以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る基板処理方法は、例えば、図12に示される基板処理装置100又は図13に示される基板処理装置200を用いて行うことができる。
これら基板処理装置100、200は、基板に対し各種処理(後述)を施すための処理ユニット(後述)を必要に応じて選択的に備えることが可能となっている。
これら基板処理装置100、200に備えられる処理ユニットの候補は、例えば、図14に示すように、簡易露光処理ユニット17、加熱処理ユニット18、温度調整処理ユニット19、現像処理ユニット20、薬液処理ユニット21及びアッシング処理ユニット22の6種類である。
図14に示す処理ユニットのうち、簡易露光処理ユニット17は、基板上に形成された有機膜パターンに対し露光処理を施すためのユニットであり、基板の所望範囲(基板全面又は一部;例えば、基板面積の1/10以上の範囲)に含まれる有機膜パターンに対する露光が可能に構成されている。簡易露光処理ユニット17による露光は、基板の所望範囲に対する一括した露光であっても良いし、或いは、基板の所望範囲内で露光スポットを走査させることにより該範囲内を隈無く露光させるのであっても良い。簡易露光処理ユニット17にて露光に使用する光は、紫外線光(UV光)、蛍光、自然光或いはその他の光である。
加熱処理ユニット18は、基板に対し加熱処理(ベーキング)を施すためのものであり、その加熱温度は、例えば、80℃乃至180℃、或いは、50℃乃至150℃の範囲で調節することが可能となっている。加熱処理ユニット18は、例えば、基板を略水平状態に保持するステージと、このステージが内部に配されたチャンバーと、を備える。基板を加熱する時間は任意の時間を設定することができる。
温度調整処理ユニット19は、基板の温度制御を行うためのものであり、その調温範囲は、例えば、10℃乃至50℃、或いは、10℃乃至80℃となっている。この温度調整処理ユニット19は、例えば、基板を略水平状態に保持するステージと、このステージが内部に配されたチャンバーと、を備える。
薬液処理ユニット21は、基板に対し薬液処理を行うためのものである。
この薬液処理ユニット21は、例えば、図15に示すように、薬液を蓄える薬液タンク301と、内部に基板500が配されるチャンバー302と、を備えている。チャンバー302は、薬液タンク301より圧送される薬液を基板500上に供給するための可動ノズル303と、基板500を略水平状態で保持するステージ304と、該チャンバー302内より廃液及び排気を排出するための排出口305と、を備えている。
このような薬液処理ユニット21においては、薬液タンク301内に窒素ガスを圧送することにより、該薬液タンク301内の薬液を可動ノズル303を介して基板500上に供給することができる。なお、可動ノズル303は、例えば、水平方向に可動となっている。また、ステージ304は、例えば、その板状の本体部より起立する複数のピンにより基板500を下面側から点支持するように構成されている。
或いは、薬液処理ユニット21は、薬液を蒸気化して基板上に供給可能なドライ式のものであっても良い。
なお、薬液処理ユニット21で用いる薬液(薬液タンク301内に蓄えられる薬液)は、例えば、酸、有機溶剤、アルカリのうちの少なくとも何れか1つを含むものである。
現像処理ユニット20は、基板に対し現像処理を行うためのものであり、例えば、薬液処理ユニット21の薬液タンク301内に蓄える薬液を現像液とし、それ以外は薬液処理ユニット21と同様に構成することもできる。
アッシング処理ユニット22は、プラズマ放電処理(酸素、又は、酸素及びフッ素の雰囲気中で行う)、紫外線光などの波長の短い光エネルギーを用いた処理、及び、その光エネルギー或いは熱を用いたオゾン処理のうちの何れか、或いはその他の処理により、基板上の有機膜パターンのエッチングを行うユニットである。
また、図12に示すように、基板処理装置100は、基板(例えば、LCD基板或いは半導体ウェハ)を収納するためのカセットL1が載置されるカセットステーション1と、カセットL1と同様のカセットL2が載置されるカセットステーション2と、各種処理ユニットU1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8及びU9が配置される処理ユニット配置区域3、4、5、6、7、8、9、10及び11と、各カセットステーション1,2及び各処理ユニットU1乃至U9の相互間での基板搬送を行う基板搬送ロボット(基板搬送機構)12と、この基板搬送ロボット12による基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9で実行される処理とを各種の基板処理方法に応じて適宜に制御する制御機構24と、を備えている。
カセットL1、L2のうち、例えば、カセットL1は、基板処理装置100による処理前の基板の収納に用いられ、カセットL2は、基板処理装置100による処理完了後の基板の収納に用いられる。
また、各種処理ユニット配置区域3乃至11に設置される各種処理ユニットU1乃至U9としては、図14に示す6種類の処理ユニットのうちの何れか1つずつを、用途プロセスに応じて選択可能となっている。
なお、用途プロセスにて必要とされる処理の種類或いは処理能力に応じては、選択される処理ユニットの数量も適宜に調節可能である。従って、処理ユニット配置区域3乃至11には、処理ユニット17乃至22の何れも選択・設置されない区域が含まれていても良い。
また、制御機構24は、各種用途プロセスに応じたプログラムを選択的に実行することにより、基板搬送ロボット12及び各処理ユニットU1乃至U9の動作制御を行う。
すなわち、制御機構24は、各種用途プロセスに応じた処理順序のデータに基づいて基板搬送ロボット12による基板搬送順序を制御し、各カセットステーション1、2及び各処理ユニットU1乃至U9からの基板取り出しや、それらへの基板収納、載置等を所定の順序通りに行わせる。
また、制御機構24は、各種用途プロセスに応じた処理条件データに基づいて各処理ユニットU1乃至U9による処理の実行制御を行う。
なお、図12に示す基板処理装置100は、該基板処理装置100が備える各処理ユニットによる処理順序を、用途に応じて変更可能に構成されている。
他方、図13に示す基板処理装置200は、該基板処理装置200が備える各処理ユニットによる処理順序が固定的となっている。
図13に示すように、基板処理装置200は、カセットL1が載置されるカセットステーション13と、カセットL2が載置されるカセットステーション16と、各種処理ユニットU1、U2、U3、U4、U5、U6及びU7が配置される各種処理ユニット配置区域3、4、5、6、7、8及び9と、カセットステーション13のカセットL1から処理ユニット配置区域3の処理ユニットU1へ基板を搬送する基板搬送ロボット14と、処理ユニット配置区域9の処理ユニットU7からカセットステーション16のカセットL2へ基板を搬送するための基板搬送ロボット15と、これら基板搬送ロボット14、15による基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9間での基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9で実行される処理とを各種の基板処理方法に応じて適宜に制御する制御機構24と、を備えている。
基板処理装置200では、各処理ユニットによる処理順序が固定的であり、上流側の処理ユニットから順に(図13の矢印A方向に)連続処理するように構成されている。
基板処理装置200も、各種処理ユニット配置区域3乃至9に設置される各種処理ユニットU1乃至U7として、図14に示す6種類の処理ユニットのうちの何れか1つずつを、用途プロセスに応じて選択可能となっている。また、用途プロセスにて必要とされる処理の種類或いは処理能力に応じては、選択される処理ユニットの数量も適宜に調節可能であり、処理ユニット配置区域3乃至9には、処理ユニット17乃至22の何れも選択・設置されない区域が含まれていても良い。
