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JP2006159398A - 弾性研磨工具及びそれを用いた研磨方法 - Google Patents

弾性研磨工具及びそれを用いた研磨方法 Download PDF

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JP2006159398A JP2005153551A JP2005153551A JP2006159398A JP 2006159398 A JP2006159398 A JP 2006159398A JP 2005153551 A JP2005153551 A JP 2005153551A JP 2005153551 A JP2005153551 A JP 2005153551A JP 2006159398 A JP2006159398 A JP 2006159398A
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恵子 北村
Yoshinori Tabata
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Abstract

【課題】 被研磨面に不要なキズをつけることなく研磨することができる弾性研磨工具、およびそれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】 弾性研磨工具1は、眼鏡レンズ5の被研磨面5aに倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体3と、弾性研磨工具1の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さよりも大きな直径を有し、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に取り付けられた研磨パッド4を備え、弾性研磨工具1を自転及び揺動運動する眼鏡レンズ5の被研磨面5aに当接し、回転させながら研磨する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、レンズ等の光学素子の光学面を研磨する研磨工具および研磨方法に関し、特に非球面形状の研磨に用いて好適な弾性研磨工具および研磨方法に関する。
従来、眼鏡レンズ等の凹面は、切削等により、球面、回転対称非球面、トーリック面、累進面、あるいはこれらを合成した曲面等の形状に形成され、最終的に光学面となるよう鏡面研磨される。球面やトーリック面等の単純な曲面形状の鏡面研磨には、剛体の研磨皿を用いた擦り合わせ研磨が用いられる。研磨皿を用いる鏡面研磨方法は、研磨皿の面形状を被研磨面に転写する方法であるため、レンズ処方に対応した面形状の数だけ加工皿が必要となり、その数は数千種類にもおよぶ。
また、累進面等の複雑な曲面、いわゆる自由曲面形状の研磨には、研磨皿を用いた研磨方法では研磨することができないため、弾性研磨工具を用いることが一般的に行われている。
弾性研磨工具を用いる方法としては、例えば、風船型研磨工具を用いる研磨方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、風船型研磨工具の内側に圧力気体を送り、内圧で前記風船型研磨工具を膨らませ、その内圧を変更することによって曲率を変更し、被研磨面の曲面形状に合った曲率にして研磨するもので、凹面の曲率に追随できるため、1種類の風船型研磨工具で多数の被研磨面に対応することができる。
さらに、被研磨面の一部に当接する小さいドーム状の弾性研磨工具を用いる部分研磨方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。部分研磨方法は、被研磨面の形状から算出される平均曲率半径より小さく、かつ、前記平均曲率半径に最も近い弾性研磨工具を選択し、前記弾性研磨工具を回転させながら被研磨面の一部に当て、被研磨面全体に走査させることによって、被研磨面全体を研磨する方法である。
特開2003−275949号公報 特開2000−317797号公報
しかしながら、風船型研磨工具を用いる研磨方法は、被研磨面全体に風船型研磨工具を当てて研磨するために研磨時間は短いが、内圧を高くすると柔軟性が失われ形状への追随性が悪くなり、研磨ムラが発生する場合がある。一方、内圧を低くすると、被研磨面への当たりが弱くなり充分に研磨が行えない場合がある。
また、小さいドーム状の弾性研磨工具を用いる部分研磨方法は、被研磨面全体を走査することによって全面研磨を行うため、走査する時間が必要となるが、効率よく研磨が行えるため、トータルでは研磨時間が長引くことはない。さらに、研磨工具は弾性体で構成されることから、被研磨面に接している部分においては弾性体が被研磨面に倣って形状を変えることが可能であるため、非球面量の多い被研磨面に対しても研磨ムラが発生しにくいという利点がある。しかしながら、小さいドーム状の弾性研磨工具は、被研磨面の直径に比べて小さく、かつ、被研磨面の平均曲率より小さい曲率を有するため、被研磨面全体を走査する際に被研磨面に弾性研磨工具のエッジ部が接触し、被研磨面に不要なキズをつけるという課題がある。
また、眼鏡レンズにおいて、眼鏡フレームに枠入れする前の研磨後の眼鏡レンズは、レンズの外径が円形のものがほとんどであった。しかし近年、眼鏡レンズの薄形化が進み、コンピュータ等を用いて、眼鏡フレームデータと処方から最も薄い中心厚が得られるように加工されるため、レンズの外周部の輪郭(外形形状)が略楕円形状で、縁部が鋭利となった外形形状に研磨される薄形レンズの生産量が増加傾向にある。なお、略楕円形状とは、外周部の輪郭に少なくとも円弧を含む非円形形状であり、例えば卵形形状、トラック形状等がある。
しかしながら、レンズ外形が略楕円形で、縁部が鋭利なレンズを研磨する際に、風船型研磨工具を用いる研磨方法の場合、風船研磨部に貼着された研磨パッドにレンズのエッジ部が食い込み、研磨パッドが剥がれる、あるいは研磨されるレンズや研磨工具を破損してしまう等の課題がある。こうしたことを防ぐために、風船研磨部の内圧を高くすると柔軟性が失われ形状への追随性が悪くなり、研磨されない範囲や研磨ムラ等が発生する場合がある。
