は、室温において300mPa・sのものとする。具体的には、日本化薬(株)製AK−601を用いれば室温において上記の粘度とすることができる。なお、粘度測定にはE型粘度計を用いる。
図4は、本発明の含浸距離を測定するための装置の概略平面図である。
より具体的には、上述した含浸条件での測定実験において、注入した液状樹脂が強化繊維基材に含浸した状態における一定時間経過後のバッグ材面(またはガラス板面)の平面外観である。強化繊維基材に樹脂が含浸すると、強化繊維糸条がガラス繊維の場合は白色から透明に変化し、炭素繊維の場合は明るい黒色から深い黒色に変化するため、含浸しているか否かは外観上の色調の変化で明確に認識することができる。
図4(a)において、バッグ材面(またはガラス板面)と接する強化繊維基材1に注入した液状樹脂が、一定時間後に到達した強化繊維基材の0°方向への樹脂到達含浸距離a、b、c、3点の平均含浸距離を0°方向への樹脂含浸距離(含浸距離L)とする。
図4(b)において、注入した液状樹脂が、一定時間後に到達した強化繊維基材の90°方向への樹脂到達含浸距離a、b、c、3点の平均含浸距離を90°方向への樹脂含浸距離(含浸距離T)とする。
ここでいう一定時間とは、樹脂含浸部の0°方向または90°方向の何れかの樹脂含浸距離にて長い方の樹脂到達含浸距離が120mmに到達した時間か、または、樹脂含浸部の0°方向または90°方向の何れかの樹脂到達含浸距離にて短い方の樹脂含浸距離が40mmに到達した時間の何れか任意の時間とする(ただし、測定開始から1時間経過後において前者と後者のどちらの条件も満たさない場合は、何れか条件を先に満たした時間を一定時間とする)。かかる0°方向の樹脂到達含浸距離(含浸距離L)と90°方向における樹脂到達含浸距離(含浸距離T)から、両者の比率を算出し、これを含浸距離の比率Rと定義する。
以下に、本発明の範囲を満たすことの意義について詳細に説明する。
真空注入成形法においては、バッグ材面あるいは金型面に設けた注入口から液状のマトリックス樹脂を注入し、強化繊維基材の積層体であるプリフォームに樹脂を含浸させる。ここで、樹脂含浸性に劣る強化繊維基材、ひいてはプリフォームを用いた場合は、得られるFRPの大きさ、形状に関して大きな制約を受ける。つまり、含浸できる大きさ、厚み、形態のFRPしか得ることができないのである。
これに対し、強化繊維基材が、前記接着条件および含浸条件において含浸距離の比率が本発明の範囲内であると、極めて高い含浸性、すなわち、広い面積を短時間で含浸できる効果を発現する。すなわち、上記比率Rが1.5〜10の範囲内であることは、0°方向の含浸距離(含浸速度)が、90°方向の含浸距離(含浸速度)よりも十分に早いことを意味する。かかる含浸距離の比率であるが故に、特に基材の平面方向の含浸性(広面積の含浸)を根本的に底上げすることができ、所望の大きさ、形態のFRPを得ることができるのである。
より具体的に図面を用いて、含浸性に優れる理由を詳細に説明する。
図5は、液状樹脂が強化繊維基材に含浸していく様子を示す平面投影図である。
図5(a)は、本発明の範囲外(比率R=1)の強化繊維基材に液状樹脂が含浸していく平面投影模式図である。
図5(b)は、本発明の範囲内(比率R=3)の強化繊維基材に液状樹脂が含浸していく平面投影模式図である。
強化繊維基材は、一方向にのみ積層されて用いられることは殆どなく、互いに異なる方向に配列して積層するのが一般的である。具体的には、擬似等方性を示す様に、例えば[−45/0/+45/90/・・・](ここで、数値は基材の方向の角度を示す。)と4方向以上に配列して積層することが多いので、図5においては前記疑似等方積層([−45/0/+45/90/・・・]の4方向)したプリフォームについて説明する。
かかる強化繊維基材を複数枚積層したプリフォームにおいて、強化繊維基材の含浸距離の比率R=1(本発明の範囲外)であると、例えば、図5(a)に示す通り、プリフォームの中心点51から液状樹脂を含浸した場合に、平面方向には同心円状に液状樹脂が含浸していく。この場合、強化繊維基材の各々が異なる方向に配列積層しているプリフォームに対しても、同様に同心円状に液状樹脂が含浸していく(52〜55)。つまり、各層の含浸領域を重ね合わせた投影平面図としても同心円状の領域となるのである。
一方、上記比率Rが本発明の範囲内である1.5〜10(図5(b)では比率R=3)であると、図5(a)のような同心円状ではなく、強化繊維基材の各々が異方性をもって含浸していく。すなわち、各基材が各々積層された方向の0°方向に長く(早く)含浸する。つまり、各層の含浸領域を重ね合わせた投影平面図としてみると(基材が複数枚積層されたプリフォームとしてみると)、図5(a)の含浸した最大領域52よりも、見かけ上、一層広い領域56に液状樹脂を行き渡らせることができる。
前記領域56を、みかけ上、円として近似できる理由を説明する。図5(b)においては、円として近似した領域56において、実際に含浸した領域の重ね合わせた領域は星形であり、その星形の突出した部分の厚み方向の全ての層に液状樹脂が含浸されているわけではない。しかしながら、例えば含浸している領域57において、その星形に突出した部分は液状樹脂を供給する起点が如き役割を果たし、平面方向に含浸していない領域58、および、厚み方向に含浸していない層への含浸を促進する。すなわち、含浸している領域の突出部分から、平面方向に含浸していない強化繊維基材、および、厚み方向に含浸していない隣接している強化繊維基材へ容易に含浸が進んでいくため、円として近似した領域56は、実質的に含浸している領域ということができる。
本発明は、かかる含浸する挙動を見出し、かかる含浸挙動に基づき、含浸距離の比率Rが本発明の範囲であると、広大な面積を含浸させるのに格段の効果があることを見出したものである。かかる点は、本発明の大きな特徴といえる。
上述の通り、比率Rが1.5未満であると、上述の本発明の効果が十分に発現せずに含浸性に劣る。また、Rが10を超えると面内方向への樹脂含浸性の異方性が極端に大きくなることにより、図5(b)にて円として近似した領域における含浸していない領域58の部分が大きくなり過ぎ、実質的に含浸している領域と見なせなくなり、厚み方向にも、平面方向にも、未含浸部分が生じやすくなる。
本発明の強化繊維基材は、強化繊維糸条を用いて形成され、その形態としては、種々のものを用いることができる。例えば、平織や綾織や繻子織等の組織の織物(一方向性、二方向性、三次元性織物等)、編物、組物、強化繊維糸条が一方向に引き揃えられた一方向シート、一方向性シートをその方向性を異ならしめて二層以上重ね合わせて一体化した多方向性シート等が挙げられる。基材は、ステッチ糸、結節糸、樹脂材料等による各種接合手段により、複数の基材を一体化したものであってもよい。
特に複合材料が輸送機器等の構造部材として用いられる場合には、基材には、非常に高い力学特性(特に0°圧縮強度)が要求される。従って、より高い力学特性を得る観点からは、基材は二方向性織物のようにたて糸とよこ糸とのクリンプが発生することのない、一方向性織物または一方向性シートの形態であることが好ましい。
かかる一方向性織物とは、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条と、その直交方向にお互いが並行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成しているものである。図6に一方向性織物を示す(本発明の強化繊維基材の一実施態様に係る斜視図)。
