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JP2005226042A - 吸水性樹脂複合体及びその製造方法と吸水性樹脂複合体組成物並びに吸収性物品 - Google Patents

吸水性樹脂複合体及びその製造方法と吸水性樹脂複合体組成物並びに吸収性物品 Download PDF

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JP2005226042A JP2004038553A JP2004038553A JP2005226042A JP 2005226042 A JP2005226042 A JP 2005226042A JP 2004038553 A JP2004038553 A JP 2004038553A JP 2004038553 A JP2004038553 A JP 2004038553A JP 2005226042 A JP2005226042 A JP 2005226042A
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Shunichi Himori
俊一 檜森
Yasunari Sugiyou
保成 須堯
Yoshiaki Mori
義昭 森
Taisuke Ishii
泰助 石井
Kiichi Ito
喜一 伊藤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】残存モノマーが少なく、吸水性、衛生性に優れた吸水性樹脂複合体及び吸水性樹脂複合体組成物と、これを用いた吸収性物品を提供する。
【解決手段】繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体において、残存モノマー含有量が2000ppm以下である吸水性樹脂複合体。この吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物。この吸水性樹脂複合体組成物を含む吸収性物品。重合性モノマー及び/又は重合中の該モノマーを含有する液滴と、繊維とを気相中で接触させ、更に該重合性モノマーの重合を進行させることにより、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造するに当たり、重合活性化剤によりモノマーの重合を進行させて残存モノマー量を低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸水性樹脂複合体及びその製造方法と、吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物と、この吸水性樹脂複合体組成物を用いてなる吸収性物品に関するものである。本発明の吸水性樹脂複合体及びその組成物は、残存モノマー濃度が低く、薄くて柔軟性が有り且つ開繊可能であり、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料、産業用資材等の吸水性物品の構成材料として好適である。
自重の数十倍から数百倍の水を吸収する高吸水性樹脂は、生理用ナプキンや紙おむつ等の衛生用品をはじめとして各種産業用資料の吸収性物品に利用されている。
高吸水性樹脂は、一般的にその形態が顆粒状であるために、実使用する場合には、紙とのサンドイッチ、パルプに混入させてエンボス加工等の圧着処理、或いは熱可塑性樹脂等による溶封等の複合化を行い、シート状やフィルム状等の形状に成形する必要があるが、このような複合化を行っても、高吸水性樹脂粒子の脱落の問題がある。
この高吸水性樹脂粒子の脱落を防止する技術として、特開昭63−63723号公報、特公平5−58030号公報、特開平11−93073号公報には、繊維と高吸水性樹脂粒子とを複合化した吸水性樹脂複合体が提案されている。
特開昭63−63723号公報に記載される吸水性樹脂複合体は、吸水性樹脂に水又は含水溶剤を吸収膨潤させた状態で親水性繊維と混練分散させた後に乾燥粉砕させるか、或いは水溶性エチレン性不飽和モノマーを親水性繊維と混合させながら重合させた後に乾燥粉砕させることにより製造されている。
特開平11−93073号公報に記載される吸水性樹脂複合体は、上部に空気の送風口、下部に排気口を有し、内部が空気の流通可能とされ、また、上部の側壁部の繊維供給口より、解繊された繊維が供給されると共に、上部のスプレーノズルから重合性モノマー溶液を噴霧可能とされた重合反応槽を用い、繊維供給口より繊維を供給し、飛翔中の繊維に向けて重合性モノマー溶液を噴霧して付着させると共に重合性モノマーの重合を進行させ、繊維と高吸水性樹脂とが一体化された吸水性樹脂複合体を反応槽下部に堆積させることにより製造される。
特開昭63−63723号公報 特公平5−58030号公報 特開平11−93073号公報
特開昭63−63723号公報に記載される方法で製造された吸水性樹脂複合体は、その粉砕工程のために、繊維の破断や破砕品の発生が避けられず、繊維屑、吸水性樹脂細粒の発生、繊維非固定吸水性樹脂の発生等の問題がある。また、混練分散の際の機械的衝撃により、吸水性樹脂の分子鎖切断による吸水能の低下が避けられない。加えて、混練分散の際に空気を巻き込むことにより、吸水性樹脂内部に空隙(ボイド)の発生による、加圧下吸水能の低下及び嵩密度の低下も避けられない。また、この手法では、繊維の少なくとも一部が吸水性樹脂に包埋されたものしか得られず、吸水性樹脂表面に一部が接着した繊維を含む複合体は得られない。
一方、特開平11−93073号公報に記載されるような吸水性樹脂複合体の製造方法では、その製造過程で重合せずに残存したモノマー成分が、特に吸水性樹脂複合体中の繊維に含まれて残存するようになる。即ち、重合性モノマーの重合系内に繊維等の副資材を共存させると、モノマーの副資材への拡散、副資材からモノマーへの不純物の混入等があり、副資材非共存の場合に比較して残存モノマーの残存濃度が高くなる傾向がある。
しかし、吸水性樹脂複合体中の残存モノマーは、吸水性樹脂複合体の吸水性を阻害する上に、吸水性樹脂複合体を特に紙おむつ等の衛生用品に用いる場合、汚染等のおそれから衛生上の問題を生じる。
従って、本発明は、残存モノマーの少ない吸水性樹脂複合体及びその製造方法と、この吸水性樹脂複合体を含む吸水性樹脂複合体組成物、この吸水性樹脂複合体組成物を用いた吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明は特に、残存モノマー量が少なく、乾燥時だけでなく吸水膨潤時においても繊維が高吸水性樹脂粒子に安定的に固定化され、高吸水性樹脂粒子を繊維に対して高含量で均一に固定可能であり、柔軟でかつ薄型化が可能であり、更には複合体自身が開繊可能であり、他の資材と均一混合も可能な、高吸水性樹脂粒子と繊維との複合体と、これを含む組成物を提供することを目的とする。
本発明の吸水性樹脂複合体は、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体において、残存モノマー含有量が2000ppm以下であることを特徴とする(請求項1)。
本発明の吸水性樹脂複合体は、特に残存モノマー含有量が500ppm以下であることが好ましい(請求項2)。
また、本発明の吸水性樹脂複合体は、吸水性樹脂複合体を構成する高吸水性樹脂粒子が略球状であり、該吸水性樹脂複合体は、一部が該樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が該樹脂粒子より露出している繊維と、該樹脂粒子内に包埋されることなく、一部が該樹脂粒子の表面に接着している繊維とを有することが好ましい(請求項3)。以下において、このような吸水性樹脂複合体を「複合体A」と称す場合がある。
また、吸水性樹脂複合体を構成する繊維のうちの少なくとも一部が、水との接触角が90°以下の繊維であることが好ましい(請求項4)。
本発明の吸水性樹脂複合体組成物は、このような本発明の吸水性樹脂複合体を含むことを特徴とする(請求項5)。
この吸水性樹脂複合体組成物の残存モノマー含有量は2000ppm以下、特に500ppm以下であることが好ましい(請求項6,7)。
本発明の吸収性物品は、このような本発明の吸水性樹脂複合体組成物を含むものである。
本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法は、重合性モノマー及び/又は重合中の該モノマーを含有する液滴と、繊維とを気相中で接触させ、更に該重合性モノマーの重合を進行させることにより、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造する方法である。
請求項9の方法では、該重合性モノマーの重合を重合活性化剤の存在下、ラジカル重合により進行させることを特徴とする。
請求項10の方法では、該重合性モノマーの重合をラジカル重合により進行させ、重合終了後に、生成物を重合活性化剤の存在下、相対湿度80%以上の条件下で保持することを特徴とする。
請求項11の方法では、該重合性モノマーの重合をラジカル重合により進行させ、重合終了後に、生成物に重合活性化剤の存在下、水を付与することを特徴とする。
請求項10,11の方法において、重合活性化剤の存在下に重合を行ってもよい(請求項12)。
また、本発明の方法では、重合後の生成物に重合活性化剤を添加してもよい(請求項13)。
即ち、本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法においては、残存モノマーの低減のために、重合活性化剤を重合系内に存在させてモノマーの重合を促進させるか、或いは、重合終了後の生成物を重合活性化剤の存在下、加湿条件で保持するか水を添加することにより残存モノマーの重合を図る。
重合活性化剤とは、重合開始剤とは異なり、モノマーの重合を加速させるための薬剤(化合物)である。重合開始剤と重合活性化剤とは一部共通する化合物はあるが、この場合において、この共通する化合物1種のみを用いたのみでは残存モノマーの少ない吸水性樹脂複合体を得ることはできず、重合開始剤とは別に重合活性化剤を用いることが重要である。重合活性化剤は重合前に予め原料中に添加しても良く、重合中に添加しても良く、重合後に添加しても水の存在で有効な効果を得ることができる。なお、この加湿又は水添加により重合活性化剤の効果が有効に発揮される作用機構の詳細は明らかではないが、吸水性樹脂及び/又は繊維中に水が浸透することによって、吸水性樹脂及び/又は繊維に含まれる重合活性化剤の易動度が増大し、重合活性化剤が吸水性樹脂及び/又は繊維中のモノマーに対して有効に作用するためではないかと考えられる。
即ち、前述の如く、残存モノマーは、特に重合性モノマーの重合系内に繊維等の副資材を共存させる場合において残存濃度が高くなる。本発明は、このような繊維共存下における残存モノマーの問題を解決するものである。
このような本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法によれば、残存モノマー濃度2000ppm以下の吸水性樹脂複合体を製造することができる(請求項14)。
本発明によれば、残存モノマー量が少なく、吸水性、衛生性に優れた吸水性樹脂複合体及び吸水性樹脂複合体組成物が提供され、この吸水性樹脂複合体組成物を用いて商品価値の高い吸収性物品を提供することができる。
特に、本発明によれば、残存モノマー量が少なく、乾燥時だけでなく吸水膨潤時においても繊維が高吸水性樹脂粒子に安定的に固定化され、高吸水性樹脂を繊維に対して高含量で均一に固定可能であり、柔軟でかつ薄型化が可能であり、更には複合体自身が開繊可能であり、他の資材と均一混合も可能な、高吸水性樹脂粒子と繊維との複合体と、これを含む組成物が提供され、このような吸水性樹脂複合体及び吸水性樹脂複合体組成物は、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料、産業用資材等の吸水性物品の構成材料として工業的に極めて有用である。
以下に、本発明について好ましい態様を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[本発明の吸水性樹脂複合体]
本発明の吸水性樹脂複合体は、前述の複合体Aであることが好ましいが、その他後述の複合体Bや複合体Cを含んでいても良い。
I.複合体A
1.構造と構成要素
複合体Aは、1個の略球状の高吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維とを含むものである。複合体Aに含まれる1本以上の繊維は、繊維の一部が高吸水性樹脂粒子内に包埋されると共に一部が高吸水性樹脂粒子より露出している。また、複合体Aに含まれる1本以上の繊維は、繊維が高吸水性樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が高吸水性樹脂粒子の表面に接着している。即ち、複合体Aの必須構成要素は以下の3種である。
(1) 高吸水性樹脂粒子
(2) 一部が高吸水性樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が高吸水性樹脂粒子より露出している繊維(以下「部分包埋繊維」と称す。)
(3) 一部が高吸水性樹脂粒子の表面に接着しているが、高吸水性樹脂粒子内に包埋されていない繊維(以下「表面接着繊維」と称す。)
なお、以下において、複合体A中で高吸水性樹脂粒子と結合している繊維、即ち部分包埋繊維及び表面接着繊維を「結合繊維」と総称することがある。
複合体Aにおける結合繊維と高吸水性樹脂粒子の乾燥重量比は、1:1〜1:1,000,000であることが好ましく、1:2〜1:100,000であることがより好ましく、1:3〜1:10,000であることが更に好ましい。
この複合体Aを構成する部分包埋繊維の全結合繊維における重量比率は、後述する部分包埋繊維、表面接着繊維の担うべき機能のバランスによって決められるが、通常0.01〜0.99、好ましくは0.05〜0.95、より好ましくは0.1〜0.9である。
2.各構成要素
1)高吸水性樹脂
高吸水性樹脂は、複合体Aにおいて、水、尿、血液、経血等の液体を使用目的に応じて吸収する役割を果たすものである。
(化学組成)
複合体A中の高吸水性樹脂は水、尿、血液、経血等の液体を飽和吸水能として常温常圧下で自重の1〜1000倍程度の飽和吸水能を有する高分子である。これらの液体を吸収するためには、これらの液体と親和性の高い官能基を高分子鎖に有する必要がある。これらの官能基は(部分)中和カルボン酸、カルボン酸、(部分)中和スルホン酸、スルホン酸、ヒドロキシが用いられる。この中で、部分中和カルボン酸が好ましい。このような高分子鎖中に部分中和カルボン酸を与えるモノマーとしては不飽和カルボン酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。
この高分子の分子構造は直鎖状でも差し支えないが、所望の液体を吸収し膨潤した後も形状を維持する必要がある。そのために、通常高分子鎖が溶解しないように高分子鎖同士の架橋構造を有する重合物架橋体が好ましい。この架橋は共有結合或いはイオン結合等の化学架橋ないしは高分子鎖の絡み合いによる物理架橋が用いられる。化学的安定性の面から、化学架橋が好ましく、中でも共有結合がより好ましい。
従って、高吸水性樹脂の好ましい態様としては不飽和カルボン酸重合物架橋体であり、より好ましくはアクリル酸重合物架橋体である。
(形状)
高吸水性樹脂粒子は略球状の粒子である。ここで略球状とは、全体として真球及び楕円体の形状を有するものであり、表面に細かな凹凸(即ち、しわ、突起、陥没等)を有していても差し支えない。また、表面や内部に、細孔やクラック等の空隙を有していても差し支えない。この高吸水性樹脂粒子の平均粒径は50〜1000μmが好ましく、100〜900μmがより好ましく、200〜800μmが特に好ましい。