一方、小さいドーム状の弾性研磨工具を用いる部分研磨方法の場合、弾性研磨工具が被研磨面に接している部分に断続的に当接するため、レンズのエッジ部が研磨パッドに食い込み、研磨パッドが剥がれる、あるいは研磨されるレンズや研磨工具を破損してしまう等の課題がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被研磨面に不要なキズをつけることなく、また、研磨されるレンズや研磨工具を破損することなく研磨することができる弾性研磨工具、およびそれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の弾性研磨工具は、被研磨面に当接し回転させながら研磨するのに用いられる弾性研磨工具において、前記被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、前記弾性研磨体の被研磨面に対向する面に取り付けられた研磨パッドを備え、前記研磨パッドが、前記弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる前記弾性研磨体の弧の長さよりも大きな直径を有することを特徴とする。
これによれば、弾性研磨工具の弾性研磨体の表面側に取り付けられた研磨パッドが、弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧の長さよりも大きな直径を有することにより、弾性研磨体のエッジ部を含めた全面に研磨パッドが貼り付けられ、弾性研磨体の露出がないため、弾性研磨工具を被研磨面に当接し回転させながら研磨する際に、研磨パッドのみが被研磨面と接触する。したがって、被研磨面に不要なキズをつけることなく鏡面研磨することができる。また、レンズ外形が略楕円形状で、縁部が鋭利となったレンズにおいても、弾性研磨体のエッジ部を含めた全面に研磨パッドが貼り付けられ、弾性研磨体の露出がないため、レンズのエッジ部が弾性研磨体に食い込むことがなく、研磨パッドが剥がれる、あるいは研磨されるレンズや研磨工具が破損することなく研磨することができる。更に弾性研磨体の表面積よりも研磨パッドの表面積が大きくなるため、研磨効率の向上が期待できる。
また、本発明の弾性研磨工具は、前記研磨パッドの直径が、前記弾性研磨体の弧の長さの1.01〜1.30倍であることを特徴とする。
これによれば、研磨パッドの直径が弾性研磨体の弧の長さの1.01〜1.30倍であることにより、研磨パッドの大きさを最適化することができる。研磨パッドの直径が、弾性研磨体の弧の長さの1.01倍未満である場合には、弾性研磨工具が被研磨面を全面走査する際に、研磨パッドのエッジ部が被研磨面に接触してしまい研磨キズを発生させるため、課題を解決できない。また、研磨パッドの直径が、弾性研磨体の弧の長さの1.30倍を超える場合には、被研磨面と接触しない面積が増えるため、研磨パッドに無駄が生じ、不効率である。この値に基づく研磨パッドの直径は、研磨される被研磨物の外形形状が円形の場合において、特に有効である。
また、本発明の弾性研磨工具は、前記研磨パッドの直径が、「(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」で表される値であることを特徴とする。
これによれば、研磨パッドの直径が、「(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」で表される値であることにより、円筒形の長さが異なる弾性研磨体を用いた際にも、研磨パッドの大きさを最適化することができる。研磨パッドの直径が、「弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05未満の値」である場合には、弾性研磨工具が被研磨面を全面走査する際に、研磨パッドのエッジ部が被研磨面に接触して、被研磨面に研磨キズを発生させるため、課題を解決できない。また、研磨パッドの直径が、「弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00を超える値」の場合には、被研磨面と接触しない面積が増えるため、研磨パッドに無駄が生じ、不効率である。この値に基づく研磨パッドの直径は、研磨される被研磨物の外形形状が略楕円形状の場合において、特に有効である。
また、本発明の弾性研磨工具は、前記研磨パッドの直径が、前記弾性研磨体の弧の長さの1.01倍以上であることを特徴とする。
これによれば、研磨パッドの直径が「(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」で表される値であり、かつ、弾性研磨体の弧の長さの1.01倍以上であることにより、研磨パッドの大きさを最適化することができる。研磨パッドの直径が、弾性研磨体の弧の長さの1.01倍未満である場合には、弾性研磨工具が被研磨面を全面走査する際に、研磨パッドのエッジ部が被研磨面に接触してしまい研磨キズを発生させるため、課題を解決できない。
また、本発明の弾性研磨工具は、前記弾性研磨体の材質が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
これによれば、多数種の曲面形状を有する被研磨面へ十分に追随して研磨することが可能である。
また、本発明の弾性研磨工具は、研磨パッドの材質が、不織布又は多孔質素材で形成されるシートであることを特徴とする。
これによれば、非球面量の多い被研磨面に対しても、効率的に所望の光学面へ研磨することが可能である。
また、本発明の研磨方法は、回転及び揺動運動する被研磨物の被研磨面に、前記被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、前記弾性研磨体の被研磨面に対向する面に取り付けられた、弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる前記弾性研磨体の弧の長さの1.01〜1.30倍である直径の研磨パッドを備えた弾性研磨工具を、回転させながら当接し、研磨することを特徴とする。
