しかし、上述したような複写機を用いる場合、例えば機密文書の作成者のように正当な権限を有する者であってもこの機密文書を複写することができないため、機密文書の複製が必要である場合には、プリンタによる画像出力を再度行なう必要があり、機密文書の取り扱いが非常に煩雑になるという問題がある。
一方、上述したような複写機を、例えば認証によって正当であるとされた者においては、禁止されている機密文書の複写を可能とするように構成することもできる。しかし、このような複写機を用いた場合、上述したように機密文書であることを示すためのバーコード又は特定のパターンが表面に付加された原稿を読み取ることになるので、本来の読取対象である画像のみならず、バーコード又は特定のパターンも読み取ってしまう。このため、読み取った画像を複写した場合に意味のない情報が原稿の画像に加えられることになり、画質の劣化を生じる虞がある。従って、利用者の意図した画像を得ることができない場合があり、利用者に不満を与えることがある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の原稿の内の所定の原稿裏面に所定画像が形成されている原稿束において、それぞれの原稿の表面から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限することが可能な画像読取装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、読み取った画像データに基づく処理の実行が制限されている原稿においても、正当な権限を有する者による実行指示であれば、前記処理の実行を許可することが可能な画像読取装置を提供することにある。
本発明に係る画像読取装置は、原稿を読み取り、画像データを取得する画像読取装置において、複数の原稿それぞれの一面に形成されている画像を連続的に読み取ることにより、画像データを取得する読取手段と、前記複数の原稿の他面から所定画像を検出する検出手段と、該検出手段が所定画像を検出したか否かに基づいて、前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されているか否かを判断する判断手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿それぞれの一面に形成された画像を連続的に読み取ることにより画像データを取得する画像読取装置が、前記複数の原稿の他面から所定画像を検出したか否かに基づいて、読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されているか否かを判断する。よって、原稿の例えば裏面に所定画像が形成されているか否かに基づいて、複数の原稿それぞれの表面から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限することが可能となる。また、所定画像が裏面に形成された原稿を読み取るため、原稿の表面から読み取る画像データの画質の劣化を防止することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記複数の原稿の内の所定番目の原稿の他面から所定画像を検出するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿の内の所定番目の原稿の他面から所定画像を検出したか否かに基づいて、前記原稿から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されているか否かを判断する。よって、所定番目の原稿の例えば裏面に所定画像が形成されているか否かに基づいて、各原稿の表面から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記判断手段は、前記検出手段が所定画像を検出した場合、前記読取手段が全原稿の一面から取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、所定画像が検出された場合、全原稿それぞれの一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断する。よって、機密性を有する複数の原稿からなる原稿束において、いずれかの原稿の他面に所定画像を形成しておかないことにより、当該原稿束に基づく処理を禁止することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出するようにしてあり、前記判断手段は、前記検出手段が所定画像を検出した原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出しており、前記所定画像を検出した場合に、前記所定画像が検出された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理が許可されていると判断する。よって、複数の原稿からなる原稿束において、前記処理を許可したい原稿の他面に所定画像を形成しておくことにより、前記所定画像が形成されていない原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理を禁止することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出するようにしてあり、前記判断手段は、前記検出手段が偶数枚の原稿から所定画像を検出した場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出しており、偶数枚の原稿から所定画像が検出された場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断する。よって、連続する複数枚の原稿から読み取った画像データに基づく処理の実行を許可する場合に、連続する原稿の内の最初の原稿及び最後の原稿に所定画像を形成しておけばよい。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段が所定画像を検出した場合に認証を行なう認証手段を備え、前記判断手段は、前記認証手段により正当であると認証された場合、前記読取手段が全原稿の一面から取得した画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、原稿の他面から所定画像が検出された場合に認証を行ない、正当であると認証された場合に、全原稿それぞれの一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断する。よって、機密性を有する複数の原稿からなる原稿束において、いずれかの原稿の他面に所定画像を形成しておくことにより、当該原稿束に基づく処理を制限することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出するようにしてあり、前記検出手段がいずれかの原稿から所定画像を検出した場合に認証を行なう認証手段を備え、前記判断手段は、前記所定画像が検出されなかった原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断すると共に、前記認証手段により正当であると認証された場合、前記所定画像が検出された原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出しており、前記所定画像が検出されなかった原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理が許可されていると判断する。一方、いずれかの原稿から所定画像が検出された場合に認証を行ない、正当であると認証された場合、前記所定画像が検出された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断する。よって、複数の原稿からなる原稿束において、前記所定画像が形成された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理を制限することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出するようにしてあり、前記検出手段が偶数枚の原稿から所定画像を検出した場合に認証を行なう認証手段を備え、前記判断手段は、前記検出手段が偶数枚の原稿から所定画像を検出した場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間にない各原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断すると共に、前記認証手段により正当であると認証された場合、前記奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出しており、偶数枚の原稿から所定画像が検出された場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間にない各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断する。一方、偶数枚の原稿から所定画像を検出した場合に認証を行ない、正当であると認証された場合、前記奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断する。よって、連続する複数枚の原稿から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限する場合に、連続する原稿の内の最初の原稿及び最後の原稿に所定画像を形成しておけばよい。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段が所定画像を検出した時点で、前記読取手段による画像の読取を中断させる手段と、前記認証手段により正当であると認証された場合、中断していた画像の読取を前記読取手段に再開させる手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、原稿の他面から所定画像を検出した時点で、前記原稿の読取を中断させ、認証結果が正当であれば中断していた画像の読取を再開させる。よって、認証結果が正当でない場合に無駄となる原稿の読取処理における処理負担を軽減することが可能である。
