以下、図を参照して本発明を説明する。図13は、本発明が適用されるラインヘッドの部分的な製造工程の例を示す工程図である。図13(a)で、ガラスなどの基板80にアモルファスーシリコン層(a−Si層)81を形成する。(b)では、先にa−Si層81にパターニング82を施す。次いで、a−Si層81のパターニング82の上に二酸化シリコン(SiO2)絶縁層83を形成する。その後、ゲートメタル82aを形成する。ここで、ドライブトランジスタTr2のゲートG、ドレインD、ソースSは、拡大して示したように、ゲートメタル82a、パターニング82で図示の位置に形成される。(c)では、先に二酸化シリコン(SiO2)絶縁層83とゲートメタル82aの上に、二酸化シリコン(SiO2)絶縁層84を形成する。次いで、絶縁層84の表面からパターニング82の表面まで貫通するコンタクトホールを2個所形成する。このコンタクトホール内にソースメタル85とドレインメタル86を形成する。
(d)では、先に二酸化シリコン(SiO2)絶縁層84とソースメタル85およびドレインメタル86の上に、二酸化シリコン(SiO2)絶縁層87を形成する。次いで、絶縁層87の表面からソースメタル85の表面まで貫通するコンタクトホールを形成する。このコンタクトホール内に一部延設されてソースメタル85との接触部を有する、陽極側透明電極ITO(Induim Tin Oxide)88を形成する。すなわち、発光素子のアノード電極とドライブトランジスタのソースを電気的に接続する。(e)では、絶縁層87とITO88の上に隔壁89を形成する。次いで、隔壁89、89間の空間部に発光層90を作成する。
図14は、完成したラインヘッドの発光素子周辺の構成を回路図と対応させて示した説明図である。図14においては、図13(e)に更に発光素子のカソード電極90を形成している。このカソード電極90には、薄膜で形成される接地側(GND側)の電源線91が接続される。また、ドライブトランジスタのドレインDと接続されるドレイン線には、他方(VDD側)の電源線が接続される。これらの各電源線は、紙面と直交する方向が長手方向となり、複数の発光素子に給電する。なお、Gaは制御トランジスタTr1のソースと接続される信号線である。
図15は、本発明のラインヘッドにおいて、発光部周辺を部分的に示す説明図である。図15の構成は、給電点の位置を省略しており、有機EL素子Eaに対する第1、第2の電源線の接続形態は、基本的には図18に示した有機EL素子に対する接続構成と相違しない。図15においては、給電点が電源線2、3共にラインの同じ端部側に形成されている。これに対して、本発明においては、後述するように、第1、第2の電源線2、3で一方給電点6の位置と、他方給電点7の位置をそれぞれラインに対して種々の位置に設ける構成とすることもできる。
図1は、本発明の実施形態を示す説明図である。図18と同じところには同じ符号を付している。図1においては、ラインヘッド10aの電源側の第1の電源線2と接地側の第2の電源線3からそれぞれ接続線40b、40aを引き出す。そして、接続線40aには端子32を設け、接続線40bには端子33を設ける。端子32−33間にはコンデンサ34を接続する。このコンデンサ34は、第1の電源線2、第2の電源線3間の電圧変動抑制手段として作用する。
すなわち、第1の電源線2、第2の電源線3間の電圧が外乱などにより規定の電圧よりも上昇した場合には、コンデンサ34を充電して電荷を蓄積する。第1の電源線2の電位が所定値に下降した場合には、コンデンサ34に充電された電荷を電源線2に放電する。このため、電源線2の電位変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また、瞬時的な過電圧が第1の電源線2、第2の電源線3間に発生した場合に、コンデンサ34で吸収させることにより発光素子に過電圧が印加されないようにして、発光素子の損壊を防止する。このように、本発明の実施形態においては、電源線の電圧変動抑制手段としてコンデンサを用いているので、電源線の電圧変動抑制手段を簡単な素子で構成することができる。
