JP2005008727A - 加工顔料、顔料分散液、インクジェット用インク、加工顔料の製造方法および顔料分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面の一部に分散剤が物理的/化学的に吸着した顔料と、前記顔料の表面に共有結合により結合したカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とする。前記カチオン重合性化合物は、脂環式エポキシ化合物であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工顔料、顔料分散液、インクジェット用インク、加工顔料の製造方法および顔料分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、塗料、印刷インク、インクジェット用インク、筆記用インクを初めとする各種インク類やプラスチック樹脂などには、色材として染料や顔料が使用されている。顔料は、分散させたい溶媒成分へ良好で安定的に分散していることが要求される。したがって、最適な顔料分散状態を得るために、以前から様々な分散技術が検討されてきた。
【0003】
その一例として、ロジン処理、界面活性剤による表面処理、顔料誘導体処理、あるいはポリマー処理といった表面処理を顔料に施して、安定した分散性を確保するといった手法が挙げられる。例えば、顔料としてカーボンブラックを使用し、1分子あたり1〜2個のエポキシ基および/またはチオエポキシ基を分子内に有する重合とを50〜250℃の温度条件下で攪拌混合して反応させることによって、カーボンブラックグラフトポリマーを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、反応性ポリマーを分散剤とともに使用して、顔料の分散性を高める方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
インクジェット用インクのような粘性の比較的低いインクは、十分に高い貯蔵安定性、吐出安定性、および印字画像の品質などを確保するために、極めて良好な分散特性が要求される。上述したような手法において大量のポリマーを使用した場合には、貯蔵安定性は保たれるものの、粘性が上昇して吐出性能が低下する。一方、界面活性剤による処理を施した場合には、貯蔵安定性が低下を引き起こす。このように、顔料分散性に関わる要求をすべて満足することができる技術は、未だ確立されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−99648号公報(特公平6−27269号公報)
【0007】
【特許文献2】
特開平11−293144号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた分散性を発揮する加工顔料、これを用いた顔料分散液、およびインクジェット用インクを提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、分散性安定性の高い加工顔料の製造方法、および加工顔料が安定して分散された顔料分散液の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様にかかる加工顔料は、表面の一部に分散剤が物理的/化学的に吸着した顔料と、前記顔料の表面に共有結合により結合したカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様にかかる顔料分散液は、前述の加工顔料を、有機溶媒に分散させてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様にかかるインクジェット用インクは、前述の加工顔料と、50℃常圧において50mPa・s以下の粘度を有し、脂環式骨格および/または脂肪族骨格を有するとともに、酸の存在下で重合可能なエポキシ化合物と、光照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様にかかる加工顔料の製造方法は、顔料の表面にカチオン重合性化合物を直接反応させて前記顔料の表面に共有結合により前記カチオン重合性化合物を結合させることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様にかかる顔料分散液の製造方法は、有機溶媒に顔料を分散させて予備分散液を調製する工程と、
前記予備分散液にカチオン重合性化合物を加えて、前記顔料と前記カチオン重合性化合物とを反応させ、前記顔料の表面に前記カチオン重合性化合物を共有結合により結合させる工程と、
前記有機溶媒を除去することにより、カチオン重合性化合物中に顔料が分散された顔料分散液を得ることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
