JP2005004059A - 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】斜め方向から投射された光を集光させるための透過型スクリーンであって、外光の反射が少なくて画像のコンラストが良好であり、モアレの発生も少なく、かつ、拡散特性に優れた、製造が容易な透過型スクリーンを提供する。
【解決手段】フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12は、屈折面12a及び全反射面12bを有し、斜め方向から大きな角度で入射した光L1を屈折及び全反射して基部11に略垂直な方向に進行させるようになっている。拡散レンズ部20において、透明部14は、各微小粒子13の屈折率N1よりも小さい屈折率N2を有し、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により光を屈折させ、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから光を透過させるようになっている。なお、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12は、屈折面12a及び全反射面12bを有し、斜め方向から大きな角度で入射した光L1を屈折及び全反射して基部11に略垂直な方向に進行させるようになっている。拡散レンズ部20において、透明部14は、各微小粒子13の屈折率N1よりも小さい屈折率N2を有し、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により光を屈折させ、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから光を透過させるようになっている。なお、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投射型表示装置に係り、とりわけ、プロジェクターから出射された映像光を透過型スクリーンに対して斜め方向から投射する背面投射型表示装置で好適に用いられる透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクターから出射された映像光を透過型スクリーンに対して斜め方向から投射する背面投射型表示装置では、透過型スクリーンに対して斜め方向から入射した光を集光させるための光学手段として、入光側に断面が三角形状のプリズム要素群を設け、入射した光をプリズム要素の第1の面で屈折させた後に第2の面で全反射させて出光側の表面から出射させるフレネルレンズが提案されている(特許文献1)。このようなフレネルレンズを備えた透過型スクリーンにおいては、斜め方向から入射した光でも効率よく出光側の表面から出射させることができるので、それが組み込まれる背面投射型表示装置の寸法(奥行きや高さ)を小さくして装置を小型化することができるという利点がある。
【0003】
しかしながら、上述したフレネルレンズでは、明るい室内等で透過型スクリーンの出光側の表面から入射した外光の影響により画像のコントラストが低下しやすいという問題がある。これは、図10に示すように、基部31の入光側に屈折面32a及び全反射面32bを有するプリズム要素群32が形成された透過型スクリーン30では、基部31の出光側の表面31bから入射する外光の一部L2が、基部31の入光側のプリズム要素群32の屈折面32a及び全反射面32bで何回か屈折された後、特定のプリズム要素32の全反射面32bで全反射されて再び基部31の出光側の表面31bから出射されてしまうという現象が起きやすいためである。
【0004】
また、上述したような透過型スクリーン30では、図11に示すように、基部31の入光側から入射する光の入射角が小さい場合、プリズム要素32の全反射面32bで全反射されない光L3が生じ、その光L3が基部31の出光側の表面31bで反射されて再度出光側の表面31bの異なる位置から出射されることにより二重像が形成されてしまうという問題もある。
【0005】
これらの問題を解消するための従来の方法としては、図12に示すように、透過型スクリーン30の基部31の出光側の表面31bのうち、基部31の入光側から入射する光L1が通過しない領域にV字状の溝33を形成した上で、このような溝33の斜面に沿ってV字状の光吸収部34を形成する方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−208041号公報
【特許文献2】
特開昭63−30835号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に記載された方法では、透過型スクリーンの出光側の表面のうち、基部の入光側から入射する光が通過しない領域に光吸収部を形成しなければならないので、基部の入光側のプリズム要素と出光側の光吸収部との位置合わせが必要となる。ここで、入光側のプリズム要素のレンズピッチは通常0.1mm程度であるので、位置合わせの精度としては0.01mm程度もしくはそれ以上が必要となり、製造が非常に困難である。また、プリズム要素群が直線状に延びる場合には、直線の傾きを合わせた上で直線に垂直な一方向に対して位置合わせを行えばよいが、プリズム要素群が円弧状に延びる場合には、直行する二方向に対して位置合わせを行わなければならず、位置合わせがさらに困難となる。
【0008】
なお、基部の入光側のプリズム要素と出光側の光吸収部との位置合わせ精度が悪い場合には、プリズム要素群が直線状に延びる場合及び円弧状に延びる場合のいずれの場合でも、位置合わせの誤差によりモアレが発生してしまう。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、斜め方向から投射された光を集光させるための透過型スクリーンであって、外光の反射が少なくて画像のコンラストが良好であり、モアレの発生も少なく、かつ、拡散特性に優れた、製造が容易な透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の解決手段として、フレネルレンズ部と、前記フレネルレンズ部の観察者側に設けられ、前記フレネルレンズ部を通過した光を拡散させる拡散レンズ部とを備え、前記フレネルレンズ部は、平面状の基部と、前記基部の入光側に形成され、それぞれが、入射した光を屈折させる屈折面と、前記屈折面で屈折された光を全反射する全反射面とを有する複数のプリズム要素とを有し、前記拡散レンズ部は、前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面上に層状に配列された複数の球状の微小粒子と、前記各微小粒子の入光側の表面と前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面との間の間隙に充填され、前記各微小粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部と、前記各微小粒子の出光側の表面のうち当該各微小粒子の出光側の頂点付近の領域を除いた領域を覆うように形成された光吸収部とを有し、前記各微小粒子の入光側の表面と前記透明部との界面をなす曲面により、前記フレネルレンズ部の前記各プリズム要素で屈折及び全反射されて前記フレネルレンズ部の前記基部及び前記拡散レンズ部の前記透明部内を進行する光を屈折し、前記拡散レンズ部の出光側の表面に位置する前記各微小粒子の出光側の頂点付近の領域から光を透過させることを特徴とする透過型スクリーンを提供する。
【0011】
なお、上述した第1の解決手段においては、前記拡散レンズ部の出光側の表面上に積層された支持体をさらに備えることが好ましい。ここで、前記支持体は光を拡散させる機能を有することが好ましい。
【0012】
また、上述した第1の解決手段において、前記各微小粒子の屈折率N1と前記透明部の屈折率N2との比(N1/N2)が1.2〜1.6の範囲にあることが好ましい。
【0013】
さらに、上述した第1の解決手段において、前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが同一の材料により形成されていることが好ましい。また、前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが一体的に形成されていてもよい。
【0014】
さらにまた、上述した第1の解決手段においては、前記透過型スクリーンの入光側及び出光側のいずれか一方の表面に積層され、光の反射率を低下させる層をさらに備えることが好ましい。
【0015】
本発明は、第2の解決手段として、上述した第1の解決手段に係る透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンに対して映像光を斜め方向から投射するプロジェクターとを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置を提供する。
【0016】
本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の観察者側に、複数の微小粒子、透明部及び光吸収部から構成される拡散レンズ部を設けている。すなわち、フレネルレンズ部の平面状の基部のうちプリズム要素が形成された入光側とは反対側の出光側の表面上に複数の球状の微小粒子を層状に配列し、これらの微小粒子の入光側の表面と基部の出光側の表面との間の間隙に、各微小粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部を充填し、また、各微小粒子の出光側の表面のうち当該各微小粒子の出光側の頂点付近の領域を除いた領域を覆うように光吸収部を形成している。このような透過型スクリーンでは、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光は、各微小粒子の入光側の表面と透明部との界面をなす曲面により屈折され、光吸収部で吸収されたり微小粒子内で全反射して入光側に戻ったりすることなく、拡散レンズ部の出光側の表面に位置する各微小粒子の出光側の頂点付近の領域から観察者側へ出射される。また、このような透過型スクリーンでは、拡散レンズ部の出光側に形成された光吸収部により、外光が吸収される。これにより、フレネルレンズ部の基部の入光側から入射する光の透過率を高めつつ、外光の反射を効果的に抑えることができ、明るい室内等での画像のコントラストを向上させることができる。
【0017】
また、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光は、拡散レンズ部の各微小粒子の入光側の表面及び出光側の表面で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーンを観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0018】
さらに、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、拡散レンズ部の出光側に形成された光吸収部により、フレネルレンズ部の基部の入光側から入射する光のうちプリズム要素の全反射面で全反射されない光が吸収されるので、基部の入光側から入射する光の入射角が45度から35度程度と小さい場合でも、二重像の発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光のうち拡散レンズ部の各微小粒子に入射する光は、拡散レンズ部の光吸収部の配置位置にかかわらず、光吸収部で吸収されずに拡散レンズ部の出光側の表面から出射されるので、フレネルレンズ部の基部の入光側のプリズム要素と拡散レンズ部の光吸収部との位置合わせを行う必要がなく、製造が容易である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