従来の粉砕した高吸水性樹脂のように、不定形で鋭利な切断面を有していると、皮膚への刺激が大きくて、機械的付加に対して鋭利な切断面が欠損して細粒が生じるという欠点がある。しかしながら、本発明で用いる略球状の高吸水性樹脂粒子はこのような欠点がない。また不定形品に比して、最密充填ができるため高密度化が可能であるという利点も有する。
2)結合繊維
前記のように結合繊維には部分包埋繊維と表面接着繊維とがある。以下各繊維について詳述する。
(繊維種)
繊維としては、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを用いることができる。
各繊維は吸水前、及び吸水後とも高吸水性樹脂と強固に接着していることが高吸水性樹脂の固定性の面から好ましい。
一般に、異物質間の接着力は、両者の親和性が大きいほど大きいことが知られている。高吸水性樹脂は最も親水性の大きな物質の一つであり、この意味から親水性の大きな繊維ほど、高吸水性樹脂に対する接着力が大きいと言える。この繊維の親水性の定量的な尺度として、水との接触角を用いることができる。即ち、この接触角が小さいほど(つまり親水性が大きいほど)、接着力が大きく、逆に接触角が大きいほど(つまり親水性が小さいほど)接着力が小さい傾向がある。この意味から、水の繊維素材表面上における接触角は90°以下が好ましく、70°以下がより好ましく、60°以下が更に好ましく、50°以下が特に好ましく、40°以下が最も好ましい。ここで特に親水性の大きな親水性繊維とは、水の繊維素材表面上における接触角が60°以下のものと定義する。
このような親水性繊維として、パルプ、レーヨン、木綿、再生セルロースその他のセルロース系繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系等の1種又は2種以上の繊維が選ばれる。このような親水性繊維を用いると、高吸水性樹脂との接着力が強化されるだけでなく、親水性繊維の有する他の作用、例えば、水を高吸水性樹脂に誘引する作用、いわゆる導液性も高めることができる。特に、衛生材料としての用途には、皮膚に対する低刺激性、柔軟な感触の面から、親水性繊維の中でも、パルプが好ましい。
結合繊維としてはまた、高吸水性樹脂と接着可能であれば親水性の小さな(つまり疎水性の大きな)繊維、即ち、疎水性繊維も使用することもできる。例えば、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、ポリフルオロエチレン系、ポリシアン化ビニリデン系繊維である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。これら疎水性繊維を用いる利点として通液性、液の拡散性の向上が挙げられる。
この場合、例えば、部分包埋繊維として親水性繊維を選択し、表面接着繊維として疎水性繊維を選択することができる。このような態様を採用すれば、親水性繊維は強固に吸水性樹脂に包埋され、疎水性繊維は吸水性樹脂間の水の拡散性の向上が期待できる。
必要な接着性を確保するためには表面接着繊維における親水性繊維の重量分率は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、0.5以上が最も好ましい。
上記で例示した各繊維の系列の親水性、疎水性は絶対的なものではなく、各繊維の原料、改質処理の有無、その種類等により変化する。このため用いる繊維の親水性、疎水性は水の接触角測定で評価される。
なお、水の接触角は測定する繊維素材の形状、表面の平滑度に依存する。本発明における水の接触角は、後述の実施例の項に示すような装置を用いて、繊維素材をフィルムやシート形状に成形し、その平滑な表面において測定した蒸留水の接触角を意味する。
(形状)
ブロッキング防止の観点からは、後述する繊維の剛性や繊維径を考慮して結合繊維を選択することも重要である。
本発明で用いる結合繊維として好ましいものは、繊維長が50〜50,000μmのものである。結合繊維の繊維長は、より好ましくは100〜30,000μm、更に好ましくは500〜10,000μmである。50,000μmよりも繊維長が長くなると、繊維が複数の高吸水性樹脂粒子と接着して各複合体Aの独立性が確保できず、この複合体Aを含む組成物の開繊が困難になる傾向がある。逆に、50μmより短い繊維長では高吸水性樹脂粒子への包埋や接着が困難になる傾向がある。
複合体Aが所望の形状を得るためには高吸水性樹脂粒子の粒径:繊維長比率は2:1〜1:1000が好ましく、より好ましくは1:1〜1:500、特に好ましくは1:2〜1:100である。
本発明において、結合繊維の繊維径は0.1〜500デシテックスであることが好ましく、0.1〜100デシテックスであることがより好ましく、1〜50デシテックスであることが更に好ましく、1〜10デシテックスであることが特に好ましい。結合繊維の繊維径が500デシテックスより大きくなると繊維の剛性が大きすぎて高吸水性樹脂粒子への包埋、接着が困難になるばかりではなく、圧縮成型が困難になり、薄型化に好ましくない場合がある。また、生理用品等の用途に対してはごわごわしたりちくちくしたり、感触も好ましくない。逆に、繊維径が0.1デシテックス未満では、繊維が細すぎるため上述の導液性や拡散性が確保できないことがある。また、剛性が不足するため、ブロッキング(ままこ)現象が防止できない場合がある。
なお、繊維の外観は直線状でもけん縮等の縮れを有していても差し支えない。
以上の諸観点から結合繊維の繊維種、繊維長、繊維径、外観が適宜選択される。
(部分包埋繊維)
部分包埋繊維は、高吸水性樹脂粒子の固定性を確保する役割を果たす。この繊維は吸水前及び吸水後の高吸水性樹脂粒子の固定性をも向上させる。即ち、高吸水性樹脂粒子表面から伸長する繊維が、押圧時の高吸水性樹脂粒子の回転運動や並進運動を防止する。この繊維の一部は高吸水性樹脂粒子に包埋されていて、吸水後も高吸水性樹脂粒子から脱離することがないので、吸水後の固定性に重要な役割を発揮しうる。部分包埋繊維に用いる繊維の形状は、導液性を高めるために中空やサイドバイサイド型等であってもよい。
部分包埋繊維が親水性繊維で構成されている場合は、繊維が高吸水性樹脂粒子への水の導液性を高める作用を示す。即ち、繊維を通じて水を高吸水性樹脂粒子の内部へ直接導液することができる。この機能をより効果的に発揮させるためには、部分包埋繊維として前述の導液性の高い繊維を選択して用いることが好ましい。
更にこの部分包埋繊維は各吸水性樹脂複合体粒子の独立性を確保する役割も持つ。後述の複合体前駆体重合過程において、この繊維は互いの立体障害により高吸水性樹脂粒子同士の融着を防止する。即ち、高吸水性樹脂粒子表面から伸長する繊維が、互いの複合体前駆体内の重合進行中、高吸水性樹脂粒子同士の接触を妨害し、高吸水性樹脂粒子同士の融着を防止する。その結果、各吸水性樹脂複合体(前駆体)は独立性を保ち、製造工程、処理工程では反応器壁への付着を防止し、後述する開繊性をも確保できる。
一方、この部分包埋繊維は各吸水性樹脂複合体同士に適度な物理的絡み合いを与え、複合体Aを複数個集めて塊状にしたとき、自重程度では容易にばらばらにならないという形態保持性も与える。即ち、複合体Aは自由繊維等を加えなくてもそれ自体、形態保持性を有する。
従って、複合体Aは開繊性を有しつつ、形態保持性も併せ持つ、際立った特長を有する。更に加えるに、この部分包埋繊維は複合体Aに柔らかで滑らかな感触を与え、高吸水性樹脂粒子が略球状であることとあいまって、乾燥状態に於いても押圧時、非常に柔らかで衛生材料等に好適である。
(表面接着繊維)
表面接着繊維は、吸水前の高吸水性樹脂粒子の固定性を確保する効果がある。更に、膨潤後は、高吸水性樹脂粒子表面の繊維が高吸水性樹脂粒子同士の間に間隙を作り、水の流路を確保する作用がある。この作用を得るためには、必ずしも表面接着繊維が吸水後も高吸水性樹脂粒子に接着していなくても良いが、少なくとも表面接着繊維が高吸水性樹脂粒子表面に緊密に配置されていることが好ましい。そのために、吸水前に繊維が高吸水性樹脂粒子表面に接着していることは好都合である。また、高吸水性樹脂粒子同士の間に間隙を作り、水の流路を確保するためには一定の剛性を備えた繊維を用いることが好ましい場合がある。表面接着繊維はまた、上述の部分包埋繊維とあいまって、吸水前における高吸水性樹脂粒子の固定性を確保する効果もある。表面接着繊維に用いる繊維の形状は、拡散性を高めるために中空やサイドバイサイド型等であってもよい。
表面接着繊維が親水性繊維で構成されている場合、この表面接着繊維は吸水時の高吸水性樹脂粒子の膨潤により高吸水性樹脂粒子同士が接触し水の流路を妨害するブロッキング(ままこ)現象を防止する効果を示す。即ち、吸水時には水を各吸水性樹脂複合体表面に満遍なく輸送拡散させる役割を果たす。一方、表面接着繊維が疎水性樹脂で構成されている場合、この表面接着繊維は吸水性樹脂複合体間の水の拡散性を向上させる機能を発揮する。
更に、表面接着繊維は前述の部分包埋繊維同様の作用により、各複合体Aの独立性、形態保持性、柔らかで滑らかな感触を確保する役割を持ち、同様の効果を与える。
3.特長
1)固定性と吸水能力の両立(各繊維の複合効果)
一般的に、高吸水性樹脂粒子の固定性確保と保持能や加圧下吸水能等の吸水能力確保とは両立しない。即ち、吸水前だけでなく吸水後も十分な固定性を確保しようとすると、吸水後においてもなお、吸水膨張力を凌駕する高吸水性樹脂と繊維の強固な接着力を必要とする。このことはとりもなおさず、繊維による高吸水性樹脂自体の吸水膨潤阻害をもたらし、十分な吸水能を与えない。逆に、保持能や加圧下吸水能等の吸水能力を確保しようとして、高吸水性樹脂と繊維との接着面が自由に膨潤できるようにすると、このことは高吸水性樹脂と繊維との接着面の破壊を意味し、十分な固定性を与えない。
複合体Aには、部分包埋繊維及び表面接着繊維が、ともに必須である。即ち、部分包埋繊維のみを有する複合体では吸水時のブロッキング(ままこ)現象を防止する効果が十分でない。一方、表面接着繊維のみを有する複合体では吸水後の高吸水性樹脂粒子の固定性が十分ではない。よって、吸水前後を通じて上述の作用を発揮するためには、両者の繊維がともに必須である。
この複合体Aでは、吸水性樹脂複合体に部分包埋繊維と表面接着繊維との両者の繊維が共存することによって本来矛盾する関係の、高吸水性樹脂粒子の固定性確保と吸水能力確保との両立が可能となった。即ち、複合体Aは吸水前だけでなく吸水後も十分な固定性を確保しながら、形態保持能だけでなく、加圧下吸水能をも確保する際だった特長を有する。なお、部分包埋繊維と表面接着繊維との繊維の種類は同一でも異なっていても差し支えなく、使用目的、それぞれの効果発現のため適宜選択される。
2)開繊性
複合体Aの特徴の一つは、複合体Aの集合体が開繊性を有しているばかりでなく、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に開繊性を持たせることができる点にある。このような特徴は、各複合体Aが実質的に独立していることから確保される。即ち、1つの複合体Aを構成する繊維が他の複合体Aと実質的な接着をしていないことが望まれる。そのためには、製造条件にもよるが、用いる繊維の繊維長を前記のように適宜選択することが好ましい。開繊性は、後述の実施例で述べる、梳毛のしやすさ及び梳毛後の高吸水性樹脂粒子の破損状況で評価することができる。
3)形態保持性
更に、複合体Aは、複合体Aの集合体が形態保持性を有しているばかりでなく、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物に形態保持性を持たせることができる点にも特徴がある。前記のように複合体A中の結合繊維は各吸水性樹脂複合体同士に適度な物理的絡み合いを与え、複合体Aを含む吸水性樹脂複合体組成物を塊状にしたときに自重程度では容易にばらばらにならないという形態保持性を与える。
II.複合体B
「複合体B」は「高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体」、即ち、結合繊維として部分包埋繊維のみを1本以上含み、表面接着繊維を含まないものである。
複合体B中の繊維は複合体Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択できる。
複合体Bにおける結合繊維(部分包埋繊維)と高吸水性樹脂の乾燥重量比は1:1〜1:1,000,000であることが好ましく、1:2〜1:100,000であることがより好ましく、1:3〜1:10,000であることが更に好ましい。
III.複合体C
「複合体C」は「高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体」、即ち、結合繊維として表面接着繊維を1本以上含み、部分包埋繊維を含まないものである。
複合体C中の繊維は複合体Aの結合繊維の項で前述した繊維と同様に選択できる。
複合体Cにおける結合繊維(表面接着繊維)と高吸水性樹脂の乾燥重量比は1:1〜1:1,000,000であることが好ましく、1:2〜1:100,000であることがより好ましく、1:3〜1:10,000であることが更に好ましい。
IV.残存モノマー
本発明の吸水性樹脂複合体の特徴は、複合体内に含まれる残存モノマーが少ないことである。許容される残存モノマー濃度は利用分野、用途、使用法によって異なる。一般に例えば衛生材料は非衛生材料に比較して許容される残存モノマー量は少ないことが要求される。本発明の吸水性樹脂複合体中の残存モノマーは2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、最も好ましくは300ppm以下である。これらを実現するためには、後述の如く、吸水性樹脂複合体の製造法において記述する特段の工夫を要する場合がある。なぜなら、通常重合中に繊維等の副資材を共存させると、モノマーの副資材への拡散、副資材からモノマーへの不純物の混入等があり、一般的に吸水性樹脂複合体中の残存モノマーは副資材非共存の場合に比較して残存濃度が高い傾向があるからである。なお、吸水性樹脂複合体中の残存モノマー量は少なければ少ないほどよいが、500ppm程度にまで低減できれば、衛生材料等への用途において特に問題はない。
[本発明の吸水性樹脂複合体組成物]
I.構造
本発明の吸水性樹脂複合体組成物は、上記の複合体Aを含むことが好ましく、特に、複合体Aを重量分率で0.1以上含むことが好ましく、0.2以上含むことがより好ましく、0.3以上含むことが更に好ましい。
この本発明の吸水性樹脂複合体組成物は複合体Aを含む他、前述の複合体B、複合体C及び以下の自由繊維等の他の構成成分を含有しても良い。ただし、それぞれの成分自体独立しており開繊性を有し、組成物自体の開繊性も維持していることが重要である。
(自由繊維)
「自由繊維」は「高吸水性樹脂に包埋も接着もされることのない繊維」であり、本発明の吸水性樹脂複合体組成物は、このような自由繊維を1本以上含んでいても良い。本発明の吸水性樹脂複合体組成物が自由繊維を含むことにより、剛軟性、ソフト感、導液性、通液性、水の拡散性、通気性等を更に向上させることができる。
自由繊維としては結合繊維と同様、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維などを用いることができる。自由繊維として用いる繊維は、本発明の吸水性樹脂複合体組成物の使用目的に応じて選択され、例えば、吸水性樹脂複合体組成物を吸収性物品として用いる場合には、親水性繊維を選択することが好ましい。
親水性繊維としては、パルプ、レーヨン、木綿、再生セルロースその他のセルロース系繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系等の1種又は2種以上の繊維が選ばれる。このような親水性繊維を用いると、本発明の吸水性樹脂複合体組成物への導液性を高めることができる。特に、衛生材料の用途には、皮膚に対する低刺激性、柔軟な感触の面から、親水性繊維の中でもパルプが好ましい。
