JP2005123860A - 高周波電力増幅回路および高周波電力増幅用電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】FETのチャネル部不純物濃度のばらつき、及び短チャネル効果でしきい値電圧Vth、チャネル長変調係数λがばらつくことによるバイアス点のずれを自動的に補正し高周波電力増幅特性のばらつきを減らす。
【解決手段】高周波電力増幅用トランジスタQb1,Qb2の2つの制御端子のバイアス電圧を独立に設定可能な構成にして2つの制御端子のバイアス電圧比を一定にするとともに、上記増幅用トランジスタと同一の構造で同一のチャネル長もしくはベース幅を有し同一のプロセスで形成される電流模擬用のトランジスタQg1,Qg2と、該トランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と基準となる電流Iinを電圧に変換する電流−電圧変換素子Qa1,Qa2により生成された基準電圧とを比較して上記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果もしくはアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアス発生回路を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】高周波電力増幅用トランジスタQb1,Qb2の2つの制御端子のバイアス電圧を独立に設定可能な構成にして2つの制御端子のバイアス電圧比を一定にするとともに、上記増幅用トランジスタと同一の構造で同一のチャネル長もしくはベース幅を有し同一のプロセスで形成される電流模擬用のトランジスタQg1,Qg2と、該トランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と基準となる電流Iinを電圧に変換する電流−電圧変換素子Qa1,Qa2により生成された基準電圧とを比較して上記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果もしくはアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアス発生回路を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波電力増幅回路およびこの高周波電力増幅回路を組み込んだ高周波電力増幅用電子部品に適用して有効な技術に関し、特に増幅用トランジスタがデュアルゲートもしくは直列形態のトランジスタにより構成され該増幅用トランジスタにカレントミラー方式でバイアスを与えるバイアス回路を有する高周波電力増幅回路および高周波電力増幅用電子部品に適用して有効な技術に関する。
携帯電話機等の無線通信装置(移動体通信装置)の送信側出力部には、MOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)やGaAs−MESFET等の半導体増幅素子を用いた高周波電力増幅回路(一般には多段構成にされる)が組み込まれている。
この高周波電力増幅回路は、一般に、増幅用トランジスタとそのバイアス回路などを含んだ半導体チップが、表面や内部にプリント配線が施されたセラミック基板のような絶縁基板に他の半導体チップや容量などのディスクリート部品とともに実装されて、上記プリント配線やボンディングワイヤで各部品が結合されることで一つの電子部品として構成されることが多い。この電子部品はRFパワーモジュールと呼ばれる。
ところで、携帯電話機用RFパワーモジュールに使用する半導体チップは、モジュールの高性能化と小型化を図るため高集積化が進められている。また、近年においては、高周波電力増幅特性の安定化の観点から、図11に示すように、増幅用FET Q0とゲートが共通に接続されたバイアス用FET Q1を設けて、定電流源CIからの電流を転写するFET Q3,Q4からなるカレントミラー回路によりバイアス電流Iinを生成し、このバイアス電流Iinをバイアス用FET Q1に流してカレントミラー方式で増幅用FET Q0にバイアスを与え、Q1とQ0のゲート幅の比に応じた電流Ioutを流すようにしたRFパワーモジュールに関する発明が提案されている(例えば特許文献1参照)。
かかるカレントミラー方式で増幅用FET Q0にバイアスを与えるRFパワーモジュールは、FETのしきい値電圧(Vth)がばらついても増幅用FET Q0に流れるアイドル電流が変化しないため、素子ばらつきに対する補正が不要であり、歩留まりも向上するという利点がある。なお、高周波信号が入力されないつまり無信号の状態で、カレントミラー方式で増幅用トランジスタにバイアスを与えたときに増幅用トランジスタに流れるドレイン電流を、本明細書ではアイドル電流と称する。
さらに、最近では、RFパワーモジュールの初段の電力増幅用素子に、デュアルゲート構造のFETもしくは2個の直列形態のFETを使用して、一方のゲートの電圧で相互コンダクタンス(gm)の飽和点(最大電流)を調整し、その飽和点の近傍で動作させることで、高周波増幅特性を向上させるようにした高周波電力増幅回路(図13参照)に関する発明が提案されている(例えば特願2002−357864号)。
特開2003−017954号公報
RFパワーモジュールの高周波電力増幅特性を向上させ高集積化を図る上で、増幅用FETのチャネル長を短くすることが有効である。しかしながら、FETはチャネル長が短い領域では、図12に示すように、チャネル長の僅かなばらつきによりしきい値電圧Vthとチャネル長変調係数λが大きくばらつくという現象があることが知られている。かかる現象は短チャネル効果と呼ばれている。
カレントミラー方式で増幅用FETにバイアスを与えるRFパワーモジュールでは、FETのしきい値電圧Vthやチャネル長変調係数λがばらつくと、所望の電流ミラー比が得られなくなるため増幅用FETのドレイン電流(アイドル電流)が所望の値からずれてしまい、必要な出力電力が出ないなど所望の高周波電力増幅特性が得られなくなるとともに、消費電力が増大してしまうという問題が発生する。しかるに、上記先願発明を始め従来のカレントミラー方式のRFパワーモジュールにおいては、FETの短チャネル効果によるバイアス点のずれについては何ら考慮を払っていなかった。そのため、何らかの補正対策をとらないとモジュール間の高周波電力増幅特性のばらつきが無視できないほど大きくなってしまい、安定した増幅特性が得られなくなるおそれがある。
なお、FETの短チャネル効果によるバイアス点のずれを外付けの抵抗素子を調整することで補正することも考えられる。しかし、その場合には、FETの特性を正確に測定する工程と抵抗素子を調整する工程が必要となるため、コストアップを招く。
さらに、図13に示すように、バイアス用素子と電力増幅用素子にそれぞれ2個の直列形態のFET QaとFET Qbを使用し、カレントミラー方式で電力増幅用素子にバイアスを与えるようにした高周波電力増幅回路においては、2個の直列形態のFETの一方のゲートと他方のゲートの電位差がバイアス電流Iinを抵抗R11またはR12に流すことで生成される電圧によって決まってしまう構成である。そのため、図17の様にチャネル部の不純物濃度等のばらつきによりしきい値電圧Vthがばらつくと、ドレイン電流が同一でもgmが変化して高周波電力増幅特性がばらついてしまうという課題があることが明らかになった。更に短チャネル効果により、しきい値電圧Vth、及びチャネル長変調係数λが大きくばらつくと、ドレイン電流及びgmが変化し、高周波電力増幅特性がよりばらついてしまうという課題もあることが判明した。なお、この点については、後に実施例の欄で詳しく説明する。
本発明の目的は、初段の電力増幅用素子にデュアルゲート構造もしくは直列形態のFETを使用し、カレントミラー方式で増幅用FETにバイアスを与えるようにした高周波電力増幅回路において、FETの短チャネル効果、及びチャネル部の不純物濃度ばらつき等に起因するバイアス点のずれを自動的に補正し、高周波電力増幅回路チップ間の高周波電力増幅特性のばらつきを減らすことができるようにすることにある。
本発明の他の目的は、初段の電力増幅用素子にデュアルベース構造もしくは直列形態のバイポーラ・トランジスタを使用し、カレントミラー方式で増幅用トランジスタにバイアスを与えるようにした高周波電力増幅回路において、バイポーラ・トランジスタのアーリー効果及びチャネル部の不純物濃度ばらつきによるバイアス点のずれを自動的に補正し、高周波電力増幅回路チップ間の高周波電力増幅特性のばらつきを減らすことができるようにすることにある。
本発明のさらに他の目的は、高周波電力増幅特性のばらつきが小さくかつ小型・高集積化が可能な高周波電力増幅回路およびこの高周波電力増幅回路を組み込んだ高周波電力増幅用電子部品(RFパワーモジュール)を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本発明は、初段の電力増幅用素子に2つの制御端子を有するデュアルゲート構造もしくはデュアルベース構造のトランジスタまたは直列形態のトランジスタを使用し、カレントミラー方式で増幅用トランジスタにバイアスを与える高周波電力増幅回路において、上記増幅用トランジスタの2つの制御端子のバイアス電圧を独立に設定可能な構成にして2つの制御端子のバイアス比を一定にするとともに、上記増幅用トランジスタと同一の構造で同一のチャネル長もしくはベース幅を有し同一のプロセスで形成される電流模擬用のトランジスタと、該トランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と基準となる電流(Iin)を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して上記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果もしくはアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアスを上記増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタに与えるバイアス発生回路を設けるようにしたものである。
すなわち、本発明は、初段の電力増幅用素子に2つの制御端子を有するデュアルゲート構造もしくはデュアルベース構造のトランジスタまたは直列形態のトランジスタを使用し、カレントミラー方式で増幅用トランジスタにバイアスを与える高周波電力増幅回路において、上記増幅用トランジスタの2つの制御端子のバイアス電圧を独立に設定可能な構成にして2つの制御端子のバイアス比を一定にするとともに、上記増幅用トランジスタと同一の構造で同一のチャネル長もしくはベース幅を有し同一のプロセスで形成される電流模擬用のトランジスタと、該トランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と基準となる電流(Iin)を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して上記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果もしくはアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアスを上記増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタに与えるバイアス発生回路を設けるようにしたものである。
