以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)は、非接触ICカード機能と前記非接触ICカード機能とは異なる他の無線通信機能(例えば、携帯電話の通信規格に基づく通信機能)とを有する無線通信装置であって、非接触ICカード用の無線リーダライタ(例えば、図2のリーダライタ72)との通信に応じて、前記他の通信機能において送信する信号の送信電力(例えば、携帯電話送信電力)を下げるように指示する指示手段(例えば、図3のCPU103)と、前記指示手段の指示により、前記送信電力を下げるように前記送信電力を制御する送信電力制御手段(例えば、図4の送信電力制御部122)とを含むことを特徴とする。
請求項2に記載の無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)においては、前記指示手段は、前記無線リーダライタからの指示(例えば、送信電力低減開始コマンド)に基づいて、前記送信信号の送信電力を下げるように指示することを特徴とする。
請求項3に記載の無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)においては、前記無線リーダライタから送信される搬送波の受信を検出する搬送波検出手段(例えば、図3のアナログフロントエンド部101)をさらに含み、前記指示手段は、前記搬送波検出手段により前記搬送波の受信が検出されている間、前記送信電力を下げるように指示することを特徴とする。
請求項8に記載の通信制御方法は、非接触ICカード機能と前記非接触ICカード機能とは異なる他の無線通信機能(例えば、携帯電話の通信規格に基づく通信機能)とを有する無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)の通信制御方法であって、非接触ICカード用の無線リーダライタ(例えば、図2のリーダライタ72)との通信に応じて、前記他の通信機能において送信する信号の送信電力(例えば、携帯電話送信電力)を下げるように指示する指示ステップ(例えば、図5のステップS2)と、前記指示ステップの処理による指示により、前記送信電力を下げるように前記送信電力を制御する送信電力制御ステップ(例えば、図5のステップS5)とを含むことを特徴とする。
請求項9に記載の記録媒体(例えば、図1の磁気ディスク51、光ディスク52、光磁気ディスク53、または、半導体メモリ54)に記録されているプログラムは、非接触ICカード機能と前記非接触ICカード機能とは異なる他の無線通信機能(例えば、携帯電話の通信規格に基づく通信機能)とを有する無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)のコンピュータ用のプログラムであって、非接触ICカード用の無線リーダライタ(例えば、図2のリーダライタ72)との通信に応じて、前記他の通信機能において送信する信号の送信電力(例えば、携帯電話送信電力)を下げるように指示する指示ステップ(例えば、図5のステップS2)と、前記指示ステップの処理による指示により、前記送信電力を下げるように前記送信電力を制御する送信電力制御ステップ(例えば、図5のステップS5)とを含むことを特徴とする。
請求項10に記載のプログラムは、非接触ICカード機能と前記非接触ICカード機能とは異なる他の無線通信機能(例えば、携帯電話の通信規格に基づく通信機能)とを有する無線通信装置(例えば、図1の携帯電話機1)のコンピュータに、通信制御処理を行なわせるプログラムであって、非接触ICカード用の無線リーダライタ(例えば、図2のリーダライタ72)との通信に応じて、前記他の通信機能において送信する信号の送信電力(例えば、携帯電話送信電力)を下げるように指示する指示ステップ(例えば、図5のステップS2)と、前記指示ステップの処理による指示により、前記送信電力を下げるように前記送信電力を制御する送信電力制御ステップ(例えば、図5のステップS5)とを含むことを特徴とする。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した、非接触ICカード機能を有する携帯電話機1の一実施の形態を示している。携帯電話機1は、アンテナ11、送信部12、送信アンプ13、受信部14、DSP(Digital Signal Processor)15、音声処理部16、スピーカ17、マイクロフォン18、表示部19、入力部20、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、アンテナ24、および、非接触ICカード部25により構成される。
