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JP2006087815A - 噴霧方法および該方法に基づく噴霧装置 - Google Patents

噴霧方法および該方法に基づく噴霧装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 医療用に利用される吸入器への応用に適する、各回の噴霧操作において、薬剤化合物を水性溶媒中に溶解する液を、噴霧液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧することが可能であり、同時に、患者自体が所定の噴霧が実施されたことを、簡便に感知可能な形態を採用する新規な噴霧方法の提供。
【解決手段】 水性溶媒中に治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧する際、該液剤は、前記薬剤化合物に加えて、矯臭成分および/または嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布した状態で含有させ、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とすることで、矯臭成分または嬌味成分を噴霧状況の識別に利用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液剤を微細に液滴化して、空気中に噴霧混入する方法、ならびに、かかる方法に適用される、液剤を微細に液滴化して、噴霧する機能を有する噴霧装置に関する。特には、吸入器、点鼻薬送入器などの液剤噴霧方式の医療用機器、あるいは、空調機、空気清浄機、換気設備および吸気設備など、大気圧下において、所定の空気の流れを発生させる機器中において利用される噴霧機構において、その利用形態に応じた、広範な適用が可能な噴霧装置に関する。
大気圧下において、所定の空気の流れを発生させる機器は、産業上の種々の用途を有するものから、一般家庭で利用されるものまで、数多くの種類がある。その用途も、空気を送るもの、空気を吸うもの、空気を置換するもの、空気を浄化するもの、あるいは、空気の流れに載せて、特定の成分を送るものなど、多彩である。例えば、空気清浄機は、室内の空気を浄化するとともに、逐次、新鮮な外気を取り込み置換する用途に利用されるものの代表である。また、ミスト状とした種々の薬効成分を呼吸器患部に供給する用途に利用可能な吸入器は、空気の流れに載せて、特定の成分を送る機器の一例である。
種々の液剤から微細なミスト状の液滴を発生させる噴霧機構には、微細なミスト状の液滴発生に、例えば、香水用のアトマイザーのように、加圧した空気を狭い隘路部を通過させる際に発生する微少な圧力差を利用して、キャピラリー管を通して液剤を吸い上げ、ミスト化した上で噴出させる、スプレー方式のものがある。このスプレー方式の噴霧機構は、キャピラリー管を通した液剤の吸い上げ、ミスト化の駆動力として、加圧気体を利用するもので、加圧気体の発生に、手押しポンプを用いるものから、電動式のコンプレッサーを利用するものまで、その使用用途に応じて種々のものがある。また、液体中に超音波によって、微細な気泡を発生させ、この微細な気泡が液表面で崩壊する際、その反跳力を利用して、微細な液滴を放出させる超音波式のミスト発生機構は、例えば、超音波式の加湿器などで利用されている。さらには、微細な液滴を発生する機構として、液溜に収納されている液体に対して、電気的に発生した微細な圧力を加えることで、狭い噴出口から微少な液滴として噴出させる、振動式およびサーマルインクジェット式を例示することができる。この電気的に制御可能な、振動式およびサーマルインクジェット式は、インクジェットプリンター・ヘッドに利用されている。この電気駆動型の振動式およびサーマルインクジェット式の微細な液滴発生機構には、発生させる微細な圧力の制御により、極微量の液量を有する液滴を高い精度で噴出できるという利点がある。この利点を利用して、インクジェットプリンター・ヘッド以外にも、極微量の液量を有する液滴を利用する、幾つかの分野においても、その応用の展開がなされている。
種々の噴霧装置の中には、個々の液滴の液量に加えて、ミスト状の液滴として噴霧される液剤の総量を制御することも必要なものが存在する。例えば、ミスト状とした種々の薬効成分を呼吸器や咽頭・気管の患部に供給する用途に利用される、医療用の吸入器では、かかる患部に対して、薬効成分が所望の用量で投与される必要がある。例えば、吸入器を利用して、特定の化合物を含有する液の所望量を噴霧する場合、通常、患者自身が吸入器を使用するため、噴霧自体を自らが目視により確認することは困難である。具体的には、噴霧に付随する気体の流れは感知されるが、実際に、特定の化合物を含有する液がミスト状の液滴として投与されたか否かは、必ずしも明確には知覚されない場合がある。具体的には、吸入器によってミスト状の液滴として患部に直接投与される薬剤化合物は、極微量の投与で所望の薬理効果を発揮するものが多く、各投与操作において、実際に薬剤化合物を含む液の噴霧がなされたことを患者自身が確認できると、安心感のある投与形態となる。
例えば、吸入器によって、ミスト状の液滴として投与される、薬剤化合物自体が、嗅覚や味覚を刺激する作用を有する際には、鼻腔内の嗅覚細胞や、口腔内、舌表面の味蕾(味覚器)によって、薬剤化合物自体を検知することも可能である。このように薬剤化合物自体に嗅覚や味覚を刺激する作用がある場合、場合によっては、好ましくない味や嗅覚刺激(例えば、苦味)を有するため、必要に応じて、それを遮蔽し、好適な使用感を達成するため、隠蔽用矯臭・嬌味薬を添加する、懸濁物エアロゾル形態の定量噴霧吸入器(MDI)用医薬物質製剤も提案されている(特許文献1参照)。例えば、かかる懸濁物エアロゾル形態の定量噴霧吸入器(MDI)では、噴射剤として、不燃性、あるいは難燃性ガスを液化したものを利用し、該液状の噴射剤中に、薬剤化合物や隠蔽用矯臭・嬌味薬を均一に懸濁した医薬物質製剤が利用される。薬剤化合物や隠蔽用矯臭・嬌味薬は、液状の噴射剤とともに一定量が狭いノズルから放出され、液状の噴射剤が気化する際、噴霧され、乾燥した微細粉体として、投与されている。その際、液状の噴射剤(プロペラント)としては、水素添加されたフルオロカーボン、一部水素添加されたフルオロカーボンのような不燃性、あるいは難燃性ガスが利用される。フッ素含有炭化水素類は、種々のハロカーボンと比較すると、健康に対する悪影響は有意に低いものの、環境に対する負荷要因となる可能性を有し、理想的な噴射剤(プロペラント)ではない。
噴射剤(プロペラント)として、水素添加されたフルオロカーボンのような不燃性、あるいは難燃性ガスの液化物を利用する場合、そもそも溶解性を示さない媒体であるので、予め噴霧乾燥処理により形成される微細な粉体を懸濁する、懸濁物エアロゾルの形態が利用されている。一方、媒体として、水やエタノールを用い、ミスト状の液滴として噴霧する場合には、薬剤化合物や隠蔽用矯臭・嬌味薬を均一に溶解、あるいは分散した原液とする必要がある。
