JP2005020163A - 無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において、送信データ量に応じて各通信局に効率的に通信帯域を割り当てる。
【解決手段】各通信局は、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得するとともに、通信プロトコルの上位層からの許可に応じて、あるいは送信データがバッファリングされていないことに応じて、自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【選択図】 図12
【解決手段】各通信局は、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得するとともに、通信プロトコルの上位層からの許可に応じて、あるいは送信データがバッファリングされていないことに応じて、自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非同期で直接通信(ランダム・アクセス)を行なうことにより無線ネットワークが運営される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、制御局となる装置を特に配置しないアドホック(Ad−hoc)通信環境下で効率よくデータ伝送を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、アドホック通信環境下において各通信局に効率よく通信帯域を割り当てる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
複数のコンピュータを接続してLANを構成することにより、ファイルやデータなどの情報の共有化、プリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータ・コンテンツの転送などの情報の交換を行なったりすることができる。従来は有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しく、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便であった。
【0004】
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。
【0005】
例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute ofElectrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格…などの各種無線通信方式が存在する。
【0006】
また、最近では、「ウルトラ・ワイド・バンド(UWB)通信」と呼ばれる、きわめて微弱なインパルス列に情報を載せて無線通信を行なう方式が、近距離超高速伝送を実現する無線通信システムとして注目され、その実用化が期待されている。
【0007】
UWB伝送方式には、DSの情報信号の拡散速度を極限まで高くしたDS−UWB方式と、数100ピコ秒程度の非常に短い周期のインパルス信号列を用いて情報信号を構成して、この信号列の送受信を行なうインパルス−UWB方式など、様々な物理的信号形式の利用が検討されている。いずれの方式も例えば3GHzから10GHzという超高帯域な周波数帯域を利用し、この周波数帯域内に例えば拡散処理をして送受信を行なうことにより高速データ伝送を実現する。その占有帯域幅は、占有帯域幅をその中心周波数(例えば1GHz〜10GHz)で割った値がほぼ1になるようなGHzオーダの帯域であり、いわゆるW−CDMAやcdma2000方式、並びにSS(Spread Spectrum)やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線LANにおいて通常使用される帯域幅と比較しても超広帯域なものとなっている。
【0008】
例えば、IEEE802.15.3の標準化作業において、例えばウルトラ・ワイド・バンド無線通信を行なう無線通信装置の間でピコネットを形成して通信を行なう方法が規格化されつつある。
【0009】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0010】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約し、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
【0011】
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
【0012】
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
【0013】
ここで、IEEE802.11を例にとって、従来の無線ネットワーキングの詳細について説明する。
【0014】
IEEE802.11におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSSは、AP(Access Point:制御局)のようなマスタが存在するインフラ・モードで定義されるBSSと、複数のMT(Mobile Terminal:移動局)のみにより構成されるアドホック・モードで定義されるIBSS(IndependentBSS)の2種類で構成される。
【0015】
インフラ・モード:
インフラ・モード時のIEEE802.11の動作について、図19を参照しながら説明する。インフラ・モードのBSSにおいては、無線通信システム内にコーディネイションを行なうアクセス・ポイントが必須である。
【0016】
アクセス・ポイントは、自局周辺で電波の到達する範囲をBSSと1つにまとめ、いわゆるセルラ・システムで言うところの「セル」を構成する。アクセス・ポイント近隣に存在する移動局は、アクセス・ポイントに収容され、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。すなわち、アクセス・ポイントは適当な時間間隔でビーコンと呼ばれる制御信号を送信し、このビーコンを受信可能である移動局はアクセス・ポイントが近隣に存在することを認識し、さらにアクセス・ポイントとの間でコネクション確立を行なう。
【0017】
図19に示す例では、通信局STA0がアクセス・ポイントとして動作し、他の通信局STA1並びSTA2が移動局として動作している。ここで、アクセス・ポイントとしての通信局STA0は、同図右側のチャートに記したように、一定の時間間隔でビーコン(Beacon)を送信する。次回のビーコンの送信時刻は、ターゲット・ビーコン送信時刻(TBTT:Target Beacon Transmit Time)というパラメータの形式によりビーコン内で報知されている。そして、時刻がTBTTに到来すると、アクセス・ポイントはビーコン送信手順を動作させている。
【0018】
また、アクセス・ポイント周辺の移動局は、ビーコンを受信することにより、内部のTBTTフィールドをデコードすることにより次回のビーコン送信時刻を認識することが可能であるから、場合によっては(受信の必要がない場合には)、次回あるいは複数回先のTBTTまで受信機の電源を落としスリープ状態に入ることもある。
【0019】
アドホック・モード:
アドホック・モード時のIEEE802.11の動作について、図20並びに図21を参照しながら説明する。
【0020】
アドホック・モードのIBSSにおいては、移動局は複数の移動局同士でネゴシエーションを行なった後に自律的にIBSSを定義する。IBSSが定義されると、移動局群は、ネゴシエーションの末に、一定間隔毎にTBTTを定める。各移動局は自局内のクロックを参照することによりTBTTが到来したことを認識すると、ランダム時間の遅延の後、未だ誰もビーコンを送信していないと認識した場合にはビーコンを送信する。
【0021】
図20に示すでは、2台の移動局がIBBSを構成する様子を示している。この場合、ビーコンはIBSSに属するいずれか一方の移動局が、TBTTが訪れる毎にビーコンを送信することになる。また、ビーコンが衝突する場合も存在している。
【0022】
また、IBSSにおいても、移動局は必要に応じて送受信機の電源を落とすスリープ状態に移行することがある。図21には、この場合の信号送受信手順について示している。
【0023】
IEEE802.11においては、IBSSでスリープ・モードが適用されている場合には、TBTTからしばらくの時間帯がATIM(Announcement Traffic Indication Message) ウィンドウとして定義されている。ATIMウィンドウの時間帯は、IBSSに属するすべての移動局は受信処理を動作させている。この時間帯であれば、基本的にはスリープ・モードで動作している移動局も受信が可能である。
【0024】
各移動局は、自局が誰か宛ての情報を有している場合には、このATIMウィンドウの時間帯においてビーコンが送信された後に、上記の誰か宛にATIMパケットを送信することにより、自局が上記の誰か宛ての情報を保持していることを受信側に通達する。ATIMパケットを受信した移動局は、ATIMパケットを送信した局からの受信が終了するまで、受信機を動作させておく。
【0025】
図21に示す例では、STA1、STA2、STA3の3台の移動局がIBSS内に存在している。同図において、TBTTに到来すると、STA1、STA2、STA3の各移動局は、ランダム時間にわたりメディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA1のタイマが最も早期に消滅し、STA1がビーコンを送信した場合を示している。STA1がビーコンを送信したため、これを受信したSTA2並びにSTA3はビーコンを送信しない。
【0026】
また、図21に示す例では、STA1がSTA2宛ての送信情報を保持しており、且つ、STA2がSTA3への送信情報を保持している。このとき、STA1とSTA2は、ビーコンを送信/受信した後に、再度ランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA2のタイマが先に消滅したため、まずSTA2からATIMメッセージがSTA3に宛てて送信される。STA3は、ATIMメッセージを受信すると、受信した旨をACK(Acknowledge)パケットを送信することによりSTA2にフィードバックする。STA3からのACKが送信し終えると、STA1はさらにランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。そして、タイマが消滅すると、STA1はATIMパケットをSTA2に宛てて送信する。STA2はこれを受信した旨のACKパケットを返送することによりSTA1にフィードバックする。
【0027】
これらATIMパケットとACKパケットのやりとりがATIMウィンドウ内で行なわれると、その後の区間においても、STA3はSTA2からの情報を受信するために受信機を動作させ、STA2はSTA1からの情報を受信するために受信機を動作させる。
【0028】
上記の手順において、ATIMウィンドウ内でATIMパケットを受信しない、又は誰宛ての送信情報も保持していない通信局は、次のTBTTまで送受信機の電源を落とし、消費電力を削減することが可能となる。
【0029】
ところで、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器が普及し、オフィス内に多数の機器が混在する作業環境下では、通信局が散乱し、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。このような状況下では、端末同士の通信が競合しないようにアクセス制御が必要とされている。
【0030】
通信要求がランダム的でバースト性の高いパケット通信などでは、複数の端末局が同一の周波数チャネルを共有するチャネル共有方式が多く採用されている。このチャネル共有方式では、端末局からの通信要求がランダム的に行なわれるため、複数の端末局からの信号が衝突するという事態が起き易く、通信品質を劣化させてしまう。衝突を回避するための方法として、比較的単純なメカニズムで構成することができるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:キャリア検出多重接続/衝突回避)方式が幅広く採用されている。上述したアドホック通信システムにおいても、自己の送信型の送信を衝突しないことを検出するためにCSMA/CAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送する方式が適用される。
【0031】
他方、一定間隔で定期的にデータを送る必要がある動画などのように、等時性、時間的に連続性を持つデータを転送するためには、帯域を保証する必要がある。このような場合、ネットワークを構成する各通信局に対し、送受信を優先させる時間間隔を与えることにより帯域を保証することができる。
【0032】
しかしながら、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先的な送信権を与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0033】
例えば、通信品質を維持するために、スロット割り当てにより非競合アクセスを行なうことがあるが、各局に割り当てたスロットの予約を解除することにより(例えば、特許文献1を参照のこと)、優先的な送受信権を与えることに伴う通信帯域の使用効率の問題を解決することができる。
【0034】
しかしながら、この場合、基地局が移動局に割り当てたスロットの使用状況を監視し、使用率がある閾値以下である場合には、予約を解除するといったもので、予約スロットを解除するまでに時間を要する。
【0035】
また、基地局のように移動局を集中して管理するような局が必要であることから、アドホック・ネットワークのような自律分散型のシステムでは適応が困難である。
【0036】
【特許文献1】
特開平10−135928号公報
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、制御局となる装置を特に配置しないアドホック通信環境下で効率よくデータ伝送を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0038】
本発明のさらなる目的は、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において帯域を保証したデータ伝送を効率的に行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0039】
