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JP2005133149A - 電気伝導性に優れた表面処理金属材料 - Google Patents

電気伝導性に優れた表面処理金属材料 Download PDF

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隆雄 金井
Hiroshi Kanai
洋 金井
Akihiro Miyasaka
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Abstract

【課題】 抵抗溶接が可能であり、静電気防止材料、電磁波シールド材料等として利用可能な電気伝導性に優れた表面処理金属材料を提供する。
【解決手段】 金属材料の表面の少なくとも一部に、有機樹脂、無機化合物、又は、これらの複合体の少なくとも1種を主成分とする被覆層を有する表面処理金属材料であって、該被覆層中に、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有してなることを特徴とする電気伝導性に優れた表面処理金属材料である。とりわけ、微小炭素繊維として、カーボンナノチューブを用い、その含有量が被覆層全体に対する質量割合で、0.01%以上25%以下としたときに、特に優れた効果が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、家電用、自動車用、建材用等に利用される表面処理金属材料の内、特に高い電気伝導率が必要とされる表面処理金属材料に関するものである。詳しくは、抵抗溶接が可能であり、静電気防止材料、電磁波シールド材料等として利用が可能な電気伝導性に優れた表面処理金属材料に関するものである。
一般に、金属材料は、軽量で強度が高く、加工性に優れているため、さまざまな用途に用いられている。この内、表面に塗装を行った金属材料は、外観が美しく、耐食性にも優れるため、自動車、家電、建材等の分野で広く用いられている。
金属材料の塗膜として一般的に用いられているのは有機樹脂系であり、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等がよく知られている。一方で、より耐熱性が高く、化学的安定性にも優れた無機系の皮膜に対するニーズも大きく、シリカ系を始めとした塗膜が実用化されている。
しかしながら、上記の有機樹脂系塗膜、あるいはシリカ系を始めとした無機系皮膜のいずれにおいても、ほとんどの材質が1012Ω・cm以上の抵抗値を有する絶縁体であるため、表面にこれらの皮膜を形成した場合には、金属材料が本来有している電気伝導性が損なわれることが多い。
この結果、例えば、抵抗溶接性、静電気防止等の高い電気伝導性が必要とされる金属材料においては、不都合が生じる場合が多かった。
この問題に対し、塗膜の導電性を改善し、結果として鋼板全体の電気伝導性を改善する手段として、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末等を有機樹脂に添加する方法が開示され(特許文献1、及び、特許文献2、参照)、また、比表面積の大きなカーボンブラックを添加する方法が開示されている(特許文献3、参照)。
また、導電性粒子として、金属あるいは合金粉末を添加する方法が開示されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び、特許文献7、参照)。
これらの技術においては、導電性粒子としてカーボンブラック、グラファイト等の球状、平板状の炭素粉末を用いた場合、良好な導電性を確保するため、通常は質量割合で10%以上の添加量を必要としていた。この結果、添加量が多くなり、導電性以外に、樹脂が本来有している特性が失われてしまう場合が多かった。
また、好むと好まざるとにかかわらず、塗膜は黒っぽく着色する場合が多く、薄い色あるいは透明感を有したままで導電性を確保することは困難であった。
他方、金属あるいは合金系の導電性粉末を添加した場合には、少量の添加であっても塗膜の電気伝導率を改善する効果が認められるものの、金属あるいは合金系粉末は比重が大きいため、顕著な質量増加が生じるという欠点があった。
また、無機系化合物を主成分とする塗膜にあっては、電気伝導率を向上させる試みは、これまで、あまりなされていなかった。
特開昭63−83172号公報 特開平10−43677号公報 特開平7−90601号公報 特開2001−170558号公報 特開2001−172778号公報 特開2001−279468号公報 特開2001−279469号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、金属あるいは合金系粉末を添加した場合のように顕著な質量増加を伴うことなく、少量の添加物で電気伝導性が改善された被覆層を有する表面処理鋼板を得ること、すなわち、抵抗溶接が可能であり、静電気防止材料、電磁波シールド材料等として利用可能な電気伝導性に優れた表面処理金属材料を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を導電性材料として添加することによって、課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、以下のとおりである。
