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JP2006051419A - 中空糸多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents

中空糸多孔質膜及びその製造方法 Download PDF

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JP2006051419A
JP2006051419A JP2004233394A JP2004233394A JP2006051419A JP 2006051419 A JP2006051419 A JP 2006051419A JP 2004233394 A JP2004233394 A JP 2004233394A JP 2004233394 A JP2004233394 A JP 2004233394A JP 2006051419 A JP2006051419 A JP 2006051419A
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Seisei Fu
生生 付
Shinji Tawara
伸治 田原
Hideto Matsuyama
秀人 松山
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Kyoto Institute of Technology NUC
Nitto Denko Corp
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Kyoto Institute of Technology NUC
Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】エアギャップのコントロールを厳密に行わなくても、膜の透水性能を略一定に保つことができ、しかも十分な機械的強度の中空糸多孔質膜が得られる中空糸多孔質膜の製造方法、並びにその方法で得られた中空糸多孔質膜を提供する。
【解決手段】有機化されたクレイを含有し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させる中空糸多孔質膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱誘起相分離法(TIPS法)によってポリフッ化ビニリデン系樹脂の中空糸多孔質膜を製造する中空糸多孔質膜の製造方法、並びにその製造方法によって得られる中空糸多孔質膜に関する。
従来より、精密濾過膜や限界濾過膜などの分離膜は、用水製造、排水処理、河川および湖水の浄水等をはじめとして様々な方面で利用されている。そして、水事情問題を抱える中国や中東地域を中心にその需要、市場は急増加傾向にある。しかし、透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で、膜モジュールに薬剤を投入する場合があり、これに対する膜の耐久性を要求されている。
そのため、近年では耐薬品性に優れる素材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂の分離膜の開発が注目されている。PVDF分離膜の製造方法としては、PVDF系樹脂を良溶媒に溶解して原料溶液を調製し、これを水などのPVDF系樹脂の非溶媒を含む液体に浸漬して、ゲル化させる非溶媒相分離法により多孔質膜を形成する湿式製造法が知られている。
しかし、この製膜方法では、膜構造中にマクロボイドを形成しやすく、機械的強度の点で問題がある。また、製膜工程において製膜条件因子が多く、製膜工程において膜構造や膜性能の制御が難しく、再現性も貧しいといった欠点がある。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以上の温度から冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔質構造を形成する溶融抽出法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この溶融抽出法の場合では、マクロボイドを形成せず、比較的均質で高強度の膜が得られるものの、無機微粒子の分散性が悪いとピンホールのような欠陥を生じる可能性がある。さらに、溶融抽出法は、製造コストが極めて高くなるといった欠点を有している製造方法である。
一方、相分離機構を熱によって引き起こす熱誘起相分離法(TIPS法)が試みられているが、ポリフッ化ビニリデンは、結晶性が高く、相分離過程において相分離と共に結晶化が起き、粗大な球状結晶が部分的に繋がった構造となり、湿式製膜法に比較して、逆に強度が低くなってしまうという現象が発生していた。そこで、球状結晶の粗大化を抑制するために、ポリフッ化ビニリデンと希釈剤との混練り温度を均一な混合温度より僅かに低く設定された特定の温度範囲から冷却する事で、球状結晶の粗大化を抑制し、機械強度の優れた網目構造の多孔質膜を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では球状結晶の発生を抑制し、網目構造を形成するためにあえて低温で溶融・混練りしているため、溶融粘度が高くなり、押し出し機によっても粘度を下げるためにポリマー粘度を下げる必要が生じたり、多孔質膜構造の形態が溶融温度に対し敏感に影響されるため、温度制御精度が高度に要求される。
