[go: up one dir, main page]

JP2006176671A - ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム - Google Patents

ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2006176671A
JP2006176671A JP2004371909A JP2004371909A JP2006176671A JP 2006176671 A JP2006176671 A JP 2006176671A JP 2004371909 A JP2004371909 A JP 2004371909A JP 2004371909 A JP2004371909 A JP 2004371909A JP 2006176671 A JP2006176671 A JP 2006176671A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyimide
benzoxazole
bis
atomic ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004371909A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Yoshida
武史 吉田
Keizo Kawahara
恵造 河原
Masayuki Tsutsumi
正幸 堤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2004371909A priority Critical patent/JP2006176671A/ja
Publication of JP2006176671A publication Critical patent/JP2006176671A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

【課題】 ポリイミドフィルムの強度を維持しつつ、金属層に対する密着性が向上したポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルムを提供すること。
【解決手段】 ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムであって、X線光電子分光法により測定される当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍以上であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、ならびに、前記フィルムの上記片面上に金属層を形成してなる金属化フィルム。上記ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、所定の雰囲気下でポリイミドを含有するフィルムの少なくとも片面をプラズマ放電処理に供することで好適に製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルムに関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度等において優れた特性を有することから、種々の分野で広く利用されている。ポリイミドフィルムは、特に優れた耐熱性と高い剛性を持つので、フレキシブルプリント配線用銅張基板(以下、FPCとも表記する)やテープ・オートメーテッド・ボンディング(以下、TABとも表記する)用キャリアテープなどの基材フィルムとして使用されている。
金属化ポリイミドフィルムには、基材フィルムたるポリイミドフィルムと金属層とを接着剤層を介して接合してなる3層基板、ポリイミドフィルムに接着剤を介さずに直接金属層を形成してなる2層基板などが挙げられ、3層基板も2層基板も電気回路の細線化に伴い、金属層とポリイミドフィルムとの接合界面の信頼性が低くなるという問題点が指摘されている。
また、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、機械的特性などが他のポリイミドより優れているが(特許文献1〜3)、一般的なポリイミドと同様に、金属に対する密着性が乏しいという問題があった。この問題を解決する手段として、種々のポリイミドフィルムの表面改質による接着性の改良が提案されている。例えば、密着性を改良するために、ポリイミドフィルムをアルカリ処理に供することで表面改質することが提案されている。(特許文献4)。最近、乾式めっきを施す前のポリイミドフィルムの表面をプラズマ、コロナ放電、または薬品等を使用した表面改質処理を行うことが提案されている。
特開昭45−845号公報 特表平6−56992号公報 特表平10−508059号公報 特開平7−3055号公報
しかしながら、プラズマ処理やコロナ処理はその効果が明らかでなく、またアルカリによる表面処理では、薬品に浸漬させるために、工程が複雑になることや、フィルムの強度が低下するなどという問題点がある。そのうえ、初期の接着性が高い場合でも、耐熱試験後や耐湿試験後に接着強度が低下するという問題点もある。本発明は、ポリイミドフィルムの強度を維持しつつ、金属層に対する密着性が向上したフィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリイミドフィルムと金属層との密着のメカニズムを検討することにより、アルカリ処理を施さなくても上記課題を達し得ることを見出して以下の特徴を有する本発明を完成した。
(1)ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムであって、X線光電子分光法により測定される窒素原子と炭素原子とのモル比をN/C原子比と表現するとき、当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍以上であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
(2)当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.10倍以上である(1)記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
(3)当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03〜1.70倍である(1)記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
(4)(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの少なくとも片面上に金属層を形成してなる金属化フィルム。
