JP2005099610A - ピアノのハンマー装置 - Google Patents
ピアノのハンマー装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005099610A JP2005099610A JP2003335474A JP2003335474A JP2005099610A JP 2005099610 A JP2005099610 A JP 2005099610A JP 2003335474 A JP2003335474 A JP 2003335474A JP 2003335474 A JP2003335474 A JP 2003335474A JP 2005099610 A JP2005099610 A JP 2005099610A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hammer
- shank
- key
- piano
- flange
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electrophonic Musical Instruments (AREA)
Abstract
【課題】 保形性および寸法安定性に優れるとともに、軽量で、高い剛性を有し、それにより、ハンマーの安定した動作と豊かな音量を確保することができるピアノのハンマー装置を提供する。
【解決手段】 鍵11の押鍵に伴って回動するハンマー2を含むピアノのハンマー装置1であって、合成樹脂の成形品で構成され、互いに平行に延びる二股状の一対の腕部5b,5bを有するシャンクフレンジ5を備え、ハンマー2は、断面一定の棒状に形成され、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有する合成樹脂の成形品で構成されるとともに、一端部がシャンクフレンジ5の一対の腕部5b,5b間に回動自在に支持され、鍵11の押鍵に伴って回動するハンマーシャンク3と、ハンマーシャンク3の他端部に設けられたハンマーヘッド4と、を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 鍵11の押鍵に伴って回動するハンマー2を含むピアノのハンマー装置1であって、合成樹脂の成形品で構成され、互いに平行に延びる二股状の一対の腕部5b,5bを有するシャンクフレンジ5を備え、ハンマー2は、断面一定の棒状に形成され、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有する合成樹脂の成形品で構成されるとともに、一端部がシャンクフレンジ5の一対の腕部5b,5b間に回動自在に支持され、鍵11の押鍵に伴って回動するハンマーシャンク3と、ハンマーシャンク3の他端部に設けられたハンマーヘッド4と、を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アコースティックピアノなどにおいて、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを含むピアノのハンマー装置に関する。
図4は、グランドピアノのハンマー装置51を示しており、これらは鍵11(図5参照)ごとに設けられている。このハンマー装置51は、ハンマーシャンク53およびハンマーヘッド54を有するハンマー52と、シャンクフレンジ55などを備えている。ハンマーシャンク53は、従来一般に、木材で構成されている。これは、木材が入手が容易で、加工性が良いとともに、軽量でありながら、剛性が高いという利点を有するためである。ハンマーシャンク53は、細長い棒状に形成されており、その後端部にハンマーヘッド54が設けられている。また、ハンマーシャンク53の前端部には、二股状に分岐した2つの腕部53a,53aが形成されており、これらの腕部53a,53aは、互いに平行に前方に延びている。
シャンクフレンジ55は、ハンマーシャンク53と同じ理由から、従来一般に、木材で構成されている。シャンクフレンジ55は、断面が矩形状に形成されており、フレンジねじ8を介して、ハンマーシャンクレール13に固定されている(図5参照)。シャンクフレンジ55の後端部には、所定の幅の係合部55aが後方に突出するように形成されており、この係合部55aが、ハンマーシャンク53の腕部53a,53aの間に係合している。また、腕部53a,53aおよび係合部55aにはピン56が通されており、ハンマーシャンク53は、このピン56を介して、シャンクフレンジ55に、水平軸線回りに回動自在に支持されている。
また、シャンクフレンジ55の係合部55aの両側面は、互いに平行に形成されており、ハンマーシャンク53の腕部53a,53aの内側面に、若干のクリアランスをもって対向している。さらに、ハンマーシャンク53の下面の前端部には、円柱状のシャンクローラ7が取り付けられており、ハンマーシャンク53は、このシャンクローラ7を介して、アクション9のレペティションレバー10(図5参照)に載置されている。
以上の構成により、鍵11の押鍵に伴い、ハンマーシャンク53が、シャンクローラ7を介してアクション9のジャック12で突き上げられることによって、ハンマーシャンク53およびハンマーヘッド54が一体に上方に回動し、ハンマーヘッド54が弦Sを打弦することによって、ピアノの発音が行われる(図5参照)。また、これらの回動時、ハンマーシャンク53が、腕部53a,53aおよび係合部55aで案内されることにより、ハンマーシャンク53は、左右にぶれることなく回動する。
