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JP2006052500A - メッシュ織物とその製造方法 - Google Patents

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JP2006052500A JP2004235059A JP2004235059A JP2006052500A JP 2006052500 A JP2006052500 A JP 2006052500A JP 2004235059 A JP2004235059 A JP 2004235059A JP 2004235059 A JP2004235059 A JP 2004235059A JP 2006052500 A JP2006052500 A JP 2006052500A
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Motomi Sugiyama
基美 杉山
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Abstract

【課題】コンクリート等への埋設作業でその形状や位置の変動に起因する構造物の強度低減を抑止し、取り扱う際のハンドリング性を損なわないメッシュ織物を提供する。
【解決手段】本発明のメッシュ織物は、ガラス繊維が製織され、複数種類の樹脂で表面が被覆されたメッシュ織物で、複数種類の樹脂の内、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを構成する2種類の樹脂を特定し、一方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が50℃以上であり、他方は、そのガラス転移点を示す温度が−25℃〜10℃の範囲内にあり、一方の樹脂に対する他方の質量比が15%から30%の範囲内にある。本発明のメッシュ織物の製造方法は、ガラス転移点−25℃〜10℃の範囲内にある樹脂とガラス転移点50℃以上の樹脂とを所定比率に調整する工程と、調整された樹脂調合物によってガラス繊維表面を被覆する工程とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種セメント製品や、建物の外壁等に使用され、モルタル、コンクリートの補強やクラックの防止に用いられるメッシュ織物に関する。
セメント製品や建物の外壁構造材料等として使用されるモルタルは、施工後に乾燥収縮するとクラック等の欠陥が発生しやすく、発生したクラックを長期間に亘り放置すると、セメントやモルタルの表面から裏面にまでクラックが拡大する。拡大したクラックは、水の侵入による漏水や経時的な劣化に伴う構造強度の低下原因となるため好ましくない。このような問題を防止するために、従来からセメント製品や建物の外壁等に使用されるモルタル中に、ガラス繊維からなるメッシュ織物を埋設してセメント等を補強すると共にクラックの拡大を防止する施工法が行われている。
このような用途で利用されるメッシュ織物を製造するためには、織機を用いて経糸を一定間隔で配列し、緯糸を一定間隔で打ち込み、メッシュ状の生織物を得る。次いで、このメッシュ状の生織物に、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを塗布してから乾燥固化し、目止めすることによってメッシュ織物とすることが行われる。
このようなメッシュ織物は、織物を構成するガラス繊維がセメント中のアルカリ性物質によって浸食されやすいので、特許文献1では、ガラス繊維の組成を限定することによって改善することができるとする発明がなされている。また、特許文献2では、コンクリート等の粗骨材がメッシュ織物の目を通らないために均質なコンクリートが得られないという問題に対して、ガラス繊維の番手とメッシュの目間隔、さらに樹脂の付着率を規定することにより改善するという対応が行われている。さらに、特許文献3では、ガラス繊維の番手に加えて、撚り数についても限定を加えることによって引張強度を改善することができるとする開示がなされている。また特許文献4では、特許文献1と同じ問題について外観品位の劣化の改善という観点から、2種類の番手のガラス繊維を使用し、メッシュ目間隔と樹脂付着率を限定することによって対応するという内容の開示が行われている。
特開2000−328391号公報 特開2002−88614号公報 特開2002−155450号公報 特開2002−302877号公報
しかし、これまでメッシュ織物について行われてきた改善だけでは、メッシュ織物の性能をさらに向上させるためには充分ではない。メッシュ織物は、その補強性の高さから各種の構造物に採用されることが多くなっている。用途の拡大に伴って、さらに改善を要する問題も発生してきている。