コンデンサ34は、第1の電源線2、第2の電源線3間で任意の位置に接続することができる。また、その接続個所は1個所には限定されない。電源線間の複数個所とすることもできる。このように、コンデンサ34を前記電源線間の複数個所に接続した場合には、ラインの全長にわたり、より電源電圧の変動を抑制することができる。なお、ラインの給電点6,7が設けられている側とは反対側端部に、予め別電源により所定電圧で充電したコンデンサ34を接続することができる。この場合には、コンデンサ34の充電電圧を放電させることにより、図18で説明したようなライン他端側の電源線の電圧降下を補償することができる。
図2は、本発明の他の実施形態を示す説明図である。図2では、ラインヘッド10bにおける発光素子に接続される電源線の給電点の位置を模式的に示している。図2の実施形態においては、1ラインに複数の発光素子Eaを配列し、電源(VDD)側の給電点6に接続される第1の電源線2と、接地(GND)側の給電点7に接続される第2の電源線3との間に前記各発光素子Eaを接続し、前記一方の給電点6の位置と、他方の給電点の位置がラインの反対側になるように設けている。
この例においても、第1の電源線2と第2の電源線3間にコンデンサ34を接続する。このため、第1の電源線2、第2の電源線3間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また、過電圧による損壊から発光素子を保護することができる。なお、発光素子Eaは、前記有機EL素子以外に、例えばLED(Light Emitting Diod)を用いることもできる。有機EL素子は静的な制御が可能であるので、制御系を簡略化できるという利点がある。また、LEDで構成した場合には発光素子の製造が簡単になる。
図3は図2の構成に係る概略の説明図である。図3において、ラインヘッド10bにおける第1の電源線2の給電点6と、第2の電源線3に設けた給電点7の位置は、それぞれラインの反対側となるように形成されている。この場合には、図示左端側の発光素子E1の印加電圧Vp1は、Vp1=V−4Ri−nRi、である。また、図示右端側の発光素子Enの印加電圧Vpnは、Vpn=V−4Ri−nRi、である。
すなわち、図3の例では、左端側の発光素子E1の印加電圧Vp1と、右端側の発光素子Enの印加電圧Vpnは、等しくなっている。このため、1ラインに配列された発光素子の発光光量には差が無いことになり、発光素子の寿命にバラツキが生じない。また、印字品質の向上を図ることができる。このように、図2、図3の例では、発光素子の第1の電源線2に対する接続点の位置による印加電圧の差を解消すると共に、第1の電源線2の電位変動の影響を軽減しているので、各発光素子の発光光量に差のない構成とすることができる。
図4は、本発明に係る他の実施形態を模式的に示す説明図である。図4において、ラインヘッド10cには、1ラインに複数の発光素子Eaを配列し、電源(VDD)側の給電点6a、6bに接続される第1の電源線2と、接地(GND)側の給電点7a、7bに接続される第2の電源線3との間に前記各発光素子Eaを接続する。
また、前記一方の給電点6a、6bの位置と、他方の給電点7a、7bの位置がラインの両側になるように設けている。図4においても、第1の電源線2と第2の電源線3間にコンデンサ34を接続する。このため、第1の電源線2、第2の電源線3間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また、過電圧による損壊から発光素子を保護することができる。
図5は、図4に対応する回路図である。前記のように、ラインヘッド10aにおいて、第1の電源線2の給電点6a、6bと、第2の電源線3の給電点7a、7bの位置は、それぞれラインの両端に形成されている。すなわち、給電点はラインの両端に4個所形成されることになる。この場合には、図示左端側の発光素子E1の印加電圧Vp1は、Vp1=V−nRi、である。また、図示右端側の発光素子Enの印加電圧Vpnは、Vpn=V−−nRi、である。
すなわち、図5の例では、左端側の発光素子E1の印加電圧Vp1と、右端側の発光素子Enの印加電圧Vpnは、等しくなっている。また、電源線の電圧降下が図20の従来例の1/4になっており、各発光素子に対する電源線の電圧降下による影響を少なくできる。このため、1ラインに配列された発光素子の発光光量には差が無いことになり、発光素子の寿命にバラツキが生じない。また、印字品質の向上を図ることができる。
このように、図4、図5の例では、図20に示した従来例の給電点の配置例と比較して、発光素子の第1の電源線2に対する接続点の位置による印加電圧の差を小さくすることができる。また、コンデンサ34を接続することにより、第1の電源線2、第2の電源線3間に生ずる電圧変動の影響を軽減しているので、各発光素子の発光光量に差のない構成とすることができる。
