JP2004508788A - 多出力の動的に調整されるチャージポンプ電力コンバータ - Google Patents
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Abstract
チャージポンプ電力コンバータは、チャージポンプ(44)のスイッチマトリクス(48)を動的に制御することにより電力を効率的に与える。開ループの発振器ベースの制御ではなく、動的コントローラ(50)は、出力電圧を感知し、そしてそれに応答してチャージポンプの動作周波数を変更することにより、需要に応じて電力を供給する。更に、この閉ループの動的コントローラは、電力コンバータの下流に降圧電圧レギュレータを非効率的に追加せずに、チャージポンプ電力コンバータの出力電圧を固有に調整する。フライキャパシタ(CF)及び/又は負荷キャパシタ(CL)の間に電圧リプルを維持することにより付加的な効率が達成される。又、3状態の制御スキムを使用して、フライキャパシタを充電し、出力電圧が所定レベルに低下するのを待機し、そしてフライキャパシタを放電する。更に、多出力のチャージポンプ電力コンバータは、ポータブル通信電子装置のような装置に対する多数の電圧レベルを与える。
Description
【0001】
【関連出願へのクロスレファレンス】
本出願は、ドラガンD.ネブリジック、ミランM.ジェブティッチ、ビグ・シェリル、ニコラス・バスコ、ピーター・ハンセン、及びウイリアム・ミラ氏により1999年6月25日に出願された「BATTERY HAVING BUILT−IN DYNAMICALLY−SWITCHED CAPACITIVE POWER CONVERTER」と題する共通所有の米国プロビジョナル出願第60/141,119号の利益を請求しそしてその全体を参考としてここに援用するものである。
【技術分野】
本発明は、DC/DC電源コントローラに係り、より詳細には、一体的な電力管理システムのための調整型チャージポンプ電力コンバータに係る。
【0002】
【背景技術】
電子技術の進歩によりポータブル電子装置の設計及びコスト効率の良い製造が可能になった。従って、ポータブル電子装置の使用は、入手できる製品の数及び製品の形式の両方において増加を続けている。ポータブル電子装置の広い範囲は、例えば、ページャー、セルラー電話、音楽プレーヤー、計算機、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、等々を含む。
【0003】
ポータブル電子装置における電子回路は、一般に、直流(DC)電力を必要とする。通常、このDC電力を供給するために、1つ以上のバッテリがエネルギーソースとして使用されている。理想的には、エネルギーソースは、ポータブル電子装置のエネルギー要求に完全に合致する。しかしながら、バッテリの電圧及び電流は、ポータブル電子装置の電子回路に直接給電するのに適さないことがほとんどである。例えば、バッテリからの電圧レベルが、装置に必要な電圧レベルと異なる。更に、電子回路のある部分は、他の部分とは異なる電圧レベルで動作し、異なるエネルギーソース電圧レベルを必要とする。又、バッテリは、電流需要の急速な変動に素早く応答することができない。
【0004】
ポータブル電子装置10の典型的な構成が図1に示され、1つ以上のバッテリのようなエネルギーソース12と、電力を必要とする電子回路のような負荷装置14とを備えている。エネルギーソース12と負荷装置14との間に介在されるのが、多数の機能を遂行することのできる電源16である。例えば、電源16に一体化されるものとして示された電力コンバータ20は、エネルギーソース12からの電力に対して必要な変化を与えて、負荷装置14に適したものにする。
【0005】
又、電源16は、電力変換以外の機能を推敲することもできる。例えば、エネルギーソース12、負荷装置14及び/又は電力コンバータ20を、高い電流の持続によるダメージから保護する場合には、エネルギーソース12をポータブル電子装置10の他部分から電気的に遮断する必要がある。別の例として、電力コンバータ20は、始動中に援助を必要とする。
【0006】
必要とされる電力変換の形式に関して、電力コンバータ20は、電圧を「昇圧」(即ちブースト)又は「降圧」することができる。即ち、コンバータ20は、エネルギーソース12からの入力電圧VSに対し、負荷装置14へ供給される出力電圧VOUTを増加又は減少することができる。又、電力コンバータ20は、エネルギーソース12で供給できない短時間スパイク、即ち負荷装置14による需要増加を満足する量のエネルギーを蓄積することもできる。
【0007】
又、電力コンバータ20は、出力電圧VOUTを調整し、それを希望の出力電圧レベル付近に保持すると共に、有害なノイズや負荷装置14の不所望な性能を招く急速な変動を減少することもできる。このような変動は、需要の変化、外部の電磁ソースから誘起されるノイズ、エネルギーソース12の特性、及び/又は電源16内の他の部品からのノイズにより生じる。
【0008】
電力コンバータ20は、多数の利益を発揮するが、既存の電力コンバータ20は、ポータブル電子装置10に不所望な性能上の制約も課する。一般的に知られている電力コンバータ20の特定の属性を、一般的に遭遇する制約の形式と共に以下に説明する。
一般的に知られている多くの電力コンバータ20は、特定のエネルギーソース12と、負荷装置14からの特定の負荷需要とに対して最適化される。電力コンバータ20は、エネルギーソース12及び/又は負荷装置14の電圧及び電流特性の変動を受け入れないか、又は非効率的にのみ受け入れる。例えば、ある形式の電力コンバータ20は、入力電圧VSより高い出力電圧VOUTを発生することができず、及び/又はそれらの効率は、入力電圧VSが必要な出力電圧VOUTにいかに接近しているかに関係している。更に、ある電力コンバータ20は、0.5ないし1.0Wのような中間電力レベルを発生することができない。更に、一般的に知られた電力コンバータ20は、狭い範囲の入力電圧、出力電圧及び電力容量内でしか動作しない設計である。
【0009】
更に、図2を参照して以下に説明するように、ある電力コンバータ20は、非効率的な電圧レギュレータを介してのみ、受け入れられるように調整された出力電圧VOUTを達成する。
他の例では、電力コンバータ20による電圧調整は、負荷装置14のニーズにとって不充分である。例えば、公称出力電圧VOUTは、入力電圧VSの変動、電力コンバータの温度変化、又は負荷装置14により引き出される出力電流の変動により変化し得る。又、たとえ出力電圧VOUTが受け入れられる公称出力レベルであっても、電力コンバータ20がその公称出力電圧VOUTの周りで不所望に振動することがある。この電圧リプルVRIPは、公称出力電圧VOUTの周りでの振動の範囲として定義され、負荷装置14の適切な動作を損ない又は排除することがある。
【0010】
それ故、既存の電力コンバータ20は、需要時に負荷装置に必要な電力を効率的に与えず、又、エネルギーソース及び負荷装置の変動に対して安定な出力電圧VOUTを与えるように調整もしない。
更に、既存の電力コンバータ20は、1ボルト未満の入力電圧VSのような低い入力電圧レベルで動作しない。既存の電力コンバータ20は、通常、1ボルトより一般的に高い負荷装置14の出力電圧需要に典型的に匹敵する動作バイアス電圧を必要とする。又、外部及び内部ソースにより、ある量のノイズが入力電圧VSに重畳される。入力電圧レベルVSが低いときには、このノイズが相対的に顕著なものとなり、電力コンバータ20の動作を低下し又は妨げる。
【0011】
1ボルトより高い入力電圧を必要とする1つの事柄は、他の点で望ましい単一セルのバッテリ又は別の電力ソースが、装置10のエネルギーソース12として不適当なことである。例えば、ある電気化学バッテリ又は別の電力ソースにより供給される公称電圧が、1ボルトより低いか、又はその蓄積電荷が減少するにつれて低下する電圧特性を有することがある。このようなバッテリは、著しい量のそしておそらくは大半の蓄積エネルギーを、1ボルト未満のレベルでしか回収できない。従って、ポータブル電子装置10におけるバッテリの使用寿命は、装置がバッテリからの1ボルト未満の入力電圧VSで動作できないことにより制限される。その結果、バッテリは、相当量の電荷即ち「寿命」がまだあるのに廃棄されてしまう。付加的なバッテリを装置10に組み込むことによって付加的な使用寿命を得る場合には、装置10のサイズ及び重量が増加する。
【0012】
それ故、多数の既存の電力コンバータは、1ボルト未満の入力電圧では動作しない(又は望ましく動作しない)。
更に、たとえ電力コンバータ20が、1ボルト未満の入力電圧VSで連続的に動作できても、電力コンバータ20を始動するには一般的に高い入力電圧レベル(即ち1ボルト以上)が要求される。即ち、コンバータは、始動段階には、連続動作に必要な電圧より高い入力電圧を必要とする(例えば、0.4V高い)。それ故、電力コンバータ20は、最小始動入力電圧に達すると、連続的に動作され、従って、エネルギーソース12から回収されるエネルギーの量を改善するように電力を消費しなければならない。
【0013】
始動段階のために、外部の始動回路(ショットキーダイオードのような)が、既存の電力コンバータ20にしばしば追加される。始動回路は、始動時に付加的な入力電圧要求を克服し、そして電力コンバータ20がその設計出力電圧に到達するに必要な時間を短縮する上で助けとなる。しかしながら、一般的に知られている始動回路は、通常、1ボルト未満の入力電圧で動作することができない。又、外部始動回路を使用しなければならないことは、電力コンバータ20を小型化する程度を制限する。更に、外部始動回路は、電力コンバータ20が始動状態にないときでも電力を消費する傾向があり、従って、電力コンバータ20の効率を低下する。
【0014】
それ故、既存の電力コンバータ20は、一般的に、1ボルト未満の入力電圧で始動することもできないし、1ボルトより高い入力電圧で効率的に始動を与えることもできない。
既存の電力コンバータ20に対する別の欠点は、サブ・ミクロンの集積回路に必要とされる出力電圧を効率的に供給できないことである。ポータブル電子装置10における集積回路設計は、動作電圧の低い回路に向かって移行している。例えば、サブ・ミクロン技術(0.5μm以下)をベースとする相補的金属酸化物半導体(CMOS)に対する現在の製造能力は、典型的に、3.0ないし3.3Vで動作する装置を提供する。このような集積回路の特徴サイズを減少するために計画されている技術開発は、この動作電圧の更なる低下を意味し、従って、これらの低い動作電圧を発生するための電源及び電力コンバータが開発されねばならない。
【0015】
例えば、マイクロプロセッサ設計におけるトレンドは、低い動作電圧で動作する電源の必要性及び効果を強調している。低いコストで機能性を高めるために、マイクロプロセッサの集積回路部品の特徴サイズが減少される。従って、1つのチップが、多数のチップ及び個別部品の回路を含むことができる。小さな特徴サイズは、マイクロプロセッサが、その機能を迅速に実行できるようにする。小さな特徴サイズでは、デジタルスイッチングをより迅速に行うことができる。スイッチ部品は、それらがスイッチされる割合に比例して熱を発生する傾向があるので、より高密度にパッケージされ且つより迅速にスイッチされる部品では、放熱がマイクロプロセッサの設計上の制約事項となる。又、スイッチング動作の増加は、各特徴部が高周波(RF)アンテナとして働き、その隣接特徴部に電磁干渉(EMI)を放射することを意味する。マイクロプロセッサの動作電圧を低下すると、特徴サイズの減少、スイッチングの増加及び放熱を受け入れる。更に、上述したように、特徴部により発生される熱は、通常、動作周波数に比例するが、この発生される熱は、動作電圧に二次方程式で関連し、即ち、動作電圧を半分に減少すると、発生される熱は、1/4になる。従って、低い動作電圧の傾向は、典型的なマイクロプロセッサが、1990年に5Vを使用し、1995年に3.3Vを使用し、1998年に1.8ないし2.4Vを使用し、2000年に1.2ないし2.4Vを使用し、そしてその後、1V未満の使用が予想されることにより明らかであろう。
【0016】
特徴サイズが小さくなるにつれて、各特徴部の電流搬送能力も減少される。従って、低い動作電圧は、この電流を減少して、特徴部がフェイルしないようにする。
更に、特徴部と特徴部との間の距離が減少され、従って、特徴部と特徴部との間の絶縁材料の量が減少される。その結果、低い動作電圧は、特徴部と特徴部との間の薄い絶縁材料を通してブレークダウンが生じてマイクロプロセッサの故障を招くのを回避する。
それ故、小型で且つ高速の集積回路及びマイクロプロセッサに要求される低い動作電圧に向けられた出力電圧VOUTを発生することのできる電力コンバータが強く要望される。より詳細には、この電力コンバータは、0.8ないし1.6Vの範囲の調整された出力電圧VOUTを効果的に発生できることが要望される。
【0017】
既存の電力コンバータ20に対する更に別の欠点は、それらがポータブル装置の所望の小型化レベルに適さず、そしてシリコン・オン・インスレータ(SOI)及びシリコン・オン・メタル(SOM)のような集積回路構造を考慮しても、埋め込み用途には適さないことである。ある場合には、集積回路製造に適合しない多数の個別外部部品が必要とされるので、小型化が不可能である。従って、これらの部品は、サイズ及び製造経費が完全な集積回路の場合より顕著であるプリント回路板(PCB)、ハイブリッド又はマルチチップモジュール(MCM)設計を必要とする。
更に、一般に知られている電力コンバータ20の効率は、更なる小型化に適さないような量の発熱を招くものである。
【0018】
それ故、既存の電力コンバータ20は、特に、負荷装置14と共に埋め込まれて集積回路として製造することができない。
従来の電力コンバータに対する更に別の欠点は、それらが、望ましからぬ量の電磁干渉(EMI)を放射し、それを負荷装置14の距離及び/又はシールドにより制御しなければならないことである。EMIは、電力コンバータ20に組み込まれたインダクタから生じるか、又は電力コンバータ20において回路の特徴サイズを減少した結果として生じる。小型部品を使用することにより個別部品のサイズを減少しようとするときには、エネルギー蓄積及び伝達能力も当然減少される。それ故、同じ量の電力を転送するには、高い動作周波数が必要となる。しかしながら、高い動作周波数は、ポータブル電子装置10に有害なEMIも生じさせる。更に、ポータブル電子装置10それ自体は、一般に、充分高い動作周波数では越えることのあるRF放射に関する連邦指令限界がある。
【0019】
それ故、電力コンバータ20は、負荷装置14へ発生する熱又は放射エネルギー(EMI)の量を好都合にも最小限にし、従って、同じ集積回路又はモジュールに埋め込むのに適したものとすることも望まれる。
上述した問題の多くは、多数の電圧レベルを必要とする装置において合成される。例えば、ポータブルワイヤレステレコミュニケーション装置は、必要に応じて異なる電圧で動作する処理、メモリ、送信及び表示機能を含む。これらの要素の多くは、満足に実行するためには電圧調整及び低いEMIを要求する。更に、バッテリの寿命を延長し、そして装置サイズを小さくすることも通常望まれる。
それ故、種々の既存の形式の電力コンバータ20は、上述した欠点の1つ以上に対処しそして業界及び市場のニーズを満足するのに適していない。従って、上述した種々の欠点に対処するように電力コンバータを改良することが望まれる。
【0020】
【発明の開示】
本発明は、負荷装置による需要があるときにエネルギーソースから電力を効率的に伝達する動的に制御され固有に調整される電力コンバータのための装置及び方法を提供することにより、公知技術の上記及び他の欠点を克服する。
特に、本発明の1つの特徴においては、動的なコントローラが、負荷キャパシタCL間に出力電圧VOUTを維持する割合で電荷をポンピングするように容量性電力出力段を動作する。より詳細には、動的なコントローラは、出力電圧VOUTが基準電圧VREFより下がったときにフライキャパシタCFを負荷キャパシタCLへと放電させる。それ故、負荷の需要に対応するレベルで動作すると、電力コンバータの効率が改善される。更に、出力電圧VOUTは、所定の電圧レベルを維持する割合で電荷が転送されるように固有に調整される。それ故、効率の悪い下流の電圧レギュレータが不要になる。
【0021】
本発明の別の特徴においては、動的なコントローラ及び容量性電力出力段に低制御スレッシュホールドスイッチを効果的に組み込むことにより、1ボルト未満の入力電圧VSで電力コンバータを動作することができる。
本発明の更に別の特徴においては、動的コントローラがオフであるときに始動キャパシタを充電する漸進的始動スイッチを使用することにより、放電状態から1ボルト未満の入力電圧で電力コンバータを動作することができる。充電されると、始動キャパシタは、次いで、出力段の電力スイッチを閉じ、動的コントローラが電力出力段の制御を執り行うに充分なほど負荷キャパシタCLが充電されるまで、その負荷キャパシタCLに電荷を供給する。
【0022】
本発明の更に別の特徴においては、電力コンバータは、入力電圧に対して増加又は減少された(昇圧又は降圧された)所定の出力電圧を供給する。この電力コンバータは、入力電圧や温度のようなファクタに不感な固有の調整で出力電圧を柔軟に供給し、例えば、0.8ないし1.6V、又はそれ以下の所定の低い出力電圧が効率的に供給されるようにする。
【0023】
本発明の更に別の特徴においては、一体的な電力コンバータは、効率的で且つ調整された電力変換を与え、従って、ほとんど熱を発生しない。特に、この一体的電力コンバータは、キャパシタンスのみで、インダクタをもたないことによりEMI放射が本来的に低い。更に、この一体的電力コンバータは、低い容量需要の間にゆっくりとスイッチングすることによりEMI放射を軽減する。インダクタがないことは、ある用途において、一体的な回路キャパシタを組み込むことで外部部品をもたないことにより、更に小型化することができる。このため、ある用途では、この一体的な電力コンバータは、負荷装置と共に集積回路に効果的に埋め込むことができる。更に、ある用途では、この一体的な電力コンバータは、低入力電圧及び/又は低出力電圧に対して構成される。
【0024】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のこれら及び他の目的並びに効果は、添付図面及びそれを参照した説明から明らかとなろう。
本明細書の一部分を形成する添付図面は、本発明の実施形態を示すもので、上述した本発明の一般的な説明、及び以下に述べる実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を例示する。
【0025】
電力変換
本発明の原理によるチャージポンプの動的制御の動作及び効果は、既存の電力コンバータにおける別の電力変換技術を考慮することにより最も良く理解されよう。
例えば、リニアレギュレータは、既存の電力コンバータの一形式である。リニアレギュレータの効率は、入力電圧VSと出力電圧VOUTとの比に直接比例する。従って、入力電圧VSが、必要な出力電圧VOUTの2倍であると、エネルギーソース12からの電力の約半分が電力コンバータ20により非効率的に消費される。効率が低く、その結果、熱を発生するために、リニアレギュレータは、ヒートシンクを必要とし、これは、PCMCIA仕様標準に合致するもののような低背型パッケージへの一体化をしばしば複雑にし、又は妨げる。更に、リニアレギュレータは、入力電圧VSを昇圧できず、従って、ある用途には適していない。例えば、補聴器のような小型のポータブル電子装置10は、0.8ないし1.4Vの電圧を発生する低廉な単一セルのアルカリバッテリから利益が得られる。しかしながら、負荷装置14、この場合は、補聴器の電子回路は、3.0Vを必要とする。リニアレギュレータは、このような用途には適していない。
【0026】
インダクタベースの電力コンバータ及びキャパシタンスのみ(チャージポンプ)の電力コンバータは、各々、入力電圧VSを昇圧又は降圧することができる。このような設計は、一般に、1.5ないし3.3Vの入力電圧VSを必要とし、そして1.8ないし5.0Vの出力電圧VOUTを発生し、供給電流は、10ないし200mA連続である。これらの設計では、1ボルト未満の入力電圧又は出力電圧は、一般に不可能である。更に、多数の電力コンバータ20を並列に配置して、それらの各出力を合成し、従って、その合成により消費される電力が増加するという解決策による以外、200ないし500mWの範囲の出力電力も一般には得られない。
【0027】
インダクタベースの電力コンバータは、通常、低電力用途(例えば200mWまで)の場合に、キャパシタンスのみのチャージポンプ電力コンバータを越えて選択される。というのは、チャージポンプ設計に比して比較的効率が良いからである。又、チャージポンプの場合より、所望の出力電圧VOUTも達成し易い。より詳細には、出力電圧VOUTは、インダクタのインダクタンス値に電流の導関数(di/dt)を乗算したものに比例する。従って、入力における高い動作周波数及び/又は高い電流レベルは、一般に、得られる出力電圧に直接的に影響しない。しかしながら、インダクタベースの電力コンバータは、一般に、インダクタに対して非リニアなフェライトコイル又はフェライトビードを必要とすると共に、外部抵抗及びキャパシタも必要とする。従って、インダクタベースの電力コンバータは、更に小型化することが容易でない。又、インダクタは、不所望なEMIを発生する「ノイズ性」部品でもある。
【0028】
図2を参照すれば、発振器制御の電力コンバータ20(又は「オープンループのチャージポンプ」)及び下流の電圧レギュレータ22を組み込んだ1つの一般的に知られているキャパシタンスのみの電源16が示されている。バッテリのようなエネルギーソース12が、説明上、電源16の一部分として示されている。このような設計は、一体化の問題や、インダクタを使用するEMIの問題を回避するという効果を有する。
【0029】
オープンループの制御とは、発振器制御の電力コンバータ20が、その出力の調整を助けるのにフィードバックを効果的に使用しないことを示す。これに対して、動的(又は閉ループ)制御は、一般に、改良された制御が必要とされるときに使用される。例えば、時間による調理は、オープンループの制御方法であり、調理不足又は調理し過ぎを回避するために周期的なチェックを必要とする。従って、温度プローブを伴う調理は、動的な閉ループ制御の一例であり、食品の重量や調理エネルギー(例えば、オーブンの熱又はマイクロ波エネルギー)が変化しても食品が所望の温度に到達することを保証する。
【0030】
しかしながら、オープンループのチャージポンプ20は、非効率的であり、多数のチャージポンプを並列に加えて所望の出力電流を得るようにしない限り、200mA以上の出力電流を発生しない。従って、増加した電流を与えることはできるが、非効率的である。多数のチャージポンプをカスケード接続するこの必要性により、電力スイッチM1ないしM4が使用され、これらは、オンになったときに直列抵抗(寄生抵抗)として働く。高い入力電流レベルでは、それにより生じる寄生抵抗が動作効率を非常に悪くする。というのは、回路により消費される電力が、入力電流の自乗にスイッチの寄生抵抗を乗算する関数だからである。従って、一般的に得られる効率は、30ないし90%の範囲であり、チャージポンプがその指定の最大容量で動作して負荷装置による最大需要に応じるときに、高い効率が達成される。低い需要レベルでは、チャージポンプは、状態と状態との間を不必要にスイッチングするときに更に電力ロスをこうむる。
【0031】
更に、発振器ベースの電力コンバータ20の別の欠点は、そのほとんどが約3個の外部キャパシタを必要とし、回路の一体化及び小型化を妨げることである。
図2の電力コンバータ20(又は「オープンループチャージポンプ」)は、出力段24及び発振器コントローラ26を備えている。このオープンループチャージポンプ20の基礎となる基本的な原理は、出力段24が、発振器コントローラ26に応答して、充電段階と、放電(即ちポンピング)段階との間で交番することである。これらの段階間をスイッチングするタイミングは、通常、負荷装置に予想されるピーク需要に基づいて予め決定される。
【0032】
電力出力段24の形式は、反転及び非反転形態と、電荷を移送及び蓄積するための種々の数の容量性部品を伴う形態とを含む。非反転出力段24は、図2において、スイッチマトリクス28、1つのフライキャパシタCF、及び1つの負荷(又は蓄積)キャパシタCLと共に示されている。スイッチマトリクス28は、集積回路でよいが、一般的に知られたフライ及び負荷キャパシタCF、CLは、個別部品である。スイッチマトリクス28は、発振器コントローラ26に応答して、エネルギーシース12、フライキャパシタCF、及び負荷キャパシタCLを充電構成及び放電構成へと接続する。
【0033】
より詳細には、スイッチマトリクス28は、4つの電力スイッチM1ないしM4を含む。第1の電力スイッチM1は、発振器コントローラ26からの充電スイッチ信号S1に応答して閉じ、エネルギーソース12の正の端子30(入力電圧VS)をフライキャパシタCFの第1端子31に電気的に接続する。第2の電力スイッチM2は、発振器コントローラ26からの放電スイッチ信号S2に応答して閉じ、フライキャパシタCFの第1端子31を負荷キャパシタCLの第1端子32(VINT)に電気的に接続する。第3の電力スイッチM3は、充電スイッチ信号S1に応答して閉じ、エネルギーソース12の基準端子33をフライキャパシタCFの第2端子34に電気的に接続する。第4の電力スイッチM4は、放電スイッチ信号S2に応答して閉じ、フライキャパシタCFの第2端子34をエネルギーソース12の正の端子30に電気的に接続する。
【0034】
動作中に、発振器コントローラ26は、充電スイッチ信号S1をターンオンして、第1及び第3の電力スイッチM1、M3を閉じる一方、放電スイッチ信号S2をターンオフして、第2及び第4の電力スイッチM2、M4を開く。従って、負荷キャパシタCLは、未調整の出力電圧(又は中間電圧VINT)を与え、そしてフライキャパシタCF及びエネルギーソース12から電気的に切り離される。又、フライキャパシタCFは、エネルギーソース12と電気的に並列に配置され、従って、エネルギーソース12の入力電圧VS以下であるフライキャパシタ電圧まで充電される。フライキャパシタCFへ移送される電荷の量は、フライキャパシタCFが完全に放電したかどうか、発振器コントローラ26がフライキャパシタCFを充電構成に放置する時間長さ、フライキャパシタCFの電気的特性、及び入力電圧VSを含む多数のファクタに依存する。簡単化のために、フライキャパシタCFは、完全充電に到達し、従って、フライキャパシタの電圧VFが充電段階の終わりにVSに等しくなったと仮定する。
【0035】
発振器コントローラ26は、次いで、充電スイッチ信号S1をターンオフして、第1及び第3の電力スイッチM1、M3を開き、そして放電スイッチ信号S2をターンオンして、第2及び第4の電力スイッチM2、M4を閉じることにより、所定の時間に放電構成へとスイッチする。従って、フライキャパシタCFを、エネルギーソース12と加算的な電気的直列状態に配置することにより、フライキャパシタ電圧VF(ここでは、VSであると仮定する)がエネルギーソース12の入力電圧VSに加えられる。その組合体は、負荷キャパシタCL間に電気的接続される。従って、放電段階中に、負荷キャパシタCLの第1端子31における中間電圧VINTは、入力電圧VSのほぼ2倍に近づくように充電される。
