JP2005016308A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機関始動時に吸気系の燃料滞留量が多くても、良好な始動性が確保でき、かつ始動時の排気性能も良好に維持できるようにする。
【解決手段】吸気通路2のスロットルバルブ5の下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタ6と、スロットルバルブ下流側の燃料濃度を検出するセンサ14とを備える。機関始動時にスロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が設定値よりも濃いときにいったんスロットルバルブ5を開き、上流側に蒸発燃料を拡散させて燃料濃度を薄めてから、燃料インジェクタ6による始動燃料噴射を行いつつクランキングすることにより、漏れ燃料のいかんにかかわらず、常に良好な始動性を確保する。
【選択図】 図1
【解決手段】吸気通路2のスロットルバルブ5の下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタ6と、スロットルバルブ下流側の燃料濃度を検出するセンサ14とを備える。機関始動時にスロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が設定値よりも濃いときにいったんスロットルバルブ5を開き、上流側に蒸発燃料を拡散させて燃料濃度を薄めてから、燃料インジェクタ6による始動燃料噴射を行いつつクランキングすることにより、漏れ燃料のいかんにかかわらず、常に良好な始動性を確保する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の停止中にインジェクタから漏れ出た燃料が吸気系に滞留していると、次回の始動時の空燃比が適正値から外れ、良好な始動性が得られないことがある。
【0003】
そこで、特許文献1によって、始動時に1度だけ燃料をインジェクタから噴射し、クランキング中に機関回転数が所定の初爆判定回転数に達するまでは、次の燃料噴射を行わないようにした燃料噴射制御装置が提案されている。
【0004】
もしも、機関停止中に漏れ出た燃料により可燃混合気濃度よりも濃くなっているときには、最初の燃料噴射後にいったん燃料噴射を止めておくことで、混合気の濃度が正常な範囲に早期に戻り、また機関停止中の漏れが少ないなときには、最初の噴射により適正混合気が形成され、速やかに初爆が行われ、これらにより、機関停止中のインジェクタのからの燃料漏れ量の大小にかかわらず、円滑な始動性の確保をねらっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−210163号公報
【0006】
【発明の解決すべき課題】
しかし、機関停止中のインジェクタからの燃料の漏れ量は、インジェクタの生産時の加工誤差、経時変化などの要因で、様々に変化し、仮に漏れの多いインジェクタの場合には、必ず初回の燃料噴射が行われることで、かえって燃料が過剰となり、適正混合気濃度に戻るまで、クランキング後の初爆判定に遅れがでるし、また、初爆判定後に初めて次回の燃料噴射が行われるので、漏れが多いときなど初爆判定が遅れれば、当然に完爆も遅くなり、結果的に良好な始動性が望めない。
【0007】
また、完爆するまでの間は、燃焼が不安定となり、未燃HCを多く含む排気がそのまま排出されることになる。
【0008】
本発明の目的は、機関始動時に吸気系の燃料滞留量が多くても、良好な始動性が確保でき、かつ始動時の排気性能も良好に維持できるようにした内燃機関の始動制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸気通路に介装したスロットルバルブと、前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタと、前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側の燃料濃度を検出する手段とを有する。そしてさらに、機関始動時に前記スロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が設定値よりも濃いときにいったん前記スロットルバルブを開いて燃料濃度を薄めてから、前記燃料インジェクタによる始動燃料噴射を行いつつクランキングする始動制御手段を備える。
【0010】
【作用・効果】
したがって、機関始動時に、スロットル下流の吸気通路に滞留燃料が多くある場合には、スロットルバルブを開き、吸気通路の上流側に濃い混合気を拡散、逆流させ、クランキング前の混合気濃度を薄めてから、クランキング動作に移行するので、クランキング時の初回から適正濃度の混合気がシリンダ内に供給され、機関の初爆、完爆が速やかに行われる。また、シリンダ内に吸入される初回の混合気から燃焼が可能なため、未燃焼の混合気がそのまま排気通路に流れることがなく、始動時の排気組成も大幅に改善できる。
【0011】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、4サイクルガソリンエンジンに本発明を適用したもので、まず、図1において、1は機関本体で、吸気通路2と排気通路3とを備える。吸気通路2には、エアクリーナ7の下流にスロットルチャンバ4が設けられ、スロットルチャンバ4には電制スロットルバルブ5が配置される。
【0013】
電制スロットルバルブ5は、アクセルペダルとは連動せずに、コントローラ11からの信号に応動して、図示しないスロットルアクチュエータにより、その開度が自由に変えられるもので、基本的には、アクセル開度、機関回転数に基づいて吸入空気量を制御するようにバルブ開度が調整される。