このように、本発明の実施形態に係る基板処理方法に用いて好適な基板処理装置100、200は、基板上に形成された有機膜パターンを加工する有機膜パターン加工処理を施すために、基板搬送機構(基板搬送ロボット)とカセット設置部(カセットステーション)の他に、上記6種類の処理ユニットのうちの適宜に選択された処理ユニットを一体的に備えて構成されている。
なお、基板処理装置100、200に設置する処理ユニットの数量をそれぞれ9個、7個とした例を図12、図13に示しているが、それらの数量は、用途プロセスの種類や処理能力、コストの観点により適宜に増減させた構成としても良い。
また、例えば、カセットL1及びL2の2つのカセットを用いる例を説明したが、必要な処理能力、コストの観点により、カセットの数量は適宜に増減させた構成としても良い。
また、基板処理装置100,200に備えられる処理ユニットとしては、上記の6種類の処理ユニットの他にも、例えば、微細パターン露光を伴う露光処理ユニット、エッチング(ドライ、又はウェット)処理ユニット、レジスト塗布ユニット、および密着強化処理(密着強化剤処理等)、表面洗浄(ドライ洗浄:UV光、プラズマ使用等、ウェット洗浄:洗浄液使用等)処理ユニット等を追加することも可能であり、更に全体的な処理を効率的に行うことも可能である。
エッチング処理ユニットを備える場合、例えば、有機膜パターンをマスクとして下地膜(例えば基板上層部)のパターン加工(下地膜加工処理)を行うことができる。
ここで、エッチング処理ユニットは、薬液処理ユニット21で用いる薬液として、下地膜のパターン加工が可能な薬液(すなわち酸を含むエッチング液、またはアルカリを含むエッチング液)を用いることにより、薬液処理ユニット21で代用できる。
また、処理の均一化の目的のために、基板処理装置100、200は同一の処理ユニットを複数個備えるものとし、複数個備えられた同一の処理ユニットにより、それぞれ基板に同一の処理を施すこと、すなわち、同一の処理を流れ作業により複数回繰り返し行うことも好ましい。
更に、複数個備えられた同一の処理ユニットによる処理を、それぞれ基板の向きをその板面内において互いに異ならせて(例えば、反対向きにして)行うことも好ましい。この場合、基板処理装置100、200は、複数個備えられた同一の処理ユニットによる処理を、それぞれ基板の向きをその板面内において互いに異ならせて行う機能を有することが好ましく、このように構成することにより、基板の向きの変更を作業者の手に頼らずに自動的に行うことができる。
或いは、同一の処理ユニットは1つだけ備える場合に、その一の処理ユニットによる処理を、基板の向きをその板面内において互いに異ならせて複数回に分けて行うことも好ましい。この場合、少なくとも、相互に反対向きの複数方向にて、それぞれ基板に処理を行うことが、より好ましい。これらの場合、基板処理装置100、200は、少なくとも何れか1つの処理ユニットによる処理を、基板の向きをその板面内において互いに異ならせて複数回に分けて行う機能を有することが好ましい。
或いは、一の処理ユニットによる処理には、基板の板面において一方向への処理と、それとは異なる方向(例えば、反対方向)への処理と、が含まれることも好ましい。この場合、基板処理装置は、少なくとも何れか1つの処理ユニットによる処理として、基板の板面において一方向への処理と、それとは異なる方向への処理と、を行う機能を有することが好ましい。
次に、好適な実施形態の例(具体的な基板処理方法の例)について説明する。
なお、本実施形態に係る各基板処理方法は、基板上の有機膜パターンが主として感光性有機膜である場合に適用される方法であり、最初に、加熱処理により基板を加熱し、次いで、前処理によって有機膜パターン表面のダメージ層(変質層又は堆積層)を除去した後で、本処理によって有機膜パターンの少なくとも一部を縮小するか又は有機膜パターンの一部を除去する。なお、前処理は省略される場合もある(第5の実施形態参照)。
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
第1の実施形態に係る基板処理方法では、最初に、加熱処理により基板を加熱し、次いで、有機膜パターン表面の変質層又は堆積層を除去した後で、該有機膜パターンに対して現像処理(例えば、2回目の現像処理)を行うことにより、この有機膜パターンの少なくとも一部を縮小するか又は有機膜パターンの一部を除去する。
なお、基板上に当初の有機膜パターンを形成する処理は、例えば、従来技術と同様に、例えば、フォトリソグラフィ法により行うことができる。
すなわち、基板上に有機膜を塗布した後、図1に示すように、露光処理(ステップS01)と現像処理(ステップS02)とプリベークとしての加熱処理(ステップS03)とをこの順に行うことにより、基板上に当初の有機膜パターンを形成する。
ただし、基板上に当初の有機膜パターンを形成する処理は、フォトリソグラフィ法に限らず、例えば、印刷法により行うこととしても良い。この場合、有機膜パターン表面の変質層又は堆積層を除去した後で行う現像処理(ステップS12)は、例えば1回目の現像処理となる。
また、図1に示すように、例えば、基板上に形成された当初の有機膜パターンをマスクとして該有機膜パターンの下地膜すなわち基板の上層部をエッチング処理(ステップS04:下地膜加工)する点も、従来技術と同様である。
第1の実施形態に係る基板処理方法では、エッチング処理(ステップS04)に続いて、以下の処理を行う。
すなわち、図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理方法では、最初に、基板を加熱する加熱処理(ステップS00)を実施し、次いで、前処理としての薬液処理(ステップS11)を行った後で、本処理として、現像処理(ステップS12)及び加熱(温度調整)処理(ステップS13)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
加熱処理(ステップS00)は、この加熱処理の以前の工程において有機膜パターンに加えられた各種処理(例えば、露光、現像処理、ウェットまたはドライエッチングなど)により、有機膜パターンの内部又は下部に染み込んだ液体(例えば、水分、酸またはアルカリ溶液)を除去し、或いは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力が低下している場合に該密着力を回復させるために実施される。
加熱処理(ステップS00)を行うことにより、有機膜パターンの感光性その他の特性を初期状態に近いものとすることができるので、再加工、すなわち、再度の現像処理(ステップS12)その他の処理により、感光性や有機膜の当初の性質等を回復することができる。このため、有機膜パターンの加工または再加工を行うことが容易になる。
加熱処理(ステップS00)は50乃至150℃の温度で行われる。但し、その後の再度の現像処理(ステップS12)を考慮した場合、感光機能を維持できる140℃以下、特に、100乃至130℃の温度で加熱処理(ステップS00)を行うことが好ましい。
加熱処理(ステップS00)を行う時間は60乃至300秒間の範囲内において任意に設定される。
ステップS00の加熱処理は、所定の加熱温度(例えば、100℃乃至130℃)に保たれた加熱処理ユニット18のステージ上に基板を載置して所定時間(例えば、60秒乃至120秒)保持することにより行われる。
前処理として行う薬液処理(ステップS11)は、有機膜パターンの表面(表層部)の変質層或いは有機膜パターン表面上の堆積層の除去を目的とした薬液(酸性溶液、アルカリ性溶液、有機溶剤溶液等)処理であり、薬液処理ユニット21を用いて行われる。
ステップS11の薬液処理では、有機膜パターン表面上或いは表層部のダメージ層(変質層或いは堆積層)のみを選択的に除去できるように、処理時間を設定し、あるいは、使用薬液を選択することが好ましい。
つまり、ステップS11の薬液処理では、有機膜パターンの表層部に変質層が存在する場合で有機膜パターン表面上に堆積層が存在しない場合には変質層を、有機膜パターンの表層部に変質層が存在し且つ有機膜パターン表面上に堆積層が存在する場合には変質層及び堆積層を、有機膜パターン表面上に堆積層が存在する場合で有機膜パターンの表層部に変質層が存在しない場合には堆積層を、それぞれ選択的に除去する。
