JP2005299860A - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ロックアップクラッチが係合中のアップシフト変速時において変速ショックが安定的に抑制される車両用自動変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】 ロックアップクラッチ28が係合させられているときのアップシフト変速指令に対し、変速油圧制御手段66により、ロックアップクラッチ28が実際にスリップ状態となったことを要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、作動油の粘性に起因するロックアップクラッチ28の応答遅れ時間に拘わらず、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
【選択図】 図5
【解決手段】 ロックアップクラッチ28が係合させられているときのアップシフト変速指令に対し、変速油圧制御手段66により、ロックアップクラッチ28が実際にスリップ状態となったことを要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、作動油の粘性に起因するロックアップクラッチ28の応答遅れ時間に拘わらず、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
【選択図】 図5
Description
本発明は、車両用自動変速機の変速制御装置に関し、特に、ロックアップクラッチの係合状態でのアップシフト変速時における変速ショックを好適に防止する技術に関する。
入出力回転部材を直結するためのロックアップクラッチを有するロックアップクラッチ付流体伝動装置を有する自動変速機を備える形式の車両が知られている。このような車両では、たとえば、エンジンの回転損失を低下させて燃費が向上させるために、所定の車速領域内となると、ロックアップクラッチが係合させられる。
そして、このようなロックアップクラッチ付流体式伝動装置を有して摩擦係合装置の作動に従って変速が行われる車両用自動変速機では、ロックアップクラッチの係合状態でアップシフト変速指令が出されたときは、アップシフト変速中にロックアップクラッチの係合圧が急激に変化することにより変速ショックが発生することを防止するために、そのロックアップクラッチの係合圧をロックアップクラッチの滑りが生じない範囲で予め低下させ、アップシフト変速のイナーシャ相が開始されるとロックアップクラッチの係合圧をさらに低下させてそのロックアップクラッチを滑り状態としてそのアップシフト変速を進行させる変速制御が行われている。たとえば、特許文献1に記載された車両用自動変速機の変速制御装置がそれである。
特開平5−172239号公報
特開平10−30718号公報
ところで、上記従来の車両用自動変速機の変速制御装置では、アップシフト変速指令がなされることに伴ってロックアップクラッチの係合圧を低下させたとしても、実際にロックアップクラッチの係合圧が低下するまでには応答遅れの発生が避けられない。このため、その応答遅れ時間によってはロックアップクラッチの係合圧が十分に低下していない状態でアップシフト変速のイナーシャ相が開始されて、変速特性が安定せず、変速ショックが生じるという問題があった。たとえば、低温時において作動油の粘性が高い状態などでは、そのような不都合が顕著である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ロックアップクラッチが係合中のアップシフト変速時において変速ショックが安定的に抑制される車両用自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、ロックアップクラッチ付流体式伝動装置を有し、摩擦係合装置の作動に従って変速が行われる車両用自動変速機において、ロックアップクラッチの係合状態でアップシフト変速指令が出されたときは、そのロックアップクラッチの係合圧を予め低下させた状態でアップシフト変速を実行する車両用自動変速機の変速制御装置であって、(a) 前記アップシフト変速指令に応答して前記ロックアップクラッチが所定のスリップ状態となるように該ロックアップクラッチの係合圧を低下させる係合圧低下手段と、(b) その係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って前記ロックアップクラッチがスリップ状態となったことを判定するスリップ状態判定手段と、(c) そのスリップ状態判定手段により前記ロックアップクラッチがスリップ状態となったことが判定されたことを条件として、前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧を制御する変速油圧制御手段とを、含むことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る本発明のスリップ状態判定手段が、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、該ロックアップクラッチの実際のスリップを検出することに基づいて判定するものであることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、上記請求項1に係る本発明のスリップ状態判定手段が、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、前記ロックアップクラッチの係合圧に基づいて判定するものであることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の前記変速油圧制御手段が、前記スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されるまでは前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置を所定の待機圧に維持し、スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されると該摩擦係合装置の係合圧を該待機圧から上昇させるものであることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、前記請求項1乃至4のいずれかに係る本発明