JP2005170812A - 蛍光造影剤及び蛍光造影方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 毒性が低く優れた水溶性を有し、且つ、生体組織中を透過できる領域の蛍光を放射し、生体内の腫瘍又は癌の特定の組織を識別する造影力を有する癌用又は腫瘍用の蛍光造影剤及び蛍光造影方法を提供。
【解決手段】 分子中に励起光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料を含有することを特徴とする蛍光造影剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子中に励起光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料を含有することを特徴とする蛍光造影剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は蛍光造影剤(以下、診断用造影剤、蛍光造影剤ともいう)及び該蛍光造影剤を用いた蛍光造影方法に関するものである。
病気を治療する際に、病気の初期の段階においてその病気により生体内に引き起こされる形態変化を精密且つ迅速に簡便な方法で検出することが要求される。特に癌を治療する場合、初期の小さい病変の場所と大きさの確定が早期治療する上で必要不可欠である。この目的のために既に知られている方法として、内視鏡による生体検査、X線撮影、MRI及び超音波撮影等のような映像診断を挙げることができる。生体検査は直接病変部を観察できるので診断確定に有効ではあるが、同時に被験者に痛みや苦痛を強いる。X線撮影及びMRIは過度にすると有害となる放射線及び磁場を被験者にさらすものであり、時間的経過を追跡しようとするとその被爆時間は追跡時間に比例して増大してしまう。設備や装置も大掛かりになり、その設置と維持に多大の労力と費用が要求される。
しかし、小型化が可能で運転の労力が軽減され、使用も簡便化される診断として近赤外蛍光撮影が最近注目されている。近赤外光は、70%以上が水分から成り立つ生体組織を容易に透過し、厚さ10cm〜20cmまでを検査診断できると言われている。
そのため、臨床医学の分野で注目を集めつつ、近赤外CTとする診断技術として開発されるようになった。この方法は造影剤として生体の吸収の少ない700nmから1000nmの近赤外の波長を有する励起光の照射により蛍光を放射する化合物を生体中に投与し、身体の外側から近赤外の波長である励起光を照射し、体内の投与された化合物、所謂、蛍光造影剤から放射される蛍光を検出して、病変部を確定する。
このような蛍光造影剤として、例えば、腫瘍中に蓄積するポルフィリン化合物やヘマトポルフィルンのような化合物が知られている。これらの化合物は、近赤外の光照射により励起され酸素分子が病変部の生体を酸化することが可能な3重項酸素を生成させ、癌のような病変部の細胞を死滅させて治療を可能にするが、病変部以外の組織を破壊してしまう危険性を孕んでいる。一方、フルオレセインやフルオレサミンのような既知の蛍光色素を用いた造影法が知られている(米国特許第4945239号)が、これらの蛍光色素は生体の光透過が非常に低い青〜緑の光を発するもので、身体の奥の部分の病変の検出が充分にできない。
近赤外領域で蛍光を発するシアニン色素は、蛍光造影剤として期待され、各種のシアニン色素化合物が検討された。シアニン化合物の蛍光造影剤が報告されて以来、親水性、モル吸光係数、量子収率の高い化合物に改変すべく、各種周辺シアニン化合物を造影剤とする技術が開示された(例えば、特許文献1、2、3を参照)。
しかしながら、正常な組織と病変組織とを識別する能力(造影力)を有するとともに、生体から造影後に生体内で完全に分解され無害となるか、又は完全に排出されることが必要で(非蓄積性)、未だ、両者を兼ね備えた蛍光造影剤は見いだされていない。
特開2000−95758号公報
特表2002−526458号公報
特開2003−160558号公報
本発明の目的は毒性が低く優れた水溶性を有し、且つ、生体組織中を透過できる領域の蛍光を放射し、生体内の腫瘍又は癌の特定の組織を識別する造影力を有する癌用又は腫瘍用の蛍光造影剤及び蛍光造影方法を提供することにある。
本発明の上記の目的は、下記各構成により達成される。
1.分子中に励起光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料を含有することを特徴とする蛍光造影剤。
2.前記蛍光造影剤が癌用蛍光造影剤又は腫瘍用蛍光造影剤であることを特徴とする前記1に記載の蛍光造影剤。
3.前記染料が下記一般式(1)で表されることを特徴とする前記1又は2に記載の蛍光造影剤。