他方、熱誘起相分離法におけるエアギャップ(原料溶液の吐出部と冷却媒体との物理的距離又は時間的間隔)は、製膜工程の重要な操作因子の一つである。ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンの場合では、エアギャップが長くするほど溶媒蒸発のため、スキン層ができやすく、透水量が劇的に減少する。逆に、PVDFの場合では、エアギャップを長くすることによって、膜表面で孔径サイズが大きく、透水量が増加する傾向がある。いずれの場合も、膜構造に及ぼすエアギャップの影響が大きく、製膜工程においてエアギャップの影響を少なくするための工夫が必要となる。
特許第2899903号公報 特開平11−319522号公報
そこで、本発明の目的は、エアギャップのコントロールを厳密に行わなくても、膜の透水性能を略一定に保つことができ、しかも十分な機械的強度の中空糸多孔質膜が得られる中空糸多孔質膜の製造方法、並びにその方法で得られた中空糸多孔質膜を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸多孔質膜のエアギャップ制御について鋭意研究したところ、熱誘起相分離法で製膜する際の製膜原液に有機化クレイを分散させることで、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の中空糸多孔質膜の製造方法は、有機化されたクレイを含有し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させることを特徴とする。
本発明の中空糸多孔質膜の製造方法によると、次のような作用効果が得られる。通常、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶液を相分離温度以下の冷却浴に吐出し凝固させると、球状構造を有する中空糸膜が基本的に得られる。エアギャップの変化によって、球晶の構造が異なり、膜性能が変化することになる。エアギャップを長くすることによって、球晶が粗大化となり、膜透水量が大きくなり、分離性能が落ちる可能性がある。本発明は、溶解した製膜原液中に均一に有機化クレイを分散させることで、相分離温度以上から冷却しても、球晶の形成および成長を抑制し、不定形な樹脂相が三次元的に連続しつつその間に不定形な空隙を有する微細構造の形成が可能となったため、エアギャップの制御を厳密に行わなくても、一定の透水性能を有する中空糸膜が得られる。しかも、連続する空隙と連続する樹脂相によって、十分な機械的強度や透過性能が得られる。また、親水性化合物で有機化された有機化クレイを用いることで、親水性が改善されたポリフッ化ビニリデン系樹脂の中空糸多孔質膜を得ることができる。
上記において、前記空間を通過する際の時間(エアギャップ/紡速)が、0.01〜2.00秒であることが好ましい。紡速は、通常一定であるため、このように広範囲な時間の範囲でエアギャップを設定することができ、安定した機械的強度や透過性能を実現できる。
また、前記製膜原液は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を10〜60重量%含有するものであることが好ましい。樹脂濃度がこの範囲であると、十分な多孔度や機械的強度が得られ易く、また製膜原液の調製が容易で製膜原液の濃度も紡糸に適するものとなる。
一方、本発明の中空糸多孔質膜は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して親水性化合物で有機化された有機化クレイ1〜25重量部が分散してなる中空糸多孔質膜であって、不定形な樹脂相が三次元的に連続しつつその間に不定形な空隙を有する微細構造が熱誘起相分離法によって形成されていることを特徴とする。本発明では、熱誘起相分離法で製膜した多孔質膜の特徴である上記微細構造を有することにより、十分な機械的強度や安定した透過性能を得ることができる。
また、前記有機化クレイが無機層状珪酸塩をアルキレンオキシド化合物で有機化したものであることが好ましい。このような有機化クレイは、親水性化合物で有機化されているため、親水性が改善された多孔質膜が得られる。また、熱誘起相分離法で製膜する際に、前記有機化クレイが結晶化の際の核として適度な分散性や粒度を有するため、エアギャップの影響を最小限に留めることができ、不定形な樹脂相が三次元的に連続しつつその間に不定形な空隙を有する微細構造がより確実に得られるようになる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明における有機化クレイの分散機構について述べる。複合材料中に補強分子を分散させる際、仮に分子のサイズ(ナノメートルオーダー)で分散させ、界面相互作用を増大させることができれば、材料の力学的特性の著しい向上あるいは予期せぬ新しい性質が現れることが期待される。現在までに報告されているポリマー系ナノコンポジットの特徴としては、比重は元のポリマーとほとんど変わらないが、機械的及び熱的性質が向上し、また、難燃性、ガスバリア性、透明性などの機能的性質も発現することが知られており、しかも材料は既存の物質のみで比較的容易に製造できるという利点がある。
本発明らは、上記課題を解決する為この技術を利用し、無機層状珪酸塩を親水性アルキレンオキシド等で修飾することにより有機化クレイを作成し、これを前述の高い機能性を持つ疎水性ポリマーにナノレベルで分散させることにより、材料の様々な特性を保持したまま、多孔質膜の親水性を向上できることを見出した。