例えば、スプレー方式の噴霧に利用する原液に対して、その識別に利用される色素化合物や香料化合物は、疎水性化合物であり、水に対する溶解性が低いものも少なくない。これら水に対する溶解性が低い、疎水性化合物を水性溶媒中に均一に溶解、分散する場合、分散剤や相溶化剤などを添加し、利用される。一方、分散剤や相溶化剤を利用しない場合、利用可能な色素化合物や香料化合物の種類は、水に対する溶解性が一定水準以上のものに限定され、また、薬剤化合物自体も疎水性であると、色素化合物や香料化合物が薬剤化合物と疎水性相互作用を介して、凝集体を形成する結果、均一な分散状態を保持が困難となることも懸念される。噴霧に利用する原液などに対して、その識別に利用する認識用化合物として、香料や色素を利用する手法があるが(特許文献2および3を参照)、その際、相溶化剤の利用などに関して、多くの工夫はなされておらず、実際に利用されている香料や色素の種類も限定されている。
既に説明したように、液状試料を微細な液滴化した上で、噴出する方法の一つとして、インクジェット技術が公知であり、特に、液滴化した上で噴出する液量に関して、極微量でも高い制御性を示すという特長を有している。このインクジェット方式の微細液滴噴出方式としては、ピエゾ圧電体素子などを利用する振動方式や、マイクロ・ヒーター素子を利用するサーマルインクジェット方式が知られている。ピエゾ圧電体素子などを利用する振動方式は、利用される圧電体素子のサイズ微小化の限界に伴って、単位面積当たりに設ける噴出口の数が制限され、特に、単位面積当たりに設ける噴出口の数が多くなるとともに、その作製に要するコストが急激に高くなる。それに対して、サーマルインクジェット方式では、利用するマイクロ・ヒーター素子のサイズ微小化は比較的に容易であり、ピエゾ圧電体素子などを利用する振動方式と比較して、単位面積当たりに設ける噴出口の数も多くでき、また、その作製に要するコストも遥かに低くできる。
サーマルインクジェット方式を適用する際には、各噴出口から噴出される微細液滴の液量を調整し、適切な噴霧状態を達成する上では、噴出される液の物性を調整する必要がある。すなわち、噴出される液状試料を構成する、溶媒の種類・組成、溶質濃度など、液組成上の工夫を施すことで、目的とする微細液滴の液量を得られるように調整がなされている。
さらには、サーマルインクジェット方式による、液滴の噴出機構に関しても、様々な技術開発が進められており、通常のインクジェット・プリンターヘッドでは、噴出される液滴個々の液量は数ピコリットル程度であるのに対し、液滴個々の液量が、サブピコリットル、あるいはフェムトリットルオーダーの極めて微細な液滴が得られる噴出機構・方法の技術も開発されている(特許文献5を参照)。例えば、数μmサイズの体細胞を、薬剤の塗布を施す対象物とする際に、噴出される液滴個々として、前記の極めて微細な液滴を利用する必要が生じる場合も想定される。
特開平 7−187996号公報 米国特許第6192882号明細書 米国特許第6349719号明細書 特開2001−161819号公報 特開2003−154655号公報
以上に説明したように、液体試料を噴霧する手法は従来から種々存在している。しかし、そのなかで、医療用に利用される吸入器のように、各回の噴霧操作によって、噴霧される微量な液量の合計を高い精度で制御する目的に適合するものは、懸濁物エアロゾル形態の定量噴霧吸入器(MDI)が代表的な手段である。その噴霧量の制御は、吐出される懸濁物エアロゾルの容量を固定化することでなされている。
さらには、この懸濁物エアロゾルでは、噴霧キャピラリーを吐出する際には、噴射剤の液化ガス液滴が存在するものの、実際に患部に到達するまでには、噴射剤の液化ガス液滴は気化してしまい、懸濁物成分である、予め噴霧乾燥された微細粉体が噴霧されている。
噴射剤として液化ガスを利用せず、薬剤化合物を水性溶媒中に溶解する噴霧液を利用し、ミスト状の微細な液滴として、単回の噴霧操作によって噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御可能な手段の提案が望まれている。特に、医療用に利用される吸入器への利用を想定すると、各回の噴霧操作において、患者自体が所定の噴霧が実施されたことを、簡便に感知可能な形態を採用し、薬剤化合物を水性溶媒中に溶解する液を、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧することが可能な手法の提案が望まれている。
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、例えば、医療用に利用される吸入器への応用に適する、各回の噴霧操作において、水性溶媒中に薬剤化合物を溶解、または均一に分散している液を、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧することが可能であり、同時に、患者自体が所定の噴霧が実施されたことを、簡便に感知可能な形態を採用する新規な噴霧方法と、かかる噴霧方法を適用する噴霧装置を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を進めた。
上述する懸濁物エアロゾル形態の定量噴霧吸入器(MDI)では、噴射剤として、不燃性、あるいは難燃性ガスを液化したものを利用し、単回噴射に供される、液化ガスの単位容量を規定することで、定量噴霧を可能としている。また、媒体として水やエタノールを用いる液剤の噴霧に利用される、スプレー方式の噴霧では、キャピラリーを介して、液剤を搬送用加圧気体とともに放出することで、細かな液滴に変換している。従って、原理的には、かかるキャピラリー流路に供給される液剤の液量を規定することで、噴霧量を制御することは可能であるが、実際には、その制御精度は必ずしも高くない。
特に、スプレー方式の噴霧では、液剤を細かな液滴に変換する過程で利用される加圧気体を、その後、噴霧された微細な液滴を搬送する気体の流れとしても使用するため、この搬送用の気流中に浮遊される微細な液滴の量(密度)を目的に応じて、変化させることが、構造上困難である。
本発明者は、液剤を細かな液滴に変換する過程に利用可能な手段を探索した結果、サーマルインクジェット方式による、液滴の噴出機構を利用すると、医療用に利用される吸入器に利用可能な小型化に適することが米国特許第5894841で開示されている。これを応用して、微細な液滴の吐出口を高密度に配置するサーマルインクジェット・ヘッドを利用すると、単位面積当たり、単位時間当たりに吐出される微細な液滴の総数を高い精度で設定、制御可能であり、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧する用途に正に適合する噴霧手段となることを確認した。
