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JP2005298690A - 塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法 - Google Patents

塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法 Download PDF

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JP2005298690A JP2004117708A JP2004117708A JP2005298690A JP 2005298690 A JP2005298690 A JP 2005298690A JP 2004117708 A JP2004117708 A JP 2004117708A JP 2004117708 A JP2004117708 A JP 2004117708A JP 2005298690 A JP2005298690 A JP 2005298690A
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Sho Masuda
祥 増田
Takashige Maekawa
隆茂 前川
Yuji Hara
祐二 原
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Abstract

【課題】 優れた輸送性や保管性を確保しつつ、塗装性の良好な塗料が得られる塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法を提供する。
【解決手段】 フルオロオレフィンに基づく重合単位を有し、テトラヒドロフラン中25℃で測定される固有粘度が0.04〜0.18g/dLの範囲内にあり、かつガラス転移温度が−10℃以上35℃未満である含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体であることを特徴とする塗料用含フッ素樹脂組成物、および、含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物に塗料用溶剤を添加し、溶解させて塗料とすることを特徴とする塗料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法に関する。
含フッ素樹脂塗料は、その優れた耐久性から、被塗物のライフサイクルコスト低減をもたらしうる材料として、経済面、環境面から注目されている。
含フッ素樹脂塗料は、通常、含フッ素樹脂を適当な有機溶剤に溶解させた状態、いわゆるワニスとして供給されている。しかし、近年の環境意識の高まりから、従来用いられているキシレン等の芳香族有機溶剤に代えてより環境負荷の小さい溶剤を使用したり、より固形分濃度の高い(溶剤量が低減された)ワニスへの要求が高まっている。
より環境負荷の小さい溶媒を使用したワニスとして、例えば特許文献1では、大気汚染物質、いわゆるHAPs(Hazardous Air Pollutants)でない溶剤と特定の含フッ素共重合体とを組み合わせた塗料用含フッ素樹脂組成物が提案されている。
しかし、ワニスは、ある程度の溶剤を含むため、環境中への溶剤の放出を充分に低減することは難しい。また、塗料自体の質量や体積が大きく、多くの輸送手段や保管場所が必要になるなど、輸送性や保管性が充分ではない問題がある。さらに、固形分濃度を高くしたワニスは、長期間保管される場合に、ラジカル等の劣化因子が発生しやすく、該劣化因子によって含フッ素樹脂同士の架橋等が引き起こされ、粘度の上昇やゲル化が発生するなど、劣化しやすい問題もある。
一方、近年、環境負荷の少ない塗料として、粉体塗料が着目されている。粉体塗料は、通常、あらかじめ粉砕された樹脂成分やその他の添加剤を配合した組成物を溶融混練し、押し出し成形等により成形した後、例えばハンマーミル等で粉砕する方法、または樹脂成分を溶剤に溶解した状態で他の添加剤と混合した後、噴霧乾燥する方法等により製造される。
なお、粉体塗料用の含フッ素樹脂としては、室温で固体を保つ、塗装時の熱による樹脂の劣化を防ぐ、粉体塗料の保存時に粒子同士が融着するブロッキングを防ぐ等の理由により、通常、ガラス転移温度が40℃以上、好ましくは50℃以上のものが使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001-354911号公報 国際公開第03/029368号パンフレット
しかし、粉体塗料は、高温で加熱して焼き付け塗装を行う必要があるため、例えば橋や建築物等の大型の構造物への塗装は困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた輸送性や保管性を確保しつつ、塗装性の良好な塗料が得られる塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の含フッ素樹脂と2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物により、または含フッ素樹脂と2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物を溶剤に溶解させる塗料の製造方法により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、フルオロオレフィンに基づく重合単位を有し、テトラヒドロフラン中25℃で測定される固有粘度が0.04〜0.18g/dLの範囲内にあり、かつガラス転移温度が−10℃以上35℃未満である含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体であることを特徴とする塗料用含フッ素樹脂組成物である。
また、本発明は、含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物に塗料用溶剤を添加し、溶解させて塗料とすることを特徴とする塗料の製造方法である。
