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JP2005264249A - ダイアモンド担持金属基材及びその製造方法 - Google Patents

ダイアモンド担持金属基材及びその製造方法 Download PDF

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JP2005264249A JP2004079692A JP2004079692A JP2005264249A JP 2005264249 A JP2005264249 A JP 2005264249A JP 2004079692 A JP2004079692 A JP 2004079692A JP 2004079692 A JP2004079692 A JP 2004079692A JP 2005264249 A JP2005264249 A JP 2005264249A
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堯民 古屋
Takayuki Shimamune
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Abstract

【課題】 従来の導電性ダイアモンドを基材に担持したダイアモンド担持金属基材は、CVD法で製造されるため、長期間の使用で担持した導電性ダイアモンドが剥離したり、大型の電極として使用できる大きさの担持金属基材が得られないという欠点があった。
【解決手段】 1種以上の金属を含む金属基材、及びダイアモンドと前記金属の少なくとも1種を含むバインダーとを有し、前記金属基材表面に形成される被覆層を含んで成るダイアモンド担持金属基材。金属基材とバインダーが共通の金属を有するため、両者間の親和力が高く、ダイアモンドを含む被覆層が強固に金属基材に結合する。更に前記ダイアモンド担持金属基材を熱分解法により製造すると、大型の金属基材に、ダイアモンドを含む多量のバインダーを塗布形成できるため、実用レベルまで大型化した金属基材が得られる。

Description

本発明は、ダイアモンド担持金属基材及びその製造方法に関し、より詳細には金属基材表面にダイアモンドの微細な粉末を強固に担持することにより、表面がエロージョン環境に曝されるような場合に極めて強固なエロージョン耐性を有する、また該ダイアモンドを導電性とした場合にはダイアモンドを電極物質とする極めて優れた酸化性を与える電極として使用出来るようにする金属の表面加工の分野に属するダイアモンド担持金属基材及びその製造方法に関する。
金属表面を固化して表面の物理特性を向上させる方法として古くから物理的あるいは化学的耐性の優れた金属あるいは場合によっては金属化合物をメッキによって前記金属表面に付着させる方法や、窒素雰囲気で処理を行うことによって金属表面を金属窒化物とする方法、あるいは同様にして炭化物や酸化物にする方法が知られている。
しかしこれらによっては常に合目的になるわけではなく、被膜が薄すぎたり、あるいは導電性を要する場合に実際には導電性が無くなる様な問題を生じるケースが多々起こっている。
これに対していわゆるPVD (物理的気相成長法)、CVD(化学的気相成長法)などにより任意の物質を金属表面に形成する方法が知られている。これらはいずれも広く使われ、PVD法では被膜の厚さが必ずしも厚くは出来ないが、形成物質と基材となるものと金属との間に整合性は必要とするものの、別種の金属や金属化合物を形成することが出来る。これはCVDも同様であり、CVDの場合は化学反応を伴うようにして、膜を形成するので、被膜を比較的厚く形成出来ること、及び任意の状態として形成出来るなどの特徴を有している。
最近では機械工具や、バイトなどのために、金属表面にDLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)の被膜が形成されている。このDLCは堅さがダイアモンドに近く、極めて安定であるので、従来ダイアモンド工具として広く使用されている。しかしながらDLCは特殊な条件で作製しない限り、物理的強度はあるが、絶縁体である為に、例えば電場を掛けながら研磨する必要がある場合でも電場を変えることが出来ず、電場印加用の電極を別に用意しなければならないといった問題があった。
