JP2005195490A - レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 受信アレーアンテナの素子数を減少させながら、グレーティングローブを抑圧することができるレーダ装置を得る。
【解決手段】 ビーム幅がLtである送信アンテナと、素子間隔がdである複数の受信素子を有しビーム幅がLr(ただしLr>Lt)である受信アンテナとを備えるレーダ装置において、1つの受信パターンの主ビーム17とグレーティングローブ18が、同時に送信パターンの主ビーム16の中に発生しないように素子間隔dを決定する。
【選択図】 図3
【解決手段】 ビーム幅がLtである送信アンテナと、素子間隔がdである複数の受信素子を有しビーム幅がLr(ただしLr>Lt)である受信アンテナとを備えるレーダ装置において、1つの受信パターンの主ビーム17とグレーティングローブ18が、同時に送信パターンの主ビーム16の中に発生しないように素子間隔dを決定する。
【選択図】 図3
Description
この発明は、アレーアンテナを用いたレーダ装置に係るものであり、特にアレー素子の配列を決定し素子数を削減する技術に関する。
レーダの方位方向の分解能を向上するためには、開口の大きなアレーアンテナ等が必要である。加えて、グレーティングローブの発生を防ぐために素子アンテナを半波長間隔で配置する必要があるので、アレーアンテナの開口径が大きくなると、そのアレーアンテナを構成する素子アンテナの数が増大するという結果を招いていた。このような問題を回避する従来の技術としては、送信用アレーアンテナと受信用アレーアンテナを個別に備えて、素子アンテナの数を削減すると同時にグレーティングローブの発生を抑圧する方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、まず送信用アレーアンテナと受信用アレーアンテナの素子間隔を半波長よりも広げることで素子数を削減する。そして、送信用アレーアンテナと受信用アレーアンテナとを、それぞれの素子間隔が異なるように配置することで、送信のアンテナパターン(以下、送信パターン)に生じるグレーティングローブと受信のアンテナパターン(以下、受信パターン)に生じるグレーティングローブの間隔が一致しないようにし、送受信全体としてのパターン(以下、送受信パターン)に生じるグレーティングローブを抑圧する。さらに、送信パターンと受信パターンを同期させて走査することによって、領域を走査して観測するというものである。
上述の方法においては、送受信パターンのグレーティングローブを十分に低く抑えるために素子アンテナの配置が制約されるという問題がある。このことにより、送信アレーアンテナの素子間隔と受信アレーアンテナの素子間隔とがこの制約を満たさない場合に、送信パターンのグレーティングローブが受信パターンのサイドローブの方向に一致することとなり、その結果送受信パターンにも比較的高いグレーティングローブが生じてしまう。
またこの方法では、観測範囲が重複しないようにかつ隙間なく広い領域を観測しようとすると、送受信パターンの角度分解能に相当する角度刻みで走査する必要があり、そのために観測時間を要するという問題があった。
この発明はかかる問題の解決を目的とするものである。すなわち、比較的小さい開口径を有する送信アンテナを用いて送信パターンの主ビームを太くするとともに、ディジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)によって送信パターンの主ビーム内に受信マルチビームを形成することで、1パルスの送受信によって観測できる領域を広げつつ、同時に走査時間を短縮することを可能にするレーダ装置を得ることを目的とする。
この発明によれば、素子間隔を大きくとることで受信素子の個数を少なくすることができるにもかかわらず、同時にグレーティングローブを抑圧しうるレーダ装置が得られる。
以下、この発明の一実施の形態を図を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、送信器1は基準となるパルス信号を生成する素子又は回路である。ここで生成されるパルス信号の波長をλと表す。送信アンテナ2は、送信器1が生成した基準パルス信号を照射する開口長をLtとするアンテナである。この結果、送信アンテナ2の主ビームのnull to nullの幅Δθt[rad]は式(1)で与えられる。