本発明のさらなる目的は、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において、送信データ量に応じて各通信局に効率的に通信帯域を割り当てることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づくネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定のフレーム周期でビーコンを送出した後、自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得するとともに、該優先スロットを他の局に割り当てることができる、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0041】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0042】
本発明に係る無線通信システムにおいては、コーディネータを特に配置しない。各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0043】
周辺に通信局がいない場合、通信局は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれる。
【0044】
各通信局は、自己のビーコン受信タイミングをビーコン中の近隣ビーコン情報フィールドに記載し、自己のビーコン受信タイミングと受信ビーコン中の近隣ビーコン情報フィールド(NBOI:Neighboring Beacon Offset Information)の記載に基づいてフレーム周期内で近隣に存在する通信局のビーコン配置に関する隣接局リストを作成してネットワークを管理する。
【0045】
NBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0046】
ここで、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先的な送信権を与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0047】
そこで、本発明に係る無線通信システムでは、各通信局は、自局に割り当てられた優先スロットを使用していない場合、すなわち、通信プロトコルの上位層からの許可に応じて、あるいは送信データがバッファリングされていないことに応じて、自局の優先スロットを必要とする他局に貸し出すようにした。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0048】
また、通信局は、自己の送信データが発生したときには、他局に貸し出したスロットを取り戻すようにしてもよい。また、さらに他の局からスロットを借り入れるようにしてもよい。そして、貸し出した元の局からスロットの返却要求があったとき、あるいは、その後送信データがなくたったときには、借り入れたスロットを解放するようにしてもよい。
【0049】
また、本発明の第2の側面は、特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下で、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する優先スロット獲得ステップと、
自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる優先スロット貸し出しステップと、
他の局の優先スロットを使用する優先スロット借り入れステップと、を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0050】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数台起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0053】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ単一の伝送媒体(周波数チャネルによりリンクが分離されていない場合)を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。但し、複数の周波数チャネルが伝送媒体として存在する場合であっても、同様に本発明の効果を奏することができる。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0054】
本発明に係る無線ネットワーク・システムは、コーディネータを配置しないシステム構成であり、各通信局は、基本的にはCSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリア検出多重接続)に基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なう。
【0055】
このようにコーディネータを特に配置しない無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、他の通信局からのビーコン信号を受信することにより、その通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0056】
以下に説明する各通信局での処理は、基本的にネットワークに参入する全通信局で実行される処理である。但し、場合によっては、ネットワークを構成するすべての通信局が、以下に説明する処理を実行するとは限らない。
【0057】
図1には、本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示している。
【0058】
同図に示す無線通信装置では、この無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、無線送信部104と、タイミング制御部105と、アンテナ106と、無線受信部107と、ビーコン生成部110と、ビーコン解析部111と、情報記憶部112とで構成される。
【0059】
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
【0060】
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
【0061】
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御を一元的に行なう。
【0062】
無線送信部104は、データ・バッファ102に一時格納されているデータやビーコンを無線送信するために、例えばウルトラ・ワイド・バンド信号として変調処理する。
【0063】
タイミング制御部105は、ウルトラ・ワイド・バンド信号を送信並びに受信処理するためのタイミングの制御を行なう。例えば、既に獲得した優先スロット領域や、自己のビーコン送信タイミング、他の通信装置からのビーコン受信タイミングなどを制御する。
【0064】
アンテナ106は、他の無線通信装置宛に信号を無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。
【0065】
無線受信部107は、所定の時間に他の無線通信装置から送られてきた情報やビーコンなどの信号を受信処理する。
【0066】
ビーコン生成部110は、近隣にある無線通信装置との間で周期的に交換されるビーコン信号を生成する。
【0067】
ビーコン解析部111は、受信できた他の無線通信装置のビーコン信号を解析し、無線ネットワークの構成や自己のデータ送受信タイミングを把握する。
【0068】
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令や、ビーコン解析により得られたネットワーク構成情報を蓄えておく。
【0069】
データ送信時には、データ・バッファ102に蓄積されている送信データにヘッダやCRC(Cycric Redundancy Code)などが付加された後、無線送信部104において符号化・変調処理が施された後、アンテナ共用器(図示しない)を経て、アンテナ106から送信信号が送出される。符号化時には誤り訂正符号が施される。また、変調によりBPSK、QPSK、QAMなどの変調信号に変化され、さらに、所望の搬送波周波数に変換・増幅される。一方、受信信号はアンテナ106、アンテナ共用器を経て、復調・復号処理が行なわれ、さらにCRCチェックが行なわれ、誤りがない場合には受信データが出力される。
【0070】
次いで、無線通信装置が本発明に係る無線ネットワーク・システムにおいて通信局として実行する動作について説明する。コーディネータが存在しない無線通信環境において、各通信局は、自己の存在を周辺(すなわち自己の通信範囲内)に知らせたりする目的で、周期的にビーコンを送信する。各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域として獲得することができる。
【0071】
ビーコンの送信で区切られる期間を「スーパーフレーム周期」と呼ぶ。本実施形態では、通信局におけるビーコンの送信周期を40ミリ秒に設定し、40ミリ秒毎にビーコンを送信するものとするが、スーパーフレーム周期を40ミリ秒に限定している訳ではない。スーパーフレーム周期はスロットに分割され、スロット単位でアクセスが管理される。各通信局に与えられる優先利用領域は「優先スロット」と呼ばれる。
【0072】
本実施形態に係る各通信局のビーコン送信手順について、図2を参照しながら説明する。
【0073】
ビーコンで送信される情報が100バイトであるとすると、送信に要する時間は18マイクロ秒となる。40ミリ秒に1回の送信なので、通信局毎のビーコンのメディア占有率は2222分の1と十分小さい。
【0074】
各通信局STAは、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
【0075】
周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は40ミリ秒である(前述)。図2の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコン信号を示している。
【0076】
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に自己の優先スロットを獲得することから、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0077】
例えば、図2の最上段に示すように、通信局01のみが存在するネットワーク状態において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図2の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコン信号の送信を開始する。
【0078】
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図2の第3段に示すように、通信局01及び通信局02のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
【0079】
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図2の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
【0080】
但し、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないように、ミニマムのビーコン間隔Bminを規定しておく。例えば、ミニマムのビーコン間隔Bminを625マイクロ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で64台の通信局までしか収容できないことになる。
【0081】
図3には、ビーコン送信タイミングの一例を示している。但し、同図に示す例では、40ミリ秒からなるスーパーフレーム周期における時間の経過を、円環上で時針が右回りで運針する時計のように表している。
【0082】
図3に示す例では、通信局0から通信局Fまでの合計16台の通信局がネットワークのノードとして構成されている。図2を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを5ミリ秒と規定した場合には、これ以上の通信局は該ネットワークに参入できない。上述したような処理手順で各通信局のビーコンを配置しビーコンの送信を開始するフェーズを、以下では「ステップ1」と呼ぶことにする。ビーコン送信位置決定の詳細な手順については、後述に譲る。
【0083】
本実施形態に係る無線ネットワークでは、基本的には従来と同様にCSMAに基づくアクセス手順を採用し、送信前にメディアがクリアであることを確認した後に送信を行なうことを想定している。但し、各通信局は、近隣の他の通信局に事故の存在を知らしめるためのビーコン信号を送出した後、優先的に情報伝送を行なうことができる優先スロットが確保される。各通信局は、送信データがない場合などに、自己の優先スロットを解放したり、他の通信局に貸し出したりすることができるが、その詳細な手順については後述に譲る。
【0084】
IEEE802.11方式などの場合と同様に、本実施形態においても複数のパケット間隔を定義する。ここでのパケット間隔の定義を、図13を参照して説明する。ここでのパケット間隔は、Short Inter Frame Space(SIFS) とLong Inter Frame Space(LIFS)を定義する。プライオリティが与えられたパケットに限りSIFSのパケット間隔で送信を許容し、それ以外のパケットはLIFS+ランダムに値を得るランダム・バックオフのパケット間隔だけメディアがクリアであることを確認した後に送信を許容する。ランダム・バックオフ値の計算方法は既存技術で知られている方法を適用する。
【0085】
さらに本実施形態においては、上述したパケット間隔である「SIFS」と「LIFS+バックオフ」の他、「LIFS」と「FIFS+バックオフ」(FIFS:Far Inter Frame Space)を定義する。通常は「SIFS」と「LIFS+バックオフ」のパケット間隔を適用するが、ある通信局に送信の優先権が与えられている時間帯においては、他局は「FIFS+バックオフ」のパケット間隔を用い、優先権が与えられている局はSIFSあるいはLIFSでのパケット間隔を用いるというものである。
【0086】
