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JP2005246158A - 海水の淡水化処理法および装置 - Google Patents

海水の淡水化処理法および装置 Download PDF

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憲治 竹坂
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弘幸 水口
Nobutake Chiba
信武 千葉
Masanobu Noshita
昌伸 野下
Naoki Tada
直樹 多田
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Abstract

【課題】 2段に接続した逆浸透膜装置を用いて海水を高回収率で淡水化処理する際に、特に第2段目逆浸透膜装置の分離膜面へのスケール(炭酸塩を含む)の析出・堆積を防止し、分離膜の劣化を最小限に抑制しつつ、長期間に亘って高レベルの分離効率を持続可能にすること。
【解決手段】 直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置によって海水を淡水化処理する方法において、第2段目逆浸透膜装置の上流側で、第1段目逆浸透膜装置の透過水にスケール分散剤注入処理および/または脱炭酸処理を施すと共に、透過水のpHが9.2〜9.7となる様にアルカリ注入処理を施すことに要旨を有する海水の淡水化処理方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、逆浸透膜装置を用いて海水を淡水化する方法と装置の改良に関し、より詳細には、直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置を用いて海水を処理して淡水化する際に、特に、処理水(透過水)中のホウ素濃度を水道法の水質基準濃度以下に効率よく低減できるように改善された方法と装置に関するものである。
逆浸透膜装置を用いた海水の淡水化法は、淡水が得られ難い離島や臨海地帯などで海水から塩分などを除去し、飲料に適した淡水を得る方法として広く利用されている。
ところで、海水には通常4〜5mg/リットル程度のホウ素が含まれており、通常の逆浸透膜装置で処理された膜透過水には1〜2.5mg/リットル程度のホウ素が含まれてくる。このホウ素は、人体にとって必須の元素である反面、摂取量が多くなり過ぎると人体に悪影響を及ぼすことが確認されるに及び、水道法の改訂で飲料水中のホウ素濃度は1mg/リットル以下に規制されることとなった。
即ち、現在実用化されている逆浸透膜装置を用いた海水の淡水化によって得られる膜透過水は、現在の水道法の水質基準で定めるホウ素濃度を満たしていないものもあり、飲料水としての水質基準に合格させるには、該膜透過水を更に後処理してホウ素を除去し、ホウ素濃度を1mg/リットル以下に低減しなければならない。ただし、ホウ素をほとんど含まない陸水(例えば井戸水、河川・湖沼の水)を混合水として利用できる場合は、その陸水の利用状況に応じて、後処理でのホウ素除去率を決めればよい。そこで、膜透過水からホウ素を除去する方法についても幾つかの研究がなされており、例えば、キレート樹脂によってホウ素を捕捉除去する方法、或いは、膜透過水を更に低圧逆浸透装置にかけてホウ素濃度を基準値以下に低減する方法などが提案されている。
しかし上記の方法には、ホウ素をキレート捕捉したキレート樹脂を再生する際の再生排水処理の問題がある。従って工業的規模での実用性を考えると前記方法、即ち、第1段目の逆浸透膜装置で処理した膜透過水を、その下流側で更に低圧逆浸透膜装置にかけて処理することにより、ホウ素濃度を基準値以下に低減する方法が有効と考えられる。
