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JP2005019686A - コンデンサ素子内蔵多層配線基板 - Google Patents

コンデンサ素子内蔵多層配線基板 Download PDF

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JP2005019686A
JP2005019686A JP2003182581A JP2003182581A JP2005019686A JP 2005019686 A JP2005019686 A JP 2005019686A JP 2003182581 A JP2003182581 A JP 2003182581A JP 2003182581 A JP2003182581 A JP 2003182581A JP 2005019686 A JP2005019686 A JP 2005019686A
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capacitor element
layer
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insulating
liquid crystal
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JP2003182581A
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English (en)
Inventor
Tadashi Nagasawa
忠 長澤
Takuji Seri
拓司 世利
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

【課題】コンデンサ素子内蔵多層配線基板において、電気的接続不良を発生してしまうという問題点を有していた。
【解決手段】有機材料から成る複数の絶縁層1を積層するとともにこれら絶縁層1の表面に配線導体2を形成し、絶縁層1を挟んで上下に位置する配線導体2間を絶縁層1に形成された貫通導体3を介して電気的に接続して成り、絶縁層1の少なくとも一層に設けられた空洞部5の内部に多数の電極層6およびセラミック誘電体層7を交互に積層して成るコンデンサ素子8を内蔵したコンデンサ素子内蔵多層配線基板11であって、空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aは、液晶ポリマー層9の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層10を形成して成るとともに、被覆層10の厚みの合計が液晶ポリマー層9の厚みよりも大きい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種AV機器や家電機器,通信機器,コンピュータやその周辺機器等の電子機器に使用される、コンデンサ素子を内蔵したコンデンサ素子内蔵多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線基板は、アルミナ等のセラミック材料から成る絶縁層あるいはガラスエポキシ樹脂等の有機樹脂材料から成る絶縁層を複数積層するとともにこれら絶縁層の表面に配線導体を形成し、絶縁層を挟んで上下に位置する配線導体間を絶縁層に形成した貫通導体を介して電気的に接続して成り、この配線基板の表面に半導体素子やコンデンサ素子,抵抗器等の電子素子を搭載取着するとともにこれらの電極を各配線導体に電気的に接続することによって電子機器に使用される電子装置となる。
【0003】
しかしながら、近年、電子機器は、移動体通信機器に代表されるように小型,薄型,軽量化が要求されてきており、このような電子機器に使用される電子装置も小型,高密度化が要求されるようになってきている。
【0004】
このような要求に対応するために、特許文献1には、配線基板の表面に搭載される電子素子の数を減らして配線基板を小型化する目的で、配線基板の内部にチップ状コンデンサ素子等の回路部品を内蔵した回路部品内蔵モジュールが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−220262号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示された回路部品内蔵モジュールは、回路部品をエポキシ樹脂やシアネート樹脂から成る絶縁性基板に埋設することにより製作されており、エポキシ樹脂やシアネート樹脂は内蔵する回路部品に比べて熱膨張係数が大きいため、これらに熱が繰り返し加わると絶縁性基板と回路部品との熱膨張差により発生する応力が回路部品と配線パターンとの接続部に集中し、断線等の電気的接続不良が発生してしまうという問題点を有していた。
【0007】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、接続信頼性に優れた小型のコンデンサ素子内蔵多層配線基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板は、有機材料から成る複数の絶縁層を積層するとともにこれら絶縁層の表面に配線導体を形成し、前記絶縁層を挟んで上下に位置する前記配線導体間を前記絶縁層に形成された貫通導体を介して電気的に接続して成り、前記絶縁層の少なくとも一層に設けられた空洞部の内部に多数の電極層およびセラミック誘電体層を交互に積層して成るコンデンサ素子を内蔵したコンデンサ素子内蔵多層配線基板であって、前記空洞部となる貫通穴が形成されている前記絶縁層は、液晶ポリマー層の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層を形成して成るとともに、前記被覆層の厚みの合計が前記液晶ポリマー層の厚みよりも大きいことを特徴とするものである。