【0036】
この場合も、負荷キャパシタCLへ移送される電荷の量は、放電段階の所定の時間巾、負荷キャパシタCLの電気的特性、放電段階の始めのフライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLにおける電荷の量、入力電圧VS、及びVOUTにおいて負荷装置14により負荷キャパシタCLから引き出される電力量のような多数のファクタに依存する。
【0037】
従って、実際の中間電圧VINTは、通常、各フライキャパシタCFの入力電圧VSの1.6ないし1.9倍である。相当の増加を得るには、多数のフライキャパシタCFが必要となり、充電段階中には各フライキャパシタがエネルギーソース12と電気的に並列に接続され、そして放電段階中には全フライキャパシタがエネルギーソースと電気的に直列に接続される。従って、それにより得られる中間電圧VINTは、不都合にも、入力電圧VS及びフライキャパシタCFの数で決定されるある範囲に制限される。
【0038】
下流の電圧レギュレータ22は、発振器ベースの電力コンバータ20からの未調整の中間電圧VINTを、所望の調整された出力電圧VOUTへと制限し、通常は、降圧するために必要とされる。
通常、電圧レギュレータ22は、未調整の中間電圧VINTを、電圧基準回路38からの基準電圧VREFと比較して、出力VOUTを決定する。電圧レギュレータ22は、発振器制御の電圧コンバータ20と一体的ではなく、その電圧コンバータ20とは機能的に個別で且つそれに続くものであるという点で下流にある。
【0039】
従って、キャパシタンスのみの電源16は、スイッチマトリクス28のスイッチングによる電気エネルギー、常時動作する発振器コントローラ26、及び電圧レギュレータ22により消費される電力を消費する。電圧レギュレータ22による電力消費は、公知のキャパシタのみの電源16を使用して、入力電圧VSに対して出力電圧VOUTを降圧(減少)するときには、特に欠点となる。発振器ベースの電力コンバータ20は、入力電圧VSを昇圧するだけである。従って、電圧レギュレータ22は、中間電圧VINTを降圧するときに、より多くの電力を消費する。
【0040】
電力コンバータにおける動的制御
上述した既存の電力コンバータ20を参照して、本発明の一実施形態を以下に説明する。図3には、本発明の1つの特徴による電力コンバータ40がブロック図の形態で示されており、エネルギーソース12から、出力端子42、43間の出力電圧VOUTに接続された負荷装置14への電力転送の動的制御について説明する。電力コンバータ40は、入力電圧VS、並びに電力コンバータ40の転送及び蓄積特性に変動があっても、負荷装置14からの需要に適応するという点で動的に制御される。
【0041】
電力コンバータ40は、転送される電荷の量が需要に対応するだけでなく、出力電圧VOUTを許容範囲内に保つように電荷転送の割合を制御するという点で、固有に電圧調整される。これは、一般に、許容電圧リプルVRIP内に保つと称される。従って、調整は、その後の段階では実行されず、図2を参照して述べたような典型的な個別の電圧レギュレータ22の複雑さ及び消費電力の追加が排除される。
電力コンバータ40は、負荷装置14へ電荷を転送する電力出力段44と、この電力出力段44に接続され、適当な量の電荷の転送を応答的に指令するための電力コントローラ46とを備えている。
【0042】
1つの実施形態では、電力出力段44は、出力端子42、43間に負荷キャパシタCLを組み込んだ容量性のチャージポンプである。負荷キャパシタCLは、電荷を蓄積し、そしてその蓄積された電荷に関連して出力電圧VOUTを発生する。又、電力出力段44は、エネルギーソース12から負荷キャパシタCLへ電荷を転送するためのフライキャパシタCFも組み込んでいる。負荷キャパシタCL及びフライキャパシタCF用のキャパシタは、電力コンバータ40の消費電力が低くなるように、内部抵抗の小さなものが選択されるのが好都合である。電力出力段44は、フライキャパシタCF、負荷キャパシタCL及びエネルギーソース12に接続されたスイッチマトリクス48を備え、これは、チャージポンプと同様に、電力出力段44を充電段階と放電(又はポンピング)段階との間に構成する。より詳細には、充電段階中に、スイッチマトリクス48は、フライキャパシタCFをエネルギーソース12と電気的に並列に接続し、フライキャパシタCFを充電する。又、充電段階中に、負荷キャパシタCLは、負荷装置14に電力を供給し、エネルギーソース12及びフライキャパシタCFから電気的に減結合される。
【0043】
放電段階中に、スイッチマトリクス48は、エネルギーソース12及びフライキャパシタCFの「蓄積された」電圧を、上述したように、負荷キャパシタCLと電気的に直列に入れて放電するように構成される。従って、電力出力段44は、負荷キャパシタをエネルギーソース12の入力電圧VSより高い出力電圧VOUTへと充電することができる。
【0044】
ある用途では、電力出力段44は、図3に示したものと同じ構成で、入力電圧VSを降圧(減少)できることが明らかである。スイッチマトリクス48は、フライキャパシタ電圧VFを伴うフライキャパシタCFのみが放電段階中に負荷キャパシタCL間に接続されるようにスイッチできる。通常、フライキャパシタCFは、負荷キャパシタよりも蓄積容量が小さい。従って、特に、以下に詳細に述べる動的制御が与えられると、各放電段階だけで負荷キャパシタを過充電するのは不充分である。これに対して、従来の電力コンバータ20は、フライキャパシタCF及びエネルギーソース12を放電段階中に直列に接続するよう構成することにより出力電圧を昇圧するように前もって構成される。放電段階中にフライキャパシタCFのみを接続して降圧するように前もって構成を変更すると、動的なコントローラ50が所望の出力電圧VOUTを得るように必要に応じて再構成できるという柔軟性を得ることができない。
【0045】
それ故、電力コンバータ40は、入力電圧を降圧できると共に、入力電圧を昇圧(増加)できるので、図2の発振器制御の電力コンバータ20について上述した非効率的な下流の電圧レギュレータ22は、必要とされない。
加えて、電力出力段44は、出力電圧が入力電圧VSに対して逆の代数符号を有するかどうかに関して反転でも非反転でもよい。例えば、2.2Vの入力電圧VSは、−1.6Vの出力電圧VOUTへと変換されてもよい。一般的に、非反転の実施形態を以下に明確に示すが、当業者であれば、ここでの開示の利益が分かれば、反転型の電力コンバータ40への適用も理解できよう。
【0046】
多ループ電力コントローラ46は、動的なコントローラ50と、電圧基準回路52と、電力出力段44を効果的に制御するための環境コントローラ64とを備えている。第1制御ループ56は、出力端子42から動的なコントローラ50へフィードバックとして与えられる出力電圧VOUTにより形成される。動的なコントローラ50は、出力電圧VOUTが所定値VREFより低いのに応答してエネルギーソース12から負荷キャパシタCLへ付加的な電荷を転送するようにスイッチマトリクス48に指令する。動的なコントローラ50は、VOUTが電圧基準回路52からの基準電圧VREFに比して所定値より低いかどうかの決定を行う。1つの適当なVREFは、電圧基準回路52を簡単化するに充分なほど電圧安定であれば(例えば、リチウムバッテリは電圧安定である)、エネルギーソース12によって与えることができる。従って、電圧基準回路52は、所望の基準電圧Vを得るように入力電圧VSの電圧分割器又は乗算器によって形成することができる。
【0047】
本発明のある用途については、調整された出力電圧VOUTを得るように電力コンバータ40の電力転送を動的に制御するのに、第1制御ループ56だけで充分である。
第1制御ループ56に加えて、多ループ電力コントローラ46は、第2制御ループ58も含むことができる。この第2制御ループ58では、フライキャパシタCFの電荷が、動的コントローラ50によりフライキャパシタ電圧VFとして感知される。従って、需要時のフライキャパシタCFの放電は、フライキャパシタCFが最初に約80%の最適な充電状態に到達する際に予想することができる。最適な充電状態が存在するのは、フライキャパシタCFが充電不足であると、不必要なスイッチングロスが発生し、そしてフライキャパシタCFが過充電であると、電力転送レートを不必要に制限するからである。
【0048】
不必要なスイッチングロスに関しては、スイッチマトリクス48の動的な制御は、第1制御ループについて述べたように、より多くの電荷が必要となるまで(即ちVOUTがVREFより低下するまで)放電段階に留まることにより、一部分効率を達成する。これに対して、発振器ベースのチャージポンプ20は、必要でないときでも一定の割合でスイッチングされる。スイッチマトリクス48の動的制御における付加的な効率は、フライキャパシタCFが相当量の電荷を得るに充分な時間にわたり充電段階に留まることにより、実現される。例えば、完全充電の80%ではなく40%に充電することは、同じ電力を転送するのに動作周波数が2倍になることを必要とする。電力スイッチM1ないしM4は、この高い動作周波数に関して電力を消費する。従って、第2制御ループ58は、フライキャパシタCFの電圧レベルを感知して、充電段階中の充電不足を回避し、ひいては、不必要なスイッチングロスを回避する。
【0049】
フライキャパシタCFの電荷を最適化することは、過充電を回避することも含む。キャパシタは、時間の関数としての充電率により特徴付けられる。より詳細には、キャパシタが完全充電状態に近づくと、付加的な電荷を受け入れる割合が減少する。従って、キャパシタが獲得する初期の電荷量は、その後同じ量の電荷を獲得する時間より短い。例えば、同じ量の電荷がフライキャパシタCFにより受け入れられるとしても、フライキャパシタCFを90%に一度充電する時間よりも、フライキャパシタCFを45%に二度充電する時間の方が短い。従って、フライキャパシタCFの最適な充電レベルを得るに必要な以上の時間周期にわたってスイッチマトリクス48を充電段階に放置すると、より多くの電力を転送する機会を失う。
【0050】
最適な充電レベルは、当業者に明らかなように、実験及び/又は分析で決定できることが明らかであろう。
上述した1つ以上の他の制御ループ56、58との組み合わせにおいて、電力コンバータ40は順方向制御ループ60を含むのが好都合であり、これにより、エネルギーソース12の1つ以上のパラメータが動的コントローラ50に与えられる。順方向制御ループ60の1つの使い方は、エネルギーソース12において非安全状態又は性能制限状態が感知されることにより電力コンバータ40をディスエイブルし(即ち出力端子42、43への出力電流を遮断し)及び/又はバイパスする(即ちエネルギーソース12を出力端子42、43に直接接続する)ことを含む。例えば、低い入力電圧は、電力コンバータ40の連続動作を保証するには不充分な電荷しかエネルギーソース12に残っていないことを指示する。別の例として、エネルギーソース12から引き出される電流は、持続動作のためには高過ぎることがある。従って、制御ループ60に基づいて出力端子42、43への出力電流を遮断するために、電力コンバータ40に保護回路が含まれる。
【0051】
更に別の例として、負荷装置14による大きな需要が、出力端子42、43へのエネルギーソース12の直接接続と並列に、電力コンバータ40の継続動作を保証することができる。これは、入力電圧VS及び所望の出力電圧VOUTがほぼ同じであるときに特に言えることである。出力端子42、43へ電流を供給する2つの経路をもたせることにより、高い出力電流ILを得ることができる。
更に別の例として、フライキャパシタの電圧VF(第2制御ループ58)及び入力電圧VS(順方向制御ループ60)は、電力コンバータ40が放電されそして始動状態にあることを指示する。この始動状態は、急速な漸次始動回路の使用を好都合にも保証し、その一例を以下に述べる。
【0052】
他の制御ループ56、58及び60の1つとの組み合わせにおいて、電力コントローラ46は、環境コントローラ64により表わされた適応制御ループ62を更に備えている。環境コントローラ64は、制御パラメータ66を感知し、そして出力電圧VOUTに対する所定値を変更するためにコマンド68を動的コントローラ50へ与える。例えば、環境コントローラ64は、動的コントローラ50が不安定になったことを感知し、そしてそれに応答して、動的コントローラ50を安定出力状態に駆動する信号を発生することができる。より詳細には、環境コントローラ64は、電力コンバータ40の不安定な動作状態、例えば、各々一定値に近づきつつある瞬時出力電圧及び電流を感知するように構成される。次いで、環境コントローラ64は、電力コンバータ40を安定な動作状態に駆動するように所定値を調整することができる。更に、所定値のこのような変更は、動的コントローラ50を安定な初期状態にリセットすることを含む。
【0053】
別の例として、適応制御ループ62は、環境コントローラ64へ入力される制御信号SCを含み、これにより、動的コントローラ50は、負荷装置14(例えば、CPU、揮発性メモリ、アナログ/デジタルコンバータ、デジタル/アナログコンバータ)における変化又は他のパラメータに応答することができる。負荷装置14は、好都合にも、電力コンバータ40からの調整された出力電圧VOUTで良好に動作することができる。別の例として、出力制御信号SCは、例えば、所望の反転又は非反転モード又は所定の出力電圧VOUTを選択するための再構成制御信号でもよい。更に別の例として、負荷装置14へのダメージを防ぐために、SCコマンドにより保護機能(例えば、出力電圧をバイパスし、ディスエイブルし又は変更する)が指示されてもよい。例えば、負荷装置14は、大電流状態で故障することがあり、従って、そのような発生を防ぐために限界が課せられてもよい。
【0054】
本発明において使用されるスイッチマトリクス48の形式に基づき、スイッチ信号S1、S2及びS3ないしSNで示されたように、スイッチマトリクス48に対して動的コントローラ50により種々の制御信号が発生され、これらについて以下に詳細に説明する。
フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLは、電荷蓄積及び転送部品を例示するものであり、個別キャパシタ又は集積回路キャパシタアレーを表わすことが理解されよう。
【0055】
更に、動的コントローラ50の融通性により、フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLは、種々のレベルの蓄積容量を含んでもよく、例えば、小さなキャパシタ(例えば、セラミック、チップ厚膜、タンタル、ポリマー)及び大きなキャパシタ(例えば、ウルトラキャパシタ、擬似キャパシタ、二重層キャパシタ)を含んでもよい。キャパシタンスの大きさは、蓄積容量の大きさを表わす。従って、同じ量のエネルギー転送を与えるのに、少量の電荷を小さなフライキャパシタCFから高い動作周波数で転送するか、又は多量の電荷をゆっくりと転送することが必要となる。従って、電力コンバータ40は、図5を参照して詳細に述べるように、同じ動的コントローラ50が種々の電力出力段44を制御できるという点で融通性がある。より詳細には、公知の発振器制御の電力コンバータ20とは異なり、動的コントローラ50は、以下に述べるように、ウルトラキャパシタを組み込んだ電力出力段44に適した低い動作周波数範囲で動作することができる。
【0056】
エネルギーソース12は、1つ以上の電気化学的セル(例えば、バッテリ)、光電池、直流(DC)ジェネレータ(例えば、再充電式バッテリと組み合わされて運動付勢型ジェネレータにより充電される腕時計)、及び他の適用可能な電源のような種々の電荷蓄積又は発生装置を含むことが更に理解されよう。
別の例として、本発明による電力コンバータ40は、他の電源により付勢される電子装置に効果的に使用することができる。例えば、標準的な交流(AC)壁プラグから電力を受ける装置は、一般に、AC電力を、装置の電子部分のための直流(DC)電力に変換する。このように与えられるDC電力は、更に調節及び調整しないと、電子回路全体又は一部分に適さない。例えば、マイクロプロセッサは、2.2Vで動作し、一方、入力/出力電子回路は、5Vで動作する。従って、本発明による電力コンバータ40は、マイクロプロセッサへの入力電圧を降圧するように使用できる。
【0057】
容量性チャージポンプ出力段
図4には、図3に電力コンバータ40として示された本発明の実施形態に対する1つの適当なチャージポンプ電力出力段44が示されている。この電力出力段44は、反転及び非反転の両方であるように構成できる。DCソースのようなエネルギーソース12及び適当なフライキャパシタCFを、図2を参照して述べたように、負荷キャパシタCLに対して充電段階と放電段階との間でスイッチングするために、4つのスイッチM1、M2、M3、M4が使用される。より詳細には、スイッチM1及びM3は、スイッチ信号S1に応答して閉じ、従って、M1は、エネルギーソース12の正の端子30(入力電圧VS)をフライキャパシタCFの第1端子31に接続し、そしてM3は、フライキャパシタCFの第2端子34を接地接続する。スイッチM2及びM4は、充電段階中にはオープンである。
【0058】
放電段階中には、スイッチ信号S1が除去されて、スイッチM1及びM3が開く。次いで、スイッチM2及びM4がスイッチ信号S2に応答して閉じることにより、エネルギーソース12の入力電圧VS及びフライキャパシタCFが直列構成に入れられる。従って、フライキャパシタCFの第1端子31は、スイッチM2を経て負荷キャパシタCLに接続することができ、そしてキャパシタCFの第2端子34は、スイッチM4を経てエネルギーソース12の正の端子30(VS)に接続される。
【0059】
再構成スイッチ信号S3及びS4は、電力出力段44が反転又は非反転モードで動作できるようにフライキャパシタCF及びエネルギーソース12の直列結合体を負荷キャパシタCLにまたがってどんな方向に配置するか制御する。非反転モードとは、出力電圧VOUTが正の出力端子42(VOUT +)に発生されそして負の出力端子43(VOUT −)が一般的に接地基準とすることを意味する。反転モードとは、出力電圧VOUTが負の出力端子43(VOUT −)に発生されそしてエネルギーソース12の入力電圧VSとは逆の代数符号であることを意味する。このとき、正の出力端子42(VOUT +)は、一般的に接地基準である。負荷キャパシタCLの(正極性)第1端子32は、正の出力端子42(VOUT +)に電気的に接続される。負荷キャパシタCLの(負極性)第2端子35は、負の出力端子43(VOUT −)に電気的に接続される。
【0060】
非反転モードは、信号S3で再構成スイッチM5及びM8を閉じ、そして信号S4で再構成スイッチM6及びM7を開くことにより、電力出力段44で実行される。スイッチM5又はM8のいずれかがスイッチM6又はM7のいずれかと同時に閉じるのを防止し、それにより、負荷キャパシタCLを偶発的に短絡するのを防止するために、信号S3及びS4のコマンドの重畳が回避される。従って、非反転モードでは、負荷キャパシタの(正極性)第1端子32が、スイッチM5の閉成により、スイッチM2を経てフライキャパシタCFの第1端子31に接続される。負荷キャパシタCLの(負極性)第2端子35は、スイッチM8の閉成により接地基準とされる。
【0061】
反転モードは、信号S3で再構成スイッチM5及びM8を開きそして信号S4で再構成スイッチM6及びM7を閉じることにより、電力出力段44で実行される。従って、負荷キャパシタCLは、上述したように出力端子42、43に接続されるのに加えて、スイッチM7の閉成によりその第1端子32が接地基準となり、従って、正の出力端子42(VOUT +)が接地基準となる。負荷キャパシタCLの第2端子35は、スイッチM8の閉成により、スイッチM2を経てフライキャパシタCFの第1端子31に接続される。
【0062】
電力出力段44を再構成すると、1つの回路が、同じ出力端子42、43に非反転又は反転の両出力電圧を選択的に付与できることを理解されたい。従って、再構成可能な電力出力段44をベースとする完全一体化リニア電源は、78XX(非反転)及び79XX(反転)の両マイクロチップ(例えば、TO−220、TO−3、SO8−TSOP−8、SOT23、SOT223等の形式のパッケージに収容された)を1つのマイクロチップのみと置き換えることができる。2つの形式のデバイスを1つのデバイスに置き換えることは、好都合にも、より経済的な製造を行えると共に、在庫管理を簡単化する。
【0063】
更に、電力コンバータ40の環境コントローラ64は、外部パラメータSC又は内部パラメータ66に基づいて、反転又は非反転の適当なモードに対して電力出力段44を自動的に構成することができる。従って、所望のモードに容易に構成される電力コントローラ46を組み込むことにより、設計プロセス中又は動作中にポータブル電子装置10に対して更なる融通性が与えられる。例えば、電力出力段44を制御する電力コントローラ46は、個別部品の負荷キャパシタCLの極性のような感知されたパラメータに応答して、構成スイッチM5−M8の操作を開始することができる。或いは又、再構成可能なスイッチM5−M8が、外部で閉じることのできるマイクロチップのピンを含んでもよい。
【0064】
本発明に適合する他の種々の電力出力段44を使用できることも更に理解されたい。例えば、2つ以上のフライキャパシタCFが各々エネルギーソース12と並列に充電され、そしてより大きな電圧昇圧能力を得るように直列に加算的に配置されてもよい。更に、電力コンバータ40は、反転及び非反転のハイブリッド構成を備えてもよく、この場合に、電力コンバータ40の一部分は、動的に制御され固有に電圧調整された正の出力電圧を、接地基準で、正の出力端子42に与える。同時に、電力コンバータ40の別の部分は、動的に制御され固有に電圧調整された負の出力電圧を、接地基準で、負の出力端子43に与える。
【0065】
本発明に適合する別のスイッチマトリクス48は、非反転又は反転のいずれかの形態で出力電圧VOUTを再構成可能に降圧できることを理解されたい。例えば、入力電圧VSに対して出力電圧VOUTを降圧(減少)するときには、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCL間に接続される。従って、電圧を降圧するように構成された電力コンバータ40は、充電段階にあるか放電段階にあるかに関わらず、フライキャパシタCFの第2端子34を永久的に接地接続してもよいし、又はスイッチM3を閉じそしてスイッチM4を開いた状態に保持することにより再構成されてもよい。従って、充電段階中には、フライキャパシタCFがエネルギーソース12にまたがって電気的に接続されて充電される。放電段階中には、フライキャパシタCFのみが(即ちエネルギーソース12を伴わずに)負荷キャパシタCLにまたがって電気的に接続される。
【0066】
付加的な例として、他の変更では、出力電圧VOUTの大きさが入力電圧の大きさVSより小さいときに、入力電圧VSを反転することが許される(0>VOUT>−VS)。図4に示すように負荷キャパシタCLをスイッチングするのではなく、負荷キャパシタCLは、その第1端子32が電気的に接地されると共に、正の出力端子VOUT +42にも電気的に接続される。負荷キャパシタCLの第2端子35は、負の出力端子VOUT −43に電気的に接続される。充電段階中に、フライキャパシタCFは、上述したようにエネルギーソース12にまたがって充電される。放電段階中には、上述したように、非反転の降圧構成として、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCLにまたがって接続される。正の出力端子VOUT +42は、電気的に接地されるので、負の出力端子VOUT −43が動的に制御される。
【0067】
動的に制御されるチャージポンプの分析
図5には、図3の電力コンバータに使用するためのチャージポンプ電力出力段44(又は「チャージポンプ」)の一実施形態が示されている。この電力出力段44は、図2の発振器制御の電力コンバータ20について上述したように充電及び放電(即ちポンピング)の2つの段階で動作される。電力出力段44は、入力電圧VSを発生するエネルギーソース12と、電流負荷ILを受け入れる負荷装置14との間に接続される。図2とは異なり、電圧レギュレータ22は示されていない。電力出力段44は、図2について上述したように、負荷キャパシタCL、フライキャパシタCF、及び4つの電力スイッチM1−M4で構成される。本発明の1つの特徴に基づいてチャージポンプを動的に制御することの効果を示すために、以下の分析展開では、電力出力段44がいかに効率的にスイッチされるかを説明する。電力コントローラ46は、チャージポンプの動作を充電及び放電の2つの段階に分割する。従って、「充電」及び「放電」という語は、フライキャパシタCFを指す。充電段階中には、入力電圧VSがフライキャパシタCFを充電し、そして負荷キャパシタCLが負荷に電力を供給する。放電段階中には、フライキャパシタCFから負荷及び負荷キャパシタCLの両方へ電荷が流れる。従って、「充電」及び「放電」という語は、フライキャパシタCFを指す。2つのパラメータが、チャージポンプの動作に影響を及ぼす。
1.ε:フライキャパシタCFが充電されるところの入力電圧VSの一部分で、0<ε<VS。
2.TDIS:出力電圧VOUTをブーストするためにフライキャパシタCFが放電される最小時間長さ。
【0068】
最大負荷電流ILを供給するために満足しなければならない電力出力段44の境界条件が図6に示されている。出力電圧VOUTは、フライキャパシタCFが充電段階中に充電されるときに低下する。それに続く放電段階の終わりに、負荷電圧VOUTを基準電圧VREFへ戻すように増加するために充分な電荷が転送されねばならない。
この分析のために、電力スイッチM1−M4及び蓄積キャパシタCF、CLは、入力電圧VSがいかに低いか又は負荷装置14が存在するかどうかに関わらず、時間(t)=0において初期放電状態(即ちVOUT=0、VF=0)から動作すると仮定する。更に、この分析は、充電状態が負荷キャパシタCL及びフライキャパシタCFの両方に対し各々監視されるような第1及び第2の制御ループ56、58の実施を仮定する。更に、負荷キャパシタCL間の負荷電圧VLは、出力電圧VOUTと交換可能に使用される。
【0069】
始動中、電力出力段44は、負荷キャパシタCLに充電される出力電圧VOUTが所定値(所望出力電圧)又は電圧基準VREFより上昇するまで、多数の充電−放電段階を経て進む。CLが完全に充電された(即ちVOUT>VREF)後に、電力出力段44は、負荷が与えられるまで放電状態に留まり、図6の最も左部分に示すように、出力電圧VOUTを基準電圧VREFより低下させる(VOUT<VREF)。時間(t)=0に充電段階が開始される前にデッドタイム遅延TDELが生じる。フライキャパシタCFは、その電圧VFが時間(t)=aに入力電圧の一部分εVSに到達するまで充電される。CFが充電された後に、電力出力段44は、時間(t)=bで始まりそして時間(t)=cで終わるTDISにより与えられる最小時間周期にわたって放電段階に戻る。この最小時間TDISは、フライキャパシタCFが放電するに充分な時間を与える。この最小放電時間の後、電力出力段44は、VOUT>VREFの間、放電段階に留まる。この分析は、最大電力容量状態を示すので、VOUTは、時間(t)=cにおいてVREFのすぐ下である。従って、放電段階中に基準電圧VREFを越えることはなく、充電段階/放電段階が再び実行される。
