JP2004511618A - 低湿潤性面製造用の組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、少なくとも1種の平均粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する組成物に関する。親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tは、50:1〜1:2の範囲である。
Description
【0001】
本発明は、少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する組成物、及びかかる組成物を低湿潤性面の製造に使用する方法に関する。
【0002】
従来からの表面を液体により湿潤させるのは一般的である。湿潤度は、液体間の凝集力と、液体と表面との間の接着力との相互作用に依存している。
【0003】
多くの場合、液体による表面の湿潤は望ましくない。例えば、水で表面を湿潤すると、水滴が表面に残り、そして蒸発して、水に懸濁又は溶解した固体が表面上に目障りな残留物の形態で残る。かかる課題は、特に雨水に曝される表面上で生じる。
【0004】
表面を水で湿潤することにより、屡々、これの腐食又は微生物の蔓延が生じ、その他に、藻(藻類)、地衣、蘚類、二枚貝等の成長が起こる。
【0005】
液体内容物の梱包材料及び貯蔵容器の場合、内面の低湿潤性は望ましく、これにより、梱包材料又は貯蔵容器において、これを空にすると、僅かに少量の液体が残るだけである。
【0006】
液体と接触するプラント部品の低湿潤性は、化学工学及びテロテクノロジーにおいても望ましい。特に、プラントの部品の湿潤性が高い場合、析出物及び付着物の形成が増大するであろうリスクが存在する。更に、湿潤性を増大させることにより、一般に、配管中における液体の流れ抵抗が増大する。
【0007】
親水性液体に対する表面の湿潤性は、表面に疎水性被覆物を付与することにより低減可能であることが知られている。ここで使用される被覆材料は、ポリシロキサン、(ペル)フッ素化ポリマー、特にポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)(疎水性が極めて高い。)、及びフッ素化有機ワックスである。フッ素化又は過フッ素化ポリマー及びフッ素化有機ワックスは、20mN/m未満の表面張力を有しているのが一般的である。被膜(被覆)は、液体と湿潤面との間の接着力を低減させる。
【0008】
疎水性面を構造化することに対する有効性が証明された。この表面構造は、一般に、0.1〜1000μmの規則的な又は不規則な隆起又は凹部を有している。更に、この構造化により、水等の極性液体に対する表面の接着性が低減し、汚れ粒子等の固体析出物の表面に対する接着性も低減する。好適な構造化がもたらされる場合に水を動かすことにより、汚れ粒子が表面から洗い落とされることも見出された。この効果は、自浄効果又はロートス効果とも称されている(Barthlott et al., Biologie in unserer Zeit, 28, No.5, 314−322頁、参照)。
【0009】
一例として、WO96/04123では、隆起と凹部を有する人工面構造を有する製品の自浄面について記載しており、その際、この構造における特定の性質は、隆起と該隆起の高さとの間の距離である。表面を製造する方法の例は、テフロン(登録商標)粉末の接着処理面への施し(塗布)、又は熱可塑性プラスチック用の変形の可能な疎水性材料をエンボス加工することにより得られる構造の施しである。
【0010】
US3354022では、類似の表面を開示している。ここでも再び、エンボス加工による構造の施し、又はワックス粒子等の疎水性粒子の疎水性面への施しにより表面を形成している。記載されている別の表面は、粒径3〜12μmのワックス被覆ガラス粉末から構成されている。
【0011】
EP933388では、写真平板によりネガ成形品(雌型)を最初に製造し、これを使用してポリマーフィルムをエンボス加工し、その後、ポリマーフィルムをフルオロアルキルシランで疎水化することによって、疎水性の構造化面を製造する方法を開示している。
【0012】
EP−A909747では、有機シリコーン樹脂溶液中におけるクレイ粒子の分散液をセラミックスに施し、そして被膜を硬化することにより、自己洗浄性の屋根瓦等のセラミックスを下塗りする方法を開示している。
【0013】
JP−A73−28532では、疎水性面を有する微粒子を完全に乾燥させていないラッカーに施し、その後に硬化する被覆法を開示している。これにより、撥水性の表面が得られる。
【0014】
低湿潤性面の製造に関する従来技術に記載されている方法は、極めて複雑であるか、又は満足できる結果を得られない。エンボス加工法による構造化面の製造は、複雑であり、そして平面に用いる場合にだけ対費用効果がある。その後に疎水性粒子を施すことにより達成される構造化を有する表面は、屡々、低い再生性又は低い機会安定性のみを有している。更に、この処理は、極めて複雑でもある。更に、フッ素化有機化合物又はフッ素化ポリマーを屡々必要とし、そしてこれらは、極めて高価であるばかりでなく、環境上の課題も引き起こす。
【0015】
従って、本発明の目的は、低湿潤性の表面の製造に適当であり且つ従来技術の不都合を克服する組成物を提供することにある。
【0016】
上記目的は、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tを包含し且つ少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性微粒子Pを包含する組成物であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが1:2〜50:1の範囲にある組成物を用いることによって達成される。
【0017】
従って、本発明は、かかる組成物、及びかかる組成物を低湿潤性面の製造に使用する方法を提供する。
【0018】
低湿潤性面を製造するために、被覆組成物を、表面への被覆物として簡易に施すことが可能である。これにより、表面の湿潤性を殆どゼロに低減させ、そしてかかる表面上に自浄効果を形成する。従って、本発明は、本発明の被覆組成物を被覆すべき表面に施すことによる低湿潤性面の製造方法、更に自浄効果面製造用被覆組成物の使用法を提供する。本発明の組成物は、配管の内側面に本発明の組成物を被覆することによって、配管中における流れ抵抗低減にも使用することが可能である。
【0019】
表面の湿潤性を特徴付けるために、表面における液滴の静的接触角(static contact angle)を利用することが可能である。この静的接触角は、この表面と、液滴と表面との接触点領域における液滴の表面に対する接線とにより囲まれている角度として定義され、その際、この接触角は、この液滴を通して測定される。従って、0°の接触角は、完全な湿潤性と液滴形成なしを意味し、180°の接触角は、完全な非湿潤性を意味する。この接触角は、公知の方法、例えばゴニオメーターを具備した顕微鏡を用いて測定しても良い(C. D. Bain et al., Angew. Chem. 101 (1989) 522−528頁, 及びA. Born et al., Farbe & Lack 105 (1999) 96−104頁、参照)。
【0020】
本発明の被覆組成物で処理された表面は、一般に、120°以上、特に140°以上、特に好ましくは160°以上の静的接触角(室温で測定される)を、極めて多種多様な液体、特に水に関して有している。むしろ、水に関しては、160°を超える接触角が屡々達成される。160°を超える接触角は、一般に、適度な精度で測定不可能である。しかしながら、160°を超える接触角は、表面の完全な非湿潤性を意味するのが一般的である。
【0021】
表面における湿潤性の別の測定法(測定値)は、傾斜面から流れ落ちる液滴を生じさせるために必要な引力FHの逆数として定義される“忌避力(はねつけ力:Repellent Power)”FRである。この“忌避力”は、以下の式:
【0022】
【数1】
【0023】
[但し、mが液滴の質量を表し、gが重力加速度を表し、そしてαが当該表面から流れ落ちる液滴を生じさせるために十分な試験面の水平面に対する考え得る最小の傾斜を表す。]
から計算される。
【0024】
本発明の組成物中に存在する疎水性の熱可塑性物質Tは、親水性粉末と相互作用するので、この組成物から実質上構成され且つ低湿潤性と自浄効果を有する表面が得られる。これは、バインダーとしても作用するので、表面上に粉末粒子を固定するために働く。
【0025】
熱可塑性物質Tの疎水性は、例えば、物質Tで被覆された滑らかな表面上における水の静的接触角を測定することにより測定され得る表面張力によって特徴付けられる。本発明の組成物中に存在する物質Tは、水に関して、90°以上の静的接触角を有している。疎水性を測定する別の方法は、“ペンダント−ドロップ”法である(S. Wu, ”Polymer Interface and Adhesion”, Marcel Decker Inc., New York 1982, 266−268頁、参照)。これ以後のバインダーの表面張力に関して示されている数値は、この“ペンダント−ドロップ”法により測定された値に基づいている。本発明の目的のために、疎水性バインダーは、20〜50mN/mの範囲の表面張力を有している。市販の疎水性物質Tに関する表面張力は、文献に示されている場合がある:例えば、Wu et al. loc. cit. 88頁以降、及びS. Ellefson et al., J. Am. Ceram. Soc. 21, 193, (1938); S. Wu, J. Collid Interface Sci. 31, 153, (1969), J. Phys. Chem. 74, 632 (1970), J. Polym. Sci, C34, 19, (1971); R. J. Roe et al., J. Phys. Chem. 72, 2013 (1968), J. Phys. Chem. 71, 4190 (1967), J. Collid Interface Sci. 31, 228, (1969); J. F. Padday in ”Surface and Collid Science (E. Matijevic編), Wiely, New York 1969, 101−149頁を参照されたい。
【0026】
本発明により、表面エネルギーが42mN/m未満、特に37mN/m未満のバインダーが好ましい。
【0027】
物質Tは、有機溶剤に溶解可能な熱可塑性又はフィルム形成性ポリマーである。使用され得る他の物質Tは、熱による、酸化による又は光化学による硬化処理により架橋され、これにより固体を含む堅い被膜(被覆物)を形成する有機プレポリマーである。
【0028】
物質Tの性質は、所望の用途に屡々依存しており、その疎水性の水準が本発明の範囲内であれば、本発明の良好な結果に対して、実際に重要性は低い。この物質は、一般に、4個以上の炭素原子を有する複数の炭化水素基、例えば炭素原子数4個以上、好ましくは5〜30個、特に8〜24個の直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル又はシクロアルキル、及び/又は一般に4個以上、好ましくは6個以上の飽和炭素原子を相互に結合して有する比較的長鎖の炭化水素部分を有している。この炭化水素部分の例は、直鎖又は分岐のC4〜Cnアルキレン基、好ましくはC6〜Cnアルキレン基、及びC5〜C10シクロアルキレン基(但し、nがそれぞれ>4及び>6の整数である。)である。炭化水素鎖又は炭化水素部分の割合は、物質Tに対して、50質量%以上が一般的であり、特に60質量%以上である。
【0029】
物質Tの例は、8個を超える炭素原子を有する脂肪酸であり、特にエチレン性不飽和脂肪酸、及びこれと多価アルコールとのエステル、例えばグリセロール、エチレングリコール、プロパンジオール、ソルビトール、グルコース、スクロース又はトリメチロールプロパンである。この脂肪酸及びそのエステルは、酸化により硬化されるので、プレポリマーとして分類される。他の物質Tは、天然のワックス、例えば蜜蝋、カルナウバ蝋、ラノリン、カンデリラ蝋、そして更に合成ワックス、例えばモンタン酸ワックス、モンタン酸エステルワックス、アミドワックス、例えばジステアロイルエチレンジアミン、フィッシャー−トロプッシュワックス、並びにエチレンの蝋質ポリマー及びプロピレンの蝋質ポリマー(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)である。
【0030】
物質Tは、1000ダルトンを超える、好ましくは1500ダルトンを超える、特に2000ダルトンを超える数平均分子量のオリゴマー又はポリマーであるのが好ましく、そしてここでのモル質量の上限は、1千万g/モル(10000000g/モル)であり得る。モル質量は、2500〜5000000g/モルの範囲が好ましい(粘度計により測定される)。
【0031】
この物質Tの例は、エチレン性不飽和モノマーMの単独重合体又は共重合体であり、その構造は、C5〜C30アルキル基又はC5〜C10シクロアルキル基を有する少なくとも50質量%のエチレン性不飽和モノマーAと適宜好適なコモノマーBとから構成される。
【0032】
このモノマーAの例は、下記の通りである:
