JP2005104779A - 多孔質炭素板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質炭素板の表面粗さおよび厚みを均一に保ちながら多段圧縮成形を行うことで、品質の優れた多孔質炭素板をより安価に量産することができる製造方法を提供する。
【解決手段】炭素短繊維を炭素により結着させ、その表面および内部に空隙を有する多孔質炭素板の製造方法であって、少なくとも、炭素短繊維の分散工程と、次いで炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体1を離型材2を介して三段以上に積層するとともに、金型4とそれに隣接する離型材2’との間に緩衝材3を挿入して加熱加圧下でプレス成形する圧縮成形工程と、しかる後にその圧縮成形品を炭素化処理する焼成工程とを有することを特徴とする多孔質炭素板の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】炭素短繊維を炭素により結着させ、その表面および内部に空隙を有する多孔質炭素板の製造方法であって、少なくとも、炭素短繊維の分散工程と、次いで炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体1を離型材2を介して三段以上に積層するとともに、金型4とそれに隣接する離型材2’との間に緩衝材3を挿入して加熱加圧下でプレス成形する圧縮成形工程と、しかる後にその圧縮成形品を炭素化処理する焼成工程とを有することを特徴とする多孔質炭素板の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、たとえば固体高分子型燃料電池電極基材や電解用電極等、導電性、耐腐食性、熱伝導性、強度、多孔性、気体透過性、接触性等を生かした用途に好適な多孔質炭素板の製造方法に関する。
よく知られているように、燃料電池用電極基材には、集電機能に加えて電極反応に関与する物質の拡散・透過性が要求される。すなわち電極基材を構成する材料には、導電性、気体拡散・透過性、耐ハンドリング強度等が必要とされる。
従来、このような高分子型燃料電池の電極基材としては、炭素で結着させた炭素繊維からなる炭素シート、炭素繊維織物、炭素繊維不織布を基材にしたものが主流となっている。
たとえば、炭素短繊維を炭素で結着させて製造する多孔質炭素板は、固体高分子型燃料電池用の電極基材として利用されるが、実質的に二次元ランダムな方向に分散した炭素短繊維集合体に、フェノール樹脂を含浸させ、2枚または4枚重ねて加熱した後、炭素化するという方法で得られている(例えば特許文献1)。
また、近年の固体高分子型燃料電池の開発から商用段階へと進むにつれ、高性能のみならず高品質で低価格な多孔質炭素板を量産化することが望まれている。安価に量産させる方法としては、たとえば圧縮成形時に硬化性樹脂を含浸させた炭素繊維紙を所定枚数重ね、離型フィルムを介して多段に積層し、加熱加圧させる方法が開示されている(特許文献2)。
また、このような繊維強化樹脂の圧縮成形時に金型と圧縮成形品を離型させるために、離型剤としてシリコーン等を金型へ塗布したり、離型材を塗布したフィルムや織物を金型との圧縮成形品の間に介在させたりする方法が一般的に知られている。またこのとき、圧縮成形品の表面粗さを調整するために、金型やフィルムに凹凸加工を施したりすることもある(特許文献3)。
特開平09−157052号公報(請求項5)
特開平06−092731号公報(請求項1)
特開平07−214713号公報(請求項1)
上述した特許文献に開示されている多孔質炭素板の製造方法を用いて、圧縮成形工程を多段化した場合、同時に多数枚の圧縮成形品を得ることができる。
しかし、昨今需要の増している薄い多孔質炭素板(0.5mm以下)を成形する際には、多段に積層して圧縮成形することによって、製品となったときに表面粗さや厚みが不均一になるという問題があり、高品質な多孔質炭素板を多段圧縮成形によって量産することは容易ではない。たとえば、多段化した場合、離型材が厚すぎると硬化が不均一になり、様々な物性にばらつきが生じる。また離型材が薄すぎると、金型に接した圧縮成形品の表面が、平坦な金型面上で離型材を介して金型面を転写して平滑になる。そのため、内層の圧縮成形品に比べて表面が平滑となり、多孔質炭素板の厚みが薄くなるという問題が生じていた。
このように、多段圧縮成形した場合には、多孔質炭素板において厚み均一性の低下の原因となる表面粗さにばらつきを生じないようにする必要がある。そのため、金型と隣接した圧縮成形品の表面に、内層の圧縮成形品と同程度の表面粗さをもたせる方法としては、離型材に均一な凹凸を加工する等の方法が考えられるが、圧縮成型品に表面粗さを転写させるために一般的な離型フィルム等に凹凸を加工しても、金型上で凹凸が延びてしまったりするという問題がある。
また、離型材の材質としては、シリコーン等の離型剤を塗布させた離型フィルムや織物等を使用したものが一般的であるが、離型処理したシート、フィルム、織物は高価なものであり、また再利用が困難である。
