JP2005006416A - 自己始動型リラクタンスモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロータコア1をロータ軸3に固定してなるロータを備えた2極構成の自己始動型リラクタンスモータにおいて、ロータコアの半径方向に1極あたり4層以上のフラックスバリアスリット2a,2b,2c,2dが設けられ、フラックスバリアスリット内に非磁性導電性材料4が注入されて2次導体が形成されており、最内層にあるフラックスバリアスリット2aのロータ軸側の側面2alは、ロータの軸方向に対して垂直な断面においてロータコアの外周方向に凸形の形状を有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リラクタンストルクを利用した同期電動機であるリラクタンスモータに関し、特に、2極構成の自己始動型リラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、商用電源で駆動する単相2極構成の自己始動型同期電動機においては、固定子巻線を備えた固定子と、この固定子内で回転する回転子とから構成され、この回転子は、回転子コアの周辺部に設けられたかご型2次導体と、前記回転子コアに埋め込まれた永久磁石とを備えて構成されており、従来の誘導電動機と同様に自己始動できる。また、運転時は、埋め込んだ永久磁石の作用により同期運転を確保することができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−275286号公報(第4−5頁、第3および8図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の2極構成の自己始動型同期電動機にあっては、永久磁石を用いるために、生産コストが誘導電動機より極めて高価であるという問題点があった。
また、永久磁石の入っているスリットが磁束の流れを制限するフラックスバリアとして作用し、磁気突極性を有するので、リラクタンストルクが発生するにもかかわらず、上記従来の同期電動機では誘導電動機と同様に回転子コアの周辺部にかご型2次導体が設けられているため、リラクタンストルクを効果的に利用できず、力率および効率が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたものであり、永久磁石を用いることなく、力率および効率の高い自己始動型リラクタンスモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自己始動型リラクタンスモータは、ロータコアをロータ軸に固定してなるロータを備えた2極構成の自己始動型リラクタンスモータにおいて、上記ロータコアの半径方向に1極あたり4層以上のフラックスバリアスリットが設けられ、上記フラックスバリアスリット内に非磁性導電性材料が注入されて2次導体が形成されており、最内層にある上記フラックスバリアスリットの上記ロータ軸側の側面は、上記ロータの軸方向に対して垂直な断面において上記ロータコアの外周方向に凸形の形状を有しているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータ(回転子)の構成を示し、ロータの軸(回転中心軸)方向に対して垂直な面での断面図である。図において、ロータ(回転子)は、薄板電磁鋼鈑からなる複数枚のコアシートを軸方向に積層したロータコア1をシャフト(ロータ軸)3に固定して形成する。ロータ回転方向の磁気抵抗差を形成するためのフラックスバリアスリット2a,2b,2c,2d(以下、2で代表することもある。)が、ロータコア1(コアシート)の半径方向に1極あたり4層設けられている。各フラックスバリアスリット2a,2b,2c,2d間またはフラックスバリアスリット2aとシャフト3間は、磁気抵抗が小さく、磁束の通り路である磁路を形成する。
【0008】
また、最内層にあるフラックスバリアスリット2aのロータ軸(シャフト)3側の側面2alは、ロータの軸方向に対して垂直な断面においてロータコア1の外周方向に凸形の形状を有しており、シャフト3を挟んで対向する2つのフラックスバリアスリット2aのシャフト3側の側面2al間の幅は、端部での幅Woがq軸上での幅Wqより狭い。このような形状とすることで、図1中に破線矢印で示すようなシャフト3を挟む、d軸に沿った磁路の端部幅Woをシャフト3径より狭くすることが可能であり、端部での磁束の漏れを低減することが可能となる結果、力率および効率が向上する。なお、図1では、前記側面2alは滑らかな弧状(曲線状)となっているが、複数本の直線で構成されていてもよい。
【0009】