C5〜C30アルカノール又はC5〜C10シクロアルカノールのモノエチレン性不飽和エーテル及びエステル、例えばそのビニル、アリル及びメタアリルエーテル、例えばビニルヘキシルエーテル、ビニルn−オクチルエーテル、ビニルラウリルエーテル、ビニルステアリルエーテル(ビニルオクタデシルエーテル)、ビニルシクロペンチルエーテル、及びビニルシクロヘキシルエーテル;
エチレン性不飽和C3〜C8モノ又はジカルボン酸とC5〜C30アルカノール又はC5〜C10シクロアルカノールとのエステル及び半エスエル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、又はフマル酸のエステル及び半エステル、例えばn−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート、ビス(n−ヘキシル)マレエート、ビス(n−ヘキシル)フマレート、ビス(2−エチルヘキシル)マレエート、ビス(2−エチルヘキシル)フマレート、ビス(2−プロピルヘプチル)マレエート、ビス(2−プロピルヘプチル)フマレート、ビス(n−デシル)マレエート、ビス(n−デシル)フマレート、ジラウリルマレエート、ジラウリルフマレート、ジステアリルマレエート、又はジステアリルフマレート;
エチレン性不飽和モノカルボン酸とC5〜C30アルキルアミン又はC5〜C10シクロアルキルアミンとのアミド、例えばN−(n−ヘキシル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、N−(n−オクチル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、N−(n−ドデシル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、そしてN−(ステアリル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド;
炭素原子数6〜30個の脂肪族カルボン酸のビニル、アリル、及びメタアリルエステル(メタリルエステル:methallyl ester)、例えばビニルヘキサノエート、ビニルオクタノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルシクロヘキサノエート;更に、
C7〜C32オレフィン、例えばn−ヘプテン、n−オクテン、イソオクテン、n−デセン、ドデセン、イソトリデセン、更に末端二重結合を有し且つ炭素原子数10〜32個のオリゴオレフィン混合物;等である。
【0033】
コモノマーBの性質は、比較的重要ではない。原則として、モノマーAと共重合可能であるエチレン性不飽和モノマーであれば、どのようなモノマーでも使用可能である。これには、モノエチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、これらのアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、これらのC1〜C5アルカノールとのエステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、共役ジオレフィン、例えばブタジエン及びイソプレン、炭素原子数2〜5個の脂肪族カルボン酸のビニル及びアリルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及びピバル酸ビニル、芳香族ビニルモノマー、例えばスチレン、tert−ブチルスチレン、及びビニルトルエン、エチレン性不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリル、そしてハロゲン化オレフィン、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロジフルオロエタン、フッ化ビニリデン、及びテトラフルオロエタンが含まれる。
【0034】
モノマーAの単独重合体及び共重合体に関する特定の例は、ポリ−C5〜C30アルキルビニルエーテル、例えば分子量2000〜20000ダルトンの範囲、特に2500〜10000ダルトンの範囲(粘度計により測定される)を有するのが好ましいポリオクタデシルビニルエーテル、上述したエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸とC7〜C32オレフィンとの共重合体、例えばマレイン酸とC7〜C32オレフィンとの共重合体、更にこれらの共重合体と鎖長C8〜C32の飽和アルコール又は鎖長C8〜C32の脂肪アミンとの反応生成物、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(適宜、C5〜C30アルカノールと)のエステルと、C1〜C4アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル化合物、及び/又はビニルC2〜C5アルカノエートと(適宜、他のコモノマーBと)の単独重合体及び共重合体である。
【0035】
他の好ましい物質Tは、オリゴ−及びポリ−C2〜C7オレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブテンであり、例えば分子量10000〜10000000の範囲である(粘度計により測定される)。
【0036】
他の好適な物質Tは、構造が主として、即ち少なくとも99質量%の、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC3〜C12アルキルエステルから構成されるポリマー、更にこれらのモノマーの50%以下が、モノマーAか、又は10g/L(リットル)未満の水溶性のモノマーBに置き換えられた共重合体である。これらのポリマーの特定例は、ポリ−n−ブチルアクリレート及びメタクリレート、そしてポリ−tert−ブチルアクリレート及びメタクリレートである。
【0037】
他の適当な物質Bは、ポリ−C1〜C4アルキレンオキシド、例えばポリオキシメチレン、ポリプロピレンオキシド、及びポリブチレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、及びポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、そして直鎖又は分岐のポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(シリコーン)である。
【0038】
他の好適な物質は、式I:
【0039】
【化1】
【0040】
[但し、n=1の場合、xが酸素であり、n=2の場合、xが窒素であり、aが1〜2000までの整数であり、そしてRが水素、トリメチルシリル、又はC1〜C8アルキルを表す。]
で表されるシロキサン側鎖を有するポリマーである。
【0041】
これらのポリマーは、式II:
【0042】
【化2】
【0043】
[但し、R’が水素又はメチルを表し、YがC(O)、CH2又は化学結合を表し、そしてX、a、b、c、R及びnが上記と同義である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーBの、適宜上述したモノマーA及び/又はCと共に用いる単独重合又は共重合により得られる。
【0044】
他の好適な物質Tは、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及び脂肪族及び/又は芳香族ジオールからなる脂肪族又は部分芳香族ポリエスエル、例えば
炭素原子数2〜18個の脂肪族ジアルコール、例えばプロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及び炭素原子数3〜18個の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸及びデカンジカルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル;
ビスフェノールA及び上述した、炭素原子数3〜18個のジカルボン酸から誘導される部分芳香族ポリエステル;そして
テレフタル酸及び炭素原子数2〜18個の脂肪族ジアルコール及び炭素原子数3〜18個のジカルボン酸とから誘導される部分芳香族ポリエステル;
である。
【0045】
ポリエステルは、必要により炭素原子数4〜24個の長鎖モノアルコール、例えば2−エチルヘキサノール又はオクタデカノールで終結させても良い。更に、このポリエステルは、炭素原子数4〜24個の長鎖モノカルボン酸、例えばステアリン酸で終結させても良い。
【0046】
一般的な光化学及び/又は熱架橋性バインダーは、それぞれエチレン性不飽和二重結合を有し且つ放射線−硬化性ラッカーの製造に使用されるポリマー又はオリゴマーであり、ポリマー又はオリゴマーは、この全質量に対して、少なくとも50質量%のC5〜C30アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基、又は4個以上、好ましくは6個以上の脂肪族性炭素原子を有する炭化水素部分を有している。これらの例には、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、縮合無水マレイン酸単位導入ポリエステルの流動性調製物、更にエポキシ樹脂、例えば芳香族エポキシ樹脂が含まれ、その際、オリゴマー又はポリマーを、適宜有機溶剤及び/又は反応性希釈剤に溶解して、その流動性を改良している。反応性希釈剤は、低分子量のエチレン性不飽和液体であり、これは、架橋の際にエチレン性不飽和ポリマーで被膜を形成する。当業者等は、放射線−硬化性バインダー及びかかるバインダーを含む調製物を、例えば、P. K. T. Oldring編 ”Chemistry and Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints”, 第2巻, 1991, Sita Technology London, により十分認識しており、例えばラロマー(Laromer)(登録商標)P084F、ラロマー(登録商標)LR8819、ラロマー(登録商標)PE55F、ラロマー(登録商標)LR8861という登録商標で市販されている(BASF社、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen))。
【0047】
本発明の組成物中に含まれる粉末は、親水性である、即ち水で湿潤されている。一般に、これは酸化物材料、好ましくはシリケート若しくはシリカ又は石英、アルミノシリケート、クレイ材料、酸化アルミニウム、二酸化チタン、又は無機炭酸塩、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(チョーク)若しくはドロマイト、又はアルカリ土類金属の硫酸塩、例えば硫酸カルシウム若しくは硫酸バリウムであり、例えば前者は、ギプスの形態である。
【0048】
平均粒径(数平均粒径)20〜300μmの範囲、好ましくは20〜200μmの範囲、特に20〜150μmの範囲、特に好ましくは20〜100μmの範囲である粉末Pが好ましい。500μmを超える粒径の質量換算による割合は、10%未満が好ましく、特に5%未満である。15μm未満の粒径の質量換算による割合は、同様に10%未満が一般的であり、特に5%未満である。粉末粒子の90質量%が20〜200μmの範囲であり、特に好ましくは20〜150μmの範囲であり、極めて好ましくは20〜100μmの範囲の粒径を有する粉末が特に好ましい。
【0049】
好ましい粉末Pは、シリケート又はSiO2から実質上構成されている構造を有する。これらの例は、砂(例えば、粒径20〜200μmの範囲、特に30〜100μmの範囲である。)、粉末ガラス又は粉末石英であり、その場合、粒径は250μm未満が好ましく、特に200μm未満であり、特に好ましくは150μm未満であり、極めて好ましくは100μm未満である。別の好ましい疎水性粉末は、発煙(フューム)シリカであり、例えばアエロシル(AEROSIL)(登録商標)という登録商標、例えばアエロシル(登録商標)380(Degussa−Huels AG)で市販されている。
【0050】
本発明による所望の低湿潤効果を達成するために、本発明の組成物における粉末Pの物質Tに対する質量換算による割合が少なくとも1.1:1であり、特に少なくとも1.5:1であり、特に好ましくは少なくとも2:1であり、極めて好ましくは少なくとも3:1である場合に有利であると証明された。質量換算による割合は、20:1以下が好ましく、特に15:1以下であり、10:1以下が特に好ましい。
【0051】
本発明の組成物は、被覆組成物として、即ち従来からの表面の被膜形成(被覆)用被覆組成物として、又は、成形品製造用の成形組成物として適当である。熱可塑性バインダーを使用するため、本発明の組成物は、その目的に通常使用される方法によって熱可塑的に処理可能である。
【0052】
被膜(被覆物)は、本発明の組成物を被覆すべき従来からの表面に、公知の方法で施すことによって形成する。成形品は、公知の賦形処理用の出発材料としての本発明による組成物を使用し、特に熱可塑性処理(熱可塑性加工)、例えば加圧成形、例えば熱圧成形、熱間圧延、射出成形、又は融点若しくは熱可塑性物質Tのか焼温度より高い温度での本発明による組成物の押出により、本発明の組成物から製造される。成形品を得るための加工処理に使用される出発材料は、溶剤含有組成物又は、固体の組成物、例えば粉末状若しくはペレット状の組成物が可能である。