【0070】
時間(t)=aと、時間(t)=bとの間のデッドタイム遅延TDELは、瞬間的な短絡の可能性を排除するためにスイッチM1−M4が全て開いた状態で充電段階と放電段階との間に生じる(即ち、トランスコンダクタンスを軽減するための介在遅延)。例えば、スイッチM1及びM2が同時に閉じた場合には、エネルギーソース12の正の端子30が正の出力端子42へ短絡される。スイッチM1及びM4が同時に閉じた場合には、フライキャパシタCFが短絡し、性能を低下すると共に、おそらく、発熱によりダメージを生じさせる。
【0071】
この分析は、スイッチマトリクスを最適な割合でスイッチする機会が存在することを示す。先ず、出力電圧VOUTが、最小放電時間TDISの後に基準電圧VREFを越えた場合には、放電段階に留まる機会が存在する。充電段階へ不必要に(従って非効率的に)スイッチングして戻ることは、適宜遅延される。同様に、フライキャパシタCFが充電されるときを感知することも、充電時間TCHGが短過ぎることによる不必要なスイッチングを回避し、又は充電時間TCHGが長過ぎるときに多くの電荷を転送する機会を失うのを回避する。
【0072】
エネルギーソース12としてバッテリを使用する用途では、本発明の電力出力段44は、バッテリの効率を最大にしながらバッテリの寿命にわたり多数の性能上の制約を満足することができる。効率を高めると、バッテリの使用寿命が延びる。性能上の制約は、許容出力電圧リプルVRIPの限界を越えずに供給できるピーク出力負荷電流ILの最小値を含む。出力電圧リプルVRIPは、出力電圧VOUTの変動の範囲である。オーディオの用途では、ノイズを最小にするために、動作周波数(即ち、充電段階と放電段階との間を繰り返す割合)の最大許容値も必要とされる。動作周波数が高過ぎる場合には、電力出力段44により消費される電荷が、チャージポンプの効率を低下させる。幾つかの目的は、互いに矛盾する。例えば、高い動作周波数は、出力電圧リプルVRIPを減少するが、電力出力段44の効率も低下させる。従って、最適化を行うには、性能上の制約を満足できるパラメータのサブセットを見出す必要がある。充分な余裕がある場合には、このサブセット内で設計の効率を最大にする値を選択することにより、設計を最適化することができる。これは、出力性能の制約を満足しながらバッテリ寿命を延ばすといった電力コンバータ40の効果を与える。電力スイッチM1−M4及び典型的な電力要求を伴う電力出力段44を最適化することについて以下に説明する。
【0073】
図5に示す回路のための方程式で始めて、ループ電流及びノード電圧を、電力出力段44の充電及び放電サイクル中の負荷電流IL及び固定パラメータの関数として見出すことができる。固定パラメータは、入力電圧VS、電力スイッチM1−M4の抵抗、キャパシタンス値CF及びCL、並びに基準電圧VREFを含む。入力電圧VSは、時間と共に変化するが、最悪の場合、分析では、その寿命中に最低予想値に固定されると仮定する。他の固定パラメータの幾つかは、それらが所与の設計に対して選択されるという点で固定である(例えば、キャパシタCF、CLのサイズ、電力スイッチM1−M4の形式等)。可変パラメータは、ε及びTDISである。境界条件を評価することにより、方程式に対する特定の解を見出すことができる。境界条件は、負荷電流ILが、固定及び可変パラメータの現在セットに対して考えられる最大値であるように選択される。従って、異なる方程式の解は、パラメータの特定セットに対して供給できる最大負荷電流ILについて解くことができる。パラメータを変化させることにより、それら値のある範囲にわたり最大負荷電流ILを見出すことができる。最大負荷電流ILは、パラメータの連続関数である。これは、最大負荷電流ILの最大値が最小許容値を越えた場合には、パラメータのサブセットがこの条件も満足することを意味する。従って、電力出力段44の効率は、パラメータ値のこのサブセットに対して最大にすることができ、最小の性能制約を満足しながら効率を与えることができる。
【0074】
放電段階中には、CF及びCL間の電圧は、次の通りである。
【数1】
であり、そしてVFO及びVLOは、放電サイクルの始めにおける初期フライキャパシタ電圧VFO及び負荷電圧VLOである。フライキャパシタCFが充電されているときには、負荷キャパシタCLは放電されている。充電段階中には、CF及びCL間の電圧は、次の通りである。
【数2】
初期フライ電圧及び負荷電圧VF、VLは、充電段階の始めのものである。
【0075】
この1組の4つの方程式は、4つの未知の値VF、VL、IL及びTCHGも有し、それ故、独特の解をもつ(もしあれば)。図6に示した境界条件を使用してこの解を見出すアルゴリズムは、次の通りである。充電時間TCHGは、次の式を求めることにより見出される。
【数3】
この式を解くTCHGの値は、ゼロより大きなものが有効であると限定されねばならない。固定及び可変パラメータの全ての組合せに対して解は存在しない。
【0076】
TCHGが分かると、パラメータの現在値に対する最大負荷電流ILは、次のように表わされる。
【数4】
放電段階の終わりのフライキャパシタVF間の電圧は、次のように表わされる。
【数5】
放電段階の始めに負荷電圧VLが到達する最低電圧は、次のように表わされる。
【数6】
この電圧と基準電圧VREFとの間の差は、リプルVRIPである。
VRIP=VREF−VLO
このパラメータセットに対する動作周波数(即ち電圧リプルの周波数)は、次のように表わされる。
【数7】
【0077】
ピーク入力電圧も求める価値があり、これは、充電段階の始めか又は放電中に発生し得る。負荷電流ILは、一定であると仮定するので、放電中のピーク入力電流ISは、この段階の始め又は終わりに発生する。全サイクル中のピーク電流は、これら値の最大値となる。
【数8】
【0078】
【0079】
【表1】
【0080】
充電段階中に遭遇する直列抵抗(RCHG)及び放電段階中に遭遇する直列抵抗(RDIS)は、テーブル1の3つの動作点欄に示したように、電力出力段44の最大電流容量に最も意義のある作用を及ぼす。大きなフライキャパシタ(CF)及び負荷キャパシタ(CL)は、この容量を改善するが、それらの抵抗値が増加するにつれて、改善の程度が少なくなる。キャパシタンス値を増加すると、電流容量ではなく、出力電圧リプルVRIPの減少に大きな比例的作用を及ぼすと思われる。
上述した分析が示すことは、出力電圧がフィードバックとして感知されるならば、所望の出力電圧VOUTを得るように電力出力段44を動的に制御できることである。
【0081】
電子装置に広く使用されている典型的な「電子」キャパシタ(導体間の誘電体、例えば、タンタルポリマー)は、数マイクロ秒ないし数ミリ秒以内に自己放電し、そして百万ないし1千万の充電サイクルというサイクル寿命を有することを特徴とする。電子キャパシタにとって自己放電時間が短いという欠点は、発振器ベースのチャージポンプ20が、電子キャパシタを充電及び放電できる割合と、電子キャパシタが自己放電する割合との間のデューティサイクルで動作しなければならないことを意味する。従って、チャージポンプ出力段24の既知の発振器コントローラ26は、50ないし200Hzの範囲のチャージポンプ動作周波数を考慮していない。低い需要レベルでは、チャージポンプは、1Hz以下で動作するのが好都合である。
【0082】
従って、既知の発振器ベースのチャージポンプ20は、数週間又は数ヶ月と測定される自己放電時間を有するウルトラキャパシタや同様の高蓄積装置の利点を取り入れることができない。ウルトラキャパシタは、電解溶液を分極化することにより静電気的にエネルギーを蓄積する電気化学的二重層キャパシタである。そのエネルギー蓄積物理作用には化学的反応が含まれない。従って、ウルトラキャパシタは、著しく両方向性(回復可能)であり、従って、電気化学バッテリのような同等の蓄積方法とは異なり、数千回も充電及び放電することができる。適当なウルトラキャパシタの一例は、カリフォルニア州、サンディエゴのMaxwell(登録商標)テクノロジーから入手できるPS−10である。
【0083】
「ウルトラキャパシタ」という用語は、電荷漏れが比較的低いために高い効率を有することを一般的に特徴とする多数の形式の大型キャパシタを包含することを意味すると理解されたい。従って、「ウルトラキャパシタ」は、二重層電解キャパシタ(しばしば、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ及び電力用キャパシタとして知られている)や、擬似キャパシタを含む。
本発明の別の特徴によれば、フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLとしてウルトラキャパシタを組み込んだチャージポンプは、5W以上の電力を供給することができ、この割合に対し50ないし200Hzの動作周波数が適当である。
【0084】
以下に詳細に説明する本発明の一実施形態による動的なコントローラ50は、発振器ベースのチャージポンプ20の周波数で動作できるが、この動的なコントローラ50は、非常に低い動作周波数でも動作することができる。従って、動的なコントローラ50は、ウルトラキャパシタの付加的な蓄積能力の利点を取り入れることができる。
【0085】
1ボルト未満の電力コンバータ
図7には、本発明の原理に基づいて動的に制御される電力コンバータ40Aの一実施形態がトップレベルブロック図の形態で示されている。以下の説明で明らかとなるように、ここに例示する実施形態は、非反転チャージポンプ電力出力段44Aを動的に制御することによりエネルギーソース12からの入力電圧VSを調整された出力電圧VOUTへと昇圧又は降圧することができる。又、電力コンバータ40Aは、1ボルトより低い入力電圧VSでも動作することができる。より詳細には、電力スイッチM1−M4は、低スレッシュホールドスイッチング信号S1及びS2に応答するように構成される。更に、以下で明らかとなるように、電力コンバータ40Aは、集積回路として容易に実施することができ、ひいては、小サイズ、低コストとすることができる。
【0086】
図7に示す電力コンバータ40Aは、電力コントローラ46Aと、図5を参照して上述したものと同様の電力出力段44Aとを備えている。電力コントローラ46Aは、VOUTが基準電圧VREFより低下するのに応答してスイッチング信号を発生するための比較器94を備えている。比較器94は、更に、フライキャパシタの電圧VF及び入力電圧VSにも応答して、充電段階の時間を制御するのが好都合である。より詳細には、比較器入力スイッチング回路98は、同じ比較器94を、充電及び放電の両サイクル中に、次のように使用できるようにする。
【0087】
充電段階中に、入力電圧の所定の一部分εVSが、充電サイクルスイッチ信号S1に応答して閉じる比較器入力スイッチM9を経て、第1比較器入力100へ接続される。スイッチM9とエネルギーソース12との間に介在されたVS分割器102は、所定の割合εを与え、それによりVSを減少する。フライキャパシタ電圧VFは、これも充電サイクルスイッチ信号S1に応答する比較器入力スイッチM10を経て、第2比較器入力104に接続される。次いで、比較器は、フライキャパシタ電圧VFが入力電圧の所定の一部分εVSに到達したときにスイッチング信号を発生する。
【0088】
放電段階中に、放電サイクルスイッチ信号S2に応答して比較器入力スイッチM11を経て第1比較器入力100へ基準電圧VREFが接続される。又、VOUT分割器108により与えられるVOUTの所定の一部分も、スイッチ信号S2に応答して、比較器入力スイッチM12により第2比較器入力104へ接続される。
【0089】
比較器94への種々の入力のスケーリングに関して、当業者であれば、特定の用途に対してスケーリングを種々組み合わせるのが適当であることが明らかであろう。例えば、ここに例示する例は、昇圧電力コンバータ構成と、比較的低い電圧基準VREFとをベースとしている。従って、VOUT分割器108は、必要に応じてVOUTをスケールダウンし、単一基準電圧を使用して、ある範囲の所望の出力電圧VOUTを得られるようにする。VOUTが基準電圧より低い用途では、VOUT乗算器乗算器を使用するか又は分割器を使用して電圧基準96からの出力を所望の基準電圧VREFへスケールダウンすることができる。同様に、降圧電力コンバータに対して他の変更も明らかである。更に、もし必要であれば、比較器94に加えて、第2の比較器を使用してもよい。
【0090】
比較器94からのスイッチングコマンドは、タイミングコントローラ112により受け取られて、充電スイッチ信号S1及び放電スイッチ信号S2が発生される。比較器94とタイミングコントローラ112との間に効果的に介在されるのは、遅延回路114であり、これは、不必要なスイッチングを回避すると共に、高い動作周波数によるEMI放射の影響を減少するためにスイッチングにヒステリシスを生じさせる。
【0091】
ブートストラップ始動回路116は、図11を参照して詳細に述べるように、放電時に、動的なコントローラ50Aが電力出力段44Aの制御を行わないときに、電力出力段44Aの動作を開始するために図7に示されている。
始動回路116は、半導体がコールドスタート中に接地にラッチされて(即ち最初に放電された負荷キャパシタCL)、動的なコントローラ50Aが電力出力段44Aの制御を行うのを防止するような本発明の集積回路実施形態の場合に必要となる。より一般的には、始動回路は、所望の出力電圧VOUTで動作するまでコールドスタート中に必要とされる時間を短縮する。
【0092】
始動回路116は、エネルギーソース12の正の端子30を、負荷キャパシタCLの第1端子32に直接接続するのではなく、フライキャパシタCFの第1端子31に接続するものとして示されている。しかしながら、常閉スイッチM2の選択により、始動回路は、以下に述べるように、始動(コールドスタート)状態で負荷キャパシタCLに効果的に接続されることを理解されたい。
【0093】
電力コントローラ46Aに含まれるバイパス制御回路118は、電力コンバータ40Aの容量を越える過渡的な高い負荷のようなある状態の間に使用される。過渡的な高い負荷は、付加的な容量を必要とする所定の大きさのものである出力電圧の低下(電圧垂下)によって特徴付けられる。従って、バイパス回路118は、VOUTを基準電圧VREFと比較する。電圧垂下がVOUTにおいて検出されたときには、バイパス回路118は、バイパススイッチMBのためのバイパススイッチ信号SBを発生し、このバイパススイッチは、それに応答して、エネルギーソース12の正の端子30を出力端子42に直接接続する。同様に、バイパス回路118は、低い入力電圧による電力コンバータ40の差し迫った故障に応答することもでき、電力コンバータ40Aの電力消費を取り除くことによって使用寿命の延長に最良に応じるようにされる。従って、バイパス回路118は、入力電圧VSを基準電圧VREFと比較し、そしてそれに応じてスイッチMBを動作する。
【0094】
図7の電力コンバータ40Aの動作が図8ないし10のフローチャートに示されている。図8を参照すれば、電力コンバータの動作130は、蓄積素子が放電された状態で開始し、従って、図9及び11を参照して述べるように、集積回路実施において接地へのラッチを防止するために始動動作132が実行される。この始動動作132の後に、電力コンバータの動作130は、図9を参照して述べるように、動的な動作134へと移行する。
【0095】
動的な動作134は、一般的に、ブロック136で示されたように、出力電圧VOUTの垂下が生じたかどうか判断し、もし生じない場合に、動的な動作134が継続するようにすることにより、遮断するまで続けられる。VOUTの電圧垂下は、電力コンバータ40Aの能力を越える大きな過渡負荷を示す出力電圧VOUTの低下である。ブロック136において、VOUTの垂下が検出された場合には、過渡バイパスが行われて、出力端子が、上述したように、ある時間周期にわたりエネルギーソースに電気的に接続される(ブロック138)。本発明に適合するある用途では、過渡バイパスは、エネルギーソース12及び出力端子42、43から電力コンバータ40Aを電気的に切断する。この切断の効果は、過渡状態が終わった後に回復周期を生じるような電力出力段44Aの放電を回避することを含む。本発明に適合する他の用途では、過渡バイパスは、エネルギーソース12及び出力端子42、43から電力コンバータ40Aを切断せず、従って、電力コンバータ40Aは、負荷装置14により要求される電力を供給するよう貢献する。
【0096】
出力電圧が依然低状態に保たれる場合には(ブロック140)、バイパスがラッチ状態に入れられる(ブロック142)。ブロック140において、VOUTが回復した場合には、ブロック144において、電流過負荷状態が存在するかどうかを判断することにより別の保護特徴が実行される。例えば、エネルギーソースは、おそらく、ある時間中に供給できる電流の量について安全限界を有する。或いは又、出力電流を引き出す負荷装置14は、故障モードにあり、これが電力コンバータの動作130に通知される。従って、電流過負荷である場合には(ブロック144)、出力端子がエネルギーソースから切断される(ブロック146)。しかしながら、ブロック144において、電流過負荷がない場合は、ブロック148において、コントローラがオフであるかどうかの判断がなされる。これは、種々の保護手段が、電力コンバータを再始動する必要がある状態を招くという状況を表わす。従って、コントローラがオフである場合には(ブロック148)、電力コンバータの動作130は、始動動作へ戻り(ブロック132)、さもなければ、動的な動作へ戻る(ブロック134)。
図8に示された順次流れ線図は、独立して及び連続的に実行することのできる種々の保護モードを示し、或いは本発明に適合する保護特徴の種々の組合せが含まれることを理解されたい。
【0097】
図9は、図8で説明した始動動作132を流れ線図形態で示す。この始動動作132の利点は、本発明による電力コンバータ40Aを1ボルト未満の入力電圧でいかに始動できるか示すことを含む。これは、特に、負荷キャパシタCLのような蓄積キャパシタの放電が電力コントローラ46Aの不作動を招くような集積回路用途に望ましいものである。更に、始動動作132は、電力コンバータ全体で消費される電力を減少できる低い出力需要の別のチャージポンプとしての本発明の使用を示唆する。
【0098】
典型的な発振器ベースの電力コンバータ20は、エネルギーソース12から負荷キャパシタCへ電気的に接続されたブートストラップ外部大電力ショットキーダイオードを組み込んでいる。このショットキーダイオードは、負荷キャパシタ電圧VLが低いときに導通し、負荷キャパシタCLの充電を開始すると共に、負荷装置14へ電力を供給し始める。この付加的なショットキーダイオードがないと、負荷装置14は、典型的な集積回路スイッチマトリクス48が接地にラッチする傾向があるために、負荷キャパシタCLの充電を妨げる傾向がある。
【0099】
ショットキーダイオードを追加することは、発振器制御の電力コンバータ20の所望の小型化を妨げる。更に、ショットキーダイオードは、発振器制御の電力コンバータ20の通常の動作中に電力を消費し、従って、効率を低下させる。
それ故、通常の動作中に効率に悪影響を及ぼさずに、動的に制御される電力コンバータ40Aを始動することが望まれる。又、外部部品を伴わずに電力コンバータ40Aと一体化できるやり方でそれを行うことも望まれる。
【0100】
始動動作132は、ブロック150において電力コンバータに負荷が既にかけられており、そしてブロック152において電力コンバータへの入力電圧が得られるという初期条件で開始される。次いで、電力コントローラがオフで電力出力段を制御しないかどうかの判断がなされる(ブロック154)。電力コントローラがオンである場合には(ブロック154)、小さな始動キャパシタCQPUMPがフローティング状態にされ(ブロック156)、そして始動動作132が実行される。
【0101】
ブロック154においてコントローラがオフである場合には、始動スイッチが閉じて、入力電圧VSを始動キャパシタCQPUMPへ供給し(ブロック158)、そして始動キャパシタCQPUMPが接地基準となる(ブロック160)。始動キャパシタCQPUMPが充電されると(ブロック162)、それが蓄積キャパシタ(例えば、負荷キャパシタ)へと放電され(ブロック164)、そして始動キャパシタCQPUMPを含む始動回路が電力コンバータのスイッチマトリクスから切断される(ブロック166)。次いで、始動動作132は、ブロック154へ戻り、この始動サイクルがコントローラをアクチベートするに充分であったかどうか調べると共に、必要に応じてその後の始動動作サイクルを繰り返す。
【0102】
図10には、図8に示された動的な動作134が流れ線図の形態で示されている。先ず、フライキャパシタが入力電圧VSと並列にスイッチされて、フライキャパシタが充電される(ブロック170)。フライキャパシタの電圧VがF入力電圧VSの所定の割合(例えば、VSの80%)を越えると(ブロック172)、充電段階は終了となり、フライキャパシタCFを入力電圧VSとの並列接続から切断すると共に(ブロック174)、デッドタイム遅延TDELの間だけ遅延させる(ブロック176)。
【0103】
次いで、放電サイクルは、ブロック177において、動的な動作134が昇圧動作であるか降圧動作であるか判断することにより開始される。昇圧である場合には、放電段階中に、フライキャパシタ電圧VFが入力電圧VSに加えられるが、降圧である場合には、フライキャパシタ電圧VFのみが使用される。この選択は、動的動作134の各段階中に決定されるのではなく、予め決定されそしてプリセットされてもよいが、これらの付加的な決定は、好都合にも、例えば、基準電圧VREFを変化させることにより出力電圧VOUTを希望通りに調整できるようにする。
【0104】
従って、ブロック177では、基準電圧VREFが入力電圧VSより低いか(即ち降圧動作であるか)どうかの判断が行われる。もしそうであれば、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCLにまたがって入れられる(ブロック178)。さもなければ、入力電圧VS及びフライキャパシタCFが負荷キャパシタCLにまたがって直列に入れられる(ブロック179)。ブロック178又は179のいずれかの後に、最小放電時間遅延TDISが行われて、出力電圧VOUTに関わりなくフライキャパシタCFの完全放電を行うことができる(ブロック180)。
【0105】
次いで、動的な動作134は、この状態において、出力電圧VOUTが基準電圧VREFより大きい間待機となる(ブロック182)。これは、比較器の非補償特性のためである。手前の充電/放電サイクル中に転送された電荷の量が、VOUTがVREFを越えるように負荷キャパシタCLを充電するのに不充分である場合には、その直後に別の充電/放電サイクルが必要となる。他の場合には、手前の充電/放電サイクルで充分である。従って、動的動作134は、負荷装置又は負荷キャパシタの自己放電が負荷キャパシタを充分に放電させるまでの時間周期中、待機し続ける。VOUTがVREFより大きくないときには、フライキャパシタCFが負荷キャパシタCLから切断され(ブロック184)、これは、昇圧の場合に、入力電圧VSを負荷キャパシタCLから切断することを含む。次いで、別のデッドタイム遅延TDELが課せられ(ブロック186)、そしてブロック170の充電段階へ戻ることによりサイクルが繰り返される。
【0106】
明瞭化のために、上記の動的動作134は、例えば、放電段階が保証されるときまでフライキャパシタCFを充電することで始まることを理解されたい。しかしながら、ここに示す実施形態では、充電段階は、実際上、放電段階内のネスト状の動作である。より詳細には、電力コンバータは、放電段階を開始し、そして付加的な電荷が必要となる(例えば、VOUTがVREFより下がる)ときまでそこに留まる。次いで、充電段階が実行される。それが完了するや否や、必要な上記遅延の後に、放電段階が再び始まる。その後、電力コンバータ40Aは、再び放電状態に留まり、更に電荷が必要とされるのを待機する。
【0107】
図11を参照すれば、図7の電力コンバータ40Aに対する一体化された電力出力段44Aが、好都合にも、参考としてここに援用する2000年3月22日に出願された「Lateral Asymmetric Lightly Doped Drain MOSFET」と題するYing Xu氏等の共通所有の米国特許出願(P&Gケース7992)に開示されたように、低スレッシュホールド(例えば、1ボルト未満)で制御できるMOSFETトランジスタスイッチを使用して0.35ミクロンの二重サリサイドプロセス(2つの金属、2つのポリサリダイド)で実施された集積回路によって示されている。低スレッシュホールド制御をもつのに加えて、そこに開示されたMOSFETデバイスは、本発明により使用されるスイッチマトリクス48の効率に直接貢献する低いオン抵抗を有する。
【0108】
電力スイッチM1−M4、並びにバイパススイッチMBは、低スレッシュホールドMOSFETデバイスのアレーを組み込むことにより所望のピーク出力電流まで拡張可能な電流容量を有するが、図11には単一のトランジスタとして示されている。MOSFET電力スイッチM1−M4は、上記特許出願に説明されたように、スイッチマトリクス48を効率的に動作するために、低いオン抵抗及び高いオフ抵抗で設計されるのが好都合である。
【0109】
一般に、n型MOSFETデバイスは、製造するのに小さく、スイッチングが迅速で、ゲート電圧がないと、通常オフであるために選択される。しかし、ある場合には、p型MOSFETスイッチも、効果的に使用される。第1に、以下で明らかとなるように、フライキャパシタCFの第1端子31と、負荷キャパシタCLの第1端子32との間にp型電力スイッチM2を使用すると、本発明の1つの特徴により、電力コンバータ40Aを始動するのに1つの電力スイッチM1をバイアスするだけでよい1ボルト未満の漸次始動回路116を形成できる。
【0110】
この始動回路116は、電力出力段44Aが放電されたときにこの始動回路116をアクチベートするように構成されたp型MOSFET始動スイッチMSを備えている。スイッチングを制御するための種々の信号(例えば、S1、S2、S2N、・・)は以下で詳細に説明する。MSのドレインは、入力電圧VSに接続され、そしてそのゲート及びソースの両方は、フライキャパシタCFの第1端子31に接続される。フライキャパシタCFの第2端子34に接続される2つの電力スイッチM3及びM4は、n型であり、従って、フライキャパシタCFがこの状態においてフローティングであるようにオープンである。しかしながら、電力スイッチM2は、上述したようなp型トランジスタであり、従って、電力コントローラ46Aが最初にこの状態において付勢されない状態で閉じている。その結果、始動スイッチMSは、そのゲート及びソースも、最初にゼロであるVOUTに接続されている。従って、始動スイッチMSのゲートは接地され、そして始動スイッチMSは、負荷キャパシタCLへ入力電圧VSを導通し始める。
【0111】