フラックスバリアスリット2の中には注入部材4として導電性非磁性材料が注入されて2次導体が形成されている。各スリット2内の導電性非磁性材料は、回転子の軸方向両端面に設けた短絡環形状の非磁性材料の結合部材で結合し固定されている。フラックスバリアスリット2への注入部材4と回転子端面に設ける結合部材とを、例えば、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような、非磁性で導電性のある材料でダイカスト法により一体形成し、2次導体を形成することによって商用電源による自己始動が可能となる。
【0010】
なお、ステータ(固定子)としては、例えば図2および図3に示すような24スロットの固定子を用いる。図2および図3はそれぞれ本発明の実施の形態1による自己始動型リラクタンスモータの固定子の一例および別の例を示す断面図である。図2において、固定子鉄心(ステータコア)10には、24個の固定子スロット11が周方向に形成されており、各スロット11には、主巻線6aと補助巻線6bとで構成される単層2極の巻き線が巻回されている。9はティースである。
また、図3において、隣り合うティース9とティース9との間に、8個の固定子スロット11が周方向に形成され、スロット11内に、輪状に巻回された4個の主巻線6aおよび4個の補助巻線6bが交互に納められ、単層2極のいわゆる集中巻き固定子を形成している。
なお、本実施の形態による自己始動型リラクタンスモータの固定子は図2および3に示したものに限るものではなく、例えばスロット11の数は26または28であってもよい。
【0011】
本発明によるモータは、回転子が磁気突極性を持つためリラクタンストルクを発生し、このリラクタンストルクによって同期運転する。磁気突極性を持つとは、図1に示す磁束の最も通りやすい方向であるd軸方向のインダクタンスLdと、d軸に対して電気的90度回転した方向であるq軸方向のインダクタンスLqに差が存在することである。この時、リラクタンストルクは、(1)式で示される。
T=Pn(Ld−Lq)IdIq (1)
Pn:極対数
Ld:d軸インダクタンス
Lq:q軸インダクタンス
Id:d軸電流
Iq:q軸電流
また、力率pfは、概略(2)式で計算できる。
pf=(Ld/Lq−1)/(Ld/Lq+1) (2)
Ld/Lq:突極比
なおここで、上記(1)、(2)式はdq軸への変換後のトルクの式を示しており、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差(Ld−Lq)によりトルクの大きさが決定される。また、突極比Ld/Lq(d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの比)により力率が決定される。
【0012】
図4は磁束の流れを示す説明図である。図4に示すように、矢印22で示すq軸方向の磁束の流れは、透磁率がほぼ空気と同じフラックスバリアの部分を4回通過することになるため、磁気抵抗が大きくなりq軸インダクタンスLqは小さくなる。一方、d軸方向は磁束の流れやすい方向であり、矢印21で示すd軸方向の磁束の流れは、磁気抵抗の小さい部分を通過するので、d軸インダクタンスLdは大きくなる。この結果、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとに差が生じ、d軸電流Id、q軸電流Iqを流すことで、(1)式に示されるリラクタンストルクが発生する。
【0013】
図5はフラックスバリアスリット(フラックスバリア)層数とd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqとの関係について検討した計算機によるシミュレーション結果(図5中、白抜き三角印△で示す。)である。また、図5には従来のモータにおける突極比を計算した結果(図5中、黒塗り三角印▲で示す。)も合わせて示している。なお、従来のモータとしては、従来の技術として挙げた特開2001−275286号公報の図8の構成によるモータを用いた。計算条件は、図2に示したスロット数24の固定子を用い、回転子は、2次導体としてかご型ではなく図1に示すようなフラックスバリアスリット2に非磁性導電性材料4が注入されている回転子形状のものを用いた。図5より、4層以上のフラックスバリアでd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差が大きくしかもほぼ一定の値となっていることがわかる。
また、図5に示されているように、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差(Ld−Lq)は、本実施の形態によるモータの場合、従来のモータより20%程度高い値を示す。これは、従来の同期電動機では、誘導電動機と同様に回転子コアの周辺部にかご型2次導体が設けられているため、かご型2次導体とフラックスバリアとの間で磁束の漏れが発生しリラクタンストルクを効果的に利用できないのに対し、本実施の形態によるリラクタンスモータでは、フラックスバリアスリット2に非磁性導電性材料4を注入することにより2次導体を構成しているため、磁束の漏れが発生しないことによるものと考えられる。