(式中、R1〜R13及びR14は各々アルキル基を表し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6は各々5員、6員の芳香族縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を、Lはメチン基を表し、X-はアニオン基を表し、mは3又は4の整数を、nは1〜9の整数を、pは分子の電荷を中和するに必要な数を表す。J1、J2は2価の連結基である。酸基をR1〜R13及びR14、5〜6の芳香族縮合環に2〜20個有する)
4.前記酸基が、スルホン酸基、カルボン酸基及び燐酸基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の蛍光造影剤。
4.前記酸基が、スルホン酸基、カルボン酸基及び燐酸基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の蛍光造影剤。
5.前記酸基がスルホン酸基又はカルボン酸基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
6.前記酸基が少なくとも2つのスルホン酸基であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
7.前記酸基がナトリウム塩を形成していることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
8.前記癌用蛍光造影剤又は腫瘍用蛍光造影剤の腫瘍又は癌が、脳、乳房部、胸部、前立腺、結腸、肺、肝臓、すい臓、胃、リンパ腫、子宮、子宮頸部及び上下肢から選ばれる少なくとも1種の生体内組織に存在するものであることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
9.蛍光造影剤を用いる蛍光造影方法において、前記1〜8のいずれか1項に記載の蛍光造影剤を生体内に導入し、該生体内に励起光を照射し、該造影剤からの蛍光を検出することを特徴とする蛍光造影方法。
本発明による蛍光造影剤及び蛍光造影方法は、毒性が低く優れた水溶性を有し、さらに、生体組織中を透過できる領域の蛍光を放射し、生体内の腫瘍又は癌の特定の組織を識別する造影力を有し、優れた効果を有する。
即ち、本発明者は分子中に励起光の光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料を含有する蛍光造影剤を用いることにより、本発明の目的を達成できることを見いだした。
また、上記シアニン染料の骨格は毒性が低いことは知られており、且つ、当業界では水溶性の良い染料は毒性が低いことは自明である。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらの最良の形態に限定されるものではない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は分子中に励起光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料であり、好ましい構造としては、前記一般式(1)で表される染料である。
一般式(1)中、R1〜R13及びR14は各々アルキル基を表し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6は各々アリール環を形成するに必要な非金属原子群を、Lはメチン基を表し、X-はアニオン基を表し、mは3又は4の整数を、nは1〜9の整数を、pは分子の電荷を中和するに必要な数を表す。
前記一般式(1)で表される化合物は酸基を含み、該酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、これらの酸基は各々、その塩を包含する。塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム等の有機アンモニウム塩を挙げることができる。特に好ましい塩はナトリウム塩である。R1及びR2で表されるアルキル基は炭素数2〜10の低級アルキル基が好ましく、特に好ましくは炭素数2〜8の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル基等)であり、置換基の中に酸基を有することが特に好ましい。R3〜R14は水素原子又は置換されてもよい低級アルキル基を表す。R3及びR4、R5及びR6、R7及びR8、R9及びR10、R11及びR12、R13及びR14は互いに結合して環を形成してもよい。