[go: up one dir, main page]

JP2005262133A - 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法 - Google Patents

水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005262133A
JP2005262133A JP2004080441A JP2004080441A JP2005262133A JP 2005262133 A JP2005262133 A JP 2005262133A JP 2004080441 A JP2004080441 A JP 2004080441A JP 2004080441 A JP2004080441 A JP 2004080441A JP 2005262133 A JP2005262133 A JP 2005262133A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
anode
cathode
water flow
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004080441A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Usui
高史 臼井
Ichiji Yasuda
一司 安田
Masahisa Tamura
田村  昌久
Kenichi Sasaki
賢一 佐々木
Roberuto Masahiro Serikawa
ロベルト 正浩 芹川
Chiaki Igarashi
千秋 五十嵐
Kazuo Fujita
和雄 藤田
Hiroshi Sakuma
博司 佐久間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ebara Corp filed Critical Ebara Corp
Priority to JP2004080441A priority Critical patent/JP2005262133A/ja
Publication of JP2005262133A publication Critical patent/JP2005262133A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

【課題】
汚染物質を含む水を電気化学的方法により酸化分解する処理方法において、電極近傍に発生するヒドロキシラジカルの量に見合う量の汚染物質を電極に積極的に送ることにより、微量になった汚染物質をも確実に分解し、余剰のヒドロキシラジカルによる電極の損耗を防止し、かつ、汚染物質の酸化分解により発生するガスの気泡による電極表面の被覆を防止して電力効率を増大させることができる、新規な、水中汚染物質の電気化学的分解方法及び装置を提供すること。
【解決手段】
導電性材料を含むアノードとカソードとを各々少なくとも一つずつ水中に浸漬し、これら電極間に直流電圧を印可することにより、該水中に含有する物質を電気化学的に分解あるいは酸化する方法であって、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することを特徴とする、前記方法。

Description

本発明は、水中に含有する物質を電気化学的に分解又は酸化することにより水を処理する技術に関し、詳しくは、排水、用水、下水、飲料水などに微量含まれるうる無機物質、有害物質、有機物質または微生物などを電気化学的に分解又は酸化することにより、水を浄化する水処理方法に関する。さらに本発明は、かかる水処理方法に用いる水処理装置に関する。
排水、用水、下水、飲料水などに無機物質、有機物質、有害物質、微生物等が含まれる場合、使用に際して浄化する必要があり、単に河川等に放流するにしても浄化は必須である。特に家畜、家禽、魚類、ペットなどの飼料製造業における原料として使用するタンパク質等に由来する有機窒素化合物;無機顔料の製造工程で使用される硝酸、各種金属製品や電気・電子機器類の製造における表面処理工程で使用されるアンモニア、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム等の無機窒素化合物等の窒素化合物は、水中に放出されると富栄養化の原因となるため、その含有量は厳重に管理されなければならない(水質汚濁防止法等)。特に、有機窒素化合物は、化学的酸素消費量(以下、CODという)が大きいものが多く、窒素酸化物物を分解する場合には、同時にCODを低減する必要がある。
さらに、上記排水等には、ハロゲン化有機化合物が含まれる場合がある。ハロゲン化有機化合物として、例えばトリクロロエチレン、ポリクロロビフェニル類(以下、PCBという)、ダイオキシンなど、その多くは有害物質として知られている化合物類が挙げられ、かかる物質は水中に微量含まれているだけでも動植物類に対して多大な影響を及ぼしうるため、確実に処理、浄化する必要がある。
