JP2005016411A - 排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガスを良好に浄化することができる排ガス浄化装置の提供を目的とする。
【解決手段】プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置1は、排ガスを流通させる排気管Lの内部に配置され、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減しているコーン部11を含む漏斗状の第1電極10と、第1電極10の下流側に配置されており、第1電極10と対をなす棒状の第2電極20とを備える。そして、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離は、およそ−50〜100mmの範囲から選択される。
【選択図】 図1
【解決手段】プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置1は、排ガスを流通させる排気管Lの内部に配置され、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減しているコーン部11を含む漏斗状の第1電極10と、第1電極10の下流側に配置されており、第1電極10と対をなす棒状の第2電極20とを備える。そして、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離は、およそ−50〜100mmの範囲から選択される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用内燃機関の排気系統に組み込まれて当該内燃機関の排ガスを浄化する装置として、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この排ガス浄化装置は、内燃機関の排ガス通路に組み込まれた筒状の接地極と、接地極の中心部に配置されて排ガスの流れ方向に延びる棒状(針状)の放電極とを備える。これらの放電極と接地極との間には、電界を形成すべく高電圧が印加され、これにより、放電極と接地極との間で発せられたプラズマにより、排ガスが浄化されることになる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−21541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の排ガス浄化装置において、一対の電極間にプラズマを高密度に発生させることは容易なことではなく、接地極内を流通する排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガス中の有害物質を十分に浄化することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガスを良好に浄化することができる排ガス浄化装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による排ガス浄化装置は、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置において、排ガスを流通させる排ガス流路内に配置され、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減している領域を含む筒状の第1電極と、第1電極の下流側に配置されており、第1電極と対をなす第2電極とを備えることを特徴とする。
【0007】
この排ガス浄化装置は、排ガス流路内に配置される筒状の第1電極と、当該第1電極の下流側に配置される第2電極とを備える。これらの第1電極と第2電極とには高電圧が印加され、それにより、第1電極の下流端と第2電極との間にプラズマが発生させられる。ここで、この排ガス浄化装置の第1電極は、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減している領域を含むように構成されている。このため、この排ガス浄化装置では、下流側に向かうにつれて開口面積が漸減している領域を含む第1電極により、第1電極の下流端と第2電極との間のプラズマに向けて排ガスが集められることになる。更に、この排ガス浄化装置では、開口面積が一定の筒状電極を第1電極として用いた場合と比較して、第1電極の下流端と第2電極との間の距離を短くすることが可能となり、第1電極と第2電極との間にプラズマを高密度に発生させることができる。この結果、この排ガス浄化装置によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて、排ガス中の有害物質をプラズマにより良好に活性化等させることができるので、排ガスを良好に浄化することが可能となる。
【0008】
この場合、第1電極の下流端と第2電極の上流端との間の距離は、およそ−50〜100mmであると好ましい。
【0009】
また、第2電極は、第1電極に向けて排ガスの流れ方向に延在する棒状電極を含むと好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による排ガス浄化装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明による排ガス浄化装置を示す断面図である。同図に示される排ガス浄化装置1は、車両に適用されると好適なものであり、図示されない内燃機関の燃焼室から排出される排ガスを浄化するために、当該内燃機関の排気系統(排ガス流路)を構成する排気管Lに組み入れられる。本実施形態において、排ガス浄化装置1は、例えば三元触媒等を含む触媒装置(触媒コンバータ、図示省略)の前段に配置される。図1に示されるように、排ガス浄化装置1は、それぞれ排気管Lの内部に配置される第1電極10と第2電極20とを備え、互いに対をなす第1電極10と第2電極20とに高電圧を印加して発生させたプラズマを利用して排ガスを浄化する。
