JP2005037219A - 超音波送受波器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 任意の表面形状を有する音響整合部材を備える高感度な超音波送受波器を提供する。
【解決手段】 本発明の超音波送受波器は、電気機械変換素子(圧電体2)と、電気機械変換素子2上に設けられた一対の電極3と、電気機械変換素子2の超音波送受波面側に配置された音響レンズ5とを備え、音響レンズ5は乾燥ゲルから形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の超音波送受波器は、電気機械変換素子(圧電体2)と、電気機械変換素子2上に設けられた一対の電極3と、電気機械変換素子2の超音波送受波面側に配置された音響レンズ5とを備え、音響レンズ5は乾燥ゲルから形成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、乾燥ゲルから形成された音響レンズなどの部材を有する超音送受波器およびその製造方法に関する。特に本発明は気体に対して高い感度で超音波の送受波を行うことができる超音波送受波器およびその製造方法に関する。
近年、管内を流れる流体を伝搬する超音波が所定の距離を伝達するのに要する時間を計測することにより、流体の移動速度を測定する超音波流量計がガスメータなどとして利用されつつある。このような超音波流量計は例えば特許文献1に開示されている。
図1は、上記の超音波流量計の主要部を示す断面図である。図1に示す超音波流量計では、管壁102に一対の超音波送受波器101a、101bが相対して設置されている管内を測定対象の流体(例えば、天然ガスや水素ガス)が矢印Vの方向に流れている。超音波送受波器101a、101bは、それぞれ、圧電セラミックなどの圧電体を用いて構成されており、圧電ブザーや圧電発振子と同様に共振特性を示す。
図1の超音波流量計によれば、測定シーケンスの最初の段階においては、超音波送受波器101aが超音波送波器として機能しも超音波送受波器101bは超音波受波器として機能する。この段階においては、超音波送受波器101aの共振周波数近傍における周波数を持つ交流電圧が超音波送受波器101a内に印加される。すると、超音波送受波器101aは超音波送波器として流体中に超音波を放射する。放射された超音波は、経路L1に沿って流体中を伝搬し、超音波受波器101bに到達する。このとき、超音波送受波器101bは受波器として機能し、受け取った超音波を電圧信号に変換する。
次の段階では、超音波送受波器101bが超音波送波器として機能し、超音波送受波器101aが超音波受波器として機能する。すなわち、超音波送受波器101bの共振周波数近傍の周波数を持つ交流電圧が超音波送受波器101b内の圧電体に印加されることにより、超音波送受波器101bから流体中に超音波が放射される。放射された超音波は、経路L2に沿って流体中を伝搬して、超音波送受波器101aに到達する。超音波送受波器101aは伝搬してきた超音波を受けて電圧信号に変換する。
このように、超音波送受波器101aおよび101bは、送波器としての機能と受波器としての機能を交互に果たすために、一般に「超音波送受波器」と総称される。
図1に示す超音波流量計では、連続的に交流電圧を印加すると、超音波送受波器から連続的に超音波が放射されて伝搬時間を測定することが困難になるので、通常はパルス信号を搬送波とするバースト電圧信号を駆動電圧として用いられる。
以下、上記超音波流量計の測定原理を、より詳細に説明する。
まず、駆動用のバースト電圧信号を超音波送受波器101aに印加することにより、超音波送受波器101aから超音波バースト信号を放射する。これにより、超音波バースト信号は経路L1を伝搬してt時間後に超音波送受波器101bに到達する。経路L1の距離は、経路L2の距離と等しく、Lであるとする。
超音波送受波器101bは、伝達して来た超音波バースト信号のみを高いSN比で電気バースト信号に変換することができる。この電気バースト信号を電気的に増幅して、再び、超音波送受波器101aに印加して超音波バースト信号を放射する。このようにして動作する装置を「シング・アラウンド型装置」と呼ぶ。
また、超音波パルスが超音波送受波器101aから放射された後、超音波送受波器102bに到達するまでの時間を「シング・アラウンド周期」という。「シング・アラウンド周期」の逆数は、「シング・アラウンド周波数」と呼ばれる。
図1において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。超音波送受波器101aを超音波送波器、超音波送受波器101bを超音波受波器として用いたときに、超音波送受波器101aから出た超音波パルスが超音波送受波器101bに到達する時間であるシング・アラウンド周期をt1、シング・アラウンド周波数f1とすれば、つきの式(1)が成立する。
f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L ・・・(1)
逆に、超音波送受波器101bを超音波送波器として、超音波送受波器101を超音波受波器として用いたときのシング・アラウンド周期をt2、シング・アラウンド周波数f2とすれば、次の式(2)の関係が成立する。
f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L ・・・(2)
両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、次の式(3)で示される。