(5)窒素を20vol%以上含む気体中で、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムの少なくとも片面をプラズマ放電処理に供する、表面処理されたポリイミドベンゾオキサゾールの製造方法。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、金属層との密着性が高いので、信頼性の高いプリント配線板(PWB)、FPC、TABテープ等の電子部品へ好適に用い得て、従来のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムと同様のフィルム強度を備える。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムに含まれるポリイミドは、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドである。上述の「反応」は、まず、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からグリーンフィルムなどを成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
<芳香族ジアミン類>
本発明で用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つのアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
Figure 2006176671
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%以下であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルム)を得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
支持体上に塗布したポリアミド酸を乾燥してグリーンシートを得る条件は特に限定はなく、温度としては70〜150℃が例示され、乾燥時間としては、5〜180分間が例示される。そのような条件を達する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。次いで、得られたグリーンシートから目的のポリイミドフィルムを得るために、イミド化反応を行わせる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、必要により延伸処理を施した後に、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)が挙げられる。この場合の加熱温度は100〜500℃が例示され、フィルム物性の点から、より好ましくは、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
別のイミド化反応の例として、ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることもできる。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を十分に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を十分に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。但し、最終的に得られるポリイミドフィルムにイミド化反応していないポリアミド酸が残っていてもよい。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
<フィルムの表面構造>
本発明においてはポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの少なくとも片面の表層部を構成するポリイミドの少なくとも一部が変成され窒素原子が過剰となっている。ここではかかる過剰な窒素原子が如何なる化学構造を取っているかは明らかではないが、窒素原子を含む化学構造が乾式めっき法によって形成された第1金属層の金属原子と強い結合性を持つために、初期の接着性のみならず、耐熱試験、耐湿試験後にも良好な接着強度を有するものとなると考えられる。なお特開平11−117060号公報には、イミド環が開環して生成したカルボキシル基と、イミド環の窒素および/又はイミド環が開環して生成した第二級アミドの窒素と結合したベンゼン環に少なくとも1つの水酸基が付加された分子構造が記載されているが、ジアミン成分としてベンゾオキサゾール構造を含むポリイミドベンゾオキサゾールフィルムではこのような構造は形成せず、オキサゾール環も開環した化学構造の変質ポリイミド層を形成することが明らかとなった。かかる効果は、蒸着やスパッタリング等に代表される乾式めっきに有効であり、さらに無電解めっき等の湿式めっきにおいても効果を有する。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの少なくとも片面の表層部の窒素原子と炭素原子の存在比(以下N/C原子比とも記載する)は、当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍以上であり、好ましくは1.10倍以上であり、良好な密着性を得るためには、好ましくは1.03〜1.70倍であり、より好ましくは1.17〜1.70倍である。フィルムの両面の表層部のN/C原子比がいずれも、当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍未満であると、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムと金属との密着性が低く不適である。また上限を越えるとフィルムの脆化が生じる。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの表面のN/C原子比は、X線光電子分光分析法(以下、XPSとも記載する)を用いて解析される。X線光電子分光分析法では、炭素の化学状態によりC1sスペクトルのピーク位置がシフトすることを利用して分子の構成原子と分子構造の解析を行うことができる。図1は、ポリイミドベンゾオキサゾールの単一分子構造ユニットを示し、その23個の炭素を、その化学状態によって5つ(a〜e)に分類している。表1は、測定されたピークを分離して求めたピーク面積の強度比と、分子構造から求めた強度比を示す。このように、ポリイミドベンゾオキサゾールの分子構造における各原子の構成比と各位置の炭素原子の存在比が精度良く求められる。
Figure 2006176671
