JP2005146485A

JP2005146485A - 衣料用布帛及びスポーツ用衣類と肌着

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Publication number: JP2005146485A
Application number: JP2003389189A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Matsuzaki; 健松崎; Yoshimori Takashima; 嘉守高島
Original assignee: Mizuno Corp
Current assignee: Mizuno Corp
Priority date: 2003-11-19
Filing date: 2003-11-19
Publication date: 2005-06-09
Anticipated expiration: 2023-11-19
Also published as: JP3954559B2

Abstract

【課題】発汗したときに汗が衣類の外側に移動しやすいうえ乾燥しやすく、ベタツキも軽減され、かつ清涼感もある衣料用布帛及びスポーツ用衣類と肌着を提供する。
【解決手段】表面と裏面で形成されている編物又は織物からなる衣料用布帛であって、表面は主としてポリエステル繊維糸(1)等の疎水性繊維糸で形成され、裏面は主として親水性化合繊繊維糸(2)とポリエステル繊維糸(1)で形成され、表面と裏面に存在するポリエステル繊維糸(1)は、繊維表面に親水性樹脂が固着されている。裏面の親水性化合繊繊維糸(2)とポリエステル繊維糸(1)の存在割合は、親水性化合繊繊維糸(2)が２５〜７５質量％の範囲、ポリエステル繊維糸(1)が２５〜７５質量％の範囲が好ましい。
【選択図】図３

Description

本発明は、スポーツなどの発汗時に着心地のよい衣料用布帛及びスポーツ用衣類と肌着の改良に関する。

わが国の夏は高温多湿で蒸し暑く、発汗するとスポーツ衣類や肌着などの衣類は濡れて着心地が悪化する。従来からスポーツ衣類や肌着には、コットンなどのセルロース系繊維が使用されているが、セルロース系繊維は発汗により吸水すると乾燥しにくく、ベタツキ感があり、必ずしも着心地がよいものではない。これを改良するため、疎水性繊維の代表であるポリエステル繊維を用いたスポーツ衣類や肌着も存在するが、汗をまったく吸わないため、発汗しても衣類の外側に汗を移動する作用が乏しく、汗が肌に残り、ベタツキ、着心地はあまりよいものではない。ポリエステルとコットンの混紡品も存在するが、コットンを使用する限り乾燥しにくい点は改善されない。また、ナイロン繊維を使用した衣類も存在するが、ナイロンは本質的に親水性であり、発汗により繊維が吸水するとベタツキ、着心地はあまりよくない。

前記の問題を解決するため、本発明者は下記特許文献１において、エチレンビニルアルコール繊維とコットン紡績糸とを合撚した合撚糸を用いた清涼感のある衣類を提案した。
特開２００１−２９５１５８号公報

しかし、前記従来の衣類は、発汗したときにベタつくという問題は依然として改善が不十分であり、着用者から着心地をさらに改良することが求められている。

本発明は、前記従来の問題を解決するため、発汗したときに汗が衣類の外側に移動しやすいうえ乾燥しやすく、ベタツキも軽減され、かつ清涼感もある衣料用布帛及びスポーツ用衣類と肌着を提供することを目的とする。

本発明の衣料用布帛は、表面と裏面で形成されている編物又は織物からなる衣料用布帛であって、前記表面は主として疎水性繊維糸で形成され、前記裏面は主として親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸で形成され、前記裏面に存在するポリエステル繊維糸は、繊維表面に親水性樹脂が固着されていることを特徴とする。

本発明のスポーツ用衣類は、前記の衣料用布帛によって形成されたスポーツ用衣類であって、裏面の親水性面が肌側となり、表面の疎水性面が外気側となるよう構成されている。

本発明の肌着は、前記の衣料用布帛によって形成された肌着であって、裏面の親水性面が肌側となり、表面の疎水性面が外気側となるよう構成されている。

本発明は、表面と裏面で形成されている編物又は織物からなる衣料用布帛であり、表面（外気側）は主としてポリエステル繊維糸のような疎水性繊維糸で形成され、裏面（肌側）は主として親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸で形成され、前記表面と裏面に存在するポリエステル繊維糸は、繊維表面に親水性樹脂が固着されていることにより、発汗したときに汗が衣類の外側に移動しやすいうえ乾燥しやすく、ベタツキも軽減され、かつ清涼感もある衣料用布帛及びスポーツ用衣類と肌着を提供できる。