本発明に係る画像読取装置は、前記検出手段は、前記原稿の他面から複数の所定画像を検出するようにしてあることを特徴とする。
本発明によれば、原稿の他面から複数の所定画像が検出されたか否かに基づいて、当該原稿に基づく処理を確実に制限することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていないと前記判断手段が判断した場合、前記処理を実行できない旨を報知する手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていないと判断した場合、前記処理を実行できない旨を報知することにより、例えば原稿を複写しようとした利用者に、正当な権限を有さないために複写できない旨を通知することが可能となる。
本発明に係る画像読取装置は、前記読取手段が取得する画像データを記憶する記憶手段と、前記読取手段が取得した画像データに基づく処理の実行が許可されていないと前記判断手段が判断した場合、前記記憶手段に記憶させた前記画像データを消去する手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、原稿から読み取って取得した画像データを一時的に記憶しておく記憶手段を備えており、読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていないと判断した場合、前記記憶手段に記憶させた画像データを消去する。よって、利用者から指示された処理の実行ができない場合には、それまでに原稿から読み取った画像データを自身の装置内に保持しておかない。
本発明では、複数の原稿それぞれの例えば表面に形成された画像を連続的に読み取ることにより画像データを取得する画像読取装置が、各原稿の裏面に所定画像を検出できたか否かに基づいて、表面から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限することができる。また、複数の原稿の内の所定番目の原稿の例えば裏面から所定画像を検出したか否かに基づいて、前記原稿それぞれの表面から読み取った画像データに基づく処理の実行を制限することができる。なお、前記所定画像が裏面に形成された原稿を読み取るため、読み取った画像データに不要な情報が含まれず、画質の劣化を防止することができる。
本発明では、所定画像が検出された場合、全原稿それぞれの一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断することができる。よって、いずれの原稿の他面にも所定画像が形成されていない原稿束においては、読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されておらず、読み取った画像データに基づく前記処理の実行が禁止される。従って、機密性を有する原稿束において、いずれかの原稿の他面に所定画像を形成しておかないことにより、当該原稿束に基づく処理を禁止することができ、機密文書を管理する管理者の負担を軽減することができる。
本発明では、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出し、前記所定画像が検出された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理が許可されていると判断する。これにより、複数の原稿からなる原稿束において、前記所定画像が形成されている原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行を可能とすることができると共に、前記所定画像が形成されていない原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理を禁止することができる。
本発明では、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出し、偶数枚の原稿から所定画像が検出された場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断し、連続する複数枚の原稿に基づく処理の実行を行なうことができる。
本発明では、原稿の他面から所定画像が検出された場合に認証を行ない、正当であると認証された場合に、全原稿それぞれの一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断することができる。よって、機密性を有する複数の原稿からなる原稿束において、いずれかの原稿の他面に所定画像を形成しておくことにより、当該原稿束に基づく処理を制限することができ、機密文書を管理する管理者の負担を軽減することができる。
本発明では、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出し、前記所定画像が検出されなかった原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理が許可されていると判断し、いずれかの原稿から所定画像が検出された場合には認証を行なう。よって、前記所定画像が検出された原稿に基づく処理を制限することができる。また、正当であると認証された場合、前記所定画像が検出された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断することにより、複数の原稿からなる原稿束において、認証結果が正当であれば前記所定画像が形成された原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行も可能とすることができる。
本発明では、複数の原稿それぞれの他面から所定画像を検出し、偶数枚の原稿から所定画像が検出された場合、前記所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間にない各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていると判断すると共に認証を行なう。よって、正当であると認証された場合、前記奇数番目の原稿から次に前記所定画像が検出された原稿までの間の各原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されたと判断することにより、認証結果が正当であれば連続する複数枚の原稿から読み取った画像データに基づく処理の実行も可能とすることができる。
本発明では、原稿の他面から所定画像を検出した時点で、前記原稿の読取を中断させ、認証結果が正当であれば中断していた画像の読取を再開させることにより、正当であると認証されず、原稿から読み取った画像データに基づく処理が禁止された場合に無駄となる原稿の読取処理における処理負担を軽減することが可能である。
本発明では、原稿の表面から読み取った画像データに基づく処理を許可するか否かを示す所定画像を処理対象の原稿の他面から複数検出されたか否かに基づいて前記処理の実行が許可されているか否かを判断することにより、複数の所定画像に基づいて、当該原稿に基づく処理を確実に制限することができる。
本発明では、原稿の一面から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていないと判断した場合に前記処理を実行できない旨を報知することにより、例えば原稿を複写しようとした利用者に、正当な権限を有さないために複写できない旨を通知することができる。
本発明では、原稿から読み取った画像データに基づく処理の実行が許可されていないと判断した場合に、原稿から読み取って一時的に記憶させてある画像データを消去する。よって、例えば複写するために原稿から読み取った画像データが、機密性を有するものである場合、又は複写処理を指示した利用者が正当な権限を有さない場合等のように、利用者から指示された処理の実行ができない場合には、それまでに原稿から読み取った画像データを自身の装置内に保持しておかないことにより、機密性を有する原稿から読み取った画像データの漏洩及び不正使用を確実に防止する。
以下に、本発明に係る画像読取装置を、その実施形態である複写機を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施形態1.