このように、各種無機物質、有機物質、有害物質、微生物を含む水を処理する方法として、生物処理法、ゼオライト吸着法などの種々の方法が知られているが、活性汚泥法などの生物的処理法により分解できない物質を含んでいる場合などに対応するため、近年、より効果的な方法として、導電性ダイヤモンド電極を用いた電気分解法が提案されている。例えば特許文献1は、水中微量有害物質を濃縮した後、電解質物質の存在下で、導電性ダイヤモンド電極を用いて電気分解処理することを特徴とする有害物質の濃縮分解法を開示する。この方法は、導電性ダイヤモンド電極をアノード及び/又はカソードに用い、この電極対を水中に入れて電気分解処理をするものである。
水中に含有する上記物質を電気分解により処理するメカニズムは、例えば図1に記載されるようなものが考えられる。すなわち、水(HO)がアノードにより酸化されることにより、ヒドロキシラジカル(以下、OH・と記す場合がある)が発生する。このヒドロキシラジカルは強い酸化力を有するため、近傍に上記汚染物質が存在するとこれらを酸化分解する反応を生じ、この結果、水や二酸化炭素ガスを発生する。このようにアノード近傍で生成するヒドロキシラジカルの酸化力によって効率的に汚染物質を酸化分解するためには、発生するヒドロキシラジカルの量と、それに見合った量の汚染物質が接触することが必要となる。従って、上記特許文献1に開示される方法では、電気分解処理を行うに先立ち、水を濃縮するという操作を必要とするのである。
ところが、この方法には以下のような不都合な点が考えられる。まず、水の電気分解を行う前に、水を濃縮するという操作が必須であるという点である。特許文献1は、水の濃縮方法について活性炭やゼオライト等の吸着体、または限外濾過膜や逆浸透膜など膜を使用して有害物質を分離する方法を挙げている。しかし、このように濃縮作業を行うことは煩雑である上、わざわざ濃縮した物質を再び水に溶解または分散させて電気分解処理を行う必要があるため、手間のかかる作業となる。
また、上記のような方法で濃縮した水を電気分解処理したとしても、分解が進むにつれて水中に含まれる汚染物質は徐々に減少していくため、最終的に汚染物質の濃度が非常に薄くなった場合には、アノード近傍に発生するヒドロキシラジカルの量と、水中に存在する汚染物質の量のバランスが崩れる。この際、汚染物質の酸化分解に使用されなかった余剰のヒドロキシラジカルは、電極を攻撃して電極の損耗を引き起こしたり、ヒドロキシラジカル自身で反応して酸素ガスを発生させたりする。すなわち、かかるヒドロキシラジカルによる電極への攻撃により、電極を含む装置寿命が低下する。さらに、汚染物質の酸化分解によって発生する二酸化炭素ガスや水素ガス、ならびにヒドロキシラジカルの自身の反応により生じる酸素ガスが微細な気泡を形成して電極面付近に存在することになるため、液と電極との接触を阻害し、分解効率を著しく低下させる。すなわち、いくら消費電力を増大させても、水中に微量に残った有害物質を最後まで除去出来ないという大きな欠点がある。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
特開2003−326264号
そこで本発明は、汚染物質を含む水を電気化学的に処理する方法において、電極近傍に発生するヒドロキシラジカルの量に見合う量の汚染物質を電極に積極的に送ることにより、微量になった汚染物質をも確実に分解し、余剰のヒドロキシラジカルによる電極の損耗を防止し、かつ、汚染物質の酸化分解やヒドロキシラジカル自身の反応により発生するガスによる電極表面の被覆を防止して電力効率を増大させることができる、新規な、水中汚染物質の電気化学的分解方法及び装置を提供する。
本発明の態様は、以下の通りである:
1.導電性材料を含むアノードとカソードとを各々少なくとも一つずつ水中に浸漬し、これら電極間に直流電圧を印可することにより、該水中に含有する物質を電気化学的に分解あるいは酸化する方法であって、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することを特徴とする、前記方法。
2.前記カソード内部から水を吐出させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、上記1の方法。
3.前記カソード及び/又はアノードを揺動又は回転させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、上記1又は2に記載の方法。