【0053】
用途に応じて、本発明の組成物は乾燥状態で調製されても良い、即ち、微粒子状の粉末Pを疎水性物質Tと共に包含する粉末調製物として調製されても良い。
【0054】
しかしながら、別の好ましい実施の形態において、本発明の組成物を調製して、加工温度で流動性のあるようにする。勿論、本発明の組成物を、この組成物の性質に応じて、室温、又は、室温より高い温度若しくは低い温度、例えば0〜300℃の範囲、好ましくは0〜250℃の範囲、特に10〜200℃の範囲で加工しても良い。
【0055】
適宜、本発明による流動状の組成物は、粉末P及び疎水性物質Tの他に、有機希釈剤又は有機溶剤を含むのが一般的であり、物質Tを溶解又は膨張させる溶剤が好ましい。これにより、被膜を改良する。
【0056】
好適な溶剤は揮発性の有機溶剤であり、これは、本発明による組成物の使用後、例えば被覆組成物として調製された組成物を施すことにより、物質Tの均一なフィルムを形成可能となった後、適宜加熱により蒸発する。好適な溶剤の例は、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトン、酢酸の揮発性エステル、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン、更に脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばテルペンチン油(terpentine oil)、石油、石油スピリット、トルエン、及びキシレンである。好ましい有機溶剤は、上述した脂肪族又は芳香族炭化水素である。
【0057】
液体の調製物において、固体含有量(調製物の全質量に対する粉末Pと物質Tの合計量)は、0.5〜90質量%の範囲である。従来の塗料において、固体含有量は、屡々20〜90質量%の範囲である。噴霧可能なラッカーにおいて、固体含有量をより低くしても良く、例えば0.5〜20質量%の範囲である。
【0058】
本発明の組成物を、エーロゾルとして調製することも可能である。その後、これは、粉末Pと物質Tの他に、少なくとも1種の促進薬(促進体)、更に適宜、液体の調製物に関して述べた溶剤のいずれかを含んでいる。促進薬の例は、この目的のために通常用いられる物質、例えばプロパン、ブタン、ジメチルエーテル、CO2、N2O、及びこれらの混合物である。噴霧物における固体含有量は、一般に、このために一般的な範囲であり、例えば0.1〜10質量%であり、そして固体は、成分P及びTの他に、固体の添加剤を包含していても良い。エーロゾルとして調製された被覆組成物における残りの含有物は、促進薬の気体と、適宜溶剤からなる。
【0059】
原則として、本発明の組成物を用いて、従来からの表面を被覆することが可能である。従来からの表面の例は、木材、金属、例えばスチール若しくはステンレススチール、ガラス、又はプラスチックの表面である。本発明の被覆組成物は、勿論、粗い又は多孔質の表面、例えばコンクリート、漆喰、紙、又は布地、例えば衣類、傘、テント、天幕用の布地を被覆するか、又は同等の用途、又は更に皮革若しくは毛にさえ被覆するために使用され得る。
【0060】
この組成物を被覆すべき表面(以後、支持体と称する)に、被覆技術(コーティング技術)において一般的な塗布法(施し法)により施すが、これは、組成物(以後、被覆組成物と称する)の形態と、支持体の性質に依存している。溶剤含有の、流動性被覆組成物の場合、一般に、はけ塗り、ドクター(doctoring)(ナイフ塗布)、噴霧(例えば、エアブラシを用いる)、浸漬、又はローリングし、次いで被膜を乾燥することにより施され、その後、溶剤が蒸発する。
【0061】
使用される物質Tが熱、酸化又は光化学による架橋可能なプレポリマーを含む場合、被覆組成物は、溶剤を添加しなくても屡々流動性であり、そして、適宜反応性希釈剤で希釈した後、上述した方法により施すことができる。実際の被覆物は、その後に、このプレポリマーの熱、酸化、又は光化学による硬化により形成される。
【0062】
微粒子状の被覆組成物の場合、粉体コーティング技術において一般的な粉体コーティング法を用いる。
【0063】
これらの方法において、微粒子状の被覆組成物の所望量を被覆すべき支持体に施し、その後に加熱することにより、熱可塑性重合体バインダーが溶融し、そして本発明の粉末粒子を表面上に固定させるポリマーフィルムを形成する。
【0064】
所望の効果を達成するために、被覆すべき表面に施すための被覆組成物の好ましい量は、被覆組成物中における固体組成分に対して、少なくとも0.01g/m2であり、特に少なくとも0.1g/m2であり、極めて好ましくは少なくとも0.5g/m2であるが、1000g/m2以下であるのが好ましい。ここでの固体組成分は、実質上成分i)とii)である。揮発性組成分の蒸発後、単位表面積あたりの、被覆物における対応の残留質量は、少なくとも0.01g/m2であり、特に少なくとも0.1g/m2であり、極めて好ましくは少なくとも0.5g/m2である。被覆すべき表面に施される被覆物の量は、屡々300g/m2以下(固体組成分に対する)であるが、被覆組成物の量を多くして、別の種類の用途で、例えばファサード塗料、下塗り、接合材料の形態の被覆、又はコンクリート製の屋根瓦、他の屋根瓦、装飾用コンクリート、洗いざらしのコンクリート、石工、若しくはコンクリート含有複合材料の被覆の場合に施す。
【0065】
本発明のバインダーを付与した表面を、例えば微粒子状の80〜400グレインの研磨剤で処理する等の磨砕(粉砕)か、又はサンドブラスト、ショットブラスティング、若しくはブラッシングにより粗くすることも有効であると証明された。更に、これにより、本発明による表面の撥水性を改良する。
【0066】
本発明の被覆組成物で被覆される支持体は、液体と固体に対する接着性が極めて低い。液体、特に親水性の液体、例えば水、水溶液、分散液、及び懸濁液、並びに極性有機液体、特に水溶性の極性有機液体、例えばC1〜C4アルカノール、グリコール、グリセロール、及びこれらの混合物、更に極性有機化合物、例えばカルボヒドレート及び同等の化合物の溶融物は、これらの被覆物から流れ落ちて、残留物が残らない。
【0067】
更に、本発明の被覆組成物で被覆される表面は、自浄効果を示す。固体、特に微粒子状の固体を、洗浄剤を用いず、水等の液体で洗浄することにより表面から除去可能である。驚くべきことに、微粒子状の固体は、圧縮空気により極めて容易に除去可能でもある。
【0068】
本発明による成形品も同様にこれらの性質を有している。驚くべきことに、この成形品は、例えばその表面が、機械的作用に起因する引っ掻き、切り欠き、亀裂、又は同様の損傷を受けた場合、これらの性質を損なわない。これらの種類の損傷を、例えば磨砕による除去により、この性質を損なうことなく修復可能でもある。
【0069】
更に、液体、特に水及び水溶液が、本発明による被覆物で被覆された配管、毛細管、又はノズルを通って流れる場合、流れ抵抗が小さくなる。
【0070】
本発明による被覆組成物の性質により、これを多種多様に用いることができる。
【0071】
腐食の影響を受けやすい材料、例えばコンクリート、強化コンクリート、木材、又は金属に対して、本発明の被覆組成物で被覆することにより、腐食から効果的に保護することが可能である。
【0072】
更に、本発明の被覆組成物は、紙、厚紙、又はポリマーフィルムの表面仕上げに適当である。
【0073】
本発明の被覆組成物を用いて、風雨に曝され、そして野外暴露条件下で汚れに曝される電子機器、例えば高圧線、電圧変換器、絶縁器、パラボラアンテナ等(これらを汚すか、又は湿潤させると、性能が損なう。)を処理することが可能となる。結果として、汚れが少なくなり、性能を損なわない。
【0074】
更に、本発明は、特に風雨に曝される表面、例えば屋根、ファサード、窓、庭園の備品、バルコニーの備品、自動車、交通標識、広告板、ソーラー設備等の表面の汚れ防止に適当である。本発明の被覆組成物は、衛生分野において、例えば備品、湿潤部屋(wetroom)、バスタブ、水泳プール、壁のタイル、フロアタイル等用の被覆物としても使用され得る。ここで、被覆組成物を使用することにより、水からの汚染物質の析出を防止するばかりでなく、望まない生物体、例えば微生物、藻、地衣、及び蘚類の蔓延及びこれらの成長も予防する。
【0075】
更に本発明の被覆組成物は、液体と接触するシステム(設備)の構成部品の被覆にも用いることができる。ここでは、配管、ボイラー、タンク、反応器、熱交換機、エバポレーター、コンデンサー、ポンプ、ノズル、噴霧器、噴霧乾燥機、晶析装置、充填装置等が特記に値する場合がある。これらのシステム部品に本発明の被覆組成物を付与する場合、液体より得られる固体組成分又は分解生成物の析出を抑制する。これにより、液体と接触するシステム部品の表面における付着物(インクラステーション)、析出物、妨害(物)、及び汚染物の形成が低減する。更に、被覆物により、システム部品、例えば配管中において液体の受ける流れ抵抗が低減する。従って、これにより、特に高粘性の液体をこのシステム部品を通して輸送する場合に必要なエネルギーコストが低減する。
【0076】
アイシング(着氷)、即ち屡々観察される現象は、冷却装置の冷却面に本発明の被覆組成物を付与する場合に低減可能である。船の船殻を被覆する場合に本発明の被覆組成物を使用することにより、水に起因する摩擦抵抗が低減するので、燃料消費量が低減する。飛行機の場合、アイシングによるリスクは、外表面に本発明の被覆組成物を被覆することにより低減可能である。
【0077】
液体生成物(製品)に使用する目的であり且つ本発明の被覆組成物が付与される梱包材料は、殆ど残留物を残すことなく空にされ得るので、内容物を良好に活用でき且つ梱包材料のリサイクルを容易にする。なぜなら、内容物の残留による汚染がないからである。
【0078】
内面に本発明の被覆組成物が付与される貯蔵容器は、空にするのが容易であり、そして自浄効果に起因して、界面活性剤を用いることなく水で洗浄することによって容易に洗浄可能である。
【0079】
本発明の被覆組成物が付与される布地、特に織布は、水に対する不透水性が高く、吸収率が低く、そして汚れ(汚物)をはねつける。本発明の被覆組成物で処理することにより、布地の撥水性が高くなる。汚物粒子は、十分な水を吸収させることなく、水を用いて容易に洗浄除去可能である。従って、本発明の被覆組成物は、生地、例えば衣類、テント、天幕、防水シート、傘の製造用に、又は裏地空間、例えば自動車の室内用に、又は例えば自動車分野における座席の装飾(布張り)用に使用され得る布地に対する撥水性及び汚物除去性の付与に適当である。
【0080】
本発明の被覆組成物で処理された皮革は、撥水性及び汚物除去性を有する革製の衣類及び靴の製造に適当である。
【0081】
化粧品分野において、本発明の被覆組成物は、例えばヘアスプレーの形態のヘアトリートメント組成物として使用可能であるが、これが含むバインダーは、化粧品に相溶性のある物質T、例えば化粧品に通常使用されるポリマーであれば良い。
【0082】
上述したように、本発明の被覆組成物は、成形品を製造するための成形組成物としても使用可能である。従って、本発明は、少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する成形品であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが1:2〜50:1の範囲であることを特徴とする成形品を提供する。
【0083】
本発明による成形品の有利な性質は、本発明の被覆物を有する製品の性質と同等である、即ちその表面は、特に上述した親水性の液体に対して極めて低い湿潤性を有している。その表面には、自浄効果がある。本発明の成形品は、従来の材料で生産された成形品と比較して、流れ抵抗も低くなっている。これらの性質は、その表面が例えば引っ掻きにより損傷を受けた場合であっても、失われることはない。驚くべきことに、成形品の有利な性質は、更に微粒子状研磨剤での処理により改善可能である。
【0084】
ここに示される実施例は、本発明を説明する意図で用いられ、本発明を限定するものではない。
【0085】
【実施例】
I 解析:
I.1 忌避力を測定する場合の一般的な規定
試験すべき被覆製品を試験テーブルに載置したが、その際に、傾斜を1〜90°で調節可能であった。その後、カニューレを用いて、液滴を試験片に落としたが、カニューレから試験片の表面までの距離は10mmであった。液滴は、事前の計量により測定された所定の質量を有していた。液滴がまさに流れ落ちる場合の傾斜の最小角を、傾斜角αを徐々に低減することによって測定した。傾斜の最小角α、液滴の質量m、及び重力加速度gを用いて、上述した式から忌避力FRを計算した。忌避力は、(ミリニュートン)−1単位であり、液滴が残留物を残さず流れ落ちることを可能にする表面の能力に関する定量的な測定値である。
【0086】
I.2 接触角の測定:
接触角は、クルエス(Kruess)社製のG1装置を使用して測定した。このために、内径0.5mmのステンレススチール製カニューレを用いて、蒸留水の液滴を試験すべき表面に施した。その後、ゴニオメーターを、水滴と表面との間の接触角の光学測定に用いた。疎水性の高い表面、例えば本発明により提供される表面の場合、この水滴により、実際に表面に接着しなくなった。ステンレススチール製カニューレからの排出時に、水滴は、その質量により、落下するまでカニューレに付着していた。接触角の正確な測定は、この種類の表面の場合に不可能となったが、160°を超える場合に評価可能であった。