この研磨方法によれば、被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、弾性研磨体の被研磨面に対向する面に取り付けられた、弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧の長さの1.01〜1.30倍である直径の研磨パッドを備えた弾性研磨工具を、回転及び揺動運動する被研磨物の被研磨面に、回転させながら当接することにより、被研磨面に不要なキズをつけることなく研磨することができる。なお、本研磨方法では、必要に応じて研磨剤を供給しながら研磨を行っても良い。
また、本発明の研磨方法は、回転及び揺動運動する被研磨物の被研磨面に、前記被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、前記弾性研磨体の被研磨面に対向する面に取り付けられた「(弾性研磨体の弧の長さ(弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧の長さ)+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」で表される値の直径の研磨パッドと、を備えた弾性研磨工具を、回転させながら当接し、研磨することを特徴とする。
この研磨方法によれば、被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、弾性研磨体の被研磨面に対向する面に取り付けられた「(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」で表される値の直径の研磨パッドと、を備えた弾性研磨工具を、回転及び揺動運動する被研磨物の被研磨面に、回転させながら当接することにより、研磨パッドの剥がれを防止し、研磨されるレンズや研磨工具の破損がなく、しかも被研磨面に不要なキズをつけることなく研磨することができる。なお、本研磨方法では、必要に応じて研磨剤を供給しながら研磨を行っても良い。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の弾性研磨工具の断面図であり、同図(b)は上面図である。図2は、弾性研磨体の模式断面図である。
本発明の弾性研磨工具および研磨方法の好適な被研磨物としては、平滑化ないし鏡面研磨を必要とする被研磨物であれば制限されない。例えば、眼鏡レンズ等の光学レンズの他に、プラスチックレンズを注型重合するためのガラス型、携帯機器のカバーガラス等の光学部品や、ガラス型、レンズアレイ等を形成するための金型に適用することができる。本実施形態は、被研磨物としてプラスチック眼鏡レンズ(以後、眼鏡レンズと表す)を用いた形態を例示する。
先ず、図1及び図2に基づいて弾性研磨工具1について説明する。
弾性研磨工具1は、研磨体基材2、弾性研磨体3、研磨パッド4を備え、研磨体基材2の上面に弾性研磨体3が取り付けられ、さらに弾性研磨体3の上面に研磨パッド4が取り付けられている。この弾性研磨工具1は、研磨装置の研磨軸に装着され、回転することにより、眼鏡レンズ5の非球面形状(被研磨面5a、図3参照)の研磨が行われる。弾性研磨工具1の直径は、眼鏡レンズ5の非球面形状を崩さずに研磨するために、眼鏡レンズ5の直径よりも小さく設定される。
研磨体基材2は、金属あるいは硬質プラスチック樹脂等の比較的硬質な材料からなり、つば付の円筒形状に形成されている。この研磨体基材2は、つば部が円筒形の中心軸を中心として図示しない研磨装置の研磨軸に装着され、円筒形の他方の面(上面)に弾性研磨体3が取り付けられる。
弾性研磨体3は、被研磨物(眼鏡レンズ5)の被研磨面5aに倣って形状を変えることが可能な弾性を有する材料、例えばシリコンゴムで形成され、図2に示すように、円筒形の一方の面(すなわち、被研磨面5aに対向する面31)に被研磨物(眼鏡レンズ5)の研磨面形状に近い所定の曲率半径Rを有するドーム状の曲面が形成され、他方の面が円筒形の中心軸を研磨体基材2の略中心軸に合わせて、研磨体基材2の上面に、例えば接着剤により取り付けられている。この取り付けを容易に行うためには、例えば弾性研磨体3の直径D(図2参照)と、研磨体基材2の円筒形の直径とを同一寸法に設定するのが好ましい。なお、弾性研磨体3の円筒形の長さ(高さ)Cは、研磨する被研磨物の外形サイズ、曲面形状、及び弾性研磨体3の材質等を考慮して設定される。また、弾性研磨工具1に研磨圧力を加えて被研磨物(眼鏡レンズ5)を研磨する際に、弾性研磨体3が押しつぶされて研磨体基材2が眼鏡レンズ5に当たらない長さ(高さ)に設定するのが好ましい。
なお、弾性研磨体3の材質としては、シリコンゴムの他に、天然ゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、フッ素ゴム等のゴム、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂エラストマーを挙げることができる。
この弾性研磨体3は、被研磨面5aに対向する面31の曲率が異なる多数種類が準備される。眼鏡レンズ5の内面(凹面)を研磨する場合は、例えば曲率半径R(図2参照)が35mm〜600mmの弾性研磨体3を準備する。曲率半径Rが35〜200mmの範囲は、5〜50mm刻み、好ましくは10〜30mm刻みで5〜10種類、曲率半径Rが200〜600mmの範囲では100〜200mm刻みで数種類を準備する。これにより、ほぼ全ての処方に基づく眼鏡レンズ5の凹面の曲面に対応することができる。また、眼鏡レンズの外面(凸面)を研磨する場合には、弾性研磨体3の被研磨面(凸面)に対向する面が平面であるものを用いることも可能である。
また、弾性研磨体3の直径Dは、眼鏡レンズ5の研磨に用いる場合は、一般的に眼鏡レンズ5の直径の最大が80mm程度であるため、20〜60mmの範囲に設定される。直径Dが20mm以下では、弾性研磨工具1を眼鏡レンズ5の被研磨面5aに押し当てた際の面積が小さすぎるため、被研磨面5a(図3参照)を全面走査するのに時間がかかり、結果的に研磨時間が長くなる。また、直径Dが60mm以上では眼鏡レンズ5の直径とほぼ同等となってしまい、被研磨面5aの非球面形状を崩さずに研磨することが難しくなる。
