JP2005029595A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一次粒子径の平均が30〜100nmであり、かつ長短度の平均が1:1〜2:1の顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、広く用いられている。インクジェットプリンタに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている。
【0003】
しかしながら、顔料系インクは粒子として存在するため、染料系インクと比べると被記録媒体上で凝集塊を形成し易く、印字表面の平滑性が失われて、光沢性の低下や耐擦過性に劣るという課題があった。この様な耐擦過性の問題を解決する手段として、顔料を水不溶性ポリマーで被覆した技術(特許文献1)が知られているが、耐擦過性の充分な解決には至っていないのが現状である。
【0004】
顔料系インクにおいては、耐水性、光沢度及び耐擦過性を向上させるため、使用する顔料の一次粒子径を小さくし、顔料の縦横比を限定すること(特許文献2、3)等が提案されている。また、インク中で分散している顔料の粒子径を限定すること(特許文献4)やインク成分中にアミン類が含有される事(特許文献5、6)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、一般的には顔料の一次粒子が小さくなるほど、粒子の分散及び安定性の確保が困難となり、インク粘度の上昇等により吐出安定性に悪影響を与えることが判っている。また専用紙適性として、被記録媒体上での凝集により光沢性や耐擦過性等を悪化させることも判っている。この様に、光沢性や耐擦過性等の専用紙適性が充分に達成されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】WO 00/39226号
【特許文献2】特開平9−157559号公報
【特許文献3】特開2002−338841号公報
【特許文献4】特開2002−356637号公報
【特許文献5】特開2001−171733号公報
【特許文献6】特開平8−253719号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光沢、耐擦過性及び分散安定性に優れており、更に吐出安定性が良好で、高印字濃度が得られるインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題の解決手段として、一次粒子径(長径)の平均が30〜100nmであり、かつ長短度の平均が1:1〜2:1の顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供する。
【0009】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「長短度」とは、粒子の二次元形状を規定する尺度であり、具体的には、粒子の長径と短径との比で表される。なお、長径及び短径とは、TEM(透過型電子顕微鏡)写真で示される顔料粒子の二次元形状において、粒子の輪部に接する2つの平行線間の最大及び最小距離である。
【0010】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「水系」とは、インクに含有された溶媒中、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、水100%でも良いし、前記要件を満たすものであれば、水と1種又は2種以上の有機溶媒との混合物も含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
<顔料>
顔料は、一次粒子径(長径)の平均が30〜100nm、好ましくは40〜80nmであり、かつ長短度(長径:短径)の平均が1:1〜2:1のものである。
【0012】
顔料の長短度の平均が2:1を超える場合は、紙表面での顔料粒子の最密充填がされ難く、印字物の耐擦過性が悪化するほか、光の乱反射による光沢度の低下等にも影響を与える。
【0013】
一次粒径の平均及び長短度の平均は、TEM写真中に存在する二次元形状において、任意の10個の顔料粒子の長径及び長短度の平均値である。
【0014】
顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよく、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0015】
有機顔料としては、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
【0016】
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13,74,83,109,110,128,151,C.I.ピグメント・レッド48,57,122,184,188,C.I.ピグメント・バイオレット19,C.I.ピグメント・ブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,16,C.I. ピグメント・グリーン7,36等が挙げられる。
【0017】
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられ、これらの中では特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0018】
顔料の含有量は、印字濃度、及び顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子を形成させやすくするとの観点から、水不溶性ビニルポリマー100重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900重量部、更に好ましくは100〜800重量部である。
【0019】
<水不溶性ビニルポリマー>
一般に一次粒子径の小さな顔料は、分散時に顔料粒子が凝集し易い性質を有しているが、顔料を水不溶性ビニルポリマーを含ませることで、凝集を抑制する効果が得られる。
【0020】
水不溶性ビニルポリマーは、(A)一般式(I)で表されるモノマー〔モノマー(A)〕、(B)塩生成基含有モノマー〔モノマー(B)〕、(C)モノマー(A)及びモノマー(B)と共重合可能なモノマー〔モノマー(C)〕を重合させて得られる。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で、モノマー(A)、(B)、(C)以外のモノマーを用いることもできる。
【0021】
モノマー(A)は、一般式(I)で表されるものである。モノマー(A)を用いることにより、印字濃度が高く、保存安定性に優れた水系インクを得ることができるという利点がある。これは、モノマー(A)が有する末端基のアルキル基が紙の表面に残りやすいためであると考えられる。
【0022】
【化2】
【0023】
一般式(I)において、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であるが、重合性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0024】
一般式(I)において、R2は炭素数2〜5のアルキレン基であるが、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基が好ましい。
【0025】
一般式(I)において、nは1〜30の数であるが、印字濃度及び保存安定性の観点から、2〜25の数が好ましい。
【0026】
n個のR2は同一でも異なっていてもよく、R2が2種以上のとき、オキシアルキレン基はランダム付加、ブロック付加及び交互付加のいずれでもよい。