【0009】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板によれば、コンデンサ素子を内蔵するための空洞部となる貫通穴が形成されている絶縁層を、液晶ポリマー層の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層を形成して成るものとしたことから、液晶ポリマー層の熱膨張係数とコンデンサ素子の熱膨張係数とが近似しているので、これらに熱が繰り返し加わったとしても、液晶ポリマー層とコンデンサ素子との熱膨張差によってコンデンサ素子と配線導体との接続部に大きな応力が発生して両者間で断線することはなく、その結果、接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【0010】
また、エポキシ樹脂の分子が液晶ポリマー分子ほど剛直ではなく、また、規則正しい配向性も示さないことから分子が比較的動きやすく、その結果、絶縁層を多層化した場合においても、絶縁層同士の密着性が良好となり、熱が繰り返し加わったりしても絶縁層間で剥離して絶縁不良が発生してしまうこともない。
【0011】
さらに、絶縁層表面に配線導体を配設した場合、エポキシ樹脂の分子が配線導体表面の微細な凹部に入り込み十分なアンカー効果を発揮することができ、絶縁層と配線導体との密着性が良好となり、その結果、高温高湿環境下に曝されても両者間が剥離して配線導体が断線してしまうということもない。
【0012】
また、被覆層の厚みの合計を液晶ポリマー層の厚みよりも大きくしたことから、貫通穴の側面に露出した粘着性を有する被覆層のエポキシ樹脂がコンデンサ素子の側面を貫通穴の側面に良好に接着,固定することが可能となり、配線基板に熱が繰り返し加わったりしてもコンデンサ素子と配線導体との接続部に加わる負荷を低減することが可能となり、その結果、より接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【0013】
また、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板は、上記構成において、好ましくは被覆層が平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有していることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板によれば、被覆層が平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有している場合には、絶縁層に配線導体を配設ならびに貫通導体を形成するとともに絶縁層を多層化して多層配線基板を製作する場合において、無機絶縁粉末が被覆層の流動性を抑制し、絶縁層を多層化する際の加熱プレスによる上下面に平行な方向(層方向)における貫通導体の位置ずれや貫通導体の直径のばらつき、さらには被覆層の厚みばらつきを低減することができ、その結果、配線導体や貫通導体の位置ずれがなく配線導体と貫通導体との接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、コンデンサ素子を1個内蔵した場合の例を示している。また、図2は、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板に内蔵されるコンデンサ素子の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0017】
これらの図において、1は絶縁層、2は配線導体、3は貫通導体、4は配線導体の一部から成る接続パッド、8はコンデンサ素子で、主にこれらで本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11が構成されている。なお、本実施例では、コンデンサ素子内蔵多層配線基板11が絶縁層1を4層積層して成る場合を示している。また、コンデンサ素子8を2層の絶縁層1に形成した空洞部5に埋設した例を示している。
【0018】
コンデンサ素子内蔵多層配線基板11に内蔵されるコンデンサ素子8は、縦,横,高さがそれぞれ1〜5mmの直方体であり、図2に断面図で示すように、電極層6とセラミック誘電体層7とを交互に積層することにより形成されている。
【0019】
このようなセラミック誘電体層7の材料としては、種々の誘電体セラミック材料を用いることができ、例えば、BaTiOやLaTiO,CaTiO,SrTiO等のセラミック組成物、あるいはBaTiOの構成元素であるBaをCaで、TiをZrやSnで部分的に置換した固溶体等のチタン酸バリウム系材料や、鉛系ペロブスカイト型構造化合物等が挙げられる。
【0020】
また、電極層6を形成する材料としては、例えばPdやAg,Pt,Ni,Cu,Pb等の金属やそれらの合金が用いられる。
【0021】
さらに、コンデンサ素子8は、多数の電極層6に電気的に接続した複数の引き出し電極部12を有しており、これらはコンデンサ素子8の電極層6同士や電極層6とコンデンサ素子内蔵多層配線基板11の配線導体2あるいは貫通導体3と電気的に接続する作用を成す。
【0022】
このような引き出し電極部12は、コンデンサ素子8の端面に半田ペーストを印刷することによって、あるいは電極層6とセラミック誘電体層7との積層体に貫通孔を形成し、これに導体を埋め込むことによって形成される。なお、微細化,工程の容易性,インダクタンスの低減という観点からは、引き出し電極部12は、貫通孔を形成後、これに導体を埋め込むことによって形成されることが好ましい。
【0023】