各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えられる。図14には、ビーコン送信局に優先権すなわち優先スロットが与えられる様子を示している。この優先スロットの区間をTransmission Guaranteed Period(TGP)と定義する。また、TGP以外の区間をFairly Access Period(FAP)と定義する。図6には、スーパーフレーム周期の構成を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTGPが割り当てられ、TGPの長さ分だけ時間が経過するとFAP になり、次の通信局からのビーコンの送信でFAPが終わる。なお、ここではビーコンの送信直後からTGPが開始する例を示したが、これには限定されるものではなく、例えば、ビーコンの送信時刻から相対位置(時刻)でTGPの開始時刻を設定してもよい。
【0087】
ここで、パケット間隔について再度考察すると、下記のようになる。各通信局は、FAPにおいてはLIFS+バックオフの間隔での送信を行なう。また、ビーコン並び自局のTGP内でのパケットの送信に関しては、SIFS間隔での送信を許容する。また、自局のTGP内でのパケットの送信に関してはLIFSの間隔での送信をも許容する。さらに、他局のTGP内でのパケットの送信に関してはFIFS+バックオフの間隔での送信とするということになる。IEEE802.11方式においては、常にパケット間隔としてFIFS+バックオフがとられていたが、本例の構成によれば、この間隔を詰めることができて、より効果的なパケット伝送が可能となる。
【0088】
上記では、TGP中の通信局にのみ優先送信権が与えられるという説明を行なったが、TGP中の通信局に呼び出された通信局にも優先送信権利を与える。基本的にTGPにおいては、送信を優先するが、自通信局内に送信するものはないが、他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることが分かっている場合には、その「他局」宛てにページング(Paging)メッセージあるいはポーリング(Polling)メッセージを投げたりしてもよい。
【0089】
逆に、ビーコンを送信したものの、自局には何も送信するものがない場合でかつ他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることを知らない場合、このような通信局は、何もせず、TGPで与えられた送信優先権を放棄し、何も送信しない。すると、LIFS+バックオフあるいはFIFS+バックオフ経過後に他局がこの時間帯でも送信を開始する。
【0090】
図6に示したようにビーコンの直後にTGPが続くという構成を考慮すると、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0091】
図7には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワーク・システムにおけるパケット・フォーマットの構成例を示している。
【0092】
パケットの先頭には、パケットの存在を知らしめる目的で、ユニーク・ワードで構成されるプリアンブルが付加されている。
【0093】
プリアンブルの直後に送信されるヘディング領域には、このパケットの属性、長さ、送信電力、またPHYがマルチ伝送レートモードならペイロード部伝送レートが格納されている。ヘディング領域は、ペイロード部に比べ所要SNR(信号対ノイズ比)が数dB程度低くて済むように伝送速度を落とす。このヘディング領域は、いわゆるMACヘッダとは相違する。図示の例では、MACヘッダはペイロード部に含まれている。
【0094】
ペイロード部は、PSDU(PHY Service Data Unit)と示されている部分であり、制御信号や情報を含むベアラビット列が格納される。PSDUは、MACヘッダとMSDU(MAC Service Data Unit)により構成されており、通信プロトコルの上位レイヤから渡されたデータ列がMSDU部に格納される。
【0095】
以下では、説明を具体的に行なうために、プリアンブルの長さは8マイクロ秒であり、ペイロード部のビットレートは100Mbpsで伝送され、ヘディング領域は3バイトで構成され12Mbpsで伝送される場合を想定する。すなわち、1つのPSDUを送受信する際には、10マイクロ秒(プリアンブル8マイクロ秒+ヘディング2マイクロ秒)のオーバーヘッドが生じている。
【0096】
図8には、ビーコン信号フォーマットの構成例を示している。同図に示すように、ビーコン信号は、当該信号の存在を知らしめるためのプリアンブルに、ヘディング、ペイロード部PSDUが続いている。ヘディング領域において、該パケットがビーコンである旨を示す情報が掲載されている。また、PSDU内にはビーコンで報知したい以下の情報が記載されている。
【0097】
TX.ADDR:送信局(TX)のMAC アドレス
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
【0098】
TIMとは、現在この通信局がどの通信局宛てに情報を有しているかの報知情報であり、TIMを参照することにより、受信局は自分が受信を行なわなければならないことを認識することができる。また、Pagingは、TIMに掲載されている受信局のうち、直後のTGP において送信を予定していることを示すフィールドであり、このフィールドで指定された通信局はTGPでの受信に備えなければならない。また、その他のフィールド(ETCフィールド)も用意されている。
【0099】
NBOIは、近隣の通信局のビーコン配置を記述した情報である。本実施形態では、スーパーフレーム周期内に最大16個のビーコンを配置することができることから、NBOIを各ビーコン位置に相当する16ビット長のフィールドとして構成し、受信できたビーコンの配置に関する情報をビットマップ形式で記述する。そして、自局のビーコン送信タイミングを基準として、各通信局からのビーコン受信タイミングの相対位置に対応するビットに1を書き込み、ビーコンを受信しないタイミングの相対位置に対応するビット位置は0のままとする。
【0100】
図9には、NBOIの記述例を示している。同図に示す例では、図3に示した通信局0が、「通信局1並びに通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えるNBOIフィールドが示されている。受信可能なビーコンの相対位置に対応するビットに関し、ビーコンが受信されている場合にはマーク、受信されていない場合にはスペースを割り当てる。なお、これ以外の目的で、ビーコンが受信されていないタイミングに対応するビットに関してマークを行なうようにしてもよい。
【0101】
本実施形態では、各通信局はお互いのビーコン信号を受信し、その中に含まれるNBOIの記述に基づいてビーコンの衝突を回避することができる。
【0102】
図10には、NBOIの記述に基づいて通信局がビーコンの衝突を回避する様子を示している。同図の各段では、通信局STA0〜STA2の参入状態を表している。そして、各段の左側には各通信局の配置状態を示し、その右側には各局から送信されるビーコンの配置を示している。
【0103】
図10の上段では、通信局STA0のみが存在している場合を示している。このとき、STA0はビーコン受信を試みるが受信されないため、適当なビーコン送信タイミングを設定して、このタイミングの到来に応答してビーコンの送信を開始することができる。ビーコンは40ミリ秒毎に送信されている。このとき、STA0から送信されるビーコンに記載されているNBOIフィールドのすべてのビットが0である。
【0104】
図10の中段には、通信局STA0の通信範囲内でSTA1が参入してきた様子を示している。STA1は、ビーコンの受信を試みるとSTA0のビーコンが受信される。さらに、STA0のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビット以外のビットはすべて0であることから、上記ステップ1に従ってSTA0のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定する。
【0105】
STA1が送信するビーコンのNBOIフィールドは、自局の送信タイミングを示すビットとSTA0からのビーコン受信タイミングを示すビットに1が設定され、それ以外のビットはすべて0である。また、STA0も、STA1からのビーコンを認識すると、NBOIフィールドの該当するビット位置に1を設定する。
【0106】
図10の最下段には、さらにその後、通信局STA1の通信範囲にSTA2が参入してきた様子を示している。図示の例では、STA0はSTA2にとって隠れ端末となっている。このため、STA2は、STA1がSTA0からのビーコンを受信していることを認識できず、右側に示すように、STA0と同じタイミングでビーコンを送信し衝突が生じてしまう可能性がある。
【0107】
NBOIフィールドはこの現象を回避するために用いられる。まず、STA1のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビットに加え、STA0がビーコンを送信しているタイミングを示すビットにも1が設定されている。そこで、STA2は、STA0が送信するビーコンを直接受信はできないが、STA0がビーコンを送信するタイミングをSTA1から受信したビーコンに基づいて認識し、このタイミングでのビーコン送信を避ける。そして、図11に示すように、このときSTA2は、STA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中にビーコン送信タイミングを定める。勿論、STA2の送信ビーコン中のNBOIでは、STA2とSTA1のビーコン送信タイミングを示すビットを1に設定する。
【0108】
上述したようなNBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0109】
このように、本実施形態に係る無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、他の通信局に自己の存在を知らしめるとともにネットワーク構成を通知することができ、新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読して、既存のビーコン信号との衝突を避けてビーコン送出することにより新たなネットワークを構築することができる。
【0110】
さらに、本実施形態では各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先スロットを獲得することができる。
【0111】
ここで、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先スロットを均等に与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0112】
これらシンク機器にとっては、優先スロットの利用価値は低いものとなる。そこで、本発明では、自局に割り当てられたスロットを使用していない場合には、そのスロットを必要とする他局に貸し出すようにした。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0113】
シンク機器のように送信データがあまりない通信局は、自己の優先スロットを有手順あるいは無手順で他の局に譲ることができる。
【0114】
有手順による優先スロットの貸し出し:
まず、有手順により優先スロットの貸し出しを行なう実施形態について、図12を参照しながら説明する。
【0115】
同図に示す例では、優先スロットの貸し出し元となるA局は、自己の送信ビーコンで、自局の持つ優先スロットが貸し出し可能な状態にあるかどうかの告知を行なう。ビーコンに掲載する情報として、貸し出し先の機器を掲載するようにしてもよい。例えば、A局がディスプレイなどのAVデータの出力ターゲットである場合には、TVチューナーやビデオ録画再生機などと接続することが多いことから、これらソースとシンクの関係にある機器に対して優先的に優先スロットを貸し出しなどの情報を掲載するようにしてもよい。
【0116】
図13には、この実施形態において使用されるビーコン信号の構成例を示している。図示の通り、既存のビーコン情報(図8を参照のこと)に対して、優先スロットの貸し出しの有無、優先スロットの返却要求、優先スロットの貸し出し対象をそれぞれ示すための追加フィールドが配設されている。
【0117】
優先スロット貸し出しフィールドに1が書き込まれている場合は、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。また、優先スロット返却要求フィールドに0が書き込まれている場合には、優先スロットの返却が未だ不要であることを示す。
【0118】
優先スロットの貸し出しを許可する旨が記述されたA局からのビーコン信号を、その周囲のB局並びにC局が受信することができたとする。そして、B局並びにC局がともに、送信データ量が大きく、自局だけでなく他局の優先スロットを使用したい場合には、A局に対して優先スロットの貸し出し要求コマンドを発行する。
【0119】
A局は、優先スロットの貸し出し要求コマンドを受信したら、貸し出し対象としての優先順位(ソースとシンクの関係など)、あるいは要求コマンドの先着順に従い、優先スロットの貸し出し先を決定し、優先スロット貸し出し許可コマンドを、各要求コマンドの送信元に返信する。
【0120】
図14には、優先スロットの貸し出し要求コマンド並びに優先スロット貸し出し許可コマンドの構成例を示している。同図に示す例では、コマンドは、貸し出し開始時間と、貸し出し期間と、返却周期又は返却期間と、ノードIDを書き込むフィールドがそれぞれ設けられている。
【0121】
貸し出し開始時間は、優先スロットの貸し出しを開始する時間が、例えば何スーパーフレーム周期後からという形式で記載される。また、貸し出し期間は、優先スロットを貸し出している期間が、例えば何スーパーフレーム周期分という形式で記述される。
【0122】
返却周期又は返却期間は、優先スロットを定期的に返却する周期と期間が記述される。例えば、5/1であれば、5スーパーフレーム周期に1回だけ優先スロットを返却する(図15を参照のこと)。また、0/0であればビーコンにより返却周期又は返却期間が逐次指示される。
【0123】
ノードIDは、端末を特定できる情報であれば特に限定されず、例えばランダムな数値であってもよい。
【0124】
図13に示す例では、A局は、B局に対して優先スロットの貸し出しを許可する。この結果、優先スロットの貸し出し要求元であるB局は、自局の優先スロット(図示しない)以外に、A局の優先スロットを利用して送信を行なうことができる。また、優先スロットの他の貸し出し要求元であるC局は、A局から許可が得られなかったため、A局の優先スロットを利用して送信を行なうことができない。
【0125】