また、従来のハンマー装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。このハンマー装置は、シャンクフレンジ、シャンクホルダおよびハンマーシャンクなどで構成されている。シャンクフレンジは、ABS樹脂などの合成樹脂で構成され、前述したシャンクフレンジ55と同様の形状を有している。シャンクホルダは、シャンクフレンジと同質の合成樹脂で構成され、断面が矩形状の細長い直方体状に形成されている。シャンクホルダの前端部には、二股状に分岐した2つの腕部が形成されており、これらの腕部は、互いに平行に前方に延びている。また、これらの腕部の間が、シャンクフレンジの係合部に係合することにより、シャンクホルダはシャンクフレンジに回動自在に支持されている。ハンマーシャンクは、木材で構成され、細長い棒状に形成されており、その前端部がシャンクホルダの後端部に固定されている。これにより、ハンマーシャンクは、シャンクホルダを介してシャンクフレンジに回動自在に支持されている。また、腕部を有するシャンクホルダを合成樹脂の成形品で構成することにより、木製のハンマーシャンクを丸棒のような加工しやすい単純な形状とすることができ、その分、ハンマーシャンクの生産性を向上させることによって、製造コストを削減するようにしている。
前述したように、ハンマーシャンク53およびシャンクフレンジ55の材料としては従来一般に、軽量性と高剛性を併せ持つ木材が用いられている。特に、ハンマーシャンク53の場合には、これに取り付けられたハンマーヘッド54が弦Sの打弦部材として機能するため、鍵11が強打されたときにも、押鍵エネルギーを弦Sに十分に伝達し、それにより、豊かな音量が得られるよう、高い剛性が要求される。また、音量を確保するためには、ハンマーの回動速度を高くすることが好ましく、そのために軽量性が要求される。
しかし、その一方で、天然の素材である木材は、均質性に乏しいため、剛性や重量がばらつくとともに、残留した応力などにより反りやねじれなどの変形が発生しやすいという欠点を有する。また、木材は、乾湿による寸法変化が大きいので、図5に示すハンマー装置51に用いられた場合には、シャンクフレンジ55の係合部55aとハンマーシャンク53の腕部53a,53aとの間のクリアランスが、乾湿に応じて比較的大きく変化する。特に、このハンマー装置51では、前述した理由から、この間のクリアランスがもともと狭く設定されているので、その変化量が大きいと、ハンマーシャンク53がシャンクフレンジ55に対して、緩くなったり、きつくなったりし、その結果、鍵11の押鍵強さに応じたハンマー52の回動速度が安定して得られないおそれがある。
一方、特許文献1に開示されるように、シャンクフレンジおよびシャンクホルダをABS樹脂などの合成樹脂で構成した場合には、木材の場合の上述したような不具合は解消される。しかし、特許文献1のハンマーは、従来の木製のハンマーシャンクの一部が、合成樹脂製のシャンクホルダに置換された関係にあるので、木材のみで構成されたハンマーと比較して、シャンクホルダが合成樹脂で構成される分、剛性が小さく不足がちになる。その結果、鍵11を押鍵したときの押鍵エネルギーが弦Sに十分に伝達されず、音量が不足するなどの不具合が生じてしまう。また、ABS樹脂などの合成樹脂は木材よりも比重が大きいので、シャンクホルダが合成樹脂で構成される分、ハンマーの重量が増大し、ハンマーの回動速度が十分に得られず、やはり、音量不足を招いてしまう。
また、シャンクフレンジおよびハンマーシャンクに加えて、シャンクホルダが別個に必要になり、その分、部品点数および組立工数が増加し、それにより製造コストが増大する。また、ABS樹脂は電気絶縁性が高いので、ハンマーなどの作動に伴い、シャンクホルダがシャンクフレンジに擦れることにより発生した静電気が逃げられず、帯電しやすいため、ほこりなどの付着によって、ハンマーの動作不良を招いたり、外観を損なったりするなどの欠点もある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、保形性および寸法安定性に優れるとともに、軽量で、高い剛性を有し、それにより、ハンマーの安定した動作と豊かな音量を確保することができるピアノのハンマー装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを含むピアノのハンマー装置であって、合成樹脂の成形品で構成され、互いに平行に延びる二股状の一対の腕部を有するシャンクフレンジを備え、ハンマーは、断面一定の棒状に形成され、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有する合成樹脂の成形品で構成されるとともに、一端部がシャンクフレンジの一対の腕部間に回動自在に支持され、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーシャンクと、ハンマーシャンクの他端部に設けられたハンマーヘッドと、を有することを特徴とする。