一方、自由繊維として疎水性繊維を使用することもできる。例えば、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、ポリフルオロエチレン系、ポリシアン化ビニリデン系繊維の1種又は2種以上である。これらの疎水性繊維を用いることにより、本発明の吸水性樹脂複合体組成物における通液性、水の拡散性を向上させることができる。
前述の結合繊維と異なり、自由繊維は高吸水性樹脂との親和性、或いは吸水性樹脂複合体との親和性については、特に制限はない。従って、用いる繊維種は上記、複合体A、複合体B、或いは複合体Cに含まれる結合繊維と同一でも異なっていても差し支えない。例えば、結合繊維として親水性繊維を選択し、自由繊維として疎水性繊維を選択することができる。このような態様を採用すれば、疎水性繊維が吸水性樹脂複合体間の水の拡散性を向上させる機能を発揮する。
また、ブロッキング防止の観点からは、後述する繊維の剛性や繊維径を考慮して繊維を選択することも重要である。
自由繊維として用いる繊維として好ましいものは、平均繊維長が50〜100,000μm、より好ましくは100〜5,0000μm、更に好ましくは500〜2,0000μmのものである。10,0000μmよりも繊維長が長くなると組成物の開繊が困難になる場合がある。逆に50μmより短い繊維長では繊維自体の易動性が大きいため、組成物から繊維が漏れる等の問題がある。
また、この自由繊維の平均繊維径は0.1〜500デシテックスであることが好ましく、0.1〜100デシテックスであることがより好ましく、更に好ましくは1〜50デシテックス、特に好ましくは1〜10デシテックスである。繊維径が500デシテックスより大きくなると繊維の剛性が大きすぎて吸水性樹脂複合体との混和が困難になるばかりではなく、圧縮成型が困難になり、薄型化に好ましくない場合がある。また、生理用品等の用途に対してはごわごわしたりちくちくしたり、感触も好ましくない。逆に、繊維径が0.1デシテックス未満であると、繊維が細すぎるため上述の導液性や拡散性が確保できないことがある。また、剛性が不足するため、ブロッキング(ままこ)が防止できない場合がある。
自由繊維を添加する場合は、本発明の吸水性樹脂複合体組成物中の高吸水性樹脂と全繊維(自由繊維と結合繊維との合計)との乾燥重量比は95:5〜5:95であることが好ましく、90:10〜7:93であることがより好ましく、85:15〜10:90であることが更により好ましい。この範囲よりも繊維量が多いと実質的に高吸水性樹脂の効果が発現しにくくなり、また嵩密度が小さくなるという欠点を有する場合がある。一方、この範囲よりも繊維量が少ないと、柔軟性、ソフト感、導液性、通液性、水の拡散性、通気性等の更なる向上が十分でない。
III.残存モノマー
本発明の吸水性樹脂複合体は組成物内に含まれる残存モノマーが少ないことが好ましい。許容される残存モノマー濃度は利用分野、用途、使用法によって異なる。一般に例えば衛生材料は非衛生材料に比較して許容される残存モノマー量は少ないことが要求される。具体的には、複合体中の残存モノマーは2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下が更に好ましく、300ppm以下が最も好ましい。これらを実現するためには後述の製造法において記述する特段の工夫をしなければならない。なぜなら、通常重合中に繊維等の副資材を共存させると、モノマーの副資材への拡散、副資材からモノマーへの不純物の混入等があり、一般的に吸水性樹脂複合体組成物中の残存モノマーは副資材非共存の場合に比較して残存濃度が高い傾向があるからである。なお、吸水性樹脂複合体組成物中の残存モノマー量は少なければ少ないほどよいが、500ppm程度にまで低減できれば、衛生材料等への用途において特に問題はない。
[本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法]
1.原料
1)モノマー
使用する重合性モノマーは、高吸水性樹脂を与えるものである限りその種類を問わないが、レドックス系開始剤によってその重合が開始される重合性モノマーを使用することが特に好ましく、この重合性モノマーは通常、水溶性のものが好ましい。
このような重合性モノマーの代表例であって、しかも本発明に好ましいものは、脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩である。具体的には、アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩等の不飽和モノカルボン酸又はその塩;或いはマレイン酸又はその塩、イタコン酸又はその塩等の不飽和ジカルボン酸又はその塩を例示することができ、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。この中で好ましいのは、アクリル酸又はその塩、及びメタクリル酸又はその塩であり、特に好ましいのはアクリル酸又はその塩である。
本発明で用いる高吸水性樹脂を与える重合性モノマーとしては、上記の如く脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩が好ましいので、この重合性モノマーの水溶液としては脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分とする水溶液が好ましい。ここで、「脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分とする」とは、脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩が重合性モノマーの全量に対して50モル%以上、好ましくは80モル%以上含まれることを意味する。
脂肪族不飽和カルボン酸の塩としては、水溶性の塩、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が通常用いられる。また、その中和度は、目的に応じて適宜定められるが、アクリル酸の場合には、カルボキシル基の20〜90モル%がアルカリ金属塩又はアンモニウム塩に中和されたものが好ましい。アクリル酸モノマーの部分中和度が20モル%未満であると、生成する高吸水性樹脂の吸水能が著しく低下する傾向がある。
アクリル酸モノマーの中和には、アルカリ金属の水酸化物や重炭酸塩等又は水酸化アンモニウム等の1種又は2種以上が使用可能であるが、好ましいのはアルカリ金属水酸化物であり、その具体例としては水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
また、本発明においては、前記の脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩以外に、これらと共重合可能な重合性モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、その他低水溶性モノマーではあるが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル類等も、得られる高吸水性樹脂の性能を低下させない範囲の量で用いても差し支えない。なお、本明細書中「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び「メタクリル」の何れをも意味するものとする。なお、これらの重合性モノマーのうち高吸水性樹脂を与えるものは、脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩に対する補助成分としてではなく、「高吸水性樹脂を与える重合性モノマーの水溶液」の主要モノマーとして使用することもできる。
(モノマー濃度)
上述の脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分として含む重合性モノマー水溶液の重合性モノマーの濃度は、20重量%以上、好ましくは25重量%以上である。この濃度が20重量%より少ないと重合後の高吸水性樹脂の吸水能が十分に得られないため好ましくない。
2)架橋剤
脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩、特にアクリル酸又はその塩は、それ自身で自己架橋ポリマ−を形成することがあるが、架橋剤を併用して架橋構造を積極的に形成させることもできる。架橋剤を併用すると、一般に生成する高吸水性樹脂の吸水性能が向上する。架橋剤としては、前記重合性モノマーと共重合可能な多価ビニル化合物、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールポリ(メタ)アクリレート類等、ならびにカルボン酸と反応し得る2個以上の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が好適に使用される。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。この中で特に好ましいのは、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。架橋剤の使用量は、重合性モノマーの仕込み量に対して通常0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
3)重合開始剤
重合開始剤としては、水溶液ラジカル重合で一般的に用いられるものを用いることができる。このような開始剤としては、無機及び有機過酸化物が挙げられ、例えばアンモニウムやアルカリ金属、特にカリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルパーオキシドやアセチルパーオキシド等が挙げられる。更に、アゾ化合物として知られている開始剤も用いることができる。例えばある程度水溶性を示す、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
重合はラジカル重合開始剤の分解により開始される。通常よく知られている手法は熱分解である。しばしば、予め重合開始剤の分解温度に昇温させた反応液の重合性モノマーに対して加熱していない重合開始剤を添加して重合開始させる場合があるが、この場合も熱分解の範疇に属する。
本発明で特に好ましく用いられるラジカル重合開始剤は、ある程度水溶性のレドックス系をなす、酸化剤と還元剤の組み合わせである。
ここで、酸化剤としては、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、第二セリウム塩、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩等の1種又は2種以上が挙げられる。この中でも過酸化水素が特に好ましい。これら酸化剤の使用量は、重合性モノマーに対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
還元剤は、上記酸化剤とレドックス系を形成しうるものであり、具体的には亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、酢酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸アルカリ金属塩、エリソルビン酸、又はエリソルビン酸塩等の1種又は2種以上を挙げることができる。中でも、L−アスコルビン酸又はL−アスコルビン酸アルカリ金属塩が特に好ましい。これらの還元剤の使用量は、重合性モノマーに対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
4)繊維
繊維種、形状については前述のように適宜選択される。
繊維はなるべくミクロ的にも均一に分散されていることが好ましい。一般に繊維はからみあいによる繊維塊をなす傾向があるが、そのみかけ繊維塊径は20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下が最も好ましい。もちろん一本、一本の繊維に独立していることが好ましいことは言うまでもない。一般に均一性を確保するために開繊という手法が用いられる。なお、「開繊」とは解繊と繊維化の両方の概念を含むものである。解繊には、ナイロン等のシート状物を短冊状や繊維状に裂くこと等が含まれる。また、繊維化には、原紙状のセルロースを切り裂いてパルプにすること等が含まれる。
具体的な手法としては「繊維便覧(加工編)」(繊維学会編、丸善、1969)18頁以下に紹介されている、綿紡式、梳毛式、紡毛式、麻紡式、絹紡式或いはまた回転羽式粉砕機、ハンマー式粉砕機、パルプ解繊機等を適宜用いることができる。またフロック加工として知られている繊維を帯電させ、繊維間の静電反発を利用して事実上、繊維一本一本を独立させ、均一分散させることも可能である。
5)重合活性化剤
重合活性化剤は、レドックス重合等のラジカル重合をより活性化させ、その結果、残存モノマー低減化を実現しうる試薬である。重合活性化剤の効果は重合進行物の重合率における添加系/無添加との相対的な重合率増加率によって評価される。即ち、重合率増加率は、
重合率増加率={(添加系での重合率−無添加系での重合率)/無添加系での重合率}
×100(%)
で計算される。重合活性化剤としては重合率増加率が3%以上であるようなものが好ましく、5%以上であるようなものがより好ましく、10%以上であるようなものが最も好ましい。
(化合物種)
重合活性化剤は、遷移金属化合物を含有することが好ましい。
ここで遷移金属とは、周期律表の第三周期に属し、更に第一遷移系列元素の中でもクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛を示す。これらの中では鉄、銅、マンガンが好ましく、特に鉄が好ましい。本発明において、重合活性化剤として用いる遷移金属化合物は、これら遷移金属と無機酸或いは有機酸との塩、水酸化物、及び酸化物等である。ここでいう無機酸としては、塩酸、ふっ酸、硫酸、硝酸、りん酸、炭酸、ホウ酸等が挙げられる。中でも、塩酸及び硫酸が好ましい。好ましい塩の具体例として、塩化鉄、硫酸鉄、塩化銅、硫酸銅、塩化マンガン、硫酸マンガン等、或いはそれらの水和物等が挙げられる。またここでいう有機酸としては、有機基を有するカルボン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルホンアミド、第一級及び第二級ニトロ化合物等が挙げられる。中でも、カルボン酸、エノールが好ましい。好ましい塩の具体例として、酢酸鉄、L−アスコルビン酸鉄、エリソルビン酸鉄、酢酸銅、L−アスコルビン酸銅、エリソルビン酸銅、酢酸マンガン、L−アスコルビン酸マンガン、ホウ酸マンガン等、或いはそれらの水和物等が挙げられる。水酸化物としては、水酸化銅等が挙げられる。酸化物としては酸化鉄、酸化銅、二酸化マンガンが挙げられる。
中でも鉄又は鉄化合物を用いることが好ましい。鉄又は鉄化合物として、3価以上の鉄化合物、2価以下の鉄化合物、金属鉄(0)を用いることができる。鉄又は鉄化合物の中には、酸化鉄及び鉄合金も含まれる。本発明に係る重合活性化剤には、これらの鉄又は鉄化合物の1種又は2種以上が含まれる。