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの少なくとも片面の表層部とは、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの表面付近を構成する部分であり、換言すれば、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの表面からXPSで測定可能な厚さの領域であり、具体的には、当該ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの表面から約0.01μm程度の厚さの領域である。したがって、フィルムの表層部のN/C原子比は、フィルムのXPSで直接得られる測定結果から計算される窒素原子と炭素原子のN/C原子比で定量化できる。本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの内部とは、フィルムの両表面から約1.0μm以上深い領域である。フィルムの内部のN/C原子比は、具体的にはフィルムをミクロトームで切断して、その切断面の厚さ方向の中央部をXPSで測定して、窒素原子と炭素原子のモル比から定量化できる。フィルムの内部は後述の表面処理によっても化学構造に変化は生じ難いので当該内部のN/C原子比は、表面処理を施す前の高分子の化学構造を反映するものとみなすことができる。フィルムの表層部および内部のN/C原子比の導出方法は実施例の欄に記載する。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、好ましくは、表面処理を施す前のフィルムに対して表面改質処理を施すことにより得られる。具体的な表面改質処理としては、プラズマまたはコロナ放電等の物理的手段および薬品等による化学的手段等が挙げられる。これらの手段は一般的な高分子フィルムの分野では公知の表面改質手段であるが、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの表面改質処理の手段には用いられていなかった。好ましくは、窒素のみ、あるいは窒素を20vol%以上含む混合気体の雰囲気下でプラズマ放電処理がなされ、前記混合気体は窒素と不活性ガスとの混合気体が特に好ましく、その場合、窒素の含有量が30vol%以上が好ましく、50vol%以上が特に好ましい。ここで、不活性ガスは好ましくはアルゴンである。例えば同じプラズマ放電法を採用するにしても酸素プラズマによる処理では表面の脆化が顕著となり耐湿試験後の接着性が低下する。
このように、本発明は、窒素を20vol%以上含む気体中で、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムの少なくとも片面をプラズマ放電処理に供する、表面化されたポリイミドベンゾオキサゾールの製造方法を包含する。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの厚さは特に限定はないが、好ましくは3〜200μmである。
<金属化フィルム>
本発明の金属化フィルムは、上述した本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの上記片面上に金属層を形成してなるものである。ここで、「上記片面」とは、表面改質処理がなされた面、つまり、該面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍以上である面である。金属層はポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの上記片面上に直接的に形成されていてもよいし、接着剤層、下地金属層などを介して形成されていてもよい。ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの片面上に形成する金属層の材質およびその形成手段は従来公知の金属および積層手段を適宜取り入れることができる。金属の種類としては、銅、ニッケル、クロムまたはそれらの合金等が挙げられ、導電性等の観点から銅が好ましい。金属層の形成手段には、乾式めっき、湿式めっき(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき等)等が挙げられる。乾式めっきの具体例としては真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられる。本発明の金属化フィルムが有する金属層の厚さは特に限定はなく、好ましくは0.1〜50μmである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.フィルムのN/C原子比の分析
3.1.フィルムの表層部の測定
表面処理をした直後のフィルムをそのまま測定対象とした。そのような測定対象のフィルムを、X線光電子分光器(アルバック・ファイ(株)製:ESCA−5801MC)のサンプルホルダー上に載せ、金属製カバーで固定し、予備排気室で十分に排気した。その後、試料を測定室のチャンバー内に投入して、CCDカメラで測定位置を確定した。その後、全元素スキャンを行ってフィルム表面の構成元素を調べ、検出された元素についてナロースキャンを行ってその存在比などを調べた。測定条件は以下のとおりである。励起X線: Al monochromatic Kα線、X線出力:14kV、11mA、光電子脱出角度:45°、分析径:直径400μm、パスエネルギー:187.85eV(全元素スキャン)、11.75eV(ナロースキャン)、真空度:10−7Pa以下。
3.2.フィルムの内部の測定
フィルムをミクロトームで切断して、その切断面の厚さ方向の中央部をX線光電子分光器(ESCA)で測定した。ESCAの具体的な測定手順・条件はフィルムの表層部の測定の場合と同様である。
3.3.N/C原子比の計算方法
得られた測定結果より、表層および内部のN原子量とC原子量の比(N/C原子比)を算出した。
4.金属化フィルムの接着強度
測定対象の金属化フィルムを90μm配線幅のTABテープパターンに加工した後、90度方向に引き剥がしたときに要する強度を以って接合強度とした。測定は、JIS C6418に準じて引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用いて行った。上記引き剥がしの際に、剥離状態が、凝集剥離であるか、層間剥離であるかを実体顕微鏡で拡大して観察した。
5.加熱試験
測定対象の金属化フィルムをドライオーブンを用い、150℃にて96時間加熱処理した後に上記と同様に接着強度を測定した。
6.PCT試験
