[go: up one dir, main page]

JP2005273583A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング Download PDF

Info

Publication number
JP2005273583A
JP2005273583A JP2004090006A JP2004090006A JP2005273583A JP 2005273583 A JP2005273583 A JP 2005273583A JP 2004090006 A JP2004090006 A JP 2004090006A JP 2004090006 A JP2004090006 A JP 2004090006A JP 2005273583 A JP2005273583 A JP 2005273583A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston ring
sliding surface
ring
soft
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004090006A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Suzuki
孝男 鈴木
Masao Ishida
政男 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
TPR Co Ltd
Original Assignee
Teikoku Piston Ring Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teikoku Piston Ring Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Teikoku Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2004090006A priority Critical patent/JP2005273583A/ja
Publication of JP2005273583A publication Critical patent/JP2005273583A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

【課題】 ピストンリングにおいて、高硬度・高耐摩耗性・高い気密性保持機能等の特性を、運転状況等の変化にもかかわらずバランスよく実現する。
【解決手段】 摺動面(91)のうち燃焼室側(図中上側)に位置する第1部分に軟質被膜(911)を備え、且つ、摺動面のうち前記第1部分に接続する第2部分に前記軟質被膜よりも硬い硬質被膜(912)を備えている。図では更に、クランクケース側(図中下側)に位置する第3部分に軟質被膜(913)を備えている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ピストンリングの技術分野に関する。
この種のピストンリングは、各種車両等に用いられるエンジンを構成する部品であるピストンに備えられ、コンプレッションリング及びオイルリングからなり、前者は更にトップリング(又は第1圧力リング)及びセカンドリング(又は第2圧力リング)からなる。エンジンの燃焼室側から順に、トップリング、セカンドリング及びオイルリングの順に並ぶ。これらはピストンの熱をシリンダに逃してやる役割を担うほか、オイルリングは主に、シリンダ壁面の潤滑油を掻き落とし潤滑油消費量を適正に維持する役割を担い、コンプレッションリングは主に、燃焼室における燃焼ガスの気密性を保つ役割を担う。
このようなピストンリングが担っている役割は、エンジンの円滑な運転を実現すること等にとって極めて重要である。しかし、近年、エンジンの高出力化、高回転化、長寿命化等が志向され、また排気ガス規制に対応するためなどの理由により、前記の役割をピストンリングに十分に果たさせるという要請の充足は困難さを増している。
そこで、従来においても、ピストンリングの高品質化を目指すべく、その摺動面ないしは外周面の硬度を高め耐磨耗性を高める技術などをはじめ各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、その摺動面に潤滑剤粒子を噴射して形成した潤滑剤被膜を有するピストンリングが提案されており、これにより、アルミニウム合金製ピストンのリング溝からのAl凝着を有効に防止できるという効果が得られるとされている。また、特許文献2では、ピストンリングの形状に工夫を加えることにより、表面処理層のクラックや剥離を防止する技術も提案されている。
特開2003−148242号公報 特開2002−39384号公報
しかしながら、従来におけるピストンリングの高品質化には次のような問題点がある。すなわち、ピストンリングの高硬度化あるいは高耐磨耗性を実現するため、ただ単純に、摺動面に硬質被膜を形成するのでは、エンジン運転初期の状態における、いわゆる初期なじみを悪化させ、該摺動面とシリンダボア内周とのシールを不完全なものとするため、局部的な高面圧発生による焼き付きを生じさせたり、あるいは燃焼ガス漏れ(いわゆるブローバイ)や潤滑油漏れを発生させたりするおそれが大きくなる。
この点、前記の特許文献1及び特許文献2でも十分な効果が得られるとは限らない。すなわち、特許文献1では、ピストンリングの少なくとも下面、あるいはこれを含んでその上面にも(特許文献1における図1(b)又は(c)参照)本明細書にいう軟質被膜に該当すると思われる「潤滑剤被膜」が形成されているが、このような構成によると、該潤滑剤被膜が摩耗することによって、当該下面又は当該上面とリング溝の側面との隙間(サイドクリアランス)が増加し、この隙間に起因して燃焼ガス漏れ等の不具合が発生する可能性がある。
また、特許文献2では、ピストンリングの形状をいわゆるバレル形状とするとともに、その摺動面と下面及び上面との間にコーナー部を設け、且つ、該コーナー部の曲率半径を摺動面(以下、この段落において、特許文献2における「バレル面」なる用語を用いる。)のそれよりも小さくするという構成が開示されているが、かかる構成のみでは、ピストンリングの上端部及び下端部における初期なじみが完了するまでの摩耗量が、エンジンの種類あるいは運転条件等によって異なることにうまく対応できない。すなわち、通常は、ピストンリングの下端部よりも上端部の方が摩耗が速く進行することが考えられるが、同文献においては、あからさまにこの問題を取り扱ってはおらず、不具合が生じるおそれがあるのである。また、同文献では、バレル面・コーナー部の区別なく硬質被膜である窒化膜を形成することが開示されているが、これでは、初期に設定されたバレル面形状よりも大きななじみ量(摩耗量)が必要な場合には、なじみの進行を遅れさせてしまうおそれがある。さらに、コーナー部における硬質被膜の厚さを、バレル面の硬質被膜の厚さの1/2以下とする構成も開示されているが、より摩耗しやすいコーナー部に、より薄い被膜しか存在しないということは、耐久性の点で不利な面がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、例えば高硬度・高耐摩耗性・高い気密性保持機能等の特性を、運転状況等の変化にもかかわらずバランスよく実現しうるピストンリングを提供することを課題とする。
本発明の第1ピストンリングは、上記課題を解決するため、摺動面を有し、該摺動面のうち燃焼室側に位置する第1部分に軟質被膜を備え、且つ、前記摺動面のうち前記第1部分に接続する第2部分に前記軟質被膜よりも硬い硬質被膜を備えている。
本発明の第1ピストンリングにおいて、まず、「燃焼室」とは、当該ピストンリングが備えられるピストンをその内部に配置するシリンダ内において爆発が生じさせられる室を意味する。ピストンを挟んで、この燃焼室の反対側にはクランクケースが存在する。また、「摺動面」とは、ピストンリングのうちシリンダの壁面と対向しあう面であって、該壁面と相互に接し合う面をいう。既に広く知られているように、ピストンは、シリンダ内の燃焼室における爆発を一契機として該シリンダの内部で往復運動し(即ち、ピストンリングはシリンダ壁面に対して摺動し)、この往復運動はクランクケース内のクランク軸により回転動力に変換させられる。
ちなみに、この場合、前記往復運動は、通常は「上下運動」に対応するため、このような意味における「上」及び「下」という概念により、前記の燃焼室側はピストンないしはピストンリングから見て「上側」、前記のクランクケースは「下側」に対応するのが通常である。以下では、説明の便宜上、このような相対関係において、「上」及び「下」という用語を使用することがある。
このような前提の下、本発明では特に、摺動面のうち燃焼室側に位置する第1部分には軟質被膜が備えられ、該第1部分に接続する第2部分に硬質被膜が備えられている。すなわち、典型的には、摺動面は二つの部分に分けられており、そのうちの燃焼室に近い部分に軟質被膜、残る部分に硬質被膜が備えられている場合が想定される。このような構成により、以下のような作用が得られる。
すなわち、ピストンリングの摺動面のうちでも燃焼室側に位置する部分は、その他の部分に比べて、高温下で高圧力を受けるという非常に厳しい潤滑条件下にある。この点、ピストンリングのうちでもトップリングについては特に、燃焼ガスに直接に曝され、また燃焼圧を直接に受けるため、厳しい中でも更に厳しい潤滑条件下におかれることになる。したがって、ピストンリングの摺動面のうちでも、その燃焼室側の部分はより速く摩耗が進行し、そうでない部分はより遅く摩耗が進行することが考えられる。
この点、本発明では、上述のように、燃焼室側の部分に軟質被膜が備えられ、そうでない部分に硬質被膜が備えられていることにより、前記事情にうまく対応することができる。すなわち、軟質被膜は硬質被膜よりもより速くに摩耗が進行することから、本発明のピストンリングは、安定的な形状をより早期に獲得することが可能となるのである。
また、本発明では、第2部分に硬質被膜が備えられているから、該第2部分については摩耗が進行しにくい。したがって、運転初期時における摩耗の進行を抑制することができ、合い口隙間増大による燃焼ガス漏れ・潤滑油漏れ等の発生を効果的に防止することができる。