【0014】
図6はフラックスバリア層数と突極比Ld/Lqとの関係について検討した計算機によるシミュレーション結果(図6中、白抜き四角印□で示す。)である。また、図6には従来のモータにおける突極比を計算した結果(図6中、黒塗り四角印■で示す。)も合わせて示している。計算条件は、上記図5の場合と同様である。図6より、フラックスバリアの層数を3層以上にすると、突極比は大きくしかもほぼ一定となっていることがわかる。
また、図6に示されているように、突極比Ld/Lqは、本実施の形態によるモータの場合、従来のモータより2倍程度高い値を示す。これは、図5に示したd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差(Ld−Lq)の場合と同様に、従来の同期電動機では、誘導電動機と同様に回転子コアの周辺部にかご型2次導体が設けられているため、かご型2次導体とフラックスバリアとの間で磁束の漏れが発生しリラクタンストルクを効果的に利用できないのに対し、本実施の形態によるリラクタンスモータでは、フラックスバリアスリット2に非磁性導電性材料4を注入することにより2次導体を構成しているため、磁束の漏れが発生しないことによるものと考えられる。
【0015】
以上のように、本実施の形態による2極構成の自己始動型リラクタンスモータでは、自己始動性を持たせるために、かご型2次導体を用いることなく、フラックスバリアスリット2内に非磁性導電性材料4が注入されて2次導体を形成しており、かつまた、最内層にあるフラックスバリアスリット2aのロータ軸側の側面2a1は、ロータの軸方向に対して垂直な断面においてロータコア1の外周方向に凸形の形状を有しているため、端部での磁束の漏れを低減してインダクタンス差、突極比が高く、力率および効率の高い自己始動型リラクタンスモータが得られる。
さらに、ロータコア1にフラックスバリアを設けて、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとの差を大きくしてリラクタンストルクを利用するモータにおいて、フラックスバリアを3層以上、望ましくは4層以上に構成することが、リラクタンストルクを最大限利用できるので効率の高い、また力率の高い構造となり、モータの性能を向上させることが可能になる。
【0016】
図7は、q軸上(磁束の最も通りやすい方向であるd軸に対して電気的90度回転した方向である。)におけるフラックスバリアスリットの幅(以下、フラックスバリアスリット幅と言うこともある。)および磁路の幅(以下、磁路幅と言うこともある。)を説明する図であり、図において、Wf1〜Wf4はq軸上の磁路幅、Wb1〜Wb4はq軸上のフラックスバリアスリット幅(フラックスバリア幅)である。Wcはブリッジ幅である。
図8は、q軸上のコア幅に対する総フラックスバリアスリット幅の比率をパラメータにして計算した、インダクタンス差(図8中、白抜き三角印△で示す。)と突極比(図8中、黒塗り四角印■で示す。)とを示す特性図である。ここで、q軸上のコア幅は、Wf1+Wf2+Wf3+Wf4+Wb1+Wb2+Wb3+Wb4+Wcで計算される幅であり、q軸上の総フラックスバリア幅は、Wb1+Wb2+Wb3+Wb4で計算される幅である。
【0017】
図8より、インダクタンス差は、コア幅に対する総フラックスバリアスリット幅の比率(総フラックスバリア幅/コア幅の値)が0.4〜0.6程度の範囲内で大きくほぼ一定であり、突極比は総フラックスバリア幅/コア幅の値が0.2〜0.6程度の範囲内で大きくほぼ一定であることが分かる。したがって、q軸上における、総フラックスバリア幅/コア幅の値を0.4〜0.6程度の範囲内、望ましくは0.45〜0.55の範囲内に設定することにより、インダクタンス差、突極比ともに大きな構成とすることができる。
【0018】
なお、本実施の形態では、シャフト3を挟んで対向する2つのフラックスバリアスリット2aのシャフト3側の側面2al間の幅は、端部での幅Woがq軸上での幅Wqより狭いので、シャフト3を含む磁路の端部幅Woをシャフト3径より狭くすることが可能であり、端部での磁束の漏れを低減することが可能となるのは上述したとおりであるが、さらに、端部での幅Woは、ステータスロットピッチよりも狭くすることで、端部での漏れがより低減できる。
【0019】
なお、上記実施の形態では単相2極構成の自己始動型リラクタンスモータについて説明したが、単相に限るものではなく、2相あるいは3相であってもよいのはいうまでもない。ただし、単相2極構成の自己始動型リラクタンスモータは、家庭用の単相商用電源で駆動することが可能であり、特別な3相電源設備が不要であるので、圧縮機用のモータとして有利に用いることができる。