図6は、本発明に係る他の実施形態を模式的に示す説明図である。図6において、ラインヘッド10dには、1ラインに複数の発光素子Eaを配列し、電源(VDD)側の給電点6a、6bに接続される第1の電源線2aと、接地(GND)側の給電点7a、7bに接続される第2の電源線3aとの間に前記各発光素子Eaを接続する。そして、前記一方の給電点6a、6bの位置と、他方の給電点7a、7bの位置がラインの両側になるように設けている
また、ラインの長手方向に沿って、電源側の第3の電源線2bと接地側の第4の電源線3bを配線する。第3の電源線2bと接地側の第4の電源線3bには、それぞれ複数の第2の給電点6c、6d、7c、7dを接続する。これらの第2の給電点6c、6d、7c、7dは、第1の電源線2a、第2の電源線3aに接続される。9a、9bは、第2の給電点6c、6dと第1の電源線2aとの接続部が第2の電源線3aと交差する部分に設けられている絶縁部である。
電源側の第3の電源線2bと接地側の第4の電源線3b間にコンデンサ34を接続する。このため、第3の電源線2b、第4の電源線3b間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また、第3の電源線2b、第4の電源線3b間に過電圧が印加された場合の損壊から発光素子を保護することができる。なお、第1の電源線2aと第2の電源線3aとの間にコンデンサ34を接続する構成とすることもできる。この場合には、第1の電源線2a、第2の電源線3a間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減する。また、過電圧から発光素子を保護することができる。
図7は、図6に対応する回路図である。前記のように、第1の電源線2aにおける第1の給電点6a、6bと、第2の電源線3aにおける第1の給電点7a、7bの位置は、それぞれラインの両端に形成されている。また、ラインの長手方向に沿って、電源側の第3の電源線2bと接地側の第4の電源線3bを配線する。
電源側の第3の電源線2b、接地側の第4の電源線3bには、それぞれ給電点を設ける。電源側の第3の電源線2bには、第2の給電点6c、6dを設ける。また、接地側の第4の電源線3bには、第2の給電点7c、7dを設ける。電源側の第2の給電点6c、6dは、第1の電源線2aに接続する。さらに、接地側の第2の給電点7c、7dは、第2の電源線2aに接続する。なお、電源側の第1の電源線2aと電源側の第3の電源線2bは、同じ電源としても良く、異なる電源とすることもできる。
このように、図6、図7の例では電源線の給電点をラインの両側に設けると共に給電点の数を増加させているので、各発光素子に対する電源線の電位変動の影響を抑制することができる。このため、1ラインに配列された発光素子の発光光量には差が無いことになり、発光素子の寿命にバラツキが生じない。また、印字品質の向上を図ることができる。なお、図6、図7において、第1の給電点は図18、図20と同様にラインの一方端部にのみ設ける構成とすることもできる。
また、第2の給電点を図6、図7では電源側、接地側とも2個所設けているが、第2の給電点は1個所とすることもできる。さらに、第2の給電点は、電源側、接地側で同じ数を同じ位置に設定する必要はなく、異なる数で異なる位置に千鳥状に配置することもできる。このように、第2の給電点の位置や数は任意に設定することができる。なお、第2の給電点を、図6、図7に示したラインの両端に設けられている第1の給電点6a、7a、6b、7bの近傍に設けても良い。
この場合にも、第2の給電点は電源側の第1の電源線2および接地側の第2の電源線3にそれぞれ接続される。このように第2の給電点を設置することにより電源線の電圧降下の影響がより小さくなる。このため、各発光素子に印加される電圧に差がなくなるので、発光光量を均等にすることができる。
このように、図6、図7の例では、図20に示した従来例の給電点の配置例と比較して、発光素子の第1の電源線2に対する接続点の位置による印加電圧の差を小さくすることができる。また、コンデンサ34を接続することにより、第3の電源線2b、第4の電源線3b間に生ずる電圧変動の影響を軽減しているので、各発光素子の発光光量に差のない構成とすることができる。さらに、コンデンサ34を第1の電源線2aと第2の電源線3aとの間に接続した場合には、第1の電源線2と第2の電源線3aとの間に生ずる電圧変動の影響を軽減することができる。
