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JP2005042026A - 熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法 Download PDF

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JP2005042026A JP2003278380A JP2003278380A JP2005042026A JP 2005042026 A JP2005042026 A JP 2005042026A JP 2003278380 A JP2003278380 A JP 2003278380A JP 2003278380 A JP2003278380 A JP 2003278380A JP 2005042026 A JP2005042026 A JP 2005042026A
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Abstract

【課題】 シリカを含むスケールを容易に除去することができる熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】 熱交換器用洗浄剤は、有機酸又はその塩を含有する酸溶液と、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも一方を含有するアルカリ溶液とから構成され、シリカを含むスケールが付着した熱交換器の洗浄に用いられる。熱交換器用洗浄剤は、シリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後、アルカリ溶液によりシリカを含むスケールを溶解除去する。酸溶液はキレート作用及びスケール分散作用を有する洗浄性向上剤を含有するのが好ましく、アルカリ溶液はキレート作用及びスケール分散作用を有する沈殿防止剤を含有するのが好ましい。さらに、酸溶液及びアルカリ溶液は、食品添加物により構成されているのが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、給湯器等に用いられる熱交換器の洗浄に使用される熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。より詳しくは、シリカを含むスケールを容易に除去することができる熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
給湯器等に用いられる熱交換器は、銅等の金属材料により形成され水道水が流通する配水管と、熱交換媒体が流通する熱交換媒体管とを有し、配水管内の水道水と熱交換媒体管内の熱交換媒体との熱交換により水道水を加熱するように構成されている。ここで、水道水にはカルシウム、マグネシウム等の硬度成分や二酸化ケイ素(SiO2)等が含有されている。このため、配水管内には、長期間にわたって水道水を流通させる等により、水道水による配水管の腐食に起因する金属腐食生成物が付着するとともに水道水内の硬度成分や二酸化ケイ素等に起因するスケールが付着する。
従来、配水管内の金属腐食生成物やスケールを除去するための洗浄剤は、リンゴ酸を含有している(例えば、特許文献1参照。)。そして、配水管内に流入されたときには、リンゴ酸によって金属腐食生成物等を溶解することにより配水管内を洗浄する。
特開2000−265196号公報(第2〜3頁)
ところが、この従来の洗浄剤に含有されているリンゴ酸は、金属腐食生成物や水道水中の硬度成分に起因するスケールを溶解することはできるが、シリカを含むスケールを溶解することはできなかった。このため、洗浄後の配水管内にはシリカを含むスケールが残存し、その除去が困難であるという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、シリカを含むスケールを容易に除去することができる熱交換器用洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の熱交換器用洗浄剤は、シリカを含むスケールが付着した熱交換器の洗浄に用いられ、有機酸又はその塩を含有する酸溶液と、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも一種を含有するアルカリ溶液とから構成され、シリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後にアルカリ溶液により溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去するように構成されているものである。
請求項2に記載の発明の熱交換器用洗浄剤は、請求項1に記載の発明において、前記酸溶液は、キレート作用及びスケール分散作用を有する洗浄性向上剤を含有するものである。
請求項3に記載の発明の熱交換器用洗浄剤は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記アルカリ溶液は、キレート作用及びスケール分散作用を有する沈殿防止剤を含有するものである。
請求項4に記載の発明の熱交換器用洗浄剤は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記酸溶液及びアルカリ溶液が食品添加物により構成されているものである。