3価以上の鉄化合物としては、鉄(III)と無機酸或いは有機酸との塩、酸化鉄(III)、及び鉄酸塩等が挙げられる。ここでいう無機酸としては、塩酸、ふっ酸、硫酸、硝酸、りん酸、炭酸等が挙げられる。中でも、塩酸及び硫酸が好ましい。その塩の具体例として、塩化鉄(III)、ふっ化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、りん酸鉄(III)等、或いはそれらの水和物等が挙げられる。好ましい具体例は、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)である。またここでいう有機酸としては、有機基を有するカルボン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルホンアミド、第一級及び第二級ニトロ化合物等が挙げられる。中でも、カルボン酸、エノールが好ましい。その塩の具体例として、モノカルボン酸のぎ酸鉄(III)、酢酸鉄(III)、プロピオン酸鉄(III)、アクリル酸鉄(III)、しゅう酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、グルコン酸(III)、2−エチルヘキ酸鉄(III)、乳酸鉄(III)、ナフテン酸鉄(III)、ジカルボン酸のフマル酸鉄(III)、マレイン酸鉄(III)、ポリカルボン酸のポリアクリル酸鉄(III)、エノールのL−アスコルビン酸鉄(III)、エリソルビン酸鉄(III)或いはそれらの水和物が挙げられる。酸化鉄としては酸化鉄(III)、鉄酸塩としては鉄(IV)酸塩、鉄(V)酸塩等が挙げられる。
2価以下の鉄化合物としては、鉄(II)と無機酸或いは有機酸との塩、酸化鉄(II)及び鉄合金等が挙げられる。ここでいう無機酸としては、塩酸、ふっ酸、硫酸、硝酸、りん酸、炭酸等が挙げられる。中でも、塩酸及び硫酸が好ましい。その塩の具体例として、塩化鉄(II)、ふっ化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、りん酸鉄(II)等、或いはそれらの水和物等が挙げられる。好ましい具体例としては塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)である。またここでいう有機酸としては、有機基を有するカルボン酸、スルフィン酸、フェノール、エノール、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルホンアミド、第一級及び第二級ニトロ化合物等が挙げられる。中でも、カルボン酸、エノールが好ましい。その塩の具体例として、モノカルボン酸のぎ酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、プロピオン酸鉄(II)、アクリル酸鉄(II)、しゅう酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)、グルコン酸(II)、2−エチルヘキ酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、ナフテン酸鉄(II)、ジカルボン酸のフマル酸鉄(II)、マレイン酸鉄(II)、ポリカルボン酸のポリアクリル酸鉄(II)、エノールのL−アスコルビン酸鉄(II)、エリソルビン酸鉄(II)或いはそれらの水和物が挙げられる。酸化鉄としては酸化鉄(II)が挙げられる。更に鉄合金等も用いることができる。
3価以上の鉄化合物と2価以下の鉄化合物のいずれも、優れた重合活性作用を有する。3価の鉄は空気中の酸素に対して安定であるという利点を有するが、赤紫着色が大きいという短所を有する。一方、2価以下の鉄化合物は赤紫着色が小さいという利点を有するが、空気中の酸素に対する安定性が小さいという短所を有する。よって、使用目的、使用対象、使用環境、使用量などを考慮したうえで、本発明に係る重合活性化剤に含まれる鉄化合物を選択することが好ましい。
本発明に係る重合活性化剤は、鉄化合物のみからなるものであってもよいし、鉄化合物を適当な媒体に溶解又は分散させたものであってもよい。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、エタノール、アセトンを用いることができるが、安全性、衛生性、溶解性、経済性の観点から水が好適である。
重合活性化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。その添加濃度、添加方法については、残存モノマー低減工程についての説明の項で後述する。
2.製造工程
1)重合工程
本発明の吸水性樹脂複合体の製造方法は特に制限されないが、好ましい製造方法においては、高吸水性樹脂を与える重合性モノマーの水溶液、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸又はその塩を主成分とする重合性モノマーの水溶液にレドックス系重合開始剤を配して当該モノマーの重合を開始させ、反応開始後のモノマー及び生成ポリマーを含む重合進行中の反応混合物を気相中で液滴となし、同気相中に供給した分散した繊維と接触させ、吸水性樹脂複合体前駆体となし、重合を完結させ吸水性樹脂複合体として回収する方法がある。
気相中での液滴を重合させる好ましい一つの方法は、レドックス系重合開始剤を構成する酸化剤と還元剤の一方を含む重合性モノマー水溶液からなる第1液と、レドックス系重合開始剤の他方及び所望により重合性モノマーを含む水溶液からなる第2液とを気相中で混合することにより重合を開始させることからなる。
具体的な手段としては、例えば、後述の実施例に示すように、第1液及び第2液をノズルから流出する液同士の交差角度が15度以上の角度で、しかも液柱状態で衝突するようにそれぞれ別個のノズルより噴出させる方法がある。このように両液に交差角度を持たせて互いに衝突させることにより、ノズルからの流出エネルギ−の一部を混合に利用するのである。それぞれのノズルから流出する第1液と第2液の交差角度は、使用する重合性モノマーの性状、流量比等に応じ適宜選定する。例えば、液の線速度が大きければ交差角度は小さくすることができる。
なお、この場合、第1液の温度は通常常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃であり、また、第2液の温度も通常常温〜約60℃、好ましくは、常温〜約40℃である。
このように、ノズルから噴出されたそれぞれの水溶液は、液柱状態で衝突させて両液を合体させる。合体後は液柱を形成していて、その状態がある時間保持されるが、その後この液柱は解体して液滴となる。生成した液滴は気相中で重合が進行する。
液滴の重合が進行し、繊維に接触して適当な吸水性樹脂複合体を形成するには、液滴の大きさが特に50〜1,000μmの範囲とするのが好ましい。反応器内の液滴の空間密度は0.1〜10,000g/mであることが好ましい。この上限を超えると繊維と接触しない高吸水性樹脂が生成し、この下限未満だと高吸水性樹脂に接触しない繊維が生成して、吸水性樹脂複合体の収率が相対的に低下する問題が生じる。
このような重合の開始及び重合進行中の液滴の形成を行う反応場を与える気相の気体としては、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の重合に不活性なものが好ましいが、空気でも良い。また、水蒸気のみの場合を含め、気体中の湿度には特に制限はないが、あまり湿度が低いと重合が進行する前にモノマ−水溶液中の水分が蒸発してモノマ−が析出し、その結果、重合速度が著しく低下、或いは重合が途中で停止する可能性がある。気体の温度条件は、室温以上150℃以下、望ましくは100℃以下である。気体の流れ方向は液柱及び液滴の進行方向に関して向流、並流のどちらでも良いが、液滴の気相中滞留時間を長くする必要がある場合、即ち重合性モノマ−の重合率を上げ、ひいては液滴の粘度を高める必要がある場合には向流(反重力方向)の方が良い。
2)繊維供給工程
液滴と繊維を接触させる際の液滴中のモノマー転化率(即ち、重合率)は0〜90%の範囲が好ましい。より好ましくは0〜80%で、最も好ましくは0〜70%の範囲である。90%以上の重合率では用いる繊維が高吸水性樹脂に包埋も接着もされない可能性がある。
複合体Aの構造を得るためには、モノマーの重合率の等しい段階の反応場で供給できるが、好ましくはモノマーの重合率の異なる2段階以上の反応場で繊維を供給する。そのためには複数の供給口から繊維を供給することが好ましい。即ち、部分包埋繊維を得るためには、モノマーの重合率が相対的に低い段階で接触させることが望まれ、表面接着繊維を得るためには、モノマーの重合率が相対的に高い段階で接触させることが望まれる。
部分包埋繊維と表面接着繊維繊維の双方を生成するためには、それぞれの繊維とモノマーとの接触場におけるモノマーの重合率の差は10%〜80%の範囲が望ましい。より好ましくは10〜70%で、最も好ましくは10〜60%の範囲である。それぞれの接触場での重合率は、モノマー種や繊維種等に応じて適宜決定される。
3)繊維搬送工程
重合進行中の液滴と接触させるために繊維を供給する方法として、一般に知られている搬送方法を用いることができる。反応器内の繊維の空間密度は、繊維を高吸水性樹脂に部分的に包埋させる場合は0.005〜1,000g/mの範囲が好ましい。この上限を超えると高吸水性樹脂粒子に包埋されない繊維が生成し、この下限未満であると繊維を包埋しない吸水性樹脂複合体が生成して複合体Aの収率が相対的に低下する問題が生じる。繊維をできるだけ細かく均一に供給するためには、繊維を気体との混相流として供給することが好ましい。ここで用いる気体としては、上述の反応場を与える気体として挙げたものを用いることができる。そのなかでも経済的観点、環境負荷軽減の観点から空気が好ましい。
混相流として供給する繊維と気体の重量混合比は1以下、気体の線速は1〜50m/秒の範囲が好ましい。この上限を超えると反応場の重合進行中の反応混合物の軌跡を乱し、反応器の内面への付着が問題になる場合がある。一方、下限未満では繊維の均一性が確保できない場合がある。
混相流として供給する気体の温度は、重合を著しく阻害しない範囲内で選択することが望まれる、その意味から具体的には室温以上150℃以下、望ましくは100℃以下である。繊維搬送の観点からは、気体中の湿度は低い方が好ましいが、あまり湿度が低いと反応器内の湿度を下げ、重合が進行する前にモノマー水溶液中の水分が蒸発してモノマーが析出し、その結果、重合速度が著しく低下、或いは重合が途中で停止する可能性がある。
4)残存モノマー低減工程
残存モノマー低減工程では、以下に述べる残存モノマー低減化方法を適用する。残存モノマーを低減化するためには通常の高吸水性樹脂粒子の製造工程に採用される手法に対して更に特段の工夫を要する場合がある。なぜなら、従来の懸濁重合法で得られる真球状ないし真球集合体の高吸水性樹脂粒子や、溶液重合法で得られる不定形の高吸水性樹脂粒子と異なり、本発明の吸水性樹脂複合体は、パルプ等の繊維が高吸水性樹脂粒子に包埋或いは接着している立体構造ため、残存モノマー低減化処理に影響する以下の特徴を有しているからである。
(α)吸水性樹脂が繊維で覆われているため、複合体自体が回転、並進運動がしにくい
(β)吸水性樹脂が繊維で覆われているため、紫外線等の電磁波や、放射線が透過しにくい
(γ)吸水性樹脂が繊維で覆われているため、施す試薬が高吸水性樹脂や繊維に均一に分散しにくい
残存モノマーを処理する方法としては、例えば、
(i) 残存モノマーの重合を進行させる方法
(ii) 残存モノマーを他の誘導体へ導く方法
(iii) 残存モノマーを除去する方法
が挙げられる。
(i) 残存モノマーの重合を進行させる方法
残存モノマーの重合を進行させる方法としては、重合進行中に重合自体を活性化させる手法方法と、重合終了後の吸水性樹脂複合体を処理する方法とに大別できる。ここで、重合進行中とは重合率が50重量%未満の重合進行物を指し、重合終了後とは重合率が50重量%以上の重合進行物を指す。また、重合進行物とは現に重合が進行しているもの及び進行がきわめて遅く事実上、休止或いは停止している場合も含む。
重合進行中に重合自体を活性化させる方法としては、例えば、前述の重合活性化剤の付与が挙げられる。また重合終了後の吸水性樹脂複合体を処理する方法としては、例えば、a)吸水性樹脂複合体を更に加熱する方法、b)吸水性樹脂複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法、c)紫外線を照射する方法、d)電磁放射線又は微粒子性イオン化放射線を照射する方法、e)重合活性化剤により処理する方法などが挙げられる。以下それぞれの方法について説明する。
<重合進行中に重合自体を活性化させる方法>
重合進行中に重合自体を活性化させることにより残存モノマー量を低減する手法として、重合活性化剤の付与について以下説明する。この方法は吸水性樹脂複合体が形成される前に処理するため、上記の複合体の有する(α),(β),(γ)の特徴を回避することができ好都合である。用いる重合活性化剤は前述の通りである。
前述の重合活性化剤の添加量は、モノマーに対して鉄化合物であれば金属換算で0.01〜100ppmであり、0.05〜50ppmが好ましく、0.1ppm〜20ppmが更に好ましい。0.01ppm未満の添加量では十分な重合活性化効果が得られず、逆に100ppmを超える量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
本発明に係る重合活性化剤の添加方法は、重合進行中の液滴内に重合活性化剤が存在するように付与されればいずれの方法でも良く、重合活性化剤を予め重合性モノマーに添加しておいてもよいし、重合進行中の液滴に付与してもよい。重合活性化剤を効率的に液滴に付与するためには重合活性化剤を予め重合性モノマーに添加しておくことが好ましい。
重合活性化剤を予めモノマーに添加する際は、酸化剤を含有するモノマー液に添加しても良いし、還元剤を含有するモノマー液に添加しても良い。酸化剤と還元剤を混合したときに、本発明に係る重合活性化剤は均一に存在していることが望ましいことから、酸化剤を含有するモノマー液と還元剤を含有するモノマー液の双方に本発明に係る重合活性化剤を添加することが好ましい。このとき、双方に添加する本発明に係る重合活性化剤の組成は同一であっても異なっていてもよい。また、添加量は同一であっても異なっていてもよい。好ましいのは、同一組成の重合活性化剤を同一量添加する場合である。なお、酸化剤と還元剤を混合したときに速やかに本発明に係る重合活性化剤が均一に分散しうる条件を選択する場合は、いずれか一方のみに本発明に係る重合活性化剤を添加しても十分な重合活性化効果が得られる。
またこれらモノマー液と重合活性化剤との混合は、どのような手法でも差し支えない。例えば、モノマー液に予め仕込む方法や、ラインミキサーを用いて配管内で混合させる手法等が例示できる。モノマー液と重合活性化剤は、重合開始以前に混合しておくことが特に好ましい。
ただし、本発明は、重合開始後に重合活性化剤を更に添加する場合を排除するものではない。
モノマー液と重合活性化剤を混合する際の温度は、通常常温〜約60℃、好ましくは常温〜約40℃である。混合時の温度が高すぎるとモノマー液の安定性が損なわれる場合がある。
なお、上の説明では、酸化剤を含有する液と還元剤を含有する液の双方にモノマーが含まれている態様を例に挙げたが、モノマーは必ずしも双方に含まれている必要はなく、いずれか一方のみに含まれている態様も本発明に含まれる。すなわち、酸化剤を含有する液にのみモノマーが含まれていてもよいし、還元剤を含有する液にのみモノマーが含まれていてもよい。この場合に、本発明に係る重合活性化剤は、モノマーが含まれている液に添加してもよいし、モノマーが含まれていない液に添加してもよいし、双方に添加してもよい。好ましいのは、双方に添加する場合と、モノマーが含まれている液に添加する場合である。
<重合終了後、吸水性樹脂複合体を処理する方法>
次に重合終了後、吸水性樹脂複合体を処理することにより残存モノマー量を低減する方法について説明する。
a)吸水性樹脂複合体を更に加熱する方法
吸水性樹脂複合体を更に加熱する方法は、該吸水性樹脂複合体を40〜250℃で加熱処理し、該吸水性樹脂複合体に残存するモノマーを重合させるものである。この際、反応を促進するためには、水分を加えることは効果的である。この水分は残存モノマーの易動性を高め、また吸水性樹脂複合対中の高分子鎖の易動性も促進する。その観点から吸水性樹脂複合体の含水率が湿潤基準で通常5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは15〜85重量%であることが求められる。また、反応温度は15〜250℃が好ましく、25〜200℃がより好ましく、40〜150℃が最も好ましい。反応時間は含水率や反応温度にもよるが、0.1秒〜60分が好ましく、0.5秒〜30分がより好ましく、1秒〜20分が最も好ましい。
