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JP2005045440A - 電力増幅器及びこれを用いた無線通信装置 - Google Patents

電力増幅器及びこれを用いた無線通信装置 Download PDF

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JP2005045440A
JP2005045440A JP2003201702A JP2003201702A JP2005045440A JP 2005045440 A JP2005045440 A JP 2005045440A JP 2003201702 A JP2003201702 A JP 2003201702A JP 2003201702 A JP2003201702 A JP 2003201702A JP 2005045440 A JP2005045440 A JP 2005045440A
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Takayuki Kato
貴之 加藤
Keiichi Yamaguchi
恵一 山口
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】変調信号の違いや出力レベルの違いに応じて電力増幅器の動作級を変化させたときに高調波信号に対するインピーダンス整合条件を適切に設定して最大効率での増幅動作を実現する電力増幅器を提供する。
【解決手段】信号源11からの所望周波数の変調信号を増幅する増幅段3と、所望周波数の変調信号に対して信号源11と増幅段3の変調信号入力端子とのインピーダンス整合をとる入力整合回路2と、増幅段3の変調信号入力端子にバイアス電流を供給する入力バイアス回路6と、増幅段3の変調信号出力端子にバイアス電流を供給する出力バイアス回路7と、所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対して増幅段3の変調信号出力端子と負荷12とのインピーダンス整合をとる出力整合回路4と、入力バイアス回路6と出力バイアス回路7のバイアス値及び出力整合回路4のインピーダンスを制御する制御回路10を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力増幅器及びこれを用いた無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な変調方式を用いた無線通信システムが世界中で用いられている。同一の無線通信システムであっても、無線機が用いられる電波伝搬環境の変化やユーザ数の増減などに応じて、変調方式を適宜切り替えることが行われている。同一の無線通信システムであっても、無線機の使われる場所や状況によって無線機の出力レベル(電力レベル)を変化させる無線通信システムも存在している。一方、無線通信システムで用いられる無線機、例えば携帯電話機のような携帯無線機に対しては、半導体プロセス技術の向上や高周波回路設計技術の進歩により高機能化、小型化が要求されている。
【0003】
このような背景の下、携帯無線機に内蔵される電力増幅器には、様々な無線通信システムに対する適応性とともに、内蔵電池の小型化を可能とするための高効率化が求められてきている。電力増幅器は、携帯無線機などの無線通信装置の送信回路部に設けられ、変調信号を所要の電力レベルまで増幅するためのものである。電力増幅器が様々な無線通信システムに対する適応性を持つとは、例えば異なる変調方式による変調信号が入力された場合であっても、それぞれの無線通信システムで要求される出力レベルや歪みレベルの仕様を満たしつつ、所要の増幅動作を実現できる性能を持つことを意味する。
【0004】
一般に、異なる変調方式間では変調信号の平均電力レベルPaveと最大瞬時電力レベルPmaxの比で定義されるピークファクタ(=10*log(Pmax/Pave)[dB])が異なる。電力増幅器は、最大瞬時電力レベルの信号が入力された場合でも、歪みのレベルをシステム仕様の許容値内に抑えながら変調信号を増幅できなければならない。電力増幅器は、異なる複数の変調方式に基づく、ピークファクタの変調信号を増幅できることが必要である。そのためには、電力増幅器は最もピークファクタの大きな変調信号が入力された場合でも、歪みのレベルがシステム仕様を満たせるような特性を持つことが要求される。
【0005】
しかし、ピークファクタが大きい変調信号に対して最適に設計された電力増幅器を用いて、ピークファクタが小さな変調信号を増幅した場合、ピークファクタが大きな変調信号を増幅する場合に比べて効率が低下してしまう。同一の変調方式に基づく変調信号を増幅する場合であっても、出力レベルが大きいときに比べて出力レベルが小さいときの方が電力増幅器の効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
このように異なる複数の変調方式による変調信号を増幅する電力増幅器や、異なる出力レベルで変調信号を出力しなければならない電力増幅器を実現するときに生じる効率低下の問題に対しては、電力増幅器のバイアス値を制御することで電力増幅器の動作級を変化させる方法が提案されている(特許文献1参照)。一方、電力増幅器のバイアス値を制御するとともに、所望周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスのずれを補正する回路を備えた電力増幅器も提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−244828
【0008】
【特許文献2】
特開平11−220338号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のようにバイアス値の制御により電力増幅器の動作級のみを変える方法では、電力増幅器が所望周波数の変調信号を増幅する際に最も効率良く増幅動作をする負荷インピーダンスが異なってしまうため、所望周波数の変調信号に対して必ずしも高効率な増幅動作を行うことはできない。ここでいう負荷インピーダンスとは、電力増幅器の出力端子から出力端子に接続される負荷を見込んだインピーダンスであり、所望周波数の変調信号に対するインピーダンスと高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスの両方を含む。電力増幅器では、負荷インピーダンスが異なると歪み特性や利得特性などの増幅特性が変化し、また動作級を変えた場合には増幅特性と負荷インピーダンスの関係も変化する。
【0010】
特許文献2に記載の電力増幅器によれば、バイアス値を制御すると同時に所望周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスのずれを補正することにより、このような問題を解決することができる。反面、特許文献2では所望周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスを調整した際に、所望周波数の変調信号だけでなく高調波周波数の変調信号に対しても負荷インピーダンスが変化してしまう。電力増幅器では、出力側において高調波周波数の変調信号に対する負荷条件を最適化することにより、所望周波数の変調信号に対する負荷条件を最適化するだけでは実現不可能な、より高効率な増幅動作を実現できる。しかし、特許文献2では高調波周波数の変調信号に対する負荷条件を最適化することが難しく、これが電力増幅器の高効率化の妨げとなる。
【0011】
このように従来の電力増幅器では、変調信号の違いや出力レベルの違いに応じて動作級を変化させたときに高調波信号に対する整合条件を所望の条件に設定することができず、必ずしも最大効率での増幅動作を実現することができないという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、電力増幅器の動作級を変化させたときに高調波信号に対するインピーダンス整合条件を適切に設定してより高効率化できる電力増幅器及びこれを用いた無線通信装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の一つの観点では信号源からの所望周波数の変調信号が入力される変調信号入力端子と該入力される変調信号を増幅する増幅回路及び増幅された所望周波数及び高調波周波数の変調信号を出力する変調信号出力端子を有する増幅段と、前記所望周波数の変調信号に対して前記信号源と前記変調信号入力端子とのインピーダンス整合をとる入力整合回路と、前記変調信号入力端子にバイアスを供給する入力バイアス回路と、前記変調信号出力端子にバイアスを供給する出力バイアス回路と、前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対して前記変調信号出力端子と負荷とのインピーダンス整合をとる出力整合回路と、前記入力バイアス回路と出力バイアス回路のバイアス値並びに前記出力整合回路の前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを制御する制御回路とを具備する電力増幅器が提供される。