さらに、前述のように、軟質被膜が早くに摩耗するとともに硬質被膜は残存することで、当該ピストンリングが早期に安定的な形状に至りうるということは、いわゆるバレル高さの大きなピストンリング形状が早期に実現され得ることを意味するから、潤滑油掻き落とし性能の向上、当該ピストンリングの低張力化、フリクションの低減化等が実現され得、更には潤滑油中に含まれる硫黄・リンによる触媒被毒が抑制されてエミッションの向上を図ることもできる。
なお、上述において、ピストンリングのうちトップリングは、特に厳しい潤滑条件下におかれることについて述べたが、このことは、トップリングについて本発明を適用するとより大きな効果が得られることを意味するのであって、それ以外のセカンドリング、あるいはオイルリングについて本発明を適用することを除外する意図を表明するものではない。これらのリングにおいても、本発明の適用により相応の作用効果が得られることは言うまでもない。
本発明の第1ピストンリングの一態様では、前記摺動面は所定の曲率をもって湾曲しており、前記第2部分における前記曲率は、前記第1部分における曲率に比べて小さい。
この態様によれば、摺動面が湾曲しているから、該摺動面の形状は、典型的にはいわゆるバレル(barrel)形状をとることになる。また、摺動面のうち第2部分の曲率がより小さく、第1部分の曲率がより大きい。言い換えると、前者の曲率半径がより大きく、後者のそれがより小さい。これによると、本態様のピストンリングは、実際の使用開始前から、予めなじんだ後の形状(すなわち、いわゆる初期なじみが完了した後の形状)に近い形状をとっていることになるため、安定的な形状を顕著に速く獲得することが可能となる。
この摺動面が湾曲した態様では更に、前記第2部分の突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、前記第1部分及び当該第2部分の境界線までの距離は、0.5〔μm〕以上3.0〔μm〕以下であるように構成してもよい。
このような構成によれば、突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、第1部分及び第2部分の境界線までの距離、言い換えると、硬質被膜の形成領域が終わり上側の軟質被膜の形成領域が始まる部分までの距離が、初期なじみという観点から、具体的に好適に定められていることから、前述の作用効果を更に効果的に享受し得る。
本発明の第1ピストンリングの他の態様では、前記第1部分における前記軟質被膜の下層に、前記第2部分における前記硬質被膜と同一膜としての硬質被膜を更に備えている。
この態様によれば、軟質被膜及び硬質被膜の形成前のピストンリングにおいて、まず、その摺動面に硬質被膜を一面に形成した後、該硬質被膜の上層として軟質被膜を形成し、第2部分に該当する部分の軟質被膜のみを除去する、などといった工程によって、本態様に係るピストンリングを製造することができる。つまり、一般に硬質被膜の除去は困難であるところ、本態様に係るピストンリングによれば、そのような硬質被膜の除去工程を実施する必要がないから、その製造を容易且つ低コストに行うことができるのである。
本発明の第2ピストンリングは、上記課題を解決するため、摺動面を有し、該摺動面のうち燃焼室側に位置する第1部分及びクランクケース側に位置する第3部分に軟質被膜を備え、且つ、前記摺動面のうち前記第1部分及び前記第3部分に接続する第2部分に前記軟質被膜よりも硬い硬質被膜を備えている。
本発明の第2ピストンリングによれば、前述の本発明の第1ピストンリングの構成に加えて、摺動面のうちのクランクケース側、すなわち下側に位置する第3部分に、前記硬質被膜に代わって軟質被膜が備えられている。本発明の第2ピストンリングではしたがって、典型的には、摺動面のうち上側及び下側部分に軟質被膜が存在し、これらに挟まれるようにして硬質被膜が存在する形態が想定される。このような形態によれば、ピストンリングの第1部分を含む上端部分に次いで、摩耗の進行が速いと一般的に考えられる下端部分においても、前述と略同様な作用効果が得られる。すなわち、本発明の第2ピストンリングは、安定的な形状を前記にも増して更に早期に獲得することが可能となる。
本発明の第2ピストンリングの一態様では、前記摺動面は所定の曲率をもって湾曲しており、前記第2部分における前記曲率は、前記第1部分又は前記第3部分における曲率に比べて小さい。
この態様によれば、摺動面が湾曲しているから、該摺動面の形状は、典型的にはいわゆるバレル(barrel)形状をとることになる。また、摺動面のうち第2部分の曲率がより小さく、第1部分又は第3部分の曲率がより大きい。これによると、本態様のピストンリングは、実際の使用開始前から、予めなじんだ後の形状に近い形状をとっていることになるため、安定的な形状を顕著に速く獲得することが可能となる。
この摺動面が湾曲した態様では更に、前記第2部分の突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、前記第1部分及び当該第2部分の境界線までの距離、又は、前記第3部分及び前記第2部分の境界線までの距離は、0.5〔μm〕以上3.0〔μm〕以下であるように構成してもよい。
このような構成によれば、突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、第1部分及び第2部分の境界線までの距離が、初期なじみという観点から、具体的に好適に定められていることから、前述の作用効果を更に効果的に享受し得る。このことは、突端部からみた、前記方向に沿ってみた第1部分及び第3部分の境界線までの距離、言い換えると、硬質被膜の形成領域が終わり下側の軟質被膜の形成領域が始まる部分までの距離についても同様にいえる。
本発明の第2ピストンリングの他の態様では、前記第1部分における前記軟質被膜の下層及び前記第3部分における前記軟質被膜の下層の少なくとも一方に、前記第2部分における前記硬質被膜と同一膜としての硬質被膜を更に備えている。
この態様によれば、軟質被膜及び硬質被膜の形成前のピストンリングにおいて、まず、その摺動面に硬質被膜を一面に形成した後、該硬質被膜の上層として軟質被膜を形成し、第2部分に該当する部分の軟質被膜のみを除去する、などといった工程によって、本態様に係るピストンリングを製造することができる。
本発明の第1又は第2ピストンリングの他の態様では、前記第2部分の突端部からみた前記燃焼室側の前記摺動面の端部までの距離は、前記突端部からみた前記燃焼室側とは反対側の前記摺動面の端部までの距離よりも大きいように構成してもよい。
この態様によれば、摺動面が典型的なバレル形状となる場合は、突端部は、当該バレル形状の頂点に一致する。尚、本発明に係る「突端部」とは、当該ピストンリングを平面視した場合に最大径となる部分を意味する。本構成では、かかる突端部からみた、燃焼室側の摺動面の端部までの距離は、クランクケース側のそれまでの距離よりも大きいのである。言い換えると、突端部からみると、ピストンリングの上側の端部の方が、その下側の端部よりも、当該ピストンリングの径方向に向かってより「引っ込んでいる」ような形状になる。これによると、本態様のピストンリングは、実際の使用開始前から、前述の態様にも増して、初期なじみが完了した後の形状に更に近い形状をとっていることになるため、安定的な形状を極めて顕著に速く獲得することが可能となる。
なお、本態様にかかるピストンリングは、例えば、摺動面の形状自体を適当に調整することで製造可能なほか、これ以外にも、均一な軟質被膜を形成した後、当該軟質被膜の上側に位置する部分については、その下側に位置する部分よりも該名室被膜の研磨量を多くするなどして製造することもできる。
本発明の第1又は第2ピストンリングの他の態様では、前記摺動面に接続される溝対向面には前記軟質被膜を備えていない。
この態様において、「溝対向面」とは次のような意義を有する。すなわち、ピストンリングは、ピストンに設けられた溝に嵌るように装着される。そして、ピストンリングがその溝に嵌め込まれた状態においては、その溝の内部の面の一部とピストンリングの摺動面に接続される面とは対向しあうことになる。「溝対向面」とは、このうちの後者の面をいう。すなわち、前述の「上」及び「下」という概念を用いれば、溝対向面とは、ピストンリングの「上面」あるいは「下面」と言い換えることができる。
そして本態様では、この溝対向面には軟質被膜が備えられていないのである。したがって、本態様によれば、ピストンリングの上面あるいは下面と溝との側面との隙間が発生しにくくなるから、該隙間を原因とするブローバイ等の発生可能性を顕著に低減することができる。
なお、本態様にかかるピストンリングは、例えば、軟質被膜形成前において、複数のピストンリングのうち一つのピストンリングの上面に別のピストンリングの下面を重ね合わせた状態(以下、該別のピストンリングの上面に更に別のピストンリングの下面を重ね合わせた状態などと同様に続く。)とした後、軟質被膜形成処理を行うようにすれば製造することができる。また、軟質被膜形成処理後のピストンリングの上面及び下面から軟質被膜除去加工を行うことでも製造することができる。
以上説明したように、本発明によれば、例えば高硬度・高耐摩耗性・高い気密性保持機能等の特性を、運転状況等の変化にもかかわらずバランスよく実現しうる。
本発明のこのような作用及び効果その他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1から図7を参照しつつ説明する。
まず、図1を参照して、エンジン150、その中でもとりわけピストン18周囲の構成について説明する。ここに図1は、第1実施形態に係るエンジンの構成概略図である。
図1に示すように、エンジン150は、シリンダブロック14を備えている。このシリンダブロック14には、その内周を形作るシリンダ16が形成されている。なお、エンジン150は、複数のシリンダを備えているが、説明の便宜上、図1には複数のシリンダのうち1つのシリンダを示している。シリンダ16の内部にはピストン18が配設されている。このピストン18には、コンロッド189を介してクランクケースCC内に収納された図示しないクランク軸が接続されており、該クランク軸にはフライホイールFWが接続されている。フライホイールFWの外周には、リングギアFW1が設けられている。このリングギアFW1には、スタータモータ(電動機)SMに付設されたピニオンギアSM1が噛み合わされている。エンジン150の通常の始動、或いは冷間始動時においては、このスタータモータSMが回転することによって発生した動力が、ピニオンギアSM1及びリングギアFW1を介して、フライホイールFW、クランク軸に伝達されることで、エンジン150はクランキングさせられることになる。