測定対象の金属化フィルムを(株)平山製作所製PCT試験機(PC242III)を用い、121℃飽和蒸気中にて24時間処理後、室温に冷却し、80℃にて24時間乾燥した後に上記と同様に接着強度を測定した。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、500重量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、9000重量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、485重量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて64時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.2であった。
(ポリアミド酸のグリーンフィルムの製造)
このポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージを用いてコーティングした。スキージとベルトとの間のギャップは180μmであった。次いで、90℃にて60分間乾燥することにより得られた自己支持性をもつポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ12μmの前駆体フィルム(グリーンフィルム)を得た。
(ポリイミドフィルムの製造)
得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉にて、170℃で3分間、次いで、約20秒間で450℃にまで昇温して450℃にて7分間加熱して、その後、5分間で室温にまで冷却して、厚さ8μmの褐色のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。このポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを500mm幅にスリットして種々の表面処理を施した。
(実施例1)
(表面処理)
上記ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを常圧プラズマ処理装置に装着した。フィルムを1m/分の速度にて走行させ、窒素50vol%、アルゴン50vol%からなる混合ガス中、周波数13.56MHz、出力100Wの条件で表面のプラズマ処理を行った。処理時の温度は25℃であり、プラズマにフィルム表面が暴露されている時間は約10秒間とした。
(金属層形成)
上記処理を施したフィルムを連続式スパッタ装置に装着し、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム含有量10重量%)合金のターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ50Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、100Å/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.3μmの銅薄膜を形成させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出し、プラスチック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ5μmの厚付け銅メッキ層を上記銅薄膜上に形成して、金属化ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。
(実施例2)
(表面処理)
プラズマ処理を窒素とアルゴンとの混合ガス雰囲気下ではなく窒素雰囲気下で行ったこと以外は実施例1と同様の処理を施した。
(金属層形成)
プラズマ処理を行ったフィルムに対して実施例1と同様の処理を施して金属化フィルムを得た。
(実施例3)
(表面処理)
実施例2と同様の処理を施した。
(金属層形成)
プラズマ処理を行ったフィルムに対して、エポキシ系接着剤(東洋紡績(株)製:UR2700)を塗工して、5分間80℃にすることで接着剤の溶媒を蒸発させた。その後、厚さ12μmの銅箔をラミネーターで積層した。その後、150℃にて2時間処理することで接着剤を硬化させた。その後、このフィルムを250mm×400mmに切り出すことで、金属化ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを得た。
(実施例4)
(表面処理)
実施例2と同様の処理を施した。
(金属層形成)
上記処理を施したフィルムを酸性コンディショナー(メルテックス社製:エンプレートPC475)を用い、70℃で3分間コンディショニングを行った。次いで、脱イオン水で充分に洗った後、プレディップ浴(メルテックス社製:エンプレートPC236)に25℃で1分間浸漬した後、メルテックス社製エンプレートアクチベーター444にて25℃で5分間触媒を付与し、アクセレーター(メルテックス社製:PA−360)にて触媒活性化し、メルテックス社製メルプレートCU−390にて25℃で20分間無電解銅めっき処理を施した。さらに、硫酸銅めっき浴を用い、厚さ8μmまで電気メッキによる厚付けを行い金属化フィルムを得た。
(比較例1)
(表面処理)
表面処理を行わなかった。
(金属層形成)
表面処理を行っていないフィルムに対して実施例1と同様の処理を施して金属化フィルムを得た。
(比較例2)
(表面処理)
プラズマ処理を窒素とアルゴンとの混合ガス雰囲気下ではなく酸素25vol%、アルゴン75vol%の混合ガス雰囲気下で行ったこと以外は実施例1と同様の処理を施した。
(金属層形成)
実施例1と同様の処理を施して金属化フィルムを得た。
各実施例、比較例のフィルムについての上記測定の結果を表2に記載する。表2の「剥離状態」において、「凝集」は接着剤の凝集破壊による剥離を意味し、「層間」は層間での剥離を意味し、「層間/凝集」は層間での剥離と接着剤の凝集破壊が混在した剥離を意味する。表2に記載の「表面/内部」は、フィルムの表層部の窒素原子と炭素原子の原子比を、フィルムの内部の窒素原子と炭素原子の原子比で除した値である。表2に記載の「初期」は、上記の「4.金属化フィルムの接着強度」の測定結果である。
Figure 2006176671
実施例の金属化フィルムは、初期、加熱試験およびPCT試験のいずれにおいても接着強度が高かった。比較例の金属フィルムは、初期の状態から接着強度が低かったり、初期の接着強度が高くても、加熱試験やPCT試験では接着強度が著しく低かった。比較例2において、剥離したときの剥離面が接着界面(層間)のみではなく、フィルム内部の凝集破壊を伴っていることから、フィルムの表面が脆化していることが示唆された。
本発明のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは、金属層との密着性が高いので、信頼性の高いプリント配線板(PWB)、多層基板、モジュール基板、インターポーザ、システムインパッケージ基板、COF、FPC、TABテープ等の電子部品へ好適に用いられる。
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの部分化学構造を示す。

