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JP2005298380A - 芳香族カルボン酸の製造法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造法 Download PDF

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JP2005298380A
JP2005298380A JP2004114643A JP2004114643A JP2005298380A JP 2005298380 A JP2005298380 A JP 2005298380A JP 2004114643 A JP2004114643 A JP 2004114643A JP 2004114643 A JP2004114643 A JP 2004114643A JP 2005298380 A JP2005298380 A JP 2005298380A
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carboxylic acid
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JP2004114643A
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Narihisa Hirai
成尚 平井
Masahiko Terada
正彦 寺田
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】 特殊な反応設備を必要とすることなく、また多工程を経ることなく、工業的に生産性よく芳香族カルボン酸を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 本発明の芳香族カルボン酸の製造法では、下記式(i)
【化1】
Figure 2005298380

[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物触媒Aの存在下、芳香環に置換基として炭化水素基のみが結合している芳香族化合物Bを酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を製造する方法であって、前記窒素原子含有環状化合物触媒A、前記芳香族化合物B、反応溶媒及び酸素を反応器に連続的に供給し且つ反応混合液を反応器から連続的に抜き取るとともに、反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアミドやポリエステルの原料、精密化学品の中間原料等として有用な芳香族カルボン酸の製造法に関し、より詳細には、芳香環にアルキル基等の炭化水素基を有する芳香族化合物を触媒の存在下で酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を製造する方法に関する。
芳香族カルボン酸の製造法として、キシレン等の芳香環にアルキル基を有する芳香族化合物を、有機酸中、Co−Mn−Br系触媒の存在下で、分子状酸素により酸化する方法が知られている。しかし、この方法では腐食性の強い臭素を用いるため、特殊な材質の製造設備を使用する必要がある。
特開平8−38909号公報及び特開平9−327626号公報には、分子状酸素により基質を酸化するための触媒として、特定構造を有するイミド化合物、又は前記イミド化合物と遷移金属化合物などとで構成された酸化触媒が提案されており、これらの触媒によれば、芳香環に結合しているアルキル基を温和な条件下で酸化することができる。また、国際公開第03/28884号パンフレット及び特開2003−128618号公報には、N−置換環状イミド骨格を有するイミド系化合物で構成された触媒の存在下、芳香環にアルキル基又はその低次酸化基が結合している芳香族化合物を酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を得る方法が開示されている。これらの方法によれば、特殊な反応設備を必要とすることなく芳香族カルボン酸を得ることができる。しかしながら、上記方法においても製造条件や生産性の面でいまだなお工業化には不十分である。
特開平8−38909号公報 特開平9−327626号公報 国際公開第03/28884号パンフレット 特開2003−128618号公報
従って、本発明の目的は、特殊な反応設備を必要とすることなく、また多工程を経ることなく、工業的に生産性よく芳香族カルボン酸を製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、触媒を効率よく使用しうる芳香族カルボン酸の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、触媒の活性を長期間維持できる芳香族カルボン酸の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、芳香族ポリカルボン酸を簡易な設備で効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の窒素原子含有環状化合物触媒、芳香環に炭化水素基が結合している芳香族化合物、溶媒及び酸素を連続的に反応器に供給し且つ反応液を連続的に反応器から抜き取る気−液連続反応方式で反応を行うとともに、反応系内における前記芳香族化合物の濃度を特定の値以下の条件で反応を行うと、工業的に生産性よく芳香族カルボン酸を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(i)
Figure 2005298380
[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物触媒Aの存在下、芳香環に置換基として炭化水素基のみが結合している芳香族化合物Bを酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を製造する方法であって、前記窒素原子含有環状化合物触媒A、前記芳香族化合物B、反応溶媒及び酸素を反応器に連続的に供給し且つ反応混合液を反応器から連続的に抜き取るとともに、反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行うことを特徴とする芳香族カルボン酸の製造法を提供する。
この製造法において、反応系内における窒素原子含有環状化合物触媒Aと芳香族化合物Bとのモル比(前者/後者)が0.01以上の条件で反応を行うのが好ましい。また、反応温度は好ましくは150℃以上である。さらに、オフガス中の酸素濃度は1〜8%に調整されるのが好ましく、滞留時間は0.5〜4時間の範囲が好適である。
前記製造法の1つの態様では、直列に配した複数の反応器を用いて連続的に反応を行うとともに、少なくとも最後の反応器において、反応系内における芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行う。
前記窒素原子含有環状化合物触媒Aには、下記式(I)
Figure 2005298380
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物、又は下記式(II)
Figure 2005298380
[式中、mは1又は2を示す。Gは炭素原子又は窒素原子を示し、mが2のとき、2つのGは同一でもよく異なっていてもよい。Rは前記に同じ]
で表される環状アシルウレア骨格を有する環状アシルウレア系化合物が含まれる。
前記製造法では、金属化合物を助触媒として用いるのが好ましい。金属化合物としては、コバルト化合物及びマンガン化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物を好適に使用できる。金属化合物の使用量は、窒素原子含有環状化合物触媒A1モルに対して0.001〜10モルの範囲が好ましい。
本発明によれば、腐食性の強い試剤を用いる必要がないので、特殊な反応設備を使用することなく、効率よく芳香族カルボン酸を製造できる。また、気−液連続反応方式(流通式)を採用するとともに、反応系内の基質濃度を極めて低い値に調整しつつ反応を行うので、触媒が安定してその作用を発揮できるためか、高い生産効率で芳香族カルボン酸を製造することができる。また、触媒を効率よく利用できる。本発明は、特に、テレフタル酸等の芳香族ポリカルボン酸の製造に有利である。