この種の方法をより具体的に説明すると、例えば、第1段目の逆浸透膜装置を通過した膜透過水をpH5.7以上に調整し、これを低圧で運転される第2段目の逆浸透膜装置で処理することによって、ホウ素含量を0.2ppmレベル以下に低減する方法が開示されている(特許文献1)。また逆浸透膜装置を用いて2段階で海水を処理する際に、第1段目逆浸透膜装置の透過水の一部を当該逆浸透膜装置の下流側透過水とし、残部透過水を当該逆浸透膜装置の上流側へ返送すると共に、第1段目逆浸透膜装置の供給側pH値を8以下とし、第2段目逆浸透膜装置の供給側pH値を8以上とすることによって、ホウ素含量を0.2ppm以下に低減する方法が開示されている(特許文献2)。
そして、この方法で高レベルのホウ素除去効率を得るには、第2段目逆浸透膜装置の操作圧力を第1段目逆浸透膜装置の操作圧力よりも低くすると共に、第2段目逆浸透膜装置への供給水のpHを8〜10のアルカリ性に調整することが好ましいことを明らかにしている。
また経済的な観点から高い回収率で運転することが望ましいが、第1段目逆浸透膜装置は、硫酸カルシウムの析出を防ぐには60%程度の回収率が限界である。一方、第2段目逆浸透膜装置は、なるべく高い回収率、一般的には60%以上、望ましくは80%以上で運転される。
ところが、上記の様に第2段目逆浸透膜装置への供給水(即ち、第1段目逆浸透膜装置の透過水)を高pH域に調整し、且つ高回収率で運転した場合、第1段目逆浸透膜装置の透過水中に相当量含まれるカルシウム(約2.5mg/リットル)、マグネシウム、バリウムなどが透過水中に溶存する炭酸と反応し、不溶性のスケール(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩を含む)となって第2段目逆浸透膜装置の分離膜面に析出する現象が生じる。
そして、供給水のpHの高い状態でスケールが微量でも膜面に析出すると、膜の化学的劣化を引き起こす要因となることが発明者等の研究で明らかになっている。
尚、本発明者らは既に海水の淡水化処理法および装置(特許文献3)や、他段式逆浸透処理方法(特許文献4)を提案している。
特開平9−10766号公報 特開平11−10146号公報 特開2003−236541号公報 特開2003−71252号公報
本発明は上記の様な問題点に着目してなされたものであって、その目的は、直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置を用いて海水を高回収率で淡水化する際に、特に第2段目逆浸透膜装置の分離膜面への炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどスケール成分の析出・堆積を防止し、長期間に亘って高レベルのホウ素除去効率を持続し得る様な方法と装置を提供することにある。更には分離膜の劣化を最小限に抑制しつつ、高レベルのホウ素除去効率を持続し得る様な方法を提供することである。
本発明は、直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置によって海水を淡水化処理する方法において、第2段目逆浸透膜装置の上流側で、第1段目逆浸透膜装置の透過水にスケール分散剤注入処理および/または脱炭酸処理を施すと共に、透過水のpHが9.2〜9.7となる様にアルカリ注入処理を施すことに要旨を有する海水の淡水化処理方法である。
本発明を実施するに際に、前記アルカリ注入処理において、アルカリ注入量を、アルカリ比例注入制御法またはPID制御法によって精密制御することが好ましい。
また本発明は、直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置によって海水を淡水化処理する装置において、第1段目逆浸透膜装置の下流側で、且つ第2段目逆浸透膜装置の上流側に、スケール分散剤注入処理装置および/または脱炭酸処理装置が設けられ、該いずれかの装置に続いてアルカリ注入装置が設けられているか、或いはアルカリ注入装置に続いてスケール発生防止装置が設けられていることに要旨を有する海水の淡水化処理装置である。