【0014】
本発明の他の観点では、入力バイアス回路及び出力バイアス回路は、前記変調信号入力端子及び変調信号出力端子にバイアスを供給する一つの入出力共用バイアス回路に置き換えられ、さらに制御回路によって前記入出力バイアス回路のバイアス値並びに前記出力整合回路の前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスが制御される。
【0015】
このような電力増幅器によると、バイアス値の制御により増幅すべき変調信号の変調方式や電力増幅器の出力レベルの違いに応じて電力増幅器の動作級を変化させると共に、電力増幅器の出力側に設けられた出力整合回路により所望周波数の変調信号と高調波周波数の変調信号に対して、それぞれ個別に任意の負荷条件を設定することが可能とすることにより、電力増幅器が発揮し得る最大効率の増幅動作を実現し、より高効率の増幅動作が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る電力増幅器を示す。入力端子1には、信号源11から所望周波数の変調信号が供給される。電力増幅器が後述する携帯無線機に用いられる場合を例にとると、信号源11は例えば電力増幅器の前に配置されるドライバアンプや直交変調器であり、あるいは変調信号発生器である。信号源11から入力端子1に供給されてきた変調信号は、入力整合回路2を介して増幅段3に入力される。増幅段3は、例えばバイポーラトランジスタを用いて実現される。
【0017】
増幅段3からの出力信号は、出力整合回路4を介して出力端子5に導かれる。出力端子5には、出力負荷12が接続される。携帯無線機に用いられる電力増幅器を例にとると、出力負荷12は例えば電力増幅器の後に配置されるアイソレータやフィルタであり、あるいは変調信号を解析するためのスペクトラムアナライザやパワーメータである。
【0018】
増幅段3には、入力バイアス回路6と出力バイアス回路7が接続される。入力バイアス回路6は、増幅段3の変調信号入力端子に入力バイアス、例えばバイアス電流(入力バイアス電流という)を供給する回路であり、そのバイアス値すなわち入力バイアス電流の電流値は、制御回路10からの制御信号8によって制御される。出力バイアス回路7は、増幅段3の変調信号出力端子に出力バイアス、例えばバイアス電流(出力バイアス電流という)を供給する回路であり、そのバイアス値すなわち出力バイアス電流の電流値は、制御回路10からの制御信号8によって制御される。制御回路10は、さらに出力整合回路4のインピーダンス制御も行う。
【0019】
本実施形態の電力増幅器では、例えば同一の変調方式に基づく無線通信システムの下で変調信号の出力レベルを変化させる場合に、制御回路10により出力レベルに応じて増幅段3の動作級を変化させると共に、出力整合回路4の所望周波数の変調信号に対するインピーダンスと高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを変化させることにより、最大効率での増幅動作を実現する。電力増幅器の動作級に関しては、「マイクロ波トランジスタ 高山洋一郎著 社団法人電子情報通信学会」その他の一般書籍に記述され、周知の事項であるため、ここでは説明を省略する。
【0020】
以下の説明では、同一の変調方式を用いた無線通信システムにおいて、電力増幅器の出力レベルの仕様が異なるケースAとケースBのそれぞれの場合に最大効率で増幅動作を実現する電力増幅器について述べる。なお、ケースAとケースBの詳細については後述する。電力増幅器の動作は、ケースA及びケースBで共通である。
【0021】
図1の各部の具体的な構成例について説明する。
(入力整合回路2)
入力整合回路2は、例えば図2に示すように信号線路に直列に挿入されたキャパシタ21,23、及びキャパシタ21,23の接続点と基準電位点(ここでは、グラウンド)間に挿入されたインダクタ22からなる。入力整合回路2は、信号源11からの所望周波数の変調信号が増幅段3の入力側で極力反射されることなく増幅段3へ入力されるように、信号源11と増幅段3の変調信号入力端子とのインピーダンス整合をとるものであり、キャパシタ21,23の容量値及びインダクタ22のインダクタンス値は、インピーダンス整合条件を満たすように選択される。
【0022】
今、所望周波数が例えば1950MHzであり、信号源11の出力インピーダンスは50Ωとする。増幅段3の入力側に接続される入力負荷のインピーダンス値は、通常、増幅段3の利得が所望の値以上となるように選択される。増幅段3にバイポーラトランジスタを用いた場合の実測結果に従えば、増幅段3の入力側に接続される入力負荷のインピーダンスが0.9−j7程度のとき、所要とする大きな利得が得られる。入力端子1に50Ωの信号源11が接続されたとき、入力整合回路2の出力端子から見込んだインピーダンスが0.9−j7程度になるように、キャパシタ21の値は13pF、キャパシタ23の値は5.7pF、インダクタ22の値は0.6nHに選ばれる。
【0023】
(増幅段3)
増幅段3は、例えば図3に示されるようにバイポーラトランジスタ30(この例では、npnトランジスタ)を用いたエミッタ接地増幅回路31、入力バイアス回路6からの入力バイアス電流が供給される入力バイアス線路32、及び出力バイアス回路7からの出力バイアス電流が供給される出力バイアス線路33を有する。
【0024】
エミッタ接地増幅回路31を構成するトランジスタ30のベース端子は、変調信号入力端子34に接続されると共に入力バイアス線路32を介して入力バイアス電流入力端子35に接続される。従って、入力バイアス回路6からの入力バイアス電流は、入力バイアス電流入力端子35から入力バイアス線路32を介してトランジスタ30のベース端子に供給される。
【0025】
一方、トランジスタ30のコレクタ端子は、変調信号出力端子36に接続されると共に出力バイアス線路33を介して出力バイアス電流入力端子37に接続される。従って、出力バイアス回路7からの出力バイアス電流は、出力バイアス電流入力端子37から出力バイアス線路33を介してトランジスタ30のコレクタ端子に供給される。
【0026】
エミッタ接地増幅回路31は、入力整合回路2を介して入力される所望周波数の変調信号を携帯無線機などのシステムの仕様を満たす出力レベルにまで増幅でき、かつエミッタ接地増幅回路31の持つ非線形性のために、高調波周波数の変調信号に代表される非線形歪みをシステムの仕様が許容するレベルに抑えることができる性能を有する。
【0027】
すなわち、エミッタ接地増幅回路31は入力バイアス電流及び出力バイアス電流が供給されることによって増幅動作を行い、変調信号入力端子34から入力される所望周波数の変調信号を増幅して、変調信号出力端子36より出力する。エミッタ接地増幅回路31は一般に非線形性を持つため、変調信号出力端子36には所望周波数の変調信号と共に、高調波周波数の変調信号に代表される歪み信号が出力される。
【0028】
(入力バイアス回路6)
入力バイアス回路6は、例えば図4に示されるように増幅段3の入力バイアス電流入力端子35に一端が接続されるインダクタ61、切替スイッチ62、抵抗63,64及び電流源65からなる。切替スイッチ62は、制御回路10からの制御信号8により制御され、インダクタ61の他端に抵抗63,64及び基準電位点(ここでは、グラウンド)のいずれかを接続する。これによって、入力バイアス回路6から増幅段3に供給される入力バイアス電流が変化する。
【0029】
電流源65は、負荷に関わらず一定の電流を供給する回路であり、例えば図5に示されるように電源100、抵抗101,102、トランジスタ103,106及び電流出力端子108を有する。電源100には、通常、電池等が使用される。ダイオード接続されたトランジスタ103とトランジスタ106でカレントミラー回路を構成しているため、電源100から供給される電圧に応じて電流出力端子108から一定の電流が供給される。カレントミラー回路は一般的に良く知られた回路であり、一般書籍にも掲載されている回路であるため、ここでは詳しい動作の説明を省略する。