(1) 金属材料の表面の少なくとも一部に、有機樹脂、無機化合物、又は、これらの複合体の少なくとも1種を主成分とする被覆層を有する表面処理金属材料であって、該被覆層中に、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有してなることを特徴とする電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
(2) 前記微小炭素繊維の含有量が、被覆層全体に対して0.01〜25質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
(3) 前記微小炭素繊維の繊維径が10μm以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
(4) 前記微小炭素繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
(5) 前記金属材料がめっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材から選ばれる1種であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
本発明によれば、表面の被覆層が導電性を有することで、材料全体として導電性を有する表面処理金属板を容易に得ることができる。導電性を有する表面の被覆層に添加する導電性添加物が少量ですむため、マトリックスとなる塗膜の性状を損なうことなく、また、顕著な質量増加を伴うことなく導電性を付与することができる。
以下に、本発明の表面処理金属材料について説明する。
本発明の表面処理金属材料に形成された被覆層中には、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有している。ここで言う微小炭素繊維とは、直径が10μmを超えない繊維形状を有する炭素化合物の総称であり、繊維状であれば、いかなるものも好適に用いることができる。
繊維状炭素としてしばしば用いられるものには、炭素繊維、ウィスカー、カーボンナノチューブが挙げられる。この内、ウィスカーとは、転位をほとんど含まない単結晶材料のことを言い、炭素化合物のウィスカーとしては、カーボンウィスカー、フラーレンウィスカー等が知られている。
本発明の被覆層に含まれる微小炭素繊維として、とりわけ好ましいのは、カーボンナノチューブである。カーボンナノチューブとは、炭素原子のみから構成される直径0.4〜50nmの筒(チューブ)状物質であり、一般的には、グラファイトの六角網面の1原子層を、筒状に丸めた構造を有するものをいう。
また、カーボンナノチューブとは、せまい意味では結晶性の炭素からなるものを指すが、ここでは、周囲に非晶質状態のアモルファスカーボンが存在するものも含めて、カーボンナノチューブと呼ぶことにする。
カーボンナノチューブには、単層、二層、多層ナノチューブ等の種類があるが、本発明で用いるカーボンナノチューブは、これらの内のいずれであっても特に支障なく用いることができる。
また、製造方法として、CVD法、アークジェット法等が知られているが、本発明で用いるナノチューブは、いずれの製造方法によるものでも好適に用いることができる。これらの合成の過程で触媒等を用いた場合には、ナノチューブ内に不純物として触媒が残留していることがあるが、ナノチューブの電気伝導性には大きな影響を及ぼさないため、これらのナノチューブも好適に用いることができる。
本発明で用いる微小炭素繊維の平均アスペクト比を3以上に限定したのは、少量の添加量で優れた電気伝導性が得られるためであり、好ましくは、平均アスペクト比が5以上、より好ましくは、10以上の平均アスペクト比を有する微小炭素繊維を含有していることが好ましい。
これらの微小炭素繊維を用いることで、少ない添加量で被覆層に顕著な導電性を付与することが可能となる。これは、長手方向にのびた繊維同士が接触することにより、等方的な形状の導電性添加物より少ない添加量で電気の通る路が確保されることによると考えられる。
一方で、被覆層に含まれる微小炭素繊維の平均アスペクト比が大きすぎる場合には、繊維同士の凝集が発生しやすくなり、多くのフロックを形成して被覆層中に均一に分散させることが困難になる。これらの点から、好ましい平均アスペクト比は10000以下であり、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは3000以下である。