請求項5に記載の発明の洗浄方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器用洗浄剤を用い、熱交換器に付着したシリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後にアルカリ溶液により溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去するものである。
請求項6に記載の発明の洗浄方法は、請求項5に記載の発明において、前記熱交換器は、内部に所定の間隔をおいて複数の熱交換部材が設けられるとともに熱交換部材間を流体が流通する流体用容器と、流体用容器に接触するとともに内部に熱交換媒体が流通する熱交換媒体用容器とを備え、流体用容器内の流体と熱交換媒体用容器内の熱交換媒体との間で熱交換するように構成され、熱交換部材の表面にシリカを含むスケールが付着され、熱交換部材間に酸溶液を流通させて熱交換部材の表面に付着したシリカを含むスケールを膨潤又は剥落させた後、熱交換部材間にアルカリ溶液を流通させてシリカを含むスケールを溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去するものである。
以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の熱交換器用洗浄剤によれば、シリカを含むスケールを容易に除去することができる。
請求項2に記載の発明の熱交換器用洗浄剤によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、洗浄効率を向上させることができる。
請求項3に記載の発明の熱交換器用洗浄剤によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、シリカを含むスケールを処理するときにアルカリ溶液中に沈殿物が発生するのを防止することができる。
請求項4に記載の発明の熱交換器用洗浄剤によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、飲料用の給湯器等に用いられる熱交換器の洗浄に使用することができる。
請求項5及び請求項6に記載の発明の洗浄方法によれば、シリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後にアルカリ溶液により溶解させるという簡単な操作で、シリカを含むスケールを容易に除去することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
本実施形態の熱交換器用洗浄剤は、有機酸又はその塩を含有する酸溶液と、水酸化カリウム(苛性カリ)及び水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)から選ばれる少なくとも一種を含有するアルカリ溶液とから構成されている。そして、給湯器等に用いられる熱交換器の洗浄に使用される。ここで、熱交換器について説明する。
図1及び図3に示すように、熱交換器11は、熱交換媒体用容器12とその下方に配設されている流体用容器13とを備えている。熱交換媒体用容器12は、同一方向に延びる一対の第1熱交換媒体管14間の中央部に、第1熱交換媒体管14に対して直交方向に延びるとともに互いに隣接している複数の第2熱交換媒体管15が配設され、各第2熱交換媒体管15の端部が各第1熱交換媒体管14の周壁に取付けられることによりH字状に形成されている。
第1及び第2熱交換媒体管14,15は円筒状にそれぞれ形成され、各第2熱交換媒体管15は第1熱交換媒体管14よりも外径及び内径が小さく設定されるとともに第1熱交換媒体管14の軸線を通る平面上にそれぞれ位置している。第1及び第2熱交換媒体管14,15の内部は連通され、各第1熱交換媒体管14の一端部には有底円筒状の蓋体16がそれぞれ取付けられている。そして、熱交換媒体用容器12は、図1のA矢視線で示すように、一方の第1熱交換媒体管14の他端部から第1熱交換媒体管14に流入した熱交換媒体が、各第2熱交換媒体管15内を流通した後に他方の第1熱交換媒体管14に流入してその他端部から排出されるように構成されている。熱交換媒体の具体例としては、二酸化炭素、エチレン、エタン、酸化窒素等が挙げられる。
流体用容器13は、長四角板材の中央部に断面コ字状をなすとともに長四角板材の長手方向に延びる第1収容凹部17が膨出形成されることによって有底四角箱状に形成されている流体用容器本体18を有している。流体用容器本体18の長手方向の一側縁の両端部には、断面半円状の第1開口部19が第1収容凹部17と同一方向に膨出形成され、第1開口部19及び第1収容凹部17は連通している。第1収容凹部17の底壁上には、流体用容器本体18の短手方向に延びる四角柱状をなす複数の仕切り壁20が、一定間隔をおいて突設されている。各仕切り壁20の両端部の内の一方の端部には、隣り合う仕切り壁20において千鳥状をなすように切欠き部21がそれぞれ形成され、各仕切り壁20の端部は切欠き部21によって第1収容凹部17の側壁から離間している。
流体用容器本体18の開口部には四角板状をなす蓋板22が取付けられ、流体用容器13はプレート状に形成されている。蓋板22の中央部には、断面コ字状をなすとともに蓋板22の短手方向に延びる複数の第2収容凹部23が、流体用容器本体18の仕切り壁20に対応する箇所で互いに離間するように、外方に膨出形成されている。このため、流体用容器13内は、各収容凹部17,23及び仕切り壁20によって複数の流通室に区画され、各流通室は仕切り壁20の端部に形成された切欠き部21によって連通している。
