JP2006177215A - V型往復動内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】バンクごとのピストンの挙動差によって生じる騒音、振動を低減することが可能なV型往復動内燃機関を提供する。
【解決手段】V型往復動内燃機関において、各バンクのピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向と大きさがほぼ等しくなるように、ピストンピンオフセットをバンクごとに設定する。このことによりピストンスラップを防止することができるだけでなく、バンクごとのピストンの挙動差を低減させることができ、音振性能を向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】V型往復動内燃機関において、各バンクのピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向と大きさがほぼ等しくなるように、ピストンピンオフセットをバンクごとに設定する。このことによりピストンスラップを防止することができるだけでなく、バンクごとのピストンの挙動差を低減させることができ、音振性能を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、V型往復動内燃機関に関し、特にピストンが発生する騒音の低減に関する。
通常の内燃機関においては、ピストンとシリンダボアの間に隙間が存在し、ピストンは常時いずれかのボア面に接触している。ところが、ピストンの上死点及び下死点においては、ピストンの接触するボア面が反転し、ピストンの側面がボア面に衝突する現象が起こる。その衝突の際に発生する騒音をピストンスラップと呼び、このピストンスラップが音振性能の悪化の一因となっていた。
そこで、V型往復動内燃機関において上記ピストンスラップを軽減するために、ピストンピンをピストン中心からオフセットさせた技術が特許文献1に開示されている。この従来技術によれば、ピストンの接触するボア面の反転を比較的穏やかに行うことができ、ピストンスラップを低減することができるとされている。
特開昭61−234230号公報
しかしながら上記従来技術では、V型往復動内燃機関において、異なるバンクに配されたピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向及び大きさが一致しないため、反転が比較的穏やかに行われるといえども、各バンクに配されたピストン間には挙動差が生じる。つまりは反転の際の衝撃が異なるためにバンクごとのピストンに異なる挙動を発生させ、その結果、音振性能が悪化するおそれがあった。
そこで本発明では、各バンクのピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントをほぼ一致させることでバンクごとのピストンの挙動差を抑え、音振性能を向上させたV型往復動内燃機関を提供することを目的とする。
本発明ではV型往復動内燃機関において、各バンクのピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向及び大きさがほぼ一致するように、ピストンピンオフセットをバンクごとに設定したことを特徴としている。
本発明によれば、ピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向及び大きさがそれぞれほぼ一致することで、各バンクのピストンの挙動差を抑えることができ、音振性能を向上させることができる。
以下実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に本発明におけるV型往復動内燃機関の概略図を示す。
図中の1は、シリンダボア面2に沿って往復運動するピストンである。そして燃焼室3は当該ピストン1、シリンダボア面2等によって形成され、その上部で、吸気バルブ4を通じて吸気ポート5と、排気バルブ6を通じて排気ポート7とに、それぞれ連通している。ピストン1の往復運動はコネクティングロッド8とクランクシャフト9によって回転運動に変換される。なお、本実施形態におけるV型往復動内燃機関の2つのバンクは、クランクシャフト9の軸方向で見て、鉛直方向に伸びる直線Cに関して対称に配されている。そこで、図の左側のバンクに関する部分には添え字aを、右側のバンクに関する部分には添え字bを付して表すことにする。
図2はピストン1に働く力とモーメントの関係図である。
図中のpはピストンピンであり、その軸中心はピストン中心軸線cからh1だけ図の左側にオフセットしている。Gはピストン1の重心位置であり、ピストン中心軸線cからh2だけ右側にオフセットしている。
ここで、重心位置Gのオフセットh2は、図3の(1)及び(2)に示すようなピストンにおいて生じる。すなわち、主たる要因はピストン冠面に設けられたキャビティの非対称性等である。
また、図2においてFは筒内圧力によってピストン1の冠面に生じる力であり、Nはピストン1の重心位置Gに働く慣性力である。そして、MPはFによってピストンピンpまわりに発生するモーメントであり、MGはNによって発生するピストンピンpまわりのモーメントである。
本実施形態のV型往復動内燃機関では、各バンクのピストンに働く力とモーメントの関係は図4のようになる。ここでRはクランクシャフト9の回転方向である。
次にピストンスラップの発生原理について簡単に説明する。
図5の(イ)は上死点直前のピストン1の模式図である。図中のoはシリンダ中心軸線であり、ピストン1とシリンダボア面2の間には、滑らかな往復運動のために所定の隙間が存在する。図に示すように上死点直前において、ピストン1はピストン側面1-rでシリンダボア面2-rに接触して、上方へ移動している。ここで、ピストン1がシリンダボア面2-r側で接触しているのは、ピストン1にスラストTが生じているためである。