【0030】
入力バイアス回路6から増幅段3に供給すべき入力バイアス電流は、増幅段3の動作級によって異なる。すなわち、増幅段3がA級動作を行う場合はA級動作を実現するだけの入力バイアス電流を増幅段3に供給し、B級動作を行う場合には入力バイアス電流を絞る必要がある。このように入力バイアス回路6は、増幅段3に動作級に応じた入力バイアス電流を供給する。増幅段3にバイポーラトランジスタ30を用いた場合、入力バイアス電流は通常、A級動作時、B級動作時ともに数mA程度である。増幅段3の動作級をより細かく制御したい場合は、バイアス電流が連続可変のバイアス回路を使用することが望ましい。
【0031】
本実施形態では、説明を簡単にするため一例としてバイポーラトランジスタ30の動作級をA級の場合とB級の場合で動作させる場合を想定している。従って、入力バイアス回路6も先のケースAとケースBで必要となる2種類のバイアス電流を選択的に供給できる回路を用いる。
【0032】
図4に示した入力バイアス回路6において、電流源65から出力されるバイアス電流は抵抗63または64を通り、インダクタ61を介して出力され、入力バイアス電流入力端子35に供給される。入力バイアス電流が抵抗63または64のいずれかを通って入力バイアス電流入力端子35に供給されるかは、増幅段3をどの動作級で動作させるかによって異なり、制御回路10から送られる制御信号8が切替スイッチ62を制御することにより抵抗63または64のいずれかが選択される。
【0033】
一般に、増幅段3に入力される変調信号は、入力バイアス回路6へは混入しないことが望ましく、このために入力バイアス回路6にインダクタ61が設けられている。インダクタ61のインダクタンスは、増幅段3の入力バイアス電流入力端子35から入力バイアス回路6を見込んだインピーダンスが、増幅段3の信号入力端子34からトランジスタ30のベース端子側を見込んだインピーダンスに対して数十〜数百倍と十分高くなるように選択される。増幅段3へ入力された変調信号が入力バイアス回路6に入力されても問題ない場合は、インダクタ61は不要である。
【0034】
本実施形態では、入力バイアス回路6は増幅段3の変調信号入力端子34に入力バイアスとしてバイアス電流を供給すると説明したが、バイアス電圧を供給してもよい。その場合は、制御回路10によって制御される入力バイアスのバイアス値はバイアス電圧の電圧値である。
【0035】
(出力バイアス回路7)
出力バイアス回路7は、例えば図6に示されるように増幅段3の出力バイアス電流入力端子37に一端が接続されるインダクタ71、切替スイッチ72、抵抗73及び電流源75からなる。切替スイッチ72は、制御回路10からの制御信号8により制御され、インダクタ71の他端に抵抗63及び基準電位点(ここでは、グラウンド)のいずれかを接続する。これによって、出力バイアス回路7から増幅段3に供給される出力バイアス電流が変化する。
【0036】
出力バイアス回路7からの出力バイアス電流の値も、入力バイアス回路6からの入力バイアス電流の値と同様に、増幅段3をどの動作級で動作させるかにより異なってくる。具体的には、出力バイアス電流は増幅段3が小信号増幅を行う場合は、A級動作時で数百mA、B級動作時で数十mAであり、大信号増幅を行う場合は、A級、B級動作時共に数百mA程度である。
【0037】
しかし、出力バイアス電流に関しては入力バイアス電流と異なり、増幅段3の動作級によって電流値を故意に絞るような制御は行われず、通常、入力バイアス電流が制御されるに伴い、出力バイアス電流も制御される。すなわち、トランジスタの基本動作原理に沿って入力バイアス電流が絞られるに伴い、出力バイアス電流も絞られることとなる。よって本実施形態では、説明を簡単にするため、出力バイアス電流の値は増幅段3のトランジスタの動作級によって制御しないものとする。
【0038】
電流源75から出力されるバイアス電流は抵抗73を通り、インダクタ71を介して増幅段3の出力バイアス電流入力端子37を介してトランジスタ30のコレクタ端子に供給される。また、増幅段3が増幅動作を行わないときは、増幅段3の出力端子36はインダクタ71を介してグランドに接続される。インダクタ71が抵抗73に接続されるかグランドに接続されるかは、制御回路より与えられる制御信号8により、スイッチ72で切り替えられる。電流源75は電流源65とほぼ同じ構成であるため、ここでは電流源75の構成については説明を省略する。
【0039】
また、本実施形態では出力バイアス回路7も入力バイアス回路6と同様に、増幅段3の変調信号出力端子36に入力バイアスとしてバイアス電流を供給することに代えてバイアス電圧を供給してもよい。その場合は、制御回路10によって制御される出力バイアスのバイアス値はバイアス電圧の電圧値である。
【0040】
(出力整合回路4)
出力整合回路4には、増幅段3から出力される所望周波数の変調信号及び高調波周波数の変調信号が入力される。出力整合回路4は、所望周波数の変調信号及び高調波周波数の変調信号の両方に対して、増幅段3の変調信号出力端子36と出力負荷12とのインピーダンス整合をとるように構成される。
【0041】
出力整合回路4は、例えば図7に示されるように高調波整合回路26、所望波整合回路27、信号線路50及びインダクタ53を有する。インダクタ53は、信号線路50の途中に挿入される。信号線路50の一端は信号入力端子57に接続され、他端は信号出力端子58に接続される。高調波整合回路26は、信号入力端子57と基準電位点(ここでは、グラウンド)間に直列に接続された可変インダクタ51とキャパシタ52により構成される。所望波整合回路27は、インダクタ53の他端と信号出力端子58との接続点に接続された可変キャパシタ55と、信号出力端子58とグラウンド間に接続された可変キャパシタ56により構成される。可変インダクタ51のインダクタンス値及び可変キャパシタ55,56の容量値は、制御回路10からの制御信号8によって制御される。
【0042】
図8には、高調波整合回路26に用いられる可変インダクタ51の具体例を示す。二つのインダクタ81,82がインダクタ切替スイッチ83A,83Bによって制御信号8に従って切り替えられることにより、インダクタンス値が二段階に切り替えられる構成となっている。
【0043】
図9には、可変キャパシタ55及び56の具体例を示す。可変キャパシタ55は、キャパシタ90、インダクタ91,94、抵抗92及びトランジスタ93からなる。可変キャパシタ56は、キャパシタ95,99、インダクタ96、抵抗97及びトランジスタ98からなる。トランジスタ93,98はいずれもベース端子とコレクタ端子が接続されたダイオード接続のトランジスタであり、エミッタ端子とコレクタ端子(またはベース端子)の間に印加される逆方向バイアス電圧の大きさに応じて容量値が変化するキャパシタとして機能する。この例では、トランジスタ93のエミッタ端子に制御信号8の電圧が抵抗92及びインダクタ91を介して供給され、トランジスタ98のエミッタ端子に制御信号8の電圧が抵抗97及びインダクタ96を介して供給されることにより、トランジスタ93,98のエミッタ端子とコレクタ端子間に逆方向バイアス電圧が印加される。
【0044】
ダイオード接続のトランジスタが可変キャパシタとして機能することは公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ダイオード接続のトランジスタはアクティブ素子であるため、歪み特性を持つ。よって、ダイオード接続のトランジスタを可変キャパシタとして用いる場合には、トランジスタサイズ等を歪み特性が十分無視できるように注意して選択しなければならない。
【0045】
ダイオード接続のトランジスタ93,98に印加する逆方向バイアス電圧は通常、パイポーラトランジスタ30を用いた増幅段3の変調信号出力端子36におけるバイアス電圧とは異なる大きさである。さらに、トランジスタ93,98にそれぞれ印加する逆方向バイアス電圧の値は互いに異なっている必要がある。従って、増幅段3の変調信号出力端子36と、ダイオード接続のトランジスタ93,98とは交流的には接続されつつも、直流的には互いに遮断されていることが望ましい。図9の例では、これに限られるものではないが、キャパシタ90,95,99によって増幅段3の変調信号出力端子36とダイオード接続のトランジスタ93,98が交流的に接続され、かつ直流的に遮断されている。