さらに、噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する操作は、搬送用の気流を導く管状の流路内に、小型化可能なサーマルインクジェット・ヘッド型噴霧装置を配置することで簡単に達成できることも確認した。但し、懸濁物エアロゾル形態の定量噴霧吸入器(MDI)やスプレー方式の噴霧装置では、原理的に噴霧された微細な液滴を搬送する気体の流れが発生すれば、その気流中に噴霧された微細な液滴が混入しているので、実際に、噴霧された微細な液滴の混入を確認する必要は皆無である。しかし、この噴霧操作と噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する操作とが独立に進行する手法を採用する場合、混入の確認を行う必要が生じる。具体的には、医療用に利用される吸入器に利用する際には、薬剤化合物の投与対象者が、噴霧された液剤の吸入がなされたことを自ら認識可能であることも、大きな精神的な効果を有する。
本発明者は、この噴霧された液剤の吸入を確認する手段として、噴霧に供する液剤中に、薬剤化合物とともに、矯臭成分あるいは嬌味成分を均一に配合し、噴霧された微細な液滴は、薬剤化合物と矯臭成分あるいは嬌味成分をその配合比率で含有したものとすると、噴霧量を高精度で制御でき、且つ嗅覚または味覚により、この矯臭成分あるいは嬌味成分の混入を感知する方法が利用可能となることを見出した。矯臭成分あるいは嬌味成分として、利用可能な香料の多くは、疎水性物質である。現状、水性媒体中で用いられている矯臭成分あるいは嬌味成分は、大多数が親水性のものであり、親水性の矯臭成分あるいは嬌味成分として利用可能な、親水性物質の単離を行う場合、精製工程では有機溶媒抽出法は利用できず、それに代わる複雑なプロセスが必要となる。あるいは、親水性の矯臭成分あるいは嬌味成分として利用可能な、親水性物質を合成する場合も、分離精製工程では、複雑なプロセスが必要となる。これらの複雑なプロセスを利用することに伴い、高い製造コストを要することが多い。一方、水性媒体中に均一に配合する矯臭成分あるいは嬌味成分として、疎水性物質を用いることができれば、用途に応じて、矯臭成分あるいは嬌味成分を選択する際、その選択肢のバリエーションが格段に増す。また、矯臭成分あるいは嬌味成分として利用可能な、疎水性物質の大半は、有機溶媒抽出法を利用した分離・精製が可能であり、また、市販品の入手も容易であり、コスト面での利点を有している。このように、水性媒体を利用する系においても、矯臭成分あるいは嬌味成分として、疎水性物質を用いることが可能となると、様々な観点で有用な手段ではあるが、そのままでは、水性溶媒中に均一に分布されないものもある。そのような場合、この種の医療目的の吸入用液剤に利用可能な、界面活性剤、分散剤を適宜添加することで、香料などの疎水性物質を薬剤化合物とともに、水性溶媒中に均一に分布させることが可能であることを確認した。この均一化がなされた液剤を利用することで、噴霧された微細な液滴は、薬剤化合物と矯臭成分あるいは嬌味成分をその配合比率で含有したものとなる。すなわち、薬剤化合物の投与対象者は、配合されている矯臭成分あるいは嬌味成分を感知することを介して、噴霧された液剤の吸入がなされたことを自ら認識可能となることも検証した。本発明者は、これら一連の知見に基づき、本発明にかかる噴霧方法を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる噴霧方法は、
水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧する方法であって、
該液剤は、前記薬剤化合物に加えて、疎水性の矯臭成分および/または疎水性の嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布した状態で含有し、
前記液剤の噴霧は、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とすることで行うことを特徴とする噴霧方法である。
本発明にかかる噴霧方法では、液剤を細かな液滴に変換する過程と、噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する過程とを分離し、液剤を細かな液滴に変換する過程では、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とする手法を採用している。同時に、噴霧に用いる液剤は、前記薬剤化合物に加えて、矯臭成分および/または嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布した状態で含有したものとする。その結果、単位時間当たりに吐出される微細な液滴の総数を高い精度で設定、制御可能であり、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧する用途に正に適合する噴霧手段となっている。また、噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する際、配合されている矯臭成分および/または嬌味成分が、嗅覚あるいは味覚による感知可能な識別マーカーとして機能する。従って、例えば、医療用に利用される吸入器へ応用すると、各回の噴霧操作において、薬剤化合物を水性溶媒中に溶解する液を、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧することが可能であり、同時に、患者自体が所定の噴霧が実施されたことを、簡便に感知可能な形態を採用する新規な噴霧方法となる。
従来、水性溶媒を用いる液剤の噴霧に広く利用されていたスプレー方式の噴霧では、液剤を細かな液滴に変換する過程で利用される加圧気体が、その後、噴霧された微細な液滴を搬送する気体の流れとしても使用されるため、この搬送用の気流中に浮遊される微細な液滴の量(密度)を目的に応じて、変化させることが、構造上困難である。
一方、本発明にかかる噴霧方法では、このスプレー方式の噴霧が有する、原理的な制約を回避する手法として、液剤を細かな液滴に変換する過程と、噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する過程とを分離する形態を採用している。
基本的には、本発明にかかる噴霧方法は、
水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧する方法であって、
該液剤は、前記薬剤化合物に加えて、疎水性の矯臭成分および/または疎水性の嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布した状態で含有し、
前記液剤の噴霧は、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とすることで行うことを特徴とする噴霧方法であるが、
その際、前記疎水性の矯臭成分および/または嬌味成分として、市販品の入手が容易な、疎水性の香料物質を利用することも可能としている。加えて、前記液剤中には、前記薬剤化合物、ならびに前記矯臭成分および嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布させるための添加剤が含まれていることが望ましい。
一方、本発明にかかる噴霧方法では、
サーマルインクジェット方式によって吐出される微小液滴は、サブピコリットル以下の液滴量を有する形態とすることが可能であり、また、好ましい。