研磨パッド4は、円形の不織布のシートからなり、円形の略中心が弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の略中心軸の位置に、例えば両面接着用テープを介して貼り付けられる。この研磨パッド4のサイズは、弾性研磨体3の円筒形の中心軸(すなわち、弾性研磨工具1の回転軸)を含む断面に現れる弾性研磨体の弧AB(図2参照)の長さの1.01〜1.30倍である直径に設定される。なお、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3に貼り付けられる接着面側における長さである。また、研磨パッド4の材質は、不織布の他にフェルト、ポリウレタン製等の多孔質素材で形成されるシート、合成樹脂製のシートに短繊維が植毛されたものを挙げることができる。
次に、弾性研磨工具1を用いて、眼鏡レンズ5の凹面を研磨する方法を説明する。
図3は、本発明の弾性研磨工具を用いて被研磨物を研磨する態様を示す概略側面図である。
図3において、弾性研磨工具1(研磨体基材2のつば部)が図示しない研磨装置の研磨軸に装着される。研磨軸に装着される弾性研磨工具1は、多数種類が準備された弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の曲率の内から、眼鏡レンズ5の被研磨面5aの平均曲率半径より小さい曲率半径を有し、かつ被研磨面5aの曲率半径に最も近いものが選択される。
なお、研磨装置の研磨軸は、例えば空気圧力が加えられることにより、弾性研磨工具1を眼鏡レンズ5の被研磨面5aに所定の研磨圧力で圧接する機構を備えている。また、研磨装置は、弾性研磨工具1と眼鏡レンズ5の被研磨面5aの間に研磨剤を含むスラリー9を供給する吐出ノズル8を備えている。
一方、被研磨物としての眼鏡レンズ5は、図示しない研磨装置のチャックに装着して固定される取り付け治具7に接合された、例えば低融点金属、あるいはワックス等からなる接合材6に、眼鏡レンズ5の被研磨面5aの反対側の面(凸面)が、レンズの略中心を接合材6の略中心軸位置にして貼り付け固定されている。なお、研磨装置のチャックは、数値制御等による自転(回転)機構と揺動機構を備えている。
眼鏡レンズ5の被研磨面5aの研磨方法は、先ず、研磨装置の研磨軸を回転駆動し、研磨軸に装着された弾性研磨工具1を回転させる。そして、研磨軸を被研磨面5aに圧接する機構に空気圧力を加えて、弾性研磨工具1を所定の圧力で眼鏡レンズ5の被研磨面5aに圧接させると共に、チャックを回転機構により所定の回転数で自転(回転)させつつ、揺動機構が稼動して、弾性研磨工具1上を揺動する。
チャック及び研磨軸の回転と共に、吐出ノズル8から研磨剤を含むスラリー9が弾性研磨工具1と被研磨面5aの間に供給されて眼鏡レンズ5の被研磨面5aの研磨が行われる。
なお、研磨装置の研磨軸(弾性研磨工具1)の回転方向と、チャック(眼鏡レンズ5)の回転方向は、互いに同一回転方向、あるいは反対回転方向のどちらでも良いが、研磨効率の面から反対回転方向がより好ましい。
弾性研磨工具1が、圧接する機構により眼鏡レンズ5の被研磨面5aに圧接される空気圧力は、例えば0.01〜1.00MPaが付与される。また、弾性研磨工具1(研磨軸)の回転数は、例えば100〜1500rpmの範囲に設定され、眼鏡レンズ5(チャック)の回転数は、例えば100〜1500rpmの範囲に設定される。眼鏡レンズ5(チャック)の揺動速度は、例えば1〜20往復/minに設定されて研磨が行われる。
この研磨方法によれば、眼鏡レンズ5の直径に比べて小さく、かつ、眼鏡レンズ5の被研磨面5aの平均曲率半径より小さい曲率半径を有している弾性研磨工具1(弾性研磨体3及び研磨パッド4)の内から、被研磨面5aの曲率半径に最も近いものを選択し、弾性研磨工具1のほぼ全面が被研磨面5aに当接した状態で研磨を行うことで、眼鏡レンズ5の揺動運動により弾性研磨工具1の全面が常に被研磨面5aに圧接した状態で研磨されるため、あらかじめ切削加工で形成された所定の非球面形状を崩すことなく、しかも研磨ムラが発生しにくい鏡面研磨を行うことができる。
また、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けられる研磨パッド4が、弾性研磨体3の円筒形の中心軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さの1.01〜1.30倍である直径に設定されることにより、弾性研磨工具1を眼鏡レンズ5の被研磨面5a全体を走査する際に、被研磨面5aに弾性研磨工具1のエッジ部が被研磨面5aに接触し、被研磨面5aに不要なキズをつけることがなく、効率よく研磨を行うことができる。
次に、レンズの外形形状が略楕円形状で、周縁部が鋭利な眼鏡レンズの研磨について説明する。なお、略楕円形状とは、外周部の輪郭に少なくとも円弧を含む非円形形状であり、例えば卵形形状、トラック形状等がある。
図4(a)は外形形状が略楕円形状の眼鏡レンズの一例を示す上面図であり、同図(b)は(a)に示す眼鏡レンズの断面図である。
図4において、眼鏡レンズ50は、コンピュータ等を用いて、眼鏡フレームデータとレンズ処方とから、最も薄い中心厚が得られるようにレンズ中心厚さが算出処理され、外形形状が円形のレンズ基材51の被研磨面5aが研磨された後の眼鏡レンズの外形形状を示している。研磨された眼鏡レンズ50の外形形状は、レンズ中心O3を中心として最外径dと最短径fで形成される卵形の略楕円形状であり、レンズの周縁部が鋭利に研磨されている。なお、所定の光学特性を得るために研磨された眼鏡レンズ50は、その後、レンズに傷が付き難くするための表面処理等が施され、眼鏡フレームの内周縁の形状に合わせて縁摺り加工を行う玉型加工等が行われる。