より具体的には、デュアルゲートもしくはデュアルベースの増幅用トランジスタと同一のチャネル長もしくはベース幅を有し同一のプロセスで形成されたデュアルゲートもしくはデュアルベースの電流模擬用のトランジスタと、製造ばらつきでしきい値電圧およびチャネル長変調係数が変化しないようなチャネル長もしくは製造ばらつきでコレクタ・エミッタ間電圧に応じて実効ベース幅が変化することがないようなベース幅を有し前記電流模擬用トランジスタと直列に接続されたダイオード接続のトランジスタとを備え、該ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して、前記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果もしくはアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアスを前記増幅用トランジスタの増幅すべき信号が入力される第1ゲートもしくは第1ベースおよび電流模擬用トランジスタの対応する第1ゲートもしくは第1ベースに与える第1バイアス発生回路と、前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して前記増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタの第2ゲートもしくは第2ベースにバイアスを与える第2バイアス発生回路を設ける。
上記した手段によれば、増幅用トランジスタのチャネル長やベース幅及びチャネルの不純物濃度等がばらついても増幅用トランジスタの特性を測定したり抵抗素子を調整したりすることなく、自動的に増幅用トランジスタの増幅特性が所望の特性になるように補正したバイアス電圧を発生して増幅用トランジスタのゲートもしくはベースに供給することができる。
ここで、望ましくは、縦続接続された複数の増幅段を有し、各増幅段がそれぞれ高周波信号を増幅する電力増幅用素子と、所定の電流が流されることにより電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子とを備え、該電流−電圧変換素子により生成された電圧に対応する電圧が前記電力増幅用素子の制御端子に印加されることにより前記電流−電圧変換素子に流れる電流に比例した電流が流されるようにされた高周波電力増幅回路において、初段の増幅段の前記電力増幅用素子として、デュアルゲートのFETもしくはデュアルベースのバイポーラ・トランジスタを使用する。複数の増幅段からなる高周波電力増幅回路にあっては、初段の増幅段に最も直線性の良好な出力電力制御特性が必要とされるため、デュアルゲートのFETもしくはデュアルベースのバイポーラ・トランジスタを使用することで、出力電力レベルの低い領域までリニアな出力電力制御特性が得られ、かつ製造ばらつきによる制御特性の劣化も防止することができる。
さらに、望ましくは、出力電力制御電圧が入力される外部端子および所定の固定電位が入力される外部端子と、前記2つの外部端子に入力された電圧のいずれかを選択して前記バイアス発生回路に供給可能な切替え手段とを設け、前記切替え手段は、前記増幅用トランジスタに周波数変調された高周波信号が入力される第1モードでは第1外部端子に入力された電圧を選択し、前記増幅用トランジスタに位相変調および振幅変調された高周波信号が入力される第2モードでは第2外部端子に入力された電圧を選択するように構成する。これにより、複数の変調方式により変調された高周波信号を1つの回路ないしはモジュールにより増幅して出力することが可能になる。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、高周波電力増幅回路においてFETの短チャネル効果やバイポーラ・トランジスタのアーリー効果、及びチャネル部の不純物濃度ばらつき等によるバイアス点のずれを自動的に補正し、チップ間の高周波電力増幅特性のばらつきを減少させることができる。
すなわち、本発明に従うと、高周波電力増幅回路においてFETの短チャネル効果やバイポーラ・トランジスタのアーリー効果、及びチャネル部の不純物濃度ばらつき等によるバイアス点のずれを自動的に補正し、チップ間の高周波電力増幅特性のばらつきを減少させることができる。
また、本発明に従うと、高周波電力増幅回路の増幅用トランジスタとしてチャネル長の短いFETあるいはベース幅の薄いバイポーラ・トランジスタを積極的に使用して高周波電力増幅特性を向上させかつ小型化を図る場合にも、モジュール間の特性のばらつきを低減することができるという効果がある。
さらに、本発明に従うと、高周波電力増幅特性の制御性を向上させるとともに、高周波電力増幅回路およびそれを実装したモジュールの汎用性を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る高周波電力増幅回路の第1の実施例の概略構成を示す。特に制限されるものでないが、図1の実施例のような構成を有する高周波電力増幅回路が例えば3個縦続接続され、外付けの抵抗素子や容量素子と共にセラミック等の絶縁基板上に実装されてRFパワーモジュールが構成される(図7〜図9参照)。なお、縦続接続とは、前段の高周波出力が次段の入力端子に入力されるように接続された状態を意味する。各段の高周波電力増幅回路は、それぞれ構成としては図1のものと同じであるが、増幅用FETのサイズ(ゲート幅)は異なっており、1段目、2段目、3段目の順にサイズが大きいものが用いられる。本実施例のFETにおいては、チャネル長はゲート長と、またチャネル幅はゲート幅と等しいので、以下ゲート長とゲート幅として説明する。
この実施例の高周波電力増幅回路は、出力端子(パッド)P1と接地点GNDとの間に直列に接続されたFET Qb1およびQb2と、該FET Qb1,Qb2の基準ゲートバイアスを発生する基準バイアス回路11と、FET Qb1,Qb2に流れる電流Ioutを模擬する電流模擬回路12と、該電流模擬回路12により検出された電流Idetに基づいて上記基準バイアス回路11により生成されたバイアス電圧を補正してFET Qb1,Qb2のゲート端子に与えることでFET Qb1,Qb2のバイアス状態を補正するバイアス補正回路13とからなる。FET Qb1はそのゲート端子にバイアス電圧Vgsb1と高周波信号RFinが印加されて増幅用FETとして動作し、FET Qb2はQb1のバイアス電圧Vgsb1とは異なるバイアス電圧Vgsb2が印加されて増幅用FET Qb1のバイアス点を制御するバイアス制御用FET Qb2として動作する。
この実施例では、増幅用FET Qb1は、高周波電力増幅特性を良好にするため、ゲート長Lgが通常のFETに比べて短いFET(例えばLg=0.3μm)とされる。バイアス制御用FET Qb2はゲート長Lgが短チャネル効果を生じない例えば0.5μmのような値とされる。なお、RFパワーモジュール全体としては、後段の増幅回路ほど出力電力が大きくなるため、初段の増幅回路の増幅用FETのゲート幅Wgは例えば数mm、最終段の増幅回路の増幅用FETのゲート幅Wgは数10mm、2段目の増幅回路の増幅用FETのゲート幅Wgはそれらの中間の値とされる。
増幅用FET Qb1のゲート端子は増幅すべき高周波信号RFinが入力される外部端子(パッド)P2に接続され、バイアス制御用FET Qb2のドレイン端子は出力端子P1に接続されている。出力端子P1は、高周波成分を遮断しインピーダンス整合するためのインダクタL1を介して電源電圧端子Vddに接続されるとともに、容量C2を介して次段の増幅回路の高周波入力端子(図示省略)に接続される。チップ外部にて外部端子P1,P2に接続された容量C1,C2は高周波信号の直流成分をカットする容量素子である。この容量素子C1,C2はディスクリートの部品でもよいが、モジュールの基板を構成する誘電体層の表裏に形成された一対の導電層から構成することができる。インダクタL1も、モジュールの基板上に形成されたマイクロストリップラインにより構成することができる。
基準バイアス回路11は、ゲートとドレインが結合されたいわゆるダイオード接続のバイアス用FET Qa1と、該バイアス用FET Qa1のドレイン端子と電源電圧端子Vddとの間にQa1と直列に接続されたPチャネル型の標準MOSFET Qd1と、該MOSFET Qd1とゲート共通接続されたPチャネル型の標準MOSFET Qcと、Qd1と同一の電圧がゲートに印加された標準MOSFET Qd2と、該Qd2と直列に接続されFET Qa1と同一特性の同一サイズのFET Qa2とからなり、MOSFET Qcはゲートとドレインが結合されたダイオード接続とされることにより、QcとQd1,Qd2とがカレントミラー回路を構成している。
バイアス用FET Qa1は、図11に示されている従来のカレントミラー方式のバイアス回路において増幅用FET Q0のゲート端子にゲートが共通接続されたFET Q1に相当するFETである。本実施例では、MOSFET QcとQd1,Qd2と抵抗素子R1とにより電流制御回路が構成されている。さらに、本実施例では、特に制限されるものでないが、Qd2はQd1の2倍のゲート幅を有するようにされている。これにより、Qd2には、Qd1からQa1に流される電流Iin1の2倍の電流Iin2(=2Iin1)が流れるようにされる。
上記MOSFET Qcのドレイン端子は外部端子P3に接続された抵抗素子R1を介して接地点に接続され、この抵抗素子R1の抵抗値を設定することでQa1,Q1bに流れる電流Iin1,Iin2を所望の値に設定できるようにされている。FET Qa1,Qa2はそれに流れる電流を電圧に変換するためダイオード接続とされている。また、FET Qa1,Qa2は、特に制限されるものではないが、この実施例では、増幅用FET Qb1と同一のプロセスで形成される。これにより、素子サイズひいてはチップサイズを低減できるようにされている。具体的には、一般的なCMOSプロセスにより形成される標準MOSFET Qc,Qd1,Qd2はゲート長が2μmとされるのに対し、異なるプロセスにより形成されるFET Qa1,Qa2は図12に示されているような短チャネル効果を生じないようにそのゲート長Lgが0.5μmのような値とされる。FET Qa1,Qa2はそれに流れる電流Iin1,Iin2に2倍の差があり、同一特性であるため生成されるドレイン電圧は√2倍の差を有する。本実施例では、FET Qa1,Qa2のドレイン電圧が基準電圧Vref1,Vref2としてバイアス補正回路13に供給される。