図1は本発明の画像読取装置を適用した実施形態1に係る複写機の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態1の複写機100は、原稿の画像を読み取るスキャナ機能、読み取った画像に基づいてコピー用紙、OHPフィルム等のシート(以下、単に用紙と称する)上に画像を形成する複写機能、読み取った画像データを一時的に保存するファイリング機能等を有している。
複写機100は、各種の演算処理を実行するCPU、制御プログラムを格納しているROM、CPUの演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等により構成される制御部101を備えている。制御部101のCPUは、ROMの制御プログラムをRAMにロードして実行することにより原稿読取部10、画像形成部20等の動作を制御する。
管理部102は、複写機100の動作中に必要となる各種のデータを記憶する不揮発性の半導体メモリである。管理部102が記憶するデータとしては、例えば利用者認証を行なうための認証用データが挙げられる。なお、制御部101のROMには、認証処理プログラムが予め格納されており、制御部101のCPUは、この認証処理プログラムに従って、操作パネル103を使用して利用者が入力した認証データと、管理部102に記憶させてある認証用データとが一致するか否かを判断する認証手段として動作する。
報知部106は、複写機100を構成するハードウェア各部に生じた異常を制御部101が検出した場合に、その旨を周囲の利用者に通知する機能を有する。具体的には、報知部106は、警告音又は合成音声を出力する警報出力部、警告メッセージを表示するLCD(Liquid Crystal Display)のような表示パネル、LED(Light Emitting Diode)又は回転灯のような警告灯等を備える。
原稿読取部10は、操作パネル103、ADF104、光学式読取ユニット105等を備えている。操作パネル103は、利用者による操作指示を受け付ける操作部と利用者に対して報知すべき情報を表示する表示部とからなる。操作部は、利用者による操作指示を受け付けるための各種操作キーを備えており、機能の切替操作、各機能における設定値の入力、処理の実行開始指示等を受け付ける。表示部は、液晶ディスプレイを備えており、複写機100の動作状況、操作部を通じて入力された各種の設定値、利用者に対して報知すべき情報等を表示する。また、表示部の一部には各種の選択操作を受け付けるように構成したタッチパネル方式のソフトウェアボタンが配置される。
ADF(Automatic Document Feeder)104は、原稿トレイ11a、呼込ローラ13a等を備えており(図2参照)、原稿トレイ11aにフェイスダウンの状態で積層された複数の原稿からなる原稿束を呼込ローラ13aにより1枚ずつ取り込む構成となっている。
光学式読取ユニット(読取手段)105は、CIS(Contact Image Sensor)14、光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、CCDラインセンサ19等を備えており(図2参照)、ADF104によって取り込んだ原稿の表面に光源ユニット15が読取用の光を照射し、原稿からの光像をミラーユニット17及び結像レンズ18を用いてCCDラインセンサ19に結像させ、原稿表面(一面)に記録された画像を読み取るように構成されている。また、原稿裏面(他面)に記録された画像についてはCIS14が同時的に読み取るように構成されている。
画像形成部20は、画像メモリ107、検出部110、印字部111等により構成されている。画像メモリ(記憶手段)107は、原稿読取部10が取得した画像データを一時的に記憶するためのページメモリであり、画像メモリ107に記憶された画像データは、制御部101からの指示により目的に応じた転送先へ転送される。具体的には、画像データは、ファイリング機能により保存する場合には、HDDインタフェース108へ転送され、印字処理を行なう場合には、印字部111へ転送される。
画像メモリ107には、HDDインタフェース108を介してディスク状の磁気記録媒体を有するHDD109が接続されている。HDDインタフェース108は、HDD109のインタフェース規格に準拠したコマンドを発行し、そのコマンドを実行することにより、HDD109に保存させる画像データの書込処理、保存された画像データの読出処理、及び不要となった画像データの消去処理を実行する。HDD109の記憶領域の一部は、画像データ等を記憶するためのデータエリアとして利用されており、大量の原稿を読み取った場合等に読み取った画像データをHDD109に蓄積させる。
印字部111は、感光体ドラム23を所定の電位に帯電させる帯電器25、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム23上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置21、感光体ドラム23表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器22、感光体ドラム23表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器26等(図2参照)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像を用紙上に形成する。
上述した構成の複写機100は、原稿読取部10によって読取対象の原稿束中のそれぞれの原稿から読み取った画像データに基づく画像を画像形成部20の印字部111によって用紙上に形成する複写処理を行なう。ここで、本実施形態1の複写機100は、読取対象の原稿束における所定番目の原稿裏面、例えば2頁目の原稿裏面に所定の文字列又は画像が形成されているか否かを検出部110により判断する。
具体的には、光学式読取ユニット105は、原稿トレイ11aに積層された原稿束におけるそれぞれの原稿表面に形成された画像を光源ユニット15により照射された光に基づいてCCDラインセンサ19で取得しつつ、CIS14によって原稿裏面に形成された画像を読み取るように構成されている。このようにしてそれぞれの原稿表面及び原稿裏面から読み取られた画像データは画像メモリ107に記憶される。
検出部(検出手段)110は、上述したように原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に一時的に保持されている画像データに基づいて、読取対象の原稿束中の2頁目の原稿裏面に所定の文字列又は画像が含まれているか否かを検出するための画像処理回路である。即ち、本実施形態1では、読取対象の原稿束が機密性を有するものであるか否かを検出するために、文字認識又はパターンマッチングを行なって、所定の文字列又は画像(以下、所定画像という)が、読取対象の原稿束中の2頁目の原稿裏面に形成されているか否かを検出している。なお、所定画像がどの原稿裏面に形成されているかの情報は、管理部102に記憶されている。また、本実施形態1の複写機100は、原稿束における2頁目の原稿裏面に所定画像を形成するというルールの下で動作しているが、利用者による設定によって適宜変更することができる。
