JP2005538709A - アルギニンを欠乏させることによってヒト悪性腫瘍を治療する医薬品及び方法 - Google Patents
アルギニンを欠乏させることによってヒト悪性腫瘍を治療する医薬品及び方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 本発明は、患者の体内で適切なアルギニン欠乏状態を維持するのに十分高い酵素活性と安定性を有する単離され且つ実質的に精製された組換えヒトアルギナーゼを提供する。本発明は、修飾された本発明の酵素を含む薬学的組成物及び該薬学的組成物を用いて疾病を治療する方法も提供する。
Description
in vitroでは有効なデータが出ているにもかかわらず、in vivoでアルギニン欠乏によって癌を治療するという試みは成功していなかった。最初に着手したStorrのグループは、肝臓抽出物を腹腔内に投与して腫瘍を有するラットの治療を試みたが良い結果を得られなかった(Storr & Burton, 1974, The effects of arginine deficiency on lymphoma cells. Br. J. Cancer 30, 50-59)。正常な生理的条件下では、血漿アルギニンレベルや他のアミノ酸レベルも、主要な制御器官である筋肉により正常範囲(100−120μM)に維持されることが現在広く知られている。アミノ酸欠乏に直面すると、細胞内タンパク質分解経路が活性化され(プロテアーゼ及びリソソーム系酵素)、循環系にアミノ酸が放出される(Malumbres & Barbacid, 2001, To cycle or not to cycle: a critical decision in cancer. Nature Reviews, 1, 222-231)。このアミノ酸ホメオスタシス機構により、様々なアミノ酸レベルが一定の範囲に維持される。従って、様々な物理的方法又はアルギニン分解酵素を用いた以前のアルギニン欠乏実験で期待される結果が得られなかったのは、身体のアミノ酸ホメオスタシス機構によるものである。
さらなる別の好ましい実施形態として、アミノ末端に追加された6個のヒスチジンをコードするコード領域が付加されたヒトアルギナーゼ遺伝子と、精製過程にキレートカラムクロマトグラフィー過程を包含する精製方法とを提供する。さらなる好ましい実施形態において、アルギナーゼ酵素はPEG処理によりさらに修飾され、安定性を向上させる。
本発明のさらに別の側面において、他のタンパク質分解阻害剤を必要とせずに、調剤された本発明の薬学的組成物を患者に投与して、投与した患者のアルギニンレベルを少なくとも3日間、10μM以下に維持することを含む、疾患の治療方法を提供する。ある好ましい実施形態では、非糖尿病患者に対して体外からのインスリン投与を行わない。
組換え株LLC101の構築
(a)ヒトアルギナーゼIをコードする遺伝子の単離
ヒトアルギナーゼI遺伝子配列が1987年に公表され(Haraguchi,Yら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84,412−415)、それをもとにプライマーがデザインされた。Expand High Fidelity PCR System Kit(Roche)を用いてポリメラーゼチェーン反応(PCR)を行い、ヒトアルギナーゼをコードする遺伝子を単離した。プライマー、Arg1(5‘−CCAAACCATATGAGCGCCAAGTCCAGAACCATA−3’)(配列番号:5)及びArg2(5‘−CCAAACTCTAGAATCACATTTTTTGAATGACATGGACAC−3’)(配列番号:6)をそれぞれGenset Singapore Biotechnology Pte Ltd.より購入した。両プライマーとも、融解温度(Tm)は同じ72℃である。プライマーArg1には、NdeI制限酵素認識部位(下線)が含まれており、プライマーArg2には、XbaI制限酵素認識部位(下線)が含まれている。これらの2種類のプライマー(最終濃度は、各300nM)を、5μlのヒト肝臓5‘−stretch plus cDNA ライブラリ(Clontech)が入った0.2mlマイクロチューブに添加した。DNAポリメラーゼ(2.6ユニット、0.75μl)と、4種類のデオキシリボヌクレオチド(各4μl、最終濃度は各200μM)と、反応バッファー(5μl)とdH2O (17.75μl)とをさらに添加した。PCRは、PCR前反応(94℃、5分間)、25回のPCRサイクル(94℃で1分間、57℃で1分間、72℃で1分間)、PCR後反応(72℃で7分間)という条件で行った。0.8%アガロースゲルでPCR産物(5μl)を分析し、1本の1.4kbのバンドがあることを確認した。このDNA断片には、アルギナーゼをコードする遺伝子が含まれる。
プラスミドpSG703(Thornewell, S. J. ら、1993, Gene, 133, 47-53)の派生物であるプラスミドpSG1113を、Wizard Plus Minipreps DNA Purification System(Promega)を使用して製造元のマニュアルに従い、pSG1113を有するE.coli、DH5αクローンから単離した。このプラスミドは、E.coliでのみ複製しB. subtilis中では複製しないプラスミドで、アルギナーゼ遺伝子のサブクローニング用ベクターとして使用した。