[窒素原子含有環状化合物触媒A]
本発明では、触媒として前記式(i)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物を用いる。
式(i)において、窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。前記窒素原子含有環状化合物は、分子中に、式(i)で表される骨格を複数個有していてもよい。また、この窒素原子含有環状化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、式(i)で表される骨格のうちRを除く部分が複数個、Rを介して結合していてもよい。
式(i)中、Rで示されるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシル基の保護基を用いることができる。このような保護基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-20脂肪族アシル基等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
また、Xが−OR基である場合において、式(i)で表される骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
好ましいRには、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性保護基などが含まれる。
前記窒素原子含有環状化合物には、例えば、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物が含まれる。前記環状イミド系化合物は、分子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を複数個有していてもよい。また、この環状イミド系化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。
式(I)において、nは0又は1を示す。すなわち、式(I)は、nが0の場合は5員のN−置換環状イミド骨格を表し、nが1の場合は6員のN−置換環状イミド骨格を表す。
前記環状イミド系化合物の代表的な例として、下記式(1)
Figure 2005298380
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
Figure 2005298380
(式中、n、Xは前記に同じ)
で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
で表される化合物が挙げられる。
式(1)で表されるイミド化合物において、置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
アリール基には、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、前記式(a)で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素−炭素結合と共に二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
Figure 2005298380
(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員のN−置換環状イミド骨格を形成していてもよい。式(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。Xは前記に同じ)
置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。
置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
好ましいイミド化合物のうち5員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、α,β−ジアセトキシ−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(バレリルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフタル酸イミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタル酸イミド、4−エトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−ペンチルオキシカルボニルフタル酸イミド、4−ドデシルオキシ−N−ヒドロキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−フェノキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(エトキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(フェノキシカルボニル)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタル酸イミド、N−テトラヒドロピラニルオキシフタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
好ましいイミド化合物のうち6員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(N−ヒドロキシナフタル酸イミド)、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メタンスルホニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド又はN,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
前記窒素原子含有環状化合物には、上記環状イミド系化合物の他に、前記式(II)で表される環状アシルウレア骨格[−C(=O)−N−C(=O)−N−]を有する環状アシルウレア系化合物が含まれる。前記環状アシルウレア系化合物は、分子中に、式(II)で表される環状アシルウレア骨格を複数個有していてもよい。また、この環状アシルウレア系化合物は、式(II)で表される環状アシルウレア骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状アシルウレア骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。前記環状アシルウレア骨格を構成する原子G、及び該Gに結合している窒素原子は各種置換基を有していてもよく、また、前記環状アシルウレア骨格には非芳香族性又は芳香族性環が縮合していてもよい。さらに、前記環状アシルウレア骨格は環に二重結合を有していてもよい。
式(II)で表される環状アシルウレア骨格には、下記の式(IIa)で表される3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)ヒダントイン骨格、式(IIb)で表される4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン骨格[4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン骨格を含む]、式(IIc)で表されるヒドロ−3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4−ジオン骨格[ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン骨格、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ(又は1,3−ビス置換オキシ)−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン骨格、3−ヒドロキシ(又は3−置換オキシ)ウラシル骨格を含む]、式(IId)で表されるヒドロ−4−ヒドロキシ(又は4−置換オキシ)−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン骨格、式(IIe)で表されるヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン骨格、及び式(IIf)で表されるヒドロ−5−ヒドロキシ(又は5−置換オキシ)−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン骨格が含まれる。