なお、送信アンテナ2は、電子的あるいは機械的に送信パターンの主ビームの中心方向θcを走査するようになっている。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、送信器1は基準となるパルス信号を生成する素子又は回路である。ここで生成されるパルス信号の波長をλと表す。送信アンテナ2は、送信器1が生成した基準パルス信号を照射する開口長をLtとするアンテナである。この結果、送信アンテナ2の主ビームのnull to nullの幅Δθt[rad]は式(1)で与えられる。
受信アレーアンテナ3は、素子間隔をdとするN個のアレー素子4−1〜4−Nを備えたアレーアンテナであって、その開口長をLrとする。図2は、送信アンテナ2と受信アレーアンテナ3のそれぞれの開口長とそのアレー素子4−1〜4−Nの素子間隔との関係を示す図である。ここで、素子数はNであるから、受信アレーアンテナ6の開口長Lrと素子間隔dは次式の関係を満たす。
このアレー素子4−1〜4−Nは1次元の等間隔リニアアレーを構成するものであって、送信アンテナ2が照射し、目標物に反射して返ってきた電波を検知するようになっている。したがって、受信アレーアンテナ3の主ビーム幅Δθr[rad]は、式(2)で与えられる。
このとき、受信アレーアンテナ3のアンテナパターンに発生するグレーティングローブの間隔θg[rad]は、式(4)を満たす。したがって、素子間隔dが波長λより十分に大きい場合において、θgは式(5)より計算される。
さらに、受信アレーアンテナ3の素子アレー4−1〜4−Nは、1つの受信パターンの主ビームとグレーティングローブが、同時に送信パターンの主ビームの中に発生しないように配置される。そうすることで、送信パターンの主ビーム幅に含まれないグレーティングローブを選別することが可能となり、グレーティングローブを抑圧できるようになる。
図3は、このようなビーム幅とビーム方向の関係を説明するための図である。図において、符号16が指し示すのは送信アンテナ2の主ビームであって、その主ビーム幅はΔθtである。また送信パターン16の主ビームの方向はθcである。また符号17はアレー素子4−1〜4−Nのいずれかの主ビームの受信パターンであり、これらの受信パターンのビーム幅は前述のとおりΔθrとなる。またここでは、受信パターンの主ビームの方向をθmaxとしている。これらの受信パターンは、後述する各素子アンテナの受信信号を合成してビームを形成する処理(DBF: Digital Beam Forming)において形成されたマルチビームである。符号18が指し示すのは主ビーム17に対応するグレーティングローブであり、グレーティングローブ18と主ビーム17との間隔は前述のとおりθgとなる。
そうすると、送信パターンの主ビーム16の中に受信パターンの主ビーム17とグレーティングローブ18とが同時に発生しないようにするためには、θmaxが
を満たす必要があることが、図3より理解される。式(6)の右辺のθg、Δθr、Δθtに式(1)、式(3)、式(5)の関係を代入すると、式(7)が得られる。
前述のとおり、θmaxは受信パターンの主ビーム17の方向であるから、式(7)は受信パターンの主ビーム17がとりうる方向を規定する条件ということになる。ここではこのθmaxを有効ビーム幅、と呼ぶこととする。すなわち有効ビーム幅とは、ある送信パターンの主ビーム幅Δθtのうち受信パターンの主ビーム17がとりうる方向を表す量である。式(7)によって、有効ビーム幅を大きくする、すなわち受信パターンの覆域を拡大するためには、送信アンテナ2の開口長、受信アンテナ3の開口長、アレー素子4−1〜4−Nの素子間隔をどのようにすればよいかを決定できるのである。
またシステムの要求から送信アンテナ2、受信アレーアンテナ3の開口長が決定され、またθmaxが与えられている場合は、式(7)を満たすようにdを決定することで、グレーティングローブの抑圧と同時に、素子間隔を大きくし、結果として素子数を削減することも可能となる。
なお、θmaxの方向には十分な電力の送信波が送信されている必要がある。例えば送信の4dBビーム幅内の方向には十分な電力が送信されているとみなすと、θmaxは式(8)の条件を満たすことが望ましい。
このようにすることで、有効ビーム幅内において安定的に送信波を受信することができるのである。ただし、4dBは例示であり、また十分な電力の大きさはSNR(Signal to Noise Power Ratio)などの条件によって変化するので、このことは必須ではない。
引き続き、図1に示したこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を説明することとすると、アレー素子4−1〜4−nのそれぞれには、対応する受信器5−1〜5−nが接続されており、それぞれのアレー素子で検知した電波を増幅して受信信号として出力する。受信器5−1〜5−nのそれぞれには、対応するA/D変換器6−1〜6−nが接続されており、各受信信号を個別にディジタル信号に変換するようになっている。