【0014】
電制スロットルバルブ5の下流には、各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する燃料インジェクタ(燃料噴射手段)6が設けられる。燃料インジェクタ6から噴射される燃料量は、前記コントローラ11により、前記吸入空気量に応じて制御され、これにより運転条件に応じて、所定の空燃比の混合気が機関本体1に供給される。
【0015】
8は吸気弁、9は排気弁である。燃焼室内には、点火栓12が設置され、前記コントローラ11からの信号により、運転条件応じて圧縮上死点付近で点火し、圧縮混合気を着火燃焼させる。
【0016】
前記吸気通路2には、電制スロットルバルブ5の上流側と、下流側とのそれぞれに、燃料濃度検出手段としての、HC濃度センサ14と15が設置される。
【0017】
上流のHC濃度センサ14は、電制スロットル上流側の吸気中のHC濃度を測定し、また下流側のHC濃度センサ15は電制スロットル下流側の吸気中のHC濃度を測定する。
【0018】
これらHC濃度センサ14と15の出力は、前記コントローラ11に入力され、これら検出したHC濃度に基づいてコントローラ11は、機関始動時に吸気通路内の混合気濃度を適正な範囲となるように、電制スロットルバルブ5の開度を制御し、また燃料インジェクタ6から噴射供給する始動燃料量を制御する。
【0019】
すなわち、本発明では、機関の始動時において、機関停止中に燃料インジェクタ6からの燃料漏れを生じ、停止中は閉じている電制スロットル下流の吸気通路内に蒸発燃料(ハイドロカーボン)が滞留する場合に、HC濃度、すなわち混合気の濃度に応じて電制スロットルバルブ5を開き、その上流側の吸気通路に燃料の一部を拡散、逆流させることで、混合気の濃度を適正範囲に保ち、この状態で始動を行うことで、常に良好な始動性と、排気性能を維持するようになっている。
【0020】
図2以下のフローチャートを参照して、機関始動時にコントローラ11で実行される始動燃料制御について説明する。
【0021】
この始動制御は、エンジンキースイッチをONにしたときに起動されるもので、ステップ1でエンジンキースイッチのONが検出されると、ステップ2でHC濃度センサ14と15からの検出信号に基づいて吸気通路内のHC濃度が検出される。
【0022】
ステップ3では、検出したHC濃度から、電制スロットル下流側に滞留している混合気濃度を算出する。もし、機関停止中に燃料インジェクタ6から燃料が漏れ出ていれば、漏れ量に応じてHC濃度が高まり、混合気の濃度もそれだけ高くなる。
【0023】
ステップ4では、算出された混合気濃度を所定の設定値と比較し、もしも設定値よりも混合気濃度が低いときは、ステップ6に進み、設定値よりも濃度が高いときには、ステップ5に進んで、電制スロットルバルブ5を一定の開度だけ開き、ステップ2に戻る。
【0024】
電制スロットルバルブ5の下流側の混合気に対して、燃料インジェクタ6から燃料が噴射されると、その分だけ混合気の濃度が濃くなる。燃料インジェクタ6から噴射できる最小燃料噴射量は、所定の噴射量制御性能を維持する上から予め決まっており、それよりも少ない噴射量にはできない。最小噴射量の燃料を噴射したときに、電制スロットル下流側の混合気濃度が可燃限界を超えて濃くなると、安定した始動は行えない。
【0025】
そこで、前記所定値は、一例として、始動時に燃料インジェクタ5から制御可能な最小燃料噴射量を噴射したときに、混合気の濃度が適正範囲のうちの、ほぼ上限値に設定される。
【0026】
したがって、前記算出された混合気濃度が、所定値以下ならば、その濃度に応じて噴射される始動燃料量を調整することで、適正な範囲の始動用混合気の供給が可能となる。
【0027】
これに対して、算出された混合気の濃度が所定値よりも高いときには、そのままでは、始動することが困難なため、ステップ5で電制スロットルバルブ5を一定開度だけ開き、電制スロットルバルブ5の下流側の濃い混合気を、上流側に拡散、掃気することで、混合気の濃度を薄める。
【0028】
前記ステップ4で混合気濃度が所定値よりも低いと判定されたら、ステップ6で電制スロットルバルブ5を閉じて、ステップ7でスタータスイッチをONにしてスタータモータを起動し、かつ始動に必要な燃料噴射量を燃料インジェクタ6から噴射させて、機関の始動を行う。
【0029】
このようにして、本発明では、機関の始動時に、クランキング動作を行う前に、機関停止中に燃料インジェクタ6からの吸気通路内に漏れ出た燃料に応じての混合気の濃度を算出し、もしも漏れ燃料が設定値以上のときには、スタータモータを起動せずに、電制スロットルバルブ5を開き、濃度の高い混合気を吸気通路2の上流側、すなわち、エアクリーナ側に拡散、掃気し、混合気濃度を設定値以下に薄める。なお、エアクリーナ側に拡散した混合気は、その後のクランキングにより、機関本体1に吸入されるので、外部に漏れ出ることはない。
【0030】
そして電制スロットルバルブ5の下流側の吸気通路2の混合気の濃度が所定値よりも低下したら、あるいは、もともと機関停止中における燃料インジェクタ6からの燃料の漏れ量が少なく、混合気濃度が設定値以下のときは、通常のクランキング動作に移行する。
【0031】
始動時に適正に着火する混合気濃度としては、例えば空燃比A/F=10程度までで、それよりも濃いときには、着火が難しくなる。始動前に吸気中に漏れ出た燃料により混合気濃度が濃いときに、燃料を噴射して始動動作に入ると、着火不能な状態で、クランキングが繰り返され、始動前に滞留していた漏れ燃料の多くが排気通路3に排除されるまでは、機関は完爆しない。