例えば、各種情報用途のケーブル等を保護する用途にもメッシュ織物が利用され、積雪等による重量負荷に耐え得る構造強度を有し、具体的には、軽量で作業性、加工性に優れたケーブルトラフや耐凍結融解性や作業性に優れたピット蓋等の構造部材として利用されている。このようなメッシュ織物を採用する構造部材については、構造物を作製するときに、型枠の中にメッシュ織物を立て掛けた状態に保持し、コンクリートを型枠の中に流し込む方法が採用されることがある。そして、このような構造部材の作製方法を採用する場合には、メッシュ織物に対しては、メッシュ織物が硬く、腰のある状態になっているかどうかという点が性能として求められることになる。その理由は、メッシュ織物が柔らかく、腰のない状態であれば、型枠の中で立て掛けた状態でメッシュ織物を保持することが困難となり、そのためコンクリートを型枠の中に流し込む際にメッシュ織物が所定位置から逸脱して正しい位置に埋設された状態とならず、構造部材の当初の設計強度を実現することができず、充分な補強効果を発揮することができないものとなる危険性があるからである。
一方、メッシュ織物を硬く、腰のある状態とするためには、二次バインダーとしてガラス転移点(以後Tgとも表記する。)の高い樹脂を使用すれば良いが、このような樹脂を使用すると、ガラス繊維の表面を被覆した被膜が硬くて脆い状態となり、繊維との接着力が低いためにメッシュ織物の目止めが不充分な状態となる。目止めが不充分であると、メッシュ織物を手で持って作業する場合や搬送、運搬等の操作を行う際、すなわちハンドリングを行う際に、メッシュ織物の目間隔がわずかな力で変わり易くなり、目間隔が変わらないように配慮せねばならない等の作業上の制約が生じ、メッシュ織物を使用する際の作業性が損なわれるという問題があった。
本発明者らは、係る状況に鑑み、ガラス繊維によって構成されるメッシュ織物について、コンクリート等への埋設作業でメッシュ織物の形状や位置の変動に起因する構造物の強度低減を抑止し、しかも取り扱う際のハンドリング性を損ねることのないメッシュ織物とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明のメッシュ織物は、ガラス繊維が製織されてなり、複数種類の樹脂によって表面が被覆されたメッシュ織物であって、前記複数種類の樹脂のうち、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを構成する2種類の樹脂を特定した場合、一方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が50℃以上であり、他方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にあり、かつ一方の樹脂に対する他方の樹脂の質量比が15%から30%の範囲内にあることを特徴とする。
ここで、ガラス繊維が製織されてなり、複数種類の樹脂によって表面が被覆されたメッシュ織物とは、複数の樹脂成分を混合した状態でガラス繊維表面に被覆された状態のメッシュ織物を意味するものである。また、複数種類の樹脂のうち、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを構成する2種類の樹脂を特定した場合、一方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が50℃以上であり、他方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にあり、かつ一方の樹脂に対する他方の樹脂の質量比が15%から30%の範囲内にあるとは、その織物の表面を被覆する樹脂混合物の内、ガラス転移点が50℃以上である樹脂の質量含有率を100%とした時に、ガラス転移点が−25℃から10℃の範囲にある他方の樹脂の質量含有率が15%から30%であることを意味するものである。
ここで、ガラス転移点が50℃以上の樹脂を質量含有率で100%とした時に、ガラス転移点が−25℃から10℃の範囲にある他方の樹脂の質量含有率が15%から30%であることが好ましくなるのは、ガラス転移点が−25℃から10℃の範囲にある他方の樹脂が30%を越えると、メッシュ織物が柔らかくなりすぎて腰がなくなり、前記したようなモルタルあるいはコンクリート構造物を構築しようとすると施工上で作業性が悪くなるとともに、できあがった構造物の強度が設計を満たさなくなる危険性が高くなるためである。また、ガラス転移点が−25℃から10℃の範囲にある樹脂の比率が15%に満たなくなると、わずかな力が加わっただけで目ズレが発生しやすくなり、ハンドリング性能が劣化するため好適ではないためである。
そして一方の樹脂については、ガラス転移点が50℃以上であるならどのような樹脂であっても差し支えないが、ガラス転移点が高くなればそれだけメッシュ織物が硬くなる傾向を示すものとなる。そして、80℃を越える高いガラス転移温度は、むしろメッシュ織物を硬くしすぎる場合もある。よって、一方の樹脂のガラス転移点は、50℃から80℃までであることがより好適である。また、さらに限定して安定した性能を確保しようとするならば、55℃以上で75℃以下とすることが好適である。