記憶手段7はディジタル信号に変換された受信信号を一時的に蓄える記憶素子又は回路あるいは記憶媒体である。レンジ圧縮手段8はディジタル受信信号に対してパルス圧縮処理を行い、レンジ分解能の向上した信号(レンジプロフィール)を得る部位である。なお、この説明および以降の説明において、部位という語は所定の機能を果たすように構成された素子又は回路を意味するものとするが、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させて該当する機能を実現するように構成してもよい。ビーム合成手段9は、レンジ圧縮手段8によって得られたレンジプロフィールからグレーティングローブを抑圧したビームを合成する部位である。
次に、この発明の実施の形態1によるレーダ装置におけるビーム形成処理について説明する。まずグレーティングローブ抑圧処理の前提となる送受信処理について簡単に説明しておくと、送信器1が生成した基準パルス信号は送信アンテナ2によって外部目標に照射されて反射され、受信アレーアンテナ3に到来する。受信アレーアンテナ3のアレー素子4−1〜4−Nはそれぞれ到来波を受信し、その受信信号について対応する受信器5−1〜5−Nが受信信号を増幅し、A/D変換器6−1〜Nがディジタル受信信号に変換する。その後、ディジタル受信信号は一時的に記憶手段7に記憶される。レンジ圧縮手段8は、N個のアレー素子4−1〜4−Nが出力し、記憶手段7に記憶されているディジタル受信信号に対してパルス圧縮処理を行い、レンジ分解能の向上した信号(レンジプロフィール)を得る。ここでレンジビン数をMとし、nをN以下の自然数、mをM以下の自然数として、レンジ圧縮手段8が出力するレンジプロフィールをXn,mとする。
次に、ビーム合成手段9は、例えば高速フーリエ変換などの方法によって受信マルチビームを形成する。いま、ビーム合成手段9が形成する受信マルチビームの数をKとし、ビーム合成手段9によって形成されるk番目の受信ビームの受信パターンの主ビームの向きをθkとする。そうすると、ビーム合成手段9は、k番目の受信ビームについてのm番目のレンジビンのレンジプロフィールYk,mを式(9)に基づいて算出し、出力信号として出力する。
一方、受信アレーアンテナ3の有効ビーム幅はθmaxであるから、一回のパルス送受信において、受信アレーアンテナ3が受信する角度範囲はθmax以内になければならない。そこで、一回のパルス送受信において形成される受信パターンの主ビームの中心の向きθkは、式(10)を満たすことになる。
さらに、式(9)で求めたレンジプロフィールYk,mの角度分解能はΔθrであるので、複数の受信パターンの主ビームを用いて送信パターンの主ビームの中心方向θcから±θmaxの範囲を重複や隙間なく分割するためには、形成する受信パターンのうち、隣り合う2つの主ビームの中心間の距離を、式(11)のように設定することが望ましい。つまり、ある受信パターンの第1のnull点が、この受信パターンに隣接する受信パターンの主ビームのビーム中心方向に一致するようにするのである。
このようにすることで、一回のパルスの送受信により±θmaxの範囲を角度分解能Δθrで観測することができるようになる。ただしこのことは必須ではない。
また、送信パターンの主ビームの中心方向を走査しながら、複数回パルスを送受信することによって、さらに広い範囲の領域を観測することができる。このとき、観測範囲の重複や隙間のないように送信パターンを走査するためには、2×θmaxの角度刻みで走査するようにすればよいことが分かる。従来の技術によれば、観測範囲の重複や隙間を排除するには、送受信パターンの角度分解能に相当する角度刻みで走査する必要があったので、このような技術と比較すると走査時間が短縮できるのである。
以上から明らかなようにこの発明の実施の形態1のレーダ装置によれば、式(7)を満たすように素子間隔dを決定することができ、この結果素子数を削減しつつグレーティングローブを抑圧するという極めて有利な効果を奏するのである。
なお、これまでの説明において、受信アレーアンテナ3は1次元の等間隔リニアアレーとして構成したが、ここで説明した方法を2次元アレーや不等間隔アレーに適用することが容易なことはいうまでもない。
さらに、送信アンテナ2のアンテナ方式に制限はなく、フェーズドアレーアンテナや、開口面アンテナなどいずれのアンテナ方式であっても構わない。
実施の形態2.