本発明者らは、最も簡単な手法として、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に相分離温度以上に加熱溶解させた製膜原液を二重管ノズルから吐出し、エアギャップを通過させて相分離温度以下の冷却浴で凝固させることにおいて、その製膜原液中に有機化クレイを分散させることで、ナノコンポジット化した親水化中空糸多孔質膜を得ることができた。
即ち、本発明の製造方法は、有機化されたクレイを含有し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させるものである。
用いられる有機化クレイは、市販品を使用したり、イオン交換法などで得ることができる。具体的には、例えば、Na−モンモリロナイトなどのクレイを温水に攪拌・分散させる一方で、親水性基を有するアミン化合物を塩酸などと反応させて得られた親水性化合物(オニウムイオン等)の溶液を、先の分散液中に加えることで、親水性化合物で有機化された有機化クレイを得ることができる。
クレイ(粘土鉱物)とは、層状構造を持つ珪酸塩鉱物等であり、多数のシート(あるものは珪酸で構成された四面体シート、あるものはAlやMgなどを含む八面体シートである。)が積層された層状構造を有する物質である。このシートによる層状構造やシートを構成する元素の種類等は個々のクレイによって様々である。
有機化されるクレイの具体例としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、又は膨潤性マイカなどが挙げられる。これらは、天然のものでも、合成されたものでもよい。中でも、無機層状珪酸塩が好ましい。
上記のクレイの有機化には親水性化合物を使用することが好ましい。親水性化合物としては、クレイとイオン結合(イオン交換)するものが好ましく、親水性基を有するアンモニウムイオンやホスホニウムイオンなどの有機オニウムイオンが好ましい。親水性基としては、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などのオキシアルキレン基、などが好ましい。具体的には、有機オニウムイオンとして、例えば、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、等を用いることができる。
有機化クレイの粒子の大きさとしては、SEMやTEMで測定する平均粒径として0.01〜0.3μmが好ましく、0.03〜0.1μmがより好ましい。有機化クレイが0.01μmより小さいと、結晶核としてのクレイの脱落が生じる可能性があり、0.3μmより大きいと、結晶核としてのクレイが均一に分散せず、孔をふさぐ可能性がある。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンの他、フッ化ビニリデンを共重合成分として含む共重合体や、ポリフッ化ビニリデンを混合成分として含むブレンド体が挙げられる。その他の成分としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンなどの含フッ素モノマーやその重合体成分、その他、エチレン、プロピレンなどのビニル系モノマーやその重合体成分が挙げられる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、製膜性や得られる多孔質膜の強度などの観点から10万〜200万が好ましい。
有機クレイは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、1〜25重量部使用されるが、好ましくは3〜20重量部である。1重量部未満では、結晶核としての量が不十分となり球晶構造になる傾向があり、エアギャップの影響が起き易くなる。25重量部を越えると粘度の上昇が大きく製膜性に不利となると共に、結晶核としての量が多くなりすぎて網目構造が密となり透過流速(フラックス)が低下する傾向がある。
また、親水性化合物で有機化された有機化クレイは、下記に示す貧溶媒に対する分散性が24時間静置しても沈殿が生じず良好であることが好ましく、本発明では、親水基と分散性を両立した有機化クレイを選択するのが好ましい。
本発明では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解させた製膜原液に有機化クレイを分散させるが、貧溶媒に有機化クレイを分散させた後に、樹脂を加熱溶解させる方法が、分散性を高める上で有効である。有機化クレイを分散させる方法としては、超音波分散、振動分散などが好ましい。樹脂の加熱溶解には、各種の混練装置が使用できる。
本発明に用いられる貧溶媒は、冷却によりポリフッ化ビニリデン系樹脂の析出やゲル化が可能なものであればよい。具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類の他、安息香酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類、トリメリト酸エステル類、リン酸エステル類及びケトン類の1種以上が挙げられる。また、この単一溶媒または混合溶媒にアセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の良溶媒あるいは水等の非溶媒を混合して、多孔質膜形成可能な溶媒になる程度に溶解性を調節した混合溶媒も使用可能である。