において、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下により発生する前記ロックアップクラッチのスリップ量が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、その係合圧低下手段によるロックアップクラッチの係合圧の低下値を学習により補正する低下値学習補正手段を、さらに含むことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、前記請求項1乃至5のいずれかに係る本発明において、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下値を、予め記憶された関係からそのロックアップクラッチの実際の伝達トルク或いはその関連値に基づいて決定する低下値決定手段を、さらに含むことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、アップシフト変速指令に応答してロックアップクラッチが所定のスリップ状態となるように係合圧低下手段によりそのロックアップクラッチの係合圧が低下させられて、そのロックアップクラッチがスリップ状態となったことがスリップ状態判定手段により判定されると、そのスリップ状態判定手段によりロックアップクラッチがスリップ状態となったことが判定されたことを条件として、変速油圧制御手段により前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御される。すなわち、ロックアップクラッチが実際にスリップ状態となったことを要件として、アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御される。このため、作動油の粘性に起因するロックアップクラッチの応答遅れ時間に拘わらず、ロックアップクラッチ係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、請求項2に係る発明では、上記スリップ状態判定手段が、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、該ロックアップクラッチの実際のスリップを検出することに基づいて判定するものであることから、実際のスリップ検出に基づくロックアップクラッチのスリップ状態判定を要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、ロックアップクラッチ係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、請求項3に係る発明では、上記請求項1に係る本発明のスリップ状態判定手段が、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、前記ロックアップクラッチの係合圧に基づいて判定するものであることから、実際のロックアップクラッチの係合圧の低下に基づくロックアップクラッチのスリップ状態判定を要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、ロックアップクラッチ係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、請求項4に係る発明では、前記請求項1乃至3のいずれかに係る本発明の前記変速油圧制御手段が、前記スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されるまでは前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置を所定の待機圧に維持し、スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されると該摩擦係合装置の係合圧を該待機圧から上昇させるものであることから、ロックアップクラッチが実際にスリップ状態となってからアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置が係合開始されるので、ロックアップクラッチ係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、請求項5に係る発明では、前記請求項1乃至4のいずれかに係る本発明において、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下により発生する前記ロックアップクラッチのスリップ量が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、その係合圧低下手段によるロックアップクラッチの係合圧の低下値を学習により補正する低下値学習補正手段がさらに含まれるので、摩擦係合装置、制御回路などの経時変化に拘わらず、ロックアップクラッチの係合圧の低下値が適切な値に維持される。
また、請求項6に係る発明では、前記請求項1乃至5のいずれかに係る本発明において、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下値を、予め記憶された関係からそのロックアップクラッチの実際の伝達トルク或いはその関連値に基づいて決定する低下値決定手段がさらに含まれることから、車両状態に応じて変化するロックアップクラッチの実際の伝達トルクに適した適切な低下値が得られるので、アップ変速出力後の適切なタイミングでロックアップクラッチのスリップ状態が形成される。
ここで、好適には、前記流体伝動装置は、トルクコンバータ、フルードカップリング等のように、作動油等の流体を介してポンプ翼車として知られる入力回転部材からタービン翼車として知られる出力回転部材への動力を伝達する装置である。また好適には、それに備えられたロックアップクラッチは、その作動油によって係合作動させられることにより、上記入力回転部材と出力回転部材とを一体的に連結する。また、前記自動変速機は、複数の摩擦係合装置の作動の組み合わせが選択されることによって複数段のうちの1つのギヤ段が選択的に達成される有段の遊星歯車式自動変速機である。
また、前記アップシフト変速は、1つの摩擦係合装置の係合により達成されるものであってもよいが、解放側の摩擦係合装置の解放と係合側の摩擦係合装置の係合とにより達成される所謂クラッチツウクラッチ変速であってもよい。