Figure 2005298380
(式中、Rは前記に同じ)
前記環状アシルウレア系化合物の代表的な例として、下記式(2)
Figure 2005298380
(式中、Ra、Rdは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、又はアシル基を示し、Rb、Rcは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中の環を構成する原子とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、RbとRcは一体となってオキソ基を形成してもよい。Rは前記に同じ)
で表されるヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン化合物が挙げられる。
式(2)中、Ra、Rdにおけるアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。ヒドロキシル基の保護基としては、前記のものが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、トリアルキルシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基など)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1-6アルキルアミノ基など)などが挙げられる。
b、Rcにおけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。
式(2)において、Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中に示される環を構成する原子(炭素原子及び/又は窒素原子)とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、Rb、Rcは一体となってオキソ基を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環としては前記と同様のものが例示される。
好ましい環状アシルウレア系化合物の代表的な例として、例えば、3−ヒドロキシヒダントイン、1,3−ジヒドロキシヒダントイン、3−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン、3−アセトキシヒダントイン、1,3−ジアセトキシヒダントイン、3−アセトキシ−1−メチルヒダントイン、3−ベンゾイルオキシヒダントイン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)ヒダントイン、3−ベンゾイルオキシ−1−メチルヒダントインなどの式(IIa)で表される骨格を有する化合物;4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンなどの式(IIb)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−3−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、1,3−ジアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、3−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1−メチル−1,3−ジアジン−2,4−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3−ジヒドロキシ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1,3−ジアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、1,3−ビス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−2,4,6−トリオン、3−ヒドロキシウラシル、3−アセトキシウラシル、3−ベンゾイルウラシルなどの式(IIc)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−4−ヒドロキシ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、ヘキサヒドロ−4−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2−ジメチル−1,2,4−トリアジン−3,5−ジオンなどの式(IId)で表される骨格を有する化合物;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリス(ベンゾイルオキシ)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(メトキシメチルオキシ)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオンなどの式(IIe)で表される骨格を有する化合物[例えば、式(2)で表される化合物];ヘキサヒドロ−5−ヒドロキシ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、ヘキサヒドロ−5−ヒドロキシ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオン、5−ベンゾイルオキシ−ヘキサヒドロ−1,2,3−トリメチル−1,2,3,5−テトラジン−4,6−ジオンなどの式(IIf)で表される骨格を有する化合物が挙げられる。
前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)は、公知の方法に準じて、又は公知の方法の組み合わせにより製造することができる。また、前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより調製することができる。
具体的には、前記環状イミド系化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により得ることができる。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。また、これ以外の方法で製造することも可能である。
特に好ましいイミド化合物は、脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなど);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物などが含まれる。
前記環状アシルウレア系化合物のうち、例えば、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリアセトキシイソシアヌル酸)は、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリヒドロキシイソシアヌル酸)に無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。
式(i)で表される骨格を環の構成要素に含む窒素原子含有環状化合物は、反応において、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。例えば、式(I)で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物と、式(II)で表される環状アシルウレア骨格を有する環状アシルウレア系化合物などとを併用することもできる。窒素原子含有環状化合物触媒Aは反応系内で生成させてもよい。窒素原子含有環状化合物触媒Aは担体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。窒素原子含有環状化合物の担体への担持量は、担体100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