本発明の方法及び装置によれば、海水を2段の逆浸透膜装置で淡水化処理する際に、特に第2段目逆浸透膜装置で生じる分離膜面へのスケール(炭酸塩を含む)の析出による分離膜の劣化を可及的に防止することができ、安定した操業性のもとでより清浄度の高い淡水を長期間に亘って効率よく得ることができる。特に本発明によれば、最近の水道法で厳しくなったホウ素濃度に関する水質基準も十分に満たす飲料水を長期間に亘って効率よく得ることができ、逆浸透膜装置を用いた淡水化技術の汎用化を一段と増進し得る。
本発明者らは、既に提案している海水の淡水化処理方法および装置(前掲特許文献3)や多段式逆浸透処理方法(前掲特許文献4)を基に、逆浸透膜装置の分離膜面への炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のスケール成分の析出を防止し、長期間に亘って高レベルのホウ素除去率を維持し得る技術について鋭意研究し、本発明に想到した。
上記の様に本発明では、直列方向に接続された2段の逆浸透膜装置によって被処理海水を高回収率で淡水化処理する際に、第2段目逆浸透膜装置で生じる分離膜面へのスケール(炭酸カルシウムの如き炭酸塩を含む)の析出を防止することによって、第2段目逆浸透膜の劣化を防止し、長期間に亘って高レベルのホウ素除去効率を持続する。即ち、本発明の方法及び装置を採用することにより、長期間安定して高レベルの淡水化処理効率を持続可能にすると共に、逆浸透膜装置の寿命を延長して設備の保全やメンテナンス性を高めることができる。
以下、代表的な実施形態を示す図面を参照しつつ、本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記図示例に限定されるわけではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能である。
図1は、本発明に係る淡水化処理法と装置を例示するフロー図であり、図中、1は海水タンク、2は、海水中に含まれる浮遊夾雑物等を除去するための前処理装置、3は第1段目逆浸透膜装置、4は脱炭酸処理装置、5は中間タンク、6はアルカリ液槽(アルカリ注入装置)、7は第2段目逆浸透膜装置、P1〜P3はポンプを夫々示している。
この装置を用いて海水の淡水化を行うに当たっては、海水タンク1に溜められた海水を前処理装置2へ送り、海水中に含まれている浮遊夾雑物等を予め除去した後、ポンプP1によって所定の圧力で第1段目逆浸透膜装置3へ供給する。該第1段目逆浸透膜装置3では、内部に装着された逆浸透膜によって塩分が除去され、塩分濃度の高い非透過水と淡水化された透過水に分離され、非透過水はラインL1から排出される。
一方、透過水はラインL2によりスケール分散剤注入装置および/または脱炭酸装置(図1中4は脱炭酸処理装置を示す)へ送り、該脱炭酸装処理置4で脱炭酸処理を行って透過水中の全炭酸濃度を低減した後、ラインL3から中間タンク5へ送られる。このとき、好ましくはアルカリ液槽6から適量のアルカリ水溶液をポンプP2から供給することによって透過水のpHを調整する(尚、アルカリ水溶液は直接透過水に注入してもよい)。そして、ポンプP3で所定圧力に昇圧してから第2逆浸透膜装置7へ送り、透過水中に含まれる特にホウ素などを更に除去することによって、ホウ素濃度を低減する。好ましくは水道法の水質基準である1mg/リットル以下に低減する。
第2段目逆浸透膜装置7でホウ素の除去効率を高めるには、該逆浸透膜装置7に供給する透過液のpHが9.2以上となる様に調整することが推奨される。これは、透過液のpHを9.2以上に高めるとホウ酸が解離してイオン化し逆浸透膜で阻止し易くなるからである。より好ましくはpHを9.3以上とすることである。尚、本発明者らが研究した結果、透過液のpHが高くなる程、ホウ酸の解離度は高くなるものの、逆浸透膜が劣化し易くなって長期間に亘って十分な除去率が得られ難くなることを知った。したがって長期間に亘って逆浸透膜の劣化を抑制しつつ、ホウ素濃度を所定値(例えば1mg/リットル以下)に低減するには、第2段目逆浸透膜装置7に供給する透過液(供給液)のpHを9.7以下に調整することが好ましく、より好ましくはpHを9.6以下である。