【0032】
この間は、未燃HCを多く含む排気が機関本体1から排気通路3に流れ出るので、排気通路3にHC吸着触媒などを備えていない場合には、そのまま大気中に放出されることになる。
【0033】
しかし、本実施形態では、機関始動時に、吸気通路2に滞留燃料が多くある場合には、電制スロットルバルブ5を開き、吸気通路2の上流側に濃い混合気を拡散、逆流させ、クランキング前の混合気濃度を薄める。
【0034】
そして混合気濃度が薄められ、少なくとも、燃料インジェクタ6から噴射される燃料を加えても、始動に必要な適正範囲の空燃比が得られる状態になったときに、クランキング動作に移行する。
【0035】
これにより、クランキング時に適正濃度の混合気がシリンダ内に供給され、機関の初爆が速やかに行われ、引き続いての燃料噴射に伴い、完爆へと移行する。
【0036】
また、クランキング動作に移行してシリンダ内に吸入される初回の混合気から燃焼が可能なため、未燃焼の混合気がそのまま排気通路3に流れることがなく、始動時の排気組成も大幅に改善できる。
【0037】
このようして、機関停止中の燃料インジェクタ6から漏れた燃料が滞留していても、この漏れ燃料に噴射燃料、少なくとも制御可能な最小噴射燃料を加算したときに、適正な可燃混合気濃度となるようにすることで、安定した良好な始動性を確保できる。
【0038】
また、電制スロットルバルブ5を開いてスロットル下流側の混合気の濃度を希釈化するときの、混合気の濃度の設定値を、制御可能な最小噴量を加算したときに、適正な可燃範囲のほぼ上限(濃い側の限界値)となるように設定すると、それだけ混合気の希釈を少なくでき、電制スロットルバルブ5を開いた状態での、始動開始までの待ち時間を短くでき、早期の始動が可能となる。
【0039】
なお、電制スロットル下流側の混合気を希釈化するときに、検出された混合気濃度に応じて電制スロットルバルブ5の開度を制御する、すなわち、混合気濃度が高いほど電制スロットルバルブ5の開度を大きくして、早期に蒸発燃料をスロットル上流側に拡散させるようにすれば、それだけ始動開始までの待ち時間も短縮される。
【0040】
次に第2の実施形態を図3を参照して説明する。
【0041】
この実施形態では、電制スロットルバルブ5の上流側と下流側の混合気の濃度に応じて、始動燃料の噴射量を噴射タイミング毎に制御することにより、常に適正な始動用の燃料供給を可能としたものである。
【0042】
これを説明すると、ステップ11〜16は、図2のステップ1〜6と実質的に同じである。すなわち、ステップ11でエンジンキースイッチのONが検出されると、ステップ12でHC濃度センサ14と15により、吸気通路内のHC濃度を検出し、ステップ13では、検出したHC濃度から、電制スロットル下流の滞留混合気の濃度を算出し、ステップ14で、算出された混合気濃度を設定値と比較し、もしも設定値よりも混合気濃度が濃いときは、ステップ15に進んで、電制スロットルバルブ5を一定の開度だけ開き、電制スロットル下流側の混合気の濃度を薄め、ステップ12に戻り、このようにして、電制スロットル下流側の混合気の濃度が設定値の範囲に入ったら、ステップ16で電制スロットルバルブ5を閉じる。
【0043】
次に、ステップ17で電制スロットルバルブ5の上流側と、下流側のHC濃度センサ14と15の出力からそれぞれの混合気濃度が演算される。
【0044】
ステップ18で、それぞれの混合気の濃度に基づいて、シリンダ吸入混合気の濃度が適正な濃度範囲とするのに必要な、燃料噴射量を演算する。
【0045】
燃料インジェクタ6からの燃料漏れがある、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気濃度は、上流側の混合気濃度よりも濃い。機関の始動に伴い、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気から順次、シリンダ内に吸入されるので、上流側の混合気が吸入されるときには、同じ燃料を噴射していたのでは、混合気の濃度が異なってしまう。
【0046】
そこで、検出した混合気濃度に基づいて、常に所定の始動混合気濃度となるのに必要な要求燃料噴射量をそれぞれ演算するのである。
【0047】
ステップ19でスタータモータを起動してのクランキング動作に入り、さらにステップ20で、下流側の要求燃料噴射量に基づいて燃料噴射を開始する。
【0048】
ステップ21では、クランキング開始後に電制スロットルバルブ5の下流側の混合気の総量が、シリンダ内に吸入されるまでは、下流側の要求燃料噴射量を維持するために、始動後のシリンダ吸気総量が、下流側の消費量に相当する第1の所定値に達したかどうか判定し、所定値に達するまで、ステップ19からの動作を繰り返す。なお、前記吸気総量は機関単位回転数当たりのシリンダ吸気量と、機関積算回転数に基づいて演算でき、また、前記第1の所定値は電制スロットルバルブ5の下流側の吸気通路容積に基づいて決まる。
【0049】
ついで、ステップ21で吸気総量が第1の所定値に達したら、ステップ22に進んで電制スロットルバルブ5の上流側の要求燃料噴射量に基づいての燃料噴射に切り換える。上流側の要求燃料噴射量は、通常は、上流側への漏れ量は少ないために、その分を補って下流側よりも増える。
【0050】
さらにステップ23では、前記と同じように、電制スロットルバルブ5の上流側の混合気の総量が、シリンダ内に吸入されるまでは、上流側の要求燃料噴射量を維持するために、切換後のシリンダ吸気総量が、上流側の消費量に相当する第2の所定値に達したかどうか判定し、第2の所定値に達するまで、ステップ22からの動作を繰り返す。前記第2の所定値は、電制スロットルバルブ5の上流側の吸気通路容積に基づいて設定される。