実施の形態1では、素子間隔を大きくして素子数を削減したにもかかわらず、グレーティングローブを抑圧しうるレーダ装置について説明した。実施の形態1では、グレーティングローブを抑圧する方法として、受信パターンの主ビームが送信パターンの主ビームに含まれるか否かで選別するという方法を用いることとしていた。しかしこの他にも、例えばこのような配置の送受信アンテナを用いて複数パルスの送受信を行い、ここから得られた受信信号をコヒーレントに積分するようにしてもよい。この発明の実施の形態2によるレーダ装置はかかる特徴を有するものである。
実施の形態1では、素子間隔を大きくして素子数を削減したにもかかわらず、グレーティングローブを抑圧しうるレーダ装置について説明した。実施の形態1では、グレーティングローブを抑圧する方法として、受信パターンの主ビームが送信パターンの主ビームに含まれるか否かで選別するという方法を用いることとしていた。しかしこの他にも、例えばこのような配置の送受信アンテナを用いて複数パルスの送受信を行い、ここから得られた受信信号をコヒーレントに積分するようにしてもよい。この発明の実施の形態2によるレーダ装置はかかる特徴を有するものである。
図4は、この発明の実施の形態2によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、コヒーレント積分手段20は形成された受信ビームをコヒーレントに積分する部位である。その他、図1と同一の符号を付した構成要素については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
続いて、この発明の実施の形態2によるレーダ装置の動作について説明する。この発明の実施の形態2によるレーダ装置においても、実施の形態1と同様に送信器1からビーム合成手段9までは作用し、その結果ビーム合成手段9は、形成するK個の受信ビームにおけるk番目の受信ビームについてのm番目のレンジビンのレンジプロフィールYk,mを出力信号として出力する。
そしてコヒーレント積分手段20は、複数回のパルス送受信の結果として得られるレンジプロフィールをコヒーレントに積分する。ここで複数のパルスのうち、p回目のパルスに対してビーム合成手段9が出力したレンジプロフィールをYk,m(p)とする。まず説明を簡単にするために、送信パターンの主ビームの中心方向θcを走査させず、固定しているものとする。この場合、コヒーレント積分手段20は式(12)に基づいてレンジプロフィールをコヒーレントに積分し、その結果<Yk,m>を得る。
このようにすることで、雑音成分のレンジプロフィールに対応する<Yk,m>は大きくならない一方で、信号成分のレンジフィールに対応する<Yk,m>は大きな値となるので、信号対雑音電力比を向上させることとなるのである。
続いて、送信パターンを走査する場合のコヒーレント積分手段20の処理を説明する。図5は複数回の送信パルスとそれぞれの送信パルスに対する受信ビームを表した図である。図において符号21はp番目のパルス送信時の送信パターンを示しており、符号22はp+1番目のパルス送信時の送信パターンを示している。また符号23〜29は、ビーム合成手段15によって形成された受信パターンである。送信パターン21の内部は受信パターン23〜27によって分割されている。受信パターン23〜27が存在する領域は送信パターン主ビームの方向θcを中心とする±θmaxの領域である。
また、送信パターン22も受信パターン25〜29によって分割されている。そうすると、図5の例では送信パターン21と送信パターン22とが受信パターン25〜27を共有することとなり、受信パターン25〜27については送信パターンが走査されていてもコヒーレントに積分することができることが分かる。
ここで、送信パターンは角速度ωで走査しており、さらにパルスを繰返し周期Tpriで送信するものとすると、ある方向θkについて積分できる回数は、式(13)から算出できる。
なお、式(13)において[]は[と]の間の式の値を超えない最大の整数である。コヒーレント積分手段20は、同一の方向について式(13)に基づいて得られた回数分のレンジプロフィールを式(12)に基づいて積分して<Yk,m>を求めるのである。
以上から明らかなように、この発明の実施の形態2のレーダ装置によれば、ビーム合成によって得られたレンジプロフィールをさらにコヒーレントに積分するので、信号対雑音電力比が向上するのである。
なお、同じ領域を複数回走査することによってパルス積分回数を増加したり、送信パターンの走査角速度を変化させて、必要な方向により多くのパルスを送信し積分回数を増やすようにしてもよい。
実施の形態3.
