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JP2006024545A - 固体電解質型燃料電池用発電セル - Google Patents

固体電解質型燃料電池用発電セル Download PDF

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JP2006024545A
JP2006024545A JP2004322303A JP2004322303A JP2006024545A JP 2006024545 A JP2006024545 A JP 2006024545A JP 2004322303 A JP2004322303 A JP 2004322303A JP 2004322303 A JP2004322303 A JP 2004322303A JP 2006024545 A JP2006024545 A JP 2006024545A
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porous
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JP2004322303A
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Masaharu Yamada
雅治 山田
Koji Hoshino
孝二 星野
Kazunori Adachi
和則 足立
Kiichi Komada
紀一 駒田
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Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Priority to US10/595,769 priority patent/US20090098436A1/en
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Abstract

【課題】固体電解質としてランタンガレート系電解質を用いた固体電解質型燃料電池用発電セルにおける燃料極を提供する。
【解決手段】多孔質な骨格構造を有するニッケルの表面にB(BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上)ドープされたセリア粒が独立して固着しているニッケル配合比率の異なった複数の層からなり、この複数の層の内で最内層はニッケル比率:0.1〜20体積%、厚さ:0.5〜1.5μmを有し、最外層はニッケル比率:40〜99体積%、厚さ:10〜50μmを有し、固体電解質から離れるにしたがってニッケル配合比率が増すように積層されている。
【選択図】 図5

Description

この発明は、固体電解質としてランタンガレート系固体電解質を用いた固体電解質型燃料電池用発電セルに関するものである。
一般に、固体電解質型燃料電池は、水素ガス、天然ガス、メタノール、石炭ガスなどを燃料とすることができるので、発電における石油代替エネルギー化を促進することができ、さらに廃熱を利用することができるので省資源および環境問題の観点からも注目されている。この固体電解質型燃料電池の構造は、一般に、酸化物からなる固体電解質の片面に空気極を積層し、固体電解質のもう一方の片面に燃料極を積層してなる構造を有している発電セルと、この発電セルの空気極の外側に空気極集電体を積層させ、一方、発電セルの燃料極の外側に燃料極集電体を積層させ、前記空気極および燃料極の外側にそれぞれセパレータを積層させた構造を有している。この固体電解質型燃料電池は、一般に800〜1000℃で作動するが、近年、作動温度が600〜800℃の低温タイプのものが提案されている。
前記低温タイプの固体電解質型燃料電池に組込まれる固体電解質の一つとして、ランタンガレート系酸化物イオン伝導体を用いることが知られており、このランタンガレート系酸化物イオン伝導体は、一般式:La1-X Sr X Ga1-Y-Z MgY AZ O3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上; X=0.05〜0.3; Y=0〜0.29; Z=0.01〜0.3; Y+Z=0.025〜0.3)で表される酸化物イオン伝導体であることが知られている(特許文献1参照)。
また、前記燃料極としては、B(ただし、BはSm、G d、Y、Caの1種または2種以上)をドープしたセリアとニッケルからなる焼結体を用いることが知られており、このBをドープしたセリアは、一般式:Ce1-mBmO2、(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されること、およびBドープしたセリアとニッケルからなる焼結体は、多孔質な骨格構造を有するニッケルの表面にBドープした大径セリア粒が、図3に示されるように、前記多孔質な骨格構造のニッケル表面を取り囲むようにネットワーク構造を形成してニッケル表面に固着していることが知られている(特許文献2参照)。
さらに、前記燃料極の構造として、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体のニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有するもの、あるいは、ニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、このニッケル含有比率の異なった複数の層は最内層から最外層に向ってニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増すように積層されている構造を有するものなどがあることは知られている。