次に図5の(ロ)は上死点直後のピストン1の模式図である。このときピストン1は、ピストン側面1-lでシリンダボア面2-lに接触して、下方へ移動している。この場合においては、スラストTが図5の(イ)とは逆方向に働くため、ピストン1はシリンダボア面2-l側に接触することになる。つまり上死点の前後において、ピストン1が接触するシリンダボア面が反転している。
図5のようにピストン1のピストンピンpにオフセットが設けられていない場合には、接触面の反転の際に、ピストン側面1-lによってシリンダボア面2-lに面衝突することになる。この際、ピストン側面1-lは比較的剛性が高いため、その衝撃のエネルギーによって大きなピストンスラップが発生することになる。
図6はピストンピンpにオフセットを設けたピストンの動きの模式図である。図のようにピストンピンpにオフセットが設けられている場合には、ピストンピンpまわりにモーメントMCが発生する。ここでモーメントMCは、図2に示すモーメントMGとモーメントMPを合成したモーメントである。このモーメントMCのために、上死点直前において、ピストン1はその上端部1-tでシリンダボア面2-rに接触することになる(図6の(イ))。そして上死点直後において接触面が反転する際には、ピストン下端部1-bで、シリンダボア面2-lに衝突することになる。ピストン下端部1-bは比較的剛性が低いため、衝撃のエネルギーによって変形することでそのエネルギーを吸収し、ピストンスラップを抑えることができるのである(図6の(ロ))。
図7にピストン1の重心位置Gに働く慣性力Nを示す。図7において、クランク角0度が上死点である。機関回転速度が大きくなるほど、重心位置Gに働く慣性力Nも大きくなる。
また、低負荷時ほどピストンスラップ以外の騒音は小さくなるため、ピストンスラップは低負荷時においてより顕著になる。
そこで本実施形態では、合成モーメントMCの算出に用いるモーメントMGとモーメントMPは、機関の最高回転数近辺での慣性力と、該回転数での低負荷時の筒内圧力とから算出する。
ここで図7に示すように、いずれの機関回転数においてもピストン1の重心位置Gに働く慣性力Nは、上死点において最大値をとっている。また、図8には筒内圧力によってピストン1の冠面に働く力を示す。図8においてもクランク角0度が上死点である。図に示すように筒内圧力によってピストン1の冠面に働く力は、上死点直後に最大値をとる。すなわち上死点付近において、モーメントMG及びモーメントMPが最大となる。
そこで本実施形態では、ピストン1の上死点付近でのモーメントMCを一致させるようにピストンピンpのオフセットh1を設定することとする。
本実施形態による効果について説明する。
図1に示すように、V型往復動内燃機関において各バンクのピストンは、クランクシャフト9の軸方向で見て、鉛直方向に伸びる直線Cに関して対称に配置される。この際、通常は同一形状のピストンを反転して用いるが、ピストンピンオフセットh1を適切に設定しない限り、異なるバンクのピストンに発生するモーメントMCはそれぞれ異なる値となる。そのためバンクごとのピストン間に挙動差を生じ、音振性能を悪化させる結果となる。
しかし本実施形態によれば、各バンクのピストンに発生するモーメントMCが等しくなるようにピストンピンオフセットh1を設定しているため、従来のように異なるバンクのピストン間に挙動差が生じることがない。そのため、ピストンスラップによる騒音を防止できるだけでなく、バンクごとのピストンの挙動差によって生じる騒音、振動についても抑えることができるのである。
ここで各バンクのピストンに発生するモーメントMCは、筒内圧力によってピストンの冠面に生じる力Fと、ピストンの重心位置Gに働く慣性力Nから算出した。このことにより、運転条件に応じて機関ごとに最適なピストンピンオフセットを設定することが可能となった。
各バンクのピストンに発生するモーメントMCの算出においては、ピストンスラップの影響が通常もっとも生じやすい条件で算出した。すなわち、機関の最高回転数近辺での慣性力Nと、該回転数での低負荷時の筒内圧力Fである。このことにより、さらに効果的にピストンスラップを低減することができる。
また本実施形態では、ピストンの上死点付近でのモーメントMCを一致させるように、各バンクのピストンのピストンピンオフセットh1を設定している。上述のようにピストン1の重心位置Gに働く慣性力N及びピストン1の冠面に働く筒内圧力Fは、ピストン1の上死点付近で最大になる。そこで、ピストン1の上死点付近でのモーメントMCを等しくすることで、各バンクのピストンの挙動差をより効果的に抑えることができ、結果として音振性能をより向上させることができる。
図9に本実施形態の適用例におけるシミュレーション結果のグラフを示す。
図9の(a)及び(b)は、本発明適用前において、図4のピストン1a及び1bに発生するモーメントのシミュレーション結果のグラフである。ここで、ピストン1aのピストン中心軸線cに対するピストンピンオフセットh1を1.0、ピストン中心軸線cに対する重心位置Gのオフセットh2を0.5にそれぞれ設定した(図9の(a))。この際にピストンピンpまわりに発生する合成モーメントがMCaである。一方、ピストン1bについては、h1を1.0に、h2を-0.5にそれぞれ設定した(図9の(b))。この際にピストンピンpまわりに発生する合成モーメントがMCbである。それぞれのグラフから明らかなように、本発明適用前には、各ピストンに発生する合成モーメントであるMCaとMCbとの間には大きな差異が生じており、その結果、各ピストンに大きな挙動差が生じるおそれがあった。