この構成によれば、鍵が押鍵されると、ハンマーシャンクが、シャンクフレンジの一対の腕部に案内されながら回動し、アコースティックなピアノの場合には、ハンマーシャンクと一体のハンマーヘッドが弦を打弦することによって発音が行われる。また、ハンマーシャンクおよびシャンクフレンジは、合成樹脂の成形品で構成されるので、木材の場合と比較して、保形性や寸法安定性に優れており、それら自身の反りおよびねじれなどの変形および乾湿による伸縮を非常に小さく抑制できる。その結果、ハンマーシャンクと一対の腕部との間のクリアランスがほとんど変化しないことによって、ハンマーの安定した動作を確保することができる。また、ハンマーシャンクは、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有する合成樹脂で構成されるので、ABS樹脂などの合成樹脂のみで構成した場合と比較して、非常に高い剛性が得られ、木材と同等またはそれ以上の剛性を得ることができる。その結果、鍵が強打されたときのハンマーシャンクのたわみを抑制でき、押鍵エネルギーがハンマーから弦に効率良く伝達されることによって、豊かな音量を得ることができる。
また、仮に、一対の腕部を、従来と同様、ハンマーシャンク側に設けた場合には、ハンマーシャンクは長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有するため、射出成形による成形は困難である。これに対して、本発明によれば、シャンクフレンジ側に一対の腕部を設けることで、ハンマーシャンクが断面一定の棒状の形状を有するので、押出成形による成形が可能となり、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有するハンマーシャンクを容易にかつ精度良く形成することができる。
また、炭素繊維は、他の強化材、例えばガラス繊維よりも導電性が高い。したがって、上記のように、炭素繊維を強化材として用いることにより、ハンマーシャンクの導電性が高められることによって、その帯電を防止することができる。それにより、ハンマーシャンクおよびその周辺へのほこりなどの付着を抑制でき、したがって、ハンマーの動作および外観を良好に維持することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノのハンマー装置において、ハンマーシャンクは、中空状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ハンマーシャンクは、中空状に形成されているので、その分、ハンマーを軽量化でき、それにより、ハンマーの回動速度が高められることによって、さらに豊かな音量を得ることができる。また、上述したように、本発明では、炭素繊維によって剛性が高められるので、ハンマーシャンクを中空状に形成しても、所要の剛性を確保することが可能である。このように、所要の剛性を確保しながら、軽量化を最大限に図ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を、詳細に説明する。なお、以下の説明では、グランドピアノを演奏者から見た場合の手前側(図3の右側)を「前」、奥側(図3の左側)を「後」とし、さらに鍵11の並び方向を「左右方向」として、説明を行うものとする。まず、図1を参照しながら、ハンマー装置1について説明する。同図に示すように、ハンマー装置1は、ハンマーシャンク3およびハンマーヘッド4を有するハンマー2と、シャンクフレンジ5などで構成されている。
シャンクフレンジ5は、ABS樹脂などの耐衝撃性に優れた合成樹脂の射出成形品で構成されている。図1に示すように、シャンクフレンジ5は、前後方向に延び、断面が矩形状の細長い本体部5aと、本体部5aの後端部から互いに平行に後方に延びる二股状の一対の腕部5b,5bを一体に備えている。一対の腕部5b,5bには、側方に貫通する孔(1つのみ図示)5c,5cが直線状に並ぶように形成され、これらの孔5c,5cに、ブッシングクロス(図示せず)を介してピン6が取り付けられている。
また、本体部5aの中央部には、シャンクフレンジ5を後述するハンマーシャンクレール13に取り付けるための取付孔5dが、上下方向に貫通するように形成されている。さらに、本体部5aの後方には、上下方向に貫通するねじ孔5eが形成されており、このねじ孔5eに、後述するレペティションレバー10の上方への回動を規制するためのドロップスクリュー14が、下方から進退自在にねじ込まれている。
ハンマーシャンク3は、ABS樹脂などの合成樹脂の押出成形品で構成されている。この合成樹脂には、強化材として炭素繊維が含有されている。この炭素繊維は、比較的長さの大きいものを織物状に形成したものであり、合成樹脂中に、長さ方向に連続するように含有されている。図2に示すように、ハンマーシャンク3は、前後方向に延び、断面一定の細長い円筒状に形成されている。
ハンマーシャンク3の前端部は、シャンクフレンジ5の一対の腕部5b,5b間に、若干のクリアランスをもって係合している。また、ハンマーシャンク3の前端部の所定の位置には、孔(図示せず)が側方に貫通するように形成されている。そして、この孔に前述したピン6が通されることによって、ハンマーシャンク3は、このピン6を介して、シャンクフレンジ5の一対の腕部5b,5b間に、水平軸線回りに回動自在に支持されている。