送信部12は、CPU21の制御の基に、DSP15から供給された音声情報に対して所定の処理(例えば、ディジタルアナログ変換処理および周波数変換処理など)を施し、その結果得られた音声信号を送信アンプ13に供給する。
送信アンプ13は、CPU21の制御の基に、送信部12から供給された送信信号の送信電力(以下、携帯電話送信電力と称する)を所定の値に増幅し、増幅した送信信号(搬送波)を、アンテナ11を介して、図2に示される基地局71に送信する。
受信部14は、CPU21の制御の基に、基地局71から送信されたRF信号をアンテナ11を介して受信し、RF信号に対して所定の処理(例えば、信号の増幅、周波数変換処理、アナログディジタル変換処理など)を施し、その結果得られた音声情報をDSP15に出力する。
なお、送信部12、送信アンプ13、および受信部14においては、例えば、PDC(Personal Digital Cellular)方式、または、W-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式に準拠した通信(以下、携帯電話通信と称する)が行われる。
DSP15は、CPU21の制御の基に、受信部14から供給された音声情報に対して、例えば、スペクトラム逆拡散処理を施し、その結果得られたデータを音声処理部16に出力する。また、DSP15は、音声処理部16から供給された音声情報に対して、例えば、スペクトラム拡散処理を施し、その結果得られたデータを送信部12に出力する。
音声処理部16は、CPU21の制御の基に、マイクロフォン18により集音されたユーザの音声を音声情報に変換し、それをDSP15に出力する。また、音声処理部16は、DSP15から供給された音声情報をアナログ音声信号に変換し、アナログ音声信号に基づく音声をスピーカ17から出力させる。
表示部19は、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成され、CPU21から供給された情報に対応する画像を表示する。入力部20は、携帯電話機1の筐体表面に設けられているテンキー、通話ボタン、および電源ボタン等の各種のボタンに対するユーザの入力を検出し、その検出に対応する信号をCPU21に出力する。
非接触ICカード部25は、1チップあるいは2以上の複数チップからなるLSIにより構成され、アンテナ24と非接触ICカード部25とで1つのモジュールを構成する。図2に示される外部のリーダライタ72から送信されてきた電磁波(搬送波)は、アンテナ24により受信され、受信した電磁波が電気信号(以下、リーダライタ送信信号と称する)に変換され、非接触ICカード部25に供給される。非接触ICカード部25は、リーダライタ送信信号によりリーダライタ72から送信されるコマンドやデータに対する応答信号を、自分自身とアンテナ24との間の負荷を変化させて振幅変調を行うことにより、アンテナ24を介してリーダライタ72に送信する。
非接触ICカード部25には、携帯電話機1の図示せぬバッテリから内部回路を駆動する電力が供給される。なお、非接触ICカード部25の内部回路を、リーダライタ送信信号を整流平滑化して得られた直流の電源電圧により駆動するように構成してもよい。
CPU21は、ROM22に格納されている制御プログラムをRAM23に展開し、その制御プログラムに従って携帯電話機1の全体の動作を制御する。
なお、CPU21には、必要に応じてドライブ41が接続される。CPU21は、ドライブ41に適宜装着される磁気ディスク51、光ディスク52、光磁気ディスク53、または半導体メモリ54などからコンピュータプログラムを読み出し、図示せぬEEPROMなどの不揮発性メモリにインストールする。また、CPU21は、必要に応じて、読出したコンピュータプログラムを非接触ICカード部25に供給し、非接触ICカード部25は、内部の不揮発性メモリ107(図3)にプログラムをインストールする。
図3は、図1の非接触ICカード部25の構成の例の詳細を示すブロック図である。非接触ICカード部25は、アナログフロントエンド部101、SPU102、CPU103、暗号回路104、RAM105、ROM106、不揮発性メモリ107、および通信部108により構成される。アナログフロントエンド部101はSPU102と接続され、SPU102、CPU103、暗号回路104、RAM105、ROM106、不揮発性メモリ107、および通信部108は、バス119を介して相互に接続されている。
アナログフロントエンド部101は、アンテナ24を介してリーダライタ72から受信したリーダライタ送信信号に所定の処理(例えば、ASK復調、信号増幅、A/D変換など)を施して、所定の処理を施したリーダライタ送信信号をSPU102に供給する。アナログフロントエンド部101は、SPU102から供給される応答データに基づいて、内部に設けられている図示せぬスイッチをオンまたはオフし、アンテナ24を介して電磁結合されている回路のインピーダンス(リーダライタ72に設けられているアンテナの負荷)を変化させることにより、応答データに基づく応答信号をリーダライタ72に送信する。