そして、このように変質層及び/又は堆積層を除去する結果として、変質していない有機膜パターンを露出及び残存させたり、堆積層に覆われていた有機膜パターンを露出及び残存させたりすることができる。
ここで、前処理により除去すべき変質層は、有機膜パターンの表層部が、時間放置劣化、熱酸化、熱硬化、デポジション層(堆積層)の付着、酸系エッチング液の使用(ウェットエッチング液処理)、アッシング処理(O2アッシングなど)、その他ドライエッチングガスの使用(ドライエッチング処理)を要因として変質し、生成されるものが想定される。すなわち、これらの要因により、有機膜パターンは物理的、化学的ダメージを受けて変質化するのであるが、その変質化の程度や特性は、ウェットエッチング処理における使用薬液の種類、ドライエッチング処理の一種であるプラズマ処理における等方性・異方性の差、有機膜パターン上における堆積物の有無、ドライエッチング処理における使用ガスの種類など、各種の生成要因に応じて大きく異なるため、変質層の除去のし易さにも違いが生じる。
また、前処理により除去すべき堆積層としては、ドライエッチング処理に伴い堆積した堆積層が想定される。この堆積層の特性も、ドライエッチング処理の一種であるプラズマ処理における等方性・異方性の差、ドライエッチング処理における使用ガスの種類などの生成要因に応じて大きく異なるため、堆積層の除去のし易さにも違いが生じる。
よって、薬液処理の時間の長さや、薬液処理で用いる薬液の種類は、変質層又は堆積層の除去し易さに応じて適宜に設定或いは選択する必要がある。
薬液処理で用いられる薬液としては、例えば、アルカリ性の薬品を含有した薬液、酸性の薬品を含有した薬液、有機溶剤を含有した薬品、有機溶剤とアミン系の材料とを含有した薬液、アルカリ性の薬品とアミン系の材料とを含有した薬液の何れかが用いられる。
ここで、アルカリ性の薬品は、例えば、アミン系の材料と水とを含有してなるものであることが挙げられ、有機溶剤は、例えば、アミン系の材料を含有してなるものであることが挙げられる。
更に、薬液処理で用いられる薬液は、防食剤を含有したものであることが好ましい。
アミン系の材料の具体例としては、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどが挙げられる。つまり、薬液は、アミン系の材料を含有する場合、これらの材料のうちの何れか1種を含有していても良いし、何れか複数種を含有していても良い。
なお、薬液は、アミン系の材料を含有する場合、アミン系の材料を0.01wt%から10wt%(0.01重量%以上10重量%以下)の範囲で含有する水溶液であることが挙げられる。薬液におけるアミン系の材料の濃度は、0.05重量%以上3重量%以下であることも好ましい。或いは、薬液におけるアミン系の材料の濃度は、0.05重量%以上1.5重量%以下であることも好ましい。
前処理としての薬液処理(ステップS11)は、後の現像処理(ステップS12)において有機膜パターンに現像機能液を浸透し易くさせ、該現像処理の質及び効率を向上させる効果を奏する。
次に、ステップS12の現像処理は、基板上の有機膜パターンの少なくとも一部を縮小するか又は有機膜パターンの一部を除去することを目的とした処理であり、現像処理ユニット20を用いて行われる。
この現像処理ユニット20では、有機膜パターンの現像機能をもつ薬液(現像機能液)を用いて基板上の有機膜パターンに対して現像処理を行う。
現像機能液としては、例えば、主成分としてのTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を0.1wt%から10.0wt%の範囲で含有するアルカリ水溶液、又は、NaOH(水酸化ナトリウム)やCaOH(水酸化カルシウム)などの無機アルカリ水溶液がある。
ステップS13の加熱処理では、所定の加熱温度(例えば、80℃乃至180℃)に保たれた加熱処理ユニット18のステージ上に基板を載置して所定時間(例えば、3分乃至5分)保持する。この加熱処理(ステップS13)を行うことにより、先の現像処理(ステップS12)にて基板上に供給した現像機能液を有機パターン内により深く浸透させることができ、現像による有機膜パターンの縮小又は除去をより進行させることができる。
なお、本実施形態及び後述する実施形態において、現像処理(ステップS12)及び薬液処理(ステップS11)では、その最後の工程として、処理液を洗い流すための水洗処理が実施される。
また、この加熱処理(ステップS13)を行うことにより、有機膜パターンの先の現像処理(ステップS12)の最後に行う水洗処理において有機膜パターンの内部または下部に染み込んだ水分、アルカリ溶液等の除去と、有機膜パターンと下地膜や基板との間の密着力の回復とを実現することができる。すなわち、加熱処理(ステップS13)は有機膜パターンのポストベークとしての意義を有している。
ステップS13の加熱処理の後は、常温付近への温度調整処理を行うことが好ましい。
ここで、以上の処理において、現像処理(ステップS12)及び加熱処理(ステップS13)により、基板上の有機膜パターンの少なくとも一部を縮小するか又は有機膜パターンの一部を除去する本処理が構成されている。
ここで、有機膜パターンの少なくとも一部の縮小とは、有機膜パターンの面積は変化させずに体積のみを縮小させる(つまり有機膜パターンの少なくとも一部を薄くさせる)ことや、或いは有機膜パターンの面積を縮小させることである。また、有機膜パターンの一部を除去することは、有機膜パターンの面積の縮小を伴う。
本実施形態の場合の本処理は、より具体的には、例えば、以下に列挙する何れかの目的で行う。
(1)有機膜パターンの面積を縮小させることにより、有機膜パターンを新たなパターン形状に加工する目的。
(2)有機膜パターンの少なくとも何れか1つの一部を除去して有機膜パターンの少なくとも何れか1つを複数部分に分離させることにより、有機膜パターンを新たなパターン形状に加工する目的。
(3)上記(1)及び(2)の処理の前及び後で、それぞれ有機膜パターンをマスクとして下地膜をエッチングすることにより、ステップS12の現像処理の前に基板に対して行うエッチング処理(ステップS04のエッチング処理)にてエッチングされる範囲と、ステップS12の現像処理(及びステップS13の加熱処理)の後で基板に対して行うエッチング処理にてエッチングされる範囲とを相互に異ならせる目的。
(4)上記(3)の処理を行うことにより、有機膜パターンの下地膜(例えば基板の上層部)をテーパー状(上側ほど細くなるようなテーパー状)又は階段状に加工する目的。
なお、有機膜パターンの下地膜を階段状に加工する処理は、特許文献1と同様に、ステップS12の現像処理後の有機膜パターンをマスクとし、下地膜(例えば導電膜)を半分程度エッチングすることにより行うことができる。この処理を行うことにより、下地膜の断面形状を階段状にし、断面が垂直化したり、逆テーパーになったりすることを防ぐことができる。
(5)有機膜パターンの下地膜(基板の上層部)が複数層に成膜された膜である場合に、上記(3)の処理を行うことにより、その複数層の下地膜のうちの何れか2つ以上の層を相互に異なるパターン形状にエッチング加工する目的。
(6)上記(1)及び(2)の目的のより具体的な他の例としては、有機膜パターンが絶縁性の場合に、ステップS12の現像処理の前に基板に対して行うエッチング処理(ステップS04のエッチング処理)を行った後、該有機膜パターンを回路パターンの絶縁膜となるように変形させる(基板上に形成された回路パターンのみを覆う絶縁膜となるように有機膜パターンを縮小させる)目的が挙げられる。
(7)当初の有機膜パターンが少なくとも2段階以上の膜厚に形成されている場合に、該2段階以上の膜厚の部分における薄膜部のみを選択的に除去することにより、上記(1)或いは(2)の処理、ひいては、上記(3)乃至(6)の処理を行う目的。
(8)有機膜パターンの少なくとも一部を縮小(薄膜化)する目的。この処理を行うことにより、有機膜パターンの少なくとも一部を除去しやすくすることができる。