【0020】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示し、ロータの軸方向に対して垂直な面での断面図である。
上記実施の形態1では、q軸上の各磁路幅Wf1とWf2とWf3とWf4とは全て同じ値となっており、q軸上の各フラックスバリア幅Wb1とWb2とWb3とWb4とは全て同じ値となっている。これに対して、本実施の形態では、q軸上の各磁路幅Wf1とWf2とWf3とWf4とはそれぞれ異なる値となっており、q軸上の各フラックスバリア幅Wb1とWb2とWb3とWb4とはそれぞれ異なる値となっている。他の構成は実施の形態1と同様であるので、以下では主に実施の形態1と異なる点について説明する。
【0021】
この構成によれば、各磁路幅Wf1とWf2とWf3とWf4、および各フラックスバリア幅Wb1とWb2とWb3とWb4をそれぞれ自由に設定できることができるので、各磁路の飽和の状況に応じて各磁路幅および各フラックスバリア幅を設定し、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqをある程度任意に設定することができ、力率および効率をより向上させることができる。
【0022】
なお、図9では、各磁路幅Wf1、Wf2、Wf3、Wf4はそれぞれ異なる値であり、各フラックスバリア幅Wb1、Wb2、Wb3、Wb4はそれぞれ異なる値であるが、一部同じ値であってもよく、各フラックスバリアスリット幅の少なくとも1つが異なる値であるか、または各磁路幅の少なくとも1つが異なる値であればよい。
【0023】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示し、ロータの軸方向に対して垂直な面での断面図である。本実施の形態では、各フラックスバリアスリット2a,2b,2c,2dの中央部にそれぞれリブ5a,5b,5c,5d(以下、5で代表することもある。)を設けている。他の構成は実施の形態1と同様であるので、以下では主に実施の形態1と異なる点について説明する。
なお、本発明で言うリブ5とは、フラックスバリアスリット2の短辺方向に架設されフラックスバリアスリット2を分断する部材であり、例えばロータコア1(コアシート)と同じ材料からなるものである。
【0024】
ロータが回転するにつれて、各フラックスバリアスリット2a,2b,2c,2dには遠心力が発生し、外周側へと膨らむことがあり、ロータ外径が増大することがある。ロータ外径が増大すると、ステータと接触してスムースに回転できなくなるなどの不都合が起こる。これに対して、本実施の形態では、リブ5を設けているので、遠心力に対する強度が高くなり、各フラックスバリアスリット2a,2b,2c,2dの外周側への膨張を抑制することができる。その結果、ロータ外径の膨張を抑制することができる。
【0025】
なお、図9では、リブ5はq軸上に1本設けているが、設置位置をq軸上より移動してもよく、本数も2本以上であってもよい。さらに、各リブ5a,5b,5c,5dは同一直線上になくてもよく、直線上からずらした場合には、q軸方向の磁気抵抗が高められる。また、各リブ5a,5b,5c,5dの幅も同一でなくてもよい(例えば、角速度の大きい、最外周にあるフラックスバリアスリット2dの幅を大きくする。)。また、リブ5は、必ずしも全ての各フラックスバリアスリット2a,2b,2c,2dに設けなくてもよく、少なくとも1つのフラックスバリアスリット(例えば、角速度の大きい、最外周にあるフラックスバリアスリット2dなど)の少なくとも1ヵ所に設ければよい。
【0026】
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示し、ロータの軸方向に対して垂直な面での断面図である。本実施の形態では、軸方向(ロータの軸方向およびロータ軸3の軸方向)に垂直な断面におけるロータ軸(シャフト)3の形状は、フラックスバリアスリット2配置方向(q軸方向)の長さが他の方向の長さよりも短い非円形である。他の構成は実施の形態1と同様であるので、以下では主に実施の形態1と異なる点について説明する。
【0027】
本実施の形態では、シャフト3のq軸方向の両端を落として、軸方向に垂直な断面におけるシャフト3の形状を、q軸方向の長さが他の方向の長さよりも短い非円形としている。
本実施の形態によれば、シャフト3を挟む、d軸に沿った磁路(d軸磁路)は、シャフト3の近傍でその幅がもっとも狭くなっているため、シャフト3の形状をq軸方向の長さが他の方向の長さよりも短い非円形とすることで、d軸磁路の幅を拡大することができ、インダクタンス差および突極比を大きくすることができる。すなわち、d軸磁路幅が拡大されるとd軸の磁気抵抗が小さくなるため、d軸インダクタンスLdが増加する。これに対して、フラックスバリア2の幅は普遍であるためq軸インダクタンスLqは不変である。この結果、インダクタンス差(Ld−Lq)および突極比Ld/Lqを大きくすることができる。