また、好適には、前記スリップ状態判定手段により判定されるロックアップクラッチのスリップ状態とは、それまで係合状態にあったロックアップクラッチに滑りが僅かに発生してその入力回転部材と出力回転部材との回転速度差が形成される状態である。このロックアップクラッチのスリップ状態は、それら入力回転部材および出力回転部材の回転速度が検出されてそれらから算出された回転速度差が所定値を超えたことに基づいて判定され得るが、入力回転部材とともに回転する部材の回転速度に関連するエンジン回転速度と、出力部材とともに回転する部材の回転速度に関連する車速とに基づいて判定するようにしてもよい。
また、ロックアップクラッチの係合圧とロックアップクラッチのスリップの発生とが相互に密接に関係していることを利用して、ロックアップクラッチのスリップ状態は、そのロックアップクラッチの係合圧が所定の油圧判定値を下まわったことに基づいて判定されてもよい。上記油圧判定値は、ロックアップクラッチの実際の伝達トルクすなわちロックアップクラッチへ動力を伝達するエンジンの出力或いはそれにトルクコンバータのトルク比を掛けた値の関数であってもよい。ロックアップクラッチのスリップ状態は、同じ係合圧であっても実際の伝達トルクにより影響を受けて実際の伝達トルクが大きいほどスリップ状態となり易いので、たとえば、実際の伝達トルクが大きくなると上記油圧判定値を小さくするようにしてもよい。
また、好適には、変速油圧制御手段は、スリップ状態判定手段によりロックアップクラッチがスリップ状態となったことが判定されたことを条件として、前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の係合圧を所定の速度で緩やかに直線的或いは曲線的に上昇させるとともに、タービン翼車の回転速度の低下が開始されるイナーシャ相が開始されてもその摩擦係合装置の係合圧を上昇させ、タービン翼車の回転速度がアップシフト変速後の変速比で決まる同期回転速度に到達すると、摩擦係合装置の係合圧をライン圧まで急上昇させる。
また、好適には、前記低下値学習補正手段では、前記ロックアップクラッチの係合圧の低下により発生する前記ロックアップクラッチのスリップ量として、アップシフト変速出力から予めイナーシャ相開始前となるように設定された時間が経過したときのスリップ量、或いはイナーシャ相開始時のスリップ量が用いられる。このスリップ量は、予め設定された目標値と一致するように学習制御されてもよいが、予め設定された範囲内となるように学習制御されてもよい。
また、前記係合圧低下手段により低下させられるロックアップクラッチの係合圧の低下値は、アップシフト変速期間のトルク相においてロックアップクラッチを僅かにスリップ状態とする値であって、一定値であってもよいが、精度を高めるためにはロックアップクラッチの実際の伝達トルクの関数であってもよい。このため、好適には、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下値を、予め記憶された関係からそのロックアップクラッチの実際の伝達トルク或いはその関連値に基づいて決定する低下値決定手段が用いられる。その予め記憶された関係は、ロックアップクラッチの実際の伝達トルクが大きくなるほどそのロックアップクラッチがスリップ状態となり易いという現象を利用したものであって、ロックアップクラッチの実際の伝達トルクが大きくなるほど上記低下値を高く決定するように設定される。
また好適には、前述の機能実現手段は、相互に結合させられてもよいし、分離させられても差し支えない。
図1は、本発明の一実施例である車両用自動変速機の変速制御装置が適用される駆動力伝達装置10を説明する図である。この動力伝達装置10は、横置き型自動変速機16を有するものであって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものである。この駆動力伝達装置10において、走行用の駆動力源であるエンジン12により発生させられた駆動力は、トルクコンバータ14、自動変速機16、図示しない差動歯車装置、及び一対の車軸等を介して左右の駆動輪へ伝達されるようになっている。
上記エンジン12は、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ14は、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車18と、上記自動変速機16の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、一方向クラッチを介して上記自動変速機16のハウジング(変速機ケース)24に連結されたステータ翼車26とを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車18及びタービン翼車22の間にはロックアップクラッチ28が設けられており、係合側油室19と解放側油室21との間の圧力差に応じて、係合状態、スリップ状態、或いは解放状態に制御されるようになっている。このロックアップクラッチ28が完全係合状態とされることにより、入力回転部材に対応するポンプ翼車18と出力回転部材に対応するタービン翼車22とが一体的に連結されて一体回転させられるようになっている。
前記自動変速機16は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置30を主体として構成されている第1変速部32と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置34及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置36を主体として構成されている第2変速部38とを同軸線上に有し、上記入力軸20の回転を変速して出力歯車40から出力する遊星歯車式多段変速機である。この出力歯車40は、図示しないカウンタ軸を介して或いは直接的に差動歯車装置と噛み合わされている。なお、前記自動変速機16は中心線に対して略対称的に構成されていることから、図1では中心線の下半分が省略されている。