窒素原子含有環状化合物触媒Aの使用量は、広い範囲で選択できるが、触媒作用(活性)の観点及び触媒の安定性を保持する観点から、反応系における窒素原子含有環状化合物触媒Aと基質である芳香族化合物Bとの存在比(モル比;前者/後者)が0.01以上、好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に0.12以上であるのが望ましい。反応系における窒素原子含有環状化合物触媒Aと基質である芳香族化合物Bとの存在比(モル比;前者/後者)の上限は、経済性及び後処理の操作性等の点から、好ましくは100、さらに好ましくは50、特に好ましくは20程度である。反応系における窒素原子含有環状化合物触媒Aと基質である芳香族化合物Bとの存在比(モル比;前者/後者)が小さすぎると、触媒の安定性が低下しやすくなり、触媒一定量当たりの目的物の生成量が低下し、目的物の収率、生産性も低下しやすくなる。なお、上記存在比を算出する際の反応系における窒素原子含有環状化合物触媒Aの存在量は、仕込み基準の値である。
[助触媒]
本発明では、前記窒素原子含有環状化合物触媒Aとともに助触媒を用いることもできる。助触媒として金属化合物が挙げられる。前記窒素原子含有環状化合物触媒Aと金属化合物とを併用することにより反応速度や反応の選択性を向上させることができる。
金属化合物を構成する金属元素としては、特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属元素に含まれるものとする。好ましい金属元素には、遷移金属元素(周期表3〜12族元素)が含まれる。なかでも、Mn、Co、Zr、Ce、Fe、V、Moなどが好ましく、特に、Mn、Coが好ましい。金属元素の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度である。
金属化合物としては、前記金属元素の単体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩などの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。
金属化合物の具体例としては、例えば、コバルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトなどの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウムなどの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応する化合物などが例示される。金属化合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。特に、コバルト化合物とマンガン化合物とを組み合わせると反応速度が著しく向上することが多い。また、価数の異なる複数の金属化合物(例えば、2価の金属化合物と3価の金属化合物)を組み合わせて用いるのも好ましい。
金属化合物の総使用量は、例えば、前記窒素原子含有環状化合物触媒A1モルに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜8モル、さらに好ましくは0.1〜5モル、特に好ましくは0.5〜4モル程度である。また、金属化合物の総使用量は、助触媒としての作用及び窒素原子含有環状化合物触媒Aの安定性を保持する観点から、反応系における金属化合物と基質である芳香族化合物Bとの存在比(モル比;前者/後者)が0.05以上、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、特に0.3以上であるのが望ましい。反応系における金属化合物と基質である芳香族化合物Bとの存在比(モル比;前者/後者)の上限は、経済性及び後処理の操作性等の点から、好ましくは50、さらに好ましくは25、特に好ましくは10程度である。反応系における金属化合物の量が少なすぎると、十分な触媒活性が得られず、前記窒素原子含有環状化合物触媒A一定量当たりの目的物の生成量が低下し、目的物の収率、生産性も低下しやすくなる。なお、上記存在比を算出する際の反応系における金属化合物の存在量は、仕込み基準の値である。
本発明では、また、助触媒として、少なくとも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンターイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度や反応の選択性を向上させることができる。周期表15族元素には、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ましい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げられ、特に、N、P、Sなどが好ましい。前記有機塩の代表的な例として、テトラブチルアンモニウムクロリド等の有機アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロリド等の有機ホスホニウム塩、トリエチルスルホニウムイオジド等の有機スルホニウム塩などの有機オニウム塩が挙げられる。有機塩の使用量は、例えば、前記窒素原子含有環状化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜0.08モル程度である。
本発明では、また、助触媒として、強酸(例えば、pKa2(25℃)以下の化合物)を使用することもできる。好ましい強酸には、例えば、ハロゲン化水素、ハロゲン化水素酸、硫酸、ヘテロポリ酸などが含まれる。強酸の使用量は、前記窒素原子含有環状化合物触媒A1モルに対して、例えば0.001〜3モル程度である。
本発明では、さらに、助触媒として、電子吸引基が結合したカルボニル基を有する化合物を用いることもできる。電子吸引基が結合したカルボニル基を有する化合物の代表的な例として、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロフェニルケトン、ペンタフルオロフェニルケトン、安息香酸などが挙げられる。この化合物の使用量は、反応成分(基質)1モル(仕込み基準)に対して、例えば0.0001〜3モル程度である。
また、本発明では、系内に、ラジカル発生剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。このような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素など)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)、硝酸又は亜硝酸若しくはそれらの塩、二酸化窒素、ベンズアルデヒド等のアルデヒド(目的化合物である芳香族カルボン酸又は芳香族カルボン酸無水物に対応するアルデヒドなど)などが挙げられる。これらの成分を系内に存在させると、反応が促進される場合がある。前記成分の使用量は、前記窒素原子含有環状化合物触媒A1モルに対して、例えば0.001〜3モル程度である。
[芳香環に該芳香環との結合部位が炭素原子である有機基が結合している芳香族化合物B]
本発明では、反応成分(基質)として、芳香環に置換基として炭化水素基のみが結合している芳香族化合物Bを用いる。このような化合物を基質として用いることにより、芳香環に結合している炭化水素基の芳香環との結合部位が酸化されて、対応する芳香族カルボン酸が生成する。芳香環に結合している炭化水素基の数は、合計で1〜6個(好ましくは1〜4個)程度である。芳香環に結合している炭化水素基の数が2個以上の場合には、該炭化水素基は互いに結合して、芳香環を構成する炭素−炭素結合とともに環を形成していてもよい。基質としての芳香族化合物Bは単独で又は2種以上の混合物で用いられる。また、前記芳香環に置換基として炭化水素基のみが結合している芳香族化合物Bとともに、前記芳香族化合物B以外の芳香族化合物、例えば、芳香族化合物Bの低次酸化生成物(最終目的物である芳香族カルボン酸の中間体或いは前駆体)に相当する化合物を反応系に供給してもよい。