本発明の実施形態にかかる加工顔料には、顔料、分散剤、およびカチオン重合性化合物が含有される。
【0017】
顔料としては、有機顔料および無機顔料のいずれを用いてもよいが、カチオン重合性化合物と共有結合可能な官能基を表面に有することが要求される。具体的には、カルボキシル基およびその酸無水物、ラクトン、フェノール性水酸基などを表面に有する顔料が用いられる。
【0018】
こうした顔料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブのような炭素系顔料;鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料;硫化亜鉛のような硫化物顔料;フタロシアニン系顔料;金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料;ならびにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末のような金属粉末からなる顔料が挙げられる。
【0019】
より具体的には、カーボンブラックとしては、例えばデグサ社製のColorBlack FW200,Color Black FW2,Color Black FW2V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4,Special Black 4A,Printex 150Tなどを挙げることができる。
【0020】
さらに、以下のような有機系顔料に対して、オゾン酸化処理、過酸化水素処理、過マンガン酸カリウム溶液処理などの表面酸化処理を施すことによって、必要な官能基を導入して使用することもできる。有機系顔料としては、例えば、染料キレート(塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンBのようなニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッドのようなアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキのようなレーキ顔料、フタロシアニンブルーのようなフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルーのようなスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、ならびにイソインドリノン顔料などが挙げられる。
【0021】
本発明の実施形態にかかる加工顔料は、インクジェット用インクの調製に好適に用いることができる。この場合、上述した顔料の平均粒径は、可能な限り小さいことが望まれる。具体的には、顔料の平均粒径は、液体インクを吐出するノズルの開口径の1/3以下であることが好ましく、より好ましくは1/10程度である。このサイズは、典型的には10μm以下であり、5μm以下であることが好ましい。また、印刷インクとして好適な粒子径は、0.35μm以下の大きさである。
【0022】
こうした顔料の表面の一部には、分散剤が物理的および/または化学的に吸着している。分散剤としては、例えば、ノニオン系あるいはイオン系界面活性剤や帯電剤などを使用することができる。
【0023】
また、同様な性質を有するアクリルやビニルアルコールのような高分子系分散剤を使用してもよい。ただし、分散剤としてカチオン系分散剤を使用する場合には、酸性度がカルボン酸より低いのものを選択することが望ましい。カチオン系分散剤のなかには、インクの硬化暗反応を促進するものも存在するからである。また、強い塩基性を有する分散剤や色素なども、インクの感度を低下させるのみならず、同様に硬化暗反応を促進することがあるため、分散剤は中性に近いものやノニオン系が望ましい。
【0024】
一部に分散剤が吸着した顔料表面の残りの領域には、カチオン重合性化合物が共有結合により結合している。
【0025】
カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、オキソラン基などのような環状エーテル基を有する化合物、こうした置換基を側鎖に有するアクリルまたはビニル化合物、カーボネート系化合物、低分子量のメラニン化合物、ビニルエーテル類やビニルカルバゾール類、スチレン誘導体、アルファメチルスチレン誘導体、ビニルアルコールとアクリル、メタクリルなどのエステル化合物をはじめとするビニルアルコールエステル類など、カチオン重合可能なビニル結合を有するモノマー類、およびそのモノマー1種以上が重合したオリゴマーが挙げられる。
【0026】
これらの中でも、酸重合性に優れるエポキシ基を有するものを使用することが望ましい。そのような化合物としては、例えば、炭素数1乃至50程度の2価の脂肪族骨格および/または脂環式骨格を有する炭化水素基、あるいは、脂肪族鎖および/または脂環式骨格を一部に有する2価の基の少なくとも一方にエポキシ基或いは脂環式エポキシ基を有する化合物を挙げることができる。