このような貫通孔は、電極層6とセラミック誘電体層7とから成る積層体に、パンチングによる打ち抜き加工やUV−YAGレーザ,エキシマレーザ,炭酸ガスレーザ等によるレーザ穿設加工等の方法により形成され、特に微細な貫通孔とするためには、レーザによる穿設加工により形成されることが好ましい。また、貫通孔の径は数10μm〜数mmであり、コンデンサ素子8の大きさにあわせて適宜決めればよい。
【0024】
なお、貫通孔は、内部に充填される導体と電極層6との電気的接続を良好にするために、打ち抜き加工やレーザ穿設加工後に超音波洗浄処理やデスミア処理等を施しても良い。
【0025】
また、貫通孔に充填される導体としては、PdやAg,Pt,Ni,Cu,Pb等の金属やそれらの合金が用いられ、特に電極層6との電気的接続を良好にするという観点からは、電極層6と同じ材質のものから成ることが好ましい。
【0026】
このような貫通孔に充填される導体は、有機溶剤に有機バインダ樹脂を溶解させた有機ビヒクル中に金属粉末を分散させて成る導電ペーストを貫通孔にスクリーン印刷法等の方法で充填することにより形成される。なお、ビヒクル中に、これらの他、各種分散剤,活性剤,可塑剤などを必要に応じて添加しても良い。
【0027】
また、導電ペーストに用いられる有機バインダ樹脂は、金属粉末を均質に分散させるとともに貫通孔への埋め込みに適正な粘度とレオロジーを与える役割をもっており、例えば、アクリル樹脂やフェノール樹脂,アルキッド樹脂,ロジンエステル,エチルセルロース,メチルセルロース,PVA(ポリビニルアルコール),ポリビニルブチラート等が挙げられる。特に、金属粉末の分散性を良くするという観点からは、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0028】
さらに、導電ペーストに用いられる有機溶剤は、有機バインダ樹脂を溶解して金属粉末粒子を分散させ、このような混合系全体をペースト状にする役割をなし、例えば、α−テルピネオールやベンジルアルコール等のアルコール系や炭化水素系,エーテル系,BCA(ブチルカルビトールアセテート)等のエステル系,ナフサ等が用いられ、特に、金属粉末の分散性を良くするという観点からは、α−テルピネオール等のアルコール系溶剤を用いることが好ましい。
【0029】
さらにまた、導電ペーストは、埋め込み,焼成後のコンデンサ磁器への接着強度を上げるために、ガラスフリットやセラミックフリットを加えたペーストとすることができる。この場合のガラスフリットやセラミックフリットとしては特に限定されるものではなく、例えば、ホウ珪酸系やホウ珪酸亜鉛系のガラス,チタニアやチタン酸バリウムなどのチタン系酸化物などを適宜用いることができる。
【0030】
そしてこのようなコンデンサ素子8は、次の方法により製作される。
【0031】
まず、周知のシート成形法により製作されたセラミック誘電体層7と成る、例えばBaTiO誘電体セラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)表面に、周知のペースト製作法により製作したNiペーストをスクリーン印刷法により所定形状となるように印刷して電極層6となる未焼成電極層を形成し、続いてこれらを所定順序に積層するとともに圧着して積層体を得る。そして、これを所定の大きさに切断するとともに800〜1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0032】
また、コンデンサ素子8の表面は、後述する絶縁層1とコンデンサ素子8との接着性を向上させるという観点からは、セラミック誘電体層7の表面の算術平均粗さRaの最大値Rmaxが0.2μmより大きく、望ましくは0.5μm以上、最適には1μm以上とすることが好ましい。なお、セラミック誘電体層7の算術平均粗さRaの最大値Rmaxが5μmを超えると、コンデンサ素子8に割れや欠けが発生し易くなる傾向があるため、算術平均粗さRaの最大値Rmaxを5μm以下としておくことが好ましい。
【0033】
このようなコンデンサ素子8の表面は、焼成前のグリーンシート積層体の段階で積層体の表面にブラシ研磨による粗化処理やあらかじめ凹凸加工した平板を押し付けるなどの方法によって物理的に凹凸をつけた後、あるいはレーザにより積層体の表面に凹部を形成することによりディンプル加工を施した後、焼成することにより所望の表面粗さとすることができる。また、セラミック誘電体層7に用いられるセラミック材料よりも焼成時の耐熱性が高く平均粒子径が1μm以上のセラミック粉末、あるいはセラミック誘電体層7に用いられるセラミック材料の一部と反応性を有し平均粒子径が1μm以上のセラミック粉末を一部が埋入するようにグリーンシート積層体表面に付着させて焼成することによって所望の表面粗さとしても良い。さらに、グリーンシート積層体の焼成後のコンデンサ素子8の表面をサンドブラスト等の物理的手法あるいはエッチング等の化学的手法により粗化しても良い。
【0034】
次に、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11を図3に基づいて詳細に説明する。図3は、図1のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11を製作するための工程毎の断面図である。
【0035】
まず、図3(a)に断面図で示すように、絶縁層1と成る未硬化の前駆体シートを準備し、この前駆体シートにレーザ加工により所望の箇所に直径が17〜150μmの貫通孔13を穿設する。
【0036】