ここで、アスペクト比とは、繊維の長さを繊維の直径で除した値をいう。すなわち、アスペクト比が3以上の微小炭素繊維とは、微小炭素繊維であって、繊維の長さが直径の3倍以上のものをいう。
本発明では、平均アスペクト比で微小炭素繊維の性状を規定しているが、平均アスペクト比とは、微小炭素繊維の繊維長さの数平均を繊維直径の数平均で除した数値である。この場合において、種々のアスペクト比の微小炭素繊維を含んでいる場合には、まず、含まれる微小炭素繊維の平均繊維長さを求め、これを炭素繊維の平均繊維直径で除することによって平均アスペクト比を求めることができる。
また、微小炭素繊維に枝分かれ、折れ曲がり等があったり、複雑な形状をしている場合等、一本の繊維に対しても複数のアスペクト比が定義できる場合がある。この場合には、最も大きなアスペクト比となるような繊維長さと繊維直径を用いて平均アスペクト比を計算することができる。
本発明で用いる被覆層中の微小炭素繊維のアスペクト比は、原則として、添加原料として使用する微小炭素繊維の平均アスペクト比で代用することができる。
また、原料段階での微小炭素繊維の平均アスペクト比が求められない場合には、当該被覆層を溶剤等によって溶解し、あるいは薬品を用いて分解して得られた微小炭素繊維を顕微鏡によって観察した画像から、あるいはその画像を画像解析装置によって解析することにより求めることができる。
さらに簡便な方法としては、被覆層のある断面を顕微鏡によって観察し、観察される微小炭素繊維の切断面の形状から計算によって求めることができる。これらの方法で平均アスペクト比を計算する場合には、できるだけ多くの微小炭素繊維に対して行うことが望ましいが、観察できる微小炭素繊維には限界があり、少なくとも100本の微小炭素繊維の測定結果をもって、微小炭素繊維の性質として代表することができる。
本発明で用いる微小炭素繊維は、有機樹脂、無機化合物、又は、それらの複合体の少なくとも1種を主成分とする被覆層(マトリックス)中に含有されている。この内、マトリックスとなる有機樹脂、無機化合物、又は、それらの複合体の材質は、特に限定を受けるものではない。
有機樹脂としては、一般的に公知の樹脂組成物、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂塗料、アクリル系樹脂塗料、フッ素系樹脂等が好適に用いられる。
塗料として用いる場合の乾燥、硬化形式も一般に公知のものを用いることができる。例えば、メラミン硬化、イソシアネート硬化、ラジカル重合型等が好適に用いられる。また、硬化させずに単に乾燥させて得た塗膜も好適に用いることができる。
また、無機化合物の代表例としては、比較的低い温度で皮膜を形成することができるシリカ系、アルミナ系、あるいは、チタニア系等が挙げられる。通常、これらの化合物では、金属元素と酸素原子とが3次元のネットワークを形成しているか、あるいは、細かい粒子が焼結等によって結合している場合が多いが、単成分の化合物、2成分以上の複合体はもちろんのこと、この中に必要に応じて、他の金属元素あるいは微粒子状の添加物を含んでいても差し支えない。
さらには、前述の樹脂系塗料に無機成分を複合化したような混合成分系も好適に用いることができる。また、これらのマトリックス中には、必要に応じて、一般に公知の顔料、あるいは、着色、防錆等を目的とした成分を含んでいても構わない。
本発明の微小炭素繊維の含有量は、被覆層全体の質量に対する割合で、0.01%以上25%以下であるが、好ましくは、0.1%以上20%以下であり、より好ましくは、0.1%以上10%以下である。
微小炭素繊維の含有量がこれらの範囲を超えて少なすぎる場合、目的とする導電率が得られない場合が多く、逆に、含有量がこれらの範囲を超えて多すぎる場合には、マトリックスが本来有しているの種々の性質が損なわれ、また、基材と良好な密着性が得られない可能性がある。
これらの点を考慮すると、添加量はできるだけ少ない方が好ましく、必要な導電率が得られる範囲で最小限の含有量とするのが望ましい。
被覆層の厚さは特に限定を受けるものではなく、目的に応じて適宜決定すればよいが、導電率を確保する上では15μm以下とするのがよく、好ましくは10μm以下である。厚さの下限は特になく、他の特性とのバランスで決定するのが好ましい。
本発明の被覆層は、通常、金属材料表面に直接形成されているが、金属材料と被覆層との間に、例えば、密着性を確保するための処理層を設けても差し支えない。あるいは、特定の機能を持った中間層を設けることも可能である。
また、本発明で用いる被覆層表面に他の機能を有する皮膜を形成しても一向に差し支えない。ただし、材料全体としての導電性を得ることを目的とする場合には、上記中間層あるいは表面層も導電性を有する皮膜にしなければならない点には注意すべきである。
本発明の被覆層によって少なくとも一部が被覆された表面処理金属材料は、導電性を有する他、被覆部分は腐食性ガス、熱、摩擦、酸素、水、水蒸気、各種薬品等から保護されるため、外部環境の影響を受けにくい。