前記芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アセナフチレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環などの芳香族炭素環;フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピリジン環、4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン環、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、4−オキソ−4H−ピラン環、2−オキソ−2H−ピラン環、ベンゾフラン環、インドール環、インダゾール環、ベンゾトリアゾール環、キナゾリン環、フタラジン環、1,8−ナフチリジン環、アクリジン環、フェナジン環、クロモン環などの酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を1〜3程度有する芳香族性複素環などが挙げられる。
芳香環に結合する炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが結合した基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基の代表的な例として、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基などの第1級又は第2級アルキル基が挙げられる。これらの中でも、C1-4アルキル基、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基などのC1-3アルキル基が好ましい。アルケニル基としては、アリル基等のC1-4アルケニル基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などの3〜15員程度のシクロアルキル基、シクロヘキセニル基などの3〜15員程度のシクロアルケニル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基として、例えば、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基として、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
芳香環に結合する炭化水素基の少なくとも1つは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基又はアラルキル基であるのが好ましい。芳香環に炭化水素基が結合している芳香族化合物としては、特に、芳香環に少なくとも1つのアルキル基が結合している芳香族化合物が好ましい。
芳香環に該芳香環との結合部位が炭素原子である有機基が結合している芳香族化合物Bの代表的な例として、例えば、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)、n−プロピルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、メチルアントラセン、2−メチルフラン、3−メチルフラン、2−メチルチオフェン、3−メチルチオフェン、2−メチルピリジン(α−ピコリン)、3−メチルピリジン(β−ピコリン)、4−メチルピリジン(γ−ピコリン)、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3−イソプロピルピリジン、4−メチルインドール、5−メチルインドール、7−メチルインドール、2−メチルキノリン、3−メチル−4−ピロン、3−メチル−4−ピリドンなどの芳香環にアルキル基が1個結合している化合物;o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−エチル−3−メチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、1,5−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルアントラセン、4,4′−ジメチルビフェニル、2,3−ジメチルピリジン(2,3−ルチジン)、2,4−ジメチルピリジン(2,4−ルチジン)、2,5−ジメチルピリジン(2,5−ルチジン)、3,5−ジメチルピリジン(3,5−ルチジン)、2,6−ジメチルピリジン(2,6−ルチジン)、2−エチル−4−メチルピリジン、3,5−ジメチル−4−ピロン、3,5−ジメチル−4−ピリドンなどの芳香環にアルキル基が2個結合している化合物;1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン(デュレン)、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルベンゼン、トリメチルアントラセン、2,3,4−トリメチルピリジン、2,3,5−トリメチルピリジン、2,3,6−トリメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N,3,5−トリメチル−4−ピリドンなどの芳香環にアルキル基が3個以上結合している化合物などが挙げられる。
芳香族化合物Bとともに反応系に供給してもよい芳香族化合物Bの低次酸化生成物(最終目的物である芳香族カルボン酸の中間体或いは前駆体)に相当する化合物としては、例えば、芳香環にヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基等)、アシル基(ホルミル基、アセチル基等)などが結合している芳香族化合物、芳香環にカルボキシル基とともに炭化水素基(例えばアルキル基)、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基等)、アシル基(ホルミル基、アセチル基等)などが結合している芳香族化合物などが挙げられる。より具体的には、芳香族化合物Bがp−キシレンである場合には、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒドなどが例示される。
本発明の製造法によれば、芳香環に結合しているアルキル基等の炭化水素基が効率よく酸化されてカルボキシル基に変換され、対応する芳香族カルボン酸(モノカルボン酸又はポリカルボン酸)が生成する。例えば、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、これらの混合物からは安息香酸;p−キシレン、p−イソプロピルトルエン、p−ジイソプロピルベンゼン、これらの混合物からはテレフタル酸;m−キシレンからはイソフタル酸;プソイドクメンからはトリメリット酸;デュレンからはピロメリット酸;3−メチルキノリン等からは3−キノリンカルボン酸がそれぞれ収率よく得られる。β−ピコリンからはニコチン酸が得られる。また、芳香族化合物Bとともに芳香族化合物Bの低次酸化生成物に相当する化合物を反応系に供した場合には、該低次酸化生成物に相当する化合物もさらに酸化されて目的化合物に変換される。
本発明は、芳香環にアルキル基等の炭化水素基を複数個有する場合でも、それらの置換基を効率よく酸化するので、芳香族ポリカルボン酸の製造に有利である。
[酸素]
酸素としては分子状酸素を使用できる。分子状酸素は特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気、希釈空気を使用してもよい。酸素は系内で発生させてもよい。反応系に供給する酸素としては、例えば5〜80%、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは15〜25%程度の酸素を含有する酸素含有ガスが好ましい。酸素の供給量は、反応性、操作性、生産効率、触媒の利用効率、安全性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、オフガス中の酸素濃度が、1〜8%、特に3〜6%程度となるような供給量が望ましい。オフガス中の酸素濃度が低すぎる条件では、目的化合物の生産効率及び触媒の利用効率が低下しやすい。また、オフガス中の酸素濃度が高すぎる条件では、安全性が低下しやすい。
[反応]