本発明は、裏面（肌側）が２種類以上の繊繊維糸で形成されている編物又は織物からなる衣料用布帛である。布帛は、緯編、経編又は織物生地で構成される。編物組織、織物組織はどのようなものであってもよい。さらに、汗などの水分を表面に移動させ易く、肌面に水分が残りにくくするためには、表・裏の２層構造が好ましい。２層構造にするには、例えば種類の異なる２本の糸を引き揃えて、どちらかの糸が常に一方の面に現れるように編み機に供給する方法や、ジャカード組織を用いた方法により得られる。また、他の構成としては、例えばハーフトリコット編のように、裏面に使用する糸の一部が表面に出現するような組織も可能である。

編組織としては、緯編では天竺編（平編）、鹿の子、添糸編、パイル編、ゴム編（リブ編）、パール編（ガータ編）、片畦編、両畦編、両面編等が使用でき、経編ではトリコット編、ハーフトリコット編、ラッシェル編などが使用できる。織物の場合は、平織り、綾織、朱子織などの一般的な組織を使用できる。

表面に使用する糸としては主として疎水性繊維、例えばポリエステル繊維糸、綿／ポリエステル繊維混紡糸であったり、あるいは前記のように裏面を構成している糸の一部が表面に出現していてもよい。表面に疎水性繊維が多く存在すると、水分を効率よく拡散し、乾燥性も良好である。

裏面は主として親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸で形成され、好ましい存在割合は、親水性化合繊繊維糸が２５〜７５質量％の範囲、ポリエステル繊維糸が２５〜７５質量％の範囲である。

本発明において、「主として」とは、約７０質量％以上をいう。

前記表面と裏面に存在するポリエステル繊維糸は、繊維表面に親水性樹脂が固着されている。前記繊維表面に付与された親水性樹脂が、親水性ウレタン樹脂、親水性ポリエステル樹脂及び親水性ビニル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。また、前記親水性樹脂には、分子内にカルボキシル基、オキシアルキレン基又はアミド基基を有し、末端に、ビニル基、エポキシ基又はイソシアネート基を含むことが好ましい。

前記親水性樹脂は、布帛形成後の後処理によって固着されているのが好ましい。前記親水性樹脂が固着されたポリエステル繊維の吸湿率が、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨのとき、０．３〜１．５％の範囲であることが好ましい。

本発明において、親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸は、フィラメント糸及び紡績糸から選ばれる少なくとも一方であってもよいが、ともにフィラメント糸であることが好ましい。水分の拡散性を高めるためである。

前記親水性化合繊繊維の吸湿率は、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨのとき、１．５〜６．５％の範囲であることが好ましい。吸汗性をよくするためである。

前記親水性化合繊繊維は、エチレンビニルアルコール繊維、レーヨン及びアセテートから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。

次に図面を用いて説明する。図１Ａ−Ｃは本発明における一実施形態の横編物の裏面の編み立て図であり、Ａは平編、Ｂはゴム編、Ｃはパール編を示している。図２は経編物の裏面の編み立て図である。図１〜２において、１はポリエステルマルチフィラメント糸、２はエチレンビニルアルコール繊維（親水性化合繊繊維糸）のマルチフィラメント糸である。

次に図３は、本発明の一実施形態における横編物の断面図である。矢印Ｘ側が外気側、矢印Ｙ側が肌側である。外気側Ｘにはポリエステルマルチフィラメント糸１が配置され、肌側Ｙにはポリエステルマルチフィラメント糸１とエチレンビニルアルコール繊維からなるマルチフィラメント糸２が配置されている。そして、編物を形成した後に表面と裏面に存在するポリエステル繊維糸には、親水性樹脂が固着されている。

図４は本発明の一実施形態における２層構造横編物（リバーシブル天竺）の編み立て図である。１はポリエステルマルチフィラメント糸、２はエチレンビニルアルコール繊維（親水性化合繊繊維糸）のマルチフィラメント糸である。給糸はイ、ロ、ハの順番に供給され、再びイに戻って編成される。裏面側にはエチレンビニルアルコール繊維が６７％の割合で露出される。

このように構成することにより、肌側には繊維の分子構造が親水性の繊維糸（例えばエチレンビニルアルコール繊維）が配置されているので清涼感が発揮できる。また、表面と裏面に存在するポリエステル繊維糸は、繊維表面に親水性樹脂が固着されていることにより、発汗したときに汗が衣類の外側に移動しやすいうえ乾燥しやすく、ベタツキも軽減される。