シリンダ16の内部において、ピストン18の図1中上方には燃焼室20が形成されている。燃焼室20には点火プラグ26の先端が露出している。点火プラグ26は、図示しないECU(Engine Control Unit)等から点火信号を供給されることにより、燃焼室20内の燃料に点火する。燃焼室20には、吸気弁32を介して吸気マニホールド34が、また排気弁28を介して排気マニホールド30が連通している。ピストン18は、この燃焼室20内における爆発を一契機として、シリンダ16の内部を図1における上下方向に往復運動し、この往復運動はコンロッド189を介してクランクケースCC内のクランク軸により回転運動に変換される。
このような構成となるエンジン150において、第1実施形態では特に、ピストンリングの構成に特徴がある。以下では、このピストンリングの構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。ここに図2は、ピストンリングが装着されたピストンの一部分を拡大して描いた断面図であり、図3は図2の中から更にトップリングの部分だけを拡大して描いた断面図である。
図2において、ピストン18には、リング溝18a、18b及び18cが形成されている。これらリング溝18aには、図1中上から順に、トップコンプレッションリング81(以下、単に「トップリング81」という。)、セカンドコンプレッションリング82(以下、単に「セカンドリング82」という。)及びオイルリング83が装着されている。これらはピストン18の熱をシリンダ16に逃してやる役割を担うほか、オイルリング83は主に、シリンダ16の壁面の潤滑油を掻き落とし潤滑油消費量を適正に維持する役割を担い、トップリング81及びは主に、燃焼室20における燃焼ガスの気密性を保つ役割を担う。
図3において、トップリング81は、摺動面91、上面92及び下面93をもつ。このうち摺動面91には軟質被膜911及び913と、これらよりも硬度において優る硬質被膜912が備えられている。このうち軟質被膜911及び913はそれぞれ、摺動面91のうちでも燃焼室20側に位置する部分、すなわち図1及び図2中上側の部分と、クランクケースCC側に位置する部分、すなわち図1及び図2中下側の部分に形成されている。また、硬質被膜912は、これらの軟質被膜911及び913に挟まれるようにして形成されている。
これら軟質被膜911及び913並びに硬質被膜912は、種々の手法で製造することができるが、具体的には例えば、窒化処理法、電気めっき法、電気複合めっき法、蒸着法、溶射法、スプレーコート法、化成処理法を用いることができる。好ましくは、軟質被膜911及び913については、Crめっき、Snめっき、Ni複合めっき、樹脂コーティング等を用いて、Hv1000未満のものとして製造するのがよく、硬質被膜912については、PVD(Physical Vapor Deposition)、DLC、窒化処理、溶射等を用いて、Hv1000以上のものとして製造するのがよい。
一方、上面92及び下面93は、本発明にいう「溝対向面」の一例に該当し、リング溝18aの内部の図1中の下面及び上面にそれぞれ対向する面である。第1実施形態では、この上面92及び93には、前記の軟質被膜911及び913に連続する軟質被膜が備えられるようにはなっていない。
また、摺動面91は、図3に示すように、いわゆるバレル形状となっている。より詳しくは次のようである。すなわち、まず、摺動面91は突端部Tをもつ。したがって、トップリング81は、図3中の左右方向、即ち当該トップリング81の径方向に沿って、この突端部91の部分において最大の径をもつ。そして、摺動面91は、この突端部Tを頂点とするようにして所定の曲率をもって湾曲している。より具体的には、硬質被膜912が形成されている領域については、曲率半径Rから導かれる曲率、即ち1/Rで、軟質被膜911及び913が形成されている領域については、曲率半径r(但し、r<R)から導かれる曲率、即ち1/rでもって湾曲している。ここで、r<Rより、1/r>1/Rである。
また、このような湾曲した摺動面91上において、硬質被膜912の形成領域に含まれる突端部Tから、トップリング81の径方向に沿ってみた該硬質被膜912及び図3中上側の軟質被膜911の境界線までの距離は、h1とされている。これは、突端部Tと硬質被膜912及び図3中下側の軟質被膜913の境界線までの距離についても同様である(図3参照)。また、第1実施形態においては、突端部Tからみた図3中上側の摺動面91の端部までの距離と、該突端部Tからみた図3中下側の摺動面91の端部までの距離とは同じである。この距離は、摺動面91に沿って図ってもよいが、図3においては、トップリング81の径方向に沿って測った距離h2及びh3が示されている。上の説明により、第1実施形態ではh2=h3である(以下、このh2及びh3、並びに前述のh1によって表される量を「バレル高さ」と呼称することがある。)。
このような構成となる第1実施形態のピストンリングによれば、次のような作用効果が得られる。以下ではこれを、前述までに参照した各図並びに図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、図3と略同様の趣旨の図であり、ピストン下降中におけるトップリングの挙動の様子を拡大して描いた断面図であり、図5はトップリングの摺動面においていわゆる初期なじみが完了した場合の一例を示す断面図である(但し、これらの図では、図2及び図3で説明した硬質被膜912、軟質被膜911及び913等の図示は省略している。)。
まず、図1に示すエンジン150では、よく知られているように、吸気工程、圧縮工程、爆発・膨張行程、排気工程の四つのサイクルが繰り返される。このうち爆発・膨張行程では、吸気弁32を介して燃焼室20内に導入された混合気に点火プラグ26による点火が実行されることで爆発が生じ、この爆発力を原因としてピストン18はシリンダ16内部で図1中下側に急激に下降する。この際、ピストンリング81乃至83は、一般的には図4に示すような挙動を示す。すなわち、図4において、ピストン18´は図中下側に急激に下降中であるから、トップリング81´も同じく図中下側に急激に下降中であるが、これと同時にトップリング81´は、図中上方の図示されない燃焼室における爆発力を直接的に受けているため、その先端が傾ぐのである。この傾斜の度合いは、エンジンの種類、あるいは運転条件、更にはリング溝18´a及びトップリング81´間のクリアランス等様々な条件によっても異なるが、いずれにせよ、トップリング81´は、このような姿勢をとらされた上で、高温下、高圧力を受けるという極めて厳しい潤滑条件下におかれることになる。そうすると、トップリング81´の摺動面のうちでも、燃焼室側に位置する部分は、他の部分に比べて摩耗が速く進行するということになる。その結果、一定期間の運転の後には、トップリング81´は、図5に示すような形状となることになる。つまり、新品時における摺動面811´のうち、燃焼室側に位置する部分が、トップリング81´の径方向に沿って後退するのである(摺動面812´参照。)。このような現象はエンジン運転初期の段階において顕著に見られるが、この場合における摺動面811´から一定程度安定的な摺動面812´に至る変化の過程は、一般に「初期なじみ」と呼ばれる。
このような初期なじみが完了するまでの期間は短ければ短いほどよい。なぜなら、初期なじみ後はピストンリング81乃至83が安定形状を維持することになり、エンジン150の安定的な運転を行うことが可能となるからである。
このような観点からすると、第1実施形態においては、極めて良好な作用効果が得られることになる。すなわち、第1に、第1実施形態におけるトップリング81では、摺動面91のうち燃焼室20側の部分に軟質被膜911が、そうでない部分に硬質被膜912が備えられていることから、安定的な形状をより早期に獲得することが可能となる。これは、軟質被膜911の方が硬質被膜912よりもより速く摩耗が進行するからである。第2に、摺動面91はバレル形状となっており、しかも軟質被膜911の形成されている領域1/rが硬質被膜912の形成されている領域の曲率1/Rに比べて大きくされていることから、第1実施形態のトップリング81は、予め、初期なじみが完了した後の形状に近い形状をとっているということがいえるため(図3及び図5比較参照)、前記の効果は更に促進される。
また、第1実施形態では、上述の効果に加えて以下に記す効果も奏される。すなわち、第1に、第1実施形態では、図3中上側の軟質被膜911に加えて、図3中下側にも軟質被膜913が備えられており、且つ、該軟質被膜913の形成されている領域の曲率r/1が硬質被膜912の形成されている領域の曲率1/Rに比べて大きくされている。これにより、前述の安定的な形状の早期獲得という効果は更に顕著になるのである。というのも、このトップリング81の下端部分は、その先端部分に次いで摩耗の進行が速いと一般的に考えられるからである。これは、図4において爆発力の影響が影を潜めた後には、シリンダ16´及びトップリング81´の先端間に作用する摩擦力の影響が優位に立つことによって、該トップリング81´の先端が図4とは逆に上向きに傾ぐことが考えられるためである。
また第2に、第1実施形態においては、図3を参照して説明したように、トップリング81の上面92及び下面93に軟質被膜が備えられていない。したがって、第1実施形態によれば、ピストンリング81の上面92あるいは下面93とリング溝18aとの側面との隙間が発生しにくくなるから、該隙間を原因とするブローバイ等の発生可能性を顕著に低減することができる。
さらに第3に、第1実施形態においては、摺動面81に図3中上側の軟質被膜911及び下側の軟質被膜913に挟まれるようにして硬質被膜912が備えられているから、この硬質被膜912の形成されている領域については摩耗が進行しにくい。したがって、運転初期時における摩耗の進行を抑制することができ、合い口隙間増大による燃焼ガス漏れ・潤滑油漏れ等の発生を効果的に防止することができる。