また、本実施形態1では、2頁目の原稿裏面に形成される所定画像は、処理対象の原稿束の複写処理の実行が許可されている旨を示すものであり、制御部(判断手段)101は、検出部110により所定画像を検出した場合、当該原稿束の複写処理の実行が許可されていると判断し、原稿読取部10が全原稿から読み取って画像メモリ107に記憶してある画像データを印字部111へ転送させる。なお、所定画像はどのようなものであっても良いが、その大きさ、色、濃度等があまり目立たないものであることが望ましい。特に、原稿表面に形成された画像を読み取った場合に得られる画像データに影響を与えないものであることが望ましい。また、所定画像は例えば、文字列、図形又はそれらの組み合わせたものであっても良い。
一方、検出部110により所定画像が検出されなかった場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されていないと判断し、複写処理の実行ができない旨を操作パネル103に表示させて利用者に通知する。なお、操作パネル103によるメッセージの表示のほか、報知部106による報知処理を行なうことにより、複写処理の実行ができない旨を確実に利用者へ通知することができる。
また、制御部101は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されていないと判断した場合、原稿読取部10によりそれぞれの原稿から読み取られて画像メモリ107に一時的に記憶されている画像データを消去することにより、画像の無効化を実行する。このように、複写処理を行なうために一時的に記憶された画像データを複写機100内に保持しておかないことにより、機密性を有するデータの不正使用を防止することができる。
図2は複写機100の機械的内部構成例を示す縦断面図である。複写機100の最上段には原稿読取部10が設けられており、その下側に画像形成部20及び排紙部40が並列に配置され、更にそれらの下側に給紙部50が配置されている。
原稿読取部10に搭載されているADF104は、読取用の原稿をフェイスダウンの状態で積層するための原稿トレイ11a、積層された原稿の幅方向の位置を規制する原稿規制板12a、原稿トレイ11a上の原稿の有無を検知する原稿検知センサ12b,12c、原稿トレイ11aに積層された原稿を最下層から1枚ずつ取り込むための呼込ローラ13a、呼込ローラ13aにより取り込んだ原稿を所定の読取位置まで搬送する搬送ローラ13b,13c、画像を読み取った後に原稿を排紙トレイ16へ排出する排紙ローラ13dにより構成されている。ADF104は、操作パネル103を利用した利用者の指示をトリガーにして取り込みを開始し、原稿トレイ11aに積層された原稿を1枚ずつ取り込んで順次的に原稿の表面及び裏面に記録された画像を読み取るように構成されている。
原稿読取部10に搭載されている光学式読取ユニット105は、原稿の裏面に記録された画像を読み取るためのCIS14と、原稿の表面に記録された画像を読み取るために光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、及びCCDラインセンサ19等を備えている。
CIS14は、例えば、アレイ状に配列されたイメージセンサ及び導光手段(セルフォックスレンズ等のレンズアレイ)、並びに光源(LEDアレイ光源又は蛍光灯)等を備えており、適宜の読取位置に設置されている。ここで、図3はCIS14による原稿裏面の読取処理の様子を示す模式図であり、図2で示す原稿読取部10を上方から見た状態を示している。CIS14は、原稿読取部10のADF104から順次供給され、図3中に白抜き矢符で示す方向に搬送される原稿の裏面を読み取っており、読取用の原稿がCIS14の前面を通過する際に適宜のサンプリング周期でデータを取得することにより原稿裏面の全面の画像データを取得するように構成されている。
図3において、原稿裏面の中央位置のハッチングを付した領域は、上述した所定画像を示しているが、このような形成位置に限られない。即ち、CIS14は原稿裏面の全面を読み取るため、図3に示すような中央箇所に所定画像を形成する必要はない。
光源ユニット15は、露光ランプから照射される読取用の照明光を凹面のリフレクタにより原稿台11bの適宜の読取位置に集光させ、原稿台11bの面に対して反射面を45°に設置したミラーによって原稿からの反射光の光路を90°変更してミラーユニット17へと導くように構成されている。ミラーユニット17は、光源ユニット15のミラーによって光路を90°変更された光の光路を更に180°変更するために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラーを備えている。ADF104から供給される原稿を読み取る場合には、光源ユニット15は所定の読取位置(CIS14の対面位置)に保持された状態で画像を読み取り、原稿台11bにセットされた原稿を読み取る場合には、光源ユニット15を原稿台11bの面に平行に走査させるように構成されている。
ミラーユニット17によって導かれた光は結像レンズ18の作用によりCCDラインセンサ19に結像する。CCDラインセンサ19は入力された光をその光量に応じたアナログ電気信号に変換して出力する。CCDラインセンサ19から出力されたアナログ電気信号は、図示していないAD変換器によりデジタル信号に変換され、原稿読取時の光源の配光特性、CCDラインセンサ19の感度ムラ等の補正が施された後、画像データとして生成される。生成された画像データは画像形成部20の画像メモリ107(図1参照)へ出力される。
画像形成部20は、感光体ドラム23、感光体ドラム23を帯電させる帯電器25、帯電した感光体ドラム23上にレーザ光で画像を書き込むことにより潜像を形成するレーザ書込装置21、感光体ドラム23上の潜像を現像する現像器22、感光体ドラム23上に残留している現像剤を除去して感光体ドラム23を再生するクリーニングユニット24等からなる電子写真方式のプロセス部を備えており、このプロセス部に用紙を搬送することによって画像形成を行なう。
また、画像形成部20は、プロセス部の下方(上流側)に用紙を収容するための給紙カセット30を備えており、この給紙カセット30に収容された用紙を用紙搬送路S1の近傍に設けられたピックアップローラ30aによって1枚ずつ分離給送する。給紙カセット30から分離給送された用紙がプロセス部へ搬送された場合、その用紙はレジストローラ31によって一旦保持される。レジストローラ31は、図示していないレジスト前検知スイッチの検知信号に基づいて、感光体ドラム23上のトナー像の先端が、用紙の画像形成領域の先端に一致するようにタイミングを制御して、感光体ドラム23の回転に合わせて用紙をプロセス部へ搬送するようにしている。
更に、画像形成部20の下側には、複数種の用紙を収容するために給紙カセット51,52,53が設けられた給紙部50が設置されている。給紙部50では、上述した給紙カセット30と同様に、給紙カセット51,52,53に夫々収容された用紙を各給紙カセット51,52,53が備えるピックアップローラ51a,52a,53aにより1枚ずつ分離給送し、用紙搬送路S1を通じて画像形成部20のプロセス部へ搬送する。