ところで、ホウ素除去率を高めるため第2段目逆浸透膜装置への供給水(被処理水)のpHをアルカリ性に調整し、且つ高回収率で運転すると、第2段目逆浸透膜装置は、被処理水(第1段目逆浸透膜装置からの透過水)中に溶存している炭酸ガスとCaイオン、Mgイオン、Baイオンなどとの反応による炭酸塩の生成が進み易くなる。そのため、淡水化操作を進めると被処理水中の炭酸塩濃度が高まり、該炭酸塩濃度が飽和溶解度を超えると、該炭酸塩スケールが分離膜表面上に析出する。このスケール生成量は、通常、膜を目詰まりさせて透過水量の低下を招くほど多量とはならない。但し、被処理水のpHが高い場合は膜面に付着した微量のスケール分が触媒作用をして膜材質の化学的劣化を促進させる原因となる。
そこで本発明では、第1段目逆浸透膜装置3と第2段目逆浸透膜装置7を結ぶラインにスケール分散剤注入処理装置および/または脱炭酸処理装置を設け、ここでスケール分散剤注入処理および/または脱炭酸処理を行う。スケール分散剤注入処理装置としては、被処理水にスケール分散剤を供給する装置(スケール分散剤供給装置)が例示されるが、これに限らない。また脱炭酸処理装置としては、脱炭酸塔などの脱炭酸装置が例示されるが、これに限らず、被処理液中のカルシウム濃度、及び第2段逆浸透膜装置での膜透過水回収率との関係において、スケールが析出しない程度まで炭酸ガス濃度を低減できる装置であればよい。
尚、海水中の炭酸濃度や淡水化装置全体の設備仕様などによっては、脱炭酸処理と、スケール分散剤注入処理を併用(いずれが先かは問わない)することが効果的である。勿論、スケール分散剤注入処理と脱炭酸処理はスケールの析出を抑制できるのであればいずれか一方のみの処理でもよい。
脱炭酸処理としては、脱炭酸装置4を設け、該脱炭酸装置4で被処理水を脱炭酸処理してから被処理液に含まれる炭酸ガス濃度を低減すればよい。即ち図1の例では、ラインL2から送られてくる膜透過水に、脱炭酸装置4で空気を吹き込んで気液接触させることにより、被処理水中の炭酸ガス濃度を低減する。そうすると、スケール発生源の1つである炭酸塩の生成源としての炭酸が減少することになる。その結果、分離膜面への炭酸塩スケールの析出が防止もしくは抑制され、従来技術で指摘したような問題を解消することができる。
なお図1の例の如く、空気吹き込みによって脱炭酸を行う場合、脱炭酸装置4ヘの吹き込みに先立って空気をアルカリスクラバーなどで予め処理し、空気中の炭酸ガス濃度を低減しておけば、脱炭酸装置4での脱炭酸効率を更に高めることができるので好ましい。また、脱炭酸効率を高めるための他の手段として、脱炭酸装置4内を減圧しながら被処理水を散布することも有効である。また被処理水中の炭酸ガスの飽和溶解度は、空気吹込みの他、酸素や窒素ガスの吹込みによっても減少するので、空気に代えてそれらのガスを脱炭酸用の気液接触ガスとして使用することも有効である。
被処理水と脱炭酸用ガスを気液接触させる具体的な方法は特に制限されないが、一般的な方法としては、被処理水槽内に脱炭酸用ガスをバブリングさせる法、或いは、充填塔や棚段式の気液接触塔などを使用し、対向流方式で被処理水と気液接触させる方法などが例示される。
そして、上記脱炭酸処理による炭酸塩の析出防止作用と逆浸透膜劣化抑制作用を実用規模で有効に発揮させるには、被処理水中の全炭酸濃度をCO2換算濃度で4mg/リットル以下、より好ましくは2mg/リットル程度に低減させるのがよく、それにより第2段目逆浸透膜装置の分離膜面への炭酸塩の析出を実質的に無くすことができることを確認している。尚、第2段目逆浸透膜装置を更に高い回収率で運転する場合には、被処理水中の全炭酸塩濃度を更に低くする必要がある。
また、スケール分散剤注入処理として、第1段目逆浸透膜装置3と第2段目逆浸透膜装置7を結ぶラインで被処理水にスケール分散剤を添加し、第2段目逆浸透膜装置の分離膜面でのスケールの発生を抑制することも有効である。この方法を採用する場合は、例えば図2に示す如く透過水送給管路にスケール分散剤供給部を設け、これにスケール分散剤槽8からポンプP4を通してスケール分散剤を混入させればよく、これらスケール分散剤槽8とポンプP4がスケール分散剤添加手段を構成している。
