JP2005506091A - 酵素的還元による(r)−および(s)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの製造方法 - Google Patents
酵素的還元による(r)−および(s)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、一般式(R)−IIまたは(S)−IIの(R)−または(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステル[式中、RはC1〜C4−アルキルを表す]を、補因子再生系の存在下にアルコールデヒドロゲナーゼ、たとえばラクトバチラス−ブレビスまたはテルモアナエロビウム−ブロキイによる酵素的還元によって、一般式(I)の8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステル[式中、Rは上記のものを表す]から製造する方法に関する。得られる(R)−または(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸エステルは公知の方法で(R)−α−リポ酸または(S)−α−リポ酸へと反応させることができる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切なプロキラルなケト化合物を酵素的に還元することにより、式I
【0002】
【化1】
の(R)−および(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルを製造する方法に関する。
【0003】
工業的な規模でのα−リポ酸の合成は、8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルから出発し、該エステルをNaBH4−還元により8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルに変換して行われる(文献:KleemannおよびEngel、Pharmaceutical Substances、第3版、Thieme、1999年、第1860頁)。連続する3段階の合成順序によりラセミ体のα−リポ酸が高い全収率で得られる。ラセミ体のα−リポ酸の合成以外に、適切な製薬学的使用のために純粋なエナンチオマーの合成もまた極めて重要である(たとえばEP0427247を参照のこと)。純粋なエナンチオマーの合成は、ラセミ体作用物質の確立された経済的な合成方法と同様に実施することが考えられる。相応してエナンチオマー純粋な中間体を製造するための種々の方法が開発されたが、特にDE−A19533882を参照のこと。プロキラルなケトン化合物の、キラルな第二アルコールへのエナンチオ選択的な還元はDE−A−19709069に記載されており、該第二アルコールは中間体として代替的な合成経路でエナンチオマー純粋なα−リポ酸を生じる。全ての方法において連続する多段階の合成順序が存在し、これらは部分的に高価な精製工程と結びついているか、またはラセミ体分割(DE4137773)に基づいており、このことにより、ラセミ化または転化により返送することなくエナンチオマーの最大の収率は50%である。これらの方法の低い全収率により、これらの方法は経済的に引き合わないように思われる。記載されている方法のいずれも、ラセミ体のα−リポ酸を合成するための確立された経済的な方法のエナンチオマー純粋な中間体の直接的な1段階の製造に基づいていない。
【0004】
従って本発明の課題は、(R)−および(S)−α−リポ酸を製造するための特定の中間生成物および(R)−および(S)−α−リポ酸自体を製造するための方法であり、これらの化合物ならびに中間生成物の製造を高い収率および高いエナンチオマー純度で可能にする方法を提供することである。
【0005】
これらの課題は、アルコールデヒドロゲナーゼまたはカルボニルレダクターゼを用いて8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルを酵素により還元することにより解決される。この反応の場合、特許請求の範囲に記載した式(R)−IIまたは(S)−IIの(R)−または(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。
【0006】
本発明は、公知のアルコールデヒドロゲナーゼまたはカルボニルレダクターゼを用いて、使用される出発エステルを容易な方法で、および極めて効果的に還元することができるという認識に由来する。
【0007】
文献には、キラルな化合物を合成するためにデヒドロゲナーゼが適切であり得るという明確な示唆が見られる(特にKraglおよびKula、Stereoselective Biotransformations、R. Patel、Marcel Dekker編、2000年、第839〜866頁を参照のこと)。しかしこれらの、および類似の文献箇所の一般的な記載は、複合体出発化合物に転用することができない。当業者はこの場合、一般に副反応ならびにエナンチオ選択性の低下を懸念する。たとえば文献ではクロロエチルケトンの生物触媒による還元に関する例が1つ見られるにすぎない(Mele等、J. Org. Chem. 1991, 56, 6019)。この場合、全細胞生体内変化(サッカロミセス−セレビジエ)によりクロロエチル−アリール−ケトンをキラルな第二アルコールへと還元する。還元は高化学選択的にも、高エナンチオ選択的にも進行しない。生物触媒は式Iの化合物の場合と同様に第二のかさ高な置換基を有しており、該触媒によるクロロエチルケトンの還元の場合、置換基の高い空間的要求に基づいて、特定の生物触媒がこのような化合物を基質として受け入れるかどうかを予測することは不可能である。
【0008】
J. Org. Chem. 66, 8682-84(2001)から、相応するケトンから精製されたカルボニルレダクターゼおよび完全な細胞を用いて還元することにより8−クロロ−3−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られることが明らかである。EP0939132A1は、4−ハロゲン−3−ケト酪酸エステルの酵素的還元を開示している。J. Org. Chem. 63, 1102-08(1998)には、3−クロロ−4−ケト−オクタン酸エチルエステルの還元が記載されている。EP0487986A2からは、リポ酸を製造するためにパン酵母を用いた還元により(3S)−3−ヒドロキシオクタン二酸ジエステルが得られることが公知である。