蓋板22において、第1開口部19に対応する箇所には断面半円状をなす第2開口部24が第2収容凹部23と同一方向に膨出形成され、第2開口部24及び第2収容凹部23は連通している。このため、流体用容器13の一側縁の両端部には各開口部19,24により円筒状の流通管25が形成されている。そして、流体用容器13は、図1のB矢視線で示すように、一方の流通管25から流体用容器13に流入した流体が、各流室内を熱交換媒体の流通方向に対して直交方向に流通するとともに各切欠き部を介して流体用容器13内を蛇行するように流通した後に他方の流通管25から排出されるようになっている。さらに、図1及び図2に示すように、流体用容器13は、蓋板22において各第2収容凹部23に対応する箇所の上面が第2熱交換媒体管15に接触するように、熱交換媒体用容器12の下方に配設されている。そして、加熱された後に熱交換媒体用容器12内を流通する熱交換媒体の熱が、第2熱交換媒体管15及び流体用容器13を介して流体に伝達されるようになっている。
図2及び図3に示すように、熱交換体26は、長四角板材にその短手方向と平行をなすように切込みを一定間隔毎に入れた後、所定箇所を断面略台形状に折曲することにより、全面にわたって波状に湾曲された長四角板状に形成されている。各折曲部分は、熱交換体26の長手方向において隣り合う折曲部分に間隔が形成されるように、熱交換体26の対角線に沿って互いに位置が若干ずれるように形成されるとともに、熱交換部材27としてそれぞれ構成されている。
熱交換体26は、各熱交換部材27が流体用容器13の短手方向、即ち流体の流通方向に延びるように各流通室28内に配設され、流通室28内の流体が各熱交換部材27間を流通するように構成されている。そして、熱交換媒体の熱が流体用容器13に伝達されたときには、その一部が熱交換体26の各熱交換部材27を介して流体に伝達されるようになっている。
ここで、各熱交換体26において、流体の流通方向における各熱交換部材27の間隔Dは、好ましくは2mm以下である。各熱交換部材27の間隔Dが2mmを超えると、流体の流通方向において流体全体を均一に熱交換部材27と接触させるのが困難になり、熱交換部材27から流体への熱の伝達が不均一となるおそれがある。
熱交換媒体用容器12、流体用容器13及び熱交換体26の材質としては金属材料等が挙げられるが、銅等の熱伝導性の高い金属材料が、熱交換媒体から流体への熱伝導効率が高いために好ましい。流体の具体例としては水道水(上水)等の飲料水や工業用水等が挙げられるが、飲料水が熱交換器11を飲料用の給湯器に用いることができるために好ましい。
ここで、水道水等の飲料水には一般的にカルシウム、マグネシウム等の硬度成分や二酸化ケイ素等が含有されている。このため、流体用容器13等が銅により形成されているときには、流体用容器13内を飲料水が長期間にわたって流通する等により、流体用容器13の内表面や熱交換部材27の表面には、飲料水による腐食に起因する金属腐食生成物である銅腐食生成物が付着する。さらに、飲料水内の硬度成分や二酸化ケイ素に起因するシリカを含むスケール(以下、シリカスケールともいう。)が付着する。シリカスケールの具体例としては、二酸化ケイ素を重合単位とするコロイド状シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硬度成分及び二酸化ケイ素の混合物からなるスケール等が挙げられる。
次に、本実施形態の熱交換器用洗浄剤について説明する。
有機酸又はその塩は、流体用容器13の内表面等に付着したシリカスケールを膨潤又は剥落させる。さらに、金属腐食生成物や硬度成分に起因するスケールを溶解する。シリカスケールの膨潤とはシリカスケールの湿潤も含む概念であり、シリカスケールは膨潤された後に剥落する場合もある。ここで、無機酸又はその塩は、有機酸と同様にシリカスケールを膨潤又は剥落させることができるが、金属材料等に対する腐食性が高い。このため、酸溶液は、無機酸又はその塩でなく有機酸又はその塩を含有する必要がある。
有機酸の具体例としては一般的に熱交換器の洗浄に用いられるものが挙げられ、塩の具体例としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。こられは単独で含有されてもよいし、二種以上を組み合わせて含有されてもよい。有機酸の中でも、食品添加物として用いられるクエン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、リンゴ酸、グルコン酸又はグルタミン酸が、飲料用の給湯器に用いられる熱交換器の洗浄に使用することができるために好ましく、クエン酸がシリカスケールを膨潤又は剥落させる効果が高いとともに刺激臭が低いためにより好ましい。ここで、食品添加物とは、一般的に食品に用いられるものも含む概念であり、FDA(Food and Drug Administration)認可品も含む。
酸溶液中の有機酸又はその塩の含有量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは2〜12.5質量%である。有機酸又はその塩の含有量が0.1質量%未満では、酸溶液中の有機酸又はその塩の含有量が低く、シリカスケールを十分に膨潤又は剥落させることができない。一方、50質量%を超えても、コストに見合う効果を得ることができず、不経済である。