電流模擬回路12は、増幅用FET Qb1と同一のプロセスで形成されゲート長LgがQb1と同じ0.3μmのような値とされた第1模擬用FET Qg1と、該FET Qg1と直列に接続され前記バイアス制御用FET Qb2と同一特性でゲート長LgがQb2と同じ0.5μmのような値とされた第2模擬用FET Qg2と、該FET Qg2と直列に接続された標準MOSFET Qfとから構成されている。
FET Qg1は増幅用FET Qb1とFET Qb2のドレイン電流を模擬できるようにするためFET Qb1のゲートに印加される電圧と同一の電圧が、またFET Qg2はバイアス制御用FET Qb2のバイアス状態を模擬できるようにするためFET Qb2のゲートに印加される電圧と同一の電圧が、それぞれゲートに印加される。ただし、増幅用FET Qb1に流れる電流は大きいので、増幅用FET Qb1と模擬用FET Qg1に同一の大きさの電流を流すと回路全体の消費電力が大きくなってしまうため、ゲート幅WgはQg1,Qg2の方がQb1,Qb2の数10分の1〜数100分の1となるようにされている。具体的には、数mmのゲート幅を有するFET Qb1,Qb2に対して、模擬用FET Qg1,Qg2のゲート幅Wgは数10〜百数10μm程度とされる。この模擬用FET Qg1,Qg2と直列に接続されたMOSFET Qfは、ゲートとドレインが結合されたダイオード接続とされ、電流を電圧に変換する。
バイアス補正回路13は、上記電流模擬回路12のMOSFET Qfとカレントミラー接続されたMOSFET Qe1,Qe2と、該MOSFET Qe1,Qe2とそれぞれ直列に接続されたダイオード接続のFET Qa1',Qa2'と、該FET Qa1',Qa2'のドレイン電圧と前記基準バイアス回路11のFET Qa1,Qa2のドレイン電圧Vref1,Vref2とをそれぞれ比較して電位差に応じた電圧を出力する差動アンプAMP1,AMP2とから構成されている。そして、この差動アンプAMP1の出力電圧が抵抗R2,R4を介して増幅用FET Qb1と模擬用FET Qg1のゲート端子に、また差動アンプAMP2の出力電圧が抵抗R3,R5を介してバイアス制御用FET Qb2と模擬用FET Qg2のゲート端子に供給されて、それらに流れる電流を制御する。抵抗R2〜R5および容量C3,C4は、外部端子P2に入力された高周波信号RFinが差動アンプAMP1や模擬用FET Qg1に回り込むのを防止するとともに、制御ループの発振を防止するために設けられている。
バイアス補正回路13のMOSFET Qe1,Qe2は電流模擬回路12のMOSFET Qfと所定のサイズ比とされ、模擬用FET Qg1,Qg2により模擬された電流Idetに比例した電流Iret1,Iret2がQe1,Qe2に流され、それがQa1',Qa2'によって電圧Vret1,Vret2に変換されて差動アンプAMP1,AMP2に入力される。模擬用FET Qg1は、増幅用FET Qb1と同一の特性を有するため、増幅用FET Qb1が短チャネル効果でそのしきい値がばらついてドレイン電流が所望の値からずれると、模擬用FET Qg1のドレイン電流も同じようにずれる。それがQa1',Qa2'によって電圧Vret1,Vret2に変換されて差動アンプAMP1,AMP2に入力され、基準バイアス回路11からの基準となる電圧Vref1,Vref2と比較されてそれらの電位差に応じた電圧が増幅用FET Qb1と模擬用FET Qg1のゲートおよびバイアス制御用FET Qb2と模擬用FET Qg2のゲートにそれぞれ供給される。
この実施例では、Qa1'はQa1と同一特性で同一サイズ、Qa2'はQa2と同一特性で同一サイズとされている。なお、電流Iret1,Iret2とIin1,Iin2が同一オーダの電流となるように、Qb1とQg1のサイズ比およびQe1,Qe2とQfのサイズ比が設定される。特に制限されるものでないが、この実施例では、FET Qe1とQe2のゲート幅の比は、基準バイアス回路11のFET Qd1とQd2のゲート幅の比に応じて1:2に設定されている。
差動アンプAMP1は、非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧と一致するように動作(イマジナリショート)するため、非反転入力端子への基準電圧Vref1を反転入力端子の電圧Vret1と一致させるようにフィードバックがかかり、これによって模擬用FET Qg1の短チャネル効果による電流のずれが補正される。差動アンプAMP1の出力は増幅用FET Qb1にも供給されるため、このとき同時に増幅用FET Qb1の短チャネル効果による電流のずれも補正される。同様に差動アンプAMP2も、非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧と一致するように動作するため、非反転入力端子への基準電圧Vref2を反転入力端子の基準電圧Vret2と一致させるようにフィードバックがかかる。これによってQg1の短チャネル効果により生じた模擬用FET Qg2のQg1に対するバイアス状態のずれが補正される。差動AMP2の出力は、バイアス制御用FET Qb2にも供給されるため、このとき同時にQb1の短チャネル効果により生じたQb2のQb1に対するバイアス状態のずれが補正される。
本実施例では、増幅用FET Qb1とバイアス制御用FET Qb2のゲート電圧がそれぞれ別個の差動アンプAMP1,AMP2により独立して制御されるため、増幅用FET Qb1の短チャネル効果でアイドル電流ポイントがずれたとしても、差動アンプAMP1の出力により電力増幅用FET Qb1のゲート電圧が変化して電力増幅用FET Qb1がアイドル電流を調整し、且つ、差動アンプAMP2の出力によりQb1の短チャネル効果でずれたgmの飽和点を調整し、その飽和点で動作するように自動的にバイアス状態(バイアスポイント)を補正することができる。
なお、本実施例においては、バイアス補正回路13に、FET Qa1',Qa2'に向かって微小な電流Ioff1,Ioff2を流す電流源CS1,CS2が設けられている。この電流源CS1,CS2は、電源立ち上げ時に、差動アンプAMP1,AMP2の反転入力端子の電位がフローティングになって不安定な電圧が出力されて、FET Qb1,Qb2やFET Qg1,Qg2に不要な電流が流されるのを防止するために設けられたものである。電流Ioff1,Ioff2はそれぞれ通常動作時にFET Qa1',Qa2'に流される電流Iret1,Iret2に比べて無視できる例えば10μAのような大きさに設定される。この微小電流Ioff1,Ioff2は、入力電流Iin1,Iin2が安定した後にオフされるように構成してもよい。
以下、本実施例の高周波電力増幅回路の作用を、図13に示す従来のカレントミラー・バイアス方式の高周波電力増幅回路と比較しながら詳しく説明する。
図13の高周波電力増幅回路は、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)モードかGSM(Global System for Mobile Communication)モードかを示す制御信号MODEによりスイッチSW1を切り替えてバイアス電流Iinを抵抗R11またはR12に流し、EDGEモードとGSMモードとで上段のFETと下段のFETのゲート電位差を異ならせるとともに、スイッチSW2を切り替えてGSMモードでは出力電力制御電圧Vapcに応じてバイアス電流Iinを変化させ、EDGEモードでは固定バイアス電圧Vbiasに応じた一定のバイアス電流Iinを流し、抵抗R11またはR12で生じた電位差で上段のFETと下段のFETに所望のバイアスを与えるように制御するものである。
図13の高周波電力増幅回路は、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)モードかGSM(Global System for Mobile Communication)モードかを示す制御信号MODEによりスイッチSW1を切り替えてバイアス電流Iinを抵抗R11またはR12に流し、EDGEモードとGSMモードとで上段のFETと下段のFETのゲート電位差を異ならせるとともに、スイッチSW2を切り替えてGSMモードでは出力電力制御電圧Vapcに応じてバイアス電流Iinを変化させ、EDGEモードでは固定バイアス電圧Vbiasに応じた一定のバイアス電流Iinを流し、抵抗R11またはR12で生じた電位差で上段のFETと下段のFETに所望のバイアスを与えるように制御するものである。
抵抗R11,R12はR11>R12とすることにより、R11にバイアス電流Iinが流されるGSMモードの際に増幅用FET Qbに充分な電流Ioutを流すことができるゲート電位Vgsb2を生じさせるように設定し、EDGEモードの際には、GSMモードよりもゲート電位Vgsb2を落として所望のゲインが得られるような構成とされる。GSMモードの場合の動作はシングルゲートの場合とほぼ同様であるため説明を省略し、以下、EDGEモードにおける増幅回路の動作について詳細に説明する。
まず、増幅用FET Qb1,Qb2に着目した場合、上段側のFET Qb2のゲート電位Vgsb2を調整することは、Qb1,Qb2の最大電流を制御することと等価であり、Vgsb2をある値に設定したときの下段のFET Qb1のゲート電位Vgsb1とQb1,Qb2のドレイン電流Idsとの関係は図14のようになる。また、下段のFET Qb1のgmとドレイン電流Idsとの関係を図示すると図15のようになる。
このグラフから、直列形態のFET Qb1,Qb2の電流Idsとゲート電位Vgsb2を調整すれば、いかようにもgmを調整できることが分かる。また、小信号レベルの高周波が入力される初段増幅回路のゲインは増幅用FETのgmと強い相関があるため、増幅用FETのgmを調整すれば、所望のゲイン調整を行うことができる。更に、電流Idsとゲート電位Vgsb2を調整することは、gmの飽和点を調整するのと同等であり、所望の電流ポイントにてQb1をA級動作をさせることができ、波形の歪みを小さくする観点や効率を向上させる観点からも非常に有効であることが分かる。
なお、以上のことは増幅用素子が図13のような2個の直列形態のFET Qb1,Qb2からなる場合に限らず、増幅用素子が1つのチャネルに対して2個のゲート電極がチャネル方向に並んで配置されてなる狭義のデュアルゲートのFETである場合にも言えることである。そこで、以下、狭義のデュアルゲートのFETと、2個のFET Qb1,Qb2が直列形態に接続されたものを含めてデュアルゲートFETと称して説明する。