【0027】
一般式(I)において、R3は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8のアルキル基)、又は水素原子が炭素数1〜20のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基であるが、耐水性及び耐擦過性の観点から、オクチル基及びノニルフェニル基が好ましい。
【0028】
モノマー(A)としては、一般式(I)において、R2の炭素数が2のモノマー(A−1)を用いることにより、印刷画像の光沢に優れた水系インクを得ることができるという利点がある。これは、モノマー(A−1)が有する親水性の高いオキシエチレン基の親水性水和層が、水系インクの中で広がることに基づくものと考えられる。
【0029】
またモノマー(A)としては、一般式(I)において、R2の炭素数が3のモノマー(A−2)を用いることにより、吐出性に優れた水系インクを得ることができる。これは、モノマー(A−2)の疎水性の高いオキシプロピレン基と顔料との間で疎水性相互作用が強くなるので、水不溶性ビニルポリマーが着色剤に対して強い吸着性を発現するようになり、更に顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の疎水性が強くなり、その結果、水系インクの粘度が低くなることに基づくものと考えられる。
【0030】
また、モノマー(A)としてモノマー(A−1)、(A−2)を用いることにより、水系インク中における顔料を含む水不溶性ビニルポリマーの分散安定性を高めることができる。これは、親水性の高いオキシエチレン基又はオキシプロピレン基の親水性水和層が水系インク中で広がることに基づくものと考えられる。
【0031】
モノマー(A)の代表例としては、モノマー(A−1)に該当するポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。商業的に入手しうるモノマー(A−1)の具体例としては、新中村化学(株)製のNKエステル M−20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、 PME−100, 200, 400, 1000等が挙げられる。
【0032】
モノマー(A−2)の具体例としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
モノマー(A−1)、(A−2)以外のモノマー(A)としては、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
モノマー(A)の中では、インク粘度及び吐出性の観点から、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート及びポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0035】
商業的に入手しうるモノマー(A−1)、(A−2)の例としては、日本油脂(株)製のブレンマーPP−1000, PP−500, PP−800,AP−150,AP−400,AP−550,AP−800, 50PEP−300,70PEP−350B,AEPシリーズ,30PPT−800,50PPT−800,70PPT−800, APTシリーズ,10PPB−500B,10APB−500B,50POEP−800B,50AOEP−800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ,PNPEシリーズ,43ANEP−500,70ANEP−550等が挙げられる。
【0036】
水不溶性ビニルポリマーにおけるモノマー(A)の含有量(原料基準)は、印字濃度及びインク粘度の観点から、5〜45重量%、好ましくは10〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
【0037】
モノマー(A)としてモノマー(A−1)を使用するとき、水不溶性ビニルポリマーにおけるモノマー(A−1)の含有量(原料基準)は、印字濃度及びインク粘度の観点から、5〜45重量%、好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
【0038】
モノマー(A)としてモノマー(A−2)を使用するとき、水不溶性ビニルポリマーにおけるモノマー(A−2)の含有量(原料基準)は、印字物の光沢及び高い印字濃度の観点から、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
【0039】
モノマー(B)としては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーから選ばれた1種以上が挙げられる。
【0041】
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
アニオン性モノマーの中では、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
【0045】
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーから選ばれた1種以上が挙げられる。
【0046】
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0048】
カチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
【0049】
水不溶性ビニルポリマーにおけるモノマー(B)の含有量(原料基準)は、分散安定性及び吐出安定性の観点から、3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
【0050】
モノマー(C)としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー、マクロマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。モノマー(C)には、耐水性及び耐擦過性の観点から、芳香環含有モノマー及びマクロマーから選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
【0051】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。また、(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。以下においても同様である。
【0053】
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた1種以上が、耐水性及び耐擦過性の観点からより好ましい。
【0054】
マクロマーの代表例としては、片末端に重合性官能基を有し、好ましくは数平均分子量が500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000 であるマクロマーが挙げられる。
【0055】
マクロマーの具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。これらの中では、ビニルポリマーに着色剤を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
【0056】
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0057】