Claims (5)

  1. ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムであって、X線光電子分光法により測定される窒素原子と炭素原子とのモル比をN/C原子比と表現するとき、当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03倍以上であるポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
  2. 当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.10倍以上である請求項1記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
  3. 当該フィルムの少なくとも片面の表層部のN/C原子比が当該フィルムの内部のN/C原子比の1.03〜1.70倍である請求項1記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの少なくとも片面上に金属層を形成してなる金属化フィルム。
  5. 窒素を20vol%以上含む気体中で、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを縮重合してなるポリイミドを含有するフィルムの少なくとも片面をプラズマ放電処理に供する、表面処理されたポリイミドベンゾオキサゾールの製造方法。
JP2004371909A 2004-12-22 2004-12-22 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム Withdrawn JP2006176671A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004371909A JP2006176671A (ja) 2004-12-22 2004-12-22 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004371909A JP2006176671A (ja) 2004-12-22 2004-12-22 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006176671A true JP2006176671A (ja) 2006-07-06

Family

ID=36731070

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004371909A Withdrawn JP2006176671A (ja) 2004-12-22 2004-12-22 ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006176671A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009155794A1 (zh) * 2008-06-23 2009-12-30 华为技术有限公司 一种多层电路板及其制作方法
JP2015093874A (ja) * 2013-11-08 2015-05-18 東洋紡株式会社 ポリイミドフィルムの表面処理方法、該表面処理方法で処理されたポリイミドフィルム、積層体、及び多層基板
JP2020029475A (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 東洋紡株式会社 耐熱高分子フィルム、表面処理された耐熱高分子フィルムの製造方法、及び、耐熱高分子フィルムロール

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11209488A (ja) * 1998-01-28 1999-08-03 Ube Ind Ltd 表面が改質されたポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2000289165A (ja) * 1999-04-08 2000-10-17 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐熱性ボンディングシート
JP2001164009A (ja) * 1999-12-10 2001-06-19 Shin Etsu Chem Co Ltd ポリイミドフィルムの表面改質方法
JP2002060522A (ja) * 2000-06-06 2002-02-26 Matsushita Electric Works Ltd 成形体
JP2006002004A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Toyobo Co Ltd ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製法、それを用いた金属化フィルム
JP2006037023A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Toyobo Co Ltd ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11209488A (ja) * 1998-01-28 1999-08-03 Ube Ind Ltd 表面が改質されたポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2000289165A (ja) * 1999-04-08 2000-10-17 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐熱性ボンディングシート
JP2001164009A (ja) * 1999-12-10 2001-06-19 Shin Etsu Chem Co Ltd ポリイミドフィルムの表面改質方法
JP2002060522A (ja) * 2000-06-06 2002-02-26 Matsushita Electric Works Ltd 成形体
JP2006002004A (ja) * 2004-06-16 2006-01-05 Toyobo Co Ltd ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムおよびその製法、それを用いた金属化フィルム
JP2006037023A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Toyobo Co Ltd ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009155794A1 (zh) * 2008-06-23 2009-12-30 华为技术有限公司 一种多层电路板及其制作方法
JP2015093874A (ja) * 2013-11-08 2015-05-18 東洋紡株式会社 ポリイミドフィルムの表面処理方法、該表面処理方法で処理されたポリイミドフィルム、積層体、及び多層基板
JP2020029475A (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 東洋紡株式会社 耐熱高分子フィルム、表面処理された耐熱高分子フィルムの製造方法、及び、耐熱高分子フィルムロール
JP7116889B2 (ja) 2018-08-20 2022-08-12 東洋紡株式会社 耐熱高分子フィルム、表面処理された耐熱高分子フィルムの製造方法、及び、耐熱高分子フィルムロール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100798537B1 (ko) 폴리이미드 필름
JP2008095000A (ja) 易接着高弾性ポリイミドフィルム及びその製造方法
JP5310345B2 (ja) 積層体
TW202112912A (zh) 聚醯亞胺膜、覆金屬積層板及電路基板
JP2006037023A (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム
JP2008135759A (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムを絶縁層として用いたプリント配線基板用ベース基板、多層プリント配線板
JP4774901B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2006176671A (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、その製造方法ならびにそれを用いた金属化フィルム
JP4929596B2 (ja) ポリイミドフィルムとその製造方法
JP2007277493A (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2007277494A (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2007254530A (ja) 積層接着シート、金属層付き積層接着シートおよび回路基板
JP2014201632A (ja) ポリイミドフィルム、および、その製造方法
JP4721657B2 (ja) ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム
JP4807073B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP4872466B2 (ja) 金属化ポリイミドフィルムとその製造方法
JP2007302756A (ja) 金属化ポリイミドフィルム
JP4977953B2 (ja) ポリイミド前駆体フィルム、ポリイミドフィルムの製造方法およびポリイミドフィルム
JP2007301781A (ja) 金属化ポリイミドフィルムおよび回路基板
JP2007001173A (ja) 多層ポリイミドフィルム
JP2008038083A (ja) ポリイミドフィルム
JP5206310B2 (ja) ポリイミドフィルム及びその製造方法
JP2007245393A (ja) 金属樹脂積層体
JP2007254643A (ja) 易滑性ポリイミドフィルム、銅張積層基板及び回路基板
JP2007191539A (ja) ポリイミドフィルムおよび金属化ポリイミドフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110616