本発明の方法の重要な特徴は、前記窒素原子含有環状化合物触媒A、前記芳香族化合物B、反応溶媒及び酸素を反応器に連続的に供給し且つ反応混合液を反応器から連続的に抜き取って系内を常に一定の状態に保つ気−液連続反応方式(完全流通式)を採用するとともに、反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下となるような条件で反応を行う点にある。なお、反応器内部が完全に均一ではなく濃度勾配がある場合には、芳香族化合物Bの濃度が最も高い場所において、該芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下となるような条件で反応を行う。反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%を超える条件で反応を行うと、触媒の安定性が低下するためか、目的化合物の収率が大幅に低下するとともに、使用した触媒一定量当たりの目的化合物の生成量が大きく低下する。反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度は、好ましくは2.5重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下、特に好ましくは1重量%以下(例えば0.5重量%以下)である。反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度は、反応速度を考慮して、反応温度、反応圧力、供給液中の前記芳香族化合物Bの濃度、芳香族化合物Bの低次酸化生成物に相当する化合物を反応系に供給する場合又は反応で生成した該低次酸化生成物を反応系にリサイクルする場合には、それらの供給量又はリサイクル量、及び滞留時間等を調整することにより設定できる。
なお、バッチ反応方式[完全バッチ反応方式又はガス流通バッチ反応方式(ガスのみ連続的に反応器内に供給する方式)]を採用する場合には、仕込み液中の芳香族化合物Bの濃度を高くすると、反応初期において反応系内における芳香族化合物Bの濃度が通常3.0重量%を超えるので、触媒の安定性が低下するためか、ある程度反応が進行した後に反応速度が大きく低下し、その結果目的化合物の収率は低くなり、使用した触媒一定量当たりの目的化合物の生成量も著しく低い。また、逆に仕込み液中の芳香族化合物Bの濃度を低くすると、1バッチ当たりの目的物の生産量が少なく、生産効率が著しく低下する。従って、バッチ反応方式では目的の芳香族カルボン酸を工業的に効率よく生産することができない。
本発明の方法で用いる反応器としては、気−液連続反応方式を採用する際に通常用いられる反応器、例えば、原料供給ライン(液体供給ライン及び酸素供給ライン)、反応液排出ライン、オフガスライン、気−液混合手段(撹拌機、邪魔板、多孔板等)などを備えた反応器を使用できる。酸素はスパージャー等を用いて反応器内の液体中に供給できる。反応器は、完全混合型等の撹拌槽、気泡塔などの何れの形式のものも使用できる。
本発明の方法では、反応器を直列及び/又は並列に複数個接続してもよい。複数個の反応器を直列に配して連続反応方式を採用する場合には、少なくとも最後の反応器において、反応系内における芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行う。
反応溶媒としては、例えば、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのアルコール類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸などの有機酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが例示でき、これらの溶媒は混合して使用してもよい。上記の溶媒の中でも、有機酸等のプロトン性有機溶媒及びニトリル類などが好ましい。特に好ましい溶媒は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸である。
なお、本発明の方法では、通常、反応中に水が副生する。この水も反応溶媒として機能する。しかし、水が多すぎると反応速度が著しく低下する場合がある。そのため、反応系の水の濃度が、反応系全体に対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下となるような条件で反応を行うのが望ましい。
前記窒素原子含有環状化合物触媒A、前記芳香族化合物B、反応溶媒、必要に応じて用いられる助触媒(金属化合物等)は、それぞれ、別ラインから反応系に供給してもよく(例えば、窒素原子含有環状化合物触媒Aと助触媒(金属化合物等)とを異なるラインを用いて反応系に供給してもよく)、2以上の成分を混合して1つのラインから反応系に供給してもよい。
反応温度は、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、好ましくは150℃以上(例えば150〜220℃)、さらに好ましくは150〜200℃、特に好ましくは160〜190℃程度である。反応温度が低すぎると、反応速度が遅く転化率が低下して、目的化合物の収率が低下しやすい。また、反応温度が高すぎると、副反応が増大したり、触媒の安定性が低下しやすくなる。
反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。反応圧力は、例えば、常圧(0.1MPa)〜10MPa程度、好ましくは1MPa〜8MPa程度であるが、それ以上であってもよい。
滞留時間(反応系における液滞留時間)は、反応温度等の他の反応条件に応じて適宜選択でき、一般的には0.2〜8時間程度の範囲から選択できるが、好ましくは0.5〜4時間、さらに好ましくは0.5〜3時間、特に好ましくは0.6〜2時間程度である。滞留時間が短すぎると、目的物の収率が低下しやすくなり、逆に長すぎると空時収率(STY)が低くなりやすい。
反応により、前記置換基として炭化水素基を有する芳香族化合物Bが酸化されて対応する芳香族カルボン酸が生成する。例えば、p−キシレンを基質として用いることによりテレフタル酸が効率よく生成する。この場合、反応条件により、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド等の副生物(低次酸化生成物;目的の芳香族カルボン酸の中間体或いは前駆体)などが副生しうる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。なお、分離された反応中間体(目的の芳香族カルボン酸の前駆体;例えば、テレフタル酸を目的とする場合には、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド等)、未反応原料(芳香族化合物)、触媒、助触媒、溶媒等は反応系にリサイクルしてもよい。また、溶媒をリサイクルする場合には、溶媒中に含まれる反応で副生した水を分液、脱水剤による吸着等の方法により除去した後、反応系にリサイクルしてもよい。
本発明の製造方法で得られた芳香族カルボン酸は、ポリアミド(ナイロン)やポリエステルの原料、精密化学品の中間原料などとして利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
還流冷却管、撹拌機、マスフロー、原料供給ライン、ガス導入ライン、反応液抜き出しライン、オフガスライン、圧力計、圧力調整器を備え付けた反応器を用いて、気−液連続反応方式により反応を行った。反応器に、p−キシレン10重量%、N−ヒドロキシナフタルイミド(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)0.60重量%(仕込みp−キシレンに対して3モル%)、酢酸マンガン(II)・四水和物0.23重量%、酢酸コバルト(II)・四水和物0.09重量%を含む酢酸混合液を連続的に供給し、反応器底部よりオフガスライン中の酸素濃度が3〜6%となるように空気を連続的に導入し、反応温度170℃、反応圧力2MPa、滞留時間1時間、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度0.09重量%の条件で反応を行い、反応液を連続的に系外に排出した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は99.1%であり、テレフタル酸が83.4%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は3.3である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は27.8モル(下記比較例1の値の1.83倍)であった。
比較例1