【0012】
第1電極10は、例えばステンレスといった金属等により概ね漏斗状(筒状)に形成されており、コーン部11と筒口部12とを含む。コーン部11は、その一端から他端に向けて開口面積(内径)が漸減する中空円錐台状に形成されている。また、筒口部12は、コーン部11の小径端部から延出されており、コーン部11の小径端部の内径と同一の内径を有する短尺円筒状に形成されている。第1電極10は、コーン部11が排ガスの流れ方向上流側、すなわち、内燃機関の燃焼室側に位置するように排気管Lの内部に絶縁部材2を介して固定される。そして、第1電極10は、その軸心が排気管Lの軸心と概ね一致した状態で延在する。
【0013】
一方、第2電極20は、金属製の棒状電極(針状電極)21と、棒状電極21を排気管Lの内部に固定するための支持部材22とを含む。第2電極20は、図1に示されるように、棒状電極21の先端(上流端)が第1電極10(筒口部12)の下流端から、排ガスの流れ方向(排気管Lの軸心方向)において所定の距離xだけ離間するように配置される。そして、棒状電極21は、排気管Lの軸心上に位置し、上流側の第1電極10に向けて排ガスの流れ方向に延在する。また、第2電極20(支持部材22)は、上述の絶縁部材2によって排気管Lから絶縁される。なお、棒状電極21の先端部には、複数の棘状の放電突起が放射状に設けられてもよい。
【0014】
図1に示されるように、第1電極10は、端子3を介して接地され、第2電極20は、給電端子4を介して高圧電源5に接続されている。本実施形態では、例えば第1電極10が受電極となると共に第2電極20が放電極となるようにして、第1電極10と第2電極20との間に高電圧が印加される。なお、高圧電源5としては、直流高圧電源、交流高圧電源および直流パルス電源の何れかを用いることができる。
【0015】
さて、上述のように構成される排ガス浄化装置1では、内燃機関の始動と共に、内燃機関の燃焼室からの排ガスが排気管L内に導入される。また、内燃機関の始動に合わせて、互いに対をなす第1電極10と第2電極20との間に高圧電源5によって高電圧が印加され、これにより、第1電極10(筒口部12)の下流端と第2電極20の先端との間にプラズマが発生させられる。
【0016】
ここで、排ガス浄化装置1の第1電極10は、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積(内径)が漸減するように配置されるコーン部11を含んでいる。このため、排気管L内の排ガスは、第1電極10のコーン部11内を流通していくうちに、第1電極10の下流端と第2電極20との間のプラズマに向けて集められていくことになる。
【0017】
更に、開口面積(内径)が一定の筒状電極を第1電極として用いた場合と比較して、排ガス浄化装置1では、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離を(排気管Lの径方向において)短くすることが可能となる。従って、排ガス浄化装置1では、第1電極10(筒口部12)の下流端と第2電極20の先端との間にプラズマを高密度に発生させることができる。
【0018】
この結果、排ガス浄化装置1によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて、排ガス中に含まれるHC、CO、NOxといった有害物質を良好に活性化させることができるので、排ガスを良好に浄化することが可能となる。
【0019】
なお、上述の排ガス浄化装置1では、第2電極20として1本の棒状電極21を含むものが採用されているが、これに限られるものではない。すなわち、図2に示される排ガス浄化装置1Aのように、第1電極10に向けて延びる複数の棒状電極21を含む第2電極20Aが採用されてもよい。図2の例では、第1電極10の軸心上に配置された棒状電極21の周囲に位置するように、複数の棒状電極21が所定の間隔をおいて支持部材22に固定されている。この場合、中心の棒状電極21と外周側の何れかの棒状電極21との間の距離は、第1電極10の筒口部12の半径よりも多少大きい程度に設定されると好ましい。
【0020】
また、図3に示される排ガス浄化装置1Bのように、漏斗状の第1電極10と対をなす電極として、メッシュ状電極20Bが採用されてもよい。更に、図4に示される排ガス浄化装置1Cのように、漏斗状の第1電極10の筒口部12に、下流側の第2電極20に向けて延びる放電突起14が複数設けられてもよい。これらの図2〜図4に示される構成を採用しても、第1電極10と第2電極20,20Aまたは20Bとの間で確実かつ良好にプラズマを発生させることが可能となる。
【0021】
ところで、漏斗状の第1電極10と棒状の第2電極20との間に強い電界を生じさせるためには、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xを適切に設定することが重要となる。このため、本発明者は、第1電極10と第2電極20との間の距離xを最適化すべく次のような実験を行なった。
【0022】