【0051】
ステップ23で燃料噴射量の切換後の吸気総量が第2の所定値に達したならば、吸気通路内の滞留混合気の全量を消費したものとして、ステップ24に進んで、新気中には燃料が含まれていないことを前提とする、通常の燃料噴射制御に移行する。
【0052】
したがって、始動時に電制スロットルバルブ5の下流側と上流側とでは混合気の濃度が相違し、単に始動時の機関回転数と機関冷却水温などからのみ始動時の燃料噴射量を設定していたのでは、機関停止中の燃料インジェクタ漏れ燃料量による混合気の濃度の影響により、要求混合気の濃度から大幅にずれることがあるが、本実施形態では、このような混合気濃度が変動しない混合気の供給が可能となり、機関の始動性、始動時の排気性能が一層向上する。
【0053】
次に、第3の実施形態について、図4を参照して説明する。
【0054】
この実施形態では、機関停止中の燃料インジェクタからの漏れ燃料による混合気が可燃限界を超えて濃いときには、点火時期を進角して、燃焼安定性を確保できるようにしたものである。
【0055】
ステップ31〜ステップ33では、図2と同じように、エンジンキースイッチONになってから、吸気通路内の混合気の濃度を算出し、ステップ34では、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気の濃度を可燃範囲かどうかを判定する。
【0056】
可燃範囲ならば、前記した図2のステップ4以降、もしくは図3のステップ14以降の始動燃料制御へ移行する。
【0057】
しかし、可燃範囲を超えて濃いと判定されたときには、ステップ35で点火時期を通常の始動用の点火時期よりも大きく進角させる。そして、この要求進角値に設定した状態で、ステップ36でクランキングを開始する。
【0058】
燃料インジェクタの閉弁不良などがあると、機関停止中の燃料の漏れ量が、通常は起こり得ない範囲を超え、漏れ燃料により混合気の可燃限界を超えた濃い混合気となることがある。
【0059】
この場合には、前記のように電制スロットルバルブ5を開いて混合気を上流側に掃気するにしても時間がかかり、始動までの遅れ時間が大きくなってしまうので、点火時期を混合気の濃度が高いときの要求に合わせた進角状態に設定し、クランキングに入る。この場合には、燃料インジェクタ6からの始動燃料の噴射を行わなくても、始動が可能なため、初爆を検出してから、燃料噴射を行うようにしてもよい。このようにして早期の始動性を確保できる。
【0060】
なお、機関停止中の混合気濃度がこのような可燃限界を超える場合には、燃料インジェクタ6に異常があるものとして、始動時に警報を発生するようにしてもよい。
【0061】
また、始動前の混合気の濃度が、可燃限界を超えない許容範囲内では、図2または図3に示すような、始動燃料噴射制御に移行して、適正な混合気による安定した始動を行い、始動性、排気性能を共に良好に維持できる。
【0062】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】第3実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 機関本体
2 吸気通路
3 排気通路
5 電制スロットルバルブ
6 燃料インジェクタ
11 コントローラ
14 HC濃度センサ
15 HC濃度センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の停止中にインジェクタから漏れ出た燃料が吸気系に滞留していると、次回の始動時の空燃比が適正値から外れ、良好な始動性が得られないことがある。
【0003】
そこで、特許文献1によって、始動時に1度だけ燃料をインジェクタから噴射し、クランキング中に機関回転数が所定の初爆判定回転数に達するまでは、次の燃料噴射を行わないようにした燃料噴射制御装置が提案されている。
【0004】
もしも、機関停止中に漏れ出た燃料により可燃混合気濃度よりも濃くなっているときには、最初の燃料噴射後にいったん燃料噴射を止めておくことで、混合気の濃度が正常な範囲に早期に戻り、また機関停止中の漏れが少ないなときには、最初の噴射により適正混合気が形成され、速やかに初爆が行われ、これらにより、機関停止中のインジェクタのからの燃料漏れ量の大小にかかわらず、円滑な始動性の確保をねらっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−210163号公報
【0006】
【発明の解決すべき課題】
しかし、機関停止中のインジェクタからの燃料の漏れ量は、インジェクタの生産時の加工誤差、経時変化などの要因で、様々に変化し、仮に漏れの多いインジェクタの場合には、必ず初回の燃料噴射が行われることで、かえって燃料が過剰となり、適正混合気濃度に戻るまで、クランキング後の初爆判定に遅れがでるし、また、初爆判定後に初めて次回の燃料噴射が行われるので、漏れが多いときなど初爆判定が遅れれば、当然に完爆も遅くなり、結果的に良好な始動性が望めない。
【0007】
また、完爆するまでの間は、燃焼が不安定となり、未燃HCを多く含む排気がそのまま排出されることになる。
【0008】