まず、図2、図3及び図4により、本発明の一実施の形態に係る透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置の全体構成について説明する。
【0022】
図2に示すように、背面投射型表示装置1は、透過型スクリーン5と、透過型スクリーン5に対して映像光を斜め方向から投射するプロジェクター6とを備えている。ここで、透過型スクリーン5及びプロジェクター6は例えば、図3に示すような位置関係でキャビネット2内に収納されている。なお、図3に示す背面投射型表示装置1では、プロジェクター6から出射された映像光が透過型スクリーン5に直接投射されているが、これに限らず、図4に示す背面投射型表示装置1′のように、プロジェクター6から出射された映像光が折り返しミラー4を介して透過型スクリーン5に投射されるようにしてもよい。
【0023】
ここで、透過型スクリーン5は、プロジェクター6から投射された映像光を観察者側へ出射するためのものであり、プロジェクター6から投射された映像光を屈折及び集光させるフレネルレンズ部10と、フレネルレンズ部10の観察者側に設けられ、フレネルレンズ部10を通過した光を拡散させる拡散レンズ部20とを有している。
【0024】
なお、図2乃至図4に示す背面投射型表示装置1では、透過型スクリーン5に対して映像光が斜め方向から投射されるので、透過型スクリーン5のどの位置でもかなり大きな角度(透過型スクリーン5の上端部では70度程度以上の角度)で光が入射することとなる。本実施の形態に係る透過型スクリーン5では、屈折面及び全反射面を有する、断面が三角形状のプリズム要素12がフレネルレンズとしてフレネルレンズ部10の入光側に複数形成されることにより、上述したような大きな角度で入射する光に対応することができるようになっている。
【0025】
以下、図1により、図2乃至図4に示す背面投射型表示装置1で用いられる透過型スクリーン5の詳細について説明する。
【0026】
図1に示すように、透過型スクリーン5は、フレネルレンズ部10及び拡散レンズ部20を有している。
【0027】
このうち、フレネルレンズ部10は、平面状の基部11と、基部11の入光側に形成された複数のプリズム要素12とを有している。各プリズム要素12は、入射した光を屈折させる屈折面12aと、屈折面12aで屈折された光を全反射する全反射面12bとを有しており、斜め方向から大きな角度で入射した光L1を屈折及び全反射して基部11に略垂直な方向に進行させることができるようになっている。なお、各プリズム要素12の幅(レンズピッチp)は画面上でプリズム要素が多数連なっていることが視認されないように1mm程度以下である必要があり、好ましくは0.1mm程度である。
【0028】
ここで、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12に入射する光L1の角度(入射角)は基部11の平面上における当該各プリズム要素12の位置に応じて異なっており、そのような入射角の変化に応じて当該各プリズム要素12の形状を変化させる必要がある。ここで、各プリズム要素12の形状を変化させる方法としては、各プリズム要素12のレンズ頂角cを一定にして屈折面12aの角度a及び全反射面12bの角度bを変化させる方法の他、各プリズム要素12に関する全ての角度a,b,cを変化させる方法を用いることができる。
【0029】
フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上には複数の球状の微小粒子13が1層分だけ配列されている。これらの微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙には透明部14が充填されており、各微小粒子13が透明部14によりフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に固定されている。また、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15が形成されている。なお、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15により拡散レンズ部20が構成されている。
【0030】
ここで、拡散レンズ部20の光吸収部15は、所定の光吸収率を有しており、拡散レンズ部20の出光側の表面16から入射する外光L2を吸収することができるようになっている。
【0031】
また、拡散レンズ部20の透明部14は、各微小粒子13の屈折率N1よりも小さい屈折率N2を有しており、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光を屈折させ、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから光を透過させることができるようになっている。
【0032】
すなわち、図1に示す透過型スクリーン5において、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から所定の角度で入射した光L1は各プリズム要素12の屈折面12aで屈折された後、全反射面12bで全反射され、フレネルレンズ部10の基部11内を当該基部11に対して略垂直な方向に進む。
【0033】
次いで、光L1は拡散レンズ部20の透明部14に入射するが、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14との界面は入射した光に対して垂直な平面をなしているので、光L1の進行方向は変化しない。
【0034】
その後、拡散レンズ部20の透明部14を透過した光L1は各微小粒子13に入射する。このとき、各微小粒子13の屈折率N1は透明部14の屈折率N2よりも大きいので、光L1は拡散レンズ部20の透明部14と各微小粒子13の入光側の表面13aとの界面をなす曲面で屈折されて各微小粒子13の中を進み、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち光吸収部15が形成されていない各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光する。
【0035】
なお、各微小粒子13内での光L1の光路は、拡散レンズ部20の透明部14と各微小粒子13の入光側の表面13aとの界面での屈折のされ方によって決まり、より具体的には、(1)各微小粒子13の形状と、(2)各微小粒子13の屈折率N1と透明部14の屈折率N2との比(N1/N2)とによって決まる。ここで、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合を例に挙げると、屈折率比(N1/N2)が1.6程度であると、図1に示すように、光L1が各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光する。
【0036】
最終的に、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光した光L1はその表面で屈折され、観察者側に出射される。
【0037】
以上のように、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、拡散レンズ部20の各微小粒子13の入光側の表面13a及び出光側の表面13b(13c)で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーン5を観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0038】
ここで、各微小粒子13の屈折率N1と透明部14の屈折率N2との比(N1/N2)が大きくなると、各微小粒子13の入光側の表面13aでの光L1の屈折の度合いが大きくなり、観察者側から出射される光L1の広がり方も大きくなる。具体的には、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合を例に挙げると、屈折率比(N1/N2)が大きくなるにつれて、図5に示すような関係で拡散の半値角(横軸が観察角度であるゲインカーブのピークの半分の高さにおける角度幅)が大きくなる。このような関係の下で、必要な視認領域に応じて屈折率比(N1/N2)を適宜選択することが好ましく、通常の透過型スクリーン5を想定した場合には屈折率比(N1/N2)が1.2〜1.6程度であることが好ましい。
【0039】
なお、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち出光側の頂点付近の領域13cには、光L1が透過することができるよう光吸収部15が形成されていないが、この領域は光L1が頂点付近に集光すればするほど、小さくて済む。しかしながら、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合には、光L1が一点に集光することはなく、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cにはある程度の大きさが必要となる。具体的には、光L1を透過させるために必要な領域13c(開口部)の半径をR2、各微小粒子13の半径をR1としたとき、それらの比である開口率(R2/R1)は屈折率比(N1/N2)が小さくなるにつれて大きくとる必要がある。例えば、開口率(R2/R1)は、屈折率比(N1/N2)が1.6のときは0.25程度、屈折率比(N1/N2)が1.3のときは0.5程度が必要となる。
【0040】
次に、このような構成からなる透過型スクリーン5の製造方法について説明する。
【0041】
まず、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて、入光側にプリズム要素12が形成された基部11を成形し、フレネルレンズ部10を製造する。
【0042】
なお、フレネルレンズ部10を製造するための第1の方法としては、上述したような金型を用いて、アクリル樹脂やスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂等からなる透明な樹脂を、プレス成形や射出成形、キャスティング成形等の手法により成形する方法を用いることができる。また、第2の方法としては、上述したような透明な樹脂からなるシート上に紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂を塗布し、上述したような金型を用いて紫外線等を照射しながら成形する方法を用いることができる。
【0043】
次に、このようにして製造されたフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に透明な樹脂をコーティングし、次いで、コーティングされた透明な樹脂層上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列した後、加熱により透明な樹脂層を軟化させながら加圧することにより複数の微小粒子13をフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bに接するように押し込み、その状態で冷却する。これにより、微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙に充填された透明な樹脂層が固化して透明部14となり、各微小粒子13は透明部14を介してフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に固定される。
【0044】