なお、(8)の処理は、下地膜に達するまで行うことにより、有機膜パターンの少なくとも一部を除去することができる。
(9)当初の有機膜パターンが少なくとも2段階以上の膜厚に形成されている場合に、該2段階以上の膜厚の部分における薄膜部のみを選択的に薄膜化することにより、該薄膜部を除去しやすくする目的。
なお、(9)の処理は、下地膜に達するまで行うことにより、実質的に上記(7)の処理と同様の処理となる。
次に、図9を参照して、上記(7)の具体的な例について説明する。
図9は、当初の有機膜パターンが少なくとも2段階以上の膜厚に形成されている場合に、該2段階以上の膜厚の部分における薄膜部のみを選択的に除去する処理を行う場合の一連の工程図を示す。
図9(a−2)、図9(b−2)、図9(c−2)及び図9(d−2)はそれぞれ平面図、図9(a−1)は図9(a−2)の断面図、図9(b−1)は図9(b−2)の断面図、図9(c−1)は図9(c−2)の断面図、図9(d−1)は図9(d−2)の断面図である。
図9(a−1)及び図9(a−2)に示すように、例えば、絶縁基板(基板)601上には所定形状のゲート電極602が形成され、このゲート電極602を覆うように絶縁基板601上にゲート絶縁膜603が形成され、更に、ゲート絶縁膜603上には、アモルファスシリコン層604、N+アモルファスシリコン層605及びソース・ドレイン層606がこの順に積層されている。
次に、図9(b−1)及び図9(b−2)に示すように、ソース・ドレイン層606上に当初の有機膜パターン607を所定のパターン形状となるよう形成した(ステップS01乃至S03)後、有機膜パターン607をマスクとしてソース・ドレイン層606、N+アモルファスシリコン層605及びアモルファスシリコン層604をエッチング(ステップS04)する。これにより、有機膜パターン607が形成されていない領域のみ、ゲート絶縁膜603を露出させる。
ここで、当初の有機膜パターン607は、該有機膜パターン607において、例えば、ゲート絶縁膜603上を覆う一部のみが薄膜部607aとなるように形成する。このような2段階の膜厚、すなわち、膜厚差を有する有機膜パターン607は、薄膜部607aとする部分とそれ以外の部分とで露光量を相互に異ならせることにより、形成することができる。
次に、本実施形態に係る基板処理方法における加熱処理(ステップS00)を実施し、基板601及びその上に積層された層構造物を加熱する。
次に、前処理(ステップS11の薬液処理)及び本処理(ステップS12の現像処理及びステップS13の加熱処理)を行う。ここで、当初の有機膜パターン607を形成する際の露光の履歴は、その後も残留する。このため、この本処理(現像処理及び加熱処理)により、有機膜パターン607における薄膜部のみが選択的に除去され、図9(c−1)及び図9(c−2)に示す状態となる。つまり、当初の有機膜パターン607が複数部分に分割(例えば2分割)される。
次に、本処理(現像処理及び加熱処理)後の有機膜パターン607をマスクとしてソース・ドレイン層606及びN+アモルファスシリコン層605をエッチングし、アモルファスシリコン層604を露出させた後、有機膜パターン607を除去する。
このように、当初の有機膜パターン607が2段階の膜厚に形成されている場合に、該2段階以上の膜厚の部分における薄膜部のみを選択的に除去することにより、有機膜パターン607を新たなパターン形状に加工することができる。より具体的には、有機膜パターン607を複数部分(例えば図9(c−2)に示すように2つの部分)に分離させることにより、有機膜パターン607を新たなパターン形状に加工することができる。
更に、有機膜パターン607の下地膜が複数層からなる場合に、有機膜パターン607の加工処理(ステップS11、S12、S13)の前及び後で、それぞれ有機膜パターン607をマスクとして下地膜をエッチングするので、有機膜パターン607の加工処理の前に基板に対して行うエッチング処理(ステップS04のエッチング処理)にてエッチングされる範囲と、有機膜パターン607の加工処理の後で基板に対して行うエッチング処理にてエッチングされる範囲とを相互に異ならせることができ、複数層の下地膜のうちの第1の層(例えばアモルファスシリコン層604)と第2の層(例えばソース・ドレイン層606及びN+アモルファスシリコン層605)とを相互に異なるパターン形状にエッチング加工することができる。
次に、このような第1の実施形態の場合に用いられる基板処理装置の具体例について説明する。
第1の実施形態の場合に用いられる基板処理装置は、例えば、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、薬液処理ユニット21及び現像処理ユニット20を備える基板処理装置100又は200である。
基板処理装置100の場合には、薬液処理ユニット21、現像処理ユニット20及び加熱処理ユニット18の配置は任意である。なお、加熱処理ユニット18は加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調整)処理(ステップS13)の双方においてそれぞれ用いられることになる。
他方、基板処理装置200の場合には、第一番目の加熱処理ユニット18、薬液処理ユニット21、現像処理ユニット20及び第二番目の加熱処理ユニット18が、この順に、図13の矢印A方向において配置されている必要がある。なお、基板処理装置200の場合に各処理ユニットを処理順に配置する必要があるのは、以下に説明する各基板処理方法においても同様である。
また、ステップS13の加熱処理は省略することも可能であり、該加熱処理を省略する場合、第二番目の加熱処理ユニット18は不要となる。以下、図2乃至図8の各図において、ステップS13と同様に括弧書きとなっているステップは、同様に省略可能であることを意味する。従って、括弧書きとなっているステップに対応する処理ユニットを省略可能であることは、以下に説明する各基板処理方法においても同様である。
なお、基板処理装置100の場合には、同一の処理を複数回行うような基板処理方法(例えば、加熱(温度調整)処理(ステップS13)を2回行うような基板処理方法)の場合にも、その処理用の処理ユニットは1つで良いが、基板処理装置200の場合には、同一の処理を複数回行うには、その回数分の同一処理ユニットが必要である。すなわち、基板処理装置200の場合、例えば、加熱(温度調整)処理(ステップS13)を2回行うには、加熱処理ユニット18が2つ必要である。このことは、以下に説明する各基板処理方法においても同様である。
以上のような第1の実施形態によれば、加熱処理(ステップS00)により、有機膜パターンの内部又は下部に染み込んだ液体(例えば、水分、酸またはアルカリ溶液)が除去され、或いは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力が低下している場合に該密着力が回復する。このため、有機膜パターンの感光性その他の特性を初期状態に近いものとすることができるので、再加工、すなわち、再度の現像処理(ステップS12)その他の処理により、感光性や有機膜の当初の性質等を回復することができる。このため、有機膜パターンの加工または再加工を行うことが容易になる。
さらに、第1の実施形態によれば、有機膜パターンの表面に形成された変質層・堆積層を除去する前処理を行った後で、有機膜パターンの少なくとも一部を縮小するか又は有機膜パターンの一部を除去する本処理を行うでの、該本処理をスムーズに行うことができる。すなわち、本処理を構成する現像処理における現像機能液の有機膜パターンへの浸透を容易にさせ、該現像処理の効果を均一化させることができる。
〔第2の実施形態〕
図2は第2の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、第2の実施形態に係る基板処理方法では、最初に、基板を加熱する加熱処理(ステップS00)を実施し、次いで、前処理としてのアッシング処理(ステップS21)を行った後で、本処理として、現像処理(ステップS12)及び加熱(温度調整)処理(ステップS13)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