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物および塗料の製造方法により、優れた輸送性や保管性を確保しつつ、塗装性の良好な塗料が得られる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
≪塗料の製造方法≫
本発明の塗料の製造方法は、含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物に塗料用溶剤を添加し、溶解させて塗料とすることを特徴とする。
本発明において、「実質的に固体である」とは、25℃において流動性を示さず、一定形状を維持できる状態をいう。該「実質的に固体である」状態としては、25℃における粘度が4.5×10パスカル以上であることが好ましく、4.8×10パスカル以上であることがより好ましい。
塗料用溶剤としては含フッ素樹脂を溶解できるものであればよく、塗料溶剤の種類および添加量は、例えば塗料に使用できるものとして公知の溶剤のなかから、塗装方法、塗装される基材、乾燥条件などを考慮して適宜決定される。
例えば、スプレー塗装に用いる場合には、霧化に必要な蒸発適性を有することから、トルエン、キシレン等のケトン類が好ましく用いられる。
また、プラスチックなどの塗装の場合には、例えば沸点が140℃以下の低沸点溶剤等の、低温で乾燥する溶剤が好ましく用いられる。低沸点溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸ブチル、酢酸メチル、アセトン等が好ましく挙げられる。
この場合、塗料用溶剤は、塗料用溶剤の総質量に対し、低沸点溶剤を10〜100質量%含有することが好ましい。
また、ケトン類のような溶解力の強い溶剤(強溶剤)により、破壊されたりクラックが生じてしまうABS樹脂等の塗装の場合には、弱溶剤が好ましく用いられる。ここで、弱溶剤とは、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第3種有機溶剤とされているものであり、下記イ)〜ハ)のいずれかに相当するものである。
イ)ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリットおよびミネラルターペンを含む)、
ロ)イ)のみからなる混合物、
ハ)イ)と、イ)以外のものの混合物で、イ)を5質量%を越えて含有するもの。
この場合、塗料用溶剤は、塗料用溶剤の総質量に対し、弱溶剤を10〜100質量%含有することが好ましい。
特に、溶剤によるクラックが生じやすいポリカーボネートなどの塗装の場合には、シクロヘキサノンが好ましく用いられる。この場合、塗料用溶剤は、塗料用溶剤の総質量に対し、シクロヘキサノンを20〜100質量%含有することが好ましい。
また、大気汚染、温暖化等の地球環境に対する配慮、人体への影響の軽減などの環境対応のためには、上記弱溶剤、下記HAPsフリー溶剤等が好ましく用いられる。
・HAPsフリー溶剤
HAPsとは、米国環境保護局(EPA)により大気汚染物質(Hazardous Air Pollutants)として指定されている物質で、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、MEK等が挙げられる。
HAPsフリー溶剤は、これらのHAPsを含まない溶剤である。好ましいHAPsフリー溶剤としては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、酢酸−tert−ブチル、4−クロロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、モノクロロトルエン、3,4−ジクロロベンゾトリフルオリド等が挙げられ、特に3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、4−クロロベンゾトリフルオリド(CBTF)は可溶性、環境負荷の低さから好適である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
塗料用溶剤としてHAPsフリー溶剤を用いる場合、塗料用溶剤は、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、酢酸−tert−ブチル、4−クロロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、モノクロロトルエンおよび3,4−ジクロロベンゾトリフルオリドからなる群から選択される少なくとも1種を、塗料用溶剤の総質量に対し、30〜100質量%含有することが好ましい。
含フッ素樹脂として紫外線硬化型の含フッ素樹脂を用いる場合、塗料用溶剤としては、反応性希釈剤が好ましく用いられる。反応性希釈剤は、硬化過程において紫外線に対して反応性を有し、樹脂と架橋したり、それ自身が重合して固化し、溶液状態を脱して塗膜を形成する。反応性希釈剤としては、スチレン、オキサビシクロヘプタン、アクリルモルホリン、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。塗料用溶剤として反応性希釈剤を用いる場合、塗料用溶剤は、塗料用溶剤の総質量に対し、反応性希釈剤を10〜100質量%含有することが好ましい。
また、環境対応のためには、塗料用溶剤の添加量を減らし、固形分濃度を高くして、低VOC塗料とすることが好ましい。VOCとは、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound)である。低VOC塗料とする場合、塗料用溶剤の添加量は、固形分濃度が50質量%以上となる量が好ましく、60質量%以上となる量がより好ましく、70質量%以上となる量が最も好ましい。