アナログフロントエンド部101は、アンテナ24の両端間の電圧の変化を検出することにより、リーダライタ72から輻射された電磁波(搬送波)がアンテナ24により受信されているか否かを検出する。アナログフロントエンド部101は、リーダライタ72から輻射された電磁波の受信を検出している間、その検出結果を示す信号(以下、非接触ICカード通信検出信号と称する)をCPU103に供給する。アナログフロントエンド部101は、リーダライタ送信信号からクロック成分を抽出し、抽出したクロック成分をクロック信号として非接触ICカード部25の各部に供給する。
SPU102は、アナログフロントエンド部101から供給されたリーダライタ送信信号に所定の処理(例えば、マンチェスタ符号化されている信号のNRZ(Non Return to Zero)方式の信号への変換、パケットの整合性の確認など)を施し、処理した信号をバス109を介してCPU103に供給する。また、SPU102は、リーダライタ72に送信する応答データをバス109を介してCPU103から取得し、取得した応答データに所定の処理(例えば、応答データのパケット化、NRZ方式の応答データのマンチェスタ符号化など)を施す。SPU102は、所定の処理を施した応答データをアナログフロントエンド部101に供給する。
CPU103は、ROM106または不揮発性メモリ107に記憶されている制御プログラムをRAM105に展開し、その制御プログラムに従って非接触ICカード部25の各部の処理を制御する。また、CPU103は、リーダライタ送信信号によりリーダライタ72から送信されるコマンドやデータに基づいて、各種の処理を行なう。例えば、CPU103は、リーダライタ72から送信されるコマンドによりデータの書込みが指示された場合、リーダライタ送信信号から得られるデータを不揮発性メモリ107に記憶させる。また、CPU103は、リーダライタ72から送信されるコマンドによりデータの読み出しが指示された場合、指示されたデータを不揮発性メモリ107から読み出し、読み出したデータを送信するための応答データを生成し、生成した応答データをバス109を介してSPU102に供給する。
CPU103は、バス109および通信部108を介して、CPU21とデータや制御信号などの送受信を行なう。例えば、CPU103は、携帯電話送信電力を下げるように指示することを示す信号(以下、送信電力低減開始指示信号と称する)、携帯電話送信電力の低減を終了するように指示することを示す信号(以下、送信電力低減終了指示信号と称する)などをCPU21に送信する。
暗号回路104は、CPU103の制御の基に、データを暗号化したり、暗号化されたデータを復号化したりする。
RAM105は、SPU102またはCPU103の処理の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータやデータを格納する。
ROM106は、CPU103が使用するプログラムや演算用のパラメータのうちの基本的に固定のデータを格納する。
不揮発性メモリ107は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性のメモリにより構成される。不揮発性メモリ107は、CPU103が使用するプログラムや、非接触ICカード機能または携帯電話機能で利用されるデータを格納する。
例えば、非接触ICカードを利用した管理システムでは、定期券情報を管理するサービス、電子マネー情報を管理するサービスなど様々なサービスが提供され、各サービスを識別するためにサービスごとに独自のサービスコードが割り当てられる。所定のサービスを利用する場合、不揮発性メモリ107内にそのサービスのデータを記憶する領域(以下、サービス領域と称する)を確保するための情報、認証情報、上述したサービスコードなど、そのサービスを利用するために必要な様々な管理情報が、そのサービスを初めて利用する前にリーダライタ72により不揮発性メモリ107に書き込まれる(サービスが登録される)。そのサービスを利用して、リーダライタ72により書き込まれるデータは、リーダライタ72が提供するサービスに対応したサービス領域、すなわち、リーダライタ72が提供するサービスのサービスコードと一致するサービスコードが登録されているサービス領域に記憶される。
従って、不揮発性メモリ107には、携帯電話機1が受けることができるサービスのサービス領域が確保され、逆に、サービス領域が確保されていないサービス、すなわち、サービスコードが登録されていないサービスを携帯電話機1は受けることができない。