この実験では、ステンレスにより漏斗状に形成された第1電極10と、ステンレス製の棒状電極21および支持部材22を含む第2電極20とを用意し、実際の排気管を模した石英管(内径およそ30mm)の内部に、第1電極10および第2電極20を所定距離xだけ互いに離間するように配置した。ここで、この実験では、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xの好適な値を把握すべく距離xの値を変化させ、実施例1においてx=10mmに、実施例2においてx=30mmに、実施例3においてx=60mmに設定した。
【0023】
また、この実験で使用された第1電極10の寸法は、図1に示されるように、コーン部11の排ガス入口における内径をaとし、コーン部11の全長(その軸心方向における長さ)をbとし、筒口部12の全長(その軸心方向における長さ)をcとし、筒口部12の内径(コーン部11の小径端部における内径)をdとすると、a=28mm,b=20mm,c=5mm,d=8mmであった。更に、この実験で使用された第2電極20は、外径1mm、全長20mmの棒状電極21を含むものであった。
【0024】
そして、実施例1〜実施例3に関しては、第1電極10および第2電極20を含む石英管を実験室用管状炉の内部に配置し、管状炉内をおよそ150℃まで昇温させた上で、石英管の内部に内燃機関の排ガスを模したモデルガスを導入した。モデルガスとしては、COを0.65%、C3H6を1000ppm、NOを1500ppm、CO2を10%、O2を0.7%、H2Oを5%含むものが使用された。更に、第1電極10と第2電極20との間に、第1電極10が受電極となると共に第2電極20が放電極となるようにして、電圧50kV、パルス幅10μsの直流パルス電圧を繰り返し周期2000Hzで印加し(消費電力105W)、第1電極10と第2電極20との間を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率(電極間の通過前後における各物質の減少率)を測定した。
【0025】
また、この実験に際しては、上述の実施例1〜3に加えて、比較例1として、Al2O3にPtを担持させた触媒を用意した。この触媒は、Al2O3粉末19.8gをイオン交換水中に分散させると共に、この溶液に、Pt量0.2g相当のジニトロジアミンPt溶液を加え、濃縮乾固、乾燥、粉砕した後、およそ500℃の温度下で約2時間焼成して得たものを直径1〜2mmのペレット状に形成したものである。そして、ペレット状の触媒1.0gを石英管(内径およそ30mm)の内部に配置した上で、上記組成のモデルガスを当該石英管の内部に導入し、当該触媒を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率を測定した。
【0026】
更に、この実験では、比較例2として、ステンレス製の円筒部材(内径30mm、全長60mm)と、当該円筒部材の中心に配置された棒状電極(外径1mm、全長60mm)とを含む放電装置(リアクタ)を用意し、石英管(内径およそ30mm)の内部に配置した。比較例2では、円筒部材が受電極となると共に棒状電極が放電極となるようにして、両電極間に、電圧50kV、パルス幅10μsの直流パルス電圧を繰り返し周期2000Hzで印加し(消費電力105W)、電極間を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率を測定した。
【0027】
上述の実験の結果を次の表1に示す。まず、かかる表1に示される実験結果より、本発明のように漏斗状の第1電極10およびそれと対をなす第2電極20を用いれば、触媒を用いた場合(比較例1)や、円筒状の電極と棒状の電極とを含む放電装置(比較例2)を用いた場合と比較して、内燃機関の排ガス中に含まれるHC、CO、NOxといった有害物質を良好に浄化し得ることがわかる。そして、実施例1〜3に関する実験結果より、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xは、少なくとも、およそ−50〜100mmの範囲内、より好ましくは、およそ−30〜50mmの範囲内に設定されると実用上良好な結果が得られることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、第1電極10のコーン部11の排ガス入口における内径aの値は、適用対象となる内燃機関の排気管Lの内径に合わせて適宜選択され得る。また、コーン部11の全長bの値は、およそ50〜2000mmの範囲から、第1電極10の筒口部12の全長cの値は、0mm〜およそ1950mmの範囲から、筒口部12の内径dの値は、およそ20〜50mmの範囲から適宜選択され得る。
【0030】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガスを良好に浄化することができる排ガス浄化装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排ガス浄化装置を示す断面図である。
【図2】本発明による排ガス浄化装置の変形例を示す斜視図である。
【図3】本発明による排ガス浄化装置の他の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明による排ガス浄化装置の更に他の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 排ガス浄化装置
2 絶縁部材
5 高圧電源
10 第1電極
11 コーン部
12 筒口部
14 放電突起
20,20a,20B 第2電極
21 棒状電極
22 支持部材
L 排気管