ここで言う金属材料とは、特に限定されるものではないが、めっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材が好ましい。
めっき鋼材としては、亜鉛めっき鋼材、亜鉛−鉄合金めっき鋼材、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼材、亜鉛−クロム合金めっき鋼材、亜鉛−アルミ合金めっき鋼材、アルミめっき鋼材、亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼材、亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼材、アルミ−シリコン合金めっき鋼材、亜鉛めっきステンレス鋼材、アルミめっきステンレス鋼材等が挙げられる。
ステンレス鋼材としては、フェライト系ステンレス鋼材、マルテンサイト系ステンレス鋼材、オーステナイト系ステンレス鋼材等が挙げられる。
チタン材、チタン合金材としては、純度の高いαチタンの他、α+βチタン、βチタン等が挙げられる。α+βチタンにはTi−6Al−4V、βチタンにはTi−15V−3Cr−3Sn−3Al、Ti−22V−4Al等の成分系があり、これらのいずれも好適に用いることができる。
アルミニウム合金材としては、JIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Ai−Zn系)等が挙げられる。
本発明で用いる金属材料の形状は、平板状のものはもちろんのこと、パイプ状、棒状、あるいは、H形、矢板のような特殊な形状であっても差し支えない。これら金属材料の厚さも特に限定されるものではなく、薄いものから厚いものまで幅広い厚さの材料に対して適用することができる。また、金属材料の表面は、ブライトアニール、バフ研磨、あるいは、ブラスト等の処理を施してあってもよい。
本発明で用いる被覆層は、一般に公知の技術を用いて形成することができる。有機樹脂、無機化合物、又は、それらの複合体の少なくとも1種を主成分とする被覆層母材(マトリックス)中に微小炭素繊維を混合する。混合には、ロールミル、ペイントシェーカー等の公知の技術を、あるいは、ボールミル、振動ミル等の粒子の微粉砕技術と組み合わせ、粉砕した微小繊維を塗料と混合する方法も好適に用いることができる。
本発明の微小炭素繊維は、マトリックスとなる皮膜中に均一に分散している状態が、最も望ましいのは言うまでもないが、必ずしも均一な分散が必要とされているものではない。本発明で用いる微小炭素繊維は、その凝集体が大きくても、塗膜の厚さより小さくなっていることが好ましい。微小炭素繊維の大きさが、塗膜の厚さより大きい場合には、塗膜表面に凝集体に起因する凹凸が発生するため、適当でない。
塗装方法としては、例えば、浸漬、はけ塗り、スプレー塗装、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装、バーコーター塗装、電着塗装、静電塗装等が挙げられる。また、被覆した塗膜層を硬化させることを目的として加熱することも可能である。
加熱方法は、一般に公知の方法、例えば、熱風加熱炉、遠赤外線炉、誘導加熱炉、直火炉等を用いることができる。また、必要に応じて、常温で乾燥する方法や紫外線、電子線による硬化方法を使用することもできる。加熱による硬化方法では、マトリックスの成分、炭素繊維の添加量等に応じて、温度を設定することができる。
上述の被覆層の形成は、加工前の金属材料の状態で行ってもよく、あるいは、所定の形状に加工した後に行うこともできる。使用目的、使用方法、使用部位等に応じて適宜決定することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
マトリックス成分としてメラミン硬化型のポリエステル樹脂、微小炭素繊維として、ILJIN社製の多層カーボンナノチューブ(CNTと略記)(直径10〜25nm、長さ1〜50μm;平均アスペクト比180)を選定し、表1に示した割合で混合して塗料を作製した。
樹脂中にCNTを混合するにあたっては、まず、鋼球製のボールを入れたボールミルを用い、数時間から24時間程度凝集体を粉砕し、その後ガラスビーズを使用してペイントシェーカーで混合した。CNTの添加量は、マトリックスの固形分全体に対する質量割合である。
作製した塗料をクロメート処理を行った0.8mm厚さの溶融亜鉛めっき鋼板に塗布、焼付けを行い、被覆層を有する亜鉛めっき鋼板を得た。塗膜の焼付けは230℃、1分間とし、形成した被覆層の厚さは約5μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、CNTは凝集体を形成していたが、凝集体の大きさは最大で4μm程度であった。
得られた表面処理亜鉛めっき鋼板について、塗膜性状の代表値として鉛筆硬度を、また、導電率の評価として直流抵抗を測定した。鉛筆硬度はJIS K 5400に規定する手かき法によって、直流抵抗は直流4端針法によって測定した。