酸溶液には、その他の添加成分として洗浄性向上剤を含有させるのが好ましい。洗浄性向上剤はキレート作用及びスケール分散作用を有し、溶解した金属腐食生成物等が流体用容器13の内表面等に再付着するのを防止するとともに剥落したシリカスケールの分散性を向上させることによって洗浄性を向上させる。洗浄性向上剤の具体例としては、ポリマレイン酸等のマレイン酸系化合物、ホスホノカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホン酸系化合物、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム等のポリリン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)−2Na等のEDTA塩等が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上を組み合わせて含有されてもよい。
これらの中でも、食品添加物として用いられるポリマレイン酸、ポリリン酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩等が、飲料用の給湯器に用いられる熱交換器の洗浄に使用することができるために好ましく、ポリマレイン酸が洗浄性を向上させる効果が高いためにより好ましい。
酸溶液中の洗浄性向上剤の含有量は、好ましくは10〜100000ppm、より好ましくは20〜10000ppm、さらに好ましくは50〜1000ppmである。洗浄性向上剤の含有量が10ppm未満では、酸溶液中の洗浄性向上剤の含有量が低いために洗浄性を十分に向上させることができない。一方、100000ppmを超えても、コストに見合う効果を得ることができず、不経済である。
水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくと一種(以下、アルカリ成分ともいう。)は、酸溶液中の有機酸又はその塩によって膨潤又は剥落されたシリカスケール等を溶解する。ここで、水酸化リチウム等の弱アルカリ成分は、シリカスケール等に対する溶解性がほとんどなくシリカスケールを溶解することができない。このため、アルカリ溶液は、弱アルカリ成分でなく上記アルカリ成分を含有する必要がある。
アルカリ溶液中のアルカリ成分の含有量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。アルカリ成分の含有量が0.1質量%未満では、アルカリ溶液中のアルカリ成分の含有量が低いために、シリカスケールの溶解に時間を要し洗浄効率が低下するおそれがある。一方、50質量%を超えても、コストに見合う効果を得ることができず、不経済である。
アルカリ溶液には、その他の添加成分として沈殿防止剤を含有させるのが好ましい。沈殿防止剤は洗浄性向上剤と同様にキレート作用及びスケール分散作用を有し、剥落したシリカスケールの分散性を向上させるとともに、溶解したシリカスケール等が沈殿物としてアルカリ溶液中に析出するのを防止する。沈殿防止剤の具体例及びアルカリ溶液中の沈殿防止剤の含有量は、洗浄性向上剤と同様である。沈殿防止剤の含有量が10ppm未満では、アルカリ溶液中の沈殿防止剤の含有量が低いために、アルカリ溶液中に沈殿が発生する場合がある。一方、100000ppmを超えても、シリカスケールの分散性をそれ以上向上させることができない。
酸溶液及びアルカリ溶液の溶媒の具体例としては飲料水や工業用水等の水等が挙げられる。これらの中でも、飲料水が、飲料用の給湯器に用いられる熱交換器の洗浄に使用することができるために好ましい。酸溶液又はアルカリ溶液中の溶媒の含有量は、その他の成分に対する残量である。酸溶液又はアルカリ溶液には、その他の添加成分として殺菌剤を含有させてもよい。
殺菌剤は、酸溶液に含有されることにより酸溶液に菌が発生するのを防止し、殺菌剤を含有した酸溶液やアルカリ溶液によって流体用容器13を洗浄することにより流体用容器13を殺菌する。殺菌剤の具体例としてはチアベンダゾール、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、ギ酸エチル、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上を組み合わせて含有されてもよい。これらの中でも、食品添加物として用いられるチアベンダゾール、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、ギ酸エチルが、飲料用の給湯器に用いられる熱交換器の洗浄に使用することができるために好ましく、持続性が高いために二酸化塩素がより好ましい。
酸溶液又はアルカリ溶液中の殺菌剤の含有量は、好ましくは1〜50000ppm、より好ましくは5〜10000ppm、さらに好ましくは10〜1000ppmである。1ppm未満では、殺菌剤の含有量が低いために殺菌効果を十分に発揮することができない。一方、50000ppmを超えても、それ以上殺菌効果を発揮することができない。
さて、熱交換器用洗浄剤を用い、金属腐食生成物やシリカスケール等が付着している流体用容器13を洗浄するときには、まず流体用容器13に酸溶液を流入する。このとき、酸溶液は、有機酸又はその塩により金属腐食生成物や硬度成分に起因するスケールを溶解することができるとともに、シリカスケールを膨潤又は剥落させることができる。続いて、流体用容器13から酸溶液を排出した後にアルカリ溶液を流入する。このとき、アルカリ溶液は、アルカリ成分により膨潤又は剥落したシリカスケール等を溶解する。
このため、熱交換器用洗浄剤は、金属腐食生成物やシリカスケール等のスケールを溶解除去して流体用容器13を洗浄することができる。ここで、熱交換器用洗浄液は常温(20℃)でも流体用容器13を洗浄することができるが、洗浄効率を向上させるために、酸溶液やアルカリ溶液を加熱してもよい。