本発明の塗料の製造方法に好適に用いられる塗料用含フッ素樹脂組成物としては、含フッ素樹脂を含有する粉体塗料組成物、後述する本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物等が挙げられる。特に、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、上述したHAPsフリー溶剤、弱溶剤等に対する溶解性が高く、また、輸送時や保管時、すなわち塗料用溶剤の添加前における、組成物中での含フッ素樹脂の安定性が良好であるため、好ましい。
塗料用溶剤を添加し、溶解させる方法としては、一般的に塗料の製造に用いられている方法、例えば含フッ素樹脂組成物と塗料用溶剤とを容器に入れ、撹拌することにより行うことができる。
本発明の製造方法により得られる塗料を用いて塗装する方法としては、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコーター、フローコーター等の任意の方法を適用できる。
塗装される物品の材質としては、コンクリート、自然石、ガラス等の無機物、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等の金属、プラスチック、ゴム、接着剤、木材等の有機物が挙げられる。特に、すでに形成された塗膜の表面への塗装に適する。また有機無機複合材であるFRP、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の塗装にも適する。
また、塗装される物品としては、自動車、電車、航空機等の輸送用機器、橋梁部材、鉄塔などの土木部材、防水材シート、タンク、パイプ等の産業機材、ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメント、ポール等の建築部材、道路の中央分離帯、ガードレール、防音壁等の道路部材、通信機材、電気および電子部品等が挙げられる。
≪塗料用含フッ素樹脂組成物≫
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、フルオロオレフィンに基づく重合単位を有し、テトラヒドロフラン中25℃で測定される固有粘度が0.04〜0.18g/dLの範囲内にあり、かつガラス転移温度が−10℃以上35℃未満である含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体であることを特徴とする。
<含フッ素樹脂>
含フッ素樹脂を構成するフルオロオレフィンに基づく重合単位(以下、フルオロオレフィン単位ということがある。)の原料としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペンタフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフルオロオレフィンが使用できる。
該含フッ素樹脂は、フルオロオレフィン単位に基づくフッ素原子の含有量が、含フッ素樹脂の総質量に対して10質量%以上であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。フッ素の含有量が10質量%以上であると、塗膜の耐候性が充分である。
含フッ素樹脂の、テトラヒドロフラン中25℃で測定される固有粘度は、0.04〜0.18g/dLの範囲内であり、0.05〜0.17g/dLが好ましく、0.05〜0.15g/dLがより好ましい。固有粘度が下限値以上であると、含フッ素樹脂の絶対分子量が小さくなりすぎず、含フッ素樹脂における低分子量体の割合が多くなりすぎることがないため、実質的に固体となる。また、固有粘度が上限値以下であると、絶対分子量が大きくなりすぎず、塗料用溶剤に溶解する際に、種々の溶剤に溶解できる。
含フッ素樹脂のガラス転移温度(以下、Tと略記する。)は、−10℃以上35℃未満であり、0℃以上35℃未満が好ましく、5℃以上35℃未満がより好ましい。Tが該範囲内にあると、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物を実質的に固体とすることができる。また、該塗料用含フッ素樹脂組成物が溶剤に溶解しやすく、上述したように塗料用溶剤を添加して溶解させ、塗料を調製する際に、固形分濃度を高くできる。
含フッ素樹脂は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(M)が、4000以上17000以下であることが好ましく、5000以上10000以下が特に好ましい。4000以上であると、実質的に固体になりやすい。17000以下では、溶剤に対する含フッ素樹脂の溶解性が高く、塗料を調製する際に、多様な溶剤が使用でき、また、塗料の固形分濃度を60質量%以上にすることが容易になる。
また、上記と同様の理由から、質量平均分子量(M)は6000以上50000以下が好ましく、8000以上35000以下がより好ましく、8000以上25000以下が最も好ましい。
含フッ素樹脂としてより具体的には、非ビニリデン系含フッ素共重合体が好ましい。非ビニリデン系含フッ素共重合体は、例えば後述するHAPsフリー溶剤、シクロヘキサノン、弱溶剤等の溶剤に溶解しやすいことから、溶剤を添加して塗料(ワニス)を調製する際に、高固形分濃度のワニスを得やすい。また、組成物中での安定性が高く、保管中に自己架橋等による劣化が生じにくい。
本発明において、非ビニリデン系含フッ素共重合体とは、フルオロオレフィン単位と、フルオロオレフィンと共重合可能な単量体単位とを含むものであり、好ましくは架橋性反応基を有する。なお、ビニリデン系含フッ素共重合体とは、フルオロオレフィン単位の主体がフッ化ビニリデンである含フッ素共重合体である。
フルオロオレフィンとしては、上述したフルオロオレフィンのうち、フッ化ビニリデン以外のフルオロオレフィンが挙げられる。なお、少量であればフッ化ビニリデンも使用できる。