以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。

まず、下記の実施例における布帛の接触時移動熱量と湿潤摩擦力の測定方法を説明する。
（１）接触時移動熱量
試験条件として、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨのときの生地の熱伝導性の効果を検証するため、サーモラボII（カトーテック（株）製）を用いて、縦：１０ｃｍ、横：１０ｃｍ、高さ：１０ｃｍの断熱性の高い発泡スチロール製ブロックの上に１０ｃｍ×１０ｃｍの試料片を乗せ、その上から更に縦：１０ｃｍ、横：１０ｃｍの熱源板で４０℃に熱した熱源を乗せる。この時、前記熱源から試料片に移動する熱量を接触時移動熱量として測定した。接触時移動熱量は、その値が高いほど、熱伝導性が高く、衣服内の熱を衣服外に速やかに伝導することにより放熱し、対応上昇に伴う衣服内の温度上昇を抑えることができるので、接触冷感に優れているといえる。
（２）湿潤摩擦力
湿潤摩擦力を測定するため、直径５ｃｍの金属製ローラーに試料片を接触させ、ローラーを回転させたときの抵抗力を湿潤状態について測定する。この際、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨの試験環境下において、試料片の大きさを縦：５ｃｍ、横：２０ｃｍ、水分与量を０．５ｍｌ、ローラーの回転速度を４ｃｍ/min、荷重を３０ｇｆに設定して、摩擦抵抗を測定した。湿潤摩擦力は、その値が低いほど、発汗などにより吸水湿潤した状態においても、皮膚との摩擦抵抗が低く保たれるため、ベタツキ感が少なく、さらっとした着心地を維持することができる。

（実施例１）
ポリエステル繊維としてポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント糸（トータル繊度：７５デニール、フィラメント数：３６本）を用い、エチレンビニルアルコール繊維としてクラレ社製商品名“ソフィスタ”からなるマルチフィラメント糸（トータル繊度：７５デニール、フィラメント数：２４本）を用いた。編物組織は、横編のリバーシブル鹿の子組織とし、表面はポリエステル繊維１００質量％、裏面（肌側）はポリエステル繊維とエチレンビニルアルコール繊維を質量比で０／１００〜１００／０に変化させて製編した。編物の目付けは１９０ｇ／ｍ²とした。

得られた編物を常法に従って精練染色した。次いで下記の親水性処理用薬液に浸漬したものと未処理のものを作成した。
(1)ポリオキシエチレンジメタクリレート(新中村化学社製商品名"ＮＫエステル14G")：１０重量％
(2)過硫酸アンモン：０．１重量％
(3)水：８８．９重量％
次にマングルで絞った後（絞り率１００％）、１２０℃の高圧蒸気で３０分間処理し、その後、水洗し、乾燥した。

このようにして親水性樹脂を付加した編物と未処理の編物との接触時移動熱量と湿潤摩擦力を測定した。その結果を図５〜図６に示す。図５〜図６から明らかな通り、親水性樹脂を付加した編物では、裏面（肌側）がポリエステル繊維とエチレンビニルアルコール繊維（前記“ソフィスタ”）を質量比で２５／７５〜７５／２５の範囲が、接触したときの冷感が得られ、かつベタツキ度が低かった。

（実施例２、比較例１〜４）
実施例１中、裏面（肌側）がポリエステル繊維とエチレンビニルアルコール繊維を重量比でポリエステル繊維：エチレンビニルアルコール繊維＝３５／６５（質量比）とした以外は実施例１と同一の編物を用いた。

比較例１は、実施例２と同一の編物で親水性処理用薬液による浸漬処理をしない編物とした。

比較例２は、表面、裏面共に綿100質量%の編物とした。

比較例３は、表面、裏面共にポリエステル繊維100質量%の編物とした。

比較例４は、表面：ポリエステル繊維100質量%、裏面：エチレンビニルアルコール繊維（前記“ソフィスタ”）100質量%の編物で親水性処理用薬液による浸漬処理をしない編物とした。