すなわち、第2の実施形態に係る基板処理方法は、前処理をアッシング処理(ステップS21)により行う点でのみ上記の第1の実施形態に係る基板処理方法と異なり、その他の点では第1の実施形態に係る基板処理方法と同様である。
本実施形態の場合、基板上の有機膜パターンに対してステップS21のアッシング処理を施すことにより、有機膜パターンの表面(表層部)の変質層の除去、又は、有機膜パターン表面上の堆積層の除去を行う。
このアッシング処理は、アッシング処理ユニット22を用いて行われる処理であり、プラズマ放電処理(酸素、又は、酸素及びフッ素の雰囲気中で行う)、紫外線光などの波長の短い光エネルギーを用いた処理、及び、その光エネルギー或いは熱を用いたオゾン処理のうちの何れか、或いはその他の処理により、基板上の有機膜パターンをエッチングする処理である。
ステップS21のアッシング処理では、有機膜パターンの表層部の変質層のみ、又は、有機膜パターン表面上の堆積層のみを、選択的に除去できるように、その処理時間を設定し、あるいは、処理の種類を選択することが好ましい。
そして、このように変質層又は堆積層を除去する結果として、上記の第1の実施形態の場合と同様に、変質していない有機膜パターンを露出及び残存させたり、堆積層に覆われていた有機膜パターンを露出及び残存させたりすることができる。
このように、前処理としてのアッシング処理(ステップS21)を行うことにより、後の現像処理(ステップS12)において有機膜パターンに現像機能液を浸透し易くさせ、該現像処理の質及び効率を向上させる効果を奏する。
以後の処理については、上記の第1の実施形態におけるのと同様であるため、説明を省略する。
以上のような第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、前処理をアッシング処理により行うので、変質層・堆積層が強固であり、現像処理では除去困難な場合にも、好適にこれら変質層・堆積層を除去することができる。
〔第3の実施形態〕
図3は第3の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、第3の実施形態に係る基板処理方法では、最初に、基板を加熱する加熱処理(ステップS00)を実施し、次いで、前処理として、アッシング処理(ステップS21)及び薬液処理(ステップS11)をこの順に行った後で、本処理として、現像処理(ステップS12)及び加熱(温度調整)処理(ステップS13)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
すなわち、第3の実施形態に係る基板処理方法は、前処理をアッシング処理(ステップS21)及び薬液処理(ステップS11)の組み合わせにより行う点でのみ上記の第1の実施形態に係る基板処理方法と異なり、その他の点では第1の実施形態に係る基板処理方法と同様である。
本実施形態の場合、第1の実施形態のように前処理の全てをウェット処理である薬液処理(ステップS11)により行うのではなく、例えば、薬液処理(ステップS11)の前にアッシング処理(ステップS21)を行うことによって変質層・堆積層の中でも特に表層部を除去した後、薬液処理(ステップS11)により残りの変質層・堆積層を除去するようにしている。
以上のような第3の実施形態によれば、上記の第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
また、薬液処理(ステップS11)のみでは除去できないような強固な変質層又は堆積層が存在する場合にも、薬液処理(ステップS11)の前のアッシング処理(ステップS21)により、その変質層又は堆積層を容易に除去することができる。
また、前処理でアッシング処理(ステップS21)を行うが、このアッシング処理(ステップS21)は、有機膜パターン表面の変質層又は堆積層の中でも特に表層部のみの除去に利用するのに留めているため、第2の実施形態の場合と比べて、その処理時間を短縮でき、該アッシング処理による下地膜へのダメージを低減することができる。
また、第3の実施形態の薬液処理(ステップS11)で用いる薬液としては、第1の実施形態の薬液処理(ステップS11)で用いる薬液と比べて、有機膜パターンの浸食度の少ないものを適用したり、第3の実施形態の薬液処理(ステップS11)の処理時間を第1の実施形態の薬液処理(ステップS11)よりも短縮したりすることができる。
なお、第3の実施形態においては、加熱処理(ステップS00)をアッシング処理(ステップS21)の直前に行っているが、加熱処理(ステップS00)を実施する順序はこれには限定されない。
例えば、図4に示すように、加熱処理(ステップS00)をアッシング処理(ステップS21)と薬液処理(ステップS11)との間で実施することも可能である。この順序によっても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔第4の実施形態〕
図5乃至図7は第4の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
なお、図5乃至図7においては、基板上に当初の有機膜パターンを形成する処理(ステップS01乃至S03)と、当初の有機膜パターンとして下地膜をエッチングする処理(ステップS04)とを省略している。
図5乃至図7に示すように、第4の実施形態に係る基板処理方法は、上記の第1乃至第3の実施形態に係る基板処理方法における現像処理の前に、有機膜パターンを感光させる露光処理(ステップS41)を追加した基板処理方法である。
ステップS41の露光処理は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示すように、加熱処理(ステップS00)と前処理との間に行われるか、図5(d)に示すように前処理の途中で行うか、あるいは、図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示すように、加熱処理(ステップS00)の前に行われる。あるいは、ステップS41の露光処理は、図7(a)、図7(b)及び図7(c)に示すように、前処理の後で行われる。
ここで、ステップS41の露光処理は、当初の有機膜パターンをフォトリソグラフィ法により形成した場合には、例えば2回目の露光処理に該当し、当初の有機膜パターンを印刷法により形成した場合には、例えば1回目の露光処理に該当する。
また、ステップS41の露光処理は、基板の所望範囲(全面の場合もある)に含まれる有機膜パターンに対し露光処理を施す処理(つまり、例えば、微細パターンを形成するための露光などとは異なる露光処理)であり、簡易露光処理ユニット17を用いて行う。露光する光は、紫外線光(UV光)、蛍光、自然光或いはその他の光である。この露光処理では、基板の所望範囲(基板全面又は一部、例えば、基板面積の1/10以上の範囲)に含まれる有機膜パターンに対する露光を行う。なお、露光は、基板の所望範囲に対する一括した露光であっても良いし、或いは、基板の所望範囲内で露光スポットを走査させることにより該範囲内を隈無く露光させるのであっても良い。
なお、第4の実施形態においては、最初に有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、ステップS41の露光処理を行うまでの間は、基板を無露光(無感光)状態に保っておくことが好ましく、このように無露光状態に保つことにより、ステップS12の現像処理の効果を一定化させたり、トータルの露光量の均一化を図ったりすることができる。基板を無露光状態に保つためには、各工程が無露光状態になるように管理したり、或いは、基板処理装置の構成を、基板を無露光状態に保てるような構成にすると良い。
ここで、ステップS41の露光処理は、例えば、以下の何れかの位置付けで行うことが挙げられる。