【0046】
図9の例では、動作原理を分かりやすくするために制御回路10からの制御信号8が直流電圧であり、ダイオード接続のトランジスタ93,98に印加される直流電圧が用いられている。しかし、制御信号8はトランジスタ93,98に印加される直流電圧そのものではなく、トランジスタ93,98に印加される直流電圧を発生する直流電圧源を制御するための信号であってもよい。
【0047】
なお、可変キャパシタとしては、このようにダイオード接続されたトランジスタではなく、両端に印加される電圧値によって容量が変化するようなパッシブ素子のキャパシタを用いても構わない。
【0048】
制御回路10から出力される制御信号8である直流電圧は、抵抗92によってダイオード接続のトランジスタ93が所望の容量値のキャパシタになるような電圧値まで降下された後、インダクタ91を介してトランジスタ93に印加され、また抵抗97によってダイオード接続のトランジスタ98が所望の容量値のキャパシタになるような電圧値まで降下された後、インダクタ96を介してトランジスタ98に印加される。
【0049】
ここで、増幅段3から出力された所望周波数の変調信号や高調波周波数の変調信号は、通常、制御信号8の通る制御線を伝わって制御回路10に漏れ込まないように、増幅段3の変調信号出力端子36と制御回路10とは直流的には接続されつつも、交流的には遮断されることが望ましい。図9の例では、これに限られるものではないが、インダクタ91,94,96によって増幅段3の変調信号出力端子36と制御回路10とが直流的には接続されつつ、交流的に遮断されている。ここで、インダクタ94は制御回路10ではなく基準電位点(ここでは、グラウンド)に接続されており、ダイオード接続のトランジスタ92のコレクタ端子を直流的に接地させている。
【0050】
増幅段3と出力負荷12の間に挿入された出力整合回路4は、増幅段3から出力される所望周波数の変調信号を出力負荷12の入力側で極力反射されることなく出力負荷12に吸収され、かつ、増幅段3が所望の特性となるように高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを生成する必要がある。この条件を満足するように、出力整合回路4に含まれる高調波整合回路26、インダクタ53及び所望波整合回路27は調整される。
【0051】
前述したように通常、増幅段3は出力負荷12のインピーダンスによって特性が異なる。すなわち、出力負荷12のインピーダンスの値に依存して歪みやすくなったり歪みにくくなったりすることで、同じ歪みレベルであっても所望の出力レベルが得られるインピーダンス、所望の利得が得られるインピーダンス及び所望の効率が得られるインピーダンスが各々存在する。
【0052】
出力整合回路4の信号出力端子58に接続される出力負荷12は、通常、50Ωのインピーダンスを持つため、増幅段3の負荷としては出力整合回路4と50Ωの出力負荷12が接続されることになる。すなわち、高調波整合回路26、インダクタ53及び所望波整合回路27については、出力整合回路4の信号出力端子58に出力負荷12としてインピーダンス50Ωの負荷が接続されたときに、増幅段3が所望の特性となるように調整する必要がある。出力整合回路4の調整に関しては、ケースAとケースBの場合に分けて後に詳細に説明するため、ここでは簡単な説明に留めておく。
【0053】
以上のような動作により、増幅段3から出力される所望周波数の変調信号及び高調波周波数の変調信号は出力整合回路4へ入力される。この後、所望周波数の変調信号は出力整合回路4から出力負荷12へ伝達され、高調波周波数の変調信号は一部が出力整合回路4で反射されて増幅段3へ戻され、他の一部は出力負荷12へ伝達される。
【0054】
次に、本実施形態の電力増幅器をケースAで使用している状況から、ケースBで使用する状況へ切り替える場合の動作について説明する。前述したように、ケースAとケースBでは電力増幅器の出力レベルに関する仕様が異なる。
【0055】
本実施形態では説明の都合上、一例としてケースAとケースBの仕様を以下のように規定する。すなわち、電力増幅器をケースAで使用する場合、最大出力レベルは26dBm以上、歪みレベルは−38dBc以下、利得は15dB以上とする必要があり、また、ケースBで使用する場合、最大出力レベルは23dBm以上、歪みレベルは−38dBc以下、利得は12dB以上とする必要があるとする。
【0056】
一般的に、増幅器はA級動作をしているときには、B級動作をしているときに比べて効率及び歪みレベルが低く、利得は高くなる。逆に、B級に近い動作をしているときには、効率及び歪みレベルが高く、利得が低くなる。従って上記のような仕様の電力増幅器では、増幅段3をケースAの場合はA級動作とし、ケースBの場合はB級動作とすることで、高い効率を維持しつつ増幅を行うことが可能となる。そこで、本実施形態では増幅段3をケースAではA級動作、ケースBではB級動作とした場合について説明する。
【0057】
図10は、電力増幅器の動作級と電力増幅器が最も効率良く増幅動作をする所望周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスの値の測定結果の一例をスミスチャートで表している。図10の測定結果は、変調信号の種類は同一であるが、電力増幅器に供給する入力バイアス電流の値を変化させて電力増幅器の動作級を変化させたときに、効率が最大となる負荷インピーダンスの値を測定したものであり、スミスチャートの中心を50Ωとして表記している。図10の測定結果によると、電力増幅器がA級動作時に最も効率良く増幅動作をする負荷インピーダンスの値はZη=6.517+j1.778であり、B級動作時に最も効率良く増幅動作をする負荷インピーダンスの値はZη=10.224+j6.977であった。
【0058】
図10の測定結果を基に、仮に電力増幅器がA級動作をしており、かつ負荷インピーダンスの値がZη=6.517+j1.778であったときに、動作級をA級からB級に変更し、かつ負荷インピーダンスはZAη=6.517+j1.778のままにしたままであったとすると、効率は負荷インピーダンスがZBη=10.224+j6.977のときに比べて約4%も減少してしまうという結果が得られている。従って、特許文献1に開示されたような、電力増幅器のバイアス値を制御することで動作級のみを変える方法では、電力増幅器が所望周波数の変調信号を増幅する際に最も効率良く増幅動作をする負荷インピーダンスが異なってしまうため、所望周波数の変調信号に対して必ずしも高効率な増幅動作を行うことができない。
【0059】
一方、特許文献2に開示されたようにバイアス値を制御すると共に、所望周波数の変調信号に対する出力インピーダンスのずれを補正する機能を備えた電力増幅器では、所望周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスを調整した際に、所望周波数の変調信号だけでなく高調波周波数の変調信号に対しても負荷インピーダンスが変化してしまうという問題があり、また高調波周波数の変調信号に対する負荷インピーダンスの調節もできない。電力増幅器では、出力側において高調波周波数の変調信号に対する負荷条件を最適化することにより、所望周波数の変調信号に対する負荷条件を最適化するだけでは実現不可能な、より高効率な増幅動作を実現することができる。
【0060】
図11に、高調波周波数の変調信号として所望周波数の2倍の周波数の変調信号を用い、該変調信号に対するインピーダンスを変化させたときの電力増幅器の効率変化の測定結果の一例を示す。測定に用いた変調信号は、周波数1950MHzの変調信号である。図中、横軸は高調波周波数の変調信号に対する反射位相角、縦軸は効率である。反射位相角は、負荷インピーダンスの実部と虚部の比の正接角で定義される。
【0061】
本測定結果は、高調波周波数の変調信号に対する反射位相角と効率の測定結果であるため、反射量と効率との関係は示していない。しかし、高調波周波数の変調信号に対する反射係数の大きさと位相角により効率が変わることは既に知られており、反射係数の大きさは大きければ大きいほど効率は向上する。
【0062】
高調波周波数は、所望周波数の2倍、3倍、それ以上と無限に続くが、信号レベルの大きさから実際は所望周波数の2倍と3倍の周波数の高調波周波数の変調信号の寄与が大きい。ここでは、説明を簡略なものにするため2倍の高調波周波数の変調信号のみに着目する。高調波周波数の変調信号を最適化することにより電力増幅器が高効率動作を行う原理に関しては、「マイクロ波トランジスタ」高山洋一郎著、社団法人電子情報通信学会等の書籍に記述されているため、ここでは説明を省略する。