上記方法により調製したPCR産物を、6mM Tris−HCl(pH7.9)、6mM MgCl2、150mM NaCl、1mM DTTからなる反応液中において制限エンドヌクレアーゼであるNdeI及びXbaI(Promega)により、37℃にて、1.5時間処理を行った。処理終了後、反応混合液に対してアガロースゲル(0.8%)電気泳動を行い、Qiaex II Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いて1.4kbのDNA断片をゲルから回収した。これとは別に、同じ制限エンドヌクレアーゼ及び同様の方法でプラスミドpSG1113を処理した。処理終了後、反応混合液に対してアガロースゲル(0.8%)電気泳動を行い、3.5kbのDNA断片をゲルから回収した。T4DNAリガーゼを用いて、このDNA断片を上記の1.4kbのDNA断片に連結させた。一般的なカルシウム法(Sambrook, J. ら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989)によるE.coli XLI−Blueの形質転換にこのライゲーション混合液を使用し、100μg/mlのアンピシリンを含有する栄養寒天プレートに播種した。制限酵素反応により、適切なインサートを含有するプラスミドが入ったコロニーのスクリーニングを行った。構築したプラスミドをpAB101(図1)と名付けた。ORIは、E.coli のori領域、blaはアンピシリン耐性マーカー遺伝子である。プライマーArg1(配列番号:5)、Arg2(配列番号:6)及びArg6(5‘−CTCTGGCCATGCCAGGGTCCACCC−3’)(配列番号:7)を用いてDNA配列決定を行い、アルギナーゼをコードする遺伝子と同一であることを確認した(図2)。
Wizard Plus Minipreps DNA Purification System(Promega)を使用して、プラスミド、pAB101を有するクローンからpAB101を抽出して精製した。プラスミド、pAB101(図1)において、0.6kbのMunI−NdeIφ105ファージDNA 断片(「φ105」として表示)及びcat遺伝子(図1及び図3)で、アルギナーゼ遺伝子(arg)の両脇を挟んだ。このプラスミドを用いて、公知の方法(Anagnostopoulos C. 及びSPIZIZEN J., 1961, J. Bacteriol. 81, 741-746)によりコンピーテントB. subtilis 1A304(φ105MU331)の形質転換を行った。B. subtilis株、1A304(φ105MU331)をJ. Errington(Thornewell, S. ら、1993, Gene 133, 47-53)より入手した。Thornewell, S. ら、1993, Gene 133, 47-53及びBaillie, L. W. J. ら、1998、FEMS Microbiol. Letters 163, 43-47(本明細書中に参考文献としてその全体を援用する)に従って、この株が作製された。プラスミドpAB101(図3で直線として示す)を、B. subtilis株、1A304(φ105MU331)に形質転換し、CmRマーカーにより選択して、形質転換体をErS表現型に関してスクリーニングを行った。この形質転換体は図3に示すような二重交差から生じたものと考えられ、強力なファージプロモーターによりアルギナーゼ遺伝子(arg)転写が調節されている(Leung及びErington, 1995, Gene 154, 1-6)。太線は、プロファージゲノムを表し、破線はB. subtilisの染色体を、細線はプラスミドDNAを表す。図3において、転写及び翻訳方向を示す影付きの矢印として遺伝子を示す。相同領域は、縦方向の破線で区切り、相同組換えが起こっている位置を「X」で表す。
[実施例2A]
2リットルの発酵容器でのバッチ発酵
5mg/Lのクロラムフェニコールを添加した栄養寒天(牛肉抽出物 1g/L、ペプトン 10g/L、NaCl 5g/L、及び寒天 20g/L)プレートで B. subtilis LLC101株を維持する。バッチ及びフェドバッチ発酵用の接種試料を調製するために、グルコース 5g/L、トリプトン 10g/L、酵母抽出物 3g/L、クエン酸ナトリウム 1g/L、KH2P04 1.5g/L、K2HPO4 1.5g/L、及び(NH4)2SO4 3g/Lを含有する80mLの発酵培地が入った2本の1Lフラスコに、新しく調製した栄養寒天プレートから上記株の数個のコロニーを移した。250r.p.m.のオービタルシェーカー上で、37℃及びpH7.0にて、細菌の細胞培養を行った。OD600nmが5.5−6.0になった時点(培養時間はおよそ9−11時間)で培養を終了した。次に、1440mlの発酵培地(グルコース 5g/L、トリプトン 10g/L、酵母抽出物 3g/L、クエン酸ナトリウム 1g/L、KH2P04 1.5g/L、K2HPO4 1.5g/L、及び(NH4)2SO4 3g/L)が入った2−Lの発酵容器に、160−mLの培養液を添加した。温度37℃でバッチ発酵を行った。水酸化ナトリウム及び塩酸を添加してpHを7.0に調整した。