図6に示すように、強化繊維糸条であるたて糸2と、補助繊維糸条であるよこ糸61とが平織組織を形成している。たて糸2とよこ糸61との交錯によって、たて糸2とよこ糸61との間に空隙部を形成でき、かかる空隙部は樹脂の流路となりえる。
また、かかる一方向性シートとは、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条と、シート状支持体(メッシュ、不織布、織布、編物、など)または補助繊維糸条とによって形態保持された不織組織のものを指す。かかる一方向性シートは、図1に示されている(形態保持するシート状支持体または補助繊維糸条は図示せず)。
一方、真空注入成形法における液状マトリックス樹脂の含浸という観点からは、いかに強化繊維基材の平面方向に拡散させた後、厚み方向に含浸させるかが重要となってくる。なかでも、取り扱い性を向上させたり、FRPの力学特性(特に耐衝撃性)を向上させるために強化繊維基材に接着用の樹脂材料により強化繊維基材同士を接着させたプリフォームにおいては、かかる樹脂材料がマトリックス樹脂の含浸を阻害する場合があり、特に厚み方向の含浸性が低下することがある。
ここで、強化繊維基材におけるマトリックス樹脂の含浸は、強化繊維糸条間に形成される隙間や強化繊維糸条を構成する単繊維同士の空隙部に沿って進行し易い。
しかしながら一方、より樹脂が流れやすいように大きな隙間を形成させると、かかる部分がFRPにした際に樹脂リッチ部分となり、成形時の硬化温度と常温との温度差によりサーマルクラックと呼ばれるクラックが発生しやすい部分ともなる。サーマルクラックとは、硬化温度により樹脂が収縮するのに対し、強化繊維は寸法変化が殆どないことから発生するものである。特に航空機構造部材においては、耐熱性が要求されることからFRPの成形時の樹脂の硬化温度も高くなり、よりサーマルクラックが発生しやすくなる。従って、力学特性の低下の原因となるサーマルクラックを発生しないようにしつつ樹脂含浸性を向上させるために、本発明の強化繊維基材では、強化繊維糸条間の隙間の距離が0.1〜0.8mmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.15〜0.5mm、更に好ましくは0.2〜0.4mmの範囲である。
かかる隙間を形成しやすい基材としては、一方向性織物の中でも、図7に示す一方向性ノンクリンプ織物が好ましい形態といえる。図7は、本発明の強化繊維基材の他の実施態様に係る斜視図である。
図7に示すように、強化繊維糸条であるたて糸2を、補助繊維糸条であるよこ糸71、および、たて補助糸72と織組織化することによって保持する構造を有する一方向性ノンクリンプ織物は、たて糸の強化繊維糸条と補助繊維糸条が交互に配列されているので、隣接する強化繊維糸条の間にたて方向の補助繊維糸条が存在することから強化繊維糸条間に樹脂の流路となる連続した空隙部を形成させることができるとともに、強化繊維糸条が実質的に屈曲することなく織組織を形成しているため、FRPにした際に優れた力学特性を有し、特に好ましい形態といえる。かかる一方向性ノンクリンプ織物については、例えば、特許第3279049号公報、特開2003−82117号公報に詳しい記載がある。
また、樹脂材料が、空隙部を有する形態で基材に接着していると、前記した含浸性の阻害を最小限に抑えられるため好ましい。かかる空隙を有する形態とは、フィルムの如き連続状ではなく、不連続状の形態を指し、例えば、不連続な線状、点状の形態などが挙げられる。中でも、含浸の面から点状に接着されている形態が特に好ましい。
かかる点状に接着している場合、基材の平面方向からみた点(島)の平均直径(楕円形の場合は平均短径)は、小さければ小さいほど均一に布帛表面に分散させることが可能となるため、5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましい。一方、点(島)の平均直径は30μmであると、製造プロセスに制約を受け、安価なプロセスでの強化繊維基材の製造が困難な場合がある。より好ましくは50μm以上、更に好ましくは80μm以上である。
また、強化繊維基材を複数枚積層する場合、樹脂材料の厚み方向の凹凸が大き過ぎると、それに接して配置される強化繊維基材が屈曲する。この屈曲により、FRPの力学特性を損なう場合がある。一方、かかる樹脂材料が薄過ぎるとCAIに劣る場合がある。かかる観点から、かかる樹脂材料の平均厚みは、2〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50μm、さらに好ましくは、8〜30μmである。かかる平均厚みとは、強化繊維基材厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの樹脂材料の任意の10箇所での厚みの平均値である。SEMによる観察が困難な場合は、強化繊維基材を液状の室温硬化型エポキシ樹脂で含浸、室温硬化させ、その断面を研磨したものを光学顕微鏡にて観察して任意の10箇所での厚みの平均値で代用する。
強化繊維基材が、一方向性織物または一方向性シートの場合、含浸性や、複合材料の力学特性の面から、強化繊維基材の強化繊維糸条の目付は、50〜500g/mであることが好ましい。100〜350g/mであることがより好ましく、150〜250g/mであることがさらに好ましい。
一方、二方向性織物、多方向シート(特にステッチ糸により一体化した多軸シート)を用いると、積層の手間を減らすことができるため、低コスト化という観点からは好ましい形態ということができる。かかる場合、含浸性や複合材料の力学特性の面から強化繊維基材の強化繊維糸条の目付は、100〜1000g/mであることが好ましい。200〜800g/mであることがより好ましく、300〜600g/mであることが更に好ましい。二方向性織物または多方向性シートの目付が一方向性の目付よりも大きくてもよい理由は、強化繊維糸条の目付が小さいと、二方向性または多方向性にする意味合いが希薄になるためである。
本発明の強化繊維基材は、強化繊維含有率(基材嵩Vf)が40〜55体積%の範囲が好ましい。より好ましくは43〜54体積%、更に好ましくは45〜53体積%である。かかる範囲であると、強化繊維基材を積層・接着してプリフォームを作成する場合、後述の45〜60体積%というプリフォームにおける強化繊維含有率(嵩Vf)を容易に、かつ、安定して得ることができる。すなわち、基材嵩Vfが40体積%未満であると、プリフォームの嵩Vfを上記範囲にするために無理な加圧により強化繊維糸条の配向のずれが発生しやすい。また、嵩Vfが55体積%を超えると、樹脂の含浸性に著しく劣る。基材嵩Vfが本発明の範囲内である強化繊維基材であると、適正な嵩Vfのプリフォーム、および、適正なVfのFRPが得られ、優れた力学特性を有するFRPを得ることができるのである。かかる強化繊維基材における強化繊維含有率(基材嵩Vf)とは、強化繊維基材において強化繊維が占める体積比率のことを差し、具体的には次式によって定義される。
基材嵩Vf(体積%)=(強化繊維基材の強化繊維目付:g/m)×10−4/(強化繊維の比重:g/cm)/(強化繊維基材の厚み:cm)×10 なお、強化繊維基材の厚みは、1cmの面積を有する円状平板を圧子として、9.8Nの力で押さえた(約0.10MPaの圧力で押さえた)時の厚みをダイヤルゲージまたはマイクロメーターにて0.01mm単位まで測定したものである。