1つ目は、所定パターンのマスクを用いて露光処理を行うことにより、有機膜パターンに対して新たなパターン露光を行う場合である。つまり、ステップS41の露光処理による露光範囲によって有機膜パターンの新たなパターン形状を決定する。この場合、その後の現像処理(ステップS12)により、有機膜パターンが新たなパターン形状となるように、有機膜パターンの一部が選択的に除去されるので、該有機膜パターンを新たなパターンに形成することができる。ただし、この場合は、最初に有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、ステップS41の露光処理を行うまでの間は、基板を無露光(無感光)状態に保っておく必要がある。
2つ目は、基板全面を充分露光することにより、ステップS12の現像処理をより一層効果的に行う場合である。この場合には、最初に有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、ステップS41の現像処理を行うまでの間の基板を無露光(無感光)状態に保っておく必要はない。この場合、露光処理以前にある程度露光された場合(紫外線光、UV光、蛍光、自然光により露光され、又は、その光の中で長時間放置された場合)や、露光量が不明な場合(露光が不均一な場合や無管理状態の場合)であっても、ステップS41の露光処理を行うことにより、露光量を基板全面で実質的に均一化することができる。
次に、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例について説明する。
<第4の実施形態の具体例1>
図5(a)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例1を示すフローチャートである。
図5(a)に示すように、具体例1の基板処理方法では、第1の実施形態に係る基板処理方法(図1)において、加熱処理(ステップS00)とステップS11の薬液処理との間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例1の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、簡易露光処理ユニット17、薬液処理ユニット21及び現像処理ユニット20を備える基板処理装置100又は200である。加熱(温度調節)処理(ステップS13)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調節)処理(ステップS13)の双方が実施される。
なお、ステップS41の露光処理は、図6(a)に示すように、加熱処理(ステップS00)の前で行うことも可能である。
<第4の実施形態の具体例2>
図5(b)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例2を示すフローチャートである。
図5(b)に示すように、具体例2の基板処理方法では、第2の実施形態に係る基板処理方法(図2)において、加熱処理(ステップS00)とステップS21のアッシング処理との間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例2の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、簡易露光処理ユニット17、アッシング処理ユニット22及び現像処理ユニット20を備える基板処理装置100又は200である。加熱(温度調節)処理(ステップS13)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調節)処理(ステップS13)の双方が実施される。
なお、ステップS41の露光処理は、図6(b)に示すように、加熱処理(ステップS00)の前で行うことも可能である。
<第4の実施形態の具体例3>
図5(c)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例3を示すフローチャートである。
図5(c)に示すように、具体例3の基板処理方法では、第3の実施形態に係る基板処理方法(図3)において、加熱処理(ステップS00)とステップS21のアッシング処理との間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例3の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、簡易露光処理ユニット17、アッシング処理ユニット22、薬液処理ユニット21及び現像処理ユニット20を備える基板処理装置100又は200である。加熱(温度調節)処理(ステップS13)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調節)処理(ステップS13)の双方が実施される。
なお、ステップS41の露光処理は、図6(c)に示すように、加熱処理(ステップS00)の前で行うことも可能である。
<第4の実施形態の具体例4>
図5(d)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例4を示すフローチャートである。
図5(d)に示すように、具体例4の基板処理方法では、第3の実施形態に係る基板処理方法(図3)において、ステップS21のアッシング処理とステップS11の薬液処理の間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例4の場合に用いられる基板処理装置は、具体例3の場合と同様である。
<第4の実施形態の具体例5>
図7(a)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例5を示すフローチャートである。
図7(a)に示すように、具体例5の基板処理方法では、第1の実施形態に係る基板処理方法(図1)において、ステップS11の薬液処理とステップS12の現像処理の間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例5の場合に用いられる基板処理装置は、具体例1の場合と同様である。
<第4の実施形態の具体例6>
図7(b)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例6を示すフローチャートである。
図7(b)に示すように、具体例6の基板処理方法では、第2の実施形態に係る基板処理方法(図2)において、ステップS21のアッシング処理とステップS12の現像処理の間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例6の場合に用いられる基板処理装置は、具体例2の場合と同様である。
<第4の実施形態の具体例7>
図7(c)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例7を示すフローチャートである。
図7(c)に示すように、具体例7の基板処理方法では、第3の実施形態に係る基板処理方法(図3)において、ステップS11の薬液処理とステップS12の現像処理の間に、ステップS41の露光処理を追加で行うようにした基板処理方法である。
なお、具体例7の場合に用いられる基板処理装置は、具体例3の場合と同様である。
次に、図10を参照して、第4の実施形態に係る基板処理方法のより具体的な適用例の第1の例について説明する。
図10(a−2)、図10(b−2)、図10(c−2)及び図10(d−2)はそれぞれ平面図、図10(a−1)は図10(a−2)の断面図、図10(b−1)は図10(b−2)の断面図、図10(c−1)は図10(c−2)の断面図、図10(d−1)は図10(d−2)の断面図である。
図10(a−1)及び図10(a−2)に示すように、例えば、絶縁基板(基板)601上には所定形状のゲート電極602が形成され、このゲート電極602を覆うように絶縁基板601上にゲート絶縁膜603が形成され、更に、ゲート絶縁膜603上には、アモルファスシリコン層604、N+アモルファスシリコン層605及びソース・ドレイン層606がこの順に積層されている。
次に、図10(b−1)及び図10(b−2)に示すように、ソース・ドレイン層606上に当初の有機膜パターン607を所定のパターン形状となるよう形成した後、有機膜パターン607をマスクとしてソース・ドレイン層606、N+アモルファスシリコン層605及びアモルファスシリコン層604をエッチングする。これにより、有機膜パターン607が形成されていない領域のみ、ゲート絶縁膜603を露出させる。