スケール分散剤の種類は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えばポリカルボン酸、ポリリン酸などを挙げることができる。ちなみに、ポリカルボン酸系のスケール分散剤は、例えばバイオラブ社から商品名「フロコン100」として市販されている。またポリリン酸系のスケール分散剤としては、例えばヘキサメタリン酸ソーダなどが挙げられる。これらのスケール分散剤を被処理水に対して1〜5mg/リットル程度添加すれば、第2段目逆浸透膜装置7の分離膜面でのスケールの発生を効果的に抑制できるので好ましい。
上記の様に本発明では、2段の逆浸透膜装置を用いて海水を高収率で淡水化する際に、第2段目逆浸透膜装置の分離膜面への炭酸塩の析出を、その上流側で脱炭酸処理することによって防止し、及び/又はスケール分散剤の添加によりスケールの発生を抑制し、更に第2段目逆浸透膜装置に供給する被処理水のpHを9.2〜9.7の範囲に制御するところに最大の特徴を有しており、それ以外の具体的な設備の構成や操業条件などは必要に応じて任意に変更できるが、2段の各逆浸透膜装置を接続して淡水化処理する際の好ましい条件を示すと次の通りである。
即ち、第1段目逆浸透膜装置の好ましい操作条件は、回収率:40〜63%、被処理水pH:好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上であって、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.5以下、圧力;好ましくは4.0MPa以上、より好ましくは5.0MPa以上であって、好ましくは10.0MPa以下、より好ましくは8.3MPa以下、第2段目逆浸透膜装置の好ましい条件は、回収率:60〜90%、被処理水pH:好ましくは9.2以上、より好ましくは9.3以上であって、好ましくは9.7以下、より好ましくは9.6以下、圧力:0.5〜4.0MPaである。
本発明では、アルカリ注入方法は特に限定されず、上記好適なpHとなる様に適宜アルカリ注入量を制御すればよい。また膜の化学的劣化紡糸の観点から、供給水のpHを必要以上に高くしないことが重要である。そのために望ましいpH範囲を精緻に制御することが必要である。特に第2段逆浸透膜装置への供給水は、第1段逆浸透膜装置の膜透過水であるため、溶存不純物量が極めて少なくpH緩衝能力がほとんどない。したがって第2段逆浸透膜装置への供給水に苛性ソーダのような強アルカリを注入してpHを調整する方法として、単純なON−OFF制御を行なうと、アルカリ注入によるpHの値の変動幅が極めて大きくなり、所定のpH制御幅に収めることが困難である。第2段供給水のpHが所定値より低くなった場合は、膜透過水のホウ素濃度が設定値(例えば1mg/L以下)よりも高くなることがある。また第2段供給水のpHが所定値よりも高くなった場合は、膜材質の化学的劣化が促進されることとなる。したがってpH緩衝能力の低い第2段供給水のpH制御方法としては、アルカリ注入を比例制御する方法やPID制御する方法が好適である。これら制御方法の場合、ON−OFF制御よりもより精緻にpH値を制御でき、所定のpH制御幅内に抑えることが可能となる。pH測定地点は特に限定されないが、第2段逆浸透膜装置への供給水が望ましい。またpH測定地点は、例えば第2段逆浸透膜装置から排出される濃縮液または透過液のいずれでもよい。これら測定されたpH値に基づいて第1段逆浸透膜装置の透過液に供給するアルカリ添加量を制御すればよい。
アルカリ注入位置は第1段目逆浸透膜装置の下流側で、且つ第2段目逆浸透膜装置の上流側であれば特に限定されず、アルカリ注入処理後にスケール分散剤注入処理したり、その逆の順で処理してもよい。但し、第1段目逆浸透膜装置の透過液をアルカリ注入処理すると、炭酸ガス(例えば重炭酸や炭酸)が、イオン状態(例えば重炭酸イオンや炭酸イオン)になり、脱炭酸処理によって十分に脱炭酸できないことがある。したがって脱炭酸処理とアルカリ注入処理を行なう場合は、透過液を先に脱炭酸処理してからアルカリ注入処理することが望ましい。