しかしながら、この1つの小さなMOSFETの電流容量では、負荷キャパシタCLを充電するのに不充分である。それ故、始動スイッチMSは、電力スイッチM1を閉じるように間接的に使用されて、負荷キャパシタCLに入力電圧VSが与えられるようにする。より詳細には、始動スイッチMSのソースからn型スイッチM13のゲートへ入力電圧が接続される。スイッチM13は、スイッチMSからの入力電圧VSにより閉じる。スイッチM13が閉じると、そのドレインの入力電圧VSがソースへ通され、これは、次いで、始動キャパシタCQPUMPの第1端子190へ接続される。始動キャパシタCQPUMPの第2端子192は、電力コントローラ46Aが不作動であるときに始動キャパシタCQPUMPの第2端子192を接地するように構成されたトランジスタ対M14、M15に接続される。さもなければ、トランジスタ対M14、M15は、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192をフローティングするように構成される。より詳細には、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192は、p型スイッチM15のドレイン及びn型スイッチM14のソースに接続される。スイッチM15は、そのソースが接地され、そしてそのゲートが負のバイアスによりバイアスされて、電力コントローラ46Aが動作しているときにスイッチM15を開くようにされている。それ故、電力コントローラ46Aが動作しているときは、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192が接地から切断される。スイッチM14は、そのドレインが入力電圧VSに接続され、そしてそのゲートが正のバイアスによりバイアスされて、電力コントローラが動作しているときにスイッチM14を閉じるようにされる。
【0112】
図12には、図7の電力コンバータ40Aに適した回路が示されている。図12は、充電段階中及び放電段階中に比較を行うために比較器94をバイアスする1つの回路例を示す。充電及び放電段階中に、この回路は、既に始動されており、そして電力コントローラ46Aは、スイッチング信号(例えば、S1、S2等)を発生するように動作される。S1がM9及びM10を閉じる充電段階中には、入力電圧VSの分割器102が、図7を参照して述べたように、フライキャパシタ電圧VFと比較するために所定の割合(例えば、80%)だけ入力電圧VSを減少する。S2がM11及びM12を閉じる放電段階中には、VOUT分割器108が、電圧基準96からの基準電圧と正しく比較するために出力電圧VOUTをスケーリングする。
【0113】
又、図12は、電力コントローラ回路46Aのタイミングコントローラ112が、以下に詳細に述べる複数の信号P_S2NB、P_S2NA、S2、S2N、P_S1、S1、S1Nを発生して、充電スイッチ信号S1及び放電スイッチ信号S2と同等のことを実行する。この複数の信号は、ここに示す実施形態の場合に、電力スイッチM1−M4が他のスイッチより多量の電流を必要とし、そして電力スイッチM2、M4がp型であり、従って、n型の電力用MOSFETの電力スイッチM1、M3よりゆっくりとスイッチングするために必要とされる。M1、M3の一方又は両方がM2、M4の一方又は両方と同時に閉じる場合のトランスコンダクタンスを防止するために、各ゲートへの信号にある程度の遅延が必要とされる。
【0114】
図13には、電圧基準回路96の一実施形態が示されており、これは、本発明の特徴に基づき1ボルト未満の入力電圧VSで動作することができる。定電流回路200は、レールに対する電圧基準回路202を付勢し、該回路202を入力電圧VSの変化から分離する。出力バッファ204は、レールに対する電圧基準回路202からの未増幅の基準電圧を増幅する。レールに対する電圧基準回路202を温度補償するために、並列ダイオードアレーの「絶対温度に比例する(PTAT)」回路206がその回路202をバイアスする。
【0115】
図14及び15には、図7の電力コントローラ46Aに対する比較器94の一実施形態が示されている。差動増幅器206−210は、共通モード信号を拒絶するのに有効であるので効果的に使用される。例えば、共通モード信号は、入力に誘起されるノイズである。集積回路の差動増幅器は、比較的低い出力利得を有する。これは、2つの点で意味をもち、即ち入力コントローラ46Aの入力トランジスタに非直線性がありそしてその後段に対して必要な電流利得を与える際に非直線性があることである。入力の非直線性をある程度打ち消すために、3つの差動増幅器の組合せが示されており、第1の差動増幅器206は、その負入力にV+入力をそしてその正入力にV−を受け取る。第2の差動増幅器208は、その負端子にV−をそしてその正端子にV+を受け取る。第1差動増幅器206の出力は、第3差動増幅器210の負端子に接続され、そして第2差動増幅器208の出力は、第3差動増幅器210の正入力に接続される。第4差動増幅器212は、電圧ホロワバッファとして構成されて、第3差動増幅器210からの比較器スイッチング信号(Out+、Out−)の電流を増加する。
【0116】
図16には、図7の電力コントローラ46Aに対するタイミングコントローラ回路112の一実施形態が示されている。基本的に、このタイミングコントローラ回路112は、必要な個々のスイッチコマンドを実行して、電力出力段44Aを充電段階と放電段階との間で構成する役割を果たす。更に、電力コントローラ46Aのタイミングコントローラ回路112は、対にされたスイッチ及びシーケンス付けされたスイッチを、あるスイッチ組合せを回避するように正しくフェージングしなければならない。例えば、充電段階にある電力スイッチM1及びM3は、いずれも、放電段階にあるいずれの電力スイッチM2及びM4とも同時に閉じてはならない。さもなければ、交差導通(又はトランスコンダクタンス)が発生し、例えば、エネルギーソース12が、上述したように、出力端子42へ瞬間的に短絡される。
【0117】
図17は、タイミングコントローラ回路112のタイミング図である。より詳細には、S1信号は、動的なコントローラ50により内部で使用される充電段階信号である。S2信号は、動的なコントローラ50により内部で使用される放電段階信号である。P_S2Nb信号は、p型MOSFET M2に対する高電流スイッチ信号で、交差導通を防止するためにS2信号に対して遅延され、そしてp型MOSFET M2が正の電圧でオープンされるためにS2から反転されている。P_S2Naは、p型MOSFET M4に対する高電流スイッチ信号で、P_S2Nbに対して遅延されている。P_S1信号は、電力用MOSFETスイッチM1、M3に対するS1の高電流バージョンである。S2N信号は、始動回路16、特に、スイッチM14に対するS2信号の反転バージョンである。S1N信号は、始動回路16、特に、スイッチM15に対するS1信号の反転バージョンである。
【0118】
本発明は、多数の実施形態について説明し、そしてそれら実施形態は、非常に詳細に説明したが、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲をそれらの細部に何ら限定するものではない。付加的な効果や変更が当業者に容易に明らかであろう。
例えば、非反転のチャージポンプ電力出力段44Aを動的に制御することについて述べたが、ここでの開示の利益が得られると、本発明により反転型のチャージポンプ電力出力段を動的に制御することも当業者に明らかであろう。
【0119】
本発明による電力コンバータ40Aは、種々様々な製品に組み込むことができる。例えば、集積回路で達成できる小型サイズ及び上述した低電力消費特性の効果を取り入れた電力コンバータ40Aは、好都合にも、バッテリパッケージに組み込んで、バッテリの使用寿命、及び需要時のエネルギー及び振幅を向上させることができる。
更に、本発明による電力コンバータ40Aは、エネルギーソース12の内部に組み込まれるか、エネルギーソース12を使用する負荷装置14に組み込まれるかに関わらず、種々様々なポータブル電子装置10を改善し又は可能にする。例えば、エネルギーソース12のサイズ及び重量の減少は、着用式であるか植え込み式であるかに関わらず、侵襲性の低い医療診断、エネルギー供給、又は操作式薬剤投与装置を許す。
【0120】
更に、バッテリ又は同様のエネルギーソース12で現在付勢されているポータブル電子装置は、本発明による電力コンバータを組み込むことにより改良することができる。例えば、ポータブル通信装置及びポータブルオーディオ装置において、効率の引き上げにより改良された使用寿命が得られ、そして需要の低下により許されるときに、電力コンバータ40の動作周波数、ひいては、ノイズを低下することにより、性能を向上することができる。
又、本発明によるほぼ又は完全に一体化された電力コンバータ40Aは、メモリ、論理回路及び他の集積デバイスのための充分に小型で効率のよい電源を与える。例えば、電力コンバータ40Aは、メモリ、論理回路又は他の集積デバイスも含む集積回路の一部分に埋め込まれてもよい。
【0121】
更に、入力電圧、特に、低い入力電圧に動的に適応することに関する本発明の特徴は、入力電圧が非持久性であるか、さもなければ、一般に知られた電力コンバータに適していない用途を考慮している。例えば、光電池は、表面積及び入射放射エネルギーの量に関連して電力を発生する。従って、光電池を使用する装置は、光が不充分であるためにしばしば不作動になったり、得られる通常の電力量内に留まるために機能を制限しなければならなかったり、及び/又は光電池専用の表面積を増加しなければならなかったりする。従って、電力コンバータ40Aは、小さな光電池を考慮し、そして広範囲の光条件で使用することができる。
【0122】
更に別の付加的な例として、明瞭化のために単一のフライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLが示された。当業者であれば、本発明による電力コンバータ40Aは、複数のフライキャパシタCF及び/又は複数の負荷キャパシタCLを含んでもよいことが明らかであろう。更に、フライキャパシタCF及び/又は負荷キャパシタCLは、電気及び磁気エネルギーのための種々の蓄積装置より成ってもよい。
【0123】
別の例として、本発明による電力コンバータ40Aは、種々様々な製品に組み込むことができる。例えば、上述した小サイズ及び低電力消費(即ち高効率)特性の利点を取り入れる電力コンバータ40Aは、好都合にも、バッテリパッケージに組み込まれて、バッテリの使用寿命、並びに需要時のエネルギー及び振幅を向上させることができる。電力コンバータ40Aを組み込むことは、全てが1998年4月2日に出願された以下の共通所有の特許出願に開示されたのと同様に行われる。ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「PRIMARY BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY RUN TIME」と題する米国特許出願第09/054,192号;ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY SERVICE RUN TIME」と題する米国特許出願第09/054,191号;ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER」と題する米国特許出願第09/054,087号;及びドラガンD.ネブリジック、ミランM.ジェブティティッチ、ビグ・シェリル、ニック・ブスコ、ピーター・ハンセン及びウイリアム・ミラム氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY SURVICE RUN TIME」と題する米国プロビジョナル特許出願第60/080,427号。これらの特許出願は、全て、その全体を参考としてここに援用する。
【0124】
3状態チャージポンプ制御
ここに述べる本発明の他の形態では、チャージポンプを動的に制御して、フライキャパシタ電圧及び/又は負荷キャパシタ電圧を所定の電圧リプルバンド内に維持することができる。フライキャパシタを所定の電圧リプル内で充電及び放電する効果は、効率を向上することを含む。フライキャパシタは、電荷転送の割合及び転送中の内部ロスが最適化される電圧領域内で使用される。フライキャパシタの各充電/放電サイクル中の電荷転送を最適化することによりスイッチングロスが軽減される。同様に、負荷キャパシタ間の電圧を所定の電圧リプルバンド内に維持する効果の1つは、効率の改善である。
【0125】
電圧リプルは、ソース電圧VS(例えば、バッテリ電圧VBAT)に関して定義することができ、フライキャパシタの電圧リプルバンドを定義するのに、バッテリ電圧の2つのスケーリングされたスレッシュホールドが使用される(例えば、αVBAT、βVBTA)。しかしながら、バッテリ電圧は、特に、ピーク負荷の間及びバッテリの使用寿命の後の部分中には、バッテリの内部抵抗により減衰する。従って、フライキャパシタの電圧リプルバンドも低くなる。スイッチM1−M4の抵抗値と、キャパシタCL及びCFのESRは、バッテリの内部抵抗に比して低いので、バッテリの電圧降下は、回路において安定性の問題を引き起こす。その結果、本発明の特徴による実施形態は、不安定の問題を回避するために固定の電圧基準を使用している。
【0126】
しかしながら、バッテリ電圧の低下傾向に応答して固定の電圧基準を減少するのが好都合である。例えば、倍電圧チャージポンプでバッテリ電圧が所定値に下がると、所望の出力電圧を得ることができなくなる。バッテリ電圧の低下を感知するのに応答して、付加的なチャージポンプ段又は付加的なフライキャパシタを使用して、所望の出力電圧を得る一方、充電/放電サイクルをトリガーするのに使用される電圧スレッシュホールドを減少することができる。バッテリ電圧の傾向を決定する1つの方法は、無負荷状態の間、例えば、クロスバー電流を防止するのに使用される充電サイクルと放電サイクルとの間の時間遅延の間に、バッテリ電圧をサンプリングすることである。
【0127】
図18は、フライキャパシタの電圧リプルを制御するための1つの回路の動作を示す流れ線図である。先ず、フライキャパシタが最大フライキャパシタ電圧に充電されたかどうか、即ちVF≧VF,MAXであるかどうかの判断がなされる(ブロック200)。もしそうでなければ、フライキャパシタは、最大フライキャパシタ電圧に到達するまで充電される(ブロック202)。フライキャパシタが充分に充電された場合には、フライキャパシタがソース電圧及び負荷キャパシタから切断され(ブロック204)、そして待機状態と称される状態に入れられる。この待機状態は、充電状態及び放電状態に加えてチャージポンプの第3の状態になる。フライキャパシタが充電されそして展開を待機している状態では、遅延が回避される(即ち出力電圧が著しく低く降下したと感知された後にフライキャパシタを充電しなければならない遅延)。従って、チャージポンプの電力容量が増加される。加えて、あるチャージポンプ構成においては、ソース電圧及びフライキャパシタを切断した状態で負荷キャパシタが出力電圧を与えるようにするのが好都合である(例えば、降圧構成)。それ故、本発明の1つの特徴に基づいて組み込まれる待機状態は、これらに関して好都合である。
【0128】
フライキャパシタが待機状態にあるときには、ブロック206において、出力電圧が基準電圧以下であるかどうか、即ちVO≦VREFであるかどうか判断がなされる。出力電圧が基準電圧以下でない場合は、フライキャパシタが必ずしも出力に必要とされず、コントローラは、待機状態に保たれる(ブロック204)。出力電圧が基準電圧以下に降下すると(ブロック206)、フライキャパシタが出力に接続され、そして放電状態に入れられる(ブロック208)。フライキャパシタは、フライキャパシタ電圧VFが最小フライキャパシタ電圧VF,MIN未満であるという判断がなされる(ブロック210)まで放電状態に保持される。この最小フライキャパシタ電圧においてフライキャパシタ電圧リプルバンドの底部まで放電すると、制御は、ブロック202へ戻り、フライキャパシタを再充電すると共に、本発明により次の充電−対キー放電サイクルに対して準備する。
図18には示されていないが、出力電圧の電圧リプルを更に制御できるように出力電圧に対する最大及び最小電圧基準の両方について更なる判断を行えることが明らかであろう。従って、制御における更なるヒステリシスを使用することができる。
【0129】
多出力の電力コンバータ
選択可能な種々の出力電圧レベルを与える回路のブロック図である図19には別の実施形態の電力コンバータ230が示されている。例えば、1.8V、2.5V、3.0V、3.3V及び5.5Vのレベルが示されている。それより低い電圧(例えば、1.2V、1.5V)及びそれより高い電圧(例えば、7.0V)のような他の電圧レベルも意図されることが明らかである。
種々の電圧レベルに対する各一体的な出力段232a−232eは、各々フライキャパシタCF1−CF5及び負荷キャパシタCL1−CL5を伴う上記の昇圧又は降圧チャージポンプ電力出力段でよい。図19には、5つのレベル及びそれに関連した出力段が示されている。
【0130】
各出力段232a−232eの動的な制御は、多出力コントローラ234により行われる。この多出力コントローラ234は、各出力段232a−232eを制御するのに必要な種々のスレッシュホールドレベルに基準電圧VREFをスケーリングするためのバンドギャップ電圧基準236を受け取る。又、この多出力コントローラ234は、イネーブルバス238に応答して、各出力段232a−232eを選択的にターンオンする。多出力コントローラ234は、本発明により信号バスS11−5及びS21−5として各々示された充電及び放電スイッチ信号を各出力段232a−232eへ供給する。多出力コントローラ234は、フライキャパシタ電圧VF1−VF5及び5つの出力電圧(即ち1.8VOUT−5.0VOUT)に応答してこれらの充電/放電信号を発生する。
【0131】
図20には、図19の電力出力段232a−232eの一例の回路が、図5について述べたのと同様に示されている。ノードVn FLY−HIGHとVn FLY−LOWとの間に接続されたフライキャパシタCF、及びノードVO Nから接地へと接続された負荷キャパシタCLは、図示されていない。
図20に示された電力用MOSFET M1A、M2A、M1B及びM2Bは、上述したスイッチM1、M2、M3及びM4に対応する。更に、p型MOSFETスイッチM3は、始動中に負荷キャパシタCL1−CL5を充電するために、多出力コントローラ234がデアクチベートされたときに、ソース電圧(VCC)を出力に接続する。その後、出力電力段232a−232eが動作されるときに、多出力コントローラ234によりS3n信号が発生される。上述したように、使用するMOSFETの形式(例えば、p型、n型)に基づいて、あるスイッチの制御信号は、他のスイッチの信号に対して反転又は遅延される(例えば、S1、S1n、S2、S2n等)。
【0132】
図21は、多出力コントローラ234の1つのチャンネル又は電圧レベル(例えば、1.8V)に対して構成された出力コントローラ234aを示すブロック図である。フライキャパシタ電圧VF 1の電圧リプル制御は、比較器250においてフライキャパシタ電圧VFと比較されるバッテリ電圧VBATに基づいて、2つのスケーリングされたスレッシュホールドαVBAT、βVBATの間でスイッチングすることにより行われる。各負荷キャパシタ間の出力電圧VOの電圧リプル制御は、比較器252において出力電圧VO 1と比較される基準電圧VREFに基づいて、2つのスケーリングされたスレッシュホールドαVREF、βVREFの間でスイッチングすることにより行われる。スイッチ式比較の結果は、スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254へ供給され、該回路は、次いで、充電及び放電信号S11及びS22を発生する。入力マルチプレクサ(MUX)256は、コントローラ234aが現在充電モードにあるか放電モードにあるかに応答してスレッシュホールド間のスイッチングを制御する。スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254からの信号S31は、図20について上述したように、好都合にも始動を考慮したものである。
【0133】
1つ又は複数の入力電圧(VIN)に基づき、1つ以上の出力段232a−232bは、昇圧(ブースト)又は降圧(バック)として永久的に構成されてもよいし、或いは再構成可能な昇圧/降圧であってもよい。後者の場合に、出力コントローラ234nは、バッテリ電圧VBATが基準電圧VREFより高いか低いか感知する比較器258を備え、その結果は、入力MUX256と、スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254の両方に送られる。
図22は、図21のコントローラ234aのような出力コントローラの一実施形態を示す論理図である。この形態において、4つの比較器261−264での比較を連続的に実行し、そしてスイッチング論理制御回路270において下流のスイッチングを使用し、それらの出力が出力区分280へ通されるようにすることにより、スイッチ式比較が実行される。
【0134】
S3_n出力は、3入力ANDゲートからの50ms遅延出力として示されており、それらの入力は、ソース電力VCCのフィルタされた形態であるパワーアップ(PUP)信号と、VO Nを基準電圧VREFと比較したものと、基準電圧VREFをソース電圧(VCC)と比較したものである。従って、S3_nを使用した負荷キャパシタCLの始動充電は、基準電圧がソース電圧(VCC)及び出力電圧VO Nに対して安定した50ms後に遮断される。
図23には、パワーアップ(PUP)信号を発生するためのパワーアップ回路が示されている。特に、ソース電圧VCCは、ANDゲートの一方の入力に与えられる。ANDゲートの第1及び第2入力は、抵抗器R31を経て接続される。又、第2入力は、キャパシタC1により接地される。その結果、PUPは、第2入力がソース電圧VCCのローパスフィルタされたものを見るので、ソース電圧VCCが安定化した後に高レベルとなる。
【0135】
図24は、多出力電力コンバータ230のピン出力図である。上述した例示のための回路図は、モノリシック集積回路製造に適したものであることを理解されたい。従って、多出力電力コンバータ230全体は、組み込まれるキャパシタと共に、小体積のICパッケージ内に完全に収容され、これについては、参考としてその全体をここに援用する1999年11月22日に出願されたドラガンD.ネブリジック氏等の「ACTIVE PACKAGE FOR INTEGRATED CIRCUIT」と題する共通に所有された米国特許出願第60/166,823号に開示されている。
【0136】
図24のピン出力は、各電圧出力に対し個別入力電力(VIN1−VIN5)及び個別電力接地(PWRGND)の利点を与える。例えば、各段を完全に分離することによりノイズを減少することができる。更に、多出力電力コンバータ230の所与の部分への入力電力を除去すると、使用されていない制御部分をデアクチベートすることにより効率が永久的に向上される。
イネーブルピン(ENABLE1−ENABLE5)は、多出力電力コンバータ230の各部分のプログラム可能なデアクチベーションを使用して間欠的なデアクチベーションを行えるようにする。例えば、セルラー電話用途のようなアプリケーション内でバッテリ使用寿命の後段階において、送信機能により使用されるような過酷な電力消費を防止しながら、5つの出力電圧レベルの2つを維持して、表示機能、処理機能、及びメモリ機能を持続することが重要であると思われる。その後、低い電圧レベルにおいて、5つの出力電圧レベルの1つだけを持続して、例えば、メモリが消えないようにすることができる。
【0137】
従って、多出力電力コンバータ230は、次の要件の1つ以上が存在する電子装置において得に有用である。(1)バッテリ消費を減少するための効率的な電力変換、(2)低い電磁干渉(EMI)放射、(3)電子回路及びエネルギーソースに割り当てられた小さな体積、(4)経済的な製造及び組み立て、(5)調整された多電圧出力レベル、及び(6)広範囲の電力需要にわたる効率的な動作。これらの要件を伴う電子装置は、例えば、ポータブルセルラー電話又は衛星電話、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)及びラップトップコンピュータ、並びにポータブルマルチメディア娯楽装置を含む。データ処理及び通信装置が集中するにつれて、このような多出力電力コンバータ230のニーズが高くなる。
本発明の特徴による電力コンバータ230は、用途に応じて、出力レベルの数と、電力及び制御に対するそれらの相互依存性が変化することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
電力コンバータを伴う電源を組み込んだポータブル電子装置のトップレベルブロック図である。
【図2】
発振器制御の電力コンバータ(オープンループのチャージポンプ)のトップレベルブロック図である。
【図3】
動的に制御され固有に調整される電力コンバータのトップレベルブロック図である。
【図4】
図3の電力コンバータの電力出力段に対する回路の一実施形態である。
【図5】
図3の電力コンバータの電力出力段に対する回路の別の実施形態である。
【図6】
図5の電力出力段の最大負荷条件に対する境界条件の電圧グラフである。
【図7】
動的に制御される電力コンバータの実施形態を示すトップレベルブロック図である。
【図8】
図7の電力コンバータの動作を示すフローチャートである。
【図9】
図8の始動動作のフローチャートである。
【図10】
図8の動的な動作のフローチャートである。
【図11】
図7の電力コンバータの電力出力段に対する回路の一実施形態である。
【図12】
図7の電力コンバータの電力コントローラ回路の一実施形態である。
【図13】
図12の電力コントローラの電圧基準回路の一実施形態である。
【図14】
図12の電力コントローラの比較回路の一実施形態である。
【図15】
図14の比較回路の詳細な回路図である。
【図16】
図12の電力コントローラのタイミング制御回路の一実施形態である。
【図17】
図16のタイミング制御回路のタイミング図である。
【図18】
一体的な容量性素子を含む多出力電力コンバータ集積回路部品の一実施形態である。
【図19】
図18の多出力電力コンバータのブロック図である。
【図20】
図19の多出力電力コンバータの電力出力段の1つの一実施形態である。
【図21】
図19の多出力コントローラの出力コントローラの一実施形態である。
【図22】
図21の出力コントローラの回路図である。
【図23】
図22に示されたパワーアップ信号の回路を示す図である。
【図24】
図19ないし23の多出力電力コンバータのピン出力図である。
【関連出願へのクロスレファレンス】
本出願は、ドラガンD.ネブリジック、ミランM.ジェブティッチ、ビグ・シェリル、ニコラス・バスコ、ピーター・ハンセン、及びウイリアム・ミラ氏により1999年6月25日に出願された「BATTERY HAVING BUILT−IN DYNAMICALLY−SWITCHED CAPACITIVE POWER CONVERTER」と題する共通所有の米国プロビジョナル出願第60/141,119号の利益を請求しそしてその全体を参考としてここに援用するものである。