【0027】
上述したような分子骨格に導入するエポキシ基の数に特に制限はないが、多くとも2乃至3程度の価数とすることが望ましい。そのような重合性化合物としては、例えば、下記に示す一般式(1)で表わされる化合物、および一般式(2)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0028】
【化1】
【0029】
なお、上記一般式(1)および(2)において、R1乃至R3はそれぞれエポキシ基または脂環骨格を有するエポキシ基であり、A1およびA2は、それぞれ二価の置換基および一価の置換基である。A1として導入され得る二価の置換基としては、例えば下記に示すものが挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
また、A2としては導入され得る一価の置換基としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
【0032】
【化3】
【0033】
なお、一般式(1)に関しては、A1が存在せずにR1とR2とが直接結合した構造でもかまわない。
【0034】
これら一般式(1)および(2)で表わされる化合物は、通常、粘度が1cP乃至30cP程度の低粘度エポキシ化合物である。したがって、こうした低粘度エポキシ化合物は、顔料分散液を十分に低粘度とするのに有効である。
【0035】
また、下記一般式(3)に示す脂環式エポキシ化合物は、通常、20cP乃至500cP程度の粘度を有する高粘度エポキシ化合物である。したがって、この高粘度エポキシ化合物を使用することによって、顔料分散液を用いて調製されたインクなどの硬化物に硬度を付与することができる。
【0036】
【化4】
【0037】
上記一般式(3)において、R4およびR5は、それぞれエポキシ基または脂環骨格を有するエポキシ基を示し、A3は、アルキレン基および/または脂環式骨格とを少なくとも有するk+1価の置換基(kは自然数)を示す。
【0038】
上述した低粘度エポキシ化合物と高粘度エポキシ化合物とは、それぞれ少なくとも1種以上を混合して使用することが好ましい。例えば、被膜形成溶液100重量部に対して、低粘度エポキシ化合物を5重量部乃至90重量部、および、高粘度エポキシ化合物を1重量部乃至40重量部の割合で添加した場合には、インクジェット用インクに必要な流動性(50℃で50cP以下の粘度)を得るうえで有利である。特に、低粘度エポキシ化合物と高粘度エポキシ化合物との重量比をほぼ1:1乃至10:1とすることが好ましい。
【0039】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、ダイセル化学社製のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000に例示される脂環式エポキシ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物であるサイクロマーA200、サイクロマーM100、MGMAのようなメチルグリシジル基を有するメタクリレート、低分子エポキシ化合物であるGDグリシドール、β−メチルエピコロルヒドリン、PNO、α−ピネンオキサイド、C12〜C14のα−オレフィンモノエポキシド、C16〜C18のα−オレフィンモノエポキシド、ダイマックS−300Kのようなエポキシ化大豆油、ダイマックL−500のようなエポキシ化亜麻仁油、エポリードGT301、エポリードGT401のような多官能エポキシなどを挙げることができる。さらに、サイラキュアのような米国ダウケミカル社の脂環式エポキシや、水素添加し且つ脂肪族化した低分子フェノール化合物の水酸基末端をエポキシを有する基で置換した化合物、エチレングリコールやグリセリン、ネオペンチルアルコールやヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコール/脂環アルコールなどのグリシジルエーテル化合物、ヘキサヒドロフタル酸や、水添芳香族の多価カルボン酸のグリシジルエステルなどを使用することができる。
【0040】
上述したようなエポキシ化合物に含まれる脂環式骨格がテルペノイド骨格を有している場合には、加工顔料および加工顔料分散液、さらには加工顔料分散液を用いて調製したインクおよびその硬化物の人体や環境に対する安全性が向上する。そのようなエポキシ化合物としては、例えば、ミルセン、オシメン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトロレノール、シトラール、メンテン、リモネン、ジペンテン、テルピノレン、テルピネン、フェランドレン、シルベストレン、ピペリトール、テルピネオール、テルピネオール、メンテンモノオール、イソプレゴール、ペラリアルデヒド、ピペリトン、ジヒドロカルボン、カルボン、ピノール、アスカリドール、ザビネン、カレン、ピメン、ボルネン、フェンケン、カンフェン、カルベオール、セスキテルペン類、ジテルペン類、トリテルペン類などの不飽和結合を有するテルペン系化合物の不飽和結合を酸化して、エポキシ化した化合物が挙げられる。