本発明の目的は、機関始動時に吸気系の燃料滞留量が多くても、良好な始動性が確保でき、かつ始動時の排気性能も良好に維持できるようにした内燃機関の始動制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸気通路に介装したスロットルバルブと、前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタと、前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側の燃料濃度を検出する手段とを有する。そしてさらに、機関始動時に前記スロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が設定値よりも濃いときにいったん前記スロットルバルブを開いて燃料濃度を薄めてから、前記燃料インジェクタによる始動燃料噴射を行いつつクランキングする始動制御手段を備える。
【0010】
【作用・効果】
したがって、機関始動時に、スロットル下流の吸気通路に滞留燃料が多くある場合には、スロットルバルブを開き、吸気通路の上流側に濃い混合気を拡散、逆流させ、クランキング前の混合気濃度を薄めてから、クランキング動作に移行するので、クランキング時の初回から適正濃度の混合気がシリンダ内に供給され、機関の初爆、完爆が速やかに行われる。また、シリンダ内に吸入される初回の混合気から燃焼が可能なため、未燃焼の混合気がそのまま排気通路に流れることがなく、始動時の排気組成も大幅に改善できる。
【0011】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、4サイクルガソリンエンジンに本発明を適用したもので、まず、図1において、1は機関本体で、吸気通路2と排気通路3とを備える。吸気通路2には、エアクリーナ7の下流にスロットルチャンバ4が設けられ、スロットルチャンバ4には電制スロットルバルブ5が配置される。
【0013】
電制スロットルバルブ5は、アクセルペダルとは連動せずに、コントローラ11からの信号に応動して、図示しないスロットルアクチュエータにより、その開度が自由に変えられるもので、基本的には、アクセル開度、機関回転数に基づいて吸入空気量を制御するようにバルブ開度が調整される。
【0014】
電制スロットルバルブ5の下流には、各気筒の吸気ポートに燃料を噴射する燃料インジェクタ(燃料噴射手段)6が設けられる。燃料インジェクタ6から噴射される燃料量は、前記コントローラ11により、前記吸入空気量に応じて制御され、これにより運転条件に応じて、所定の空燃比の混合気が機関本体1に供給される。
【0015】
8は吸気弁、9は排気弁である。燃焼室内には、点火栓12が設置され、前記コントローラ11からの信号により、運転条件応じて圧縮上死点付近で点火し、圧縮混合気を着火燃焼させる。
【0016】
前記吸気通路2には、電制スロットルバルブ5の上流側と、下流側とのそれぞれに、燃料濃度検出手段としての、HC濃度センサ14と15が設置される。
【0017】
上流のHC濃度センサ14は、電制スロットル上流側の吸気中のHC濃度を測定し、また下流側のHC濃度センサ15は電制スロットル下流側の吸気中のHC濃度を測定する。
【0018】
これらHC濃度センサ14と15の出力は、前記コントローラ11に入力され、これら検出したHC濃度に基づいてコントローラ11は、機関始動時に吸気通路内の混合気濃度を適正な範囲となるように、電制スロットルバルブ5の開度を制御し、また燃料インジェクタ6から噴射供給する始動燃料量を制御する。
【0019】
すなわち、本発明では、機関の始動時において、機関停止中に燃料インジェクタ6からの燃料漏れを生じ、停止中は閉じている電制スロットル下流の吸気通路内に蒸発燃料(ハイドロカーボン)が滞留する場合に、HC濃度、すなわち混合気の濃度に応じて電制スロットルバルブ5を開き、その上流側の吸気通路に燃料の一部を拡散、逆流させることで、混合気の濃度を適正範囲に保ち、この状態で始動を行うことで、常に良好な始動性と、排気性能を維持するようになっている。
【0020】
図2以下のフローチャートを参照して、機関始動時にコントローラ11で実行される始動燃料制御について説明する。
【0021】
この始動制御は、エンジンキースイッチをONにしたときに起動されるもので、ステップ1でエンジンキースイッチのONが検出されると、ステップ2でHC濃度センサ14と15からの検出信号に基づいて吸気通路内のHC濃度が検出される。
【0022】
ステップ3では、検出したHC濃度から、電制スロットル下流側に滞留している混合気濃度を算出する。もし、機関停止中に燃料インジェクタ6から燃料が漏れ出ていれば、漏れ量に応じてHC濃度が高まり、混合気の濃度もそれだけ高くなる。
【0023】
ステップ4では、算出された混合気濃度を所定の設定値と比較し、もしも設定値よりも混合気濃度が低いときは、ステップ6に進み、設定値よりも濃度が高いときには、ステップ5に進んで、電制スロットルバルブ5を一定の開度だけ開き、ステップ2に戻る。
【0024】
電制スロットルバルブ5の下流側の混合気に対して、燃料インジェクタ6から燃料が噴射されると、その分だけ混合気の濃度が濃くなる。燃料インジェクタ6から噴射できる最小燃料噴射量は、所定の噴射量制御性能を維持する上から予め決まっており、それよりも少ない噴射量にはできない。最小噴射量の燃料を噴射したときに、電制スロットル下流側の混合気濃度が可燃限界を超えて濃くなると、安定した始動は行えない。
【0025】
そこで、前記所定値は、一例として、始動時に燃料インジェクタ5から制御可能な最小燃料噴射量を噴射したときに、混合気の濃度が適正範囲のうちの、ほぼ上限値に設定される。
【0026】
したがって、前記算出された混合気濃度が、所定値以下ならば、その濃度に応じて噴射される始動燃料量を調整することで、適正な範囲の始動用混合気の供給が可能となる。