また、不揮発性メモリ107に登録されているサービスごとに、そのサービスの通信中に携帯電話送信電力を下げる必要があるサービス(以下、送信電力低減対象サービスと称する)であるか否かを示す情報(以下、送信電力低減対象サービス情報と称する)が不揮発性メモリ107に記憶される。例えば、送信電力低減対象サービス情報は、各サービス領域に分割して記憶されたり、または、登録されている全てのサービスについてサービス領域以外の領域にまとめて記憶されたりする。また、送信電力低減対象サービスの設定は、例えば、ユーザにより行なわれたり、または、そのサービスを提供するサービス提供者により行なわれたりする。
図4は、制御プログラムを実行するCPU21により実現される機能の一部の構成の例を示すブロック図である。CPU21が、制御プログラムを実行することにより、通信部121、送信電力制御部122、および、通信処理制御部123が実現される。
通信部121は、非接触ICカード部25の通信部108とデータや制御信号などの送受信を行なう。
送信電力制御部122は、バス109、通信部108および121を介して、非接触ICカード部25のCPU103から、送信電力低減開始指示信号および送信電力低減終了指示信号を取得する。送信電力制御部122は、図5乃至図9を参照して後述するように、送信電力低減開始指示信号または送信電力低減終了指示信号に基づいて、送信アンプ13を制御して、携帯電話送信電力の値を制御する。送信電力制御部122は、携帯電話送信電力の値を示す信号を通信処理制御部123に適宜供給する。
通信処理制御部123は、送信部12、受信部14、DSP15、および、音声処理部16を制御して、基地局71との通信、基地局71に送信する送信信号の信号処理、および、基地局71から受信した受信信号の信号処理などを行なう。通信処理制御部123は、基地局71との通信状況を示す情報を送信電力制御部122に適宜供給する。
次に、図5乃至図9を参照して、携帯電話機1により実行される処理を説明する。
まず、図5のフローチャートを参照して、携帯電話機1により実行される送信電力制御処理の例を説明する。なお、この処理は、携帯電話機1の電源がオンされたとき開始され、電源がオフされたとき終了される。
携帯電話機1は、例えば、リーダライタ72に近接された場合、リーダライタ72から定期的に送信されているポーリング信号を受信し、ポーリング信号に対する応答信号をリーダライタ72に送信する。その後、携帯電話機1およびリーダライタ72は、携帯電話機1とリーダライタ72との間で、所定の手順(例えば、認証手順など)の処理を行ない、携帯電話機1とリーダライタ72との間の通信が確立された後、実際にデータの書き込みや読み出しを行なう。
リーダライタ72は、携帯電話機1との間の通信を確立した後、実際にデータの書き込みや読み出しを行なう前に、必要に応じて、携帯電話送信電力の低減を指示する送信電力低減開始コマンドを送信する。非接触ICカード部25のCPU103は、アンテナ24、アナログフロントエンド部101、SPU102、および、バス109を介して、リーダライタ72から送信電力低減開始コマンドを受信する。なお、送信電力低減開始コマンドは、リーダライタ72と携帯電話機1との間の通信において、必ずしも送信する必要のない任意のコマンドである。
ステップS1において、CPU103は、リーダライタ72から送信電力低減開始コマンドを受信したか否かを判定する。リーダライタ72から送信電力低減開始コマンドが送信され、ステップS1において、送信電力低減開始コマンドを受信したと判定された場合、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、CPU103は、バス109、通信部108および通信部121を介して、送信電力制御部122に、送信電力低減開始指示信号を供給する。
例えば、リーダライタ72は、データの書き込みや読み出しを行なった後、携帯電話機1とのセッションを終了するとき、必要に応じて、携帯電話送信電力の低減の終了を指示する送信電力低減終了コマンドを送信する。CPU103は、アンテナ24、アナログフロントエンド部101、SPU102、および、バス109を介して、リーダライタ72から送信電力低減終了コマンドを受信する。なお、送信電力低減終了コマンドは、リーダライタ72と携帯電話機1との間の通信において、必ずしも送信する必要のない任意のコマンドである。
ステップS3において、CPU103は、リーダライタ72から送信電力低減終了コマンドを受信したか否かを判定する。送信電力低減終了コマンドを受信していないと判定された場合、処理はステップS4に進む。