図8は、本発明に係る他の実施形態を示す回路図である。図8において、ラインヘッド10eは、第1の電源線2と、第2の電源線3間に発光素子E1、E2・・・を接続して発光素子ライン1を形成する。第1の電源線2と第2の電源線3間の接続部Ja−Jbに接続される発光素子E1には、擬似発光素子Exを並列に接続する。また、第1の電源線2と第2の電源線3間の接続部Ka−Kbに接続される発光素子E2には擬似発光素子Eyを並列に接続する。
発光素子E1、E2・・・のドライブトランジスタTr2はPチャンネルトランジスタで構成し、擬似発光素子Ex、Ey・・・のドライブトランジスタTr3はNチャンネルトランジスタで構成する。このように、発光素子E1、E2・・・のドライブトランジスタと、擬似発光素子Ex、Ey・・・のドライブトランジスタを相補性のあるトランジスタ、すなわち、伝導層の極性が異なるトランジスタで構成すると、ゲート線Gaに同一信号を供給した場合に、発光素子E1、E2・・・と擬似発光素子Ex、Ey・・・の動作は反対になる。
例えば、ドライブトランジスタTr2をオンにする信号を供給した場合には、発光素子E1、E2・・・が発光する。この場合には、ドライブトランジスタTr3はオフとなり、擬似発光素子Ex、Ey・・・は発光しない。また、擬似発光素子Ex、Ey・・・が発光する場合には、発光素子E1、E2・・・は発光しない。このように、発光素子および擬似発光素子の点灯を制御する一対のドライブトランジスタは、伝導性の極性を反対極性とすることにより、同一信号で両トランジスタを相互にオンオフ制御できる。このため、トランジスタの制御信号の形成が簡単になる。
このように、点灯パターンの形状により発光しない発光素子に並列に接続されている擬似発光素子は発光し、発光する発光素子に並列に接続されている擬似発光素子は発光しない。このため、各発光素子が接続されている電源線2、3間の接続部に流れる電流の総和は、いずれの接続部においても一定となる。したがって、発光パターンに拘わらず各発光素子が接続されている接続部間の電源線の電位は変動しない。このため、発光素子の点灯状態に応じた発光光量のむらは発生しないので、印字品質が向上し、寿命のばらつきも抑制される。
擬似発光素子Ex、Ey・・・は、発光素子E1、E2・・・と同じ特性の発光素子を用いても良い。この場合には、擬似発光素子Ex、Ey・・・を点灯した場合の光が外部に漏れないようにマスキング処理を行う。また、図8において、発光素子E1、E2・・・のドライブトランジスタTr2をNチャンネルトランジスタで、擬似発光素子Ex、Ey・・・のドライブトランジスタTr3をPチャンネルトランジスタで構成することもできる。
さらに、ドライブトランジスタTr2、Tr3を共にNチャンネルトランジスタ、またはPチャンネルトランジスタで、すなわち、一対の制御トランジスタの伝導層の極性を同一の極性で構成することもできる。この場合には、各ドライブトランジスタTr2、Tr3のゲート線を分離して、一方がオンの場合には他方をオフとするように、反対極性の信号を各ドライブトランジスタTr2、Tr3のゲートに供給する。
図8の例においても、電源側の第1の電源線2と接地側の第2の電源線3との間にコンデンサ34を接続する。このため、第1の電源線2、第2の電源線3間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また。過電圧による損壊から発光素子を保護することができる。コンデンサ34に関して、電源側の第1の電源線2と接地側の第2の電源線3との接続位置は、前記のように任意の位置とすることができる。
図9は、本発明の他の実施形態を部分的に示す回路図である。図9(a)のラインヘッド10fの発光素子ライン1yは、図19で説明したように、制御トランジスタTr1には、ゲートの信号線4とドレインの信号線5が配線されている。また、ドライブトランジスタTr2のドレインは前記のように第1の電源線2に接続されており、そのゲートには制御トランジスタTr1のソースが接続されている。