R1及びR2はのアルキル基上の置換基としては、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等)、アリール基(例えばフェニル基)、ハロゲン原子(例えば、弗素、塩素、臭素原子等)等が挙げられる。Lで表されるメチン基は、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数1〜5の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、3−ヒドロキシプロピル、2−スルホエチル基等)、ハロゲン原子(例えば、弗素、塩素、臭素原子等)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ基等)などが挙げられ、場合によっては傍の置換基同士が結合して、5員又は6員の環を形成してもよい。J1及びJ2は、2価の連結基で、シアニン構造単位を共有結合で連結する結合基を表す。結合基は、2価の結合基であれば任意に設定することができるが、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、ウレイド基、アミド基、ウレタン基等を含んでもよい。X-で表されるアニオンは、特に制約されないが、具体的としてハロゲンイオン、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、BF4−イオン等が挙げられる。pは一般式(1)の化合物の電荷を中和するに必要なアニオン数を表し、分子内塩を形成する場合には、その分少なくなる。本発明に使用する一般式(1)で表されるシアニン染料の最も好ましい構造は、R3からR14がメチル基で、R1及びR2が炭素数2〜8アルキルスルホン酸であり、nが2であるシアニン構造単位を3個有するものである。本発明の出発原料となる染料の母核としては例えば次の様な化合物が挙げられる。
上記化合物はJ.Chem.Soc.,3202(1959)、英国特許870,753号、J.Chem.Soc.,584(1961)、英国特許841,588号に記載の方法で合成することができる。これらの母核を用いて四級化、スルホン化等を必要に応じて行うことができる。又は、J.Chem.Soc.,3202(1959)及びJ.Chem.Soc.,584(1961)に記載の合成法に準じてN−アルキル−N−ピリジルヒドラジンを合成しヒドラゾンを経て環化反応を行い、必要に応じ酸処理することにより1−アルキル置換−3H−ピロロアリール誘導体を得、これを出発物質とすることもできる。
これらの四級化され、又、必要に応じてスルホン化された母核化合物を用いて、適当なメチン鎖供給体を反応させれば容易に本発明の化合物を得ることができる。
例えば、メチン鎖供給体としてグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩を用いればヘプタメチン染料が得られる。シアニン構造単位染料を複数結合させる方法は、エステル化、ウレタン化、アミド化等により結合に向いた置換基を導入して、酸やアルカリ触媒、アミン触媒やペプチド試薬、カップリング剤等を使用して合成することができる。複数のシアニン構造染料を合成する方法として、特開2001−242613号、特開2002−241632号、特開2003−015281号、特開2003−172999号及び特開2003−255485号各公報を参考にすることができる。好ましい具体例を下記に示す。
又、好ましい具体例中の結合基として下記の構造を挙げることができる。
生体内で使用されることになる蛍光造影剤は、体内に蓄積されず、速やかに体外に排出されることが重要で、基本的に水溶性であることが必要条件である。水溶性を向上させる手段としては、上記染料中の2個〜20個の酸基としては、カルボン酸(含む塩類)、スルホン酸(含む塩類)及び燐酸(含む塩類)基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることが好ましく、2個〜20個のスルホン酸(含む塩類)基であることが水溶性が顕著に改善され、本発明の効果をより奏する点でより好ましい。
更に、優れた水溶性を得るには、スルホン酸基の数は4個以上であることが特に好ましい。合成を容易にするには、スルホン酸基の数は8個以下、好ましくは4個以下である。
水溶性の尺度は各化合物の分配係数の測定、例えば分配係数を脂肪族アルコール、例えば、ブタノールと水の二相系で測定することにより調べることができる。例えば、3個以上のスルホン酸基の導入によりn−ブタノール/水の分配係数logPo/wは−1.00以下となる。
生体内における水溶性の判断の方法としては、生理食塩水に溶解し、36℃において時間経過後も沈殿や析出のないことである。生体内に投与されて許容される塩は前記一般式(1)で表される染料と非毒性の塩を形成するものであればよい。