b)吸水性樹脂複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法
吸水性樹脂複合体にモノマーの重合を促進する触媒ないしは触媒成分を添加する方法は、例えばレドックス系重合開始剤を用いて重合を行った場合には、ラジカル発生剤が残存していることが多いので吸水性樹脂複合体に還元剤溶液を付与すればよい。還元剤としては、レドックス系開始重合剤として用いる亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等を用いればよく、通常はこれらを0.5〜5重量%水溶液として該吸水性樹脂複合体に付与する。還元剤の付与量は吸水性樹脂複合体基準で0.001〜2重量%、好ましくは、0.01〜1.5重量%、より好ましく0.05〜1重量%がよい。この際、還元剤溶液は吸水性樹脂複合体に満遍なく均一に付与する必要がある。その意味から還元剤溶液の付与は、噴霧器を用いて粒径1μm以下の粒径の霧にすべくスプレーしたり、還元剤溶液中に浸漬するなど手法が好ましい。還元剤を付与した吸水性樹脂複合体は次いで加熱して重合性モノマーを重合させる。加熱は例えば100〜150℃で10〜30分間程度行えばよい。この加熱により吸水性樹脂複合体の含水率は低下するが、もし含水率が高い場合には更に乾燥機で乾燥して製品とする。
c)吸水性樹脂複合体に紫外線を照射する方法
吸水性樹脂複合体に紫外線を照射する方法では、通常の紫外線ランプを用いればよく、照射強度、照射時間等は用いる繊維の種類、残存モノマー含浸量等によって変化するが、一般的には紫外線ランプ10〜200W/cm、好ましくは30〜120W/cm、照射時間0.1秒〜30分、ランプ−複合体間隔2〜30cmである。その際乾燥した複合体表面は紫外線を散乱し内部まで透過しないので、吸水性樹脂複合体表面を平滑化、透明化するために、湿潤化する必要がある。この時の吸水性樹脂複合体中の水分量としては、一般的には乾燥吸水性樹脂1重量部に対して0.01〜40重量部、好ましくは0.1〜5重量部が採用される。0.01重量部未満又は40重量部超過の水分量は、残存モノマーの低減化に著しい影響を及ぼすので好ましくない。また吸水性樹脂複合体の積層厚みは紫外線を透過させるためには5cm以下が好ましく、2cmより好ましく、1cmが最も好ましい。紫外線を照射する時の雰囲気としては、真空下又は窒素、アルゴン、ヘリウム等の無機ガス存在下、又は空気中のいずれも使用できる。また照射温度は特に制限はなく、室温で充分その目的を達成することができる。用いる紫外線照射装置にも特に制限はなく、静置状態にて一定時間照射する方法、或いはベルトコンベヤーにて連続的に照射する方法等、任意の方法を用いることができる。
d)吸水性樹脂複合体に放射線を照射する方法
吸水性樹脂複合体に放射線を照射する方法には、加速電子やガンマー線の様な高エネルギー放射線が用いられる。照射されるべき線量は、複合体中の残存モノマー量や、水分量等により変化するが、一般的には0.01〜100メガラド、好ましくは0.1〜50メガラドである。100メガラド超過の線量では吸水量が極めて小さくなり、また0.01メガラド未満では本発明で目的とする吸水能や吸水速度が大きく、残存モノマーが特段に小さいものが得られ難い。また、この時の吸水性樹脂複合体水分量としては、一般的には吸水性樹脂1重量部に対して40重量部以下、好ましくは10重量部以下が採用される。40重量部超過の水分量では吸水速度改良効果が少なく、特に未重合モノマーの低減化に著しい影響を及ぼすので好ましくない。前記複合体に高エネルギー放射線を照射する時の雰囲気としては、真空下又は窒素、アルゴン、ヘリウム等の無機ガス存在下、又は空気中のいずれも使用できる。好ましい雰囲気は空気であって、空気中で照射を行なうと吸水能や吸水速度の大きくかつ残存モノマーが特段に小さくなる。また、照射温度には特に制限は無く室温で十分にその目的を達成することができる。
e)重合活性化剤による処理方法
重合活性化剤による処理は、重合終了後、前述の重合活性化剤の働きにより残存モノマーを低減するものである。用いる重合活性化剤種については前述の通りである。
重合活性化剤は、重合終了後の吸水性樹脂複合体内に重合活性化剤が存在するように付与されればいずれの方法でも良く、重合性モノマーに予め添加しておいてもよいし、重合進行中及び/又は重合終了後に後に添加してもよい。
重合活性化剤を重合性モノマーに予め添加又は重合進行中の液滴に添加する方法は、上述の通りであるが、添加した重合活性化剤は重合終了後に吸水性樹脂複合体中に埋め込まれ、易動度が著しく減少するためその作用も見かけ上著しく減少する。したがって、本法では、吸水性樹脂複合体内部で重合活性化剤の働きにより残存モノマーが反応する間、重合活性化剤の吸水性樹脂複合体内部での易動度を確保することで達成される。
重合活性化剤の易動度は、吸水性樹脂複合体の含水率が湿潤基準で通常5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは15〜85重量%である状態で確保される。反応温度は通常15〜250℃、好ましくは25〜200℃、より好ましくは40〜150℃である。また反応時間は含水率や反応温度によるが、通常0.1秒〜60分、好ましくは0.5秒〜30分、より好ましくは1秒〜20分である。
そのためには、吸水性樹脂複合体に吸水性樹脂複合体を含水状態で加湿条件下保持(ホールド)したり、吸水性樹脂複合体に水等の親水性溶媒を付与することで可能となる。
吸水性樹脂複合体を加湿条件下ホールドする際は、吸水性樹脂複合体が上述の含水率で、上述の温度、上述の時間存在すればよく、加湿条件は、通常相対湿度50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。相対湿度が50%より低いと吸水性樹脂複合体内部の水が蒸発してしまい、重合活性化剤の吸水性樹脂複合体内部での易動度が失われてしまう。
一方、吸水性樹脂複合体に水等の親水性溶媒を施す方法では、親水性溶媒として、水、炭素数1〜3のアルコール類、アセトン、ジメチルホルムアミドが挙げられるが、水が好ましい。様態は液状、気体状で施される。
重合活性化剤を重合終了後に添加する方法では、重合活性化剤を重合後の吸水性樹脂複合体の乾燥重量に対して金属換算で、0.01〜100ppm、好ましくは0.05〜50ppm、より好ましくは0.1〜20ppmとなるように加える。0.01ppm未満では、残存モノマー量低減作用が十分でなく、逆に100ppmを超える量を使用しても効果は向上せず不経済になる。
添加時の形態は重合活性化剤のみからなるものであってもよいし、重合活性化剤を適当な媒体に溶解又は分散させたものであってもよい。ただし、吸水性樹脂複合体に適用するときの容易性や効率を考慮して、溶液にして適用することが好ましい。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、エタノール、アセトンを用いることができるが、安全性、衛生性、溶解性、経済性の観点から水が好適である。本発明に係る重合活性化剤の溶液中での濃度は特に制限されないが、通常金属換算で0.01〜5重量%に設定する。
重合活性化剤の溶液の添加方法としては、上記の複合体の立体構造的特徴に対して均一に分散させるために、重合活性化剤の溶液を吸水性樹脂複合体に対して、液滴状で付与する方法が好ましく選択される。溶液温度は通常は常温15〜250℃にする。添加の際の雰囲気については、窒素、アルゴン或いは二酸化炭素のような不活性気体でも良いが空気でも差し支えない。取り扱いの簡便性、経済性からは空気が好ましい。
また本法でも充分な残存モノマー低減効果を得るには、吸水性樹脂複合体内で重合活性化剤が十分な易動性を有することが必要であり、そのためには、水等の親水性溶媒を共に付与することが好ましい。この親水性溶媒は残存モノマーの易動性も高め、更に吸水性樹脂内の高分子鎖の易動性をも促進する。親水性溶媒は重合活性化剤を溶液で付与する場合の溶媒として添加してもよいし、重合活性化剤とは独立に付与しても良い。親水性溶媒は、水、炭素数1〜3のアルコール類、アセトン、ジメチルホルムアミドが挙げられるが、水が好ましい。様態は液状、気体状で施されるが、気体状が好ましい。また施す量は吸水性樹脂複合体の含液率が湿潤基準で通常5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは15〜85重量%であることが求められる。
重合活性化剤が付与された吸水性樹脂複合体は、その後、通常、15〜250℃、好ましくは25〜200℃、より好ましくは40〜150℃で、0.1秒〜60分、好ましくは0.5秒〜30分、より好ましくは1秒〜20分間処理されることで残存モノマーが低減化される。
(ii) 残存モノマーを他の誘導体へ導く方法
残存モノマーを他の誘導体へ導く方法としては、製造された吸水性樹脂複合体に例えばアミン、アンモニア等を加える方法、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等の還元剤を加える方法が挙げられる。これらを適当な媒体に溶解又は分散させたものであってもよい。溶液に用いる溶媒としては親水性の溶媒が好ましく、水、エタノール、アセトンを用いることができるが、安全性、衛生性、溶解性、経済性の観点から水が好適である。これらの濃度は0.01〜5重量%が好ましく、吸水性樹脂複合体への添加量としては0.02〜3重量%、特に0.05〜2重量%とすることが好ましい。
(iii) 残存モノマーを除去する方法
残存モノマーを除去する方法としては、例えば有機溶媒による抽出、或いは留去する方法が挙げられる。有機溶媒により抽出する方法では、吸水性樹脂複合体を、含水有機溶媒中に浸漬して、残存モノマーを抽出除去する。含水有機溶媒としてはエタノール、メタノール、アセトン等を用いることができ、その含水率は10〜99重量%、特に30〜60重量%であるのが好ましい。一般に含水率が高いほど残存モノマーの除去能が高いが、含水率の高い含水有機溶媒を用いると後続する乾燥工程でのエネルギー消費が多くなる。複合体を含水有機溶媒に浸漬する時間は通常5〜30分間程度で十分であり、複合体を揺動させるなど残存モノマーの抽出を促進する手段を採用するのも好ましい。浸漬処理後は通常乾燥機で処理して乾燥する。
また、残存モノマーを留去する方法としては、複合体を過熱水蒸気又は水蒸気含有ガスで処理する方法がある。例えば110℃の飽和水蒸気を120〜150℃に加熱して過熱水蒸気として複合体に接触させることにより、吸水性樹脂複合体中の残存モノマーを低減させることができる。この方法では、吸水性樹脂複合体中の水が水蒸気となって蒸発する際に、残存モノマーも同時に気化して吸水性樹脂複合体から抜け出るものと考えられる。この方法によれば、残存モノマーの除去と製品の乾燥とを兼ねることができる。
前記本発明の複合体或いは組成物の特徴から、これらを実現するためには複合体或いは組成物の嵩密度を低下させる必要がある。嵩密度として0.85g/cm以下が好ましく、0.65g/cm以下がより好ましく0.45g/cm以下が最も好ましい。
これらの前記の手法の中で、好ましい手法としては上記の重合活性化剤による重合進行中の重合自体の活性化、或いは重合終了後の吸水性樹脂複合体への重合活性化剤の添加である。更に両者を併用する方法が挙げられる。
5)その他の付加的工程
本発明吸水性樹脂複合体の製造において、その他の付加的工程として、表面架橋工程、開繊工程、他の機能を付与するための触媒、還元剤、消臭剤、人尿安定剤、抗菌剤等の添加剤添加工程を加えてもよい。
(表面架橋工程)
吸水性能を向上させる目的で、吸水性樹脂複合体の表面を架橋剤により架橋させることも可能である。一般に、粉末状の高吸水性樹脂粒子の表面に架橋剤とともに適量の水分を付与した後、加熱して表面を架橋することにより樹脂粒子の特性を改良することは公知の手法であり、これにより表面に選択的に架橋構造が形成される結果、吸液して膨潤するに際し、膨潤を阻害せずにその形状を維持することができるものと考えられている。この工程ではまず吸水性樹脂複合体生成物に表面架橋剤の溶液を付与する。表面架橋剤としてはN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性モノマーと共重合し得る多官能化合物や、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等のカルボン酸基と反応し得る官能基を複数個有する化合物が用いられる。これらの表面架橋剤は、通常、吸水性樹脂複合体生成物に対して0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%となるように用いられる。なお、これらの表面架橋剤は、吸水性樹脂複合体生成物全体に均一に付与されるように、水、エタノール、メタノールなどで希釈して0.1〜1重量%、特に0.2〜0.5重量%程度の溶液として用いるのが好ましい。架橋剤溶液の付与は通常は噴霧器を用いて架橋剤溶液を吸水性樹脂複合体生成物にスプレーしたり、ロールブラシで架橋剤溶液を塗布する方法により行うのが好ましい。なお、架橋剤溶液を過剰に付与した後、圧搾ロールで樹脂粒子がつぶれない程度に軽く圧搾したり、風を吹き付けたりして、余剰の架橋剤溶液を除去するようにしても良い。この架橋剤溶液の付与は室温で行えば良い。架橋剤溶液が付与された吸水性樹脂複合体生成物は、次いで加熱して架橋反応を進行させ、高吸水性樹脂表面に選択的に架橋構造を形成させる。架橋反応の条件は用いる架橋剤により適宜選択すればよいが、通常は100℃以上の温度で10分間以上反応させる。
本発明に係る高吸水性樹脂として、特に不飽和カルボン酸重合物架橋体が好ましく、とりわけ部分中和アクリル酸重合物架橋体が好ましい。
(開繊工程)
吸水性樹脂複合体は、通常堆積物として回収される。各吸水性樹脂複合体は互いに独立しているため、容易に開繊可能である。開繊には、繊維の説明で述べた開繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により高吸水性樹脂粒子が破損しない装置、条件が好ましい。
(添加剤添加工程)
吸水性樹脂複合体、或いは本発明の吸水性樹脂複合体組成物には、目的とする用途に応じて所望の機能を付与するために各種の添加剤を加えることができる。これら添加剤としては、吸収する液体によるポリマー分解、変質を防止する安定剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤、芳香剤、発泡剤等を挙げることができる。
<安定剤>
吸収した液体によるポリマー分解や変質を防止する安定剤としては、排泄物(即ち人尿、糞便)、体液(人血、経血、分泌液等の体液)による高吸水性樹脂の分解、変質を防止する安定剤が挙げられる。特開昭63−118375号公報にはポリマー中に含酸素還元性無機塩及び/又は有機酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−153060号公報には酸化剤を含有させる方法、特開昭63−127754号公報には酸化防止剤を含有させる方法、特開昭63−272349号公報には硫黄含有還元剤を含有させる方法、特開昭63−146964号公報には金属キレート剤を含有させる方法、特開昭63−15266号公報にはラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法、特開平1−275661号公報にはホスフィン酸基又はホスホン酸基含有アミン化合物又はその塩を含有させる方法、特開昭64−29257号公報には多価金属酸化物を含有させる方法、特開平2−255804号公報、特開平3−179008号公報には重合時水溶性連鎖移動剤を共存させる方法等がそれぞれ提案されている。これらはすべて本発明において採用することができる。また、特開平6−306202号公報、特開平7−53884号公報、特開平7−62252号公報、特開平7−113048号公報、特開平7−145326号公報、特開平7−145263号公報、特開平7−228788号公報、特開平7−228790号公報に記載される材料及び方法を使用することもできる。具体的にはシュウ酸チタン酸カリウム、タンニン酸、酸化チタン、ホスフィン酸アミン(又はその塩)、ホスホン酸アミン(又はその塩)、金属キレート等挙げられる。このうち特に人尿、人血、経血に対する安定剤をそれぞれ人尿安定剤、人血安定剤、経血安定剤と呼ぶことがある。