4.アノード面に対して平行な方向に水流を形成し、該平行な水流を方向転換するためにカソード面上に設けられた突起状案内部材に、該平行な水流を当てることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、上記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.アノード及び/又はカソードとして、導電性ダイヤモンドを被覆した電極を用いることを特徴とする、上記1〜4のいずれか1つに記載の方法。
6.該水中に含有する物質が、無機物質、有機物質あるいは微生物を含む、上記1〜5のいずれか1つに記載の方法。
7.少なくとも一つの原水入口、処理水出口、ならびにガス出口を有する反応槽;直流電源;及び導電性材料を含む、各々少なくとも一つのアノードならびにカソード;含むことを特徴とする、水中に含有する物質を電気化学的に分解又は酸化するための水処理装置。
8.該カソードが中空であって、さらに該カソードが1つ以上の開口部を有することを特徴とする、上記7の記載の水処理装置。
9.該アノード及び/又はカソード表面に、該アノード及び/又はカソードを揺動又は回転させることによって、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することができるような突起状起伏を形成したことを特徴とする、上記7又は8に記載の水処理装置。
10.該カソード表面に、該アノードに対して平行な方向の水流を当てて方向転換することができる突起状案内部材を形成したことを特徴とする、上記7〜9のいずれか1つに記載の水処理装置。
11.該アノード及び/又はカソードが、導電性ダイヤモンドを含むことを特徴とする、上記7〜10のいずれか1つに記載の水処理装置。
12.水中に含有する物質が、無機物質、有機物質又は微生物を含むことを特徴とする、上記7〜11のいずれか1つに記載の水処理装置。
本発明の態様について、用いられる語句の意味と共に詳細に説明する。
「アノード」及び「カソード」の語は、電解系における「陽極」「陰極」をそれぞれ指す。本明細書では、「アノード」「カソード」の語を統一的に用いることとする。アノードは、これと接する溶液側から電子が流れ込む電極であり、カソードは、これと接する溶液側に電子が移行する電極である。
「導電性材料」の語は、電気抵抗の小さな物質一般を指す。金属を含む無機物質の他、導電性ポリマーを含む有機物質、及びこれらの混合物等、導電性を示す物質であればいずれを用いることも出来る。電極材料として用いることが出来る材料としては、例えば白金、ニッケル、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、ニオブ等の導電性金属材料;ダイヤモンドの結晶化の際にボロン、チッ素、ジボラン等をドープして格子欠陥を形成し、導電性を付与した導電性ダイヤモンド;ダイヤモンドライクカーボン;グラッシーカーボン等が挙げられる。特にアノード材料としては、上記導電性ダイヤモンドを板状に合成したもの、シリコンウエハ等の半導体材料を基板として上記導電性ダイヤモンドの薄膜を析出させたもの、あるいはウエハ表面上に導電性ダイヤモンドを合成したもの等を含む、いわゆる導電性ダイヤモンド電極が好適に用いられる。導電性ダイヤモンドは耐久性、過電圧が共に高い電極を構成することで知られている。すなわち印可電圧を高くしても電極自身が崩壊等することがない。また、導電性ダイヤモンドはその表面に物質が吸着しにくいため、汚れにくく、繰り返しの使用の後にも洗浄操作がほとんど必要ないという点で、非常に好都合な材料である。なお、「導電性材料を含む」とは、導電性材料を含む混合物の他、導電性材料を表面に塗布、析出等させた複合材料も含むことを意図する。カソード材料としては、通常の電極反応に用いることができる上記導電性材料、及びこれらの混合物及びこれらの複合材料を用いることができる。
上記アノードとカソードとを、各々少なくとも一つずつ水中に浸漬する。「アノードとカソードとを各々少なくとも一つずつ水中に浸漬」する、とは、アノードとカソードの対を一組として、これを一組以上、すなわちアノードとカソードとを同数ずつ用いることや、アノードとカソードの使用数が異なる場合(例えば、アノード4本に対してカソード3本を用いる等)もすべて含む。電極を複数設置する場合は、例えばアノードとカソードを交互に一列または複数列設置したり、アノードとカソードの対を一組として、複数組を並べて設置したりする等、処理する水の量や処理水を包含する容器の形状に応じて任意に設置することが出来る。
「水中に含有する物質」とは、本発明の方法を用いて処理すべき対象となる物質であり、下水、用水、工場排水、下水二次処理水、飲料水などに含まれうる無機物質、有機物質、有害物質、微生物、例えば窒素化合物、含硫黄化合物、ハロゲン化有機化合物などを広く意味する。本発明は、水に含有する有機物質、微生物を効率的に処理することが可能である。本発明では、かかる対象物質の中でも特に水溶性物質を効率的に酸化分解させることができる。本明細書ではかかる物質をまとめて「汚染物質」「処理対象物質」「被処理対象物質」等と記すことがある。