【技術分野】
本発明は、DC/DC電源コントローラに係り、より詳細には、一体的な電力管理システムのための調整型チャージポンプ電力コンバータに係る。
【0002】
【背景技術】
電子技術の進歩によりポータブル電子装置の設計及びコスト効率の良い製造が可能になった。従って、ポータブル電子装置の使用は、入手できる製品の数及び製品の形式の両方において増加を続けている。ポータブル電子装置の広い範囲は、例えば、ページャー、セルラー電話、音楽プレーヤー、計算機、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、等々を含む。
【0003】
ポータブル電子装置における電子回路は、一般に、直流(DC)電力を必要とする。通常、このDC電力を供給するために、1つ以上のバッテリがエネルギーソースとして使用されている。理想的には、エネルギーソースは、ポータブル電子装置のエネルギー要求に完全に合致する。しかしながら、バッテリの電圧及び電流は、ポータブル電子装置の電子回路に直接給電するのに適さないことがほとんどである。例えば、バッテリからの電圧レベルが、装置に必要な電圧レベルと異なる。更に、電子回路のある部分は、他の部分とは異なる電圧レベルで動作し、異なるエネルギーソース電圧レベルを必要とする。又、バッテリは、電流需要の急速な変動に素早く応答することができない。
【0004】
ポータブル電子装置10の典型的な構成が図1に示され、1つ以上のバッテリのようなエネルギーソース12と、電力を必要とする電子回路のような負荷装置14とを備えている。エネルギーソース12と負荷装置14との間に介在されるのが、多数の機能を遂行することのできる電源16である。例えば、電源16に一体化されるものとして示された電力コンバータ20は、エネルギーソース12からの電力に対して必要な変化を与えて、負荷装置14に適したものにする。
【0005】
又、電源16は、電力変換以外の機能を推敲することもできる。例えば、エネルギーソース12、負荷装置14及び/又は電力コンバータ20を、高い電流の持続によるダメージから保護する場合には、エネルギーソース12をポータブル電子装置10の他部分から電気的に遮断する必要がある。別の例として、電力コンバータ20は、始動中に援助を必要とする。
【0006】
必要とされる電力変換の形式に関して、電力コンバータ20は、電圧を「昇圧」(即ちブースト)又は「降圧」することができる。即ち、コンバータ20は、エネルギーソース12からの入力電圧VSに対し、負荷装置14へ供給される出力電圧VOUTを増加又は減少することができる。又、電力コンバータ20は、エネルギーソース12で供給できない短時間スパイク、即ち負荷装置14による需要増加を満足する量のエネルギーを蓄積することもできる。
【0007】
又、電力コンバータ20は、出力電圧VOUTを調整し、それを希望の出力電圧レベル付近に保持すると共に、有害なノイズや負荷装置14の不所望な性能を招く急速な変動を減少することもできる。このような変動は、需要の変化、外部の電磁ソースから誘起されるノイズ、エネルギーソース12の特性、及び/又は電源16内の他の部品からのノイズにより生じる。
【0008】
電力コンバータ20は、多数の利益を発揮するが、既存の電力コンバータ20は、ポータブル電子装置10に不所望な性能上の制約も課する。一般的に知られている電力コンバータ20の特定の属性を、一般的に遭遇する制約の形式と共に以下に説明する。
一般的に知られている多くの電力コンバータ20は、特定のエネルギーソース12と、負荷装置14からの特定の負荷需要とに対して最適化される。電力コンバータ20は、エネルギーソース12及び/又は負荷装置14の電圧及び電流特性の変動を受け入れないか、又は非効率的にのみ受け入れる。例えば、ある形式の電力コンバータ20は、入力電圧VSより高い出力電圧VOUTを発生することができず、及び/又はそれらの効率は、入力電圧VSが必要な出力電圧VOUTにいかに接近しているかに関係している。更に、ある電力コンバータ20は、0.5ないし1.0Wのような中間電力レベルを発生することができない。更に、一般的に知られた電力コンバータ20は、狭い範囲の入力電圧、出力電圧及び電力容量内でしか動作しない設計である。
【0009】
更に、図2を参照して以下に説明するように、ある電力コンバータ20は、非効率的な電圧レギュレータを介してのみ、受け入れられるように調整された出力電圧VOUTを達成する。
他の例では、電力コンバータ20による電圧調整は、負荷装置14のニーズにとって不充分である。例えば、公称出力電圧VOUTは、入力電圧VSの変動、電力コンバータの温度変化、又は負荷装置14により引き出される出力電流の変動により変化し得る。又、たとえ出力電圧VOUTが受け入れられる公称出力レベルであっても、電力コンバータ20がその公称出力電圧VOUTの周りで不所望に振動することがある。この電圧リプルVRIPは、公称出力電圧VOUTの周りでの振動の範囲として定義され、負荷装置14の適切な動作を損ない又は排除することがある。
【0010】
それ故、既存の電力コンバータ20は、需要時に負荷装置に必要な電力を効率的に与えず、又、エネルギーソース及び負荷装置の変動に対して安定な出力電圧VOUTを与えるように調整もしない。
更に、既存の電力コンバータ20は、1ボルト未満の入力電圧VSのような低い入力電圧レベルで動作しない。既存の電力コンバータ20は、通常、1ボルトより一般的に高い負荷装置14の出力電圧需要に典型的に匹敵する動作バイアス電圧を必要とする。又、外部及び内部ソースにより、ある量のノイズが入力電圧VSに重畳される。入力電圧レベルVSが低いときには、このノイズが相対的に顕著なものとなり、電力コンバータ20の動作を低下し又は妨げる。
【0011】
1ボルトより高い入力電圧を必要とする1つの事柄は、他の点で望ましい単一セルのバッテリ又は別の電力ソースが、装置10のエネルギーソース12として不適当なことである。例えば、ある電気化学バッテリ又は別の電力ソースにより供給される公称電圧が、1ボルトより低いか、又はその蓄積電荷が減少するにつれて低下する電圧特性を有することがある。このようなバッテリは、著しい量のそしておそらくは大半の蓄積エネルギーを、1ボルト未満のレベルでしか回収できない。従って、ポータブル電子装置10におけるバッテリの使用寿命は、装置がバッテリからの1ボルト未満の入力電圧VSで動作できないことにより制限される。その結果、バッテリは、相当量の電荷即ち「寿命」がまだあるのに廃棄されてしまう。付加的なバッテリを装置10に組み込むことによって付加的な使用寿命を得る場合には、装置10のサイズ及び重量が増加する。
【0012】
それ故、多数の既存の電力コンバータは、1ボルト未満の入力電圧では動作しない(又は望ましく動作しない)。
更に、たとえ電力コンバータ20が、1ボルト未満の入力電圧VSで連続的に動作できても、電力コンバータ20を始動するには一般的に高い入力電圧レベル(即ち1ボルト以上)が要求される。即ち、コンバータは、始動段階には、連続動作に必要な電圧より高い入力電圧を必要とする(例えば、0.4V高い)。それ故、電力コンバータ20は、最小始動入力電圧に達すると、連続的に動作され、従って、エネルギーソース12から回収されるエネルギーの量を改善するように電力を消費しなければならない。
【0013】
始動段階のために、外部の始動回路(ショットキーダイオードのような)が、既存の電力コンバータ20にしばしば追加される。始動回路は、始動時に付加的な入力電圧要求を克服し、そして電力コンバータ20がその設計出力電圧に到達するに必要な時間を短縮する上で助けとなる。しかしながら、一般的に知られている始動回路は、通常、1ボルト未満の入力電圧で動作することができない。又、外部始動回路を使用しなければならないことは、電力コンバータ20を小型化する程度を制限する。更に、外部始動回路は、電力コンバータ20が始動状態にないときでも電力を消費する傾向があり、従って、電力コンバータ20の効率を低下する。
【0014】
それ故、既存の電力コンバータ20は、一般的に、1ボルト未満の入力電圧で始動することもできないし、1ボルトより高い入力電圧で効率的に始動を与えることもできない。
既存の電力コンバータ20に対する別の欠点は、サブ・ミクロンの集積回路に必要とされる出力電圧を効率的に供給できないことである。ポータブル電子装置10における集積回路設計は、動作電圧の低い回路に向かって移行している。例えば、サブ・ミクロン技術(0.5μm以下)をベースとする相補的金属酸化物半導体(CMOS)に対する現在の製造能力は、典型的に、3.0ないし3.3Vで動作する装置を提供する。このような集積回路の特徴サイズを減少するために計画されている技術開発は、この動作電圧の更なる低下を意味し、従って、これらの低い動作電圧を発生するための電源及び電力コンバータが開発されねばならない。
【0015】
例えば、マイクロプロセッサ設計におけるトレンドは、低い動作電圧で動作する電源の必要性及び効果を強調している。低いコストで機能性を高めるために、マイクロプロセッサの集積回路部品の特徴サイズが減少される。従って、1つのチップが、多数のチップ及び個別部品の回路を含むことができる。小さな特徴サイズは、マイクロプロセッサが、その機能を迅速に実行できるようにする。小さな特徴サイズでは、デジタルスイッチングをより迅速に行うことができる。スイッチ部品は、それらがスイッチされる割合に比例して熱を発生する傾向があるので、より高密度にパッケージされ且つより迅速にスイッチされる部品では、放熱がマイクロプロセッサの設計上の制約事項となる。又、スイッチング動作の増加は、各特徴部が高周波(RF)アンテナとして働き、その隣接特徴部に電磁干渉(EMI)を放射することを意味する。マイクロプロセッサの動作電圧を低下すると、特徴サイズの減少、スイッチングの増加及び放熱を受け入れる。更に、上述したように、特徴部により発生される熱は、通常、動作周波数に比例するが、この発生される熱は、動作電圧に二次方程式で関連し、即ち、動作電圧を半分に減少すると、発生される熱は、1/4になる。従って、低い動作電圧の傾向は、典型的なマイクロプロセッサが、1990年に5Vを使用し、1995年に3.3Vを使用し、1998年に1.8ないし2.4Vを使用し、2000年に1.2ないし2.4Vを使用し、そしてその後、1V未満の使用が予想されることにより明らかであろう。
【0016】
特徴サイズが小さくなるにつれて、各特徴部の電流搬送能力も減少される。従って、低い動作電圧は、この電流を減少して、特徴部がフェイルしないようにする。
更に、特徴部と特徴部との間の距離が減少され、従って、特徴部と特徴部との間の絶縁材料の量が減少される。その結果、低い動作電圧は、特徴部と特徴部との間の薄い絶縁材料を通してブレークダウンが生じてマイクロプロセッサの故障を招くのを回避する。
それ故、小型で且つ高速の集積回路及びマイクロプロセッサに要求される低い動作電圧に向けられた出力電圧VOUTを発生することのできる電力コンバータが強く要望される。より詳細には、この電力コンバータは、0.8ないし1.6Vの範囲の調整された出力電圧VOUTを効果的に発生できることが要望される。
【0017】
既存の電力コンバータ20に対する更に別の欠点は、それらがポータブル装置の所望の小型化レベルに適さず、そしてシリコン・オン・インスレータ(SOI)及びシリコン・オン・メタル(SOM)のような集積回路構造を考慮しても、埋め込み用途には適さないことである。ある場合には、集積回路製造に適合しない多数の個別外部部品が必要とされるので、小型化が不可能である。従って、これらの部品は、サイズ及び製造経費が完全な集積回路の場合より顕著であるプリント回路板(PCB)、ハイブリッド又はマルチチップモジュール(MCM)設計を必要とする。
更に、一般に知られている電力コンバータ20の効率は、更なる小型化に適さないような量の発熱を招くものである。
【0018】
それ故、既存の電力コンバータ20は、特に、負荷装置14と共に埋め込まれて集積回路として製造することができない。
従来の電力コンバータに対する更に別の欠点は、それらが、望ましからぬ量の電磁干渉(EMI)を放射し、それを負荷装置14の距離及び/又はシールドにより制御しなければならないことである。EMIは、電力コンバータ20に組み込まれたインダクタから生じるか、又は電力コンバータ20において回路の特徴サイズを減少した結果として生じる。小型部品を使用することにより個別部品のサイズを減少しようとするときには、エネルギー蓄積及び伝達能力も当然減少される。それ故、同じ量の電力を転送するには、高い動作周波数が必要となる。しかしながら、高い動作周波数は、ポータブル電子装置10に有害なEMIも生じさせる。更に、ポータブル電子装置10それ自体は、一般に、充分高い動作周波数では越えることのあるRF放射に関する連邦指令限界がある。
【0019】
それ故、電力コンバータ20は、負荷装置14へ発生する熱又は放射エネルギー(EMI)の量を好都合にも最小限にし、従って、同じ集積回路又はモジュールに埋め込むのに適したものとすることも望まれる。
上述した問題の多くは、多数の電圧レベルを必要とする装置において合成される。例えば、ポータブルワイヤレステレコミュニケーション装置は、必要に応じて異なる電圧で動作する処理、メモリ、送信及び表示機能を含む。これらの要素の多くは、満足に実行するためには電圧調整及び低いEMIを要求する。更に、バッテリの寿命を延長し、そして装置サイズを小さくすることも通常望まれる。
それ故、種々の既存の形式の電力コンバータ20は、上述した欠点の1つ以上に対処しそして業界及び市場のニーズを満足するのに適していない。従って、上述した種々の欠点に対処するように電力コンバータを改良することが望まれる。
【0020】
【発明の開示】
本発明は、負荷装置による需要があるときにエネルギーソースから電力を効率的に伝達する動的に制御され固有に調整される電力コンバータのための装置及び方法を提供することにより、公知技術の上記及び他の欠点を克服する。
特に、本発明の1つの特徴においては、動的なコントローラが、負荷キャパシタCL間に出力電圧VOUTを維持する割合で電荷をポンピングするように容量性電力出力段を動作する。より詳細には、動的なコントローラは、出力電圧VOUTが基準電圧VREFより下がったときにフライキャパシタCFを負荷キャパシタCLへと放電させる。それ故、負荷の需要に対応するレベルで動作すると、電力コンバータの効率が改善される。更に、出力電圧VOUTは、所定の電圧レベルを維持する割合で電荷が転送されるように固有に調整される。それ故、効率の悪い下流の電圧レギュレータが不要になる。
【0021】
本発明の別の特徴においては、動的なコントローラ及び容量性電力出力段に低制御スレッシュホールドスイッチを効果的に組み込むことにより、1ボルト未満の入力電圧VSで電力コンバータを動作することができる。
本発明の更に別の特徴においては、動的コントローラがオフであるときに始動キャパシタを充電する漸進的始動スイッチを使用することにより、放電状態から1ボルト未満の入力電圧で電力コンバータを動作することができる。充電されると、始動キャパシタは、次いで、出力段の電力スイッチを閉じ、動的コントローラが電力出力段の制御を執り行うに充分なほど負荷キャパシタCLが充電されるまで、その負荷キャパシタCLに電荷を供給する。
【0022】
本発明の更に別の特徴においては、電力コンバータは、入力電圧に対して増加又は減少された(昇圧又は降圧された)所定の出力電圧を供給する。この電力コンバータは、入力電圧や温度のようなファクタに不感な固有の調整で出力電圧を柔軟に供給し、例えば、0.8ないし1.6V、又はそれ以下の所定の低い出力電圧が効率的に供給されるようにする。
【0023】
本発明の更に別の特徴においては、一体的な電力コンバータは、効率的で且つ調整された電力変換を与え、従って、ほとんど熱を発生しない。特に、この一体的電力コンバータは、キャパシタンスのみで、インダクタをもたないことによりEMI放射が本来的に低い。更に、この一体的電力コンバータは、低い容量需要の間にゆっくりとスイッチングすることによりEMI放射を軽減する。インダクタがないことは、ある用途において、一体的な回路キャパシタを組み込むことで外部部品をもたないことにより、更に小型化することができる。このため、ある用途では、この一体的な電力コンバータは、負荷装置と共に集積回路に効果的に埋め込むことができる。更に、ある用途では、この一体的な電力コンバータは、低入力電圧及び/又は低出力電圧に対して構成される。
【0024】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のこれら及び他の目的並びに効果は、添付図面及びそれを参照した説明から明らかとなろう。
本明細書の一部分を形成する添付図面は、本発明の実施形態を示すもので、上述した本発明の一般的な説明、及び以下に述べる実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を例示する。
【0025】
電力変換
本発明の原理によるチャージポンプの動的制御の動作及び効果は、既存の電力コンバータにおける別の電力変換技術を考慮することにより最も良く理解されよう。
例えば、リニアレギュレータは、既存の電力コンバータの一形式である。リニアレギュレータの効率は、入力電圧VSと出力電圧VOUTとの比に直接比例する。従って、入力電圧VSが、必要な出力電圧VOUTの2倍であると、エネルギーソース12からの電力の約半分が電力コンバータ20により非効率的に消費される。効率が低く、その結果、熱を発生するために、リニアレギュレータは、ヒートシンクを必要とし、これは、PCMCIA仕様標準に合致するもののような低背型パッケージへの一体化をしばしば複雑にし、又は妨げる。更に、リニアレギュレータは、入力電圧VSを昇圧できず、従って、ある用途には適していない。例えば、補聴器のような小型のポータブル電子装置10は、0.8ないし1.4Vの電圧を発生する低廉な単一セルのアルカリバッテリから利益が得られる。しかしながら、負荷装置14、この場合は、補聴器の電子回路は、3.0Vを必要とする。リニアレギュレータは、このような用途には適していない。
【0026】
インダクタベースの電力コンバータ及びキャパシタンスのみ(チャージポンプ)の電力コンバータは、各々、入力電圧VSを昇圧又は降圧することができる。このような設計は、一般に、1.5ないし3.3Vの入力電圧VSを必要とし、そして1.8ないし5.0Vの出力電圧VOUTを発生し、供給電流は、10ないし200mA連続である。これらの設計では、1ボルト未満の入力電圧又は出力電圧は、一般に不可能である。更に、多数の電力コンバータ20を並列に配置して、それらの各出力を合成し、従って、その合成により消費される電力が増加するという解決策による以外、200ないし500mWの範囲の出力電力も一般には得られない。
【0027】
インダクタベースの電力コンバータは、通常、低電力用途(例えば200mWまで)の場合に、キャパシタンスのみのチャージポンプ電力コンバータを越えて選択される。というのは、チャージポンプ設計に比して比較的効率が良いからである。又、チャージポンプの場合より、所望の出力電圧VOUTも達成し易い。より詳細には、出力電圧VOUTは、インダクタのインダクタンス値に電流の導関数(di/dt)を乗算したものに比例する。従って、入力における高い動作周波数及び/又は高い電流レベルは、一般に、得られる出力電圧に直接的に影響しない。しかしながら、インダクタベースの電力コンバータは、一般に、インダクタに対して非リニアなフェライトコイル又はフェライトビードを必要とすると共に、外部抵抗及びキャパシタも必要とする。従って、インダクタベースの電力コンバータは、更に小型化することが容易でない。又、インダクタは、不所望なEMIを発生する「ノイズ性」部品でもある。
【0028】
図2を参照すれば、発振器制御の電力コンバータ20(又は「オープンループのチャージポンプ」)及び下流の電圧レギュレータ22を組み込んだ1つの一般的に知られているキャパシタンスのみの電源16が示されている。バッテリのようなエネルギーソース12が、説明上、電源16の一部分として示されている。このような設計は、一体化の問題や、インダクタを使用するEMIの問題を回避するという効果を有する。
【0029】
オープンループの制御とは、発振器制御の電力コンバータ20が、その出力の調整を助けるのにフィードバックを効果的に使用しないことを示す。これに対して、動的(又は閉ループ)制御は、一般に、改良された制御が必要とされるときに使用される。例えば、時間による調理は、オープンループの制御方法であり、調理不足又は調理し過ぎを回避するために周期的なチェックを必要とする。従って、温度プローブを伴う調理は、動的な閉ループ制御の一例であり、食品の重量や調理エネルギー(例えば、オーブンの熱又はマイクロ波エネルギー)が変化しても食品が所望の温度に到達することを保証する。
【0030】
しかしながら、オープンループのチャージポンプ20は、非効率的であり、多数のチャージポンプを並列に加えて所望の出力電流を得るようにしない限り、200mA以上の出力電流を発生しない。従って、増加した電流を与えることはできるが、非効率的である。多数のチャージポンプをカスケード接続するこの必要性により、電力スイッチM1ないしM4が使用され、これらは、オンになったときに直列抵抗(寄生抵抗)として働く。高い入力電流レベルでは、それにより生じる寄生抵抗が動作効率を非常に悪くする。というのは、回路により消費される電力が、入力電流の自乗にスイッチの寄生抵抗を乗算する関数だからである。従って、一般的に得られる効率は、30ないし90%の範囲であり、チャージポンプがその指定の最大容量で動作して負荷装置による最大需要に応じるときに、高い効率が達成される。低い需要レベルでは、チャージポンプは、状態と状態との間を不必要にスイッチングするときに更に電力ロスをこうむる。
【0031】
更に、発振器ベースの電力コンバータ20の別の欠点は、そのほとんどが約3個の外部キャパシタを必要とし、回路の一体化及び小型化を妨げることである。
図2の電力コンバータ20(又は「オープンループチャージポンプ」)は、出力段24及び発振器コントローラ26を備えている。このオープンループチャージポンプ20の基礎となる基本的な原理は、出力段24が、発振器コントローラ26に応答して、充電段階と、放電(即ちポンピング)段階との間で交番することである。これらの段階間をスイッチングするタイミングは、通常、負荷装置に予想されるピーク需要に基づいて予め決定される。
【0032】
電力出力段24の形式は、反転及び非反転形態と、電荷を移送及び蓄積するための種々の数の容量性部品を伴う形態とを含む。非反転出力段24は、図2において、スイッチマトリクス28、1つのフライキャパシタCF、及び1つの負荷(又は蓄積)キャパシタCLと共に示されている。スイッチマトリクス28は、集積回路でよいが、一般的に知られたフライ及び負荷キャパシタCF、CLは、個別部品である。スイッチマトリクス28は、発振器コントローラ26に応答して、エネルギーシース12、フライキャパシタCF、及び負荷キャパシタCLを充電構成及び放電構成へと接続する。
【0033】
より詳細には、スイッチマトリクス28は、4つの電力スイッチM1ないしM4を含む。第1の電力スイッチM1は、発振器コントローラ26からの充電スイッチ信号S1に応答して閉じ、エネルギーソース12の正の端子30(入力電圧VS)をフライキャパシタCFの第1端子31に電気的に接続する。第2の電力スイッチM2は、発振器コントローラ26からの放電スイッチ信号S2に応答して閉じ、フライキャパシタCFの第1端子31を負荷キャパシタCLの第1端子32(VINT)に電気的に接続する。第3の電力スイッチM3は、充電スイッチ信号S1に応答して閉じ、エネルギーソース12の基準端子33をフライキャパシタCFの第2端子34に電気的に接続する。第4の電力スイッチM4は、放電スイッチ信号S2に応答して閉じ、フライキャパシタCFの第2端子34をエネルギーソース12の正の端子30に電気的に接続する。
【0034】
動作中に、発振器コントローラ26は、充電スイッチ信号S1をターンオンして、第1及び第3の電力スイッチM1、M3を閉じる一方、放電スイッチ信号S2をターンオフして、第2及び第4の電力スイッチM2、M4を開く。従って、負荷キャパシタCLは、未調整の出力電圧(又は中間電圧VINT)を与え、そしてフライキャパシタCF及びエネルギーソース12から電気的に切り離される。又、フライキャパシタCFは、エネルギーソース12と電気的に並列に配置され、従って、エネルギーソース12の入力電圧VS以下であるフライキャパシタ電圧まで充電される。フライキャパシタCFへ移送される電荷の量は、フライキャパシタCFが完全に放電したかどうか、発振器コントローラ26がフライキャパシタCFを充電構成に放置する時間長さ、フライキャパシタCFの電気的特性、及び入力電圧VSを含む多数のファクタに依存する。簡単化のために、フライキャパシタCFは、完全充電に到達し、従って、フライキャパシタの電圧VFが充電段階の終わりにVSに等しくなったと仮定する。
【0035】
発振器コントローラ26は、次いで、充電スイッチ信号S1をターンオフして、第1及び第3の電力スイッチM1、M3を開き、そして放電スイッチ信号S2をターンオンして、第2及び第4の電力スイッチM2、M4を閉じることにより、所定の時間に放電構成へとスイッチする。従って、フライキャパシタCFを、エネルギーソース12と加算的な電気的直列状態に配置することにより、フライキャパシタ電圧VF(ここでは、VSであると仮定する)がエネルギーソース12の入力電圧VSに加えられる。その組合体は、負荷キャパシタCL間に電気的接続される。従って、放電段階中に、負荷キャパシタCLの第1端子31における中間電圧VINTは、入力電圧VSのほぼ2倍に近づくように充電される。
【0036】
この場合も、負荷キャパシタCLへ移送される電荷の量は、放電段階の所定の時間巾、負荷キャパシタCLの電気的特性、放電段階の始めのフライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLにおける電荷の量、入力電圧VS、及びVOUTにおいて負荷装置14により負荷キャパシタCLから引き出される電力量のような多数のファクタに依存する。
【0037】
従って、実際の中間電圧VINTは、通常、各フライキャパシタCFの入力電圧VSの1.6ないし1.9倍である。相当の増加を得るには、多数のフライキャパシタCFが必要となり、充電段階中には各フライキャパシタがエネルギーソース12と電気的に並列に接続され、そして放電段階中には全フライキャパシタがエネルギーソースと電気的に直列に接続される。従って、それにより得られる中間電圧VINTは、不都合にも、入力電圧VS及びフライキャパシタCFの数で決定されるある範囲に制限される。
【0038】
下流の電圧レギュレータ22は、発振器ベースの電力コンバータ20からの未調整の中間電圧VINTを、所望の調整された出力電圧VOUTへと制限し、通常は、降圧するために必要とされる。
通常、電圧レギュレータ22は、未調整の中間電圧VINTを、電圧基準回路38からの基準電圧VREFと比較して、出力VOUTを決定する。電圧レギュレータ22は、発振器制御の電圧コンバータ20と一体的ではなく、その電圧コンバータ20とは機能的に個別で且つそれに続くものであるという点で下流にある。
【0039】