加えて、本発明は、上述する構成の本発明にかかる噴霧方法の実施に適する噴霧装置の発明をも提供しており、
すなわち、本発明にかかる噴霧装置は、
上述する構成を有する本発明にかかる噴霧方法を適用して、水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤の噴霧に利用可能な噴霧装置であって、
前記液剤を収納するタンクと、
サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させることが可能な、サーマルインクジェット・ヘッドと、
前記タンクからサーマルインクジェット・ヘッドへ前記液剤を供給する手段とを具備した液体噴霧用カートリッジの構成をとることを特徴とする噴霧装置である。
また、本発明にかかる噴霧方法、ならびに噴霧装置は、医療目的で利用される吸入装置に応用すると、好適であり、
従って、本発明は、かかる応用形態として、医療目的で利用される吸入装置の発明をも提供し、すなわち、本発明にかかる吸入装置は、
水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧し、該液剤の噴霧を投与対象者に吸入させるための吸入装置であって、
前記液剤の噴霧を行う噴霧機構として、上に構成を示した本発明にかかる噴霧装置を用い、
該噴霧機構で発生される、前記液剤の微小液滴が霧状に浮遊する気体を、前記投与対象者に吸入させる吸入機構を、前記噴霧機構に付設する装置構成を有することを特徴とする吸入装置である。
広く利用されているスプレー方式の噴霧装置では、原理的に噴霧された微細な液滴を搬送する気体の流れが発生すれば、その気流中に噴霧された微細な液滴が混入しているので、実際に、噴霧された微細な液滴の混入を確認する必要は皆無である。それに対して、本発明にかかる噴霧方法は、この噴霧操作と噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する操作とが独立に進行する手法であるので、混入の確認を行う必要が生じる。
本発明にかかる噴霧方法は、噴霧された液剤の搬送用気流中への混入を確認する手段として、噴霧に供する液剤中に、薬剤化合物とともに、矯臭成分あるいは嬌味成分を均一に配合し、噴霧された微細な液滴は、薬剤化合物と矯臭成分あるいは嬌味成分をその配合比率で含有したものとする結果、嗅覚または味覚により、この矯臭成分あるいは嬌味成分の混入を感知することが可能となり、液剤の噴霧と、その後の搬送用気流中への混入の確認に利用している。
なお、本発明にかかる噴霧方法において、噴霧液として利用する液剤は、水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有し、さらに、この薬剤化合物に加えて、矯臭成分および/または嬌味成分も水性溶媒中に均一に分布した状態で含有させている。薬剤化合物、ならびに嬌味・矯臭成分として利用される香料として、水性溶媒に均一に溶解可能な親水性の物質に加えて、水性溶媒に対する溶解性が乏しい疎水性物質を利用する場合もあるが、医療目的の吸入用液剤に利用可能な、界面活性剤、分散剤を適宜添加することで、薬剤化合物、ならびに嬌味・矯臭成分として配合される疎水性物質を水性溶媒中に均一に分布した状態としている。このような水性溶媒中に均一に分布した状態を達成される液組成を選択することで、噴霧される微細な液滴中にも、噴霧液として利用する液剤における配合比率と等しい比率で、薬剤化合物と矯臭成分および/または嬌味成分が含まれる。

以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明にかかる噴霧方法の適用対象の噴霧液は、水性溶媒中に薬剤化合物を含有している。この薬剤化合物の一例には、種々の治療目的で、噴霧液の形態で投与される医薬用化合物などが含まれる。種々の治療目的に対して、有用な薬理的、生理的な作用を示す医薬用化合物として、一般的に利用されている薬剤化合物の一例として、消炎ステロイド、非ステロイド消炎剤、鎮静剤、鬱病治療剤、鎮痛剤、喘息治療剤、β−交感神経作用剤、抗コリン作用剤、肥満細胞安定剤、拮抗剤、鎮咳剤、去痰剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、制吐剤、睡眠誘導剤、ビタミン剤、性ステロイドホルモン、抗腫瘍剤、抗不整脈剤、高血圧剤、抗不安剤、抗精神剤、強心剤、気管支拡張剤、肥満治療剤、片頭痛剤、抗リウマチ剤、タンパク製剤、ホルモン剤、サイトカイン、レセプター、抗体、酵素、ワクチン、ウィルス、アンチセンス、遺伝子、核酸類を例示できる。
水性溶媒中に含有させて、利用可能な薬剤化合物の一例として、具体的には、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシロノン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、フルオコルチン、ブデソニド、サルブタモール、サルメテロール、アセトアミノフェノン、フェナセチン、ネドクロミル、アスピリン、アミノピリン、スルピリン、フェニルブタゾン、メフェナム酸、フルフェナム酸、イブフェナック、イブプロフェン、アルクロフェナック、ジクロフェナック、インドメタシン、スコポラミン、イミプラミン、クロモグリク酸ナトリウム、リン酸コデイン、塩酸イソプロテレノール、ジフェンヒドラミン、トリプロリジン、イソチペンジル、クロルフェニラミン、アンレキサノクス、アゼラスチン、オザクレル、トラニラスト、ケトチフェン、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミド、シサプリド、ドンペリドン、ブロチゾラム、メラトニン、シアノコバラミン、メコバラミン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、テガフール、プロプラノロール、アテノロール、ニカルジピン、ジアゼパム、ニトラゼパム、ドパミン、モルヒネ、ブプレノルフィン、オキシトロピウム、マジンドール、ベラプロスト、アカルボース、ソルビニール、ピナベリウム、イナペリゾン、エルゴタミン、イミグラン、アクタリット、プラトニンを例示できる。
また、医薬用途で使用されているタンパク質の一例として、インスリン類、成長ホルモン類、成長ホルモン放出因子類、黄体形成ホルモン放出ホルモン類、ソマトスタチン誘導体類、バゾプレッシン類、卵胞刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン類、副腎皮質刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、血圧作用性ペプチド、昇圧作用性ペプチド、グルカゴン類、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、CSF、GLP−1、エリスロポエチン、インターフェロン、インターロイキン、カルシトニン、細胞吸着タンパクを例示できる。ここに例示する、種々の薬理的作用を示すタンパク質は、例えば、肺に送達すると、その内皮組織を透過し、毛細血管中を流れる血流中に取り込まれることは、例えば、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 12(2&3)(1995)などに記載の研究により明らかにされている。