製膜原液中の樹脂濃度は、通常10〜60重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。60重量%を越えるときは、製膜原液の粘度が高すぎ製膜が困難になり、また多孔質膜の多孔度が低くなる傾向がある。一方、10重量%より少ないと、得られる多孔質膜の機械的強度が乏しくなる傾向がある。
また、溶解・分散の際の加熱温度は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が貧溶媒との混合状態で溶融する温度以上で、さらにポリフッ化ビニリデン系樹脂が熱分解する温度以下であればよい。好ましくは、製膜原液の冷却前の温度が135℃以上であり、より好ましくは140℃以上でポリフッ化ビニリデン系樹脂の熱分解温度未満である。
本発明では、製膜原液に対して、必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤などの各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明では、上記のような製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出するが、かかる芯液としては、高沸点(好ましくは沸点が製膜原液の温度以上)の溶剤であれば何れのものも使用することができる。具体的には、上記の貧溶媒として例示したものや、加熱によってもポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解しない非溶媒が挙げられ、両者の混合溶剤系なども使用可能である。
また、吐出する際の芯液の温度は、相分離温度以上でポリフッ化ビニリデン系樹脂の熱分解温度未満であることが好ましいが、製膜原液の温度±10℃の範囲内がより好ましい。
本発明では、このような製膜原液を二重管ノズルから吐出し、空間(エアギャップ)を通過させて相分離温度以下の冷却浴などで冷却されることにより相分離させて凝固させることによってポリフッ化ビニリデン系樹脂の中空糸多孔質膜を得る。
製膜工程においてエアギャップは3〜500mmが好ましく、5〜200mmがより好ましい。また、空間を通過する際の時間(エアギャップ/紡速)が、0.01〜2.00秒であることが好ましい。一方、冷却温度は−5〜60℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
冷却液としては、水などの非溶媒の他、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類、トリメリト酸エステル類、リン酸エステル類、ケトン類などの貧溶媒や、貧溶媒と非溶媒との混合液を使用することも可能である。
その後、貧溶媒をアルコール類やアセトンなどによって洗浄し、貧溶媒を除去するのが好ましい。その後、必要に応じて多孔質膜を乾燥せる。乾燥方法には、加熱乾燥、熱風による乾燥、加熱ロールに接触させる等の方法が挙げられる。
本発明の中空糸多孔質膜は以上のような製造方法によって好適に得られるものであり、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して親水性化合物で有機化された有機化クレイ1〜25重量部が分散してなる中空糸多孔質膜であって、不定形な樹脂相が三次元的に連続しつつその間に不定形な空隙を有する微細構造が熱誘起相分離法によって形成されている。かかる中空糸多孔質膜は、エアギャップの制御を厳密に行わなくとも、一定のフラックスが得られる。
本発明の中空糸多孔質膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定される平均孔径が0.1〜8μm、特に0.2〜3μmであることが好ましい。また、密度から求められる空孔率が50〜90%、特に60〜80%であることか好ましい。
本発明の中空糸多孔質膜は、食品工業におけるアルコー飲料や果汁飲料等の除菌・除濁・除蛋白質、半導体製造工業における超純水の製造、医薬品工業における無菌水の製造・各種工業排水、ビル等の建築物排水、下水の除濁、河川水、かん水、海水の逆浸透法による脱塩の前処理などに用いることができ、機械的強度に優れる精密濾過または限外濾過用の多孔質中空糸分離膜を提供できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(透水特性)
中空糸多孔質膜の内面側より純水を加圧(0.1MPa)して通水し、外面側へ透過してくる一定時間当たりの水の量を計量した。
(中空糸膜の引張強度・伸度)
島津製作所製オートグラフを用いて、湿潤状態の50mm長の膜を引張速度100mm/分の条件にて延伸し、破断した時の強度と伸びを測定した。
(構造観察)
多孔質膜の表面および断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真より測定した。
(実施例1)
ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン(ソルベイ社製、SOLEF6020)、ポリマー溶液用の貧溶媒としてフタル酸ジエチル、添加剤として無機層状珪酸塩をアルキレンオキシド化合物で有機化した有機化クレイ(コープケミカル社製SPN)を用いて製膜原液を調製した。また、前記貧溶媒を中空糸形成芯液として用いた。前記の有機化クレイの1.4重量部(ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して親水性化合物で有機化されたクレイ5重量部)を、70.6重量部のフタル酸ジエチルに添加し、超音波を付与しながら攪拌翼により3000rpm、室温で4時間攪拌して分散させた。次いで、前記のポリフッ化ビニリデンを28重量部加え、180℃、20分、70rpmで混練りしてポリマー溶液が得られた。
