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JP2005015512A - 特定の分子構造を有するグラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

特定の分子構造を有するグラフト共重合体の製造方法 Download PDF

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JP2005015512A
JP2005015512A JP2003177892A JP2003177892A JP2005015512A JP 2005015512 A JP2005015512 A JP 2005015512A JP 2003177892 A JP2003177892 A JP 2003177892A JP 2003177892 A JP2003177892 A JP 2003177892A JP 2005015512 A JP2005015512 A JP 2005015512A
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graft copolymer
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mass
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chain
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JP2003177892A
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Takashi Tsuda
隆 津田
Kenji Goto
兼治 後藤
Shigeji Yamada
成志 山田
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

【課題】マクロモノマーに由来する単位(重合体連鎖)が中央鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Bに相当)に含まれ、末端鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Aに相当)に反応性の官能基が含まれる構造を有するグラフト共重合体を、生産性良く安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】両末端に二重結合を持つ数平均分子量2000〜30000のオリゴマー(A)20〜80質量部、ビニル単量体(B)80〜20質量部、および官能基含有連鎖移動剤(C)0.5〜15質量部を含有する単量体混合物を30〜150℃の温度でラジカル重合させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジカル重合による特定の構造を有するグラフト共重合体の製造方法に関する。本方法によれば、特定構造のグラフト共重合体が安価に生産性良く合成でき、該グラフト共重合体は、塗料、接着剤、シーリング剤、成形材料などの高分子製品の主成分または添加剤として使用できる。
【0002】
【従来の技術】
異種の重合体単位(重合体連鎖)が化学結合でつながったブロック共重合体およびグラフト共重合体は、その界面移行性やミクロ層分離構造に基づく物理架橋効果などにより、特徴的な界面・バルク物性を示す。代表的な特性である物理架橋効果は重合体連鎖の配列によって規定され、ABA型ブロック共重合体の例で分かるように末端鎖Aと中央鎖Bの選択が重要である。この性質を利用した樹脂製品として、例えば耐衝撃樹脂、熱可塑性ゴム、表面改質剤や相溶化剤が既に実用に供されている。
ブロック共重合体は通常アニオン重合などのイオン重合によって合成されるが、水分の管理が難しく適用可能なポリマーの種類が限定されるといった短所を有する。一方最近活発に研究されているラジカルリビング重合では、水分の影響を受けないという長所を有するものの、開始剤が高価であり末端変換反応が煩雑であるといった問題がある。グラフト共重合体は通常過酸化物を用いた連鎖移動法、放射線グラフト法、ポリマー開始剤法などの方法により製造されるが、一般にグラフト効率が低く分子量や組成の制御が困難であるという欠点を持つ。
効率のよいグラフト共重合体の製造方法としてマクロモノマーを用いる方法が知られている(特許文献1、2など)。この場合、マクロモノマーに由来する単位(重合体連鎖)が末端鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Aに相当)に含まれる構造を有するグラフト共重合体が得られることが分かっている。
マクロモノマーに由来する単位(重合体連鎖)が中央鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Bに相当)に含まれる構造を有するグラフト共重合体の効率的な製造方法は知られていない。
【特許文献1】
特開昭59−75975号公報
【特許文献2】