加えて第4に、前述のように、軟質被膜911及び913が早くに摩耗するとともに硬質被膜912は残存することで、トップリング81が早期に安定的な形状に至ることが可能であるということは、バレル高さh2及びh3がより大きくなるような形状が早期に実現され得ることを意味するから、潤滑油掻き落とし性能の向上、当該トップリング81の低張力化、フリクションの低減化等が実現され得、更には潤滑油中に含まれる硫黄・リンによる触媒被毒が抑制されてエミッションの向上を図ることもできる。
ちなみに、これに関連して、図6及び図7にはそれぞれ、バレル高さh2(=h3)と、潤滑油消費量・ブローバイ発生率、及び、フリクションの大きさとの定性的な関係を示すグラフを示しておく。前者によれば、バレル高さh2が大きくなればなるほど、潤滑油消費量は低減し、ブローバイ発生率は減少することがわかり、後者によれば、バレル高さh2が大きくなればなるほど、フリクションは小さくなることがわかる。なお、図7の横軸は、バレル高さh2に代えて、図3に示す硬質被膜912の形成領域長さLに読み替えることが可能である(ただし、この場合、横軸を図中右に進むにつれて、長さLは減少していくものとして読み替える。)。また、これらの図とも関連するが、先に述べた安定的形状の早期獲得という作用効果を主とする各種の作用効果をより効果的に得るためには、図3を参照して説明したバレル高さh1の値が、0.5〔μm〕以上3.0〔μm〕以下であるとよい。バレル高さh1が0.5〔μm〕未満では、前述の硬質被膜912の形成領域長さLが短くなりすぎ、3.0〔μm〕を超えてはLが長くなりすぎて、初期なじみ後に得られる形状からの乖離が大きくなってしまうためである。
(第2実施形態)
以下では、本発明の第2の実施の形態について図8を参照しつつ説明する。ここに図8は、図3と同趣旨の図であって摺動面上における軟質被膜及び硬質被膜の形成態様が異なる断面図である。なお、以下の説明においては、上記第1実施形態で説明したエンジンに関する構成及び作用は同様であるので、その説明は簡略化、或いは省略することとし、第2実施形態において特長的な構成についてのみ説明を加えることとする。また、上記第1実施形態で参照した図面において使用した符号については、第2実施形態で参照する図面においても同一の対象を指し示す場合には、同一の符号を用いることとする。このようなことは、以下で説明する第3実施形態以降についても同様とする。
第2実施形態では、図8に示すように、摺動面91の全面に硬質被膜914が備えられている。そして、このような硬質被膜914のうち燃焼室20側に位置する部分については軟質被膜915が、クランクケースCC側に位置する部分については軟質被膜916が備えられている。これを言い換えると、軟質被膜915及び916の下層に、外部に露出される硬質被膜914と同一膜としての硬質被膜914が更に備えられているということがいえる。
このような第2実施形態によっても、まず、前記の第1実施形態と略同様な作用効果が得られることは明白である。
また、第2実施形態によれば特に、次のような作用効果も得られる。すなわち、図8のような形態となるトップリング81は、軟質被膜915及び916並びに硬質被膜914の形成前のトップリングにおいて、まず、その摺動面91に硬質被膜914を一面に形成した後、該硬質被膜914の上層として軟質被膜を一面に形成し、その後、外部に露出されるべき硬質被膜914の部分に位置する軟質被膜のみを除去する(これにより、軟質被膜915及び916が残存する)、などといった工程によって製造することができる。つまり、一般に硬質被膜の除去は困難であるところ、第2実施形態に係るトップリング81によれば、そのような硬質被膜の除去工程を実施する必要がないから、その製造を容易且つ低コストに行うことができるのである。
(第3実施形態)
以下では、本発明の第3の実施の形態について図9及び図10を参照しつつ説明する。ここに図9は、図3と同趣旨の図であって摺動面の形状が異なる断面図であり、図10は、図8と同趣旨の図であって摺動面の形状が異なる断面図である。
第3実施形態では、図9に示すように、摺動面95のバレル形状が図3とは異なっている。すなわち、第1実施形態の図3においてはh2=h3とされていたところ、図9ではh2>h3とされている。また、これに対応するように、図9における突端部Tの位置が、図3におけるそれよりも図中下側にずれている。さらに、図9においては、硬質被膜952の形成されている領域の曲率1/Rと軟質被膜951及び953それぞれの形成されている領域の曲率1/r1及び1/r2とが、図3における1/R<1/rなる関係に対応する、1/R<1/r1及び1/R<1/r2なる関係を満たしている。ちなみに、図9において、r1>r2である。
このような第3実施形態によれば、上記第1実施形態で述べた作用効果をより効果的に享受することができる。なぜなら、既に第1実施形態の説明の中でも述べたように、摺動面95を上側部分、中央部分及び下側部分に分けるのなら、これらを摩耗の進行速度が大きい順に並べると、上側部分、下側部分及び中央部分ということになるからである。図9における形状は、このような事情をよりよく反映しており、したがってトップリング84は初期なじみが完了した後の形状に更に近い形状をとっているということができるため、安定的な形状を極めて顕著に速く獲得することが可能となるのである。
ちなみに、図10には、この第3実施形態に関連する別の形態が図示されている。この図10は、図9と同じ思想に基づいているとともに第2実施形態の図8の変形形態でもある。すなわち、図10では、図9と同様、h2>h3とされていると同時に、図8と同様、摺動面95の全面に形成された硬質被膜954のうち図中上側及び下側の部分についてのみ軟質被膜955及び956が形成されている。したがって、この図10によれば、第3実施形態に係る作用効果が得られると同時に、第2実施形態で述べた作用効果も得られることになる。
(その他の実施形態)
以下では、本発明のその他の実施の形態について図11乃至図13を参照しつつ説明する。これら図11乃至図13は、図3、あるいは図8ないし図10と同様の趣旨の図であるが、上記では触れることのできなかった、本発明の各種の変形形態を示すものである。
まず、上記第1乃至第3実施形態においては、もっぱらトップリングを対象とした説明を行っているが、本発明はかかる形態に限定されない。第1実施形態の説明の中で、図4及び図5を参照して述べたことは、程度の差こそあれ、セカンドリング82及びオイルリング83についても同じようにあてはまる。つまり、第1乃至第3実施形態で述べた構造及び考え方は、これらセカンドリング82及びオイルリング83についても同じようにあてはめることが可能であり、その結果、前述したのと略同様の作用効果を得ることができる。図11においては、その一例としてオイルリング83に第1実施形態の構造を当てはめた例が示されている。この図11において、オイルリング83は、いわゆる3ピース構造をとっており、上レール831、エキスパンダ832及び下レール833からなっている。このうちシリンダ16の壁面と接するのは上レール831及び下レール833の先端部であるから、この部分について、図11に示すように図3と同様な構造を備えることができる。
次に、上記第1乃至第3実施形態においては、摺動面91又は95の燃焼室20側及びクランクケースCC側の双方に軟質被膜が備えられる形態について説明しているが、本発明はかかる形態に限定されない。例えば、図12に示すように、摺動面91のうち燃焼室20側に位置する部分には軟質被膜911を備えるが、クランクケースCC側に位置する部分には軟質被膜を備えず、軟質被膜911が備えられている部分以外はすべて硬質被膜917であるというようなピストンリングであってもよい。
さらに、上記第1乃至第3実施形態においては、摺動面91又は95はバレル形状となっているが、本発明はかかる形態にも限定されない。例えば、図13に示すように、摺動面96が平面であるようなピストンリングであってもよい。ちなみに、この図13においては、平面である摺動面96のうち燃焼室20側及びクランクケースCC側に軟質被膜961及び963を備え、これらに挟まれるようにして硬質被膜962を備えるという、図3同様の形態が示されているが、これに代えて、すぐ前に述べた図12のような形態を備えてもよいことは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うピストンリングもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンの構成概略図である。 ピストンリングが装着されたピストンの一部分を拡大して描いた断面図である。 図2の中から更にトップリングの部分だけを拡大して描いた断面図である。 図3と略同様の趣旨の図であり、ピストン下降中におけるトップリングの挙動の様子を拡大して描いた断面図である。 トップリングの摺動面においていわゆる初期なじみが完了した場合の一例を示す断面図である。 バレル高さ(図3中のh2ないしはh3)と、潤滑油消費量・ブローバイ発生率との定性的な関係を示すグラフである。 バレル高さ(図3中のh2ないしはh3)と、フリクションの大きさとの定性的な関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係り、図3と同趣旨の図であって摺動面上における軟質被膜及び硬質被膜の形成態様が異なる断面図である。 本発明の第3実施形態に係り、図3と同趣旨の図であって摺動面の形状が異なる断面図である。 本発明の第3実施形態に係り、図8と同趣旨の図であって摺動面の形状が異なる断面図である。 図3、あるいは図8ないし図10と同様の趣旨の図であって、本発明の各種の変形形態(その1)を示すものである。 図3、あるいは図8ないし図10と同様の趣旨の図であって、本発明の各種の変形形態(その2)を示すものである。 図3、あるいは図8ないし図10と同様の趣旨の図であって、本発明の各種の変形形態(その3)を示すものである。
符号の説明
150…エンジン
20…燃焼室
CC…クランクケース
18…ピストン
18a…リング溝
81、84…トップリング
82…セカンドリング
83…オイルリング
91、95、96…摺動面
911、913、915、916、951、953、955、956、961、963…軟質被膜
912、914、952、954、917、962…硬質被膜
T…突端部
92…上面
93…下面