ここで、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上にコーティングされる透明な樹脂としては、フレネルレンズ部10の基部11や微小粒子13の材料よりも低い軟化点を持つ、熱接着性の樹脂(オレフィン系樹脂(屈折率1.5程度)やアクリル系樹脂(屈折率1.5程度)、フッ素系樹脂(屈折率1.3〜1.5程度))を用いることが好ましい。なお、コーティングされる透明な樹脂の体積は、当該樹脂上に配列される球状の微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙を十分に充填することができるだけのものとすることが好ましい。
【0045】
また、このような透明な樹脂層上に配列される微小粒子13としては、ガラスビーズ(屈折率2.1〜2.7程度)や樹脂(高分子)ビーズ(屈折率1.7〜2.0程度)を用いることが好ましい。なお、微小粒子13はほぼ完全な球体であることが好ましく、その粒径は20〜80μm程度であることが好ましい。
【0046】
その後、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に透明部14を介して固定された各微小粒子13の出光側の表面13b上に黒色インキをコーティングし、光吸収部15を形成する。
【0047】
なお、各微小粒子13の出光側の表面13b上に光吸収部15を形成するための第1の方法としては、樹脂バインダー中にカーボンブラック等の黒色顔料や黒色ビーズ等を含有させて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをロールコート法やダイコート法等により各微小粒子13の出光側の表面13b上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに存在する黒色インクを擦りとった後、黒色インクを乾燥及び硬化させる方法を用いることができる。また、第2の方法として、上述した第1の方法において、樹脂バインダーの代わりに紫外線硬化樹脂を用いて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをロールコート法やダイコート法等により各微小粒子13の出光側の表面13b上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに存在する黒色インクを擦りとった後、紫外線の照射により硬化させる方法を用いることができる。なお、これらの第1及び第2の方法では、黒色インキの粘度及び板状ブレードの硬度を変えることにより、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから擦りとられる範囲(すなわち開口部の大きさ)を調整することができる。
【0048】
以上により、フレネルレンズ部10の観察者側に、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15から構成される拡散レンズ部20が製造され、最終的に、図1に示すような透過型スクリーン5が製造される。
【0049】
このように本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の観察者側に、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15から構成される拡散レンズ部20を設けている。すなわち、フレネルレンズ部10の平面状の基部11のうちプリズム要素12が形成された入光側とは反対側の出光側の表面11b上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列し、これらの微小粒子13の入光側の表面13aと基部11の出光側の表面11bとの間の間隙に、各微小粒子13の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部14を充填し、また、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15を形成している。このような透過型スクリーン5では、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により屈折され、光吸収部15で吸収されたり微小粒子13内で全反射して入光側に戻ったりすることなく、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから観察者側へ出射される。また、このような透過型スクリーン5では、拡散レンズ部20の出光側に形成された光吸収部15により、図1に示すように、外光L2が吸収される。これにより、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から入射する光L1の透過率を高めつつ、外光L2の反射を効果的に抑えることができ、明るい室内等での画像のコントラストを向上させることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、拡散レンズ部20の各微小粒子13の入光側の表面13a及び出光側の表面13b(13c)で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーン5を観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から入射する光に含まれることがある、プリズム要素12の全反射面12bで全反射されない光L3(便宜上図1中に光L1とともに示す)が、拡散レンズ部20の出光側に形成された光吸収部15により吸収されるので、基部11の入光側から入射する光の入射角が45度から35度程度と小さい場合でも、二重像の発生を効果的に抑制することができる。
【0052】
さらにまた、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1のうち拡散レンズ部20の各微小粒子13に入射する光は、拡散レンズ部20の光吸収部15の配置位置にかかわらず、光吸収部15で吸収されずに拡散レンズ部20の出光側の表面16から出射されるので、フレネルレンズ部10の基部11の入光側のプリズム要素12と拡散レンズ部20の光吸収部15との位置合わせを行う必要がなく、製造が容易である。
【0053】
なお、上述した実施の形態においては、透過型スクリーン5がフレネルレンズ部10及び拡散レンズ部20により構成されているが、これに限らず、図6に示すように、透過型スクリーン5の拡散レンズ部20の出光側の表面16上に支持板17を積層するようにしてもよい。これにより、拡散レンズ部20の各微小粒子13が外部と直接接触することがなくなり、外部からの力によって各微小粒子13が脱落することがないので、好ましい。なお、図6に示す透過型スクリーン5は、支持板17上に各微小粒子13を光吸収部15を介して固定した後、このような微小粒子13付きの支持板17と、あらかじめ準備されたフレネルレンズ部10とを透明な樹脂(透明部14)を介して貼り合わせることにより製造することができる。このようにして各微小粒子13を支持板17側に固定するようにすれば、透明部14を構成する透明な樹脂は微小粒子13付きの支持板17とフレネルレンズ部10とを貼り合わせるだけの機能を有していればよいので、その材料の選択の幅を広げることができる。
【0054】
また、上述した実施の形態においては、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12を支持体としての基部11とともに一体的に形成しているが、これに限らず、図7に示すように、支持体としての透明なレンズ支持基板18と各プリズム要素12(及び基部11)とを別体で形成するようにしてもよい。
【0055】
ここで、図7に示すフレネルレンズ部10は、透明なレンズ支持基板18上に紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂を塗布し、金型を用いて紫外線を照射しながら各プリズム要素12及び基部11を成形することにより製造することができる。これにより、フレネルレンズ部10を量産することが容易になる。
【0056】
さらに、上述した実施の形態において、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14とが同一の材料により形成されていることが好ましくい。これにより、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14との界面で望ましくない反射が生じるのを効果的に抑えることができる。また、同様の観点から、図8に示すように、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14とを一体的に形成してもよい。
【0057】
ここで、図8に示す透過型スクリーン5は、支持板17上に各微小粒子13を光吸収部15を介して固定した後、このような微小粒子13付きの支持板17のうち微小粒子13が形成されている側の表面上に透明な樹脂を直接塗布して各プリズム要素12及び基部11を有するフレネルレンズ部10を成形することにより製造することができる。これにより、透過型スクリーン5の製造に必要とされる樹脂の量を減らし、また、必要とされる製造工程を減らすことができる。
【0058】
なお、各微小粒子13を支持板17側に固定する方法としては、図8に示すように、各微小粒子13を支持体17上に配列する方法の他、図9に示すように、各微小粒子13をフィルム19上に配列した後、このフィルム19と支持板17とを貼り合わせる方法を用いることができる。
【0059】
ここで、図6乃至図9に示す透過型スクリーン5のように、支持板17又はフィルム19上に微小粒子13を配列する場合には、透明な樹脂からなる支持板17又はフィルム19上に黒色インキをコーティングした後、コーティングされた黒色インキ層上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列し、加熱により黒色インキ層を軟化させながら加圧することにより複数の微小粒子13を支持板17又はフィルム19の表面に接するように押し込み、その状態で冷却する。これにより、微小粒子13の出光側の表面13bと支持板17又はフィルム19の表面との間の間隙に充填された黒色インキ層が固化して光吸収部15となり、各微小粒子13は光吸収部15を介して支持板17又はフィルム19の表面上に固定される。
【0060】
このとき、支持板17又はフィルム19の(加熱時の)硬度と加圧力とを調節して各微小粒子13が支持板17又はフィルム19に押し込まれる量を制御することにより、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cの大きさ(開口部の大きさ)を調整することができる。
【0061】
なお、図6乃至図9に示す透過型スクリーン5において、支持板17又はフレネルレンズ部10のレンズ支持基板18の内部に拡散剤を含有させたり、それらの観察者側の表面をマット面にすることにより、光を拡散させるようにしてもよい。これにより、微小粒子13の箇所以外に光を拡散させる箇所が設けられるので、シンチレーションを低下させることができる。また、微小粒子13による拡散があまり大きくない場合(例えば屈折率比(N1/N2)が1.3程度で拡散の半値角が25度程度(実効的な視野角が35度程度)である場合)であっても実効的な視野角を大幅に広げることができる。具体的に例えば、拡散剤により半値角5度程度の拡散性能を加えるだけでも、実効的な視野角を50度程度と大きく広げることができる。
【0062】