上記第1変速部32を構成している上記第1遊星歯車装置30は、サンギヤS1、キャリアCA1、及びリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が前記入力軸20に連結されて回転駆動されると共に、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能に前記ハウジング24に固定されることにより、キャリヤCA1が中間出力部材として前記入力軸20に対して減速回転させられる。また、上記第2変速部38を構成している上記第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36では、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1乃至RM4が構成されている。具体的には、上記第3遊星歯車装置36のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、上記第2遊星歯車装置34のリングギヤR2及び第3遊星歯車装置36のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、上記第2遊星歯車装置34のキャリアCA2及び第3遊星歯車装置36のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、上記第2遊星歯車装置34のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。すなわち、上記第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36は、キャリアCA2及びCA3が共通の部材にて構成されていると共に、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されており、且つ上記第2遊星歯車装置34のピニオンギヤが上記第3遊星歯車装置36の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は、中間出力部材である前記第1遊星歯車装置30のキャリアCA1に一体的に連結されており、第1ブレーキB1によって選択的に前記ハウジング24に連結されて回転停止させられる。上記第2回転要素RM2(リングギヤR2及びR3)は、第2クラッチC2を介して選択的に前記入力軸20に連結される一方、第2ブレーキB2によって選択的に前記ハウジング24に連結されて回転停止させられる。上記第3回転要素RM3(キャリアCA2及びCA3)は、前記出力歯車40に一体的に連結されており回転を出力するようになっている。上記第4回転要素RM4(サンギヤS2)は、第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸20に連結される。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3は、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置である。
図2は、前記自動変速機16の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、空欄は解放をそれぞれ表している。この図2に示すように、前記自動変速機16において、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2が共に係合させられることにより第1変速段が成立させられる。第1速変速段から第2速変速段への1→2変速は、前記第2ブレーキB2が解放されると共に前記第1ブレーキB1が係合させられることにより達成される。第2変速段から第3変速段への2→3変速は、前記第1ブレーキB1が解放されると共に前記第3ブレーキB3が係合させられることにより達成される。第3変速段から第4変速段への3→4変速は、前記第3ブレーキB3が解放されると共に前記第2クラッチC2が係合させられることにより達成される。第4変速段から第5変速段への4→5変速は、前記第1クラッチC1が解放されると共に前記第3ブレーキB3が係合させられることにより達成される。第5変速段から第6変速段への5→6変速は、前記第3ブレーキB3が解放されると共に前記第1ブレーキB1が係合させられることにより達成される。そして、前記第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3が共に係合させられることにより後退変速段が成立させられる。すなわち、前記自動変速機16は、前進変速の何れにおいても解放側の油圧式摩擦係合装置を解放させるのと並行して係合側の油圧式摩擦係合装置を係合させるクラッチツウクラッチ変速を実行する。なお、各変速段の変速比は、前記第1遊星歯車装置30、第2遊星歯車装置34、及び第3遊星歯車装置36の各ギヤ比ρ1、ρ2、及びρ3によって適宜定められる。例えばρ1≒0.60、ρ2≒0.46、ρ3≒0.43とすれば、図2に示す変速比が得られ、ギヤ比ステップ(各変速段間の変速比の比)の値が略適切であると共にトータルの変速比幅(=3.194/0.574)も5.6程度と大きく、後退変速段の変速比も適当で、全体として適切な変速比特性が得られる。
図3は、前記駆動力伝達装置10を制御するために車両に設けられた電気系統を説明するブロック線図である。この図3に示す電子制御装置42は、例えばCPU、ROM、RAM、インターフェース等を含む所謂マイクロコンピュータであって、予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理することで様々な制御を実行する。上記電子制御装置42には、イグニションスイッチからのスイッチオン・オフ信号、エンジン回転センサからのエンジン回転速度Ne を示す信号、エンジン水温センサからのエンジン水温TW を示す信号、エンジン吸気温度センサからのエンジン吸気温度TA を示す信号、エンジン吸気量センサからのエンジン吸気量QA を示す信号、スロットル開度センサからのスロットル開度θthを示す信号、アクセル開度センサからのアクセル開度θacc を示す信号、ブレーキスイッチからのブレーキ操作を示す信号、車速センサからの車速Vを示す信号、シフトレバー位置センサからのシフトレバーの前後位置を示す信号、シフトレバー位置センサからのシフトレバーの左右位置を示す信号、タービン回転センサからの前記タービン翼車22の回転速度である入力回転速度NINを示す信号、前記自動変速機16の出力歯車40の回転速度である出力回転速度NOUT を示す信号、油温センサからの前記自動変速機16へ供給される作動油の油温TATを示す信号、変速パターン切換スイッチの操作位置を示す信号、ABS用電子制御装置からの信号、VSC/TRCの用電子制御装置からの信号、A/C用電子制御装置からの信号等が入力される。一方、上記電子制御装置42から、燃料噴射弁44への燃料噴射信号、イグナイタ46への点火信号、スタータへの駆動信号、シフトポジション表示器への表示信号、ABS用電子制御装置への信号、VSC/TRC用電子制御装置への信号、A/C用電子制御装置への信号等がそれぞれ出力される。また、前記自動変速機16の作動を制御するための油圧制御回路48に備えられた電磁制御弁であるリニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、SL5、SLU、SLT、及びオンオフ型電磁弁MV1の駆動を制御するための信号が出力される。