尚、上記本発明の様に、海水中の浮遊夾雑物を除去(前処理)した後、第1段目逆浸透膜装置で塩分を分離除去する場合、該逆浸透膜で海洋生物が繁殖するバイオファウリングが発生したり、逆浸透膜装置内で海洋生物が繁殖することがある。したがって操業条件によってはバイオファウリング等による装置汚染を防止するために、第1段目逆浸透膜装置に供給する海水に塩素系滅菌剤(例えば次亜塩素酸等)を添加することが望ましい。本発明では第1段目逆浸透膜としては三酢酸セルロースなどのセルロース系逆浸透膜やポリアミド系逆浸透膜など所望の脱塩率を有する逆浸透膜を使用することができるが、塩素系滅菌剤を添加した場合、該塩素によって第1段目逆浸透膜が劣化することがある。また第1段目逆浸透膜が塩素によって劣化しない場合であっても、透過液中に塩素が残留する場合には、該残留塩素によって第2段目逆浸透膜が劣化することがある。したがって塩素系滅菌剤を添加した場合、重亜硫酸ソーダなどの還元剤を第1段目逆浸透膜供給前の海水や、該逆浸透膜処理後の透過液に添加して塩素を除去しておくことが望ましい。
また第2段目逆浸透膜処理に供給する被処理液中にスケールと共に高アルカリ条件下で過剰の還元剤(例えば重亜硫酸ソーダやチオ亜硫酸ソーダ)が存在すると、膜の化学的劣化が進行することを確認している。この様な場合、高pHによる膜劣化を防止すると共に高pHによるホウ素除去率の向上の両方を考慮して総合的に望ましい被処理液のpHを決定する必要がある。具体的には、第2段目逆浸透膜処理に供給する被処理液中のpHを9.2以上、好ましくは9.3以上であって、9.7以下、より好ましくは9.6以下となる様に制御することが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
図1に示したフロー図に準拠し、海水を第1段目逆浸透膜装置で処理した後、透過水を脱炭酸装置に通して空気と気液接触させることにより脱炭酸処理し、次いでpH調整してから第2段目逆浸透膜装置に通して処理することにより淡水化を行った。なお脱炭酸装置としては、気液接触促進用の充填材が充填された高さ2700mmの充填塔を使用し、上方から被処理水を流しながら塔底側から空気を吹き込み、対向流で気液接触させる方法を採用した。そして、脱炭酸装置での空気吹き込み量を種々変更し、該脱炭酸装置における入側と出側の処理水中の全炭酸濃度をTOC計によって測定すると共に、脱炭酸処理後の処理水にアルカリ水溶液(25%苛性ソーダ)を添加してpHを9.5に調整した(比例制御法で調整)して連続的に淡水化処理を行なった。6ヵ月後、第2段目逆浸透膜装置の分離膜面への炭酸塩スケールの付着状況をEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)で元素分析を行なって調べた。尚、原水(海水)の成分、第1段目及び第2段目逆浸透膜装置の操業条件などは下記の通りとした。
[原水(海水)中のホウ素濃度]
ホウ素濃度;4.55mg/リットル
[第1段目逆浸透膜装置の運転条件]
被処理水pH;6.0、温度;30℃、圧力;6.0MPa、回収率;40%
[第2段目逆浸透膜装置の運転条件]
被処理水pH;9.5、温度;30℃、圧力;1.0MPa、回収率;60%
実施例2
上記実施例1において、空気との気液接触による脱炭酸に代えて、第1段目逆浸透膜装置から得た透過水にスケール分散剤を添加する方法を採用し、同様の実験を行った。即ち、実施例1で用いたのと同じ海水を使用し、第1段目逆浸透膜装置により実施例1と同じ条件で処理した透過水に、スケール分散剤(フロコン100)を2.5ppm相当量注入すると共に、アルカリ水溶液(25%苛性ソーダ)を添加してpHを調整した(PID制御を採用)。これを第2段目逆浸透膜装置へ供給して連続的に淡水化処理を行った。