従って、キャパシタンスのみの電源16は、スイッチマトリクス28のスイッチングによる電気エネルギー、常時動作する発振器コントローラ26、及び電圧レギュレータ22により消費される電力を消費する。電圧レギュレータ22による電力消費は、公知のキャパシタのみの電源16を使用して、入力電圧VSに対して出力電圧VOUTを降圧(減少)するときには、特に欠点となる。発振器ベースの電力コンバータ20は、入力電圧VSを昇圧するだけである。従って、電圧レギュレータ22は、中間電圧VINTを降圧するときに、より多くの電力を消費する。
【0040】
電力コンバータにおける動的制御
上述した既存の電力コンバータ20を参照して、本発明の一実施形態を以下に説明する。図3には、本発明の1つの特徴による電力コンバータ40がブロック図の形態で示されており、エネルギーソース12から、出力端子42、43間の出力電圧VOUTに接続された負荷装置14への電力転送の動的制御について説明する。電力コンバータ40は、入力電圧VS、並びに電力コンバータ40の転送及び蓄積特性に変動があっても、負荷装置14からの需要に適応するという点で動的に制御される。
【0041】
電力コンバータ40は、転送される電荷の量が需要に対応するだけでなく、出力電圧VOUTを許容範囲内に保つように電荷転送の割合を制御するという点で、固有に電圧調整される。これは、一般に、許容電圧リプルVRIP内に保つと称される。従って、調整は、その後の段階では実行されず、図2を参照して述べたような典型的な個別の電圧レギュレータ22の複雑さ及び消費電力の追加が排除される。
電力コンバータ40は、負荷装置14へ電荷を転送する電力出力段44と、この電力出力段44に接続され、適当な量の電荷の転送を応答的に指令するための電力コントローラ46とを備えている。
【0042】
1つの実施形態では、電力出力段44は、出力端子42、43間に負荷キャパシタCLを組み込んだ容量性のチャージポンプである。負荷キャパシタCLは、電荷を蓄積し、そしてその蓄積された電荷に関連して出力電圧VOUTを発生する。又、電力出力段44は、エネルギーソース12から負荷キャパシタCLへ電荷を転送するためのフライキャパシタCFも組み込んでいる。負荷キャパシタCL及びフライキャパシタCF用のキャパシタは、電力コンバータ40の消費電力が低くなるように、内部抵抗の小さなものが選択されるのが好都合である。電力出力段44は、フライキャパシタCF、負荷キャパシタCL及びエネルギーソース12に接続されたスイッチマトリクス48を備え、これは、チャージポンプと同様に、電力出力段44を充電段階と放電(又はポンピング)段階との間に構成する。より詳細には、充電段階中に、スイッチマトリクス48は、フライキャパシタCFをエネルギーソース12と電気的に並列に接続し、フライキャパシタCFを充電する。又、充電段階中に、負荷キャパシタCLは、負荷装置14に電力を供給し、エネルギーソース12及びフライキャパシタCFから電気的に減結合される。
【0043】
放電段階中に、スイッチマトリクス48は、エネルギーソース12及びフライキャパシタCFの「蓄積された」電圧を、上述したように、負荷キャパシタCLと電気的に直列に入れて放電するように構成される。従って、電力出力段44は、負荷キャパシタをエネルギーソース12の入力電圧VSより高い出力電圧VOUTへと充電することができる。
【0044】
ある用途では、電力出力段44は、図3に示したものと同じ構成で、入力電圧VSを降圧(減少)できることが明らかである。スイッチマトリクス48は、フライキャパシタ電圧VFを伴うフライキャパシタCFのみが放電段階中に負荷キャパシタCL間に接続されるようにスイッチできる。通常、フライキャパシタCFは、負荷キャパシタよりも蓄積容量が小さい。従って、特に、以下に詳細に述べる動的制御が与えられると、各放電段階だけで負荷キャパシタを過充電するのは不充分である。これに対して、従来の電力コンバータ20は、フライキャパシタCF及びエネルギーソース12を放電段階中に直列に接続するよう構成することにより出力電圧を昇圧するように前もって構成される。放電段階中にフライキャパシタCFのみを接続して降圧するように前もって構成を変更すると、動的なコントローラ50が所望の出力電圧VOUTを得るように必要に応じて再構成できるという柔軟性を得ることができない。
【0045】
それ故、電力コンバータ40は、入力電圧を降圧できると共に、入力電圧を昇圧(増加)できるので、図2の発振器制御の電力コンバータ20について上述した非効率的な下流の電圧レギュレータ22は、必要とされない。
加えて、電力出力段44は、出力電圧が入力電圧VSに対して逆の代数符号を有するかどうかに関して反転でも非反転でもよい。例えば、2.2Vの入力電圧VSは、−1.6Vの出力電圧VOUTへと変換されてもよい。一般的に、非反転の実施形態を以下に明確に示すが、当業者であれば、ここでの開示の利益が分かれば、反転型の電力コンバータ40への適用も理解できよう。
【0046】
多ループ電力コントローラ46は、動的なコントローラ50と、電圧基準回路52と、電力出力段44を効果的に制御するための環境コントローラ64とを備えている。第1制御ループ56は、出力端子42から動的なコントローラ50へフィードバックとして与えられる出力電圧VOUTにより形成される。動的なコントローラ50は、出力電圧VOUTが所定値VREFより低いのに応答してエネルギーソース12から負荷キャパシタCLへ付加的な電荷を転送するようにスイッチマトリクス48に指令する。動的なコントローラ50は、VOUTが電圧基準回路52からの基準電圧VREFに比して所定値より低いかどうかの決定を行う。1つの適当なVREFは、電圧基準回路52を簡単化するに充分なほど電圧安定であれば(例えば、リチウムバッテリは電圧安定である)、エネルギーソース12によって与えることができる。従って、電圧基準回路52は、所望の基準電圧Vを得るように入力電圧VSの電圧分割器又は乗算器によって形成することができる。
【0047】
本発明のある用途については、調整された出力電圧VOUTを得るように電力コンバータ40の電力転送を動的に制御するのに、第1制御ループ56だけで充分である。
第1制御ループ56に加えて、多ループ電力コントローラ46は、第2制御ループ58も含むことができる。この第2制御ループ58では、フライキャパシタCFの電荷が、動的コントローラ50によりフライキャパシタ電圧VFとして感知される。従って、需要時のフライキャパシタCFの放電は、フライキャパシタCFが最初に約80%の最適な充電状態に到達する際に予想することができる。最適な充電状態が存在するのは、フライキャパシタCFが充電不足であると、不必要なスイッチングロスが発生し、そしてフライキャパシタCFが過充電であると、電力転送レートを不必要に制限するからである。
【0048】
不必要なスイッチングロスに関しては、スイッチマトリクス48の動的な制御は、第1制御ループについて述べたように、より多くの電荷が必要となるまで(即ちVOUTがVREFより低下するまで)放電段階に留まることにより、一部分効率を達成する。これに対して、発振器ベースのチャージポンプ20は、必要でないときでも一定の割合でスイッチングされる。スイッチマトリクス48の動的制御における付加的な効率は、フライキャパシタCFが相当量の電荷を得るに充分な時間にわたり充電段階に留まることにより、実現される。例えば、完全充電の80%ではなく40%に充電することは、同じ電力を転送するのに動作周波数が2倍になることを必要とする。電力スイッチM1ないしM4は、この高い動作周波数に関して電力を消費する。従って、第2制御ループ58は、フライキャパシタCFの電圧レベルを感知して、充電段階中の充電不足を回避し、ひいては、不必要なスイッチングロスを回避する。
【0049】
フライキャパシタCFの電荷を最適化することは、過充電を回避することも含む。キャパシタは、時間の関数としての充電率により特徴付けられる。より詳細には、キャパシタが完全充電状態に近づくと、付加的な電荷を受け入れる割合が減少する。従って、キャパシタが獲得する初期の電荷量は、その後同じ量の電荷を獲得する時間より短い。例えば、同じ量の電荷がフライキャパシタCFにより受け入れられるとしても、フライキャパシタCFを90%に一度充電する時間よりも、フライキャパシタCFを45%に二度充電する時間の方が短い。従って、フライキャパシタCFの最適な充電レベルを得るに必要な以上の時間周期にわたってスイッチマトリクス48を充電段階に放置すると、より多くの電力を転送する機会を失う。
【0050】
最適な充電レベルは、当業者に明らかなように、実験及び/又は分析で決定できることが明らかであろう。
上述した1つ以上の他の制御ループ56、58との組み合わせにおいて、電力コンバータ40は順方向制御ループ60を含むのが好都合であり、これにより、エネルギーソース12の1つ以上のパラメータが動的コントローラ50に与えられる。順方向制御ループ60の1つの使い方は、エネルギーソース12において非安全状態又は性能制限状態が感知されることにより電力コンバータ40をディスエイブルし(即ち出力端子42、43への出力電流を遮断し)及び/又はバイパスする(即ちエネルギーソース12を出力端子42、43に直接接続する)ことを含む。例えば、低い入力電圧は、電力コンバータ40の連続動作を保証するには不充分な電荷しかエネルギーソース12に残っていないことを指示する。別の例として、エネルギーソース12から引き出される電流は、持続動作のためには高過ぎることがある。従って、制御ループ60に基づいて出力端子42、43への出力電流を遮断するために、電力コンバータ40に保護回路が含まれる。
【0051】
更に別の例として、負荷装置14による大きな需要が、出力端子42、43へのエネルギーソース12の直接接続と並列に、電力コンバータ40の継続動作を保証することができる。これは、入力電圧VS及び所望の出力電圧VOUTがほぼ同じであるときに特に言えることである。出力端子42、43へ電流を供給する2つの経路をもたせることにより、高い出力電流ILを得ることができる。
更に別の例として、フライキャパシタの電圧VF(第2制御ループ58)及び入力電圧VS(順方向制御ループ60)は、電力コンバータ40が放電されそして始動状態にあることを指示する。この始動状態は、急速な漸次始動回路の使用を好都合にも保証し、その一例を以下に述べる。
【0052】
他の制御ループ56、58及び60の1つとの組み合わせにおいて、電力コントローラ46は、環境コントローラ64により表わされた適応制御ループ62を更に備えている。環境コントローラ64は、制御パラメータ66を感知し、そして出力電圧VOUTに対する所定値を変更するためにコマンド68を動的コントローラ50へ与える。例えば、環境コントローラ64は、動的コントローラ50が不安定になったことを感知し、そしてそれに応答して、動的コントローラ50を安定出力状態に駆動する信号を発生することができる。より詳細には、環境コントローラ64は、電力コンバータ40の不安定な動作状態、例えば、各々一定値に近づきつつある瞬時出力電圧及び電流を感知するように構成される。次いで、環境コントローラ64は、電力コンバータ40を安定な動作状態に駆動するように所定値を調整することができる。更に、所定値のこのような変更は、動的コントローラ50を安定な初期状態にリセットすることを含む。
【0053】
別の例として、適応制御ループ62は、環境コントローラ64へ入力される制御信号SCを含み、これにより、動的コントローラ50は、負荷装置14(例えば、CPU、揮発性メモリ、アナログ/デジタルコンバータ、デジタル/アナログコンバータ)における変化又は他のパラメータに応答することができる。負荷装置14は、好都合にも、電力コンバータ40からの調整された出力電圧VOUTで良好に動作することができる。別の例として、出力制御信号SCは、例えば、所望の反転又は非反転モード又は所定の出力電圧VOUTを選択するための再構成制御信号でもよい。更に別の例として、負荷装置14へのダメージを防ぐために、SCコマンドにより保護機能(例えば、出力電圧をバイパスし、ディスエイブルし又は変更する)が指示されてもよい。例えば、負荷装置14は、大電流状態で故障することがあり、従って、そのような発生を防ぐために限界が課せられてもよい。
【0054】
本発明において使用されるスイッチマトリクス48の形式に基づき、スイッチ信号S1、S2及びS3ないしSNで示されたように、スイッチマトリクス48に対して動的コントローラ50により種々の制御信号が発生され、これらについて以下に詳細に説明する。
フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLは、電荷蓄積及び転送部品を例示するものであり、個別キャパシタ又は集積回路キャパシタアレーを表わすことが理解されよう。
【0055】
更に、動的コントローラ50の融通性により、フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLは、種々のレベルの蓄積容量を含んでもよく、例えば、小さなキャパシタ(例えば、セラミック、チップ厚膜、タンタル、ポリマー)及び大きなキャパシタ(例えば、ウルトラキャパシタ、擬似キャパシタ、二重層キャパシタ)を含んでもよい。キャパシタンスの大きさは、蓄積容量の大きさを表わす。従って、同じ量のエネルギー転送を与えるのに、少量の電荷を小さなフライキャパシタCFから高い動作周波数で転送するか、又は多量の電荷をゆっくりと転送することが必要となる。従って、電力コンバータ40は、図5を参照して詳細に述べるように、同じ動的コントローラ50が種々の電力出力段44を制御できるという点で融通性がある。より詳細には、公知の発振器制御の電力コンバータ20とは異なり、動的コントローラ50は、以下に述べるように、ウルトラキャパシタを組み込んだ電力出力段44に適した低い動作周波数範囲で動作することができる。
【0056】
エネルギーソース12は、1つ以上の電気化学的セル(例えば、バッテリ)、光電池、直流(DC)ジェネレータ(例えば、再充電式バッテリと組み合わされて運動付勢型ジェネレータにより充電される腕時計)、及び他の適用可能な電源のような種々の電荷蓄積又は発生装置を含むことが更に理解されよう。
別の例として、本発明による電力コンバータ40は、他の電源により付勢される電子装置に効果的に使用することができる。例えば、標準的な交流(AC)壁プラグから電力を受ける装置は、一般に、AC電力を、装置の電子部分のための直流(DC)電力に変換する。このように与えられるDC電力は、更に調節及び調整しないと、電子回路全体又は一部分に適さない。例えば、マイクロプロセッサは、2.2Vで動作し、一方、入力/出力電子回路は、5Vで動作する。従って、本発明による電力コンバータ40は、マイクロプロセッサへの入力電圧を降圧するように使用できる。
【0057】
容量性チャージポンプ出力段
図4には、図3に電力コンバータ40として示された本発明の実施形態に対する1つの適当なチャージポンプ電力出力段44が示されている。この電力出力段44は、反転及び非反転の両方であるように構成できる。DCソースのようなエネルギーソース12及び適当なフライキャパシタCFを、図2を参照して述べたように、負荷キャパシタCLに対して充電段階と放電段階との間でスイッチングするために、4つのスイッチM1、M2、M3、M4が使用される。より詳細には、スイッチM1及びM3は、スイッチ信号S1に応答して閉じ、従って、M1は、エネルギーソース12の正の端子30(入力電圧VS)をフライキャパシタCFの第1端子31に接続し、そしてM3は、フライキャパシタCFの第2端子34を接地接続する。スイッチM2及びM4は、充電段階中にはオープンである。
【0058】
放電段階中には、スイッチ信号S1が除去されて、スイッチM1及びM3が開く。次いで、スイッチM2及びM4がスイッチ信号S2に応答して閉じることにより、エネルギーソース12の入力電圧VS及びフライキャパシタCFが直列構成に入れられる。従って、フライキャパシタCFの第1端子31は、スイッチM2を経て負荷キャパシタCLに接続することができ、そしてキャパシタCFの第2端子34は、スイッチM4を経てエネルギーソース12の正の端子30(VS)に接続される。
【0059】
再構成スイッチ信号S3及びS4は、電力出力段44が反転又は非反転モードで動作できるようにフライキャパシタCF及びエネルギーソース12の直列結合体を負荷キャパシタCLにまたがってどんな方向に配置するか制御する。非反転モードとは、出力電圧VOUTが正の出力端子42(VOUT +)に発生されそして負の出力端子43(VOUT −)が一般的に接地基準とすることを意味する。反転モードとは、出力電圧VOUTが負の出力端子43(VOUT −)に発生されそしてエネルギーソース12の入力電圧VSとは逆の代数符号であることを意味する。このとき、正の出力端子42(VOUT +)は、一般的に接地基準である。負荷キャパシタCLの(正極性)第1端子32は、正の出力端子42(VOUT +)に電気的に接続される。負荷キャパシタCLの(負極性)第2端子35は、負の出力端子43(VOUT −)に電気的に接続される。
【0060】
非反転モードは、信号S3で再構成スイッチM5及びM8を閉じ、そして信号S4で再構成スイッチM6及びM7を開くことにより、電力出力段44で実行される。スイッチM5又はM8のいずれかがスイッチM6又はM7のいずれかと同時に閉じるのを防止し、それにより、負荷キャパシタCLを偶発的に短絡するのを防止するために、信号S3及びS4のコマンドの重畳が回避される。従って、非反転モードでは、負荷キャパシタの(正極性)第1端子32が、スイッチM5の閉成により、スイッチM2を経てフライキャパシタCFの第1端子31に接続される。負荷キャパシタCLの(負極性)第2端子35は、スイッチM8の閉成により接地基準とされる。
【0061】
反転モードは、信号S3で再構成スイッチM5及びM8を開きそして信号S4で再構成スイッチM6及びM7を閉じることにより、電力出力段44で実行される。従って、負荷キャパシタCLは、上述したように出力端子42、43に接続されるのに加えて、スイッチM7の閉成によりその第1端子32が接地基準となり、従って、正の出力端子42(VOUT +)が接地基準となる。負荷キャパシタCLの第2端子35は、スイッチM8の閉成により、スイッチM2を経てフライキャパシタCFの第1端子31に接続される。
【0062】
電力出力段44を再構成すると、1つの回路が、同じ出力端子42、43に非反転又は反転の両出力電圧を選択的に付与できることを理解されたい。従って、再構成可能な電力出力段44をベースとする完全一体化リニア電源は、78XX(非反転)及び79XX(反転)の両マイクロチップ(例えば、TO−220、TO−3、SO8−TSOP−8、SOT23、SOT223等の形式のパッケージに収容された)を1つのマイクロチップのみと置き換えることができる。2つの形式のデバイスを1つのデバイスに置き換えることは、好都合にも、より経済的な製造を行えると共に、在庫管理を簡単化する。
【0063】
更に、電力コンバータ40の環境コントローラ64は、外部パラメータSC又は内部パラメータ66に基づいて、反転又は非反転の適当なモードに対して電力出力段44を自動的に構成することができる。従って、所望のモードに容易に構成される電力コントローラ46を組み込むことにより、設計プロセス中又は動作中にポータブル電子装置10に対して更なる融通性が与えられる。例えば、電力出力段44を制御する電力コントローラ46は、個別部品の負荷キャパシタCLの極性のような感知されたパラメータに応答して、構成スイッチM5−M8の操作を開始することができる。或いは又、再構成可能なスイッチM5−M8が、外部で閉じることのできるマイクロチップのピンを含んでもよい。
【0064】
本発明に適合する他の種々の電力出力段44を使用できることも更に理解されたい。例えば、2つ以上のフライキャパシタCFが各々エネルギーソース12と並列に充電され、そしてより大きな電圧昇圧能力を得るように直列に加算的に配置されてもよい。更に、電力コンバータ40は、反転及び非反転のハイブリッド構成を備えてもよく、この場合に、電力コンバータ40の一部分は、動的に制御され固有に電圧調整された正の出力電圧を、接地基準で、正の出力端子42に与える。同時に、電力コンバータ40の別の部分は、動的に制御され固有に電圧調整された負の出力電圧を、接地基準で、負の出力端子43に与える。
【0065】
本発明に適合する別のスイッチマトリクス48は、非反転又は反転のいずれかの形態で出力電圧VOUTを再構成可能に降圧できることを理解されたい。例えば、入力電圧VSに対して出力電圧VOUTを降圧(減少)するときには、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCL間に接続される。従って、電圧を降圧するように構成された電力コンバータ40は、充電段階にあるか放電段階にあるかに関わらず、フライキャパシタCFの第2端子34を永久的に接地接続してもよいし、又はスイッチM3を閉じそしてスイッチM4を開いた状態に保持することにより再構成されてもよい。従って、充電段階中には、フライキャパシタCFがエネルギーソース12にまたがって電気的に接続されて充電される。放電段階中には、フライキャパシタCFのみが(即ちエネルギーソース12を伴わずに)負荷キャパシタCLにまたがって電気的に接続される。
【0066】
付加的な例として、他の変更では、出力電圧VOUTの大きさが入力電圧の大きさVSより小さいときに、入力電圧VSを反転することが許される(0>VOUT>−VS)。図4に示すように負荷キャパシタCLをスイッチングするのではなく、負荷キャパシタCLは、その第1端子32が電気的に接地されると共に、正の出力端子VOUT +42にも電気的に接続される。負荷キャパシタCLの第2端子35は、負の出力端子VOUT −43に電気的に接続される。充電段階中に、フライキャパシタCFは、上述したようにエネルギーソース12にまたがって充電される。放電段階中には、上述したように、非反転の降圧構成として、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCLにまたがって接続される。正の出力端子VOUT +42は、電気的に接地されるので、負の出力端子VOUT −43が動的に制御される。
【0067】
動的に制御されるチャージポンプの分析
図5には、図3の電力コンバータに使用するためのチャージポンプ電力出力段44(又は「チャージポンプ」)の一実施形態が示されている。この電力出力段44は、図2の発振器制御の電力コンバータ20について上述したように充電及び放電(即ちポンピング)の2つの段階で動作される。電力出力段44は、入力電圧VSを発生するエネルギーソース12と、電流負荷ILを受け入れる負荷装置14との間に接続される。図2とは異なり、電圧レギュレータ22は示されていない。電力出力段44は、図2について上述したように、負荷キャパシタCL、フライキャパシタCF、及び4つの電力スイッチM1−M4で構成される。本発明の1つの特徴に基づいてチャージポンプを動的に制御することの効果を示すために、以下の分析展開では、電力出力段44がいかに効率的にスイッチされるかを説明する。電力コントローラ46は、チャージポンプの動作を充電及び放電の2つの段階に分割する。従って、「充電」及び「放電」という語は、フライキャパシタCFを指す。充電段階中には、入力電圧VSがフライキャパシタCFを充電し、そして負荷キャパシタCLが負荷に電力を供給する。放電段階中には、フライキャパシタCFから負荷及び負荷キャパシタCLの両方へ電荷が流れる。従って、「充電」及び「放電」という語は、フライキャパシタCFを指す。2つのパラメータが、チャージポンプの動作に影響を及ぼす。
1.ε:フライキャパシタCFが充電されるところの入力電圧VSの一部分で、0<ε<VS。
2.TDIS:出力電圧VOUTをブーストするためにフライキャパシタCFが放電される最小時間長さ。
【0068】
最大負荷電流ILを供給するために満足しなければならない電力出力段44の境界条件が図6に示されている。出力電圧VOUTは、フライキャパシタCFが充電段階中に充電されるときに低下する。それに続く放電段階の終わりに、負荷電圧VOUTを基準電圧VREFへ戻すように増加するために充分な電荷が転送されねばならない。
この分析のために、電力スイッチM1−M4及び蓄積キャパシタCF、CLは、入力電圧VSがいかに低いか又は負荷装置14が存在するかどうかに関わらず、時間(t)=0において初期放電状態(即ちVOUT=0、VF=0)から動作すると仮定する。更に、この分析は、充電状態が負荷キャパシタCL及びフライキャパシタCFの両方に対し各々監視されるような第1及び第2の制御ループ56、58の実施を仮定する。更に、負荷キャパシタCL間の負荷電圧VLは、出力電圧VOUTと交換可能に使用される。
【0069】
始動中、電力出力段44は、負荷キャパシタCLに充電される出力電圧VOUTが所定値(所望出力電圧)又は電圧基準VREFより上昇するまで、多数の充電−放電段階を経て進む。CLが完全に充電された(即ちVOUT>VREF)後に、電力出力段44は、負荷が与えられるまで放電状態に留まり、図6の最も左部分に示すように、出力電圧VOUTを基準電圧VREFより低下させる(VOUT<VREF)。時間(t)=0に充電段階が開始される前にデッドタイム遅延TDELが生じる。フライキャパシタCFは、その電圧VFが時間(t)=aに入力電圧の一部分εVSに到達するまで充電される。CFが充電された後に、電力出力段44は、時間(t)=bで始まりそして時間(t)=cで終わるTDISにより与えられる最小時間周期にわたって放電段階に戻る。この最小時間TDISは、フライキャパシタCFが放電するに充分な時間を与える。この最小放電時間の後、電力出力段44は、VOUT>VREFの間、放電段階に留まる。この分析は、最大電力容量状態を示すので、VOUTは、時間(t)=cにおいてVREFのすぐ下である。従って、放電段階中に基準電圧VREFを越えることはなく、充電段階/放電段階が再び実行される。
【0070】
時間(t)=aと、時間(t)=bとの間のデッドタイム遅延TDELは、瞬間的な短絡の可能性を排除するためにスイッチM1−M4が全て開いた状態で充電段階と放電段階との間に生じる(即ち、トランスコンダクタンスを軽減するための介在遅延)。例えば、スイッチM1及びM2が同時に閉じた場合には、エネルギーソース12の正の端子30が正の出力端子42へ短絡される。スイッチM1及びM4が同時に閉じた場合には、フライキャパシタCFが短絡し、性能を低下すると共に、おそらく、発熱によりダメージを生じさせる。
【0071】
この分析は、スイッチマトリクスを最適な割合でスイッチする機会が存在することを示す。先ず、出力電圧VOUTが、最小放電時間TDISの後に基準電圧VREFを越えた場合には、放電段階に留まる機会が存在する。充電段階へ不必要に(従って非効率的に)スイッチングして戻ることは、適宜遅延される。同様に、フライキャパシタCFが充電されるときを感知することも、充電時間TCHGが短過ぎることによる不必要なスイッチングを回避し、又は充電時間TCHGが長過ぎるときに多くの電荷を転送する機会を失うのを回避する。
【0072】