このような優先スロットの貸し出し手続きが完了すると、以後、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットの貸し出しが許可されないことを示す。また、B局に対して優先スロットの返却が不要である期間は、優先スロット返却要求フィールドに0を書き込み続ける。B局は、A局からのビーコン信号の優先スロット返却要求フィールドに0が書き込まれていることにより、A局の優先スロットを利用し続ける。
【0126】
優先スロットの返却手続:
一方、他局に優先スロットを貸し出している期間内に自局が優先スロットを使用したくなった場合のことを考慮し、優先スロットを使用している局に対して優先スロットの返却を要求できる機構が必要である。
【0127】
図12に示す例では、A局は、自ら優先スロットを利用する必要が生じた場合には、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットの貸し出しが許可されないことを示すとともに、優先スロット返却要求フィールドに1を書き込んで、優先スロットの返却を促す。これに対し、優先スロットの貸出先であるB局は、優先スロットの返却する必要があることを認識し、A局の優先スロットの利用を停止する。そして、A局は、自己の優先スロットを取り戻し、これを利用してデータ送信を行なう。
【0128】
以後、A局は、自己の優先スロットを利用する必要がある期間は、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、優先スロットの貸し出しが不可であることを周囲の局に通知する。
【0129】
無手順による優先スロットの貸し出し:
次に、無手順により優先スロットの貸し出しを行なう実施形態について、図16を参照しながら説明する。この場合、優先スロットを貸し出すというよりも、むしろ優先スロットの使用を放棄するという方法に近い。図12に示した有手順による優先スロットの貸し出しの場合に比し、通信局間でのネゴシエーションを行なう手間を省略することができるというメリットがある。
【0130】
同図に示す例では、優先スロットの貸し出し元となるA局は、自己の送信ビーコンで、自局の持つ優先スロットを放棄する旨の告知を行なう。図13に示したようなビーコンのフレーム構成を採用する場合、優先スロット貸し出しフィールドに、優先スロットの放棄を示す2が書き込まれる。
【0131】
優先スロットの放棄を示す旨が記述されたA局からのビーコン信号を、その周囲のB局並びにC局が受信することができたとする。そして、B局並びにC局がともに、送信データ量が大きく、自局だけでなく他局の優先スロットを使用したい場合には、これらの通信局間では、例えばCSMA/CAなどのランダム・アクセス方式により放棄された優先スロットの獲得が行なわれる。
【0132】
図示の例では、A局の優先スロット内で先にデータ送信を開始したB局が優先スロットを獲得している。この場合、優先スロットの元の持ち主であるA局との間で優先スロットの貸し出し要求コマンドやこれに対する貸し出し許可コマンドの交換などのネゴシエーションを行なう必要はない。
【0133】
A局は、自己の優先スロットを放棄し続ける期間は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに2を書き込むとともに、優先スロット返却要求フィールドに0を書き込んで、放棄している旨を告知し続ける。放棄された優先スロットは、このビーコン信号を受信した周囲の通信局の間でCSMA/CAなどのランダム・アクセス手続により利用される。
【0134】
他の局が放棄した優先スロットを利用する通信局は、この優先スロット内でデータ送信が完了すると、優先スロットを解放する。したがって、1つの優先スロットを2以上の通信局が時分割で共用することもできる。図16にしめすれいでは、2番目のスーパーフレーム周期において、A局が放棄した有線スロットを、C局に続いてB局が使用している。
【0135】
その後、A局は、自ら優先スロットを利用する必要が生じた場合には、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットを放棄しないことを告知する。このビーコン信号を受信した周囲の通信局は、優先スロットの貸し出し(放棄)が行なわれないことを認識し、A局の優先スロットの利用を差し控えるようにする。
【0136】
優先スロットの返還:
他の局の優先スロットを借り入れた通信局は、貸し出しのネゴシエーション時に設定された貸し出し期間の終了が到来したときに、優先スロットの返還を行なう。また、貸し出し期間が終了する以前に、送信データがなくなったときには、帯域の有効利用のため、優先スロットの使用を自発的に完了し、優先スロットの解放を行なう。
【0137】
図17には、A局から貸し出された優先スロットを使用するB局が、優先スロットを返却する動作を示している。
【0138】
同図の左側では、貸し出しのネゴシエーション時に設定された貸し出し期間の終了が到来したことに応答して、B局が優先スロットの返還を行なっている。この時点で、A局はまだ優先スロットを貸し出すことができる場合には、自己のビーコン信号の優先スロット貸し出しフィールドに1を書き込んで、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。
【0139】
また、同図の右側には、B局が、データ送信が完了したことに応答して、優先スロットの返還を行なっている。この場合、B局は、例えば優先スロット使用完了コマンドをA局に送信するなどして、優先スロットを返還する旨を明示する。この時点で、A局はまだ優先スロットを貸し出すことができる場合には、自己のビーコン信号の優先スロット貸し出しフィールドに1を書き込んで、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。
【0140】
無線通信装置の優先スロット貸し出し動作手順:
図18には、無線通信装置による優先スロットの貸し出し動作の手順を示している。
【0141】
通信プロトコルの上位層から優先スロットの貸し出し許可の指示が行なわれた場合(ステップS1)、さらにデータ・バッファ102内に送信データが蓄積されていないかどうかを判別する(ステップS2)。
【0142】
ここで、送信データがない場合には、優先スロットの貸し出しを許可する旨のビーコン情報を生成し、所定のビーコン送信タイミングで送出する(ステップS3)。
【0143】
一方、通信プロトコルの上位層から優先スロットの貸し出しが許可されなかった場合(ステップS1)、あるいは、未送信の送信データがデータ・バッファ102内に残っている場合には(ステップS2)、優先スロットの貸し出しを許可しない旨のビーコン情報を生成し、所定のビーコン送信タイミングで送出する(ステップS4)。
【0144】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0145】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、制御局となる装置を特に配置しないアドホック通信環境下で効率よくデータ伝送を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0146】
また、本発明によれば、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において帯域を保証したデータ伝送を効率的に行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0147】
また、本発明によれば、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において、送信データ量に応じて効率的に通信帯域を割り当てることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0148】
本発明に係る無線通信システムにおいては、各通信局はビーコン情報を報知することにより、自律分散的に通信動作を行なうとともに、ビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得する。さらに、自局に割り当てられたスロットを使用していない場合には、そのスロットを必要とする他局に貸し出すことで、通信帯域の効率的な利用とスループットの向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図2】各通信局のビーコン送信手順を説明するための図である。
【図3】ビーコン送信タイミングの一例を示した図である。
【図4】パケット間隔の規定を示した図である。
【図5】ビーコンを送信した局に送信優先権が与えられる様子を示した図である。
【図6】スーパーフレーム周期内の送信優先区間と競合送信区間を示した図である。
【図7】パケット・フォーマットの構成例を示した図である。
【図8】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図9】NBOIの記述例を示した図である。
【図10】NBOIを利用してビーコンの衝突を回避する仕組みを説明するための図である。
【図11】新規参入した通信局STA2のビーコン送信タイミングをSTA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中に定める様子を示した図である。
【図12】通信局が有手順により優先スロットの貸し出しを行なう動作を示した図である。
【図13】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図14】優先スロットの貸し出し要求コマンド並びに優先スロット貸し出し許可コマンドの構成例を示した図である。
【図15】優先スロットを周期的に返却する様子を示した図である。
【図16】通信局が無手順により優先スロットの貸し出しを行なう動作を示した図である。
【図17】優先スロットの返還を行なう動作を示した図である。
【図18】無線通信装置による優先スロットの貸し出し動作の手順を示した図である。
【図19】インフラ・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図20】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図21】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【符号の説明】
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…無線送信部
105…タイミング制御部
106…アンテナ
107…無線受信部
110…ビーコン生成部
111…ビーコン解析部
112…情報記憶部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、端末同士が非同期で直接通信(ランダム・アクセス)を行なうことにより無線ネットワークが運営される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、制御局となる装置を特に配置しないアドホック(Ad−hoc)通信環境下で効率よくデータ伝送を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、アドホック通信環境下において各通信局に効率よく通信帯域を割り当てる無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
複数のコンピュータを接続してLANを構成することにより、ファイルやデータなどの情報の共有化、プリンタなどの周辺機器の共有化を図ったり、電子メールやデータ・コンテンツの転送などの情報の交換を行なったりすることができる。従来は有線でLAN接続することが一般的であったが、この場合、回線敷設工事が必要であり、手軽にネットワークを構築することが難しく、LAN構築後も、機器の移動範囲がケーブル長によって制限されるため、不便であった。
【0004】
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入の検討が行なわれている。
【0005】
例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システムが規定されている。無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute ofElectrical and Electronics Engineers)802.11やIEEE802.15.3を挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格…などの各種無線通信方式が存在する。
【0006】
また、最近では、「ウルトラ・ワイド・バンド(UWB)通信」と呼ばれる、きわめて微弱なインパルス列に情報を載せて無線通信を行なう方式が、近距離超高速伝送を実現する無線通信システムとして注目され、その実用化が期待されている。
【0007】
UWB伝送方式には、DSの情報信号の拡散速度を極限まで高くしたDS−UWB方式と、数100ピコ秒程度の非常に短い周期のインパルス信号列を用いて情報信号を構成して、この信号列の送受信を行なうインパルス−UWB方式など、様々な物理的信号形式の利用が検討されている。いずれの方式も例えば3GHzから10GHzという超高帯域な周波数帯域を利用し、この周波数帯域内に例えば拡散処理をして送受信を行なうことにより高速データ伝送を実現する。その占有帯域幅は、占有帯域幅をその中心周波数(例えば1GHz〜10GHz)で割った値がほぼ1になるようなGHzオーダの帯域であり、いわゆるW−CDMAやcdma2000方式、並びにSS(Spread Spectrum)やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた無線LANにおいて通常使用される帯域幅と比較しても超広帯域なものとなっている。
【0008】
例えば、IEEE802.15.3の標準化作業において、例えばウルトラ・ワイド・バンド無線通信を行なう無線通信装置の間でピコネットを形成して通信を行なう方法が規格化されつつある。
【0009】
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
【0010】
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約し、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
【0011】
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
【0012】
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
【0013】
ここで、IEEE802.11を例にとって、従来の無線ネットワーキングの詳細について説明する。
【0014】