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の熱交換器用洗浄剤は、有機酸又はその塩を含有する酸溶液と、アルカリ成分を含有するアルカリ溶液とから構成されている。有機酸又はその塩はシリカスケールを膨潤又は剥落させ、アルカリ成分は膨潤又は剥落したシリカスケールを溶解することができる。このため、熱交換器用洗浄剤は、シリカスケールを容易に除去することができる。さらに、有機酸又はその塩は、金属腐食生成物や硬度成分に起因するスケールを溶解することができる。このため、本実施形態の熱交換器用洗浄剤は、シリカスケールとともに金属腐食生成物や硬度成分に起因するスケールを容易に除去することができる。
・ 熱交換器11を構成する流体用容器13はプレート状に形成され、各流通室28内に配設された熱交換体26には複数の熱交換部材27が熱交換体26の全面にわたって形成されている。そして、各熱交換部材27間を流体が流通するように構成されている。このため、流体用容器13から流体への熱伝導効率を向上させることがるとともに、流体に対する熱の伝達を均一にすることができる。ここで、間隔Dが2mm以下に設定されている各熱交換部材27の表面に金属腐食生成物やシリカスケール等が付着した場合には、各熱交換部材27間がシリカスケール等によって閉塞される。この場合には、本実施形態の熱交換器用洗浄剤を用いて洗浄することにより、各熱交換部材27の表面に付着したシリカスケール等を溶解させて閉塞された各熱交換部材27間を容易に開口させることができる。
・ 酸溶液には洗浄性向上剤を含有させるのが好ましい。この場合には、溶解した金属腐食生成物等の流体用容器13の内表面等への再付着を防止することにより、熱交換器用洗浄剤の洗浄効率を向上させることができる。さらに、剥落したシリカスケールの分散性を向上させることにより、剥落したシリカスケールによって熱交換体26等に目詰まりが発生するのを抑制することができる。
・ アルカリ溶液には沈殿防止剤を含有させるのが好ましい。この場合には、溶解したシリカスケール等が沈殿物としてアルカリ溶液中に析出するのを防止することができる。さらに、剥落したシリカスケールの分散性を向上させることにより、剥落したシリカスケールによって熱交換体26等に目詰まりが発生するのを抑制することができる。
・ 酸溶液及びアルカリ溶液は食品添加物により構成されているのが好ましい。この場合には、熱交換器用洗浄剤を飲料用の給湯器に用いられる熱交換器11の流体用容器13の洗浄に使用することができる。ここで、例えば熱交換器用洗浄剤にフッ素化合物を含有した場合にも流体用容器13を洗浄することはできるが、流体用容器13内にフッ素化合物が残留する場合がある。このため、フッ素化合物を含有している熱交換器用洗浄剤を飲料用の給湯器に用いられる熱交換器11の流体用容器13の洗浄に使用するのは困難である。
・ 有機酸はクエン酸が好ましい。この場合には、シリカスケールを膨潤又は剥落させる効果が高いために、熱交換器用洗浄剤はより容易にシリカスケールを除去することができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記流体用容器13からアルカリ溶液を排出する前に、既に排出されている酸溶液を流体用容器13内に流入してアルカリ溶液を中和してもよい。このように構成した場合には、アルカリ溶液を中和してから排出することにより、流体用容器13内にアルカリ溶液が残留するのを防止することができる。
・ 前記熱交換器用洗浄剤を、本実施形態の熱交換器11以外の熱交換器の洗浄に使用してもよい。
実施例1においては、まず有機酸としてのクエン酸を水に溶解させて酸溶液を調製し、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムを水に溶解させてアルカリ溶液を調製した。ここで、酸溶液中のクエン酸の含有量を1質量%、5質量%又は10質量%とし、アルカリ溶液中の水酸化カリウムの含有量を0.8質量%とするとともに水酸化ナトリウムの含有量を0.9質量%とした。さらに、酸溶液及びアルカリ溶液の温度を20℃とした。
次いで、銅により形成されているとともに熱交換部材27の表面等に金属腐食生成物やシリカスケール等が付着している流体用容器13を、その厚さ方向の中央部を通る平面上で切断した後、縦2cm及び横3cmの大きさに切断して試験片を形成した。そして、撹拌されている酸溶液中に試験片を10分間浸漬した。
この結果、酸溶液により金属腐食生成物等を溶解除去することができ、酸溶液中のクエン酸の含有量が高くなるに伴いシリカスケールを試験片から剥落させることができた。特に、酸溶液中のクエン酸の含有量が10質量%のときには、熱交換部材27の表面等からシリカスケールを完全の剥落させることができた。また、クエン酸の含有量が2.5質量%の酸溶液を撹拌するとともに上記試験片を浸漬した。この結果、浸漬開始時から20〜30分後にシリカスケールが剥落し始め、浸漬開始時から30〜40分後にはシリカスケールを完全に剥落させることができた。尚、試験は3回行った。続いて、剥落したシリカスケールを回収した後に含有量が25000ppmとなる量をアルカリ溶液に加えた結果、そのシリカスケールを全量溶解した。
実施例2においては、まず有機酸としてのクエン酸を水に溶解させて酸溶液を調製し、水酸化ナトリウムを水に溶解させてアルカリ溶液を調製した。ここで、酸溶液中のクエン酸の含有量を12.5質量%とするとともに、アルカリ溶液中の水酸化ナトリウムの含有量を7.5質量%とした。さらに、酸溶液及びアルカリ溶液の温度を20℃とした。