また、ハンマーシャンク3の下面の前端部には、孔よりも後ろ側に、ハンマーシャンク3の長さ方向と直交する方向(左右方向)に溝3aが切削され、この溝3aに、シャンクローラ芯15が下方に突出するように取り付けられている。そして、このシャンクローラ芯15の突出部を前後から覆うように円柱状のシャンクローラ7が取り付けられている。
また、ハンマーシャンク3の後端部には、これと直交するようにハンマーヘッド4が設けられている。ハンマーヘッド4は、木材などで構成されたハンマーウッド4aと、その先端部を包むように順に巻かれたアンダーフェルト4bおよびトップフェルト4cで構成されている。
次に、鍵11の押鍵に伴ってハンマー2を回動させるアクション9の構成を、図3を参照して説明する。アクション9は、多数の鍵11(1つのみ図示)ごとに設けられている。同図に示すように、アクション9は、前後方向に延びる回動自在のウィッペン16と、ウィッペン16に回動自在に取り付けられたレペティションレバー10およびジャック12を備えており、左右のブラケット17,17(一方のみ図示)の間に取り付けられている。左右のブラケット17,17は、鍵11を載置する筬(図示せず)の左右端部にそれぞれ固定され、それらの間にウィッペンレール18が渡されていて、このウィッペンレール18にねじ止めした各ウィッペンフレンジ19に、ウィッペン16の後端部が回動自在に取り付けられている。各ウィッペン16は、対応する鍵11の上面後部に設けられたキャプスタンボタン20に、ウィッペンヒール21を介して載っている。
また、左右のブラケット17,17の間には、ハンマーシャンクレール13が渡されている。このハンマーシャンクレール13には、多数のねじ穴(図示せず)が左右方向に並ぶように形成されており、シャンクフレンジ5は、その取付孔5dに通したフレンジねじ8を、ハンマーシャンクレール13のねじ穴にねじ込み、締め付けることによって、ハンマーシャンクレール13に固定されている。
レペティションレバー10は、断面が矩形状で、斜め前上がりに前後方向に延びており、その中央部において、ウィッペン16に回動自在に取り付けられている。レペティションレバー10の後端部には、レバースクリュー22が上下方向に貫通した状態で進退自在に螺合しており、その下端部にレバーボタン23が一体に設けられている。また、レペティションレバー10は、ウィッペン16に取り付けたレペティションスプリング24によって、復帰方向(図3の反時計方向)に付勢されている。以上の構成により、鍵11の離鍵状態では、レペティションレバー10は、レペティションスプリング24のばね力により復帰側に回動していて、レバーボタン23がウィッペン16の上面に当接しているとともに、レバースクリュー22を回すことによって、離鍵状態におけるレペティションレバー10の角度を調整することが可能である。
レペティションレバー10の前部の所定位置には、上下方向に貫通するジャック案内孔10aが形成されている。このレペティションレバー10の上面のジャック案内孔10a付近に、ハンマー2がシャンクローラ7を介して載置されている。また、レペティションレバー10の上面の前端部には、レバースキン25が貼り付けられており、ドロップスクリュー14に対向している。この構成により、ドロップスクリュー14を回し、その下方への突出量を調整することによって、これにレペティションレバー10が当接するレットオフ位置を調整することが可能である。
ジャック12は、上下方向に延びる断面矩形のハンマー突上げ部12aと、その下端部から後方にほぼ直角に延びるレギュレーティングボタン当接部12bとから、L字状に形成されており、その角部においてウィッペン16の前端部に回動自在に取り付けられている。ハンマー突上げ部12aの上端部は、レペティションレバー10のジャック案内孔10aに、前後方向に移動自在に係合するとともに、離鍵状態においてはシャンクローラ7と微小な間隔を存して対向している。また、ジャック12は、レペティションレバー10を付勢するレペティションスプリング24によって、復帰方向(図3の反時計方向)に付勢されている。
また、ジャック12のハンマー突上げ部12aの中間部には、ジャック12の角度位置を調整するためのジャックボタンスクリュー26が、前後方向に貫通した状態で進退自在に螺合している。ジャックボタンスクリュー26の先端部には、ジャックボタン27が一体に設けられており、このジャックボタン27は、離鍵状態では、ウィッペン16に立設されたスプーン28に当接している。したがって、このジャックボタンスクリュー26を回すことによって、離鍵状態におけるジャック12の角度位置を調整することが可能である。
一方、ハンマーシャンクレール13の下面には、レギュレーティングレール29がねじ止めされており、このレギュレーティングレール29の下面に、ジャック12の上方への回動を規制するレギュレーティングボタン30が進退自在に螺合していて、ジャック12のレギュレーティングボタン当接部12bの前端部と所定の間隔をもって対向している。