このように、多段で圧縮成形して多孔質炭素板を量産させるためには、離型材を介して金型に隣接した多孔質炭素板と内層の多孔質炭素板とで厚みにばらつきが生じないこと、また圧縮成形に用いる離型材は成形・離型能力があり、かつ安価であることが望まれる。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、多孔質炭素板の製造工程における樹脂を含浸させた炭素短繊維を圧縮成形させる工程において、多孔質炭素板の表面粗さおよび厚みを均一に保ちながら多段圧縮成形を行うことで、品質の優れた多孔質炭素板をより安価に量産できる製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、炭素短繊維を炭素により結着させ、その表面および内部に空隙を有する多孔質炭素板の製造方法であって、少なくとも、炭素短繊維の分散工程と、次いで炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体を離型材を介して三段以上に積層するとともに、金型とそれに隣接する離型材との間に緩衝材を挿入して加熱加圧下でプレス成形する圧縮成形工程と、しかる後にその圧縮成形品を炭素化処理する焼成工程とを有することを特徴とする。
なお、本発明においては、圧縮成形工程で用いる緩衝材の最大表面粗さRmax(JIS B 0601)Xは、多孔質炭素板間の表面粗さの均一化のために、中央に積層した混合体の圧縮成形品の最大表面粗さYとの関係式、Z=|(Y−X)/Y|のZが0.3以下であることが好ましい。また、圧縮成形工程で用いる緩衝材としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維を含むことが好ましい。また、その際に用いる離型材は、無延伸ポリプロピレンフィルムの他、離型剤を塗布したポリエチレン、ポリアミドフィルム等を用いるのが好ましい。
本発明によれば、炭素短繊維を炭素により結着させ、その表面および内部に空隙を有する多孔質炭素板の製造方法であって、少なくとも、炭素短繊維の分散工程と、次いで炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体を離型材を介して三段以上に積層するとともに、金型とそれに隣接する離型材との間に緩衝材を挿入して加熱加圧下でプレス成形する圧縮成形工程と、しかる後にその圧縮成形品を炭素化処理する焼成工程とを有することを特徴とする多孔質炭素板の製造方法としたので、多孔質炭素板の表面粗さが均一となり、厚みの均一性に優れた品質のよい多孔質炭素板を安価に製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の製造方法を説明するための断面図であり、前工程において、炭素短繊維を硬化性樹脂の含浸により互いに結着させた混合体1が複数枚の離型材2を介して複数段に積層され、さらにこれら複数枚の離型材2のうち最下段と最上段に位置する離型材2’と圧縮成形機内の金型4との間に緩衝材3を挿入して、上下から圧縮成形している様子を示している。
すなわち、本発明の多孔質炭素板の製造方法の特徴は、圧縮成形機内の金型4と離型材2’の間に緩衝材3を入れ、離型材2を介して三段以上に積層して圧縮成形した後、その圧縮成形品を焼成処理するものである。
ここで、多孔質炭素板に含まれる炭素短繊維としては、どのようなものでも用いることができるが、例えばポリアクリロニトリル(以後、PANと略す)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。電極基材の強度を高くするために、PAN系炭素繊維またはピッチ系炭素繊維を用いるのが好ましく、PAN系炭素繊維を用いるのが更に好ましい。
炭素繊維の繊維径としては、3〜20μm程度のものを用いるのが好ましく、特に4〜10μmとすることが電極基材強度を高くするためにより好ましい。偏平な断面の炭素繊維の場合は、長径と短径の平均を繊維径とする。短繊維の長さは3〜20mm程度とすることが好ましく、5〜15mm程度とするのが製造の容易さおよび電極基材の強度を高くするために更に好ましい。
炭素短繊維の分散は、二次元平面でも三次元でもよいが、実質的に二次元平面内においてランダムに分散されていることが好ましく、この二次元ランダムに分散されているの意味は、炭素短繊維がおおむね一つの面を形成するように横たわっているというほどの意味である。このことにより、燃料電池内で炭素短繊維が膜を貫通することによる対極との短絡や炭素短繊維の折損を防止することができる。
炭素短繊維を実質的に二次元平面内においてランダムに分散させる方法としては、例えば液体の媒体中に炭素短繊維を分散させて抄造する湿式法や、空気中で炭素短繊維を分散させて降り積もらせる乾式法がある。炭素短繊維を確実に二次元平面内においてランダムに分散させるため、また、強度を高くするためには、湿式法が好ましい。実質的に二次元平面内においてランダムに分散した炭素短繊維は、取り扱い易さのために抄造用バインダで結着することが好ましい。抄造用バインダとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース、パルプ等を用いることができる。抄造用バインダの付着量は5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましく、15〜25重量%が更に好ましい。炭素短繊維を互いに結着させる炭素としては、たとえば樹脂の加熱による炭素化によって得られる。炭素化可能な樹脂としては、加熱により炭素化するもの、たとえばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ピッチ等である。多孔質炭素板の電気抵抗を低減させるためには、加熱して炭素化処理したとき残炭率の高い樹脂が好ましく、特にフェノール樹脂が好ましい。