図4は、上記油圧制御回路48の要部を簡単に説明する図である。この油圧制御回路48は、ロックアップクラッチ28の係合制御や自動変速機16の変速制御に用いられる変速油圧制御回路の要部を示している。すなわち、油圧制御回路48では、自動変速機16の前進6段後進1段のギヤ段を制御するための変速制御用油圧制御回路と、ロックアップクラッチ28を係合、解放、スリップ状態とするためにロックアップクラッチ係合制御用油圧制御回路との要部が示されている。
図4において、油圧ポンプ50は、例えば前記エンジン12の回転駆動に従ってストレーナ52に還流した作動油を所定の油圧にて圧送する機械式油圧ポンプである。第1レギュレータ弁54は、リリーフ形式の調圧弁であって、上記油圧ポンプ50から供給される油圧を元圧とし、リニアソレノイド弁SLTからのスロットル圧に従って第1ライン圧PL1を調圧する。第2レギュレータ弁55は、リリーフ形式の調圧弁であって、第1レギュレータ弁54からドレンされた油圧を元圧とし、リニアソレノイド弁SLTからのスロットル圧に従って第2ライン圧PL2を調圧する。また、ソレノイドモジュレータ弁56は、減圧弁形式の調圧弁であって、上記第1レギュレータ弁54から供給される第1ライン圧PL1を元圧としてモジュレータ圧PM を調圧して前記リニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、SL5、SLU、SLT、及びオンオフ型電磁弁MV1等へ供給する。リニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、SL5は、前記電子制御装置42からの指令値に従い上記ソレノイドモジュレータ弁56から供給されるモジュレータ圧PM を元圧としてそれぞれ第1クラッチ制御圧PC1、第2クラッチ制御圧PC2、第1ブレーキ制御圧PB1、第2ブレーキ制御圧PB2、第3ブレーキ制御圧PB3を調圧して前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3へ供給する。すなわち、前記自動変速機16に備えられた各油圧式摩擦係合装置は、何れも専用の電磁制御弁装置により直接圧制御されるようになっている。
また、図4の下部に示されるロックアップクラッチ制御用油圧制御回路では、オンオフ型電磁弁MV1からのオンオフ信号圧に従ってロックアップクラッチ28を解放状態とする解放側位置と係合状態とする係合側位置とに切り換えられ、るクラッチ切換弁58と、前記電子制御装置42から供給される駆動電流ISLU に対応したスリップ制御用信号圧Plin を発生するリニアソレノイド弁SLUと、そのリニアソレノイド弁SLUから出力されるスリップ制御用信号圧Plin に従って係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPを調節し、ロックアップクラッチ28のスリップ量を制御するスリップ制御弁60とが備えられている。なお、上記ロックアップクラッチ制御用油圧制御回路では、オイルクーラやリリーフ弁等は省略されている。
電磁弁MV1がオフ状態であるときには、クラッチ切換弁58によりロックアップクラッチ28の解放側油室21内の油圧Poff が係合側油室19内の油圧Ponよりも高められて、そのロックアップクラッチ28が解放されると同時に係合側油室18内の作動油がドレンへ排出される。反対に上記電磁弁MV1がオン状態であるときには、クラッチ切換弁58によりロックアップクラッチ28の係合側油室19内の油圧Ponが解放側油室21内の油圧Poff よりも高められて、そのロックアップクラッチ28が係合されると同時に解放側油室21内の作動油がドレンへ排出される。
上記クラッチ切換弁58が係合側に切り換えられているとき、スリップ制御弁60は、リニアソレノイド弁SLUから出力されるスリップ制御用信号圧Plin に従って、ロックアップクラッチ28の解放側油室21から排出される作動油の圧力を調節し、ロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔP(=Pon−Poff )を調節することにより、ロックアップクラッチ28のスリップ回転速度Ns (=Ne −Nin)を制御する。
図5は、電子制御装置42の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5において、変速判定手段64は、たとえば図6に示す予め記憶された変速線図から、たとえば実際の車速Vおよびアクセル開度θacc によって表され る車両走行状態に基づいて自動変速のための変速の実行か否かを判定する。変速判定手段64は、上記車両走行状態を示す点が変速線を横切ったときに変速判定し、その変速を実行するための出力を行う。変速油圧制御手段66は、その変速判定手段64からの変速出力を受けると、その変速を実行するために関連する油圧式摩擦係合装置の係合解放制御を実行する。たとえば変速判定手段64から4→5アップシフト変速出力が行われた場合には、変速油圧制御手段66はクラッチC1を解放させると同時にブレーキB3を係合させるように油圧制御回路48内のリニアソレノイド弁SL1およびSL5を制御する。
ロックアップクラッチ制御手段68は、たとえば図7に示す予め記憶された関係から、たとえば実際の車速Vおよびアクセル開度θacc によって表される車 両走行状態に基づいてロックアップクラッチ28の係合状態を判定し、その判定結果の係合状態が得られるように、油圧制御回路48を制御する。たとえば、上記車両走行状態が上記関係内に設けられた係合領域内である場合には、ロックアップクラッチ28を係合させるように、油圧制御回路48内の電磁弁MV1を制御する。上記図7に示すように、車速Vが所定値よりも高い高速走行状態すなわち高速側ギヤ段での走行状態では常時係合領域とされる。