前記発光素子E1側の制御トランジスタTr1におけるドレインの信号線5を分岐して分岐線5aを形成する。この分岐線5aには、インバータ9を接続する。インバータ9の出力信号は、擬似発光素子Ex側の制御トランジスタTr1のドレインに供給される。したがって、このようなインバータ9を用いることにより、発光素子E1と擬似発光素子Exとを相補的に動作させることができる。この場合には、発光素子E1側と擬似発光素子Ex側の制御トランジスタTr1の各ドレインに同じ信号を供給すれば良いので制御回路の構成が簡単になる。
図8、図9(a)の構成では、擬似発光素子を点灯させる構成としているので、擬似発光素子の光を遮蔽する必要がある。このため、ラインヘッドの構成が複雑になるという問題がある。図9(b)は、このような問題に対処するための改良例を示す回路図である。図9(b)のラインヘッド10gの発光素子ライン1zは、擬似発光素子に代えて抵抗Rを接続するものである。ここで、抵抗Rは発光素子E1と同じ電流が流れるように抵抗値が設定される。抵抗Rは、例えば発光素子E1と同じ基板上に導電層を積層して形成することができる。図9(b)の構成では、擬似負荷から発光される光の遮蔽が不要になるという利点がある。
このように、図8、図9に示した本発明の実施形態においては、擬似発光素子または抵抗のような擬似負荷を発光素子と並列に電源線間に接続している。このため、各発光素子が接続されている接続部の電源線間に流れる電流の総和はいずれの接続部でも同じになる。このため、各接続部間の印加電圧が等しくなり、各発光素子の発光光量を均等にすることができる。
図10は、本発明の実施形態を示す説明図である。図10(a)はラインヘッド10hの平面図、図10(b)は側面図である。図10において、30は基板、2aは基板上に配線される電源線、20は防湿板、21、23は防湿板20の下側に配線される補助電源線である。防湿板20は、基板30に形成される有機EL素子を保護するものである。なお、基板上には、電源(VDD)側、および接地(GND)側にそれぞれ電源線が形成されている。
補助電源線21は電源(VDD)側、補助電源線23は接地(GND)側に配線される。22a〜22nは、補助電源線21の給電点、24a〜24nは、補助電源線23の給電点である。防湿板20に形成されている前記各給電点22a〜22n、24a〜24nは、基板30側に配線された電源線の各給電点と接続部材31により電気的に接続される。図示を省略しているが、基板30に配線される電源側および接地側電源線の間には、図1で説明したような電圧変動抑制用のコンデンサが接続される。また、防湿板20に配線される補助電源線21、23間にも、同様のコンデンサを接続することができる。この場合には、基板30側に配線された電源線、および防湿板20側に配線された補助電源線の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減することができる。また、過電圧から発光素子を保護することができる。
図10の構成では、給電点の数が増加しているので、1ラインのどの位置に配列された発光素子に対しても、電源線の電圧変動の影響を抑制することができる。したがって、1ラインに配列された発光素子の発光光量に差がない構成とすることができる。接続部材31は、例えば導電性粒子からなる接着材を用いることができる。このように、導電部材31を接着材で構成しているので、電源線の各給電点と補助電源線の各給電点との接続を強固にすることができる。
基板30に配線されている電源(VDD)側の電源線は、隔壁材などで被覆されている。このため、例えばコンタクトホールを形成してこの中に前記接続部材31を挿入することにより、基板30側の給電点と防湿板20側の給電点とを電気的に接続することができる。図10の例では、本来部材が設けられておらず空きスペースとなっている防湿板20に補助電源線21、23を配線しているので、スペースの有効利用が図れる。
また、防湿板20に多数の給電点22a〜22n、24a〜24nを設けて、基板30側の各給電点と接続部材31により電気的に接続している。このように給電点の数を増加させているため、各発光素子に対する電源線の電圧変動の影響が抑制され、発光光量に差がなくなる。また、補助電源線21、23は防湿板20に幅広の面状に形成されている。このため、抵抗値を下げることができる。さらに、例えば不透明材料で補助電源線21、23を形成すると、発光素子から像担持体とは反対方向へ迷光が放射されることを防止することができる。