ステップS4において、CPU103は、非接触ICカード通信が終了しているか否かを判定する。CPU103は、アナログフロントエンド部101から非接触ICカード通信検出信号が供給されている場合、または、非接触ICカード通信検出信号の供給が停止されてから所定の時間(例えば、100ミリ秒)が経過していない場合、すなわち、リーダライタ72から輻射された電磁波(搬送波)がアンテナ24により受信されている場合、または、電磁波の受信が停止してから所定の時間が経過していない場合、非接触ICカード通信が終了していないと判定し、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、CPU21は、送信電力低減処理を行なう。送信電力低減処理の詳細は、図6を参照して後述するが、この処理により、携帯電話送信電力が所定の値だけ下げられる。
その後、処理はステップS3に戻り、ステップS3において、送信電力低減終了コマンドを受信したと判定されるか、ステップS4において、非接触ICカード通信が終了したと判定されるまで、ステップS3乃至S5の処理が繰り返し実行され、携帯電話送信電力が所定の値ずつ段階的に下げられる。
ステップS3において、リーダライタ72から送信電力低減終了コマンドを受信したと判定された場合、処理はステップS6に進む。
ステップS4において、非接触ICカード通信が終了していると判定された場合、すなわち、非接触ICカード通信検出信号の供給が停止されてから所定の時間が経過している場合、処理はステップS6に進む。これにより、送信電力低減終了コマンドを受信できなかった場合でも、ステップS3乃至S5のループ処理を抜けることができる。
ステップS6において、CPU103は、バス109、通信部108および通信部121を介して、送信電力制御部122に、送信電力低減終了指示信号を供給する。
ステップS7において、送信電力制御部122は、送信アンプ13を制御して、通常の(携帯電話送信電力の値を下げる前の)携帯電話送信電力に戻す。その後、処理はステップS1に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
このようにして、非接触ICカード通信の開始および終了に応じて、リーダライタ72の指示に基づき、携帯電話送信電力を低減することにより、携帯電話機1とリーダライタ72との間で送受信される電磁波(搬送波)への携帯電話送信信号の影響を低減させることができ、非接触ICカード通信の品質を向上させることができる。また、リーダライタ72の指示により携帯電話送信電力を低減させるので、リーダライタごとに、携帯電話送信電力を低減させるか否かを設定することができるとともに、携帯電話送信電力を低減させるタイミングを任意に設定することができる。
次に、図6のフローチャートを参照して、図5のステップS5の送信電力低減処理の詳細を説明する。
ステップS21において、通信処理制御部123は、基地局71と通信中であるか否かを判定する。通信処理制御部123は、通話中、データ通信中、または、その他の通信(例えば、位置登録など)により基地局71との間で何らかの通信を行なっている場合、基地局71と通信中であると判定し、処理はステップS22に進む。
ステップS22において、送信電力制御部122は、携帯電話送信電力が下限値であるか否かを判定する。携帯電話送信電力が下限値でないと判定された場合、処理はステップS23に進む。
ステップS23において、送信電力制御部122は、送信アンプ13の増幅率を所定の値だけ下げることにより、携帯電話送信電力を所定の値だけ下げて、送信電力低減処理は終了する。
ステップS21において、基地局71と通信中でないと判定された場合、処理はステップS24に進む。
ステップS22において、携帯電話送信電力が下限値であると判定された場合、ステップS23の処理はスキップされ、送信電力低減処理は終了する。すなわち、携帯電話送信電力の値が下限値のまま維持される。
ステップS24において、図5のステップS7の処理と同様に、通常の携帯電話送信電力に戻され、送信電力低減処理は終了する。
なお、ステップS21の判定処理を行なわずに、基地局71と通信中であるか否かに関わらず、携帯電話送信電力を下げるようにしてもよい。また、ステップS21において、基地局71との通信中であると判定する条件を、通話中およびデータ通信中など所定の通信を行なっている場合のみに限定するようにしてもよい。さらに、ステップS21において、基地局71と通信中であるか否かを判定する代わりに、基地局71に携帯電話送信信号を送信中か否かを判定するようにして、携帯電話送信信号を送信中の場合にのみ、携帯電話送信電力を下げるようにしてもよい。また、ステップS23において、送信電力を所定の値だけ下げる代わりに、一度に下限値まで下げるようにしたり、または、送信信号の送信を停止するようにしてもよい。