Δf=f1−f2=2Vcosθ/L ・・・(3)
式(3)によれば、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfとから、流体の流速Vを求めることができる。そして流速Vから流量を決定することができる。
このような超音波流量計では、正確な流量を計測するために高い精度が求められる。精度を高めるためには、送受信する超音波信号のS/Nを高めることが重要である。
超音波送受波器における超音波信号のS/Nを高めるために、音響レンズを用いて超音波を受波用超音波送受波器の位置へ集束させる方法がある。超音波を集束させない平板型の超音波送受波器から超音波を送信する場合には、送信された超音波は、周波数と超音波送受波器の開口サイズで規定される伝搬形態を取ることとなる。このため、超音波を送信している超音波送受波器に対向する位置に置かれた受信用の超音波送受波器に対して、効率的に超音波を受信させる(S/Nを高めること)ことが困難になり、その結果として、精度の高い超音波流量計を実現することが難しい。
超音波を目的の位置へ集束させるため、図2に示すように、凹面形状の送受波面を有する超音波送受波器1が提案されている。図2の超音波送受波器1は、一対の電極3が上下面に形成された圧電体2と、圧電体2の主面(超音波放射面)に形成された音響整合部材4とを備えており、圧電体4および音響整合部材4がともに曲率半径Rの凹面型を有している。電極3に電圧を印加することによって圧電体2が伸縮し、圧電体2の主面から超音波が放射される。この超音波は、凹面の曲率中心に集束するため、高感度な超音波の送受信が可能となる。
特願平08−128874号公報
しかしながら、図2のような超音波送受波器1を実現するためには、凹面型の圧電体2を用意した上で、その湾曲した主面に沿って一定の厚さを有する音響整合部材4を形成する必要がある。このため、製造が困難でコスト高となるといった問題があった。
また、図2の超音波送受波器1を超音波流量計に用いる場合、超音波送受波器1の主面が凹型面であるため、測定流体の流れが乱れて渦流を発生し、流量測定誤差を生む要因となる可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、任意の表面形状を有する音響整合部材を備えた高感度の超音波送受波器およびその製造方法を提供することにある。
本発明の超音波送受波器は、電気機械変換素子と、前記電気機械変換素子上に設けられた一対の電極と、前記電気機械変換素子の超音波送受波面側に配置された音響レンズとを備え、前記音響レンズは乾燥ゲルから形成されている。
好ましい実施形態において、前記乾燥ゲルは、前記音響レンズの表面を規定する内面を有する容器の内部でゲル化した材料から構成されている。
好ましい実施形態において、前記音響レンズにおける音速は、超音波の伝搬媒体における音速よりも小さい。
好ましい実施形態において、前記音響レンズにおける超音波送受波面側の表面は凸型形状である。
好ましい実施形態において、記電気機械変換素子と前記音響レンズの間に設けられた音響整合部材を更に備えている。
好ましい実施形態において、前記音響整合部材は、積層された複数の音響整合層を含んでいる。
好ましい実施形態において、前記複数の音響整合層の少なくとも1層は、乾燥ゲルから形成されている。
好ましい実施形態において、前記音響レンズの音響インピーダンスは、前記音響整合部材の音響インピーダンスより小さい。
本発明による他の超音波送受波器は、電気機械変換素子と、前記電気機械変換素子上に設けられた一対の電極と、前記電気機械変換素子の超音波送受波面側に配置された音響整合部材とを備え、前記音響レンズは、上面および/または下面が平坦でない面を有する乾燥ゲルから形成されている。
好ましい実施形態において、前記乾燥ゲルは、前記平坦でない面を規定する内面を有する容器の内部でゲル化した材料から構成されている。
本発明の超音波流量計は、被測定流体が流れる流量測定部と、前記流量測定部に設けられ、超音波信号を送受波する一対の超音波送受波器と、前記一対の超音波送受波器の間を超音波が伝搬する時間を計測する計測部と、前記計測部からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えた超音波流量計であって、前記一対の超音波送受波器の各々が、上記のいずれかの超音波送受波器である。
好ましい実施形態において、前記測定流体は、気体である。
好ましい実施形態において、前記超音波送受波器における前記電気機械変換素子は、前記被測定流体から遮蔽されている。
本発明の装置は、上記いずれかの超音波送受波器を備えている。
本発明の超音波送受波器の製造方法は、平坦でない面を有する乾燥ゲルから形成された部材と電気機械変換素子とを備えた超音波送受波を製造する方法であって、電極が形成された電気機械変換素子を用意する工程と、前記乾燥ゲルの平坦でない面を規定する内面を有する容器の内部にゲル原料液を供給する工程と、前記容器の内部において前記ゲル原料液をゲル化することにより、前記平坦でない面によって規定された表面を有する湿潤ゲルを形成する工程と、前記湿潤ゲルを乾燥して前記乾燥ゲルを形成する工程とを含む。
好ましい実施形態において、前記平坦でない面はレンズ面を構成している。
本発明によれば、乾燥ゲルから形成した音響レンズを用いることにより、高感度な超音波送受波器を実現し、かつ高精度な流量測定が可能な超音波流量計を提供することができる。
(実施形態1)
以下、図3を参照しながら、本発明による超音波送受波器の第1の実施形態を説明する。