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用内燃機関の排気系統に組み込まれて当該内燃機関の排ガスを浄化する装置として、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この排ガス浄化装置は、内燃機関の排ガス通路に組み込まれた筒状の接地極と、接地極の中心部に配置されて排ガスの流れ方向に延びる棒状(針状)の放電極とを備える。これらの放電極と接地極との間には、電界を形成すべく高電圧が印加され、これにより、放電極と接地極との間で発せられたプラズマにより、排ガスが浄化されることになる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−21541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の排ガス浄化装置において、一対の電極間にプラズマを高密度に発生させることは容易なことではなく、接地極内を流通する排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガス中の有害物質を十分に浄化することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガスを良好に浄化することができる排ガス浄化装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による排ガス浄化装置は、プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置において、排ガスを流通させる排ガス流路内に配置され、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減している領域を含む筒状の第1電極と、第1電極の下流側に配置されており、第1電極と対をなす第2電極とを備えることを特徴とする。
【0007】
この排ガス浄化装置は、排ガス流路内に配置される筒状の第1電極と、当該第1電極の下流側に配置される第2電極とを備える。これらの第1電極と第2電極とには高電圧が印加され、それにより、第1電極の下流端と第2電極との間にプラズマが発生させられる。ここで、この排ガス浄化装置の第1電極は、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減している領域を含むように構成されている。このため、この排ガス浄化装置では、下流側に向かうにつれて開口面積が漸減している領域を含む第1電極により、第1電極の下流端と第2電極との間のプラズマに向けて排ガスが集められることになる。更に、この排ガス浄化装置では、開口面積が一定の筒状電極を第1電極として用いた場合と比較して、第1電極の下流端と第2電極との間の距離を短くすることが可能となり、第1電極と第2電極との間にプラズマを高密度に発生させることができる。この結果、この排ガス浄化装置によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて、排ガス中の有害物質をプラズマにより良好に活性化等させることができるので、排ガスを良好に浄化することが可能となる。
【0008】
この場合、第1電極の下流端と第2電極の上流端との間の距離は、およそ−50〜100mmであると好ましい。
【0009】
また、第2電極は、第1電極に向けて排ガスの流れ方向に延在する棒状電極を含むと好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による排ガス浄化装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明による排ガス浄化装置を示す断面図である。同図に示される排ガス浄化装置1は、車両に適用されると好適なものであり、図示されない内燃機関の燃焼室から排出される排ガスを浄化するために、当該内燃機関の排気系統(排ガス流路)を構成する排気管Lに組み入れられる。本実施形態において、排ガス浄化装置1は、例えば三元触媒等を含む触媒装置(触媒コンバータ、図示省略)の前段に配置される。図1に示されるように、排ガス浄化装置1は、それぞれ排気管Lの内部に配置される第1電極10と第2電極20とを備え、互いに対をなす第1電極10と第2電極20とに高電圧を印加して発生させたプラズマを利用して排ガスを浄化する。
【0012】
第1電極10は、例えばステンレスといった金属等により概ね漏斗状(筒状)に形成されており、コーン部11と筒口部12とを含む。コーン部11は、その一端から他端に向けて開口面積(内径)が漸減する中空円錐台状に形成されている。また、筒口部12は、コーン部11の小径端部から延出されており、コーン部11の小径端部の内径と同一の内径を有する短尺円筒状に形成されている。第1電極10は、コーン部11が排ガスの流れ方向上流側、すなわち、内燃機関の燃焼室側に位置するように排気管Lの内部に絶縁部材2を介して固定される。そして、第1電極10は、その軸心が排気管Lの軸心と概ね一致した状態で延在する。
【0013】
一方、第2電極20は、金属製の棒状電極(針状電極)21と、棒状電極21を排気管Lの内部に固定するための支持部材22とを含む。第2電極20は、図1に示されるように、棒状電極21の先端(上流端)が第1電極10(筒口部12)の下流端から、排ガスの流れ方向(排気管Lの軸心方向)において所定の距離xだけ離間するように配置される。そして、棒状電極21は、排気管Lの軸心上に位置し、上流側の第1電極10に向けて排ガスの流れ方向に延在する。また、第2電極20(支持部材22)は、上述の絶縁部材2によって排気管Lから絶縁される。なお、棒状電極21の先端部には、複数の棘状の放電突起が放射状に設けられてもよい。
【0014】