噴霧液中に含有される薬剤化合物は、水性溶媒中における含有率(質量濃度)を、1ppm〜10%の範囲に選択することが好ましく、なかでも、0.001%〜5%の範囲に選択できるとより好ましい。
本発明にかかる噴霧方法の適用対象の噴霧液は、水性溶媒中に前記薬剤化合物に加えて、矯臭成分あるいは嬌味成分を含有する。一般に、噴霧液中に配合した際、矯臭成分あるいは嬌味成分として機能する物質としては、例えば、各種の天然香料、合成香料、調合香料が利用でき、また、化粧品香料、石鹸香料、あるいは食品香料などの用途で利用される一般的な香料成分も利用可能である。そのうち、矯臭成分は、通常、気化した化合物分子が鼻腔内に達し、嗅覚受容細胞により認識される形態で作用し、一方、嬌味成分は、口腔内に達し、舌上の味覚器(味蕾)において認識される形態で作用する。前記薬剤化合物に対して、併用される矯臭成分あるいは嬌味成分は、噴霧自体を目視等の他の知覚手段による確認が困難な形態で行う際、噴霧される微少液滴中に含有される微量の矯臭成分あるいは嬌味成分を嗅覚または味覚により感知することで、噴霧が実施されたことの確認に利用される。加えて、薬剤化合物が嗅覚あるいは味覚を刺激する作用を有する際、併用される矯臭成分あるいは嬌味成分は、この薬剤化合物に起因する刺激を実効的に遮蔽する機能を発揮することも可能である。所謂、「苦い」薬剤化合物の味を、他の嬌味成分の味によって遮蔽する形状など、噴霧の実施自体は、薬剤化合物自体の嗅覚あるいは味覚への刺激によって認知可能な状況下における、矯臭成分あるいは嬌味成分の併用も、矯臭成分あるいは嬌味成分の嗅覚あるいは味覚への刺激が、噴霧の実施の感知に利用可能である限り、本発明の技術的範囲に含まれる。
具体的には、矯臭成分あるいは嬌味成分として利用可能な天然香料として、ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリス、レモン油、プチグレン油、ネロリ油、オレンジ油、ベルガモット油、バラ油、レモングラス油、ジンジャーグラス油、シトロネラ油、パルマローザ油、ベチバー油、白檀油、リナロエ油、オポパナックス油、ローズマリー油、サイム油、ペパーミント油、ラベンダー油、クラリ・セイジ油、紫蘇油、スパイク油、パチュリー油、ゼラニウム油、アジョワン油、アニス油、カラウェー油、コリアンデル油、フェンネル油、ジャスミン油、ポアドロース油、シンナモン油、カシア油、ベイ油、クローブ油、カヤプテ油、イランイラン油、カナンガ油、シダーウッド油、アビエス油、スターアニス油、チューベローズ花油、オリス油、オークモス油、樟脳油、テレピン油、黒文字油などを例示することができる。また、該天然香料の使用に代えて、該天然香料中に含まれる各種香料成分の単離物を、矯臭成分あるいは嬌味成分として使用することも可能である。
また、矯臭成分あるいは嬌味成分として利用可能な合成香料(香料成分)としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ジペンテン、テルピノーレン、ミルセン、p−サイメン、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、ミルセノール、α−テルピネオール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ファルソネソール、ネロリドール、サンタロール、セドロール、ベチベロール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、β−フェニルエチルメチルエチルカルビノール、フェニルグリコール、tert−ブチルシクロヘキサノール、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、n−ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ドデシルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、n−トリデシルアルデヒド、n−テトラデシルアルデヒド、n−ヘキサデシルアルデヒド、2、6−ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、p−トリルアルデヒド、p−トリルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、p−tert−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、γ−ウンデカラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、p−メチル−β−フェニルグリシド酸エチル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シトラール・ジメチルアセタール、シトラール・ジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒド・ジメチルアセタール、エチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ノニルケトン、メチルヘプテノン、l−カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジリデンアセトン、メチルナフチルケトン、α−ヨノン、β−ヨノン、メチルヨノン、イロン、ネロン、アニシルアセトン、ジスジャスモン、ジヒドロジャスモン、ヌートカトン、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、12−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、ムスク・キシレン、ムスク・ケトン、ムスク・アンブレット、ムスク・チベテン、モスケン、ファントリド、セレストリド、ベルサリド、トナリド、ガラクソリド、アニソール、p−アセチルアニソール、ジフェニルオキシド、ジメチルハイドロキノン、p−クレゾールメチルエーテル、アネトール、ジヒドロアネトール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、ベンジルイソオイゲノール、サフロール、イソサフロール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、バニトロープ、ギ酸ゲラニル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸メチルフェニルカルビニル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸イソオイゲノール、酢酸ミルセニル、酢酸セドリル、酢酸tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸ジヒロテルピニルプロピオン酸エチル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンナミル、酪酸イソアミル、酪酸ゲラニル、酪酸リナリル、イソ酪酸リナリル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、酪酸ベンジル、イソ酪酸ベンジル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸シンナミル、カプロン酸エチル、カプロン酸イソアミル、カプロン酸シトロネリル、カプリル酸エチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ヘプチンカルボン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、ピルビン酸エチル、β−メチルプロピオン酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、フタル酸ジエチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、メチルアンスラニル酸メチル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、ローズオキサイド、オキサイドケトン、リナロールオキサイド、ビシクロジヒドロホモファルネシルオキサイド、インドール、スカトール、6−メチルキノリン、6−メチルテトラヒドロキノリン、7−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、イソブチルキノリン、ブロムスチロール、酢酸トリクロル・メチルフェニルカルビニル、フリフリル・メルカプタンを例示できる。
本発明にかかる噴霧方法の適用対象の噴霧液中に、嬌味成分あるいは矯臭成分として配合される香料などの配合比率は、利用する香料の種類によっても異なるが、一般に、1ppb〜10%の範囲に設定することが好ましく、1ppm〜1%の範囲とするとより好ましい。また、噴霧液の利用目的に反しない範囲で、嬌味成分と矯臭成分を組み合わせて使用してもよい。すなわち、鼻腔内への投与を目的とする際、投与部位の鼻腔内組織に好ましくない影響を及ぼさない嬌味成分を、矯臭成分に加えて使用してもよい。あるいは、口腔を介して、咽喉あるいは気管内へ投与を目的とする際、投与部位の咽喉あるいは気管内壁組織に好ましくない影響を及ぼさない矯臭成分を、嬌味成分に加えて使用してもよい。
従って、嬌味成分あるいは矯臭成分として、上に例示する香料物質の少なくとも一つを含み、場合によっては、複数種の香料物質を配合することもできる。
本発明にかかる噴霧方法の適用対象の噴霧液中に配合される薬剤化合物や、嬌味成分あるいは矯臭成分として利用する香料は、水性溶媒中において、所望の溶解性が示さない疎水性物質であることもある。その際には、必要に応じて、均一な分布を達成するに利用可能な、分散剤、界面活性剤などを添加することができる。更には、必要に応じて、適用対象の噴霧液の使用目的に適合する種々の添加剤、例えば、分散剤、界面活性剤、表面調整剤、粘度調整剤、溶剤、保湿剤、pH調整剤を適正量添加することができる。
具体的には、配合可能な添加剤として、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、乳化剤、分散剤、親水性バインダー、疎水性バインダー、親水性増粘剤、疎水性増粘剤、グリセリン、グリコール類、グリコール誘導体類、アルコール類、尿素、電解質、緩衝液成分を例示できる。なお、前記の各種添加剤は、必要に応じて、単一のものを添加することもでき、あるいは、複数種を添加することもできる。
なお、上記に例示した添加剤として利用する、各種の物質に関しては、治療用の液剤の調製に際し、添加可能な副次成分として、各国の薬局方などに記載されている、医薬用途のもの、あるいは、食品、化粧品において利用が許容されているものを用いることがより好ましい。
上記の添加剤として、配合される各種の物質の添加比率(質量濃度)は、対象となる主成分の薬剤化合物、および嬌味成分あるいは矯臭成分として利用する香料の種類、配合比率に依って異なるが、一般に、0.0t%〜40%の範囲に選択することが好ましく、0.1%〜20%の範囲内とすることがより好ましい。一方、上記の添加剤の添加量は、その用途(機能)、種類、ならびに組合せにも依存するが、配合される液剤の吐出性の観点から、該液剤の必須成分である、前記薬剤化合物、ならびに矯臭成分あるいは嬌味成分の各々の含有量合計1質量部に対して、0.5質量部〜100質量部の範囲に選択することが好ましい。
本発明にかかる噴霧方法では、前記液剤の噴霧は、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とすることで行う。このサーマルインクジェット方式により吐出される該液剤の微小液滴が、気流中において過渡的に浮遊し、霧状となる上では、その液滴の径は、30μm以下であることが好ましい。従って、1μm〜25μmの範囲の平均液滴径を有する微小液滴の吐出が可能な、サーマルインクジェット方式の液剤吐出装置を利用することが好ましい。また、前記噴霧方法においては、治療目的で上記薬剤化合物を含む液剤の噴霧を投与対象者に吸入させた際、目標とする治療効果を発揮するに必要な薬剤化合物の用量を十分に満たす量の液剤液量を、かかる液剤の噴霧の形態で投与することが可能である。
具体的には、サーマルインクジェット方式による、液滴の噴出機構を利用する際、個々の液剤吐出ユニットのサイズを小さくし、単位面積当たり、微細な液滴の吐出口を高密度に配置するサーマルインクジェット・ヘッドを構成することが可能である。その際、個々の液剤吐出ユニットについて、吐出口の口径、吐出に利用される熱パルスの熱量、それに用いるマイクロ・ヒーターなどのサイズ精度、再現性を高くすることが可能である。その際、このヘッド上に高密度に配置される多数の液剤吐出ユニット全体における、狭い液滴径分布を達成することも可能である。本発明にかかる噴霧方法においては、このような高いサイズ精度、再現性によって作製される、単位面積当たり、微細な液滴の吐出口を高密度に配置するサーマルインクジェット・ヘッドが好適に利用される。
本発明にかかる噴霧装置は、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させることが可能な、サーマルインクジェット・ヘッド部は、該ヘッド部を構成する多数の液剤吐出ユニットを独立駆動可能な構成とすることが好ましい。その際、各液剤吐出ユニットの独立駆動に要する、複数の制御信号等の接続に供する電気接続部と、各液剤吐出ユニットとの間を繋ぐ配線とを一体化し、加えて、前記液剤を収納するタンクと、このタンクからサーマルインクジェット・ヘッドへ液剤を供給する手段として、液流路とを含めて、一体的に構成された液体噴霧用カートリッジの形態とすることが好ましい。