片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、そのスチレンの含有量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
【0058】
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
【0059】
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS−6, AS−6S,AN−6, AN−6S, HS−6,HS−6S等が挙げられる。
【0060】
シリコーンマクロマーの中では、一般式(II):
X(Y)qSi(R4)3−r(Z)r (II)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R4はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
【0061】
一般式(II)で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基であるが、その代表例としては、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0062】
Yは、2価の結合基であるが、その代表例としては、−COO−、−COO(CH2)a−(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOC3H6−が好ましい。
【0063】
R4は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるが、その具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
【0064】
Zは、好ましくは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基であるが、好ましいZとしては、数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
【0065】
qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
【0066】
シリコーンマクロマーの代表例としては、下記の一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
【0067】
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
R5:水素原子又はメチル基
R6:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−[Si(R5)2−O]c−Si(R5)3基(R5は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕。
【0068】
これらの中では、一般式(III)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(IIIa):
CH2=C(CH3)−COOC3H6−[Si(CH3)2−O]d−Si(CH3)3 (II1a)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM−0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0069】
なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0070】
水不溶性ビニルポリマーにおけるモノマー(C)の含有量(原料基準)は、印字濃度及び耐水性の観点から、15〜87重量%、好ましくは35〜85重量%、更に好ましくは40〜83重量%である。
【0071】
モノマー(C)として芳香環含有モノマーを使用する場合、モノマー(C)における芳香環含有モノマーの含有量は、耐水性、耐擦過性、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1〜100重量%、より好ましくは5〜90重量%、更に好ましくは10〜80重量%である。
【0072】
モノマー(C)としてマクロマーを使用する場合、モノマー(C)におけるマクロマーの含有量は、耐水性及び耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜60重量%、更に好ましくは5〜40重量%である。
【0073】
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量(後述する製造例1〜4に記載の方法で測定)は、印字濃度と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜200,000である。
【0074】
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー(A)、(B)、(C)を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0075】
溶液重合法で用いる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
【0076】
極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
【0077】
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
【0078】
重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001 〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
【0079】
重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらの重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0080】
モノマーの重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なる。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0081】
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成した水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
【0082】
<顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の分散体>
顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子は、少なくとも顔料と水不溶性ビニルポリマーにより粒子が形成されているものであれば粒子形態は特に制限されるものではなく、例えば、水不溶性ビニルポリマーに顔料が内包された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに顔料が内包されているが、粒子表面に一部の顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
【0083】
顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る方法としては、水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、顔料、水、中和剤及び必要に応じて界面活性剤を加えて混練した後、必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好ましい。