以上の構成のアクション9によれば、図3に示す離鍵状態から鍵11が押鍵されると、ウィッペン16が、キャプスタンボタン20を介して突き上げられることにより、上方に回動するとともに、ウィッペン16に取り付けたレペティションレバー10およびジャック12も上方に回動する。これに伴い、まず、レペティションレバー10がシャンクローラ7を揺動させながらこれを介してハンマー2のハンマーシャンク3を押し上げることにより、ハンマーシャンク3がシャンクフレンジ5の一対の腕部5b,5bに案内されながら上方に回動する。次いで、レペティションレバー10がドロップスクリュー14に係合することにより、その回動が阻止されることで、ジャック12がシャンクローラ7を介してハンマーシャンク3を突き上げる。その後、ハンマーシャンク3およびこれと一体のハンマーヘッド4が、上方に張られた弦Sを打弦する直前まで回動した時点で、ジャック12が、レギュレーティングボタン30に係合し、その回動が阻止されることによって、シャンクローラ7から抜ける。これにより、ハンマーシャンク3およびハンマーヘッド4は、アクション9および鍵11との連結を解かれ、自由回動状態となり、ハンマーヘッド4が弦Sを打弦することによって、発音が行われる。
以上のように、本実施形態によれば、ハンマーシャンク3およびシャンクフレンジ5は、ABS樹脂の成形品で構成されるので、木材の場合と比較して、保形性や寸法安定性に優れており、それら自身の反りおよびねじれなどの変形および乾湿による伸縮を非常に小さく抑制できる。その結果、ハンマーシャンク3と一対の腕部5b,5bとの間のクリアランスがほとんど変化しないことによって、ハンマー2の安定した動作を確保することができる。また、ハンマーシャンク3は、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有するので、ABS樹脂などの合成樹脂のみで構成した場合と比較して、非常に高い剛性が得られ、木材と同等またはそれ以上の剛性を得ることができる。その結果、鍵11が強打されたときのハンマーシャンク3のたわみを抑制でき、押鍵エネルギーがハンマー2から弦Sに効率良く伝達されることによって、豊かな音量を得ることができる。
また、本実施形態では、シャンクフレンジ5側に一対の腕部5b,5bを設けることで、ハンマーシャンク3が断面一定の棒状の形状を有するので、押出成形による成形が可能となり、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有するハンマーシャンク3を容易にかつ精度良く形成することができる。
さらに、本実施形態では、ハンマーシャンク3に含有される強化材として、炭素繊維を用いているので、ハンマーシャンク3の導電性が高められることによって、その帯電を防止することができる。それにより、ハンマーシャンク3およびその周辺へのほこりなどの付着を抑制でき、したがって、ハンマー2の動作および外観を良好に維持することができる。
さらには、本実施形態では、ハンマーシャンク3は、中空状に形成されているので、その分、ハンマー2を軽量化でき、それにより、ハンマー2の回動速度が高められることによって、さらに豊かな音量を得ることができる。また、上述したように本実施形態のハンマーシャンク3は、長さ方向に連続する炭素繊維によって剛性が高められるので、ハンマーシャンク3を中空状に形成しても、所要の剛性を確保することが可能である。このように、所要の剛性を確保しながら、軽量化を最大限に図ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態では、ハンマーシャンク3を円筒状に形成しているが、これに代えて、断面が矩形などの多角形に形成された中空状のものを採用してもよい。また、本実施形態では、ハンマー2を軽量化するために、ハンマーシャンク3を中空状に形成しているが、剛性を優先する場合には、ハンマーシャンク3を中実状にしてもよく、例えば断面がH字状やI字状のものを採用してもよい。さらに、実施形態は、本発明をグランドピアノのアクションに適用した例であるが、本発明を、他のタイプのピアノ、例えばハンマーを有するグランド型電子ピアノや自動演奏ピアノ、さらには、アップライトピアノに適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部を適宜、変更することが可能である。
1 ハンマー装置
2 ハンマー
3 ハンマーシャンク
4 ハンマーヘッド
5 シャンクフレンジ
5b 腕部
11 鍵
2 ハンマー
3 ハンマーシャンク
4 ハンマーヘッド
5 シャンクフレンジ
5b 腕部
11 鍵
Claims (2)
- 鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを含むピアノのハンマー装置であって、
合成樹脂の成形品で構成され、互いに平行に延びる二股状の一対の腕部を有するシャンクフレンジを備え、
前記ハンマーは、
断面一定の棒状に形成され、長さ方向に連続する炭素繊維を強化材として含有する合成樹脂の成形品で構成されるとともに、一端部が前記シャンクフレンジの前記一対の腕部間に回動自在に支持され、前記鍵の押鍵に伴って回動するハンマーシャンクと、
当該ハンマーシャンクの他端部に設けられたハンマーヘッドと、
を有することを特徴とするピアノのハンマー装置。 - 前記ハンマーシャンクは、中空状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピアノのハンマー装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003335474A JP2005099610A (ja) | 2003-09-26 | 2003-09-26 | ピアノのハンマー装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003335474A JP2005099610A (ja) | 2003-09-26 | 2003-09-26 | ピアノのハンマー装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005099610A true JP2005099610A (ja) | 2005-04-14 |