【0041】
本発明の実施形態にかかる加工顔料は、顔料表面にカチオン重合性化合物を直接反応させることによって作製することができる。
【0042】
例えば、反応性の官能基としてのカルボキシル基を表面に有する顔料を、カチオン重合性化合物中に加え、常温中で攪拌混合して反応させるといった手法が挙げられる。これによって、顔料表面にカチオン重合性化合物が結合してなる加工顔料が、カチオン重合性化合物中に分散された形で得られる。得られた加工顔料においては、その表面の反応基に共有結合によりカチオン重合性化合物が結合している。こうした加工顔料に、分散性を高めるためのポリマーや分散剤などの添加剤をさらに混合することによって、顔料表面の未反応部分に物理的および/または化学的な吸着などにより添加剤が付与される。その結果、さらに分散性が高められる。
【0043】
すでに説明したように、顔料の表面全てにカチオン重合性化合物が結合しているのではなく、表面の一部には、分散剤が化学的および/または物理的に吸着していなければならない。カチオン重合性化合物は、顔料表面に結合して存在していれば、その効果を得ることができるが、十分な分散性を保つためには、顔料表面の5%以上に結合していることが望まれる。一方、顔料表面に結合しているカチオン重合性化合物の割合が多すぎる場合には、顔料同士の凝集力が過剰に高められて分散性が低下するおそれがある。このため、カチオン重合性化合物が顔料の表面に結合している割合は、60%以下にとどめることが好ましい。より好ましくは、カチオン重合性化合物が顔料表面に結合している割合は、10〜50%である。
【0044】
あるいは、有機溶媒とカチオン重合性化合物との混合溶液を用い、顔料と反応させることによって、本発明の実施形態にかかる顔料分散液を得ることもできる。具体的には、まず、有機溶媒にカチオン重合性化合物を加えて混合溶液を調製しておく。有機溶媒としては、例えば、MEK(メチルエチルケトン)、THF(テトラヒドロフラン)、酢酸エチルのようなエステルまたはケトン、エーテル系溶媒等を用いることができる。この混合溶液に、反応性の官能基としてのカルボキシル基を有する顔料を加えて、常温中で攪拌混合して反応させる。これによって、顔料表面の一部にカチオン重合性化合物が結合してなる加工顔料が、混合溶液中に分散されてなる顔料分散液が得られる。この場合も、上述したような手法により添加剤を顔料表面に吸着させることによって、より高い分散性を確保する。
【0045】
また、有機溶媒へ顔料を仮分散させた後、さらにカチオン重合性化合物を加えて、顔料に反応させることも可能である。仮分散させる際には、分散剤を用いて顔料を溶媒中へ分散させるが、顔料表面の一部に分散剤を結合させて分散性が比較的低い状態にしておく。有機溶媒としては、例えば、MEK、THF、酢酸エチルのようなエステルまたはケトン、エーテル系溶媒等を用いることができる。また、顔料は、有機溶媒中に一次粒子のレベルまでは分散されていなくともよい。この場合にも、有機溶媒とカチオン重合性化合物との混合液に、加工顔料が分散されてなる顔料分散液が得られる。
【0046】
上述した手法において、比較的沸点の低い有機溶媒を使用すれば、適切な蒸留装置を用いて有機溶媒を除去することができ、カチオン重合性化合物中に加工顔料が分散されてなる顔料分散液が得られる。この場合には、カチオン重合性化合物と顔料との反応を阻害せず、また、カチオン重合性化合物が顔料と反応した後に容易に除去できる有機溶媒が用いられる。より好ましくは溶媒の沸点Taが、カチオン重合性化合物の沸点Tbよりも低い(100℃<│Ta−Tb│)ものを選択することが望まれる。さらに、有機溶媒は、顔料を仮分散させに当たって、顔料の表面特性を損なわないようなものを適宜選択するようにする。例えば、MEK、THF、酢酸エチルのようなエステルまたはケトン、エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0047】
本発明の実施形態にかかる加工顔料は、カチオン重合性化合物が共有結合により顔料表面に結合しているために、分散性が極めて優れている。したがって、従来、顔料を均一に分散させることが困難であった疎水性の有機溶媒に対しても効果を発揮する。すなわち、疎水性溶液中にも安定して良好に分散させることが可能であることから、粘度や顔料の粒子径の粘度が少なく、貯蔵安定性に優れている。
【0048】