【0087】
II 製造実施例:
実施例1:被覆組成物B1
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径250μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシル(Mikrosil)SP3)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0088】
実施例2:被覆組成物B2
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径250μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP3)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0089】
実施例3:被覆組成物B3
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、8gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径100μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP10)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0090】
実施例4:被覆組成物B4
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径100μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP10)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0091】
実施例5:被覆組成物B5
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、7gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径48μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルLM300)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0092】
実施例6:被覆組成物B6
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径48μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルLM300)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0093】
これらの実施例で使用されたポリオクタデシルビニルエーテルは、ペンダント−ドロップ法により溶融物上で測定される27.7mN/mの表面張力を有していた。
【0094】
実施例7:被覆組成物B7
40gの、BET表面積380m2/g(ドイツ工業規格66131により測定)の発煙シリカ(Degussa−Huels社製のアエロシル(登録商標)380)を、1000gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)に懸濁させた。この混合物に、60.8gの、マレイン酸と1−オレフィン混合物(鎖長C20〜C40)とからなるモル比1:1の共重合体(数平均モル質量約4000g/モル)を添加し、そしてポリマーが溶解するまで、この混合物を60℃で撹拌した。その後、溶剤を真空で除去し、残留物を真空乾燥キャビネット中で50℃にて乾燥した。その後、残留物をフライング−ブレード(flying−blade)ミル中で磨砕して、粉末を得た。2gの粉末を98gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に分散させた。
【0095】
実施例8:被覆組成物B8
以下に記載のようにして得た150gの疎水性ポリマーA、0〜36μmのスクリーン篩い(スクリーン分級:screen fraction)及び350gの粉末化石英(粒径分布6〜32μmのEuroquarz社製のミクロシルLM300)をガラスフラスコに導入した。実験室用のローラーで数時間ロール(圧延)することにより、粉末混合物を均質化した。
【0096】
粉末状の疎水性ポリマーAの製造:
360.8gの共重合体(構造が無水マレイン酸と1−オレフィン(鎖長C20−24の混合物)とからなり、モル比1:1である。)及び480gの1−オクタデカノールを密閉管型装置に導入した。混合物を、窒素フラッシュを継続しながら、140℃で7時間撹拌した。冷却することにより、832.3gの、融点58℃の無色ポリマーが得られた。次いで使用するために、この生成物をIKA A10分析用ミル中で磨砕し、そして粉砕生成物を、Fritsch Analysette製の振動性スクリーン機でスクリーン群により分離した。0〜36μmのスクリーン篩を使用した。
【0097】
実施例9:成形組成物F1
55gの砂浜の砂(36〜63μmのスクリーン分級)を、70℃で、45gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして混合物を撹拌により均質化した。
【0098】
実施例10:成形組成物F2
120gの砂浜の砂(36〜63μmのスクリーン分級)を、70℃で、30gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして10gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0099】
実施例11:成形組成物F3
32gのプラスターボード(Rigips社製のプラスターボード)を、70℃で、8gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして7gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0100】
実施例12:成形組成物F4
45gのプラスターボード(Rigips社製のプラスターボード)を、70℃で、5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして16gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0101】
実施例13:成形組成物F5
成形組成物F2を70℃でアルミニウムフォイル(アルミニウム箔)上に流し込んだ。冷却後、固体をフライング−ブレードミル中で磨砕して、粉末を得た。
【0102】
実施例14:成形組成物F6
実施例Aより得られた30gのポリマーを、70gの粉末化石英(粒径分布6〜32μmのEuroquarz社製のミクロシルLM300)を含む実験室用のローラーで数時間均質化し、その後、アルミニウムに流し込んだ。混合物を70℃に3時間加熱した。冷却することにより、厚さ5mmのシートが得られた。
【0103】
III 応用:
III−1 被覆
ドクターギャップ400μのボックスドクター装置を用い、被覆組成物B1〜B6をスチール製シート(Chemmetall社製のボンデル(Bonder)26 S60 OC)に施し、室温で乾燥した。被覆組成物B8を同様に施したが、施し(塗布)処理前に、スチール製シートを100℃に予備加熱した点が異なっていた。施し処理し、乾燥した後、研磨紙(320グレイン)を用いて被覆物を軽く研磨し、そして水で洗浄することにより、削屑を除去した。
【0104】
エアブラシ(HY−MAX HP−101)を用い、被覆組成物B7を木製の板に均一に噴霧し、室温で乾燥した。
【0105】
被覆組成物B1〜B7で被覆された表面は、疎水性が極めて高かった。この材料に水滴が落下すると、液滴は、この材料を湿潤することなく表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0106】
被覆組成物B1〜B7で被覆された表面の忌避力を表1に示す。これは、脱イオン水の水滴を用いて測定された。ここでの液滴の質量は4.3mgであった。
【0107】
表1:
試験片 忌避力
B1 60mN−1
B2 91mN−1
B3 80mN−1
B4 296mN−1
B5 104mN−1
B6 169mN−1
B7 100mN−1
【0108】
湿潤性の試験:
被覆組成物B1〜B6で被覆されたスチール製シートを、忌避力測定用の試験テーブル装置に載置した。10°の傾斜角を用い、以下の水系液体のそれぞれ所定量を、液滴の状態で連続して施した:
水(30mg)、
コーヒー(30mg)、
蜂蜜(59mg)、
塩酸水(32質量%濃度、41mg)、
水酸化ナトリウム水溶液(5質量%濃度、45mg)、
30質量%濃度のポリアクリル酸水溶液(47mg)、
30質量%濃度の、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの共重合体の水溶液(35mg)。
【0109】
水平に対して10°の傾斜角を用い、全ての液滴が、残留物を残さずに被覆スチール製シートから流れ落ちた。
【0110】
比較実験において、上述した液体を未処理スチール製シートに施した。試験片における傾斜角も同様に水平に対して10°であった。全ての場合において、表面の湿潤が起こった。全ての液体が、スチール製シート上に残留物を残して水を除いた。
【0111】
汚物除去試験:
B1〜B6で被覆されたスチール製シートを、カーボンブラック粉末(プリンテックス(Printex)(登録商標)V、BASD Drucksysteme社製)で汚した。その後、この被覆物上に、水を落とした。結果としては、水滴が流れ落ちた際に、これによりカーボンブラック粉末を完全に除去したので、最初の表面が再生した。洗浄剤を使用する必要がなかった。
【0112】
比較実験において、未処理スチール製シートを、カーボンブラック粉末(プリンテックス(登録商標)V、BASD Drucksysteme社製)で汚した。その後、このシートに水を落とした。結果としては、水滴が流れ落ちた際に、これによりカーボンブラック粉末を部分的に除去しただけであるので、カーボンブラックの斑点がスチール製シート上に残った。
【0113】
被覆組成物B8でのスチール製シートの被覆:
PEM−CG2(コロナ(Corona)社)の粉末スプレーガンを用いて、開示されている粉末混合物B8を、Chemetall社製のボンデル26S 60 OCスチール製シートに噴霧した。運搬空気の量は、4.5m3/時であり、そして計量導入空気の量は2.0m3/時であった。その後、噴霧処理シートを実験室用乾燥キャビネット中において、120℃に20分間加熱し、粉末層からフィルムを形成した。冷却後、研磨紙(320グレイン)を用いて、表面を粗くし、そして削屑を除去した。
【0114】
被覆組成物B8で被覆された表面の疎水性は極めて高いものであった。この材料に水が落ちると、これを湿潤することなく、液滴は表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0115】
被覆組成物で被覆された表面の忌避力は、177mN−1であった。これは、脱イオン水の液滴を用いて測定された。ここでの液滴の質量は、4.3mgであった。
【0116】
III−2 成形品:
成形組成物F1〜F4を、70℃で、アルミニウムの金型に流し込んだ。冷却し、そして乾燥することにより、厚さ約5mmのシートが得られた。成形組成物F5と成形組成物F6を、約7.4×107Paの圧力を用い、圧縮機中において圧縮加工して、厚さ約2mmのシートを得た。
【0117】
研磨紙(320グレイン)を用いて、シートを軽く粗くし、そして水で洗浄することによって、削り屑を除去した。
【0118】
成形組成物F1〜F6から製造されるシートの疎水性は極めて高いものであった。この材料に水が落ちると、これを湿潤することなく、液滴が表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0119】
ニードルでの引っ掻きによる損傷を受けた成形品F1も同様にこれらの性質を有していた。
【0120】
ニードルでの引っ掻きによる損傷を受けた成形品F6も同様にこれらの性質を有していた。
本発明は、少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する組成物、及びかかる組成物を低湿潤性面の製造に使用する方法に関する。
【0002】
従来からの表面を液体により湿潤させるのは一般的である。湿潤度は、液体間の凝集力と、液体と表面との間の接着力との相互作用に依存している。
【0003】
多くの場合、液体による表面の湿潤は望ましくない。例えば、水で表面を湿潤すると、水滴が表面に残り、そして蒸発して、水に懸濁又は溶解した固体が表面上に目障りな残留物の形態で残る。かかる課題は、特に雨水に曝される表面上で生じる。
【0004】
表面を水で湿潤することにより、屡々、これの腐食又は微生物の蔓延が生じ、その他に、藻(藻類)、地衣、蘚類、二枚貝等の成長が起こる。
【0005】
液体内容物の梱包材料及び貯蔵容器の場合、内面の低湿潤性は望ましく、これにより、梱包材料又は貯蔵容器において、これを空にすると、僅かに少量の液体が残るだけである。
【0006】