さらに、上述した実施の形態において、透過型スクリーン5の入光側及び出光側のいずれか一方の表面に、光の反射率を低下させるコーティング層を積層するようにしてもよい。これにより、透過型スクリーン5の表面での反射光を減少させることができるので、画像のコントラストをさらに向上させることができる。
【0063】
さらにまた、上述した実施の形態において、透過型スクリーン5の出光側の表面に、表面の硬度を高めるようなコーティング層を積層するようにしてもよい。
【0064】
なお、上述した実施の形態において、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に配列される複数の微小粒子13は層状に配列されていればよく、各微小粒子13の配列状態としては、図1、図6乃至図9に示すような状態(各微小粒子13が互いに隣接した状態)の他、各微小粒子13が互いに離間した状態をとることもできる。
【0065】
【実施例】
次に、上述した実施の形態の具体的実施例について述べる。
【0066】
(実施例1)
まず、透明なポリカーボネート基板(横1016mm、縦762mm及び厚さ3mm、屈折率1.55)の一方の表面上に紫外線硬化樹脂(屈折率1.55)を塗布し、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて紫外線を照射しながら成形し、入光側にプリズム要素が形成されたフレネルレンズ部を製造した。
【0067】
ここで、このようにして製造されたフレネルレンズ部のプリズム要素は、そのレンズ頂角(c)を38度に固定し、光の入射角(35度から71度)に応じて各プリズム要素の屈折面の角度(a)及び全反射面の角度(b)を変化させた。また、プリズム要素のレンズピッチ(p)は0.11mmとした。
【0068】
次に、このようにして製造されたフレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に透明なポリエチレン樹脂(屈折率1.5)をコーティングした後、コーティングされた透明なポリエチレン樹脂層上に、粒径が50μmの複数のガラスビーズ(屈折率2.4)を1層分だけ配列した。
【0069】
そして、加熱により透明なポリエチレン樹脂層を軟化させながら加圧することにより複数のガラスビーズをポリカーボネート基板の他方の表面に接するように押し込み、その状態で冷却した。これにより、各ガラスビーズをポリエチレン樹脂層(透明部)を介してポリカーボネート基板の他方の表面上に固定した。
【0070】
その後、このようにしてポリカーボネート基板の他方の表面上にポリエチレン樹脂層を介して固定された各ガラスビーズの表面上に黒色インキをコーティングし、光吸収部を形成した。すなわち、透明な紫外線硬化樹脂バインダー(屈折率1.51)中にカーボンブラックを分散させて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをダイコート法により各ガラスビーズの表面上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各ガラスビーズの出光側の頂点付近の領域に存在する黒色インクを擦りとった後、紫外線の照射により硬化させた。なお、各ガラスビーズの出光側の頂点付近の領域(開口部)の大きさは半径比でとった開口率(R2/R1)が0.25程度となるようにした。
【0071】
これにより、フレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に、ガラスビーズ(微小粒子)、ポリエチレン樹脂層(透明部)及び黒色インキ層(光吸収部)から構成される拡散レンズ部が製造され、最終的に、画面サイズが50インチ(横1016mm、縦762mmでアスペクト比は4:3)の透過型スクリーンが製造された。
【0072】
(実施例2)
まず、透明なポリカーボネート基板(横1016mm、縦762mm及び厚さ2mm、屈折率1.55)の一方の表面上に紫外線硬化樹脂(屈折率1.55)を塗布し、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて紫外線を照射しながら成形し、入光側にプリズム要素が形成されたフレネルレンズ部を製造した。
【0073】
ここで、このようにして製造されたフレネルレンズ部のプリズム要素は、そのレンズ頂角(c)を38度に固定し、光の入射角(35度から71度)に応じて各プリズム要素の屈折面の角度(a)及び全反射面の角度(b)を変化させた。また、プリズム要素のレンズピッチ(p)は0.11mmとした。
【0074】
一方、透明なPETフィルム(横1016mm、縦762mm及び厚さ50μm、屈折率1.6)の一方の表面上に黒色インキをダイコート法によりコーティングした後、コーティングされた黒色インキ層上に、粒径が50μmの複数の樹脂ビーズ(屈折率1.8)を1層分だけ配列した。
【0075】
そして、加熱により黒色インキ層を軟化させながら加圧することにより複数の樹脂ビーズをPETフィルムの表面に接するように押し込み、その状態で冷却した。これにより、各樹脂ビーズを黒色インキ層(光吸収部)を介してPETフィルムの一方の表面上に固定した。なお、黒色インキとしては、ポリアクリル酸エステル樹脂(屈折率1.5)中にカーボンブラックを分散させたものを用いた。また、樹脂ビーズの出光側の頂点付近の領域(開口部)の大きさは半径比でとった開口率(R2/R1)が0.5程度となるようにした。
【0076】
その後、このような樹脂ビーズ付きのPETフィルムのうち樹脂ビーズが配列されていない側の他の表面とポリカーボネート樹脂板(厚さ2mm)の一方の表面とをアクリル系粘着材で貼り合わせた。なお、ポリカーボネート樹脂板はPETフィルムに貼り合わされる側の表面の100μm厚の部分に平均粒径が12μmの拡散剤が含有されており、それにより半値角5度程度の拡散性能が加えられている。
【0077】
最後に、このようにして貼り合わせられた樹脂ビーズ付きのPETフィルム及びポリカーボネート樹脂板のうち樹脂ビーズが配列されている側の表面に透明なフッ素含有メチルメタクリレート樹脂(屈折率1.4)をコーティングした後、コーティングされたフッ素含有メチルメタクリレート樹脂を介して、樹脂ビーズ付きのPETフィルム及びポリカーボネート樹脂板と、あらかじめ製造されたフレネルレンズ部の出光面側の表面とを貼り合わせた。
【0078】
これにより、フレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に、樹脂ビーズ(微小粒子)、フッ素含有メチルメタクリレート樹脂(透明部)及び黒色インキ層(光吸収部)から構成される拡散レンズ部が製造され、最終的に、画面サイズが50インチ(横1016mm、縦762mmでアスペクト比は4:3)の透過型スクリーンが製造された。
【0079】
(評価結果)
実施例1及び実施例2に係る透過型スクリーンを垂直方向に立設し、この透過型スクリーンの下端の中央から垂直方向に280mm下がり且つその位置から手前側に400mm離れた位置に配置されたプロジェクターにより、映像光を投射した。(なおこのとき、透過型スクリーンの下端から上端へ向かうにつれて光の入射角が35度から71度までの範囲で変化した。)
このようにして映像光が投射されている状態で、実施例1及び実施例2に係る透過型スクリーン上に表示される画像を観察したところ、実施例1に係る透過型スクリーンでは、二重像もなく、鮮明でコントラストの高い画像が得られた。また上下左右ほぼ全方位で画像を視認することができた。
【0080】
また、実施例2に係る透過型スクリーンでも、二重像はなく、鮮明でコントラストの高い画像が得られた。特に、正面からが明るく、また上下左右60度程度まで画像を視認することができた。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、斜め方向から投射された光を集光させるための透過型スクリーンであって、外光の反射が少なくて画像のコンラストが良好であり、モアレの発生も少なく、かつ、拡散特性に優れた、製造が容易な透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る透過型スクリーンの要部を示す部分断面図。
【図2】図1に示す透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置の概要を説明するための図。
【図3】図2に示す背面投射型表示装置の第1の設置態様を示す図。
【図4】図2に示す背面投射型表示装置の第2の設置態様を示す図。
【図5】微小粒子と透明部との屈折率比(N1/N2)と、拡散の半値角との関係を示すグラフ。
【図6】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第1の変形例を示す図。
【図7】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第2の変形例を示す図。
【図8】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第3の変形例を示す図。
【図9】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第4の変形例を示す図。
【図10】従来のフレネルレンズで生じる第1の問題(外光の反射の問題)を説明するための図。
【図11】従来のフレネルレンズで生じる第2の問題(二重像の問題)を説明するための図。
【図12】図10及び図11に示す問題を解決するための従来の方法を説明するための図。
【符号の説明】
1,1′ 背面投射型表示装置
5 透過型スクリーン
6 プロジェクター
10 フレネルレンズ部
11 基部
11b (基部の)出光側の表面
12 プリズム要素
12a 屈折面
12b 全反射面
13 微小粒子
13a (微小粒子の)入光側の表面
13b (微小粒子の)出光側の表面
13c (微小粒子の)出光側の頂点付近の領域
14 透明部
15 光吸収部
16 (拡散レンズ部の)出光側の表面
17 支持板
18 レンズ支持基板
19 フィルム
20 拡散レンズ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投射型表示装置に係り、とりわけ、プロジェクターから出射された映像光を透過型スクリーンに対して斜め方向から投射する背面投射型表示装置で好適に用いられる透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクターから出射された映像光を透過型スクリーンに対して斜め方向から投射する背面投射型表示装置では、透過型スクリーンに対して斜め方向から入射した光を集光させるための光学手段として、入光側に断面が三角形状のプリズム要素群を設け、入射した光をプリズム要素の第1の面で屈折させた後に第2の面で全反射させて出光側の表面から出射させるフレネルレンズが提案されている(特許文献1)。このようなフレネルレンズを備えた透過型スクリーンにおいては、斜め方向から入射した光でも効率よく出光側の表面から出射させることができるので、それが組み込まれる背面投射型表示装置の寸法(奥行きや高さ)を小さくして装置を小型化することができるという利点がある。
【0003】
しかしながら、上述したフレネルレンズでは、明るい室内等で透過型スクリーンの出光側の表面から入射した外光の影響により画像のコントラストが低下しやすいという問題がある。これは、図10に示すように、基部31の入光側に屈折面32a及び全反射面32bを有するプリズム要素群32が形成された透過型スクリーン30では、基部31の出光側の表面31bから入射する外光の一部L2が、基部31の入光側のプリズム要素群32の屈折面32a及び全反射面32bで何回か屈折された後、特定のプリズム要素32の全反射面32bで全反射されて再び基部31の出光側の表面31bから出射されてしまうという現象が起きやすいためである。