米国特許第3231635号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、マクロモノマーに由来する単位(重合体連鎖)が中央鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Bに相当)に含まれ、末端鎖(ABA型ブロック共重合体に当てはめた場合Aに相当)に反応性の官能基が含まれる構造を有するグラフト共重合体を、生産性良く安価に製造する方法を提供しようとするものである。また、本発明は強靭で高弾性の硬化物を与える反応性グラフト共重合体の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明のグラフト共重合体の製造方法は、両末端に二重結合を持つ数平均分子量2000〜30000のオリゴマー(A)20〜80質量部、ビニル単量体(B)80〜20質量部、および官能基含有連鎖移動剤(C)0.5〜15質量部を含有する単量体混合物を30〜150℃の温度でラジカル重合させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明のグラフト共重合体の製造方法は、請求項1に記載の発明において、オリゴマー(A)の一部または全部が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリジエン、水素添加ポリジエン、ポリイソブチレンまたはポリジメチルシロキサンから選ばれた骨格を有するものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明のグラフト共重合体の製造方法は、請求項1または2に記載の発明において、ビニル単量体(B)は、ビニル単量体(B)を重合させて得られる重合体のガラス転移温度が−30〜120℃の範囲にあるものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明のグラフト共重合体の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、官能基含有連鎖移動剤(C)の官能基がアルコキシシリル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基から選ばれたものであることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
1.オリゴマー(A)
本発明の原料として使用するオリゴマー(A)は、分子両末端にラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量2000〜30000のオリゴマーである。
該オリゴマー(以下、両末端型マクロモノマーともいう。)の骨格構造はポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリジエン及びその水素添加物、ポリイソブチレンまたはポリジメチルシロキサンであり、この中でポリエステル、ポリエーテル、ポリジエンの水素添加物、ポリイソブチレンまたはポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。
【0006】
ポリエステルの例としては、多官能カルボン酸またはその低級アルキルエステルと多官能アルコールの重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステルの開環重合などによって得られる脂肪族、脂環族または芳香族のポリエステルが挙げられる。ポリエーテルの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン及びその置換オキセタン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体が挙げられる。ポリジエンの水素添加物としては、ポリブタジエンやポリイソプレンを還元(水素添加)して実質的に分子内の不飽和結合を潰した重合体が挙げられる。
【0007】
両末端型マクロモノマーは、直鎖状高分子の分子両末端にラジカル重合性二重結合を持ち1分子当たりの二重結合の数は2である。しかし通常は末端純度が100%ではなく短鎖分岐が含まれる場合もあるため、1分子当たりの二重結合の数は1.2〜2.4であり、1.5〜2.1である事が好ましい。
1分子当たりの二重結合数が1.2未満ではグラフト率が低下し、2.4を越えると重合時に架橋反応を起こし易いのでいずれも好ましくない。
両末端型マクロモノマーの合成方法は特に限定されないが、両末端にヒドロキシル基やカルボキシル基を持つ市販のテレケリックオリゴマーを原料として、末端に二重結合を導入する方法が一般的である。
【0008】
例えば末端ヒドロキシル型オリゴマーを原料とする例として、分子内にイソシアネート基と二重結合の両方を持つ化合物を末端ヒドロキシル基に付加する方法、二官能イソシアネート、分子内にヒドロキシル基と二重結合を持つ化合物の両者を末端ヒドロキシル基に付加する方法が代表例として挙げられる。分子内にイソシアネート基と二重結合の両方を持つ化合物としては、ジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(三井サイテック製TMIなど)、イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製カレンズMOIなど)などが挙げられる。二官能イソシアネートとしては、イソシアネート硬化用の硬化剤として多用されるトルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の二官能イソシアネートが挙げられる。分子内にヒドロキシル基と二重結合を持つ化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレグリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0009】
末端カルボキシル型のテレケリックオリゴマーを原料とする例としては、分子内にエポキシ基と二重結合の両方を持つ化合物を末端カルボキシル基に付加する方法が代表例として挙げられる。分子内にエポキシ基と二重結合の両方を持つ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル、不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。市販テレケリックオリゴマーの多くは末端にヒドロキシル基を持つタイプであるため、酸無水物を用いた官能基の変換反応により末端カルボキシル基型オリゴマーに変換した後、同様の反応によって末端二重結合を導入することもできる。この際用いる酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルハイミック酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸などの市販の酸無水物が挙げられる。