還流冷却管、撹拌機、マスフロー、ガス導入ライン、オフガスライン、圧力計、圧力調整器を備え付けた反応器を用いて、ガス流通バッチ反応方式により反応を行った。反応器に、p−キシレン10重量%、N−ヒドロキシナフタルイミド(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)0.60重量%(仕込みp−キシレンに対して3モル%)、酢酸マンガン(II)・四水和物0.23重量%、酢酸コバルト(II)・四水和物0.09重量%を含む酢酸混合液を380g仕込んだ。反応器底部より200NL/hの流量で空気を供給し、反応温度170℃、反応圧力2MPaの条件で2時間反応した。冷却後、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は96.5%であり、テレフタル酸が45.5%の収率で生成していた。なお、反応系内におけるp−キシレン濃度は、反応開始時において10重量%、反応終了時において0.35重量%であった。また、反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は、反応開始時において0.03、反応終了時において0.86であった。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は15.2モルであった。
なお、反応時間を5時間とした以外は上記と同じ条件で反応を行ったところ、テレフタル酸の収率は47.4%であり、反応時間2時間の場合と比較して、わずかに増加しているのみであった。
実施例2
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−アセトキシナフタルイミド(N−アセトキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)を、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.15重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は98.5%であり、テレフタル酸が80.9%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−アセトキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は2.0である。また、触媒(N−アセトキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は27.0モル(下記比較例2の値の1.52倍)であった。
比較例2
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−アセトキシナフタルイミド(N−アセトキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)を、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は比較例1と同様に反応を行った。反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は98.5%であり、テレフタル酸が53.5%の収率で生成していた。反応系内におけるp−キシレン濃度は、反応開始時において10重量%、反応終了時において0.15重量%であった。また、反応系内におけるN−アセトキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は、反応開始時において0.03、反応終了時において2であった。また、触媒(N−アセトキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は17.8モルであった。
なお、反応時間を5時間とした以外は上記と同じ条件で反応を行ったところ、テレフタル酸の収率は58.0%であり、反応時間2時間の場合と比較して、わずかに増加しているのみであった。
実施例3
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−アセトキシフタルイミドを、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.66重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は93.4%であり、テレフタル酸が45.4%の収率で生成していた。定常状態での反応系内におけるN−アセトキシフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は0.45である。また、触媒(N−アセトキシフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は15.1モル(下記比較例3の値の2.60倍)であった。
比較例3
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−アセトキシフタルイミドを、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は比較例1と同様に反応を行った。反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は97.8%であり、テレフタル酸が17.5%の収率で生成していた。反応系内におけるp−キシレン濃度は、反応開始時において10重量%、反応終了時において0.22重量%であった。また、反応系内におけるN−アセトキシフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は、反応開始時において0.03、反応終了時において1.4であった。また、触媒(N−アセトキシフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は5.8モルであった。
実施例4
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−アセトキシスクシンイミド(N−アセトキシコハク酸イミド)を、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.23重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は97.7%であり、テレフタル酸が68.0%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−アセトキシスクシンイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は1.3である。また、触媒(N−アセトキシスクシンイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は22.7モルであった。
実施例5
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N−ヒドロキシスクシンイミド(N−ヒドロキシコハク酸イミド)を、仕込みp−キシレンに対して3モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.22重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は97.8%であり、テレフタル酸が70.5%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシスクシンイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は1.4である。また、触媒(N−ヒドロキシスクシンイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は23.5モルであった。
実施例6
N−ヒドロキシナフタルイミドの代わりに、N,N′,N″−トリアセトキシイソシアヌル酸(1,3,5−トリアセトキシイソシアヌル酸)を、仕込みp−キシレンに対して1モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.15重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は98.5%であり、テレフタル酸が68.0%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN,N′,N″−トリアセトキシイソシアヌル酸(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は0.67である。また、触媒(N,N′,N″−トリアセトキシイソシアヌル酸)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は68.0モルであった。