【0009】
意外なことに、種々のアルコールデヒドロゲナーゼおよびカルボニルレダクターゼは基質として式Iの化合物に関して高い受容性を有し(分析アッセイ)、これはプレパラティブ反応においても確認することができた。
【0010】
本発明は請求項1およびその他の従属請求項により詳しく記載されている。本発明による反応の場合、一般に公知の補因子、たとえばNAD(H)、NADP(H)、FADH2を使用する。有利にはNAD(H)またはNADP(H)を使用する。
【0011】
得られる8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの立体配置は使用される酵素により決定される。従って8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルをテルモアナエロビウム−ブロキイからのアルコールデヒドロゲナーゼにより還元することによってエナンチオマー純粋な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。ラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼによる還元の場合、エナンチオ選択的に(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシオクタン酸アルキルエステル(ee>65%)が形成される。基質としての式Iの化合物により活性を示す酵素を以下の表に記載する。
【0012】
酵素は市販されている。
【0013】
中間生成物、プロキラルな8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルを製造するための出発化合物は公知の方法で得られる(L. J. Reed等、J. Am. Chem. Soc.1955、774、416)。
【0014】
Y−ADH 酵母のアルコールデヒドロゲナーゼ
HL−ADH ウマ肝臓−ADH
READH ロドコッカス−エリスポリス−ADH
CPCR カンジダ−パラシローシス−カルボニルレダクターゼ
CBADH カンジダ−ボイジニイ−ADH
LKADH ラクトバチラス−ケフィア−ADH
LBADH ラクトバチラス−ブレビス−ADH
TBADH テルモアナエロビウム−ブロキイ−ADH
TEA トリエタノールアミン
Tris トリスヒドロキシメチルアミノメタン
Kpi 1カリウムリン酸塩および2カリウムリン酸塩の混合物
DTT ジチオトレイトール
【0015】
【表1】
【0016】
プレパラティブ反応のために補因子再生系を酵素の生体内変化に取り入れることは有利であることが判明した。主反応の平衡をシフトさせる補因子再生系が特に有利であることが判明した。従ってたとえばラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼによる還元の場合、有利には基質結合補因子再生を過剰の第二アルコール(たとえば2−プロパノール)の存在下に行うことができる。あるいは、NAD(P)をNAD(P)Hへと還元するために利用することができる酵素結合補因子再生系(たとえばホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)/ホルメート)を使用することができる。補助基質であるナトリウムホルメートの酸化から生じるCO2は気体として漏出し、ひいては平衡から除去される。NAD依存型およびNADP依存型のホルメートデヒドロゲナーゼが文献に記載されており、かつ市販されている。
【0017】
式Iの8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの光学異性体の絶対的な立体配置は、特異的な旋光性の記号を文献データ(Gewald等、DE19533881)と比較することにより決定した。さらに式Iの8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの光学異性体の相対的な含有率を、キラルな相を有するカラムを用いてGCにより<0.5%の検出限界で測定した。
【0018】
本発明により、式Iの(R)−および(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルを容易に、かつ経済的な方法で1段階の方法において高い化学的および光学的収率(理論的に化学的および光学的収率100%)で得ることが可能である。
【0019】
本発明の対象は、(R)−または(S)−α−リポ酸を自体公知の方法で製造するための、本発明による方法で得られるエナンチオマー純粋なオクタン酸アルキルエステルの使用でもある。通常、公知の方法ではクロロヒドロキシオクタン酸アルキルエステルを相応するジクロロオクタン酸アルキルエステルへと変換する。公知のリポ酸構造は別の反応工程で硫黄の導入により得られる。
【0020】
本発明に相応する8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルのエナンチオ選択的な製造のための例として、以下の図式においてエナンチオマー純粋な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルの製造を示す。
【0021】
【化2】
【0022】
同様にして、生物触媒としてたとえばラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼを使用することにより(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。(+)−および(−)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルから出発する(+)−および(−)−α−リポ酸の合成は、公知の方法に相応して実施することができる。本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0023】
例1
8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸メチルエステル(基質)100mg(0.5ミリモル)を、DTT 0.1mMおよびNADP0.5mMを含有するTRIS−緩衝液(pH7)50ml(50mM)中に溶解して、そのつどTBADHおよびFDH(NAPD依存性)を2U/mg(基質)添加し、かつ37℃で撹拌した。標準法による後処理によりエナンチオマー純粋(ee>99.5%)な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシオクタン酸メチルエステル(生成物)が得られた。