【0004】
また、上述したような透過型スクリーン30では、図11に示すように、基部31の入光側から入射する光の入射角が小さい場合、プリズム要素32の全反射面32bで全反射されない光L3が生じ、その光L3が基部31の出光側の表面31bで反射されて再度出光側の表面31bの異なる位置から出射されることにより二重像が形成されてしまうという問題もある。
【0005】
これらの問題を解消するための従来の方法としては、図12に示すように、透過型スクリーン30の基部31の出光側の表面31bのうち、基部31の入光側から入射する光L1が通過しない領域にV字状の溝33を形成した上で、このような溝33の斜面に沿ってV字状の光吸収部34を形成する方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−208041号公報
【特許文献2】
特開昭63−30835号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に記載された方法では、透過型スクリーンの出光側の表面のうち、基部の入光側から入射する光が通過しない領域に光吸収部を形成しなければならないので、基部の入光側のプリズム要素と出光側の光吸収部との位置合わせが必要となる。ここで、入光側のプリズム要素のレンズピッチは通常0.1mm程度であるので、位置合わせの精度としては0.01mm程度もしくはそれ以上が必要となり、製造が非常に困難である。また、プリズム要素群が直線状に延びる場合には、直線の傾きを合わせた上で直線に垂直な一方向に対して位置合わせを行えばよいが、プリズム要素群が円弧状に延びる場合には、直行する二方向に対して位置合わせを行わなければならず、位置合わせがさらに困難となる。
【0008】
なお、基部の入光側のプリズム要素と出光側の光吸収部との位置合わせ精度が悪い場合には、プリズム要素群が直線状に延びる場合及び円弧状に延びる場合のいずれの場合でも、位置合わせの誤差によりモアレが発生してしまう。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、斜め方向から投射された光を集光させるための透過型スクリーンであって、外光の反射が少なくて画像のコンラストが良好であり、モアレの発生も少なく、かつ、拡散特性に優れた、製造が容易な透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の解決手段として、フレネルレンズ部と、前記フレネルレンズ部の観察者側に設けられ、前記フレネルレンズ部を通過した光を拡散させる拡散レンズ部とを備え、前記フレネルレンズ部は、平面状の基部と、前記基部の入光側に形成され、それぞれが、入射した光を屈折させる屈折面と、前記屈折面で屈折された光を全反射する全反射面とを有する複数のプリズム要素とを有し、前記拡散レンズ部は、前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面上に層状に配列された複数の球状の微小粒子と、前記各微小粒子の入光側の表面と前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面との間の間隙に充填され、前記各微小粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部と、前記各微小粒子の出光側の表面のうち当該各微小粒子の出光側の頂点付近の領域を除いた領域を覆うように形成された光吸収部とを有し、前記各微小粒子の入光側の表面と前記透明部との界面をなす曲面により、前記フレネルレンズ部の前記各プリズム要素で屈折及び全反射されて前記フレネルレンズ部の前記基部及び前記拡散レンズ部の前記透明部内を進行する光を屈折し、前記拡散レンズ部の出光側の表面に位置する前記各微小粒子の出光側の頂点付近の領域から光を透過させることを特徴とする透過型スクリーンを提供する。
【0011】
なお、上述した第1の解決手段においては、前記拡散レンズ部の出光側の表面上に積層された支持体をさらに備えることが好ましい。ここで、前記支持体は光を拡散させる機能を有することが好ましい。
【0012】
また、上述した第1の解決手段において、前記各微小粒子の屈折率N1と前記透明部の屈折率N2との比(N1/N2)が1.2〜1.6の範囲にあることが好ましい。
【0013】
さらに、上述した第1の解決手段において、前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが同一の材料により形成されていることが好ましい。また、前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが一体的に形成されていてもよい。
【0014】
さらにまた、上述した第1の解決手段においては、前記透過型スクリーンの入光側及び出光側のいずれか一方の表面に積層され、光の反射率を低下させる層をさらに備えることが好ましい。
【0015】
本発明は、第2の解決手段として、上述した第1の解決手段に係る透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンに対して映像光を斜め方向から投射するプロジェクターとを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置を提供する。
【0016】
本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の観察者側に、複数の微小粒子、透明部及び光吸収部から構成される拡散レンズ部を設けている。すなわち、フレネルレンズ部の平面状の基部のうちプリズム要素が形成された入光側とは反対側の出光側の表面上に複数の球状の微小粒子を層状に配列し、これらの微小粒子の入光側の表面と基部の出光側の表面との間の間隙に、各微小粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部を充填し、また、各微小粒子の出光側の表面のうち当該各微小粒子の出光側の頂点付近の領域を除いた領域を覆うように光吸収部を形成している。このような透過型スクリーンでは、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光は、各微小粒子の入光側の表面と透明部との界面をなす曲面により屈折され、光吸収部で吸収されたり微小粒子内で全反射して入光側に戻ったりすることなく、拡散レンズ部の出光側の表面に位置する各微小粒子の出光側の頂点付近の領域から観察者側へ出射される。また、このような透過型スクリーンでは、拡散レンズ部の出光側に形成された光吸収部により、外光が吸収される。これにより、フレネルレンズ部の基部の入光側から入射する光の透過率を高めつつ、外光の反射を効果的に抑えることができ、明るい室内等での画像のコントラストを向上させることができる。
【0017】
また、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光は、拡散レンズ部の各微小粒子の入光側の表面及び出光側の表面で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーンを観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0018】
さらに、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、拡散レンズ部の出光側に形成された光吸収部により、フレネルレンズ部の基部の入光側から入射する光のうちプリズム要素の全反射面で全反射されない光が吸収されるので、基部の入光側から入射する光の入射角が45度から35度程度と小さい場合でも、二重像の発生を効果的に抑制することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の第1及び第2の解決手段によれば、フレネルレンズ部の基部の入光側の各プリズム要素で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部の基部及び拡散レンズ部の透明部内を進行する光のうち拡散レンズ部の各微小粒子に入射する光は、拡散レンズ部の光吸収部の配置位置にかかわらず、光吸収部で吸収されずに拡散レンズ部の出光側の表面から出射されるので、フレネルレンズ部の基部の入光側のプリズム要素と拡散レンズ部の光吸収部との位置合わせを行う必要がなく、製造が容易である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
まず、図2、図3及び図4により、本発明の一実施の形態に係る透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置の全体構成について説明する。
【0022】
図2に示すように、背面投射型表示装置1は、透過型スクリーン5と、透過型スクリーン5に対して映像光を斜め方向から投射するプロジェクター6とを備えている。ここで、透過型スクリーン5及びプロジェクター6は例えば、図3に示すような位置関係でキャビネット2内に収納されている。なお、図3に示す背面投射型表示装置1では、プロジェクター6から出射された映像光が透過型スクリーン5に直接投射されているが、これに限らず、図4に示す背面投射型表示装置1′のように、プロジェクター6から出射された映像光が折り返しミラー4を介して透過型スクリーン5に投射されるようにしてもよい。
【0023】
ここで、透過型スクリーン5は、プロジェクター6から投射された映像光を観察者側へ出射するためのものであり、プロジェクター6から投射された映像光を屈折及び集光させるフレネルレンズ部10と、フレネルレンズ部10の観察者側に設けられ、フレネルレンズ部10を通過した光を拡散させる拡散レンズ部20とを有している。
【0024】
なお、図2乃至図4に示す背面投射型表示装置1では、透過型スクリーン5に対して映像光が斜め方向から投射されるので、透過型スクリーン5のどの位置でもかなり大きな角度(透過型スクリーン5の上端部では70度程度以上の角度)で光が入射することとなる。本実施の形態に係る透過型スクリーン5では、屈折面及び全反射面を有する、断面が三角形状のプリズム要素12がフレネルレンズとしてフレネルレンズ部10の入光側に複数形成されることにより、上述したような大きな角度で入射する光に対応することができるようになっている。
【0025】
以下、図1により、図2乃至図4に示す背面投射型表示装置1で用いられる透過型スクリーン5の詳細について説明する。
【0026】
図1に示すように、透過型スクリーン5は、フレネルレンズ部10及び拡散レンズ部20を有している。
【0027】
このうち、フレネルレンズ部10は、平面状の基部11と、基部11の入光側に形成された複数のプリズム要素12とを有している。各プリズム要素12は、入射した光を屈折させる屈折面12aと、屈折面12aで屈折された光を全反射する全反射面12bとを有しており、斜め方向から大きな角度で入射した光L1を屈折及び全反射して基部11に略垂直な方向に進行させることができるようになっている。なお、各プリズム要素12の幅(レンズピッチp)は画面上でプリズム要素が多数連なっていることが視認されないように1mm程度以下である必要があり、好ましくは0.1mm程度である。
【0028】
ここで、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12に入射する光L1の角度(入射角)は基部11の平面上における当該各プリズム要素12の位置に応じて異なっており、そのような入射角の変化に応じて当該各プリズム要素12の形状を変化させる必要がある。ここで、各プリズム要素12の形状を変化させる方法としては、各プリズム要素12のレンズ頂角cを一定にして屈折面12aの角度a及び全反射面12bの角度bを変化させる方法の他、各プリズム要素12に関する全ての角度a,b,cを変化させる方法を用いることができる。