溶存酸素濃度が20%の飽和度になるように撹拌速度を調整した。培養密度(OD600nm)がおよそ3.0になった時点(3.25時間)で、ヒートショックを行った。ヒートショックの間、発酵容器の温度を37℃から50℃に上げ、その後すぐに37℃に下げた。加熱と冷却のサイクルは1サイクルで0.5時間を要した。培養液のODは、ヒートショックからおよそ3.5時間後に最大値(およそ6.4)に到達した。ヒートショックから6時間後に、アルギナーゼを分離及び精製するために細胞を回収した。ヒートショックから6時間後の発酵培地においておよそ30mg/Lの活性ヒトアルギナーゼを上記株が産生した。発酵のタイムコースは図4Aでプロットされている。温度、撹拌速度、pH及び溶存酸素値等のパラメーターの変化を示すこのバッチの時間変化プロットは図5Aで示す。
2リットルの発酵容器でのフェドバッチ発酵
37℃、pH7.0、溶存酸素20%飽和度にてフェドバッチ発酵を行った。実施例2Aで説明したバッチ発酵と同様の方法で植菌を行った。まず、増殖培地は実施例2Aで説明したバッチ発酵の場合と全く同じであった。栄養源供給培地には、200g/L グルコース、2.5g/L MgSO4・7H2O、50g/L トリプトン、7.5g/L K2HPO4、及び3.75g/L KH2P04が含有されていた。pH−スタット制御方式で培地供給を調節した。この方式において、グルコース減少により起こるpH上昇を補正するように培地供給を調整した。発酵時間4.5時間でグルコース濃度が非常に低いレベルまで減少した際、この制御方式を最初に実行した。pH>7.1になった際に、4mLの栄養源供給培地を発酵容器に添加した。グルコース添加後すぐに、pH値は速やかに7.1以下に低下する。およそ10分後、添加したグルコースが完全に細菌細胞に消化された時にpH値が7.1以上に上昇するが、この時にさらに4mLの栄養源供給培地を発酵容器に添加する。培養密度(OD600nm)が12.0−13.0になった時点(5−6時間)で、ヒートショックを行った。ヒートショックの間、発酵容器の温度を37℃から50℃に上げ、その後すぐに37℃に下げた。加熱と冷却のサイクルは1サイクルで0.5時間であった。ヒートショックから3時間及び6時間後に、アルギナーゼを分離及び精製するために細胞を回収した。ヒートショックから6時間後の発酵培地において、少なくともおよそ162mg/Lの活性ヒトアルギナーゼを上記株が産生した。発酵のタイムコースは図4Bでプロットしている。温度、撹拌速度、pH及び溶存酸素値等のパラメーターの変化を示すこのフェドバッチ発酵の時間変化プロットは図5Bで示す。
100−リットルの発酵容器におけるフェドバッチ発酵
フェドバッチ発酵を100Lの発酵容器にスケールアップした。37℃、pH7.0、溶存酸素20%飽和度にて発酵を行った。10%の接種材料を用いた。まず、増殖培地は実施例2Aで説明したバッチ発酵の場合と全く同じであった。栄養源供給培地には、300g/L グルコース、3.75g/L MgSO4・7H2O、75g/L トリプトン、11.25g/L K2HPO4、及び5.625g/L KH2P04が含有されていた。実施例2Bで説明したフェドバッチ発酵で用いた方法と同様のpH−スタット制御方式で培地供給を調節した。培養密度(OD600nm)が11.5−12.5になった時点(およそ7.5時間)で、ヒートショックを行った。ヒートショックの間、発酵容器の温度を37℃から50℃に上げ、7秒間50℃のまま維持し、すぐに37℃まで冷却した。加熱と冷却のサイクルは1サイクルで0.5時間であった。ヒートショックから2時間及び4時間後に、アルギナーゼを分離及び精製するために細胞を回収した。ヒートショックから2時間及び4時間後の発酵培地中でそれぞれ、少なくともおよそ74mg及び124mg/Lの活性ヒトアルギナーゼを上記株が産生した。これらのデータから、100−Lの発酵容器においては、ヒートショックから4時間後に回収した細胞の方がヒートショックから2時間後に回収した細胞よりもアルギナーゼ産生量が多いことが示される。
バッチ発酵とフェドバッチ発酵との比較
下の表1は、バッチ及びフェドバッチ発酵の結果を比較したものである。この比較から、培養液OD、アルギナーゼ収率および産生能の点で、フェドバッチ発酵の方が顕著に優れていることが明らかである。
フェドバッチ発酵後の低細胞密度におけるヒートショックから3時間後に回収したアルギナーゼの精製
実施例2Bで説明したようにして、2−Lの発酵容器におけるフェドバッチ発酵を行った。フェドバッチ培養の細胞密度を30分又は60分間隔でモニターして、発酵開始から5.5時間後(培養液のODが12.8に到達した時)に培養温度を50℃に上げた(図4B及び図5B参照)。
フェドバッチ発酵後の低細胞密度におけるヒートショックから6時間後に回収したアルギナーゼの精製