以下、図3を参照しながら、本発明による超音波送受波器の第1の実施形態を説明する。
図3に示されている超音波送受波器1は、圧電体2と、圧電体2の両面(主面および底面)に設けられた一対の電極3と、一対の電極3のうちの一方を介して圧電体2の主面(超音波放射面)に設けられた音響整合部材4と、音響整合部材4上に設けられた音響レンズとを備えている。
本実施形態の音響整合部材4は、第1音響整合層4aと第2音響整合層4bとが積層された2層構造を有している。
音響整合部材4の底面が接合された圧電体2は、圧電性を有する材料から形成されており、図3の上下方向に平行な方向(厚さ方向)に分極されている。圧電体2の上下面に設けられた一対の電極3に電圧信号が印加されると、この電圧信号に基づいて圧電体2から超音波が放射される。圧電体2から放射された超音波は、第1音響整合層4a、第2音響整合層4b、および音響レンズ5を介して伝搬媒体6へ放射されることになる。
一方、超音波を受信する場合には、伝搬媒体6を伝搬してきた超音波が音響レンズ5、第2音響整合層4b、および第1音響整合層4aを介して圧電体2へ伝搬することになる。超音波が圧電体2に伝搬すると圧電体2は変形し、この変形により電極3間に電圧信号が発生する。
本実施形態で用いる圧電体2の材料は任意であり、公知の圧電性材料を用いることができる。また、圧電体2の代わりに、電歪体を用いてもよい。電歪体を用いる場合にも、その材料は任意であり、公知の材料を用いることができる。また、電極3a、3bも公知の導電材料から形成される。圧電体や電歪体は「電気機械変換素子」と総称される。
音響整合部材4は、圧電体2で発生した超音波を伝搬媒体6へ効率よく伝搬させる役割を果たすとともに、伝搬媒体6を伝搬してきた超音波を効率よく圧電体2へ伝える役割を果たす。本実施形態における第1音響整合層4aは、シリカとガラスの混合粉を焼結させた多孔質体から形成し、第2音響整合部材4bは、乾燥ゲルから形成している。乾燥ゲルは、密度ρと音速Cの積(ρ×C)で規定される音響インピーダンスを極めて小さくすることが可能な材料であり、このため、空気などの気体への超音波の送受波効率を極めて高くすることができる。
乾燥ゲルとは、ゾルゲル反応によって形成される多孔質体である。より具体的には、ゲル原料液の反応によって固体化した固体骨格部を有する。まず、この固体骨格部が溶媒を含んだ湿潤ゲルが形成され、その後、乾燥によって溶媒を除去することにより、最終的な乾燥ゲルが得られる。この乾燥ゲルは、数nm〜数μm程度の固体骨格部を有し、この固体骨格部の間に平均細孔直径が1nm〜数μm程度の範囲にある連続気孔が形成された多孔質体である。
乾燥ゲルは、密度の低い状態では、固体部分を伝搬する音速が極端に小さくなるとともに、細孔によって多孔質体内の気体部分を伝搬する音速も極端に小さくなるという性質を有する。そのため、密度の低い状態では音速が500m/秒以下の非常に遅い値を示し、極めて低い音響インピーダンスを示す。特に、固体骨格部および細孔径が数nm程度と小さい場合には、極めて遅い音速を有する多孔質体が得られる。また、ナノメートルサイズの細孔部では、気体の圧損が大きいため音響整合部材として用いた場合に、音波を高い音圧で放射できるという特徴も有する。これは内部での超音波の減衰が極めて少ないと言うことも意味する。
このように有利な性能を有する乾燥ゲルからなる音響整合部材4の上に更に音響レンズ5が配置されると、超音波送受波器から所定の距離だけ離れた位置に超音波を集束させることができるため、高感度な超音波の送受信が可能となる。
医療用や水中用の超音波送受波器には、圧電体2から放射された超音波を集束させるためにシリコンゴムなどから形成された音響レンズが用いられているが、気体用超音波送受波器では、このような音響レンズは用いられていない。気体用超音波送受波器に音響レンズを設けようとすると、音響インピーダンスが極めて小さい材料から音響レンズを形成することにより、超音波の減衰を少なくし、気体との間での超音波の送受波を阻害しないようにする必要がある。しかし、従来、このように音響インピーダンスが低い適当な材料が存在していなかったため、気体用超音波送受波器に音響レンズを用いることは行なわれていなかった。
なお、音響レンズの内部での音速が伝搬媒体における音速よりも大きい場合、超音波を集束させるためには、音響レンズの形状を凹型とする必要がある。このため、音響レンズを備えた超音波送受波器を流量計に用いる場合、超音波送受波器の送受波面の凹みが測定流体の流れに乱れを生じて、正確な測定ができなくなる可能性がある。
凸型形状の音響レンズを用いて例えば空気へ超音波を送信するためには、音速が340m/秒以下の材料から音響レンズを形成する必要がある。しかし、このように音速の低い材料は従来存在していなかった。
本実施形態では、音速の低い乾燥ゲルから音響レンズを作製しているため、図3に示すような凸型形状の音響レンズ5により、超音波を気体中に集束させることが可能になる。この音響レンズ5は、極めて低い密度と音速、すなわち音響インピーダンスを有するため、音波の反射が少なく、空気の音速より遅いと言う特性を有し得る。その結果、凸型形状に形成して超音波を集束させることができる。したがって、高感度な超音波の送受信が可能となり、また、気体の流れに乱れを作ることも抑制できるため、高精度な流量測定が可能となる。
以下、本実施形態の超音波送受波器の製造方法を説明する。