【0029】
フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上には複数の球状の微小粒子13が1層分だけ配列されている。これらの微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙には透明部14が充填されており、各微小粒子13が透明部14によりフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に固定されている。また、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15が形成されている。なお、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15により拡散レンズ部20が構成されている。
【0030】
ここで、拡散レンズ部20の光吸収部15は、所定の光吸収率を有しており、拡散レンズ部20の出光側の表面16から入射する外光L2を吸収することができるようになっている。
【0031】
また、拡散レンズ部20の透明部14は、各微小粒子13の屈折率N1よりも小さい屈折率N2を有しており、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光を屈折させ、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから光を透過させることができるようになっている。
【0032】
すなわち、図1に示す透過型スクリーン5において、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から所定の角度で入射した光L1は各プリズム要素12の屈折面12aで屈折された後、全反射面12bで全反射され、フレネルレンズ部10の基部11内を当該基部11に対して略垂直な方向に進む。
【0033】
次いで、光L1は拡散レンズ部20の透明部14に入射するが、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14との界面は入射した光に対して垂直な平面をなしているので、光L1の進行方向は変化しない。
【0034】
その後、拡散レンズ部20の透明部14を透過した光L1は各微小粒子13に入射する。このとき、各微小粒子13の屈折率N1は透明部14の屈折率N2よりも大きいので、光L1は拡散レンズ部20の透明部14と各微小粒子13の入光側の表面13aとの界面をなす曲面で屈折されて各微小粒子13の中を進み、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち光吸収部15が形成されていない各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光する。
【0035】
なお、各微小粒子13内での光L1の光路は、拡散レンズ部20の透明部14と各微小粒子13の入光側の表面13aとの界面での屈折のされ方によって決まり、より具体的には、(1)各微小粒子13の形状と、(2)各微小粒子13の屈折率N1と透明部14の屈折率N2との比(N1/N2)とによって決まる。ここで、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合を例に挙げると、屈折率比(N1/N2)が1.6程度であると、図1に示すように、光L1が各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光する。
【0036】
最終的に、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに集光した光L1はその表面で屈折され、観察者側に出射される。
【0037】
以上のように、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、拡散レンズ部20の各微小粒子13の入光側の表面13a及び出光側の表面13b(13c)で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーン5を観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0038】
ここで、各微小粒子13の屈折率N1と透明部14の屈折率N2との比(N1/N2)が大きくなると、各微小粒子13の入光側の表面13aでの光L1の屈折の度合いが大きくなり、観察者側から出射される光L1の広がり方も大きくなる。具体的には、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合を例に挙げると、屈折率比(N1/N2)が大きくなるにつれて、図5に示すような関係で拡散の半値角(横軸が観察角度であるゲインカーブのピークの半分の高さにおける角度幅)が大きくなる。このような関係の下で、必要な視認領域に応じて屈折率比(N1/N2)を適宜選択することが好ましく、通常の透過型スクリーン5を想定した場合には屈折率比(N1/N2)が1.2〜1.6程度であることが好ましい。
【0039】
なお、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち出光側の頂点付近の領域13cには、光L1が透過することができるよう光吸収部15が形成されていないが、この領域は光L1が頂点付近に集光すればするほど、小さくて済む。しかしながら、各微小粒子13がほぼ完全な球体である場合には、光L1が一点に集光することはなく、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cにはある程度の大きさが必要となる。具体的には、光L1を透過させるために必要な領域13c(開口部)の半径をR2、各微小粒子13の半径をR1としたとき、それらの比である開口率(R2/R1)は屈折率比(N1/N2)が小さくなるにつれて大きくとる必要がある。例えば、開口率(R2/R1)は、屈折率比(N1/N2)が1.6のときは0.25程度、屈折率比(N1/N2)が1.3のときは0.5程度が必要となる。
【0040】
次に、このような構成からなる透過型スクリーン5の製造方法について説明する。
【0041】
まず、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて、入光側にプリズム要素12が形成された基部11を成形し、フレネルレンズ部10を製造する。
【0042】
なお、フレネルレンズ部10を製造するための第1の方法としては、上述したような金型を用いて、アクリル樹脂やスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂等からなる透明な樹脂を、プレス成形や射出成形、キャスティング成形等の手法により成形する方法を用いることができる。また、第2の方法としては、上述したような透明な樹脂からなるシート上に紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂を塗布し、上述したような金型を用いて紫外線等を照射しながら成形する方法を用いることができる。
【0043】
次に、このようにして製造されたフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に透明な樹脂をコーティングし、次いで、コーティングされた透明な樹脂層上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列した後、加熱により透明な樹脂層を軟化させながら加圧することにより複数の微小粒子13をフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bに接するように押し込み、その状態で冷却する。これにより、微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙に充填された透明な樹脂層が固化して透明部14となり、各微小粒子13は透明部14を介してフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に固定される。
【0044】
ここで、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上にコーティングされる透明な樹脂としては、フレネルレンズ部10の基部11や微小粒子13の材料よりも低い軟化点を持つ、熱接着性の樹脂(オレフィン系樹脂(屈折率1.5程度)やアクリル系樹脂(屈折率1.5程度)、フッ素系樹脂(屈折率1.3〜1.5程度))を用いることが好ましい。なお、コーティングされる透明な樹脂の体積は、当該樹脂上に配列される球状の微小粒子13の入光側の表面13aとフレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11bとの間の間隙を十分に充填することができるだけのものとすることが好ましい。
【0045】
また、このような透明な樹脂層上に配列される微小粒子13としては、ガラスビーズ(屈折率2.1〜2.7程度)や樹脂(高分子)ビーズ(屈折率1.7〜2.0程度)を用いることが好ましい。なお、微小粒子13はほぼ完全な球体であることが好ましく、その粒径は20〜80μm程度であることが好ましい。
【0046】
その後、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に透明部14を介して固定された各微小粒子13の出光側の表面13b上に黒色インキをコーティングし、光吸収部15を形成する。
【0047】
なお、各微小粒子13の出光側の表面13b上に光吸収部15を形成するための第1の方法としては、樹脂バインダー中にカーボンブラック等の黒色顔料や黒色ビーズ等を含有させて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをロールコート法やダイコート法等により各微小粒子13の出光側の表面13b上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに存在する黒色インクを擦りとった後、黒色インクを乾燥及び硬化させる方法を用いることができる。また、第2の方法として、上述した第1の方法において、樹脂バインダーの代わりに紫外線硬化樹脂を用いて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをロールコート法やダイコート法等により各微小粒子13の出光側の表面13b上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cに存在する黒色インクを擦りとった後、紫外線の照射により硬化させる方法を用いることができる。なお、これらの第1及び第2の方法では、黒色インキの粘度及び板状ブレードの硬度を変えることにより、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから擦りとられる範囲(すなわち開口部の大きさ)を調整することができる。
【0048】
以上により、フレネルレンズ部10の観察者側に、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15から構成される拡散レンズ部20が製造され、最終的に、図1に示すような透過型スクリーン5が製造される。
【0049】