係合圧低下手段70は、ロックアップクラッチ28が係合している状態でアップシフト変速が変速判定手段64から出力された場合には、ロックアップクラッチ28を上記アップシフト変速のトルク相において比較的軽いスリップ状態とするために、ロックアップクラッチ制御手段68に、そのアップシフト変速の開始直後からロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)すなわちロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPを所定の低下値ΔP1まで低下させる。
低下値決定手段72は、ロックアップクラッチ28が係合している状態でアップシフト変速が変速判定手段64から出力された場合には、上記係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)の低下に先立って、たとえば図8に示す予め記憶された関係から実際のロックアップクラッチ28の伝達トルクTL/C に基づいて決定する。このロックアップクラッチ28の伝達トルクTL/C は、エンジン回転速度Ne およびスロットル開度θthから推定(算出)されるエンジンの実際の出力トルクに基づいて決定される。ロックアップクラッチ28の伝達トルクTL/C が大きくなるほどロックアップクラッチ28の滑りが発生する傾向にあるので、上記関係は、ロックアップクラッチ28の伝達トルクTL/C が大きくなるほど低下値ΔP1を小さくするように設定されている。この関係は、アップシフト変速過程の初期においてロックアップクラッチ28の僅かなスリップが発生するように予め実験的に求められたものである。なお、上記関係は、データマップ或いは関数式の形態で記憶される。
低下値学習補正手段74は、ロックアップクラッチ28が係合している状態でのアップシフト変速において、上記係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下により発生するロックアップクラッチ28のスリップ量Ns が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、その係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下値ΔP1を学習により補正する。たとえば、ロックアップクラッチ28の係合圧の低下により発生する前記ロックアップクラッチ28のスリップ量Ns (エンジン回転速度Ne とタービン回転速度Nt との回転速度差=Ne −Nt :r.p.m. )として、アップシフト変速出力から予めイナーシャ相開始前となるように設定された時間が経過したときのスリップ量、或いはイナーシャ相開始時のスリップ量が用いられる。このスリップ量Ns が予め設定された目標値と一致するように、或いは予め設定された目標範囲内となるように、たとえば上記図8に示す関係が修正され、次回のアップシフト変速において用いられるように学習補正する。
スリップ状態判定手段76は、前記係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下によりロックアップクラッチ28がスリップ状態となったか否かを、イナーシャ相判定時或いは変速出力から所定時間ta 経過時において、ロックアップクラッチ28のスリップ量Ns が予め設定されたスリップ状態判定値を超えたか否か、或いはロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)すなわちロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPが予め設定されたスリップ状態判定値を下回ったか否かに基づいて判定する。そのスリップ状態判定値は、実際にロックアップクラッチ28がスリップ開始したか否かを判定するために予め実験的に求められた値である。
前記変速油圧制御手段66は、図9のタイムチャートに示すように、ロックアップクラッチ28が係合している状態でのアップシフト変速出力時(t1 時点)において、そのアップシフト変速に関係する係合側油圧式摩擦係合装置たとえば4→5アップシフト変速ではブレーキB3のファーストフィルために当初は急速に作動油を供給した後に待機圧とし、上記スリップ状態判定手段76によってロックアップクラッチ28がスリップ状態となった判定されたとき(t2 時点)には、ブレーキB3の係合圧を待機圧から所定の速度で緩やかに増加させ、タービン回転速度Nt が変速終了の変速比に対応する値に到達して回転同期が判定されると(t4 時点)、最大油圧値である第1ライン圧PL1まで上昇させる。
同時に、前記ロックアップクラッチ制御手段68は、図9のタイムチャートに示すように、ロックアップクラッチ28が係合している状態でのアップシフト変速出力時(t1 時点)において、係合圧低下手段70からの低下値ΔP1までロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)すなわちロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPを低下させ、そのアップシフト変速期間においてイナーシャ相の開始がタービン回転速度Nt の低下により判定されると(t3 時点)、上記ロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)すなわちロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPをさらに低下させてロックアップクラッチ28を解放状態とし、タービン回転速度Nt が変速終了の変速比に対応する値に到達して回転同期が判定されると(t4 時点)、所定の速度で上記ロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)を上昇させてそのロックアップクラッチ28を係合させる。なお、図9のタイムチャートでは、変速時に解放される解放側油圧式摩擦係合装置の係合圧の制御が省略されている。