エネルギーソース12としてバッテリを使用する用途では、本発明の電力出力段44は、バッテリの効率を最大にしながらバッテリの寿命にわたり多数の性能上の制約を満足することができる。効率を高めると、バッテリの使用寿命が延びる。性能上の制約は、許容出力電圧リプルVRIPの限界を越えずに供給できるピーク出力負荷電流ILの最小値を含む。出力電圧リプルVRIPは、出力電圧VOUTの変動の範囲である。オーディオの用途では、ノイズを最小にするために、動作周波数(即ち、充電段階と放電段階との間を繰り返す割合)の最大許容値も必要とされる。動作周波数が高過ぎる場合には、電力出力段44により消費される電荷が、チャージポンプの効率を低下させる。幾つかの目的は、互いに矛盾する。例えば、高い動作周波数は、出力電圧リプルVRIPを減少するが、電力出力段44の効率も低下させる。従って、最適化を行うには、性能上の制約を満足できるパラメータのサブセットを見出す必要がある。充分な余裕がある場合には、このサブセット内で設計の効率を最大にする値を選択することにより、設計を最適化することができる。これは、出力性能の制約を満足しながらバッテリ寿命を延ばすといった電力コンバータ40の効果を与える。電力スイッチM1−M4及び典型的な電力要求を伴う電力出力段44を最適化することについて以下に説明する。
【0073】
図5に示す回路のための方程式で始めて、ループ電流及びノード電圧を、電力出力段44の充電及び放電サイクル中の負荷電流IL及び固定パラメータの関数として見出すことができる。固定パラメータは、入力電圧VS、電力スイッチM1−M4の抵抗、キャパシタンス値CF及びCL、並びに基準電圧VREFを含む。入力電圧VSは、時間と共に変化するが、最悪の場合、分析では、その寿命中に最低予想値に固定されると仮定する。他の固定パラメータの幾つかは、それらが所与の設計に対して選択されるという点で固定である(例えば、キャパシタCF、CLのサイズ、電力スイッチM1−M4の形式等)。可変パラメータは、ε及びTDISである。境界条件を評価することにより、方程式に対する特定の解を見出すことができる。境界条件は、負荷電流ILが、固定及び可変パラメータの現在セットに対して考えられる最大値であるように選択される。従って、異なる方程式の解は、パラメータの特定セットに対して供給できる最大負荷電流ILについて解くことができる。パラメータを変化させることにより、それら値のある範囲にわたり最大負荷電流ILを見出すことができる。最大負荷電流ILは、パラメータの連続関数である。これは、最大負荷電流ILの最大値が最小許容値を越えた場合には、パラメータのサブセットがこの条件も満足することを意味する。従って、電力出力段44の効率は、パラメータ値のこのサブセットに対して最大にすることができ、最小の性能制約を満足しながら効率を与えることができる。
【0074】
放電段階中には、CF及びCL間の電圧は、次の通りである。
【数1】
であり、そしてVFO及びVLOは、放電サイクルの始めにおける初期フライキャパシタ電圧VFO及び負荷電圧VLOである。フライキャパシタCFが充電されているときには、負荷キャパシタCLは放電されている。充電段階中には、CF及びCL間の電圧は、次の通りである。
【数2】
初期フライ電圧及び負荷電圧VF、VLは、充電段階の始めのものである。
【0075】
この1組の4つの方程式は、4つの未知の値VF、VL、IL及びTCHGも有し、それ故、独特の解をもつ(もしあれば)。図6に示した境界条件を使用してこの解を見出すアルゴリズムは、次の通りである。充電時間TCHGは、次の式を求めることにより見出される。
【数3】
この式を解くTCHGの値は、ゼロより大きなものが有効であると限定されねばならない。固定及び可変パラメータの全ての組合せに対して解は存在しない。
【0076】
TCHGが分かると、パラメータの現在値に対する最大負荷電流ILは、次のように表わされる。
【数4】
放電段階の終わりのフライキャパシタVF間の電圧は、次のように表わされる。
【数5】
放電段階の始めに負荷電圧VLが到達する最低電圧は、次のように表わされる。
【数6】
この電圧と基準電圧VREFとの間の差は、リプルVRIPである。
VRIP=VREF−VLO
このパラメータセットに対する動作周波数(即ち電圧リプルの周波数)は、次のように表わされる。
【数7】
【0077】
ピーク入力電圧も求める価値があり、これは、充電段階の始めか又は放電中に発生し得る。負荷電流ILは、一定であると仮定するので、放電中のピーク入力電流ISは、この段階の始め又は終わりに発生する。全サイクル中のピーク電流は、これら値の最大値となる。
【数8】
【0078】
【0079】
【表1】
【0080】
充電段階中に遭遇する直列抵抗(RCHG)及び放電段階中に遭遇する直列抵抗(RDIS)は、テーブル1の3つの動作点欄に示したように、電力出力段44の最大電流容量に最も意義のある作用を及ぼす。大きなフライキャパシタ(CF)及び負荷キャパシタ(CL)は、この容量を改善するが、それらの抵抗値が増加するにつれて、改善の程度が少なくなる。キャパシタンス値を増加すると、電流容量ではなく、出力電圧リプルVRIPの減少に大きな比例的作用を及ぼすと思われる。
上述した分析が示すことは、出力電圧がフィードバックとして感知されるならば、所望の出力電圧VOUTを得るように電力出力段44を動的に制御できることである。
【0081】
電子装置に広く使用されている典型的な「電子」キャパシタ(導体間の誘電体、例えば、タンタルポリマー)は、数マイクロ秒ないし数ミリ秒以内に自己放電し、そして百万ないし1千万の充電サイクルというサイクル寿命を有することを特徴とする。電子キャパシタにとって自己放電時間が短いという欠点は、発振器ベースのチャージポンプ20が、電子キャパシタを充電及び放電できる割合と、電子キャパシタが自己放電する割合との間のデューティサイクルで動作しなければならないことを意味する。従って、チャージポンプ出力段24の既知の発振器コントローラ26は、50ないし200Hzの範囲のチャージポンプ動作周波数を考慮していない。低い需要レベルでは、チャージポンプは、1Hz以下で動作するのが好都合である。
【0082】
従って、既知の発振器ベースのチャージポンプ20は、数週間又は数ヶ月と測定される自己放電時間を有するウルトラキャパシタや同様の高蓄積装置の利点を取り入れることができない。ウルトラキャパシタは、電解溶液を分極化することにより静電気的にエネルギーを蓄積する電気化学的二重層キャパシタである。そのエネルギー蓄積物理作用には化学的反応が含まれない。従って、ウルトラキャパシタは、著しく両方向性(回復可能)であり、従って、電気化学バッテリのような同等の蓄積方法とは異なり、数千回も充電及び放電することができる。適当なウルトラキャパシタの一例は、カリフォルニア州、サンディエゴのMaxwell(登録商標)テクノロジーから入手できるPS−10である。
【0083】
「ウルトラキャパシタ」という用語は、電荷漏れが比較的低いために高い効率を有することを一般的に特徴とする多数の形式の大型キャパシタを包含することを意味すると理解されたい。従って、「ウルトラキャパシタ」は、二重層電解キャパシタ(しばしば、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ及び電力用キャパシタとして知られている)や、擬似キャパシタを含む。
本発明の別の特徴によれば、フライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLとしてウルトラキャパシタを組み込んだチャージポンプは、5W以上の電力を供給することができ、この割合に対し50ないし200Hzの動作周波数が適当である。
【0084】
以下に詳細に説明する本発明の一実施形態による動的なコントローラ50は、発振器ベースのチャージポンプ20の周波数で動作できるが、この動的なコントローラ50は、非常に低い動作周波数でも動作することができる。従って、動的なコントローラ50は、ウルトラキャパシタの付加的な蓄積能力の利点を取り入れることができる。
【0085】
1ボルト未満の電力コンバータ
図7には、本発明の原理に基づいて動的に制御される電力コンバータ40Aの一実施形態がトップレベルブロック図の形態で示されている。以下の説明で明らかとなるように、ここに例示する実施形態は、非反転チャージポンプ電力出力段44Aを動的に制御することによりエネルギーソース12からの入力電圧VSを調整された出力電圧VOUTへと昇圧又は降圧することができる。又、電力コンバータ40Aは、1ボルトより低い入力電圧VSでも動作することができる。より詳細には、電力スイッチM1−M4は、低スレッシュホールドスイッチング信号S1及びS2に応答するように構成される。更に、以下で明らかとなるように、電力コンバータ40Aは、集積回路として容易に実施することができ、ひいては、小サイズ、低コストとすることができる。
【0086】
図7に示す電力コンバータ40Aは、電力コントローラ46Aと、図5を参照して上述したものと同様の電力出力段44Aとを備えている。電力コントローラ46Aは、VOUTが基準電圧VREFより低下するのに応答してスイッチング信号を発生するための比較器94を備えている。比較器94は、更に、フライキャパシタの電圧VF及び入力電圧VSにも応答して、充電段階の時間を制御するのが好都合である。より詳細には、比較器入力スイッチング回路98は、同じ比較器94を、充電及び放電の両サイクル中に、次のように使用できるようにする。
【0087】
充電段階中に、入力電圧の所定の一部分εVSが、充電サイクルスイッチ信号S1に応答して閉じる比較器入力スイッチM9を経て、第1比較器入力100へ接続される。スイッチM9とエネルギーソース12との間に介在されたVS分割器102は、所定の割合εを与え、それによりVSを減少する。フライキャパシタ電圧VFは、これも充電サイクルスイッチ信号S1に応答する比較器入力スイッチM10を経て、第2比較器入力104に接続される。次いで、比較器は、フライキャパシタ電圧VFが入力電圧の所定の一部分εVSに到達したときにスイッチング信号を発生する。
【0088】
放電段階中に、放電サイクルスイッチ信号S2に応答して比較器入力スイッチM11を経て第1比較器入力100へ基準電圧VREFが接続される。又、VOUT分割器108により与えられるVOUTの所定の一部分も、スイッチ信号S2に応答して、比較器入力スイッチM12により第2比較器入力104へ接続される。
【0089】
比較器94への種々の入力のスケーリングに関して、当業者であれば、特定の用途に対してスケーリングを種々組み合わせるのが適当であることが明らかであろう。例えば、ここに例示する例は、昇圧電力コンバータ構成と、比較的低い電圧基準VREFとをベースとしている。従って、VOUT分割器108は、必要に応じてVOUTをスケールダウンし、単一基準電圧を使用して、ある範囲の所望の出力電圧VOUTを得られるようにする。VOUTが基準電圧より低い用途では、VOUT乗算器乗算器を使用するか又は分割器を使用して電圧基準96からの出力を所望の基準電圧VREFへスケールダウンすることができる。同様に、降圧電力コンバータに対して他の変更も明らかである。更に、もし必要であれば、比較器94に加えて、第2の比較器を使用してもよい。
【0090】
比較器94からのスイッチングコマンドは、タイミングコントローラ112により受け取られて、充電スイッチ信号S1及び放電スイッチ信号S2が発生される。比較器94とタイミングコントローラ112との間に効果的に介在されるのは、遅延回路114であり、これは、不必要なスイッチングを回避すると共に、高い動作周波数によるEMI放射の影響を減少するためにスイッチングにヒステリシスを生じさせる。
【0091】
ブートストラップ始動回路116は、図11を参照して詳細に述べるように、放電時に、動的なコントローラ50Aが電力出力段44Aの制御を行わないときに、電力出力段44Aの動作を開始するために図7に示されている。
始動回路116は、半導体がコールドスタート中に接地にラッチされて(即ち最初に放電された負荷キャパシタCL)、動的なコントローラ50Aが電力出力段44Aの制御を行うのを防止するような本発明の集積回路実施形態の場合に必要となる。より一般的には、始動回路は、所望の出力電圧VOUTで動作するまでコールドスタート中に必要とされる時間を短縮する。
【0092】
始動回路116は、エネルギーソース12の正の端子30を、負荷キャパシタCLの第1端子32に直接接続するのではなく、フライキャパシタCFの第1端子31に接続するものとして示されている。しかしながら、常閉スイッチM2の選択により、始動回路は、以下に述べるように、始動(コールドスタート)状態で負荷キャパシタCLに効果的に接続されることを理解されたい。
【0093】
電力コントローラ46Aに含まれるバイパス制御回路118は、電力コンバータ40Aの容量を越える過渡的な高い負荷のようなある状態の間に使用される。過渡的な高い負荷は、付加的な容量を必要とする所定の大きさのものである出力電圧の低下(電圧垂下)によって特徴付けられる。従って、バイパス回路118は、VOUTを基準電圧VREFと比較する。電圧垂下がVOUTにおいて検出されたときには、バイパス回路118は、バイパススイッチMBのためのバイパススイッチ信号SBを発生し、このバイパススイッチは、それに応答して、エネルギーソース12の正の端子30を出力端子42に直接接続する。同様に、バイパス回路118は、低い入力電圧による電力コンバータ40の差し迫った故障に応答することもでき、電力コンバータ40Aの電力消費を取り除くことによって使用寿命の延長に最良に応じるようにされる。従って、バイパス回路118は、入力電圧VSを基準電圧VREFと比較し、そしてそれに応じてスイッチMBを動作する。
【0094】
図7の電力コンバータ40Aの動作が図8ないし10のフローチャートに示されている。図8を参照すれば、電力コンバータの動作130は、蓄積素子が放電された状態で開始し、従って、図9及び11を参照して述べるように、集積回路実施において接地へのラッチを防止するために始動動作132が実行される。この始動動作132の後に、電力コンバータの動作130は、図9を参照して述べるように、動的な動作134へと移行する。
【0095】
動的な動作134は、一般的に、ブロック136で示されたように、出力電圧VOUTの垂下が生じたかどうか判断し、もし生じない場合に、動的な動作134が継続するようにすることにより、遮断するまで続けられる。VOUTの電圧垂下は、電力コンバータ40Aの能力を越える大きな過渡負荷を示す出力電圧VOUTの低下である。ブロック136において、VOUTの垂下が検出された場合には、過渡バイパスが行われて、出力端子が、上述したように、ある時間周期にわたりエネルギーソースに電気的に接続される(ブロック138)。本発明に適合するある用途では、過渡バイパスは、エネルギーソース12及び出力端子42、43から電力コンバータ40Aを電気的に切断する。この切断の効果は、過渡状態が終わった後に回復周期を生じるような電力出力段44Aの放電を回避することを含む。本発明に適合する他の用途では、過渡バイパスは、エネルギーソース12及び出力端子42、43から電力コンバータ40Aを切断せず、従って、電力コンバータ40Aは、負荷装置14により要求される電力を供給するよう貢献する。
【0096】
出力電圧が依然低状態に保たれる場合には(ブロック140)、バイパスがラッチ状態に入れられる(ブロック142)。ブロック140において、VOUTが回復した場合には、ブロック144において、電流過負荷状態が存在するかどうかを判断することにより別の保護特徴が実行される。例えば、エネルギーソースは、おそらく、ある時間中に供給できる電流の量について安全限界を有する。或いは又、出力電流を引き出す負荷装置14は、故障モードにあり、これが電力コンバータの動作130に通知される。従って、電流過負荷である場合には(ブロック144)、出力端子がエネルギーソースから切断される(ブロック146)。しかしながら、ブロック144において、電流過負荷がない場合は、ブロック148において、コントローラがオフであるかどうかの判断がなされる。これは、種々の保護手段が、電力コンバータを再始動する必要がある状態を招くという状況を表わす。従って、コントローラがオフである場合には(ブロック148)、電力コンバータの動作130は、始動動作へ戻り(ブロック132)、さもなければ、動的な動作へ戻る(ブロック134)。
図8に示された順次流れ線図は、独立して及び連続的に実行することのできる種々の保護モードを示し、或いは本発明に適合する保護特徴の種々の組合せが含まれることを理解されたい。
【0097】
図9は、図8で説明した始動動作132を流れ線図形態で示す。この始動動作132の利点は、本発明による電力コンバータ40Aを1ボルト未満の入力電圧でいかに始動できるか示すことを含む。これは、特に、負荷キャパシタCLのような蓄積キャパシタの放電が電力コントローラ46Aの不作動を招くような集積回路用途に望ましいものである。更に、始動動作132は、電力コンバータ全体で消費される電力を減少できる低い出力需要の別のチャージポンプとしての本発明の使用を示唆する。
【0098】
典型的な発振器ベースの電力コンバータ20は、エネルギーソース12から負荷キャパシタCへ電気的に接続されたブートストラップ外部大電力ショットキーダイオードを組み込んでいる。このショットキーダイオードは、負荷キャパシタ電圧VLが低いときに導通し、負荷キャパシタCLの充電を開始すると共に、負荷装置14へ電力を供給し始める。この付加的なショットキーダイオードがないと、負荷装置14は、典型的な集積回路スイッチマトリクス48が接地にラッチする傾向があるために、負荷キャパシタCLの充電を妨げる傾向がある。
【0099】
ショットキーダイオードを追加することは、発振器制御の電力コンバータ20の所望の小型化を妨げる。更に、ショットキーダイオードは、発振器制御の電力コンバータ20の通常の動作中に電力を消費し、従って、効率を低下させる。
それ故、通常の動作中に効率に悪影響を及ぼさずに、動的に制御される電力コンバータ40Aを始動することが望まれる。又、外部部品を伴わずに電力コンバータ40Aと一体化できるやり方でそれを行うことも望まれる。
【0100】
始動動作132は、ブロック150において電力コンバータに負荷が既にかけられており、そしてブロック152において電力コンバータへの入力電圧が得られるという初期条件で開始される。次いで、電力コントローラがオフで電力出力段を制御しないかどうかの判断がなされる(ブロック154)。電力コントローラがオンである場合には(ブロック154)、小さな始動キャパシタCQPUMPがフローティング状態にされ(ブロック156)、そして始動動作132が実行される。
【0101】
ブロック154においてコントローラがオフである場合には、始動スイッチが閉じて、入力電圧VSを始動キャパシタCQPUMPへ供給し(ブロック158)、そして始動キャパシタCQPUMPが接地基準となる(ブロック160)。始動キャパシタCQPUMPが充電されると(ブロック162)、それが蓄積キャパシタ(例えば、負荷キャパシタ)へと放電され(ブロック164)、そして始動キャパシタCQPUMPを含む始動回路が電力コンバータのスイッチマトリクスから切断される(ブロック166)。次いで、始動動作132は、ブロック154へ戻り、この始動サイクルがコントローラをアクチベートするに充分であったかどうか調べると共に、必要に応じてその後の始動動作サイクルを繰り返す。
【0102】
図10には、図8に示された動的な動作134が流れ線図の形態で示されている。先ず、フライキャパシタが入力電圧VSと並列にスイッチされて、フライキャパシタが充電される(ブロック170)。フライキャパシタの電圧VがF入力電圧VSの所定の割合(例えば、VSの80%)を越えると(ブロック172)、充電段階は終了となり、フライキャパシタCFを入力電圧VSとの並列接続から切断すると共に(ブロック174)、デッドタイム遅延TDELの間だけ遅延させる(ブロック176)。
【0103】
次いで、放電サイクルは、ブロック177において、動的な動作134が昇圧動作であるか降圧動作であるか判断することにより開始される。昇圧である場合には、放電段階中に、フライキャパシタ電圧VFが入力電圧VSに加えられるが、降圧である場合には、フライキャパシタ電圧VFのみが使用される。この選択は、動的動作134の各段階中に決定されるのではなく、予め決定されそしてプリセットされてもよいが、これらの付加的な決定は、好都合にも、例えば、基準電圧VREFを変化させることにより出力電圧VOUTを希望通りに調整できるようにする。
【0104】
従って、ブロック177では、基準電圧VREFが入力電圧VSより低いか(即ち降圧動作であるか)どうかの判断が行われる。もしそうであれば、フライキャパシタCFのみが負荷キャパシタCLにまたがって入れられる(ブロック178)。さもなければ、入力電圧VS及びフライキャパシタCFが負荷キャパシタCLにまたがって直列に入れられる(ブロック179)。ブロック178又は179のいずれかの後に、最小放電時間遅延TDISが行われて、出力電圧VOUTに関わりなくフライキャパシタCFの完全放電を行うことができる(ブロック180)。
【0105】
次いで、動的な動作134は、この状態において、出力電圧VOUTが基準電圧VREFより大きい間待機となる(ブロック182)。これは、比較器の非補償特性のためである。手前の充電/放電サイクル中に転送された電荷の量が、VOUTがVREFを越えるように負荷キャパシタCLを充電するのに不充分である場合には、その直後に別の充電/放電サイクルが必要となる。他の場合には、手前の充電/放電サイクルで充分である。従って、動的動作134は、負荷装置又は負荷キャパシタの自己放電が負荷キャパシタを充分に放電させるまでの時間周期中、待機し続ける。VOUTがVREFより大きくないときには、フライキャパシタCFが負荷キャパシタCLから切断され(ブロック184)、これは、昇圧の場合に、入力電圧VSを負荷キャパシタCLから切断することを含む。次いで、別のデッドタイム遅延TDELが課せられ(ブロック186)、そしてブロック170の充電段階へ戻ることによりサイクルが繰り返される。
【0106】
明瞭化のために、上記の動的動作134は、例えば、放電段階が保証されるときまでフライキャパシタCFを充電することで始まることを理解されたい。しかしながら、ここに示す実施形態では、充電段階は、実際上、放電段階内のネスト状の動作である。より詳細には、電力コンバータは、放電段階を開始し、そして付加的な電荷が必要となる(例えば、VOUTがVREFより下がる)ときまでそこに留まる。次いで、充電段階が実行される。それが完了するや否や、必要な上記遅延の後に、放電段階が再び始まる。その後、電力コンバータ40Aは、再び放電状態に留まり、更に電荷が必要とされるのを待機する。
【0107】
図11を参照すれば、図7の電力コンバータ40Aに対する一体化された電力出力段44Aが、好都合にも、参考としてここに援用する2000年3月22日に出願された「Lateral Asymmetric Lightly Doped Drain MOSFET」と題するYing Xu氏等の共通所有の米国特許出願(P&Gケース7992)に開示されたように、低スレッシュホールド(例えば、1ボルト未満)で制御できるMOSFETトランジスタスイッチを使用して0.35ミクロンの二重サリサイドプロセス(2つの金属、2つのポリサリダイド)で実施された集積回路によって示されている。低スレッシュホールド制御をもつのに加えて、そこに開示されたMOSFETデバイスは、本発明により使用されるスイッチマトリクス48の効率に直接貢献する低いオン抵抗を有する。
【0108】
電力スイッチM1−M4、並びにバイパススイッチMBは、低スレッシュホールドMOSFETデバイスのアレーを組み込むことにより所望のピーク出力電流まで拡張可能な電流容量を有するが、図11には単一のトランジスタとして示されている。MOSFET電力スイッチM1−M4は、上記特許出願に説明されたように、スイッチマトリクス48を効率的に動作するために、低いオン抵抗及び高いオフ抵抗で設計されるのが好都合である。
【0109】
一般に、n型MOSFETデバイスは、製造するのに小さく、スイッチングが迅速で、ゲート電圧がないと、通常オフであるために選択される。しかし、ある場合には、p型MOSFETスイッチも、効果的に使用される。第1に、以下で明らかとなるように、フライキャパシタCFの第1端子31と、負荷キャパシタCLの第1端子32との間にp型電力スイッチM2を使用すると、本発明の1つの特徴により、電力コンバータ40Aを始動するのに1つの電力スイッチM1をバイアスするだけでよい1ボルト未満の漸次始動回路116を形成できる。
【0110】
この始動回路116は、電力出力段44Aが放電されたときにこの始動回路116をアクチベートするように構成されたp型MOSFET始動スイッチMSを備えている。スイッチングを制御するための種々の信号(例えば、S1、S2、S2N、・・)は以下で詳細に説明する。MSのドレインは、入力電圧VSに接続され、そしてそのゲート及びソースの両方は、フライキャパシタCFの第1端子31に接続される。フライキャパシタCFの第2端子34に接続される2つの電力スイッチM3及びM4は、n型であり、従って、フライキャパシタCFがこの状態においてフローティングであるようにオープンである。しかしながら、電力スイッチM2は、上述したようなp型トランジスタであり、従って、電力コントローラ46Aが最初にこの状態において付勢されない状態で閉じている。その結果、始動スイッチMSは、そのゲート及びソースも、最初にゼロであるVOUTに接続されている。従って、始動スイッチMSのゲートは接地され、そして始動スイッチMSは、負荷キャパシタCLへ入力電圧VSを導通し始める。
【0111】
しかしながら、この1つの小さなMOSFETの電流容量では、負荷キャパシタCLを充電するのに不充分である。それ故、始動スイッチMSは、電力スイッチM1を閉じるように間接的に使用されて、負荷キャパシタCLに入力電圧VSが与えられるようにする。より詳細には、始動スイッチMSのソースからn型スイッチM13のゲートへ入力電圧が接続される。スイッチM13は、スイッチMSからの入力電圧VSにより閉じる。スイッチM13が閉じると、そのドレインの入力電圧VSがソースへ通され、これは、次いで、始動キャパシタCQPUMPの第1端子190へ接続される。始動キャパシタCQPUMPの第2端子192は、電力コントローラ46Aが不作動であるときに始動キャパシタCQPUMPの第2端子192を接地するように構成されたトランジスタ対M14、M15に接続される。さもなければ、トランジスタ対M14、M15は、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192をフローティングするように構成される。より詳細には、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192は、p型スイッチM15のドレイン及びn型スイッチM14のソースに接続される。スイッチM15は、そのソースが接地され、そしてそのゲートが負のバイアスによりバイアスされて、電力コントローラ46Aが動作しているときにスイッチM15を開くようにされている。それ故、電力コントローラ46Aが動作しているときは、始動キャパシタCQPUMPの第2端子192が接地から切断される。スイッチM14は、そのドレインが入力電圧VSに接続され、そしてそのゲートが正のバイアスによりバイアスされて、電力コントローラが動作しているときにスイッチM14を閉じるようにされる。
【0112】