また、本発明に係る樹脂のガラス繊維に対する付着率は、メッシュ織物に対して質量百分率表示で10%から30%の範囲であることが好適である。すなわち、樹脂の付着率が、10質量%より小さいと目止め効果が小さくなり、目ズレの危険性が高くなる。一方、樹脂の付着率が30%を越えるとメッシュ織物の費用が高価となるとともに、メッシュ織物の開口部、すなわち目の開いた箇所に樹脂の膜が形成されやすくなり、その結果メッシュ織物を採用するメリットであるモルタルやコンクリートとのなじみ易さが損なわれる虞がある。
なお、本発明に係るメッシュ織物の硬さの評価方法として、以下の方法が簡易的であり、しかも再現性がよく、さらに正確な表現ができるものとして採用した。すなわち、縦と横がそれぞれ50mm、250mmの外寸を有するメッシュ織物を水平な台の端から平行に150mm突出させ、水平台の上に載置されている部分が浮かないように固定した状態とし、水平台から自重によって垂れ下がった先端と水平台の上面から延長した水平位置との距離を測定し、その値が硬さを表す目安とした。そして、この計測を少なくとも同じ条件で作製した3枚のメッシュ織物について行い、その測定の平均値によって比較評価を行うようにした。この評価方法では、メッシュ織物が柔らかい性状を示す場合には、メッシュ織物は垂れ下がり易くなり、数値は大きくなる。一方、この数値が小さい程、メッシュ織物は硬いことが判明する。そしてこの数値が150mm以上の値となることはない。
また、本発明のメッシュ織物は、上述に加え2種類の樹脂の内、少なくとも1種が、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基及びアミド基の内の1以上を含有するものであって、メッシュ目間隔が10mm以上であることが好適である。
ここで、2種類の樹脂の内、少なくとも1種が、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基及びアミド基の内の1以上を含有するものであって、メッシュ目間隔が10mm以上であることとは、メッシュ織物に含有される樹脂の内、少なくとも1種は官能基としてCOOH基、OH基、CH2O基、CH2OCH2基あるいはNHCO基の何れかを含有するものであって、メッシュを構成する網目の空隙の大きさの目安として隣り合う繊維の中心間距離が10mm以上あることを意味している。そしてこのメッシュ目間隔を、別の表現で表せば、隣り合う空隙の中心間の距離を表すものであり、この中心間距離が、10mm以上であることと同じ意味である。
樹脂の種類としては、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基及びアミド基の内の1以上を含有し、目止め等所定の機能を実現できるものであれば、特に限定されるものではない。ただ、粘性やガラス繊維との馴染みやすさ、使用の容易さといった観点から好適なものを選択するならばポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、SBR樹脂、NBR樹脂、そしてMBR樹脂がある。このような樹脂は、単独あるいは複数種を適量比で混合して使用することができる。また、上記以外の成分を添加することも差し支えない。さらに、樹脂の性能を改質する各種の微量添加剤を添加することも可能である。
また、メッシュ目間隔は、メッシュを構成する繊維束が存在しない空隙の大きさを規定するものであり、空隙の最大寸法を問題とするものであって、所定の織り方を採用した場合に、繰り返される繊維束の織り模様によって発生する繊維束の存在しない空隙箇所の内、最も大きい空隙箇所についてその繊維束断面の中心から1つの空隙を挟んだ他の繊維束断面の中心までの寸法を意味している。本発明でメッシュ織物のメッシュ目間隔については、10mm以上であれば、特に限定するものではないが、粗骨材を含むコンクリートに使用して均質なコンクリートを得るという点から、20mmから50mmの範囲にあるものが好適である。
また、本発明のメッシュ織物は、上述に加えて、絡み織り、平織り、組布の何れかの織り形態であるのが好適である。
ここで、絡み織り、平織り、組布の何れかの織り形態であるメッシュ織物とは、本発明のメッシュ織物は、複数の経糸(warpあるいはend)を緯糸(fill yarnあるいはweft yarn)に絡ませた絡み織り、経糸と緯糸が一本ごとに交差する平織り、あるいは組布の形態とするものであることを意味している。
また、ネットの構成はどんなものでも良く、二軸や三軸あるいは四軸さらに多軸のようなものでもかまわない。同様に、その格子の形状は四角や三角あるいはそれ以上の多角形でもかまわない。三軸以上のネットの場合、繊維の重なりが3重や4重になる交点が発生するが、その交点をずらすような織り方にするとネットが厚くなりすぎないため好ましい。
また、本発明のメッシュ織物は、上述に加えて、ZrO2含有率が質量百分率表示で14%以上の耐アルカリ性ガラス繊維を含むのが好適である。
ここで、ZrO2含有率が質量百分率表示で14%以上の耐アルカリ性ガラス繊維を含むとは、ジルコニアをガラス組成として14質量%以上含有する耐アルカリ性ガラス繊維を含有することを意味している。