特開平11−335164号公報 特開平11−297333号公報
前記固体電解質型燃料電池は、小型化が求められると同時に高出力化が求められているが、従来のBドープしたセリアとニッケルを含む焼結体を燃料極とした発電セルを組込んだ固体電解質型燃料電池は十分な特性が得られず、そのため、固体電解質型燃料電池の小型化および高出力化の妨げとなっていた。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、高出力の固体電解質型燃料電池を得るべく研究を行った。その結果、
(イ)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、前記燃料極として、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、多孔質な骨格構造のニッケル表面に一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリア粒が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する燃料極の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、燃料極の最外表面のニッケル比率は40〜99体積%である燃料極を採用することにより発電出力を一層高めることができる、
(ロ)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、前記燃料極として、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、多孔質な骨格構造のニッケル表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、この複数の層は、少なくともニッケル比率:0.1〜20体積%の固体電解質と接する最内層と、ニッケル比率:40〜99体積%の固体電解質と離れて最内層に積層された最外層とからなる燃料極を採用することにより発電出力を一層高めることができる、
(ハ)前記(ロ)記載のニッケル配合比率の異なった前記最内層と最外層の間に1層または2層以上の中間層が形成されており、前記最内層のニッケル比率は0.1〜20体積%の範囲内にあり、前記最外層のニッケル比率は40〜99体積%の範囲内にあり、前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層は、最内層から最外層に向ってニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増するように積層されている燃料極を採用することにより発電出力をさらに一層高めることができる、という研究結果が得られたのである。
したがって、この発明は、
(1)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する焼結体の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、固体電解質から最も離れた焼結体の最外表面のニッケル比率が40〜99体積%である固体電解質型燃料電池用発電セル、
(2)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、このニッケル含有比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層および固体電解質から離れて最内層に積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層からなる固体電解質型燃料電池用発電セル、
(3)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、C aの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、前記ニッケル配合比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層、固体電解質から最も離れて積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層および前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層からなり、前記1層または2層以上の中間層は最内層から最も離れて積層された最外層に向ってはニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増すように積層されている固体電解質型燃料電池用発電セル、に特徴を有するものである。
前記骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に独立して固着しているBドープしたセリア粒は、粒径の大きく異なる二つの粒度分布ピークを有するBドープしたセリア粒であることが一層好ましく、
(ニ)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、前記燃料極として、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、図1に示されるように、多孔質な骨格構造のニッケル表面に一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表される平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒を「大径セリア粒」という)が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表される平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒を「小径セリア粒」という)が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する燃料極の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、燃料極の最外表面のニッケル比率は40〜99体積%である燃料極を採用することにより発電出力を一層高めることができる、