【0010】
これらの反応の条件は特に限定されず触媒の添加も必要に応じて行えば良い。例えばヒドロキシル基とイソシアネート基の反応は、無触媒または微量の錫系触媒添加で50〜200℃に加熱すれば定量的に進行する。エポキシ基とカルボキシル基の反応は、無触媒またはアンモニウム塩やリン系触媒で50℃以上の加熱状態でほぼ定量的に進行する。好ましい反応時間は10分〜10時間であり、30分〜5時間が更に好ましい。反応時間が10分未満では反応率が低く、10時間を越えると着色など熱劣化を起こし易いため好ましくない。
【0011】
本発明で使用する末端官能性オリゴマーの分子量は、数平均分子量で2000〜30000であり、3000〜25000が好ましい。数平均分子量が2000未満であると重合時に架橋し易く、30000を越えると粘度が高くて作業性が低下するので好ましくない。ここで、数平均分子量の値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以降、GPCと略称することがある)によって測定されるポリスチレン換算の分子量を意味する。
【0012】
2.ビニル単量体(B)
本発明におけるビニル単量体(B)は、オリゴマー(A)と共重合するために使用するラジカル重合性単量体であり、各種のラジカル重合性不飽和化合物が使用できる。各種のアクリル系単量体、酢酸ビニルを初めとするカルボン酸ビニルエステル、スチレンやα−メチルスチレンに代表されるスチレン系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸に代表される不飽和二塩基酸とその無水物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等が挙げられる。ここでアクリル系単量体とはアクリル酸とそのエステル、メタクリル酸とそのエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、α−置換アクリル酸とそのエステルを意味する。アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、イソボルニル(メタ)アクリレートを始めとする脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基を有するアクリル系ビニル単量体等が挙げられる。
【0013】
また、本発明のビニル単量体(B)には、グラフト共重合体の架橋反応性を促進する目的で、各種の官能基含有ビニル単量体を一部使用することができる。その際の官能基としては、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、テトラヒドロフタルイミド基などが使用され、好ましくはアルコキシシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が使用され、更に好ましくはアルコキシシリル基またはヒドロキシル基が使用される。各種の官能基含有ビニル単量体を使用する場合の好ましい使用量は、後に説明する官能基含有連鎖移動剤(C)の使用量に対し、0.05〜4倍モルであり、更に好ましくは0.1〜3倍モルである。
【0014】
アルコキシシリル基を含むビニル単量体の例としては、γ−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル−メチル−ジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。ヒドロキシル基を含むビニル単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。カルボキシル基を含むビニル単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。エポキシ基を含むビニル単量体の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0015】
本発明のビニル単量体(B)は、該ビニル単量体を重合させて得られる重合体のガラス点移温度(Tgともいう)が−30〜120℃となるように選定され、好ましくは−20〜100℃となるように選定される。ガラス点移温度が低過ぎると硬化物の強度が低下する場合があり、高すぎるとグラフト共重合体の粘度が増加して作業性が低下する場合がある。
【0016】
3.官能基含有連鎖移動剤(C)
本発明の必須成分である官能基含有連鎖移動剤(C)は、例えばメルカプト基ようにラジカル重合において連鎖移動反応を起こす部位と、実質的に連鎖移動反応にかかわらない他の官能基を分子中に有する。代表的な連鎖移動部位はメルカプト基であるが、ヨウ素や塩素等のハロゲン化物やアリル基等の連鎖移動し易い化学構造も可能である。一方、連鎖移動部位以外の官能基としては、既に官能基含有ビニル単量体の説明の際に述べた各種の官能基を利用できる。具体的には、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、テトラヒドロフタルイミド基などが挙げられ、好ましくはアルコキシシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基が使用され、更に好ましくはアルコキシシリル基またはヒドロキシル基が使用される。
メルカプト基と官能基を有する連鎖移動剤の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトエタノール、チオグリセリン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−アミノエタンチオール及びその塩酸塩などが挙げられる。
【0017】