増幅用FETにかかるデュアルゲートFETを用いカレントミラー方式でバイアスを与える図13の増幅回路においては、温度変動によってデュアルゲートFETのしきい値電圧Vthが変化しても、入力電流Iinで一義的に出力電流Iout(アイドル電流Idle)を設定することができる。また、抵抗R11,R12として外付け抵抗を用いその抵抗値を調整することにより、デュアルゲートFETのゲート端子に印加される電圧を調整して、所望の動作点(gm)で動作し所望のゲインが得られるように設定することができ、これによって初段増幅部の特性を向上させることができるようになっている。
ところが、図13の増幅回路においては、製造ばらつき(チャネル部の不純物濃度)によりデュアルゲートFETのしきい値電圧Vthがばらついた場合、Ids-gm特性は、図16のように変化する。このグラフから分かるように、Vthがばらつくと電流ポイントが一定でもgmが変化してしまい、ゲインのばらつきを招いてしまう。
一方、gmの最大点はシングルゲートと同様に最大電流(Idsmax)とgm最大時の電流(Idle)との比が重要である。つまり、Idsmaxを決めるのは第2ゲートの電位Vgsb2、Idleを決めるのは第1ゲートの電位Vgsb1であることから、結局gmにとってはVgsb1とVgsb2の比が重要である。Vgsb1とVgsb2の比を用いることでgmは以下のように記述できる。
まず、デュアルゲートのFET Qb1,Qb2のしきい値電圧をVth1,Vth2、また、ΔVgsb1=Vgsb2−Vth2、ΔVgsb2=Vgsb2−Vth2とおくと、Vth1≒Vth2の関係にあり、実際に電流を決めるのは、ΔVgsb1とΔVgsb2であるので、Vthにて正規化つまりVth1=Vth2=0とおくと、次式が導き出される。
gm?Idle:Idsmax=Vgsb1:Vgsb2=ΔVgsb1:ΔVgsb2
故に、gmを一定にするには、正規化された各ゲート電位の比が重要であるといえる。
gm?Idle:Idsmax=Vgsb1:Vgsb2=ΔVgsb1:ΔVgsb2
故に、gmを一定にするには、正規化された各ゲート電位の比が重要であるといえる。
前記の前提条件を考慮して、図13の回路でVthのばらつきを考えた場合、カレントミラー回路により規定電流ポイントはチップのばらつきに依存せず安定となるが、ΔVgsb2とΔVgsb1の比を生成するΔVgsa2,ΔVgsa1は、R3・Iinが一定であるため、差分は同じつまりΔVgsa2−ΔVgsa1=ΔVgsb2−ΔVgsb1であるが、比率は(式3)であらわされるとおり、Vtha1に依存し一定にならない。
ΔVgsb2/ΔVgsb1=(Vgsb2−Vthb2)/(Vgsb1−Vthb1) ……式(1-1)
ΔVgsa2/ΔVgsa1=(Vgsa2−Vtha2)/(Vgsa1−Vtha1) ……式(1-2)
ΔVgsb2/ΔVgsb1=(Vgsb2−Vthb2)/(Vgsb1−Vthb1) ……式(1-1)
ΔVgsa2/ΔVgsa1=(Vgsa2−Vtha2)/(Vgsa1−Vtha1) ……式(1-2)
ここで、Qa1,Qa2,Qb1,Qb2は同一特性で同一サイズの素子であることから、Vtha1≒Vtha2≒Vthb1≒Vthb2とみなすことができる。これを前提条件とすると、上式は、
ΔVgsb2/ΔVgsb1≒ΔVgsa2/ΔVgsa1
=Vgsa2/Vgsa1=1+R3・Iin/Vdsa ……式(2)
と変形することができる。そして、Qa1のゲートとQa2のドレインは結合されていることから、Vdsa=Vgsa1,Vgsa1∝Vtha1の関係が成り立つ。これより、次式
ΔVgsb2/ΔVgsb1∝(1+R3・Iin/Vtha1) ……式(3)
が得られる。
ΔVgsb2/ΔVgsb1≒ΔVgsa2/ΔVgsa1
=Vgsa2/Vgsa1=1+R3・Iin/Vdsa ……式(2)
と変形することができる。そして、Qa1のゲートとQa2のドレインは結合されていることから、Vdsa=Vgsa1,Vgsa1∝Vtha1の関係が成り立つ。これより、次式
ΔVgsb2/ΔVgsb1∝(1+R3・Iin/Vtha1) ……式(3)
が得られる。
従って、ΔVgsb2/ΔVgsb1は、Vtha1のばらつきに依存してばらついてしまうため、Qb側の動作点は変動し、所望の動作点を得られず高周波電力増幅回路のゲイン及び増幅特性を変動させてしまうという問題がある。
また、図13の増幅回路においては、高周波電力増幅特性を向上させるため、増幅用素子としてチャネル長Lgを微細化したFET(Lg=0.3μm)を下側FET Qb1に用いたとすると、図12から分かるように、プロセスのばらつきでゲート長がばらつくと、しきい値電圧Vthとチャネル変調係数λもばらつくことになる。そのため、増幅用FET Qb1のドレイン・ソース間電圧をVdsb1、バイアス用FET Qa1のドレイン・ソース間電圧をVdsa1、Qa1のゲート幅をWga、Qb1のゲート幅をWgbとおくと、Qa1の電流IinとQb1の電流Ioutとは、次式
Iout=(Wgb/Wga)・{(1+λVdsb1)/(1+λVdsa1)}・Iin ……式(4)
で表わされるような関係になる。なお、式(4)においては、Vdsa1≒Vgsa1であるが、Vdsb1≠Vgsb1つまりVdsa1≠Vdsb1であり、共にしきい値電圧Vthのばらつきの影響を受ける。また、チャネル長変調係数λもチップごとにばらつく。これより、入力電流Iinと出力電流Ioutの比は、Qb1,Qa1のゲート幅の比Wgb/Wgaのみならずチャネル変調係数λ及びVthにも依存して変動し、結果として電流ポイントが不安定となることが分かる。
Iout=(Wgb/Wga)・{(1+λVdsb1)/(1+λVdsa1)}・Iin ……式(4)
で表わされるような関係になる。なお、式(4)においては、Vdsa1≒Vgsa1であるが、Vdsb1≠Vgsb1つまりVdsa1≠Vdsb1であり、共にしきい値電圧Vthのばらつきの影響を受ける。また、チャネル長変調係数λもチップごとにばらつく。これより、入力電流Iinと出力電流Ioutの比は、Qb1,Qa1のゲート幅の比Wgb/Wgaのみならずチャネル変調係数λ及びVthにも依存して変動し、結果として電流ポイントが不安定となることが分かる。
以上のことから、図13の増幅回路においては、短チャネル効果の生じない領域では、チャネル部の不純物濃度等のしきい値電圧Vthのばらつきの影響を受けてgm飽和点が変動し、短チャネル効果の発生する領域では、更に電流ポイント(Idle)までもが変動し、結果として、所望の安定した動作点が得られなくなり、素子特性ばらつきに依存した不安定な高周波電力増幅特性となってしまう。
したがって、図13の高周波電力増幅回路においては、増幅特性の安定化の為に、定電流回路を構成する抵抗R1の定数等を微調整して所望の電流ポイントが得られるよう設定し、且つ、抵抗R12の定数等を微調整して、所望のゲート電圧比が得られるよう設定するといった煩雑なチューニングが必要であり、コストアップを招くという不具合がある。
一方、本実施例(図1)の高周波電力増幅回路においては、Qc,Qd1,Qd2からなる定電流回路において、Qcに流れる電流をIin0、QcとQd1,Qd2のゲート幅Wgc,Wgd1,Wgd2とおくと、Qa1,Qa2に流される電流Iin1,Iin2は、
Iin1=(Wgd1/Wgc)・Iin0 ……式(5-1)
Iin2=(Wgd2/Wgc)・Iin0 ……式(5-2)
で表わされるように、ゲート幅の比に応じた電流となる。
Iin1=(Wgd1/Wgc)・Iin0 ……式(5-1)
Iin2=(Wgd2/Wgc)・Iin0 ……式(5-2)
で表わされるように、ゲート幅の比に応じた電流となる。
そして、この電流Iin1,Iin2がバイアス用FET Qa1,Qa2に流されると、Q1のゲート・ソース間に、次式で表わされるような電圧Vref1,Vref2が発生する。
Vref1=Vgsa1=√(Iin1/Ka1)+Vtha1 ……式(6-1)
Vref2=Vgsa2=√(Iin2/Ka2)+Vtha2 ……式(6-2)
Vref1=Vgsa1=√(Iin1/Ka1)+Vtha1 ……式(6-1)
Vref2=Vgsa2=√(Iin2/Ka2)+Vtha2 ……式(6-2)
ここで、Ka1,Ka2はプロセス定数K0を用いてKa1=K0(Wga1/Lga1),Ka2=K0(Wga2/Lga2)で表わされる定数である。本実施例においては、FET Qa1,Qa2は同一チップ上に形成される同一の素子であるため、上式においては、Ka1=Ka2,Vtha1=Vtha2が成り立つ。そこで、それらの値をK,Vthとおくと、上式は、
Vref1=Vgsa1=√(Iin1/K)+Vth ……式(7-1)
Vref2=Vgsa2=√(Iin2/K)+Vth ……式(7-2)
となる。ここで、ΔVgsa1=Vgsa1−Vth、ΔVgsa2=Vgsa2−Vthとおくと、
ΔVgsa2/ΔVgsa1=√(Iin2/K)/√(Iin1/K)=√(Iin2/Iin1)
……式(8)
となる。
Vref1=Vgsa1=√(Iin1/K)+Vth ……式(7-1)
Vref2=Vgsa2=√(Iin2/K)+Vth ……式(7-2)
となる。ここで、ΔVgsa1=Vgsa1−Vth、ΔVgsa2=Vgsa2−Vthとおくと、
ΔVgsa2/ΔVgsa1=√(Iin2/K)/√(Iin1/K)=√(Iin2/Iin1)
……式(8)
となる。
FET Qa1,Qa2,Qb1,Qb2は同一特性の素子であることから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=ΔVgsa2/ΔVgsa1
であり、この式と上式(8)と式(5-1),(5-2)とから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=√(Wgd1/Wgd2)
となる。この式から、増幅用FET Qb1,Qb2のゲート電圧ΔVgsb1(=Vgsb1−Vth)とΔVgsb2(=Vgsb2−Vth)の比は、FET Qd1,Qd2のゲート幅の比の平方根で設定されることが分かる。
ΔVgsb2/ΔVgsb1=ΔVgsa2/ΔVgsa1
であり、この式と上式(8)と式(5-1),(5-2)とから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=√(Wgd1/Wgd2)
となる。この式から、増幅用FET Qb1,Qb2のゲート電圧ΔVgsb1(=Vgsb1−Vth)とΔVgsb2(=Vgsb2−Vth)の比は、FET Qd1,Qd2のゲート幅の比の平方根で設定されることが分かる。
実施例の増幅回路においては、FET Qa1,Qa2で発生したドレイン電圧Vgsa1, Vgsa2が基準電圧Vref1,Vref2としてオペアンプAMP1,AMP2を通じて増幅用FET Qb1,Qb2及びQg1,Qg2のゲートに供給され、これらを駆動する。これに応じてQb1,Qb2にはIoutが流れ、模擬用FET Qg1,Qg2には次式(9)の模擬電流Idetが流れる。
Idet=(Wgg/Wgb)・{(1+λVdsg)/(1+λVdd)}・Iout