液体と接触するプラント部品の低湿潤性は、化学工学及びテロテクノロジーにおいても望ましい。特に、プラントの部品の湿潤性が高い場合、析出物及び付着物の形成が増大するであろうリスクが存在する。更に、湿潤性を増大させることにより、一般に、配管中における液体の流れ抵抗が増大する。
【0007】
親水性液体に対する表面の湿潤性は、表面に疎水性被覆物を付与することにより低減可能であることが知られている。ここで使用される被覆材料は、ポリシロキサン、(ペル)フッ素化ポリマー、特にポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)(疎水性が極めて高い。)、及びフッ素化有機ワックスである。フッ素化又は過フッ素化ポリマー及びフッ素化有機ワックスは、20mN/m未満の表面張力を有しているのが一般的である。被膜(被覆)は、液体と湿潤面との間の接着力を低減させる。
【0008】
疎水性面を構造化することに対する有効性が証明された。この表面構造は、一般に、0.1〜1000μmの規則的な又は不規則な隆起又は凹部を有している。更に、この構造化により、水等の極性液体に対する表面の接着性が低減し、汚れ粒子等の固体析出物の表面に対する接着性も低減する。好適な構造化がもたらされる場合に水を動かすことにより、汚れ粒子が表面から洗い落とされることも見出された。この効果は、自浄効果又はロートス効果とも称されている(Barthlott et al., Biologie in unserer Zeit, 28, No.5, 314−322頁、参照)。
【0009】
一例として、WO96/04123では、隆起と凹部を有する人工面構造を有する製品の自浄面について記載しており、その際、この構造における特定の性質は、隆起と該隆起の高さとの間の距離である。表面を製造する方法の例は、テフロン(登録商標)粉末の接着処理面への施し(塗布)、又は熱可塑性プラスチック用の変形の可能な疎水性材料をエンボス加工することにより得られる構造の施しである。
【0010】
US3354022では、類似の表面を開示している。ここでも再び、エンボス加工による構造の施し、又はワックス粒子等の疎水性粒子の疎水性面への施しにより表面を形成している。記載されている別の表面は、粒径3〜12μmのワックス被覆ガラス粉末から構成されている。
【0011】
EP933388では、写真平板によりネガ成形品(雌型)を最初に製造し、これを使用してポリマーフィルムをエンボス加工し、その後、ポリマーフィルムをフルオロアルキルシランで疎水化することによって、疎水性の構造化面を製造する方法を開示している。
【0012】
EP−A909747では、有機シリコーン樹脂溶液中におけるクレイ粒子の分散液をセラミックスに施し、そして被膜を硬化することにより、自己洗浄性の屋根瓦等のセラミックスを下塗りする方法を開示している。
【0013】
JP−A73−28532では、疎水性面を有する微粒子を完全に乾燥させていないラッカーに施し、その後に硬化する被覆法を開示している。これにより、撥水性の表面が得られる。
【0014】
低湿潤性面の製造に関する従来技術に記載されている方法は、極めて複雑であるか、又は満足できる結果を得られない。エンボス加工法による構造化面の製造は、複雑であり、そして平面に用いる場合にだけ対費用効果がある。その後に疎水性粒子を施すことにより達成される構造化を有する表面は、屡々、低い再生性又は低い機会安定性のみを有している。更に、この処理は、極めて複雑でもある。更に、フッ素化有機化合物又はフッ素化ポリマーを屡々必要とし、そしてこれらは、極めて高価であるばかりでなく、環境上の課題も引き起こす。
【0015】
従って、本発明の目的は、低湿潤性の表面の製造に適当であり且つ従来技術の不都合を克服する組成物を提供することにある。
【0016】
上記目的は、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tを包含し且つ少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性微粒子Pを包含する組成物であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが1:2〜50:1の範囲にある組成物を用いることによって達成される。
【0017】
従って、本発明は、かかる組成物、及びかかる組成物を低湿潤性面の製造に使用する方法を提供する。
【0018】
低湿潤性面を製造するために、被覆組成物を、表面への被覆物として簡易に施すことが可能である。これにより、表面の湿潤性を殆どゼロに低減させ、そしてかかる表面上に自浄効果を形成する。従って、本発明は、本発明の被覆組成物を被覆すべき表面に施すことによる低湿潤性面の製造方法、更に自浄効果面製造用被覆組成物の使用法を提供する。本発明の組成物は、配管の内側面に本発明の組成物を被覆することによって、配管中における流れ抵抗低減にも使用することが可能である。
【0019】
表面の湿潤性を特徴付けるために、表面における液滴の静的接触角(static contact angle)を利用することが可能である。この静的接触角は、この表面と、液滴と表面との接触点領域における液滴の表面に対する接線とにより囲まれている角度として定義され、その際、この接触角は、この液滴を通して測定される。従って、0°の接触角は、完全な湿潤性と液滴形成なしを意味し、180°の接触角は、完全な非湿潤性を意味する。この接触角は、公知の方法、例えばゴニオメーターを具備した顕微鏡を用いて測定しても良い(C. D. Bain et al., Angew. Chem. 101 (1989) 522−528頁, 及びA. Born et al., Farbe & Lack 105 (1999) 96−104頁、参照)。
【0020】
本発明の被覆組成物で処理された表面は、一般に、120°以上、特に140°以上、特に好ましくは160°以上の静的接触角(室温で測定される)を、極めて多種多様な液体、特に水に関して有している。むしろ、水に関しては、160°を超える接触角が屡々達成される。160°を超える接触角は、一般に、適度な精度で測定不可能である。しかしながら、160°を超える接触角は、表面の完全な非湿潤性を意味するのが一般的である。
【0021】
表面における湿潤性の別の測定法(測定値)は、傾斜面から流れ落ちる液滴を生じさせるために必要な引力FHの逆数として定義される“忌避力(はねつけ力:Repellent Power)”FRである。この“忌避力”は、以下の式:
【0022】
【数1】
【0023】
[但し、mが液滴の質量を表し、gが重力加速度を表し、そしてαが当該表面から流れ落ちる液滴を生じさせるために十分な試験面の水平面に対する考え得る最小の傾斜を表す。]
から計算される。
【0024】
本発明の組成物中に存在する疎水性の熱可塑性物質Tは、親水性粉末と相互作用するので、この組成物から実質上構成され且つ低湿潤性と自浄効果を有する表面が得られる。これは、バインダーとしても作用するので、表面上に粉末粒子を固定するために働く。
【0025】
熱可塑性物質Tの疎水性は、例えば、物質Tで被覆された滑らかな表面上における水の静的接触角を測定することにより測定され得る表面張力によって特徴付けられる。本発明の組成物中に存在する物質Tは、水に関して、90°以上の静的接触角を有している。疎水性を測定する別の方法は、“ペンダント−ドロップ”法である(S. Wu, ”Polymer Interface and Adhesion”, Marcel Decker Inc., New York 1982, 266−268頁、参照)。これ以後のバインダーの表面張力に関して示されている数値は、この“ペンダント−ドロップ”法により測定された値に基づいている。本発明の目的のために、疎水性バインダーは、20〜50mN/mの範囲の表面張力を有している。市販の疎水性物質Tに関する表面張力は、文献に示されている場合がある:例えば、Wu et al. loc. cit. 88頁以降、及びS. Ellefson et al., J. Am. Ceram. Soc. 21, 193, (1938); S. Wu, J. Collid Interface Sci. 31, 153, (1969), J. Phys. Chem. 74, 632 (1970), J. Polym. Sci, C34, 19, (1971); R. J. Roe et al., J. Phys. Chem. 72, 2013 (1968), J. Phys. Chem. 71, 4190 (1967), J. Collid Interface Sci. 31, 228, (1969); J. F. Padday in ”Surface and Collid Science (E. Matijevic編), Wiely, New York 1969, 101−149頁を参照されたい。
【0026】
本発明により、表面エネルギーが42mN/m未満、特に37mN/m未満のバインダーが好ましい。
【0027】
物質Tは、有機溶剤に溶解可能な熱可塑性又はフィルム形成性ポリマーである。使用され得る他の物質Tは、熱による、酸化による又は光化学による硬化処理により架橋され、これにより固体を含む堅い被膜(被覆物)を形成する有機プレポリマーである。
【0028】
物質Tの性質は、所望の用途に屡々依存しており、その疎水性の水準が本発明の範囲内であれば、本発明の良好な結果に対して、実際に重要性は低い。この物質は、一般に、4個以上の炭素原子を有する複数の炭化水素基、例えば炭素原子数4個以上、好ましくは5〜30個、特に8〜24個の直鎖又は分岐のアルキル又はアルケニル又はシクロアルキル、及び/又は一般に4個以上、好ましくは6個以上の飽和炭素原子を相互に結合して有する比較的長鎖の炭化水素部分を有している。この炭化水素部分の例は、直鎖又は分岐のC4〜Cnアルキレン基、好ましくはC6〜Cnアルキレン基、及びC5〜C10シクロアルキレン基(但し、nがそれぞれ>4及び>6の整数である。)である。炭化水素鎖又は炭化水素部分の割合は、物質Tに対して、50質量%以上が一般的であり、特に60質量%以上である。
【0029】
物質Tの例は、8個を超える炭素原子を有する脂肪酸であり、特にエチレン性不飽和脂肪酸、及びこれと多価アルコールとのエステル、例えばグリセロール、エチレングリコール、プロパンジオール、ソルビトール、グルコース、スクロース又はトリメチロールプロパンである。この脂肪酸及びそのエステルは、酸化により硬化されるので、プレポリマーとして分類される。他の物質Tは、天然のワックス、例えば蜜蝋、カルナウバ蝋、ラノリン、カンデリラ蝋、そして更に合成ワックス、例えばモンタン酸ワックス、モンタン酸エステルワックス、アミドワックス、例えばジステアロイルエチレンジアミン、フィッシャー−トロプッシュワックス、並びにエチレンの蝋質ポリマー及びプロピレンの蝋質ポリマー(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)である。
【0030】
物質Tは、1000ダルトンを超える、好ましくは1500ダルトンを超える、特に2000ダルトンを超える数平均分子量のオリゴマー又はポリマーであるのが好ましく、そしてここでのモル質量の上限は、1千万g/モル(10000000g/モル)であり得る。モル質量は、2500〜5000000g/モルの範囲が好ましい(粘度計により測定される)。
【0031】
この物質Tの例は、エチレン性不飽和モノマーMの単独重合体又は共重合体であり、その構造は、C5〜C30アルキル基又はC5〜C10シクロアルキル基を有する少なくとも50質量%のエチレン性不飽和モノマーAと適宜好適なコモノマーBとから構成される。
【0032】
このモノマーAの例は、下記の通りである:
C5〜C30アルカノール又はC5〜C10シクロアルカノールのモノエチレン性不飽和エーテル及びエステル、例えばそのビニル、アリル及びメタアリルエーテル、例えばビニルヘキシルエーテル、ビニルn−オクチルエーテル、ビニルラウリルエーテル、ビニルステアリルエーテル(ビニルオクタデシルエーテル)、ビニルシクロペンチルエーテル、及びビニルシクロヘキシルエーテル;
エチレン性不飽和C3〜C8モノ又はジカルボン酸とC5〜C30アルカノール又はC5〜C10シクロアルカノールとのエステル及び半エスエル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、又はフマル酸のエステル及び半エステル、例えばn−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート、ビス(n−ヘキシル)マレエート、ビス(n−ヘキシル)フマレート、ビス(2−エチルヘキシル)マレエート、ビス(2−エチルヘキシル)フマレート、ビス(2−プロピルヘプチル)マレエート、ビス(2−プロピルヘプチル)フマレート、ビス(n−デシル)マレエート、ビス(n−デシル)フマレート、ジラウリルマレエート、ジラウリルフマレート、ジステアリルマレエート、又はジステアリルフマレート;
エチレン性不飽和モノカルボン酸とC5〜C30アルキルアミン又はC5〜C10シクロアルキルアミンとのアミド、例えばN−(n−ヘキシル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、N−(n−オクチル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、N−(n−ドデシル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド、そしてN−(ステアリル)アクリルアミド及び−メタクリルアミド;