Family
ID=34462842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003335474A Pending JP2005099610A (ja) | 2003-09-26 | 2003-09-26 | ピアノのハンマー装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005099610A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008292914A (ja) * | 2007-05-28 | 2008-12-04 | Yamaha Corp | 電子楽器の鍵盤装置 |
KR100904023B1 (ko) | 2008-01-08 | 2009-06-22 | 주식회사 미드무로 | 해머 복귀가 신속한 직립형 전자피아노 |
US7687692B2 (en) * | 2008-01-11 | 2010-03-30 | Wessell, Nickel & Gross | Hammer shank and shank butt for piano |
-
2003
- 2003-09-26 JP JP2003335474A patent/JP2005099610A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008292914A (ja) * | 2007-05-28 | 2008-12-04 | Yamaha Corp | 電子楽器の鍵盤装置 |
KR100904023B1 (ko) | 2008-01-08 | 2009-06-22 | 주식회사 미드무로 | 해머 복귀가 신속한 직립형 전자피아노 |
US7687692B2 (en) * | 2008-01-11 | 2010-03-30 | Wessell, Nickel & Gross | Hammer shank and shank butt for piano |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5488985B2 (ja) | アップライトピアノ型アクション | |
JP4599042B2 (ja) | ピアノのシャンクフレンジ | |
JP4621492B2 (ja) | ピアノのハンマー装置 | |
JP2005099610A (ja) | ピアノのハンマー装置 | |
JP4429690B2 (ja) | ピアノのハンマー | |
JP2007108661A (ja) | アップライトピアノのアクション | |
JP2005099609A (ja) | ピアノのハンマーシャンク | |
JP2005141182A (ja) | グランドピアノのレペティションレバー | |
JP2006285175A (ja) | ピアノのアクション | |
JP5276767B2 (ja) | アップライトピアノのダンパーレバー | |
JP2008102253A (ja) | 鍵盤楽器の回動体支持構造 | |
KR101406939B1 (ko) | 업라이트 피아노용 배트 | |
WO2000062277A1 (fr) | Instrument musical a clavier | |
JP4673466B2 (ja) | グランドピアノのハンマー装置 | |
JP3920234B2 (ja) | グランド型ピアノのウィッペン | |
JP2008170552A (ja) | アップライトピアノのダンパー装置 | |
JP2012073502A (ja) | アップライトピアノのアクション | |
JP2004252252A (ja) | グランド型ピアノのアクション | |
JP2006243294A (ja) | アップライトピアノのハンマー | |
JP2008090169A (ja) | アップライトピアノのアクション | |
US7687692B2 (en) | Hammer shank and shank butt for piano | |
JP4030899B2 (ja) | ピアノのウィッペン | |
JP2007218958A (ja) | アップライトピアノのブライドルテープの取付構造 | |
JP2007155964A (ja) | アップライトピアノのアクション | |
JP2009300937A (ja) | 鍵盤装置のハンマーアクション機構 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060831 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091013 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100302 |