以上の接触時移動熱量は、下記の表１のとおりであった。

また、湿潤摩擦力は、下記の表２のとおりであった。

次に、実施例２、及び比較例１〜３の生地でシャツを作成し、被験者10人に対して、「冷感」と「べたつき感」について、以下のアンケートを行った。
（１）冷感に関するアンケート
夏期の運動時を想定して、発汗の条件：３０℃、相対湿度７０％ＲＨ環境下で、トレッドミルによる時速６ｋｍの軽いランニングを３０分行った後のアンケートを取った。試験者は１０名である、着用直後の冷感を、”５：かなりある”、”４：ややある”、”３：普通”、”２：ややない”、”１：全くない”の５段階で評価した。結果は下記表３のとおりであった。

（２）べたつきに関するアンケート
前記着用テストにおいて、ランニングによる発汗時のべたつきを、”１：かなりある”、”２：ややある”、”３：普通”、”４：ややない”、”５：全くない”の５段階で評価した。発汗の条件：３０℃、相対湿度７０％ＲＨ環境下で、トレッドミルによる時速６ｋｍの軽いランニングを３０分行った後のアンケートを取った。結果は下記表４のとおりであった。

前記表３〜４から明らかなとおり、実施例２は、発汗時のべたつき感において、ポリエステル(比較例３)にややおよばないものの、他の素材と比べて冷感及びべたつきの双方に対して優位性を示す結果が得られた。

Ａ−Ｃは本発明の一実施形態における横編物の裏面の編み立て図であり、Ａは平編、Ｂはゴム編、Ｃはパール編を示している。本発明の一実施形態における経編物の裏面の編み立て図である。本発明の一実施形態における横編物の断面図である。本発明の一実施形態における横編物の編み立て図である。本発明の実施例１における編物の接触時移動熱量の測定結果図である。本発明の実施例１における編物の湿潤摩擦力の測定結果図である。

符号の説明

１ポリエステルマルチフィラメント糸
２エチレンビニルアルコール繊維（親水性化合繊繊維糸）のマルチフィラメント糸

Claims

表面と裏面で形成されている編物又は織物からなる衣料用布帛であって、
前記表面は主として疎水性繊維糸で形成され、
前記裏面は主として親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸で形成され、
前記裏面に存在するポリエステル繊維糸は、繊維表面に親水性樹脂が固着されていることを特徴とする衣料用布帛。
前記表面の疎水性繊維糸がポリエステル繊維糸であり、前記ポリエステル繊維の表面にも親水性樹脂が固着されている請求項１に記載の衣料用布帛。
前記親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸は、フィラメント糸及び紡績糸から選ばれる少なくとも一方の糸である請求項１又は２に記載の衣料用布帛。
前記繊維表面に付与された親水性樹脂が、親水性ウレタン樹脂、親水性ポリエステル樹脂及び親水性ビニル樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂である請求項１又は２に記載の衣料用布帛。
前記親水性樹脂には、分子内にカルボキシル基、オキシアルキレン基又はアミド基を有し、末端に、ビニル基、エポキシ基又はイソシアネート基を含む請求項４に記載の衣料用布帛。
前記親水性樹脂は、布帛形成後の後処理によって固着されている請求項１〜５のいずれかに記載の衣料用布帛。
前記親水性樹脂が固着されたポリエステル繊維の吸湿率が、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨのとき、０．３〜１．５％の範囲である請求項１〜６のいずれかに記載の衣料用布帛。
前記裏面の親水性化合繊繊維糸とポリエステル繊維糸の存在割合が、親水性化合繊繊維糸が２５〜７５質量％の範囲、ポリエステル繊維糸が２５〜７５質量％の範囲である請求項１〜７のいずれかに記載の衣料用布帛。
前記親水性化合繊繊維の吸湿率が、温度：２０℃、相対湿度：６５％ＲＨのとき、１．５〜６．５％の範囲である請求項１〜８のいずれかに記載の衣料用布帛。
前記親水性化合繊繊維が、エチレンビニルアルコール繊維、レーヨン及びアセテートから選ばれる少なくとも一つである請求項１〜９のいずれかに記載の衣料用布帛。
請求項１〜１０のいずれかに記載の衣料用布帛によって形成されたスポーツ用衣類であって、裏面の親水性面が肌側となり、表面の疎水性面が外気側となるよう構成されているスポーツ用衣類。
請求項１〜１０のいずれかに記載の衣料用布帛によって形成された肌着であって、裏面の親水性面が肌側となり、表面の疎水性面が外気側となるよう構成されている肌着。