IEEE802.11におけるネットワーキングは、BSS(Basic Service Set)の概念に基づいている。BSSは、AP(Access Point:制御局)のようなマスタが存在するインフラ・モードで定義されるBSSと、複数のMT(Mobile Terminal:移動局)のみにより構成されるアドホック・モードで定義されるIBSS(IndependentBSS)の2種類で構成される。
【0015】
インフラ・モード:
インフラ・モード時のIEEE802.11の動作について、図19を参照しながら説明する。インフラ・モードのBSSにおいては、無線通信システム内にコーディネイションを行なうアクセス・ポイントが必須である。
【0016】
アクセス・ポイントは、自局周辺で電波の到達する範囲をBSSと1つにまとめ、いわゆるセルラ・システムで言うところの「セル」を構成する。アクセス・ポイント近隣に存在する移動局は、アクセス・ポイントに収容され、BSSのメンバとしてネットワークに参入する。すなわち、アクセス・ポイントは適当な時間間隔でビーコンと呼ばれる制御信号を送信し、このビーコンを受信可能である移動局はアクセス・ポイントが近隣に存在することを認識し、さらにアクセス・ポイントとの間でコネクション確立を行なう。
【0017】
図19に示す例では、通信局STA0がアクセス・ポイントとして動作し、他の通信局STA1並びSTA2が移動局として動作している。ここで、アクセス・ポイントとしての通信局STA0は、同図右側のチャートに記したように、一定の時間間隔でビーコン(Beacon)を送信する。次回のビーコンの送信時刻は、ターゲット・ビーコン送信時刻(TBTT:Target Beacon Transmit Time)というパラメータの形式によりビーコン内で報知されている。そして、時刻がTBTTに到来すると、アクセス・ポイントはビーコン送信手順を動作させている。
【0018】
また、アクセス・ポイント周辺の移動局は、ビーコンを受信することにより、内部のTBTTフィールドをデコードすることにより次回のビーコン送信時刻を認識することが可能であるから、場合によっては(受信の必要がない場合には)、次回あるいは複数回先のTBTTまで受信機の電源を落としスリープ状態に入ることもある。
【0019】
アドホック・モード:
アドホック・モード時のIEEE802.11の動作について、図20並びに図21を参照しながら説明する。
【0020】
アドホック・モードのIBSSにおいては、移動局は複数の移動局同士でネゴシエーションを行なった後に自律的にIBSSを定義する。IBSSが定義されると、移動局群は、ネゴシエーションの末に、一定間隔毎にTBTTを定める。各移動局は自局内のクロックを参照することによりTBTTが到来したことを認識すると、ランダム時間の遅延の後、未だ誰もビーコンを送信していないと認識した場合にはビーコンを送信する。
【0021】
図20に示すでは、2台の移動局がIBBSを構成する様子を示している。この場合、ビーコンはIBSSに属するいずれか一方の移動局が、TBTTが訪れる毎にビーコンを送信することになる。また、ビーコンが衝突する場合も存在している。
【0022】
また、IBSSにおいても、移動局は必要に応じて送受信機の電源を落とすスリープ状態に移行することがある。図21には、この場合の信号送受信手順について示している。
【0023】
IEEE802.11においては、IBSSでスリープ・モードが適用されている場合には、TBTTからしばらくの時間帯がATIM(Announcement Traffic Indication Message) ウィンドウとして定義されている。ATIMウィンドウの時間帯は、IBSSに属するすべての移動局は受信処理を動作させている。この時間帯であれば、基本的にはスリープ・モードで動作している移動局も受信が可能である。
【0024】
各移動局は、自局が誰か宛ての情報を有している場合には、このATIMウィンドウの時間帯においてビーコンが送信された後に、上記の誰か宛にATIMパケットを送信することにより、自局が上記の誰か宛ての情報を保持していることを受信側に通達する。ATIMパケットを受信した移動局は、ATIMパケットを送信した局からの受信が終了するまで、受信機を動作させておく。
【0025】
図21に示す例では、STA1、STA2、STA3の3台の移動局がIBSS内に存在している。同図において、TBTTに到来すると、STA1、STA2、STA3の各移動局は、ランダム時間にわたりメディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA1のタイマが最も早期に消滅し、STA1がビーコンを送信した場合を示している。STA1がビーコンを送信したため、これを受信したSTA2並びにSTA3はビーコンを送信しない。
【0026】
また、図21に示す例では、STA1がSTA2宛ての送信情報を保持しており、且つ、STA2がSTA3への送信情報を保持している。このとき、STA1とSTA2は、ビーコンを送信/受信した後に、再度ランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。図示の例では、STA2のタイマが先に消滅したため、まずSTA2からATIMメッセージがSTA3に宛てて送信される。STA3は、ATIMメッセージを受信すると、受信した旨をACK(Acknowledge)パケットを送信することによりSTA2にフィードバックする。STA3からのACKが送信し終えると、STA1はさらにランダム時間にわたり各々メディア状態を監視しながらバックオフのタイマを動作させる。そして、タイマが消滅すると、STA1はATIMパケットをSTA2に宛てて送信する。STA2はこれを受信した旨のACKパケットを返送することによりSTA1にフィードバックする。
【0027】
これらATIMパケットとACKパケットのやりとりがATIMウィンドウ内で行なわれると、その後の区間においても、STA3はSTA2からの情報を受信するために受信機を動作させ、STA2はSTA1からの情報を受信するために受信機を動作させる。
【0028】
上記の手順において、ATIMウィンドウ内でATIMパケットを受信しない、又は誰宛ての送信情報も保持していない通信局は、次のTBTTまで送受信機の電源を落とし、消費電力を削減することが可能となる。
【0029】
ところで、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器が普及し、オフィス内に多数の機器が混在する作業環境下では、通信局が散乱し、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。このような状況下では、端末同士の通信が競合しないようにアクセス制御が必要とされている。
【0030】
通信要求がランダム的でバースト性の高いパケット通信などでは、複数の端末局が同一の周波数チャネルを共有するチャネル共有方式が多く採用されている。このチャネル共有方式では、端末局からの通信要求がランダム的に行なわれるため、複数の端末局からの信号が衝突するという事態が起き易く、通信品質を劣化させてしまう。衝突を回避するための方法として、比較的単純なメカニズムで構成することができるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:キャリア検出多重接続/衝突回避)方式が幅広く採用されている。上述したアドホック通信システムにおいても、自己の送信型の送信を衝突しないことを検出するためにCSMA/CAに基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送する方式が適用される。
【0031】
他方、一定間隔で定期的にデータを送る必要がある動画などのように、等時性、時間的に連続性を持つデータを転送するためには、帯域を保証する必要がある。このような場合、ネットワークを構成する各通信局に対し、送受信を優先させる時間間隔を与えることにより帯域を保証することができる。
【0032】
しかしながら、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先的な送信権を与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0033】
例えば、通信品質を維持するために、スロット割り当てにより非競合アクセスを行なうことがあるが、各局に割り当てたスロットの予約を解除することにより(例えば、特許文献1を参照のこと)、優先的な送受信権を与えることに伴う通信帯域の使用効率の問題を解決することができる。
【0034】
しかしながら、この場合、基地局が移動局に割り当てたスロットの使用状況を監視し、使用率がある閾値以下である場合には、予約を解除するといったもので、予約スロットを解除するまでに時間を要する。
【0035】
また、基地局のように移動局を集中して管理するような局が必要であることから、アドホック・ネットワークのような自律分散型のシステムでは適応が困難である。
【0036】
【特許文献1】
特開平10−135928号公報
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、制御局となる装置を特に配置しないアドホック通信環境下で効率よくデータ伝送を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0038】
本発明のさらなる目的は、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において帯域を保証したデータ伝送を効率的に行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0039】
本発明のさらなる目的は、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において、送信データ量に応じて各通信局に効率的に通信帯域を割り当てることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づくネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定のフレーム周期でビーコンを送出した後、自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得するとともに、該優先スロットを他の局に割り当てることができる、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0041】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0042】
本発明に係る無線通信システムにおいては、コーディネータを特に配置しない。各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0043】
周辺に通信局がいない場合、通信局は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得することから、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれる。
【0044】
各通信局は、自己のビーコン受信タイミングをビーコン中の近隣ビーコン情報フィールドに記載し、自己のビーコン受信タイミングと受信ビーコン中の近隣ビーコン情報フィールド(NBOI:Neighboring Beacon Offset Information)の記載に基づいてフレーム周期内で近隣に存在する通信局のビーコン配置に関する隣接局リストを作成してネットワークを管理する。
【0045】
NBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0046】
ここで、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先的な送信権を与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0047】
そこで、本発明に係る無線通信システムでは、各通信局は、自局に割り当てられた優先スロットを使用していない場合、すなわち、通信プロトコルの上位層からの許可に応じて、あるいは送信データがバッファリングされていないことに応じて、自局の優先スロットを必要とする他局に貸し出すようにした。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0048】
また、通信局は、自己の送信データが発生したときには、他局に貸し出したスロットを取り戻すようにしてもよい。また、さらに他の局からスロットを借り入れるようにしてもよい。そして、貸し出した元の局からスロットの返却要求があったとき、あるいは、その後送信データがなくたったときには、借り入れたスロットを解放するようにしてもよい。
【0049】
また、本発明の第2の側面は、特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下で、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する優先スロット獲得ステップと、
自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる優先スロット貸し出しステップと、
他の局の優先スロットを使用する優先スロット借り入れステップと、を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0050】
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数台起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0053】
本発明において想定している通信の伝播路は無線であり、且つ単一の伝送媒体(周波数チャネルによりリンクが分離されていない場合)を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。但し、複数の周波数チャネルが伝送媒体として存在する場合であっても、同様に本発明の効果を奏することができる。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
【0054】
本発明に係る無線ネットワーク・システムは、コーディネータを配置しないシステム構成であり、各通信局は、基本的にはCSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリア検出多重接続)に基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信などを行なう。
【0055】