【0063】
図11の測定結果から明らかなように、高調波周波数の変調信号に対する出力インピーダンスを最適化することにより、所望周波数の変調信号に対する出力インピーダンスの調整のみでは不可能である、電力増幅器の高効率化が可能であることが分かる。また、所望波周波数の変調信号に対するインピーダンス整合条件と高調波周波数の変調信号に対するインピーダンス整合条件は互いに独立なものであるため、電力増幅器を最大効率で増幅動作をさせるためには所望周波数と高調波周波数の2つの変調信号に対するインピーダンス整合条件が別々に調整できなければ、電力増幅器が発揮し得る最大効率での増幅動作を実現することはできない。
【0064】
特許文献2の電力増幅器では、この電力増幅器の高効率動作に欠かすことのできない高調波信号に対するインピーダンス整合条件を任意の条件に設定することができない。その理由は、特許文献2の電力増幅器では出力側に設けられた出力整合回路が信号線路に挿入されたキャパシタと該キャパシタの負荷側端とグラウンド間に挿入されたインダクタによってのみ構成されていることによる。このような出力整合回路では、所望周波数の変調信号に対してインピーダンス整合をとることはできるが、高調波周波数の変調信号に対して所望周波数の変調信号とは独立してインピーダンス整合をとることはできない。
【0065】
これに対し、本実施形態の電力増幅器では、出力整合回路4に高調波整合回路26と所望波整合回路27及びインダクタ53が設けられ、インダクタ53が高調波周波数の信号に対して高いインピーダンスを実現することにより、所望波整合回路27が高調波周波数の信号に影響を与えないようになるため、高調波周波数の変調信号及び所望周波数の変調信号に対して独立に、増幅段3の変調信号出力端子36と出力負荷12とのインピーダンス整合をとることができ、それによって高効率動作を実現できる。
【0066】
以下、図10に示す測定結果を用いて本実施形態の電力増幅器の具体的な動作説明を行う。増幅段3は、A級動作をしているときに所望波周波数の変調信号に対して出力負荷12のインピーダンスがZAη=6.517+j1.778の場合に、最大出力レベルは26dBm以上、歪みレベルは−38dBc以下、利得は15dB以上という性能を有し、またB級動作をしているときに出力負荷12のインピーダンスがZBη=10.224+j6.977の場合には、最大出力レベルは23dBm以上、歪みレベルは−38dBc以下、利得は12dB以上という性能を有するものとする。
【0067】
本実施形態において、電力増幅器の使用される状況がケースAからケースBに変わったときに変更を伴う構成要素は、図1における増幅段3、出力整合回路4、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7である。これ以外の入力整合回路2及び制御回路10に関しては、特に変更を伴わないために、以下では入力整合回路2及び制御回路10の動作説明を省略する。
【0068】
まず、本実施形態の電力増幅器がケースAで使用される場合、増幅段3はA級動作を行う。すなわち、制御回路10からは増幅段3がA級動作を行うための制御信号8が出力整合回路4、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7へ送られる。
【0069】
入力バイアス回路6では、制御回路10からの制御信号8に従って抵抗63または64のいずれかが選択される。ケースAの場合、仮に抵抗63が選択されるとする。このとき、電流源65から出力されたバイアス電流は、抵抗63を通り、インダクタ61を介して増幅段3の入力端子に供給される。すなわち、増幅段3の変調信号入力端子には増幅段3がA級動作を行うために必要なバイアス電流が供給される。
【0070】
出力バイアス回路7では、制御回路10からの制御信号8に従って抵抗73が選択される。このとき、電流源75から出力されたバイアス電流は抵抗73を通り、インダクタ71を介して増幅段3の出力端子に供給される。すなわち、増幅段3の出力端子には増幅段3がA級動作を行うために必要なバイアス電流が供給される。
【0071】
このように入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7から、増幅段3にA級動作を行うために必要なバイアス電流が供給されることにより、増幅段3はA級動作を行う。一方、出力整合回路4は、制御回路10からの制御信号8に従って増幅段3が所望の特性で増幅動作を行うようにインピーダンス整合をとるように動作する。
【0072】
ここで、増幅段3がA級動作を行っているとき、所望周波数の変調信号に対する最適な出力負荷のインピーダンスの値を図10の測定結果よりZAη=6.517+j1.778とする。この場合、出力整合回路4における所望波整合回路27内の可変キャパシタ55,56は、出力整合回路4の出力端子58に50Ωの出力負荷12が接続されたときに、出力整合回路4の信号入力端子57から出力整合回路4側を見込んだインピーダンスがZAη=6.517+j1.778となるように制御される。このとき、インダクタ53のインダクタンスは5nH、可変キャパシタ55,56の容量値はそれぞれ1.9pF,4.3pFとなる。
【0073】
一方、インダクタ53、所望波整合回路27及び50Ωの出力負荷12の全てを見込んだ高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスは、高調波周波数が所望周波数の2倍である3900MHzの場合は1.7+j92であり、反射係数でいうと0.98*exp(j57)となる。よって、本実施形態の電力増幅器によると、従来の電力増幅器では実現できなかった、高調波周波数の変調信号に対して十分な大きさを持つ反射係数が実現できる。
【0074】
また、高調波周波数の変調信号に対するインピーダンス整合条件を説明の都合上、位相角が0°のときに最も効率が高くなるとすれば、インダクタ53、所望波整合回路27及び50Ωの出力負荷12の全てを見込んだ高調波周波数の変調信号に対する反射係数の位相角を0°とし、できる限り大きな反射係数を実現する必要がある。本実施形態において、この条件を満足するためには高調波整合回路26のキャパシタ52の容量値を0.3pF、可変インダクタ51のインダクタンスを1.8nHとすればよい。このとき、出力整合回路4の信号入力端子57から高調波整合回路26、インダクタ53、所望波整合回路27及び50Ωの出力負荷12を見込んだインピーダンス及び反射係数は、所望波周波数では6.4+j1.6及び0.8*exp(j176)、高調波周波数では4900+j16及び0.98*exp(j0.004)である。
【0075】
このように制御回路10により増幅段3、出力整合回路4、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7を制御することで、増幅段3にA級動作を行わせつつ、最大効率で増幅動作を行うことができる。
【0076】
次に、増幅段3がケースBで動作する場合、すなわち、A級動作からB級動作に切り替わるときの動作について説明する。
まず、制御回路10から制御信号8が入力バイアス回路6、出力バイアス回路7及び出力整合回路4に送られる。入力バイアス回路6では、制御回路10からの制御信号8に従ってスイッチ62によりバイアス電流供給路の抵抗が抵抗63から抵抗64へ切り替わる。このとき、電流源65から出力されたバイアス電流は抵抗64を通り、インダクタ61を介して増幅段3の入力端子に供給される。すなわち、増幅段3の入力端子には増幅段3がB級動作を行うために必要なバイアス電流が供給される。
【0077】
出力バイアス回路7では、制御回路10からの制御信号8に従って抵抗73が選択される。本実施形態では、出力バイアス電流の値をA級動作時とB級動作時で共通としているため、増幅段3に供給されるバイアス電流はケースAのときと同じである。このように、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7から増幅段3にB級動作を行うために必要なバイアス電流が供給されることにより、増幅段3はB級動作を行う。
【0078】