そこで本発明に従って、ピストン1bのピストンピンオフセットh1を変更して、ピストン1bに発生するモーメントのシミュレーションを行ったものが図9の(b')である。具体的にはピストン1bのピストンピンオフセットh1を0.8に変更した。
その結果、図に示すようにピストン1bに発生するモーメントMCb'を、特にクランク角0度付近で大きく減少させ、図9の(a)に示すピストン1aに発生するモーメントMCaの値とほぼ等しくすることができた。すなわち各ピストンの挙動差を低減させ、音振性能を向上させることができることが示された。
次に図10にピストンの重心位置Gがピストン中心軸線cから大きくずれたピストンにおいて、本発明に従ってピストンピンオフセットを設定した場合のピストン1a及び1bに発生するモーメントのシミュレーション結果のグラフを示す。図10の(a)に示すピストン1aのシミュレーション結果では、h1を0.5、h2を1.0にそれぞれ設定した。また図10の(b)に示すピストン1bのシミュレーション結果では、h1を0.5、h2を-1.0に設定した。それぞれのグラフに示されるように、本発明を適用する前は上死点付近で各ピストンに発生するモーメントMCaとMCbは大きく異なっている。
そこで本発明を適用し、ピストン1bのピストンピンオフセットh1を変更した場合における、ピストン1bに発生するモーメントのシミュレーション結果のグラフが図10の(b')である。具体的にはピストン1bのピストンピンオフセットh1を0.1に変更した。
その結果、図10の(b')のMCb'に示すように、上死点付近で各ピストンに発生するピストンピンpまわりのモーメントMCをほぼ一致させることができた。よって、ピストンの重心位置Gがピストン中心軸線cから大きくずれたピストンにおいても、各ピストンの挙動差を低減し、音振性能を向上させることができることが示された。
なお本発明では、モーメントの大きさ及び方向を等しくすることで挙動差を軽減しているが、製造上の誤差等で完全に等しくならない場合であっても、従来のピストンに比すれば十分に音振性能の向上に寄与し得る。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなし得る様々な変更、改良が含まれることは言うまでもない。
1 ピストン
2 シリンダボア面
3 燃焼室
4 吸気バルブ
5 吸気ポート
6 排気バルブ
7 排気ポート
8 コネクティングロッド
9 クランクシャフト
2 シリンダボア面
3 燃焼室
4 吸気バルブ
5 吸気ポート
6 排気バルブ
7 排気ポート
8 コネクティングロッド
9 クランクシャフト
Claims (5)
- 各バンクのピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントの方向及び大きさが等しくなるように、ピストンピンオフセットをバンクごとに設定したことを特徴とするV型往復動内燃機関。
- 前記ピストンピンまわりのモーメントは、前記ピストンの重心に作用する慣性力及び前記ピストンの冠面に作用する筒内圧力に基づいて設定することを特徴とする請求項1に記載のV型往復動内燃機関。
- 前記ピストンの重心に作用する慣性力による前記ピストンピンまわりのモーメントと、前記ピストンの冠面に作用する筒内圧力による前記ピストンピンまわりのモーメントとの合成モーメントの方向及び大きさが、各バンクのピストン間で等しくなるように、バンクごとのピストンピンオフセットを異なるように設定したことを特徴とする請求項1に記載のV型往復動内燃機関。
- 前記ピストンの重心に作用する慣性力及び前記ピストンの冠面に作用する筒内圧力は、機関の最高回転数近辺での慣性力と、該回転数での低負荷時の筒内圧力とであることを特徴とする請求項2または3に記載のV型往復動内燃機関。
- 前記ピストンピンまわりのモーメントは、燃焼行程のピストン上死点付近において前記ピストンに発生するピストンピンまわりのモーメントであることを特徴とする請求項1または3に記載のV型往復動内燃機関。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004369696A JP2006177215A (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | V型往復動内燃機関 |
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JP2004369696A JP2006177215A (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | V型往復動内燃機関 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006177215A true JP2006177215A (ja) | 2006-07-06 |
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JP2004369696A Pending JP2006177215A (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | V型往復動内燃機関 |
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2004
- 2004-12-21 JP JP2004369696A patent/JP2006177215A/ja active Pending
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