<抗菌剤>
吸収した液による腐敗を防止するためには抗菌剤が用いられる。抗菌剤として例えば、「殺菌・抗菌技術の新展開」17〜80頁(東レリサーチセンター(1994))、「抗菌・抗カビ剤の検査・評価法と製品設計」128〜344頁(エヌ・ティー・エス(1997))、特許第2760814号公報、特開昭39−179114号公報、特開昭56−31425号公報、特開昭57−25813号公報、特開昭59−189854号公報、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開昭63−135501号公報、特開昭63−139556号公報、特開昭63−156540号公報、特開昭64−5546号公報、特開昭64−5547号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−59075号公報、特開平3−103254号公報、特開平3−221141号公報、特開平4−11948号公報、特開平4−92664号公報、特開平4−138165号公報、特開平4−266947号公報、特開平5−9344号公報、特開平5−68694号公報、特開平5−161671号公報、特開平5−179053号公報、特開平5−269164号公報、特開平7−165981号公報に紹介されているものを適宜選択できる。
例えば、抗菌剤としてはアルキルピリジニウム塩、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ピリジオン亜鉛、銀系無機粉体等が挙げられる。四級窒素系の抗菌剤の代表的な例としては、メチルベンズエトニウムクロライド、ベンズアルコニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを挙げることができる。ヘテロ環四級窒素系の抗菌剤としては、ドデシルピリジニウムクロライド、テトラデシルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド及びテトラデシル−4−メチルピリジニウムクロライドを挙げることができる。
他の好ましい抗菌剤として、ビス−ビグアニド類を挙げることができる。これらは、例えば、米国特許第2,684,924号明細書、同2,990,425号明細書、同第2,830,006号明細書及び同第2,863,019号明細書に詳細に記載されている。最も好ましいビス−ビグアニドとしては、1,6−ビス(4−クロロフェニル)ジグアニドヘキサンであり、クロロヘキシジン及びその水溶性塩として知られているものである。特に好ましいのは、クロロヘキシジンの塩酸塩、酢酸塩及びグルコン酸塩である。
他のいくつかのタイプの抗菌剤も有用である。例えば、カルバニリド類、置換フェノール、金属化合物及び界面活性剤の希土類塩を例示することができる。カルバニリドとしては、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(TCC,トリクロカルバン)及び3−(トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド(IRGASAN)が含まれる。置換フェノールとしては、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(IRGASAN DP−300)を挙げることができる。金属化合物としては、黒鉛及びすずの塩、例えば塩化亜鉛、硫化亜鉛及び塩化すずが含まれる。界面活性剤の希土類塩は、欧州特許公開第10819号公報に開示されている。このタイプの希土類塩としては、炭素数10〜18の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩のランタン塩などを例示することができる。
<消臭剤、脱臭剤、芳香剤>
吸収した液の不快な臭気を防止或いは緩和するものとして消臭剤、脱臭剤、芳香剤が用いられる。消臭剤、脱臭剤、芳香剤は例えば「新しい消臭・脱臭剤と技術と展望」(東レリサーチセンター(1994))、特開昭59−105448号公報、特開昭60−158861号公報、特開昭61−181532号公報、特開平1−153748号公報、特開平1−221242号公報、特開平1−265956号公報、特開平2−41155号公報、特開平2−253847号公報、特開平3−103254号公報、特開平5−269164号公報、特開平5−277143号公報に紹介されているものを適宜選択できる。具体的には消臭剤、脱臭剤としては鉄錯体、茶抽出成分、活性炭が挙げられる。芳香剤としては例えば香料系(シトラール、シンナミックアルデヒド、ヘリオトピン、カンファ、ボルニルアセテート)木酢液、パラジクロルベンゼン、界面活性剤、高級アルコール、テルペン系化合物(リモネン、ピネン、カンファ、ボルネオール、ユカリプトール、オイゲノール)が挙げられる。
<発泡剤、発泡助剤>
高吸水性樹脂の吸水性能向上のために多孔化、広表面積化を図るべく、発泡剤、発泡助剤を併用することができる。発泡剤、発泡助剤としては例えば「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社、1989、259〜267頁)に紹介されているものを適宜選択できる。例えば重炭酸ナトリウム、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルフォニル・ヒドラジド等が挙げられる。
これらの添加剤は吸水性樹脂複合体の製造各工程で目的、作用機構に応じ適宜加えられる。例えば発泡剤は高吸水性樹脂の製造工程で添加するのが適当であり、重合工程前ないし重合工程途中で添加するのが好ましい。人尿安定剤、人血安定剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤は、吸水性樹脂複合体の製造工程、本発明の吸水性樹脂複合体組成物の製造工程、吸収性物品の製造工程で添加可能である。もちろん予め繊維に施すことも可能である。また、これらの添加剤は、吸収貯蔵層を構成する吸水性樹脂複合体以外の構成成分中に添加しても良い。
[本発明の吸水性樹脂複合体組成物の製造方法]
1.原料及び製造工程
本発明の組成物は、好ましくは製造された上記複合体Aに対して適宜、別途調製された複合体B及び/又は複合体C及び/又は自由繊維を混合・分散させる方法(後混合法)或いは、複合体Aの重合工程で同時に組成物を得る方法(同時混合法)等により調製することができる。また、必要に応じてその後に圧密法等による処理を加えても良い。
1)後混合法
例えば、上記複合体Aの重合工程で堆積した複合体A或いは上記の開繊され独立した複合体Aと、複合体B、複合体C及び自由繊維のうちの1種又は2種以上とを混合器で混合することにより、これらが任意の組成で混合された本発明の吸水性樹脂複合体組成物を製造することができる。この際、混合機としては粉体同士、粉体と繊維、或いは繊維同士を混合できる固体混合装置を用いることができる。具体的には「化学工学II」(大山義年、岩波全書、1963、229頁)に詳述されている、例えば、円筒型混合機、V型混合機、二重円錐型混合機、正立方体型混合機等の回転型混合機、スクリュー型混合機、リボン型混合機、回転円板型混合機、流動化型混合機等の固定型混合機等が挙げられる。
2)同時混合法
繊維の供給位置を工夫することにより、複合体Aの製造工程で実質的に本発明の吸水性樹脂複合体組成物を得ることができる。即ち、モノマーの重合率が低い段階で繊維と接触させると複合体B含有組成物が得られ、モノマーの重合率が高い段階で接触させると複合体C含有組成物が得られる。
或いはまた、重合進行中の高吸水性樹脂或いは吸水性樹脂複合体中の高吸水性樹脂と実質的に接触しない方法で吸水性樹脂複合体製造時に繊維を供給、混合、分散させることによっても自由繊維を含有する組成物が得られる。
3)圧密法
圧密は、圧力、温度、湿度等の条件を適宜調整しながら行う。例えば、プレス機は、平板プレス機、ロールプレス機等を使用することができる。圧力は、吸水性樹脂粒子が割れない範囲内であれば構わない。吸水性樹脂粒子が割れると、割れた粒子片が繊維から離脱して最終製品である吸収性物品から漏れたり、膨潤時に吸水ゲルが繊維から外れて漏れたり移動したりして、吸収性物品の性能を低下させることとなる。
また、圧密過程で加熱する場合は、使用する繊維の溶融点以下の温度に加熱することができる。溶融点以上で加熱すると、繊維同士が結着してネットワークを形成して、複合体の機能が損なわれる。
圧密過程で加湿する場合は、吸水性樹脂複合体組成物に水を噴霧したり、蒸気として供給することができる。加湿条件により、組成物の密度を向上させ、吸水性樹脂粒子の繊維への固着性を改善することができる。
2.吸水性樹脂複合体組成物の開繊
吸水性樹脂複合体組成物は、構成成分自体が互いに独立しているため、前記の複合体A同様、容易に開繊可能である。開繊には、前記、繊維の説明で述べた開繊方法を同様に適宜用いることができるが、機械的衝撃により高吸水性樹脂が破損しない装置、条件が好ましい。
3.残存モノマー低減化法
本発明の吸水性樹脂複合体組成物の残存モノマー量を低減させるには、前記の吸水性樹脂複合体の製造方法で述べた、残存モノマーが低減化された吸水性樹脂複合体を用いる方法が挙げられるが、組成物に対しても同様にこれらの残存モノマー低減方法を用いることができ、具体的手法や添加濃度等の量関係、その他の条件についても前述と同様である。
[本発明の吸水性樹脂複合体及び吸水性樹脂複合体組成物の用途]
本発明の吸水性樹脂複合体及びその組成物は紙おむつ、生理ナプキンのような衛生材料及び他の吸水性物品のような工業材料に好適である。特に本発明の吸水性樹脂複合体は、特開昭63−267370号公報、特開昭63−10667号公報、特開昭63−295251号公報、特開昭63−270801号公報、特開昭63−294716号公報、特開昭64−64602号公報、特開平1−231940号公報、特開平1−243927号公報、特開平2−30522号公報、特開平2−153731号公報、特開平3−21385号公報、特開平4−133728号公報、特開平11−156188号公報等に提案されているシート状吸水材に利用されている技術を適宜目的に応じて用いることもできる。
以下に実施例、比較例、試験例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の具体例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1(重合活性化剤添加)
アクリル酸100重量部に、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液133.3重量部、蒸留水3.3重量部を加えモノマー濃度50重量%、中和度60モル%の部分中和アクリル酸水溶液を調製した。該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Xを調製した。この溶液Xに対して金属換算で1ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加え、溶液Aとした。
これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL-アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Yを調製した。この溶液Yに対して金属換算で1ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物を重合活性化剤として加え、溶液Bとした。
調製した溶液Aと溶液Bを、図1に示した混合装置を用いて混合した。この混合装置は、モノマー溶液の供給配管21,22に各々5本の噴出ノズル21a,22aが1cm間隔で設けられたものであり、このノズル21a,22aの内径は0.13mmである。ノズル21a,22aから流出する溶液Aと溶液Bとの交差角度θは30°、ノズル先端の距離dは4mmに調節した。溶液A及び溶液Bはそれぞれ液温を40℃に加温して、それぞれ流速5m/秒となるようにポンプで供給した(各20ml/分)。
溶液A及び溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱23を形成した後、液滴24となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下した。反応器の空間容量とモノマー供給量及び液滴の落下速度から見積もられる反応器内の液滴の空間密度は2g/mであった。
一方、ノズルの先端より下方0.8m及び1.6mに設置した供給口より開繊された繊維を空気との混相流(繊維:空気=1:100(重量混合比))で供給した。その際、混相流中の空気の温度は室温であり、線速度は10m/秒であった。また、ノズルの先端より下方0.8m及び1.6mにおける、モノマーの重合率はそれぞれ35%及び55%であった。また、その際の重合率増加率はそれぞれ94%及び90%であった。用いた繊維は、繊維径(平均繊維径)が2.2デシテックス、長さ(平均繊維長さ)が2.5mmで、水の接触角が0°のパルプであった。供給量はそれぞれ11.5g/分であった。反応場の空間容量と繊維供給量及び繊維の落下速度から見積もられる反応場の繊維の空間密度は8g/mであった。
液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成しノズルの先端より下方3mに設置した搬送部分がメッシュベルトであるベルトコンベアー上に堆積物として回収した。ここで回収物の含水率は40重量%であった。回収物を庫内温度を120℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させた後、回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1個の高吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
実施例2(重合活性化剤添加)
繊維としてパルプの代わりに、繊維径が1.7デシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が80°であるポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
実施例3(重合活性化剤添加)
繊維としてパルプの代わりに、繊維径1.7がデシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が50°であるナイロンを用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
実施例4(重合活性化剤添加)
繊維としてパルプの代わりに、繊維径が1.7デシテックス、長さが0.9mmで水の接触角が50°であるナイロンと、同一の繊維径及び長さであり、水の接触角が0°であるレーヨンとの重量比が1:1の繊維混合物を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