レンズの外形形状が略楕円形状で、レンズ周縁部が鋭利な眼鏡レンズ50を研磨する場合の弾性研磨工具1は、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けられる研磨パッド4の直径が、「(弾性研磨体3の円筒形の中心軸Oを含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さ+弾性研磨体3の円筒形の長さC×4.00)≧研磨パッド3の直径D≧(弾性研磨体3の弧ABの長さ+弾性研磨体3の円筒形の長さC×0.05)」で表される値に設定される(図2参照)。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の円筒形の中心軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍以上の値に設定される(図2参照)。
弾性研磨体3の円筒形の長さ(高さ)Cは、研磨する眼鏡レンズ50の外形サイズ、曲面形状、及び弾性研磨体3の材質等を考慮して所定の値に設定されるが、弾性研磨工具1に研磨圧力を加えて眼鏡レンズ50を研磨する際(図3参照)、研磨圧力により、弾性研磨体3が押しつぶされて、弾性研磨体3が取り付けられた研磨体基材2に、眼鏡レンズ50が当たらない長さ(高さ)に設定するのが好ましい。
また、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の弧の長さの1.01倍未満である場合には、弾性研磨工具1が被研磨面5aを全面走査する際に、研磨パッド4のエッジ部が被研磨面5aに接触し、被研磨面5aに研磨キズが発生する。なお、研磨パッド4の直径と弾性研磨体3の弧ABの長さの比は、用いられる弾性研磨体3の円筒形の長さCにより変動し、大きな比の値の場合であってよい。
そして、弾性研磨工具1は研磨装置の研磨軸に装着され、所定の回転数で回転されると共に、所定の圧力で眼鏡レンズ50の被研磨面5aに当接される。一方、被研磨物としての眼鏡レンズ50は、研磨装置のチャックに装着され、所定の回転数で自転(回転)されながら揺動して、眼鏡レンズ50の被研磨面5aの研磨が行われる(図3参照)。
研磨される眼鏡レンズ50は、研磨パッド4の直径Dが、前記に示す値に設定されることにより、研磨パッド4が弾性研磨体3のエッジ部を含めた全面に貼り付けられて、弾性研磨体3の露出がないため、眼鏡レンズ50の外形のエッジ部が、研磨パッド4に食い込むことにより剥がれる、あるいは研磨される眼鏡レンズ50、及び弾性研磨工具1を破損することなく研磨を行うことができる。また、弾性研磨工具1が所定の圧力で被研磨面5aに当接されて眼鏡レンズ50を研磨する際、弾性研磨体3が押しつぶされて研磨体基材2のエッジ部が被研磨面5aに接触し、被研磨面5aに不要なキズをつけることもない。
なお、レンズの外形形状が円形の場合であっても、研磨パッド4の直径を「(弾性研磨体3の円筒形の中心軸Oを含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さ+弾性研磨体3の円筒形の長さC×4.00)≧研磨パッド3の直径D≧(弾性研磨体3の弧ABの長さ+弾性研磨体3の円筒形の長さC×0.05)」で表される値に設定することで、外形形状が略楕円形の場合と同様の効果が得られる。その際、研磨パッド4の直径は、弾性研磨工具1の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧の長さの1.01〜1.30倍の範囲の値であることが望ましい。
以上に示した実施形態は、ドーム状の曲面が形成された弾性研磨工具1を用いて、被研磨面5aとして眼鏡レンズ5,50の凹面を研磨する場合で説明したが、クレーター状(凹孔状)の曲面が形成された弾性研磨工具1用いて、被研磨面5aとして凸面を有する被研磨物を研磨する場合にも、同様に適用することができる。
以下、本実施形態に基づく実施例、および比較例を説明する。
(実施例1)
被研磨物として、レンズの外形形状が円形で直径が75mm、被研磨面5aの平均曲率半径が120mmの眼鏡レンズ5の研磨を行った。
弾性研磨工具1として、直径Dが40mm、曲率半径Rが100mmの弾性研磨体3を選択した。このときの弾性研磨体3の弧ABの長さは40.27mmであり、弾性研磨体3の外径が弧ABの長さより1.73mm大きい、直径42.0mmの円形の研磨パッド4を、弾性研磨体3の中心と研磨パッド4の中心軸を略一致させて、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けた。すなわち、本例は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.04倍である直径を有する研磨パッド4を用いている。
弾性研磨工具1に加える圧力を0.1MPa、回転数を1400rpmに設定し、眼鏡レンズ5の回転数を500rpm、10秒間で1往復の割合で被研磨面5aを揺動させて、2分間の研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料1とした。
(実施例2)
弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付ける研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.73mm大きい直径41.0mm、同様に3.73mm大きい直径44.0mm、7.73mm大きい直径48.0mm、11.73mm大きい直径52.0mm、の4種類の円形の研磨パッドとした以外は、実施例1と同様の研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例は、それぞれ弾性研磨体3の弧ABの長さの1.02倍、1.09倍、1.19倍、及び1.29倍の直径を有する研磨パッド4を用いている。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、研磨に用いた研磨パッド4の直径の小さい順から試料2,3,4,5とした。
(実施例3)