ここで、当初の有機膜パターン607は、図9の場合とは異なり、全体が均一な膜厚に形成されている。
次に、本実施形態に係る基板処理方法の加熱処理、前処理、本処理及び露光処理を上記具体例1乃至7(図5乃至図7)の何れかの順序で行う。
ここで、ステップS41の露光処理は、所定パターンのマスクを用いて行う。これにより、その後の現像処理(ステップS12)では、有機膜パターンが新たなパターン形状に加工され、図10(c−1)及び図10(c−2)に示す状態となる。つまり、当初の有機膜パターン607が複数部分に分割(例えば、2分割)される。
次に、本処理(現像処理及び加熱処理)後の有機膜パターン607をマスクとしてソース・ドレイン層606及びN+アモルファスシリコン層605をエッチングし、アモルファスシリコン層604を露出させた後、有機膜パターン607を除去する。
このように、有機膜パターン607の下地膜が複数層604、605、606からなる場合に、有機膜パターン607の加工処理(加熱処理、前処理、本処理及び露光処理)の前及び後で、それぞれ有機膜パターン607をマスクとして下地膜をエッチングするので、有機膜パターン607の加工処理の前に基板に対して行うエッチング処理(ステップS04のエッチング処理)にてエッチングされる範囲と、有機膜パターン607の加工処理の後で基板に対して行うエッチング処理にてエッチングされる範囲とを相互に異ならせることができ、複数層の下地膜のうちの第1の層(例えばアモルファスシリコン層604)と第2の層(例えばソース・ドレイン層606及びN+アモルファスシリコン層605)とを相互に異なるパターン形状にエッチング加工することができる。
つまり、図10に示す処理を行うことにより、当初の有機膜パターン607の膜厚が全面で均一な場合にも、図9に示す処理を行う場合(当初の有機膜パターン607が2段階の膜厚に形成されている場合)と同様の効果が得られる。
次に、図11を参照して、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体的な適用例の第2の例について説明する。
図11(a−2)、図11(b−2)、図11(c−2)及び図11(d−2)はそれぞれ平面図、図11(a−1)は図11(a−2)の断面図、図11(b−1)は図11(b−2)の断面図、図11(c−1)は図11(c−2)の断面図、図11(d−1)は図11(d−2)の断面図である。なお、図11(b−2)及び図11(c−2)においては有機膜パターンの図示を省略している。
図11(a−1)及び図11(a−2)に示すように、例えば、絶縁基板(基板)601上には所定形状のゲート電極602が形成され、このゲート電極602を覆うように絶縁基板601上にゲート絶縁膜603が形成され、このゲート絶縁膜603上には、所定形状のソース・ドレイン電極801が形成され、このソース・ドレイン電極801を覆うようにゲート絶縁膜603上にカバー絶縁膜802が形成されている。
次に、図11(b−1)及び図11(b−2)に示すように、カバー絶縁膜802上に当初の有機膜パターン607を所定のパターン形状となるよう形成した後、該有機膜パターン607をマスクとしてカバー絶縁膜802及びゲート絶縁膜603をエッチングする。これにより、有機膜パターン607が形成されていない領域のみ、ゲート電極602を露出させる。
ここで、当初の有機膜パターン607は、図9の場合とは異なり、全体が均一な膜厚に形成されている。
次に、本実施形態に係る基板処理方法の加熱処理、前処理、本処理及び露光処理を上記具体例1乃至7の何れかの順序で行う。
ここで、ステップS41の露光処理は、所定パターンのマスクを用いて行う。これにより、その後の現像処理(ステップS12)では、有機膜パターンが新たなパターン形状に加工され、図11(c−1)に示す状態となる。
次に、図11(c−1)及び図11(c−2)に示すように、本処理(現像処理及び加熱処理)後の有機膜パターン607をマスクとしてカバー絶縁膜802をエッチングすることによりソース・ドレイン電極801の一部を露出させた後、有機膜パターン607を除去する。
このように、有機膜パターン607の下地膜が複数層603、802からなる場合に、有機膜パターン607の加工処理(加熱処理、前処理、本処理及び露光処理)の前及び後で、それぞれ有機膜パターン607をマスクとして下地膜をエッチングするので、有機膜パターン607の加工処理の前に基板に対して行うエッチング処理(ステップS04のエッチング処理)にてエッチングされる範囲と、有機膜パターン607の加工処理の後で基板に対して行うエッチング処理にてエッチングされる範囲とを相互に異ならせることができ、複数層の下地膜のうちの第1の層(例えばゲート絶縁膜603)と第2の層(例えばカバー絶縁膜802)とを相互に異なるパターン形状にエッチング加工することができる。
なお、予めゲート電極602上のゲート絶縁膜603及びカバー絶縁膜802をエッチングした後で、ソース・ドレイン電極801上のカバー絶縁膜802のみを別途エッチングすることにより、ソース・ドレイン電極801へのダメージを抑制することができる。
以上のような第4の実施形態によれば、第1乃至第3の実施形態に係る各基板処理方法にステップS41の露光処理を追加しているので、当初の有機膜パターンの膜厚が均一な場合(膜厚が2段階以上でない場合)であっても、有機膜パターンの新たなパターン形状への加工を容易に行うことができる。
あるいは、有機膜パターンの新たなパターン形状への加工は行わない場合であっても、第1乃至第3の実施形態に係る各基板処理方法にステップS41の露光処理を追加しているので、ステップS12の現像処理をより効果的に行うことができる。
〔第5の実施形態〕
図8は第5の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、第5の実施形態に係る基板処理方法では、最初に、基板を加熱する加熱処理(ステップS00)を実施し、次いで、本処理として、現像処理(ステップS12)及び加熱(温度調整)処理(ステップS13)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
すなわち、第5の実施形態に係る基板処理方法は、前処理としての薬液処理(ステップS11)を行わない点において、図1に示した第1の実施形態に係る基板処理方法と異なり、その他の点では第1の実施形態に係る基板処理方法と同様である。
本実施形態においては、前処理を行わないため、変質層及び堆積層は除去されないが、現像処理(ステップS12)の前に加熱処理(ステップS00)を行うことにより、この加熱処理の以前の工程において有機膜パターンに加えられた各種処理により、有機膜パターン内部又は下部に染み込んだ水分、酸またはアルカリ溶液を除去し、或いは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力が低下している場合に該密着力を回復することができる。この結果、有機膜パターンの感光性その他の特性を初期状態に近いものとすることができるので、感光性や有機膜の当初の性質等を回復することができる。このため、有機膜パターンの加工、再加工が容易になり、現像処理(ステップS12)による有機膜パターンの縮小又は除去が容易になる。
なお、本実施形態において用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18及び現像処理ユニット20を備える基板処理装置100又は200である。加熱(温度調節)処理(ステップS13)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調節)処理(ステップS13)の双方が実施される。
次に、上記の各実施形態における前処理の種類の選択に関する指針を説明する。
図16は、前処理により除去すべき変質層の成因に応じた変質化の程度を示す図である。なお、図16においては、変質化の程度を、ウェット剥離の難易を基準としてレベル分けしている。