炭素で炭素短繊維を互いに結着させる方法としては、たとえば樹脂の加熱による炭素化によって得られる。炭素化する樹脂で炭素短繊維を互いに決着させる方法としては、炭素短繊維を二次元平面内においてランダムに分散させるときに繊維状、粒状、液状の樹脂を混合する方法と、炭素短繊維が実質的に二次元平面内においてランダムに分散された集合体に繊維状、液状の樹脂を付着させる方法等がある。本発明の多孔質炭素板の場合には樹脂を液状で含浸するか、後の工程で溶融する樹脂を用いることが電極基材の強度を高く、また導電性を高くするために好ましい。また含浸時に樹脂を溶媒に溶かし、含浸後に溶媒を除くこともよく用いられる方法である。炭素短繊維に対する樹脂の添加量としては、用いる炭素短繊維と樹脂の種類によって変わるが、たとえば多孔質炭素板の嵩密度を0.25〜0.85g/cm3とするためには、炭素繊維100重量部に対して樹脂を50〜500重量部加える。
混合体1は、炭素短繊維と樹脂の接着性向上、多孔質炭素板が所定の密度を達成するために、加熱による炭素化処理の前に加熱加圧による圧縮成形を行うことが一般的である。圧縮成形時の圧力としては、0.0098〜1.96MPa程度が好ましく、0.098〜0.98MPaとすることがより好ましい。更に好ましくは、圧力は0.1〜0.86MPa程度である。圧縮成形時の圧力により基材密度を制御できるが、圧力が低過ぎると炭素短繊維と樹脂の接着性が悪くなり、圧力が高過ぎると樹脂の過剰な流れ、材料の破損、また適度な多孔質構造の確保ができなくなることがある。
混合体1を三段以上に積層して圧縮成形するために間に介在させる離型材2、2’としては、積層した混合体1同士が融着しないこと、圧縮成形後に混合体1と離型材2、2’とが容易に剥離することの条件を備えたものが好ましい。また、離型材2、2’の材質としては、圧縮成形温度下で燃焼・溶融・気体発生等を起こさず、かつ混合体1と離型材2、2’が容易に剥離されるものであれば、どんなものを用いてもよいが、硬度が低過ぎると圧縮成形時に変形し、電極基材表面に凹凸を発生させる原因となる。したがって、圧縮成形圧に耐えることができ、熱の伝達を阻害せず、比較的硬度の高いものが好ましい。離型材2、2’の厚みとしては、用いる材質によっても変わるが、厚過ぎると熱の伝達を阻害するので、厚みは2.00mm以下であることが好ましい。一方、離型材2、2’の厚みが薄過ぎると圧縮成形によって離型材2、2’が変形し、成形が困難になる可能性があるが、成形・離型できる範囲であれば問題ない。また、後述する緩衝材3の効果を得るには、離型材2、2’の厚みは、0.100mm以下が好ましい。なお、離型材2、2’の加熱成形時の収縮が大きすぎると、成形時に混合体1が変形することがある。これを防ぐためには、離型材2、2’は熱収縮が小さいことが望まれる。
離型剤2、2’の材質としては、成形・離型が容易で、加熱・加圧に耐えるものであればどんなものでもよいが、シリコーン等の離型剤が塗布されているものは、製品に不純物が残留する可能性があり、また高コストである。そのため、離型剤を塗布しなくても離型能力をもつ離型材であることが好ましい。ポリプロピレンは、離型性が高く、シリコーン等の離型剤を必要としない。また、無延伸のフィルムは収縮が起き難いため、これに適している。特に無延伸ポリプロピレンフィルムは、熱による収縮が小さいく、収縮によって成形品を変形させることがないため、更に好ましい。
本発明で言う、金型4と離型材2’の間に挟む緩衝材3とは、金型4に接した離型剤2’に面する混合体1に金型4の平坦な表面を転写させないために設置するもので、表面の傷を緩衝することのみを目的としたものではないが、金型面上の傷を緩衝する効果が得られることもあってもよい。また、金型4との離型を促進させる効果が得られることがあってもよい。緩衝材3は、金型4の平坦な表面を転写させず、内層の圧縮成形品と同程度の表面粗さを圧縮成形後の混合体1にもたせるようなの表面粗さを持つものであればどのようなものでもよい。
緩衝材3および圧縮成形品の最大表面粗さRmaxの測定は、JIS B 0601(1994)に準じて行う。具体的には、先端曲率半径0.3mmの触針を用いて測定力0.4gf、カットオフなし、基準長さ12.5mmで測定を行う。
緩衝材3の最大表面粗さをX、中央に積層した複合体1の圧縮成形品の最大表面粗さをYとしたとき、Yに比べてXが大きすぎると厚みばらつきの原因となる。そのため、緩衝材3の最大表面粗さXはZ(=|(Y−X)/Y|)が、0.3以下となるような表面形状であることが好ましく、更に好ましくは0.15以下である。