炭素原子数6〜30個の脂肪族カルボン酸のビニル、アリル、及びメタアリルエステル(メタリルエステル:methallyl ester)、例えばビニルヘキサノエート、ビニルオクタノエート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルシクロヘキサノエート;更に、
C7〜C32オレフィン、例えばn−ヘプテン、n−オクテン、イソオクテン、n−デセン、ドデセン、イソトリデセン、更に末端二重結合を有し且つ炭素原子数10〜32個のオリゴオレフィン混合物;等である。
【0033】
コモノマーBの性質は、比較的重要ではない。原則として、モノマーAと共重合可能であるエチレン性不飽和モノマーであれば、どのようなモノマーでも使用可能である。これには、モノエチレン性不飽和のモノ−及びジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、これらのアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、これらのC1〜C5アルカノールとのエステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、共役ジオレフィン、例えばブタジエン及びイソプレン、炭素原子数2〜5個の脂肪族カルボン酸のビニル及びアリルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及びピバル酸ビニル、芳香族ビニルモノマー、例えばスチレン、tert−ブチルスチレン、及びビニルトルエン、エチレン性不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリル、そしてハロゲン化オレフィン、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロジフルオロエタン、フッ化ビニリデン、及びテトラフルオロエタンが含まれる。
【0034】
モノマーAの単独重合体及び共重合体に関する特定の例は、ポリ−C5〜C30アルキルビニルエーテル、例えば分子量2000〜20000ダルトンの範囲、特に2500〜10000ダルトンの範囲(粘度計により測定される)を有するのが好ましいポリオクタデシルビニルエーテル、上述したエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸とC7〜C32オレフィンとの共重合体、例えばマレイン酸とC7〜C32オレフィンとの共重合体、更にこれらの共重合体と鎖長C8〜C32の飽和アルコール又は鎖長C8〜C32の脂肪アミンとの反応生成物、アクリル酸及び/又はメタクリル酸(適宜、C5〜C30アルカノールと)のエステルと、C1〜C4アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル化合物、及び/又はビニルC2〜C5アルカノエートと(適宜、他のコモノマーBと)の単独重合体及び共重合体である。
【0035】
他の好ましい物質Tは、オリゴ−及びポリ−C2〜C7オレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブテンであり、例えば分子量10000〜10000000の範囲である(粘度計により測定される)。
【0036】
他の好適な物質Tは、構造が主として、即ち少なくとも99質量%の、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC3〜C12アルキルエステルから構成されるポリマー、更にこれらのモノマーの50%以下が、モノマーAか、又は10g/L(リットル)未満の水溶性のモノマーBに置き換えられた共重合体である。これらのポリマーの特定例は、ポリ−n−ブチルアクリレート及びメタクリレート、そしてポリ−tert−ブチルアクリレート及びメタクリレートである。
【0037】
他の適当な物質Bは、ポリ−C1〜C4アルキレンオキシド、例えばポリオキシメチレン、ポリプロピレンオキシド、及びポリブチレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、及びポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、そして直鎖又は分岐のポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(シリコーン)である。
【0038】
他の好適な物質は、式I:
【0039】
【化1】
【0040】
[但し、n=1の場合、xが酸素であり、n=2の場合、xが窒素であり、aが1〜2000までの整数であり、そしてRが水素、トリメチルシリル、又はC1〜C8アルキルを表す。]
で表されるシロキサン側鎖を有するポリマーである。
【0041】
これらのポリマーは、式II:
【0042】
【化2】
【0043】
[但し、R’が水素又はメチルを表し、YがC(O)、CH2又は化学結合を表し、そしてX、a、b、c、R及びnが上記と同義である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーBの、適宜上述したモノマーA及び/又はCと共に用いる単独重合又は共重合により得られる。
【0044】
他の好適な物質Tは、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及び脂肪族及び/又は芳香族ジオールからなる脂肪族又は部分芳香族ポリエスエル、例えば
炭素原子数2〜18個の脂肪族ジアルコール、例えばプロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及び炭素原子数3〜18個の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸及びデカンジカルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル;
ビスフェノールA及び上述した、炭素原子数3〜18個のジカルボン酸から誘導される部分芳香族ポリエステル;そして
テレフタル酸及び炭素原子数2〜18個の脂肪族ジアルコール及び炭素原子数3〜18個のジカルボン酸とから誘導される部分芳香族ポリエステル;
である。
【0045】
ポリエステルは、必要により炭素原子数4〜24個の長鎖モノアルコール、例えば2−エチルヘキサノール又はオクタデカノールで終結させても良い。更に、このポリエステルは、炭素原子数4〜24個の長鎖モノカルボン酸、例えばステアリン酸で終結させても良い。
【0046】
一般的な光化学及び/又は熱架橋性バインダーは、それぞれエチレン性不飽和二重結合を有し且つ放射線−硬化性ラッカーの製造に使用されるポリマー又はオリゴマーであり、ポリマー又はオリゴマーは、この全質量に対して、少なくとも50質量%のC5〜C30アルキル基、C5〜C10シクロアルキル基、又は4個以上、好ましくは6個以上の脂肪族性炭素原子を有する炭化水素部分を有している。これらの例には、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、縮合無水マレイン酸単位導入ポリエステルの流動性調製物、更にエポキシ樹脂、例えば芳香族エポキシ樹脂が含まれ、その際、オリゴマー又はポリマーを、適宜有機溶剤及び/又は反応性希釈剤に溶解して、その流動性を改良している。反応性希釈剤は、低分子量のエチレン性不飽和液体であり、これは、架橋の際にエチレン性不飽和ポリマーで被膜を形成する。当業者等は、放射線−硬化性バインダー及びかかるバインダーを含む調製物を、例えば、P. K. T. Oldring編 ”Chemistry and Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints”, 第2巻, 1991, Sita Technology London, により十分認識しており、例えばラロマー(Laromer)(登録商標)P084F、ラロマー(登録商標)LR8819、ラロマー(登録商標)PE55F、ラロマー(登録商標)LR8861という登録商標で市販されている(BASF社、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen))。
【0047】
本発明の組成物中に含まれる粉末は、親水性である、即ち水で湿潤されている。一般に、これは酸化物材料、好ましくはシリケート若しくはシリカ又は石英、アルミノシリケート、クレイ材料、酸化アルミニウム、二酸化チタン、又は無機炭酸塩、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(チョーク)若しくはドロマイト、又はアルカリ土類金属の硫酸塩、例えば硫酸カルシウム若しくは硫酸バリウムであり、例えば前者は、ギプスの形態である。
【0048】
平均粒径(数平均粒径)20〜300μmの範囲、好ましくは20〜200μmの範囲、特に20〜150μmの範囲、特に好ましくは20〜100μmの範囲である粉末Pが好ましい。500μmを超える粒径の質量換算による割合は、10%未満が好ましく、特に5%未満である。15μm未満の粒径の質量換算による割合は、同様に10%未満が一般的であり、特に5%未満である。粉末粒子の90質量%が20〜200μmの範囲であり、特に好ましくは20〜150μmの範囲であり、極めて好ましくは20〜100μmの範囲の粒径を有する粉末が特に好ましい。
【0049】
好ましい粉末Pは、シリケート又はSiO2から実質上構成されている構造を有する。これらの例は、砂(例えば、粒径20〜200μmの範囲、特に30〜100μmの範囲である。)、粉末ガラス又は粉末石英であり、その場合、粒径は250μm未満が好ましく、特に200μm未満であり、特に好ましくは150μm未満であり、極めて好ましくは100μm未満である。別の好ましい疎水性粉末は、発煙(フューム)シリカであり、例えばアエロシル(AEROSIL)(登録商標)という登録商標、例えばアエロシル(登録商標)380(Degussa−Huels AG)で市販されている。
【0050】
本発明による所望の低湿潤効果を達成するために、本発明の組成物における粉末Pの物質Tに対する質量換算による割合が少なくとも1.1:1であり、特に少なくとも1.5:1であり、特に好ましくは少なくとも2:1であり、極めて好ましくは少なくとも3:1である場合に有利であると証明された。質量換算による割合は、20:1以下が好ましく、特に15:1以下であり、10:1以下が特に好ましい。
【0051】
本発明の組成物は、被覆組成物として、即ち従来からの表面の被膜形成(被覆)用被覆組成物として、又は、成形品製造用の成形組成物として適当である。熱可塑性バインダーを使用するため、本発明の組成物は、その目的に通常使用される方法によって熱可塑的に処理可能である。
【0052】
被膜(被覆物)は、本発明の組成物を被覆すべき従来からの表面に、公知の方法で施すことによって形成する。成形品は、公知の賦形処理用の出発材料としての本発明による組成物を使用し、特に熱可塑性処理(熱可塑性加工)、例えば加圧成形、例えば熱圧成形、熱間圧延、射出成形、又は融点若しくは熱可塑性物質Tのか焼温度より高い温度での本発明による組成物の押出により、本発明の組成物から製造される。成形品を得るための加工処理に使用される出発材料は、溶剤含有組成物又は、固体の組成物、例えば粉末状若しくはペレット状の組成物が可能である。
【0053】
用途に応じて、本発明の組成物は乾燥状態で調製されても良い、即ち、微粒子状の粉末Pを疎水性物質Tと共に包含する粉末調製物として調製されても良い。
【0054】
しかしながら、別の好ましい実施の形態において、本発明の組成物を調製して、加工温度で流動性のあるようにする。勿論、本発明の組成物を、この組成物の性質に応じて、室温、又は、室温より高い温度若しくは低い温度、例えば0〜300℃の範囲、好ましくは0〜250℃の範囲、特に10〜200℃の範囲で加工しても良い。
【0055】
適宜、本発明による流動状の組成物は、粉末P及び疎水性物質Tの他に、有機希釈剤又は有機溶剤を含むのが一般的であり、物質Tを溶解又は膨張させる溶剤が好ましい。これにより、被膜を改良する。
【0056】
好適な溶剤は揮発性の有機溶剤であり、これは、本発明による組成物の使用後、例えば被覆組成物として調製された組成物を施すことにより、物質Tの均一なフィルムを形成可能となった後、適宜加熱により蒸発する。好適な溶剤の例は、ケトン、例えばアセトン、エチルメチルケトン、酢酸の揮発性エステル、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル、環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン、更に脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばテルペンチン油(terpentine oil)、石油、石油スピリット、トルエン、及びキシレンである。好ましい有機溶剤は、上述した脂肪族又は芳香族炭化水素である。
【0057】
液体の調製物において、固体含有量(調製物の全質量に対する粉末Pと物質Tの合計量)は、0.5〜90質量%の範囲である。従来の塗料において、固体含有量は、屡々20〜90質量%の範囲である。噴霧可能なラッカーにおいて、固体含有量をより低くしても良く、例えば0.5〜20質量%の範囲である。