2Lの発酵容器によるフェドバッチ発酵は、実施例4で説明したようにして行った。ヒートショックから6時間後(OD12.8)に回収した細胞培養液(650ml)を、5,000rpmで20分間、4℃にて遠心し、細胞を沈殿させた。細胞の湿重量は24gであった。培養上清液を捨て、細胞沈殿物を−80℃で保存した。この細胞はこの温度で数日安定である。細胞内タンパク質を抽出するために、140mlの可溶化バッファー[50mM Tris−HCl(pH 7.4)、0.1M NaCl、5mM MnSO4、ライソザイム(75μg/ml)]で細胞沈殿物を再懸濁した。30℃にて15分間インキュベーションを行った後、Soniprep 150 Apparatus(MSE)を用いて、各回持続時間10秒、2分間隔で、混合液に対して8回(合計時間は80秒)、超音波破砕を行った。およそ500ユニットのデオキシリボヌクレアーゼI(Sigma D4527)を添加し、混合液を37℃にて10分間インキュベーションして染色体DNAを消化した。4℃にて10,000rpm、20分間遠心を行った後、未精製タンパク質抽出物を含有する上清におけるアルギナーゼ活性の有無を調べ、SDS-PAGE(Laemmli, 1970, Nature, 227, 680-685)で分析した。
フェドバッチ 発酵後の高細胞密度におけるヒートショックから6時間後に回収したアルギナーゼの精製
この特別なフェドバッチ発酵は、8時間の時点(培養密度(OD600nm)がおよそ25)でヒートショックを行うことを除き、上記の実施例と同様の手順で行った。ヒートショックの間、発酵容器の温度を37℃から50℃に上げ、その後すぐに37℃に下げた。加熱と冷却のサイクルは1サイクルで0.5時間であった。ヒートショックから6時間後に、アルギナーゼを分離及び精製するために細胞培養液の一部(760ml)を回収した。この発酵での細菌細胞増殖のタイムコースは図10でプロットしている。温度、撹拌速度、pH及び溶存酸素値等のパラメーターの変化を示すこのフェドバッチ発酵の時間変化プロットは図11で示す。
様々な回収及び精製条件によるアルギナーゼ収率の比較
下の表2で、様々な回収及び精製条件下で産生されたアルギナーゼの収率を比較する。これらのデータは、12.8という低い細胞密度におけるヒートショックから6時間後に回収する条件の場合、精製後、132mg/Lという高いアルギナーゼ回収率が得られることを示す。
塩化シアヌル(CC)で活性化したメトキシポリエチレングリコールを用いたPEG処理酵素の調製
50mgのアルギナーゼを20mlのPBSバッファー溶液(pH7.4)で溶解して、最終濃度を2.5mg/mlとした。60℃で10分間、アルギナーゼの熱活性化を行った。活性化後、酵素の温度を室温に戻した。塩化シアヌルで活性化した1gのメトキシポリエチレングリコール(mPEG−CC)(MW=5000、Sigma)を、モル比が1:140(アルギナーゼ:PEG)になるように、アルギナーゼに添加した。マグネチック撹拌棒を使用して、全てのポリエチレングリコール(PEG)が溶解するまで混合液を撹拌した。
全てのPEGが溶解したら、PEG−アルギナーゼ混合液のpHを0.1N NaOHで9.0に調整し、さらにNaOHを添加してその後30分間、9.0に維持した。1NのHClを添加してpHを7.2に戻るように調整し、PEG処理を停止させた。
Hemoflow F40S キャピラリーダイアライザー(Fresenius Medical Car, Germany)を用いて、2−3LのPBSバッファー溶液に対して、PEG処理アルギナーゼを4℃、pH7.4にて透析して過剰なPEGを除去した。透析後、PEG処理アルギナーゼを回収し、最終濃度を再調整した。
PEG処理アルギナーゼを0.2μmのフィルターを用いてろ過して滅菌容器に移し、4℃にて保存した。ヒト患者におけるこの酵素の半減期を測定したところ、およそ6時間であった(図21参照)。
低PEG比でCC又はSPAのいずれかを使用する条件下での、B.SUBTILIS発現アルギナーゼの精製
PEG処理は、最初にDavis,Abuchowski及び共同研究者(Davis, F. F. ら、1978, Enzyme Eng. 4, 169-173)により1970年代に開発された。薬物剤形の修飾と比べ、治療用タンパク質に対するポリ(エチレングリコール)PEG部分の化学的付加(「PEG」処理として知られている過程)は、重要な薬効を強化しうる新しいアプローチと言える(Harris, J. M. ら、2001, Clin. pharmacokinet. 40, 539-551)。
高活性PEG処理アルギナーゼの精製
15LのB.Braun Biostat C のステンレス製発酵容器におけるフェドバッチ発酵を実施例4で記述したようにして行った。OD12−13で行ったヒートショックから4.5時間後に回収した細胞培養液(8.4L)を5,000rpmで20分間、4℃にて遠心して細胞を沈殿させた。培養上清液を捨て、細胞沈殿物を−80℃で保存した。この細胞はこの温度で数日安定である。細胞内タンパク質を抽出するために、1250mlの可溶化バッファー[50mM Tris−HCl(pH 7.4)、0.1M NaCl、5mM MnSO4、ライソザイム(75μg/ml)]で細胞沈殿物を再懸濁した。30℃にて20分間インキュベーションを行った後、その混合液をビーカーに300mlずつ分け、各ビーカーの混合液をSoniprep 150 Apparatus(MSE)を用いて、各回持続時間10秒、2分間隔で12回(合計時間は120秒)、超音波破砕を行った。およそ5000ユニットのデオキシリボヌクレアーゼI(Sigma D4527)を添加し、混合液を37℃にて15分間インキュベーションして染色体DNAを消化した。4℃にて9,000rpm、30分間ずつ2回遠心を行った後、未精製タンパク質抽出物を含有する上清におけるアルギナーゼ活性の有無を調べ、SDS-PAGE(Laemmli, 1970, Nature, 227, 680-685)で分析した。