このポリマー溶液を二重管ノズルの外側から吐出し、同時に中空糸形成芯液を二重管ノズルの内側に流した。5mmのエアギャップを通過させて5℃の水よりなる冷却浴で固化して巻取りした。ここで、紡速は0.252m/秒であった。紡速に対するエアギャップの比率は、0.02m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜をエタノールで溶媒を抽出した。得られた中空糸膜の物性は、透水量280L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度84kgf/cm、伸び率293%であった。
(実施例2)
製膜条件においてエアギャップを20mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.079m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量285L/m/h/atm、膜厚121μm、引っ張り強度74kgf/cm、伸び率339%であった。
(実施例3)
製膜条件においてエアギャップを40mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.159m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量297L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度81kgf/cm、伸び率332%であった。
(実施例4)
製膜条件においてエアギャップを60mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.238m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量284L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度80kgf/cm、伸び率384%であった。
(実施例5)
製膜条件においてエアギャップを80mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.317m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量295L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度83kgf/cm、伸び率415%であった。
(実施例6)
製膜条件においてエアギャップを100mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.397m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量304L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度kgf/cm、伸び率425%であった。
(実施例7)
製膜条件においてエアギャップを120mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.476m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量308L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度78kgf/cm、伸び率397%であった。
(実施例8)
製膜条件においてエアギャップを140mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.556m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量297L/m/h/atm、膜厚113μm、引っ張り強度75kgf/cm、伸び率367%であった。
(実施例9)
製膜条件においてエアギャップを160mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.635m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量322L/m/h/atm、膜厚105μm、引っ張り強度87kgf/cm、伸び率355%であった。
(実施例10)
製膜条件においてエアギャップを200mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.794m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量311L/m/h/atm、膜厚105μm、引っ張り強度88kgf/cm,伸び率409%であった。
(実施例11)
製膜条件においてエアギャップを250mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.992m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量334L/m/h/atm、膜厚129μm、引っ張り強度67kgf/cm、伸び率409%であった。