(ホ)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、前記燃料極として、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、図1に示されるように、多孔質な骨格構造のニッケル表面に前記大径セリア粒が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に前記小径セリア粒が独立して固着しているニッケル配合比率の異なった複数の層からなり、この複数の層は、少なくともニッケル比率:0.1〜20体積%の固体電解質と接する最内層と、ニッケル比率:40〜99体積%の固体電解質と離れて最内層に積層された最外層とからなる燃料極を採用することにより発電出力を一層高めることができる、
(ヘ)前記(ホ)記載のニッケル配合比率の異なった前記最内層と最外層の間に1層または2層以上の中間層が形成されており、前記最内層のニッケル比率は0.1〜20体積%の範囲内にあり、前記最外層のニッケル比率は40〜99体積%の範囲内にあり、前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層は、最内層から最外層に向ってニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増するように積層されている燃料極を採用することにより発電出力をさらに一層高めることができる、という研究結果が得られたのである。
したがって、この発明は、
(4)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒を「大径セリア粒」という)が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒を「小径セリア粒」という)が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する焼結体の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、固体電解質から最も離れた焼結体の最外表面のニッケル比率が40〜99体積%である固体電解質型燃料電池用発電セル、
(5)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に前記大径セリア粒が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に前記小径セリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、このニッケル含有比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層および固体電解質から離れて最内層に積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層からなる固体電解質型燃料電池用発電セル、
(6)ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、C aの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に前記大径セリア粒が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に前記小径セリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、前記ニッケル配合比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層、固体電解質から最も離れて積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層および前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層からなり、前記1層または2層以上の中間層は最内層から最も離れて積層された最外層に向ってはニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増すように積層されている固体電解質型燃料電池用発電セル、に特徴を有するものである。
前記最内層の厚さは成形可能な限り薄いことが好ましく、前記最内層の厚さは0.5〜5μmの範囲内にあり、前記最外層の厚さは10〜50μmの範囲内にあいることが一層好ましく、さらに前記ランタンガレート系酸化物イオン伝導体は、一般式:La1-X Sr X Ga1-Y-Z MgY AZ O3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上; X=0.05〜0.3; Y=0〜0.29; Z=0.01〜0.3; Y+Z=0.025〜0.3)で表される酸化物イオン伝導体であることが好ましい。したがって、この発明は、
(7)前記最内層の厚さは0.5〜5μmの範囲内にあり、前記最外層の厚さは10〜50μmの範囲内にあいる前記(2)、(3)、(5)または(6)記載の固体電解質型燃料電池用発電セル、