本発明で用いる強化繊維糸条としては、特にその種類に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等)、金属繊維またはセラミック繊維、これらの組み合わせ等を用いることができる。中でも、炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、強度要求の高い航空機や自動車の構造部材向けの強化繊維糸条として好ましく用いられる。本発明で用いる補助繊維糸条(たて方向、よこ方向)は、基本的には基材の強度保持に寄与しないものであり、その繊度が強化繊維糸条の繊度より少なくとも20%以下のものを指す。補助繊維糸条の存在により強化繊維が屈曲し得ることから細繊度のマルチフィラメントまたはモノフィラメントが好ましい。しかしながら、細すぎると基材の製造過程で糸切れしやすくなることから、補助繊維糸条としては、繊度0.5〜20texの範囲がよい。より好ましくは1〜10tex、更に好ましくは1.5〜5texである。
よこ糸となる補助繊維糸条の糸密度は1〜5本/cmであることが好ましい。この範囲であればよこ糸の存在により、基材の90°方向への樹脂の流れを確保できるとともに補強繊維の屈曲度合いを小さくできる。
よこ糸の種類としては、炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維、ポリアラミド繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維が使用できる。なかでも、ポリアミド繊維のマルチフィラメントは、FRPにした際にマトリックス樹脂との接着が良好で、かつ細繊度糸を安価に製造できることから好ましい。
本発明で用いる接着用の樹脂材料は、強化繊維基材の取扱性を向上させ、複合材料の力学特性を向上させるものであれば特に限定されない。かかる樹脂材料として、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。
熱硬化性樹脂をかかる樹脂材料の主成分として用いる場合には、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシが好ましい。エポキシを使用すると、接着性が高いため基材の接着性やタック性に優れるだけでなく、特にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合に高い力学特性を発現することができる。
エポキシを主成分とする場合は、硬化剤や硬化触媒等を含んでもよいが、樹脂材料のライフの面からは含まない方が好ましい。含む場合でも潜在性の高い硬化剤や硬化触媒であれば特に大きな問題とはならない。
熱可塑性樹脂をかかる樹脂材料の主成分として用いる場合には、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、フェノキシがとりわけ好ましい。
本発明のプリフォームは、前述した強化繊維基材の2枚以上が、上述の樹脂材料により少なくとも部分的に接着して一体化している強化繊維基材の積層体である。
強化繊維基材同士の接着は、全面的に接着していても部分的に接着していてもよいが、部分的に接着していると、ドライ状態でのプリフォームとしての特徴(屈曲に対して皺が発生しにくい、等)が最大限に発揮されるため好ましい。
また、プリフォームにおける強化繊維含有率(嵩Vf)は、45〜60体積%の範囲が好ましい。より好ましくは48〜58体積%、更に好ましくは50〜56体積%である。かかる範囲であると、プリフォームに液状樹脂の注入を行った後、FRPの強度発現に最も適した50〜65体積%の強化繊維含有率(Vf)を容易に、かつ、安定して得ることができる。すなわち、嵩Vfが45体積%未満であると、FRPのVfを上記範囲にするために無理な加圧により強化繊維糸条の配向のずれが発生しやすい。また、成形時の液状樹脂の過剰なブリードにより、液状樹脂のロスが発生することがある。一方、嵩Vfが60体積%を超えると、樹脂の含浸性に著しく劣る場合がある。嵩Vfが本発明の範囲内であるプリフォームであると、適正なVfのFRPが得られ、優れた力学特性を有するFRPを得ることができるのである。かかるプリフォームにおける強化繊維含有率(嵩Vf)とは、プリフォームにおいて強化繊維が占める体積比率のことを差し、具体的には次式によって定義される。
嵩Vf(体積%)=(強化繊維基材の強化繊維目付:g/m)×10−4×(積層枚数:枚)/(強化繊維の比重:g/cm)/(プリフォームの厚み:cm)×10
なお、プリフォームの厚みは、1cmの面積を有する円状平板を圧子として、9.8Nの力で押さえた(約0.10MPaの圧力で押さえた)時の厚みをダイヤルゲージまたはマイクロメーターにて0.01mm単位まで測定したものである。
本発明のFRPは、前記強化繊維基材または前記プリフォームに、マトリックス樹脂が含浸して固化しており、強化繊維含有率(Vf)が50〜65体積%である。より好ましいVfは53〜62体積%、更に好ましいVfは55〜60体積%である。
かかるVfにおいて、FRPの力学特性を最も効率的に発現させることができる。すなわち、Vfが50体積%未満であると軽量化効果に劣り、65体積%を超えると逆に力学特性(特に耐衝撃性)が低下する場合がある。FRPにおけるVfとは、FRPにおいて強化繊維が占める体積比率のことを指し、具体的には次式によって定義される。
Vf(体積%)=(強化繊維基材の強化繊維目付:g/m)×10−4×(積層枚数:枚)/(強化繊維の比重:g/cm)/(FRPの厚み:cm)×10
なお、FRPの厚みは、マイクロメーターにて0.01mm単位まで測定したものである。
本発明で用いられるマトリックス樹脂は、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シアネートエステル、ビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、硬化剤や硬化触媒等を含んでもよい。その中でもエポキシ樹脂を用いると高い力学特性を発現することができるため好ましい。
本発明の強化繊維基材またはプリフォームに適した成形法としては、例えば、真空注入成形法が挙げられる。かかる真空注入成形法は、強化繊維基材を所望の枚数積層して樹脂材料により一体化したプリフォームを成形型上に配置し、前記成形型をバッグ材で密閉してキャビティを形成し、キャビティ内を減圧して、このプリフォームに液状のマトリックス樹脂を大気圧を利用して含浸させることでFRPを成形するものである。かかる真空注入成形法の一実施態様を工程順に説明する。
工程(1):成形型に、強化繊維基材を所望の枚数積層して接着用の樹脂材料により一体化したプリフォームを配置する。ここで成形型は金属、FRP、ガラスなどを用いることができる。
工程(2):成形型上のプリフォームの上にピールプライを配置し、更にその上に樹脂拡散媒体を置く。ここで、ピールプライとは樹脂硬化後に樹脂拡散媒体と一体的にFRPから剥離するためのシートである。本発明において、樹脂拡散媒体とは、強化繊維基材上表面全体に液状マトリックス樹脂の拡散を促進させるものであり、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンや金属などからなるメッシュ状のシートで、例えば、メッシュ状樹脂フィルム、織物、網状物や編物などがあり、複数枚を積層して用いてもよい。