本発明で好適な耐アルカリ性に富むガラス繊維組成を例示すれば、質量百分率表示で、SiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、RO(ただし、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al23 0〜2%であって、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、RO(ただし、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%である。
本発明で使用するガラス繊維の形態としては、ヤーン、ロービング、DWR(ダイレクトワインディングロービング)等があるが、生産性や製造費用そして加工性といった点から、DWRの形態とすることが好ましい。ここで、DWRとは、溶融ガラスを白金製ブッシングの底面に配設された複数のノズルから高速に引き出すことによってガラス繊維(ガラスフィラメント、又はガラスモノフィラメント)とした後に、直ちにアプリケーターと呼ばれる塗布装置によって、サイジング剤を塗布し、これらガラス繊維を数百本から数千本を集束して巻き取り、乾燥することによって製造されるものである。
また、本発明に係るセメントモルタルは、セメントをベースにするものであり、建築土木用材料として一般的に用いられるセメント、細骨材、軽量骨材、水、水性ポリマーディスパージョンを含有するセメントモルタルやポリマーセメントモルタルが使用可能である。そしてセメントモルタルに、必要に応じて減水剤、流動化剤、増粘剤、防水剤、防錆剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、着色剤、急結剤などの混和剤を添加してもよい。
本発明に係るメッシュ織物によって構成されたセメント系構造物の表面には、さらに上塗りや塗布等の施工を行ってもよく、その場合には、鏝塗りや吹き付けなど、セメント系材料であるセメントモルタルを上塗り塗布できる方法や他の方法を併用することも可能である。また、例えばセメントモルタルを上塗りする場合であれば、その前にセメント系構造物の表面にプライマーを塗布すると、セメント系構造物と上塗りしたセメントモルタルとの接着が強固になりやすいため好ましい。プライマーとしては、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、SBRエマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン等の水性樹脂エマルジョンが使用可能である。
また、老朽化したセメント系構造物の中に埋め込まれた鉄筋が錆たり、あるいはセメント系材料に含まれるアルカリ成分と骨材との間でアルカリ骨材反応が生じ、鉄筋や骨材の体積が膨張することによってセメント系材料にクラックが発生、破壊する結果、橋梁、床版、建築物の柱、梁、壁面、地下構造物、トンネル内壁面などのセメント系構造物からの破片等の剥落の危険性を増大させる。本発明のメッシュ織物は、そのような剥落防止用途として利用され、使用方法や部位を選定することによってさらに効果的に利用することができるものである。
本発明のメッシュ織物の製造方法は、ガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にある樹脂とガラス転移点を示す温度が50℃以上である樹脂とを所定比率に調整する工程と、調整された樹脂調合物によってガラス繊維表面を被覆する工程とを有することを特徴とする。
ここで、ガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にある樹脂とガラス転移点を示す温度が50℃以上である樹脂とを所定比率に調整する工程と、調整された樹脂調合物によってガラス繊維表面を被覆する工程とは、ガラス転移点が−25℃から10℃の範囲内である樹脂と50℃以上である樹脂を含有するように2種類の樹脂を秤量して公知の混合装置を使用することによって混合し、その後ガラス繊維表面を被覆するように塗布することで、本発明のメッシュ織物を得ることができることを意味している。
また、上記2種類の樹脂に加え、必要に応じて各種の機能を付与するために添加剤を加えることができる。またガラス繊維表面の被覆法についても、浸漬法、スプレー法等種々の方法を採用することが可能である。
(1)以上のように、本発明のメッシュ織物は、ガラス繊維が製織されてなり、複数種類の樹脂によって表面が被覆されたメッシュ織物であって、前記複数種類の樹脂のうち、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを構成する2種類の樹脂を特定した場合、一方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が50℃以上であり、他方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にあり、かつ一方の樹脂に対する他方の樹脂の質量比が15%から30%の範囲内にあるため、メッシュ織物の目止めが充分であって、メッシュ織物を手などで扱う場合にも目間隔にずれが発生することのないハンドリング性に優れたものとなっている。