上記の電極間に直流電圧を印可することにより、該水中に含有する物質を電気化学的に分解あるいは酸化する。水中に含有する物質が電気化学的に分解、或いは酸化されるメカニズムを図1に例示する。アノード近傍では、水の酸化などに由来してヒドロキシラジカル(OH・)が発生する。ヒドロキシラジカルは非常に酸化力が強い上に反応速度が大きく、近くに存在する有機物または微生物等を酸化し、分解することができる。ヒドロキシラジカルが発生する経路は複数考え得るが、代表的なもののみ図1に記載する。このように酸化力の強いヒドロキシラジカルにより水中に含有する有機物や微生物等が酸化分解されると、二酸化炭素と水が発生する。このようにして、水中に含有する有害物質は無害化され、その後の使用や河川への放流が可能となる。
水中に含有する汚染物質が酸化分解されるためには、上記の通りアノード近傍に発生するヒドロキシラジカルと汚染物質とが効率的に接触する必要がある。しかし、分解が進んで汚染物質の濃度が小さくなると、汚染物質とヒドロキシラジカルとが接触する機会が減少する。するとアノード近傍で発生したヒドロキシラジカルが余剰になり、かかる余剰のヒドロキシラジカルはアノードを攻撃してアノードを損耗しうる。さらにヒドロキシラジカル自身が反応して酸素ガスを発生させる。このようにアノード近傍に余剰のヒドロキシラジカルが生じると、電極を含む装置の損耗の他、発生するガスが電極を被覆してしまうことにより、電力効率が著しく下がるという不都合が生じうる。このような不都合な点は、余剰のヒドロキシラジカルが生じないように、発生するヒドロキシラジカルに見合うだけの量の汚染物質を常にアノード近傍に供給してやり、ヒドロキシラジカルと汚染物質の量のバランスを整えてやることにより解決すると考えられる。
一方、水中の被処理物の濃度低下を、例えばCOD計等を用いる方法により検出して印可電圧や電流を調整する方法も採用可能である。しかしこれは被処理物の濃度が低下するに従い処理能力を低下せしめることを意味するため、現実的な対策とはならない。
そこで本発明では、水中に含有する汚染物質の電気化学的酸化分解処理の際に、アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することを特徴とする。アノード面に対して垂直(概して垂直であれば良い)に水流を形成することにより、水中に含有する汚染物質が水流に乗ってアノード近傍に運ばれる。これにより汚染物質が常にアノード近傍に供給されるようになるため、汚染物質がアノード近傍に発生するヒドロキシラジカルに常に接触しうる状態になる。先に記載したとおり、ヒドロキシラジカルは強い酸化力を有し、反応速度が速いため、汚染物質が接触すると直ちにこれらを酸化し、分解する。したがって、アノード近傍に発生したヒドロキシラジカルはすべて汚染物質の酸化分解に使われることになるので、余剰のヒドロキシラジカルが残留せず、電極を攻撃することがない。またヒドロキシラジカル自身が反応して酸素を発生させることもなくなる。さらに上記のような水流を形成すると、汚染物質の分解により生じた二酸化炭素や水素の気泡による電極の被覆を防止することも可能となる。つまり水流が電極を一掃するような形になり、気泡の吸着を防止することが出来るのである。このように電極と液との接触を妨害する気泡を取り除くことができるので、電極に印可した電力を汚染物質の酸化分解に効率的に使用することが可能となる。
なお、本発明の電気分解において電極間に流す電流は、水から電子を引き抜いてヒドロキシラジカルを発生させることが出来る程度であればよいが、典型的には電極表面の電流密度で1〜500mA/cm、好ましくは10〜300mA/cm程度である。この際電極間の電圧は約1〜15V、好ましくは4〜10Vである。また、形成する水流の速度は、約10〜1000m/時間、好ましくは50〜500m/時間である。
本発明の方法において、アノード面に垂直な方向に水流を形成する方法は、種々のものを考え得る。例えば、中空の管状のカソードを使用して、この内部から水を吐出させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することができる。また、カソード及び/又はアノードを揺動又は回転させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することも可能である。さらにアノード面に対して平行な方向に水流を形成し、該平行な水流を方向転換するためにカソード面上に設けられた突起状案内部材に、該平行な水流を当てることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することも出来る。水流を形成するための具体的な方法については、以下に例を挙げて詳細に説明する。
本発明の実施の形態を以下に図面を用いて説明するが、本発明は以下に記載する実施形態に限定されるものではない。