このような絶縁層1と成る未硬化の前駆体シートは、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂,熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂,液晶ポリマー樹脂等の有機樹脂材料から成り、機械的強度を向上させるためのシラン系やチタネート系等のカップリング剤、熱安定性を改善するための酸化防止剤や耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を改善するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル,高級脂肪酸金属塩,フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整するためおよび/または機械的強度を向上させるための酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化チタン,酸化バリウム,酸化ストロンチウム,酸化ジルコニウム,酸化カルシウム,ゼオライト,窒化珪素,窒化アルミニウム,炭化珪素,ホウ酸アルミニウム,スズ酸バリウム,ジルコン酸バリウム,ジルコン酸ストロンチウム等の充填材、あるいは繊維状ガラスを布状に織り込んだガラスクロス等や耐熱性有機樹脂繊維から成る不織布等の基材を含有させてもよい。
【0037】
このような前駆体シートは、例えば、絶縁材料として熱硬化性樹脂と無機絶縁粉末との複合材料を用いる場合、以下の方法によって製作される。まず、前述した無機絶縁粉末に熱硬化性樹脂を無機絶縁粉末量が10〜70体積%となるように溶媒とともに加えた混合物を得、この混合物を混練機(ニーダ)や3本ロール等の手段によって混合してペーストを製作する。そして、このペーストを圧延法や押し出し法,射出法,ドクターブレード法などのシート成形法を採用してシート状に成形した後、熱硬化性樹脂が完全硬化しない温度に加熱して乾燥することにより絶縁層1となる前駆体シートが製作される。
【0038】
なお、図3(a)には、絶縁層1が、後述する液晶ポリマー層9の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層10を形成してなる構成について示している。
【0039】
また、ペーストは、好適には、熱硬化性樹脂と無機絶縁粉末の複合材料に、トルエン,酢酸ブチル,メチルエチルケトン,メタノール,メチルセロソルブアセテート,イソプロピルアルコール,メチルイソブチルケトン,ジメチルホルムアミド等の溶媒を添加してなる所定の粘度を有する流動体であり、その粘度は、シート成形法にもよるが100〜3000ポイズが好ましい。
【0040】
次に、図3(b)に断面図で示すように、貫通孔13内に銅,銀,金,半田等から成る導電性ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等を採用して充填し、貫通導体3を形成する。
【0041】
次に、図3(c)に断面図で示すように、前駆体シートの表面と裏面とに被着する配線導体2を準備する。そして、図3(d)に断面図で示すように、配線導体2を前駆体シートの表面および裏面に、必要な配線導体2と貫通導体3とが電気的に接続するように重ね合わせて転写する。
【0042】
なお、本実施の形態では、配線導体2の形成を転写法によって行なっており、このような配線導体2は、次に述べる方法により形成される。まず、離型シート等の支持体14の表面にめっき法などによって製作された、銅,金,銀,アルミニウム等から選ばれる1種または2種以上の合金からなる厚さ1〜35μmの電解金属箔を接着し、その表面に所望の配線パターンの鏡像パターンとなるようにレジスト層を形成した後、エッチング,レジスト除去によって所定の配線パターンの鏡像の配線導体2を形成する。次に、配線導体2の前駆体シートの表面および裏面への接着は、配線導体2が形成された支持体14を前駆体シートの表面および裏面へ重ね合わせ、しかる後、圧力が0.5〜10MPa、温度が60〜150℃の条件で加圧加熱した後、支持体14を剥がすことにより、図3(e)に断面図に示すように配線導体2が前駆体シートに被着される。
【0043】
なお、支持体14としては、ポリエチレンテレフタラートやポリエチレンナフタレート,ポリイミド,ポリフェニレンサルファイド,塩化ビニル,ポリプロピレン等のものが使用できる。支持体14の厚みは10〜100μmが適当であり、望ましくは25〜50μmが良い。支持体14の厚みが10μm未満であると支持体14の変形や折れ曲がりにより形成した配線導体2が断線し易くなり、厚みが100μmを超えると支持体14の柔軟性がなくなって、前駆体シートからの支持体14の剥離が困難となる傾向がある。また、支持体14表面に電解金属箔を形成するために、アクリル系やゴム系,シリコン系,エポキシ系等の接着剤を使用してもよい。
【0044】
次に、図3(f)に断面図で示すように、コンデンサ素子8を収納するための空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aを用意する。
【0045】
このような空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aとしては、液晶ポリマー層9の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層10を形成したものが用いられ、また、空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aにおいて、被覆層10の厚みの合計が液晶ポリマー層9の厚みよりも大きくなっている。
【0046】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11によれば、コンデンサ素子8を内蔵するための空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aを、液晶ポリマー層9の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層10を形成して成るものとしたことから、液晶ポリマー層9の熱膨張係数とコンデンサ素子8の熱膨張係数とが近似しているので、これらに熱が繰り返し加わったとしても、液晶ポリマー層9とコンデンサ素子8との熱膨張差によってコンデンサ素子8と配線導体2との接続部に大きな応力が発生して両者間で断線することはなく、その結果、接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板11とすることができる。