このように本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の観察者側に、複数の微小粒子13、透明部14及び光吸収部15から構成される拡散レンズ部20を設けている。すなわち、フレネルレンズ部10の平面状の基部11のうちプリズム要素12が形成された入光側とは反対側の出光側の表面11b上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列し、これらの微小粒子13の入光側の表面13aと基部11の出光側の表面11bとの間の間隙に、各微小粒子13の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部14を充填し、また、各微小粒子13の出光側の表面13bのうち当該各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cを除いた領域を覆うように光吸収部15を形成している。このような透過型スクリーン5では、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、各微小粒子13の入光側の表面13aと透明部14との界面をなす曲面により屈折され、光吸収部15で吸収されたり微小粒子13内で全反射して入光側に戻ったりすることなく、拡散レンズ部20の出光側の表面16に位置する各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cから観察者側へ出射される。また、このような透過型スクリーン5では、拡散レンズ部20の出光側に形成された光吸収部15により、図1に示すように、外光L2が吸収される。これにより、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から入射する光L1の透過率を高めつつ、外光L2の反射を効果的に抑えることができ、明るい室内等での画像のコントラストを向上させることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1は、拡散レンズ部20の各微小粒子13の入光側の表面13a及び出光側の表面13b(13c)で2回屈折され、観察者側の広い範囲に亘って拡散される。このため、透過型スクリーン5を観察者側から観察すると、広い範囲で画像を視認することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側から入射する光に含まれることがある、プリズム要素12の全反射面12bで全反射されない光L3(便宜上図1中に光L1とともに示す)が、拡散レンズ部20の出光側に形成された光吸収部15により吸収されるので、基部11の入光側から入射する光の入射角が45度から35度程度と小さい場合でも、二重像の発生を効果的に抑制することができる。
【0052】
さらにまた、本実施の形態によれば、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12で屈折及び全反射されてフレネルレンズ部10の基部11及び拡散レンズ部20の透明部14内を進行する光L1のうち拡散レンズ部20の各微小粒子13に入射する光は、拡散レンズ部20の光吸収部15の配置位置にかかわらず、光吸収部15で吸収されずに拡散レンズ部20の出光側の表面16から出射されるので、フレネルレンズ部10の基部11の入光側のプリズム要素12と拡散レンズ部20の光吸収部15との位置合わせを行う必要がなく、製造が容易である。
【0053】
なお、上述した実施の形態においては、透過型スクリーン5がフレネルレンズ部10及び拡散レンズ部20により構成されているが、これに限らず、図6に示すように、透過型スクリーン5の拡散レンズ部20の出光側の表面16上に支持板17を積層するようにしてもよい。これにより、拡散レンズ部20の各微小粒子13が外部と直接接触することがなくなり、外部からの力によって各微小粒子13が脱落することがないので、好ましい。なお、図6に示す透過型スクリーン5は、支持板17上に各微小粒子13を光吸収部15を介して固定した後、このような微小粒子13付きの支持板17と、あらかじめ準備されたフレネルレンズ部10とを透明な樹脂(透明部14)を介して貼り合わせることにより製造することができる。このようにして各微小粒子13を支持板17側に固定するようにすれば、透明部14を構成する透明な樹脂は微小粒子13付きの支持板17とフレネルレンズ部10とを貼り合わせるだけの機能を有していればよいので、その材料の選択の幅を広げることができる。
【0054】
また、上述した実施の形態においては、フレネルレンズ部10の基部11の入光側の各プリズム要素12を支持体としての基部11とともに一体的に形成しているが、これに限らず、図7に示すように、支持体としての透明なレンズ支持基板18と各プリズム要素12(及び基部11)とを別体で形成するようにしてもよい。
【0055】
ここで、図7に示すフレネルレンズ部10は、透明なレンズ支持基板18上に紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂を塗布し、金型を用いて紫外線を照射しながら各プリズム要素12及び基部11を成形することにより製造することができる。これにより、フレネルレンズ部10を量産することが容易になる。
【0056】
さらに、上述した実施の形態において、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14とが同一の材料により形成されていることが好ましくい。これにより、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14との界面で望ましくない反射が生じるのを効果的に抑えることができる。また、同様の観点から、図8に示すように、フレネルレンズ部10の基部11と拡散レンズ部20の透明部14とを一体的に形成してもよい。
【0057】
ここで、図8に示す透過型スクリーン5は、支持板17上に各微小粒子13を光吸収部15を介して固定した後、このような微小粒子13付きの支持板17のうち微小粒子13が形成されている側の表面上に透明な樹脂を直接塗布して各プリズム要素12及び基部11を有するフレネルレンズ部10を成形することにより製造することができる。これにより、透過型スクリーン5の製造に必要とされる樹脂の量を減らし、また、必要とされる製造工程を減らすことができる。
【0058】
なお、各微小粒子13を支持板17側に固定する方法としては、図8に示すように、各微小粒子13を支持体17上に配列する方法の他、図9に示すように、各微小粒子13をフィルム19上に配列した後、このフィルム19と支持板17とを貼り合わせる方法を用いることができる。
【0059】
ここで、図6乃至図9に示す透過型スクリーン5のように、支持板17又はフィルム19上に微小粒子13を配列する場合には、透明な樹脂からなる支持板17又はフィルム19上に黒色インキをコーティングした後、コーティングされた黒色インキ層上に複数の球状の微小粒子13を1層分だけ配列し、加熱により黒色インキ層を軟化させながら加圧することにより複数の微小粒子13を支持板17又はフィルム19の表面に接するように押し込み、その状態で冷却する。これにより、微小粒子13の出光側の表面13bと支持板17又はフィルム19の表面との間の間隙に充填された黒色インキ層が固化して光吸収部15となり、各微小粒子13は光吸収部15を介して支持板17又はフィルム19の表面上に固定される。
【0060】
このとき、支持板17又はフィルム19の(加熱時の)硬度と加圧力とを調節して各微小粒子13が支持板17又はフィルム19に押し込まれる量を制御することにより、各微小粒子13の出光側の頂点付近の領域13cの大きさ(開口部の大きさ)を調整することができる。
【0061】
なお、図6乃至図9に示す透過型スクリーン5において、支持板17又はフレネルレンズ部10のレンズ支持基板18の内部に拡散剤を含有させたり、それらの観察者側の表面をマット面にすることにより、光を拡散させるようにしてもよい。これにより、微小粒子13の箇所以外に光を拡散させる箇所が設けられるので、シンチレーションを低下させることができる。また、微小粒子13による拡散があまり大きくない場合(例えば屈折率比(N1/N2)が1.3程度で拡散の半値角が25度程度(実効的な視野角が35度程度)である場合)であっても実効的な視野角を大幅に広げることができる。具体的に例えば、拡散剤により半値角5度程度の拡散性能を加えるだけでも、実効的な視野角を50度程度と大きく広げることができる。
【0062】
さらに、上述した実施の形態において、透過型スクリーン5の入光側及び出光側のいずれか一方の表面に、光の反射率を低下させるコーティング層を積層するようにしてもよい。これにより、透過型スクリーン5の表面での反射光を減少させることができるので、画像のコントラストをさらに向上させることができる。
【0063】
さらにまた、上述した実施の形態において、透過型スクリーン5の出光側の表面に、表面の硬度を高めるようなコーティング層を積層するようにしてもよい。
【0064】
なお、上述した実施の形態において、フレネルレンズ部10の基部11の出光側の表面11b上に配列される複数の微小粒子13は層状に配列されていればよく、各微小粒子13の配列状態としては、図1、図6乃至図9に示すような状態(各微小粒子13が互いに隣接した状態)の他、各微小粒子13が互いに離間した状態をとることもできる。
【0065】
【実施例】
次に、上述した実施の形態の具体的実施例について述べる。
【0066】
(実施例1)
まず、透明なポリカーボネート基板(横1016mm、縦762mm及び厚さ3mm、屈折率1.55)の一方の表面上に紫外線硬化樹脂(屈折率1.55)を塗布し、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて紫外線を照射しながら成形し、入光側にプリズム要素が形成されたフレネルレンズ部を製造した。
【0067】
ここで、このようにして製造されたフレネルレンズ部のプリズム要素は、そのレンズ頂角(c)を38度に固定し、光の入射角(35度から71度)に応じて各プリズム要素の屈折面の角度(a)及び全反射面の角度(b)を変化させた。また、プリズム要素のレンズピッチ(p)は0.11mmとした。
【0068】
次に、このようにして製造されたフレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に透明なポリエチレン樹脂(屈折率1.5)をコーティングした後、コーティングされた透明なポリエチレン樹脂層上に、粒径が50μmの複数のガラスビーズ(屈折率2.4)を1層分だけ配列した。
【0069】
そして、加熱により透明なポリエチレン樹脂層を軟化させながら加圧することにより複数のガラスビーズをポリカーボネート基板の他方の表面に接するように押し込み、その状態で冷却した。これにより、各ガラスビーズをポリエチレン樹脂層(透明部)を介してポリカーボネート基板の他方の表面上に固定した。
【0070】
その後、このようにしてポリカーボネート基板の他方の表面上にポリエチレン樹脂層を介して固定された各ガラスビーズの表面上に黒色インキをコーティングし、光吸収部を形成した。すなわち、透明な紫外線硬化樹脂バインダー(屈折率1.51)中にカーボンブラックを分散させて黒色インキを作製し、このようにして作製された黒色インキをダイコート法により各ガラスビーズの表面上にコーティングし、次いで、板状ブレードにより各ガラスビーズの出光側の頂点付近の領域に存在する黒色インクを擦りとった後、紫外線の照射により硬化させた。なお、各ガラスビーズの出光側の頂点付近の領域(開口部)の大きさは半径比でとった開口率(R2/R1)が0.25程度となるようにした。
【0071】