【0027】
これに対して、算出された混合気の濃度が所定値よりも高いときには、そのままでは、始動することが困難なため、ステップ5で電制スロットルバルブ5を一定開度だけ開き、電制スロットルバルブ5の下流側の濃い混合気を、上流側に拡散、掃気することで、混合気の濃度を薄める。
【0028】
前記ステップ4で混合気濃度が所定値よりも低いと判定されたら、ステップ6で電制スロットルバルブ5を閉じて、ステップ7でスタータスイッチをONにしてスタータモータを起動し、かつ始動に必要な燃料噴射量を燃料インジェクタ6から噴射させて、機関の始動を行う。
【0029】
このようにして、本発明では、機関の始動時に、クランキング動作を行う前に、機関停止中に燃料インジェクタ6からの吸気通路内に漏れ出た燃料に応じての混合気の濃度を算出し、もしも漏れ燃料が設定値以上のときには、スタータモータを起動せずに、電制スロットルバルブ5を開き、濃度の高い混合気を吸気通路2の上流側、すなわち、エアクリーナ側に拡散、掃気し、混合気濃度を設定値以下に薄める。なお、エアクリーナ側に拡散した混合気は、その後のクランキングにより、機関本体1に吸入されるので、外部に漏れ出ることはない。
【0030】
そして電制スロットルバルブ5の下流側の吸気通路2の混合気の濃度が所定値よりも低下したら、あるいは、もともと機関停止中における燃料インジェクタ6からの燃料の漏れ量が少なく、混合気濃度が設定値以下のときは、通常のクランキング動作に移行する。
【0031】
始動時に適正に着火する混合気濃度としては、例えば空燃比A/F=10程度までで、それよりも濃いときには、着火が難しくなる。始動前に吸気中に漏れ出た燃料により混合気濃度が濃いときに、燃料を噴射して始動動作に入ると、着火不能な状態で、クランキングが繰り返され、始動前に滞留していた漏れ燃料の多くが排気通路3に排除されるまでは、機関は完爆しない。
【0032】
この間は、未燃HCを多く含む排気が機関本体1から排気通路3に流れ出るので、排気通路3にHC吸着触媒などを備えていない場合には、そのまま大気中に放出されることになる。
【0033】
しかし、本実施形態では、機関始動時に、吸気通路2に滞留燃料が多くある場合には、電制スロットルバルブ5を開き、吸気通路2の上流側に濃い混合気を拡散、逆流させ、クランキング前の混合気濃度を薄める。
【0034】
そして混合気濃度が薄められ、少なくとも、燃料インジェクタ6から噴射される燃料を加えても、始動に必要な適正範囲の空燃比が得られる状態になったときに、クランキング動作に移行する。
【0035】
これにより、クランキング時に適正濃度の混合気がシリンダ内に供給され、機関の初爆が速やかに行われ、引き続いての燃料噴射に伴い、完爆へと移行する。
【0036】
また、クランキング動作に移行してシリンダ内に吸入される初回の混合気から燃焼が可能なため、未燃焼の混合気がそのまま排気通路3に流れることがなく、始動時の排気組成も大幅に改善できる。
【0037】
このようして、機関停止中の燃料インジェクタ6から漏れた燃料が滞留していても、この漏れ燃料に噴射燃料、少なくとも制御可能な最小噴射燃料を加算したときに、適正な可燃混合気濃度となるようにすることで、安定した良好な始動性を確保できる。
【0038】
また、電制スロットルバルブ5を開いてスロットル下流側の混合気の濃度を希釈化するときの、混合気の濃度の設定値を、制御可能な最小噴量を加算したときに、適正な可燃範囲のほぼ上限(濃い側の限界値)となるように設定すると、それだけ混合気の希釈を少なくでき、電制スロットルバルブ5を開いた状態での、始動開始までの待ち時間を短くでき、早期の始動が可能となる。
【0039】
なお、電制スロットル下流側の混合気を希釈化するときに、検出された混合気濃度に応じて電制スロットルバルブ5の開度を制御する、すなわち、混合気濃度が高いほど電制スロットルバルブ5の開度を大きくして、早期に蒸発燃料をスロットル上流側に拡散させるようにすれば、それだけ始動開始までの待ち時間も短縮される。
【0040】
次に第2の実施形態を図3を参照して説明する。
【0041】
この実施形態では、電制スロットルバルブ5の上流側と下流側の混合気の濃度に応じて、始動燃料の噴射量を噴射タイミング毎に制御することにより、常に適正な始動用の燃料供給を可能としたものである。
【0042】
これを説明すると、ステップ11〜16は、図2のステップ1〜6と実質的に同じである。すなわち、ステップ11でエンジンキースイッチのONが検出されると、ステップ12でHC濃度センサ14と15により、吸気通路内のHC濃度を検出し、ステップ13では、検出したHC濃度から、電制スロットル下流の滞留混合気の濃度を算出し、ステップ14で、算出された混合気濃度を設定値と比較し、もしも設定値よりも混合気濃度が濃いときは、ステップ15に進んで、電制スロットルバルブ5を一定の開度だけ開き、電制スロットル下流側の混合気の濃度を薄め、ステップ12に戻り、このようにして、電制スロットル下流側の混合気の濃度が設定値の範囲に入ったら、ステップ16で電制スロットルバルブ5を閉じる。
【0043】
次に、ステップ17で電制スロットルバルブ5の上流側と、下流側のHC濃度センサ14と15の出力からそれぞれの混合気濃度が演算される。
【0044】
ステップ18で、それぞれの混合気の濃度に基づいて、シリンダ吸入混合気の濃度が適正な濃度範囲とするのに必要な、燃料噴射量を演算する。
【0045】