(8)前記ランタンガレート系酸化物イオン伝導体は、一般式:La1-X Sr X Ga1-Y-Z MgY AZ O3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上; X=0.05〜0.3; Y=0〜0.29; Z=0.01〜0.3; Y+Z=0.025〜0.3)で表される酸化物イオン伝導体である前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)または(7)記載の固体電解質型燃料電池用発電セル、に特徴を有するものである。
この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルにおける燃料極は、Bドープされたセリア粒が前記多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着しており、この燃料極を採用することにより固体電解質型燃料電池の特性を高めることができる。その理由として、以下に示される理由が考えられる。すなわち、Bドープされたセリア粒が前記多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着している燃料極を採用すると、固体電解質型燃料電池の作動時においてニッケルは局所的に発熱量が大きいので熱膨張し、一方、セリアの価数が+3価から+4価になって体積が収縮するものの、Bドープされたセリア粒が独立しているので、膨張率差の影響がほとんど現れず、Bドープされたセリアとニッケルの剥離が生じない。
さらに、前記Bドープされたセリア粒がニッケル表面に独立して固着しているとニッケルの粒成長が抑制され、そのためにニッケルの粒成長に伴って発生するニッケル金属の露出面積の増加が阻止されて多孔質な骨格構造のニッケル表面に固着しているBドープされたセリア粒の分布密度の低下が阻止され、燃料である水素との反応面積が減って固体電解質型燃料電池の特性が低下するのを防止することができる。
これに対して、図3に示される従来の固体電解質型燃料電池における燃料極は、セリアがネットワークを組んで連結しているので多孔質な骨格構造のニッケル表面がセリアで被覆され、ニッケル表面の露出面積が少なくなって導電性が阻害され、さらに膨張率差の影響を受けやすく、ネットワークを組んでいるセリアの引っ張り応力を受けて内部歪を内蔵し、またセリアとニッケルが剥離してしまう結果、所望の固体電解質型燃料電池の特性が得られなくなる。
図1は、この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルにおける前記(4)〜(6)記載の燃料極の一層好ましい基本的組織構造を模型的に描いたものである。図1に示されるように、この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルにおける燃料極はBドープしたセリアからなる大径セリア粒が前記多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着しており、この独立して固着している大径セリアと大径セリアの隙間にBドープした小径セリア粒が独立して固着しており、かかる組織構造を有する燃料極を組込んだ発電セルを採用することにより固体電解質型燃料電池の特性を高めることができる。
その理由として、以下に示される理由が考えられる。すなわち、図1に示されるようなBドープした大径セリア粒が前記多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着し、さらにBドープした大径セリア粒と大径セリア粒の間にBドープした小径セリア粒が独立して固着していると、多孔質な骨格構造のニッケル表面にセリアが一層緻密に固着し、それによって燃料である水素との反応面積が一層増加し、さらに、固体電解質型燃料電池の作動時は燃料極のニッケルは局所的に発熱量が大きいので熱膨張し、一方、セリアの価数が+3価から+4価になって体積が収縮するものの、図1のようなミクロ組織では、Bドープしたセリアがほとんどネットワークを形成していないので、膨張率差の影響がほとんど現れず、Bドープしたセリアとニッケルの剥離が生じることがない。
さらに図1のようなミクロ組織では、大径セリアと大径セリアの隙間のニッケル表面に微細なBドープした小径セリア粒が独立して固着しているために多孔質な骨格構造のニッケル表面の露出性が確保されており、そのために導電性を減少させることがないので、発電セルの特性を一層向上させる。
さらに、この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルに形成される燃料極において、最内表面または最内層のニッケル比率を0.1〜20体積%としたのは、最内表面または最内層のニッケル比率が0.1体積%未満であると骨格となるニッケルが少なすぎて十分な強度が得られないからであり、一方、最内表面または最内層のニッケル比率が20体積%を越えると、ニッケルが多すぎて燃料極としての特性が大幅に低下するので好ましくないからである。
さらに、固体電解質から最も離れた最外表面および最外層のニッケル比率を40〜99体積%としたのは、ニッケル比率が40体積%未満では燃料極としての十分な強度が得られないからであり、一方、99体積%を越えると、十分な強度が得られるものの、燃料極としての特性が大幅に低下するので好ましくないからである。
また、この発明の前記(2)、(3)、(5)および(6)に記載の固体電解質型燃料電池用発電セルに形成される燃料極において、最内層の厚さを0.5〜5μmに限定したのは、最内層の厚さは薄いほど好ましいが、低コストで最内層を形成するには厚さ:0.5μmが限度であって、一層薄くするにはコストがかかりすぎるからであり、一方、5μmよりも厚い最内層では厚すぎて燃料極としての特性が低下するようになるので好ましくないからである。