実施の形態2のレーダ装置は、コヒーレントに積分することで信号対雑音電力比を向上するものであった。しかしこのレーダ装置は送信パターンの走査を考慮したものではあったものの、移動体に搭載された場合を考慮していなかった。そこで、次に移動体に搭載された場合に、コヒーレントに積分する方法について説明する。
実施の形態2のレーダ装置は、コヒーレントに積分することで信号対雑音電力比を向上するものであった。しかしこのレーダ装置は送信パターンの走査を考慮したものではあったものの、移動体に搭載された場合を考慮していなかった。そこで、次に移動体に搭載された場合に、コヒーレントに積分する方法について説明する。
図6は、この発明の実施の形態3によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図のレーダ装置は、移動体に搭載されていることを前提としている。図において、動き補償手段30はレンジプロフィールをシフトして、同じ目標を含む異なるレンジビン同士を関連づける部位である。また慣性航法手段31は、複数のパルスを送信する間のこのレーダ装置を搭載した移動体の位置の変位に関する情報を出力する部位である。慣性航法手段31は、例えばGPS(Global Positioning System)のような方法で位置情報を取得してもよいし、ジャイロや速度計を組み合わせて自律的に位置の時間的変化を取得するような方式を採用して構成してもよい。なおその他、図4と同一の符号を付した構成要素については、実施の形態2と同様であるので説明を省略する。ただし、実施の形態2においては、コヒーレント積分手段20はビーム合成手段9が出力するレンジプロフィールを直接入力することとしていたが、この発明の実施の形態3によるレーダ装置では、コヒーレント積分手段20は、動き補償手段30が動き補償を行ったレンジプロフィールを入力する構成となっている。
次に、この発明の実施の形態3によるレーダ装置の動作について図を用いて説明する。この発明の実施の形態3によるレーダ装置においても、実施の形態2と同様に送信器1からビーム合成手段9までは作用し、その結果ビーム合成手段9は、形成するK個の受信ビームにおけるk番目の受信ビームについてのm番目のレンジビンのレンジプロフィールYk,mを出力信号として出力する。いま、送受信した複数回のパルスのうちのp回目のパルスに対してビーム合成手段9が出力したレンジプロフィールをYk,m(p)とする。
続いて動き補償手段30は、慣性航法手段31から得られる位置情報に基づいて、目標に反射されたパルスの受信信号の時刻tにおける位相を求める。図7は、動き補償手段30が受信パルスの位相を算出する方法を説明するための図である。図において、符号32〜34が指し示すのは、移動体に搭載された送信アンテナ2及び受信アレーアンテナ3の各時刻における位置である。図に示すように、送信アンテナ2及び受信アレーアンテナ3は速度vで直線運動しているものとする。また地点32から地点34に移動する間に時間Tが経過するものとする。そうすると、地点32と地点34の距離はv×Tとなる。また地点33は地点32と地点34との中間点であるものとし、ここでは地点33をx−y座標系の原点Oにとり、送信アンテナ2及び受信アレーアンテナ3の移動する方向をy軸の正方向とする。さらにy軸の正方向とアジマス方向に角度θをなす位置に目標35が存在しており、原点Oと目標35の距離をR0とする。なお以後の説明では、角度θをスクイント角と呼ぶこととする。
続いて動き補償手段30は、受信したP個の受信パルスYk,m(p)のレンジプロフィールをパルス送信繰返し周期TPRIだけシフトして、目標35を含むレンジビンが同じレンジビン番号mとなるように調整する。そしてレンジビンを揃えたレンジプロフィールをY'k,m(p)として、レンジとスクイント角に基づく位相補償を行う。
ところで、式(17)と式(19)はスクイント方向のSAR(Synthetic Aperture Rader、合成開口レーダ)を表すものである。そこで、式(19)によるコヒーレント積分後のアジマス分解能Δθdは式(20)で算出されることが知られている。