官能基含有連鎖移動剤の使用量はオリゴマー(A)およびビニル単量体(B)の合計量100質量部を基準として0.5〜15質量部であり、2〜10質量部が好ましい。官能基含有連鎖移動剤の使用量がこの範囲から外れると、グラフト共重合体の粘度が増加して作業性が低下したり、グラフト共重合体の硬化物の強度が低下するため好ましくない。
【0018】
4.グラフト共重合体の製造
本発明のグラフト共重合体は、上に説明した必須成分(A)〜(C)をラジカル重合させることによって合成される。成分(A)(B)および(C)の割合は、(A)が20〜80質量部、(B)が80〜20質量部、(C)が0.5〜15質量部であり、好適には(A)が30〜70質量部、(B)が30〜70質量部、(C)が2〜10質量部である。
これらの原料成分を、30〜150℃の温度でラジカル重合させることによりグラフト共重合体が得られる。好ましい重合温度は50〜130℃である。重合温度が低すぎると反応が遅いため生産効率が低く、高すぎると連鎖移動剤に由来する末端官能基の導入効率が低下するため好ましくない。
反応時間は10分〜15時間が好ましく、30分〜10時間が更に好ましい。反応時間が短過ぎると反応率が低く、長すぎると生産効率が低下する。
【0019】
本発明のグラフト共重合体は、実質的に溶剤を用いない塊状重合で合成しても良いし、有機溶剤を使用した溶液重合でも構わない。有機溶剤の種類は、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系など、製造する樹脂の組成や他の目的に応じて選定すれば良い。有機溶剤を用いる場合の使用量は(A)〜(C)の合計量100質量部に対して300質量部以内が好ましく、200質量部以内が更に好ましい。300質量部を越える有機溶剤を使用すると、溶剤除去工程に時間がかかりグラフト共重合体の製造効率が低下するため好ましくない。
【0020】
各原料成分の反応器への仕込方法は特に限定されない。バッチ式の反応器で初期一括仕込みで製造しても良いし、少なくとも一つの原料成分を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込み法でも良いし、全原料を連続供給し、同時に反応器から生成樹脂を連続的に抜き出す連続重合法でもよい。
【0021】
本発明のラジカル重合において、通常はラジカル開始剤を使用する。通常のラジカル重合で常用される有機過酸化物やアゾ化合物が好適に使用できる。使用できる有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類などの化合物が使用できる。また、アゾ開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスシアノバレリックアシドなど、市販のアゾ系開始剤を使用することができる。
【0022】
本発明において、ビニル重合体連鎖の分子量は連鎖移動剤の使用量によってコントロールされる。原則的には、連鎖移動剤に由来する官能基がビニル重合体連鎖の片末端に存在するが、導入率は反応条件や連鎖移動剤/開始剤比率によって変化する。末端官能基の導入効率を高くするため、連鎖移動剤100質量部に対する開始剤の使用量を50質量部以下にするのが好ましく、30質量部以下にするのが更に好ましい。
【0023】
本発明の方法により得られるグラフト共重合体は、下記の(1)と(2)の2種類の重合体単位(重合体連鎖)から成るグラフト共重合体である。
(1)オリゴマー(A)に基づく高分子量で柔軟な重合体単位(中央鎖)
(2)ビニル単量体(B)の重合で生成した低分子量で比較的剛直な重合体単位(末端鎖)
該グラフト共重合体の主成分は、中央鎖Aの両端に末端鎖Bが結合したH型構造のグラフト共重合体であり、分子構造的にABA型ブロック共重合体と等価であるため、類似の機能・物性が発現する点に特徴がある。更には末端鎖(B)のビニル重合体末端に反応性基を含むため、架橋反応によって弾性に優れた架橋体を得ることができる。本発明の意義は、このような機能を持った特定構造のグラフト共重合体が工業的に容易・安価に製造できる点にある。
【0024】
本発明のグラフト共重合体は、上に述べたH型構造のグラフト共重合体以外にグラフトされていないビニル単量体(B)単位からなるビニル重合体を含有する。非グラフト成分は通常硬化物の物性を低下させるが、本発明においては最低1個の反応基を末端に有するため、架橋体中に組み込まれて悪影響を及ぼさない。一方、非グラフト成分の積極的な役割として生成樹脂の粘度低下があり、作業性の向上に寄与する。ビニル単量体(B)から生ずるビニル重合体のTg(理論値)は比較的高いが、分子量が低いため液状を呈する。
【0025】
【実施例】
以下、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。各例における成分配合の部は全て質量部である。
【0026】
参考例1 両末端にビニル基を有するポリプロピレングリコールの製造
両末端に水酸基を有するポリプロピレングリコール(旭硝子製 プレミノール 4010、OH価が11.6mgKOH/g、ポリスチレン換算のゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCと略記する)で求めた数平均分子量が12100、重量平均分子量が14000のもの)1600部(0.33当量)およびジブチル錫ジラウレート4μLを2Lのガラスフラスコに秤量し、加熱攪拌して内溶液温度を90℃に設定した。ここに、トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン製 T−100)57.6部(0.66当量)を入れ、2時間加熱攪拌した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート43.04部(0.33当量)および重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.17部を加え、更に2時間攪拌した。IR(赤外吸収スペクトル)により、イソシアネートに由来する2270cm−1付近のピークの消失を確認し、ガスクロマトグラフにより、2−ヒドロキシエチルアクリレートが98%以上反応したことを確認した。GPC(屈折率検出器によるデータ)から求めた生成物の分子量は、数平均分子量(Mnともいう。)19500 重量平均分子量(Mwともいう。)29300であった。