プロセス部にてトナー像が転写された用紙は、プロセス部の下流側に設置された定着ユニット27へと搬送される。定着ユニット27は、ヒートローラ及び加圧ローラを備えており、トナー像が転写された用紙を両ローラが挟んで回転させることにより、ヒートローラの熱でトナー像を用紙上に加熱定着させる。
定着ユニット27によりトナー像が加熱定着された用紙は、複写機100が備える幾つかの排紙トレイのいずれかに排出される。デフォルトの設定では、排紙すべき用紙が排紙トレイ34へ導かれるように搬送ローラ32及び切替ゲート33が制御される。従って、排紙ローラ34aを通じてフェイスダウンの状態で排紙トレイ34上に用紙が排出される。一方、利用者が排紙部40に搭載されている排紙トレイ41,42,43のいずれかへ排出することを指定した場合、切替ゲート33が切り替えられて搬送ローラ35により排紙部40へ用紙が導かれ、排紙トレイ41,42,43のいずれかに用紙が排出される。
一方、フェイスアップの状態で用紙を排出する場合、又は用紙の両面に画像形成を行なう場合には、搬送ローラ32,35により用紙を一旦把持した後、搬送ローラ32,35を逆方向に回転駆動させて搬送ローラ36により両面原稿搬送路S2へ用紙を導く。フェイスアップの状態で排紙を行なう場合には、排紙ローラ37aを通じて排紙トレイ37へ用紙を排出する。また、用紙の裏面に画像形成を行なう場合には、用紙を両面原稿搬送路S2を介して再び画像形成部20のレジストローラ31へ導き、画像形成部20のプロセス部において用紙の裏面側にトナー像の形成を行なう。なお、両面原稿搬送路S2の下端側には手差トレイ38が設置されており、給紙カセット30,51,52,53に収容されていない種類の用紙をピックアップローラ38aにより取り込めるようにしている。
以下に、上述した構成の複写機100による複写処理について説明する。図4は実施形態1に係る複写機100による複写処理の際の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。
複写機100の原稿トレイ11aに原稿が載置され、操作パネル103を通じて原稿の複写指示がなされた場合、制御部101は、ADF104の呼込ローラ13aを駆動して原稿の給送を開始する(ステップS1)。呼込ローラ13aによって1枚ずつ分離給送された原稿は、CIS14との対面位置を通過する際に、原稿裏面の画像がCIS14によって、原稿表面に記録された画像がCCDラインセンサ19によってそれぞれ読み取られる(ステップS2)。
CIS14及びCCDラインセンサ19が読み取った画像は画像データとして出力され、画像メモリ107に保持される(ステップS3)。制御部101は、原稿検知センサ12b,12cが検知する原稿トレイ11a上の原稿の有無に基づいて、全原稿の読取が完了したか否かを判断し(ステップS4)、完了していないと判断した場合(S4:NO)、処理をステップ1へ戻して原稿の給送及び読取を続行する(ステップS1〜S3)。
制御部101は、全原稿の読取が完了したと判断した場合(S4:YES)、CIS14が読み取った画像に基づいて検出部110が所定画像の検出を行なう(ステップS5)。ここでは、原稿読取部10の読取対象である原稿束における2頁目の原稿裏面に所定画像が形成されているか否かを検出する。制御部101は、検出部110が所定画像を検出したか否かを判断し(ステップS6)、所定画像が検出されたと判断した場合(S6:YES)、複写を許可し(ステップS7)、全原稿から読み取って画像メモリ107に保持させた画像データを印字部111へ転送して印字処理を実行する(ステップS8)。
制御部101は全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS9)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S9:NO)、処理をステップS8へ戻して印字処理を続行する(ステップS8)。また、制御部101は、全原稿の印字が完了したと判断した場合(S9:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS10)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS6で、検出部110によって所定画像が検出されなかったと判断した場合(S6:NO)、複写を許可しない。この場合、制御部101は、複写対象の原稿束の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS11)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS10)、複写処理を終了する。
上述したように、複写対象の原稿束中の2頁目の原稿裏面に所定画像が形成されている場合は、2頁目を含む全原稿について複写が許可されているので、複写を指示した利用者はセキュリティを意識することなく機密文書の複写を行なうことができる。一方、2頁目の原稿裏面に所定画像が形成されていない場合は、2頁目を含む全原稿について複写が許可されないので複写を禁止することができる。
上述した実施形態1では、原稿束に基づく複写を許可するための所定画像が2頁目の原稿裏面に形成されている例について説明したが、2頁目以外の原稿裏面に形成されていてもよい。図5は所定画像の形成箇所の変形例を示す模式図である。図5(a)では1頁目及び2頁目の裏面に所定画像が形成されている。この場合、1頁目及び2頁目に所定画像が形成されている旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に記憶された画像データに基づいて、1頁目及び2頁目の裏面に所定画像が形成されているか否かの検出を行なう。ここで、1頁目及び2頁目の裏面に所定画像が検出された場合には当該原稿束の複写が許可され、いずれか一方でも検出されない場合には当該原稿束の複写が許可されない。
また、図5(b)に示すように、複写対象の原稿束のそれぞれの原稿について、裏面に所定画像が形成されている場合に当該原稿の複写が許可され、裏面に所定画像が形成されていない場合に当該原稿の複写が許可されないとすることもできる。この場合、裏面に所定画像が形成されている原稿の複写が許可されている旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に記憶された画像データに基づいて、それぞれの原稿裏面に所定画像が形成されているか否かの検出を行なう。
以下に、上述したように裏面に所定画像が形成されている原稿の複写が許可され、裏面に所定画像が形成されていない原稿の複写が許可されないという条件の下で動作する複写機100による複写処理について説明する。図6はこのような条件での複写機100による複写処理の際の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。