一方導電性ダイアモンドは極めて優れた酸化能を有しているため、該導電性ダイアモンドを電極として使用して電気分解にて電解処理をする試みがなされている。しかしながらこのようなダイアモンド電極は通常水素雰囲気中でCVD法によって作製されるため基材金属が水素化しやすいものでは金属の方が先に水素化してしまいぼろぼろになるなどの問題があった。
この欠点を解消するために、基材として水素脆性の低いシリコンウエハーが通常使用される。しかしながらシリコンは加工性が極めて悪く、また電気抵抗も大きいという問題を抱えていること、更にシリコンが外面に出てしまった場合には酸などの腐食雰囲気に対して必ずしも耐食性があるわけではなく、それ故実用上の問題が大きく、取り扱い上の問題も多く残されていた。
他の金属の中では、水素化物を作りにくく、しかも耐食性に優れた材料としてニオブを特殊加工して使用する試みがなされている。量産されれば経済性の向上は期待されるが、ニオブそのものの価格が極めて高価であるという問題が残されており、水処理などに使用することを考えると必ずしも合目的とは言えなかった。
実用化に向けては大型化が欠かせないが、従来の技術では、たとえば工具などに適用するいわゆるDLC被膜の形成にしても、あるいはダイアモンド電極用として行われているホットフィラメント型のCVD法によっても、いずれも大型化のためには真空ないし減圧下の、精密に制御された雰囲気中で、しかも条件によっては千数百℃という高温での処理を必要とし、しかも被処理材を収容できる大きさを必要とする。これは不可能ではないが、設備が極めて高価になってしまい必然的に製品コストが上昇し、実用化は限られた部分になってしまうという問題点があった。
また電解用の電極に適用する場合には1m2程度の大きさが通常使われるが、このような大きなサイズへの適用は事実上不可能である。ダイアモンド電極の酸化作用によって期待される水処理,有機排水の処理などでも同様に大型化が必要であるが、技術的又はコスト的な理由で事実上大型化は不可能である。
そのため現状では性能的に不十分であるが、白金メッキチタン等や、酸化鉛電極などが使われている。しかしこれらはいずれもダイアモンドに比較して酸化作用が劣るために時としては薬品処理との組み合わせなど複雑な処理を必要としていた。
これは例えばパイプ内面や化学プラントの薬品に接触する箇所の処理などのような表面を物理的に強化するための処理でも同じであり、これらの処理は事実不可能で、要望に応えられなかった。
実用的に適用可能な大型化に関する公知文献は比較的少ないが、導電性ダイアモンドについてはいくつかの技術が提案されている。例えば特許文献1にはダイアモンド電極が示されている。これはダイアモンドを中間に挟む技術ではあるが、いわゆるCVD法による被膜形成技術であり、実際に大型化に適用することは極めて困難である。
また特許文献2には粒状体を金属上に担持することが示されてはいるが技術的な詳細については不明である。更に特許文献3には過酸化水素製造に関する可能性を示されているが、いずれもCVD法による製造であり、大型化が極めて困難であることは同様である。
特開平09−279398号公報 特開平09−268395号公報 特開平11−269686号公報
このように金属基材表面にダイアモンドを被覆したダイアモンド担持金属基材製造に関する従来法の主流は、金属基材表面にCVD法によりダイアモンド微粉末を担持させる方法であった。この方法は大型の金属基材の製造が困難であるという課題があるが、この課題を満足できる製法が提示されていなかった。
従って本発明は、比較的大型の金属基材に対しても比較的容易にダイアモンド微粉末を形成できるダイアモンド担持金属基材を提供することを目的とする。