Claims (10)

  1. 摺動面を有し、該摺動面のうち燃焼室側に位置する第1部分に軟質被膜を備え、且つ、前記摺動面のうち前記第1部分に接続する第2部分に前記軟質被膜よりも硬い硬質被膜を備えたことを特徴とするピストンリング。
  2. 前記摺動面は所定の曲率をもって湾曲しており、
    前記第2部分における前記曲率は、前記第1部分における曲率に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
  3. 前記第2部分の突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、前記第1部分及び当該第2部分の境界線までの距離は、0.5〔μm〕以上3.0〔μm〕以下であることを特徴とする請求項2に記載に記載のピストンリング。
  4. 前記第1部分における前記軟質被膜の下層に、前記第2部分における前記硬質被膜と同一膜としての硬質被膜を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のピストンリング。
  5. 摺動面を有し、該摺動面のうち燃焼室側に位置する第1部分及びクランクケース側に位置する第3部分に軟質被膜を備え、且つ、前記摺動面のうち前記第1部分及び前記第3部分に接続する第2部分に前記軟質被膜よりも硬い硬質被膜を備えたことを特徴とするピストンリング。
  6. 前記摺動面は所定の曲率をもって湾曲しており、
    前記第2部分における前記曲率は、前記第1部分又は前記第3部分における曲率に比べて小さいことを特徴とする請求項5に記載のピストンリング。
  7. 前記第2部分の突端部から、当該ピストンリングの径方向に沿ってみた、前記第1部分及び当該第2部分の境界線までの距離、又は、前記第3部分及び前記第2部分の境界線までの距離は、0.5〔μm〕以上3.0〔μm〕以下であることを特徴とする請求項6に記載に記載のピストンリング。
  8. 前記第1部分における前記軟質被膜の下層及び前記第3部分における前記軟質被膜の下層の少なくとも一方に、前記第2部分における前記硬質被膜と同一膜としての硬質被膜を更に備えたことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のピストンリング。
  9. 前記第2部分の突端部からみた前記燃焼室側の前記摺動面の端部までの距離は、前記突端部からみた前記燃焼室側とは反対側の前記摺動面の端部までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のピストンリング。
  10. 前記摺動面に接続される溝対向面には前記軟質被膜を備えていないことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のピストンリング。
JP2004090006A 2004-03-25 2004-03-25 ピストンリング Pending JP2005273583A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090006A JP2005273583A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ピストンリング