図7は、携帯電話機1により実行される送信電力制御処理の他の例を示すフローチャートである。なお、この処理は、携帯電話機1の電源がオンされたとき開始され、電源がオフされたとき終了される。
ステップS41において、CPU103は、コマンドの受信が開始されたか否かを判定する。具体的には、CPU103は、アンテナ24、アナログフロントエンド部101、SPU102、および、バス109を介して、リーダライタ72から受信しているリーダライタ送信信号の値の変化に基づいて、リーダライタ72から送信されるコマンドの受信が開始されたか否かを判定する。
ステップS41の判定処理は、コマンドの種類に関わらず、何らかのコマンドの受信が開始されたと判定されるまで繰り返し実行される。リーダライタ72から何らかのコマンドの送信が開始され、ステップS41において、コマンドの受信が開始されたと判定された場合、処理はステップS42に進む。
ステップS42において、図5のステップS2の処理と同様に、CPU103からCPU21に送信電力低減開始指示信号が供給される。
ステップS43において、CPU103は、ステップS41においてリーダライタ72から受信したコマンドに対する応答信号の送信が終了したか否かを判定する。CPU103は、ステップS41において、リーダライタ72からコマンドを受信した後、受信したコマンドに対する応答データを生成し、生成した応答データをバス109を介して、SPU102に供給する。SPU102は、応答データに所定の処理を施し、処理した応答データをアナログフロントエンド部101に供給する。アナログフロントエンド部101は、応答データに基づく応答信号を、アンテナ24を介してリーダライタ72に送信する。このとき、例えば、SPU102は、アナログフロントエンド部101への応答データの供給が終了したことを示す信号(以下、応答データ供給終了信号と称する)をバス109を介してCPU103に供給し、CPU103は、応答データ供給終了信号を取得した場合、応答信号の送信が終了したと判定する。
ステップS43において、応答信号の送信が終了していないと判定された場合、すなわち、SPU102からまだ応答データ供給終了信号が供給されていない場合、処理はステップS44に進み、ステップS44において、図6を参照して上述した送信電力低減処理が実行される。その後、処理はステップS43に戻り、ステップS43において、応答信号の送信が終了したと判定されるまで、ステップS43およびS44の処理が繰り返し実行され、携帯電話送信電力が所定の値ずつ段階的に下げられる。
ステップS43において、応答信号の送信が終了したと判定された場合、すなわち、SPU102からCPU103に応答データ供給終了信号が供給された場合、処理はステップS45に進む。
ステップS45において、図5のステップS6の処理と同様に、CPU103からCPU21へ送信電力低減終了指示信号が供給され、ステップS46において、図5のステップS7の処理と同様に、通常の携帯電話送信電力に戻された後、処理はステップS41に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
このようにして、リーダライタ72と携帯電話機1との間でコマンドまたは応答信号の送受信が行なわれている間のみ、携帯電話送信電力を下げるようにすることにより、携帯電話送信電力を下げる期間を短くして、携帯電話通信の品質の劣化を抑えつつ、非接触ICカード通信の品質を向上させることができる。また、リーダライタ72に変更を加えずに、携帯電話送信電力を制御することができる。
図8は、携帯電話機1により実行される送信電力制御処理のさらに他の例を示すフローチャートである。なお、この処理は、携帯電話機1の電源がオンされたとき開始され、電源がオフされたとき終了される。
ステップS61において、CPU103は、リーダライタ72から搬送波を受信しているか否かを判定する。上述したように、アナログフロントエンド部101は、リーダライタ72から輻射された電磁波(搬送波)の受信を検出している間、非接触ICカード通信検出信号をCPU103に供給する。CPU103は、非接触ICカード通信検出信号に基づいて、リーダライタ72から搬送波を受信しているか否かを判定する。
携帯電話機1がリーダライタ72に近接され、リーダライタ72から送信される電磁波がアンテナ24により受信され、アナログフロントエンド部101からCPU103に非接触ICカード通信検出信号が供給されたとき、ステップS61において、リーダライタ72から搬送波を受信していると判定され、処理はステップS62に進む。
ステップS62において、図5のステップS2の処理と同様に、CPU103からCPU21に送信電力低減開始指示信号が供給される。