【0084】
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、親水性有機溶媒がより好ましい。
【0085】
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0086】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
【0087】
また、必要により、有機溶媒と、高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。高沸点親水性有機溶媒としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0088】
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0089】
中和度には、特に限定がない。通常、得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5 〜10であることが好ましい。
【0090】
塩生成基を中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
【0091】
顔料を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、光沢度、耐擦過性及び分散安定性の観点から、顔料の一次粒子径の好ましくは1.1〜2.0倍範囲内、より好ましくは1.1〜1.5倍範囲内、更に好ましくは1.1〜1.3倍範囲内で、30〜500nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒径は実施例に示す「保存前の平均粒径」に相当し、実施例に示す方法で測定される。
【0092】
<インクジェット記録用水系インク>
インクジェット記録用水系インクにおける顔料を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体の含有量(固形分量)は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.5 〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%となるように調整することが望ましい。
【0093】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて、必要により、有機溶媒、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有させることできる。
【0094】
有機溶媒として、水溶性有機溶媒を含有させた場合には、耐乾燥性や凍結防止に優れるという利点がある。水溶性有機溶媒としては、25℃の水に対する溶解度が1重量%以上であればよく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物を使用することができる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、ジエチレングリコール、グリセリン及び2−ピロリドンが好ましい。
【0095】
水系インク中における水溶性有機溶媒の量は、好ましくは0.1 〜50重量%、より好ましくは0.1 〜30重量%、水の量は、好ましくは40〜90重量%である。
【0096】
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物を使用することができる。水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
【0097】
また、分散剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤を用いることができる。
【0098】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、水不溶性ビニルポリマーとして、芳香環含有モノマー及びマクロマーの1種以上を用いることにより、耐擦過性及び耐水性により優れた印字物を得ることができる。
【0099】
更に本発明のインクジェット記録用水系インクは、一次粒子径が小さく、形状の整った顔料を水不溶性ビニルポリマーに含有させることにより、顔料粒子の分散性及び印字表面の平滑性が良好となることで、専用紙での光沢度及び耐擦過性等の性能を向上させることができる。
【0100】
【実施例】
製造例1〜4及び比較製造例1〜2
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、及び表1に示す各モノマー(重量部表示)のそれぞれの10重量%の量ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0101】
一方、滴下ロート中に、表1に示す各モノマー(重量部表示)の残りの90重量%の量を仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2, 2’ −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)1.2 重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0102】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を65℃で2時間維持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3 重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0103】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下で105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0104】
なお、表1に示す各化合物の詳細は、以下のとおりである;
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート:新中村化学(株)製、商 品名:NKエステルM−90G,一般式(I)において、R2=炭素数2, n=9,R1及びR3=メチル基
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート:新中村化学(株)製、商 品名:NKエステルM230G,一般式(I)において、R2=炭素数2,n=23,R1及びR3=メチル基
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:日本油脂(株)製、商 品名:ブレンマーPP−500,一般式(I)において、R1がメチル基、R2=炭素数3,n=9,R3=水素原子
・ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノメタクリレート:日本油脂(株)製、商品名:ブレンマー50PEP−300 ,一般式(I)において、n=6、R1=メチル基、R3=水素原子であり、オキシプロピレン基(2.5モル)とオキシエチレン基(3.5モル)とがランダム付加したモノマー
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS−6S,数平均分子量:6000,重合性官能基:メタクロイルオキシ基