【0047】
また、エポキシ樹脂の分子が液晶ポリマー分子ほど剛直ではなく、また、規則正しい配向性も示さないことから分子が比較的動きやすく、その結果、絶縁層1(1a)を多層化した場合においても、絶縁層1(1a)同士の密着性が良好となり、熱が繰り返し加わったりしても絶縁層1(1a)間で剥離して絶縁不良が発生してしまうこともない。
【0048】
さらに、絶縁層1a表面に配線導体2を配設した場合においても、エポキシ樹脂の分子が配線導体2表面の微細な凹部に入り込み十分なアンカー効果を発揮することができ、絶縁層1aと配線導体2との密着性が良好となり、その結果、高温高湿環境下に曝されても両者間が剥離して配線導体2が断線してしまうということもない。
【0049】
さらに、被覆層10の厚みの合計を液晶ポリマー層9の厚みよりも大きくしたことから、貫通穴5aの側面に露出した粘着性を有する被覆層10のエポキシ樹脂がコンデンサ素子8の側面を貫通穴5aの側面に良好に接着,固定することが可能となり、熱が繰り返し加わったりしてもコンデンサ素子8と配線導体2との接続部に加わる負荷を低減することが可能となり、その結果、より接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板11とすることができる。
【0050】
なお、空洞部5となる貫通穴5aが形成されている絶縁層1aにおいて、被覆層10の厚みの合計が液晶ポリマー層9の厚み以下であると、空洞部5に埋設するコンデンサ素子8と絶縁層1aとの接着剤の効果を有する被覆層10の接着面積が小さくなりコンデンサ素子8を固定する接着力が小さくなってしまい、熱が繰り返し加わってコンデンサ素子8と配線導体2との接続部に負荷が加わった際に、断線し易くなる傾向がある。従って、被覆層10の厚みの合計は液晶ポリマー層9の厚みよりも大きいことが重要である。なお、絶縁層1aを積層する際の樹脂の流動による位置合わせ精度の低下を防止するという観点からは、被覆層10の厚みの合計は液晶ポリマー層9の厚みの1.4倍以下であることが好ましい。
【0051】
なお、ここで液晶ポリマーとは、溶融時に液晶状態あるいは光学的に複屈折する性質を有するポリマーを指し、一般に溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーや溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマー、あるいは、熱変形温度で分類される1型,2型,3型すべての液晶ポリマーを含むものであり、本発明に用いる液晶ポリマーとしては、温度サイクル信頼性,半田耐熱性,加工性の観点からは200〜400℃の温度、特に250〜350℃の温度に融点を有するものが好ましい。
【0052】
このような液晶ポリマー層9は、層としての物性を損なわない範囲内で、熱安定性を改善するための酸化防止剤や耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル,高級脂肪酸金属塩,フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整するため、および/または機械的強度を向上するための酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化チタン,酸化バリウム,酸化ストロンチウム,酸化ジルコニウム,酸化カルシウム,ゼオライト,窒化珪素,窒化アルミニウム,炭化珪素,チタン酸カリウム,チタン酸バリウム,チタン酸ストロンチウム,チタン酸カルシウム,ホウ酸アルミニウム,スズ酸バリウム,ジルコン酸バリウム,ジルコン酸ストロンチウム等の充填材を含有してもよい。
【0053】
なお、上記の充填材等の粒子形状は、略球状,針状,フレーク状等があり、充填性の観点からは略球状が好ましい。また、粒子径は、通常0.1〜15μm程度であり、液晶ポリマー層9の厚みよりも小さい。
【0054】
また、被覆層10は、配線導体2を被着形成する際の接着剤の機能を有するとともに、コンデンサ素子8を空洞部5に内蔵した際にコンデンサ素子8と空洞部5内部に固定させる接着剤としての役割を果たす。さらに、絶縁層1および空洞部5となる貫通穴5aが形成された絶縁層1aを用いてコンデンサ素子内蔵多層配線基板11を構成する際に、絶縁層1a同士あるいは絶縁層1と絶縁層1aとを積層する際の接着剤の役目を果たす。
【0055】
なお、被覆層10においてエポキシ樹脂の含有量が30体積%未満であると、後述する充填材との混練性が低下する傾向があり、また、90体積%を超えると、液晶ポリマー層9表面に被覆層10を形成する際に、被覆層10の厚みばらつきが大きくなる傾向がある。したがって、エポキシ樹脂の含有量は、30〜90体積%の範囲が好ましい。
【0056】
また、被覆層10は、弾性率を調整するためのゴム成分や熱安定性を改善するための酸化防止剤、耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルや高級脂肪酸金属塩,フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整したり機械的強度を向上させたりするための酸化アルミニウムや酸化珪素,酸化チタン,酸化バリウム,酸化ストロンチウム,酸化ジルコニウム,酸化カルシウム,ゼオライト,窒化珪素,窒化アルミニウム,炭化珪素,チタン酸カリウム,チタン酸バリウム,チタン酸ストロンチウム,チタン酸カルシウム,ホウ酸アルミニウム,スズ酸バリウム,ジルコン酸バリウム,ジルコン酸ストロンチウム等の充填材、あるいは、充填材との親和性を高めこれらの接合性向上と機械的強度を高めるためのシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤を含有してもよい。