図4に従って上述した処理と同様にして、原稿の給送から所定画像を検出するまでの処理(ステップS21〜S25)を実行した後、制御部101は、所定画像が検出されたか否かを判断する(ステップS26)。ここでは、原稿読取部10が読み取る原稿束において、何頁目の原稿裏面に所定画像が形成されているかを検出する。制御部101は、所定画像が検出されたと判断した場合(S26:YES)、即ち、所定画像が裏面に形成された原稿が読取対象の原稿束に含まれている場合、裏面に所定画像が形成された原稿の複写を許可し、原稿から読み取って画像メモリ107に保持させてある画像データの内の複写が許可された画像データを印字部111へ転送し(ステップS27)、印字処理を実行する(ステップS28)。
制御部101は、複写が許可された全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS29)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S29:NO)、処理をステップS27へ戻して印字処理を続行する(ステップS27〜S28)。また、制御部101は、複写が許可された全原稿の印字が完了したと判断した場合(S29:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS30)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS26で、検出部110によって所定画像が検出されなかったと判断した場合(S26:NO)、即ち、所定画像が裏面に形成された原稿が読取対象の原稿束に含まれていない場合、全原稿の複写を許可しない。この場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS31)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS30)、複写処理を終了する。
更に、図5(c)に示すように、複写が許可された原稿が連続する場合に、連続する原稿が含まれる領域を許可領域とし、この許可領域の開始頁及び終了頁の裏面に所定画像が形成された原稿束に基づく複写処理を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。また、この場合、開始頁及び終了頁に所定画像が形成されている旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に記憶された画像データに基づいて、それぞれの原稿裏面に所定画像が形成されているか否かの検出を行なう。
図4又は図6に従って上述した処理と同様にして、原稿の給送から所定画像を検出するまでの処理(ステップS41〜S45)を実行した後、制御部101は、読取対象の原稿束の内の偶数枚の原稿から所定画像が検出されたか否かを判断する(ステップS46)。制御部101は、偶数枚の原稿から所定画像が検出されたと判断した場合(S46:YES)、所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿と、次に所定画像が検出された原稿とを含み、これらの原稿に挟まれた許可領域内の各原稿の複写を許可し、画像メモリ107に保持させてある画像データの内の、複写が許可された許可領域内の原稿に対応する画像データを印字部111へ転送し(ステップS47)、印字処理を実行する(ステップS48)。
制御部101は、許可領域内の全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS49)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S49:NO)、処理をステップS47へ戻して印字処理を続行する(ステップS47〜S48)。また、制御部101は、許可領域内の全原稿の印字が完了したと判断した場合(S49:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS50)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS46で、偶数枚の原稿から所定画像が検出されなかったと判断した場合(S46:NO)、全原稿の複写を許可しない。この場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS51)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS50)、複写処理を終了する。
上述したように、本発明の画像読取装置では、複写対象の原稿束における複写を許可するか否かを示す所定画像の原稿裏面への形成箇所が適宜変更された場合であっても、それぞれ設定された条件に従って、読取対象の原稿に基づく複写を制限することができる。なお、上述した実施形態では、原稿裏面には所定画像が1つ形成されているように説明したが、図5(d)に示すように、それぞれの原稿裏面に所定画像を複数形成するようにしてもよい。
実施形態2.
以下に、実施形態2に係る複写機について説明する。なお、本実施形態2の複写機の内部構成は上述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。また、上述の実施形態1の複写機100は、原稿裏面に所定画像が形成されている場合に当該原稿束の複写処理の実行が可能である構成としたが、本実施形態2の複写機は、原稿裏面に所定画像が形成されている場合に利用者の認証を行ない、利用者が認証された場合にのみ当該原稿束の複写処理の実行を可能とする構成とする。
具体的には、本実施形態2において、処理対象である原稿束中の2頁目の原稿裏面に形成される所定画像は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されていない旨、即ち利用者の認証を必要とする旨を示すものであり、制御部101は、検出部110により2頁目の原稿裏面に所定画像を検出した場合、操作パネル103に認証データの入力指示を表示させることにより、認証データの入力を要求する。そして、制御部101のCPUは、ROMに記憶してある認証処理プログラムをRAMにロードして実行することにより、利用者により入力された認証データと、管理部102に記憶してある認証のためのデータとが一致するか否かを判断する。
ここで、認証結果が一致する場合、即ち正当な権限を有する利用者であると認証された場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されたと判断し、原稿読取部10により読み取られて画像メモリ107に記憶された画像データを印字部111へ転送させる。一方、認証結果が一致しない場合、即ち正当な権限を有する利用者であると認証されなかった場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されなかったと判断し、複写処理の実行ができない旨を操作パネル103に表示させて利用者に通知する。また、制御部101は、当該原稿束の複写処理の実行が許可されなかったと判断した場合、原稿読取部10により原稿から読み取られて画像メモリ107に一時的に記憶されている画像データを消去することにより、読み取った画像の無効化を実行する。
以下に、本実施形態2の複写機100による複写処理について説明する。図8は実施形態2に係る複写機100による複写処理の際の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。