これにより、フレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に、ガラスビーズ(微小粒子)、ポリエチレン樹脂層(透明部)及び黒色インキ層(光吸収部)から構成される拡散レンズ部が製造され、最終的に、画面サイズが50インチ(横1016mm、縦762mmでアスペクト比は4:3)の透過型スクリーンが製造された。
【0072】
(実施例2)
まず、透明なポリカーボネート基板(横1016mm、縦762mm及び厚さ2mm、屈折率1.55)の一方の表面上に紫外線硬化樹脂(屈折率1.55)を塗布し、プリズム要素の形状の逆形状を持つ金型を用いて紫外線を照射しながら成形し、入光側にプリズム要素が形成されたフレネルレンズ部を製造した。
【0073】
ここで、このようにして製造されたフレネルレンズ部のプリズム要素は、そのレンズ頂角(c)を38度に固定し、光の入射角(35度から71度)に応じて各プリズム要素の屈折面の角度(a)及び全反射面の角度(b)を変化させた。また、プリズム要素のレンズピッチ(p)は0.11mmとした。
【0074】
一方、透明なPETフィルム(横1016mm、縦762mm及び厚さ50μm、屈折率1.6)の一方の表面上に黒色インキをダイコート法によりコーティングした後、コーティングされた黒色インキ層上に、粒径が50μmの複数の樹脂ビーズ(屈折率1.8)を1層分だけ配列した。
【0075】
そして、加熱により黒色インキ層を軟化させながら加圧することにより複数の樹脂ビーズをPETフィルムの表面に接するように押し込み、その状態で冷却した。これにより、各樹脂ビーズを黒色インキ層(光吸収部)を介してPETフィルムの一方の表面上に固定した。なお、黒色インキとしては、ポリアクリル酸エステル樹脂(屈折率1.5)中にカーボンブラックを分散させたものを用いた。また、樹脂ビーズの出光側の頂点付近の領域(開口部)の大きさは半径比でとった開口率(R2/R1)が0.5程度となるようにした。
【0076】
その後、このような樹脂ビーズ付きのPETフィルムのうち樹脂ビーズが配列されていない側の他の表面とポリカーボネート樹脂板(厚さ2mm)の一方の表面とをアクリル系粘着材で貼り合わせた。なお、ポリカーボネート樹脂板はPETフィルムに貼り合わされる側の表面の100μm厚の部分に平均粒径が12μmの拡散剤が含有されており、それにより半値角5度程度の拡散性能が加えられている。
【0077】
最後に、このようにして貼り合わせられた樹脂ビーズ付きのPETフィルム及びポリカーボネート樹脂板のうち樹脂ビーズが配列されている側の表面に透明なフッ素含有メチルメタクリレート樹脂(屈折率1.4)をコーティングした後、コーティングされたフッ素含有メチルメタクリレート樹脂を介して、樹脂ビーズ付きのPETフィルム及びポリカーボネート樹脂板と、あらかじめ製造されたフレネルレンズ部の出光面側の表面とを貼り合わせた。
【0078】
これにより、フレネルレンズ部に含まれるポリカーボネート基板のうちプリズム要素が形成されていない側の他方の表面上に、樹脂ビーズ(微小粒子)、フッ素含有メチルメタクリレート樹脂(透明部)及び黒色インキ層(光吸収部)から構成される拡散レンズ部が製造され、最終的に、画面サイズが50インチ(横1016mm、縦762mmでアスペクト比は4:3)の透過型スクリーンが製造された。
【0079】
(評価結果)
実施例1及び実施例2に係る透過型スクリーンを垂直方向に立設し、この透過型スクリーンの下端の中央から垂直方向に280mm下がり且つその位置から手前側に400mm離れた位置に配置されたプロジェクターにより、映像光を投射した。(なおこのとき、透過型スクリーンの下端から上端へ向かうにつれて光の入射角が35度から71度までの範囲で変化した。)
このようにして映像光が投射されている状態で、実施例1及び実施例2に係る透過型スクリーン上に表示される画像を観察したところ、実施例1に係る透過型スクリーンでは、二重像もなく、鮮明でコントラストの高い画像が得られた。また上下左右ほぼ全方位で画像を視認することができた。
【0080】
また、実施例2に係る透過型スクリーンでも、二重像はなく、鮮明でコントラストの高い画像が得られた。特に、正面からが明るく、また上下左右60度程度まで画像を視認することができた。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、斜め方向から投射された光を集光させるための透過型スクリーンであって、外光の反射が少なくて画像のコンラストが良好であり、モアレの発生も少なく、かつ、拡散特性に優れた、製造が容易な透過型スクリーン及びそれを備えた背面投射型表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る透過型スクリーンの要部を示す部分断面図。
【図2】図1に示す透過型スクリーンを備えた背面投射型表示装置の概要を説明するための図。
【図3】図2に示す背面投射型表示装置の第1の設置態様を示す図。
【図4】図2に示す背面投射型表示装置の第2の設置態様を示す図。
【図5】微小粒子と透明部との屈折率比(N1/N2)と、拡散の半値角との関係を示すグラフ。
【図6】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第1の変形例を示す図。
【図7】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第2の変形例を示す図。
【図8】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第3の変形例を示す図。
【図9】図2に示す背面投射型表示装置で用いられる透過型スクリーンの第4の変形例を示す図。
【図10】従来のフレネルレンズで生じる第1の問題(外光の反射の問題)を説明するための図。
【図11】従来のフレネルレンズで生じる第2の問題(二重像の問題)を説明するための図。
【図12】図10及び図11に示す問題を解決するための従来の方法を説明するための図。
【符号の説明】
1,1′ 背面投射型表示装置
5 透過型スクリーン
6 プロジェクター
10 フレネルレンズ部
11 基部
11b (基部の)出光側の表面
12 プリズム要素
12a 屈折面
12b 全反射面
13 微小粒子
13a (微小粒子の)入光側の表面
13b (微小粒子の)出光側の表面
13c (微小粒子の)出光側の頂点付近の領域
14 透明部
15 光吸収部
16 (拡散レンズ部の)出光側の表面
17 支持板
18 レンズ支持基板
19 フィルム
20 拡散レンズ部
Claims (8)
- フレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の観察者側に設けられ、前記フレネルレンズ部を通過した光を拡散させる拡散レンズ部とを備え、
前記フレネルレンズ部は、平面状の基部と、前記基部の入光側に形成され、それぞれが、入射した光を屈折させる屈折面と、前記屈折面で屈折された光を全反射する全反射面とを有する複数のプリズム要素とを有し、
前記拡散レンズ部は、前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面上に層状に配列された複数の球状の微小粒子と、前記各微小粒子の入光側の表面と前記フレネルレンズ部の前記基部の出光側の表面との間の間隙に充填され、前記各微小粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する透明部と、前記各微小粒子の出光側の表面のうち当該各微小粒子の出光側の頂点付近の領域を除いた領域を覆うように形成された光吸収部とを有し、
前記各微小粒子の入光側の表面と前記透明部との界面をなす曲面により、前記フレネルレンズ部の前記各プリズム要素で屈折及び全反射されて前記フレネルレンズ部の前記基部及び前記拡散レンズ部の前記透明部内を進行する光を屈折し、前記拡散レンズ部の出光側の表面に位置する前記各微小粒子の出光側の頂点付近の領域から光を透過させることを特徴とする透過型スクリーン。 - 前記拡散レンズ部の出光側の表面上に積層された支持体をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の透過型スクリーン。
- 前記支持体は光を拡散させる機能を有することを特徴とする、請求項2に記載の透過型スクリーン。
- 前記各微小粒子の屈折率N1と前記透明部の屈折率N2との比(N1/N2)が1.2〜1.6の範囲にあることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透過型スクリーン。
- 前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが同一の材料により形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透過型スクリーン。
- 前記フレネルレンズ部の前記基部と前記拡散レンズ部の前記透明部とが一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透過型スクリーン。
- 前記透過型スクリーンの入光側及び出光側のいずれか一方の表面に積層され、光の反射率を低下させる層をさらに備えたことを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透過型スクリーン。
- 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の透過型スクリーンと、
前記透過型スクリーンに対して映像光を斜め方向から投射するプロジェクターとを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003169417A JP2005004059A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 |
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Publications (1)
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005004059A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006016556A1 (ja) * | 2004-08-10 | 2006-02-16 | Kimoto Co., Ltd. | 透過型スクリーン |
JP2006313187A (ja) * | 2005-05-06 | 2006-11-16 | Seiko Epson Corp | スクリーン及び画像表示装置 |
JP2013044953A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Three M Innovative Properties Co | プロジェクション・システム |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169417A patent/JP2005004059A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2006016556A1 (ja) * | 2004-08-10 | 2006-02-16 | Kimoto Co., Ltd. | 透過型スクリーン |
US7855833B2 (en) | 2004-08-10 | 2010-12-21 | Kimoto Co., Ltd. | Transmission screen |
JP2006313187A (ja) * | 2005-05-06 | 2006-11-16 | Seiko Epson Corp | スクリーン及び画像表示装置 |
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