図2に、本発明の方法に使用する水処理装置の例を記載する。図2において201:反応槽;202;原水タンク;203:ポンプ;204;直流電源;205:アノード;206:カソード;207:原水供給管;208:処理水出口;209:ガス出口;210:原水吐出口である。図2の例ではアノード205とカソード206とが交互に設置されている。カソード206は原水供給管207と接続した中空の管状のものであり、該カソード206にはカソード一つ当たり1以上の原水吐出口210が設けられている。汚染物質を含む処理対象水である原水は、原水タンク203からポンプ204によって移送され、原水供給管208に入る。原水供給管208から分岐した1以上のカソード206に原水が分配され、原水吐出口210を通じて原水が吐出される。原水吐出口210から吐出された原水は、アノード205に対して概して垂直の方向の水流となってアノード205に向かう。アノード205とカソード206は共に直流電源204に接続されており、直流電圧を印可することができる。アノード205とカソード206に直流電圧を印可すると、水の電気分解が開始する。アノード205の近傍には、図1に記載するメカニズムにより、水の酸化に由来したヒドロキシラジカルが発生する。そしてアノード205の近傍では、水流に乗って運ばれた水中汚染物質と、ヒドロキシラジカルとが接触して、汚染物質が酸化分解される。汚染物質が酸化分解された処理水は、処理水出口208より排出され、汚染物質の酸化分解により発生した二酸化炭素及び水素ガスは、気液分離後、ガス出口209から排出される。このように、原水の供給をカソードに設けた原水吐出口から行うことにより、アノードに対して概して垂直な方向に水流を形成することができ、これにより水中に含有する汚染物質を積極的にアノード近傍に運ぶことが可能となる。したがって、水中に含有する汚染物質と、アノード近傍に発生するヒドロキシラジカルとの接触を効率的に起こすことが出来るので、ヒドロキシラジカルを余らせることなく酸化分解反応に用いることができる。
図2に示すような構成の装置で充分な処理水のレベルに達することができない場合には、処理水出口208から排出された処理水の全部または一部を原水タンク203に戻し、再度電気分解反応槽に供給してやることができる。このように連続的に電気分解を行うことによって要求される処理水レベルに到達させることができる。
図2には記載しないが、各電極間及び電極と反応槽等との間は、必要な絶縁処理を行うことが望ましい。例えば、各電極が反応槽の壁を貫通する部分に例えば絶縁物質(例えばセラミックやテフロン(登録商標)等)で作製されたアダプタを取り付けて、電極と反応槽との直接の接触を防止するなどの処理を行うことができる。
図3は本発明の方法に用いることができる電極の構造例を記載する。カソード306は中空の管状になっており、原水供給管(図示せず)と接続している。カソード306には複数の吐出口310が開いており、この吐出口から原水を供給することができる。A−A矢視図1及び2に示されるとおり、原水吐出口310は、孔の形状でもよく(矢視図1)、スリットの形状(矢視図2)でも良く、原水が吐出されるような形状であればどのような開口部でも良い。原水吐出口310から吐出された原水はアノード305の方向に向かう水流を形成し、この水流に乗って水中含有汚染物質がアノード近傍に運ばれる。
図4は本発明の方法に用いることができる電極の別の構造例を記載する。図4に示されるカソード406は回転軸411を有する回転可能な形状となっている。図4A−A矢視図によると、カソード406は突起状起伏として羽根412;及び原水吐出口410を有する。回転軸411を中心としてカソード406を回転させると原水吐出口410から排出された原水は渦状の水流を形成しながらアノード405に概して垂直な方向に流動する。この水流に乗って水中汚染物質がアノード405の近傍に運ばれる。羽根412の配置や形状は、図4に示されたものに限られない。原水吐出口410から吐出された原水を効果的にアノード405の方向に運ぶような水流を形成することができれば、どのようなものでも良い。カソード406が原水供給管(図示せず)と接続されている場合は原水供給口420を設けるが、これと接続されていない場合には原水供給口を設けなくても良い。すなわち突起状起伏を1つ以上配置したカソードを回転させるだけで、アノードに対して垂直な方向に水流を形成することもできる。また図4には、カソード406のみを回転させる態様が記載されているが、アノード405も共に回転軸411に接続して、アノードカソードともに回転させることもまた可能である。
図5は本発明の方法に用いることができる電極構造例の一つを記載する。カソード506には突起状案内部材としての案内羽根513;及び開口部510が設けられている。514の方向に水の流れを形成すると、水流は案内羽根513に当たり、水はアノード505に垂直な方向に方向を変える。このような水流に乗って、水中汚染物質がアノード505の近傍まで運ばれる。