ただし式(20)において分解能を4dB幅で定義した。一般に知られているように、SARの処理によって進行方向正面付近における方位方向の分解能は向上しない。このことは、式(20)においてθ=0とすると右辺が発散することからも確かめられる。つまり観測領域全体にわたって式(20)の分解能が達成されるわけではない。結局、全体としての方位方向の分解能は、受信アレーアンテナ3の開口長Lrによって決まる分解能Δθrと、式(20)の分解能Δθdのうちの分解能の高い方によって求められる。すなわち、min{A,B}をAとBのいずれか小さい方とすれば、分解能Δθは、式(21)で与えられる。
一方、スクイント角θが大きい領域では、式(19)のコヒーレント積分の結果得られる方位方向の角度分解能は、受信パターンの主ビームの太さで決まる角度分解能よりも高くなる場合がある。このことから、式(18)を満たすようにθjを決定する場合には、θjをθkよりも細かく刻んで決定することが望ましいことが分かる。
また式(19)のコヒーレント積分においては、スクイント角がθj方向の信号についてのみ値が増大し、受信パターンに発生するグレーティングローブの方向の信号は積分しても増大しない。このため、相対的にグレーティングローブを抑圧することができるのである。
以上から明らかなように、この発明の実施の形態3のレーダ装置によれば、移動体に搭載された場合であっても、移動によって生じるレンジのシフトと位相の変化を補償してコヒーレント積分するので、方位方向に対して分解能を向上させるとともに、グレーティングローブの抑圧を達成することができるのである。
なお、以上の説明においては、受信アレーアンテナ3の開口面が移動体の進行方向を向いている場合について説明したが、他の方向を向いている場合であっても式(15)を調整して計算すれば容易に適用できることはいうまでもない。
この発明は、特にアレーアンテナを用いたレーダ装置に適用することができる。
1 送信器、
2 送信アンテナ、
3 受信アレーアンテナ、
4−1〜4−N 受信アンテナ、
5−1〜5−N 受信器、
6−1〜6−N A/D変換器、
7 記憶手段、
8 レンジ圧縮手段、
9 ビーム合成手段、
20 コヒーレント積分手段、
30 動き補償手段、
31 慣性航法手段。
2 送信アンテナ、
3 受信アレーアンテナ、
4−1〜4−N 受信アンテナ、
5−1〜5−N 受信器、
6−1〜6−N A/D変換器、
7 記憶手段、
8 レンジ圧縮手段、
9 ビーム合成手段、
20 コヒーレント積分手段、
30 動き補償手段、
31 慣性航法手段。
Claims (5)
- 前記受信アンテナが受信した受信波を受信信号を出力する受信器と、
前記受信器が出力した受信信号に基づいてビーム合成を行いレンジプロフィールを出力するビーム合成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。 - 前記受信器は、前記受信アンテナが受信した複数のパルスに対する受信信号を出力し、
前記ビーム合成手段は、前記複数のパルスに対する受信信号に基づいて、それらのパルス毎にレンジプロフィールを出力し、
これらのレンジプロフィールをコヒーレントに積分するコヒーレント積分手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。 - 前記送信アンテナ及び受信アンテナは、移動プラットフォームに搭載され、
この移動プラットフォームの移動に伴って、前記ビーム合成手段が出力するレンジプロフィールのレンジビンの移動と位相変化とを補償する動き補償手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーダ装置。
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