本発明は、第1に1種以上の金属を含む金属基材、及びダイアモンドと前記金属の少なくとも1種を含むバインダーとを有し、前記金属基材表面に形成される被覆層を含んで成ることを特徴とするダイアモンド担持金属基材であり、第2に表面に金属及び/又は金属酸化物を含む薄膜を被覆したダイアモンド微粉末と、熱分解により前記酸化物に変換できるバインダー前駆体を懸濁したバインダー液を金属基材表面に塗布し熱分解することにより、前記金属基材表面にダイアモンドとバインダーを有する被覆層を形成することを特徴とするダイアモンド担持金属基材の製造方法、第3にダイアモンド微粉末と、熱分解により金属酸化物に変換できるバインダー前駆体を懸濁したバインダー液を、構成金属として前記金属酸化物に対応する金属を含有する金属基材表面に塗布し熱分解することにより、前記金属基材表面にダイアモンドとバインダーを有する被覆層を形成することを特徴とするダイアモンド担持金属基材の製造方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、金属基材表面にダイアモンド微粒子を担持する際に1種又は2種以上の金属あるいは金属酸化物を有するバインダーを使用し、該バインダー中の金属成分の少なくとも1種が金属基材を構成する金属の少なくとも一部と同一になるよう選択する。
このバインダーはダイアモンド微粒子同士を結合して該バインダー及びダイアモンド微粒子で被覆層を形成する。なお該被覆層は必要に応じて他の成分を含有しても良い。この被覆層はバインダーにより金属基材表面に担持されるが、バインダーを構成する金属と金属基材を構成する金属の少なくとも一部が同一であるため、被覆層が金属基材に強固に密着し、長期間に亘って被覆層の剥離が防止できる。しかもダイアモンド微粒子を単独で金属基材表面に担持するわけではなく、ダイアモンド微粒子とバインダーを混合状態で担持するため、従来のCVD法では実質的に不可能であった熱分解法等の大型の金属基材にも適用可能な製造方法が使用でき、大型のダイアモンド担持金属基材を製造できる。
前記バインダーは予めダイアモンド微粒子の表面に被覆しておいても、又ダイアモンド微粒子とともに金属基材表面へ塗布されるバインダー液に懸濁させておいても良い。最終的に金属基材表面に被覆された際のバインダーは金属酸化物の形態であることが望ましいが、当初のバインダーは対応する金属又は酸化物以外の金属化合物であっても良い。
本発明のダイアモンドは絶縁性のダイアモンドでも導電性ダイアモンドでも良く、原料となるダイアモンド微粒子は市販の粉末を使用しても良く、更にCVD法で膜状に成形したダイアモンドを粉末化して使用しても良い。
絶縁性のダイアモンドを担持した金属基材は、例えば配管やプラントの内壁などに使用してその耐久性に寄与できる。
導電性ダイアモンドを担持した金属基材は電解用電極として好ましく使用でき、電極としてウインドウが極めて大きいことに特徴があると共に、陽極として極めて強い酸化能を有し、また強い還元能も有している。ダイアモンド担持金属基材に通電するためには、バインダーを含めて、殆ど全ての構成要素が導電性でなければならない。
導電性のダイアモンド粒状体は、例えばダイアモンドに1000から10000ppmの硼素をドープしたものであり、これはCVD法、ホットフィラメント法やマイクロプラズマ法で作製したものでも良く、あるいは高圧法によって1600℃、20000気圧程度の条件で合成したものであっても良い。このようなダイアモンド粒子の表面に必要に応じて半導性の酸化チタンの薄層を形成する。たとえばチタンに10%程度のタンタルドープしたものが好ましく使用され、マグネリ相チタンや導電性酸化チタンの使用も可能である。膜の厚さは1から10nm程度で十分であるが、特に限定されない。
金属基材は前述の通りバインダーの構成金属と少なくとも一部が一致する金属又は金属合金から形成され、次のように前処理が行われる。
例えばチタン製金属基材の場合、チタン基材表面を予めブラストなどで荒らしておき、塩酸や硫酸などで酸洗することによって活性化する。この表面を空気中550から600℃で加熱酸化する。
金属基材の表面に金属基材の構成金属と同一の金属を含む金属酸化物の被膜を形成しておくと、被覆層中のバインダーと金属基材の密着力が更に向上する。前記被膜形成は金属基材表面を高温焼成するか、前記金属基材の構成金属と同じ金属の化合物を前記金属基材表面に塗布して焼成すれば良い。
導電性ダイアモンドを担持した金属基材を電極として使用する場合、前記金属基材本体は通電時に電解反応が起こらないこと、つまり電極として働かないことが必要である。このために、たとえば金属基材として陽分極や陰分極としても安定なチタンやチタン合金、あるいは同様の性質を示すジルコニウム、ニオブ、あるいはタンタルを使用するのが好ましい。