未精製タンパク質抽出液(1195ml)をろ過し、597.5mlずつ2つに分注した。次に、各分注液を130−mlのNi-NTA superflow(Qiagen)カラム(Pharmacia)に添加した。次の条件下で、流速5ml/分にて直線的な勾配(0−100%)により溶出を行った。条件は、バッファーA=開始バッファー[0.02M リン酸ナトリウムバッファー(pH 7.4)、0.5M NACl]、バッファーB=0.5M イミダゾール含有開始バッファーであった。純粋なアルギナーゼを含有する分画を集め、Pellicon XL装置(ポリエーテル−スルホン膜、分画分子量=8kDa)及び実験室スケールのクロスフローろ過システム(Millipore)を用いて、PBSバッファー、pH7.4により、35ml/分の速度で4℃にてバッファー交換を行った。ブラッドフォード法(Bradford,M.M.,1976,Anal.Biochem.,72,248−254)でタンパク質濃度を測定した。8.4Lの細胞培養液から合計788mgのアルギナーゼを精製した。精製アルギナーゼの収率は、94mg/l(細胞培養液)と推定された。特異的活性の測定値は、518I.U./mgであった。
実施例8Aで得たアルギナーゼのin vivoにおける半減期測定
PEG処理アルギナーゼを患者に投与した。3mlの血液試料を患者から毎日採取してEDTAを添加した。血液採取用試験管は水を加えシャーベット状にした氷中で前もって4℃に冷却しex−vivoでの酵素反応が起こらないようにした。次に、14000rpmで2分間、血液をすぐにスピンダウンして赤血球を除去した。1.5mlの上清(血漿)をピペットで取り新しいエッペンドルフチューブに移した。次に、血漿を37℃にて30分間インキュベーションした。インキュベーション後、基質として100μMの濃度でアルギニンを添加した。37℃にて、0、10、30、60分間、酵素反応を行った。各時間間隔において、反応試料を300μlずつ採取して、300μlの10%トリクロロ酢酸を含有する新しいエッペンドルフチューブに移し、その採取試料の反応を停止させた。試料を採取し最大速度(14000rpm)で10分間遠心した。上清をピペットで採取し0.45μmフィルターでろ過した。最後に、アミノ酸分析装置(Hitachi、L8800)で様々な時間間隔で採取した試料を分析した。その結果を図21に示す。
ヒト血漿での測定方法を用いた、in vitroにおけるPEG処理アルギナーゼの半減期測定
精製アルギナーゼ(1mg)を1mlの125mMのホウ酸バッファー溶液(pH8.3)に氷中で溶解した。活性化PEG(mPEG−SPA、MW 5,000)(7.14mg)を、アルギナーゼ:PEGのモル比が1:50になるように上記タンパク質溶液にゆっくりと添加した。実施例8Bで説明した方法に従いこの混合液を氷中で2.5時間撹拌した。
B.SUBTILIS発現ヒトアルギナーゼ及びPEG処理、単離及び精製組換えヒトアルギナーゼの特性
(a)SDS−PEGE及び発光イメージングによるアルギナーゼ純度の測定
Ikemotoら(Ikemotoら、1990, Biochem. J. 270, 697-703)が記述した方法により得た精製E.coli−発現アルギナーゼと、本発明による方法により得た精製B. subtilis−発現アルギナーゼとを比較した(図19A及び19B)。Lumi−imager(登録商標)のLumianalyst 32プログラム(Roche Molecular Biochemicals)を用いた、図19Aで示す全タンパク質バンドの密度分析から、本発明で開発した工程により純度が99.9%を超えるアルギナーゼが産生されたことが示された(図19B)。しかし、純度が80−100%の間のアルギナーゼでも、薬学的組成物を調製するために活性成分として使用しうる。好ましい実施形態において、純度80−100%の組換えアルギナーゼを使用する。さらに好ましい実施形態では、SDS−PAGE及びその後にルミイメージングを用いた測定で、本発明による組換えアルギナーゼの純度が90−100%である。
ウレアーゼ、L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ及びNADPHを使用するシステム(Ozer, N., 1985, Biochem. Med. 33, 367-371)において、L−アルギニンからの尿素放出度をモニターした。まとめて反応用混合液を調製するために、0.605g Tris、0.0731g α−ケトグルタル酸、及び0.4355gのアルギニンを40mlのdH2Oに溶解した。1MのHClでpHを8.5に調整し、0.067gのウレアーゼを上記混合溶液に添加した。0.0335gのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ及び0.0125gのNADPHを添加する前に、HClでpHをさらに8.3に調整した。dH2Oにより最終体積を50mlにして、反応用混合液を調製した。この反応用混合液(1ml)をピペットで石英キュベットに移した。アルギナーゼ活性を測定するために、1−5μgのアルギナーゼを添加し、340nm(A340)での吸収減少を、30℃にて1−3分間追跡した。アルギナーゼの1I.U.は、ある一定の条件下で1分間に1μmolの尿素を放出する酵素量として定義した。本発明の精製組換えヒトアルギナーゼ特異的活性を測定したところ、518I.U./mgタンパク質であったが、これは精製ヒト赤血球アルギナーゼ(204 I.U./mgタンパク質、Ikemotoら、1989, Ann. Clin. Biochem. 26, 547-553)及びE.coli−発現単離精製組換えヒトアルギナーゼ(389I.U./mgタンパク質、Ikemotoら、1990,Biochem.J.270,697−703)よりも顕著に高かった。