実施例5(重合活性化剤添加)
繊維としてパルプの代わりに、繊維径1.7がデシテックス、長さが0.9mmで、水の接触角が108°であるポリ四フッ化エチレン(PTFE)を用いる以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
実施例6(重合活性化剤添加)
ノズルの先端より下方0.8mに設置した繊維供給口のみから23g/分の速度で繊維を供給した以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)と、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子の表面に接着していない吸水性樹脂複合体(複合体B)とからなり、複合体Aと複合体Bとの乾燥重量比は30:70であることが確認できた。
実施例7(重合活性化剤添加)
ノズルの先端より下方1.6mに設置した繊維供給口のみから23g/分の速度で繊維を供給した以外は実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)と、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1本以上の前記繊維は繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着しており、かつ、前記繊維はいずれも前記樹脂粒子内に包埋されていない吸水性樹脂複合体(複合体C)とからなり、複合体Aと複合体Cとの乾燥重量比は20:80であることが確認できた。
実施例8(加湿ホールド)
実施例1でベルトコンベアー上で回収した回収物を恒温恒湿器にて温度85℃、湿度95%条件下の蒸気雰囲気に1時間暴露した。暴露中の製造物中の含水率は36重量%であった。更に庫内温度を120℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させた後、回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1個の高吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。即ち、実施例1で得られた製造物との形態上の差違は見られなかった。
実施例9(水添加)
実施例1でベルトコンベアー上で回収した回収物に、水を噴霧し、回収物中の吸水性樹脂の含水率が67%となるように調整した。その後、水を付与した吸水性樹脂複合体を、庫内温度を120℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させた後、回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1個の高吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。即ち、実施例1で得られた製造物との形態上の差違は見られなかった。
実施例10(Fe噴霧+加湿ホールド)
実施例1でベルトコンベアー上で回収した回収物に吸水性樹脂複合体乾燥重量に対して金属換算で2ppmとなるように塩化鉄(III)・六水和物5ppm水溶液を噴霧し、その後恒温恒湿器にて温度85℃、湿度95%条件下の蒸気雰囲気に1時間暴露した。暴露中の製造物中の含水率は36重量%であった。更に庫内温度を120℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させた後、回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、高吸水性樹脂粒子が略球状であり、1個の高吸水性樹脂粒子と2本以上の繊維を含む吸水性樹脂複合体であって、2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維の一部が前記樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が前記樹脂粒子より露出しており、かつ、前記2本以上の繊維のうちの1本以上は繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。すなわち実施例1で得られた製造物との形態上の差違は見られなかった。
比較例1
実施例1において溶液X及び溶液Yに重合活性化剤として塩化鉄(III)・六水和物を加えないこと以外は全て実施例1と同様に製造し、製造物を得た。この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
比較例2
実施例1において溶液X及び溶液Yに重合活性化剤として塩化鉄(III)・六水和物を加えず、ベルトコンベアー上で生成物を回収し、回収物を恒温恒湿器にて温度85℃、湿度95%条件下の蒸気雰囲気に1時間暴露した。暴露中の製造物中の含水率は36重量%であった。更に庫内温度を120℃に設定した温風乾燥機にて30分乾燥させた後、回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去し、吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、実施例1で得られたものと同様の構造の吸水性樹脂複合体(複合体A)であることが確認できた。
比較例3
特開昭63−63723号公報記載の実施例に準拠して、以下のようにして吸水性樹脂複合体組成物を製造した。
アクリル酸45.0g及び蒸留水1.5gを200mlのビーカーに秤取り、35℃以下の冷却下25重量%の水酸化ナトリウム水溶液60.0gで中和し、部分中和アクリル酸水溶液を得(モノマー濃度50重量%、中和度60モル%)、ここに41.9mgのN,N’−メチレンビスアクリルアミド及びL−アスコルビン酸0.31gを溶解した。ポリエステルシートで完全に上面をシールした300mlのステンレス製ビーカーの上面シートに穴を開けゴム管を通して系内を十分に窒素置換した。前記混合モノマー水溶液を前記ステンレス製ビーカーに注いでからステンレス製ビーカーを50℃の浴温に浸し、攪拌下、30%過酸化水素水0.84gを投入し重合を行った。約1分後に最高温度110℃を示した。以後50℃の温浴に浸した状態で2時間保持した後20℃まで冷却して、含水吸水性樹脂を得た。この含水吸水性樹脂70g(吸水性樹脂35g)と水200g及び実施例1で用いたものと同じ開繊されたパルプ10gとをスクリュー回転式混合機を用いて約2時間混練後、100℃、8時間減圧乾燥機にて乾燥後、回転羽根式粉砕機にて粉砕し、更にふるいにかけ、自由繊維を除去して吸水性樹脂複合体組成物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が吸水性樹脂に包埋されている構造が確認できた。しかしながら繊維が前記樹脂粒子内に包埋されることなく、その繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造は見られなかった。
比較例4
特開平11−93073号公報記載の実施例に準拠して、以下のようにして吸水性樹脂複合体組成物を製造した。
80重量%アクリル酸水溶液125重量部及び30重量%水酸化ナトリウム水溶液133重量部を混合して、中和度72モル%、濃度47重量%の部分中和アクリル酸水溶液を得た。該部分中和アクリル酸水溶液に、架橋剤N,N’―メチレンビスアクリルアミド0.04重量部と、開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3重量部とを、蒸留水13重量部に溶解したものを加え、窒素にて脱気し、モノマー水溶液とした。実施例1のノズルの代わりに一液型スプレーノズルを用い、液温を25℃に保持し、流量40ml/分となるようにポンプで供給した。
モノマー溶液は液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度25℃)を落下した。反応器の空間容量とモノマー供給量及び液滴の落下速度から見積もられる反応器内の液滴の空間密度は3g/mであった。
一方、ノズルの先端より下方0.8mに設置した供給口より開繊された繊維を空気との混相流(繊維:空気=1:100(重量混合比))で供給した。その際、混相流中の空気の温度は25℃であり、線速度は10m/秒であった。また、ノズルの先端より下方0.8mの重合率は1%未満であった。用いた繊維は、繊維径が2.2デシテックス、長さが2.5mmで、水の接触角が0°のパルプであった。供給量は11.5g/分であった。反応場の空間容量と繊維供給量及び繊維の落下速度から見積もられる反応場の繊維の空間密度は8g/mであった。
液滴は気相中で繊維と衝突して吸水性樹脂複合体前駆体を形成し、ノズルの先端より下方3mに設置した搬送部分がメッシュベルトであるベルトコンベアー上に堆積物として回収した。この回収物を80℃のオーブンに入れて付着しているモノマー水溶液の重合を30分間行い、その後140℃で熱風処理をして吸水性樹脂複合体を得た。
この回収物をふるいにかけ、吸水性樹脂と接触しなかった自由繊維を除去しようと試みたが吸水性樹脂が繊維間の接着剤ともなっており、事実上自由繊維はなかった。このようにして吸水性樹脂と繊維とからなる製造物を得た。
この製造物を顕微鏡で観察したところ、繊維の一部が前記樹脂粒子の表面に接着している構造が確認できた。しかしながら繊維の一部が吸水性樹脂に包埋されている構造は見られなかった。
試験例1
上記実施例及び比較例における繊維空間密度、液滴平均径、液滴空間密度、吸水性樹脂複合体の製造に用いた繊維の水接触角、吸水性樹脂複合体製造時の繊維との接触時点でのモノマーの重合率、製造された吸水性樹脂複合体の形態確認、吸水性樹脂複合体を構成する各複合体の乾燥重量比、吸水性樹脂複合体を構成する結合繊維と高吸水性樹脂との乾燥重量比、高吸水性樹脂の吸水能、残存モノマー量、含水率、高吸水性樹脂の平均粒径、及び吸水性樹脂複合体の開繊性を次の方法により調べ、結果を表1〜3に示した。
<繊維空間密度>
繊維が混相流として共に供給される空気の流れにのって、上から下に移動すると仮定することにより繊維の反応場における滞留量を計算し、更にその滞留量を全反応場の体積で割ることで反応場における繊維の空間密度を計算した。
例えば実施例1の場合では、反応場は径0.5m、高さ3mの空円筒であり、反応場における繊維の空間密度は図2のように計算された。
<液滴の平均径>
後述する吸水性樹脂複合体を構成する高吸水性樹脂粒子の平均粒径dp及びモノマー濃度((アクリル酸+アクリル酸ソーダ)濃度)Cから下記式に従い計算した。
液滴径dd=dp/(C1/3
<液滴の空間密度>
液滴が、ノズルからの下向き吐出速度を初速度として、反応場を落下すると仮定することにより、液滴の反応場における滞留量を計算し、更にその滞留量を全反応場の体積で割ることで反応場における液滴の空間密度を計算した。
例えば実施例1の場合では、反応場は径0.5m、高さ3mの空円筒であり、反応場における液滴の空間密度は図3のように計算された。
<繊維の水接触角>
(1)用いた繊維を溶解、分散可能な溶媒を用いて濃度が1〜10重量%の溶液を調製した。
(2)その溶液を薄くシャーレに展開し、室温で、乾燥空気により穏やかに溶媒を蒸発させ、十分乾燥後、薄く展開したフィルム状成型物を得た。
(3)そのフィルム状成型物の空気表面に対する、常温での蒸留水の接触角を求めた。接触角は自動接触角計CA−V型(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。
<繊維との接触位置におけるモノマー重合率>
(1)繊維を導入する位置にメタノールの液面が位置するように約150gのメタノールの入ったビーカーを設置し、重合を開始させた反応混合物の液滴を気相中で形成し、ビーカー中のメタノールへ約1gの重合進行中の液滴が落下するようにした。
(2)メタノール中のモノマー量を液体クロマトグラフィーで測定した。
(3)メタノール中のポリマーを130℃で3時間減圧乾燥した後、重量を測定した。
(4)それぞれの重量から以下の式により重合率を計算した(Mpはポリマー重量、Mmはモノマー重量)。
Figure 2005226042
<形態確認>
(1)吸水性樹脂複合体を走査型電子顕微鏡により20〜20000倍に拡大して観察することにより繊維の一部が該樹脂内部に包埋され、その繊維の一部が該樹脂より露出している構造、或いは繊維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
(2)更にミクロトーム等の精密切削装置により連続的に断面を切削し、その断面を20〜20000倍に拡大して観察することによって、繊維の一部が該樹脂内部に包埋され、その繊維の一部が該樹脂より露出している構造、或いは繊維の該樹脂表面への接着状況を確認した。
<各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比>
(1)約1gの吸水性樹脂複合体を、光学顕微鏡を用い、複合体A、複合体B及び複合体Cに分類した(ここでは、いずれのサンプルについても自由繊維及び結合繊維を持たない吸水性樹脂は見られなかった。)。
(2)各複合体の重量を精密天秤で測定し、各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比を得た。
<吸水性樹脂複合体を構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比>
前項の各吸水性樹脂複合体の乾燥重量比の測定で分類された、各吸水性樹脂複合体について、複合体中の吸水性樹脂を選択的に分解させる薬剤を用いて繊維を単離し、繊維重量を秤量することによって求めた。
具体的には、複合体Aに関して、
(1)前項で得られた複合体Aの重量をWcとした。50mlの密閉ガラス容器にこの吸水性樹脂複合体Aを仕込み、25gの蒸留水に0.03gのL−アスコルビン酸を溶解させた水溶液を加えて膨潤させ、40℃で24時間保持した。
(2)その後、80℃で3時間減圧乾燥した恒量値になった濾紙でガラス容器の内容物を到達真空度10〜25mmHgのアスピレーターで吸引濾別し、濾紙上の繊維を十分水洗し、100℃で5時間乾燥して精秤し、その値をWfとした。
(3)下記式により複合体Aを構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を得た。
結合繊維:吸水性樹脂(乾燥重量比)=Wf:(Wc−Wf)
<高吸水性樹脂の吸水能>
2000mlのビ−カ−に濃度0.9重量%の生理食塩水1,000mlを入れた。250メッシュのナイロン袋(10cmX20cmの大きさ)に吸水性樹脂複合体約1.0g入れて、袋ごと上記生理食塩水中に30分間浸漬した。次いで、ナイロン袋を引き上げ、15分間水切りをした後の重量を測定し、これをW1(g)とした。また、ブランクとして、W1の測定に用いた吸水性樹脂複合体に含まれる繊維の重量と同じ重量の繊維を用意して、その生理食塩水吸収後の重量をW1と同じ方法により測定し、これをW2(g)とした。W1の測定に用いた吸水性樹脂複合体に含まれる高吸水性樹脂の重量を前項と同じ方法で測定し、これをW3(g)とした。下記式に従って高吸水性樹脂の生理食塩水吸水能を算出した。
Figure 2005226042
<残存モノマー量>
回収した吸水性樹脂複合体ないし吸水性樹脂複合体組成物(試料)中に残存するモノマー量は以下の方法で求めた。
(1)約1gの試料を精秤し、250mlの蒸留水中に24時間浸漬し、残存モノマーを水相に抽出した。
(2)この抽出水を孔径0.45μmのセルロースアセテート製のメンブランフィルターで濾過し、濾液を回収した。回収した濾液の中に含まれるモノマー量を、水系のカラムを備えた液体クロマトグラフィーを用いて求め、以下の式に従い残存モノマー量を計算した。
残存モノマー量(ppm)={抽出されたモノマー重量(g)/試料重量(g)}