前述の絶縁性又は導電性ダイアモンドは、バインダーを使用してチタン等の金属基材上に固定するが、固定用バインダーとして、タンタルをドープした半導性の酸化チタンバインダーが使用可能で、出来ればダイアモンドと共に予め半導性のチタン−タンタル酸化物の微粒子を加えておき、それを実質的にペーストとし、これを基材上に塗布して焼き付けることによって表面に被膜を形成することが望ましい。
なおバインダー液は上記したようにアルコキシドのアルコール溶液でも良く、チタンは塩素イオンに対して安定なので、塩化物の希塩酸溶液でも、あるいはこれに界面活性のために僅かにアルコールを入れたものでも良い。焼き付け温度は特には規定されないが、450から600℃が望ましく使用される。勿論電極として陽極のみで使用されるのであれば、導電バインダーとして酸化スズ等の導電性を有するが電解しにくい酸化物を使うことが出来る。
本発明におけるダイアモンドの金属基材への担持を大気中での熱分解法により行うと、熱分解温度は通常では600℃以下で良く、高価な設備を必要とせず、しかも極めて安定で強固な結合を持ってダイアモンドを含む被覆層を金属基材表面に形成することが出来る。なお熱分解により金属が金属酸化物に変換される際に体積増加が起こり、これにより被覆層が剥離しやすくなることがある。これを防止するためには体積増加により剥離が起こりにくい金属を選択するか、当初から金属酸化物をバインダーとして使用すれば良い。
次いで本発明に係るダイアモンド担持金属基材の製造方法の一例に関し説明する。
例えば金属基材がチタン製の場合、好ましくは酸化物前駆体としてのチタン又は酸化チタンの薄層をダイアモンド微粒子の表面に形成する。この薄層はダイアモンドとの親和性の良いことが必要であり、そのためには層の厚みを薄くすることが必要であり、その厚みは1から100nm程度が望ましい。この薄層の生成プロセスは特には指定されないが、厚みの制御と強い結合を与えるいわゆるPVD法が望ましく、チタンをターゲットとして真空中で層を形成し、あるいはわずかに酸素を含む減圧雰囲気中で行うことによって少なくとも部分的に酸化チタンからなるチタン被膜が形成される。このようにしてチタン/酸化チタンの薄層を形成したダイアモンドはチタンや酸化チタンとの親和性が極めて良く、しかも親水性になっている。
続いてこの被膜形成されたダイアモンド微粒子を例えばブチルチタネートの酸性アルコール溶液や塩化チタンの希塩酸水溶液と混合し、必要に応じてグルコース粉末などの増粘剤を加えてバインダー液とする。
このとき金属基材の表面は脱脂,酸洗などを行って表面の活性化をすると共に、必要に応じて表面を加熱したり、塩酸などの酸、あるいは塩化チタン水溶液やブチルチタネートのアルコール溶液を塗るなどして空気中で温度400から600℃で加熱することにより、表面に酸化チタンの薄層を形成しておいても良い。
このようにして準備した金属基材の必要部分に上記ダイアモンドを懸濁させたバインダー液を、ダイアモンド微粒子が沈殿しにくくしなるように攪拌しながら、金属基材表面に塗布する。これを室温で10分程度なじませた後、50から100℃で乾燥させ、更に空気中で400から600℃で加熱焼き付けを行う。
これにより金属基材表面にダイアモンドがバインダーを酸化チタンとして強固に担持される。
これ以外に、ダイアモンド微粒子単独又は前述の金属及び/又は金属酸化物を被覆したダイアモンド微粒子に加えて、該ダイアモンド微粒子より微細な粒状の酸化チタンや酸化チタン含有粒状体を添加しておき、同様の条件で処理することによって、実質的にチタン基材―バインダー―ダイアモンドに加えて、バインダー−中間バインダー粒子―ダイアモンドとより強固に周辺を囲むことが出来る。
ここで使用される原材料の上記酸化チタン粒子としてはセラミックス原料として販売されているルチル粒子でも良いが、粒子の大きい場合が多く、ダイアモンドと同等あるいは時としてより大きいことがあり、バインダーとして十分機能しないことがある。これを防止するために、例えばゾル−ゲル法などによって細かく制御された粒子が好ましく使用される。