まず、送受信の対象とする超音波の波長に合わせた圧電体2を用意する。圧電体2としては、圧電セラミックスや圧電単結晶など圧電性の高い材料が好ましい。圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛などを用いることができる。また圧電単結晶としては、チタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム、水晶などを用いることができる。
本実施形態では、圧電体2としてチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスを用い、送受波する超音波の周波数を500kHzに設定している。この超音波を圧電体2が効率よく送受波できるようにするため、圧電体素子の共振周波数を約500kHzに設計する。
チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスの音速は約3800m/秒であり、圧電体はその厚さを波長の1/2の厚さとしたときに、強くその共振が出ることが知られており、超音波の送受信効率が良くなる。
本実施形態では、直径が12mm、厚さが約3.8mmの円柱形状にすることにより、500kHzの超音波の送受波に適した圧電セラミックスから形成された圧電体2を用いている。圧電体2の上下両面には、焼付けによる銀製の電極3が設けられ、圧電体2は、この方向に分極処理されている。
このような圧電体2の一方の面(主面)に対して第1音響整合層4aおよび第2音響整合層4bをこの順序で形成する。
本実施形態では、音響整合層4aを構成する多孔質体として、シリカとガラスの混合粉を焼結させたものを用いている。これはシリカとガラス、更にアクリルボールを混合して、プレス成型した後、アクリルボールをシリカ/ガラスの焼結時に燃焼除去することによって空孔を形成して作成されたものである。
この多孔体は、見かけ密度が0.7×103kg/m3、音速が約2000m/秒、音響インピーダンスが1.4×106kg/m2/秒である。この多孔体を圧電体と同じ、直径12mmに成形し、また音響整合部材の厚さは、送受信する超音波の波長の1/4程度とした時に、特に送受信効率が高くなるため好ましく、今回は音速が2000m/秒で、超音波の周波数が500kHzであるため、第1音響整合層となるシリカ/ガラス多孔質体の厚さを1.0mmに設定した。
この第1音響整合層4a上に第2音響整合層4bおよび音響レンズ5を順次形成する。
本実施形態では、第2音響整合層4b及び音響レンズ5の両方を乾燥ゲルから形成している。第2音響整合層4b及び音響レンズ5に用いる乾燥ゲルの材質としては、無機材料に限定されず、有機高分子材料を用いてもよい。
無機材料の固体骨格部としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタンなどを用いることができる。また有機材料の固体骨格部としては、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチルなどを用いることができる。
本実施形態では、コスト、環境安定性、製造のしやすさなどから固体骨格部として酸化ケイ素を持つ乾燥ゲルを採用している。この材料は第1音響整合層であるシリカ/ガラス多孔質体と組成が近いことから密着性も良い。
ここで、第2音響整合層4b及び音響レンズ5に用いる乾燥ゲルの特性を、それぞれ、次のように設定する。
[第2音響整合層4b]
密度:0.3×103kg/m3
音速:350m/秒
音響インピーダンス:1.05×105kg/m2/秒
[音響レンズ5]
密度:0.15×103kg/m3
音速:150m/秒
音響インピーダンス:2.25×104kg/m2/秒
密度:0.3×103kg/m3
音速:350m/秒
音響インピーダンス:1.05×105kg/m2/秒
[音響レンズ5]
密度:0.15×103kg/m3
音速:150m/秒
音響インピーダンス:2.25×104kg/m2/秒
本出願人は、密度が層ごとに異なる積層構造を有する乾燥ゲルの形成方法を特願2002−370241号の明細書に開示している。本実施形態では、特願2002−370241号の明細書に開示している方法と同様の方法で第2音響整合層4b及び音響レンズ5を形成することができる。以下、この形成方法を具体的に説明する。
まず、第2音響整合層4bとなるべき乾燥ゲル層を形成する。この乾燥ゲル層は、設計上、音速が350m/sであるため、その厚さは送受信する超音波波長の1/4となるように0.175mmに設定する。第2音響整合層4bとなる乾燥ゲル層の密度は、音響レンズ5となる乾燥ゲル層を後に形成する場合に増加する。このため、この密度上昇分を見込み、第2音響整合層4bとしては、密度が0.17×103kg/m3となる乾燥ゲル層を形成する。
より詳細には、先に形成しているシリカ/ガラス多孔質体からなる第1音響整合層4a上に、ゲル原料液(配合比:テトラメトキシシラン/エタノール/アンモニア水=1/3.2/3.5(モル比))を滴下し、ゲル化する。そして、乾燥後、厚さが0.175mmとなるように研磨し、求める第2音響整合層4bを得ることができる。
次に、こうして形成した第2音響整合層4bの上面に別の乾燥ゲルからなる音響レンズ5を形成する。以下、図4(a)から(f)を参照しながら、音響レンズ5の形成方法を詳細に説明する。
まず、図4(a)に示す断面形状を有する音響レンズ形成治具7を用意する。本実施形態では、凸状の音響レンズを作製するため、音響レンズ形成治具7は、半球状の凹型部分が形成されたテフロン(登録商標)製容器から構成されている。この音響レンズ形成治具7の表面は、形成すべき音響レンズ5の形状に応じて任意の形状を有するように設計される。