さらに、固体電解質から最も離れた最外層の厚さを10〜50μmに限定したのは、厚さが10μm未満ではNiの表面積が少なく、十分な有効電極反応面積が得られないので好ましくなく、一方、最外層の厚さが50μmを越えるとNiの膨張によりセル全体に応力が発生しかつ燃料ガスの電極内での拡散抵抗が増大するようになるので好ましくないからである。
この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルは、一般式:La1-X Sr X Ga1-Y-Z MgY AZ O3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上; X=0.05〜0.3; Y=0〜0.29; Z=0.01〜0.3; Y+Z=0.025〜0.3)で表されるランタンガレート系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、また一般式:Ce1-mBmO2、(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルを含み、ネットワークを組んでいる多孔質なニッケル骨格構造の表面に前記Bドープしたセリア粒が多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着している燃料極としてこれらを組み合わせたこともこの発明の特徴の一つである。Bドープしたセリアはランタンガレート系固体電解質と相性が良く、1350℃以下の条件でランタンガレート系固体電解質に焼きつけると、燃料極として有効に作用し、高特性を有する固体電解質型燃料電池用発電セルを製造することができる。
この発明の固体電解質型燃料電池用発電セルにおける燃料極は、前述の如くBドープされたセリア粒が多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着していることを特徴とするものであるが、前記多孔質な骨格構造のニッケル表面に独立して固着しているBドープされたセリア粒は、大径セリア粒と小径セリア粒からなり、前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間のニッケル表面に微細な小径セリア粒が固着していることが一層好ましく、前記大径セリア粒の平均粒径は0.2〜0.6μmとし、従来から知られているBドープしたセリアの平均粒径(0.1〜2μm)の範囲内にあってもよいが、小径セリア粒の平均粒径は格段に微細な0.01〜0.09μmとすることが一層好ましい。
小径セリア粒の平均粒径を0.01〜0.09μmに定めたのは、小径セリア粒の平均粒径が0.01μm未満となるような独立した小径セリア粒を形成することは困難である理由によるものであり、一方、0.09μmを越えると、前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に独立して固着することが困難となるからである。なお、これら大径セリア粒および小径セリア粒の平均粒径は画像解析により求めることができる。
この発明の燃料極を設けてなる発電セルを組込んだ固体酸化物型燃料電池は、固体酸化物形燃料電池の低温作動化に適用でき、さらに燃料電池発電モジュールのコンパクト化、高効率化が可能となる。
実施例1
<発電セルの製造>
ランタンガレート系固体電解質原料粉末を製造:
酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化コバルトのそれぞれ試薬級の粉体を用意し、(La0.8Sr0.2)(Ga0.8Mg0.15Co0.05)O3で示される組成となるよう秤量し、ボールミル混合の後、空気中、1350℃に3時間加熱保持し、得られた塊状焼結体をハンマーミルで粗粉砕の後、ボールミルで微粉砕して、平均粒径1.3μmのランタンガレート系固体電解質原料粉末を製造した。
サマリウムをドープしたセリアの超微粉を含むエタノール溶液の製造:
次に、0.5mol/L の硝酸セリウム水溶液8部と0.5mol/L の硝酸サマリウム水溶液2部の混合水溶液に1mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら滴下し、酸化セリウムと酸化サマリウムを共沈させた。次いで、生成した粉末を遠心分離機を用いて沈降させ、上澄みを捨て、蒸留水を加えて攪拌・洗浄し、遠心分離機を用いて再度沈降させ、この操作を6回繰り返して洗浄した。次いで、遠心分離機で沈降させ、エタノールを加えて攪拌し、遠心分離機を用いて再度沈降させ、この操作を3回繰り返して溶液を水からエタノールに置換し、サマリウムをドープしたセリア(以下、SDCという)の超微粉を含むエタノール溶液を作製した。得られたSDCの超微粉を含むエタノール溶液の一部を取りだし、セリアの超微粉の粒径をレーザー回折法で測定したところ、平均粒径0.04μmであった。
サマリウムをドープしたセリア粉の製造:
0.5 mol/L の硝酸セリウム水溶液8部と0.5 mol/L の硝酸サマリウム水溶液2部の混合水溶液に1 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら滴下し、酸化セリウムと酸化サマリウムを共沈させ、ろ過した後、純水での攪拌洗浄とろ過を6回繰返して水洗し、酸化セリウムと酸化サマリウムの共沈粉を製造し、これを空気中、1000℃に3時間加熱保持して、(C e0.8Sm0.2)O2の組成を有する平均粒径約0.8μmのSDC粉を製造した。
酸化ニッケル粉の製造:
1mol/L の硝酸ニッケル水溶液に1 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら滴下し、水酸化ニッケルを沈殿させ、ろ過した後、純水での攪拌洗浄とろ過を6回繰返して水洗し、これを空気中、900℃に3時間加熱保持して、平均粒径1.1μmの酸化ニッケル粉を製造した。
サマリウムストロンチウムコバルタイト系空気極原料粉末の製造:
酸化サマリウム、炭酸ストロンチウム、酸化コバルトのそれぞれ試薬級の粉体を用意し、(Sm0.5Sr0.5)CoO3で示される組成となるよう秤量し、ボールミル混合の後、空気中、1000℃に3時間加熱保持し、得られた粉体をボールミルで微粉砕して、平均粒径1.1μmのサマリウムストロンチウムコバルタイト系空気極原料粉末を製造した。
ランタンガレート系固体電解質の製造:
前記ランタンガレート系固体電解質原料粉末をトルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、ドクターブレード法で薄板状に成形し、円形に切りだした後、空気中1450℃に4時間加熱保持して焼結し、厚さ200μm、直径120mmの円板状のランタンガレート系固体電解質を製造した。
燃料極の成形・焼き付け:
前記酸化ニッケル粉と前記SDC粉を10:90の体積比率で混合し、トルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーをスクリーン印刷法で、前記ランタンガレート系固体電解質の一方の面に、平均厚さ:1μmになるようにスラリーを塗布し、乾燥することにより第1グリーン層を成形した。
さらに、前記酸化ニッケル粉と前記SDCの超微粉を含むエタノール溶液を酸化ニッケルとSDCが体積比率で60:40になるように混合し、さらにトルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーを前記乾燥した第1グリーン層の上にスクリーン印刷法で厚さ:30μmとなるようにスラリー層を形成し、乾燥して第2グリーン層を形成した。
次いで、このランタンガレート系固体電解質の一方の面に第1グリーン層および第2グリーン層からなる複数のグリーン層を形成したものを空気中、1250℃に3時間加熱保持することによりランタンガレート系固体電解質の一方の面に図4に示される燃料極最内層および燃料極最外層からなる燃料極を焼付け形成した。
なお、湿式(共沈)による粉末は分散した超微粉(ナノ粒子)であるが、乾燥すると直ちに凝集してしまうところから、凝集を避けて微細粉のまま酸化ニッケルと混合してスラリーとするために、SDCの超微粉を含むエタノール溶液を用いる。成形後、乾燥時にSDCは酸化ニッケル粉表面で凝集し、独立したセリアの状態を形成する。それを焼成すると、本発明燃料極が得られる。このようにして得られた本発明燃料極のミクロ組織の一部を走査形電子顕微鏡により観察し、その走査形電子顕微鏡による組織写真を図2に示した。この組織写真に示される骨格構造の多孔質ニッケル表面に独立して固着している大径セリア粒および小径セリア粒の粒径を画像解析法により測定したところ、サマリウムをドープした平均粒径:0.4μmの大径セリア粒と大径セリア粒の隙間にサマリウムをドープした平均粒径:0.05μmの小径セリア粒が独立して固着した構造を有していることが分かった。
空気極の成形・焼付け:
前記サマリウムストロンチウムコバルタイト系空気極原料粉をトルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーを作製し、このスラリーをランタンガレート系固体電解質の他方の面にスクリーン印刷法により厚さ:30μmになるように成形し乾燥したのち、空気中、1100℃に5時間加熱保持して、図4に示される空気極を成形・焼きつけた。
このようにして、図4に示される固体電解質、燃料極および空気極からなる本発明固体電解質型燃料電池用発電セル(以下、本発明発電セルと言う)1を製造し、得られた本発明発電セル1の燃料極の上に厚さ1mmの多孔質ニッケルからなる燃料極集電体を積層し、一方、本発明発電セルの空気極の上に厚さ1.2mmの多孔質銀からなる空気極集電体を積層し、さらに前記燃料極集電体および空気極集電体の上にセパレータを積層することにより図6に示される構造の本発明固体電解質型燃料電池1を作製した。
さらに比較のために、下記に示される方法で従来固体電解質型燃料電池を作製した。まず、1N-硝酸ニッケル水溶液、1 N-硝酸セリウム水溶液を1N-硝酸サマリウム水溶液をそれぞれ用意し、NiOと(Ce0.8Sm0.2)O2が体積比率で60:40になるように秤量し、混合して、霧化器で溶液を霧化し、空気をキャリヤーガスとして縦型管状炉に導入、1000℃に加熱して、NiOと(Ce0.8Sm0.2)O2が体積比率で60:40となる酸化物複合粉末を得た。この酸化物複合粉末を用いてスラリーを作製し、このスラリーを用いて実施例で作製したランタンガレート系固体電解質の一方の面に塗布し燒結して燃料極を形成し、さらに空気極を形成して発電セルを製造した。この発電セルに形成された燃料極は、図3に示されるように、SDCが多孔質な骨格構造のニッケル表面を取り囲むネットワーク構造を有していた。この発電セルの片面に燃料極集電体を積層しさらにその上にセパレータを積層し、一方、従来の発電セルの他方の片面に空気極集電体を積層しさらにセパレータを積層することにより図6に示される構造の従来固体電解質型燃料電池を作製した。
このようにして得られた本発明固体電解質型燃料電池1および従来固体電解質型燃料電池を用いて、次の条件で発電試験を実施した。
<発電試験>
温度:750℃、
燃料ガス:水素、
燃料ガス流量:1.02L/min(=9cc/nin/cm2)、
酸化剤ガス:空気、
酸化剤ガス流量:5.1L/min(=45cc/nin/cm2)、