【0057】
また、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11においては、被覆層10が平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有することが好ましい。
【0058】
被覆層10において、平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有した場合、絶縁層1aに配線導体2および貫通導体3を配設するとともに絶縁層1aを多層化してコンデンサ素子内蔵多層配線基板11を製作する場合において、無機絶縁粉末が被覆層10の流動性を抑制し、多層化する際の加熱プレスによって上下面に平行な方向(層方向)における貫通導体3の位置ずれや貫通導体3の直径のばらつき、さらには被覆層10の厚みばらつきを低減することができ、寸法安定性に優れた絶縁層1aとすることができる。
【0059】
なお、被覆層10における無機絶縁粉末の平均粒子径が0.1μmの場合、無機絶縁粉末をエポキシ樹脂に混合させる際に混練性が低下し、被覆層10の熱膨張係数を均一にすることが困難となる傾向があり、2.8μmを超えると、被覆層10において配線導体2を被着する表面の平坦性が低下し、配線導体2を被着形成する際に配線導体4の位置ずれが大きくなる傾向がある。また、無機絶縁粉末の含有量が10体積%未満であると、被覆層10の流動性を抑制することが困難となり、貫通導体3の位置ずれや被覆層10の厚みばらつきが大きくなる傾向があり、70体積%を超えると、半田リフロー時に液晶ポリマー層9との接着界面および配線導体2との接着界面が剥離し易くなる傾向がある。従って、被覆層10は、平均粒子径が0.1〜2.8μmの無機絶縁粉末を10〜70体積%含有することが好ましい。
【0060】
このような無機絶縁粉末としては、酸化アルミニウムや酸化珪素,酸化チタン,酸化バリウム,酸化ストロンチウム,酸化ジルコニウム,酸化カルシウム,ゼオライト,窒化珪素,窒化アルミニウム,炭化珪素,チタン酸カリウム,チタン酸バリウム,チタン酸ストロンチウム,チタン酸カルシウム,ホウ酸アルミニウム,スズ酸バリウム,ジルコン酸バリウム,ジルコン酸ストロンチウム等が用いられる。また、好ましくは無機絶縁粉末の形状を球状とすると、無機絶縁粉末をエポキシ樹脂に混合する際の分散性や混練性をより良好なものとすることができる。
【0061】
このような絶縁層1aは、例えば平均粒子径が0.1〜2.8μmの酸化珪素等の無機絶縁粉末に、エポキシ樹脂と溶剤,可塑剤,分散剤等を添加して得たペーストを、プラズマ処理により水との接触角が3〜65°であって、かつ表面エネルギーが45〜70mJ/mとなるように表面処理した液晶ポリマー層9の上下表面に従来周知のドクターブレード法等のシート成型法を採用して被覆層10を形成した後、あるいは上記のペースト中に液晶ポリマー層9を浸漬し垂直に引き上げることによって液晶ポリマー層9の表面に被覆層10を形成した後、これをエポキシ樹脂が完全硬化することのない温度まで加熱して乾燥することにより絶縁層1aとなる前駆体シートが製作される。
【0062】
なお、コンデンサ素子8を設置する空洞部5となる貫通穴5aは、絶縁層1aのコンデンサ素子8が収容される箇所にレーザ法やパンチング法により穿設することにより形成される。
【0063】
さらに、空洞部5の縦,横の長さは、コンデンサ素子8の縦あるいは横の長さをLμmとした場合、それぞれ、L+3μm〜L+30μm程度であり、貫通導体3とコンデンサ素子8とを位置精度良く接続するという観点からはL+30μm以下が好ましく、コンデンサ素子8を空洞部5に挿入する際にコンデンサ素子8を挿入し易くするという観点からはL+3μm以上が好ましい。
【0064】
また、図3(f)において、コンデンサ素子8の引き出し電極部12と配線導体2あるいは貫通導体3との位置合わせを行ない、コンデンサ素子8を載置するとともに前駆体シートを積層し、温度が150〜300℃、圧力が0.5〜10MPaの条件で30分〜24時間加熱プレスして前駆体シートおよび導電性ペーストを完全硬化させることによって、図3(g)に断面図で示す本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11が完成する。
【0065】
かくして、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11によれば、上記構成のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11の最外層に位置する配線導体2の一部から成る接続パッド4に半田等の導体バンプ(図示せず)を介して半導体素子等の電子部品(図示せず)を電気的に接続することにより配線密度が高く接続信頼性に優れた混成集積回路とすることができる。
【0066】
なお、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板11は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施の形態では4層の絶縁層1(1a)を積層することによってコンデンサ素子内蔵多層配線基板11を製作したが、3層や5層以上の絶縁層1(1a)を積層してコンデンサ内蔵多層配線基板11を製作してもよい。また、コンデンサ素子8を埋設するための空洞部5となる貫通穴5aが形成された絶縁層1aを2層としたが、1層あるいは3層以上としてもよい。
【0067】
【実施例】
次に、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板を、以下の試料を製作して評価した。
【0068】
(実施例1)