次に、図4(b)に示すように、音響レンズ形成治具7の凹型部分にゲル原料液8を充填する。ゲル原料液は、テトラメトキシシラン、エタノール、およびアンモニア水を混合し、それらの配合比がテトラメトキシシラン/エタノール/アンモニア水=1/3.9/3.5(モル比)となるように調合する。
ゲル原料液を音響レンズ形成治具7の凹型部分に充填した後、図4(c)に示すように第2音響整合層4bの面が音響レンズ形成治具7の凹型面側に位置するように配置する。このとき、ゲル原料液は第1音響整合層4aおよび第2音響整合層4bの全体に含浸することが望ましい。このため、図4(d)のように、ゲル原料液に音響整合層4a、4bが完全に浸漬するように、ゲル原料液を音響レンズ形成治具7に追加的に供給する。そして、音響レンズ形成治具7を気密容器内に配置して、0.1気圧で30秒間の脱泡処理を行った後、常圧状態に復帰させる。
第1音響整合層4aおよび第2音響整合層4bにゲル原料液が浸透しないと、これらの整合部材4a、4bの内部に密度や音速のばらつきが発生するため、超音波送受波器1の性能が低下するおそれがある。このため、図4(d)に示すように、第1音響整合層4aおよび第2音響整合層4bの全体をゲル原料液中に浸すことが好ましい。
気密容器から取り出した音響レンズ形成治具7を取り出した後、音響レンズ形成治具7を恒温槽に入れ、70℃に約6時間保持する。この工程により、図4(e)のように、ゲル原料液のゲル化が完了する。ゲル化後、音響整合部材4および音響レンズ5からなる複合体を音響レンズ形成治具7から取り外す。このとき、音響レンズ5が破損しないように、まず音響レンズ5の背面側および外周にあるゲルを除去した後、音響レンズ5を音響レンズ形成治具7に接するよう押し付けたまま軸方向に回転させる。そして、複合体を音響レンズ形成治具7から取り外し、図4(f)に示す音響整合層4a、4bおよび音響レンズ5からなる複合体を得る。音響レンズ形成治具7の内面(凹面)は、上記の複合体を取り外す際に音響レンズ5が破損しないように平滑な面から構成されていることが好ましい。
こうして形成した音響レンズ5を構成するゲルは湿潤ゲルの状態にあるため、この後、超臨界乾燥法によってゲルから溶媒を除去し、乾燥ゲルに変化させる工程を行なう。この乾燥により、本実施形態における音響レンズ5が完成する。
本実施形態で形成する音響レンズ5の乾燥ゲルは、密度および音速が極めて小さいため、その強度も比較的低い。強度が低い乾燥ゲルは、溶媒の除去に伴う毛管力の発生によって、破損してしまうことがあるため、毛管力の働かない超臨界乾燥法で溶媒を除去することが有効である。
具体的には、次のような操作を行うことが好ましい。まず、湿潤ゲル内に残っているゲル原料液をエタノールで置換した後、音響レンズ形成治具7から取り外した複合体を耐圧容器に入れ、湿潤ゲル内のエタノールを液化二酸化炭素で置換する。更に、ポンプで容器内に液化二酸化炭素を送り込むことにより、耐圧容器内の圧力を10MPaまで上昇させる。その後、50℃まで昇温し、耐圧容器内を超臨界状態とする。次に、温度を50℃に保ったまま、圧力をゆっくり低下させることにより、乾燥を完了する。
溶媒乾燥時の毛管力に対して、ゲルが破損することが無い強度を有する場合には、通常の乾燥法を行っても良い。この場合には超臨界乾燥装置などが必要ないため、時間とコストの低減が実現できる。
本実施形態では、凸型の音響レンズ5を用いているが、音響レンズ5における音速が超音波の伝搬対象である気体より低い場合は、凹型の音響レンズ5を用いて超音波を集束させることができる。このような凹型の音響レンズ5も、前述した方法と同様の方法で形成することができる。また、音響レンズ5の表面は、一定の曲率を有する必要は無く、非球面であってもよい。
上記の方法によって作製される音響レンズの密度は0.15×103kg/m3であり、ゲル原料液の浸透により、第2音響整合層4bの密度も上昇し、第2音響整合層4bの密度は0.30×103kg/m3となる。第1音響整合層4aの見かけ密度は、0.7×103kg/m3となる。
なお、第1音響整合層4aの真比重は約2.8×103kg/m3であるため、第1音響整合層4aの75%(体積比率)は空孔である。第1音響整合層4aの空孔部分に密度0.3×103kg/m3の乾燥ゲルが充填されるため、第1音響整合層4aの密度は、約0.92×103kg/m3となる。音速は乾燥ゲルが充填されることによっても変化しないため、2000m/sのままであり、音響インピーダンスは1.84×106kg/m2/秒となる。
次に、このようにして形成した音響整合層4a、4bと音響レンズ5の複合体を圧電体2に接合することにより、図3に示す超音波送受波器を得る。
上記の複合体と圧電体2との接合は、エポキシ系接着剤の接着によって行なうことができる。接合時には音響整合部材4および音響レンズ5を構成する乾燥ゲルが破損しないように、音響レンズ5と同じ曲率の押圧治具を用いることが好ましい。具体的には、圧電体2に印刷により接着剤膜を形成し、その上に音響整合部材4/音響レンズ5の複合体を設置し、1kg/cm3で加圧し、120℃中で2時間硬化させる。
このようにして形成した超音波送受波器1は、音響レンズ5を持たない超音波送受波器に比べ、焦点位置で2倍以上の高い感度で超音波の送受信が可能となる。すなわち本実施形態のように、乾燥ゲルからなる音響レンズ5を用いることにより、高感度な超音波送受波器を実現することが可能となる。
本実施形態では、音響整合部材が2層構造を有しているが、必要とする超音波の特性に従って1層または3層構造の音響整合部材を用いてよい。また、音響整合部材を省略して圧電体2に直接的に音響レンズ5を設けても良い。