比較例1
上記実施例1において、空気との気液接触による脱炭酸処理を省略して、同様の実験を行なった。即ち、実施例1で用いたのと同じ海水を使用し、第1段目逆浸透膜装置により実施例1と同じ条件で処理した透過水に、アルカリ水溶液(25%苛性ソーダ)を添加してpHを9.5に調整した。アルカリ水溶液の添加方法は、アルカリ水溶液添加位置より下流の第2段供給水配管に設置したセンサーにより計測したpHにより、アルカリ水溶液添加ポンプをON−OFF制御した。これを第2段目逆浸透膜装置へ供給して連続的に淡水化処理を行った。
[スケールの付着の有無]
EDX分析の結果、実施例1及び実施例2では、第2段目逆浸透膜装置の分離面でのスケールの析出は認められなかったが、比較例1では、微量のカルシウム系析出物が確認された。
[供給水のpH制御の結果]
設定値 操業中のpH値 制御法
実施例1 9.5 9.45〜9.55 比例制御法
実施例2 9.5 9.45〜9.55 PID制御法
比較例1 9.5 9.2 〜10.0 ON−OFF制御法
[結果]
実施例1及び実施例2の場合、6ヶ月以上の長期に亘って安定して淡水化処理を行なうことができた。これに対して比較例1の場合、pH範囲を所望の9.2〜9.7に制御できなかったため、6ヵ月後に低圧膜の塩分阻止率の低下が認められた。
運転開始後6ヶ月経過した時点で、下記表1に示す条件で各膜モジュールの性能試験を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2005246158
Figure 2005246158
表2に示されている様に、実施例1及び実施例2の場合、長期間に亘って高レベルのホウ素阻止率を維持しているが、比較例1の場合、ホウ素阻止率が低下した。この実験結果からも、本発明例である実施例1、及び実施例2では、分離膜面へのスケール(炭酸塩を含む)の析出による分離膜の劣化を可及的に防止することができ、安定した操業性のもとでより清浄度の高い淡水を長期間に亘って効率よく得られることがわかる。
本発明では、上述の様に、比例制御やPID制御を含む精密制御により、pHが9.2〜9.7の範囲となる様に構成したが、実操業においては、次の精密制御の精度に留意して行なうことが必要である。即ち、この精密制御の場合、設定pH値に対する変動幅が±0.05であることが望ましい。したがって、pHを9.5に設定した場合、制御変動幅はpH9.45〜9.55である。尚、実施例1、2でも制御変動幅が設定値の±0.05の範囲内で制御されている。
本発明の一実施例を示すフロー図である。 本発明の他の実施例を示すフロー図である。
符号の説明
1 海水タンク
2 前処理装置
3 第1段目逆浸透膜装置
4 脱炭酸処理装置4
5 中間タンク
6 アルカリ液槽
7 第2段目逆浸透膜装置
8 スケール分離剤槽

Claims (3)

  1. 直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置によって海水を淡水化処理する方法において、第2段目逆浸透膜装置の上流側で、第1段目逆浸透膜装置の透過水にスケール分散剤注入処理および/または脱炭酸処理を施すと共に、透過水のpHが9.2〜9.7となる様にアルカリ注入処理を施すことを特徴とする海水の淡水化処理方法。
  2. 前記アルカリ注入処理において、アルカリ注入量を、アルカリ比例注入制御法またはPID制御法によって制御する請求項1に記載の淡水化処理方法。
  3. 直列方向に2段に接続された逆浸透膜装置によって海水を淡水化処理する装置において、第1段目逆浸透膜装置の下流側で、且つ第2段目逆浸透膜装置の上流側に、スケール分散剤注入処理装置および/または脱炭酸処理装置が設けられ、該いずれかの装置に続いてアルカリ注入装置が設けられているか、或いはアルカリ注入装置に続いてスケール発生防止装置が設けられていることを特徴とする海水の淡水化処理装置。
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