×1,000,000
<吸水性樹脂複合体の含水率>
吸水性樹脂複合体約7gを用い、赤外線水分計((株)ケット科学研究所製FD−100、乾燥熱源:280W環状セラミック溶射シーズヒーター)により、吸水性樹脂複合体の含水率(湿潤状態基準)を得た。
<高吸水性樹脂粒子の平均粒径>
吸水性樹脂複合体の光学顕微鏡写真を撮影し、複合体を構成する100個の高吸水性樹脂粒子(高吸水性樹脂粒子はいずれも略球状であった。)を任意に選定してそれらの直径を測定し、その個数基準の平均値を平均粒径とした。
<吸水性樹脂複合体の開繊性>
(1) 約5gの吸水性樹脂複合体をアッシュフォード社製の1対のハンドカーダー(22cm×12.5cm)の間にはさみ、手動により5回梳毛した。
(2) 梳毛のしやすさと、梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損状況により以下の様に3段階に評価した。
○:梳毛しやすく、かつ梳毛後の吸水性樹脂粒子にほとんど破損がない。
△:梳毛に抵抗感があり、梳毛すると、梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損がある。
×:梳毛できない程度に抵抗感が強いか、或いは梳毛に強い抵抗感があり、梳毛する
と、梳毛後の吸水性樹脂粒子の破損が著しい。
試験例2
上記実施例及び比較例で製造した吸水性樹脂複合体に、各吸水性樹脂複合体製造時に用いたものと同じ自由繊維を所定量加え、高吸水性樹脂と繊維(結合繊維+自由繊維)の乾燥重量比が20:80となるよう吸水性樹脂複合体組成物を調製した。
即ち、前述の吸水性樹脂複合体の重量比及び、吸水性樹脂複合体を構成する結合繊維と吸水性樹脂の乾燥重量比を用い、高吸水性樹脂目付量及び繊維(結合繊維+自由繊維)と高吸水性樹脂の乾燥重量比が所定の値となるように吸水性樹脂複合体及び自由繊維を混合し、本発明の吸水性樹脂複合体組成物を得た。
例えば複合体A、B及びCの乾燥重量比がそれぞれa、b、c(a+b+c=1)、各複合体を形成する結合繊維の乾燥重量比率がα、β、γである吸水性樹脂複合体x[g/m]と自由繊維y[g/m]から、高吸水性樹脂目付量がP[g/m]、繊維と高吸水性樹脂の乾燥重量比がF[w/w]である吸水性樹脂複合体組成物(吸収貯蔵層)を作製するとき、
Figure 2005226042
の関係が成立し、a、b、c、α、β、γ
及び P、F が与えられれば、x、yは計算することが出来る。
得られた吸水性樹脂複合体組成物を、ステンレス板上に目付量300g/m、40cm×10cmとなるよう均一に敷き詰め、更にその上にステンレス板を重ね、両側から0.6MPaの荷重をかけ、20分間放置後、圧力を開放して高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を得た。得られた高密度化された吸水性樹脂複合体組成物に関し、厚み、剛軟性、復元率、嵩密度を測定し、結果を表1〜3に示した。
<厚み>
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を5cm×5cmに切り出し、JIS l−1096に準拠して、図4に示す方法で厚みを測定した。
(1)レオメーター(FUDOH社製品、型番:NRM−2003J)に直径30mmのアダプター31を取り付けてサンプル台32が2cm/minの速度で上昇し、0.2psiの圧力がかかった時点で停止するようにセットした。
(2)サンプル(高密度化された吸水性樹脂複合体組成物)33を測定台にセットしてサンプル台32を上昇させて0.2psiの圧力になって停止した位置でのアダプター31の上面からサンプル台32の下面までの距離tをノギスを用いて測定した。
(3)サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
(4)サンプルをサンプル台32に乗せずにブランク測定も同時に行った。
(5)厚みは下記式から求めた。
厚み(mm)=サンプル測定値(mm)−ブランク測定値(mm)
<嵩密度>
高密度された吸水性樹脂複合体組成物を5cm×5cmに切り出し、その重量を測定し、下記式から嵩密度を求めた。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
Figure 2005226042
<剛軟性>
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を2cm×25cmに切り出し、温度25℃、湿度50℃に一昼夜保管後、図5に示すJIS L−1096の比較的柔らかい織物に使用されるハートループ法を用いて剛軟性を測定した。
(1)図5に示される水平棒のつかみ41にサンプル片42をハートループ状に取り付け、サンプル片42の有効長が20cmとなるようにした。
(2)1分間経過してから水平棒の頂部とループの最下点との距離L(cm)を測定した。ここではLを剛軟性と定義した。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
<復元率>
高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を5cm×5cmに切り出し、10MPaの圧力を10分間かけて圧縮した後、圧力を開放し、得られた圧密された吸収体を上記厚み測定法に基き、圧縮直後及び圧力開放状態で温度25℃、湿度50℃条件下30日間保管した後の厚みを測定し、下記式によって算出した。サンプルは5枚測定し、その平均値を求めた。
Figure 2005226042
試験例3
試験例2において、高密度化された吸水性樹脂複合体組成物を用いて下記の手順で吸水性物品である、おむつを作製した。
図6に示す如く、水不透過性ポリエチレンシート(目付量18g/m)11上に、ティッシュ(目付量14g/m)12、高密度化された吸水性樹脂複合体組成物(吸水性樹脂が300g/mとなる量かつ10cm×40cmの大きさ)13、拡散層であるポリエステル繊維製不織布(目付量40g/m)14、ティッシュ(目付量14g/m)15、及び水透過性ポリエステル繊維製不織布(目付量23g/m)16の順に重ね、両側からステンレス板で挟み0.6MPaの圧をかけ、20分間放置し、密着した。その後、圧力を開放し、吸水性物品の4辺を熱圧着し、圧着部分の外端を切り出し、約10cm×約40cmの吸水性物品1を得た。
得られた吸収性物品について、以下の項目の評価を行い、結果を表1〜3に示した。
なお、吸収性物品の評価に用いた人工尿は、以下の組成で調製したものである。
<人工尿組成>
尿素 1.94重量%
塩化ナトリウム 0.80重量%
塩化カルシウム 0.06重量%
硫酸マグネシウム 0.11重量%
蒸留水 97.09重量%
<吸収速度及び放水量>
吸収性物品を10cm×40cmに切り出し、人工尿を用い、吸収速度及び放出量を図7に示す方法で以下の手順で測定した。
1)平面平滑台51上にサンプル(吸収性物品)52を置き、中央に内径40mmの上方が開放された円筒53が取付けられており、かつ円筒53で囲まれた部分に、直径5mmの7箇の貫通孔54がほぼ等間隔となるように設けられているアクリル板55(100×100×10mm、全重量150g)を置いた。
2)更にこれに直径100mmで中央部に直径45mmの孔56Aのある金属製円板56(1250g)を円筒53に挿通して載せた。円筒53に人工尿を25ml入れ、これが吸収されるまでの時間をストップウオッチで測定し、これを吸収速度(秒)とした。
3)10分後に円板56及び円筒付きアクリル板55を取り除き、濾紙(東洋濾紙社製品「ADVANTEC No.424」100×100mm)を20枚重ねたものを、サンプル52の上でアクリル板55があった位置と同じ位置に載せ、更に濾紙上に底面積(10cm×10cm)の4kgの荷重を載せた。5分後に荷重を取り除き、濾紙の重量を測定して濾紙に吸収された人工尿量を測定して放水量(g)とした。
4)上記1)〜3)の操作を更に2回反復し、平均値を求めた。
<高吸水性樹脂脱落率>
(1)吸収性物品を10cm×10cmの大きさに切り出し(4辺とも開放)、重量を測定した。吸水性物品の構成から、全高吸水性樹脂量を求めた。図8に示す如く、JISZ8801で規定された標準網篩(内枠の寸法が、内径150mm、深さ45mm、20メッシュ)61に切り出した吸収性物品60の四角をテープ62で中央に固定した。
(2)このようにして、図9に示す(株)東京篠原製作所製品、型番SS−S−228型ロータップ型震とう機(JIS Z8815)65において、最上段にのみ吸収性物品を固定した。
(3)衝動数:165回/分、回転数:290回/分にセットし、振とう60分後に吸収性物品から離脱する吸水性樹脂複合体の重量を測定し、吸水性樹脂複合体中の高吸水性樹脂の重合割合から脱落した高吸水性樹脂量を求め、下記式から脱落率を求めた。
Figure 2005226042
<ゲル脱落率>
吸水性物品をこするように作用する力が反復して加わったときの、吸水性物品の吸水ゲルの脱落率を以下の手順で測定した。
(1)前記図7に示す如く、面平滑台51上にサンプル(吸水性物品)52を置き、中央に内径40mmの上方が開放された円筒53が取付けられており、かつ円筒53で囲まれた部分に、直径5mmの7箇の貫通孔54がほぼ等間隔となるように設けられているアクリル板55(100×100×10mm、全重量150g)を置いた。なお、円板56は用いなかった。
(2)人工尿150mlを円筒53内に入れ、吸水性物品に吸水させた。
(3)完全吸水後30分間室温下放置して、図10に示すように吸水性物品70の中心71から5cmずつのところ72を切り取り、切り取った部分(サンプル73)の重量を測定した。
(4)測定後、図11に示す如く、このサンプル73を20cm×20cmのアクリル板74の中心に載せ、切り取ったサンプルと同じ大きさの底面積(10cm×10cm)の荷重(3Kg)75を形状に合わせてはみ出さないように載せた。
(5)一体サンプルを振とう機(井内盛栄堂社製品、型番「MS−1」)の移動方向に対してサンプルの切り口が垂直になるようにセットし、振幅50mm、振動数80回/分で、30分間振とうさせた。
(6)振とう後荷重を取り除き、サンプルから脱落した吸水ゲルの重量を測定し、下記式を用いてゲル脱落率を計算した。
Figure 2005226042
Figure 2005226042
Figure 2005226042
Figure 2005226042
実施例及び比較例で吸水性樹脂複合体の製造に用いた混合装置を示す斜視図である。 吸水性樹脂複合体の製造における繊維の空間速度の計算例を示す図である。 吸水性樹脂複合体の製造における液滴の空間速度の計算例を示す図である。 厚み測定具を示す断面図である。 ハートループ法による剛軟性を測定する治具を示す概略図であり、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。 試験例3で製造した吸収性物品を示す断面図である。 吸収速度と放水量の測定具を示す断面図である。 高吸水性樹脂脱落率の測定方法を示す概略図である。 ロータップ型震とう機を示す概略図である。 ゲル脱落率測定におけるサンプルの切断線を示す平面図である。 ゲル脱落率測定における振とう時の状態を示す断面図である。
符号の説明
1 吸収性物品
11 水不透過性ポリエチレンシート
12 ティッシュ
13 高密度化された吸水性樹脂複合体組成物
14 ポリエステル繊維製不織布
15 ティッシュ
16 水透過性ポリエステル繊維製不織布
21,22 配管
21a,22a ノズル
23 液柱
24 液滴
31 アダプター
32 サンプル台
33 サンプル
41 つかみ
42 サンプル
52 サンプル
53 円筒
55 アクリル板
56 円板
60 吸収性物品
61 網篩
65 ロータップ型震とう機
70 吸収性物品
73 サンプル
74 アクリル板
75 荷重

Claims (14)

  1. 繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体において、残存モノマー含有量が2000ppm以下であることを特徴とする吸水性樹脂複合体。
  2. 残存モノマー含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂複合体。
  3. 該吸水性樹脂複合体を構成する高吸水性樹脂粒子が略球状であり、
    該吸水性樹脂複合体は、
    一部が該樹脂粒子内に包埋されるとともに一部が該樹脂粒子より露出している繊維と、
    該樹脂粒子内に包埋されることなく、一部が該樹脂粒子の表面に接着している繊維と
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水性樹脂複合体。
  4. 前記吸水性樹脂複合体を構成する繊維のうちの少なくとも一部が、水との接触角が90°以下の繊維であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂複合体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂複合体を含むことを特徴とする吸水性樹脂複合体組成物。
  6. 残存モノマー含有量が2000ppm以下であることを特徴とする請求項5に記載の吸水性樹脂複合体組成物。
  7. 残存モノマー含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項6に記載の吸水性樹脂複合体組成物。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項に記載の吸水性樹脂複合体組成物を含むことを特徴とする吸収性物品。
  9. 重合性モノマー及び/又は重合中の該モノマーを含有する液滴と、繊維とを気相中で接触させ、更に該重合性モノマーの重合を進行させることにより、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造する方法において、
    該重合性モノマーの重合を重合活性化剤の存在下、ラジカル重合により進行させることを特徴とする吸水性樹脂複合体の製造方法。
  10. 重合性モノマー及び/又は重合中の該モノマーを含有する液滴と、繊維とを気相中で接触させ、更に該重合性モノマーの重合を進行させることにより、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造する方法において、
    該重合性モノマーの重合をラジカル重合により進行させ、重合終了後に、生成物を重合活性化剤の存在下、相対湿度80%以上の条件下で保持することを特徴とする吸水性樹脂複合体の製造方法。
  11. 重合性モノマー及び/又は重合中の該モノマーを含有する液滴と、繊維とを気相中で接触させ、更に該重合性モノマーの重合を進行させることにより、繊維が複合化された高吸水性樹脂粒子よりなる吸水性樹脂複合体を製造する方法において、
    該重合性モノマーの重合をラジカル重合により進行させ、重合終了後に、生成物に重合活性化剤の存在下、水を付与することを特徴とする吸水性樹脂複合体の製造方法。
  12. 重合活性化剤の存在下に重合を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の吸水性樹脂複合体の製造方法。
  13. 重合後の生成物に重合活性化剤を添加することを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の吸水性樹脂複合体の製造方法。
  14. 残存モノマー濃度2000ppm以下の吸水性樹脂複合体を製造することを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1項に記載の吸水性樹脂複合体の製造方法。
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