超音波を超音波レンズ5によって収束させる代わりに拡散させたい場合は、音響レンズ5を凹型にしてもよい。また音響レンズを構成する乾燥ゲルの音速を伝搬媒体である気体の音速より高く設定すれば、凸型レンズで超音波の拡散を行うことも可能である。
本実施形態の超音波送受波器の製造方法によれば、音響整合層4a、4bと音響レンズ5の複合体を形成した後に、この複合体を圧電体2に接合しているが、圧電体2に音響整合層4a、4bを接合した後に音響レンズ5を形成しても良い。この場合、圧電体2と音響整合層4aとほ接着する際に生じる応力が乾燥ゲル層に印加されないため、特に強度が低い乾燥ゲルを用いる場合に好適である。
(実施形態2)
次に、図5を参照しながら、本発明による超音波送受波器の第2の実施形態を説明する。本実施形態の超音波送受波器1は、圧電体2を外部から隔離する構造支持体9を更に備えている点で第1の実施形態における超音波送受波器1とは異なっているが、それ以外の点では、第1の実施形態における超音波送受波器1と同様の構成を有している。
次に、図5を参照しながら、本発明による超音波送受波器の第2の実施形態を説明する。本実施形態の超音波送受波器1は、圧電体2を外部から隔離する構造支持体9を更に備えている点で第1の実施形態における超音波送受波器1とは異なっているが、それ以外の点では、第1の実施形態における超音波送受波器1と同様の構成を有している。
本実施形態の超音波送受波器1は、上述のように圧電体2を密閉する構造支持体9を備えており、この構造支持体9は、容器9aと、容器9aを封止する底板9bを有している。底板9bには、圧電体2を不図示の外部回路に接続するためのリード部9cが設けられている。
容器9aは、圧電体2の主面が接合された円盤状支持部と、この円盤状支持部から圧電体2の側面を覆うように延びる円筒部とを有している。円筒部の端は外側に折れ曲がり、底板9bに対向するリング状の面を形成している。この面に底板9bが接合されることにより、内部の圧電体2を外部から遮蔽することができる。このような構造支持体9は、ステンレスをプレス加工することにより好適に作製され得る。
容器9aの円盤状支持部を介して圧電体2の主面側には第1音響整合層4aおよび第2音響整合層4bが積層され、その上には更に音響レンズ5が設けられている。音響整合層4a、4bおよび音響レンズ5の構成や作製方法は、第1の実施形態について説明したとおりである。
本実施形態では、図5に示す構造支持体9を用いることにより、超音波送受波器1の取り扱いが極めて容易となる。そして、構造支持体9の内部を不活性ガスで満たせば、流量測定の対象とする流体から圧電体2を遮断することができる。
圧電体2にはリード部9cおよび電極3を介して電圧信号が印加されるため、可燃性ガスなどが圧電体2に接すると、可燃性ガスに引火する危険性もある。しかし、構造支持体9を密閉性の容器から構成し、圧電体2が配置される内部を外部流体などから遮断することにより、そのような引火を防止することができるため、可燃性ガスなどに対しても安全に超音波の送受波を行なうことができる。
超音波送受波の対象となる流体が可燃性ガスでない場合でも、その流体が圧電体2と反応し、圧電体2に特性の劣化を与える可能性がある場合には、圧電体2を外部の流体から遮断することにより、圧電体2の劣化を防止して、長期間に渡って信頼性の高い動作を実現することが可能となる。
構造支持体9の材料は、ステンレスなどの金属材料に限定されるわけではなく、セラミック、ガラス、樹脂などから目的に応じた材料が選択される。本実施形態では、外部の流体と圧電体2を確実に分離し、構造支持体に何らかの機械的な衝撃が加わったとしても、圧電体2と外部流体との接触を防止できる強度を与えるため、金属材料から構造支持体9を作製している。これにより、例えば可燃性や爆発性を有するガスを対象として超音波の送受波を行っても、高い安全性を確保することができる。なお、安全な気体に対して超音波の送受波を行う場合には、コスト低減を目的として、樹脂などの材料からなる構造支持体を用いても良い。
(実施形態3)
次に、図6を参照しながら、本発明による超音波流量計の実施形態を説明する。
次に、図6を参照しながら、本発明による超音波流量計の実施形態を説明する。
本実施形態の超音波流量計は、流量測定部51として機能する管内を被測定流体が速度Vで流れるようにして設置される。流量測定部51の管壁52には、上述した本発明による超音波送受波器1aおよび1bが相対して配置されている。
測定動作のある時点では、超音波送受波器1aが超音波送波器として機能し、超音波送受波器1bを超音波受波器として機能するが、他の時点では、超音波送受波器1aが超音波中は器として機能し、超音波送受波器1bを超音波送波器として機能する。この切り替えは切替回路53によって行われている。
超音波送受波器1aおよび1bは、切替回路53を介して、超音波送受波器1aおよび1bを駆動する駆動回路54と、超音波パルスを検知する受波検知回路55とに接続されている。受波検知回路55の出力は、超音波パルスの伝搬時間を計測するタイマ56に送られる。
タイマ56の出力は、流量を演算する演算部57に送られる。演算部57では、測定された超音波パルスの伝搬時間に基づいて、流量測定部51内を流れる流体の速度Vが計算され、流量が求められる。駆動回路54およびタイマ56は、制御部58に接続され、制御部58から出力された制御信号によって制御される。
以下、この超音波流量計の動作をより詳細に説明する。