フルオロオレフィンと共重合可能な単量体としては、塗膜の耐候性を著しく損なわないものが使用され、通常、エチレン性不飽和化合物、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、(イソ)ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(イソ)酪酸ビニル、吉草酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等の、アルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;安息香酸ビニル等の、芳香族カルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、(イソ)ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、(イソ)ブチルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類;エチレン、プロピレン、(イソ)ブチレン等のアルケン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましく挙げられる。
これらのフルオロオレフィンおよびフルオロオレフィンと共重合可能な単量体は、それぞれ、1種または2種以上を使用することができる。
架橋性反応基としては、水酸基、カルボキシ基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、臭素、ヨウ素等の活性ハロゲン、イソシアネート基、加水分解性シリル基等が挙げられる。
非ビニリデン系含フッ素共重合体への架橋性反応基の導入方法は、架橋性反応基を有する単量体を共重合せしめる方法、共重合体の一部を分解せしめる方法、共重合体の官能基に架橋性反応基を与える化合物を反応せしめる方法等を挙げることができる。
架橋性反応基を有する単量体としては、水酸基、カルボキシ基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、またはイソシアネート基、加水分解性シリル基を有する単量体を例示できる。
水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等の、ヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等や、これらが部分的にフッ素置換された化合物等が挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、ウンデシレン酸、(メタ)アクリル酸、カルボキシルアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
アミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体としては、例えば、アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
グリシジル基を有する単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体としては、例えば、ビニルイソシアネート、イソシアネートエチルアクリレート等が挙げられる。
上記架橋部位を与える単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性に優れることから、ビニル系またはアリル系の化合物が好ましく用いられる。
非ビニリデン系含フッ素共重合体の架橋性反応基と反応して架橋結合を形成する硬化剤としては、特に制限はなく、塗料用として公知のものを使用できる。
架橋部位が水酸基である場合は、硬化剤として、例えば、イソシアネート基、カルボキシ基等を有する化合物、メラミン樹脂が用いられる。
架橋部位がカルボキシ基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がアミノ基である場合は、硬化剤として、例えば、カルボキシ基、グリシジル基、イソシアネート基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がグリシジル基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドラジド基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がイソシアネート基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等を有する化合物が用いられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、ブロックイソシアネート化合物、例えば、イソホロンジソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物や、これらの二量体、三量体やトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物等のイソシアネート化合物のイソシアネート基をε−カプロラクタム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチルケトンオキシム等のブロック化剤でブロックした化合物が挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族二塩基酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物、酸価を有するポリエステル樹脂やアクリル樹脂等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアネート、スピログリコールジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、スチレン・アリルアルコール共重合体、スピログリコール、水酸基価を有するポリエステルやアクリル樹脂等が挙げられる。
その他、ジシアンジアミド及びジシアンジアミド誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、二塩基酸ジヒドラジド、ジアミノジフェニルメタン、環状アミジン、ヒダントイン化合物等も使用できる。