(2)また、本発明のメッシュ織物は、2種類の樹脂の内、少なくとも1種が、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基及びアミド基の内の1以上を含有するものであって、メッシュ目間隔が10mm以上であるため、メッシュ織物が好適な固さを有する状態にあり、コンクリート流し込み作業における作業性や流し込み成形品の性能を安定したものとすることが可能なものである。
(3)また、本発明のメッシュ織物は、絡み織り、平織り、組布の何れかの織り形態であるため、用途に応じて種々の織り形態を採用することで種々の要求に対応することが可能なガラス繊維製品である。
(4)また、本発明のメッシュ織物は、ZrO2含有率が質量百分率表示で14%以上の耐アルカリ性ガラス繊維を含むものであるため、コンクリートやモルタル等に埋設する用途において、長期に亘る安定した強度を実現することのできるものである。
(5)本発明のメッシュ織物の製造方法は、ガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にある樹脂とガラス転移点を示す温度が50℃以上である樹脂とを所定比率に調整する工程、と調整された樹脂調合物によってガラス繊維表面を被覆する工程とを有するため、メッシュ織物に必要とされる硬さと目ズレ防止をする効果の両方の性能について、最適なものが得られるように用途によって添加成分量を調整して選択することが可能である。
以下に本発明のメッシュ織物について、実施例に基づいて説明する。
表1に本発明のメッシュ織物(試料No.1〜試料No.5)を示す。このメッシュ織物は、次のように作製したものである。まず組成が酸化物の質量百分率表示で表して、SiO2 61.0%、ZrO2 19.5%、Li2O 1.5%、Na2O 12.3%、K2O 2.6%、CaO 0.5%となる溶融ガラスから耐アルカリ性ガラス繊維を作製した。この耐アルカリ性ガラス繊維の表面に付着率0.5質量%となるよう、ポリエステル樹脂を含有する集束剤を塗布し、番手が1100texの経糸と緯糸用のDWR(Direct Wound Roving)とした。次いで、経糸と緯糸を目間隔が10mmになるように絡み織りし、浸漬法によって表1に示す樹脂を塗布し、乾燥固化することによってメッシュ織物を作製した。なお、樹脂の付着量については、集束剤との合量の付着率が20質量%となるように、塗布量の調整を行った。
メッシュ織物の目ズレについては、メッシュ製品を取り扱う作業を行ったことのある経験者が、メッシュ織物をメッシュ織物面内で両手に持ち、左右に軽く引張力を加えた後に、目視することによって目ズレが発生するかどうかを比較することによって評価した。
また、メッシュ織物の硬さの評価法としては、前記した試験方法に従った。すなわち、この試験方法を便宜上、剛軟度試験と呼ぶが、この剛軟度試験の方法としては、たて寸法、よこ寸法がそれぞれ50mm、250mmの外寸をもつ試験片を絡み織りによって作製した。この試験片の剛軟度試験の具体的な態様について、図1に概念図で表す。この試験では、試験片の一端を水平に保持することのできる台上に固定して、他端から150mmだけ台から突出した状態とした時に、どれだけ水平台の上面から延長した水平位置から自重によって垂れ下がるか、その他端側の先端について水平位置からの垂直方向の寸法を計測することによってメッシュ織物の硬さの比較を行ったものである。
以上の一連の評価を行った結果を表1に示す。表中のそれぞれの樹脂に対する数値表記は質量百分率表記であって単位は%である。例えば実施例1ならば、Tgが60℃を示すアクリルの種類(A)を100質量%に対して、Tgが−15℃を示すアクリルの種類(B)を15質量%使用したことを意味している。
実施例1と2はいずれもTgが60℃と−15℃の樹脂を使用したものであり、Tgが−15℃の樹脂のTgが60℃の樹脂に対する混合量は、15質量%と25質量%であって、15%から30%の範囲であり、剛軟度試験、目ズレともに良好な結果である。また実施例3は、Tgが60℃を示すアクリルの種類(A)が100質量%に対して、Tgが0℃を示すアクリルの種類(C)を15質量%使用したものであり、剛軟度試験は、縦が2mm、横が3mmの垂れ寸法を示し、目ズレも認められなかった。さらに実施例4と5はTgが55℃のSBRの種類(D)を質量百分率で100%とした場合に、Tgが−10℃のSBRの種類(E)の比率を15質量%、25質量%を使用したものであり、剛軟度試験、目ズレの両方とも良好な結果であった。
以上のように実施例である試料No.1〜試料No.5については、いずれの試料についても一方の樹脂のガラス転移点を示す温度が50℃以上、他方の樹脂のガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にあって、一方の樹脂に対する他方の樹脂の質量比が15%から30%の範囲内にあるものであり、目ズレが発生せず、剛軟度試験についても、緯糸の方向、経糸の方向ともに垂れ寸法は1mm〜5mmの測定結果であって、充分に高い性能を実現することができるものであることが判明した。