被測定流体として、例えばLPガスが流量測定部51を流れる場合を考える。超音波送受波器1aおよび1bの駆動周波数を約500kHzとする。制御部58は、駆動回路54に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ56の時間計測を開始させる。
駆動回路54は送波開始信号を受けると、超音波送受波器1aを駆動し、超音波パルスを送波する。送波された超音波パルスは流量測定部51内を伝搬して、超音波送受波器1bで受波される。受波された超音波パルスは超音波送受波器1bで電気信号に変換され、受波検知回路55に出力される。
受波検知回路55では受波信号の受波タイミングを決定し、タイマ56を停止させる。演算部57は、伝搬時間t1を演算する。
次に、切替回路53により、駆動回路54および受波検知回路55に接続する超音波送受波器1aおよび1bを切り替える。そして、再び、制御部59は駆動回路54に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ56の時間計測を開始させる。
伝搬時間t1の測定と逆に、超音波送受波器1bで超音波パルスを送波し、超音渡送受波器1aで受波し、演算部57で伝搬時間t2を演算する。
ここで、超音波送受波器1aと超音渡送受波器1bの中心を結ぶ距離をL、LPガスの無風状態での音速をC、流量測定部51内での流速をV、非測定流体の流れの方向と超音波送受波器1aおよび1bの中心を結ぶ線との角度をθとする。
伝搬時間t1、t2は、それぞれ、測定によって求められる。距離Lは既知であるので時間t1とt2を測定すれば流速Vが求められ、その流速Vから流量を決定することができる。
このような超音波流量計において、伝搬時間t1、t2はゼロクロス法と呼ばれる方法によって測定される。この方法では、受信した超音波の波形に対して適切なスレッショルドレベルを設定した上で、そのスレッショルドレベルを超えて次に振幅が0になる点の時間を計測する。
受波信号のS/Nが悪い場合、ノイズレベルによっては振幅が0となる点が時間的に変動するため、正確にt1、t2を測定することが出来ず、正確な流量を測定することが困難になる場合がある。
このような超音波流量計の超音波送受波器として、本発明の超音波送受波器を用いると、受波信号のS/Nが向上して、t1、t2を高い精度で測定することが可能となる。
本実施形態で用いる超音波送受波器1a、1bは、図3または図5に示すように、超音波の送受波面が凸型となっているため、送受波面が平型、あるいは凹型となった超音波送受波器と比較し、測定流体の流れの妨げることが少ない。このため、管内に渦流などが発生しにくく、高い精度で流量を測定することが可能となる。
本実施形態では、超音波送受波器1a、1bの配置として、図6に示すような所謂Zパス型配置を採用しているが、超音波送受信器1a、1bの配置は、これに限定されない。例えば、図7(a)〜(c)に示すように、Vパス、Wパス、Iパスなどの配置形態を採用しても良い。
以上説明してきた実施形態では、音響レンズ5の表面において、乾燥ゲルが伝搬媒体6と直接接触する構成を採用しているが、この面を厚さ10μm以下程度の保護膜でカバーしてもよい。このような保護膜は、大気と乾燥ゲルとの間の直接的な接触を避け、乾燥ゲルの性能を長期に渡って保持するのに寄与する。保護膜は、例えばアルミニウム、酸化ケイ素、低融点ガラス、高分子などの材料からなる膜(単層に限定されない)によって構成され得る。保護膜の形成は、スパッタリングやCVD法などの公知の薄膜堆積技術によって行うことができる。
(実施形態4)
上記の各実施形態における超音波送受波器1a、1bは、乾燥ゲルから形成した音響レンズ5を備えているが、図4(a)から(f)を参照して説明した音響レンズ5の作製方法は、厚さが面内分布をもつ(厚さが一様ではない)音響整合部材4にも適用可能である。より具体的には、前述した方法により、図8(a)から(c)に示す断面構造を有する音響整合部材4を作製することができる。
上記の各実施形態における超音波送受波器1a、1bは、乾燥ゲルから形成した音響レンズ5を備えているが、図4(a)から(f)を参照して説明した音響レンズ5の作製方法は、厚さが面内分布をもつ(厚さが一様ではない)音響整合部材4にも適用可能である。より具体的には、前述した方法により、図8(a)から(c)に示す断面構造を有する音響整合部材4を作製することができる。
図8(a)の超音波送受波器は、広帯域の超音波の送受信を可能とするため厚さに分布を有する圧電体2を有している。図8(a)に示される圧電体2は、その主面の面内方向に沿って厚さが変化しているため、超音波の周波数が面内の位置に応じて変化する分布を示すことになる。このため、音響整合部材4の厚さも、超音波の周波数に応じて面内分布を有することが好ましい。図8(a)の例では、圧電体2の厚さは中央で3mmであり、周辺部で6mmである。圧電体2がチタン酸ジルコン酸鉛セラミックスから形成されている場合、音速が約3800m/sである。圧電体2は、その厚さが超音波の波長の1/2のときに強く共振するため、共振周波数は圧電体2の中央部で約630kHz、周辺部で約320kHzとなる。
図8(a)の例では、1層の音響整合部材4を構成している乾燥ゲルの密度は約0.2×103kg/m3であり、音速は約200m/sである。上述した圧電体2の面内周波数分布に対応して最適な厚さ分布を有する音響整合部材4を形成するには、音響整合部材4の厚さは面の中央部で約80μm、周辺部で約160μmに設定することが好ましい。このような厚さ分布を与えることにより、音響整合部材4の厚さが位置に依らず超音波波長の約1/4となる。