の発電条件で発電させ、負荷電流密度、燃料利用率、セル電圧、出力、出力密度および発電効率を測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2006024545
表1に示される結果から、本発明固体電解質型燃料電池1と従来固体電解質型燃料電池とは、燃料極の構成が相違するのみで、その他の構成は同じであるが、本発明固体電解質型燃料電池1は従来固体電解質型燃料電池と比べて、負荷電流密度、燃料利用率、セル電圧、出力、出力密度、および発電効率がいずれも優れた値を示すことがわかる。
実施例2
実施例1で用意した前記酸化ニッケル粉と前記SDC粉を10:90の体積比率で混合し、トルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーをスクリーン印刷法で、前記ランタンガレート系固体電解質の一方の面に、平均厚さ:1μmになるようにスラリーを塗布し、乾燥することにより第1グリーン層を成形した。
さらに、前記酸化ニッケル粉と前記SDCの超微粉を含むエタノール溶液を酸化ニッケルとSDCが体積比率で35:65になるように混合し、さらにトルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーを前記乾燥した第1グリーン層の上にスクリーン印刷法で厚さ:1μmとなるようにスラリー層を形成し、乾燥して中間グリーン層を形成した。
さらに、前記酸化ニッケル粉と前記SDCの超微粉を含むエタノール溶液を酸化ニッケルとSDCが体積比率で60:40になるように混合し、さらにトルエン-エタノール混合溶媒にポリビニルブチラルとフタル酸Nジオクチルを溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーを前記乾燥した前記中間グリーン層の上にスクリーン印刷法で厚さ:20μmとなるようにスラリー層を形成し、乾燥して第2グリーン層を形成した。
次いで、このランタンガレート系固体電解質の一方の面に第1グリーン層、中間グリーン層および第2グリーン層からなる複数のグリーン層を形成したものを空気中、1250℃に3時間加熱保持することによりランタンガレート系固体電解質の一方の面に燃料極最内層、燃料極中間層および燃料極最外層からなる図5に示される燃料極を焼付け形成した。焼き付けして得られた燃料極は、サマリウムをドープした平均粒径:0.4μmの大径セリア粒と大径セリア粒の隙間にサマリウムをドープした平均粒径:0.05μmの小径セリア粒が独立して固着した構造を有していることが分かった。
このようにして燃料極を焼付け形成する以外は、実施例1と全く同様にして固体電解質および空気極を焼付け形成し、固体電解質、燃料極および空気極からなる本発明発電セル2を製造し、得られた本発明発電セル2の燃料極の上に厚さ1mmの多孔質ニッケルからなる燃料極集電体を積層し、一方、本発明発電セル2の空気極の上に厚さ1.2mmの多孔質銀からなる空気極集電体を積層し、さらに前記燃料極集電体および空気極集電体の上にセパレータを積層することにより本発明固体電解質型燃料電池2を作製した。
このようにして得られた本発明固体電解質型燃料電池2を用いて、次の条件の発電試験を実施した。
<発電試験>
温度:750℃、
燃料ガス:水素、
燃料ガス流量:1.02L/min(=9cc/nin/cm2)、
酸化剤ガス:空気、
酸化剤ガス流量:5.1L/min(=45cc/nin/cm2)、
の発電条件で発電させ、負荷電流密度、燃料利用率、セル電圧、出力、出力密度および発電効率を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 2006024545
表2に示される本発明固体電解質型燃料電池2と表1の従来固体電解質型燃料電池とは、燃料極の構成が相違するのみで、その他の構成は同じであるが、本発明固体電解質型燃料電池2は従来固体電解質型燃料電池と比べて、負荷電流密度、燃料利用率、セル電圧、出力、出力密度、および発電効率がいずれも優れた値を示すことがわかる。
なお、実施例2において本発明発電セル2の燃料極に形成された中間層は1層であるが、この中間層を2層以上の複数層とし、最内層から最外層に向ってニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増するように積層させることにより燃料極を作製することもでき、また中間層をさらに多数層とすることにより、ニッケルの含有組成が最内表面から最外表面に向って厚さ方向にニッケル含有比率が大きくなる傾斜組成を有する前記(1)記載の燃料極を形成することができる。
この発明の燃料極の組織を示す説明図である。 この発明の燃料極の走査型電子顕微鏡組織写真である。 従来の燃料極の組織を示す説明図である。 固体電解質型燃料電池のこの発明の発電セルの説明図である。 固体電解質型燃料電池のこの発明の発電セルの説明図である。 固体電解質型燃料電池の説明図である。

Claims (9)