このような緩衝材3の材質としては、Z≦0.3を満たすものであればどんなものでもよく、たとえば織物、不織布、サンドペーパ等でもよい。また金属や樹脂等に凹凸を加工したものでもよい。加熱加圧下で、耐久性と効果の持続性を得るには、耐炎糸や無機繊維を含んだ織物や不織布であることが好ましい。更に好ましくは、混合体1と同じ構造をもつ炭素短繊維の集合体を樹脂で硬化させた圧縮成形品である。
積層段数としては、用いる離型材2、2’の材質および厚み、または混合体1の厚みによっても変わるが、積層段数が多過ぎると各層の混合体1への熱伝達に差が生じて樹脂の硬化にムラが発生し、厚みばらつき以外の物性へも問題が生じる可能性があるので、圧縮成形中の厚みが2mm以下となるとように段数を決定するのが好ましい。1mm以下であることが更に好ましい。
圧縮成形品の炭素化処理工程の温度としては、樹脂の炭素化による導電性の発現のために700℃以上が好ましく、導電性および熱伝導性を高くし、不純物を減らし、耐食性を高めるために1300℃以上であることがより好ましく、2000℃以上とすることが更に好ましい。また炭素化処理工程は、炭化工程および黒鉛化工程の2段階に分けて行ってもよい。
炭素化処理工程において、圧縮成形品にかける圧力としては、圧力が高過ぎると多孔質炭素板の空孔率が低下して、気体透過性が悪くなるため、0.0098MPa以下であることが好ましい。圧力が低過ぎると多孔質炭素板の密度が低下するため、0.00098〜0.0049MPa程度がより好ましい。
本発明の多孔質炭素板の製造方法は、厚みの均一性を高く保ちながら比較的安価に量産することができるため、燃料電池積層体の多孔質炭素板の製造方法として好適である。
以下、本発明の実施例とその結果を説明する。
東レ株式会社製PAN系炭素繊維“トレカ”T300(平均短繊維径:7μm、単繊維数:6000本)を長さ12mmに切断し、よく解繊した後、それが0.04重量%になるように水中に分散させ、金網上に抄造し、更にそれをポリビニルアルコールの10重量%水溶液に浸漬し、引き上げて乾燥し、炭素短繊維100重量部に対してバインダであるポリビニルアルコールが約30重量%付着したシート状中間基材を得た。
次に、上記中間基材を、フェノール樹脂の6重量%メタノール溶液に浸漬し、引き上げて炭素短繊維100重量部に対してフェノール樹脂を約200重量部付着させ、更に90℃で3分間加熱して乾燥した混合体1(この混合体1を多段の中央でプレスした圧縮成形品の最大表面粗さYは上記測定法により65μm)を得た。この混合体1を離型材2、2’として厚みが0.05mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、緩衝材3として、材質がフェノール樹脂にて石英粒子を接着させたサンドペーパーでその最大表面粗さXが90μmのものを挿入し、145℃の温度下において0.50MPaの圧力を25分間加えてフェノール樹脂を硬化させた(すなわち離型材3と混合体1の表面粗さX、Yの関係はZが0.4)。
次に、この圧縮成形品を、窒素雰囲気中にて2400℃で30分間加熱して樹脂を焼成し、多孔質炭素板を得た。
多孔質炭素板の厚みは、50cm角の多孔質炭素板を1000枚について、四角を5mmφの測定子で60kPaの圧力で測定した。その結果、厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は4.9%となり、緩衝材3の表面粗さXがZ>0.3となるが、比較的ばらつきが小さく均一な多孔質炭素板が得られた。
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.05mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、下側の金型4と離型材2’との間にのみ、緩衝材3としてZ=0.1となるフェノール樹脂にて石英粒子を接着させたサンドペーパーを挿入し、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。
Z≦0.3を満たす緩衝材3を下側にのみ挿入した結果、厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は4.5%となった。最上段の離型材2’に接した多孔質炭素板は表面が平滑で薄いままであるが、全体のばらつきは改善した。
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.05mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、金型4と離型材2’との間に、緩衝材3としてZ=0.1となるサンドペーパーを挿入し、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。
厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は3.6%となった。Z≦0.3を満たす緩衝材3を両側に挿入した結果、片側のみに挿入したときよりも、より厚みばらつきが改善した。