次いで、実施例1の流体用容器13に4リットルの水を流入した後、水で5倍希釈(重量比)された酸溶液を90分間流入した。続いて、流体用容器13から酸溶液を排出した後、水で5倍希釈(重量比)されたアルカリ溶液を60分間流入した。そして、流体用容器13から排出された酸溶液を流体用容器13に再度流入してアルカリ溶液を中和した後に流体用容器13から排出し、流体用容器13を洗浄した。ここで、流体用容器13への流入はMD-20RZ-N型ポンプ(max.flow 11リットル/分, max.ahead 6.9m,100V,50W)を使用して行い、各流体の温度は20℃とした。
ここで、酸溶液及びアルカリ溶液の流体用容器13への流入時又は排出時における1時間当たりの流量を流量計を用いて測定するとともに圧力差を圧力計を用いて測定した。この結果、酸溶液については、流入時の流量が1.67リットル/分であるとともに圧力差が55kPa以上(流量:1.67リットル/分)であり、排出時の流量が70リットル/時間であるとともに圧力差が55kPa以上(流量:1.67リットル/分)であった。一方、アルカリ溶液については、流入時の流量が120リットル/時間であるとともに圧力差が45.4kPa(流量:1.67リットル/分)であり、排出時の流量が125リットル/時間であるとともに圧力差が43.7kPa(流量:1.67リットル/分)であった。このため、流体用容器13を酸溶液及びアルカリ溶液を用いて洗浄することにより、流量を高めることができるとともに圧力差を低下させることができた。これは、酸溶液及びアルカリ溶液を用いた洗浄によって流体用容器13の内表面等に付着したシリカスケール等が溶解除去されたため、流体の流体用容器13への流入が容易になるとともに流入時及び排出時の圧力差が小さくなったためである。
さらに、酸溶液及びアルカリ溶液について、希釈前及び排出時における酸度又は塩基度を測定するとともに、プラズマ分析法によって銅(Cu)、鉄(Fe)、カルシウム(CaCO3)、マグネシウム(MgCO3)及びシリカ(SiO2)の含有量を測定した。これらの結果を表1に示す。尚、表1において、各成分の含有量の数値はmg/リットルで示す。
Figure 2005042026
表1に示すように、排出時における酸溶液は、希釈前に比べて銅等の含有量が高くなった。一方、排出時におけるアルカリ溶液は、希釈前に比べてシリカ等の含有量が高くなった。これは、酸溶液によって金属腐食生成物等を溶解させることができ、アルカリ溶液によってシリカスケール等を溶解させることができたためである。
(試験例1〜3及び比較例1)
試験例1においては、酸溶液中のクエン酸の含有量を2.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製した。続いて、銅により形成され初期の差圧が27kPa(流量:1.67リットル/分、温度:15℃)であるとともに最大流量が140リットル/時間である流体用容器13内にシリカスケール等を付着させて差圧を高くするとともに最大流量を低下させた後、酸溶液及びアルカリ溶液を順次流入して洗浄した。ここで、酸溶液及びアルカリ溶液の流体用容器13への流入は、実施例1と同様のポンプを用いて行った。
そして、酸溶液を流入した後に流量が最下限(50リットル/時間)に達する時間(以下、AHという。)を測定するとともに、アルカリ溶液を流入した後に流量が最大限(140リットル/時間)に達する時間(以下、BHという。)を測定した。この結果、AHは60分でありBHは10分であった。さらに、洗浄後の流体用容器13の圧力差は27kPa(流量:1.67リットル/分)であるとともに最大流量は140リットル/時間であり、洗浄後のアルカリ溶液中のシリカの含有量は1200ppmであった。加えて、洗浄中に沈殿物が約5g発生した。
試験例2においては、アルカリ溶液に沈殿防止剤としてのポリマレイン酸(グレートレイクスケミカル日本株式会社のベルクリン200、分子量:1000以下)をさらに溶解させた以外は、試験例1と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製した。ここで、アルカリ溶液中のポリマレイン酸の含有量を50ppmとした。次いで、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、AHは60分でありBHは10分であった。洗浄後の圧力差、最大流量及びアルカリ溶液中のシリカの含有量は試験例1と同様であり、洗浄中に沈殿物は発生しなかった。
試験例3においては、酸溶液に洗浄性向上剤としてのホスホノカルボン酸をさらに溶解させた以外は、試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製した。ここで、酸溶液中のホスホノカルボン酸の含有量を50ppmとした。次いで、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、AHは50分でありBHは10分であった。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。
一方、比較例1においては、スルファミン酸を水に溶解させて熱交換器用洗浄剤を調製した。ここで、熱交換器用洗浄剤中のスルファミン酸の含有量を10質量%とし、熱交換器用洗浄剤の温度を20℃とした。次いで、流体用容器13に熱交換器用洗浄剤を流入し、AH及びBHを測定した。この結果、AHは60分であり、流量が140リットル/時間に達しなかったためにBHを測定することができなかった。洗浄後の流体用容器13の圧力差は180kPa(流量:1.67リットル/分)であるとともに最大流量は50リットル/時間であり、洗浄後の熱交換器用洗浄剤中のシリカの含有量は200ppmであった。加えて、洗浄中に沈殿物は発生しなかった。