基材金属がステンレス等の場合にはバインダーとして鉄族であるニッケルやコバルト、あるいはクロム等を用いることが出来る。鉄化合物を使用しても良いが、酸化物として緻密で安定な、スピネル構造を有する四三酸化鉄(Fe3O4)が得にくいこと、価数が動きやすいことから他の化合物を使用することが好ましい。バインダーの前駆体として代表的には金属基材の構成金属と同一の金属を含む金属の塩化物があるが、金属基材を腐食することがあるので、その点ではアルコキシドのような有機金属化合物を僅かに酸性として安定化して使用することが望ましい。
以上述べたように、本発明では、ダイアモンドと、金属を含むバインダーとを有する被覆層を、金属基材表面に形成し、その際にバインダー構成金属と金属基材表面に位置する金属の少なくとも一部が同一になるように金属を選択する。
これによりバインダーが金属基材と強固に結合し、被覆層の金属基材からの剥離を長期に亘って回避でき、エロージョン耐性が向上した金属基材が得られる。
更に本発明の方法では、ダイアモンドを単独で金属基材表面に担持するのではなく、ダイアモンド微粒子とバインダーを比較的低温で実施できる熱分解法等を使用して混合状態で担持するため、従来のCVD法では実質的に不可能であった大型の金属基材にも適用可能で、大型のダイアモンド担持金属基材を大掛りな設備を必要とすることなく製造できる。
[実施例]
次に本発明に係るダイアモンド担持金属基材の製造に関する実施例を記載するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
ステンレススチール板を金属基材とし、その表面をアルミナの細粒でわずかに荒らし、更に20%塩酸で酸性にした。
少量の塩酸で酸性にしたオルソブチルチタネート(Ti(C4H9O)4)のイソプロピルアルコール溶液に、金属分としてチタンの10%に相当する塩化ニッケルを加え、更に平均粒径3ミクロンのダイアモンド粉末を懸濁してバインダー液とした。
当該バインダー液を前記金属基材に塗布後、該金属基材を40℃で乾燥し、その後マッフル炉にて温度450℃で15分間焼き付けた。塗布−焼き付けの操作を3回繰り返して表面にダイアモンドの粒子を担持したステンレス板が得られた。なおダイアモンドの付着量は0.5g/dm2であった。
この金属基材を、ss分が1%程度含まれる塗装廃液の流速1000mm/秒の流れにおいたが、200時間後も全く変化は見られなかった。
[実施例2]
SUS316ステンレススチール板の表面を実施例1と同様にブラスト処理を行い、更に40℃の20%塩酸中に浸漬して表面の活性化を行って金属基材とした。
次いで、ブトキシスズのブタノール溶液に硝酸鉄を溶解して塗布液とし、この塗布液を基材表面に塗布した。この金属基材を40℃で乾燥した後500℃のマッフル炉に入れて加熱焼成した。この操作を2回繰り返して、表面に赤色の酸化鉄と酸化スズからなる被膜を形成した。
上記により作製した塗布液に別途水酸化鉄を懸濁し、更にその表面にあらかじめ10nm程度のスズ金属の被膜をスパッタ法により被覆して親水性とした平均粒径3ミクロンのダイアモンド粉末を懸濁してバインダー液とし、このバインダー液を前述の被膜形成を行った金属基材表面に塗布した。
この金属基材を実施例1と同様に乾燥し、温度500℃のマッフル炉で15分間焼き付けた。ダイアモンド含有バインダー液の塗布焼き付けの作業を4回繰り返し、ダイアモンド量で0.5g/dm2の被膜を形成してダイアモンド担持金属基材を得た。
この金属基材についてテープ試験を行ったが、被膜の剥離は見られなかった。
[実施例3]
チタン板の表面をサンドブラストで荒らした後、10%硫酸を表面に塗り、600℃に加熱したマッフル炉で15分間焼成して表面を酸化チタンとし、これを金属基材とした。
ブチルチタネートとブチルタンタレートのモル比で1:1となるように配合し、増粘剤としてキサンタンガムを少量加えた混合物を調製した。
この混合物に、マイクロ波プラズマ法で作製した、その表面に反応性スパッタで厚み5nmのチタン−タンタル複合酸化物被膜を形成した平均粒径5ミクロンのダイアモンド粉末と粒径が1から2ミクロンのチタンとタンタルのモル比4:1からなる複合酸化物粉末を加えて混合しバインダー液とした。
このバインダー液を前記金属基材のチタン表面に塗布し、室温で乾燥後更に40℃で乾燥し、更に450℃のマッフル炉中に30分間入れて焼き付けを行った。