工程(3):プリフォームが配置された成形型上の周囲には、真空バッグ内の空気を連続してバッグ外へ逃がすための脱気媒体を配置する。脱気媒体としては、織物や不織布などの多孔性材料を複数枚積層したものを用いることができる。ここで、樹脂拡散媒体が真空吸引口および脱気媒体に接しているか、もしくは近すぎると、樹脂拡散媒体に流れ込んだ液状マトリックス樹脂がプリフォームに完全に含浸するよりも先に真空吸引口および脱気媒体に流れてしまうため未含浸部分が残ってしまう。このことから、真空吸引口および脱気媒体から樹脂拡散媒体までの距離が10mm以上離れるように配置するとよい。
工程(4):プリフォームおよび副資材(ピールプライ、樹脂拡散媒体、脱気媒体、真空吸引口)の全体をバッグ材(例えば、フィルム等)で覆い、空気が漏れないようにバッグ材と成形型との周囲をシール材で密閉し、キャビティを形成する。なお、シール材の種類としてはシリコンゴム系、ブチルゴム系のものを使用する。次いで、樹脂拡散媒体に接するように樹脂注入口とバルブを設置し、マトリックス樹脂の容器に取り付ける。一方、真空ポンプの空気吸引口を真空吸引口に接続し、真空吸引口は脱気媒体上に設置する。なお、バッグフィルム内の圧力が真空(5kPa以下)になるまで真空吸引する。
工程(5):液状マトリックス樹脂を準備した容器に入れ、バルブを開放し、大気圧を利用して樹脂の注入を開始する。注入された樹脂はキャビティ内外の差圧により樹脂拡散媒体およびピールプライを介してプリフォームに含浸する。注入樹脂が完全に含浸するまでは真空ポンプによる吸引を継続し、キャビティ内を減圧状態に保つことが好ましい。
工程(6):液状マトリックス樹脂を硬化させ、固体にする。注入樹脂の固化後は、バッグ材を剥がし、FRPを脱型した後、ピールプライおよび樹脂拡散媒体を除去すれば、FRP成形品を得ることができる。
なお、上記FRP製造方法において、予め強化繊維基材を樹脂材料により接着し一体化したプリフォームを用いているが、上記製造方法においてプリフォームの代わりに強化繊維基材を積層した未接着状態のものを成形型内に配置し、バッグ材で覆った後、真空吸引した状態において、温度が(樹脂材料のTg+20)℃、圧力が0.10MPaで、処理することにより、プリフォーム形態を経由しなくてもFRP成形品を得ることができる。
また、上記FRP製造方法において、上型と下型からなる成形型を用いることもできる。この場合、マトリックス樹脂に大気圧を超える圧力を加えて注入することできるため、樹脂拡散媒体を利用し無くともプリフォームへの樹脂含浸が容易に、かつ高速に可能であり、表面品位に優れたFRPを成形することができるほか、成形型はバッグ材に比べ剛性を有することから、寸法精度に優れたFRP成形品を得ることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。実施例および比較例に用いる原材料は次の通りである。
強化繊維糸条A:
PAN系炭素繊維、フィラメント数:24,000本、繊度:1,035tex、引張強度:5970MPa、引張弾性率:294GPa、比重1.80。
強化繊維糸条B:
PAN系炭素繊維、フィラメント数:12,000本、繊度:798tex、引張強度:4830MPa、引張弾性率:240GPa、比重1.80。
補助繊維糸条A:
ガラス繊維ヤーン、ECE225 1/0 1.0Z、繊度:225dtex、バインダー:”DP”(日東紡(株)製)。
補助繊維糸条B:
ポリアミド66フィラメント糸条:繊度:17dtex、フィラメント数:7本。
接着用の樹脂材料A:
ポリエーテルスルフォン樹脂(住友化学工業(株)製スミカエクセル5003P)62重量%(主成分)と次のエポキシ樹脂組成物38重量%(副成分)とを2軸押出機にて溶融混練したものを冷凍粉砕したもの。平均粒子径D50((株)セイシン企業製LMS−24で測定)98μm、Tg:72℃。エポキシ樹脂組成物−ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”806:21重量部、日本化薬(株)製NC−3000:12.5重量部、および、日産化学工業(株)製TEPIC−P:4重量部を100℃で均一になるまで攪拌したもの。
接着用の樹脂材料B:
共重合ナイロンフィラメント糸条:東レ(株)製エルダー、繊度:55dtex。
接着用の樹脂材料C:
ポリアミド12不織布:融点:178℃、Tg:50℃、目付:10g/m
含浸距離の測定に用いた液状樹脂:
エポキシ樹脂、日本化薬(株)製AK−601、23℃における樹脂粘度:300mPa・s(E型粘度計)
マトリックス樹脂:
次の主液100重量部に次の硬化液を39重量部加え、80℃にて均一撹拌したエポキシ樹脂組成物。80℃における粘度:55mPa・s(E型粘度計)、180℃で2時間硬化後のTg:197℃、曲げ弾性率:3.3GPa。主液−エポキシとして、Vantico(株)製”アラルダイト”MY−721:40重量部、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”825:35重量部、日本化薬(株)製GAN:15重量部、および、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”630:100重量部を70℃で1時間攪拌して均一溶解させたもの。硬化液−ポリアミンとして、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピキュア”W:70重量部、三井化学ファイン(株)製3,3’−ジアミノジフェニルスルホン:20重量部、および、住友化学工業(株)製”スミキュア”S:10重量部を、100℃で1時間攪拌して均一にした後70℃に降温し、硬化促進剤として宇部興産(株)製t−ブチルカテコール:2重量部を更に70℃で30分間攪拌して均一溶解させたもの。
[実施例1]
(強化繊維基材)
たて糸として強化繊維糸条A、よこ糸として補助繊維糸条B、たて方向補助糸として補助繊維糸条Bを用い、たて糸と、たて補助糸とを一本おきに交互に配列し、よこ糸とたて補助糸とを織組織させてたて糸を一体に保持した一方向性ノンクリンプ織物を形成した(図7)。また、この織物の片表面に、粒子状の樹脂材料Aを散布した後、熱融着(180℃)により接着した。なお、強化繊維基材における樹脂材料は27g/m、樹脂材料は点状に接着されており、その平均直径は0.2mm、平均厚みは0.1mmであった。かかるノンクリンプ織物における、たて糸、たて補助糸の糸密度は1.8本/cm、よこ糸密度は3本/cm、強化繊維目付は190g/mであった。また、基材厚み0.30mm、基材嵩Vf=35体積%であった。
得られた基材の含浸距離L、Tを、図8に示した装置で測定した。図8は、本発明における含浸距離の測定方法の一実施態様を示す概略平面図である。前述の通り強化繊維基材を300mm長、100mm幅のサイズに裁断し、0°および90°方向に3枚を同一方向積層した強化繊維積層体をそれぞれ作成した。この強化繊維積層体を92℃((樹脂材料AのTg+20)℃に相当)において0.10MPaの圧力で2時間加圧し、室温まで冷却して圧力を解放してプリフォーム1を作成した。このプリフォーム1を成形型4上に配置し、40mm長、70mm幅に裁断した樹脂拡散媒体7の一端から2cmまでを強化繊維積層体上に配置し、もう一端上には樹脂注入口9を設けた。その対面に、40mm長、70mm幅に裁断した脱気媒体6の一端2cmを強化繊維積層体上に配置し、もう一端上には樹脂吸引口8を配置した。次いで、プリフォームの側面を液状樹脂がショートカットして流路形成しないようにシール材5にて充填した後、これらをバッグフィルムで覆い、成形型4とバッグフィルム間をシール材5で密閉した。そして、このバッグフィルム内を真空吸引して2kPaに減圧して23℃環境下で液状樹脂の注入を行った。