図10は、前記電子制御装置42による変速過渡期間におけるロックアップクラッチ28および摩擦係合装置の油圧制御作動の要部を説明するフローチャートであり、比較的短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。この図10でのアップシフト変速は、4→5アップシフト変速を代表させて説明する。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1では、パワーオンであってロックアップクラッチ28が係合している状態での4→5アップシフト変速出力であるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記係合圧低下手段70、前記低下値決定手段72に対応するS2において、ロックアップクラッチ28の係合圧(押圧力)すなわちロックアップクラッチ28の係合側油室19及び解放側油室21の圧力差ΔPが所定の低下値ΔP1まで低下させられる。同時に、前記変速油圧制御手段66に対応するS3においてブレーキB3の係合圧が待機圧とされる。図9のt1 時点はこの状態を示している。
次に、前記スリップ状態判定手段76に対応するS4において、4→5アップシフト変速期間内のトルク相中にロックアップクラッチ28がスリップ状態となったか否かが、たとえば、実際のスリップ回転速度Ns が所定の判定値を超えたか否かに基づいて判断される。このS4の判断が否定される場合は繰り返しS4が実行されることにより待機させられるが、S4の判断が肯定されると、前記変速油圧制御手段66 に対応するS5において、ブレーキB3が待機圧から所定の速度で緩やかに上昇(スイープアップ)させられる。図9のt2 時点はこの状態を示している。
次いで、S6では、上記4→5アップシフト変速期間において、イナーシャ相が開始されたか否かが、タービン回転速度Nt の低下が発生したか否かに基づいて判断される。このS6の判断が否定される場合は繰り返しS6が実行されることにより待機させられるが、S6の判断が肯定されると、前記低下値学習補正手段74に対応するS7において、そのイナーシャ相が開始時のロックアップクラッチ28のスリップ量Ns が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、前記ロックアップクラッチ28の係合圧の低下値ΔP1が学習により補正され、次回の制御に備えられる。同時に、前記ロックアップクラッチ制御手段68に対応するS8では、ロックアップクラッチ28の係合圧が低下させられて解放される。図9のt3 時点はこの状態を示している。
続くS9では、上記4→5アップシフト変速の完了を示す回転同期判定が、タービン回転速度Nt が変速終了の変速比に対応する値に到達したことに基づいて判断される。このS9の判断が否定されるうちは繰り返しS9が実行されることにより待機させられるが、S9の判断が肯定されると、前記変速油圧制御手段66に対応するS10においてブレーキB3が完全係合されると同時に、前記ロックアップクラッチ制御手段68に対応するS11において、ロックアップクラッチ28の係合圧が上昇させられて、その係合状態に向かって復帰させられる。図9のt4 時点はこの状態を示している。
上述のように、本実施例によれば、ロックアップクラッチ28が係合させられているときのアップシフト変速指令に応答してロックアップクラッチ28が所定のスリップ状態となるように係合圧低下手段70(S2)によりそのロックアップクラッチ28の係合圧が低下させられて、そのロックアップクラッチ28がスリップ状態となったことがスリップ状態判定手段76(S4)により判定されると、そのスリップ状態判定手段76によりロックアップクラッチがスリップ状態となったことが判定されたことを条件として、変速油圧制御手段66(S5)により上記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御される。すなわち、ロックアップクラッチ28が実際にスリップ状態となったことを要件として、アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御される。このため、作動油の粘性に起因するロックアップクラッチ28の応答遅れ時間に拘わらず、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、本実施例によれば、前記スリップ状態判定手段76が、係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチ28のスリップ状態を、そのロックアップクラッチ28の実際のスリップ量Ns を検出することに基づいて判定するものであることから、実際のスリップ検出に基づくロックアップクラッチ28のスリップ状態判定を要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、本実施例によれば、前記スリップ状態判定手段76が、係合圧低下手段70による前記ロックアップクラッチ28の係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチ28のスリップ状態を、ロックアップクラッチ28の係合圧に基づいて判定するものであることから、実際のロックアップクラッチ28の係合圧の低下に基づくロックアップクラッチ28のスリップ状態判定を要件としてアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧が制御されるので、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、本実施例によれば、前記変速油圧制御手段66が、スリップ状態判定手段76によってロックアップクラッチ28のスリップ状態が判定されるまではアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置を所定の待機圧に維持し、スリップ状態判定手段76によってロックアップクラッチ28のスリップ状態が判定されるとその摩擦係合装置の係合圧を待機圧から上昇させるものであることから、ロックアップクラッチ28が実際にスリップ状態となってからアップシフト変速を達成するための摩擦係合装置が係合開始されるので、ロックアップクラッチ28の係合中のアップシフト変速時における変速ショックが安定的に抑制される。