このようにして表面にチタン−タンタル複合酸化物中にダイアモンド粉末が含まれる被膜を有する金属基材が得られた。この被膜は見かけ厚さ10ミクロンの強固な被膜であった。
この金属基材を、ss分が5%程度含まれる塗装廃液の流速500mm/秒の流れにおいたが、200時間後も全く変化は見られなかった。
[実施例4]
チタン表面をサンドブラスト処理し、次いで20%沸騰塩酸中で10分間処理を行って金属基材とした。
この金属基材の表面に塩化チタンと塩化タンタルのモル比1:1で含有する10%塩酸水溶液を塗布し、乾燥後530℃で15分間焼成した。この操作を4回繰り返して理論被覆量1g金属/m2となる薄い青色の被膜を得た。
マイクロ波プラズマ法で作成した硼素を5000ppm含有する導電性のダイアモンド粉末の表面を実施例3と同様にして処理して厚み5nmのチタン−タンタル複合酸化物被膜を形成した平均粒径5ミクロンの導電性ダイアモンドを、マグネリ相酸化チタン(代表組成Ti4O7)と混合した。この混合物を、塩化チタンと塩化タンタルのモル比1:1の10%塩酸水溶液中に懸濁してバインダー液とした。
表面にチタン−タンタル複合酸化物を有する前記チタン製金属基材上に前記バインダー液を塗布し、40℃で乾燥後510℃で15分間焼き付けた。この操作を5回繰り返して表面に導電性のダイアモンドを有するチタン製金属基材を作製した。
この金属基材を陽極として希硫酸液中で電解を行ったところ、酸素の他にわずかなオゾンと過酸化水素の生成が認められた。
[実施例5]
硼素のドープ量を10000ppmとし、高圧法で製造した以外実施例4と同じダイアモンド粉末を使用し、実施例4と同様の条件で導電性のダイアモンドを有するチタン製金属基材を作製した。
この金属基材を陰極として電解を行ったところ、電流密度10A/dm2で白金電極よりも1500mV電位が卑であることがわかった。これにより有機物の陰極還元用として有効であることが確認された。
[比較例1]
実施例3のバインダー液塗布前の金属基材に、従来のホットフィラメントCVD法に従って、平均粒径5ミクロンのダイアモンド粉末を被覆して金属基材を作製した。CVDの条件は次の通りとした。
フィラメント温度2200から2300℃、反応ガスエタノール(C2H5OH)とし、ダイアモンド層形成時間を1.5時間として約5ミクロンの被覆を得た。
この金属基材を、ss分が5%程度含まれる塗装廃液の流速500mm/秒の流れにおいたところ、300時間後には一部の被覆が剥離した。

Claims (7)

  1. 1種以上の金属を含む金属基材、及びダイアモンドと前記金属の少なくとも1種を含むバインダーとを有し、前記金属基材表面に形成される被覆層を含んで成ることを特徴とするダイアモンド担持金属基材。
  2. 金属基材の表面に該金属の酸化物被膜を有する請求項1に記載のダイアモンド担持金属基材。
  3. ダイアモンド微粉末が導電性のダイアモンドで、金属基材が弁金属であり、バインダーが弁金属基材と同種の金属酸化物を含む半導性酸化物である請求項1又は2に記載のダイアモンド担持金属基材。
  4. 金属基材がチタンまたはチタン合金製であり、バインダーの金属酸化物がチタンと、ニオブ及び/又はタンタルとの複合酸化物である請求項1から4までのいずれか1項に記載のダイアモンド担持金属基材。
  5. 表面に金属及び/又は金属酸化物を含む薄膜を被覆したダイアモンド微粉末と、熱分解により前記酸化物に変換できるバインダー前駆体を懸濁したバインダー液を金属基材表面に塗布し熱分解することにより、前記金属基材表面にダイアモンドとバインダーを有する被覆層を形成することを特徴とするダイアモンド担持金属基材の製造方法。
  6. バインダー液が更にダイアモンド微粉末に被覆した金属及び/又は金属酸化物と同じ金属の酸化物の微粉末を含有する請求項5記載のダイアモンド担持金属基材の製造方法。
  7. ダイアモンド微粉末と、熱分解により金属酸化物に変換できるバインダー前駆体を懸濁したバインダー液を、構成金属として前記金属酸化物と同一の金属を含有する金属基材表面に塗布し熱分解することにより、前記金属基材表面にダイアモンドとバインダーを有する被覆層を形成することを特徴とするダイアモンド担持金属基材の製造方法。
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