一方、出力整合回路4は、制御回路10からの制御信号8に従って増幅段3が所望の特性で増幅動作を行うようにインピーダンス整合を行う。増幅段3がB級動作をするとき、所望周波数の変調信号に対する最適な出力負荷のインピーダンスの値を図10の測定結果を用いてZBη=10.224+j6.977とする。この場合、出力整合回路4における所望波整合回路27内の可変キャパシタ55,56は、出力整合回路4の出力端子58に50Ωの出力負荷12が接続されたときに出力整合回路4の信号入力端子57から出力整合回路4側を見込んだインピーダンスがZBη=10.224+j6.977となるように制御される。インダクタ53は可変ではないため、そのインダクタンスはA級動作時と同じ5nHである。キャパシタ55,56は可変キャパシタであり、容量値は制御回路10からの制御信号8に従ってA級動作時の値から所望の値へ変更される。具体的には、キャパシタ55の容量値は1.9pFから2.4pF、キャパシタ56の容量値は4.3pFから3.3pFへ変更される。
【0079】
このときインダクタ53、所望波整合回路27及び50Ωの出力負荷12の全てを見込んだ高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスは、高調波周波数が所望周波数の2倍である3900MHzの場合に3.1+j94であり、反射係数でいうと0.97*exp(j56)となる。よって、ケースAの場合と同様にケースBであっても、従来の電力増幅器では実現できなかった、高調波周波数の変調信号に対して十分な大きさを持つ反射係数が実現できる。
【0080】
また、高調波周波数の変調信号に対するインピーダンス整合条件を説明の都合上、ケースAの場合とは異なる位相角が180°のときに最も効率が高くなるとすれば、インダクタ53、所望波整合回路27及び50Ωの出力負荷12の全てを見込んだ高調波周波数の変調信号に対する反射係数の位相角を180°とし、できる限り大きな反射係数を実現する必要がある。この条件を満足するためには、高調波整合回路26のキャパシタ52の値を0.3pF、可変インダクタの値を5.6nHとすればよい。このとき、出力整合回路4の信号入力端子57から高調波整合回路26、インダクタ53、所望波整合回路27、及び信号出力端子58に接続された50Ωの出力負荷12を見込んだインピーダンス及び反射係数は、所望波周波数では10.6+j7.1と0.66*exp(j163)、高調波周波数では0.001+j1.2と0.99*exp(j177)である。
【0081】
このように制御回路10によって増幅段3、出力整合回路4、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7を制御することにより、A級動作を行っていた増幅段3がB級動作を行い、かつ電力増幅器が出し得る最大効率で増幅動作を行うことができる。
【0082】
上記の説明では、増幅段3のA級動作時及びB級動作時の所望周波数の変調信号に対する最適インピーダンスとして、ZAη=6.517+j1.778とZBη=10.224+j6.977を用い、本実施形態の構成を用いればZAη=6.517+j1.778とZBη=10.224+j6.977の両方のインピーダンスを実現できることを示したが、最適インピーダンスがこれら以外のインピーダンスであっても、本実施形態の構成により、その最適インピーダンスを実現することが可能である。
【0083】
図12に、本実施形態で用いた構成で実現できるインピーダンスの計算結果をスミスチャートを用いて示す。スミスチャート上で、斜線を施した部分が本実施形態の構成で実現できるインピーダンスの範囲である。図10の場合と同様に、スミスチャートの中心は50Ωである。本計算結果は、出力整合回路4の出力端子58に出力負荷12として50Ωの抵抗負荷12が接続されたときに信号入力端子57より出力整合回路4側を見込んだインピーダンスである。計算する際に用いたインダクタ53のインダクタンス値は5nHであり、可変キャパシタ55,56の容量値の可変範囲はそれぞれ1.3〜10pF,0.3〜10pFである。
【0084】
バイポーラトランジスタを用いた電力増幅器において、実現し得る最大効率の増幅動作が可能な最適なインピーダンスの範囲は、インピーダンスの逆数であるアドミッタンスの表現を用いると、アドミッタンスの大きさが25[S]以下の円の内部に存在する。よって、実使用上、必要となるであろうインピーダンスの値は、本実施形態の構成で実現できるインピーダンスの範囲内にある。しかし、最適なインピーダンスが本実施形態で実現できる図12に示すインピーダンスの範囲外にあったとしても、出力整合回路4のインダクタンス53の値を変化させることにより、本実施形態によって実現できるインピーダンスの範囲を広げることができるため、特に問題は無い。
【0085】
一方、可変キャパシタ55,56の容量値可変範囲については、例えば図9に示したようにダイオード接続のトランジスタ93,98を用いたものでは、SiGeのトランジスタで50%程度の可変範囲を持ち、また、電圧を加えることにより容量値が変化するパッシブ素子である積層セラミックコンデンサでも、50%程度の可変範囲が得られることが分かっている。容量値に関しては、ダイオード接続のトランジスタを用いる場合は、必要となる容量値を実現できる面積を持つトランジスタを用意し、また、積層セラミックコンデンサを用いる場合には、必要となる容量値のものを用意することにより、本実施形態で用いる可変キャパシタ55,56を実現することは十分可能である。
【0086】
本実施形態では、入力整合回路2、増幅段3、出力整合回路4、入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7にそれぞれ一つの具体例を示したが、これらの回路が例示した構成とは異なる場合であっても、本実施形態で説明した機能と同じ機能を有するものであれば、他の構成でも構わない。
【0087】
また、本実施形態では、同一の無線通信システムにおいて出力レベルを変化させるために増幅器の動作級を変化させた場合を例に挙げて説明したが、変調方式が異なる複数の無線通信システムの変調信号を増幅する場合であっても、基本的な動作原理は同様である。
【0088】
[第2の実施形態]
図13に、本発明の第2の実施形態に係る電力増幅器の構成を示す。図1と同一部分に同一符号を付して第1の実施形態との相違点のみ説明すると、本実施形態は第1の実施形態において個別に設けられていた入力バイアス回路6及び出力バイアス回路7が入出力共用バイアス回路9に置き換えられ、これに伴い増幅段3a及び制御信号8の構成も一部変更されている。本実施形態の電力増幅器は、第1の実施形態と同様にケースAの場合にA級動作、ケースBの場合にB級動作を行うものとする。
【0089】
本実施形態における増幅段3aは、例えば図14に示すようにバイポーラトランジスタ(この例では、npnトランジスタ)110を用いたエミッタ接地増幅回路111、トランジスタ110のベース端子とコレクタ端子との間に接続された可変抵抗112、及びトランジスタ110のベース端子とグラウンド間に接続された可変抵抗113を有する。トランジスタ110のベース端子は変調信号入力端子115に接続され、トランジスタ110のコレクタ端子は変調信号出力端子117に接続される。可変抵抗112,113の抵抗値は、制御回路10からの制御信号8に従って制御される。
【0090】
トランジスタ110のコレクタ端子と可変抵抗112との接続点は、入出力バイアス線路114を介して入出力バイアス電流入力端子116に接続される。入出力バイアス電流入力端子116には、入出力共用バイアス回路9からバイアス電流が供給される。エミッタ接地増幅回路111は、入出力バイアス電流入力端子116及び入出力バイアス線路114を介して入出力バイアス電流が供給されたときに、変調信号入力端子115から入力された所望周波数の変調信号を利得倍に増幅し、変調信号出力端子117より出力する。
【0091】
ここで、エミッタ接地増幅回路111の変調信号出力端子117に供給される出力バイアス電流は、入出力共用バイアス回路9から供給されるバイアス電流によって決定され、変調信号入力端子115に入力される入力バイアス電流は、入出力共用バイアス回路9から入力されるバイアス電流と可変抵抗112,113の値によって決定される。
【0092】
可変抵抗112,113は、制御回路10からの制御信号8に従って抵抗値が変化されることにより、所望の入力バイアス電流を増幅段3aの変調信号入力端子115へ供給する。すなわち、本実施形態では可変抵抗112,113の抵抗値が制御されることにより、増幅段3aの動作級がA級動作をB級動作とに切り替えられる。