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.05mmのシリコーンにて離型処理したポリイミドフィルムを介して20段積層し、金型4と離型材2’との間に、緩衝材3としてZ=0.1となる混合体1の圧縮成形品を挿入し、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。
厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は3.7%となり、厚みが均一な多孔質炭素板を得ることができた。Z≦0.3を満たした無機繊維を含む緩衝材3を用いたことで、厚みばらつきがより改善した。
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.10mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、金型4と離型材2’との間に緩衝材3としてZが0.1となる混合体1の圧縮成形品を挿入し、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は2.9%となり、厚みが均一な多孔質炭素板を得ることができた。Z≦0.3を満たした炭素繊維を含む緩衝材3と、離型材2として無延伸ポリプロピレンフィルムを用いたため、転写の効果が向上して厚みがより均一になった。このようにZ値が厚みばらつきに影響する理由は、多孔質炭素板の表面粗さが厚みに影響し、離型材2’を介して金型4に接した圧縮成型品の表面粗さが内層の圧縮成形品の表面粗さより小さいと、厚みが小さくなるためである。
比較例1
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.05mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、金型4と離型材2’との間に緩衝材3としては何も挿入せずに、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。
実施例1と同様の方法で得られる混合体1を、離型材2、2’として厚みが0.05mmの無延伸ポリプロピレンフィルムを介して20段積層し、金型4と離型材2’との間に緩衝材3としては何も挿入せずに、実施例1と同様の条件で圧縮成形を行い、混合体1を硬化した。次に、圧縮成形品を実施例1と同様の方法で焼成し、多孔質炭素板を得た。
厚みばらつきの変動率(=標準偏差/平均値)は5.5%となり、厚みばらつきが大きい多孔質炭素板となった。
以上の実施例1〜6および比較例1の結果をまとめると、本発明を実施することで、すなわち炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体1を圧縮成形工程において離型材2を介して三段以上に積層し、金型4に隣接する離型材2’との間に緩衝材3を挿入して加熱加圧下で成形し、その圧縮成形品を炭素化処理することを特徴とする多孔質炭素板の製造方法を用いたことで、得られた多孔質炭素板の厚みばらつきの変動率は比較例に比べてより小さくなった。また最適な形態である実施例6を実施することで、更に厚みばらつきが改善した。
本発明は多孔質炭素板の製造方法に限らず、CFRPの硬化板等の製造方法にも応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
1…混合体
2…離型材
2’…金型に接した離型材
3…緩衝材
4…金型
5…圧縮成形機熱板
2…離型材
2’…金型に接した離型材
3…緩衝材
4…金型
5…圧縮成形機熱板
Claims (5)
- 炭素短繊維を炭素により結着させ、その表面および内部に空孔を有する多孔質炭素板の製造方法であって、少なくとも、炭素短繊維の分散工程と、次いで炭素短繊維に炭素化可能な樹脂を含浸させた混合体を離型材を介して三段以上に積層するとともに、金型とそれに隣接する離型材との間に緩衝材を挿入して加熱加圧下でプレス成形する圧縮成形工程と、しかる後にその圧縮成形品を炭素化処理する焼成工程とを有することを特徴とする多孔質炭素板の製造方法。
- 分散工程において、混合体に含まれる炭素繊維を実質的に二次元ランダムに分散させることを特徴とする請求項1に記載の多孔質炭素板の製造方法。
- 圧縮成形工程で用いる緩衝材の最大表面粗さRmax(JIS B 0601)をX、中央に積層した混合体の圧縮成形品の最大表面粗さをYとしたとき、次の式(1)で表されるZが、0.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質炭素板の製造方法。
Z=|(Y−X)/Y|…………(1) - 圧縮成形工程で用いる緩衝材として、無機繊維を含むものを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質炭素板の製造方法。
- 圧縮成形工程で用いる離型材として、無延伸ポリプロピレンフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質炭素板の製造方法。
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