このような音響整合部材4は、第1の実施形態について説明した音響レンズ5の作成方法と同様の方法で作製することができる。
凹型の曲率を有する音響整合部材4を形成する代わりに、図8(b)に示すように、圧電体2が面の中央部で低い周波数、周辺部で高い周波数の超音波を放射する構造を有している場合には、凸型の音響整合部材4を用いることが好ましい。
また、図8(c)に示すように、表面に複数の凹部および/または凸部が存在する音響整合部材4を形成してもよい。このような音響整合部材4を用いることにより、広帯域な超音波送受波器を実現することができる。なお、音響整合部の表面における凹凸の深さと位置を制御することにより、音波の送受信効率を音波放射面上の場所によって変化させることもできる。この場合、近距離領域の音場を制御して良好な計測を実現することが可能になる。
1 超音波送受波器
2 圧電体
3 電極
4 音響整合部材
4a 第1音響整合層
4b 第2音響整合層
5 音響レンズ
6 伝搬媒体(気体などの流体)
7 音響レンズ形成治具
8 ゲル原料液
9 構造支持体
51 流量測定部
52 管壁
53 切替回路
54 駆動回路
55 受波検知回路
56 タイマ
57 演算部
58 制御部
101a 超音波送受波器
101b 超音波送受波器
102 管壁
2 圧電体
3 電極
4 音響整合部材
4a 第1音響整合層
4b 第2音響整合層
5 音響レンズ
6 伝搬媒体(気体などの流体)
7 音響レンズ形成治具
8 ゲル原料液
9 構造支持体
51 流量測定部
52 管壁
53 切替回路
54 駆動回路
55 受波検知回路
56 タイマ
57 演算部
58 制御部
101a 超音波送受波器
101b 超音波送受波器
102 管壁
Claims (16)
- 電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子上に設けられた一対の電極と、
前記電気機械変換素子の超音波送受波面側に配置された音響レンズと、
を備え、
前記音響レンズは乾燥ゲルから形成されている超音波送受波器。 - 前記乾燥ゲルは、前記音響レンズの表面を規定する内面を有する容器の内部でゲル化した材料から構成されている請求項1に記載の超音波送受波器。
- 前記音響レンズにおける音速は、超音波の伝搬媒体における音速よりも小さい請求項1または2記載の超音波送受波器。
- 前記音響レンズにおける超音波送受波面側の表面は凸型形状である請求項1から3のいずれかに記載の超音波送受波器。
- 前記電気機械変換素子と前記音響レンズの間に設けられた音響整合部材を更に備えている請求項1から4のいずれかに記載の超音波送受波器。
- 前記音響整合部材は、積層された複数の音響整合層を含んでいる請求項5に記載の超音波送受波器。
- 前記複数の音響整合層の少なくとも1層は、乾燥ゲルから形成されている請求項6に記載の超音波送受波器。
- 前記音響レンズの音響インピーダンスは、前記音響整合部材の音響インピーダンスより小さい請求項5から7のいずれかに記載の超音波送受波器。
- 電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子上に設けられた一対の電極と、
前記電気機械変換素子の超音波送受波面側に配置された音響整合部材と、
を備え、
前記音響レンズは、上面および/または下面が平坦でない面を有する乾燥ゲルから形成されている超音波送受波器。 - 前記乾燥ゲルは、前記平坦でない面を規定する内面を有する容器の内部でゲル化した材料から構成されている請求項9に記載の超音波送受波器。
- 被測定流体が流れる流量測定部と、
前記流量測定部に設けられ、超音波信号を送受波する一対の超音波送受波器と、
前記一対の超音波送受波器の間を超音波が伝搬する時間を計測する計測部と、
前記計測部からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段と、
を備えた超音波流量計であって、
前記一対の超音波送受波器の各々が、請求項1から10のいずれかに記載の超音波送受波器である、超音波流量計。 - 前記測定流体は、気体である請求項11に記載の超音波流量計。
- 前記超音波送受波器における前記電気機械変換素子は、前記被測定流体から遮蔽されている請求項12に記載の超音波流量計。
- 請求項1から10のいずれかに記載の超音波送受波器を備えた装置。
- 平坦でない面を有する乾燥ゲルから形成された部材と電気機械変換素子とを備えた超音波送受波を製造する方法であって、
電極が形成された電気機械変換素子を用意する工程と、
前記乾燥ゲルの平坦でない面を規定する内面を有する容器の内部にゲル原料液を供給する工程と、
前記容器の内部において前記ゲル原料液をゲル化することにより、前記平坦でない面によって規定された表面を有する湿潤ゲルを形成する工程と、
前記湿潤ゲルを乾燥して前記乾燥ゲルを形成する工程と、
を含む超音波送受波器の製造方法。 - 前記平坦でない面はレンズ面を構成している請求項15に記載の超音波送受波の製造方法。
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JP2003273862A JP2005037219A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 超音波送受波器及びその製造方法 |
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