それらの例としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のようなアルカリ土類金属塩、トリプトファン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、アルギニン等の塩のようなアミノ酸塩が挙げられる。特に好ましいのは生体内での毒性が低いナトリウム塩である。
本発明の診断用造影剤は、血管(静脈、動脈)内、経口内、腹腔内、皮下、皮内、膀胱内、気管(支)内等へ注入、噴霧もしくは塗布等の手段により生体内に投与することができる。
本発明の体外蛍光造影方法に用いる蛍光造影剤は、具体的には、本発明の前記一般式(1)で表される染料を、注射用蒸留水、生理食塩水、又はリンゲル液等のような溶媒中に懸濁若しくは溶解させたものであり、必要に応じて、担体、賦形剤等のような薬理上許容しうる添加物を加えてもよい。これらの添加物としては、薬理上許容しうる電解質、バッファー、洗剤のような物質及び浸透圧を調整し安定性及び溶解性を改善するための物質(例えば、シクロデキストリン、リポソーム等)が挙げられる。関連分野で一般に使用される多様な添加物が使用できる。本発明に係わる蛍光造影剤は医薬用の場合は好ましくは滅菌処理を経て製造される。当該蛍光造影剤は、注射、噴射又は塗布、血管内(静脈、動脈)、経口、腹膜内、経皮、皮下、膀胱内又は気管支内投与によって前記生体部位に投与することができる。好ましくは、本造影剤は血管内に水剤、乳剤又は懸濁剤の形態で投与される。
本発明の診断用造影剤の投与量は、最終的に診断する部位(組織)を検出できる量であれば特に限定されず、使用する近赤外蛍光を発する化合物の種類、投与される対象の年齢や身体の大きさおよび標的とする臓器等によって適宜増減できるが、通常、0.1〜100mg/kg・体重、好ましくは0.5〜20mg/kg・体重の範囲の投与である。
本発明の診断用造影剤は動物用の造影剤としても好適に用いることができ、その投与形態、投与経路、投与量等は対象となる動物の体重や状態によって適宜選択する。
また、本発明の染料は、血管内に一旦注入されると血管壁外に拡散しにくく、血管内に留まる性質が高く、血管造影剤としても使用できる。
本発明の蛍光造影方法は、本発明の蛍光造影剤を用いることを特徴とする。その測定方法は当業者には公知の方法を用いて行われ、励起波長、検出のための蛍光波長等の各条件は、最適で最高の検出能状態を得るために、投与する蛍光造影剤の種類、投与する対象等に応じて適宜決定される。
本発明の蛍光造影剤を測定対象物に投与してから、本発明の蛍光造影方法を用いて測定を開始するのに要する時間も、投与する蛍光造影剤の種類、投与する対象等によって異なるが、例えば腫瘍や癌造影を目的として投与する場合には投与後10分〜6時間の経過時間を選択することが好ましい。経過時間が10分未満であると全体に蛍光が偏在して目的とする部位とそれ以外の部位との識別が困難であり、6時間を超えると該造影剤が体外に排泄されてしまう。血管造影を目的とする場合には投与直後〜1時間の経過時間で測定することが好ましい。
本発明の体外蛍光造影方法は本発明の蛍光造影剤の使用により特徴づけられる。この方法は公知の方法に準じて実施され、励起波長及び検出すべき蛍光波長のようなそれぞれのパラメーターは投与される近赤外蛍光造影剤の種類及び投与対象により最適となるように適宜決定される。本発明の蛍光造影剤の測定対象への投与から本発明の蛍光イメージング法による測定開始までにかかる時間は使用される近赤外蛍光造影剤の種類及び投与対象によって異なる。例えば、腫瘍イメージングを目的とした場合、消失時間は投与後およそ4−120時間と考えられる。消失時間が短すぎると、蛍光が強すぎて標的部位と他の部位を明確に分けることができない。長すぎると、当該造影剤が身体から排泄されてしまうことがある。血管造影が求められる場合には、投与直後又はその約30分以内に検出する。
本方法においては、前記蛍光造影剤を検出標的に投与し、検出標的を励起光源からの励起光に露光する。次いで、蛍光造影剤から当該励起光により発生された蛍光を蛍光検出器で検出する。励起波長は使用される蛍光造影剤によって異なるが、当該化合物が励起光領域に有効に蛍光を放射する範囲でさえあれば制限されない。好ましくは、優れた生物透過能を有する励起光が使用される。
露光する励起光の波長は、好ましくは200〜1010nm、より好ましくは600〜1000nm、更に好ましくは700〜850nmの波長の励起光で励起し、蛍光を高感度に検出する。この場合、蛍光励起光源としては、各種レーザー光源、例えば、イオンレーザー、色素レーザー、半導体レーザー等、或いはハロゲン光源、キセノン光源等の通常の励起光源を使用してもよく、更に最適な励起波長を得るために各種光学フィルターを使用することができる。同様に、蛍光の検出に際しても、蛍光造影剤からの蛍光のみを選択する各種光学フィルターを使用して、蛍光の検出感度を高めることができる。