本実施例では、注入開始から一定時間後における液状樹脂の到達距離を含浸距離とし、強化繊維プリフォーム幅方向において一端から25mmの位置f、50mmの位置g、75mmの位置hの3点を測定した値の平均値を用いた。ここでいう一定時間とは、樹脂含浸部の0°方向または90°方向の何れかの樹脂含浸距離にて大きい方の樹脂到達含浸距離が120mmに到達した時間か、または、樹脂含浸部の0°方向または90°方向の何れかの樹脂到達含浸距離にて短い方の樹脂含浸距離が40mmに到達した時間の何れか任意の時間とする(ただし、測定開始から1時間経過後において前者と後者のどちらの条件も満たさない場合は、何れか条件を先に満たした時間を一定時間とする)。評価結果は、含浸距離L=131mm、含浸距離T=40mm、それらの比率R=約3.3であった。(プリフォーム)
得られた強化繊維基材を、積層構成を[−45°/0°/+45°/90°]としてこれを3回繰り返したものを2組用意し、それらを90°層を向かい合わせて鏡面対称積層になるように貼り合わせた。かかる積層体を平面型に配置し、シーラントとバッグ材(ポリアミドフィルム)にて密閉して、減圧吸引口を設けたキャビティを形成した。減圧吸引口から真空ポンプによってキャビティ内を真空(5kPa以下)に減圧し、賦形型を60℃に温調した。この状態で2時間保持し、室温に冷却してから吸引を中止して取り出し、それぞれについてプリフォームを得た。かかるプリフォームの強化繊維含有率(嵩Vf)は50体積%であった。
(FRP)
得られたプリフォームを、平面状の成形型(アルミ製)に配置し、プリフォーム上に樹脂拡散媒体(平滑な金属製メッシュ)を配置して、シーラントとバッグ材にて、密閉して樹脂注入口と減圧吸引口を設けたキャビティを形成した。減圧吸引口から真空ポンプによってキャビティ内を真空に減圧し、成形型および各プリフォームを60℃に温調した。次いで、事前に調合・真空脱泡したマトリックス樹脂を60℃に保ちながら、樹脂注入口から大気圧を利用して注入した。マトリックス樹脂が減圧吸引口に到達した時に注入口を閉じて注入を停止した。それ以降は、減圧吸引口から減圧を続けながら1.5℃/minにて130℃まで昇温した後、130℃で2時間保持して一旦マトリックス樹脂を1次硬化させ、2.5℃/minで常温まで降温した。その後、常温にてバッグフィルム、樹脂拡散媒体、ピールプライ等の副資材を除去して脱型した後、常温から1.5℃/minにて180℃まで昇温した後、180℃で2時間保持してマトリックス樹脂を2次硬化させ、2.5℃/minで常温まで降温させて、FRPを得た。
いずれのFRPにも、ピンホールやボイドが全く見当たらず、良好な成形が行われていることが実証された。FRPの強化繊維含有率(Vf)は55体積%であった。得られたFRPを用いて、SACMA SRM 2R−94に準拠して23℃でのCAIを測定した。なお、衝撃は5.44kg(12ポンド)の錘を落下させて、6.67kJ/m(270in・lb)の落錘衝撃エネルギーとした。測定結果を表1に記載する。
(含浸性)
上述のプリフォーム作成方法と同様にして作製した900mm長、600mm幅のプリフォームを、成形型をガラス板に替える以外は上述FRP成形方法と同様に成形した。ガラス板から見て、全面に含浸した時間で相対的に含浸性の優劣を評価した(含浸時間が短いほど含浸性に優れる)。評価結果を表1に記載する。
[実施例2]
(強化繊維基材)
実施例1の強化繊維基材を用いて、温度:160℃、速度:0.9m/minの条件でカレンダ加工(ロール4本)にて加熱プレスした強化繊維基材を作成した。かかる強化繊維基材における樹脂材料の平均直径は0.3mm、平均厚みは0.02mmであった。また、基材厚み0.21mm、基材嵩Vf=50体積%であった。
かかる基材を実施例1と同様の条件で含浸距離比の測定を行った結果、含浸距離L=87mm、含浸距離T=40mm、それらの比率R=約2.2であった。
(プリフォーム)
得られた強化繊維基材から、実施例1と同様にプリフォームを作成したところ、かかるプリフォームの強化繊維含有率(嵩Vf)は53体積%であった。
(FRP)
得られたプリフォームから、実施例1と同様にFRPを成形したところ、ピンホールやボイドが全く見当たらず、良好な成形が行われていることが実証された。かかるFRPの強化繊維含有率(Vf)は57体積%であった。また、実施例1同様に、かかるFRPのCAIを測定した。
(含浸性)
実施例1と同様に含浸性の優劣を評価した。
[比較例1]
(強化繊維基材)
たて糸として強化繊維糸条B、よこ糸として補助繊維糸条Aと共重合ナイロンフィラメント糸条(樹脂材料B)とを撚り合わせて合糸したものを用い、たて糸と、よこ糸とを平織組織させて、一方向性織物を形成した。その後、織物を加熱(180℃)により共重合ナイロンフィラメント糸条を溶融させて織物に接着した(樹脂材料B)。なお、強化繊維基材における樹脂材料は2g/m、樹脂材料は線状に接着されている。
かかる一方向性織物における、たて糸密度は2.6本/cm、よこ糸密度は3本/cm、強化繊維目付は208g/mであった。また、基材厚み0.21mm、基材嵩Vf=55体積%であった。
得られた基材の含浸距離L、Tを、接着温度(樹脂材料のTg+20)℃(この場合は92℃)を70℃にかえる以外は実施例1と同様に測定した。本比較例では、注入開始から60分後における液状樹脂の到達距離を含浸距離とし、測定結果は、含浸距離L=120mm、含浸距離T=108mm、それらの比率R=約1.1であった。
(プリフォーム)
得られた基材を用いる以外は、実施例1(と同様にしてプリフォームを得た。かかるプリフォームの強化繊維含有率(嵩Vf)は56体積%であった。
(FRP)
得られたプリフォームを用いる以外は、実施例1と同様にしてFRPを成形した。複合材料の強化繊維含有率(Vf)はそれぞれ56体積%であった。また、実施例1と同様にしてCAIも測定した。
(含浸性)
得られたプリフォームを用いる以外は、実施例1と同様にして含浸性を評価した。これらの評価結果を表1にまとめる。
[比較例2]
(強化繊維基材)
たて糸として強化繊維糸条B、よこ糸は用いずに形態保持のためのシート状支持体として樹脂材料C(不織布)を用い、たて糸を引き揃えた上に不織布を重ね合わせ、加熱(200℃)、加圧により不織布を溶融させて織物に接着して不織組織の一方向性シートを形成した。なお、強化繊維基材における樹脂材料は10g/m、樹脂材料は繊維状に接着されている。
かかる一方向性織物における、たて糸密度は3.8本/cm、強化繊維目付は300g/mであった。また、基材厚み0.31mm、基材嵩Vf=54体積%であった。
得られた基材の含浸距離L、Tを、接着温度(樹脂材料のTg+20)℃を70℃にかえる以外は実施例1と同様に測定したところ、本比較例では、注入開始から60分後における液状樹脂の到達距離を含浸距離とし、測定結果は、含浸距離L=36mm、含浸距離T=40mm、それらの比率R=約0.9であった。
(プリフォーム)
得られた基材を用いる以外は、実施例1と同様にしてプリフォームを得た。かかるプリフォームの強化繊維含有率(嵩Vf)は55体積%であった。
(FRP)