【0093】
図15に、可変抵抗112,113の具体例を示す。二つの抵抗131,132が抵抗切替スイッチ133A,133Bによって制御信号8に従って切り替えられることにより、抵抗値が二段階に切り替えられる構成となっている。
【0094】
図16には、入出力共用バイアス回路9の具体例を示す。増幅段3の入出力バイアス電流入力端子116に一端が接続されるインダクタ121、切替スイッチ122、抵抗123及び電流源125からなる。切替スイッチ122は、制御回路10からの制御信号8により制御され、インダクタ121の他端に抵抗63及び基準電位点(ここでは、グラウンド)のいずれかを接続する。
【0095】
図16から明らかなように、入出力共用バイアス回路9の構成は、第1の実施形態における図6に示した出力バイアス回路6の構成と同様であり、電流源125の構成も電流源75の構成と同じである。ただし、本実施形態における入出力共用バイアス回路9は、第1の実施形態における入力バイアス回路6と出力バイアス回路7の両方の働きを担うものであるため、入力バイアス回路6と出力バイアス回路7で供給できるバイアス電流の両方を足し合わせた電流を供給できる能力を有する必要がある。入出力共用バイアス回路9において、電流源125で出力されたバイアス電流は抵抗123を通り、インダクタ121を介して増幅段3aに供給される。
【0096】
まず、ケースAの場合には、増幅段3aがA級動作をするように入出力共用バイアス回路9が制御される。すなわち、入出力共用バイアス回路9は増幅段3aがA級動作を行うために必要なバイアス電流を供給する。増幅段3aでは、可変抵抗112,113が制御されることにより、エミッタ接地増幅回路111がA級動作をするために必要な入力バイアス電流が作られ、変調信号入力端子115に供給される。
【0097】
ケースBの場合には、増幅段3aがB級動作をするように入出力共用バイアス回路9が制御される。A級動作時とB級動作時において、本実施形態の入出力共用バイアス回路9は同じバイアス電流を供給するため、ケースAの場合と同じ働きをすることになる。すなわち、入出力共用バイアス回路9は増幅段3aがB級動作を行うために必要なバイアス電流を供給する。増幅段3aでは、可変抵抗112,113がA級動作時とは異なる抵抗値に変更されることにより、エミッタ接地増幅回路111がB級動作をするために必要な入力バイアス電流が作られ、変調信号入力端子115に供給される。
【0098】
以上のように、入力整合回路2から出力された所望周波数の変調信号は増幅段3aに入力され、増幅段3aにより電力増幅される。増幅段3aが非線形性を持つ場合は、増幅段3aから所望周波数の変調信号と高調波周波数の変調信号が出力整合回路4へ出力される。以降、第1の実施形態で説明したように増幅段3aがA級動作をする場合とB級動作をする場合とで、電力増幅器が発揮し得る最大効率で増幅動作を行うように出力整合回路4が制御される。
【0099】
本実施形態では説明の都合上、増幅段3a及び入出力共用バイアス回路9にそれぞれ一つの具体例を示したが、これらの回路が例示した構成とは異なる場合であっても、本実施形態で説明した機能と同じ機能を有するものであれば、他の構成でも構わない。
【0100】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る電力増幅器の全体的な構成は、第1の実施形態を示した図1と同様であり、増幅段のみが異なっている。
【0101】
図17に、本発明の第3の実施形態における増幅段3bの具体例を示す。第1及び第2の実施形態においては、増幅段3,3bにバイポーラトランジスタを用いたが、本実施形態における増幅段3cは電界効果トランジスタ140を用いている。図17では、図3に示した増幅段3のバイポーラトランジスタ30によるエミッタ接地増幅回路31が電界効果トランジスタ140によるソース接地増幅回路141に置き換わっただけであり、入力バイアス線路142、出力バイアス線路143、変調信号入力端子144、入力バイアス電流入力端子145、変調信号出力端子146及び出力バイアス電流入力端子147については、図3と同様である。
【0102】
図1に示した入力整合回路2、出力整合回路4、入力バイアス回路6、出力バイアス回路7及び制御回路10の基本的な構成と動作は、本実施形態においても同様であるため、以下では電界効果トランジスタ140を用いた増幅段3bを中心に動作説明を行う。また、本実施形態に係る電力増幅器は、第1の実施形態と同様に、ケースAの場合はA級動作、ケースBの場合はB級動作を行うものとする。
【0103】
入力整合回路2から出力される所望波周波数の変調信号は、電界効果トランジスタ140を用いた増幅段3bへ入力される。電界効果トランジスタにおけるゲート端子、ソース端子及びドレイン端子は、それぞれバイポーラトランジスタのベース端子、エミッタ端子及びコレクタ端子に対応しており、第1の実施形態におけるエミッタ接地増幅回路31と本実施形態のソース接地増幅回路141は、互いに同様の電力増幅動作を行う。また、バイポーラトランジスタと同様に、電界効果トランジスタであってもバイアス電流を制御することにより動作級を変えることも可能である。
【0104】
ただし、バイポーラトランジスタ及び電界効果トランジスタは物理構造が異なり、またトランジスタを製作する際に用いられる材料が異なる場合には、各々のトランジスタがA級動作及びB級動作をする場合に供給しなければならないバイアス電流の量は異なり、さらに最大効率の増幅動作が可能な出力負荷のインピーダンスも異なってくる。よって、本実施形態で用いられる入力バイアス回路6、出力バイアス回路7及び出力整合回路4においては、第1の実施形態と比較して供給すべきバイアス電流や変更すべき可変キャパシタの容量値等は異なる。しかし、供給すべきバイアス電流や変更すべき可変キャパシタの容量値等は異なったとしても、入力バイアス回路6、出力バイアス回路7、及び出力整合回路4の構成は第1の実施形態と同一のものが使用できる。
【0105】
ケースAの場合、電界効果トランジスタ141を用いた増幅段3bがA級動作をするように、入力バイアス回路6、及び出力バイアス回路7は制御回路10からの制御信号に従って制御された入力バイアス電流及び出力バイアス電流を供給する。同様に、ケースBの場合には、増幅段3bがB級動作をするように、入力バイアス回路6、及び出力バイアス回路7は制御回路10からの制御信号に従って制御された入力バイアス電流及び出力バイアス電流を供給する。
【0106】
すなわち、入力バイアス回路6では制御回路10からの制御信号8により抵抗63及び64の切り替えが行われる。出力バイアス回路7はA級動作時とB級動作時で同一の働きを行うため、特に変化は無い。一方、出力整合回路4は、第1の実施形態で説明したように、増幅段3bがA級動作をする場合とB級動作をする場合とで、電力増幅器が発揮し得る最大効率で増幅動作を行うように制御回路10によって制御される。
【0107】
「第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態として、上述した電力増幅器を用いた無線通信装置について説明する。図18は、本実施形態に係る無線通信装置、例えば携帯電話機のような携帯無線機の受信側の構成を示している。本実施形態の無線通信装置は、二つの複数の無線通信システム(システムA及びシステムBという)に対応可能に構成されている。
【0108】
図18において、ベースバンド処理部201は送信時にI信号及びQ信号と呼ばれる直交する二つのベースバンド信号を発生する。I信号及びQ信号は直交変調器203に入力され、シンセサイザを用いたローカル信号源202からのローカル信号に従って直交変調器203内部の90°移相器により生成される直交する二つの第1ローカル信号によって変調される。直交変調器203からの出力信号は、いわゆる中間周波数(IF)信号であり、可変利得増幅器204により増幅された後、IFフィルタ205を経由してしてスイッチ206に入力される。ここで、直交変調器203、可変利得増幅器204及びIFフィルタ205はシステムAとシステムBに共用である。
【0109】