図11は、本発明の他の実施形態にかかるラインヘッド10iを示す説明図である。図11において、ラインヘッド10iには、主走査方向(Y方向)に多数の発光素子Eaを配列した発光素子ライン1aを設ける。この発光素子ラインは、副走査方向(X方向)に複数行(ライン)形成される。この例では、1a、1b、1c、1dの4ライン設けられている。
図11の例では、発光素子ライン1bは予備動作用の発光素子ラインとして形成されており通常は使用されない。通常の印字処理で使用される通常動作用の発光素子ライン1aのいずれかの発光素子Eaが故障した場合には、詳細を後述する切り替え手段により予備動作用の発光素子ライン1bを使用する。発光素子ライン1c、1dは、例えば多重露光を行う場合に使用することができる。図11の例においても、各発光素子ライン1a〜1dの電源側の電源線と、接地側の電源線の間に電圧変動抑制用のコンデンサを接続する。この場合には、電源線間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減し、また、過電圧から発光素子を保護することができる。
本発明のラインヘッドにおいては、予備動作用として設けられる発光素子ラインは1ラインのみに限定されるものではない。発光素子ライン1cを発光素子ライン1dの予備動作用として形成することもできる。また、図11の例では発光素子ラインを副走査方向に4行形成しているが、発光素子ラインを2行形成し、一方の1ラインを通常動作用の発光素子ライン、他方の1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして切り替えて使用する構成とすることもできる。なお、多重露光用のラインヘッドにおいては、通常動作用の発光素子ラインは任意数のラインを形成することができる。
このように、図11の例においては、ラインヘッドの副走査方向に2行以上の複数ラインの発光素子ラインを設け、その中の少なくとも1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして形成することができる。その形態は、前記のように、2ラインの発光素子ラインを通常動作用の発光素子ラインと予備動作用の発光素子ラインに区分して形成する場合、3ライン以上の複数ラインで発光素子ラインを形成し、その中の少なくとも1ラインを予備動作用の発光素子ラインとして使用する場合が含まれる。後者の場合には、予備動作用の発光素子ラインは2ライン以上形成することもできる。
図12は、本発明の他の実施形態を示す回路図である。ラインヘッド10jには、発光素子ライン1a、1bが設けられている。発光素子ライン1aには、例えば有機EL素子を用いた発光素子D00〜D23が配列されている。また、発光素子ライン1bにも、有機EL素子を用いた発光素子D50〜D73が配列されている。2は電源(VDD)側の給電点6a、6bに接続される第1の電源線、3x、3yは接地(GND)側の給電点7a、7b(7bは図示を省略している)に接続される第2の電源線である。
8は切り替えスイッチで、接触子8cが接点8a側に投入されている場合には、第1、第2の電源線2、3x間に直流電圧が印加されて発光素子ライン1aの各発光素子D00〜D23が点灯動作する。また、切り替えスイッチ8の接触子8cが接点8b側に投入されている場合には、第1、第2の電源線2、3y間に直流電圧が印加されて発光素子ライン1bの各発光素子D50〜D73が点灯動作する。
第1、第2の電源線2、3xにそれぞれ接続線40a、40bを接続し、その端子32a、33aに電圧変動抑制用のコンデンサ34aを接続する。また、第1、第2の電源線2、3yにそれぞれ接続線40x、40yを接続し、その端子32b、33bに電圧変動抑制用のコンデンサ34bを接続する。この場合には、電源線間の電圧変動による発光素子の発光光量に対する影響を軽減し、また、過電圧から発光素子を保護することができる。
発光素子ライン1aは通常動作用に設けられており、発光素子ライン1bは予備動作用に設けられている。発光素子ライン1aの発光素子D00〜D23のいずれかに故障が発生した場合には、前記切り替えスイッチ8により発光素子ライン1bの各発光素子D50〜D73に電圧を印加して発光動作を行わせる。このように、図12の例では、各発光素子ラインの発光素子のカソード側が共通に接続される電源線3x、3yを切り替えスイッチ8で切り替えることにより、発光素子ラインを切り替えている。