得られたプリフォームを用いる以外は、実施例1と同様にしてFRPを成形した。複合材料の強化繊維含有率(Vf)はそれぞれ56体積%であった。また、実施例1と同様にしてCAIも測定した。
(含浸性)
得られたプリフォームを用いる以外は、実施例1と同様にして含浸性を評価した。これらの評価結果を表1にまとめる。
Figure 2006192745
表1から明らかなように、実施例1、2は、含浸距離の比率Rが本発明の範囲内にあることから含浸性に優れた。また、樹脂材料により、織物の目ズレ・蛇行等が生じない形態安定性を有し、これらをプリフォーム化する際には優れたタック性を発現し、いずれもFRPの力学特性にも優れていた。
一方、比較例1、2は、取扱性には優れたが、比率Rが本発明の範囲外にあることから含浸性に劣った。また、樹脂材料が異なることにより、力学特性が劣った。以上の結果から、本発明の効果は明白である。
本発明によれば、高い力学特性のFRPが得られ、かつ、マトリックス樹脂の含浸性に優れる強化繊維基材、かかる強化繊維基材から得られるプリフォーム、かかる強化繊維基材またはプリフォームから得られるFRPを得ることができる。
このようにして得られた複合材料は、航空機、自動車、船舶等の輸送機器における構造部材、内層部材または外層部材などの各部材をはじめ、幅広い分野に適するが、特に航空機の構造部材に好適である。
本発明の強化繊維基材の一実施態様における斜視図である。 本発明における含浸距離を測定するための装置の概略斜視図である。 本発明における含浸距離を測定するための装置の概略断面図である。 本発明における含浸距離を測定するための装置の概略平面図である。 液状樹脂が強化繊維基材に含浸していく様子を示す平面投影図である。 本発明の強化繊維基材の一実施態様に係る斜視図である。 本発明の強化繊維基材の他の実施態様に係る斜視図である。 本発明における含浸距離の測定方法の一実施態様を示す概略平面図である。
符号の説明
1:強化繊維基材
2:強化繊維糸条
3:樹脂材料
4:成形型(ガラス板)
5:シール材
6:ブリーザー
7:液状樹脂拡散媒体
8:脱気チャンネル
9:注入チャンネル
10:吸引口
11:液状樹脂注入口
12:バッグ材
13、14:液状樹脂の含浸領域
51:中心点(樹脂の注入点)
52、53、54、55、57:含浸している領域
56:円として近似した領域
58:含浸していない領域
a、b、c:樹脂到達含浸距離
d:含浸距離L
e:含浸距離T
61、71:よこ条
72:たて補助糸
f、g、h:樹脂到達含浸距離測定点

Claims (14)

  1. 強化繊維糸条を少なくとも一方向に引き揃えて構成した強化繊維基材であって、少なくともその片表面に、ガラス転移点が20〜150℃である樹脂材料が5〜20重量%の範囲で接着しており、複数枚の強化繊維織物同士を接着させた状態において、0°方向の含浸距離Lと、90°方向における含浸距離Tとの比率R=(含浸距離L)/(含浸距離T)が1.5〜10の範囲であることを特徴とする強化繊維基材。
  2. 強化繊維基材が、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条と、かつ、その直角方向にお互いに並行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成している一方向性織物であることを特徴とする請求項1に記載の強化繊維基材。
  3. 強化繊維基材が、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条と、シート状支持体または補助繊維糸条とによって形態保持され、不織組織を形成している一方向性シートであることを特徴とする請求項1に記載の強化繊維基材。
  4. 補助繊維糸条の繊度が、0.5〜20texであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維基材。
  5. 補助繊維糸条の糸密度が、1〜5本/cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維基材。
  6. 強化繊維糸条間の隙間の距離が0.1〜0.8mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維基材。
  7. 前記樹脂材料が、強化繊維基材の少なくとも片表面に2〜100μmの範囲の厚みで、かつ、間隙を有する層を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化繊維基材。
  8. 前記樹脂材料が、強化繊維基材に点状で接着しており、それらの基材の平面方向からみた平均直径が30μm〜5mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維基材。
  9. 強化繊維含有率(基材嵩Vf)が40〜55体積%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の強化繊維基材。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維基材の2枚以上が、前記樹脂材料により少なくとも部分的に接着して一体化している強化繊維基材の積層体であることを特徴とするプリフォーム。
  11. 強化繊維含有率(嵩Vf)が45〜60体積%であることを特徴とする請求項10に記載のプリフォーム。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維基材または請求項10または11に記載のプリフォームに、マトリックス樹脂が含浸して固化しており、強化繊維含有率が50〜65体積%であることを特徴とする繊維強化樹脂成形体。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維基材または請求項10または11に記載のプリフォームを成形型上に配置し、前記成形型をバッグ材で密閉してキャビティを形成し、キャビティ内を減圧して液状のマトリックス樹脂を注入してプリフォームに含浸させた後、マトリックス樹脂を固化させることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維基材または請求項10または11に記載のプリフォームを上型と下型との間に形成したキャビティ内に配置し、キャビティ内を減圧して液状のマトリックス樹脂を注入してプリフォームに含浸させた後、マトリックス樹脂を固化させることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法。
JP2005007262A 2005-01-14 2005-01-14 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法 Pending JP2006192745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005007262A JP2006192745A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005007262A JP2006192745A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006192745A true JP2006192745A (ja) 2006-07-27

Family