このようにコーディネータを特に配置しない無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、他の通信局からのビーコン信号を受信することにより、その通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。
【0056】
以下に説明する各通信局での処理は、基本的にネットワークに参入する全通信局で実行される処理である。但し、場合によっては、ネットワークを構成するすべての通信局が、以下に説明する処理を実行するとは限らない。
【0057】
図1には、本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示している。
【0058】
同図に示す無線通信装置では、この無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、無線送信部104と、タイミング制御部105と、アンテナ106と、無線受信部107と、ビーコン生成部110と、ビーコン解析部111と、情報記憶部112とで構成される。
【0059】
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
【0060】
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
【0061】
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御を一元的に行なう。
【0062】
無線送信部104は、データ・バッファ102に一時格納されているデータやビーコンを無線送信するために、例えばウルトラ・ワイド・バンド信号として変調処理する。
【0063】
タイミング制御部105は、ウルトラ・ワイド・バンド信号を送信並びに受信処理するためのタイミングの制御を行なう。例えば、既に獲得した優先スロット領域や、自己のビーコン送信タイミング、他の通信装置からのビーコン受信タイミングなどを制御する。
【0064】
アンテナ106は、他の無線通信装置宛に信号を無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。
【0065】
無線受信部107は、所定の時間に他の無線通信装置から送られてきた情報やビーコンなどの信号を受信処理する。
【0066】
ビーコン生成部110は、近隣にある無線通信装置との間で周期的に交換されるビーコン信号を生成する。
【0067】
ビーコン解析部111は、受信できた他の無線通信装置のビーコン信号を解析し、無線ネットワークの構成や自己のデータ送受信タイミングを把握する。
【0068】
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令や、ビーコン解析により得られたネットワーク構成情報を蓄えておく。
【0069】
データ送信時には、データ・バッファ102に蓄積されている送信データにヘッダやCRC(Cycric Redundancy Code)などが付加された後、無線送信部104において符号化・変調処理が施された後、アンテナ共用器(図示しない)を経て、アンテナ106から送信信号が送出される。符号化時には誤り訂正符号が施される。また、変調によりBPSK、QPSK、QAMなどの変調信号に変化され、さらに、所望の搬送波周波数に変換・増幅される。一方、受信信号はアンテナ106、アンテナ共用器を経て、復調・復号処理が行なわれ、さらにCRCチェックが行なわれ、誤りがない場合には受信データが出力される。
【0070】
次いで、無線通信装置が本発明に係る無線ネットワーク・システムにおいて通信局として実行する動作について説明する。コーディネータが存在しない無線通信環境において、各通信局は、自己の存在を周辺(すなわち自己の通信範囲内)に知らせたりする目的で、周期的にビーコンを送信する。各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先利用領域として獲得することができる。
【0071】
ビーコンの送信で区切られる期間を「スーパーフレーム周期」と呼ぶ。本実施形態では、通信局におけるビーコンの送信周期を40ミリ秒に設定し、40ミリ秒毎にビーコンを送信するものとするが、スーパーフレーム周期を40ミリ秒に限定している訳ではない。スーパーフレーム周期はスロットに分割され、スロット単位でアクセスが管理される。各通信局に与えられる優先利用領域は「優先スロット」と呼ばれる。
【0072】
本実施形態に係る各通信局のビーコン送信手順について、図2を参照しながら説明する。
【0073】
ビーコンで送信される情報が100バイトであるとすると、送信に要する時間は18マイクロ秒となる。40ミリ秒に1回の送信なので、通信局毎のビーコンのメディア占有率は2222分の1と十分小さい。
【0074】
各通信局STAは、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
【0075】
周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は40ミリ秒である(前述)。図2の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコン信号を示している。
【0076】
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に自己の優先スロットを獲得することから、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0077】
例えば、図2の最上段に示すように、通信局01のみが存在するネットワーク状態において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図2の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコン信号の送信を開始する。
【0078】
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図2の第3段に示すように、通信局01及び通信局02のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
【0079】
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図2の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04のビーコン間隔においてほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
【0080】
但し、帯域(スーパーフレーム周期)内がビーコンで溢れないように、ミニマムのビーコン間隔Bminを規定しておく。例えば、ミニマムのビーコン間隔Bminを625マイクロ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で64台の通信局までしか収容できないことになる。
【0081】
図3には、ビーコン送信タイミングの一例を示している。但し、同図に示す例では、40ミリ秒からなるスーパーフレーム周期における時間の経過を、円環上で時針が右回りで運針する時計のように表している。
【0082】
図3に示す例では、通信局0から通信局Fまでの合計16台の通信局がネットワークのノードとして構成されている。図2を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを5ミリ秒と規定した場合には、これ以上の通信局は該ネットワークに参入できない。上述したような処理手順で各通信局のビーコンを配置しビーコンの送信を開始するフェーズを、以下では「ステップ1」と呼ぶことにする。ビーコン送信位置決定の詳細な手順については、後述に譲る。
【0083】
本実施形態に係る無線ネットワークでは、基本的には従来と同様にCSMAに基づくアクセス手順を採用し、送信前にメディアがクリアであることを確認した後に送信を行なうことを想定している。但し、各通信局は、近隣の他の通信局に事故の存在を知らしめるためのビーコン信号を送出した後、優先的に情報伝送を行なうことができる優先スロットが確保される。各通信局は、送信データがない場合などに、自己の優先スロットを解放したり、他の通信局に貸し出したりすることができるが、その詳細な手順については後述に譲る。
【0084】
IEEE802.11方式などの場合と同様に、本実施形態においても複数のパケット間隔を定義する。ここでのパケット間隔の定義を、図13を参照して説明する。ここでのパケット間隔は、Short Inter Frame Space(SIFS) とLong Inter Frame Space(LIFS)を定義する。プライオリティが与えられたパケットに限りSIFSのパケット間隔で送信を許容し、それ以外のパケットはLIFS+ランダムに値を得るランダム・バックオフのパケット間隔だけメディアがクリアであることを確認した後に送信を許容する。ランダム・バックオフ値の計算方法は既存技術で知られている方法を適用する。
【0085】
さらに本実施形態においては、上述したパケット間隔である「SIFS」と「LIFS+バックオフ」の他、「LIFS」と「FIFS+バックオフ」(FIFS:Far Inter Frame Space)を定義する。通常は「SIFS」と「LIFS+バックオフ」のパケット間隔を適用するが、ある通信局に送信の優先権が与えられている時間帯においては、他局は「FIFS+バックオフ」のパケット間隔を用い、優先権が与えられている局はSIFSあるいはLIFSでのパケット間隔を用いるというものである。
【0086】
各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えられる。図14には、ビーコン送信局に優先権すなわち優先スロットが与えられる様子を示している。この優先スロットの区間をTransmission Guaranteed Period(TGP)と定義する。また、TGP以外の区間をFairly Access Period(FAP)と定義する。図6には、スーパーフレーム周期の構成を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTGPが割り当てられ、TGPの長さ分だけ時間が経過するとFAP になり、次の通信局からのビーコンの送信でFAPが終わる。なお、ここではビーコンの送信直後からTGPが開始する例を示したが、これには限定されるものではなく、例えば、ビーコンの送信時刻から相対位置(時刻)でTGPの開始時刻を設定してもよい。
【0087】
ここで、パケット間隔について再度考察すると、下記のようになる。各通信局は、FAPにおいてはLIFS+バックオフの間隔での送信を行なう。また、ビーコン並び自局のTGP内でのパケットの送信に関しては、SIFS間隔での送信を許容する。また、自局のTGP内でのパケットの送信に関してはLIFSの間隔での送信をも許容する。さらに、他局のTGP内でのパケットの送信に関してはFIFS+バックオフの間隔での送信とするということになる。IEEE802.11方式においては、常にパケット間隔としてFIFS+バックオフがとられていたが、本例の構成によれば、この間隔を詰めることができて、より効果的なパケット伝送が可能となる。
【0088】
上記では、TGP中の通信局にのみ優先送信権が与えられるという説明を行なったが、TGP中の通信局に呼び出された通信局にも優先送信権利を与える。基本的にTGPにおいては、送信を優先するが、自通信局内に送信するものはないが、他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることが分かっている場合には、その「他局」宛てにページング(Paging)メッセージあるいはポーリング(Polling)メッセージを投げたりしてもよい。
【0089】
逆に、ビーコンを送信したものの、自局には何も送信するものがない場合でかつ他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることを知らない場合、このような通信局は、何もせず、TGPで与えられた送信優先権を放棄し、何も送信しない。すると、LIFS+バックオフあるいはFIFS+バックオフ経過後に他局がこの時間帯でも送信を開始する。
【0090】
図6に示したようにビーコンの直後にTGPが続くという構成を考慮すると、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりもスーパーフレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
【0091】
図7には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワーク・システムにおけるパケット・フォーマットの構成例を示している。
【0092】
パケットの先頭には、パケットの存在を知らしめる目的で、ユニーク・ワードで構成されるプリアンブルが付加されている。
【0093】
プリアンブルの直後に送信されるヘディング領域には、このパケットの属性、長さ、送信電力、またPHYがマルチ伝送レートモードならペイロード部伝送レートが格納されている。ヘディング領域は、ペイロード部に比べ所要SNR(信号対ノイズ比)が数dB程度低くて済むように伝送速度を落とす。このヘディング領域は、いわゆるMACヘッダとは相違する。図示の例では、MACヘッダはペイロード部に含まれている。
【0094】
ペイロード部は、PSDU(PHY Service Data Unit)と示されている部分であり、制御信号や情報を含むベアラビット列が格納される。PSDUは、MACヘッダとMSDU(MAC Service Data Unit)により構成されており、通信プロトコルの上位レイヤから渡されたデータ列がMSDU部に格納される。
【0095】
以下では、説明を具体的に行なうために、プリアンブルの長さは8マイクロ秒であり、ペイロード部のビットレートは100Mbpsで伝送され、ヘディング領域は3バイトで構成され12Mbpsで伝送される場合を想定する。すなわち、1つのPSDUを送受信する際には、10マイクロ秒(プリアンブル8マイクロ秒+ヘディング2マイクロ秒)のオーバーヘッドが生じている。
【0096】
図8には、ビーコン信号フォーマットの構成例を示している。同図に示すように、ビーコン信号は、当該信号の存在を知らしめるためのプリアンブルに、ヘディング、ペイロード部PSDUが続いている。ヘディング領域において、該パケットがビーコンである旨を示す情報が掲載されている。また、PSDU内にはビーコンで報知したい以下の情報が記載されている。
【0097】
TX.ADDR:送信局(TX)のMAC アドレス
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
【0098】