実施例7
N−ヒドロキシナフタルイミドを、仕込みp−キシレンに対して1モル%用いた点以外は実施例1と同様に反応を行った。定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.44重量%である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は95.6%であり、テレフタル酸が55.8%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は0.23である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は55.8モルであった。
実施例8(二段反応)
実施例6において得られた反応混合物に、N−ヒドロキシナフタルイミドを0.2重量%となるように添加した。この混合液を反応器に供給する以外は実施例4と同様の操作を行った。なお、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度は0.005重量%以下である。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は100%であり、テレフタル酸が88%の収率(一貫収率)で生成していた。
実施例9
滞留時間を0.5時間とし、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度を0.5重量%とした点以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は95%であり、テレフタル酸が60%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は0.6である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は20モルであった。
実施例10
滞留時間を2時間とし、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度を0.1重量%とした点以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は99%であり、テレフタル酸が90%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は3.0である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は30モルであった。
実施例11
滞留時間を4時間とし、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度を0.08重量%とした点以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は99.2%であり、テレフタル酸が93%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は3.8である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は31モルであった。
実施例12
反応温度を150℃とし、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度を0.8重量%とした点以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は92%であり、テレフタル酸が60%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は0.38である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は20モルであった。
実施例13
反応温度を190℃とし、定常状態での反応系内におけるp−キシレン濃度を0.2重量%とした点以外は実施例1と同様に反応を行った。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、p−キシレンの転化率は98%であり、テレフタル酸が83%の収率で生成していた。なお、定常状態での反応系内におけるN−ヒドロキシナフタルイミド(仕込み基準)とp−キシレンとの比(前者/後者;モル比)は1.5である。また、触媒(N−ヒドロキシナフタルイミド)1モル当たりのテレフタル酸の生成量は28モルであった。

Claims (10)

  1. 下記式(i)
    Figure 2005298380
    [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
    で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物触媒Aの存在下、芳香環に置換基として炭化水素基のみが結合している芳香族化合物Bを酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を製造する方法であって、前記窒素原子含有環状化合物触媒A、前記芳香族化合物B、反応溶媒及び酸素を反応器に連続的に供給し且つ反応混合液を反応器から連続的に抜き取るとともに、反応系内における前記芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行うことを特徴とする芳香族カルボン酸の製造法。
  2. 反応系内における窒素原子含有環状化合物触媒Aと芳香族化合物Bとのモル比(前者/後者)が0.01以上の条件で反応を行う請求項1記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  3. 反応温度150℃以上の条件で反応を行う請求項1又は2記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  4. オフガス中の酸素濃度1〜8%の条件で反応を行う請求項1〜3の何れかの項に記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  5. 滞留時間0.5〜4時間の条件で反応を行う請求項1〜4の何れかの項に記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  6. 直列に配した複数の反応器を用いて連続的に反応を行うとともに、少なくとも最後の反応器において、反応系内における芳香族化合物Bの濃度が3.0重量%以下の条件で反応を行う請求項1〜5の何れかの項に記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  7. 窒素原子含有環状化合物触媒Aが、下記式(I)
    Figure 2005298380
    [式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
    で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物、又は下記式(II)
    Figure 2005298380
    [式中、mは1又は2を示す。Gは炭素原子又は窒素原子を示し、mが2のとき、2つのGは同一でもよく異なっていてもよい。Rは前記に同じ]
    で表される環状アシルウレア骨格を有する環状アシルウレア系化合物である請求項1記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  8. 金属化合物を助触媒として用いる請求項1〜7の何れかの項に記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  9. 金属化合物がコバルト化合物及びマンガン化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である請求項8記載の芳香族カルボン酸の製造法。
  10. 金属化合物の使用量が、窒素原子含有環状化合物触媒A1モルに対して0.001〜10モルである請求項8又は9記載の芳香族カルボン酸の製造法。
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