……式(9)
Idet=(Wgg/Wgb)・{(1+λVdsg)/(1+λVdd)}・Iout
……式(9)
上式において、Wggは増幅用FET Qb1,Qb2のゲート幅、Wggは模擬用FET Qg1,Qg2のゲート幅、λはチャネル長変調係数、Vddは電源電圧である。
式(9)において、Vddは一定であり、VdsgもVddからQfのVf分降下した電位で一定となることから、模擬電流Idetはλに依存して変動する。そして、この模擬電流Idetは、Qf,Qe1,Qe2のカレントミラー回路を通じて所望のΔVgsb2:ΔVgsb1の比を保った電流として帰還され、Qa1',Qa2'に次式(10-1),(10-2)で示すIret1,Iret2が流入する。
Iret1=(Wge1/Wgf)・Idet ……式(10-1)
Iret2=(Wge2/Wgf)・Idet ……式(10-2)
Iret1=(Wge1/Wgf)・Idet ……式(10-1)
Iret2=(Wge2/Wgf)・Idet ……式(10-2)
電源電圧Vddが、FET Qa1',Qa2'が飽和領域で動作することができるほど充分に高ければ、帰還電流Iret1,Iret2がFET Qa1',Qa2'に流されると、Qa1',Qa2'のドレイン端子には、次式
Vgsa1'=Vret1=√{(Iret1+Ioff1)/Ka1'}+Vtha1' ……(11-1)
Vgsa2'=Vret2=√{(Iret2+Ioff2)/Ka2'}+Vtha2' ……(11-2)
で表わされる電圧Vret1,Vret2が発生する。
Vgsa1'=Vret1=√{(Iret1+Ioff1)/Ka1'}+Vtha1' ……(11-1)
Vgsa2'=Vret2=√{(Iret2+Ioff2)/Ka2'}+Vtha2' ……(11-2)
で表わされる電圧Vret1,Vret2が発生する。
Ka1',Ka2'はプロセス定数K0を用いてKa1'=K0(Wga1'/Lga1'),Ka2'=K0(Wga2'/Lga2')で表わされる定数であり、Qa1',Qa2'は同一特性の素子であるためKa1'=Ka2',Vtha1'=Vtha2'が成立するとともに、Ioff1,Ioff2はIret1,Iret2に比べて充分に小さく無視できるため、式(11-1,2)は、Ka1,Ka2をK、Vtha1,Vtha2をVthとおくと、次式
Vgsa1'=Vret1=√(Iret1/K)+Vth ……(12-1)
Vgsa2'=Vret2=√(Iret2/K)+Vth ……(12-2)
のようになる。
Vgsa1'=Vret1=√(Iret1/K)+Vth ……(12-1)
Vgsa2'=Vret2=√(Iret2/K)+Vth ……(12-2)
のようになる。
ここで、Vgsa1'−VthをΔVgsa1'、Vgsa2'−VthをΔVgsa2'とおくと、
ΔVgsa2'/ΔVgsa1'=√(Iret2/K)/√(Iret1/K)
=√(Iret2/Iret1) ……式(13)
となる。
ΔVgsa2'/ΔVgsa1'=√(Iret2/K)/√(Iret1/K)
=√(Iret2/Iret1) ……式(13)
となる。
FET Qa1',Qa2',Qb1,Qb2は同一特性の素子であることから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=ΔVgsa2'/ΔVgsa1'
であり、この式と上式(13)と式(10-1),(10-2)とから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=√(Wge1/Wge2)
となる。この式から、増幅用FET Qb1,Qb2のゲート電圧ΔVgsb1(=Vgsb1−Vth)とΔVgsb2(=Vgsb2−Vth)の比は、FET Qe1,Qe2のゲート幅の比の平方根で設定されることが分かる。従って、Qe1,Qe2のゲート幅の比とQd1,Qd2のゲート幅の比とを一致させておけば、短チャネル効果の生じる領域においても電力増幅用FETのバイアス比ΔVgsb2/ΔVgsb1が崩れることはない。そこで、この実施例では、前述したようにそれぞれの比を例えば1:2のように設定している。
ΔVgsb2/ΔVgsb1=ΔVgsa2'/ΔVgsa1'
であり、この式と上式(13)と式(10-1),(10-2)とから、
ΔVgsb2/ΔVgsb1=√(Wge1/Wge2)
となる。この式から、増幅用FET Qb1,Qb2のゲート電圧ΔVgsb1(=Vgsb1−Vth)とΔVgsb2(=Vgsb2−Vth)の比は、FET Qe1,Qe2のゲート幅の比の平方根で設定されることが分かる。従って、Qe1,Qe2のゲート幅の比とQd1,Qd2のゲート幅の比とを一致させておけば、短チャネル効果の生じる領域においても電力増幅用FETのバイアス比ΔVgsb2/ΔVgsb1が崩れることはない。そこで、この実施例では、前述したようにそれぞれの比を例えば1:2のように設定している。
この実施例の高周波電力増幅回路においては、帰還電流Iret1,Iret2によりFET Qa1',Qa2'で生成された電圧Vret1,Vret2とFET Qa1,Qa2のドレインに発生する前記基準電圧Vref1,Vref2が差動アンプAMP1,AMP2に入力され、Vret1,Vret2を基準電圧Vref1,Vref2に一致させるようにフィードバックがかかる。そのため、Qb1,Qg1のゲート長が短く設定され、短チャネル効果でチャネル変調係数λがゲート長のばらつきでばらついて、Qb1の電流Ioutが所望の値がずれたとしても、Qg1の電流Idetが同じようにずれ、それを補正するような電圧が差動アンプAMP1,AMP2からFET Qb1とQg1,Qb2とQg2のゲートに印加される。その結果、増幅用FET Qb1が増幅特性の向上のため短チャネル化されたとしても、素子ばらつきに依存しないアイドル電流IoutをQb1に流すことができるようになる。そして、そのときの増幅用FET Qb1に流れる電流Ioutと模擬用FET Qg1に流れる電流Idetとの間には、次式
Idet/Iout=Wgg/Wgb
で示されるような関係が成り立ち、Qb1,Qg1にはゲート幅の比Wgg/Wgbに応じた電流が流れる。
Idet/Iout=Wgg/Wgb
で示されるような関係が成り立ち、Qb1,Qg1にはゲート幅の比Wgg/Wgbに応じた電流が流れる。
Idetは、Qg1,Qg2,Qa1,Qa2,Qa1',Qa2'が全て同一特性、同一サイズで且つ、QcとQf,Qd1とQe1,Qd2とQe2が同一特性、同一サイズであることから、Iin0で一義的に決まり、上式は下式へと導くことができる。
Iout=(Wgb/Wgg)・Iin0
故に、Ioutの電流はIin0で一義的に決まるため、一定値を保持できる。
Iout=(Wgb/Wgg)・Iin0
故に、Ioutの電流はIin0で一義的に決まるため、一定値を保持できる。
また、短チャネル効果によってVthが変動した場合にも、ΔVgsb2/ΔVgsb1の比を、Wgd1:Wgd2=Wge1:Wge2の関係から一定値を保持できる。
ここで、本実施例の高周波電力増幅回路における素子の特性とサイズについて整理する。なお、以下に説明するFET以外のFET(Qc,Qd,Qe,QfおよびアンプAMP1,AMP2を構成するFET)に関しては、通常のCMOSプロセスで形成される素子が用いられる。また、ゲート長に関しても、これらのFETQe,Qf等において短チャネル効果が生じると、目的とするフィードバック制御そのものが破綻するので、0.5μm以上(実施例では2μm)とされる。
本実施例の高周波電力増幅回路では、模擬用FET Qg1は増幅用FET Qb1の出力電流Ioutを模擬するために設けられるため、Qb1と同一のプロセスで形成され、Qb1と同じ短チャネル効果の生じるようにゲート長もQb1と同一(0.3μm)とされる。FET Qg1のゲート幅は、Qb1と同じでは消費電流が多くなりすぎるので所望の電流値となるように、Qb1のゲート幅よりも充分に小さな例えば数10μmまたは百数10μm程度が選択される。
FET Qa1,Qa2のドレインに生じる電圧Vref1,Vref2とFET Qa1',Qa2'のドレインに生じる電圧Vret1,Vret2が差動アンプAMP1,AMP2の差動入力とされ、Vref1,Vref2を基準として増幅用FET Qb1,Qb2にて所望の出力電流Ioutを流すためのゲート電圧Vb1,Vb2を発生することから、Qa1,Qa2,Qa1',Qa2'は短チャネル効果の生じないゲート長とする必要がある。そのようなゲート長としては例えば0.5μmのような値が考えられる。また、Qa1,Qa2,Qa1',Qa2'のゲート幅は、出力電流Ioutの制御性を考慮して決定する。そのようなゲート幅としては例えば100〜200μmのような値が考えられる。
さらに、本実施例では、FET Qa1,Qa2,Qa1',Qa2'は増幅用FET Qb1と同一プロセスにより形成される素子(パワーMOS)が用いられているが、標準のNチャネルMOSFETで構成しても良い。ただし、標準のNチャネルMOSFETで構成する場合、そのゲート長がパワーMOSに比べて大きくなるため、所望の電流を流すにはゲート幅をパワーMOSで構成する場合よりも大きく設計しなければならないので、低消費電力化およびチップ面積低減の観点からは実施例のようにパワーMOSで構成するのが望ましい。
図2には、本実施例の高周波電力増幅回路と図13の従来回路において、増幅用FET Qb1としてゲート長の短いFETを使用して短チャネル効果でしきい値電圧Vthとチャネル変調係数λがばらついた場合におけるバイアス電流(入力電流)Iinとアイドル電流Ioutとの関係を示す。図2においては、本実施例の高周波電力増幅回路の特性が実線で、図13の従来の高周波電力増幅回路の特性が破線で、それぞれ示されている。図2より、本実施例の高周波電力増幅回路の方が、入出力電流特性の直線性が良好であることが分かる。
図3には、本実施例の高周波電力増幅回路と図13の従来回路において、増幅用FET Qb1としてゲート長の短いFETを使用して短チャネル効果でしきい値電圧Vthがばらついた場合、または短チャネル効果の生じない領域でチャネル部の不純物濃度等のばらつきによりVthがばらついた場合、及びその双方の相乗効果でVthがばらついた場合におけるバイアス電流(入力電流)Iinとデュアルゲートの増幅用FET Qb1,Qb2の第1ゲートと第2ゲートのバイアス比√(ΔVgsb2/ΔVgsb1)との関係を示す。図4においては、本実施例の高周波電力増幅回路の特性が実線で、図13の従来の高周波電力増幅回路の特性が破線で、それぞれ示されている。
図3より、従来の高周波電力増幅回路においては、入力電流Iinが大きくなるほどバイアス比が大きくなるとともに、しきい値電圧Vthがばらつくとそれに応じてバイアス比の傾きも変わってしまうが、本実施例の高周波電力増幅回路においては、入力電流Iinの大小にかかわらずバイアス比が一定であり、しかもしきい値電圧Vthがばらついてもバイアス比は変わらないことが分かる。