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004090006A JP2005273583A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ピストンリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005273583A true JP2005273583A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35173522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004090006A Pending JP2005273583A (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ピストンリング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005273583A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006030881A1 (de) * 2006-07-04 2008-01-31 Federal-Mogul Burscheid Gmbh Ölabstreifring
WO2011064888A1 (ja) * 2009-11-30 2011-06-03 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
WO2015199183A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社リケン ピストンリング
JP2016011674A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 株式会社リケン ピストンリング
JP2016011675A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 株式会社リケン ピストンリング
JP2016514240A (ja) * 2013-03-13 2016-05-19 フェデラル−モーグル コーポレイション 耐摩耗ピストンリングコーティング
JP2018523072A (ja) * 2015-07-13 2018-08-16 フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハーFederal−Mogul Burscheid Gmbh プロファイル部を有するコンプレッションリング
JP6759471B1 (ja) * 2018-11-15 2020-09-23 Tpr株式会社 ピストンリングの組み合わせ
JP2021059983A (ja) * 2019-10-03 2021-04-15 日本ピストンリング株式会社 オイルリングの形状作り込み方法、オイルリング
JP2021156375A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 Tpr株式会社 ピストンリングの組み合わせ
CN113803187A (zh) * 2020-06-15 2021-12-17 曼能解决方案(曼能解决方案德国股份公司)分公司 用于具有十字头的大型二冲程涡轮增压单流扫气式内燃发动机的活塞中的环组件中的活塞环
WO2022168668A1 (ja) 2021-02-05 2022-08-11 Tpr株式会社 コンプレッションリング