【0058】
本発明の組成物を、エーロゾルとして調製することも可能である。その後、これは、粉末Pと物質Tの他に、少なくとも1種の促進薬(促進体)、更に適宜、液体の調製物に関して述べた溶剤のいずれかを含んでいる。促進薬の例は、この目的のために通常用いられる物質、例えばプロパン、ブタン、ジメチルエーテル、CO2、N2O、及びこれらの混合物である。噴霧物における固体含有量は、一般に、このために一般的な範囲であり、例えば0.1〜10質量%であり、そして固体は、成分P及びTの他に、固体の添加剤を包含していても良い。エーロゾルとして調製された被覆組成物における残りの含有物は、促進薬の気体と、適宜溶剤からなる。
【0059】
原則として、本発明の組成物を用いて、従来からの表面を被覆することが可能である。従来からの表面の例は、木材、金属、例えばスチール若しくはステンレススチール、ガラス、又はプラスチックの表面である。本発明の被覆組成物は、勿論、粗い又は多孔質の表面、例えばコンクリート、漆喰、紙、又は布地、例えば衣類、傘、テント、天幕用の布地を被覆するか、又は同等の用途、又は更に皮革若しくは毛にさえ被覆するために使用され得る。
【0060】
この組成物を被覆すべき表面(以後、支持体と称する)に、被覆技術(コーティング技術)において一般的な塗布法(施し法)により施すが、これは、組成物(以後、被覆組成物と称する)の形態と、支持体の性質に依存している。溶剤含有の、流動性被覆組成物の場合、一般に、はけ塗り、ドクター(doctoring)(ナイフ塗布)、噴霧(例えば、エアブラシを用いる)、浸漬、又はローリングし、次いで被膜を乾燥することにより施され、その後、溶剤が蒸発する。
【0061】
使用される物質Tが熱、酸化又は光化学による架橋可能なプレポリマーを含む場合、被覆組成物は、溶剤を添加しなくても屡々流動性であり、そして、適宜反応性希釈剤で希釈した後、上述した方法により施すことができる。実際の被覆物は、その後に、このプレポリマーの熱、酸化、又は光化学による硬化により形成される。
【0062】
微粒子状の被覆組成物の場合、粉体コーティング技術において一般的な粉体コーティング法を用いる。
【0063】
これらの方法において、微粒子状の被覆組成物の所望量を被覆すべき支持体に施し、その後に加熱することにより、熱可塑性重合体バインダーが溶融し、そして本発明の粉末粒子を表面上に固定させるポリマーフィルムを形成する。
【0064】
所望の効果を達成するために、被覆すべき表面に施すための被覆組成物の好ましい量は、被覆組成物中における固体組成分に対して、少なくとも0.01g/m2であり、特に少なくとも0.1g/m2であり、極めて好ましくは少なくとも0.5g/m2であるが、1000g/m2以下であるのが好ましい。ここでの固体組成分は、実質上成分i)とii)である。揮発性組成分の蒸発後、単位表面積あたりの、被覆物における対応の残留質量は、少なくとも0.01g/m2であり、特に少なくとも0.1g/m2であり、極めて好ましくは少なくとも0.5g/m2である。被覆すべき表面に施される被覆物の量は、屡々300g/m2以下(固体組成分に対する)であるが、被覆組成物の量を多くして、別の種類の用途で、例えばファサード塗料、下塗り、接合材料の形態の被覆、又はコンクリート製の屋根瓦、他の屋根瓦、装飾用コンクリート、洗いざらしのコンクリート、石工、若しくはコンクリート含有複合材料の被覆の場合に施す。
【0065】
本発明のバインダーを付与した表面を、例えば微粒子状の80〜400グレインの研磨剤で処理する等の磨砕(粉砕)か、又はサンドブラスト、ショットブラスティング、若しくはブラッシングにより粗くすることも有効であると証明された。更に、これにより、本発明による表面の撥水性を改良する。
【0066】
本発明の被覆組成物で被覆される支持体は、液体と固体に対する接着性が極めて低い。液体、特に親水性の液体、例えば水、水溶液、分散液、及び懸濁液、並びに極性有機液体、特に水溶性の極性有機液体、例えばC1〜C4アルカノール、グリコール、グリセロール、及びこれらの混合物、更に極性有機化合物、例えばカルボヒドレート及び同等の化合物の溶融物は、これらの被覆物から流れ落ちて、残留物が残らない。
【0067】
更に、本発明の被覆組成物で被覆される表面は、自浄効果を示す。固体、特に微粒子状の固体を、洗浄剤を用いず、水等の液体で洗浄することにより表面から除去可能である。驚くべきことに、微粒子状の固体は、圧縮空気により極めて容易に除去可能でもある。
【0068】
本発明による成形品も同様にこれらの性質を有している。驚くべきことに、この成形品は、例えばその表面が、機械的作用に起因する引っ掻き、切り欠き、亀裂、又は同様の損傷を受けた場合、これらの性質を損なわない。これらの種類の損傷を、例えば磨砕による除去により、この性質を損なうことなく修復可能でもある。
【0069】
更に、液体、特に水及び水溶液が、本発明による被覆物で被覆された配管、毛細管、又はノズルを通って流れる場合、流れ抵抗が小さくなる。
【0070】
本発明による被覆組成物の性質により、これを多種多様に用いることができる。
【0071】
腐食の影響を受けやすい材料、例えばコンクリート、強化コンクリート、木材、又は金属に対して、本発明の被覆組成物で被覆することにより、腐食から効果的に保護することが可能である。
【0072】
更に、本発明の被覆組成物は、紙、厚紙、又はポリマーフィルムの表面仕上げに適当である。
【0073】
本発明の被覆組成物を用いて、風雨に曝され、そして野外暴露条件下で汚れに曝される電子機器、例えば高圧線、電圧変換器、絶縁器、パラボラアンテナ等(これらを汚すか、又は湿潤させると、性能が損なう。)を処理することが可能となる。結果として、汚れが少なくなり、性能を損なわない。
【0074】
更に、本発明は、特に風雨に曝される表面、例えば屋根、ファサード、窓、庭園の備品、バルコニーの備品、自動車、交通標識、広告板、ソーラー設備等の表面の汚れ防止に適当である。本発明の被覆組成物は、衛生分野において、例えば備品、湿潤部屋(wetroom)、バスタブ、水泳プール、壁のタイル、フロアタイル等用の被覆物としても使用され得る。ここで、被覆組成物を使用することにより、水からの汚染物質の析出を防止するばかりでなく、望まない生物体、例えば微生物、藻、地衣、及び蘚類の蔓延及びこれらの成長も予防する。
【0075】
更に本発明の被覆組成物は、液体と接触するシステム(設備)の構成部品の被覆にも用いることができる。ここでは、配管、ボイラー、タンク、反応器、熱交換機、エバポレーター、コンデンサー、ポンプ、ノズル、噴霧器、噴霧乾燥機、晶析装置、充填装置等が特記に値する場合がある。これらのシステム部品に本発明の被覆組成物を付与する場合、液体より得られる固体組成分又は分解生成物の析出を抑制する。これにより、液体と接触するシステム部品の表面における付着物(インクラステーション)、析出物、妨害(物)、及び汚染物の形成が低減する。更に、被覆物により、システム部品、例えば配管中において液体の受ける流れ抵抗が低減する。従って、これにより、特に高粘性の液体をこのシステム部品を通して輸送する場合に必要なエネルギーコストが低減する。
【0076】
アイシング(着氷)、即ち屡々観察される現象は、冷却装置の冷却面に本発明の被覆組成物を付与する場合に低減可能である。船の船殻を被覆する場合に本発明の被覆組成物を使用することにより、水に起因する摩擦抵抗が低減するので、燃料消費量が低減する。飛行機の場合、アイシングによるリスクは、外表面に本発明の被覆組成物を被覆することにより低減可能である。
【0077】
液体生成物(製品)に使用する目的であり且つ本発明の被覆組成物が付与される梱包材料は、殆ど残留物を残すことなく空にされ得るので、内容物を良好に活用でき且つ梱包材料のリサイクルを容易にする。なぜなら、内容物の残留による汚染がないからである。
【0078】
内面に本発明の被覆組成物が付与される貯蔵容器は、空にするのが容易であり、そして自浄効果に起因して、界面活性剤を用いることなく水で洗浄することによって容易に洗浄可能である。
【0079】
本発明の被覆組成物が付与される布地、特に織布は、水に対する不透水性が高く、吸収率が低く、そして汚れ(汚物)をはねつける。本発明の被覆組成物で処理することにより、布地の撥水性が高くなる。汚物粒子は、十分な水を吸収させることなく、水を用いて容易に洗浄除去可能である。従って、本発明の被覆組成物は、生地、例えば衣類、テント、天幕、防水シート、傘の製造用に、又は裏地空間、例えば自動車の室内用に、又は例えば自動車分野における座席の装飾(布張り)用に使用され得る布地に対する撥水性及び汚物除去性の付与に適当である。
【0080】
本発明の被覆組成物で処理された皮革は、撥水性及び汚物除去性を有する革製の衣類及び靴の製造に適当である。
【0081】
化粧品分野において、本発明の被覆組成物は、例えばヘアスプレーの形態のヘアトリートメント組成物として使用可能であるが、これが含むバインダーは、化粧品に相溶性のある物質T、例えば化粧品に通常使用されるポリマーであれば良い。
【0082】
上述したように、本発明の被覆組成物は、成形品を製造するための成形組成物としても使用可能である。従って、本発明は、少なくとも1種の粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する成形品であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが1:2〜50:1の範囲であることを特徴とする成形品を提供する。
【0083】
本発明による成形品の有利な性質は、本発明の被覆物を有する製品の性質と同等である、即ちその表面は、特に上述した親水性の液体に対して極めて低い湿潤性を有している。その表面には、自浄効果がある。本発明の成形品は、従来の材料で生産された成形品と比較して、流れ抵抗も低くなっている。これらの性質は、その表面が例えば引っ掻きにより損傷を受けた場合であっても、失われることはない。驚くべきことに、成形品の有利な性質は、更に微粒子状研磨剤での処理により改善可能である。
【0084】
ここに示される実施例は、本発明を説明する意図で用いられ、本発明を限定するものではない。
【0085】
【実施例】
I 解析:
I.1 忌避力を測定する場合の一般的な規定
試験すべき被覆製品を試験テーブルに載置したが、その際に、傾斜を1〜90°で調節可能であった。その後、カニューレを用いて、液滴を試験片に落としたが、カニューレから試験片の表面までの距離は10mmであった。液滴は、事前の計量により測定された所定の質量を有していた。液滴がまさに流れ落ちる場合の傾斜の最小角を、傾斜角αを徐々に低減することによって測定した。傾斜の最小角α、液滴の質量m、及び重力加速度gを用いて、上述した式から忌避力FRを計算した。忌避力は、(ミリニュートン)−1単位であり、液滴が残留物を残さず流れ落ちることを可能にする表面の能力に関する定量的な測定値である。
【0086】
I.2 接触角の測定:
接触角は、クルエス(Kruess)社製のG1装置を使用して測定した。このために、内径0.5mmのステンレススチール製カニューレを用いて、蒸留水の液滴を試験すべき表面に施した。その後、ゴニオメーターを、水滴と表面との間の接触角の光学測定に用いた。疎水性の高い表面、例えば本発明により提供される表面の場合、この水滴により、実際に表面に接着しなくなった。ステンレススチール製カニューレからの排出時に、水滴は、その質量により、落下するまでカニューレに付着していた。接触角の正確な測定は、この種類の表面の場合に不可能となったが、160°を超える場合に評価可能であった。
【0087】
II 製造実施例:
実施例1:被覆組成物B1
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径250μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシル(Mikrosil)SP3)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0088】
実施例2:被覆組成物B2
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径250μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP3)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0089】
実施例3:被覆組成物B3
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、8gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径100μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP10)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0090】
実施例4:被覆組成物B4
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径100μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルSP10)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0091】