  1. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する焼結体の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、固体電解質から最も離れた焼結体の最外表面のニッケル比率が40〜99体積%であることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  2. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、このニッケル含有比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層および固体電解質から離れて最内層に積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層からなることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  3. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、C aの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面にBドープしたセリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、前記ニッケル配合比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層、固体電解質から最も離れて積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層および前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層からなり、前記1層または2層以上の中間層は最内層から最も離れて積層された最外層に向ってはニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増すように積層されていることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  4. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形された固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.2〜0.6μmのBドープしたセリア粒を「大径セリア粒」という)が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒(以下、この平均粒径:0.01〜0.09μmのBドープしたセリア粒を「小径セリア粒」という)が独立して固着しており、かつニッケルの含有組成が厚さ方向に大きくなる傾斜組成を有し、固体電解質と接する焼結体の最内表面のニッケル比率が0.1〜20体積%であり、固体電解質から最も離れた焼結体の最外表面のニッケル比率が40〜99体積%であることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  5. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、Caの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に前記大径セリア粒が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に前記小径セリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、このニッケル含有比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層および固体電解質から離れて最内層に積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層からなることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  6. ランタンガレード系酸化物イオン伝導体を固体電解質とし、前記固体電解質の一方の面に多孔質の空気極が形成され、他方の面に多孔質の燃料極が成形される固体電解質型燃料電池用発電セルにおいて、
    前記燃料極は、一般式:Ce1-mBmO2(式中、BはSm、Gd、Y、C aの1種または2種以上、mは0<m≦0.4)で表されるBドープしたセリアとニッケルの焼結体からなり、この焼結体は、骨格構造を有する多孔質ニッケルの骨格表面に前記大径セリア粒が独立して固着し、さらに前記大径セリア粒と大径セリア粒の隙間に前記小径セリア粒が独立して固着しているニッケル含有比率の異なった複数の層からなり、前記ニッケル配合比率の異なった複数の層は、固体電解質と接しかつニッケル比率:0.1〜20体積%の最内層、固体電解質から最も離れて積層されたニッケル比率:40〜99体積%の最外層および前記最内層と最外層の間に形成された1層または2層以上の中間層からなり、前記1層または2層以上の中間層は最内層から最も離れて積層された最外層に向ってはニッケル含有比率が連続的または断続的に漸増すように積層されていることを特徴とする固体電解質型燃料電池用発電セル。
  7. 前記最内層の厚さは0.5〜5μmの範囲内にあり、前記最外層の厚さは10〜50μmの範囲内にあいることを特徴とする請求項2、3、5または6記載の固体電解質型燃料電池用発電セル。
  8. 前記ランタンガレート系酸化物イオン伝導体は、一般式:La1-X Sr X Ga1-Y-Z MgY AZ O3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上; X=0.05〜0.3; Y=0〜0.29; Z=0.01〜0.3; Y+Z=0.025〜0.3)で表される酸化物イオン伝導体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の固体電解質型燃料電池用発電セル。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の固体電解質型燃料電池用発電セルを組み込んだことを特徴とする固体電解質型燃料電池。
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