このため、試験例1〜3においては、酸溶液及びアルカリ溶液を用いて洗浄することにより、流体用容器13の差圧及び最大流量をそれぞれ回復させることができた。さらに、試験例2及び試験例3においては、アルカリ溶液がポリマレイン酸を含有するために洗浄中に沈殿物が発生するのを防止することができ、試験例3においては酸溶液がホスホノカルボン酸を含有するためにAHを短縮して洗浄効率を向上させることができた。一方、比較例1においては、酸のみを含有する熱交換器用洗浄剤を用いて洗浄するために、シリカスケールを溶解除去することができず流体用容器13の差圧及び最大流量をそれぞれ回復させることができなかった。
実施例4においては、有機酸としてのクエン酸を表2に示すように変更した以外は試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製し、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、BHは全て10分となった。一方、AHの測定結果を表2に示す。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。
Figure 2005042026
表2に示すように、クエン酸を他の有機酸に変更しても、流量を最下限にまで到達させることができるとともに最大限に到達させることができた。さらに、各酸溶液において流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
(試験例4〜8)
試験例4においては、試験例2と同様にして酸溶液を調製するとともに、水酸化ナトリウムのみ、水酸化カリウムのみ、又は水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを水に溶解させてアルカリ溶液を調製し、酸溶液及びアルカリ溶液の温度を20℃とした。アルカリ溶液中の各成分の含有量を表3に示す。次いで、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。また、アルカリ溶液が溶解させることができるシリカの最大量(以下、BSという。)を測定した。この結果、AHは全て60分であった。一方、BH及びBSの測定結果を表3に示す。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。
Figure 2005042026
表3に示すように、アルカリ溶液は水酸化カリウムを含有することにより、BHを短縮することができるとともにBSを増加させることができた。さらに、各アルカリ溶液において流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
試験例5においては、酸溶液の温度を50℃に変更した以外は試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製し、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、AHは30分でありBHは10分であった。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。このため、試験例5においては、酸溶液を50℃にまで加熱することにより、AHを短縮して洗浄効率を向上させることができた。さらに、流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
試験例6においては、アルカリ溶液の温度を50℃に変更した以外は試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製し、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、AHは60分でありBHは3分であった。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。このため、試験例6においては、アルカリ溶液を50℃にまで加熱することにより、BHを短縮して洗浄効率を向上させることができた。さらに、流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
試験例7においては、酸溶液中のクエン酸の含有量を表4に示すように変更した以外は試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製し、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。また、酸溶液が溶解させることができる銅腐食生成物の最大量(以下、ACという。)を測定した。この結果、BHは全て10分であった。一方、AH及びACの測定結果を表4に示す。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。
Figure 2005042026
表4に示すように、クエン酸の含有量が高くなるに伴い、AHを短縮して洗浄効率を向上させることができるとともにACを高めることができた。さらに、各酸溶液において流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