図12には、図7の電力コンバータ40Aに適した回路が示されている。図12は、充電段階中及び放電段階中に比較を行うために比較器94をバイアスする1つの回路例を示す。充電及び放電段階中に、この回路は、既に始動されており、そして電力コントローラ46Aは、スイッチング信号(例えば、S1、S2等)を発生するように動作される。S1がM9及びM10を閉じる充電段階中には、入力電圧VSの分割器102が、図7を参照して述べたように、フライキャパシタ電圧VFと比較するために所定の割合(例えば、80%)だけ入力電圧VSを減少する。S2がM11及びM12を閉じる放電段階中には、VOUT分割器108が、電圧基準96からの基準電圧と正しく比較するために出力電圧VOUTをスケーリングする。
【0113】
又、図12は、電力コントローラ回路46Aのタイミングコントローラ112が、以下に詳細に述べる複数の信号P_S2NB、P_S2NA、S2、S2N、P_S1、S1、S1Nを発生して、充電スイッチ信号S1及び放電スイッチ信号S2と同等のことを実行する。この複数の信号は、ここに示す実施形態の場合に、電力スイッチM1−M4が他のスイッチより多量の電流を必要とし、そして電力スイッチM2、M4がp型であり、従って、n型の電力用MOSFETの電力スイッチM1、M3よりゆっくりとスイッチングするために必要とされる。M1、M3の一方又は両方がM2、M4の一方又は両方と同時に閉じる場合のトランスコンダクタンスを防止するために、各ゲートへの信号にある程度の遅延が必要とされる。
【0114】
図13には、電圧基準回路96の一実施形態が示されており、これは、本発明の特徴に基づき1ボルト未満の入力電圧VSで動作することができる。定電流回路200は、レールに対する電圧基準回路202を付勢し、該回路202を入力電圧VSの変化から分離する。出力バッファ204は、レールに対する電圧基準回路202からの未増幅の基準電圧を増幅する。レールに対する電圧基準回路202を温度補償するために、並列ダイオードアレーの「絶対温度に比例する(PTAT)」回路206がその回路202をバイアスする。
【0115】
図14及び15には、図7の電力コントローラ46Aに対する比較器94の一実施形態が示されている。差動増幅器206−210は、共通モード信号を拒絶するのに有効であるので効果的に使用される。例えば、共通モード信号は、入力に誘起されるノイズである。集積回路の差動増幅器は、比較的低い出力利得を有する。これは、2つの点で意味をもち、即ち入力コントローラ46Aの入力トランジスタに非直線性がありそしてその後段に対して必要な電流利得を与える際に非直線性があることである。入力の非直線性をある程度打ち消すために、3つの差動増幅器の組合せが示されており、第1の差動増幅器206は、その負入力にV+入力をそしてその正入力にV−を受け取る。第2の差動増幅器208は、その負端子にV−をそしてその正端子にV+を受け取る。第1差動増幅器206の出力は、第3差動増幅器210の負端子に接続され、そして第2差動増幅器208の出力は、第3差動増幅器210の正入力に接続される。第4差動増幅器212は、電圧ホロワバッファとして構成されて、第3差動増幅器210からの比較器スイッチング信号(Out+、Out−)の電流を増加する。
【0116】
図16には、図7の電力コントローラ46Aに対するタイミングコントローラ回路112の一実施形態が示されている。基本的に、このタイミングコントローラ回路112は、必要な個々のスイッチコマンドを実行して、電力出力段44Aを充電段階と放電段階との間で構成する役割を果たす。更に、電力コントローラ46Aのタイミングコントローラ回路112は、対にされたスイッチ及びシーケンス付けされたスイッチを、あるスイッチ組合せを回避するように正しくフェージングしなければならない。例えば、充電段階にある電力スイッチM1及びM3は、いずれも、放電段階にあるいずれの電力スイッチM2及びM4とも同時に閉じてはならない。さもなければ、交差導通(又はトランスコンダクタンス)が発生し、例えば、エネルギーソース12が、上述したように、出力端子42へ瞬間的に短絡される。
【0117】
図17は、タイミングコントローラ回路112のタイミング図である。より詳細には、S1信号は、動的なコントローラ50により内部で使用される充電段階信号である。S2信号は、動的なコントローラ50により内部で使用される放電段階信号である。P_S2Nb信号は、p型MOSFET M2に対する高電流スイッチ信号で、交差導通を防止するためにS2信号に対して遅延され、そしてp型MOSFET M2が正の電圧でオープンされるためにS2から反転されている。P_S2Naは、p型MOSFET M4に対する高電流スイッチ信号で、P_S2Nbに対して遅延されている。P_S1信号は、電力用MOSFETスイッチM1、M3に対するS1の高電流バージョンである。S2N信号は、始動回路16、特に、スイッチM14に対するS2信号の反転バージョンである。S1N信号は、始動回路16、特に、スイッチM15に対するS1信号の反転バージョンである。
【0118】
本発明は、多数の実施形態について説明し、そしてそれら実施形態は、非常に詳細に説明したが、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲をそれらの細部に何ら限定するものではない。付加的な効果や変更が当業者に容易に明らかであろう。
例えば、非反転のチャージポンプ電力出力段44Aを動的に制御することについて述べたが、ここでの開示の利益が得られると、本発明により反転型のチャージポンプ電力出力段を動的に制御することも当業者に明らかであろう。
【0119】
本発明による電力コンバータ40Aは、種々様々な製品に組み込むことができる。例えば、集積回路で達成できる小型サイズ及び上述した低電力消費特性の効果を取り入れた電力コンバータ40Aは、好都合にも、バッテリパッケージに組み込んで、バッテリの使用寿命、及び需要時のエネルギー及び振幅を向上させることができる。
更に、本発明による電力コンバータ40Aは、エネルギーソース12の内部に組み込まれるか、エネルギーソース12を使用する負荷装置14に組み込まれるかに関わらず、種々様々なポータブル電子装置10を改善し又は可能にする。例えば、エネルギーソース12のサイズ及び重量の減少は、着用式であるか植え込み式であるかに関わらず、侵襲性の低い医療診断、エネルギー供給、又は操作式薬剤投与装置を許す。
【0120】
更に、バッテリ又は同様のエネルギーソース12で現在付勢されているポータブル電子装置は、本発明による電力コンバータを組み込むことにより改良することができる。例えば、ポータブル通信装置及びポータブルオーディオ装置において、効率の引き上げにより改良された使用寿命が得られ、そして需要の低下により許されるときに、電力コンバータ40の動作周波数、ひいては、ノイズを低下することにより、性能を向上することができる。
又、本発明によるほぼ又は完全に一体化された電力コンバータ40Aは、メモリ、論理回路及び他の集積デバイスのための充分に小型で効率のよい電源を与える。例えば、電力コンバータ40Aは、メモリ、論理回路又は他の集積デバイスも含む集積回路の一部分に埋め込まれてもよい。
【0121】
更に、入力電圧、特に、低い入力電圧に動的に適応することに関する本発明の特徴は、入力電圧が非持久性であるか、さもなければ、一般に知られた電力コンバータに適していない用途を考慮している。例えば、光電池は、表面積及び入射放射エネルギーの量に関連して電力を発生する。従って、光電池を使用する装置は、光が不充分であるためにしばしば不作動になったり、得られる通常の電力量内に留まるために機能を制限しなければならなかったり、及び/又は光電池専用の表面積を増加しなければならなかったりする。従って、電力コンバータ40Aは、小さな光電池を考慮し、そして広範囲の光条件で使用することができる。
【0122】
更に別の付加的な例として、明瞭化のために単一のフライキャパシタCF及び負荷キャパシタCLが示された。当業者であれば、本発明による電力コンバータ40Aは、複数のフライキャパシタCF及び/又は複数の負荷キャパシタCLを含んでもよいことが明らかであろう。更に、フライキャパシタCF及び/又は負荷キャパシタCLは、電気及び磁気エネルギーのための種々の蓄積装置より成ってもよい。
【0123】
別の例として、本発明による電力コンバータ40Aは、種々様々な製品に組み込むことができる。例えば、上述した小サイズ及び低電力消費(即ち高効率)特性の利点を取り入れる電力コンバータ40Aは、好都合にも、バッテリパッケージに組み込まれて、バッテリの使用寿命、並びに需要時のエネルギー及び振幅を向上させることができる。電力コンバータ40Aを組み込むことは、全てが1998年4月2日に出願された以下の共通所有の特許出願に開示されたのと同様に行われる。ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「PRIMARY BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY RUN TIME」と題する米国特許出願第09/054,192号;ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY SERVICE RUN TIME」と題する米国特許出願第09/054,191号;ブラディミア・ガートステイン及びドラガンD.ネブリジック氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER」と題する米国特許出願第09/054,087号;及びドラガンD.ネブリジック、ミランM.ジェブティティッチ、ビグ・シェリル、ニック・ブスコ、ピーター・ハンセン及びウイリアム・ミラム氏の「BATTERY HAVING A BUILT−IN CONTROLLER TO EXTEND BATTERY SURVICE RUN TIME」と題する米国プロビジョナル特許出願第60/080,427号。これらの特許出願は、全て、その全体を参考としてここに援用する。
【0124】
3状態チャージポンプ制御
ここに述べる本発明の他の形態では、チャージポンプを動的に制御して、フライキャパシタ電圧及び/又は負荷キャパシタ電圧を所定の電圧リプルバンド内に維持することができる。フライキャパシタを所定の電圧リプル内で充電及び放電する効果は、効率を向上することを含む。フライキャパシタは、電荷転送の割合及び転送中の内部ロスが最適化される電圧領域内で使用される。フライキャパシタの各充電/放電サイクル中の電荷転送を最適化することによりスイッチングロスが軽減される。同様に、負荷キャパシタ間の電圧を所定の電圧リプルバンド内に維持する効果の1つは、効率の改善である。
【0125】
電圧リプルは、ソース電圧VS(例えば、バッテリ電圧VBAT)に関して定義することができ、フライキャパシタの電圧リプルバンドを定義するのに、バッテリ電圧の2つのスケーリングされたスレッシュホールドが使用される(例えば、αVBAT、βVBTA)。しかしながら、バッテリ電圧は、特に、ピーク負荷の間及びバッテリの使用寿命の後の部分中には、バッテリの内部抵抗により減衰する。従って、フライキャパシタの電圧リプルバンドも低くなる。スイッチM1−M4の抵抗値と、キャパシタCL及びCFのESRは、バッテリの内部抵抗に比して低いので、バッテリの電圧降下は、回路において安定性の問題を引き起こす。その結果、本発明の特徴による実施形態は、不安定の問題を回避するために固定の電圧基準を使用している。
【0126】
しかしながら、バッテリ電圧の低下傾向に応答して固定の電圧基準を減少するのが好都合である。例えば、倍電圧チャージポンプでバッテリ電圧が所定値に下がると、所望の出力電圧を得ることができなくなる。バッテリ電圧の低下を感知するのに応答して、付加的なチャージポンプ段又は付加的なフライキャパシタを使用して、所望の出力電圧を得る一方、充電/放電サイクルをトリガーするのに使用される電圧スレッシュホールドを減少することができる。バッテリ電圧の傾向を決定する1つの方法は、無負荷状態の間、例えば、クロスバー電流を防止するのに使用される充電サイクルと放電サイクルとの間の時間遅延の間に、バッテリ電圧をサンプリングすることである。
【0127】
図18は、フライキャパシタの電圧リプルを制御するための1つの回路の動作を示す流れ線図である。先ず、フライキャパシタが最大フライキャパシタ電圧に充電されたかどうか、即ちVF≧VF,MAXであるかどうかの判断がなされる(ブロック200)。もしそうでなければ、フライキャパシタは、最大フライキャパシタ電圧に到達するまで充電される(ブロック202)。フライキャパシタが充分に充電された場合には、フライキャパシタがソース電圧及び負荷キャパシタから切断され(ブロック204)、そして待機状態と称される状態に入れられる。この待機状態は、充電状態及び放電状態に加えてチャージポンプの第3の状態になる。フライキャパシタが充電されそして展開を待機している状態では、遅延が回避される(即ち出力電圧が著しく低く降下したと感知された後にフライキャパシタを充電しなければならない遅延)。従って、チャージポンプの電力容量が増加される。加えて、あるチャージポンプ構成においては、ソース電圧及びフライキャパシタを切断した状態で負荷キャパシタが出力電圧を与えるようにするのが好都合である(例えば、降圧構成)。それ故、本発明の1つの特徴に基づいて組み込まれる待機状態は、これらに関して好都合である。
【0128】
フライキャパシタが待機状態にあるときには、ブロック206において、出力電圧が基準電圧以下であるかどうか、即ちVO≦VREFであるかどうか判断がなされる。出力電圧が基準電圧以下でない場合は、フライキャパシタが必ずしも出力に必要とされず、コントローラは、待機状態に保たれる(ブロック204)。出力電圧が基準電圧以下に降下すると(ブロック206)、フライキャパシタが出力に接続され、そして放電状態に入れられる(ブロック208)。フライキャパシタは、フライキャパシタ電圧VFが最小フライキャパシタ電圧VF,MIN未満であるという判断がなされる(ブロック210)まで放電状態に保持される。この最小フライキャパシタ電圧においてフライキャパシタ電圧リプルバンドの底部まで放電すると、制御は、ブロック202へ戻り、フライキャパシタを再充電すると共に、本発明により次の充電−対キー放電サイクルに対して準備する。
図18には示されていないが、出力電圧の電圧リプルを更に制御できるように出力電圧に対する最大及び最小電圧基準の両方について更なる判断を行えることが明らかであろう。従って、制御における更なるヒステリシスを使用することができる。
【0129】
多出力の電力コンバータ
選択可能な種々の出力電圧レベルを与える回路のブロック図である図19には別の実施形態の電力コンバータ230が示されている。例えば、1.8V、2.5V、3.0V、3.3V及び5.5Vのレベルが示されている。それより低い電圧(例えば、1.2V、1.5V)及びそれより高い電圧(例えば、7.0V)のような他の電圧レベルも意図されることが明らかである。
種々の電圧レベルに対する各一体的な出力段232a−232eは、各々フライキャパシタCF1−CF5及び負荷キャパシタCL1−CL5を伴う上記の昇圧又は降圧チャージポンプ電力出力段でよい。図19には、5つのレベル及びそれに関連した出力段が示されている。
【0130】
各出力段232a−232eの動的な制御は、多出力コントローラ234により行われる。この多出力コントローラ234は、各出力段232a−232eを制御するのに必要な種々のスレッシュホールドレベルに基準電圧VREFをスケーリングするためのバンドギャップ電圧基準236を受け取る。又、この多出力コントローラ234は、イネーブルバス238に応答して、各出力段232a−232eを選択的にターンオンする。多出力コントローラ234は、本発明により信号バスS11−5及びS21−5として各々示された充電及び放電スイッチ信号を各出力段232a−232eへ供給する。多出力コントローラ234は、フライキャパシタ電圧VF1−VF5及び5つの出力電圧(即ち1.8VOUT−5.0VOUT)に応答してこれらの充電/放電信号を発生する。
【0131】
図20には、図19の電力出力段232a−232eの一例の回路が、図5について述べたのと同様に示されている。ノードVn FLY−HIGHとVn FLY−LOWとの間に接続されたフライキャパシタCF、及びノードVO Nから接地へと接続された負荷キャパシタCLは、図示されていない。
図20に示された電力用MOSFET M1A、M2A、M1B及びM2Bは、上述したスイッチM1、M2、M3及びM4に対応する。更に、p型MOSFETスイッチM3は、始動中に負荷キャパシタCL1−CL5を充電するために、多出力コントローラ234がデアクチベートされたときに、ソース電圧(VCC)を出力に接続する。その後、出力電力段232a−232eが動作されるときに、多出力コントローラ234によりS3n信号が発生される。上述したように、使用するMOSFETの形式(例えば、p型、n型)に基づいて、あるスイッチの制御信号は、他のスイッチの信号に対して反転又は遅延される(例えば、S1、S1n、S2、S2n等)。
【0132】
図21は、多出力コントローラ234の1つのチャンネル又は電圧レベル(例えば、1.8V)に対して構成された出力コントローラ234aを示すブロック図である。フライキャパシタ電圧VF 1の電圧リプル制御は、比較器250においてフライキャパシタ電圧VFと比較されるバッテリ電圧VBATに基づいて、2つのスケーリングされたスレッシュホールドαVBAT、βVBATの間でスイッチングすることにより行われる。各負荷キャパシタ間の出力電圧VOの電圧リプル制御は、比較器252において出力電圧VO 1と比較される基準電圧VREFに基づいて、2つのスケーリングされたスレッシュホールドαVREF、βVREFの間でスイッチングすることにより行われる。スイッチ式比較の結果は、スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254へ供給され、該回路は、次いで、充電及び放電信号S11及びS22を発生する。入力マルチプレクサ(MUX)256は、コントローラ234aが現在充電モードにあるか放電モードにあるかに応答してスレッシュホールド間のスイッチングを制御する。スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254からの信号S31は、図20について上述したように、好都合にも始動を考慮したものである。
【0133】
1つ又は複数の入力電圧(VIN)に基づき、1つ以上の出力段232a−232bは、昇圧(ブースト)又は降圧(バック)として永久的に構成されてもよいし、或いは再構成可能な昇圧/降圧であってもよい。後者の場合に、出力コントローラ234nは、バッテリ電圧VBATが基準電圧VREFより高いか低いか感知する比較器258を備え、その結果は、入力MUX256と、スイッチロジック及びクロスバー遅延回路254の両方に送られる。
図22は、図21のコントローラ234aのような出力コントローラの一実施形態を示す論理図である。この形態において、4つの比較器261−264での比較を連続的に実行し、そしてスイッチング論理制御回路270において下流のスイッチングを使用し、それらの出力が出力区分280へ通されるようにすることにより、スイッチ式比較が実行される。
【0134】
S3_n出力は、3入力ANDゲートからの50ms遅延出力として示されており、それらの入力は、ソース電力VCCのフィルタされた形態であるパワーアップ(PUP)信号と、VO Nを基準電圧VREFと比較したものと、基準電圧VREFをソース電圧(VCC)と比較したものである。従って、S3_nを使用した負荷キャパシタCLの始動充電は、基準電圧がソース電圧(VCC)及び出力電圧VO Nに対して安定した50ms後に遮断される。
図23には、パワーアップ(PUP)信号を発生するためのパワーアップ回路が示されている。特に、ソース電圧VCCは、ANDゲートの一方の入力に与えられる。ANDゲートの第1及び第2入力は、抵抗器R31を経て接続される。又、第2入力は、キャパシタC1により接地される。その結果、PUPは、第2入力がソース電圧VCCのローパスフィルタされたものを見るので、ソース電圧VCCが安定化した後に高レベルとなる。
【0135】
図24は、多出力電力コンバータ230のピン出力図である。上述した例示のための回路図は、モノリシック集積回路製造に適したものであることを理解されたい。従って、多出力電力コンバータ230全体は、組み込まれるキャパシタと共に、小体積のICパッケージ内に完全に収容され、これについては、参考としてその全体をここに援用する1999年11月22日に出願されたドラガンD.ネブリジック氏等の「ACTIVE PACKAGE FOR INTEGRATED CIRCUIT」と題する共通に所有された米国特許出願第60/166,823号に開示されている。
【0136】
図24のピン出力は、各電圧出力に対し個別入力電力(VIN1−VIN5)及び個別電力接地(PWRGND)の利点を与える。例えば、各段を完全に分離することによりノイズを減少することができる。更に、多出力電力コンバータ230の所与の部分への入力電力を除去すると、使用されていない制御部分をデアクチベートすることにより効率が永久的に向上される。
イネーブルピン(ENABLE1−ENABLE5)は、多出力電力コンバータ230の各部分のプログラム可能なデアクチベーションを使用して間欠的なデアクチベーションを行えるようにする。例えば、セルラー電話用途のようなアプリケーション内でバッテリ使用寿命の後段階において、送信機能により使用されるような過酷な電力消費を防止しながら、5つの出力電圧レベルの2つを維持して、表示機能、処理機能、及びメモリ機能を持続することが重要であると思われる。その後、低い電圧レベルにおいて、5つの出力電圧レベルの1つだけを持続して、例えば、メモリが消えないようにすることができる。
【0137】
従って、多出力電力コンバータ230は、次の要件の1つ以上が存在する電子装置において得に有用である。(1)バッテリ消費を減少するための効率的な電力変換、(2)低い電磁干渉(EMI)放射、(3)電子回路及びエネルギーソースに割り当てられた小さな体積、(4)経済的な製造及び組み立て、(5)調整された多電圧出力レベル、及び(6)広範囲の電力需要にわたる効率的な動作。これらの要件を伴う電子装置は、例えば、ポータブルセルラー電話又は衛星電話、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)及びラップトップコンピュータ、並びにポータブルマルチメディア娯楽装置を含む。データ処理及び通信装置が集中するにつれて、このような多出力電力コンバータ230のニーズが高くなる。
本発明の特徴による電力コンバータ230は、用途に応じて、出力レベルの数と、電力及び制御に対するそれらの相互依存性が変化することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
電力コンバータを伴う電源を組み込んだポータブル電子装置のトップレベルブロック図である。
【図2】
発振器制御の電力コンバータ(オープンループのチャージポンプ)のトップレベルブロック図である。
【図3】
動的に制御され固有に調整される電力コンバータのトップレベルブロック図である。
【図4】
図3の電力コンバータの電力出力段に対する回路の一実施形態である。
【図5】
図3の電力コンバータの電力出力段に対する回路の別の実施形態である。
【図6】
図5の電力出力段の最大負荷条件に対する境界条件の電圧グラフである。
【図7】
動的に制御される電力コンバータの実施形態を示すトップレベルブロック図である。
【図8】
図7の電力コンバータの動作を示すフローチャートである。
【図9】
図8の始動動作のフローチャートである。
【図10】
図8の動的な動作のフローチャートである。
【図11】
図7の電力コンバータの電力出力段に対する回路の一実施形態である。
【図12】
図7の電力コンバータの電力コントローラ回路の一実施形態である。
【図13】
図12の電力コントローラの電圧基準回路の一実施形態である。
【図14】
図12の電力コントローラの比較回路の一実施形態である。
【図15】
図14の比較回路の詳細な回路図である。
【図16】
図12の電力コントローラのタイミング制御回路の一実施形態である。
【図17】
図16のタイミング制御回路のタイミング図である。
【図18】
一体的な容量性素子を含む多出力電力コンバータ集積回路部品の一実施形態である。
【図19】
図18の多出力電力コンバータのブロック図である。
【図20】
図19の多出力電力コンバータの電力出力段の1つの一実施形態である。
【図21】
図19の多出力コントローラの出力コントローラの一実施形態である。
【図22】
図21の出力コントローラの回路図である。
【図23】
図22に示されたパワーアップ信号の回路を示す図である。
【図24】
図19ないし23の多出力電力コンバータのピン出力図である。
Claims (7)
- 負荷キャパシタ及びフライキャパシタを含む電力出力段を備え、この電力出力段は、エネルギーソースから入力電圧を受け取り、そして出力端子間に出力電圧を発生するように構成され、上記負荷キャパシタは、出力端子間に電気的に接続され、上記電力出力段は、更に、充電状態と放電状態との間でスイッチするように構成され、充電状態は、上記フライキャパシタが入力電圧に対して電気的に並列になることを含み、そして放電状態は、上記フライキャパシタが上記負荷キャパシタ間に電気的に接続されることを含み、そして
上記電力出力段に作動的に接続された動的コントローラであって、上記負荷キャパシタ間の出力電圧及び所定の基準電圧に応答して、上記フライキャパシタを充電状態へスイッチしそして放電状態へ戻すことにより上記エネルギーソースから負荷キャパシタへ電荷を移送するように構成された動的コントローラを備え、この動的コントローラは、更に、上記フライキャパシタ間のフライキャパシタ電圧に応答して、上記フライキャパシタを充電状態からスイッチし、上記フライキャパシタ電圧の電圧リプルバンドを制御するように構成された電力コンバータ。 - 上記動的コントローラは、上記フライキャパシタ電圧に応答して、最大フライキャパシタ電圧スレッシュホールド及び最小フライキャパシタ電圧スレッシュホールドとの比較を行う請求項1に記載の電力コンバータ。
- 上記動的コントローラは、上記出力電圧が所定のスレッシュホールドより高いのに応答して、上記フライキャパシタを待機状態へスイッチし、この状態では、上記フライキャパシタが上記エネルギーソース及び負荷キャパシタから電気的に減結合される請求項1に記載の電力コンバータ。
- エネルギーソースと、負荷装置と、これらエネルギーソース及び負荷装置の間に介在された請求項1に記載の電力コンバータとを備えた電子装置。
- 上記電子装置は、ポータブル通信装置、ポータブル医療装置及びポータブルオーディオ装置の1つより成る請求項4に記載の電子装置。
- エネルギーソースと、請求項1に記載の電力コンバータと、出力端子とを含むバッテリにおいて、上記出力端子は、負荷装置に電気的に接続され、そして上記電力コンバータは、エネルギーソースと出力端子との間に介在されるバッテリ。
- 請求項1に記載の電力コンバータを複数備えた一体的電力コンバータ。
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