【0001】
本発明は、適切なプロキラルなケト化合物を酵素的に還元することにより、式I
【0002】
【化1】
の(R)−および(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルを製造する方法に関する。
【0003】
工業的な規模でのα−リポ酸の合成は、8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルから出発し、該エステルをNaBH4−還元により8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルに変換して行われる(文献:KleemannおよびEngel、Pharmaceutical Substances、第3版、Thieme、1999年、第1860頁)。連続する3段階の合成順序によりラセミ体のα−リポ酸が高い全収率で得られる。ラセミ体のα−リポ酸の合成以外に、適切な製薬学的使用のために純粋なエナンチオマーの合成もまた極めて重要である(たとえばEP0427247を参照のこと)。純粋なエナンチオマーの合成は、ラセミ体作用物質の確立された経済的な合成方法と同様に実施することが考えられる。相応してエナンチオマー純粋な中間体を製造するための種々の方法が開発されたが、特にDE−A19533882を参照のこと。プロキラルなケトン化合物の、キラルな第二アルコールへのエナンチオ選択的な還元はDE−A−19709069に記載されており、該第二アルコールは中間体として代替的な合成経路でエナンチオマー純粋なα−リポ酸を生じる。全ての方法において連続する多段階の合成順序が存在し、これらは部分的に高価な精製工程と結びついているか、またはラセミ体分割(DE4137773)に基づいており、このことにより、ラセミ化または転化により返送することなくエナンチオマーの最大の収率は50%である。これらの方法の低い全収率により、これらの方法は経済的に引き合わないように思われる。記載されている方法のいずれも、ラセミ体のα−リポ酸を合成するための確立された経済的な方法のエナンチオマー純粋な中間体の直接的な1段階の製造に基づいていない。
【0004】
従って本発明の課題は、(R)−および(S)−α−リポ酸を製造するための特定の中間生成物および(R)−および(S)−α−リポ酸自体を製造するための方法であり、これらの化合物ならびに中間生成物の製造を高い収率および高いエナンチオマー純度で可能にする方法を提供することである。
【0005】
これらの課題は、アルコールデヒドロゲナーゼまたはカルボニルレダクターゼを用いて8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルを酵素により還元することにより解決される。この反応の場合、特許請求の範囲に記載した式(R)−IIまたは(S)−IIの(R)−または(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。
【0006】
本発明は、公知のアルコールデヒドロゲナーゼまたはカルボニルレダクターゼを用いて、使用される出発エステルを容易な方法で、および極めて効果的に還元することができるという認識に由来する。
【0007】
文献には、キラルな化合物を合成するためにデヒドロゲナーゼが適切であり得るという明確な示唆が見られる(特にKraglおよびKula、Stereoselective Biotransformations、R. Patel、Marcel Dekker編、2000年、第839〜866頁を参照のこと)。しかしこれらの、および類似の文献箇所の一般的な記載は、複合体出発化合物に転用することができない。当業者はこの場合、一般に副反応ならびにエナンチオ選択性の低下を懸念する。たとえば文献ではクロロエチルケトンの生物触媒による還元に関する例が1つ見られるにすぎない(Mele等、J. Org. Chem. 1991, 56, 6019)。この場合、全細胞生体内変化(サッカロミセス−セレビジエ)によりクロロエチル−アリール−ケトンをキラルな第二アルコールへと還元する。還元は高化学選択的にも、高エナンチオ選択的にも進行しない。生物触媒は式Iの化合物の場合と同様に第二のかさ高な置換基を有しており、該触媒によるクロロエチルケトンの還元の場合、置換基の高い空間的要求に基づいて、特定の生物触媒がこのような化合物を基質として受け入れるかどうかを予測することは不可能である。
【0008】
J. Org. Chem. 66, 8682-84(2001)から、相応するケトンから精製されたカルボニルレダクターゼおよび完全な細胞を用いて還元することにより8−クロロ−3−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られることが明らかである。EP0939132A1は、4−ハロゲン−3−ケト酪酸エステルの酵素的還元を開示している。J. Org. Chem. 63, 1102-08(1998)には、3−クロロ−4−ケト−オクタン酸エチルエステルの還元が記載されている。EP0487986A2からは、リポ酸を製造するためにパン酵母を用いた還元により(3S)−3−ヒドロキシオクタン二酸ジエステルが得られることが公知である。
【0009】
意外なことに、種々のアルコールデヒドロゲナーゼおよびカルボニルレダクターゼは基質として式Iの化合物に関して高い受容性を有し(分析アッセイ)、これはプレパラティブ反応においても確認することができた。
【0010】
本発明は請求項1およびその他の従属請求項により詳しく記載されている。本発明による反応の場合、一般に公知の補因子、たとえばNAD(H)、NADP(H)、FADH2を使用する。有利にはNAD(H)またはNADP(H)を使用する。
【0011】