この際に、第1の電源線2は各発光素子ラインの発光素子のアノード電極に共通して接続されている。図12の例では、一方の電源線2は2ラインの発光素子ラインで共通に接続した状態を維持し、他方の電源線3x、3yのみを切り替えている。このため、両方の電源線を共に切り替える場合と比較して、切り替え手段の構成を簡略化することができる。また、切り替え動作を円滑に行うことができる。
切り替えスイッチ8は、図12に示されているような機械的なスイッチの外に、トランジスタなどの電子的スイッチを用いる構成とすることができる。また、発光素子ライン1a、1bの一方を通常動作用、他方を予備動作用とするものであり、発光素子ライン1bを通常動作用、発光素子ライン1aを予備動作用として用いることもできる。なお、切り替え手段をスイッチングトランジスタで構成した場合には、発光素子ラインの切り替えを精度良く素早く行うことができる。
上記の説明は、モノクロプリンタのような画像形成装置に使用されるラインヘッドを対象としている。しかしながら、本発明においては、4サイクルカラープリンタや、タンデム方式のカラープリンタにも当該ラインヘッドは当然適用されるものである。これらのカラープリンタにおいては、本発明の構成とすることにより、ラインヘッドに配列された各発光素子における発光光量のばらつきを抑制することができる。また、発光素子を過電圧から保護することができる。
図16は、発光素子として有機ELを用いた画像形成装置の一例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。図16に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のような有機ELアレイ露光ヘッド(ラインヘッド)101(K、C、M、Y)が設けられている。
また、この有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
ここで、各有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)は、有機ELアレイ露光ヘッド101(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
なお、図16中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
このように、図16の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。
次に、本発明に係る画像形成装置に係る他の実施の形態について説明する。図17は、画像形成装置の縦断側面図である。図17において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機ELアレイが設けられている像書込手段(ラインヘッド)167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機ELアレイが設けられている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
以上、本発明のラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明した。本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
1・・・発光素子ライン、2・・・第1の電源線、3・・・第2の電源線、4、5・・・信号線、6、7・・・給電点、8・・・切り替えスイッチ、9・・・インバータ、10、10a〜10j・・・ラインヘッド、34・・・コンデンサ、41(K、C、M、Y)・・・感光体ドラム(像担持体)、42(K、C、M、Y)・・・帯電手段(コロナ帯電器)、44(K、C、M、Y)・・・現像装置、45(K、C、M、Y)・・・一次転写ローラ、46(K、C、M、Y)・・・クリーニング装置、50・・・中間転写ベルト、66・・・二次転写ローラ、101K、101C、101M、101Y・・・有機ELアレイ露光ヘッド(ラインヘッド)、161・・・現像装置、165・・・感光体ドラム、167・・・露光ヘッド(ラインヘッド)、169・・・中間転写ベルト、171・・・二次転写ローラ、P…記録媒体、Ea・・・有機EL素子、E1、E2・・・発光素子、Ex、Ey・・・擬似発光素子、R・・・抵抗、Tr1・・・制御トランジスタ、Tr2、・・・ドライブトランジスタ、