燃料インジェクタ6からの燃料漏れがある、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気濃度は、上流側の混合気濃度よりも濃い。機関の始動に伴い、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気から順次、シリンダ内に吸入されるので、上流側の混合気が吸入されるときには、同じ燃料を噴射していたのでは、混合気の濃度が異なってしまう。
【0046】
そこで、検出した混合気濃度に基づいて、常に所定の始動混合気濃度となるのに必要な要求燃料噴射量をそれぞれ演算するのである。
【0047】
ステップ19でスタータモータを起動してのクランキング動作に入り、さらにステップ20で、下流側の要求燃料噴射量に基づいて燃料噴射を開始する。
【0048】
ステップ21では、クランキング開始後に電制スロットルバルブ5の下流側の混合気の総量が、シリンダ内に吸入されるまでは、下流側の要求燃料噴射量を維持するために、始動後のシリンダ吸気総量が、下流側の消費量に相当する第1の所定値に達したかどうか判定し、所定値に達するまで、ステップ19からの動作を繰り返す。なお、前記吸気総量は機関単位回転数当たりのシリンダ吸気量と、機関積算回転数に基づいて演算でき、また、前記第1の所定値は電制スロットルバルブ5の下流側の吸気通路容積に基づいて決まる。
【0049】
ついで、ステップ21で吸気総量が第1の所定値に達したら、ステップ22に進んで電制スロットルバルブ5の上流側の要求燃料噴射量に基づいての燃料噴射に切り換える。上流側の要求燃料噴射量は、通常は、上流側への漏れ量は少ないために、その分を補って下流側よりも増える。
【0050】
さらにステップ23では、前記と同じように、電制スロットルバルブ5の上流側の混合気の総量が、シリンダ内に吸入されるまでは、上流側の要求燃料噴射量を維持するために、切換後のシリンダ吸気総量が、上流側の消費量に相当する第2の所定値に達したかどうか判定し、第2の所定値に達するまで、ステップ22からの動作を繰り返す。前記第2の所定値は、電制スロットルバルブ5の上流側の吸気通路容積に基づいて設定される。
【0051】
ステップ23で燃料噴射量の切換後の吸気総量が第2の所定値に達したならば、吸気通路内の滞留混合気の全量を消費したものとして、ステップ24に進んで、新気中には燃料が含まれていないことを前提とする、通常の燃料噴射制御に移行する。
【0052】
したがって、始動時に電制スロットルバルブ5の下流側と上流側とでは混合気の濃度が相違し、単に始動時の機関回転数と機関冷却水温などからのみ始動時の燃料噴射量を設定していたのでは、機関停止中の燃料インジェクタ漏れ燃料量による混合気の濃度の影響により、要求混合気の濃度から大幅にずれることがあるが、本実施形態では、このような混合気濃度が変動しない混合気の供給が可能となり、機関の始動性、始動時の排気性能が一層向上する。
【0053】
次に、第3の実施形態について、図4を参照して説明する。
【0054】
この実施形態では、機関停止中の燃料インジェクタからの漏れ燃料による混合気が可燃限界を超えて濃いときには、点火時期を進角して、燃焼安定性を確保できるようにしたものである。
【0055】
ステップ31〜ステップ33では、図2と同じように、エンジンキースイッチONになってから、吸気通路内の混合気の濃度を算出し、ステップ34では、電制スロットルバルブ5の下流側の混合気の濃度を可燃範囲かどうかを判定する。
【0056】
可燃範囲ならば、前記した図2のステップ4以降、もしくは図3のステップ14以降の始動燃料制御へ移行する。
【0057】
しかし、可燃範囲を超えて濃いと判定されたときには、ステップ35で点火時期を通常の始動用の点火時期よりも大きく進角させる。そして、この要求進角値に設定した状態で、ステップ36でクランキングを開始する。
【0058】
燃料インジェクタの閉弁不良などがあると、機関停止中の燃料の漏れ量が、通常は起こり得ない範囲を超え、漏れ燃料により混合気の可燃限界を超えた濃い混合気となることがある。
【0059】
この場合には、前記のように電制スロットルバルブ5を開いて混合気を上流側に掃気するにしても時間がかかり、始動までの遅れ時間が大きくなってしまうので、点火時期を混合気の濃度が高いときの要求に合わせた進角状態に設定し、クランキングに入る。この場合には、燃料インジェクタ6からの始動燃料の噴射を行わなくても、始動が可能なため、初爆を検出してから、燃料噴射を行うようにしてもよい。このようにして早期の始動性を確保できる。
【0060】
なお、機関停止中の混合気濃度がこのような可燃限界を超える場合には、燃料インジェクタ6に異常があるものとして、始動時に警報を発生するようにしてもよい。
【0061】
また、始動前の混合気の濃度が、可燃限界を超えない許容範囲内では、図2または図3に示すような、始動燃料噴射制御に移行して、適正な混合気による安定した始動を行い、始動性、排気性能を共に良好に維持できる。
【0062】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】第3実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 機関本体
2 吸気通路
3 排気通路
5 電制スロットルバルブ
6 燃料インジェクタ
11 コントローラ
14 HC濃度センサ
15 HC濃度センサ
Claims (9)
- 吸気通路に介装したスロットルバルブと、
前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタと、
前記吸気通路の前記スロットルバルブの下流側の燃料濃度を検出する手段と、