含フッ素共重合体は、フルオロオレフィン等の単量体を、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の適宜の重合法により共重合させて合成することができる。例えば溶液重合では、重合媒体の存在下で、重合開始剤または電離性放射線などの重合開始源を作用せしめて共重合反応を行うことによって製造できる。
重合媒体としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサノン、ソルベントナフサ、ミネラルターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等の脂肪族系溶剤、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、酢酸tert−ブチル、4−クロロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、モノクロロトルエン、3,4−ジクロロベンゾトリフルオリド等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカーボネートニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系開始剤;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、2,2−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレイト等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート類等の過酸化物系開始剤;等が挙げられる。
塗料用含フッ素樹脂組成物中における含フッ素樹脂の割合は、塗料用含フッ素樹脂組成物の総質量の98質量%以上が好ましく、98.5質量%以上がより好ましい。含フッ素樹脂の割合が上記範囲内であると、塗料用含フッ素樹脂組成物を実質的に固体とすることができる。また、該塗料用含フッ素樹脂組成物を用いた塗料の耐候性も充分なものとなる。
<溶剤>
塗料用含フッ素樹脂組成物を構成する溶剤としては、含フッ素樹脂を溶解できるものであればよく、任意の溶剤であってよく、例えば、上述したような、含フッ素共重合体の製造に用いられる重合媒体や、上記本発明の塗料の製造方法において例示した塗料用溶剤等が挙げられる。
塗料用含フッ素樹脂組成物中における溶剤の割合は、塗料用含フッ素樹脂組成物の総質量の2.0質量%未満であり、1.5質量%未満が好ましい。溶剤の割合が2.0質量%未満であると、含フッ素樹脂の軟化点が適度となり、塗料用含フッ素樹脂組成物を実質的に固体とすることができる。下限値としては、0質量%超であればよい。
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、含フッ素樹脂および溶剤のほか、塗膜の乾燥性を改善するために、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等を含有してもよく、塗膜の光沢、硬度、塗料の施工性を改良するために、アクリル酸またはそのエステルからなる重合体、ポリエステル等の塗料用樹脂を含有していてもよい。本発明の効果のためには、含フッ素樹脂が、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物中に含まれる総固形分の10〜100質量%を占めることが好ましく、20〜100質量%がより好ましい。
本発明の塗料は、必要に応じて、他の機能性配合剤を含有してもよい。他の機能性配合剤としては、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤等が挙げられる。
着色顔料、染料としては、耐候性の良いカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエロー等の有機顔料、染料等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
硬化促進剤としては、イソシアネート系硬化剤用にジブチルスズジラウレート等、メラミン系硬化剤用にパラトルエンスルホン酸等の酸性触媒が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(以上、アデカアーガス化学社製、商品名)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等が挙げられ、つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成できる。
なお、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、上述した本発明の塗料の製造方法において、塗料用溶剤を添加され、ワニス状態の塗料として使用される場合に、従来の粉体塗料とは異なり、焼き付け塗装を行う必要がない。そのため、焼き付け時の熱による含フッ素樹脂の劣化を防ぐための熱安定剤を含まなくてもよい。
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、例えば上述の含フッ素共重合体の製造方法により得られた含フッ素共重合体の重合媒体溶液とその他の任意の成分とを混合し、該溶液から、重合媒体を留去し、溶剤量を2質量%未満とする方法により製造できる。
また、該重合媒体溶液の重合媒体を、減圧蒸留等により他の溶剤、例えば上述した塗料用溶剤に置換した後、該溶剤を留去し、溶剤量を2質量%未満とすることにより製造できる。
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、上述した本発明の塗料の製造方法に好適に用いられる。