図1に、かかる液体噴霧用カートリッジの全体構成の一例を模式的に示す。この図1に例示するカートリッジは、同一の基材1上に、液剤を噴霧するヘッド部4と、液剤を充填するタンク2と、このタンク2からヘッド部4へと液剤を導く液流路3とが一体的に配置、作製されている。ヘッド部4の各液剤吐出ユニットの駆動を制御するコントローラと、ヘッド部4とは、内部の配線4が連結されている電気的接続部5を介して、駆動信号、制御信号などのやり取りを行う。
その際、ヘッド部4は、吐出される微細な液滴個々の液量を、サブピコリットル、あるいは、フェムトリットルオーダーとし、その制御性にも優れている、特開2003−154655号公報に開示される、極微小の液滴吐出用ヘッドを利用することが好ましい。
この図1に示す事例では、噴霧される液剤は一種類であり、液剤を充填するタンク2は、一つとする構造となっている。なお、噴霧される液剤が二種類以上の場合、適宜、それに対応する、液剤を充填するタンク複数を設け、サーマルインクジェット・ヘッドも、液剤吐出ユニット複数種の集積化する構成とすることで、対応可能である。
本発明にかかる吸入装置は、本発明にかかる噴霧方法の有する特徴である、液剤を細かな液滴に変換する過程と、噴霧された微細な液滴をその搬送用の気流中に混入する過程とを分離する形態の利点を生かして、水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧し、この液剤の噴霧を投与対象者に吸入させる際、この吸入される気体中に含まれる、薬剤化合物の量(単回投与当たりの用量)を随意に設定できる。その際、前記液剤の噴霧を行う噴霧機構として、単位面積当たり、微細な液滴の吐出口を高密度に配置するサーマルインクジェット・ヘッドを利用することで、使用者が携帯所持できるような小型化を行うことができる。
図2、図3に、医療目的で利用される吸入器を、使用者が携帯所持できるように小型化した一例の構成を示す。図2は、吸入器の外観を示す斜視図である。吸入器本体10は、液体噴霧用カートリッジと、そのコントローラ、電源(電池)などを収納するハウジングに、吸入時に口にあてがうマウスピース8が装着されている。液体噴霧用カートリッジは、図1に例示するような、液剤タンクと一体化されたものであり、アクセスカバー7を開き、交換可能な構成とされている。図3は、アクセスカバー7が開いた状態を図示したもので、空気取り入れ口から流入する空気をマウスピース8内へ導く、管状の空気流路の途中に、ヘッドカートリッジ・ユニット11が取り付けられている。このヘッドカートリッジ・ユニット11のヘッド部において、サーマルインクジェット方式による微細な液滴化して、噴霧される液剤は、この管状の空気流路内で空気の気流中に混合される。この吸入器では、マウスピース8を使用者が咥え、吸気することで、空気取り入れ口から空気が流入する方式は利用されている。すなわち、この吸気部の構成が、噴霧機構で発生される、液剤の微小液滴が霧状に浮遊する気体を、投与対象者に吸入させる吸入機構に相当している。
図3に示す構成を採用することで、噴霧される液剤の微小液滴は、吸気とともに、投与対象者の咽喉、気管内部へと自然と到達可能な形態となっている。従って、噴霧される液剤の量(投与量)は、吸気される空気の容量の大小には依存せず、独立にコントロールされている。具体的には、ヘッドカートリッジ・ユニット11のヘッド部には、特開2003−154655号公報に開示される、極微小の液滴吐出用ヘッドを利用し、平均液滴径が3μm程度となる構成としている。
なお、1μm〜25μmの範囲の平均液滴径を有する微小液滴として、吐出すると、この微小液滴中に含まれる香料は、簡単に気化され、混合気体全体に、使用している香料由来の香気(芳香)が付与される。図2に例示する吸入器では、噴霧される液剤の極微小の液滴は、吸気とともに、直接口腔内に導かれるが、発生した香料由来の香気(芳香)は、十分に嗅覚細胞を刺激し、矯臭成分として感知可能な状態となる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はかかる実施例に示す形態に限定されるものではない。
(実施例)
本発明にかかる噴霧方法の有効性は、以下の検証試験によって確認される。
[試験用噴霧液サンプルの調製]
検証試験に利用する噴霧液サンプルとして、水性溶媒中に、薬剤化合物、矯臭成分あるいは嬌味成分として香料、さらに、界面活性剤などの添加剤を加え、サンプル瓶中で均一攪拌した混合液を調製する。表1に、調製された噴霧液サンプルの組成を示す。
なお、噴霧液サンプル1は、矯臭成分/嬌味成分として利用する、香料が含有されてなく、噴霧液サンプル3、噴霧液サンプル7は、矯臭成分/嬌味成分として利用する香料の分散を促進する、界面活性剤成分の添加がなされていない。
Figure 2006087815
[噴霧装置]
本例では、試験用噴霧液サンプルの噴霧には、下記二種のサーマルインクジェット方式を利用する噴霧装置を使用する。
方式1:バブルジェットプリンターPIXU950i(キヤノン社製)に使用されている、バブルジェットプリンター・ヘッド部を利用し、該プリンター・ヘッドのインク供給部にシリコンチューブを介して、水性溶媒を利用する噴霧液サンプルを供給可能の形態とした噴霧装置である。
方式2:先に説明する特開2003−154655号公報に記載されるサブピコリットルの液量の極微少な液滴の吐出が可能な、サーマルインクジェット方式の液滴吐出ヘッドを応用する吸入器用の噴霧装置である。動作条件は、周波数20kHz、電圧12Vを選択し、1秒間吐出を行い、3秒間のインターバルを置く、吐出サイクルを用いた。
かかるサーマルインクジェット方式の極微少液滴吐出ヘッドは、水性インクを直径3μmの微細な液滴として吐出可能であり、前記微細な液滴の液量は、0.02ピコリットル程度に相当する。

[評価方法]
(1)噴霧される微細な液滴中に含有される矯臭成分/嬌味成分(香料)に由来する香気の評価
前記噴霧装置において、同一の条件で噴霧した際、噴霧される液量合計が所定の液量となった時点において、その雰囲気中において感知される香料に由来する香気を、官能試験により確認する。
噴霧される噴霧液サンプル自体を、所定液量濾紙上に滴下し、それから発生する香料に由来する香気(芳香)を「陽性対照基準」とし、噴霧した際にその雰囲気中において感知される香気(芳香)との対比を行う。評価基準は、下記の3水準とした。
○:「陽性対照基準」と比較し、噴霧における、香料由来の「芳香」に変化が認められず、所望の「芳香」の強さに達している。
△:「陽性対照基準」と比較し、噴霧における、香料由来の「芳香」は感知されるが、所望の「芳香」の強さを有意に下回る。
×:「陽性対照基準」と比較し、噴霧における、香料由来の「芳香」は実質的に感知されない
但し、評価される噴霧液サンプル1は、本来、矯臭成分/嬌味成分として利用する、香料が含有されてなく、その評価は、「×」とする。
(2)噴霧される微細な液滴の液滴径
前記噴霧装置において、同一の条件で噴霧した際、噴霧される液滴について、液滴形状を球形粒子と仮定した上で、その平均値をレーザー散乱法により測定する。
(3)噴霧される微細な液滴中に含有される薬剤化合物量