図2Bで示すアミノ酸配列によると、B. subtilis−発現及び精製組換えヒトアルギナーゼには、329アミノ酸残基が含有され、分子量の理論値は35,647.7Daである。非処理アルギナーゼに対するHPLC/UV及びマススペクトル分析の同時測定により、分子量が35,634Daであることが分かった。非処理アルギナーゼの分子量の実測値は、6xHisタグ付加ヒトアルギナーゼの推定アミノ酸配列(図2B)から計算した理論値である35,647.7Daとほぼ一致した。LC/MSを基にしたHPLC/UVから純度が98%であることが、また215nmの相対反応におけるHPLC/UV検出を基にしたLC/MSからは純度が100%であることが分かった。
HiLoad16/60 superdexゲルろ過カラム(Pharmacia)を用いて、タンパク質濃度およそ2.8mg/ml(PBSバッファー中)にてゲルろ過クロマトグラフィーによる実験を行ったところ、非処理アルギナーゼの分子量がおよそ78kDaであり、PEG処理アルギナーゼ(実施例8Cで調製)の分子量がおよそ688kDaであることが分かった。モノマーのアルギナーゼ分子量がおよそ36kDaであることから、この結果により、PBSバッファー中で非処理アルギナーゼが二量体として存在することが示唆された。
JASCO model J810 CD スペクトロメーターを用いた円偏光二色性(CD)測定により、精製アルギナーゼの二次構造を分析した。10mM リン酸カリウムバッファー(pH7.4)中で同じタンパク質濃度において195nmから240nmまでスキャンしたところ、非処理アルギナーゼのCDスペクトルは、PEG処理アルギナーゼ(実施例8Cで調製)と非常に近い値であることが分かったが、この結果からアルギナーゼの処理前の形態及びPEG処理後の形態が二次構造の面でほぼ同じであるということが示された。
(F)pIの測定
Bio-Rad Model 111 mini IEF cellを用いた測定により、非処理アルギナーゼ(実施例8Cで調製)の等電点(PL)が9.0であることが分かったが、これは文献(Christopher及びWayne、1996, Comp. Biochem. Physiol. 114B, 107-132)における、9.1という値と矛盾しない。
Ikemotoら(1990, Biochem. J. 270, 697-703)が報告したアルギナーゼ活性測定方法を用いて、非処理アルギナーゼのKm値が1.9±0.7mM、Vmaxが518μmol尿素/分/mM、kcatが2.0±0.5/秒、及びkcat /Kmが1.3±0.4/mM/秒であることが分かった。精製した非処理アルギナーゼのKm値 は、ヒト肝臓アルギナーゼに対して論文で発表されている値(2.6mM)(Carvajal, N. ら、1999)と同等であることが分かった。また、非処理アルギナーゼが最大活性に到達するためにはおよそ1mMのMn2+イオン及び30−50℃の温度が必要である。
体外からのアルギナーゼ投与を用いた治療プロトコール
治療中、患者の血液試料を毎日採取して、アルギニン濃度、アルギナーゼ活性、完全血液像、及び全ての凝固機能検査を行った。少なくとも隔日で腎臓及び肝臓機能を測定し、必要とみなされる場合はすぐに検査した。
体外からのアルギナーゼ注入を行う治療プロトコールの例
広範囲の肺転移を伴う転移性直腸癌の患者で、全ての標準的治療が奏効しなかった54歳の中国人女性に対して、2001年8月初旬にPEG処理組換えアルギナーゼを用いた治療を行った。上記患者の主症状は、咳、食欲不振及び便秘であった。上記患者の腫瘍マーカーCEAは、1100U/mlであった。治療前に、PEG処理組換えアルギナーゼを用いた治療に関するインフォームドコンセントが得られた。
850mgの凍結乾燥組換えアルギナーゼIを投与した。上記凍結乾燥品をPBSで溶解しPEG処理を行った。このPEG処理酵素の活性が減少していないことを確認した。
結果を図28及び29に示す。図28では、5日間、1−5μMまでアルギニンが十分に減少していたことを示す(図21も参照のこと)。図29は、4週間後までに、CEAレベルが1100から800まで低下したことを示す。
アルギナーゼを投与した実験用ラットにおけるin vivoでのアルギニン欠乏
この実施例において、4群のラット(各群2匹、オス1匹、メス1匹)に対して、第0日に、実施例8Cで得た様々な用量のアルギナーゼを投与した。第0日に組換えヒトアルギナーゼを腹腔内投与する前及び、第1日から第6日まで2日ごとに血液試料を尾部静脈から採取した。
正常ラットと、アルギナーゼによりアルギニン0の状態を誘導されたラットとの間の、第1日から第5日における血中の成分濃度変化の比較