本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、上述したHAPsフリー溶剤、シクロヘキサノン等の塗料用溶剤に対する溶解性が高く、使用時に、多様な任意の有機溶剤に溶解させ、ワニスにすることができる。本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物が塗料用溶剤に溶解しやすい理由としては、上述のような重合単位や固有粘度、Tを有する含フッ素樹脂が、3次元構造が少ないかあるいは存在しない比較的単純な構造を有していると考えられる。
また、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、輸送時や保管時、すなわち塗料用溶剤の添加前における、組成物中での含フッ素樹脂の安定性が良好である。そのため、得られる塗料も、品質の良好なものとなる。すなわち、従来のワニス状態の塗料用含フッ素樹脂組成物は、輸送、保管時に、経時的に含フッ素樹脂の分子量が増大し、ワニス粘度の変動、塗料塗膜の物理性能の低下を及ぼしていたが、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物においては、経時的な分子量変化が発生しにくく、安定である。
さらに、従来の、有機溶剤を多量に含有したワニス状態のものは、移送に多くの手間と時間が必要であったが、本発明の塗料用含フッ素樹脂組成物は、それらを著しく低減できる。
以下に、実施例(例1は実施例、例2〜7は比較例)を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら制限されない。なお、実施例中の%は質量%を示す。また、固有粘度[η]およびTの値は、それぞれ以下のようにして測定した。
η:THFを用いて10質量%となるように希釈し、ウベロード粘度計を用いて粘度を測定し、予め作成しておいた検量線を用いて、無限希釈した場合の粘度を算出した。
:DSL(示差走査熱量分析装置)を用いて測定した吸熱ピークより算出した。
[合成例1]
内容積500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器(耐圧:5.0MPa)に、キシレンの170g、エタノールの50g、シクロヘキシルビニルエーテル(以下、CHVEと略記する。)の22g、エチルビニルエーテル(以下、EVEと略記する。)の26g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(以下、HBVEと略記する。)の16g、炭酸カルシウムの1.5gおよびパーブチルパーピバレート(以下、PBPVと略記する。)の1.5gを仕込み、液体窒素を用いて固化および脱気をし、仕込み液中の溶存酸素を除去した。
次いで、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEと略記する。)の80gを導入して徐々に昇温し、温度を65℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応の原料をパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して、固形分濃度が50質量%、ηが0.07(g/dL)、Tが30℃、Mが6000、Mが15000である含フッ素共重合体aの溶液を得た。
[合成例2]
内容積500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器(耐圧:5.0MPa)に、キシレンの150g、エタノールの40g、エチルヘキシルビニルエーテル(以下、EHVEと記す。)の82g、HBVEの19g、炭酸カルシウムの1.5gおよびPBPVの1.5gを仕込み、液体窒素を用いて固化および脱気をし、仕込み液中の溶存酸素を除去した。
次いで、CTFEの80gを導入して徐々に昇温し、温度を65℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応の原料をパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して、固形分濃度が50質量%、ηが0.06(g/dL)、Tが−15℃、Mが8000、Mが22000である含フッ素共重合体bの溶液を得た。
[合成例3]
内容積500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器(耐圧:5.0MPa)に、キシレンの170g、エタノールの50g、CHVEの51g、EVEの9g、HBVEの17g、炭酸カルシウムの1.5gおよびPBPVの1.5gを仕込み、液体窒素を用いて固化および脱気をし、仕込み液中の溶存酸素を除去した。
次いで、CTFEの80gを導入して徐々に昇温し、温度を65℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応の原料をパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して、固形分濃度が50質量%、ηが0.07(g/dL)、Tが40℃、Mが6500、Mが18000である含フッ素共重合体cの溶液を得た。
[合成例4]
内容積500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器(耐圧:5.0MPa)に、キシレンの170g、エタノールの50g、CHVEの2.2g、EVEの2.6g、HBVEの1.6g、炭酸カルシウムの0.15gおよびPBPVの0.3gを仕込み、液体窒素を用いて固化および脱気をし、仕込み液中の溶存酸素を除去した。
次いで、CTFEの8gを導入して徐々に昇温し、温度を65℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応の原料をパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して、固形分濃度が30質量%、ηが0.02(g/dL)、Tが30℃、Mが2500、Mが6000である含フッ素共重合体dの溶液を得た。