TIMとは、現在この通信局がどの通信局宛てに情報を有しているかの報知情報であり、TIMを参照することにより、受信局は自分が受信を行なわなければならないことを認識することができる。また、Pagingは、TIMに掲載されている受信局のうち、直後のTGP において送信を予定していることを示すフィールドであり、このフィールドで指定された通信局はTGPでの受信に備えなければならない。また、その他のフィールド(ETCフィールド)も用意されている。
【0099】
NBOIは、近隣の通信局のビーコン配置を記述した情報である。本実施形態では、スーパーフレーム周期内に最大16個のビーコンを配置することができることから、NBOIを各ビーコン位置に相当する16ビット長のフィールドとして構成し、受信できたビーコンの配置に関する情報をビットマップ形式で記述する。そして、自局のビーコン送信タイミングを基準として、各通信局からのビーコン受信タイミングの相対位置に対応するビットに1を書き込み、ビーコンを受信しないタイミングの相対位置に対応するビット位置は0のままとする。
【0100】
図9には、NBOIの記述例を示している。同図に示す例では、図3に示した通信局0が、「通信局1並びに通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えるNBOIフィールドが示されている。受信可能なビーコンの相対位置に対応するビットに関し、ビーコンが受信されている場合にはマーク、受信されていない場合にはスペースを割り当てる。なお、これ以外の目的で、ビーコンが受信されていないタイミングに対応するビットに関してマークを行なうようにしてもよい。
【0101】
本実施形態では、各通信局はお互いのビーコン信号を受信し、その中に含まれるNBOIの記述に基づいてビーコンの衝突を回避することができる。
【0102】
図10には、NBOIの記述に基づいて通信局がビーコンの衝突を回避する様子を示している。同図の各段では、通信局STA0〜STA2の参入状態を表している。そして、各段の左側には各通信局の配置状態を示し、その右側には各局から送信されるビーコンの配置を示している。
【0103】
図10の上段では、通信局STA0のみが存在している場合を示している。このとき、STA0はビーコン受信を試みるが受信されないため、適当なビーコン送信タイミングを設定して、このタイミングの到来に応答してビーコンの送信を開始することができる。ビーコンは40ミリ秒毎に送信されている。このとき、STA0から送信されるビーコンに記載されているNBOIフィールドのすべてのビットが0である。
【0104】
図10の中段には、通信局STA0の通信範囲内でSTA1が参入してきた様子を示している。STA1は、ビーコンの受信を試みるとSTA0のビーコンが受信される。さらに、STA0のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビット以外のビットはすべて0であることから、上記ステップ1に従ってSTA0のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定する。
【0105】
STA1が送信するビーコンのNBOIフィールドは、自局の送信タイミングを示すビットとSTA0からのビーコン受信タイミングを示すビットに1が設定され、それ以外のビットはすべて0である。また、STA0も、STA1からのビーコンを認識すると、NBOIフィールドの該当するビット位置に1を設定する。
【0106】
図10の最下段には、さらにその後、通信局STA1の通信範囲にSTA2が参入してきた様子を示している。図示の例では、STA0はSTA2にとって隠れ端末となっている。このため、STA2は、STA1がSTA0からのビーコンを受信していることを認識できず、右側に示すように、STA0と同じタイミングでビーコンを送信し衝突が生じてしまう可能性がある。
【0107】
NBOIフィールドはこの現象を回避するために用いられる。まず、STA1のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビットに加え、STA0がビーコンを送信しているタイミングを示すビットにも1が設定されている。そこで、STA2は、STA0が送信するビーコンを直接受信はできないが、STA0がビーコンを送信するタイミングをSTA1から受信したビーコンに基づいて認識し、このタイミングでのビーコン送信を避ける。そして、図11に示すように、このときSTA2は、STA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中にビーコン送信タイミングを定める。勿論、STA2の送信ビーコン中のNBOIでは、STA2とSTA1のビーコン送信タイミングを示すビットを1に設定する。
【0108】
上述したようなNBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
【0109】
このように、本実施形態に係る無線通信システムでは、各通信局はビーコン情報を報知することにより、他の通信局に自己の存在を知らしめるとともにネットワーク構成を通知することができ、新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読して、既存のビーコン信号との衝突を避けてビーコン送出することにより新たなネットワークを構築することができる。
【0110】
さらに、本実施形態では各通信局は、ビーコンを送信した直後の所定の時間間隔を、自己が優先して情報の伝送(送信及び/又は受信)に利用することができる優先スロットを獲得することができる。
【0111】
ここで、送信データの有無に拘らず一定の時間間隔で各通信局に優先スロットを均等に与えると、通信帯域を効率的に使用できないという問題がある。例えば、VTRやビデオ/オーディオ・サーバのような送信データが膨大となるソース機器と、ディスプレイやヘッドフォンのようなターゲットすなわち受信が主体となるシンク機器に対して均等に送信区間を与えるのは不合理である。
【0112】
これらシンク機器にとっては、優先スロットの利用価値は低いものとなる。そこで、本発明では、自局に割り当てられたスロットを使用していない場合には、そのスロットを必要とする他局に貸し出すようにした。これによって、通信帯域を効率的に利用することができるとともに、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0113】
シンク機器のように送信データがあまりない通信局は、自己の優先スロットを有手順あるいは無手順で他の局に譲ることができる。
【0114】
有手順による優先スロットの貸し出し:
まず、有手順により優先スロットの貸し出しを行なう実施形態について、図12を参照しながら説明する。
【0115】
同図に示す例では、優先スロットの貸し出し元となるA局は、自己の送信ビーコンで、自局の持つ優先スロットが貸し出し可能な状態にあるかどうかの告知を行なう。ビーコンに掲載する情報として、貸し出し先の機器を掲載するようにしてもよい。例えば、A局がディスプレイなどのAVデータの出力ターゲットである場合には、TVチューナーやビデオ録画再生機などと接続することが多いことから、これらソースとシンクの関係にある機器に対して優先的に優先スロットを貸し出しなどの情報を掲載するようにしてもよい。
【0116】
図13には、この実施形態において使用されるビーコン信号の構成例を示している。図示の通り、既存のビーコン情報(図8を参照のこと)に対して、優先スロットの貸し出しの有無、優先スロットの返却要求、優先スロットの貸し出し対象をそれぞれ示すための追加フィールドが配設されている。
【0117】
優先スロット貸し出しフィールドに1が書き込まれている場合は、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。また、優先スロット返却要求フィールドに0が書き込まれている場合には、優先スロットの返却が未だ不要であることを示す。
【0118】
優先スロットの貸し出しを許可する旨が記述されたA局からのビーコン信号を、その周囲のB局並びにC局が受信することができたとする。そして、B局並びにC局がともに、送信データ量が大きく、自局だけでなく他局の優先スロットを使用したい場合には、A局に対して優先スロットの貸し出し要求コマンドを発行する。
【0119】
A局は、優先スロットの貸し出し要求コマンドを受信したら、貸し出し対象としての優先順位(ソースとシンクの関係など)、あるいは要求コマンドの先着順に従い、優先スロットの貸し出し先を決定し、優先スロット貸し出し許可コマンドを、各要求コマンドの送信元に返信する。
【0120】
図14には、優先スロットの貸し出し要求コマンド並びに優先スロット貸し出し許可コマンドの構成例を示している。同図に示す例では、コマンドは、貸し出し開始時間と、貸し出し期間と、返却周期又は返却期間と、ノードIDを書き込むフィールドがそれぞれ設けられている。
【0121】
貸し出し開始時間は、優先スロットの貸し出しを開始する時間が、例えば何スーパーフレーム周期後からという形式で記載される。また、貸し出し期間は、優先スロットを貸し出している期間が、例えば何スーパーフレーム周期分という形式で記述される。
【0122】
返却周期又は返却期間は、優先スロットを定期的に返却する周期と期間が記述される。例えば、5/1であれば、5スーパーフレーム周期に1回だけ優先スロットを返却する(図15を参照のこと)。また、0/0であればビーコンにより返却周期又は返却期間が逐次指示される。
【0123】
ノードIDは、端末を特定できる情報であれば特に限定されず、例えばランダムな数値であってもよい。
【0124】
図13に示す例では、A局は、B局に対して優先スロットの貸し出しを許可する。この結果、優先スロットの貸し出し要求元であるB局は、自局の優先スロット(図示しない)以外に、A局の優先スロットを利用して送信を行なうことができる。また、優先スロットの他の貸し出し要求元であるC局は、A局から許可が得られなかったため、A局の優先スロットを利用して送信を行なうことができない。
【0125】
このような優先スロットの貸し出し手続きが完了すると、以後、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットの貸し出しが許可されないことを示す。また、B局に対して優先スロットの返却が不要である期間は、優先スロット返却要求フィールドに0を書き込み続ける。B局は、A局からのビーコン信号の優先スロット返却要求フィールドに0が書き込まれていることにより、A局の優先スロットを利用し続ける。
【0126】
優先スロットの返却手続:
一方、他局に優先スロットを貸し出している期間内に自局が優先スロットを使用したくなった場合のことを考慮し、優先スロットを使用している局に対して優先スロットの返却を要求できる機構が必要である。
【0127】
図12に示す例では、A局は、自ら優先スロットを利用する必要が生じた場合には、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットの貸し出しが許可されないことを示すとともに、優先スロット返却要求フィールドに1を書き込んで、優先スロットの返却を促す。これに対し、優先スロットの貸出先であるB局は、優先スロットの返却する必要があることを認識し、A局の優先スロットの利用を停止する。そして、A局は、自己の優先スロットを取り戻し、これを利用してデータ送信を行なう。
【0128】
以後、A局は、自己の優先スロットを利用する必要がある期間は、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、優先スロットの貸し出しが不可であることを周囲の局に通知する。
【0129】
無手順による優先スロットの貸し出し:
次に、無手順により優先スロットの貸し出しを行なう実施形態について、図16を参照しながら説明する。この場合、優先スロットを貸し出すというよりも、むしろ優先スロットの使用を放棄するという方法に近い。図12に示した有手順による優先スロットの貸し出しの場合に比し、通信局間でのネゴシエーションを行なう手間を省略することができるというメリットがある。
【0130】
同図に示す例では、優先スロットの貸し出し元となるA局は、自己の送信ビーコンで、自局の持つ優先スロットを放棄する旨の告知を行なう。図13に示したようなビーコンのフレーム構成を採用する場合、優先スロット貸し出しフィールドに、優先スロットの放棄を示す2が書き込まれる。
【0131】
優先スロットの放棄を示す旨が記述されたA局からのビーコン信号を、その周囲のB局並びにC局が受信することができたとする。そして、B局並びにC局がともに、送信データ量が大きく、自局だけでなく他局の優先スロットを使用したい場合には、これらの通信局間では、例えばCSMA/CAなどのランダム・アクセス方式により放棄された優先スロットの獲得が行なわれる。
【0132】
図示の例では、A局の優先スロット内で先にデータ送信を開始したB局が優先スロットを獲得している。この場合、優先スロットの元の持ち主であるA局との間で優先スロットの貸し出し要求コマンドやこれに対する貸し出し許可コマンドの交換などのネゴシエーションを行なう必要はない。
【0133】
A局は、自己の優先スロットを放棄し続ける期間は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに2を書き込むとともに、優先スロット返却要求フィールドに0を書き込んで、放棄している旨を告知し続ける。放棄された優先スロットは、このビーコン信号を受信した周囲の通信局の間でCSMA/CAなどのランダム・アクセス手続により利用される。
【0134】
他の局が放棄した優先スロットを利用する通信局は、この優先スロット内でデータ送信が完了すると、優先スロットを解放する。したがって、1つの優先スロットを2以上の通信局が時分割で共用することもできる。図16にしめすれいでは、2番目のスーパーフレーム周期において、A局が放棄した有線スロットを、C局に続いてB局が使用している。
【0135】
その後、A局は、自ら優先スロットを利用する必要が生じた場合には、A局は、自局のビーコン信号において、優先スロット貸し出しフィールドに0を書き込んで、もはや優先スロットを放棄しないことを告知する。このビーコン信号を受信した周囲の通信局は、優先スロットの貸し出し(放棄)が行なわれないことを認識し、A局の優先スロットの利用を差し控えるようにする。
【0136】
優先スロットの返還:
他の局の優先スロットを借り入れた通信局は、貸し出しのネゴシエーション時に設定された貸し出し期間の終了が到来したときに、優先スロットの返還を行なう。また、貸し出し期間が終了する以前に、送信データがなくなったときには、帯域の有効利用のため、優先スロットの使用を自発的に完了し、優先スロットの解放を行なう。
【0137】
図17には、A局から貸し出された優先スロットを使用するB局が、優先スロットを返却する動作を示している。