上述した実施形態1と同様にして、原稿の給送から所定画像を検出するまでの処理(ステップS61〜S65)を実行した後、制御部101は、所定画像が検出されたか否かを判断する(ステップS66)。ここでは、原稿読取部10が読み取る原稿束における2頁目の原稿裏面に所定画像が形成されているか否かを検出する。制御部101は、検出部110が所定画像を検出したと判断した場合(S66:YES)、認証要求を行なう(ステップS67)。具体的には、制御部101は、操作パネル103の表示部に認証データの入力を促す表示を行ない、複写指示を行なった利用者によって入力された認証データと管理部102に記憶してある認証用データとを比較検証して認証を行なう。
そして、制御部101は、利用者が認証されたか否かを判断し(ステップS68)、利用者が認証されたと判断した場合(S68:YES)、又はステップS66において所定画像が検出されなかったと判断した場合(S66:NO)、複写を許可し(ステップS69)、全原稿から読み取って画像メモリ107に保持させた画像データを印字部111へ転送して印字処理を実行する(ステップS70)。
制御部101は全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS71)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S71:NO)、処理をステップS70へ戻して印字処理を続行する(ステップS70)。また、制御部101は、全原稿の印字が完了したと判断した場合(S71:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS72)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS68で、利用者が認証されなかったと判断した場合(S68:NO)、複写を許可しない。この場合、制御部101は、当該原稿束の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS73)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS72)、複写処理を終了する。
上述したように、処理対象である原稿束中の2頁目の原稿裏面に所定画像が形成されている場合は、2頁目を含む全原稿について利用者の認証が必要になるので、正当な権限を有する利用者であると認証された場合にのみ複写が許可される。これにより、正当な利用者以外の利用者による複写が禁止される。
上述した実施形態2では、原稿束に基づく複写を制限するための所定画像が2頁目の原稿裏面に形成されている例について説明したが、上述の実施形態1の変形例として示したように2頁目以外の原稿裏面に形成されていてもよい。図9は所定画像の形成箇所の変形例を示す模式図である。図9(a)に示すように、複写対象の原稿束のそれぞれの原稿について、裏面に所定画像が形成されている原稿を複写する場合に認証を必要とする複写処理を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。
また、この場合、裏面に所定画像が形成されている原稿の複写を行なう場合に認証を必要とする旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に記憶された画像データに基づいて、それぞれの原稿裏面に所定画像が形成されているか否かの検出を行なう。なお、裏面に所定画像が形成されていない原稿は、認証を行なわずに複写することができるものとする。
図8に従って上述した処理と同様にして、原稿の給送から所定画像を検出するまでの処理(ステップS81〜S85)を実行した後、制御部101は、所定画像が検出されたか否かを判断する(ステップS86)。ここでは、原稿読取部10が読み取る原稿束において、何頁目の原稿裏面に所定画像が形成されているかを検出する。制御部101は、所定画像が検出されたと判断した場合(S86:YES)、即ち、所定画像が裏面に形成された原稿が読取対象の原稿束に含まれている場合、認証要求を行なう(ステップS87)。
そして、制御部101は、利用者が認証されたか否かを判断し(ステップS88)、利用者が認証されたと判断した場合(S88:YES)、又はステップS86において所定画像が検出されなかったと判断した場合(S86:NO)、複写を許可し(ステップS89)、全原稿から読み取って画像メモリ107に保持させた画像データを印字部111へ転送して印字処理を実行する(ステップS90)。
制御部101は全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS91)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S91:NO)、処理をステップS90へ戻して印字処理を続行する(ステップS90)。また、制御部101は、全原稿の印字が完了したと判断した場合(S91:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS92)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS88で、利用者が認証されなかったと判断した場合(S88:NO)、ステップS85において所定画像が検出されなかった原稿の複写のみを許可する。そして、制御部101は、画像メモリ107に保持させてある画像データの内の複写が許可された画像データのみを印字部111へ転送し(ステップS93)、印字処理を実行する(ステップS94)。
制御部101は、複写が許可された全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS95)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S95:NO)、処理をステップS93へ戻して印字処理を続行する(ステップS93〜S94)。また、制御部101は、複写が許可された全原稿の印字が完了したと判断した場合(S95:YES)、当該原稿束の内の一部の原稿の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS96)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS92)、複写処理を終了する。
更に、図9(b)に示すように、複写を行なう際に認証を必要とする原稿が連続する領域を認証必要領域とし、この認証必要領域の開始頁及び終了頁の裏面に所定画像が形成された原稿束に基づく複写処理を図11に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の処理は、制御部101のROMに格納されている制御プログラムに従って制御部101のCPUが実行する。また、この場合、所定画像が形成されている開始頁及び終了頁間の原稿の複写を行なう場合に認証を必要とする旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10のCIS14によってそれぞれの原稿裏面から読み取られ、画像メモリ107に記憶された画像データに基づいて、それぞれの原稿裏面に所定画像が形成されているか否かの検出を行なう。