試験例8においては、アルカリ溶液中の水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの含有量を表5に示すように変更した以外は、試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製した。そして、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定し、さらにBSを測定した。この結果、AHは全て60分であった。一方、BH及びBSの測定結果を表5に示す。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。
Figure 2005042026
表5に示すように、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの含有量が高くなるに伴い、BHを短縮して洗浄効率を向上させることができるとともにBSを高めることができた。さらに、各アルカリ溶液において流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
試験例9においては、試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製し、ポンプの種類を変更することによって酸溶液及びアルカリ溶液の流速を試験例1のときの2倍に変更した以外は、試験例1と同様にしてAH及びBHを測定した。この結果、AHは40分でありBHは7分であった。洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生については、試験例2と同様であった。このため、流速を高くすることによりAH及びBHを短縮することができ、洗浄効率を向上させることができた。さらに、流体用容器13の差圧及び最大流量を回復させることができた。
実施例6においては、酸溶液に殺菌剤をさらに溶解させた以外は試験例2と同様にして酸溶液及びアルカリ溶液を調製した後、酸溶液を観察した。ここで、酸溶液中の殺菌剤の含有量を0.1ppmとし、殺菌剤として二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、塩化ベンザルコニウム、チアベンダゾール又はギ酸エチルを用いた。この結果、調製してから67日を経過したときにも各酸溶液にはカビ菌が発生しなかった。さらに、AH、BH、洗浄後の圧力差、最大流量、アルカリ溶液中のシリカの含有量及び洗浄中における沈殿物の発生についての結果は、全て試験例2と同様であった。このため、実施例6においては、酸溶液が殺菌剤を含有することにより殺菌され、カビ菌の発生を防止することができた。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記有機酸がクエン酸である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器用洗浄剤。この構成によれば、シリカを含むスケールをより容易に除去することができる。
本実施形態の熱交換器を示す斜視図。 熱交換部材を示す要部拡大断面図。 熱交換器を示す分解斜視図。
符号の説明
D…間隔、11…熱交換器、12…熱交換媒体用容器、13…流体用容器、27…熱交換部材。

Claims (6)

  1. シリカを含むスケールが付着した熱交換器の洗浄に用いられ、有機酸又はその塩を含有する酸溶液と、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも一種を含有するアルカリ溶液とから構成され、シリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後にアルカリ溶液により溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去するように構成されていることを特徴とする熱交換器用洗浄剤。
  2. 前記酸溶液は、キレート作用及びスケール分散作用を有する洗浄性向上剤を含有する請求項1に記載の熱交換器用洗浄剤。
  3. 前記アルカリ溶液は、キレート作用及びスケール分散作用を有する沈殿防止剤を含有する請求項1又は請求項2に記載の熱交換器用洗浄剤。
  4. 前記酸溶液及びアルカリ溶液が食品添加物により構成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器用洗浄剤。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器用洗浄剤を用い、熱交換器に付着したシリカを含むスケールを酸溶液により膨潤又は剥落させた後にアルカリ溶液により溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去することを特徴とする洗浄方法。
  6. 前記熱交換器は、内部に所定の間隔をおいて複数の熱交換部材が設けられるとともに熱交換部材間を流体が流通する流体用容器と、流体用容器に接触するとともに内部に熱交換媒体が流通する熱交換媒体用容器とを備え、流体用容器内の流体と熱交換媒体用容器内の熱交換媒体との間で熱交換するように構成され、熱交換部材の表面にシリカを含むスケールが付着され、熱交換部材間に酸溶液を流通させて熱交換部材の表面に付着したシリカを含むスケールを膨潤又は剥落させた後、熱交換部材間にアルカリ溶液を流通させてシリカを含むスケールを溶解させることによってシリカを含むスケールを溶解除去する請求項5に記載の洗浄方法。
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