研磨パッド4として、外径が弾性研磨体3の弧ABの長さより3.73mm大きい直径44.0mmの円形の研磨パッド4aを用い、図5の弾性研磨工具の上面図に示すように、弾性研磨体3の中心軸O1と研磨パッド4aの中心O2とを偏心させて、かつ、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の全面を研磨パッド4aで覆うように貼り付けて、弾性研磨工具1aを構成した。すなわち、本例は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.09倍である直径を有する研磨パッド4aを用いている。弾性研磨工具1aを用いた以外は、実施例1と同様の研磨条件で研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料6とした。
(実施例4)
研磨パッド4として、図6の弾性研磨工具1bの上面図に示すように、円形のパッドに放射状に多数(実施例の場合は、5つ)の切り欠き部41を設けた花びら形の研磨パッド4bを、弾性研磨体3の中心軸と研磨パッド4bの中心を略一致させて、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の表面を覆うように貼り付けて弾性研磨工具1bを構成した。この花びら形の研磨パッド4bは、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の形状になじみ、被研磨面5aに対向する面31に貼り付けたときに、放射状の切り欠き部41が、スラリー9の供給、および研磨くずを排出する通路として機能する。研磨パッド4bの外径は、弾性研磨体3の弧ABの長さより3.73mm大きい直径44.0mmとした。すなわち、本例は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.09倍である直径を有する研磨パッド4bを用いている。花びら形の研磨パッド4bをこの弾性研磨工具1bに用いた以外は、実施例1と同様の研磨条件で研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料7とした。
(実施例5)
研磨パッド4として、図7の弾性研磨工具1cの上面図に示すように、多数の多角形(実施例の場合は正六角形)のパッド42から構成され、多角形のパッド42の互いの辺を近接させて弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の表面を覆うように貼り付けられて、研磨パッド4cが形成されている。このパッド42間の隙間は弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31が露出する通水溝43であり、スラリー9の供給、および研磨くずを排出する通路として機能する。この多数のパッド42の、弾性研磨体3の中心軸から最外径位置を研磨パッド4cの外形とし、直径48.0mmとした。すなわち、本例は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.19倍である直径を有する研磨パッド4cを用いている。研磨パッド4cを用いて弾性研磨工具1cを構成した以外は、実施例1と同様の研磨条件で研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料8とした。
(比較例1)
研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.27mm小さい40.0mmの円形の研磨パッド4を、弾性研磨体3の中心軸と研磨パッド4の中心を略一致させて、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けて弾性研磨工具1を構成した。すなわち、本例は、弾性研磨体3の弧ABの長さの0.99倍である直径を有する研磨パッド4を用いている。研磨パッド4以外は、実施例1と同様の研磨条件で研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料9とした。
以上の実施例1〜5(試料1〜8)、および比較例1(試料9)から得られた眼鏡レンズ5の被研磨面5aの外観品質(キズの有無)を、目視により確認した。その結果を、研磨に用いた研磨パッド4の形状仕様と共に、表1に示す。なお、外観品質の良否を○と×で判定した。
Figure 2006159398
表1より、研磨パッド4の形状に係わらず、研磨パッド4の直径が弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さよりも0.73〜11.73mm大きな直径の範囲において、被研磨面5aの全面が、研磨残り、研磨キズ等の発生のない鏡面研磨がされ、眼鏡レンズとしての所望の外観品質が得られる(実施例1〜8)。また、研磨パッド4の直径が弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さに対して小さな場合において、研磨残りはなかったが、眼鏡レンズとして許容できない円弧状の研磨キズが多数発生し、眼鏡レンズとしての所望の外観品質を得ることができない(比較例1)。
したがって、研磨パッド4の外径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さよりも大きい範囲、好ましくは0.5〜12mm大きな直径の範囲、すなわち、研磨パッド4の直径が弾性研磨体3の弧ABの長さの1.02〜1.30倍である範囲において、眼鏡レンズ5の被研磨面5aに不要なキズをつけることなく研磨することができる弾性研磨工具、およびそれを用いた研磨方法が得られる。
次に、レンズの外周部の輪郭(外形形状)が略楕円形状で、レンズ周縁部が鋭利な眼鏡レンズにおける実施例、及び比較例を説明する。なお、レンズの外形形状が円形の場合の試料を併せて作成し、検証した(実施例9及び比較例4)。
(実施例6)
被研磨物として、レンズの外形が略楕円形状で、被研磨面5aの平均曲率半径が120mmの周縁部が鋭利なレンズ(眼鏡レンズ50)の研磨を行った。研磨後の眼鏡レンズ50のレンズ中心O3からレンズ外周部までの長さは、最大40mm(すなわち最外径dが80mm)、最小35mm(すなわち最短径fが70mm)であった。