検出された蛍光を蛍光情報としてデータ処理し、記録可能な蛍光イメージを生成させるのに用いる。蛍光イメージは標的組織を含む広い領域に照射して、CCDカメラで蛍光を検出し、得られた蛍光情報をイメージ処理することにより生成させる。或いは、光学CT装置を使用したり、内視鏡を使用したり、眼底カメラを使用してもよい。本発明の蛍光イメージング法は全身性の疾患、腫瘍、血管などを生体を傷つけることなく可視化させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
本発明の染料D−6の合成方法を示す。
本発明の染料D−6の合成方法を示す。
常法に従って合成した化合物(M−1)10.4gをDMSO中に溶解し、外温52℃で18分間攪拌し、N−(2−アミノブチル)カルバミン酸tert−ブチル3g、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)9.8mlAを添加し、72℃、3時間攪拌した。その後、酢酸エチルとヘキサンを加え、結晶を析出させた。これを濾取し、乾燥することにより、化合物M−2を6.8g得た。構造をNMR、MSスペクトル、元素分析により確認した。得られた化合物M−2を1.8g丸底フラスコにとり、トリフルオロ酢酸19ml添加し、室温で20分間攪拌して化合物M−3を得た。構造は、NMR、マススペクトル、元素分析により確認した。上記得られた化合物M−3、1.1gと別途常法により合成した化合物M−4、3.8gをDMSO中に溶解し、72℃、3時間攪拌を行い、アセトンを加え結晶を析出させた。これを濾取して苛性ソーダを加えたメタノールに溶解し結晶を析出させ、粗生成物D−6を得る。更にセファデックス(LH−20)カラムクロマトグラフィーで精製した後、乾燥することにより、化合物を0.31g得た。構造はNMR,マススペクトル、元素分析により確認した。
他の本発明の一般式(1)で示される染料についても上記と同様な方法で合成することができる。
実施例2
乳癌発癌モデルマウスの作製
乳癌発癌モデルマウスの作出老化促進マウス、所謂SAM系の1系統であるSAMP6/Ta系マウスに乳癌を発症させるために発癌物質7,12−ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)を投与して乳癌発癌モデルマウスを作出した。マウスの発癌方法は、特開2003−033125号に準じて行った。SAMP6/Ta系マウスを各20匹に、DMBAを0.5mg/マウス/週で計6回投与した。飼料としては高タンパク質高カロリーのCA−1固形(日本クレア社製)を与えた。発癌物質の第6回目の投与の後、第1回目投与から起算して第20週迄までを休薬期間とした。乳癌および乳癌の肺転移を病理組織学的に検索した。DMBAを1週間隔で6回投与し、その後の投与開始より第20週目まで休薬し、乳癌発生したマウス(乳癌発生率75%)を使用した。
乳癌発癌モデルマウスの作製
乳癌発癌モデルマウスの作出老化促進マウス、所謂SAM系の1系統であるSAMP6/Ta系マウスに乳癌を発症させるために発癌物質7,12−ジメチルベンズ[a]アントラセン(DMBA)を投与して乳癌発癌モデルマウスを作出した。マウスの発癌方法は、特開2003−033125号に準じて行った。SAMP6/Ta系マウスを各20匹に、DMBAを0.5mg/マウス/週で計6回投与した。飼料としては高タンパク質高カロリーのCA−1固形(日本クレア社製)を与えた。発癌物質の第6回目の投与の後、第1回目投与から起算して第20週迄までを休薬期間とした。乳癌および乳癌の肺転移を病理組織学的に検索した。DMBAを1週間隔で6回投与し、その後の投与開始より第20週目まで休薬し、乳癌発生したマウス(乳癌発生率75%)を使用した。
蛍光造影試験
マウス乳癌の腫瘍組織断片(2mm×2mm角辺)をBALB/cヌードマウス(5週齢、クレアジャパン社)の左胸部の乳房部皮下に移植した。10日後、腫瘍が直径約5mmに成長した時点で上記マウスを試験に供した。蛍光励起光源としてチタンサファイアレーザーを使用した。照射の分散が2%以内になるようにリングタイプの光ガイド(住田光学グラス社)を用いて試験用マウスにレーザー光を均一に照射した。照射出力はマウスの皮膚表面付近で約36μW/cm2になるように調整した。蛍光は各化合物の最大励起波長で励起させ、マウスからの蛍光放射をCCDカメラ(C4880,浜松フォトニクス社)を用いて短波長カットフィルターを通して検出及び造影した。カットフィルターは化合物の励起波長(800nm〜900nm)に適合するように選択した。照射時間は表1に示す各染料(101〜110)の蛍光強度によって調整した。