ID=36799181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005007262A Pending JP2006192745A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006192745A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008262547A (ja) * 2007-03-13 2008-10-30 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置及びその作製方法
JP2009127169A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toray Ind Inc 強化繊維基材、積層体および繊維強化樹脂
JP2010189561A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Toray Ind Inc 繊維強化複合材料およびその製造方法
WO2011037070A1 (ja) * 2009-09-25 2011-03-31 株式会社ハイレックスコーポレーション 有歯ケーブル、有歯ケーブルを備えたケーブル装置および移動体の移動システム
JP2015504118A (ja) * 2011-12-20 2015-02-05 サイテク・インダストリーズ・インコーポレーテツド 後続する樹脂注入のための乾式繊維質材料
JP2015232198A (ja) * 2010-03-18 2015-12-24 トウホウ テナックス ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングToho Tenax Europe GmbH 縫合した多軸の布帛
WO2017042921A1 (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法、複合材料の製造装置および複合材料用プリフォーム
WO2017042920A1 (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法、複合材料の製造装置、複合材料用プリフォームおよび複合材料
WO2017170685A1 (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 東レ株式会社 強化繊維積層シートおよび繊維強化樹脂成形体ならびに強化繊維積層シートの製造方法
JP2018066000A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 東レ株式会社 強化繊維基材および繊維強化樹脂

Cited By (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008262547A (ja) * 2007-03-13 2008-10-30 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置及びその作製方法
US8558370B2 (en) 2007-03-13 2013-10-15 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device with antenna
JP2009127169A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toray Ind Inc 強化繊維基材、積層体および繊維強化樹脂
JP2010189561A (ja) * 2009-02-19 2010-09-02 Toray Ind Inc 繊維強化複合材料およびその製造方法
WO2011037070A1 (ja) * 2009-09-25 2011-03-31 株式会社ハイレックスコーポレーション 有歯ケーブル、有歯ケーブルを備えたケーブル装置および移動体の移動システム
CN102549302A (zh) * 2009-09-25 2012-07-04 株式会社海莱客思 带齿线缆、具备带齿线缆的线缆装置及移动体的移动系统
US8671816B2 (en) 2009-09-25 2014-03-18 Hi-Lex Corporation Toothed cable, cable device provided with a toothed cable, and system for moving a moving object, said system provided with a toothed cable
JP5680542B2 (ja) * 2009-09-25 2015-03-04 株式会社ハイレックスコーポレーション 有歯ケーブル、有歯ケーブルを備えたケーブル装置および移動体の移動システム
JP2015232198A (ja) * 2010-03-18 2015-12-24 トウホウ テナックス ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングToho Tenax Europe GmbH 縫合した多軸の布帛
JP2015504118A (ja) * 2011-12-20 2015-02-05 サイテク・インダストリーズ・インコーポレーテツド 後続する樹脂注入のための乾式繊維質材料
CN108025462A (zh) * 2015-09-09 2018-05-11 日产自动车株式会社 复合材料的制造方法、复合材料的制造装置以及复合材料用预制件
RU2671338C1 (ru) * 2015-09-09 2018-10-30 Ниссан Мотор Ко., Лтд. Способ изготовления композиционного материала, устройство для изготовления композиционного материала и заготовка для композиционного материала
US10836123B2 (en) 2015-09-09 2020-11-17 Nissan Motor Co., Ltd. Manufacturing method for composite material and manufacturing apparatus for composite material
JPWO2017042921A1 (ja) * 2015-09-09 2018-04-05 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法および複合材料の製造装置
KR20180035900A (ko) * 2015-09-09 2018-04-06 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 복합 재료의 제조 방법 및 복합 재료의 제조 장치
US10717241B2 (en) 2015-09-09 2020-07-21 Nissan Motor Co., Ltd. Manufacturing method for composite material, manufacturing apparatus for composite material, and preform for composite material