図1に示されるように、第1電極10は、端子3を介して接地され、第2電極20は、給電端子4を介して高圧電源5に接続されている。本実施形態では、例えば第1電極10が受電極となると共に第2電極20が放電極となるようにして、第1電極10と第2電極20との間に高電圧が印加される。なお、高圧電源5としては、直流高圧電源、交流高圧電源および直流パルス電源の何れかを用いることができる。
【0015】
さて、上述のように構成される排ガス浄化装置1では、内燃機関の始動と共に、内燃機関の燃焼室からの排ガスが排気管L内に導入される。また、内燃機関の始動に合わせて、互いに対をなす第1電極10と第2電極20との間に高圧電源5によって高電圧が印加され、これにより、第1電極10(筒口部12)の下流端と第2電極20の先端との間にプラズマが発生させられる。
【0016】
ここで、排ガス浄化装置1の第1電極10は、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積(内径)が漸減するように配置されるコーン部11を含んでいる。このため、排気管L内の排ガスは、第1電極10のコーン部11内を流通していくうちに、第1電極10の下流端と第2電極20との間のプラズマに向けて集められていくことになる。
【0017】
更に、開口面積(内径)が一定の筒状電極を第1電極として用いた場合と比較して、排ガス浄化装置1では、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離を(排気管Lの径方向において)短くすることが可能となる。従って、排ガス浄化装置1では、第1電極10(筒口部12)の下流端と第2電極20の先端との間にプラズマを高密度に発生させることができる。
【0018】
この結果、排ガス浄化装置1によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて、排ガス中に含まれるHC、CO、NOxといった有害物質を良好に活性化させることができるので、排ガスを良好に浄化することが可能となる。
【0019】
なお、上述の排ガス浄化装置1では、第2電極20として1本の棒状電極21を含むものが採用されているが、これに限られるものではない。すなわち、図2に示される排ガス浄化装置1Aのように、第1電極10に向けて延びる複数の棒状電極21を含む第2電極20Aが採用されてもよい。図2の例では、第1電極10の軸心上に配置された棒状電極21の周囲に位置するように、複数の棒状電極21が所定の間隔をおいて支持部材22に固定されている。この場合、中心の棒状電極21と外周側の何れかの棒状電極21との間の距離は、第1電極10の筒口部12の半径よりも多少大きい程度に設定されると好ましい。
【0020】
また、図3に示される排ガス浄化装置1Bのように、漏斗状の第1電極10と対をなす電極として、メッシュ状電極20Bが採用されてもよい。更に、図4に示される排ガス浄化装置1Cのように、漏斗状の第1電極10の筒口部12に、下流側の第2電極20に向けて延びる放電突起14が複数設けられてもよい。これらの図2〜図4に示される構成を採用しても、第1電極10と第2電極20,20Aまたは20Bとの間で確実かつ良好にプラズマを発生させることが可能となる。
【0021】
ところで、漏斗状の第1電極10と棒状の第2電極20との間に強い電界を生じさせるためには、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xを適切に設定することが重要となる。このため、本発明者は、第1電極10と第2電極20との間の距離xを最適化すべく次のような実験を行なった。
【0022】
この実験では、ステンレスにより漏斗状に形成された第1電極10と、ステンレス製の棒状電極21および支持部材22を含む第2電極20とを用意し、実際の排気管を模した石英管(内径およそ30mm)の内部に、第1電極10および第2電極20を所定距離xだけ互いに離間するように配置した。ここで、この実験では、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xの好適な値を把握すべく距離xの値を変化させ、実施例1においてx=10mmに、実施例2においてx=30mmに、実施例3においてx=60mmに設定した。
【0023】
また、この実験で使用された第1電極10の寸法は、図1に示されるように、コーン部11の排ガス入口における内径をaとし、コーン部11の全長(その軸心方向における長さ)をbとし、筒口部12の全長(その軸心方向における長さ)をcとし、筒口部12の内径(コーン部11の小径端部における内径)をdとすると、a=28mm,b=20mm,c=5mm,d=8mmであった。更に、この実験で使用された第2電極20は、外径1mm、全長20mmの棒状電極21を含むものであった。
【0024】
そして、実施例1〜実施例3に関しては、第1電極10および第2電極20を含む石英管を実験室用管状炉の内部に配置し、管状炉内をおよそ150℃まで昇温させた上で、石英管の内部に内燃機関の排ガスを模したモデルガスを導入した。モデルガスとしては、COを0.65%、C3H6を1000ppm、NOを1500ppm、CO2を10%、O2を0.7%、H2Oを5%含むものが使用された。更に、第1電極10と第2電極20との間に、第1電極10が受電極となると共に第2電極20が放電極となるようにして、電圧50kV、パルス幅10μsの直流パルス電圧を繰り返し周期2000Hzで印加し(消費電力105W)、第1電極10と第2電極20との間を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率(電極間の通過前後における各物質の減少率)を測定した。