なお、図1の実施例の高周波電力増幅回路は、パワー制御端子を持たないバイアス固定の高周波電力増幅回路であるので、パワー制御は例えば外部端子P2よりも前段の回路において増幅用FET Qb1のゲート端子に入力される高周波信号RFinの振幅を出力電力制御電圧Vapcに応じて変化させるようなバイアス固定・入力可変方式で出力電力を制御するようにしたシステムに利用すると有効である。かかるシステムとしては、例えばEDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)方式やWCDMA(Wide-band Code Division Multiple Access)方式の通信が可能な携帯電話機がある。
次に、本発明に係る高周波電力増幅回路の第2の実施例を、図4を用いて説明する。図1の実施例の高周波電力増幅回路との違いは、増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタとして直列形態の2個のFET Qb1,Qb2およびQg1,Qg2の代わりにデュアルゲートのFET QbとQgを使用している点と、GSM方式とEDGE方式のいずれの通信もサポートするシステムに適用できるように構成されている点にある。
GSM方式の携帯電話機においては、高周波電力増幅回路の出力電力が出力電力制御電圧Vapcによって制御されるように構成される。EDGEモードにおいては、前記実施例のようにバイアス固定・入力可変方式で出力電力の制御を行なうことにより出力電力制御における直線性を向上させることができる。本実施例の高周波電力増幅回路は、かかるEDGEモードのバイアス固定・入力可変の出力電力制御とGSMモードにおける入力固定・バイアス可変の出力電力制御のいずれをも可能にした実施例である。
そのため、この実施例では、基準バイアス回路11のFET Qcと外付け抵抗R3が接続される外部端子P3との間に接続された電圧−電流変換用FET Qhと、該FET Qhのゲート端子に対して、GSMモードで外部から供給される出力電力制御電圧VapcまたはEDGEモードで外部から供給される固定バイアス電圧Vbiasのいずれかを選択的に供給するための切替えスイッチSW2と、外部から出力電力制御電圧Vapcを供給するための外部端子P4と、外部から固定バイアス電圧Vbiasを供給するための外部端子P5と、上記切替えスイッチSW2を切替え制御するモード信号MODEを印加するための外部端子P6とが設けられている。GSMモードでは、出力電力制御電圧Vapcに応じてFET Qc,Qhの電流Iin0を変化させることによって基準バイアス回路11からFET Qa1,Qa2に流す基準電流Iin1,Iin2を変化させ、これよって増幅用FET Qb1,Qb2に流されるアイドル電流Ioutを変化させるように構成される。
なお、切替えスイッチSW2と電圧−電流変換用FET Qhのゲート端子との間には、出力電力制御電圧Vapcと電流Iin1,Iin2との直線性を向上させるため適当な電圧変換回路を設けるようにしても良い。
図5には、GSMモードにおける基準バイアス回路11の入出力特性すなわち出力電力制御電圧VapcとFET Qa1に流される電流Iin1(Iin2)との関係が示されている。図5に示されているように、本実施例では、電流Iin1は出力電力制御電圧Vapcに応じてある電圧(開始ポイント)Vspからほぼ直線的に増加するようにされる。また、基準バイアス回路11は、外付け抵抗R1の抵抗値によって電流Iinが増加し始める開始ポイントVspが決定される。
図6は、本発明に係る高周波電力増幅回路の第3の実施例を示す。
この実施例は、図1の実施例の高周波電力増幅回路の増幅用トランジスタQb1,Qb2と模擬用トランジスタQg1,Qg2を、FETの代わりにバイポーラ・トランジスタで構成するとともに、回路全体を2つの半導体チップで構成したものである。また、電流−電圧変換用のトランジスタQa1,Qa1',Qa2,Qa2'もFETの代わりにバイポーラ・トランジスタで構成している。
この実施例は、図1の実施例の高周波電力増幅回路の増幅用トランジスタQb1,Qb2と模擬用トランジスタQg1,Qg2を、FETの代わりにバイポーラ・トランジスタで構成するとともに、回路全体を2つの半導体チップで構成したものである。また、電流−電圧変換用のトランジスタQa1,Qa1',Qa2,Qa2'もFETの代わりにバイポーラ・トランジスタで構成している。
バイポーラ・トランジスタではFETにおけるような短チャネル効果はないが、高周波電力増幅特性を向上させるために増幅用トランジスタQb1としてベースの厚みを薄くしたバイポーラ・トランジスタを用いると、ベース・エミッタ間電圧を一定に保ってもコレクタ・エミッタ間電圧が増加するに従って実効ベース幅が減少してコレクタ電流が増加するというアーリー効果が現われる。そのため、製造ばらつきで増幅用トランジスタQb1のベースの厚みがチップ毎にばらついてしまうと、アーリー効果の影響でベースのバイアス点がチップ毎にばらついて高周波電力増幅特性の安定性が図れなくなるおそれがある。
そこで、本実施例では、図1の実施例と同様に、ダイオード接続のトランジスタQa1,Qa2で基準となる電圧Vref1,Vref2を発生する基準バイアス回路11と、増幅用トランジスタQb1,Qb2と同一の特性を有し比例した電流が流れる模擬用トランジスタQg1,Qg2を含む電流模擬回路12と、検出された電流を電圧に変換して上記基準電圧Vref1,Vref2と比較して増幅用トランジスタQb1,Qb2のベース厚のばらつきで生じる電流のずれを補正するようなバイアス電圧を生成する補正回路13とを設けている。これにより、増幅用トランジスタQb1,Qb2としてバイポーラ・トランジスタを使用し、高周波電力増幅特性を向上させるために増幅用トランジスタQb1,Qb2のベース厚を薄くしたとしても、アーリー効果により生じるベースバイアス点のばらつき、及びアーリ効果以外の他の要因(チャネル部の不純物濃度等)で生じるVthばらつきからなるベースバイアス点のばらつきを小さくし、高周波電力増幅特性の安定性を向上させることができる。
また、本実施例においても、バイポーラ・トランジスタからなる増幅用トランジスタQb1,Qb2と模擬用トランジスタQg1,Qg2が、FET Qc〜Qfが形成されたバイアス制御用半導体チップ110とは別個の半導体チップ120上に形成されているため、2つの半導体チップをそれぞれ別個の最適なプロセスにより形成することで、1つの半導体チップ上に形成する場合に比べてプロセスを簡略化することができる。そのため、チップコストを下げることができるという利点がある。なお、本実施例で用いるバイポーラ・トランジスタは、シリコンチップ上に形成されたものでもよいが、増幅特性の優れたヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを用いるのが望ましい。
また、図6には、増幅用トランジスタと模擬用トランジスタとして2個のバイポーラ・トランジスタが直列形態に接続されたものが示されているが、横型バイポーラ・トランジスタでは1つのコレクタ領域と1つのエミッタ領域との間に2つのベース領域が形成されたもの、縦型バイポーラ・トランジスタでは1つのコレクタ領域内に2重構造のベース領域が形成され内側のベース領域内にエミッタ領域が形成されたもの(狭義のデュアルベース・トランジスタ)を、増幅用トランジスタと模擬用トランジスタとして使用することも可能である。本明細書では、かかる狭義のデュアルベース・トランジスタと2個のバイポーラ・トランジスタが直列形態に接続されたものを含んでデュアルベース・トランジスタと称する。
次に、本発明に係る高周波電力増幅回路の変形例について説明する。
図7は、第1の変形例を示す。この変形例は、3段構成の高周波電力増幅回路を1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成するとともに、出力電力を検出するための検出回路を設けたものである。この実施例における出力電力検出回路は、最終段の増幅用FET Qbのゲート端子に入力される電圧と同一の電圧が抵抗R6を介してゲート端子に入力されるようにされた検出用FET Qjと、該FET Qjに流れるドレイン電流を転写するカレントミラー回路15と、該カレントミラー回路15により転写された電流を電圧に変換する外付けの抵抗R7とから構成したものである。
図7は、第1の変形例を示す。この変形例は、3段構成の高周波電力増幅回路を1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成するとともに、出力電力を検出するための検出回路を設けたものである。この実施例における出力電力検出回路は、最終段の増幅用FET Qbのゲート端子に入力される電圧と同一の電圧が抵抗R6を介してゲート端子に入力されるようにされた検出用FET Qjと、該FET Qjに流れるドレイン電流を転写するカレントミラー回路15と、該カレントミラー回路15により転写された電流を電圧に変換する外付けの抵抗R7とから構成したものである。
出力電力検出用FET Qjは増幅用FET Qbと同一のプロセスで形成される同一のゲート長を有する同一特性の素子とされ、Qbよりも小さなゲート幅を有するように形成されることで、Qbの電流をゲート幅の比で比例縮小したような大きさの電流がQjに流れるようにされる。かかる電流検出方式の出力電力検出回路に関しては、本出願人によって幾つかの特許出願が既になされているので、詳細な動作については説明を省略する。
この実施例では、1段目の増幅段10Aの出力端子P11は容量C11およびインピーダンス整合回路MN1を介して2段目の増幅段10Bの入力端子P22に接続され、2段目の増幅段10Bの出力端子P12は容量C12およびインピーダンス整合回路MN2を介して3段目の増幅段10Cの入力端子P23に接続される。出力電力検出回路を構成するFET Qjとカレントミラー回路15は、3段目の増幅段10Cに対応して設けられている。
この実施例の半導体集積回路10は、直流カットの容量C11〜C13および外付け抵抗R11〜R13、インダクタL1〜L3、インピーダンス整合回路MN0〜MN3などと共にセラミックなどの絶縁基板上に実装されてモジュールとして構成される。インダクタL1〜L3やインピーダンス整合回路MN0〜MN3は、モジュールの基板上に形成されたマイクロストリップラインを用いて構成することができる。容量C11〜C13は、ディスクリートの部品でもよいが、モジュールの絶縁基板として複数の誘電体層を積層したものを用いる場合には、いずれかの誘電体層の表裏にそれぞれ対向するように形成された導電体層を電極とする容量であっても良い。初段の増幅段は、一例として図1の実施例のものを使用したが、図2の実施例(狭義のデュアルゲートFET)や図6の実施例(バイポーラ・トランジスタ)のものを使用することも可能である。