【0027】
実施例1〜2 ポリプロピレングリコール(PPG)系グラフト共重合体の製造
参考例1において得られた両末端ビニル型ポリプロピレングリコール、ビニル単量体、連鎖移動剤、開始剤を滴下ロートに入れ、130℃オイルバス中に浸した300mlガラスフラスコ中に攪拌下で20分かけて仕込んだ。反応中内液は激しく還流した。更に10分間加熱攪拌し反応を終了した。
反応液は無色透明の高粘度液であり、ガスクロマトグラフィーから求めた重合率は90%以上であった。重合率、分子量(GPCによるポリスチレン換算分子量)の値は表1の通りである。得られたグラフト共重合体の硬化物の引張特性を評価し、結果を表1に示した。なお、硬化方法と引張試験条件は以下の通りである。
【0028】
[硬化方法]
試料樹脂100部に対してアミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製A−1120)1.5部とジブチル錫ジアセトアセトナート(日東化成製U−220)0.2部を混合し、ダンベル状の型枠(厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレンシートをダンベル形状に打ち抜き、離型紙上に接着したもの)に流し込んだ。室温で3日間放置後、50℃100%湿度に設定したオーブンの中で1日間養生した。試験片を室温で1時間状態調節した後、引張試験に供した。
[引張試験]
・試験片: 厚さ約2mm,幅10mm,標線間距離40mm
・引張速度: 50mm/分
【0029】
【表1】
Figure 2005015512
【0030】
比較例1
連鎖移動剤としてメルカプトシラン(KBM−803)の代わりに等モルのn−ドデシルメルカプタン(n−DM)を使用し、シリルモノマー(KBM−503)を増量してシリル基濃度を同等にする事以外は実施例2と同様にしてグラフト共重合体を合成した。結果を表1に示した。
【0031】
比較例2
市販の両末端アルコキシシリル型ポリプロピレングリコール(鐘淵化学製 サイリルSAT−350)を、実施例と同様の方法で硬化し、引張試験を行った。破強度は0.31MPa,破断伸びは55%であった。
【0032】
比較例3
市販のアクリル変性両末端アルコキシシリル型ポリプロピレングリコール(鐘淵化学製 サイリルMA−440)を、実施例と同様の方法で硬化し、引張試験を行った。破断強度は0.34MPa,破断伸びは213%であった。
【0033】
表及び実施例の記述において使用した略号は次の化合物を意味し、分析項目などは以下のように算出された。また、表のオリゴマーおよびビニル単量体の数値は質量部を意味する。
・MMA: メチルメタクリレート
・BA: n−ブチルアクリート
・KBM−503: γ−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン
信越シリコーン製
・KBM−803: 3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン 信越シリコーン製
・n−DM: n−ドデシルメルカプタン
・ABN−E: 2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル) 日本ヒドラジン工業製ABN−E
・重合率: ガスクロマトグラフィーから残存する単量体の量を求め、仕込み量との比較で計算した。
・分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレン換算の分子量を求めた。
・Tg(ガラス転移温度):成分(B)のビニル重合体のTgを示す。文献値(MMA:105℃、BA:−54℃)を基に計算した。
【0034】
【発明の効果】
実施例の結果からも分るように、本発明のグラフト共重合体は優れた機械特性を有し、類似組成の市販製品と比較しても強度・伸びが高い。これは、既に説明した特定の分子構造を持つためである。本発明の方法で製造されたグラフト共重合体は、塗料・コーティング材料、接着剤、粘着剤、シーリング剤、分散剤、インキバインダー、ポリオレフィン樹脂やエンジニアリングブラスチックス等の添加剤等として優れた性能を持ち広範な用途に利用可能である。

Claims (4)

  1. 両末端に二重結合を持つ数平均分子量2000〜30000のオリゴマー(A)20〜80質量部、ビニル単量体(B)80〜20質量部、および官能基含有連鎖移動剤(C)0.5〜15質量部を含有する単量体混合物を30〜150℃の温度でラジカル重合させることを特徴とするグラフト共重合体の製造方法。
  2. オリゴマー(A)の一部または全部が、ポリエーテル、ポリエステル、ポリジエン、水素添加ポリジエン、ポリイソブチレンまたはポリジメチルシロキサンから選ばれた骨格を有するものである請求項1に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  3. ビニル単量体(B)は、ビニル単量体(B)を重合させて得られる重合体のガラス転移温度が−30〜120℃の範囲にあるものである請求項1または2に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  4. 官能基含有連鎖移動剤(C)の官能基がアルコキシシリル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基から選ばれたものである請求項1〜3のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
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