(実施例12)
製膜条件においてポリフッ化ビニリデン樹脂を26重量%、フタル酸ジエチルを72.7重量%、有機化した有機化クレイを1.3重量%(ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して親水性化合物で有機化されたクレイ5重量部)としたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸膜の物性は、透水量401L/m/h/atm、膜厚147μm、引っ張り強度56kgf/cm、伸び率264%であった。
(実施例13)
製膜条件においてエアギャップを50mmとしたこと以外は実施例4と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.198m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量429L/m/h/atm、膜厚127μm、引っ張り強度69kgf/cm、伸び率301%であった。
(実施例14)
製膜条件においてエアギャップを100mmとしたこと以外は実施例4と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。ここで紡速に対するエアギャップの比率は0.397m/(m/秒)であった。得られた中空糸膜の物性は、透水量407L/m/h/atm,膜厚137μm、引っ張り強度69kgf/cm、伸び率409%であった。
(比較例1)
製膜条件においてポリフッ化ビニリデン樹脂を26重量%、フタル酸ジエチルを74重量%としたこと以外は実施例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸膜の物性は、透水量512L/m/h/atm、膜厚135μm、引っ張り強度34kgf/cm、伸び率84%であった。
(比較例2)
製膜条件においてエアギャップを50mmとしたこと以外は比較例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸膜の物性は、透水量735L/m/h/atm,膜厚135μm、引っ張り強度43kgf/cm、伸び率143%であった。
(比較例3)
製膜条件においてエアギャップを100mmとしたこと以外は比較例1と同様の方法で中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸膜の物性は、透水量819L/m/h/atm、膜厚135μm、引っ張り強度39kgf/cm、伸び率163%であった。
以上の実施例1〜14及び比較例1〜3の結果を表1〜表2にまとめた。
Figure 2006051419
Figure 2006051419
表1〜表2の結果が示すように、本発明の実施例の中空糸多孔質膜は、エアギャップの影響を受けずに安定した透過性能を示した。一方、有機化クレイを添加しなかった比較例では、膜透過性能がエアギャップの変化によって劇的に変化した。
つまり、図2に示すように、従来の中空糸多孔質膜では、膜断面構造が球晶であり、球晶と球晶の隙間が膜の孔径に相当するが、エアギャップを長くするにつれて、膜表面及び内部(断面)の球晶のサイズ及び多孔度が大きくなり、膜の透過流速が大幅に増加した。これに対して、有機化クレイを添加すると、図1に示すように、エアギャップを変化させても、内部で球晶が殆ど形成されず(膜表面には一部球晶が観察される)、網目構造を有する膜断面の孔のサイズ及び分布は殆ど変化しないことが分かった。このため、本発明では、一定の透過流速が得られ、しかも優れた機械的強度を有するものとなる。このため、本発明の中空糸多孔質膜は、これまで過酷な使用条件を要求される各種水処理の用途などに困難とされていた膜分離法で、有効に使用できるようになる。
実施例12、13、14で得られた中空糸多孔質膜の表面および断面の走査型電子顕微鏡写真 比較例1、2、3で得られた中空糸多孔質膜の表面および断面の走査型電子顕微鏡写真 実施例1〜11で得られた中空糸多孔質膜の透水量の結果を示すグラフ 比較例1、2、3で得られた中空糸多孔質膜の透水量の結果を示すグラフ

Claims (5)

  1. 有機化されたクレイを含有し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を貧溶媒に加熱溶解した製膜原液を、芯液と共に二重管ノズルから吐出しながら、空間を通過後に、相分離温度以下の冷却浴で凝固させる中空糸多孔質膜の製造方法。
  2. 前記空間を通過する際の時間(エアギャップ/紡速)が、0.01〜2.00秒である請求項1記載の中空糸多孔質膜の製造方法。
  3. 前記製膜原液は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を10〜60重量%含有するものである請求項1又は2に記載の中空糸多孔質膜の製造方法。
  4. ポリフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して有機化された有機化クレイ1〜25重量部が分散してなる中空糸多孔質膜であって、不定形な樹脂相が三次元的に連続しつつその間に不定形な空隙を有する微細構造が熱誘起相分離法によって形成されている中空糸多孔質膜。
  5. 前記有機化クレイがアルキレンオキシド化合物で有機化されたものである請求項4に記載の中空糸多孔質膜。
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