弾性研磨工具1として、直径Dが40mm、曲率半径Rが100mm、円筒形の長さCが6.00mmの弾性研磨体3を用いた。このときの弾性研磨体3の弧ABの長さは40.27mmであり、弾性研磨体3の外径が弧ABの長さより24.00mm大きい、直径64.27mmの円形の研磨パッド4を、弾性研磨体3の中心と研磨パッド4の中心軸を略一致させて、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けた。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、弾性研磨体3の円筒形Cの長さ×4.00倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.60倍である。
弾性研磨工具1(研磨軸)に加える圧力を0.08MPa、回転数を1400rpmに設定し、眼鏡レンズ50(チャック)の回転数を500rpm、10秒間で1往復の割合で被研磨面5aを揺動させて、2分間の研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ50を、試料10とした。
(実施例7)
弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付ける研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.30mm大きい直径40.57mmの研磨パッド4を用いた以外は、実施例6と同様の被研磨物、及び研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、弾性研磨体3の円筒形Cの長さの0.05倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍である。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ50を、試料11とした。
(実施例8)
弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付ける研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより20.00mm大きい直径60.27mmの研磨パッド4を用い、弾性研磨体3として円筒形の長さCが10.00mmの弾性研磨体3を用いた以外は、実施例6と同様の被研磨物、及び研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、弾性研磨体3の円筒形Cの長さの2.00倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.50倍である。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ50を、試料12とした。
(実施例9)
被研磨物として、レンズの外形形状が円形で、被研磨面5aの平均曲率半径が120mmの眼鏡レンズ5の研磨を行った。眼鏡レンズ5の中心からレンズ外周部までの長さは、40mm(すなわち外径が80mm)であった。
弾性研磨工具1として、直径Dが40mm、曲率半径Rが100mm、円筒形の長さCが6.00mmの弾性研磨体3を用いた。このときの弾性研磨体3の弧ABの長さは40.27mmであり、弾性研磨体3の外径が弧ABの長さより0.30mm大きい、直径40.57mmの円形の研磨パッド4を、弾性研磨体3の中心と研磨パッド4の中心軸を略一致させて、弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31に貼り付けた。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、弾性研磨体3の円筒形Cの長さ×0.05倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍である。研磨条件は、実施例1と同じ条件で研磨を行った。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料13とした。
(比較例2)
研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.24mm大きい、直径40.51mmの円形の研磨パッド4を用いた以外は、実施例6と同様の被研磨物、及び研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.04倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍である。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ50を、試料14とした。
(比較例3)
研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.40mm大きい、直径40.67mmの円形の研磨パッド4を用いた以外は、実施例6と同様の被研磨物、及び研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.04倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.00倍である。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ50を、試料15とした。
(比較例4)
研磨パッド4として、弾性研磨体3の弧ABの長さより0.24mm大きい直径40.51mmの円形の研磨パッド4を用いた以外は、実施例9と同様の被研磨物、及び研磨条件で研磨を行った。すなわち、本例の研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.04倍の長さを加えた値である。また、研磨パッド4の直径は、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.00倍である。被研磨面5aが研磨された眼鏡レンズ5を、試料16とした。
以上の実施例6〜9(試料10〜13)、および比較例2〜4(試料14〜16)から得られた各眼鏡レンズの被研磨面5aの外観品質(キズの有無)を、目視により確認した。その結果を、研磨に用いた研磨パッド4の形状仕様と共に、表2に示す。なお、外観品質の良否を○と×で判定した。