[合成例5]
内容積500mLのステンレス製撹拌機付き耐圧反応器(耐圧:5.0MPa)に、キシレンの35g、tert−ブタノールの75g、CHVEの33g、EVEの39g、HBVEの24g、炭酸カルシウムの2.5gおよびPBPVの2gを仕込み、液体窒素を用いて固化および脱気をし、仕込み液中の溶存酸素を除去した。
次いで、CTFEの120gを導入して徐々に昇温し、温度を5℃に維持しながら反応を続けた。10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応の原料をパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して、固形分濃度が50質量%、ηが0.19(g/dL)、Tが30℃、Mが30000、Mが80000である含フッ素共重合体eの溶液を得た。
合成例1〜5で得られた含フッ素共重合体a〜eの組成(単位:g)および物性(Tおよびη)を表1に示す。
Figure 2005298690
以下の例1〜7において、上記で得られた含フッ素共重合体a〜eの溶液を用いて塗料用含フッ素樹脂組成物(乾燥含フッ素共重合体組成物A、A2、B、C、D、E、およびシクロヘキサノン溶液A’)を調製し、それぞれについて下記の評価を行った。
[例1]
含フッ素共重合体aの溶液を、真空薄膜蒸留機(120℃)を用いて、キシレンの量が1.5質量%の乾燥含フッ素共重合体組成物Aを得た。
[例2]
含フッ素共重合体aの溶液を、真空薄膜蒸留機(120℃)を用いて、キシレンの量が2.5質量%の乾燥含フッ素共重合体組成物A2を得た。
[例3]
含フッ素共重合体bの溶液を、例1と同様にして、乾燥含フッ素共重合体組成物Bを得た。
[例4]
含フッ素共重合体cの溶液を、例1と同様にして、乾燥含フッ素共重合体組成物Cを得た。
[例5]
含フッ素共重合体dの溶液を、例1と同様にして、乾燥含フッ素共重合体組成物Dを得た。
[例6]
含フッ素共重合体eの溶液を、操作1と同様にして、乾燥含フッ素共重合体組成物Eを得た。
[例7]
乾燥含フッ素共重合体組成物Aに対し、含フッ素共重合体aの濃度が50質量%となるようにシクロヘキサノンを加え、溶解させてシクロヘキサノン溶液A’を製造した。
[形状維持評価]
液体窒素で冷却しながら粉砕後、0.5gを秤量して、直径7mm高さ約8mmペレットに成形した後、25℃において固体の形状を維持できるかどうかを観察した。固体の形状を維持できるものを○、維持できないものを×で評価した。評価結果を表2に示す。
表2に示すように、溶剤が2質量%以上である乾燥含フッ素共重合体組成物A2は、25℃において固体の形状を維持できなかった。樹脂のガラス転移点が−10℃以下である乾燥含フッ素共重合体組成物Bは、25℃において固体の形状を維持できなかった。乾燥樹脂の固有粘度が0.04g/dL以下である含フッ素共重合体組成物Dは、25℃において固体の形状を維持できなかった。
Figure 2005298690
[溶解性評価]
得られた乾燥含フッ素共重合体組成物A、C、Eについて、固形分濃度が50質量%となるように3−エトキシプロピオン酸エチルを添加し、3時間撹拌して、溶解するかどうか目視で観測した。完全に溶解したものを○、溶解が不完全であるものを×で評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示すように、乾燥含フッ素共重合体Cは、50質量%の濃度に溶解できなかった。これは、乾燥工程において樹脂の3次元化が発生し、溶解性が低下したと推測される。樹脂の固有粘度が0.18以上であり、また質量平均分子量も大きい乾燥含フッ素共重合体Eは、50質量%の濃度に溶解できなかった。
Figure 2005298690
[安定性試験]
乾燥含フッ素共重合体Aとシクロヘキサノン溶液A’を、50℃の恒温槽に4週間保管し、保管前後の質量平均分子量(M)を比較した。その結果を表4に示す。
表4に示すように、含フッ素共重合体aは、シクロヘキサノン溶液A’に溶解している場合は4週間後にMの著しい増大が見られたが、乾燥含フッ素共重合体組成物A中ではMにほとんど変化がなく、安定であった。
Figure 2005298690
以上の結果から明らかなように、ηが0.04〜0.18g/dLの範囲内にあり、かつTが−10℃以上35℃未満である含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有する例1の乾燥含フッ素共重合体組成物Aは、実質的に固体であり、溶剤への溶解性が良好である。また、保管前後での含フッ素樹脂のM変化も少ない。したがって、固体の状態で、品質の劣化を生じることなく輸送、保管を行うことができるとともに、塗料として使用する際に多様な溶剤に溶解できる。そのため、大型構造物等を含め、多様な対象への塗装が可能である。

Claims (5)

  1. フルオロオレフィンに基づく重合単位を有し、テトラヒドロフラン中25℃で測定される固有粘度が0.04〜0.18g/dLの範囲内にあり、かつガラス転移温度が−10℃以上35℃未満である含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体であることを特徴とする塗料用含フッ素樹脂組成物。
  2. 含フッ素樹脂が非ビニリデン系含フッ素共重合体である請求項1に記載の塗料用含フッ素樹脂組成物。
  3. 含フッ素樹脂のガラス転移温度が5℃以上35℃未満である請求項1または2に記載の塗料用含フッ素樹脂組成物。
  4. 含フッ素樹脂と、2質量%未満の溶剤とを含有し、実質的に固体である塗料用含フッ素樹脂組成物に塗料用溶剤を添加し、溶解させて塗料とすることを特徴とする塗料の製造方法。
  5. 塗料用含フッ素樹脂組成物が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料用含フッ素樹脂組成物である請求項4に記載の塗料の製造方法。

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