得られる8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの立体配置は使用される酵素により決定される。従って8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルをテルモアナエロビウム−ブロキイからのアルコールデヒドロゲナーゼにより還元することによってエナンチオマー純粋な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。ラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼによる還元の場合、エナンチオ選択的に(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシオクタン酸アルキルエステル(ee>65%)が形成される。基質としての式Iの化合物により活性を示す酵素を以下の表に記載する。
【0012】
酵素は市販されている。
【0013】
中間生成物、プロキラルな8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸アルキルエステルを製造するための出発化合物は公知の方法で得られる(L. J. Reed等、J. Am. Chem. Soc.1955、774、416)。
【0014】
Y−ADH 酵母のアルコールデヒドロゲナーゼ
HL−ADH ウマ肝臓−ADH
READH ロドコッカス−エリスポリス−ADH
CPCR カンジダ−パラシローシス−カルボニルレダクターゼ
CBADH カンジダ−ボイジニイ−ADH
LKADH ラクトバチラス−ケフィア−ADH
LBADH ラクトバチラス−ブレビス−ADH
TBADH テルモアナエロビウム−ブロキイ−ADH
TEA トリエタノールアミン
Tris トリスヒドロキシメチルアミノメタン
Kpi 1カリウムリン酸塩および2カリウムリン酸塩の混合物
DTT ジチオトレイトール
【0015】
【表1】
【0016】
プレパラティブ反応のために補因子再生系を酵素の生体内変化に取り入れることは有利であることが判明した。主反応の平衡をシフトさせる補因子再生系が特に有利であることが判明した。従ってたとえばラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼによる還元の場合、有利には基質結合補因子再生を過剰の第二アルコール(たとえば2−プロパノール)の存在下に行うことができる。あるいは、NAD(P)をNAD(P)Hへと還元するために利用することができる酵素結合補因子再生系(たとえばホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)/ホルメート)を使用することができる。補助基質であるナトリウムホルメートの酸化から生じるCO2は気体として漏出し、ひいては平衡から除去される。NAD依存型およびNADP依存型のホルメートデヒドロゲナーゼが文献に記載されており、かつ市販されている。
【0017】
式Iの8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの光学異性体の絶対的な立体配置は、特異的な旋光性の記号を文献データ(Gewald等、DE19533881)と比較することにより決定した。さらに式Iの8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルの光学異性体の相対的な含有率を、キラルな相を有するカラムを用いてGCにより<0.5%の検出限界で測定した。
【0018】
本発明により、式Iの(R)−および(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルを容易に、かつ経済的な方法で1段階の方法において高い化学的および光学的収率(理論的に化学的および光学的収率100%)で得ることが可能である。
【0019】
本発明の対象は、(R)−または(S)−α−リポ酸を自体公知の方法で製造するための、本発明による方法で得られるエナンチオマー純粋なオクタン酸アルキルエステルの使用でもある。通常、公知の方法ではクロロヒドロキシオクタン酸アルキルエステルを相応するジクロロオクタン酸アルキルエステルへと変換する。公知のリポ酸構造は別の反応工程で硫黄の導入により得られる。
【0020】
本発明に相応する8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルのエナンチオ選択的な製造のための例として、以下の図式においてエナンチオマー純粋な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルの製造を示す。
【0021】
【化2】
【0022】
同様にして、生物触媒としてたとえばラクトバチラス−ブレビスのアルコールデヒドロゲナーゼを使用することにより(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルが得られる。(+)−および(−)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルから出発する(+)−および(−)−α−リポ酸の合成は、公知の方法に相応して実施することができる。本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0023】
例1
8−クロロ−6−オキソ−オクタン酸メチルエステル(基質)100mg(0.5ミリモル)を、DTT 0.1mMおよびNADP0.5mMを含有するTRIS−緩衝液(pH7)50ml(50mM)中に溶解して、そのつどTBADHおよびFDH(NAPD依存性)を2U/mg(基質)添加し、かつ37℃で撹拌した。標準法による後処理によりエナンチオマー純粋(ee>99.5%)な(R)−8−クロロ−6−ヒドロキシオクタン酸メチルエステル(生成物)が得られた。
Claims (6)
- テルモアナエロビウム−ブロキイからのアルコールデヒドロゲナーゼを使用する、請求項1記載の方法。
- ラクトバチラス−ブレビスからのアルコールデヒドロゲナーゼを使用する、請求項2記載の方法。
- 還元の平衡を推移させる補因子再生系を酵素的還元に加える、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- (R)−または(S)−α−リポ酸の製造方法において、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法により得られる(R)−または(S)−8−クロロ−6−ヒドロキシ−オクタン酸アルキルエステルを自体公知の方法により反応させることを特徴とする、(R)−または(S)−α−リポ酸の製造方法。
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