前記噴霧装置において、同一の条件で噴霧した際、噴霧される液滴を全量回収し、それに含まれる薬剤化合物の量「薬剤化合物の噴霧量」を評価する。一方、この噴霧に使用された噴霧液サンプルの液量に基づき、その組成から算定される「薬剤化合物の初期量」を基準として、「薬剤化合物の噴霧量」/「薬剤化合物の初期量」の比(量比)を評価の指標とする。
「薬剤化合物の噴霧量」の測定は、全量回収される噴霧される液滴を利用し、当該薬剤化合物が化学物質である際には、かかる化学物質に特徴的な吸収を利用して、定量する。一方、当該薬剤化合物が、化学物質以外の物質、例えば、ペプチド、タンパク質、核酸類、ウィルスなどである場合、これらの物質の定量に利用される公知の定量方法を利用する。
具体的には、全量回収される噴霧される液滴を用いて、かかる定量操作に適する液媒体を用いて、一定の液量を有する定量用サンプルを調製する。この定量用サンプルに関して、下記の二種の定量方式のいずれかにより、含有されている薬剤化合物の濃度を測定し、回収された薬剤化合物の量を算定する。
方式1:測定対象の薬剤化合物に特徴的な吸収について、市販の紫外−可視スペクトル分光光度計(日本分光社製;V−560)を用いて、前記定量用サンプルの吸光度を測定する。予め決定されている、当該薬剤化合物に関する、濃度と吸光度の検量線に基づき、前記定量用サンプルの吸光度から、含有されている薬剤化合物の濃度を求める。
方式2:測定対象の薬剤化合物に対して、その定量に利用される公知の定量方法、例えば、免疫反応や抗原抗体反応を利用する定量方法などを適用し、前記定量用サンプル中に含有される薬剤化合物の濃度を決定する。
以上の三項目に関する評価結果を、下記表2に纏めて示す。
Figure 2006087815
表2に示す結果から、疎水性の香料を矯臭成分/嬌味成分として配合する際、かかる香料を水性溶媒中に均一に分散させるため、界面活性剤を添加する、噴霧液サンプル2、4〜6、8、9に関しては、噴霧される微細な液滴中に香料と薬剤化合物が均一に含有され、実際に、噴霧によって、香料に由来する「芳香」が十分感知されている。すなわち、矯臭成分/嬌味成分として配合する香料に由来する「芳香」の有無によって、適正な噴霧が実施されているか否かを認識できることが検証される。
一方、噴霧される微細な液滴の平均液滴径は、噴霧に利用する、上記二種のサーマルインクジェット方式の液滴吐出ヘッドを利用する噴霧装置それぞれの「設計平均液滴径」に対応する、約20μmと、約3μmの値となっている。水性溶媒中に、薬剤化合物と疎水性の香料を矯臭成分/嬌味成分として配合する際、かかる香料を水性媒体中に均一に分散させるため、界面活性剤を添加することで、香料と薬剤化合物が均一に分散されている噴霧液となっている結果、かかる微小液滴に関して、その平均液滴径の高精度の制御性と再現性が達成できることが検証されている。
なお、噴霧される微小液滴に関して、その平均液滴径の高精度の制御性と再現性は、噴霧される液量の合計を、その噴霧時間の設定により高い直線性で決定できることを下記の実験により検証する。
同一条件で噴霧を実施し、噴霧時間を変えて、その間に噴霧される液滴を全量回収し、「薬剤化合物の回収量」と噴霧時間とを対比する。
Figure 2006087815
表3に示す結果から、噴霧される液滴を全量回収した際、それとともに回収される薬剤化合物の量「薬剤化合物の回収量」は、噴霧時間と比例しており、噴霧時間の設定により、投与される薬剤化合物の総量を高い確度で決定できることが確認される。
本発明にかかる噴霧方法は、各回の噴霧操作において、薬剤化合物を水性溶媒中に溶解する液を、噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、再現性よく噴霧することが可能であり、同時に、患者自体が所定の噴霧が実施されたことを、簡便に感知可能な形態を採用しており、特に、医療用に利用される吸入器へ応用すると、その有用性が際立ったものとなる。その他、単位時間当たりに噴霧される液滴量の合計を高い精度で制御しつつ、また、液滴量合計の設定は、簡便に、かつ随意に変更可能である利点は、各種産業分野においても、気流の流量とは独立して、混入する噴霧の液滴量合計を決定する必要性を有する、各種液剤の噴霧用途に利用可能な技術である。
本発明にかかる吸入器用ヘッドカートリッジ・ユニットの構成の一例を概略的に説明する図である。 本発明にかかる吸入器の一例における、外観、全体形状を示す斜視図である。 図2に示す本発明にかかる吸入器の一例において、そのアクセスカバー内部に配置される吸入器用ヘッドカートリッジ・ユニットの配置形態を明示する、アクセスカバーの開いた状態における斜視図である。
符号の説明
1 基材
2 タンク
3 液流路
4 ヘッド部
5 配線
6 電気接続部
7 アクセスカバー
8 マウスピース
9 電源ボタン
10 吸入器本体
11 ヘッドカートリッジ・ユニット

Claims (5)

  1. 水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧する方法であって、
    該液剤は、前記薬剤化合物に加えて、疎水性の矯臭成分および/または疎水性の嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布した状態で含有し、
    前記液剤の噴霧は、サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させ、霧状とすることで行う
    ことを特徴とする噴霧方法。
  2. 前記液剤中には、前記薬剤化合物、ならびに前記矯臭成分および嬌味成分を水性溶媒中に均一に分布させるための添加剤が含まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の噴霧方法。
  3. サーマルインクジェット方式によって吐出される微小液滴は、サブピコリットル以下の液滴量を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の噴霧方法。
  4. 請求項1に記載の噴霧方法を適用して、水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤の噴霧に利用可能な噴霧装置であって、
    前記液剤を収納するタンクと、
    サーマルインクジェット方式によって該液剤の微小液滴を吐出させることが可能な、サーマルインクジェット・ヘッドと、
    前記タンクからサーマルインクジェット・ヘッドへ前記液剤を供給する手段とを具備した液体噴霧用カートリッジの構成をとる
    ことを特徴とする噴霧装置。
  5. 水性溶媒中に、治療目的に利用可能な薬剤化合物を所定濃度で含有する液剤を噴霧し、該液剤の噴霧を投与対象者に吸入させるための吸入装置であって、
    前記液剤の噴霧を行う噴霧機構として、前記請求項4に記載の噴霧装置を用い、
    該噴霧機構で発生される、前記液剤の微小液滴が霧状に浮遊する気体を、前記投与対象者に吸入させる吸入機構を、前記噴霧機構に付設する装置構成を有する
    ことを特徴とする吸入装置。
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