マウス乳癌の腫瘍組織断片(2mm×2mm角辺)をBALB/cヌードマウス(5週齢、クレアジャパン社)の左胸部の乳房部皮下に移植した。10日後、腫瘍が直径約5mmに成長した時点で上記マウスを試験に供した。蛍光励起光源としてチタンサファイアレーザーを使用した。照射の分散が2%以内になるようにリングタイプの光ガイド(住田光学グラス社)を用いて試験用マウスにレーザー光を均一に照射した。照射出力はマウスの皮膚表面付近で約36μW/cm2になるように調整した。蛍光は各化合物の最大励起波長で励起させ、マウスからの蛍光放射をCCDカメラ(C4880,浜松フォトニクス社)を用いて短波長カットフィルターを通して検出及び造影した。カットフィルターは化合物の励起波長(800nm〜900nm)に適合するように選択した。照射時間は表1に示す各染料(101〜110)の蛍光強度によって調整した。
蛍光造影剤として、各試験染料を蒸留水に溶解し(0.5mg/ml)、マウスに乳管及び線葉から投与した。用量は各1mg/kgであった。蛍光造影剤投与の12分後にマウスをジエチルエーテルで麻酔し、マウス全身の蛍光イメージを造影した。センサーは蛍光光度計(日本分光FP−6600)のフォトダイオード(波長範囲220〜1010nm)を使用した。
蛍光感度は比較を100とする相対感度で表した。即ち、基準に対する発生蛍光量の対数で表示した。
造影剤の体外排出量は、造影剤投与後の染料の体内量を100とし、4週間後の膀胱及び腎臓からのカテーテルによる蓄積排出量を合算し、液体クロマトグラフ2010A(島津製作所社製)から体外排出量を算出し、初期濃度に対する排出率を求めた。尚、比較用造影剤として特開2003−160558の31番を使用した。
各染料の水溶性試験は、0.9%の生理食塩水1mlに0.5mgを溶解し、36℃2週間静置放置し、析出、沈殿物を確認した。
全くないレベルを◎、わずかヘイズがかかって見られるが、攪拌により消失してしますレベルを○、ヘイズがかかっているが、攪拌では消失しないレベルを△、析出してしまうレベルを×として評価した。上記の評価結果を以下に示す。
本発明の一般式(1)で表される染料を含有する蛍光造影剤は、比較蛍光造影剤に比して水溶性(毒性が低いこと)、蛍光感度、体外排出率において優れており、腫瘍又は癌の診断用として有効であることが分かる。
Claims (9)
- 分子中に励起光により蛍光を発するシアニン染料構造単位を2個〜10個及び酸基を2個〜20個有する染料を含有することを特徴とする蛍光造影剤。
- 前記蛍光造影剤が癌用蛍光造影剤又は腫瘍用蛍光造影剤であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光造影剤。
- 前記酸基が、スルホン酸基、カルボン酸基及び燐酸基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の蛍光造影剤。
- 前記酸基がスルホン酸基又はカルボン酸基から選ばれる少なくとも2種以上の酸基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
- 前記酸基が少なくとも2つのスルホン酸基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
- 前記酸基がナトリウム塩を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
- 前記癌用蛍光造影剤又は腫瘍用蛍光造影剤の腫瘍又は癌が、脳、乳房部、胸部、前立腺、結腸、肺、肝臓、すい臓、胃、リンパ腫、子宮、子宮頸部及び上下肢から選ばれる少なくとも1種の生体内組織に存在するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光造影剤。
- 蛍光造影剤を用いる蛍光造影方法において、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光造影剤を生体内に導入し、該生体内に励起光を照射し、該造影剤からの蛍光を検出することを特徴とする蛍光造影方法。
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- 2003-12-09 JP JP2003409974A patent/JP2005170812A/ja active Pending
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