ステップS63において、ステップS61の処理と同様に、リーダライタ72から搬送波を受信しているか否かが判定される。リーダライタ72から搬送波を受信していると判定された場合、処理はステップS64に進み、ステップS64において、図6を参照して上述した送信電力低減処理が実行される。その後、処理はステップS63に戻り、ステップS63において、リーダライタ72から搬送波を受信していないと判定されるまで、ステップS63およびS64の処理が繰り返し実行され、携帯電話送信電力が所定の値ずつ段階的に下げられる。
携帯電話機1がリーダライタ72から離され、リーダライタ72から送信される電磁波がアンテナ24により受信されなくなり、アナログフロントエンド部101からCPU103に非接触ICカード通信検出信号の供給が停止されたとき、ステップS63において、リーダライタ72から搬送波を受信していないと判定され、処理はステップS65に進む。
ステップS65において、図5のステップS6の処理と同様に、CPU103からCPU21へ送信電力低減終了指示信号が供給され、ステップS66において、図5のステップS7の処理と同様に、通常の携帯電話送信電力に戻された後、処理はステップS61に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
このようにして、リーダライタ72と携帯電話機1との間でコマンドやデータの送受信が行なわれる前に、リーダライタ72から搬送波を受信した時点で、携帯電話送信電力を下げるようにすることができ、非接触ICカード通信の品質をより高めることができる。また、リーダライタ72に変更を加えずに、携帯電話送信電力を制御することができる。
図9は、携帯電話機1により実行される送信電力制御処理のさらに他の例を示すフローチャートである。なお、この処理は、携帯電話機1の電源がオンされたとき開始され、電源がオフされたとき終了される。
例えば、上述したように、携帯電話機1は、リーダライタ72に近接された場合、リーダライタ72から定期的に送信されているポーリング信号を受信し、ポーリング信号に対する応答信号をリーダライタ72に送信する。その後、リーダライタ72と携帯電話機1との間で行なわれる認証手順の処理において、リーダライタ72が提供するサービスのサービスコードがリーダライタ72から携帯電話機1に送信される。CPU103は、アンテナ24、アナログフロントエンド部101、SPU102、および、バス109を介して、リーダライタ72からサービスコードを受信する。
ステップS81において、CPU103は、リーダライタ72からサービスコードを受信したか否かを判定する。ステップS81の判定処理は、サービスコードを受信したと判定されるまで所定の間隔(例えば、10ミリ秒)で繰り返し実行される。リーダライタ72からサービスコードが送信され、ステップS81において、サービスコードを受信したと判定された場合、処理はステップS82に進む。
ステップS82において、CPU103は、不揮発性メモリ107に、ステップS81で受信したサービスコードが登録されているか否かを判定する。サービスコードが登録されていると判定された場合、すなわち、携帯電話機1がリーダライタ72が提供するサービスを受けることができる場合、処理はステップS83に進む。
ステップS83において、CPU103は、ステップS81で受信したサービスコードおよび不揮発性メモリ107に記憶されている送信電力低減対象サービス情報に基づいて、リーダライタ72から提供されるサービスが、送信電力低減対象サービスであるか否かを判定する。リーダライタ72から提供されるサービスが、送信電力低減対象サービスであると判定された場合、処理はステップS84に進む。
なお、送信電力低減対象サービス情報をROM22またはCPU21がアクセス可能な図示せぬ不揮発性メモリに登録し、リーダライタ72が提供するサービスのサービスコードを示す情報をCPU103からCPU21に供給して、CPU21が、ステップS83の判定処理を行なうようにしてもよい。
ステップS84において、図5のステップS4の処理と同様に、非接触ICカード通信が終了しているか否かが判定される。非接触ICカード通信が終了していないと判定された場合、処理はステップS85に進み、図6を参照して上述した送信電力低減処理が実行される。その後、処理はステップS84に戻り、ステップS84において、非接触ICカード通信が終了していると判定されるまで、ステップS84およびS85の処理が所定の間隔(例えば、10ミリ秒)で繰り返し実行され、携帯電話送信電力が段階的に下げられる。
ステップS84において、非接触ICカード通信が終了したと判定された場合、処理はステップS86に進む。