Figure 2005133149
試験結果を表1に示した。CNTを0.01%含有することで塗膜の抵抗値は急激に減少し、添加量が1%に達するまでは徐々に減少していることがわかる。それ以上の含有量の塗膜では、低い抵抗値となっている。以上の結果より、本発明の範囲のCNTを添加した塗膜では、良好な導電率が得られていることがわかる。
一方の鉛筆硬度は、CNTの添加量にかかわらずほぼ一定で良好な特性を示しているが、CNT添加量が25%以上では硬度が低下しているのがわかる。
以上をまとめると、本発明の範囲内においては、高い鉛筆硬度と良好な導電率のいずれも得られていることがわかる。
(実施例2)
マトリックス成分としてシロキサン結合が3次元状にネットワークを形成し、側鎖及びネットワーク中にメチル基を有する有機−無機ハイブリッド材料に、微小炭素繊維として、(1)東海カーボン製カーボンウィスカー(直径0.3〜0.6μm、長さ5〜15μm;平均アスペクト比16)、(2)気相法で合成したナノファイバーA(直径200nm、長さ0.5〜5μm;平均アスペクト比3.5、6)、及び、合成条件を変えて合成したナノファイバーB(直径150nm、長さ10〜20μm;平均アスペクト比75)、(3)ILJIN社製多層カーボンナノチューブ(直径10〜25nm、長さ1〜50μm;平均アスペクト比180)、(4)シンセン・ナノテクポート社製単層カーボンナノチューブ(直径2nm、長さ1〜10μm;平均アスペクト比1200)を添加して塗料を作製した。
また、添加物を含まない塗料及び上記の炭素繊維の代わりに、カーボンブラック(40nm径、平均アスペクト比1.0)を添加した塗料を比較材として作製した。塗料の作製は、実施例1に準ずる方法で行った。微小炭素繊維の添加量は、いずれもマトリックスの固形分全体に対する質量割合で1%とした。
作製した塗料をクロメート処理を行った0.6mm厚さのステンレス鋼板(SUS430、No.4仕上げ材)に塗布、焼付けを行い、表面処理ステンレス鋼板を得た。塗膜の焼付けは250℃、1分間とし、形成した被覆層の厚さは約1.5μmである。本実施例においても、微小炭素繊維の凝集の凝集が認められたが、凝集の大きさは最大で約1μmであった。
得られた表面処理ステンレス鋼板表面の被覆層について、実施例1と同様に、鉛筆硬度と直流抵抗を測定した。結果を第2表に示す。平均アスペクト比が1の添加物(カーボンブラック)を含有する塗膜を形成した鋼板では、直流抵抗値が高く、導電性が付与されているとはいえない。一方で、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を用いた鋼板では、著しく抵抗値が減少していることがわかる。
Figure 2005133149
以上をまとめると、本発明の平均アスペクト比を有する微小炭素繊維を添加物として用いた鋼板では、少ない添加量であっても、著しい抵抗値の減少が起こり、塗膜に導電性が付与されていることがわかる。
本発明によれば、前述したように、表面の被覆層が導電性を有することで、材料全体として導電性を有する表面処理金属板を容易に得ることができる。さらに、導電性を有する表面の被覆層に添加する導電性添加物が少量ですむため、マトリックスとなる塗膜の性状を損なうことなく、また、顕著な質量増加を伴うことなく導電性を付与することができる。
この結果、本発明により、抵抗溶接が可能であり、静電気防止材料、電磁波シールド材料として使用が可能な表面処理金属材料を工業的規模で容易に得ることができる。

Claims (5)

  1. 金属材料の表面の少なくとも一部に、有機樹脂、無機化合物、又は、これらの複合体の少なくとも1種を主成分とする被覆層を有する表面処理金属材料であって、該被覆層中に、平均アスペクト比が3以上の微小炭素繊維を含有してなることを特徴とする電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
  2. 前記微小炭素繊維の含有量が、被覆層全体に対して0.01〜25質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
  3. 前記微小炭素繊維の繊維径が10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
  4. 前記微小炭素繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
  5. 前記金属材料がめっき鋼材、ステンレス鋼材、チタン材、チタン合金材、アルミニウム材、アルミニウム合金材から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気伝導性に優れた表面処理金属材料。
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