アルギナーゼ投与前、第0日に、5匹のラット群から心臓の動脈血試料を採取した。第0日の試料を非処理コントロールとした。Pathlab Medical Laboratory Ltd, 2ND Floor Henan Building, 90-92 Jaffe Road, Wanchai, Hong Kongにより、全タンパク質、アルブミン、グロブリン、SGOT/AST、SGPT/ALT、ヘモグロビン、フィブリノーゲン A.P.T.T/秒、プロトロンビン/秒、白血球数(WBC)及び血小板数測定が行われた。次に、ラットに単回投与で1500I.U.のアルギナーゼを腹腔内投与した。全ラットにおいてアルギニン0の状態が誘導された。第1日から第5日まで、各日1匹ずつ屠殺して心臓の動脈血を採取し、PathLab Medical Laboratoryが測定を行った。この結果から、PathLab Medical Laboratoryにより言及されているように、全タンパク質が正常範囲であることが示された。
Hep3B腫瘍を有するヌードマウスにおけるアルギニン欠乏に対する反応
6匹のBALB/cヌードマウスの右脇腹に、ヒトヘパトーマ(肝臓癌)細胞株(Hep3B2.1−7)を皮下に接種して、腫瘍の成長を誘導した。無作為に選択した3匹のマウスに対して、実施例8Cで説明した方法により得られた500I.U.のPEG処理アルギナーゼを週に1回、腹腔内投与し、一方で他のマウスにはアルギナーゼ処理を行わず、コントロール動物とした。2日に1回、in situで、移植を行ったマウスの固形腫瘍の成長をデジタルキャリパー測定により観察し、腫瘍サイズを算出した。
各群で死亡したマウス数も毎日記録した。
PLC/PRF/5腫瘍を有するヌードマウスにおけるアルギニン欠乏に対する反応
この実施例では、10匹のBALB/cヌードマウスの背中に、ヒトヘパトーマの固形腫瘍(PLC/PRF/5)を皮下移植して、腫瘍の成長を誘導した。無作為に選択した5匹のマウスに対して、実施例8Cで説明した方法により得られた500I.U.のPEG処理アルギナーゼを週に1回、腹腔内投与し、他の5匹のマウスには200μlのリン酸バッファー塩類溶液(PBS)を腹腔内投与してコントロール動物とした。2日に1回、in situで、移植を行ったマウスの固形腫瘍の成長をデジタルキャリパー測定により観察し、腫瘍サイズ及び質量を算出した。
(ここで長さとは、最長の垂直径であり、幅とは最短の垂直径である。)
図25Aで示すように、実験開始から39日間におけるコントロール群の1日あたりの腫瘍サイズ増大速度は、コントロール群でおよそ6.5mm/日、PEG処理アルギナーゼで処理した群ではおよそ5.3mm/日であった。図25Bで示すように、コントロール群の1日あたりの腫瘍質量増加速度は、PEG処理アルギナーゼで処理した群のおよそ1.8倍の高値を示した。
HuH−7腫瘍を有するヌードマウスにおけるアルギニン欠乏に対する反応
この実施例では、10匹のBALB/cヌードマウスの背中に、ヒトヘパトーマ固形腫瘍(HuH−7)を皮下移植して腫瘍の成長を誘導した。無作為に選択した5匹のマウスに対して、実施例8Cで説明した方法により得られた500I.U.のPEG処理アルギナーゼを週に1回、腹腔内投与し、他の5匹のマウスには200μlのリン酸バッファー塩類溶液(PBS)を腹腔内投与してコントロール動物とした。2日に1回、in situで、移植を行ったマウスの固形腫瘍の成長をデジタルキャリパー測定により観察し、実施例15及び16で説明したようにして腫瘍サイズ及び質量を算出した。
MCF−7腫瘍を有するヌードマウスにおけるアルギニン欠乏に対する反応
本実施例では、4匹のBALB/cヌードマウスの右脇腹にヒト乳癌細胞株(MCF−7)を皮下接種して、腫瘍の成長を誘導した。無作為に選択した3匹のマウスに対して、実施例8Cで説明した方法により得られた500I.U.のPEG処理アルギナーゼを週に1回、腹腔内投与し、残りの1匹のマウスにはアルギナーゼ処理を行わず、コントロール動物とした。2日に1回、in situで、移植を行ったマウスの固形腫瘍の成長をデジタルキャリパー測定により観察し、実施例15で説明したようにして腫瘍サイズを算出した。
SEQ ID NO: 1(図2A)
SEQ ID NO: 2 & 3(図2B:核酸配列(SEQ ID NO: 2);及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 3))
SEQ ID NO: 4:6xHis Tag MHHHHHH
SEQ ID NO: 5:5'-CCAAACCATATGAGCGCCAAGTCCAGAACCATA-3'(Arg 1)
SEQ ID NO: 6:5'-CCAAACTCTAGAATCACATTTTTTGAATGACATGGACAC-3'(Arg 2)
SEQ ID NO: 7:5'-CTCTGGCCATGCCAGGGTCCACCC-3'(Arg 6)
SEQ ID NO: 8 & 9:(図2C:核酸配列(SEQ ID NO: 8);及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 9))。
Claims (28)