本発明の方法を検証するために、以下のように水処理を行った。
1.試料
パルプ廃液に含まれる難分解性水。COD=5300mg/L。
2.装置
母材としてニオブを用い、この表面に、炭素源としてメタン、およびドーピング材としてのボロンを真空条件下でホットメルトCVD(化学蒸着法)により析出させて、厚さ8μmの導電性ダイヤモンド層を形成した電極を、アノード材料として用いた。アノードのサイズは300×200×3mmであった。カソード材料として、厚さ1mmのチタン薄板をプレス成形後、貼り合わせて中空箱形に成形した電極を用い、この電極の表面に孔を6個設けた。カソードのサイズは300×200×15mmであった。
アノード5枚とカソード4枚を交互に一列に配置し、各電極間の間隙を3mmとした。このような電極組を60×40×60cmの反応槽に設置した。反応槽には反応開始時に試料である原水を70L入れた。アノード及びカソードは直流電源に接続し、カソードは別途原水供給管に接続した。
実施例1
上記のような装置において、アノード及びカソードに10Vの直流電圧を印可した。電流密度は120mA/cmとした。一方、カソードに設けた孔から原水を100m/時間の流速で供給しながら、水の電気分解処理を行った。結果を図6に示す。本発明(図3の黒丸)による方法では、印可した電気量に対してほぼ線形にCODが減少していき、COD濃度が1000mg/LになってもCOD減少速度が低下しなかった。電気量20Ah/Lを加えたところでCOD濃度がほぼゼロとなった。図6を参照すると、COD濃度が小さくなってもほぼ理論的な電気量で分解が行われていることがわかる。これは被験水に含まれる物質が、水流に乗ってアノード近傍に運ばれ、アノード近傍に発生したヒドロキシラジカルと効率的に接触するため、分解が理論的に起こっているからであると考えられる。
比較実施例1〜3
上記実施例と同じ装置を用いるが、カソードに設けた孔から被験水を供給せず、代わりに反応槽下部から被験水を100m/時間で供給しながら水の電気分解を行った。アノード及びカソード間に10Vの直流電圧を印可し、電流密度は40mA/cm(比較例1)、80mA/cm(比較例2)、及び120mA/cm(比較例3)とした。結果を図6に示す。比較例1(図6の白丸)、2(同白三角)、3(同白四角)による方法では、CODが高濃度の場合は、ほぼ理論的電気量で分解が進んでいった。しかし低濃度(COD=2000mg/L程度)になると理論直線に乗らず、加える電気量に対する分解量が減少していることがわかる。COD濃度1500mg/LになるとCOD減少速度が低下し、この時点で各比較例の電極を観察すると、アノードから酸素ガスが発生し、発生する酸素の量は電気分解が進むにつれて増大していった。いずれの比較例でも加えた電気量が約30Ah/LになったところでCODはほぼゼロになった。被験水を反応槽下部から供給する比較例においては、被験水に含まれる物質がアノードに供給されないため、かかる物質の濃度が小さくなると、ヒドロキシラジカルと接触する機会が著しく減少し、かかる物質が効果的に分解されないだけでなく、余剰のヒドロキシラジカル自身が反応して酸素ガスが発生してしまうことが判明した。
発明の効果
アノードに対して垂直な方向に水流を形成することにより、処理対象物質を効果的にアノード近傍に運ぶことができ、これにより処理対象物質が低濃度になってもヒドロキシラジカルとの反応機会が減少することなく、効率的に酸化分解反応が進行する。これにより余剰のヒドロキシラジカルが発生することがないため、ヒドロキシラジカルによる電極への攻撃に起因する電極の損耗、これにに伴う装置の低寿命化を防ぐことができる。さらに、かかる水流が、酸化分解の進行に伴い発生した水素や二酸化炭素ガスの気泡の電極への吸着を防止するため、電気分解反応を妨害しない。すなわち、印可した電気量に対してほぼ理論通りの量で電気分解が進行するため、反応効率が増大する。
汚染物質を含む水を電気分解より処理する際に、アノード近傍で起きると想定される反応を表す模式図である。 本発明の方法を実施するための装置の一例を表す模式図である。 本発明の方法を実施するための装置における、カソードの構造例を表す図である。 本発明の方法を実施するための装置における、カソードの構造例を表す図である。 本発明の方法を実施するための装置における、カソードの構造例を表す図である。 本発明の方法と比較例において、印可した電気量とCOD濃度との関係を表すグラフである。
符号の説明
201:反応槽;202;原水タンク;203:ポンプ;204;直流電源;205:アノード;206:カソード;207:原水供給管;208:処理水出口;209:ガス出口;210:原水吐出口;411:回転軸;412:羽根;513:案内羽根;514:水流

Claims (12)