まず、エポキシ樹脂に平均粒子径が1.0μmの球状溶融酸化珪素をその含有量が40体積%となるように加え、さらに溶剤と有機樹脂の硬化を促進させるための触媒とを添加した後、1時間混合してエポキシ樹脂ペーストを調製した。次に、厚みが50μmの液晶ポリマー層9を用意し、この表面を、真空プラズマ装置を用いて、電圧を27kV、雰囲気をOおよびCF(ガス流量がそれぞれ80cm/分)とし、片面15分×2回の条件でプラズマ処理して、水との接触角が30°で、かつ表面エネルギーが55mJ/m、表面の算術平均粗さRaが0.14μmとなるように粗化し、この液晶ポリマー層9の上面に上記のエポキシ樹脂ペーストをドクターブレード法により塗布し、各種の厚みを有する被覆層10を成形した。そして、この液晶ポリマー層9の下面にも同様に被覆層10を成形し絶縁層1(1a)を形成した。
【0069】
また、被覆層10の熱硬化性樹脂としてポリイミド樹脂に平均粒子径が1.0μmの球状溶融酸化珪素をその含有量が40体積%となるように加えたポリイミド樹脂ペーストを調製し、上記と同様の方法で、液晶ポリマー層9の上下面にポリイミド樹脂から成る被覆層10を有する絶縁層1(1a)も製作した。
【0070】
次に、この絶縁層の一部に、UV−YAGレーザによりコンデンサ素子8を内蔵するための空洞部5となる貫通穴5aを形成した。
【0071】
さらに、この絶縁層1(1a)に、UV−YAGレーザにより直径50μmの貫通孔13を形成し、この貫通孔13に銅粉末と有機バインダを含有する導体ペーストをスクリーン印刷により埋め込むことにより貫通導体3を形成した。
【0072】
次に、厚みが12μmで、回路状に形成した銅箔が付いた支持体14と、貫通導体3が形成された絶縁層1(1a)とを位置合わせして真空積層機により3MPaの圧力で30秒加圧した後、支持体14を剥離して配線導体2を絶縁層1(1a)表面に埋設した。
【0073】
次に、空洞部5となる貫通穴5aと貫通導体3が形成された絶縁層1aを2枚重ね合わせ、この貫通穴5a内にセラミック誘電体層7と電極層6とを積層して成るコンデンサ素子8を埋設した。
【0074】
最後に、貫通穴5a内にコンデンサ素子8が埋設された絶縁層1aを配線導体2が形成された絶縁層1を上下各2層ずつで挟み重ね合わせ、3MPaの圧力下で200℃の温度で5時間加熱処理して完全硬化させて、被覆層10がエポキシ樹脂から成るテスト基板(試料No.1〜8)および、被覆層10がポリイミド樹脂から成るテスト基板(試料No.9〜16)を得た。
【0075】
接続性は、テスト基板(試料No.1〜16)を温度が125℃の環境下で4時間の高温保管を行なった後、温度が30℃、かつ相対湿度が60%の環境下で192時間の高湿保管を行ない、しかる後、温度が260℃の半田リフローを数回繰り返し、テスト基板の外観観察とコンデンサ素子8の容量測定とを行なうことにより評価した。なお、半田リフローを所定の回数だけ繰り返した時点で、テスト基板にコンデンサ素子8の側面と絶縁層1aとの界面での剥がれに起因したフクレが発生した場合を機械的な接続性の不良と判断した。さらに、コンデンサ素子8の容量測定において、引き出し電極部12とテスト基板の配線導体2あるいは貫通導体3との間で電気的に断線が発生した場合を電気的な接続性の不良と判断した。表1に接続性の評価結果を示す。
【0076】
【表1】
Figure 2005019686
【0077】
表1より、被覆層10がポリイミド樹脂から成るテスト基板(試料No.9〜16)では、半田リフローを3回繰り返した時点では、テスト基板にフクレは観察されず、また、コンデンサ素子8の容量測定において接続部の断線はみられなかったが、半田リフローを5回繰り返した時点で、コンデンサ素子8の側面と絶縁層1aとの界面での剥がれに起因したフクレを生じており、機械的な接続性が劣化する傾向にあることがわかった。
【0078】
また、被覆層10がエポキシ樹脂からなり、かつ、被覆層10の厚みの合計t1が液晶ポリマー層9の厚みの合計t2以下のテスト基板(試料No.1〜4)では、半田リフローを3回繰り返した時点では、テスト基板にフクレは観察されず、また、コンデンサ素子8の容量測定において接続部の断線はみられなかったが、半田リフローを5回繰り返した時点でテスト基板にフクレは観察されなかったものの、コンデンサ素子8の容量測定において引き出し電極部12とテスト基板の配線導体2あるいは貫通導体3との間で接続部に断線が発生し、電気的な接続性にやや劣る傾向にあることがわかった。
【0079】
それらに対して、1<t1/t2(t1は被覆層10の合計厚み、t2は液晶ポリマー層9の厚み)である本発明のテスト基板(試料No.5〜8)では、半田リフローを5回繰り返した時点でも、テスト基板の外観に変化は無く、また、コンデンサ素子8の容量測定においても容量の変化は無く、接続性において特に優れていることがわかった。
【0080】
(実施例2)
実施例2用のテスト基板として、被覆層10の球状溶融酸化珪素の平均粒子径と含有量が種々の値となるように変更した以外は、実施例1用のテスト基板(試料No.5〜8)と同様の方法により製作した。なお、被覆層10の厚みの合計t1と液晶ポリマー層9の厚みのt2との比は、t1/t2=1.4となるようにした。これらのテスト基板を温度260℃および280℃の半田浴に20秒間浸漬し、これを5回または10回繰り返した後、テスト基板の外観を観察することにより密着性の評価を行なった。表2にその評価結果を示す。
【0081】
【表2】
Figure 2005019686
【0082】
表2より、平均粒子径が0.1μm未満のテスト基板(試料No.17、18)および2.8μmを超えるテスト基板(試料No.22)では、温度が260℃の半田浴への浸漬を5回繰り返してもテスト基板の外観に変化は無かったが、浸漬を10回繰り返した時点で、液晶ポリマー層9と被覆層10との界面が剥がれてフクレが発生し、密着性にやや劣る傾向があった。