WO2017042921A1 (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法、複合材料の製造装置および複合材料用プリフォーム
JPWO2017042920A1 (ja) * 2015-09-09 2018-05-31 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法、複合材料の製造装置、複合材料用プリフォームおよび複合材料
KR102012140B1 (ko) * 2015-09-09 2019-10-21 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 복합 재료의 제조 방법 및 복합 재료의 제조 장치
EP3348378A4 (en) * 2015-09-09 2018-08-15 Nissan Motor Co., Ltd. Composite material production method, composite material production device, preform for composite material, and composite material
RU2671346C1 (ru) * 2015-09-09 2018-10-30 Ниссан Мотор Ко., Лтд. Способ изготовления композиционного материала и устройство изготовления композиционного материала
WO2017042920A1 (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 日産自動車株式会社 複合材料の製造方法、複合材料の製造装置、複合材料用プリフォームおよび複合材料
CN108025462B (zh) * 2015-09-09 2019-06-21 日产自动车株式会社 复合材料的制造方法以及复合材料的制造装置
US20190030834A1 (en) * 2015-09-09 2019-01-31 Nissan Motor Co., Ltd Manufacturing method for composite material, manufacturing apparatus for composite material, and preform for composite material
JPWO2017170685A1 (ja) * 2016-03-31 2019-02-14 東レ株式会社 強化繊維積層シートおよび繊維強化樹脂成形体ならびに強化繊維積層シートの製造方法
KR20180131535A (ko) * 2016-03-31 2018-12-10 도레이 카부시키가이샤 강화 섬유 적층 시트 및 섬유 강화 수지 성형체 및 강화 섬유 적층 시트의 제조 방법
CN108367531A (zh) * 2016-03-31 2018-08-03 东丽株式会社 增强纤维层合片材以及纤维增强树脂成型体以及增强纤维层合片材的制造方法
CN108367531B (zh) * 2016-03-31 2020-10-09 东丽株式会社 增强纤维层合片材以及纤维增强树脂成型体以及增强纤维层合片材的制造方法
RU2735685C2 (ru) * 2016-03-31 2020-11-05 Торэй Индастриз, Инк. Многослойный лист армирующих волокон, армированное волокнами полимерное формованное изделие и способ получения многослойного листа армирующих волокон
WO2017170685A1 (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 東レ株式会社 強化繊維積層シートおよび繊維強化樹脂成形体ならびに強化繊維積層シートの製造方法
KR102329442B1 (ko) 2016-03-31 2021-11-22 도레이 카부시키가이샤 강화 섬유 적층 시트 및 섬유 강화 수지 성형체 및 강화 섬유 적층 시트의 제조 방법
JP2018066000A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 東レ株式会社 強化繊維基材および繊維強化樹脂

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4126978B2 (ja) プリフォームおよびそれからなるfrpならびにfrpの製造方法
JP5157391B2 (ja) 強化繊維基材、積層体および繊維強化樹脂
CN100431815C (zh) 半固化片、frp成型用中间材料及其制造方法和纤维增强复合材料的制造方法
AU2009201821B2 (en) Reinforcing fiber substrate, composite material and method for producing the same
US9120253B2 (en) Methods of RTM molding
TWI547364B (zh) Carbon fiber reinforced composite material and its manufacturing method
CN101181827B (zh) 纤维增强复合材料的制造方法
US8741198B2 (en) Process for producing fiber reinforced resin
JP4304948B2 (ja) 強化繊維基材、プリフォームおよびそれよりなる繊維強化樹脂成形体ならびに繊維強化樹脂成形体の製造方法
JP2005232601A (ja) 繊維強化樹脂およびその製造方法
JP5125867B2 (ja) 強化繊維基材、積層体および複合材料
JP4805375B2 (ja) Frp構造体の製造方法
JP2003136550A (ja) 炭素繊維基材の製造方法、プリフォームの製造方法および複合材料の製造方法
JP2006192745A (ja) 強化繊維基材、プリフォーム、繊維強化樹脂成形体およびその製造方法
JP4984973B2 (ja) 繊維強化樹脂の製造方法
JPWO2020031771A1 (ja) 強化繊維テープ材料およびその製造方法、強化繊維テープ材料を用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
JP4338550B2 (ja) Frp構造体の製造方法
JP2005213469A (ja) 強化繊維基材、プリフォーム、複合材料および強化繊維基材の製造方法
JP2004276355A (ja) プリフォームおよびそのプリフォームを用いた繊維強化樹脂複合体の製造方法
JP4609513B2 (ja) プリフォームの製造方法
JP5785889B2 (ja) 繊維強化複合体の製造方法
JP2005262818A (ja) 強化繊維基材、プリフォームおよび強化繊維基材の製造方法
JP2006138031A (ja) 強化繊維基材、プリフォームおよびそれらの製造方法
JP2012245623A (ja) 多孔質型を用いた複合材の成形方法および装置
JP2004277955A (ja) 一方向性強化布帛、プリフォームおよび複合材料