Cited By (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006030881A1 (de) * 2006-07-04 2008-01-31 Federal-Mogul Burscheid Gmbh Ölabstreifring
WO2011064888A1 (ja) * 2009-11-30 2011-06-03 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
JPWO2011064888A1 (ja) * 2009-11-30 2013-04-11 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
JP5557850B2 (ja) * 2009-11-30 2014-07-23 日本ピストンリング株式会社 ピストンリング
US10514097B2 (en) 2009-11-30 2019-12-24 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Method for producing piston ring with recess
US11047479B2 (en) 2009-11-30 2021-06-29 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Method for producing piston ring with recess
JP2016514240A (ja) * 2013-03-13 2016-05-19 フェデラル−モーグル コーポレイション 耐摩耗ピストンリングコーティング
JP2016011675A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 株式会社リケン ピストンリング
CN106662246A (zh) * 2014-06-27 2017-05-10 株式会社理研 活塞环
CN106662246B (zh) * 2014-06-27 2018-09-14 株式会社理研 活塞环
JP2016011674A (ja) * 2014-06-27 2016-01-21 株式会社リケン ピストンリング
WO2015199183A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 株式会社リケン ピストンリング
JP2018523072A (ja) * 2015-07-13 2018-08-16 フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハーFederal−Mogul Burscheid Gmbh プロファイル部を有するコンプレッションリング
JP6759471B1 (ja) * 2018-11-15 2020-09-23 Tpr株式会社 ピストンリングの組み合わせ
US11320049B2 (en) 2018-11-15 2022-05-03 Tpr Co., Ltd. Piston ring combination
JP2021059983A (ja) * 2019-10-03 2021-04-15 日本ピストンリング株式会社 オイルリングの形状作り込み方法、オイルリング
JP7368166B2 (ja) 2019-10-03 2023-10-24 日本ピストンリング株式会社 オイルリングの形状作り込み方法、オイルリング
JP2021156375A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 Tpr株式会社 ピストンリングの組み合わせ
CN113803187A (zh) * 2020-06-15 2021-12-17 曼能解决方案(曼能解决方案德国股份公司)分公司 用于具有十字头的大型二冲程涡轮增压单流扫气式内燃发动机的活塞中的环组件中的活塞环
JP2021196057A (ja) * 2020-06-15 2021-12-27 エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド クロスヘッド型ターボ過給式大型2ストロークユニフロー掃気内燃機関のピストンのリングパックで使用されるピストンリング
EP3933232A1 (en) * 2020-06-15 2022-01-05 MAN Energy Solutions, filial af MAN Energy Solutions SE, Tyskland Piston ring with hard coating
JP7163452B2 (ja) 2020-06-15 2022-10-31 エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド クロスヘッド型ターボ過給式大型2ストロークユニフロー掃気内燃機関のピストンのリングパックで使用されるピストンリング
WO2022168668A1 (ja) 2021-02-05 2022-08-11 Tpr株式会社 コンプレッションリング
US12196325B2 (en) 2021-02-05 2025-01-14 Tpr Co., Ltd. Compression ring