IFフィルタ205からの出力信号は、スイッチ206によって、使用する無線通信システムがシステムAの場合はシステムA用周波数変換器207に、システムBの場合はシステムB用周波数変換器208にそれぞれ入力され、シンセサイザを用いたローカル信号源209からの第2ローカル信号に従って所望のRF周波数までアップコンバートされる。システムA用周波数変換器207及びシステムB用周波数変換器208からの出力信号は、それぞれシステムA用第1RFフィルタ210及びシステムB用第1RFフィルタ211を経て、システムAとシステムBに共用の可変利得増幅器212により所要の電圧レベルまで増幅された後、システムA用第2RFフィルタ213及びシステムB用第2RFフィルタ214に入力される。
【0110】
システムA用第2RFフィルタ213及びシステムB用第2RFフィルタ214からの出力信号は、システムAとシステムBに共用の電力増幅器215によって電力増幅される。電力増幅器215からの出力信号は、カプラ216、アイソレータ217、デュプレクサ218及びスイッチ219を経てアンテナ220に供給され、電波として放射される。カプラ216、アイソレータ217、デュプレクサ218及びスイッチ219も、それぞれシステムAとシステムBに共用である。
【0111】
このような構成の無線通信装置おいて、電力増幅器215には先の実施形態で説明した電力増幅器が用いることにより、変調信号の違いや出力レベルの違いに応じて電力増幅器215の動作級を変化させたときでも最大効率での増幅動作を実現することができ、良好な送信特性が得られる。
【0112】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば高出力、高利得及び高効率の電力増幅器を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電力増幅器の構成を示すブロック図
【図2】同実施形態における入力整合回路の具体例を示す回路図
【図3】同実施形態における増幅段の具体例を示す回路図
【図4】同実施形態における入力バイアス回路の具体例を示す回路図
【図5】電流源の具体例を示す回路図
【図6】同実施形態における出力バイアス回路の具体例を示す回路図
【図7】同実施形態における出力整合回路の具体例を示す回路図
【図8】図7における可変インダクタの具体例を示す回路図
【図9】図7における高調波整合回路のより具体的な構成例を示す回路図
【図10】電力増幅器のA級動作時とB級動作時に最大効率で増幅動作を行うために必要な所望周波数の変調信号に対する出力負荷インピーダンスの測定結果の例を示す図
【図11】所望周波数の2倍の高調波周波数の変調信号に対する出力負荷の反射係数の位相角と電力増幅器の効率の関係の測定結果の例を示す図
【図12】同実施形態における出力整合回路のインピーダンス可変範囲について示す図
【図13】本発明の第2の実施形態に係る電力増幅器の構成を示すブロック図
【図14】同実施形態における増幅段の具体例を示す回路図
【図15】図14における可変抵抗器の具体例を示す回路図
【図16】同実施形態における入出力共用バイアス回路の具体例を示す回路図
【図17】本発明の第3の実施形態に係る増幅段の構成を示す回路図
【図18】本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1:信号入力端子、2:入力整合回路、3,3a,3b:増幅段、4:出力整合回路、5:信号出力端子、6:入力バイアス回路、7:出力バイアス回路、8:制御信号、9:入出力共用バイアス回路、10:制御回路、11…信号源、12…出力負荷、31:エミッタ接地増幅回路、32:入力バイアス線路、33:出力バイアス線路、34:信号入力端子、35:入力バイアス電流入力端子、36:信号出力端子、37:出力バイアス電流入力端子、51:可変インダクタ、52:キャパシタ、53:インダクタ、55:可変キャパシタ、56:可変キャパシタ、57:信号入力端子、58:信号出力端子、61:インダクタ、62:切り替えスイッチ、63:抵抗、64:抵抗、65:電流源、71:インダクタ、72:切り替えスイッチ、73:抵抗、75:電流源、81:インダクタ、82:インダクタ、83:切り替え用スイッチ、90:キャパシタ、91:インダクタ、92:抵抗、93:ダイオード接続のトランジスタ、94:インダクタ、95:キャパシタ、96:インダクタ、97:抵抗、98:ダイオード接続のトランジスタ、99:キャパシタ、100:電源、101:抵抗、103:ダイオード接続のトランジスタ、106:トランジスタ、108:電流出力端子、110:信号入力端子、111:エミッタ接地増幅回路、112:可変抵抗、113:可変抵抗、114:入出力バイアス線路、115:入出力バイアス電流入力端子、116:信号出力端子、121:インダクタ、122:切り替えスイッチ、123:抵抗、125:電流源、131:抵抗、132:抵抗、133:切り替えスイッチ、141:ソース接地増幅回路、142:入力バイアス線路、143:出力バイアス線路、144:信号入力端子、145:入力バイアス電流入力端子、146:信号出力端子、147:出力バイアス電流入力端子。

Claims (7)

  1. 信号源からの所望周波数の変調信号が入力される変調信号入力端子と該入力される変調信号を増幅する増幅回路及び増幅された所望周波数及び高調波周波数の変調信号を出力する変調信号出力端子を有する増幅段と;
    前記所望周波数の変調信号に対して前記信号源と前記変調信号入力端子とのインピーダンス整合をとる入力整合回路と;
    前記変調信号入力端子にバイアスを供給する入力バイアス回路と;
    前記変調信号出力端子にバイアスを供給する出力バイアス回路と;
    前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対して前記変調信号出力端子と負荷とのインピーダンス整合をとる出力整合回路と;
    前記入力バイアス回路と出力バイアス回路のバイアス値並びに前記出力整合回路の前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを制御する制御回路とを具備する電力増幅器。
  2. 信号源からの所望周波数の変調信号が入力される変調信号入力端子と該入力される変調信号を増幅する増幅回路及び増幅された変調信号を出力する変調信号出力端子を有する増幅段と;
    前記所望周波数の変調信号に対して前記信号源と前記変調信号入力端子とのインピーダンス整合をとる入力整合回路と;
    前記変調信号入力端子及び変調信号出力端子にバイアスを供給する入出力共用バイアス回路と;
    前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対して前記変調信号出力端子と負荷とのインピーダンス整合をとる出力整合回路と;
    前記入出力バイアス回路のバイアス値並びに前記出力整合回路の前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを制御する制御回路とを具備する電力増幅器。
  3. 前記出力整合回路は、前記変調信号出力端子から出力される所望周波数及び高調波周波数の変調信号を一端から入力して他端へ伝送する信号線路と、前記信号線路に挿入されたインダクタと、前記信号線路の前記一端に接続され、前記高調波周波数の変調信号に対して前記変調信号出力端子と負荷とのインピーダンス整合をとる高調波整合回路と、前記信号線路の前記他端に接続され、前記所望周波数の変調信号に対して前記変調信号出力端子と負荷とのインピーダンス整合をとる所望波整合回路とを有する請求項1または2記載の電力増幅器。
  4. 前記所望波整合回路は、前記信号線路に挿入された第1のキャパシタと、前記信号線路と基準電位点間に挿入された第2のキャパシタとを有し、前記第1及び第2のキャパシタの少なくとも一方は前記制御回路により容量値が制御される可変キャパシタである請求項3記載の電力増幅器。
  5. 前記制御回路は、前記変調信号の変調方式または前記電力増幅器に必要とされる出力レベルに応じて前記バイアス値を制御すると共に前記出力整合回路の前記所望周波数及び高調波周波数の変調信号に対するインピーダンスを制御する請求項1または2記載の電力増幅器。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力増幅器を送信回路部に有する無線通信装置。
  7. 第1及び第2の無線通信システムに対応可能な無線通信装置において、
    送信回路部に前記第1及び第2の無線通信システムに共用される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力増幅器を有する無線通信装置。
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