なお、使用され得る顔料の粒径は、0.01μmから数μm程度であり、比表面積としては数m2/gから数百m2/gを越えるものまで広範囲である。こうした物性は、色材としての発色性および分散性に大きな影響を及ぼす。そのため、カチオン重合性化合物や有機溶媒に分散させる際には、できるだけ一次粒子に近づけ、均一に分散させることが望まれる。物理的に十分に攪拌するための分散機を用いて、所望の加工顔料を作製する。そのため、顔料とカチオン重合性化合物とを反応させる際には、適度な分散を行なわせるための分散装置を使用することが好ましい。例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、あるいは超音波ホモジナイザーなどを用いることができる。
【0049】
得られた加工顔料における顔料表面とカチオン重合性化合物との結合形態は、IRスペクトル分析などにより確認することが可能である。例えば、脂環式エポキシ基を有するカチオン重合性化合物のスペクトル分析を行ない、次に、このカチオン重合性化合物とカルボキシル基、ラクトン、フェノール性水酸基などを表面に有する顔料とを反応させてなる加工顔料のスペクトル分析を行なう。吸収ピークを比較することによって、顔料表面とカチオン重合性化合物との反応により生じた結合を確認することができる。
【0050】
また、上述したような加工顔料を、光の照射により酸を発生する光酸発生剤とともにインク溶媒に混合することによって、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクが得られる。
【0051】
インク溶媒としては、以下に述べる特性に合致していれば制限されるものではないが、特に最適なのがカチオン重合性化合物を用いたもので、酸による硬化が促進されるインクにおいて、着色材料として用いることが最適である。インクジェット用インクには、吐出安定性、印字画像品質および保存安定性といった特性が要求され、色材として存在する顔料の分散性は、いずれの特性においても重要な役割を担っている。さらに、インクの物性として制御すべきものは、粘度、表面張力、電気伝導度、揮発性、顔料粒子径などであり、中でも粘度の制御は重要で、一定の粘度範囲内にあること(粘度の増加を抑制すること)が望まれる。
【0052】
具体的には、インク溶媒としては、50℃常圧において50mPa・s以下の粘度を有し、脂環式骨格および/または脂肪族骨格を有するとともに、酸の存在下で重合可能なエポキシ化合物が用いられる。インクの吐出動作を行なう動作環境にも依存するが、最大の使用環境として想定される50℃の環境においては、インクの粘度が少なくとも50mPa・s以下であることが要求される。粘度が50mPa・sを越えると、インクの吐出が不安定になったり、吐出しなくなってしまうからである。また、通常の室温環境においても、同様に、少なくとも50mPa・s以下となる粘度を有することが好ましい。
【0053】
少なくとも50cP(=mPa・s)の粘度を有している液体インクに好ましいエポキシ化合物としては、結果的に混合物であっても50cp以下を達成できる組み合わせであれば如何なるものでもかまわない。例えば、非常に粘調な数百〜千cpのエポキシでも、数cp程度のごく低粘度のエポキシ化合物と組み合わせることによって使用可能となる。このため、通常は前述の殆どのエポキシを用いることが可能である。酸重合性化合物をn種類混合して含有される場合、下記数式(1)式で表わされるηtが50(mPa・s)以下になる組成の範囲である場合、インクの粘度も50cp以下が満たされるため望ましいものとなる。通常、5(mPa・s)以上30(mPa・s)以下の範囲内の組成であることがさらに望ましい。
【0054】
【数1】
【0055】
(上記数式(1)中、χ1,χ2,χ3,・・・,χnは、各成分の重量組成比率であり、η1,η2,η3・・・,ηnは、各成分単独の固有粘度である。)
この範囲を逸脱すると、インクの吐出が著しく困難になるか、吐出の乱れによる像の乱れが生じやすい。
【0056】
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物等を用いることができる。
【0057】
インクジェット用インクの調製に当たっては、例えば顔料3〜10重量部に対して、エポキシ化合物を60〜90重量部、さらに、光酸発生剤を、エポキシ化合物に対して1〜10程度の量で配合して、均一に混合する。これを、PTFE製フィルターなどを用いて濾過することによって、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクが得られる。
【0058】
なお、インクジェット用インクにおける顔料の含有量は、1重量%乃至25重量%であることが望ましい。顔料の含有量が1重量%未満の場合には、色濃度が低くなり、一方、25重量%を超えるとインク吐出性が低下するおそれがある。
【0059】
本発明の実施形態にかかる加工顔料は、インクジェット用インク以外にも、比較的粘度の低い顔料を分散させた液体にも同様に適用することができる。例えば、グラビアインキ、スクリーンインキ、および液体現像用トナーなどが挙げられる。また、プラスチック成形品の着色材、塗料、印刷用インキなどの比較的粘度の高い着色材料に用いることも可能である。いずれの用途に用いた場合も、加工顔料が分散安定性に優れていることから、着色材料の貯蔵安定性は良好であり、同等の効果が得られる。