(比較例1)次いで、実施例と同様の組成を有するガラス繊維を準備し、実施例と同様に経糸と緯糸を目間隔が10mmとなるように絡み織りを行い、浸漬法によって表2に示す樹脂を塗布し、乾燥固化することによってメッシュ織物を作製した。なお、樹脂の付着量については、集束剤との合量の付着率が20質量%となるように、塗布量の調整を行った。そして、得られたメッシュ織物について、実施例と同様の一連の評価を行った。
その結果、表2に示したように、試料No.6は、ガラス転移点が50℃以上の樹脂のみからなる場合についての比較例である。この試料については、剛軟度試験では良好な結果が得られるものの、目ズレが顕著に認められるため、使用時における取り扱いに注意が必要であり、目ズレによって目間隔が変わると、粗骨材等とこのメッシュを使用する際に粗骨剤の分散状態に支障を来す虞があるものである。
また、試料No.7については、ガラス転移点が50℃以上の樹脂に加えて、ガラス転移点が−15℃の樹脂を添加したものであるが、添加量が10%と少ないため、目ズレの防止効果を実現できるまでに至らず、本発明の目的を達成するには不充分なものであった。
さらに、試料No.8については、ガラス転移点が50℃以上の樹脂に加えて、ガラス転移点が−15℃の樹脂を添加したものであるが、添加量が40%と多すぎるため、目ズレは認められないものの剛軟度試験での垂れの大きさが20mm以上となって、大きいものとなり、織物が柔らかすぎるために施工時に設計上の強度を実現することができないものとなってしまう虞があるものである。
また、試料No.9ではガラス転移点が−25℃から10℃の範囲にある樹脂の添加量は、15%であって好ましいものであるが、他の樹脂のガラス転移点が35℃であって50℃以上という条件を満足していない。このため、試料No.8と同様に目ズレは発生しないものの、剛軟度試験における垂れの大きさが20mm以上となり、メッシュ織物は柔らかいため前記と同様の虞がある。
次いで、試料No.10については、ガラス転移点が50℃以上の樹脂に対し、他の樹脂を15%添加しているが、他の樹脂のガラス転移点が15℃であって、−25℃から10℃の範囲内にはない。よって、結果として得られたメッシュ織物は、充分に硬く腰のあるものであって剛軟度試験でも良好な値が得られている。ただ、目ズレについては、認められるものとなっているので前記したように本発明の目的を満足するものではなくなっている。
以上のように、本発明のメッシュ織物の実施例と比較例とについての性能を比較すると、本発明のメッシュ織物は、硬く腰がある状態であるにもかかわらず、取り扱い作業時における目ズレが発生しにくいという優れた性能を有しており、各種のセメント、モルタル、コンクリート製品への利用が可能なものである。また、建物等の外壁材への応用も可能であって、高い補強効果を実現し、長期に亘る安定した性能を実現するものであることが明瞭となった。
本発明のメッシュ織物の評価方法を説明する概念図。
符号の説明
10 メッシュ織物
T メッシュ織物を水平固定する台
K 台からメッシュ織物を突出させる寸法(150mm)
L 水平位置からメッシュ織物の先端が垂れた寸法

Claims (5)

  1. ガラス繊維が製織されてなり、複数種類の樹脂によって表面が被覆されたメッシュ織物であって、
    前記複数種類の樹脂のうち、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを構成する2種類の樹脂を特定した場合、一方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が50℃以上であり、他方の樹脂は、そのガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にあり、かつ一方の樹脂に対する他方の樹脂の質量比が15%から30%の範囲内にあることを特徴とするメッシュ織物。
  2. 2種類の樹脂の内、少なくとも1種が、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、グリシジル基及びアミド基の内の1以上を含有するものであって、メッシュ目間隔が10mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のメッシュ織物。
  3. 絡み織り、平織り、組布の何れかの織り形態であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメッシュ織物。
  4. ZrO2含有率が質量百分率表示で14%以上の耐アルカリ性ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のメッシュ織物。
  5. ガラス転移点を示す温度が−25℃から10℃の範囲内にある樹脂とガラス転移点を示す温度が50℃以上である樹脂とを所定比率に調整する工程と、調整された樹脂調合物によってガラス繊維表面を被覆する工程とを有することを特徴とするメッシュ織物の製造方法。
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