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6231781B2 (ja) シリンダライナ用の厚さの異なるコーティング
US9067286B2 (en) Piston ring for a piston of an internal combustion engine, and a method for producing same
US8371585B2 (en) Oil wiper ring
JP4322500B2 (ja) 組合せオイルリング
JP2005273583A (ja) ピストンリング
US20080256794A1 (en) Method For the Production of a Piston Ring For Internal Combustion Engine and a Piston Ring of this Type
KR102047100B1 (ko) 내연 기관의 슬라이딩 구조, 아이들링 운전의 제어 방법, 내연 기관의 운전 제어 방법
US20130174419A1 (en) Method for producing a piston ring
JP5907955B2 (ja) 内燃機関用の鉄ボディのオイル制御リング
JP2009522480A (ja) 内燃機関のためのピストン
CN104131909A (zh) 内燃机的活塞
JP2023029947A (ja) 銅合金のピストン圧縮リング
JP2002130049A (ja) 4サイクル式内燃機関用ピストン
JP2019078267A (ja) 内燃機関のシリンダ及び製造方法
JP5550870B2 (ja) 内燃機関用組合せオイルリング及びその組付構造
JP2005264978A (ja) 圧力リング
US20140197602A1 (en) Piston ring with localized nitrided coating
JP6685642B2 (ja) オイルリング
JP2017036823A (ja) ピストンリング
WO2010133929A1 (en) Oil ring mechanism of a piston
JP4900222B2 (ja) 内燃機関のピストン
JP2013155829A (ja) 3ピースオイルリング
JP2020507038A (ja) 銅−ニッケル−スズ合金のピストン圧縮リング
JP2020504272A (ja) 銅−ベリリウム合金のピストン圧縮リング
JP2005180329A (ja) 内燃機関の摺動部構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080924

A521 Written amendment

Effective date: 20081125

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090310

A02 Decision of refusal

Effective date: 20090630

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02