【0060】
【実施例】
以下、具体例を示して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0061】
(実施例1)
以下に示す顔料、分散剤、およびカチオン重合性化合物を用いて、加工顔料を調製した。
【0062】
まず、分散剤としてのソルスパース24000を、カチオン重合性化合物としてのSR−NPG中に溶解させて溶液を得た。この溶液に、顔料としてのカーボンブラック、および分散メディアとしてのジルコニアビーズ(φ1mm)を100重量部加えて、ペイントシェーカーで約5時間分散させて反応させることにより、加工顔料を作製した。得られた加工顔料は、カチオン重合性化合物中に分散された状態である。
【0063】
(実施例1−1)
カチオン重合性化合物を脂環式エポキシ化合物であるC3000(リモネンジオキサイド、ダイセル化学社)に変更した以外は、前述の実施例1と同様の手法により、カチオン重合性化合物中に分散された加工顔料を得た。
【0064】
(実施例1−2)
カチオン重合性化合物を環状エーテル化合物であるオキセタンOXT−101(東亜合成社)に変更した以外は、前述の実施例1と同様の手法により、カチオン重合性化合物中に分散された加工顔料を得た。
【0065】
(実施例1−3)
カチオン重合性化合物をビニルエーテル化合物であるCHDV(シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ISP社)に変更した以外は、前述の実施例1と同様の手法により、カチオン重合性化合物中に分散された加工顔料を得た。
【0066】
(実施例2)
実施例1−1で調製された加工顔料、エポキシ化合物、および光酸発生剤を以下のような処方により混合して、5μmのPTFEフィルターで濾過することによって、インクジェット用インクを調製した。
【0067】
なお、エポキシ化合物として用いたSR−NPGの50℃常圧における粘度は、7cp程度である。このエポキシ化合物中に、加工顔料は良好に分散されていた。
【0068】
(実施例3)
以下に示す顔料、分散剤、カチオン重合性化合物および有機溶媒を用いて、顔料分散液を調製した。
【0069】
まず、有機溶媒としてのアイソパーに分散剤としてのソルスパース24000を加えて溶液を得た。この溶液中に、顔料としてのカーボンブラックおよび分散メディアとしてのジルコニアビーズ(φ1mm)を100重量部加えて、ペイントシェーカーで約3時間分散させた。その後、カチオン重合性化合物としてのC3000を加え、ペイントシェーカーでさらに約3時間分散させて反応させた。これにより、有機溶媒とカチオン重合性化合物との混合溶液中に加工顔料が分散されてなる顔料分散液が得られた。
【0070】
(実施例4)
以下に示す顔料、分散剤、カチオン重合性化合物および有機溶媒を用いて、顔料分散液を調製した。
【0071】
まず、有機溶媒としてのMEKに分散剤としてのソルスパース24000を加えて溶液を得た。この溶液中に、顔料としてのカーボンブラックおよび分散メディアとしてのジルコニアビーズ(φ1mm)を100重量部加えて、ペイントシェーカーで約3時間分散させた。その後、カチオン重合性化合物としてのC3000を加え、ペイントシェーカーでさらに約3時間分散させて反応させた。
【0072】
続いて、ロータリーエバポレーターを用いて減圧蒸留することによりMEKを除去し、加工顔料分散液を調製した。得られた加工顔料液は、カチオン重合性化合物であるC3000中にカーボンブラックが分散された状態である。
【0073】
(比較例1)
以下に示す顔料、分散剤、およびカチオン重合性化合物を用いて、顔料分散液を調製した。
【0074】
まず、分散剤としてのソルスパース24000を、溶媒としてのアイソパーに溶解させて溶液を得た。この溶液に、顔料としてのカーボンブラックおよび分散メディアとしてのジルコニアビーズ(φ1mm)を100重量部加えて、ペイントシェーカーで約5時間分散させて顔料分散液を得た。
【0075】
(比較例2)
以下に示す顔料、分散剤、およびカチオン重合性化合物を用いて、顔料分散液を調製した。
【0076】
まず、分散剤としてのソルスパース24000を、カチオン重合性化合物としてのSR−NPG中に溶解させて溶液を得た。この溶液に、顔料としてのカーボンブラックおよび分散メディアとしてのジルコニアビーズ(φ1mm)を100重量部加えて、ペイントシェーカーで約5時間分散させて反応させた。これにより、エポキシ化合物中にカーボンブラックが分散されてなる顔料分散液が得られる。
【0077】
実施例および比較例の加工顔料等における成分を、下記表1にまとめる。
【0078】
【表1】
【0079】