また、本実施例によれば、前記係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下により発生するロックアップクラッチ28のスリップ量Ns が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、その係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下値を学習により補正する低下値学習補正手段74がさらに含まれるので、摩擦係合装置、制御回路などの経時変化に拘わらず、ロックアップクラッチ28の係合圧の低下値が適切な値に維持される。
また、本実施例によれば、前記係合圧低下手段70によるロックアップクラッチ28の係合圧の低下値を、たとえば図8に示す予め記憶された関係からそのロックアップクラッチ28の実際の伝達トルク或いはその関連値に基づいて決定する低下値決定手段72がさらに含まれることから、車両状態に応じて変化するロックアップクラッチ28の実際の伝達トルクに適した適切な低下値ΔP1が得られるので、アップ変速出力後の適切なタイミングでロックアップクラッチ28のスリップ状態が形成される。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
14:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
16:自動変速機
28:ロックアップクラッチ
66:変速油圧制御手段
70:係合圧低下手段
72:低下値決定手段
74:低下値学習補正手段
76:スリップ状態判定手段
B3:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
16:自動変速機
28:ロックアップクラッチ
66:変速油圧制御手段
70:係合圧低下手段
72:低下値決定手段
74:低下値学習補正手段
76:スリップ状態判定手段
B3:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
Claims (6)
- ロックアップクラッチ付流体式伝動装置を有し、摩擦係合装置の作動に従って変速が行われる車両用自動変速機において、該ロックアップクラッチの係合状態でアップシフト変速指令が出されたときは、該ロックアップクラッチの係合圧を予め低下させた状態で該アップシフト変速を実行する車両用自動変速機の変速制御装置であって、
前記アップシフト変速指令に応答して前記ロックアップクラッチが所定のスリップ状態となるように該ロックアップクラッチの係合圧を低下させる係合圧低下手段と、
該係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って前記ロックアップクラッチがスリップ状態となったことを判定するスリップ状態判定手段と、
該スリップ状態判定手段により前記ロックアップクラッチがスリップ状態となったことが判定されたことを条件として前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置の油圧を制御する変速油圧制御手段と
を、含むことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。 - 前記スリップ状態判定手段は、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、該ロックアップクラッチの実際のスリップを検出することに基づいて判定するものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。
- 前記スリップ状態判定手段は、前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下に伴って発生するロックアップクラッチのスリップ状態を、前記ロックアップクラッチの係合圧に基づいて判定するものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。
- 前記変速油圧制御手段は、前記スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されるまでは前記アップシフト変速を達成するための摩擦係合装置を所定の待機圧に維持し、スリップ状態判定手段によって前記ロックアップクラッチのスリップ状態が判定されると該摩擦係合装置の係合圧を該待機圧から上昇させるものである請求項1乃至3のいずれかの車両用自動変速機の変速制御装置。
- 前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下により発生する前記ロックアップクラッチのスリップ量が予め設定された目標値或いは目標範囲となるように、該係合圧低下手段によるロックアップクラッチの係合圧の低下値を学習により補正する低下値学習補正手段を、さらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの車両用自動変速機の変速制御装置。
- 前記係合圧低下手段による前記ロックアップクラッチの係合圧の低下値を、予め記憶された関係から該ロックアップクラッチの実際の伝達トルク或いはその関連値に基づいて決定する低下値決定手段を、さらに含むものである請求項1乃至5のいずれかの車両用自動変速機の変速制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004119551A JP2005299860A (ja) | 2004-04-14 | 2004-04-14 | 車両用自動変速機の変速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007270926A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Aisin Aw Co Ltd | 自動変速機の制御装置 |
JP2011190893A (ja) * | 2010-03-16 | 2011-09-29 | Jatco Ltd | 自動変速機の制御装置 |
KR102246626B1 (ko) | 2019-12-09 | 2021-04-30 | (주)현대케피코 | 댐퍼클러치 제어방법 및 시스템 |
-
2004
- 2004-04-14 JP JP2004119551A patent/JP2005299860A/ja active Pending
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