【0025】
また、この実験に際しては、上述の実施例1〜3に加えて、比較例1として、Al2O3にPtを担持させた触媒を用意した。この触媒は、Al2O3粉末19.8gをイオン交換水中に分散させると共に、この溶液に、Pt量0.2g相当のジニトロジアミンPt溶液を加え、濃縮乾固、乾燥、粉砕した後、およそ500℃の温度下で約2時間焼成して得たものを直径1〜2mmのペレット状に形成したものである。そして、ペレット状の触媒1.0gを石英管(内径およそ30mm)の内部に配置した上で、上記組成のモデルガスを当該石英管の内部に導入し、当該触媒を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率を測定した。
【0026】
更に、この実験では、比較例2として、ステンレス製の円筒部材(内径30mm、全長60mm)と、当該円筒部材の中心に配置された棒状電極(外径1mm、全長60mm)とを含む放電装置(リアクタ)を用意し、石英管(内径およそ30mm)の内部に配置した。比較例2では、円筒部材が受電極となると共に棒状電極が放電極となるようにして、両電極間に、電圧50kV、パルス幅10μsの直流パルス電圧を繰り返し周期2000Hzで印加し(消費電力105W)、電極間を通過したガスにおけるHC,CO,NOxの浄化率を測定した。
【0027】
上述の実験の結果を次の表1に示す。まず、かかる表1に示される実験結果より、本発明のように漏斗状の第1電極10およびそれと対をなす第2電極20を用いれば、触媒を用いた場合(比較例1)や、円筒状の電極と棒状の電極とを含む放電装置(比較例2)を用いた場合と比較して、内燃機関の排ガス中に含まれるHC、CO、NOxといった有害物質を良好に浄化し得ることがわかる。そして、実施例1〜3に関する実験結果より、第1電極10の下流端と第2電極20の先端との間の距離xは、少なくとも、およそ−50〜100mmの範囲内、より好ましくは、およそ−30〜50mmの範囲内に設定されると実用上良好な結果が得られることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、第1電極10のコーン部11の排ガス入口における内径aの値は、適用対象となる内燃機関の排気管Lの内径に合わせて適宜選択され得る。また、コーン部11の全長bの値は、およそ50〜2000mmの範囲から、第1電極10の筒口部12の全長cの値は、0mm〜およそ1950mmの範囲から、筒口部12の内径dの値は、およそ20〜50mmの範囲から適宜選択され得る。
【0030】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明によれば、排ガスとプラズマとを確実に接触させて排ガスを良好に浄化することができる排ガス浄化装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排ガス浄化装置を示す断面図である。
【図2】本発明による排ガス浄化装置の変形例を示す斜視図である。
【図3】本発明による排ガス浄化装置の他の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明による排ガス浄化装置の更に他の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 排ガス浄化装置
2 絶縁部材
5 高圧電源
10 第1電極
11 コーン部
12 筒口部
14 放電突起
20,20a,20B 第2電極
21 棒状電極
22 支持部材
L 排気管
Claims (3)
- プラズマを利用して排ガスを浄化する排ガス浄化装置において、
排ガスを流通させる排ガス流路内に配置され、排ガスの流れ方向上流側から下流側に向けて開口面積が漸減している領域を含む筒状の第1電極と、
前記第1電極の下流側に配置されており、前記第1電極と対をなす第2電極とを備えることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 前記第1電極の下流端と前記第2電極の上流端との間の距離は、およそ−50〜100mmであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化装置。
- 前記第2電極は、前記第1電極に向けて排ガスの流れ方向に延在する棒状電極を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269095A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-10-05 | Takeshi Nagasawa | プラズマ生成装置 |
WO2007055535A1 (en) * | 2005-11-11 | 2007-05-18 | Korea Institute Of Machinery And Materials | Apparatus for treating exhaust praticulate matter |
JP2011112026A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Denso Corp | 排気浄化装置用電力供給装置 |
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-
2003
- 2003-06-25 JP JP2003181898A patent/JP2005016411A/ja active Pending
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