Figure 2006159398
表2より、外周部の輪郭(外形形状)が略楕円形で、縁部が鋭利な眼鏡レンズ50の被研磨面5aを研磨する際、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.05〜4.00倍の長さを加えた値であると共に、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍以上の値の研磨パッドを用いた場合には、被研磨面5aの全面が、研磨残り、研磨キズ等の発生のない鏡面研磨がされ、所定の外観品質の眼鏡レンズが得られる(実施例6〜8)。
一方、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.04倍の長さを加えた値を直径とする研磨パッド4を用いた場合には、被研磨面5aに眼鏡レンズとして許容できない円弧状の研磨キズの発生が認められる(比較例2)。あるいは、鋭利なレンズ周縁部が弾性研磨体3に食込み、眼鏡レンズ50及び弾性研磨体3を破損し、目的とする外観品質を得ることができない(比較例3)。特に、比較例2においては、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍以上にもかかわらず、所望の外観品質の眼鏡レンズが得られない。
また、外形形状が円形の眼鏡レンズ5の被研磨面5aを研磨する際、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.05倍の長さを加えた値、あるいは弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍以上の値の研磨パッド4を用いた場合には、被研磨面5a全面が鏡面研磨され、研磨残りや研磨キズ等の発生のない外観品質の眼鏡レンズが得られる(実施例9)。
また、外形形状が円形の眼鏡レンズ5の被研磨面5aを研磨する際、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.04倍の長さを加えた値、あるいは弾性研磨体3の弧ABの長さの1.00倍の値の研磨パッド4を用いた場合には、被研磨面5aに眼鏡レンズとして許容できない円弧状の研磨キズの発生が認められる(比較例4)。
したがって、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧ABの長さに、円筒形Cの長さの0.05〜4.00倍の長さを加えた値を直径とすることで、眼鏡レンズ50の被研磨面5aに不要なキズの発生を防止すると共に、眼鏡レンズ50及び弾性研磨体3を破損することなく研磨することができる弾性研磨工具1、及びそれを用いた研磨方法が得られる。また、研磨パッド4の直径が、弾性研磨体3の弧ABの長さの1.01倍以上であるときにも同様な効果が得られる。
(a)は、本発明の弾性研磨工具の断面図。(b)は、本発明の弾性研磨工具の上面図。 弾性研磨体の模式断面図。 本発明の弾性研磨工具を用いて被研磨物を研磨する態様を示す概略側面図。 (a)は外形形状が略楕円形状の眼鏡レンズの一例を示す上面図。(b)は(a)に示す眼鏡レンズの断面図。 実施例3に示す弾性研磨工具の上面図。 実施例4に示す弾性研磨工具の上面図。 実施例5に示す弾性研磨工具の上面図。
符号の説明
1,1a,1b,1c…弾性研磨工具、2…研磨体基材、3…弾性研磨体、31…弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面、4,4a,4b,4c…研磨パッド、41…切り欠き部、42…パッド、43…通水溝、5,50…被研磨物としての眼鏡レンズ、5a…被研磨面、6…接合剤、7…取り付け治具、8…吐出ノズル、9…スラリー、AB…弾性研磨工具1の回転軸を含む断面に現れる弾性研磨体3の弧、C…弾性研磨体3の円筒形の長さ、D…弾性研磨体3の直径、R…弾性研磨体3の被研磨面5aに対向する面31の曲率半径。

Claims (7)

  1. 被研磨面に当接し回転させながら研磨するのに用いられる弾性研磨工具において、
    前記被研磨面に倣って形状を変えることが可能な弾性を有する弾性研磨体と、前記弾性研磨体の前記被研磨面に対向する面に取り付けられた研磨パッドとを備え、
    前記研磨パッドが、前記弾性研磨工具の回転軸を含む断面に現れる前記弾性研磨体の弧の長さよりも大きな直径を有することを特徴とする弾性研磨工具。
  2. 請求項1に記載の弾性研磨工具において、
    前記研磨パッドの直径が、前記弾性研磨体の弧の長さの1.01〜1.30倍であることを特徴とする弾性研磨工具。
  3. 請求項1に記載の弾性研磨工具において、
    前記研磨パッドの直径が、
    「(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×4.00)≧研磨パッドの直径≧(弾性研磨体の弧の長さ+弾性研磨体の円筒形の長さ×0.05)」、
    で表される値であることを特徴とする弾性研磨工具。
  4. 請求項3に記載の弾性研磨工具において、
    前記研磨パッドの直径が、前記弾性研磨体の弧の長さの1.01倍以上であることを特徴とする弾性研磨工具。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の弾性研磨工具において、
    前記弾性研磨体の材質が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする弾性研磨工具。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の弾性研磨工具において、
    前記研磨パッドの材質が、不織布又は多孔質素材で形成されるシートであることを特徴とする弾性研磨工具。
  7. 回転及び揺動運動する被研磨物の被研磨面に、
    請求項1〜6の何れか一項に記載の弾性研磨工具を回転させながら当接し、
    前記被研磨物の被研磨面を研磨することを特徴とする研磨方法。
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