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー5重量部を、メチルエチルケトン45重量部に溶かし、その中に中和剤(20 %水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料〔大日精化(株)製、C.I.ピグメント・レッド122〕20重量部を加え、ビーズミルで2時間混練した。顔料の長短度は、TEM(走査型電子顕微鏡)写真より、2:1〜1:1の範囲に入っていることを確認した。
【0107】
得られた混練物に、イオン交換水120重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
インク配合
得られたポリマー処理顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を用いて水系インクを調整した。インク組成を以下に示す。
【0108】
顔料を含有する水不溶性ビニルポリマーの分散体(固形分) 30重量%
グリセリン 10重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 7重量%
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 1重量%
Ploxel XL2(S)(ZENECA社製) 0.08重量%
イオン交換水 51.92重量%
これらの各成分を混合し、得られた混合液を0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mlの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、表2に示す組成の水系インクを得た。
【0109】
実施例2
実施例2では、キナクリドン顔料〔大日精化(株)製、C.I.ピグメント・バイオレット19〕を用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水性インクを得た。顔料の長短度は、TEM写真より、2:1〜1:1の範囲に入っていることを確認した。
【0110】
実施例3
実施例1において、製造例1で得られた顔料及びポリマーの替わりに、アゾ顔料〔大日精化(株)製、C.I.イエロー74〕と製造例3で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。顔料の長短度は、TEM写真より、2:1〜1:1の範囲に入っていることを確認した。
【0111】
実施例4
実施例1において、製造例1で得られた顔料及びポリマーの替わりに、アゾ顔料〔大日精化(株)製、C.I.イエロー74〕と製造例4で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水系インクを得た。顔料の長短度は、TEM写真より、2:1〜1:1の範囲に入っていることを確認した。
【0112】
比較例1
実施例1において、製造例1で得られた顔料及びポリマーの替わりに、キナクリドン顔料〔大日本化学工業(株)製、C.I.ピグメント・レッド122〕と比較製造例1で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水性インクを得た。顔料の長短度は、TEM写真より、2:1を超えることを確認した。
【0113】
比較例2
実施例1において、製造例1で得られた顔料及びポリマーの替わりに、アゾ顔料〔山陽色素(株)製、C.I.イエロー74〕と比較製造例2で得られたポリマーを用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示す水性インクを得た。顔料の長短度は、TEM写真より、2:1を超えることを確認した。
【0114】
次に、得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
【0115】
(1)光沢
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製,型番EM900C)を用い、市販のMC光沢紙にベタ印字し、25℃で1時間放置後、光沢を光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG−1)で測定し、以下の基準に基づいて評価した。
【0116】
〔評価基準〕
◎:光沢が50以上
○:光沢が45以上50未満
△:光沢が40以上45未満
×:光沢が40未満
(2)耐擦過性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0117】
〔評価基準〕
◎:印字は全くとれない
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる
(3)印字濃度
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914) で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0118】
〔評価基準〕
◎:印字濃度が1.2 以上
○:印字濃度が1.1 以上1.2 未満
△:印字濃度が1.0 以上1.1 未満
×:印字濃度が1.0 未満
(4)平均粒径及び分散安定性
大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)を用い、インクに含まれている顔料を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、「保存前の平均粒径」という)を測定した。インクを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1ヵ月保存後、同様の方法にて平均粒径(以下、「保存後の平均粒径」という)を測定した。分散安定性の指標として、分散安定度を次式:
分散安定度(%)=〔保存後の平均粒径〕/〔保存前の平均粒径〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0119】
〔評価基準〕
◎:分散安定度が95%以上105 %未満
○:分散安定度が90%以上95%未満、又は105 %以上110 %未満
△:分散安定度が70%以上90%未満、又は110 %以上130 %未満
×:分散安定度が70%未満又は130 %以上
【0120】
【表2】
【0121】
表2に示された結果から、各実施例で得られた水系インクは、いずれも光沢紙(専用紙)での高い光沢が得られ、耐擦過性、更には印字濃度及び分散安定性にも優れたものであることがわかる。
【0122】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、光沢、耐擦過性及び分散安定性に優れ、更に高印字濃度が得られる。
Claims (5)
- 一次粒子径(長径)の平均が30〜100nmであり、かつ長短度の平均が1:1〜2:1の顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
- (C)共重合可能なモノマーが、芳香環含有モノマー及びマクロマーから選ばれた1種以上を含有する請求項1又は2記載のインクジェット記録用水系インク。
- 芳香環含有モノマーが、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンから選ばれた1種以上である請求項3記載のインクジェット記録用水系インク。
- マクロマーが、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーである請求項3記載のインクジェット記録用水系インク。
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