図8又は図10に従って上述した処理と同様にして、原稿の給送から所定画像を検出するまでの処理(ステップS101〜S105)を実行した後、制御部101は、読取対象の原稿束の内の偶数枚の原稿から所定画像が検出されたか否かを判断する(ステップS106)。制御部101は、偶数枚の原稿から所定画像が検出されたと判断した場合(S106:YES)、認証要求を行なう(ステップS107)。
そして、制御部101は、利用者が認証されたか否かを判断し(ステップS108)、利用者が認証されたと判断した場合(S108:YES)、又はステップS106において、偶数枚の原稿から所定画像が検出されなかったと判断した場合(S106:NO)、複写を許可し(ステップS109)、全原稿から読み取って画像メモリ107に保持させた画像データを印字部111へ転送して印字処理を実行する(ステップS110)。
制御部101は全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS111)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S111:NO)、処理をステップS110へ戻して印字処理を続行する(ステップS110)。また、制御部101は、全原稿の印字が完了したと判断した場合(S111:YES)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化し(ステップS112)、印字処理を終了する。
一方、制御部101は、ステップS108で、利用者が認証されなかったと判断した場合(S108:NO)、ステップS105において所定画像が検出された原稿の内の奇数番目の原稿と、次に所定画像が検出された原稿とを含み、これらの原稿に挟まれた認証必要領域内にない各原稿の複写を許可し、画像メモリ107に保持させてある画像データの内の、複写が許可された認証必要領域外の各原稿に対応する画像データを印字部111へ転送し(ステップS113)、印字処理を実行する(ステップS114)。
制御部101は、認証必要領域外の全原稿の印字が完了したか否かを判断し(ステップS115)、全原稿の印字が完了していないと判断した場合(S115:NO)、処理をステップS113へ戻して印字処理を続行する(ステップS113〜S114)。また、制御部101は、認証必要領域外の全原稿の印字が完了したと判断した場合(S115:YES)、当該原稿束の内の一部の原稿の複写処理が行なえない旨を示すメッセージを操作パネル103に表示して利用者に通知し(ステップS116)、画像メモリ107が保持している画像データを消去することにより、読み取った画像を無効化して(ステップS112)、複写処理を終了する。
上述した実施形態1及び2では、読取対象の原稿束の全原稿を原稿読取部10によって読み取った後、画像メモリ107に記憶してある画像データに基づいて各原稿裏面に所定画像が形成されているか否かを検出する構成としてあるが、原稿の読取処理と所定画像の検出処理とを並行して行なうことも可能であり、このような構成において、原稿束の読取中に利用者認証が必要であると判断された時点で原稿の読取を中断させ、正当であると認証された場合に中断していた読取処理を再開させるようにすることができる。
上述した実施形態1及び2では、CIS14を用いて原稿の裏面を表面と同時的に読み取る構成としたが、必ずしも同時的に読み取る必要はない。例えば、図12に示すように、ADF104に読取用の原稿を表裏反転させる機構を搭載することにより、原稿の表面を読み取った後に原稿の表裏を反転させて原稿の裏面の画像を読み取る構成であっても良い。この場合、原稿の表面を読み取る読取機構と裏面を読み取る読取機構とを共用することができる。
図12は複写機100に設けられた原稿読取部10の構成の変形例を示す縦断面図である。図12に示す複写機100の最上段に設けられた原稿読取部10は、図2に示したCIS14を備えていないため、原稿の表面及び裏面の画像を同時的に読み取ることができないが、読取用の原稿を表裏反転させることによって原稿の表面及び裏面の画像をそれぞれ読み取るように構成されている。なお、図12に示す各部おいて、図2に示す各部と同一の機能を果たすものについては同一の符号を付して説明する。
原稿読取部10に搭載されているADF104は、読取用の原稿をフェイスアップの状態で積層するための原稿トレイ11a、載置された原稿の幅方向の位置を規制する原稿規制板12a、原稿トレイ11aに積層された原稿を最上層から1枚ずつ取り込むための呼込ローラ13a、呼込ローラ13aにより取り込んだ原稿を原稿台11bまで搬送する搬送ローラ13b,13c、原稿台11b上の原稿を排紙トレイ16の方向へ又はその逆の方向へ搬送する搬送ベルト13d、画像を読み取った後に原稿を排紙トレイ16へ排出する排紙ローラ13e,13fにより構成されている。
また、図12に示すADF104は、原稿台11bから排紙トレイ16の方向とは逆の方向へ搬送ベルト13dによって搬送された原稿を搬送経路S3へ誘導する搬送ローラ13g、搬送ローラ13gによって搬送された原稿をそのまま搬送ローラ13cまで搬送する搬送ローラ13hを更に備えている。これにより、ADF104は、原稿トレイ11a上に積層された原稿を最上層から1枚ずつ取り込んで原稿台11bまで搬送し、原稿の表面に記録された画像を読み取った後、搬送ローラ13g,13hによって表裏反転させた上で再度原稿台11bまで搬送し、原稿の裏面に記録された画像を読み取るように構成されている。また、表面及び裏面を読み取られた原稿は、排紙トレイ16へ排出される。
なお、原稿読取部10が備える光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、及びCCDラインセンサ19、及び原稿読取部10の下側に配置されている画像形成部20、排紙部40及び給紙部50は、図2に示すものと同一であるため説明を省略する。
上述した実施形態1及び2では、本発明の画像読取装置を、スキャナ機能、コピー機能及びファイリング機能を備えた複写機100に適用した例として説明したが、外部の装置及び通信回線に接続可能に構成することにより、外部から送信されたプリントデータを受信して用紙上に画像を形成するプリント機能、この画像読取装置によって原稿から読み取った画像データを外部の装置へ送信するイメージ送信機能等を有するファクシミリ装置又はプリンタ等の各種画像処理装置、及びこれらの機能を複合した複合機においても利用することができる。
また、上述した実施形態では、原稿裏面に所定画像が形成されているか否かに基づいて複写処理の実行を制限するように構成した例について説明したが、例えばファクシミリ送信及びLAN等の通信回線を介したネットワーク送信の実行を制限することもできる。更に、上述したように、複写処理の実行が許可された場合に原稿表面の画像を複写するだけでなく、所定の原稿裏面に形成された画像も複写するように構成することもでき、この場合には、機密文書の複製においても、複写処理の実行を制限することができ、セキュリティの更なる強化を図ることができる。