【0083】
また、平均粒子径は0.1〜2.8μmであるが、含有量が10体積%未満のテスト基板(試料No.23)および70体積%を超えるテスト基板(試料No.28)では、温度が280℃の半田浴への浸漬を5回繰り返してもテスト基板の外観に変化は無かったが、温度が280℃の半田浴への浸漬を10回繰り返した時点で、液晶ポリマー層9と被覆層10との界面が剥がれてフクレが発生し、密着性にやや劣る傾向があることがわかった。
【0084】
それらに対して、被覆層10の溶融酸化珪素の平均粒子径が0.1〜2.8μmであって、かつ、含有量が10〜70体積%であるテスト基板(試料No.24〜27)では、温度が280℃の半田浴への浸漬を10回繰り返してもテスト基板の外観に変化は無く、密着性において特に優れていることがわかった。
【0085】
【発明の効果】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板によれば、コンデンサ素子を内蔵するための空洞部となる貫通穴が形成されている絶縁層を、液晶ポリマー層の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層を形成して成るものとしたことから、液晶ポリマー層の熱膨張係数とコンデンサ素子の熱膨張係数とが近似しているので、これらに熱が繰り返し加わったとしても、液晶ポリマー層とコンデンサ素子との熱膨張差によってコンデンサ素子と配線導体との接続部に大きな応力が発生して両者間で断線することはなく、その結果、接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【0086】
また、エポキシ樹脂の分子が液晶ポリマー分子ほど剛直ではなく、また、規則正しい配向性も示さないことから分子が比較的動きやすく、その結果、絶縁層を多層化した場合においても、絶縁層同士の密着性が良好となり、熱が繰り返し加わったりしても絶縁層間で剥離して絶縁不良が発生してしまうこともない。
【0087】
さらに、絶縁層表面に配線導体を配設した場合、エポキシ樹脂の分子が配線導体表面の微細な凹部に入り込み十分なアンカー効果を発揮することができ、絶縁層と配線導体との密着性が良好となり、その結果、高温高湿環境下に曝されても両者間が剥離して配線導体が断線してしまうということもない。
【0088】
また、被覆層の厚みの合計を液晶ポリマー層の厚みよりも大きくしたことから、貫通穴の側面に露出した粘着性を有する被覆層のエポキシ樹脂がコンデンサ素子の側面を貫通穴の側面に良好に接着,固定することが可能となり、配線基板に熱が繰り返し加わったりしてもコンデンサ素子と配線導体との接続部に加わる負荷を低減することが可能となり、その結果、より接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【0089】
また、本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板は、上記構成において、好ましくは被覆層が平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有していることを特徴とするものである。
【0090】
本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板によれば、被覆層が平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有している場合には、絶縁層に配線導体を配設ならびに貫通導体を形成するとともに絶縁層を多層化して多層配線基板を製作する場合において、無機絶縁粉末が被覆層の流動性を抑制し、絶縁層を多層化する際の加熱プレスによる上下面に平行な方向(層方向)における貫通導体の位置ずれや貫通導体の直径のばらつき、さらには被覆層の厚みばらつきを低減することができ、その結果、配線導体や貫通導体の位置ずれがなく配線導体と貫通導体との接続信頼性に優れたコンデンサ素子内蔵多層配線基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板に内蔵されるコンデンサ素子の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図3】(a)〜(g)は、それぞれ本発明のコンデンサ素子内蔵多層配線基板の製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁層
1a:空洞部となる貫通穴が形成されている絶縁層
2:配線導体
3:貫通導体
4:接続パッド
5:空洞部
5a:貫通穴
6:電極層
7:セラミック誘電体層
8:コンデンサ素子
9:液晶ポリマー層
10:被覆層
11:コンデンサ素子内蔵多層配線基板

Claims (2)

  1. 有機材料から成る複数の絶縁層を積層するとともにこれら絶縁層の表面に配線導体を形成し、前記絶縁層を挟んで上下に位置する前記配線導体間を前記絶縁層に形成された貫通導体を介して電気的に接続して成り、前記絶縁層の少なくとも一層に設けられた空洞部の内部に多数の電極層およびセラミック誘電体層を交互に積層して成るコンデンサ素子を内蔵したコンデンサ素子内蔵多層配線基板であって、前記空洞部となる貫通穴が形成されている前記絶縁層は、液晶ポリマー層の上下面にエポキシ樹脂から成る被覆層を形成して成るとともに、前記被覆層の厚みの合計が前記液晶ポリマー層の厚みよりも大きいことを特徴とするコンデンサ素子内蔵多層配線基板。
  2. 前記被覆層は、平均粒子径が0.1〜2.8μmである無機絶縁粉末を10〜70体積%含有することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ素子内蔵多層配線基板。
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