図16に示すように、有機膜表面の変質層の変質化の程度は、有機膜のウェットエッチング処理、ドライエッチング処理、更にドライエッチング処理のうちのプラズマ処理における等方性、異方性の差、有機膜上の堆積物の有無、ドライエッチング処理における使用ガスの種類などに応じて大きく異なる。つまり、これらの各種パラメータに応じて、有機膜表面の変質層の除去のし易さに違いがある。
ステップS11の薬液処理で用いる薬液としては、酸、アルカリ水溶液及び有機溶剤のうちの何れか1つ、又は、それらの混合液を用いる。
更に具体的な例として、アルカリ水溶液、又はアミン類の有機溶剤を混合した水溶液であって、少なくとも1種類のアミン類を0.05乃至10wt%(0.05重量%以上10重量%以下)の範囲で含有する薬液を用いる。
アミン類の典型例は、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどである。
但し、変質層の変質化の程度が比較的軽い場合、すなわち時間放置劣化(放置酸化)、酸系エッチング液、等方性O2アッシングなどの要因により形成された変質層の場合には、アミン類の濃度は、例えば、0.05乃至3wt%(0.05重量%以上3重量%以下)で良い。
ここで、図20は、使用する薬液中のアミン類の含有濃度と、有機膜の変質の有無に応じた除去レートと、の関係を示す図である。
図20に示すように、変質層を選択的に除去し、変質していない有機膜は残存させるためには、前記アミン類の有機溶剤を0.05乃至1.5wt%(0.05重量%以上1.5重量%以下)含有するような水溶液を用いて薬液処理を行うと良い。なお、前記アミン類の中でも、特に、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどが最適である。また、添加する防食剤の典型例として、D−グルコース(C6H12O6)、キレート剤、酸化防止剤などがあり、それらを添加している場合もある。
更に、ステップS11の薬液処理では、上記のように薬液の種類を適宜に選択するほか、その処理時間の長さを適宜の値に設定することにより、変質層又は堆積層のみを選択的に除去し、変質していない有機膜パターンを露出及び残存させたり、堆積層に覆われていた有機膜パターンを露出及び残存させたりすることができる。
このような薬液処理を行うことにより、その後の現像処理において、現像機能液が有機膜パターン内に浸透しやすくなるという効果が得られる。
実際には、有機膜パターンの表面の変質層を上記薬液で処理することにより、変質層に亀裂が入るか、変質層の一部又は全部が除去される。これにより、現像処理において、有機パターン内への現像機能液の浸透が変質層によって妨げられてしまうことを、回避することが可能となる。
ここで重要な点は、有機膜パターンにおいて変質していない部分は除去或いは剥離せずに残存させることと、変質層のみを選択的に除去するか或いは該変質層に亀裂を入れることにより有機膜パターンにおいて変質していない部分への有機溶剤の浸透を容易にすることであり、そのような作用を変質層に対して及ぼすことが可能な薬液を使用する必要がある。
また、例えば図2、図3、図4、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図6(b)、図6(c)、図7(b)及び図7(c)に示すアッシング処理は、有機膜パターンの表面の変質層又は堆積層が強固な場合、厚い場合、フッ素と化合した変質層などのより除去し難い変質層である場合に、薬液処理と組み合わせるか又は単独で行うと良い。このようにアッシング処理と薬液処理とを組み合わせて行うか、又はアッシング処理のみを単独で行うことにより、薬液処理では変質層の除去が困難であるか又は除去に時間がかかるなどの問題点を解消することができる。
ここで、図17は変質層に対しO2アッシング(等方性プラズマ)処理のみを施した場合の変質層の変化を示し、図18は変質層に対し薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)のみを施した場合の変質層の変化を示し、図19は変質層に対しO2アッシング(等方性プラズマ)処理と薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)とを順に施した場合の変質層の変化を示している。なお、図17乃至図19においても、図15におけるのと同様に、変質化の程度を、ウェット剥離の難易を基準としてレベル分けしている。
図17乃至図19に示すように、何れの場合にも変質層の除去は可能であるが、図17に示すO2アッシング(等方性プラズマ)処理のみの場合と、図18に示す薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)のみの場合とでは、処理前の変質層の厚さや性質に応じて変質層の除去程度が異なる。
すなわち、O2アッシング(等方性プラズマ)処理は、図17に示すように、比較的、堆積物の有る変質層の除去に効果があるが、ダメージを残存させてしまう特徴があるため、堆積物の無い変質層に対して行った場合には、薬液処理のみの場合(図18)よりも変質層の残存の程度が大きい。
それに比較し、薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)は、図18に示すように、堆積物の有る変質層の除去に対しては効果が小さいが、ダメージを残存させない特徴があるため、堆積物の無い変質層に対して行った場合には、O2アッシング(等方性プラズマ)処理のみの場合(図17)よりも変質層の残存の程度が大きい。
そこで、O2アッシング(等方性プラズマ)処理と薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)とを順に施した場合を図19に示すが、図19の場合には、図17の場合と図18の場合との双方の長所を取り入れた方法であることが分かる。すなわち、図19の場合には、堆積物有りの場合にも、無しの場合にも、共に効果を発揮するとともに、ダメージの残存を抑制した理想的な態様で変質層を除去できることが分かる。
なお、上記の各実施形態においては、本処理を現像処理(及び加熱処理)により行う例を説明したが、本処理は、有機膜パターンの現像機能を持たず、有機膜パターンを溶解除去する機能を持つ薬液を用いた薬液処理により行うようにしても良い。この場合の薬液処理に用いる薬液は、例えば、剥離液の濃度を薄めることにより得られる薬液であることを好ましい例とする。具体的には、例えば、剥離液を20%以下に薄めることにより、この薬液を得ることができる。なお、剥離液の濃度は2%以上が好ましい。また、この薬液は、剥離液を例えば水で薄めることにより得ることができる。
また、上記の各実施形態では、有機膜パターンが主として感光性有機膜である場合について説明したが、有機膜パターンを印刷法により形成する場合で、且つ、有機膜パターンの現像機能を持たず有機膜パターンを溶解除去する機能を持つ薬液を用いた薬液処理により本処理を行う場合には、有機膜パターンが感光性有機膜からなる必要はない。更に、この場合、ステップS41の露光処理は不要となる。
ただし、有機膜パターンを印刷法により形成する場合であっても、感光性有機膜からなる有機膜パターンを形成し、ステップS41の露光処理を適用するようにしても良い。
更に、上記の実施形態で説明したのと同様の有機膜パターン加工処理において、有機膜パターンを完全に除去することも可能であり、そのことは、有機膜パターン加工処理、或いは該有機膜パターン加工処理の一部を有機膜パターンの剥離処理の代替として適用可能であることを示している。
具体的には、まず第一の方法として、前記前処理の段階で、変質層或いは堆積層だけでなく有機膜パターンも除去可能な薬液を用いて、処理時間を上記の各実施形態で述べた処理時間(有機膜パターンが残存する処理時間)よりも長時間にすることにより、有機膜パターン全体を除去することが挙げられる。また、第二の方法として、前記前処理では、有機膜パターンの変質層或いは堆積層を主に除去し、その後の前記本処理の処理時間を上記の各実施形態で述べた処理時間(前記有機膜パターンが残存する処理時間)よりも長時間にすることにより、有機膜全体を除去することが挙げられる。