  1. 導電性材料を含むアノードとカソードとを各々少なくとも一つずつ水中に浸漬し、これら電極間に直流電圧を印可することにより、該水中に含有する物質を電気化学的に分解あるいは酸化する方法であって、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することを特徴とする、前記方法。
  2. 前記カソード内部から水を吐出させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記カソード及び/又はアノードを揺動又は回転させることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. アノード面に対して平行な方向に水流を形成し、該平行な水流を方向転換するためにカソード面上に設けられた突起状案内部材に、該平行な水流を当てることにより、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. アノード及び/又はカソードとして、導電性ダイヤモンドを被覆した電極を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 該水中に含有する物質が、無機物質、有機物質あるいは微生物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 少なくとも一つの原水入口、処理水出口、ならびにガス出口を有する反応槽;直流電源;及び導電性材料を含む、各々少なくとも一つのアノードならびにカソード;を含むことを特徴とする、水中に含有する物質を電気化学的に分解又は酸化するための水処理装置。
  8. 該カソードが中空であって、さらに該カソードが1つ以上の開口部を有することを特徴とする、請求項7の記載の水処理装置。
  9. 該アノード及び/又はカソード表面に、該アノード及び/又はカソードを揺動又は回転させることによって、該アノード面に対して垂直な方向に水流を形成することができるような突起状起伏を形成したことを特徴とする、請求項7又は8に記載の水処理装置。
  10. 該カソード表面に、該アノードに対して平行な方向の水流を当てて方向転換することができる突起状案内部材を形成したことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の水処理装置。
  11. 該アノード及び/又はカソードが、導電性ダイヤモンドを含むことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の水処理装置。
  12. 水中に含有する物質が、無機物質、有機物質又は微生物を含むことを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の水処理装置。
JP2004080441A 2004-03-19 2004-03-19 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法 Pending JP2005262133A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004080441A JP2005262133A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004080441A JP2005262133A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005262133A true JP2005262133A (ja) 2005-09-29

Family

ID=35087223

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004080441A Pending JP2005262133A (ja) 2004-03-19 2004-03-19 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005262133A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007229565A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Ebara Corp 難生物分解性物質含有有機性排水の処理装置および処理方法
JP2008173523A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Mitsui Zosen Plant Engineering Inc 水浄化処理装置
JP2010502427A (ja) * 2006-09-05 2010-01-28 エレメント シックス リミテッド 固体電極