この実施例の高周波電力増幅回路は、1段目と2段目と3段目の増幅段を構成するトランジスタ素子が1つの半導体チップ上に形成されているため、他の実施例に比べてモジュールを小型化することができるという利点がある。
図8は、第2の変形例を示す。この変形例は、3段構成の高周波電力増幅回路を2つの半導体チップ110,120上に半導体集積回路として形成したものである。具体的には、1段目の増幅段10Aと2段目の増幅段10Bを第1の半導体チップ110上に形成し、3段目の増幅段10Cを第2の半導体チップ120上に形成したものである。それ以外は、図7の変形例と同様である。
この実施例の高周波電力増幅回路は、1段目と2段目の増幅段を構成するFETが1つの半導体チップ110上に形成されているため、図7の実施例を除く他の実施例に比べてモジュールを小型化することができるという利点がある。また、小型化の点では図7の実施例に劣るが、図8の実施例では増幅用FET Qbを1,2段目と3段目とでそれぞれ異なる特性となるように形成することで全体として図7の実施例よりも増幅特性の優れたものを実現できるという利点がある。
図9は、第3の変形例を示す。この変形例は、3段構成の高周波電力増幅回路を3つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成したものである。具体的には、各段の電流制御回路14を共通の電流制御回路として第1の半導体チップ110上に形成し、電流制御回路14を除く1段目の増幅段10Aと2段目の増幅段10Bを第2の半導体チップ120上に形成し、3段目の増幅段10Cを第3の半導体チップ130上に形成したものである。それ以外は、図7の変形例と同様である。
この実施例の高周波電力増幅回路は、各段の電流制御回路14が共通の電流制御回路として独立した半導体チップ130上に形成されているため、図8の実施例に比べて増幅段を構成するFETが形成される第2、第3の半導体チップ110,120を小型化することができるという利点がある。
図10は、EDGEモードにおけるバイアス固定・入力可変の出力電力制御とGSMモードにおける入力固定・バイアス可変の出力電力制御のいずれをも可能にした図4の実施例の高周波電力増幅回路を使用し、かつ最終段に図7に示されているようなカレントセンス方式の出力電力検出回路を設けたものを使用した携帯電話機のような無線通信システムの構成例を示す。
図10の無線通信システムは、GSMモードのGMSK変調(周波数変調)やEDGEモードのPSK変調(位相変調および振幅変調)とそれらの復調を行なうことができる変復調回路や受信信号Rxを増幅するロウノイズアンプLNAなどを有する半導体集積回路化された高周波信号処理回路(高周波IC)200、高周波IC200からの送信信号Txを増幅する可変利得アンプ210、該可変利得アンプ210の出力を増幅しアンテナANTを駆動して送信を行なう前記実施例の高周波電力増幅用モジュール(RFパワーモジュール)100、送信信号に含まれる高調波成分を除去するロウパスフィルタおよび送受信切替えスイッチ、分波器などを含むフロントエンドモジュール300、受信信号から不要波を除去する弾性表面波フィルタなどからなるバンドパスフィルタBPFなどにより構成されている。
また、この実施例の無線通信システムには、高周波IC200から出力される出力レベル指示信号VrampとRFパワーモジュール100の出力電力検出回路で検出された検出信号Vsnsとの電位差に応じた電圧を出力する誤差アンプ220と、該誤差アンプ220から出力される出力電力制御電圧Vapcを上記可変利得アンプ210またはRFパワーモジュール100のバイアス制御回路に選択的に供給する切替えスイッチ230が設けられている。
この切替えスイッチ230は、RFパワーモジュール100のバイアス制御回路内のスイッチSW1,SW2を制御するモード制御信号MODEによって、GSMモードでは出力電力制御電圧Vapcを上記バイアス制御回路に供給し、EDGEモードでは出力電力制御電圧Vapcを上記可変利得アンプ210に供給するように制御される。GSMモードでは、出力電力制御電圧Vapcが上記バイアス制御回路に供給されることにより、出力電力の検出信号Vsnsが出力レベル指示信号Vrampに一致するようにRFパワーモジュール100内の増幅用FETのバイアスを与えるフィードバック制御ループが形成され、出力電力Poutが出力レベル指示信号Vrampに応じて変化されるように動作する。
一方、EDGEモードでは、出力電力制御電圧Vapcが上記可変利得アンプ210に供給されるとともに、高周波IC200からRFパワーモジュール100のバイアス制御回路に対して固定レベルのバイアス電圧Vbiasが供給される。これにより、RFパワーモジュール100ではバイアス制御回路により増幅用FETが一定のバイアス状態に保持され、誤差アンプ220から出力される出力電力制御電圧Vapcにより可変利得アンプ210のゲインが変化され、出力電力の検出信号Vsnsを出力レベル指示信号Vrampに一致させるように作用するフィードバック制御ループが形成され、出力電力Poutが出力レベル指示信号Vrampに応じて変化されるように動作する。このとき、前記実施例のように構成された高周波電力増幅回路およびRFパワーモジュールを使用することにより、出力電力Poutを出力レベルが低い領域から高い領域まで出力レベル指示信号Vrampに応じて直線的に変化させることができるようになるという利点がある。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施例では、基準バイアス回路11を構成する電流−電圧変換用のFET Qa1,Qa2と、バイアス補正回路13を構成する電流−電圧変換用のFET Qa1',Qa2'として、ダイオード接続のトランジスタを用いているが、トランジスタの代わりに抵抗あるいはダイオードを用いるようにしても良い。その場合、それらの電流−電圧変換用の抵抗やダイオードは、精度向上の観点から外付け素子として設けるのが望ましい。
さらに、前記実施例では、増幅用トランジスタがFETまたはバイポーラ・トランジスタで構成されている場合を説明したが、増幅用トランジスタがGaAsMESFET、GaAsHBT(ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ)、SiGeHBT、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等他のトランジスタである場合にも、上記実施例を適用することにより同様な効果を得ることができる。また、応用システムの実施例では、GSMモードとEDGEモードの2つの変調方式による通信が可能なシステムの例を説明したが、本発明はCDMA(Code Division Multiple Access)方式による通信が可能なシステムにも適用することができる。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である携帯電話機に用いられる高周波電力増幅回路およびパワーモジュールに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、無線LANを構成する高周波電力増幅回路およびパワーモジュールなどに利用することができる。
11 基準バイアス回路
12 電流模擬回路
13 バイアス補正回路
14 電流制御回路
Qa1,Qa2 バイアス用トランジスタ
Qa1',Qa2' 電流-電圧変換用トランジスタ
Qb1,Qb2 増幅用トランジスタ(デュアルゲートFET)
Qc,Qd,Qe,Qf カレントミラー回路を構成するトランジスタ(標準トランジスタ)
Qg1,Qg2 模擬用トランジスタ(デュアルゲートFET)
R1 調整用抵抗(外付け抵抗)
P1〜P5 外部端子(パッド)
Vapc 出力電力制御電圧
Vramp 出力レベル指示信号
12 電流模擬回路
13 バイアス補正回路
14 電流制御回路
Qa1,Qa2 バイアス用トランジスタ
Qa1',Qa2' 電流-電圧変換用トランジスタ
Qb1,Qb2 増幅用トランジスタ(デュアルゲートFET)
Qc,Qd,Qe,Qf カレントミラー回路を構成するトランジスタ(標準トランジスタ)
Qg1,Qg2 模擬用トランジスタ(デュアルゲートFET)
R1 調整用抵抗(外付け抵抗)
P1〜P5 外部端子(パッド)
Vapc 出力電力制御電圧
Vramp 出力レベル指示信号
Claims (21)
- 高周波信号を増幅する電力増幅用素子と、所定の電流が流されることにより電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子とを備え、該電流−電圧変換素子により生成された電圧に対応する電圧が前記電力増幅用素子の制御端子に印加されることにより前記電流−電圧変換素子に流れる電流に比例した電流が流されるようにされた高周波電力増幅回路において、
前記電力増幅用素子は第1ゲートと第2ゲートを有するデュアルゲートの電界効果トランジスタにより構成され、前記第1ゲートと第2ゲートのバイアス電圧を独立に設定可能なバイアス制御回路を有することを特徴とする高周波電力増幅回路。 - 前記バイアス回路は、前記デュアルゲートの増幅用トランジスタと同一のチャネル長を有し同一のプロセスで形成されたデュアルゲートの電流模擬用のトランジスタと、製造ばらつきでしきい値電圧およびチャネル長変調係数が変化しないようなチャネル長を有し前記電流模擬用トランジスタと直列に接続されたダイオード接続のトランジスタとを含み、
該ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して、前記増幅用トランジスタのアイドル電流が短チャネル効果で変化するのを抑制するようなバイアスを前記増幅用トランジスタの増幅すべき信号が入力される第1ゲートおよび電流模擬用トランジスタの対応する第1ゲートに与える第1バイアス発生回路と、
前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して、前記増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタの第2ゲートにバイアスを与える第2バイアス発生回路と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅回路。 - 前記第1バイアス回路は、前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する第1電流−電圧変換素子により生成された第1基準電圧とを比較して電位差に応じた電圧を出力する第1差動増幅回路を備え、前記第2バイアス回路は、前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する第2電流−電圧変換素子により生成された第2基準電圧とを比較して電位差に応じた電圧を出力する第2差動増幅回路を備え、