- 図2に示されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、純度が80−100%である、単離された組換えヒトアルギナーゼI。
- ヒトアルギナーゼIのアミノ末端にさらに6個のヒスチジンが付加されている、請求項1に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- 少なくとも250I.U./mgの比活性を有する、請求項1又は2に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- 500−600I.U./mgの比活性を有する、請求項3に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- 少なくとも約3日間のin vitro血漿濃度半減期を与える修飾を有する、請求項4に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- 少なくとも純度が90%である、請求項1又は2に記載の単離された組換えヒトアルギナーゼI。
- 前記修飾がPEG処理である、請求項5に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- カップリング剤を用いて少なくとも1個のポリエチレングリコール(PEG)部分が前記アルギナーゼに共有結合されることによって前記PEG処理が与えられる、請求項7に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- 2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン(塩化シアヌル、CC)及びプロピオン酸スクシンイミド(SPA)からなる群から前記カップリング剤が選択される、請求項8に記載の組換えヒトアルギナーゼI。
- (a)前記タンパク質をコードする遺伝子をクローニングすることと、
(b)前記タンパク質を発現させるための組換えBacillus substilis株を構築することと、
(c)フェドバッチ発酵を用いて前記組換えBacillus substilis細胞を発酵させることと、
(d)前記組換えBacillus substilis細胞にヒートショックを与えて、前記組換えタンパク質の発現を刺激することと、
(e)前記発酵による産物から前記組換えタンパク質を精製することと、
を含む、組換えタンパク質を作製する方法。 - 前記Bacillus substilisがプロファージである、請求項10に記載の方法。
- 前記タンパク質がヒトアルギナーゼIである、請求項10又は11に記載の方法。
- 前記ヒトアルギナーゼIのアミノ末端に6個のヒスチジンが連結されており、前記精製工程にキレートカラムによるアフィニティークロマトグラフィーが含まれている、請求項12に記載の方法。
- 実質的に、180−320g/Lのグルコースと、2−4g/LのMgSO4・7H2Oと、45−80g/Lのトリプトンと、7−12g/LのK2HPO4と、3−6g/LのKH2PO4とからなる培養液を用いて前記発酵過程を行う、請求項12に記載の方法。
- 単離され且つ実質的に精製されたアルギナーゼを含む、薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼがヒトアルギナーゼIである、請求項15に記載の薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼが、アミノ末端に6個のヒスチジンが付加されたヒトアルギナーゼIである、請求項15に記載の薬学的組成物。
- 前記組成物がさらに医薬的に許容される担体を用いて処方される、請求項15に記載の薬学的組成物。
- 前記薬学的組成物の前記処方が、経口での使用に適した形態、注射可能な滅菌溶液又は注射可能な滅菌懸濁液に適した形態をとる、請求項15に記載の薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼIが、少なくとも250I.U./mgの酵素比活性を有する、請求項16に記載の薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼIが500−600I.U./mgの酵素比活性を有する、請求項20に記載の薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼIの患者血漿中の半減期が少なくとも3日である、請求項16に記載の薬学的組成物。
- 前記組換えヒトアルギナーゼIの前記患者血漿中における半減期が少なくともおよそ1日である、請求項21に記載の薬学的組成物。
- 医薬を調製するための請求項1に記載のヒトアルギナーゼIの使用。
- ヒト悪性腫瘍を治療するために前記医薬が使用される、請求項23に記載の使用。
- 前記ヒト悪性腫瘍が肝臓腫瘍、乳癌、結腸癌、又は直腸癌である、請求項24に記載の使用。
- 組換えヒトアルギナーゼを患者に投与することを含む、ヒト悪性腫瘍の治療方法。
- 患者の生理的アルギニンレベルを低下させる薬学的組成物を10μM以下になるまで少なくとも3日間投与することを含む、患者のヒト悪性腫瘍を治療する方法。
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