機関始動時に前記スロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が設定値よりも濃いときにいったん前記スロットルバルブを開いて燃料濃度を薄めてから、前記燃料インジェクタによる始動燃料噴射を行いつつクランキングする始動制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記燃料インジェクタから噴射され、前記滞留する燃料に加算される、始動燃料量は、スロットル下流側に生成される混合気の濃度が所定の可燃範囲となるように設定される請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記設定値は、燃料インジェクタからの最小燃料噴射量を噴射したときのスロットル下流側の混合気濃度が、可燃範囲内で、ほぼ最も高い濃度に相当する値に設定される請求項1または2に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記スロットルバルブは、前記滞留燃料濃度が高いほど、大きな開度に開かれる請求項1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記スロットルバルブの上流側の燃料濃度を検出する手段をさらに備え、
前記始動制御手段は、前記クランキング開始後、スロットル下流側と上流側の燃料濃度に応じて、前記燃料インジェクタからの燃料噴射量を切換える請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。 - 前記燃料噴射量は、前記切換の前後で同一の混合気濃度となるように制御される請求項5に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記始動制御手段は、前記スロットル下流側の吸気通路容量と、上流側の吸気通路容量とに基づき、前記クランキング開始後の前記燃料噴射量の切換時期を制御する請求項5または6に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記切換時期は、前記クランキング開始後の機関積算回転数と、シリンダ容積に基づいて、吸気総量を算出し、この吸気総量と、前記上流側と下流側の吸気通路容積とに基づいて判定される請求項7に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 吸気通路に設けたスロットルバルブと、
前記吸気通路のスロットルバルブの下流側に燃料を噴射供給する燃料インジェクタと、
前記吸気通路のスロットルバルブの下流側の燃料濃度を検出する手段と、
機関始動時に前記スロットルバルブ下流側に滞留する燃料の濃度が、可燃限界を超えて濃いときには、点火時期を進角させて、クランキングする一方、前記可燃限界よりも濃くないときは、いったん前記スロットルバルブを開いて燃料濃度を薄めてから、前記燃料インジェクタによる始動燃料噴射を行いつつクランキングする始動制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003177683A JP2005016308A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 内燃機関の始動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003177683A JP2005016308A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 内燃機関の始動制御装置 |
Publications (1)
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JP2003177683A Pending JP2005016308A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 内燃機関の始動制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102644526A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-22 | 于洪亮 | 燃气发动机燃气供给装置 |
JP5257511B2 (ja) * | 2009-04-15 | 2013-08-07 | トヨタ自動車株式会社 | 可変動弁機構を有する内燃機関の制御装置 |
-
2003
- 2003-06-23 JP JP2003177683A patent/JP2005016308A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5257511B2 (ja) * | 2009-04-15 | 2013-08-07 | トヨタ自動車株式会社 | 可変動弁機構を有する内燃機関の制御装置 |
US8554446B2 (en) | 2009-04-15 | 2013-10-08 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus for internal combustion engine including variable valve operating mechanism |
CN102644526A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-22 | 于洪亮 | 燃气发动机燃气供给装置 |
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