【0028】
なお、図11では、シャフト3の両端を落とした形状としているが、これに限るものではなく、軸方向に垂直な断面におけるシャフト3の形状は、q軸方向の長さが他の方向の長さよりも短い非円形であればよく、楕円形状等他の形状であってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ロータコアをロータ軸に固定してなるロータを備えた2極構成の自己始動型リラクタンスモータにおいて、上記ロータコアの半径方向に1極あたり4層以上のフラックスバリアスリットが設けられ、上記フラックスバリアスリット内に非磁性導電性材料が注入されて2次導体が形成されており、最内層にある上記フラックスバリアスリットの上記ロータ軸側の側面は、上記ロータの軸方向に対して垂直な断面において上記ロータコアの外周方向に凸形の形状を有しているので、永久磁石を用いることなく、端部での磁束の漏れを低減してインダクタンス差、突極比が高く、力率および効率の高い自己始動型リラクタンスモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1による2極構成の自己始動型リラクタンスモータのステータの構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの集中巻きのステータの構成の別の例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わり、磁束の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わり、フラックスバリア層数とd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqとの関係について示す特性図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わり、フラックスバリア層数と突極比Ld/Lqとの関係について示す特性図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わり、q軸上におけるフラックスバリアスリットの幅および磁路の幅を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係わり、q軸上における、総フラックスバリアスリット幅/コア幅の値とインダクタンス差および突極比との関係について示す特性図である。
【図9】本発明の実施の形態2による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4による2極構成の自己始動型リラクタンスモータの要部であるロータの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ロータコア、2,2a,2b,2c,2d フラックスバリアスリット、3 シャフト、4 注入部材(非磁性導電性材料)、5,5a,5b,5c,5d リブ、6a 主巻き線、6b 補助巻き線、9 ティース、10 ステータコア、11 スロット。
Claims (5)
- ロータコアをロータ軸に固定してなるロータを備えた2極構成の自己始動型リラクタンスモータにおいて、上記ロータコアの半径方向に1極あたり4層以上のフラックスバリアスリットが設けられ、上記フラックスバリアスリット内に非磁性導電性材料が注入されて2次導体が形成されており、最内層にある上記フラックスバリアスリットの上記ロータ軸側の側面は、上記ロータの軸方向に対して垂直な断面において上記ロータコアの外周方向に凸形の形状を有していることを特徴とする自己始動型リラクタンスモータ。
- q軸上における、コア幅に対する、各フラックスバリアスリットの幅を合計した総フラックスバリアスリット幅の比率が、0.4〜0.6の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の自己始動型リラクタンスモータ。
- q軸上における各フラックスバリアスリットの幅の少なくとも1つが異なる値であるか、またはq軸上における各磁路の幅の少なくとも1つが異なる値であることを特徴とする請求項1または2記載の自己始動型リラクタンスモータ。
- フラックスバリアスリットの少なくとも1ヵ所にリブを設けたことを特徴とする請求項1記載の自己始動型リラクタンスモータ。
- 軸方向に垂直な断面におけるロータ軸の形状は、フラックスバリアスリット配置方向の長さが他の方向の長さよりも短い非円形であることを特徴とする請求項1記載の自己始動型リラクタンスモータ。
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