【0138】
同図の左側では、貸し出しのネゴシエーション時に設定された貸し出し期間の終了が到来したことに応答して、B局が優先スロットの返還を行なっている。この時点で、A局はまだ優先スロットを貸し出すことができる場合には、自己のビーコン信号の優先スロット貸し出しフィールドに1を書き込んで、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。
【0139】
また、同図の右側には、B局が、データ送信が完了したことに応答して、優先スロットの返還を行なっている。この場合、B局は、例えば優先スロット使用完了コマンドをA局に送信するなどして、優先スロットを返還する旨を明示する。この時点で、A局はまだ優先スロットを貸し出すことができる場合には、自己のビーコン信号の優先スロット貸し出しフィールドに1を書き込んで、優先スロットの貸し出しが許可されていることを示す。
【0140】
無線通信装置の優先スロット貸し出し動作手順:
図18には、無線通信装置による優先スロットの貸し出し動作の手順を示している。
【0141】
通信プロトコルの上位層から優先スロットの貸し出し許可の指示が行なわれた場合(ステップS1)、さらにデータ・バッファ102内に送信データが蓄積されていないかどうかを判別する(ステップS2)。
【0142】
ここで、送信データがない場合には、優先スロットの貸し出しを許可する旨のビーコン情報を生成し、所定のビーコン送信タイミングで送出する(ステップS3)。
【0143】
一方、通信プロトコルの上位層から優先スロットの貸し出しが許可されなかった場合(ステップS1)、あるいは、未送信の送信データがデータ・バッファ102内に残っている場合には(ステップS2)、優先スロットの貸し出しを許可しない旨のビーコン情報を生成し、所定のビーコン送信タイミングで送出する(ステップS4)。
【0144】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0145】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、制御局となる装置を特に配置しないアドホック通信環境下で効率よくデータ伝送を行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0146】
また、本発明によれば、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において帯域を保証したデータ伝送を効率的に行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0147】
また、本発明によれば、アドホック通信のような自律分散型の通信環境下において、送信データ量に応じて効率的に通信帯域を割り当てることができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0148】
本発明に係る無線通信システムにおいては、各通信局はビーコン情報を報知することにより、自律分散的に通信動作を行なうとともに、ビーコン送信の直後に優先利用領域を獲得する。さらに、自局に割り当てられたスロットを使用していない場合には、そのスロットを必要とする他局に貸し出すことで、通信帯域の効率的な利用とスループットの向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作することができる無線通信装置の機能構成を模式的に示した図である。
【図2】各通信局のビーコン送信手順を説明するための図である。
【図3】ビーコン送信タイミングの一例を示した図である。
【図4】パケット間隔の規定を示した図である。
【図5】ビーコンを送信した局に送信優先権が与えられる様子を示した図である。
【図6】スーパーフレーム周期内の送信優先区間と競合送信区間を示した図である。
【図7】パケット・フォーマットの構成例を示した図である。
【図8】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図9】NBOIの記述例を示した図である。
【図10】NBOIを利用してビーコンの衝突を回避する仕組みを説明するための図である。
【図11】新規参入した通信局STA2のビーコン送信タイミングをSTA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中に定める様子を示した図である。
【図12】通信局が有手順により優先スロットの貸し出しを行なう動作を示した図である。
【図13】ビーコン信号フォーマットの構成例を示した図である。
【図14】優先スロットの貸し出し要求コマンド並びに優先スロット貸し出し許可コマンドの構成例を示した図である。
【図15】優先スロットを周期的に返却する様子を示した図である。
【図16】通信局が無手順により優先スロットの貸し出しを行なう動作を示した図である。
【図17】優先スロットの返還を行なう動作を示した図である。
【図18】無線通信装置による優先スロットの貸し出し動作の手順を示した図である。
【図19】インフラ・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図20】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【図21】アドホック・モード時のIEEE802.11の無線ネットワーキング動作を説明するための図である。
【符号の説明】
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…無線送信部
105…タイミング制御部
106…アンテナ
107…無線受信部
110…ビーコン生成部
111…ビーコン解析部
112…情報記憶部
Claims (31)
- 制御局を配置せずに複数の無線通信装置によりアドホック通信に基づくネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得するとともに、該優先スロットを解放し又は他の局に割り当てることができる、
ことを特徴とする無線通信システム。 - 各通信局は、所定のフレーム周期でビーコンを送出した後、自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 各通信局は、通信プロトコルの上位層からの許可に応じて自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 各通信局は、送信データがバッファリングされていないことに応じて自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 優先スロットを他の局に割り当てた通信局は、該他の局から優先スロットを取り戻すことができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 他の局から優先スロットが割り当てられた通信局は、該他の局からの返却要求に応答して、該優先スロットを解放する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 他の局から優先スロットが割り当てられた通信局は、送信データがなくなったことに応答して、該他の局の優先スロットを解放する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作する無線通信装置であって、
無線データを送受信する通信手段と、
前記通信手段による無線データの送受信動作を制御する制御手段と、
前記無線通信環境下で、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する優先スロット獲得手段と、
自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる優先スロット貸し出し手段と、
他の局の優先スロットを使用する優先スロット借り入れ手段と、を具備することを特徴とする無線通信装置。 - 前記優先スロット獲得手段は、所定のフレーム周期でビーコンを送出した後、自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット貸し出し手段は、通信プロトコルの上位層からの許可があったとき又は送信データがない状態で、自己の優先スロットを解放し、又は他の局からの要求に応じて自己の優先スロットを割り当てる、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット貸し出し手段は、送信データがバッファリングされていないことに応じて自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット貸し出し手段により解放し又は他の局に割り当てた自己の優先スロットの取り戻しを要求する優先スロット返却要求手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット返却要求手段は、自己の優先スロットが必要となったことに応答して、自己の優先スロットを割り当てた他の局に対し優先スロット返却を要求する、
ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット返却要求手段は、自己の優先スロットを他の局に割り当てる際に該他の局が優先スロットを使用可能な有効期限を設定する、
ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット借り入れ手段は、他の局が当該局自身の優先スロットを解放し又は自己に割り当てたことに応じて、該他の局の優先スロットを使用する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット借り入れ手段により使用中の他の局の優先スロットを解放し又は該他の局に返還する優先スロット返還手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット返還手段は、自己のデータ送信が完了したことに応答して使用中の他の局の優先スロットを解放する、
ことを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット返還手段は、該他の局の優先スロットを自己に割り当てる際に設定された該他の局の優先スロットを使用可能な有効期限の終了が到来したこと、又は該他の局から優先スロットの返却が要求されたことに応答して、該他の局に優先スロットを返還する、
ことを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。 - 前記優先スロット返還手段は、該他の局から優先スロットの返却要求を受け取ったことに応答して、該他の局に優先スロットを返還する、
ことを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作するための無線通信方法であって、
前記無線通信環境下で、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する優先スロット獲得ステップと、
自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる優先スロット貸し出しステップと、
他の局の優先スロットを使用する優先スロット借り入れステップと、を具備することを特徴とする無線通信方法。 - 前記優先スロット獲得ステップでは、所定のフレーム周期でビーコンを送出した後、自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット貸し出しステップでは、通信プロトコルの上位層からの許可があったとき又は送信データがない状態で、自己の優先スロットを解放し、又は他の局からの要求に応じて自己の優先スロットを割り当てる、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット貸し出しステップでは、送信データがバッファリングされていないことに応じて自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット貸し出しステップにおいて解放し又は他の局に割り当てた自己の優先スロットの取り戻しを要求する優先スロット返却要求ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット返却要求ステップでは、自己の優先スロットが必要となったことに応答して、自己の優先スロットを割り当てた他の局に対し優先スロット返却を要求する、
ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット返却要求ステップでは、自己の優先スロットを他の局に割り当てる際に該他の局が優先スロットを使用可能な有効期限を設定する、
ことを特徴とする請求項24に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット借り入れステップでは、他の局が当該局自身の優先スロットを解放し又は自己に割り当てたことに応じて、該他の局の優先スロットを使用する、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット借り入れステップにおいて使用中の他の局の優先スロットを解放し又は該他の局に返還する優先スロット返還ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項20に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット返還ステップでは、自己のデータ送信が完了したことに応答して使用中の他の局の優先スロットを解放する、
ことを特徴とする請求項28に記載の無線通信方法。 - 前記優先スロット返還ステップでは、該他の局の優先スロットを自己に割り当てる際に設定された該他の局の優先スロットを使用可能な有効期限の終了が到来したこと、又は該他の局から優先スロットの返却が要求されたことに応答して、該他の局に優先スロットを返還する、
ことを特徴とする請求項28に記載の無線通信方法。 - 特定の制御局を配置しない無線通信環境下で動作するための無線通信処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記無線通信環境下で、所定の時間間隔で自己が優先的にデータ伝送を行なう優先スロットを獲得する優先スロット獲得ステップと、
自己の優先スロットを解放し又は他の局に割り当てる優先スロット貸し出しステップと、
他の局の優先スロットを使用する優先スロット借り入れステップと、を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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