ステップS86において、図5のステップS6の処理と同様に、CPU103からCPU21へ送信電力低減終了指示信号が供給され、ステップS87において、図5のステップS7の処理と同様に、通常の携帯電話送信電力に戻された後、処理はステップS81に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
ステップS82において、受信したサービスコードが登録されていないと判定された場合、または、ステップS83において、リーダライタ72から提供されるサービスが、送信電力低減対象サービスでないと判定された場合、処理はステップS81に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
このようにして、リーダライタ72が提供するサービスの種類に応じて、携帯電話機1の携帯電話送信出力を制御することができる。また、リーダライタ72に変更を加えずに、携帯電話送信電力を制御することができる。
例えば、定期券情報を管理するサービスを利用して、リーダライタが設けられた改札口を通過する場合のように、非接触ICカード通信が失敗して、通信を最初からやり直すことにより問題(例えば、ユーザに負担をかけたり、改札口が混雑したりするなど)が発生する場合、そのサービスを送信電力低減対象サービスに設定することにより、そのサービスの利用中に、非接触ICカード通信の品質を向上させるようにすることができる。
また、電子マネー情報を管理するサービスを利用して、リーダライタが設けられたレジスターで商品の代金を支払う場合のように、非接触ICカード通信が失敗して、通信を最初からやり直すことがそれほど問題とならない場合、そのサービスを送信電力低減対象サービスに設定しないことにより、そのサービスの利用中に、携帯電話の通信の品質を劣化させないようにすることができる。
以上のように、非接触ICカード用の無線リーダライタとの通信に応じて、非接触ICカード機能とは異なる他の通信機能において送信する信号の送信電力を下げるように指示し、送信電力を下げるように送信電力を制御した場合には、外部の非接触ICカード用のリーダライタと通信することができる。また、外部の非接触ICカード用のリーダライタとの通信品質を向上させることができる。
なお、以上の説明では、非接触ICカード通信機能と、非接触ICカード通信機能以外の無線通信機能として、携帯電話の通信規格に基づく通信機能を有する携帯電話機の例を示したが、本発明は、非接触ICカード通信機能と、非接触ICカード通信機能以外の無線通信機能として、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11(802.11a,802.11b,802.11gなど)により規定される無線LAN(Local Area Network)の規格、PIAFS(Personal Handyphone System Internet Access Forum Standard)などのPHS(Personal Handyphone System)の通信規格、ブルートゥース(商標)などの規格に基づく無線通信機能を有する無線通信装置にも適用することができる。また、本発明は、非接触ICカード通信機能を含む3種類以上の無線通信機能を有する無線通信装置にも適用することができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、制御プログラムをROM22および106に組み込まれた状態で提供する以外に、アンテナ11を介して基地局71に接続されるネットワークのサーバから制御プログラムを受信したり、制御プログラムが記録された磁気ディスク51、光ディスク52、光磁気ディスク53、または半導体メモリ54などよりなるリムーバブルメディアを提供して、リムーバブルメディアをドライブ41に装着し、リムーバブルメディア41から制御プログラムを読み込んだりして、取得した制御プログラムをCPU21がアクセス可能な図示せぬ不揮発性メモリまたは不揮発性メモリ107にインストールさせることも可能である。
なお、本明細書において、プログラム格納媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
1 携帯電話機, 11 アンテナ, 12 送信部, 13 送信アンプ, 14 受信部, 15 DSP, 16 音声処理部, 21 CPU, 22 ROM, 23 RAM, 24 アンテナ, 25 非接触ICカード部, 41 ドライブ, 51 磁気ディスク, 52 光ディスク, 53 光磁気ディスク, 54 半導体メモリ, 71 基地局, 72 リーダライタ, 101 アナログフロントエンド部, 102 SPU, 103 CPU, 105 RAM, 106 ROM, 107 不揮発性メモリ, 108 通信部, 121 通信部, 122 送信電力制御部, 123 通信処理制御部