CN111646634A (zh) * 2020-05-11 2020-09-11 南京岱蒙特科技有限公司 一种超声耦合光电芬顿活化过硫酸盐水处理系统和处理水的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007229565A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Ebara Corp 難生物分解性物質含有有機性排水の処理装置および処理方法
JP2010502427A (ja) * 2006-09-05 2010-01-28 エレメント シックス リミテッド 固体電極
JP2008173523A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Mitsui Zosen Plant Engineering Inc 水浄化処理装置
CN111646634A (zh) * 2020-05-11 2020-09-11 南京岱蒙特科技有限公司 一种超声耦合光电芬顿活化过硫酸盐水处理系统和处理水的方法
CN111646634B (zh) * 2020-05-11 2022-08-26 南京岱蒙特科技有限公司 一种超声耦合光电芬顿活化过硫酸盐水处理系统和处理水的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6274028B1 (en) Electrolytic wastewater treatment method and apparatus
JP5276183B2 (ja) 電解凝集反応器、ならびに電解凝集反応器を備えた汚染水処理装置および方法
US10266429B2 (en) Efficient treatment of wastewater using electrochemical cell
KR101904507B1 (ko) 막 결합형 고도전기산화법 및 이를 위한 수처리 장치 그리고, 이를 이용하는 수처리 시스템
OA11806A (en) Electrolytic apparatus, methods for purification of aqueous solutions and synthesis of chemicals.
CN116547414A (zh) 流通电化学反应器
JP2003126861A (ja) 水処理方法及び装置
US6827832B2 (en) Electrochemical cell and process for reducing the amount of organic contaminants in metal plating baths
Maharana et al. Electrochemical Degradation of Rhodamine B over Ti/SnO2‐Sb Electrode
JP2011511709A (ja) 水処理のための、方法、システム、及び装置
KR100319022B1 (ko) 전해부상법을이용한폐수처리장치
KR20030079726A (ko) 기능수, 이의 제조방법 및 제조장치, 및 당해 기능수를사용하는 전자부품의 세정방법 및 세정장치
JP4190173B2 (ja) 電気化学的処理方法及び電気化学的処理装置
JP2004202283A (ja) 有機化合物含有水の処理方法および処理装置
JP6649988B2 (ja) 飲用水処理におけるハロゲン含有副生成物の発生の制御方法
JP2005262133A (ja) 水中含有物質の電気化学的処理装置及び処理方法
KR100326451B1 (ko) 초음파 결합 고밀도 플라즈마 폐수처리 방법과 그 장치
JPWO2003091166A1 (ja) 有機化合物含有排水の処理方法および装置
JP4146394B2 (ja) 水処理装置及び水処理方法
CN1122642C (zh) 水处理方法及其设备
JP3117064B2 (ja) 酸化態窒素含有水の処理方法及び装置
KR100840529B1 (ko) 전기화학적 방법에 의한 난분해성 유기물질 제거장치
KR20070017960A (ko) 중금속류에 의한 피오염물의 정화방법 및 장치
EP4324796A1 (en) A flotation column and a system for treatment of wastewater containing said flotation column
JP2008259930A (ja) 有機溶剤含有廃水の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20091113

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

A02 Decision of refusal

Effective date: 20091215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02