IRスペクトル分析により、加工顔料における顔料表面とカチオン重合性化合物との結合形態を確認した。その結果、実施例の加工顔料では、カチオン重合性化合物では確認されない吸収ピークを確認することができた。具体的には、エステル結合の吸収ピークであり、顔料とカチオン重合性化合物とが反応した結果、エステル結合が生じたものと考えられる。カチオン重合性化合物は、こうした化学的な結合によって顔料表面に導入されたことになる。
【0080】
また、脂環式エーテル官能基の定量評価から、カチオン重合性化合物と顔料との結合量を確認することができた。この定量評価において、特にC3000の反応性が高いことがわかり、カーボンブラック(Color Black FW2)と共有結合する割合は、SR−NPGの3倍以上であった。このようにして、環状エーテル基を有するカチオン重合性化合物と顔料との反応性を調べたところ、概ねC3000>脂環式エポキシ>エポキシ>環状エーテル(オキセタン,オキシランなど)のような傾向であった。このような傾向は、加工顔料における分散性にも相関されることが予想され、反応性の高い化合物ほど顔料同士の弱い結びつきから、いわゆる凝集に至る分散性の低下を抑制する能力が高いと考えられる。
【0081】
すでに説明したように、顔料の表面は、カチオン重合性化合物と反応するための官能基を有していること、さらには、ある程度以上の酸性度を有していることが必要とされる。比較例2における顔料の表面をIRスペクトル分析により観察したところ、結合形態の目安となるエステル結合の吸収ピークは確認されなかった。このことから、Printex 60は、その表面に官能基をほとんど有していないことがわかる。
【0082】
さらに、実施例および比較例の加工顔料等を試料として、粘度の変化率を調べた。
【0083】
まず、回転式E型粘度計(東京計器製)を使用して、25℃における各試料の粘度を測定した。次に、試料を50℃の環境で30日間放置した後、25℃における粘度を測定した。
【0084】
粘度の変化率を算出し、得られた結果を下記表2にまとめる。
【0085】
【表2】
【0086】
粘度の変化率は、10%以内であれば良好品とみなされる。
【0087】
表2に示されるように、本発明の実施形態にかかる加工顔料、顔料分散液およびインクジェット用インクは、いずれも増粘率が10%以下であり、加工顔料が安定して分散されていることがわかる。これに対して、比較例1では、カチオン重合性化合物が配合されていないことから、増粘率が12%と大きい。比較例2では、増粘率はさらに大きく20%にも及んでいる。カチオン重合性化合物を配合したところで、顔料としてのカーボンブラック Printex60の表面に共有結合しない場合には、保存安定性を高めることができないことが、この比較例2の結果から明らかである。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の態様によれば、優れた分散性を発揮する加工顔料、これを用いた顔料分散液、およびインクジェット用インクが提供される。本発明の他の態様によれば、分散性安定性の高い加工顔料の製造方法、および加工顔料が安定して分散された顔料分散液の製造方法が提供される。
【0089】
本発明は、インクジェット用インクなどの比較的低粘性な各種インクに特に有効に用いられ、その工業的価値は絶大である。
Claims (6)
- 表面の一部に分散剤が物理的/化学的に吸着した顔料と、
前記顔料の表面に共有結合により結合したカチオン重合性化合物と
を含有することを特徴とする加工顔料。 - 前記カチオン重合性化合物は脂環式エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載の加工顔料。
- 請求項1または2に記載の加工顔料を、有機溶媒に分散させてなることを特徴とする顔料分散液。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1記載の加工顔料と、
50℃常圧において50mPa・s以下の粘度を有し、脂環式骨格および/または脂肪族骨格を有するとともに、酸の存在下で重合可能なエポキシ化合物と、
光照射により酸を発生する光酸発生剤と
を含有することを特徴とするインクジェット用インク。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1記載の加工顔料の製造方法であって、顔料の表面にカチオン重合性化合物を直接反応させて前記顔料の表面に共有結合により前記カチオン重合性化合物を結合させることを特徴とする加工顔料の製造方法。
- 有機溶媒に顔料を分散させて予備分散液を調製する工程と、
前記予備分散液にカチオン重合性化合物を加えて、前記顔料と前記カチオン重合性化合物とを反応させ、前記顔料の表面に前記カチオン重合性化合物を共有結合により結合させる工程と、
前記有機溶媒を除去することにより、カチオン重合性化合物中に顔料が分散された顔料分散液を得ることを特徴とする顔料分散液の製造方法。
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