実施例5:被覆組成物B5
1.5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、7gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、28.5gの、粒径48μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルLM300)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0092】
実施例6:被覆組成物B6
3gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルを、6gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に溶解させた。この溶液に、27gの、粒径48μm未満の粉末化石英(Westdeutsche Quarzwerke社製のミクロシルLM300)を添加し、そして材料全体をローラーで混合した。
【0093】
これらの実施例で使用されたポリオクタデシルビニルエーテルは、ペンダント−ドロップ法により溶融物上で測定される27.7mN/mの表面張力を有していた。
【0094】
実施例7:被覆組成物B7
40gの、BET表面積380m2/g(ドイツ工業規格66131により測定)の発煙シリカ(Degussa−Huels社製のアエロシル(登録商標)380)を、1000gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)に懸濁させた。この混合物に、60.8gの、マレイン酸と1−オレフィン混合物(鎖長C20〜C40)とからなるモル比1:1の共重合体(数平均モル質量約4000g/モル)を添加し、そしてポリマーが溶解するまで、この混合物を60℃で撹拌した。その後、溶剤を真空で除去し、残留物を真空乾燥キャビネット中で50℃にて乾燥した。その後、残留物をフライング−ブレード(flying−blade)ミル中で磨砕して、粉末を得た。2gの粉末を98gの石油スピリット(沸点範囲60〜140℃)に分散させた。
【0095】
実施例8:被覆組成物B8
以下に記載のようにして得た150gの疎水性ポリマーA、0〜36μmのスクリーン篩い(スクリーン分級:screen fraction)及び350gの粉末化石英(粒径分布6〜32μmのEuroquarz社製のミクロシルLM300)をガラスフラスコに導入した。実験室用のローラーで数時間ロール(圧延)することにより、粉末混合物を均質化した。
【0096】
粉末状の疎水性ポリマーAの製造:
360.8gの共重合体(構造が無水マレイン酸と1−オレフィン(鎖長C20−24の混合物)とからなり、モル比1:1である。)及び480gの1−オクタデカノールを密閉管型装置に導入した。混合物を、窒素フラッシュを継続しながら、140℃で7時間撹拌した。冷却することにより、832.3gの、融点58℃の無色ポリマーが得られた。次いで使用するために、この生成物をIKA A10分析用ミル中で磨砕し、そして粉砕生成物を、Fritsch Analysette製の振動性スクリーン機でスクリーン群により分離した。0〜36μmのスクリーン篩を使用した。
【0097】
実施例9:成形組成物F1
55gの砂浜の砂(36〜63μmのスクリーン分級)を、70℃で、45gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして混合物を撹拌により均質化した。
【0098】
実施例10:成形組成物F2
120gの砂浜の砂(36〜63μmのスクリーン分級)を、70℃で、30gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして10gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0099】
実施例11:成形組成物F3
32gのプラスターボード(Rigips社製のプラスターボード)を、70℃で、8gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして7gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0100】
実施例12:成形組成物F4
45gのプラスターボード(Rigips社製のプラスターボード)を、70℃で、5gの、モル質量約3000g/モル(粘度計により測定される)のポリオクタデシルビニルエーテルに添加し、そして16gの石油スピリット(沸点範囲60〜80℃)を添加することにより、混合物を撹拌しながら均質化した。
【0101】
実施例13:成形組成物F5
成形組成物F2を70℃でアルミニウムフォイル(アルミニウム箔)上に流し込んだ。冷却後、固体をフライング−ブレードミル中で磨砕して、粉末を得た。
【0102】
実施例14:成形組成物F6
実施例Aより得られた30gのポリマーを、70gの粉末化石英(粒径分布6〜32μmのEuroquarz社製のミクロシルLM300)を含む実験室用のローラーで数時間均質化し、その後、アルミニウムに流し込んだ。混合物を70℃に3時間加熱した。冷却することにより、厚さ5mmのシートが得られた。
【0103】
III 応用:
III−1 被覆
ドクターギャップ400μのボックスドクター装置を用い、被覆組成物B1〜B6をスチール製シート(Chemmetall社製のボンデル(Bonder)26 S60 OC)に施し、室温で乾燥した。被覆組成物B8を同様に施したが、施し(塗布)処理前に、スチール製シートを100℃に予備加熱した点が異なっていた。施し処理し、乾燥した後、研磨紙(320グレイン)を用いて被覆物を軽く研磨し、そして水で洗浄することにより、削屑を除去した。
【0104】
エアブラシ(HY−MAX HP−101)を用い、被覆組成物B7を木製の板に均一に噴霧し、室温で乾燥した。
【0105】
被覆組成物B1〜B7で被覆された表面は、疎水性が極めて高かった。この材料に水滴が落下すると、液滴は、この材料を湿潤することなく表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0106】
被覆組成物B1〜B7で被覆された表面の忌避力を表1に示す。これは、脱イオン水の水滴を用いて測定された。ここでの液滴の質量は4.3mgであった。
【0107】
表1:
試験片 忌避力
B1 60mN−1
B2 91mN−1
B3 80mN−1
B4 296mN−1
B5 104mN−1
B6 169mN−1
B7 100mN−1
【0108】
湿潤性の試験:
被覆組成物B1〜B6で被覆されたスチール製シートを、忌避力測定用の試験テーブル装置に載置した。10°の傾斜角を用い、以下の水系液体のそれぞれ所定量を、液滴の状態で連続して施した:
水(30mg)、
コーヒー(30mg)、
蜂蜜(59mg)、
塩酸水(32質量%濃度、41mg)、
水酸化ナトリウム水溶液(5質量%濃度、45mg)、
30質量%濃度のポリアクリル酸水溶液(47mg)、
30質量%濃度の、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの共重合体の水溶液(35mg)。
【0109】
水平に対して10°の傾斜角を用い、全ての液滴が、残留物を残さずに被覆スチール製シートから流れ落ちた。
【0110】
比較実験において、上述した液体を未処理スチール製シートに施した。試験片における傾斜角も同様に水平に対して10°であった。全ての場合において、表面の湿潤が起こった。全ての液体が、スチール製シート上に残留物を残して水を除いた。
【0111】
汚物除去試験:
B1〜B6で被覆されたスチール製シートを、カーボンブラック粉末(プリンテックス(Printex)(登録商標)V、BASD Drucksysteme社製)で汚した。その後、この被覆物上に、水を落とした。結果としては、水滴が流れ落ちた際に、これによりカーボンブラック粉末を完全に除去したので、最初の表面が再生した。洗浄剤を使用する必要がなかった。
【0112】
比較実験において、未処理スチール製シートを、カーボンブラック粉末(プリンテックス(登録商標)V、BASD Drucksysteme社製)で汚した。その後、このシートに水を落とした。結果としては、水滴が流れ落ちた際に、これによりカーボンブラック粉末を部分的に除去しただけであるので、カーボンブラックの斑点がスチール製シート上に残った。
【0113】
被覆組成物B8でのスチール製シートの被覆:
PEM−CG2(コロナ(Corona)社)の粉末スプレーガンを用いて、開示されている粉末混合物B8を、Chemetall社製のボンデル26S 60 OCスチール製シートに噴霧した。運搬空気の量は、4.5m3/時であり、そして計量導入空気の量は2.0m3/時であった。その後、噴霧処理シートを実験室用乾燥キャビネット中において、120℃に20分間加熱し、粉末層からフィルムを形成した。冷却後、研磨紙(320グレイン)を用いて、表面を粗くし、そして削屑を除去した。
【0114】
被覆組成物B8で被覆された表面の疎水性は極めて高いものであった。この材料に水が落ちると、これを湿潤することなく、液滴は表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0115】
被覆組成物で被覆された表面の忌避力は、177mN−1であった。これは、脱イオン水の液滴を用いて測定された。ここでの液滴の質量は、4.3mgであった。
【0116】
III−2 成形品:
成形組成物F1〜F4を、70℃で、アルミニウムの金型に流し込んだ。冷却し、そして乾燥することにより、厚さ約5mmのシートが得られた。成形組成物F5と成形組成物F6を、約7.4×107Paの圧力を用い、圧縮機中において圧縮加工して、厚さ約2mmのシートを得た。
【0117】
研磨紙(320グレイン)を用いて、シートを軽く粗くし、そして水で洗浄することによって、削り屑を除去した。
【0118】
成形組成物F1〜F6から製造されるシートの疎水性は極めて高いものであった。この材料に水が落ちると、これを湿潤することなく、液滴が表面から流れ落ちた。水に関する静的接触角は、全ての場合で160°を超えていた。
【0119】
ニードルでの引っ掻きによる損傷を受けた成形品F1も同様にこれらの性質を有していた。
【0120】
ニードルでの引っ掻きによる損傷を受けた成形品F6も同様にこれらの性質を有していた。
Claims (15)
- 少なくとも1種の平均粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する組成物であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが50:1〜1:2の範囲であることを特徴とする組成物。
- 無機粉末が実質上シリケートから構成されている請求項1に記載の組成物。
- 無機粉末が粉末化石英である請求項1又は2に記載の組成物。
- 熱可塑性バインダーが、1000ダルトンを超える数平均分子量を有するオリゴマー又はポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- ポリマーがエチレン性不飽和モノマーの単独重合体又は共重合体であり、その構造がC5〜C30アルキル基及び/又はC5〜C10シクロアルキル基を有する50質量%以上のエチレン性不飽和モノマーAと適宜好適なコモノマーBとから構成されているポリマー、又はオリゴ−及びポリ−C2〜C6オレフィンから選択される請求項4に記載の組成物。
- 更に少なくとも1種の有機希釈剤又は有機溶剤を含む流動性調製物の形態である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 更に少なくとも1種の促進薬を包含するエーロゾルの形態である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を低湿潤性面の製造に使用する方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の被覆組成物を従来の表面に施す工程を含む低湿潤性面の製造方法。
- 被覆されるべき表面に施される組成物の量が、該組成物中における固体組成分に対して、0.01〜1000g/m2である請求項9に記載の方法。
- 被覆組成物が施された後に得られる表面を粗くする請求項9又は10に記載の方法。
- 賦形処理法を用いて、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物から成形品を製造する工程を含む低湿潤性面の製造方法。
- 賦形により製造される成形品の表面を粗くする請求項12に記載の方法。
- 少なくとも1種の平均粒径15〜500μmの親水性無機粉末Pと、表面張力が20〜50mN/mの範囲にあるという特徴を有する少なくとも1種の疎水性熱可塑性物質Tとを包含する成形品であって、親水性無機粉末の疎水性熱可塑性物質に対する質量換算による割合P:Tが1:2〜50:1の範囲であることを特徴とする成形品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を、自浄効果を有する表面の製造及び/又は配管中における流れ抵抗の低減に使用する方法。
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