前記第1差動増幅回路が前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧を前記第1基準電圧に一致させるように動作して、該第1差動増幅回路の出力電圧が前記増幅用トランジスタの第1ゲートに印加され、前記第2差動増幅回路が前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧を前記第2基準電圧に一致させるように動作して、該第2差動増幅回路の出力電圧が前記増幅用トランジスタの第2ゲートに印加されて、前記増幅用トランジスタにアイドル電流が流されることを特徴とする請求項2に記載の高周波電力増幅回路。 - 前記電流−電圧変換素子は、ダイオード接続された電界効果トランジスタであり、該トランジスタはそのチャネル長が前記増幅用トランジスタのチャネル長よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の高周波電力増幅回路。
- 前記電流模擬用のトランジスタと直列に接続されたダイオード接続のトランジスタは、そのチャネル長が前記電流−電圧変換用のトランジスタのチャネル長と等しいかそれよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の高周波電力増幅回路。
- 前記ダイオード接続のトランジスタとカレントミラー接続された第1トランジスタおよび該第1トランジスタと直列に接続されたダイオード接続の第2トランジスタにより、前記第1差動増幅回路において前記第1基準電圧と比較される電圧が生成され、前記ダイオード接続のトランジスタとカレントミラー接続された第3トランジスタおよび該第3トランジスタと直列に接続されたダイオード接続の第4トランジスタにより、前記第2差動増幅回路において前記第2基準電圧と比較される電圧が生成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
- 縦続接続された複数の増幅段を有し、各増幅段がそれぞれ高周波信号を増幅する電力増幅用素子と、所定の電流が流されることにより電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子とを備え、該電流−電圧変換素子により生成された電圧に対応する電圧が前記電力増幅用素子の制御端子に印加されることにより前記電流−電圧変換素子に流れる電流に比例した電流が流されるようにされた高周波電力増幅回路であって、
初段の増幅段の前記電力増幅用素子が第1ゲートと第2ゲートを有するデュアルゲートの電界効果トランジスタにより構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。 - 前記デュアルゲートの増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタは、各々2個の直列形態の電界効果トランジスタからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
- 高周波信号を増幅する電力増幅用素子と、所定の電流が流されることにより電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子とを備え、該電流−電圧変換素子により生成された電圧に対応する電圧が前記電力増幅用素子の制御端子に印加されることにより前記電流−電圧変換素子に流れる電流に比例した電流が流されるようにされた高周波電力増幅回路において、
前記電力増幅用素子は第1ベースと第2ベースを有するデュアルベースのバイポーラ・トランジスタにより構成され、前記第1ベースと第2ベースのバイアス電圧を独立に設定可能なバイアス制御回路を有することを特徴とする高周波電力増幅回路。 - 前記バイアス回路は、前記デュアルベースの増幅用トランジスタと同一のベース幅を有し同一のプロセスで形成されたデュアルベースの電流模擬用のトランジスタと、製造ばらつきでコレクタ・エミッタ間電圧に応じて実効ベース幅が変化することがないようなベース幅を有し前記電流模擬用トランジスタと直列に接続されたダイオード接続のトランジスタとを含み、
該ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して、前記増幅用トランジスタのアイドル電流がアーリー効果で変化するのを抑制するようなバイアスを前記増幅用トランジスタの増幅すべき信号が入力される第1ベースおよび電流模擬用トランジスタの対応する第1ベースに与える第1バイアス発生回路と、
前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子により生成された基準電圧とを比較して、前記増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタの第2ベースにバイアスを与える第2バイアス発生回路と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の高周波電力増幅回路。 - 前記第1バイアス回路は、前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する第1電流−電圧変換素子により生成された第1基準電圧とを比較して電位差に応じた電圧を出力する第1差動増幅回路を備え、前記第2バイアス回路は、前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧と電流制御回路からの電流を電圧に変換する第2電流−電圧変換素子により生成された第2基準電圧とを比較して電位差に応じた電圧を出力する第2差動増幅回路を備え、
前記第1差動増幅回路が前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧を前記第1基準電圧に一致させるように動作して、該第1差動増幅回路の出力電圧が前記増幅用トランジスタの第1ベースに印加され、前記第2差動増幅回路が前記ダイオード接続のトランジスタに流れる電流に基づいて形成された電圧を前記第2基準電圧に一致させるように動作して、該第2差動増幅回路の出力電圧が前記増幅用トランジスタの第2ベースに印加されて、前記増幅用トランジスタにアイドル電流が流されることを特徴とする請求項10に記載の高周波電力増幅回路。 - 前記電流−電圧変換素子は、ダイオード接続されたバイポーラ・トランジスタであり、該トランジスタはそのベース幅が前記増幅用トランジスタのベース幅よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の高周波電力増幅回路。
- 前記電流模擬用のトランジスタと直列に接続されたダイオード接続のトランジスタは、そのベース幅が前記電流−電圧変換用のトランジスタのベース幅と等しいかそれよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項12に記載の高周波電力増幅回路。
- 前記ダイオード接続のトランジスタとカレントミラー接続された第1トランジスタおよび該第1トランジスタと直列に接続されたダイオード接続の第2トランジスタにより、前記第1差動増幅回路において前記第1基準電圧と比較される電圧が生成され、
前記ダイオード接続のトランジスタとカレントミラー接続された第3トランジスタおよび該第3トランジスタと直列に接続されたダイオード接続の第4トランジスタにより、前記第2差動増幅回路において前記第2基準電圧と比較される電圧が生成されることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。 - 縦続接続された複数の増幅段を有し、各増幅段がそれぞれ高周波信号を増幅する電力増幅用素子と、所定の電流が流されることにより電流を電圧に変換する電流−電圧変換素子とを備え、該電流−電圧変換素子により生成された電圧に対応する電圧が前記電力増幅用素子の制御端子に印加されることにより前記電流−電圧変換素子に流れる電流に比例した電流が流されるようにされた高周波電力増幅回路であって、
初段の増幅段の前記電力増幅用素子が第1ベースと第2ベースを有するデュアルベースのバイポーラ・トランジスタにより構成されていることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。 - 前記デュアルベースの増幅用トランジスタおよび電流模擬用トランジスタは、各々2個の直列形態のバイポーラ・トランジスタからなることを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
- 最終段の増幅段の前記増幅用トランジスタと制御端子同士が共通接続され、前記増幅用トランジスタに流れる電流に比例した電流が流れる検出用のトランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項8または16に記載の高周波電力増幅回路。
- 出力電力制御電圧が入力される外部端子を備え、前記バイアス発生回路は、前記出力電力制御電圧に応じて前記電流−電圧変換素子に流れる電流が変化され、該電流に応じて前記増幅用トランジスタのバイアス状態が変化されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
- 前記増幅用トランジスタと前記バイアス発生回路を構成するトランジスタは、同一の半導体チップに形成されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の高周波電力増幅回路が絶縁基板上に搭載されてなる高周波電力増幅用電子部品であって、前記バイアス発生回路と前記増幅用トランジスタは別個の半導体チップ上に形成され、前記バイアス発生回路が形成された第1の半導体チップと、前記増幅用トランジスタおよび前記電流模擬用トランジスタが形成された第2の半導体チップとが前記絶縁基板上に実装されてなることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
- 請求項18に記載の高周波電力増幅回路が絶縁基板上に搭載されてなる高周波電力増幅用電子部品であって、前記出力電力制御電圧が入力される第1外部端子と、所定の固定電位が入力される第2外部端子と、前記第1外部端子または第2外部端子に入力された電圧のいずれかを選択して前記バイアス発生回路に供給可能な切替え手段と、を備え、前記切替え手段は、前記増幅用トランジスタに周波数変調された高周波信号が入力される第1モードでは前記第1外部端子に入力された電圧を選択し、前記増幅用トランジスタに位相変調および振幅変調がなされた高周波信号が入力される第2モードでは前記第2外部端子に入力された電圧を選択するように設定されることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
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